説明

ヒンジ構造

【課題】部品点数を増加させることなく、車室に設けられた収納部の開口部を開閉する扉の閉塞位置における扉のガタツキを防止又は抑制する。
【解決手段】閉塞位置にあるドア150において、車両幅方向外側(左側)のヒンジアーム160の軸受孔164及び回転軸112の軸心LAと、車両幅方向内側(右側)のヒンジアーム170の軸受孔174及び回転軸122の軸心LBは、車両前後方向にずれて(オフセットされて)配設されている。グローブボックス100のドア150を開放位置から閉塞位置に回転させると、軸受孔164と軸受孔174との軸心間の中心点Pを回転中心に回転する。回転に伴い、軸受孔164、174と回転軸112、122とのクリアランスが少なくなり、閉塞位置近傍(全閉直前)でクリアランスがなくなる。更にこの状態から当接力が増加するようにヒンジアーム160、170を弾性変形させて、閉塞位置まで回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車両用収納部に適用されるヒンジ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車室のインストルメントパネルの助手席側に設けられたグローブボックスにおいて、インストルメントパネルに形成した当接片が、ドアのヒンジフック部を上方から押圧することで、走行時等におけるドアの上下のガタツキやビビリ音を抑制したグローブボックスのヒンジ構造が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、車室の運転席と助手席との間に設けられたコンソールボックスにおいて、コンソールリッドの開き限界又は閉じ位置近傍で、シャフトに形成した折曲部を干渉部に干渉させ、開き速度又は閉じ速度を減衰させることで、コンソールリッドのばたつきや衝撃を抑制したコンソールリッドのヒンジ構造が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開2004−149061号公報
【特許文献2】特開2006−232262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の車両用収納部に適用されるヒンジ構造では、別部材を設けて扉のばたつきを防止している。このため、部品点数を増加させることなく、簡単な構造で、扉の閉塞位置における扉のガタツキを防止するヒンジ構造が望まれている。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、部品点数を増加させることなく、車室に設けられた収納部の開口部を開閉する扉の閉塞位置における扉のガタツキを防止又は抑制するヒンジ構造を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のヒンジ構造は、車室に設けられた収納部の開口部を開放する開放位置と前記開口部を閉塞する閉塞位置との間で回転可能に支持された扉と、前記扉側に設けられた一対の軸受孔と、前記収納部側に設けられ前記軸受孔に挿通された一対の回転軸と、を有する車両用収納部に適用されるヒンジ構造であって、前記回転軸の軸方向に見て、一方の前記軸受孔及び前記回転軸の軸心と、他方の前記軸受孔及び前記回転軸の軸心と、がずれて配設され、前記扉が前記開放位置から前記閉塞位置へと回転するに従って、一方及び他方の前記軸受孔と前記回転軸とのクリアランスが減少し、少なくとも前記閉塞位置では一方及び他方の前記軸受孔と前記回転軸とが当接していることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載のヒンジ構造は、車室に設けられた収納部の開口部を開放する開放位置と前記開口部を閉塞する閉塞位置との間で回転可能に支持された扉と、前記扉側に設けられた一対の回転軸と、前記収納部側に設けられ前記回転軸が挿通された一対の軸受孔と、を有する車両用収納部に適用されるヒンジ構造であって、前記回転軸の軸方向に見て、一方の前記回転軸及び前記軸受孔の軸心と、他方の前記回転軸及び前記軸受孔の軸心と、がずれて配設され、前記扉が前記開放位置から前記閉塞位置へと回転するに従って、一方及び他方の前記軸受孔と前記回転軸とのクリアランスが減少し、少なくとも前記閉塞位置では一方及び他方の前記軸受孔と前記回転軸とが当接していることを特徴としている。
【0008】
請求項1又は請求項2に記載のヒンジ構造では、回転軸の軸方向に見て、一方の回転軸及び軸受孔の軸心と、他方の回転軸及び軸受孔の軸心と、がずれて配設されている。そして、扉が開放状態から閉塞位置へと回転するに従って、一方及び他方の(両方の)軸受孔と回転軸とのクリアランスが減少し、少なくとも閉塞位置では、一方及び他方の軸受孔と回転軸とが当接している。したがって、閉塞位置にある扉における車両走行時の振動等によるガタツキが防止又は抑制される。そして、このように、閉塞位置にある扉のガタツキが防止又は抑制されることで、軸受孔と回転軸との打音(異音)が防止又は抑制される。
【0009】
なお、本発明は、一方の回転軸及び軸受孔の軸心と、他方の回転軸及び軸受孔の軸心と、をずらすことで、前述した扉のガタツキの防止又は抑制が実現される。つまり、部品点数を増加させることなく、簡単な構造で、車室に設けられた収容部の開口部を開閉する扉の閉塞位置における扉のガタツキが防止又は抑制される。
【0010】
また、扉は閉塞位置においては、一方及び他方の軸受孔と回転軸とが当接し、軸受孔における当接側のクリアランスが無い状態であるが、扉が閉塞位置から開放位置へと回転するに従って、軸受孔と回転軸とのクリアランスが増大する(クリアランスが確保される)。よって、クリアランス不良による摺動抵抗の増大による、例えば、扉が開放位置まで開きにくくなることが防止される。
【0011】
請求項3に記載のヒンジ構造は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記扉には一対のアームが設けられると共に、前記アームに前記軸受孔又は前記回転軸が設けられ、前記扉が前記開放位置から前記閉塞位置へと回転する際、前記扉が前記閉塞位置になる前に前記軸受孔と前記回転軸とが当接し、前記閉塞位置では当接力が増加するように前記アームが弾性変形していることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載のヒンジ構造では、閉塞位置における扉のアームは、当接力が増加するように弾性変形しているので、軸受孔が回転軸を径方向外側方向に押圧した状態、或いは、回転軸が軸受孔を径方向外側方向に押圧した状態となっている。よって、閉塞位置における扉がよりガタツキにくくなる。
【0013】
請求項4に記載のヒンジ構造は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の構成において、前記扉を前記閉塞位置から前記開放位置へと回転させる際に、少なくとも前記開放位置近傍で反力を生じさせるダンパー機構を有していることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載のヒンジ構造では、ダンパー機構が、少なくとも開放位置近傍で扉に反力を生じさせる。よって、扉が強い勢いで開いてしまい、大きな衝撃や異音が生じることが防止又は抑制される。
【0015】
なお、扉を閉塞位置から開放位置へと回転させるに従ってクリアランスが増大する。つまり、閉塞位置の近傍では軸受孔と回転軸とのクリアランスが確保されている。よって、このように開放位置近傍で扉に反力を生じさせても、扉が開放位置まで回転しにくくなることが防止される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように請求項1又は請求項2に記載のヒンジ構造によれば、部品点数を増加させることなく、車室に設けられた開口部を開閉する扉の閉塞位置における扉のガタツキを防止又は抑制することができる、という優れた効果を有する。
【0017】
請求項3に記載のヒンジ構造によれば、閉塞位置における扉をより一層ガタツキにくくすることができる、という優れた効果を有する。
【0018】
請求項4に記載のヒンジ構造によれば、扉が強い勢いで開いてしまい、大きな衝撃や異音が生じることを防止又は抑制することできる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図1から図3を用いて、本発明におけるヒンジ構造の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、図中の矢印UPは車両上方向を示し、矢印FRは車両前方向を示し、矢印OUTは車両幅方向外側方向を示す。
【0020】
図1に示すように、車両10の車室12の前方にはインストルメントアッパパネル14が配設されている。インストルメントアッパパネル14の下には、インストルメントロアパネル16が配設されている。また、インストルメントアッパパネル14の車両幅方向右側(運転席側)の中央部にはステアリングホイール18が設けられている。
【0021】
車両幅方向右側の運転席と車両幅方向左側の助手席と間のセンターコンソール20には、コンソールボックス500が設けられている。コンソールボックス500は、略直方体の箱状に形成されたコンソールボックス本体502を有している。コンソールボックス本体502の上部は開口されており、この開口部分をコンソールリッド504が開閉する。なお、コンソールボックス本体502の内部には、物品(車室内の小物等)を収納可能とされている。
【0022】
インストルメントロアパネル16の車両幅方向左側(助手席側)には、本発明の実施形態のヒンジ構造が適用されたグローブボックス100が設けられている。
【0023】
図2に示すように、グローブボックス100には、車両後方側面が開口された略箱形状の収納部104と、収納部104の開口部102を開閉するドア150と、を有している。そして、このドア150の開閉機構に本発明のヒンジ構造が適用されている。
【0024】
図1と図2とに示すように、ドア150の下端部150Aの車両幅方向両端部には、一対のヒンジアーム160、170が取り付けられている。図1〜図3に示すように、ヒンジアーム160、170の先端部162、172には、車両幅方向を軸方向とする軸受孔164、174が形成されている。
【0025】
また、図3に示すように、収納部104の側壁110、120には、車両幅方向を軸方向とする回転軸112、122が設けられている。そして、回転軸112、122がヒンジアーム160、170の軸受孔164、174に挿通されている。
【0026】
よって、図2に示すように、ドア150は軸受孔164、174を中心として回転することにより、開口部102を開閉する。ここで正確には、ドア150の回転中心は軸受孔164と軸受孔174との軸心間であるが、回転中心についての詳細は後述する。また、軸受孔164、174の内径よりも、回転軸112、122の外径の方が小さく設定されている。よって、軸受孔164、174と回転軸112、122との間に所定のクリアランスが生じるが、クリアランスについても詳細は後述する。
【0027】
そして、図2に実線で図示した状態がドア150が全開した開放位置とされ、二点破線(想像線)で図示した状態がドア150が全閉した閉塞位置とされている。
【0028】
ドア150が全閉した閉塞位置では、ドア150の上端部150Bが開口部102の上端部(インストルメントアッパパネル14の下端部14A)に設けられたストッパー106に当接する。なお、ストッパー106は、ゴム等の弾性体からなる。また、ドア150は開口部150に設けられたロック機構180でロックされ、閉塞位置に維持される(閉塞状態が維持される)。なお、図1に示すドア150に設けられた操作ノブ154の下縁側から背面側に指を入れ、操作ノブ154を手前側(車両後方側)引くことで、ロックが解除される。
【0029】
具体的には、図2に示すように、ロック機構180は、ドア150が全閉した閉塞位置においては、ドア150の上端に設けられたロックピン152がインストルメントアッパパネル14の下端部14Aに設けられたロック孔108に挿入されることでロックされ、操作ノブ154を手前側に引くことでロックピン152がロック孔108から抜け出ることでロックが解除される機構とされている(閂(かんぬき)タイプのロック機構)。また、ロックピン152は上方に常に付勢されており、ドア152の閉塞動作時にロックピン152の傾斜面152Aがインストルメントアッパパネル14の下端部14Aに当接することで下方に移動し、ロック孔108に挿入される。
【0030】
なお、上述したロック機構180は、あくまでも一例であり、どのようなロック機構であってもよい。
【0031】
図3に示すように、本実施形態のグローブボックス100には、ダンパー機構としての紐式エアダンパー300が設けられている。紐式エアダンパー300のシリンダー302の端部302Aが収納部104の側壁110に回転可能に支持されている。また、紐式エアダンパー300の紐304の先端部304Aがドア150に連結されている。なお、紐式エアダンパー300の中にはスプリング(図示略)が配設されている。
【0032】
紐式エアダンパー300は、ドア150を開放する際に、ドア150のドア開度に応じて(ドア150が開くのに従って)反力(開放に対抗する抵抗力)が増加する機構とされている。換言すると、ドア150の開放速度が制御され、ドア150のドア開度に応じて(ドア150が開放されるに従って)、開放速度が遅くなる機構とされている。また、ドア150を閉塞する際には、紐304がたるむので、反力(抵抗力)が発生しないので、容易に閉めることができる。
【0033】
なお、上述した紐式エアダンパー300は、あくまでも一例であり、どのようなダンパー機構であってもよい。
【0034】
図3に示すように、閉塞位置にあるドア150において(図2参照)、車両幅方向外側(左側)のヒンジアーム160の軸受孔164及び回転軸112の軸心LAと、車両幅方向内側(右側)のヒンジアーム170の軸受孔174及び回転軸122の軸心LBは、車両前後方向にずれて(オフセットされて)配設されている(ズレ量(オフセット量)は図中のd)。なお、開放位置においては、軸受孔164と回転軸112の軸心は一致し、軸受孔174と回転軸122の軸心は一致する。
【0035】
なお、正確には、前述したように、軸受孔164、174の内径よりも、回転軸112、122の外形の方が小さいので、軸受孔164、174と回転軸112、122との間に所定のクリアランス(ガタ)が生じる。そして、前述した軸心のズレ量dは、このクリアランス(ガタ)よりも大きく、更に、製造上のバラツキ(例えば、孔径(内径)や軸径(外径)の公差分)を加えた量よりも大きく設定されている。
【0036】
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0037】
図4には、軸受孔164、174と回転軸112、122との関係を模式的に図示している。図4(A)は、ドア150が開放位置(図2参照)にある場合の軸受孔164、174と回転軸112、122との関係を模式的に示しており、また、図4(C)は、ドア150が閉塞位置(図2参照)にある場合の軸受孔164、174と回転軸112、122との関係を模式的に示しており、更に図4(B)はドア150が開放位置と閉塞位置の中間にある場合の軸受孔164、174と回転軸112、122との関係を模式的に示している。なお、動きを判りやすくするため、ズレ量やクリアランス量は、実際よりも大きく図示している。
【0038】
グローブボックス100のドア150を開放位置から閉塞位置に回転させると(図2参照)、図4の(A)から(C)へと示すように、ドア150は軸受孔164と軸受孔174との軸心間の中心点Pを回転中心に回転する。ドア150の回転に伴い、軸受孔164、174と回転軸112、122とのクリアランスが少なくなり、閉塞位置近傍(全閉直前)で軸受孔164、174における当接側のクリアランスが無くなって軸受孔164、174と回転軸112、122が当接する。更にこの軸受孔164、174と回転軸112、122とが当接したクリアランスが無い状態から、当接力が増加するようにヒンジアーム160、170(図1、図2、図3を参照)を弾性変形させて、ドア150を閉塞位置まで回転させる。そして、ドア150がロック機構180(図2参照)でロックされることで、ドア150が閉塞位置に維持される。
【0039】
このように、ドア150が閉塞位置においては、軸受孔164、174と回転軸112、122とが当接し(軸受孔164、174における当接側のクリアランスが無く)、更に、ヒンジアーム160、170が弾性変形し、軸受孔164、174が回転軸112、122を径方向外側方向に押圧している。また、当接力が増加するようにヒンジアーム160、170が弾性変形することで、ドア150が開放する方向に付勢される。したがって、閉塞位置におけるドア150の(車両走行時の振動等による)ガタツキが防止又は抑制される。そして、このように、閉塞位置にあるドア150のガタツキが防止又は抑制されることで、軸受孔164、174と回転軸112、122との打音(異音)を防止又は抑制することができる。
【0040】
なお、このように、一方の軸受孔164及び回転軸112の軸心と、他方の軸受孔174及び回転軸122の軸心と、をずらすことで、ガタツキの防止又は抑制が実現される。つまり、部品点数を増加させることなく、簡単な構造で、開口部102を閉塞する閉塞位置におけるドア150のガタツキを防止又は抑制することができる。
【0041】
また、ドア150は、閉塞位置においては、軸受孔164、174と回転軸112、122との軸受孔164、174における当接側のクリアランスが無い状態であるが、図4の(C)から(A)へと示すように、ドア150が閉塞位置から開放位置へと回転するに従って、軸受孔164、174と回転軸112、122とのクリアランスが増大する(クリアランスが確実に確保される)。よって、クリアランス不良による摺動抵抗の増大による、例えば、ドア150が開放位置まで開にくくなることを、防止することができる。
【0042】
また、本実施形態では、ドア150を開く際に、ドア150のドア開度に応じて(ドア150が開くに従って)反力(抵抗)が増加する紐式エアダンパー300が設けられている。つまり、ドア150の開放速度が閉塞位置近傍で遅くなるので、ドア150自重等により、強い勢いでドア150が閉じ、大きな衝撃や騒音が生じさせることが防止されている。また、ドア150がゆっくりと回転することで、高級感を出すことができる。
【0043】
なお、このように、紐式エアダンパー300によって、ドア150を開放位置に回転するに従って反力(抵抗)が増加しても、前述したようにドア150が開放位置へと回転するに従ってクリアランスが増大するので(クリアランスが確実に確保されるので)、反力(抵抗力)によって、ドア150が全開しにくくなる、ということが防止される。
【0044】
本実施形態では、ドア150のヒンジアーム160、170に軸受孔164、174が形成され、収納部104の側壁110、120に回転軸112、122が設けられている構造であった。しかし、ドア150のヒンジアーム160、170に回転軸212、222が設けられ、収納部104の側壁110、120に軸受孔264、274が設けられている構造であってもよい。
【0045】
図5には、上述した構成における軸受孔264、274と回転軸212、222との関係を模式的に図示している。図5(A)は、ドア150が開放位置(図2参照)にある場合の軸受孔264、274と回転軸212、222との関係を模式的に示しており、また、図5(B)は、ドア150が閉塞位置(図2参照)にある場合の軸受孔264、274と回転軸212、222との関係を模式的に示している。なお、動きを判りやすくするため、ズレ量やクリアランス量は、実際よりも大きく図示している。
【0046】
そして、グローブボックス100のドア150を開放位置から閉塞位置へと回転させると(図2参照)、図5の(A)から(B)へと示すように、回転軸212と回転軸222との軸心間の中心点Pを回転中心に回転する。ドア150の回転に伴い、軸受孔264、274と回転軸212、222とのクリアランスが少なくなり、閉塞位置近傍(全閉直前)で軸受孔264、274における当接側のクリアランスがなくなる。更にこの状態から当接力が増加するようにヒンジアーム160、170(図1、図2、図3を参照)を弾性変形させて、閉塞位置まで回転させる。そして、ドア150がロック機構180(図2参照)でロックされることで、ドア150が閉塞位置に維持される。
【0047】
本構成の作用及び効果は、上記実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0048】
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0049】
例えば、上記実施形態では、ドア150の下端部150Aの車両幅方向両端部に取り付けられているヒンジアーム160、170に軸受孔又は回転軸が設けられた構成であったが、これに限定されない。ヒンジアームがなく、例えば、ドア150の車両幅方向の端面に軸受孔又は回転軸が設けられた構成であってもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、クローブボックス100に本発明のヒンジ構造を適用したが、これに限定されない。例えば、図1に示されているコンソールボックス500のコンソールリッド504の開閉に本発明のヒンジ構造を適用してもよい。或いは、図示は省略するがオーバヘッドコーンソールやコインケースなど、車室に設けられた収納部の開口部を開閉する扉全般に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係るヒンジ機構が適用されたグローブボックスを備える車室を示す斜視図である。
【図2】図1に示すグローブボックスのヒンジアーム部分における車両前後方向に沿った縦断面を示す断面図である。
【図3】図1に示すグローブボックスのヒンジアーム部分における車両幅方向に沿った水平断面を模式的に示す模式図である。
【図4】ヒンジアームに設けられた軸受孔と収納部に設けられた回転軸との関係を模式的に示し、(A)はドアが開放位置にある場合の軸受孔と回転軸との関係を模式的に示し、(B)ドアが開放位置と閉塞位置との中間にある場合の軸受孔と回転軸との関係を模式的に示し、(C)はドアが閉塞位置にある場合の軸受孔と回転軸と関係を模式的に示している説明図である。
【図5】収納部に設けられた軸受孔とヒンジアームに設けられた回転軸との関係を模式的に示し、(A)はドアが開放位置にある場合の軸受孔と回転軸との関係を模式的に示し、(B)はドアが閉塞位置にある場合の軸受孔と回転軸との関係を模式的に示している説明図である。
【符号の説明】
【0052】
12 車室
100 グローブボックス(車両用収納部)
102 開口部
104 収納部
150 ドア(扉)
160 ヒンジアーム(アーム)
164 軸受孔
170 ヒンジアーム(アーム)
174 軸受孔
112 回転軸
122 回転軸
264 軸受孔
274 軸受孔
212 回転軸
222 回転軸
300 紐式ダンパー(ダンパー機構)
LA 軸心
LB 軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室に設けられた収納部の開口部を開放する開放位置と前記開口部を閉塞する閉塞位置との間で回転可能に支持された扉と、
前記扉側に設けられた一対の軸受孔と、
前記収納部側に設けられ前記軸受孔に挿通された一対の回転軸と、
を有する車両用収納部に適用されるヒンジ構造であって、
前記回転軸の軸方向に見て、一方の前記軸受孔及び前記回転軸の軸心と、他方の前記軸受孔及び前記回転軸の軸心と、がずれて配設され、
前記扉が前記開放位置から前記閉塞位置へと回転するに従って、一方及び他方の前記軸受孔と前記回転軸とのクリアランスが減少し、少なくとも前記閉塞位置では一方及び他方の前記軸受孔と前記回転軸とが当接していることを特徴とするヒンジ構造。
【請求項2】
車室に設けられた収納部の開口部を開放する開放位置と前記開口部を閉塞する閉塞位置との間で回転可能に支持された扉と、
前記扉側に設けられた一対の回転軸と、
前記収納部側に設けられ前記回転軸が挿通された一対の軸受孔と、
を有する車両用収納部に適用されるヒンジ構造であって、
前記回転軸の軸方向に見て、一方の前記回転軸及び前記軸受孔の軸心と、他方の前記回転軸及び前記軸受孔の軸心と、がずれて配設され、
前記扉が前記開放位置から前記閉塞位置へと回転するに従って、一方及び他方の前記軸受孔と前記回転軸とのクリアランスが減少し、少なくとも前記閉塞位置では一方及び他方の前記軸受孔と前記回転軸とが当接していることを特徴とするヒンジ構造。
【請求項3】
前記扉には一対のアームが設けられると共に、前記アームに前記軸受孔又は前記回転軸が設けられ、
前記扉が前記開放位置から前記閉塞位置へと回転する際、前記扉が前記閉塞位置になる前に前記軸受孔と前記回転軸とが当接し、前記閉塞位置では当接力が増加するように前記アームが弾性変形していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヒンジ構造。
【請求項4】
前記扉を前記閉塞位置から前記開放位置へと回転させる際に、少なくとも前記開放位置近傍で反力を生じさせるダンパー機構を有していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のヒンジ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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