説明

ヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器

【課題】第一部材に対してこれに重合した第二部材を起伏回動して立ち起こすと、自動的に第二部材は第一部材との干渉を避けて自動的に浮上し、そのためこの起伏回動方向にそのまま前転若しくは後転させて表裏反転回動でき、この表裏反転させて再び重合閉塞状態とする表裏反転切り替え操作が干渉することなく、非常にスムーズにしてスピーディーに行え、しかも簡易な構成で容易に実現できるヒンジ装置を提供すること。
【解決手段】第一部材1に対して前記起伏回動取付部5を起伏回動して立ち起こすことで、自動スライド機構7により起伏回動取付部5に沿って自動スライドするスライド取付部6に、表裏反転自在に第二部材2を設けて、第二部材2を立ち起こすと第一部材1に対して干渉することなく起伏回動方向に表裏反転回動し得るように構成したヒンジ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話,モバイル,ノート型パソコン等の電子機器の枢着部に設けるヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を用いた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば従来の折り畳み式の携帯電話・モバイル・ノート型パソコン等は、数字キーやファンクションキーを配列した操作部を下側となる本体部の上面側に設け、この操作部のキー操作等により所定の表示がなされる液晶パネルなどのディスプレイ部を上側となる重合部(蓋部)の伏面側(重合側)に設け、この本体部と重合部との端部同志をヒンジ装置を介して連結して、本体部と重合部とを二つ折り重合して操作部を重合部により隠蔽した折り畳み重合閉塞状態から、ヒンジ装置により重合部を起伏回動して立ち起こし、例えば略反転し操作部とディスプレイ部とが露出した開放状態に切り替えできるように構成している。
【0003】
また、従来のこのような単に起伏回動する重合部で本体部の操作部を覆う電子機器においては、折り畳み重合してコンパクト化できるものの操作部を隠蔽した重合状態ではディスプレイ部も隠蔽してしまう構造となり、コンパクト化した状態での使用が制限されざるを得なく不便である場合も多い。
【0004】
また、コンパクト化のため重合閉塞状態ではディスプレイ部は隠蔽され、使用時に重合部を開放回動して立ち起こした際にはその正面側にディスプレイ部が配置されるためディスプレイ部を見やすいが、人にディスプレイ部を見せづらいし、またカメラ部をディスプレイ部とは反対面に設けている場合、自身の顔を写してディスプレイ部に表示させる場合などは本体毎操作部も裏返し反転させなければならないため、写しづらいし、シャッター操作もしにくい。
【0005】
そこで出願人は、開放した重合部や開放途中の所定角度で更に自転回動により表裏反転回動できるように構成し、不使用時あるいはキー操作を不要にして折り畳んだ際においても、言い換えるとたとえディスプレイ部を設けた重合部を本体部に重合して操作部を隠蔽したコンパクト化状態においても、従来通りディスプレイ部を伏面側にして操作部と共に隠蔽することも、逆に自転回動反転させてディスプレイ部が上側に配設され、コンパクト化した重合閉塞状態でもディスプレイ部を視認したり、機能させたりすることが可能となるようにし、また表裏にディスプレイ部を設けた場合は、重合閉塞状態で上面側に露出させるディスプレイ部を反転切り替え露出させたり、またカメラ使用に際しては重合部を起こした所定角度で反転可能にしてカメラを自身に向けたり、相手へ向けたり、あるいは重合閉塞状態でディスプレイ部を上面に露出させたりできるものを提案した。
【0006】
即ち、このように起伏回動によって開閉するディスプレイ部(重合部)を表裏反転自在に設けて、ディスプレイ部を上面にして重合コンパクト化できるため、重合状態でワンセグ放送などの映像を楽しむことができたり、その他音楽プレーヤーやTVゲーム器など家庭電子機器として利用し易く、また本体部の重合側と反対側の外面(底面)にカメラ部を設けることで、コンパクト化状態でディスプレイ部を見ながらカメラ撮りでき、携帯電話でありながら、反転して折り畳むことでデジタルカメラと全く同様な使用が行なえるように設計することなどが可能となる。
【0007】
このように出願人は、起伏回動のみにより開閉動作する従来の固定観念を打破し、開放した重合部を更に自転回動により表裏反転回動できるように構成し、不使用時あるいはキー操作を不要にして折り畳んだ際においても、従来通りディスプレイ部を伏面側にして操作部と共に隠蔽することも、逆に自転回動反転させてディスプレイ部が上側に配設され、コンパクト化した重合閉塞状態でもディスプレイ部を視認したり、機能させたり、前述のようにカメラ部から映像を映し出すディスプレイ部として機能させてデジタルカメラのように使用することが可能となるようにしたり、機器装置として使用用途が広がり、しかも前記開閉動作も容易となり、極めて扱い易く、耐久性にも秀れるなど極めて実用性に秀れた画期的な携帯電話,モバイル等の電子機器を実現可能なヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を用いた電子機器を提案した(特許第4105119号公報等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4105119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来の表裏反転回動は起伏回動する重合部を左右方向に自転回動する構成としている。
【0010】
即ち、起伏回動軸と直交する自転回動軸を軸に起伏回動方向と異なる左右水平方向に回動して表裏反転させる構成としており、ヒンジ装置は直交する二軸によるヒンジ装置としている。
【0011】
従って、立ち起こして左右にねじるという操作となり、重合部の上面露出面を切り替える場合になかなかスムーズにこの反転切り替え操作が行えず扱いづらい。
【0012】
また、特に横長のノート型パソコンやモバイルあるいはこのような機能を有する携帯電話で、横長の本体部に対してこれに重合する横長の重合部を起伏回動して開閉自在とし、この重合部を表裏反転させる場合、立ち起こした重合部を左右に水平回動して表裏反転させるのは操作しづらい。
【0013】
一方、操作性を考慮して起伏回動して立ち起こし、そのままこの起伏回動方向に前転あるいは後転して表裏反転できれば、非常に操作性が良く、扱い易いだけでなく、ねじれ操作などがないため、表裏反転して再び重合閉塞状態にする表裏反転切り替え操作が非常にスピーディーにしてスムーズに行えることとなるが、この起伏回動方向に回動させる際に下側の本体部に干渉するおそれがある。そのためこの場合は予め起伏開閉する重合部を浮上状態とする腕部などが必要となり、デザイン性に劣るだけでなく配線等を考慮すると構造が複雑となってしまうなどの問題があった。
【0014】
本発明はこのような問題を解決し、第一部材に対してこれに重合した第二部材を起伏回動して立ち起こすと、自動的に第二部材は第一部材との干渉を避けて自動的に浮上し、そのためこの起伏回動方向にそのまま前転若しくは後転させて表裏反転回動でき、この表裏反転させて再び重合閉塞状態とする表裏反転切り替え操作が干渉することなく、非常にスムーズにしてスピーディーに行え、しかもこの干渉することなく起伏回動方向に表裏反転させることが簡易な構成で容易に実現できることになる極めて優れたヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0016】
第一部材1に重合した第二部材2を起伏回動自在にして、且つ第一部材1に対して第二部材2を立ち起こした状態で起伏回動方向に表裏反転回動自在に連結するヒンジ装置であって、前記第一部材1に設けた起伏回動軸部3若しくは起伏回動軸受部4に回動自在に連結する起伏回動軸受部4若しくは起伏回動軸部3を、前記第二部材2と連結する起伏回動取付部5に設けて、前記第一部材1に前記起伏回動取付部5を起伏回動自在に設けこの起伏回動取付部5に連結する前記第二部材2を前記第一部材1に対して起伏回動自在に連結した構成とし、この起伏回動取付部5に起伏回動取付部5に沿ってスライド自在にスライド取付部6を設け、前記第一部材1に対して前記起伏回動取付部5を起伏回動して立ち起こすことで前記スライド取付部6を前記起伏回動取付部5に沿って上方へ自動スライド移動させる自動スライド機構7を設け、この自動スライド機構7により自動スライドする前記スライド取付部6に設けた表裏反転回動軸部8若しくは表裏反転回動軸受部9に回動自在に連結する表裏反転回動軸受部9若しくは表裏反転回動軸部8を前記第二部材2に設けて、前記起伏回動取付部5に対して前記第二部材2を前記スライド取付部6を介して表裏反転回動自在に設け、前記第一部材1に対して前記起伏回動取付部5と共に前記第二部材2を起伏回動して第二部材2を立ち起こすと、第一部材1に対して第二部材2は、前記起伏回動取付部5に対して前記スライド取付部6が前記自動スライド機構7によって自動上昇し、第一部材1に対して干渉することなく起伏回動方向に表裏反転回動し得るように構成したことを特徴とするヒンジ装置に係るものである。
【0017】
また、第一部材1に対して、この第一部材1に重合した第二部材2を、起伏回動ヒンジ部Aと表裏反転回動ヒンジ部Bとにより、起伏回動自在にして、且つ起伏回動方向に表裏反転回動自在に連結するヒンジ装置であって、前記第一部材1に前記起伏回動ヒンジ部Aにより前記起伏回動取付部5を起伏回動自在に設け、この起伏回動取付部5にこの起伏回動取付部5に沿ってスライド自在に設けた前記スライド取付部6を介して前記表裏反転回動ヒンジ部Bにより前記第二部材2を起伏回動方向に前転若しくは後転させて表裏反転自在に設け、前記起伏回動ヒンジ部Aに前記起伏回動取付部5を起伏回動して立ち起こすことで前記スライド取付部6を自動スライド移動させる自動スライド機構7を設けて、前記第一部材1に対して前記起伏回動取付部5と共に前記第二部材2を起伏回動して立ち起こすと起伏回動取付部5に沿って上方に前記スライド取付部6が自動スライド移動して前記第二部材2が前記スライド取付部6と共に前記第一部材1に対して上昇し、第一部材1に対して干渉することなく起伏回動方向に表裏反転回動し得るように構成したことを特徴とするヒンジ装置に係るものである。
【0018】
また、前記起伏回動取付部5は前記第二部材2の側部に前記スライド取付部6を介して設け、このスライド取付部6と前記第二部材2とを前記表裏反転回動軸部8と前記第一部材1とから成る前記表裏反転回動ヒンジ部Bにより枢着し、前記起伏回動取付部5の基端部と前記第一部材1の一端部とを前記起伏回動軸部3と前記起伏回動軸受部4とから成る起伏回動ヒンジ部Aにより枢着して、前記第一部材1に対して前記起伏回動取付部5を起伏回動し、この起伏回動取付部5の長さ方向に沿ってスライド自在に設けたスライド取付部6に前記第二部材2を表裏反転回動自在に設け、前記第一部材1に対して前記第二部材2を起伏回動取付部5と共に起伏回動自在にして、且つ起伏回動して立ち起こした状態で前記自動スライド機構7により前記スライド取付部6が上昇することで前記第二部材2が前記第一部材1に対して自動上昇し、この上昇した状態で前記起伏回動取付部5に対して前記第二部材2を表裏反転回動自在となるように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0019】
また、前記起伏回動取付部5若しくは前記スライド取付部6に、この起伏回動取付部5に対してスライド取付部6のスライドをガイドするスライドガイド機構10を設け、前記第一部材1に対して前記起伏回動取付部5を起伏回動して立ち起こすことで、前記スライド取付部6を押し上げ上昇させるリンク部11を前記起伏回動軸部3若しくは前記起伏回動軸受部4に設けて前記自動スライド機構7を構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0020】
また、操作部を設けた本体部を前記第一部材1とし、ディスプレイ部を設けた重合部を前記第二部材2とし、この本体部1と重合部2とを前記請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒンジ装置により枢着連結して、前記本体部1に前記重合部2を重合した重合閉塞状態から重合部を立ち起こした開放状態となるように開閉自在に構成したことを特徴とするヒンジ装置を用いた電子機器に係るものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上述のように構成したから、第一部材に対してこれに重合した第二部材を起伏回動して立ち起こすと、自動的に第二部材は第一部材との干渉を避けて自動的に浮上し、そのためこの起伏回動方向にそのまま前転若しくは後転させて表裏反転回動でき、この表裏反転させて再び重合閉塞状態とする表裏反転切り替え操作が干渉することなく、非常にスムーズにしてスピーディーに行え、しかもこの干渉することなく起伏回動方向に表裏反転させることが簡易な構成で容易に実現できることになる極めて優れたヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器を提供することを目的としている。
【0022】
また、請求項3,4記載の発明においては、一層簡易な構成で容易に実現できる極めて実用性に優れたヒンジ装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施例の作動説明斜視図である。
【図2】本実施例の作動説明側面図である。
【図3】本実施例の要部の拡大作動説明図である。
【図4】本実施例の重合閉塞状態での説明斜視図である。
【図5】本実施例の重合閉塞状態での説明分解斜視図である。
【図6】本実施例の重合閉塞状態での更に詳細な説明分解斜視図である。
【図7】本実施例の起伏回動ヒンジ部と連動する自動スライド機構のリンク部の作動説明斜視図である。
【図8】本実施例の重合閉塞状態の自動スライド機構の作動説明側面図である。
【図9】本実施例の起伏回動途中の自動スライド機構の作動説明側面図である。
【図10】本実施例の起伏回動して垂直に立ち上がった状態での自動スライド機構の作動説明側面図である。
【図11】本実施例の起伏回動して最大開放状態の立ち上がった状態での自動スライド機構の作動説明側面図である。
【図12】本実施例の起伏回動ヒンジ部の分解斜視図である。
【図13】本実施例の表裏反転回動軸部の分解斜視図である。
【図14】本実施例のスライドガイド機構の分解斜視図である。
【図15】本実施例の自動スライド機構の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0025】
第一部材1に対して第二部材2を起伏回動すると、第二部材2は第一部材1に対して起伏回動しつつ上方へ浮上する。この状態で第二部材2は第一部材1に干渉することなく、この起伏回動方向にこのまま表裏反転回動し、表裏を切り替えた状態で再び第一部材1に重合させることができる。
【0026】
即ち、第一部材1に対して第二部材2を起伏回動する際、第一部材1に対して起伏回動軸部3と起伏回動軸受部4とから成る起伏回動ヒンジ部Aによって連結している起伏回動取付部5が起伏回動し、この起伏回動取付部5にスライド自在に設けたスライド取付部6に、表裏反転回動軸部8と表裏反転回動軸受部9とから成る表裏反転回動ヒンジ部Bによって第二部材2を連結し、このスライド取付部6は第一部材1に対して起伏回動取付部5が起伏回動することで自動スライド機構7により起伏回動取付部5に沿って自動上昇し、このスライド取付部6に表裏反転回動ヒンジ部Bを介して第二部材2を設けているから、第二部材2もスライド取付部6と共に起伏回動取付部5に対して自動スライドして第一部材1に対して干渉しない位置まで自動上昇する。
【0027】
従って、第二部材2は、第一部材1に対して起伏回動自在に設けた起伏回動取付部5に対して設けているから、第一部材1に対して起伏回動自在となり、且つこの起伏回動取付部5に沿って上方へスライド自在に設けられ、自動スライド機構7によって起伏回動取付部5が立ち上がった時に自動上昇するスライド取付部6に表裏反転回動自在に設けているから、第一部材1に対して第二部材2は起伏回動して立ち起こした開放状態で自動浮上し、そのまま起伏回動方向に表裏反転回動自在となる。
【0028】
従って、第一部材1に対してこれに重合した第二部材2を起伏回動して立ち起こすと、自動的に第二部材2は第一部材1との干渉を避けて自動浮上し、そのためこの起伏回動方向にそのまま前転若しくは後転させて表裏反転回動でき、この表裏反転させて再び重合閉塞状態とする表裏反転切り替え操作が第一部材1に干渉することなく非常にスムーズにしてスピーディーに行え、しかもこの干渉することなく起伏回動方向に表裏反転させることが簡易な構成で容易に実現できることとなる。即ち、起伏回動取付部5に自動スライド機構7により自動スライド移動するスライド取付部6を設け、このスライド取付部6に第二部材2を表裏反転回動自在に設ける簡易な構成で、第一部材1に対して起伏回動する第二部材2をこの起伏回動方向に表裏反転自在に設けることが実現できることとなる。
【実施例】
【0029】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0030】
本実施例は、重合コンパクト化の図れるモバイルやノートパソコン等の折り畳み電子機器に本発明を適用したもので、回路基板,電源等の電子部品をケースに内装した横長方形板状の本体部1(第一部材1)の上面側に数字キーやファンクションキーなどを配列したキーボード機能を果たす操作部を設け、この本体部1に重合して操作部を覆う略同形の横長方形板状の重合部2(第二部材2)の端部を起伏回動自在にヒンジ装置により軸着連結した構成としている。
【0031】
具体的には本実施例ではできるだけ隙間なく重合して薄形コンパクト化が図れるもので、本体部1となる第一部材1に対して、この第一部材1に重合した重合部2となる第二部材2を起伏回動ヒンジ部Aと表裏反転回動ヒンジ部Bとにより起伏回動自在にして、且つ起伏回動方向に表裏反転回動自在に連結するヒンジ装置であって、前記第一部材1に前記起伏回動ヒンジ部Aにより前記起伏回動取付部5を起伏回動自在に設け、この起伏回動取付部5にこの起伏回動取付部5に沿ってスライド自在に設けた前記スライド取付部6を介して前記表裏反転回動ヒンジ部Bにより前記第二部材2を起伏回動方向に前転若しくは後転させて表裏反転自在に設けている。
【0032】
また、前記起伏回動ヒンジ部Aに前記起伏回動取付部5を起伏回動して立ち起こすことで前記スライド取付部6を自動スライド移動させる自動スライド機構7を設けて、前記第一部材1に対して前記起伏回動取付部5と共に前記第二部材2を起伏回動して立ち起こすと、起伏回動量に応じて徐々に起伏回動取付部5に沿って上方に前記スライド取付部6が自動スライド移動して前記第二部材2が前記スライド取付部6と共に前記第一部材1に対して上昇し、第一部材1に対して干渉することなく起伏回動方向に表裏反転回動し得るように構成している。
【0033】
更に説明すると、前記第一部材1に設けた起伏回動軸部3に回動自在に連結する起伏回動軸受部4を、前記第二部材2と連結する起伏回動取付部5に設けて、前記第一部材1に前記起伏回動取付部5を起伏回動自在に設けこの起伏回動取付部5に連結する前記第二部材2を前記第一部材1に対して起伏回動自在に連結した構成とし、この起伏回動取付部5の前記自動スライド機構7によって自動スライド移動するスライド取付部6に設けた表裏反転回動軸部8に、回動自在に連結する表裏反転回動軸受部9を前記第二部材2に設けて、前記起伏回動取付部5に対して前記第二部材2を前記スライド取付部6を介して表裏反転回動自在に設け、前記第一部材1に対して前記起伏回動取付部5と共に前記第二部材2を起伏回動して第二部材2を立ち起こすと、前記自動スライド機構7によって自動上昇し、第一部材1に対して干渉することなく前記第二部材2を起伏回動方向に表裏反転回動し得るように構成している。
【0034】
即ち、本実施例の前記起伏回動取付部5は前記第二部材2の側部に前記スライド取付部6を介して設け、このスライド取付部6と前記第二部材2とを表裏反転回動軸部8と表裏反転回動軸受部9とから成る前記表裏反転回動ヒンジ部Bにより枢着し、前記起伏回動取付部5の基端部と前記第一部材1の一端部とを前記起伏回動軸部3と前記起伏回動軸受部4とから成る起伏回動ヒンジ部Aにより枢着して、第一部材1に対して第二部材2を起伏回動取付部5と共に起伏回動自在にして、且つ起伏回動して立ち起こした状態で前記自動スライド機構7によりその回動角に応じて前記スライド取付部6がわずかながら上昇することで前記第二部材2が前記第一部材1に対してわずかながら自動上昇し、90度を超えて更に上昇して例えば135度最大開放した開放状態で最も上昇し、この開放状態で前記起伏回動取付部5に対して前記第二部材2を第一部材1の先端角縁にも干渉することなく表裏反転回動自在となるように構成している。
【0035】
また、本実施例では、前記起伏回動取付部5と前記スライド取付部6に、この起伏回動取付部5に対してスライド取付部6のスライドをガイドするスライドガイド機構10を設け、前記第一部材1に対して前記起伏回動取付部5を起伏回動して立ち起こすことで、前記スライド取付部6を押し上げ上昇させるリンク部11を前記起伏回動軸部3に設けて前記自動スライド機構7を構成している。
【0036】
以下更に各部について詳述する。
【0037】
本実施例では、第一部材1の上面端部の側部に設けた取付部12に設けた係合孔部13と、前記第二部材2の側部に略面一状態に前記スライド取付部6を介して沿設状態に設けるバー状の前記起伏回動取付部5の基端部に設けた対向係合孔部14とを連通状態となるように構成し、この係合孔部13と対向係合孔部14内に前記起伏回動軸部3と前記起伏回動軸受部4とから成る前記起伏回動ヒンジ部Aを内装して第一部材1に対してバー状の起伏回動取付部5をその側部上面に起伏回動自在に設けて第二部材2を起伏回動自在に連結している。
【0038】
即ち、本実施例の起伏回動ヒンジ部Aは、一方の係合孔、例えば前記起伏回動取付部5の対向係合孔部14に回り止め係合する第二連結部15としての筒状ケース部15内に、バネ16で係合付勢するカム部17を回り止め状態にしてバネ16に抗してこの筒状ケース部15内でスライド移動自在に設けてこれを前記起伏回動軸受部4とし、一方、例えば第一部材1の取付部12の係合孔部13に回り止め係合する第一連結部18に、前記カム部17と所定回動位置で凹凸係合あるいは凹凸係合途中となって重合閉塞状態及び開放状態を係合保持するカム係合部19を設け、このカム係合部19に回動軸20を突設して前記カム部17及び筒状ケース部15に回動自在に貫通するように構成し、これらを前記起伏回動軸部3として構成している。
【0039】
また本実施例では、この起伏回動軸部3を構成する前記回動軸20が、前記起伏回動軸受部4を構成する前記カム部17及び前記筒状ケース部15を回動自在に貫通した先端に、これと回り止め係合して回動軸20と一体となる円盤状のリンク取付板21を設け、このリンク取付板21の偏心位置にバー状のリンク部11の基端部を枢着し、このリンク部11の先端部を前記起伏回動取付部5の長さ方向にスライド自在に沿設する前記スライド取付部6の基端部に枢着して、前記起伏回動取付部5が起伏回動することで、前記リンク部11の先端部の前記スライド取付部6との枢着位置と、リンク取付板21の中心からの距離が変化することで前記スライド取付部6が起伏回動量に応じて除々に押し上げられて前記起伏回動取付部5に対して前記スライド取付部6が自動スライド移動するように前記自動スライド機構7を構成している。
【0040】
また、前記起伏回動取付部5のスライド取付部6を沿設する内側面には、スライダ22がスライド自在に係合するガイド係合部23を設け、このガイド係合部23に係合してスライド自在に設けられた前記スライダ22を前記スライド取付部6に連結して、前記リンク部11によって前記起伏回動取付部5に沿って前記スライド取付部6がこの長さ方向に自動的にスライド往復することをガイドするように前記スライドガイド機構10を構成している。
【0041】
また、このスライド取付部6と第二部材2とを表裏反転自在に連結する表裏反転回動ヒンジ部Bは、スライド取付部6に表裏反転回動軸部8を側方に向けて(起伏回動軸受部4と同方向に)突設し、第二部材2の側部にこれを受ける表裏反転回動軸受部9を設けている。
【0042】
本実施例では、前記表裏反転回動軸部8を貫通係合して回動自在に連結する前記表裏反転回動軸受部9に、この表裏反転回動軸受部9に設けたカム係合部24に凹凸係合するカム部25をスライド自在に回り止め状態に設けると共に、このカム部25を係合する付勢するバネ26を設けてこれらを抜け止め連結して回動自在に連結する構成としている。
【0043】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0044】
1 第一部材(本体部)
2 第二部材(重合部)
3 起伏回動軸部
4 起伏回動軸受部
5 起伏回動取付部
6 スライド取付部
7 自動スライド機構
8 表裏反転回動軸部
9 表裏反転回動軸受部
10 スライドガイド機構
11 リンク部
A 起伏回動ヒンジ部
B 表裏反転回動ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材に重合した第二部材を起伏回動自在にして、且つ第一部材に対して第二部材を立ち起こした状態で起伏回動方向に表裏反転回動自在に連結するヒンジ装置であって、前記第一部材に設けた起伏回動軸部若しくは起伏回動軸受部に回動自在に連結する起伏回動軸受部若しくは起伏回動軸部を、前記第二部材と連結する起伏回動取付部に設けて、前記第一部材に前記起伏回動取付部を起伏回動自在に設けこの起伏回動取付部に連結する前記第二部材を前記第一部材に対して起伏回動自在に連結した構成とし、この起伏回動取付部に起伏回動取付部に沿ってスライド自在にスライド取付部を設け、前記第一部材に対して前記起伏回動取付部を起伏回動して立ち起こすことで前記スライド取付部を前記起伏回動取付部に沿って上方へ自動スライド移動させる自動スライド機構を設け、この自動スライド機構により自動スライドする前記スライド取付部に設けた表裏反転回動軸部若しくは表裏反転回動軸受部に回動自在に連結する表裏反転回動軸受部若しくは表裏反転回動軸部を前記第二部材に設けて、前記起伏回動取付部に対して前記第二部材を前記スライド取付部を介して表裏反転回動自在に設け、前記第一部材に対して前記起伏回動取付部と共に前記第二部材を起伏回動して第二部材を立ち起こすと、第一部材に対して第二部材は、前記起伏回動取付部に対して前記スライド取付部が前記自動スライド機構によって自動上昇し、第一部材に対して干渉することなく起伏回動方向に表裏反転回動し得るように構成したことを特徴とするヒンジ装置。
【請求項2】
第一部材に対して、この第一部材に重合した第二部材を、起伏回動ヒンジ部と表裏反転回動ヒンジ部とにより、起伏回動自在にして、且つ起伏回動方向に表裏反転回動自在に連結するヒンジ装置であって、前記第一部材に前記起伏回動ヒンジ部により前記起伏回動取付部を起伏回動自在に設け、この起伏回動取付部にこの起伏回動取付部に沿ってスライド自在に設けた前記スライド取付部を介して前記表裏反転回動ヒンジ部により前記第二部材を起伏回動方向に前転若しくは後転させて表裏反転自在に設け、前記起伏回動ヒンジ部に前記起伏回動取付部を起伏回動して立ち起こすことで前記スライド取付部を自動スライド移動させる自動スライド機構を設けて、前記第一部材に対して前記起伏回動取付部と共に前記第二部材を起伏回動して立ち起こすと起伏回動取付部に沿って上方に前記スライド取付部が自動スライド移動して前記第二部材が前記スライド取付部と共に前記第一部材に対して上昇し、第一部材に対して干渉することなく起伏回動方向に表裏反転回動し得るように構成したことを特徴とするヒンジ装置。
【請求項3】
前記起伏回動取付部は前記第二部材の側部に前記スライド取付部を介して設け、このスライド取付部と前記第二部材とを前記表裏反転回動軸部と前記第一部材とから成る前記表裏反転回動ヒンジ部により枢着し、前記起伏回動取付部の基端部と前記第一部材の一端部とを前記起伏回動軸部と前記起伏回動軸受部とから成る起伏回動ヒンジ部により枢着して、前記第一部材に対して前記起伏回動取付部を起伏回動し、この起伏回動取付部の長さ方向に沿ってスライド自在に設けたスライド取付部に前記第二部材を表裏反転回動自在に設け、前記第一部材に対して前記第二部材を起伏回動取付部と共に起伏回動自在にして、且つ起伏回動して立ち起こした状態で前記自動スライド機構により前記スライド取付部が上昇することで前記第二部材が前記第一部材に対して自動上昇し、この上昇した状態で前記起伏回動取付部に対して前記第二部材を表裏反転回動自在となるように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
【請求項4】
前記起伏回動取付部若しくは前記スライド取付部に、この起伏回動取付部に対してスライド取付部のスライドをガイドするスライドガイド機構を設け、前記第一部材に対して前記起伏回動取付部を起伏回動して立ち起こすことで、前記スライド取付部を押し上げ上昇させるリンク部を前記起伏回動軸部若しくは前記起伏回動軸受部に設けて前記自動スライド機構を構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒンジ装置。
【請求項5】
操作部を設けた本体部を前記第一部材とし、ディスプレイ部を設けた重合部を前記第二部材とし、この本体部と重合部とを前記請求項1〜4のいずれか1項に記載のヒンジ装置により枢着連結して、前記本体部に前記重合部を重合した重合閉塞状態から重合部を立ち起こした開放状態となるように開閉自在に構成したことを特徴とするヒンジ装置を用いた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−137102(P2012−137102A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89408(P2009−89408)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(396019022)株式会社ストロベリーコーポレーション (88)
【Fターム(参考)】