説明

ヒンジ金具

【課題】 本発明は、薄帯状板をS字状に断面ほぼ半円形からなる柱体どうしの対向面に沿って周回する構造のヒンジ金具に関するものである。
【解決手段】 本発明のヒンジ金具は、対向面において互いに対向しながら回動するとともに、前記対向面と反対側に、たとえば、断面コ字状の部材取付部を有する一対の柱体と、前記一対の柱体の一方から他方へ、他方から一方へ前記対向面に対向しながら互いに反対方向へS字状に取り巻く第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材とから構成される。前記一対の柱体は、断面がほぼ半円形からなり、互いに対向するほぼ半円形の対向面を有し、一方または他方の中心軸を中心にして、前記対向面に対向しながら回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄帯状板をS字状に断面ほぼ半円形からなる柱体どうしの対向面に沿って回動する構造のヒンジ金具に関するものである。特に、本発明は、取り付けられた任意の取付部材を回動自在にすることができるヒンジ金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築や家具類の開閉部に使用するヒンジ金具は、取付部材と一体に構成されておらず、前記取付部材と無関係にヒンジ金物自体が単独で、回動している。たとえば、周囲の壁に取り付けられた立枠は、ヒンジ金具を介して取付部材の重量を支持する。取付部材が連続して取り付けられる場合、前記取付部材にかかる互いの重量と回動を行うための支持が必要であった。したがって、連続して取り付けられる取付部材は、重量のため、支持できない場合があるので、別途に支持専用の追加金物が必要であった。
【0003】
前記ヒンジ金具は、取付部材の全重量を全て剪断荷重として受ける。したがって、小さいヒンジ金具は、大きな取付部材が取り付けられると、大きな剪断強度を求められることになる。前記ヒンジ金具において、回動する取付部材の回転中心は、ヒンジ金具自身の一部にあり、取付部材の外にある。前記ヒンジ金具は、取付部材の重量による曲げモーメントがかかり、回動する際に剪断負荷が変則的にかかる。
【0004】
前記ヒンジ金具は、上下の金物の軸心が、取り付けの位置ずれや、取付部材のねじれ変形により通らない場合がある。前記取付部材の自重は、上下いずれか一方にかかり易いため、取付部材の回動の際に過剰な負荷がヒンジ金物にかかり易く、ガタツキやキシミ音を発生することがある。また、前記ヒンジ金具は、回転中心軸が取付部材の外側にあり、その持ち出し分だけ、前記取付部材が大回りすることになる。前記取付部材の大回りは、スペース上余裕のない場合、施工が困難であったり、回動に支障を来す場合がある。
【0005】
図10は従来のヒンジ金具を説明するための図である。ヒンジ金具101は、たとえば、取付部材取付部1011、1012と、前記取付部材取付部1011、1012に設けられた取付孔1013、1014と、回転軸1015と、前記回転軸1015を挿入する軸挿入孔1016、1017とから構成されている。図示されていない取付部材は、前記取付孔1013、1014によって、図示されていない、ネジによりそれぞれ取り付けられている。前記取付部材取付部1011と1012には、回転軸1015を挿入する軸挿入孔1016および1017が互い違いになるように設けられている。回転軸1015は、上部から前記軸挿入孔1016、1017に挿入することにより、前記取付部材取付部1011、1012に取り付けられた取付部材が回動できるようになっている。
【0006】
実開昭50−140822号公報における「めがね型のヒンジ部品」は、折り畳み式コンテナや貨物コンテナに向いたヒンジであり、フェンスや間仕切りの角度を自在にする連結部品である。
【0007】
実開昭56−155074号公報における帯ヒンジは、2枚の帯板を2本の立枠の部材にS字型に固定している。前記帯ヒンジは、90度程度しか開閉できない。前記帯ヒンジは、前記帯の緊締が緩まないようにすることが困難であるだけでなく、扉の開閉を頻繁に行った場合の帯ヒンジの緩みの問題が解決されていない。
【0008】
特開2004−107996号公報に記載されている屈伸自在なパネル連携構造は、可撓性を有する帯板を上下互い違いとなるS字状に巻回するとともに、上下の帯板の端部を相互に連結したヒンジから構成されている。
【特許文献1】実開昭50−140822号公報
【特許文献2】実開昭56−155074号公報
【特許文献3】特開2004−107996号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のヒンジ金具は、回転の中心がヒンジの軸部分にあり、180度回動できない場合があり、また、前記ヒンジの軸部分近傍に必ず隙間が生じるという欠点があった。前記特開2004−107996号公報に記載された屈伸自在なパネルの連結構造は、二つの戸の間の隙間が帯板の厚さだけ生じる。前記のような構造の折戸は、風が通り抜けるだけでなく、一方から他方が見えてしまうという欠点があった。また、前記特開2004−107996号公報に記載された屈伸自在なパネルの連結構造は、可撓性有する帯板を上下互い違いとなるようにS字状に巻回するとともに、上下の帯板の端部を相互に連結して「8字型のヒンジ」を形成し、この「8字型」の2個の穴に、断面半円形状の2本のポールを挿入し、半円形状の反対側のパネル固定面側端面の凹部内に、端部を緊締する連結構造である。前記「8字型のヒンジ」の緊締性能を維持する再調整や修復は、ドライバー等工具の作業が、パネル類の面材に阻まれて行なえない。したがって、前記ポールとパネルは、分離するしかない。さらに、施工後の分解作業は、天井、床、壁に阻まれ、前記ポールが前記「8字型」から抜けない。前記ヒンジと不分離の一対のポールの連結構造は、容積や重量が大きい扉や連続折戸では、再調整や修復毎に、全パネルを使用中の建物から取り外すことになり、作業が困難であった。
【0010】
前記「8字型ヒンジ」によるポールは、パネルが軽量で、パネル端部のどこにでも、金物類がビスで固定可能な木製である場合に最適である。たとえば、前記発明のものは、木製や合板のクローゼットに適している。しかし、アルミニウム形材の框フレーム構造では、採用できない。また、前記発明のものは、アルミニウムサッシ用には、致命的な不備が多い。
【0011】
以上のような課題を解決するために、本発明は、隙間がなく、回動中心が取付部材側にあるヒンジ金具を提供することを目的とする。また、本発明は、回動がスムーズでキシミ音のしない360度または180度回動することができるヒンジ金具を提供することを目的とする。本発明は、ヒンジ金具の間に隙間がないだけでなく、指を入れても、押し出されるため、指が怪我するという事故を防止できるヒンジ金具を提供することを目的とする。本発明は、前記従来例における適用上の制約や難点を解決して、製造、輸送、搬入、施工、メンテナンスが容易なヒンジ金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(第1発明)
第1発明のヒンジ金具は、部材を互いに連結するとともに、180度回動させることができるものであり、断面ほぼ半円形で、互いに対向する対向面を有し、一方または他方の中心軸を中心にして、前記対向面に対向しながら回動するとともに、前記対向面の反対側に部材取付部を有する一対の柱体と、一方の柱体における前記断面ほぼ半円形以外の部分に一端部が取り付けられ、一方から他方に向かって前記対向面に沿いながら他方の柱体の断面ほぼ半円形以外の部分に他端部が取り付けられた第1のS字状帯部材と、他方の柱体における断面ほぼ半円形以外の部分に一端部が取り付けられ、他方から一方に向かって前記対向面に沿いながら一方の柱体の断面ほぼ半円形以外の部分に他端部が取り付けられた第2のS字状帯部材とから少なくとも構成され、少なくとも一組からなる前記第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材によって前記二つの柱体が回動自在に緊締されていることを特徴とする。
【0013】
(第2発明)
第2発明のヒンジ金具は、部材を互いに連結するとともに、180度回動させることができるものであり、断面がほぼ1/4円形と、前記ほぼ1/4円形に連設する対向面とが互いに対向する対向面を有し、一方または他方の中心軸を中心にして、前記対向面に対向しながら回動するとともに、前記対向面の反対側に部材取付部を有する一対の柱体と、一方の柱体における非対向面に一端部が取り付けられ、一方から他方に向かって前記対向面に沿いながら他方の柱体の非対向面に他端部が取り付けられた第1のS字状帯部材と、他方の柱体における非対向面に一端部が取り付けられ、他方から一方に向かって前記対向面に沿いながら一方の柱体の非対向面に他端部が取り付けられた第2のS字状帯部材とから少なくとも構成され、少なくとも一組からなる前記第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材によって前記二つの柱体が回動自在に緊締されていることを特徴とする。
【0014】
(第3発明)
第3発明のヒンジ金具は、部材を互いに連結するとともに、180度回動させることができるものであり、断面がほぼ1/4円形部と前記ほぼ1/4円形部に連設された切欠き部とから構成され、前記ほぼ1/4円形部が互いに対向する対向面となり、一方または他方の軸を中心にして、前記対向面に対向しながら回動するとともに、前記対向面の反対側に部材取付部を有する一対の柱体と、一方の柱体における前記切欠き部に一端部が取り付けられ、一方から他方に向かって前記対向面に沿いながら他方の柱体の非対向面に他端部が取り付けられた第1のS字状帯部材と、他方の柱体における非対向面に一端部が取り付けられ、他方から一方に向かって前記対向面に沿いながら一方の柱体の切欠き部に他端部が取り付けられた第2のS字状帯部材と、前記一対の柱体間を密封するために、前記一方および他方の切欠き部に固定された遮蔽部材とから少なくとも構成され、少なくとも一組からなる前記第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材によって前記二つの柱体が回動自在に緊締されていることを特徴とする。
【0015】
(第4発明)
第4発明のヒンジ金具は、部材を互いに連結するとともに、360度回動させることができるものであり、断面ほぼ半円形で、互いに対向する対向面を有し、一方または他方の中心軸を中心にして、前記対向面に対向しながら回動するとともに、前記対向面の反対側に部材取付部を有する一対の柱体と、一方の柱体における断面ほぼ半円形以外の部分に一端部が取り付けられ、一方から他方に向かって前記対向面に沿いながら他方の柱体の断面ほぼ半円形以外の部分に他端部が取り付けられた第1のS字状帯部材と、他方の柱体における断面ほぼ半円形以外の部分に一端部が取り付けられ、他方から一方に向かって前記対向面に沿いながら一方の柱体の断面ほぼ半円形以外の部分に他端部が取り付けられた第2のS字状帯部材と、前記いずれか一方の柱体における断面ほぼ半円形の凸部に設けられた長さ方向の遮蔽部材を固定する溝と前記溝に固定された遮蔽部材とから少なくとも構成され、少なくとも一組からなる前記第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材によって前記二つの柱体が回動自在に緊締されていることを特徴とする。
【0016】
(第5発明)
第5発明のヒンジ金具は、第1発明および第2発明における一対の柱体のいずれか一方に、片持ち式に一体成形または別体に取り付けられているとともに、前記一対の柱体間を密封する長さ方向の遮蔽部材を固定する突起溝を備えた遮蔽アダプターと、前記遮蔽アダプターの突起溝に嵌合された遮蔽部材とが設けられていることを特徴とする。
【0017】
(第6発明)
第6発明のヒンジ金具は、第1発明から第5発明のS字状帯部材が鉄、銅、アルミニウム合金、鉄合金、銅合金、あるいは合成樹脂部材の一つからなる薄板であることを特徴とする。
【0018】
(第7発明)
第7発明のヒンジ金具は、第1発明から第6発明のS字状帯部材が弾性を有するバネ部材から構成されていることを特徴とする。
【0019】
(第8発明)
第8発明のヒンジ金具は、第1発明から第7発明の柱体に取り付けられる部材が扉、戸、窓、建具、間仕切り、インテリア、家具、エクステリア等に使用されることを特徴とする。
【0020】
(第9発明)
第9発明のヒンジ金具は、第1発明から第8発明における第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材を柱体にねじ止めする際に、非対照に設けられたねじ孔を備えた板状座金により強固に止められることを特徴とする。
【0021】
(第10発明)
第10発明のヒンジ金具は、第1発明から第9発明における第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材が一対の柱体の対向面と反対側に設けられたフィン取付部に取り付けられることを特徴とする。
【0022】
(第11発明)
第11発明のヒンジ金具は、第1発明から第10発明における第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材の一端部および他端部が一対の柱体における側部に設けられた凹部に取り付けられることを特徴とする。
【0023】
(第12発明)
第12発明のヒンジ金具は、第1発明から第11発明における一対の柱体が、断面がほぼ1/4円形の回動を行なうための対向面と、前記対向面に連なる断面直角部を備えていることを特徴とする。
【0024】
(第13発明)
第13発明のヒンジ金具は、第1発明から第11発明における一対の柱体の上下部において、二つの中心軸部材が一対の柱体とともに、前記連結部材に対して回動自在に、接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、少なくとも二つの柱体を連結するS字状帯部材は、前記柱体との摩擦力、引っ張り力、および剪断力に耐える強度を有する薄さにすることができるため、ヒンジ金具の回動が非常にスムーズであるとともに、前記柱体の中心軸をほぼ中心にして、断面ほぼ半円形の面に沿いながら回動するため、前記柱体と柱体との間に隙間がなく、指等が挟まれることがない。特に、前記柱体がアルミニウム系部材の場合、指等を柱体の間に入れても、両者の回転により滑るように外部に押し出されるため、怪我をすることがない。
【0026】
本発明によれば、ヒンジ金具は、互いの柱体における断面ほぼ半円形の対向面に沿いながら回動するため、取付部材に対する負荷が一定で変化しないので、回動に無理がなく、非常に回動がスムーズになり、キシミ音等を発生することがない。また、ヒンジ金具を連結しているS字状帯部材は、前記柱体の断面ほぼ半円形の周面に沿って折り曲がるため、疲労による破壊が少ない。本発明のヒンジ金具は、遮蔽アダプターに固定された遮蔽部材により、柱体の間が完全に密閉されるため、隙間風の出入り、または、隙間から他方が見えることがない。
【0027】
本出願人は、柱体と柱体との対向面が互いに対向しながら回転する部分を90度とするだけで良いことが判った。本発明によれば、前記円柱は、前記ほぼ1/4円形断面と、前記ほぼ1/4円形断面に連設された対向面を有するため、ヒンジ金具を開いた状態が安定し、直線状となり、隙間も無くなる。
【0028】
本発明によれば、柱体のほぼ1/4円形断面と、当該断面に連設された切欠き部に遮蔽部材を入れることにより、前記隙間を完全に無くすことができた。
【0029】
本発明によれば、ヒンジ金具の一部を構成する柱体は、S字状帯部材と異なる素材により作製された場合、前記S字状帯部材が前記柱体の金属素材または合成樹脂素材による色が浮き彫りとなり、デザイン上優れた効果を発揮することができる。
【0030】
本発明によれば、S字状帯部材の一端部および他端部が、一対の柱体における非対向部分、または取付部材等に設けられた凹部に取り付けることにより、弛みなく緊締することが容易である。
【0031】
本発明によれば、S字状帯部材を取り付ける板状座金のねじ孔が板の幅方向に対して、非対照に設けられているため、前記板状座金を反対側にひっくり返しにするだけで、緩んだS字状帯部材の緊締を強固にすることができる。
【0032】
本発明によれば、S字状帯部材の緊締と連結部材の連結により、強度的に丈夫なヒンジ金具を提供できるだけでなく、全体としての美観も優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明は、二つの柱体にそれぞれ、横框、戸、または蓋部材等が取り付けられ、前記二つの柱体を介して、前記部材が互いに連結されるとともに、180度または360度回動させることができるヒンジ金具に関するものであり、従来の考えとは全く異なった構成のヒンジ金具である。また、本発明は、一方の柱体が固定されており、他方の柱体が前記横框等に対して、180度または360度回動する場合、および両方の柱体が自在に回動する場合がある。また、前記柱体は、アルミニウム合金からなる押し出し成形による中空体だけでなく、たとえば、合成樹脂部材、金属、または合金等からなる内部が充実した棒状体も含む。
【0034】
なお、前記ほぼ半円形は、真円の半分、長円、楕円等を含むものである。前記柱体は、アルミニウム合金からなる押し出し成形による中空体だけでなく、たとえば、合成樹脂部材、金属、または合金等からなる内部が充実した棒状体も含む。本発明のS字状帯部材の取り付けは、前記柱体または横框に対して直角方向からネジ止めすることにより緊締できる。
【0035】
(第1発明)
第1発明のヒンジ金具は、対向面に沿って互いに対向しながら回動するとともに、前記対向面と反対側に、たとえば、断面コ字状の部材取付部を有する一対の柱体と、前記一対の柱体の一方から他方へ、他方から一方へ前記対向面に対向しながら互いに反対方向へS字状に取り巻く第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材とから構成される。前記一対の柱体は、断面がほぼ半円形からなり、互いに対向するほぼ半円形の対向面を有し、一方または他方の中心軸を中心にして、前記対向面に沿って対向しながら回動する。前記対向面は、通常、S字状帯部材の厚さだけ隙間があるが、互いにほぼ接触しながら回動する。本発明における対向面に沿って対向しながら回動するという意味は、前記接触しながら回動するものも含む。
【0036】
第1のS字状帯部材は、一方の柱体における断面ほぼ半円形以外の部分に一端部が取り付けられ、一方の柱体から他方の柱体に向かって前記断面ほぼ半円形の対向面に沿いながら他方の柱体の断面ほぼ半円形以外の部分に他端部が取り付けられている。第2のS字状帯部材は、第1のS字状帯部材と反対向きに前記柱体を取り巻いている。すなわち、第2のS字状帯部材は、他方の柱体における断面ほぼ半円形以外の部分に一端部が取り付けられ、他方柱体から一方の柱体に向かって前記断面ほぼ半円形の対向面に沿いながら一方の柱体の断面ほぼ半円形以外の部分に他端部が取り付けられている。
【0037】
第1発明のヒンジ金具は、第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材が張力で一対の柱体を互いに引きつけるとともに、前記柱体と前記各S字状帯部材との摩擦により、前記柱体に取り付けられる戸や蓋等の部材を支持しながら180度回動させることができる。したがって、前記各S字状帯部材は、前記部材等を取り付けた状態で、前記柱体との摩擦力、引っ張り力、および剪断力に耐える強度を有することが必要である。第1発明のヒンジ金具は、回動が非常にスムーズであるとともに、前記柱体の中心軸を中心にして、断面ほぼ半円形の面に沿いながら回動するため、前記柱体と柱体との間に隙間がなく、指等が挟まれることがない。前記対向面の回動は、指が挟まっても、前記柱体の回動とともに、滑りながら外方に押し出される。
【0038】
第1発明のヒンジ金具は、互いの柱体における断面ほぼ半円形の対向面に沿いながら回動するため、回動させる部材に対する負荷が一定で変化しないので、回動に無理がなく、非常に回動がスムーズになり、キシミ音等を発生することがない。また、第1発明のヒンジ金具は、前記柱体の断面ほぼ半円形の周面に沿って折り曲がるため、疲労による破壊が少ない。
【0039】
(第2発明)
第2発明のヒンジ金具は、第1発明が少なくとも一対のS字状帯部材により一対の断面ほぼ半円形の柱体を緊締しているのに対して、一対の柱体の断面がほぼ1/4円形と、前記ほぼ1/4円形に連設する対向面とが互いに対向する対向面を有する。前記断面形状を有する柱体は、少なくとも一対のS字状帯部材により断面ほぼ1/4円形に沿いながら前記柱体を回動自在に接続している。すなわち、第1のS字状帯部材は、一方の柱体における断面ほぼ1/4円形と前記対向面以外の部分に一端部が取り付けられ、一方の柱体から他方の柱体に向かって、前記断面ほぼ1/4円形の前記対向面に沿いながら他方の柱体の断面ほぼ1/4円形以外の部分に他端部が取り付けられている。また、前記第2のS字状帯部材は、他方の柱体における断面ほぼ1/4円形以外の部分に他端部が取り付けられ、他方から一方に向かって前記対向面に沿いながら一方の柱体の断面ほぼ1/4円形以外の部分に一端部が取り付けられている。前記対向面の反対側には、任意に回動させたい部材を取り付ける部材取付部が成形されている。
【0040】
第2発明におけるS字状帯部材は、それぞれの幅を広くすることにより、柱体に取り付けられる部材の重量を増加することができる。また、第2発明におけるS字状帯部材は、柱体に取り付けられる部材の重量が軽い場合、幅を狭くすることができる。前記S字状帯部材は、前記柱体に取り付ける重量により幅を任意にすることができるとともに、形状が単純であるため、安価なヒンジ金具となる。なお、第2発明のヒンジ金具は、少なくとも一組のS字状帯部材によって前記柱体を取り付けることができる。
【0041】
(第3発明)
第3発明のヒンジ金具は、第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材により、柱体を緊締している点で、第1発明および第2発明と同じである。第3発明のS字状帯部材は、一端部または他端部が切欠き部によって固定されている。すなわち、第1のS字状帯部材は、一方の柱体における前記切欠き部に一端部が取り付けられ、一方から他方に向かって前記対向面に沿いながら他方の柱体の非対向面に他端部が取り付けられている。また、第2のS字状帯部材は、他方の柱体における非対向面に一端部が取り付けられ、他方から一方に向かって前記対向面に沿いながら一方の柱体の切欠き部に他端部が取り付けられている。そして、前記切欠き部には、遮蔽部材が固定されることにより、前記一対の柱体間を密封することができる。前記対向面および切欠き部の反対側には、任意に回動させたい部材を取り付ける部材取付部が成形されている。前記遮蔽部材は、いわゆる弾性部材からなるパッキング部材およびモヘアのような繊維状部材を含む。
【0042】
(第4発明)
第4発明のS字状帯部材は、第1発明から第3発明が二つの帯状部材を互いに反対方向のS字状になるように、柱体の対向面に沿いながら180度回動できるように取り付けられるのに対して、一対のS字状帯部材により前記断面ほぼ半円形柱体を互いに連結するとともに、前記断面ほぼ半円形の対向面に接しながら360度回動させることができる。すなわち、第4発明における断面ほぼ半円形の凸部からなる対向面には、長さ方向に溝が設けられ、前記溝内に遮蔽部材が嵌合されている。前記遮蔽部材は、弾性があるため、前記一対のS字状帯部材の緊締により、前記柱体間の隙間を無くすことができる。
【0043】
(第5発明)
第5発明のヒンジ金具は、第1発明および第2発明における一対の柱体のいずれか一方に、片持ち式に遮蔽アダプターが一体成形または別体に取り付けられている。前記遮蔽アダプターは、少なくとも一方の柱体に長さ方向に遮蔽部材を固定する連続する突起溝を備えている。前記遮蔽部材は、前記突起溝に嵌合することにより、前記一対の柱体間を密閉することができる。前記一対の柱体の対向面と反対側には、部材取付部が成形されており、任意に回動させたい部材が取り付けられる。前記第5発明のヒンジ金具によって回動できるように作製された戸類(折戸、雨戸等)は、遮蔽アダプターに固定された遮蔽部材により、柱体の間が密閉されるため、隙間風や光等が出入りしない。
【0044】
(第6発明)
第6発明のヒンジ金具は、第1発明から第5発明におけるS字状帯部材が鉄、銅、アルミニウム合金、鉄合金、銅合金、あるいは合成樹脂部材の一つからなる薄板である。また、柱体は、前記S字状帯部材と同じまたは異なる素材により作製される。前記異なる素材にした場合、前記S字状帯部材は、金属素材または合成樹脂素材による色が浮き彫りとなり、デザイン上優れた効果を発揮する。
【0045】
(第7発明)
第7発明のヒンジ金具は、第1発明から第6発明におけるS字状帯部材が弾性を有するバネ部材から構成されており、前記一対の柱体を緊締するのに都合がよい。前記S字状帯部材は、りん青銅のようなものであり、薄く成形できるため、色とともにデザイン的にも優れている。
【0046】
(第8発明)
第8発明のヒンジ金具は、第1発明から第7発明における柱体に取り付けられる部材が扉、戸(網戸、折戸、雨戸を含む)、窓、建具、間仕切り、インテリア、家具、エクステリア等に使用されるものである。前記ヒンジ金具は、材質がアルミニウム合金等からなる場合、ホテル、レストラン、ショールーム、ブティック等さまざまな施設に使用することで、見栄えのよいものとなる。ヒンジ金具に使用するS字状帯部材は、少なくとも一方が連設されたコ字状からなり、両者を互いに入り組むように取り付けられる。前記S字状帯部材は、取付部材等の強度を考慮して数を決めることができるだけでなく、一方の固定が共通しているため、止めねじの数と取り付けの手間を少なくすることができる。前記ヒンジ金具は、第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材の幅および本数を変えることにより、この部分におけるデザインと強度を変えることができる。
【0047】
(第9発明)
第9発明におけるヒンジ金具は、第1発明から第8発明におけるS字状帯部材を前記柱体にねじ止めする際に、非対照にねじ孔が設けられている板状座金を使用している。前記板状座金は、板の幅方向に対して、偏らせて前記ねじ孔が設けられている。最初の連結は、板状座金の側部から近い方のねじ孔を使用し、経年変化により緩んできた場合、前記板状座金を反対にひっくり返し、側部から遠い方のねじ孔を使用することにより、前記S字状帯部材の緊締を強固にすることができる。
【0048】
(第10発明)
第10発明のヒンジ金具は、第1発明から第9発明における第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材を取り付けるために、一対の柱体の対向面と反対側に一体的にフィンが成形されている。前記フィンは、長さ方向に突出するように設けられているため、柱体を加工する際に同時に成形できるため、安価なものを作製することができる。また、前記フィンは、前記S字状帯部材を取り付けるだけでなく、回動させたい部材も取り付けることができる。
【0049】
(第11発明)
第11発明のヒンジ金具は、第1発明から第10発明における第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材の一端部および他端部が、一対の柱体における側部で、かつ、回転する際に対向しない部分に一体成形されている凹部に取り付けられる。前記S字状帯部材は、前記凹部に取り付けることにより、弛みなく緊締することが容易である。
【0050】
(第12発明)
第12発明のヒンジ金具は、第1発明から第11発明における一対の柱体が断面がほぼ1/4円形の回動を行なうための対向面と、前記対向面に連なる断面直角部を備えており、前記対向面で180度の回転を行ない、断面直角部の前記対向面と反対側を水平面とすることで、見た目を良くすることができる。また、前記水平面には、必要に応じて、遮蔽アダプターを取り付けることができる。前記遮蔽アダプターの取り付けは、柱体が水平面であるため取り付け易い。
【0051】
(第13発明)
第13発明のヒンジ金具は、第1発明から第11発明における一対の柱体を緊締している第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材以外に、前記一対の柱体の上下部において、二つの中心軸部材が一対の柱体とともに、連結部材に対して回動自在に接続されている。前記第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材は、薄い金属であるため、切断することがあるため、前記連結部材により強度を補うことができる。
【実施例1】
【0052】
図1は本発明の第1実施例で、取付部材を連結するためのヒンジ金具を説明するための概略図である。図1において、ヒンジ金具は、断面ほぼ半円形部分を有する柱体11と、前記柱体11に対向し、前記ほぼ半円形の突出部分において、互いに対向しながら180度回動する柱体12と、前記柱体11、12を可動的に連結するための、一方の柱体11の非対向面または前記柱体11に取り付けられた取付部材取付部112に一端部が取り付けられ、一方から他方に向かって対向面111に沿いながら他方の柱体12の非対向面または前記柱体12に取り付けられた他方の取付部材取付部122に他端部が取り付けられた少なくとも1組のS字状帯部材14、15とから構成されている。前記ヒンジ金具は、取付部材取付部112、122に取付部材がそれぞれ取り付けられている。
【0053】
前記柱体11、12は、たとえば、アルミニウム合金等の金属からなり、押し出し成形により図1に示すような断面形状に一体成形で作製される。前記柱体11、12は、断面ほぼ半円形の互いに対向する対向面111、121の反対側に、取付部材取付部112、122が一体成形されている。そして、前記取付部材(図示されていない)は、前記取付部材取付部112、122に、図示されていない手段により取り付けられている。前記ヒンジ金具は、如何なる形状または用途の二つの取付部材を回動自在に取り付けるためのものである。
【0054】
図1において、S字状帯部材14、14′、15、15′は、薄い金属部材からなるため、強度的な問題が発生する場合がある。このような場合、柱体11、12の上下部において、連結部材16、17は、一対の柱体11、12とともに、孔162、162′、172、172′において、回動自在な中心軸部材161、161′、171、171′が柱体11、12の連結孔113、123に螺合されている。前記柱体11、12は、その断面半円形の対向面に沿って自在に回動するとともに、前記連結部材16、17によって、連結強度が向上し、S字状帯部材14、14′、15、15′が切断されるという防犯上の欠点を除去することができる。なお、前記柱体11、12の回動は、S字状帯部材14、14′、15、15′を設けることなく、前記連結部材16、17のみにすることも可能である。
【0055】
図2は本発明の各実施例に使用される柱体の連結部材であるS字状帯部材を説明するための概略図である。図1および図2において、S字状帯部材14、14′は、前記柱体11の非対向面(側部)または取付部材の側部における凹部にネジ18によって取り付けられている。また、S字状帯部材15、15′は、前記柱体12の非対向面(側部)または取付部材17の側部にネジ19によって取り付けられている。前記S字状帯部材14、14′は、前記柱体11の対向面111に沿って巻かれるとともに、他方の柱体12の対向面121に沿って巻かれ、柱体12の図1における見えない部分にネジ止めされる。
【0056】
前記S字状帯部材15、15′は、同様に、柱体12の対向面121に沿って巻かれた後、他方の柱体11の対向面111に沿って巻かれ、柱体11の図1における見えない部分にネジ止めされる。前記S字状帯部材14、14′、15、15′の取り付けは、前記柱体11、12の側部、または取付部材の側部における凹部にネジで直角方向から締め付けているため、組み立てが容易にできる。前記S字状帯部材14、14′、15、15′は、たとえば、最初、取付部材の側部に平ネジ等により、引っ張られた状態で取り付けられる(図示されていない)。その後、前記S字状帯部材14、14′、15、15′は、図示されていない板状座金を上から抑え付けるようにして、ネジを用いて取り付けることにより、前記取り付け部近傍において斜めであったS字状帯部材14、15を直角にするため、さらに、引っ張られて緊締される。
【0057】
前記ヒンジ金具は、少なくとも一組のS字状帯部材により連結されているため、回動がスムーズであるだけでなく、キシミ音もしない。前記柱体11、12は、アルミニウム系、またはその他の金属材料であるため、前記柱体11、12の間に指を入れても、滑るように押し出され、指を痛めることがない。また、前記ヒンジ金具は、柱体11、12の間に遮蔽アダプターを一体に成形し、前記アダプターの溝に遮蔽部材を嵌入することにより、ヒンジ金具の隙間から風や光が侵入することなく、見かけも豪華であるとともに、ヒンジ金具として優れた効果を発揮する。
【実施例2】
【0058】
図3は本発明の第2実施例で、取付部材を連結するためのヒンジ金具を説明するための概略図である。図3において、柱体11は、対向面111と取付部材取付部112との間に取付凹部31、31′が成形されている。また、柱体12は、前記柱体11と同様に、対向面121と取付部材取付部122との間に取付凹部32、32′が成形されているとともに、前記柱体11、12のいずれか一方に遮蔽アダプター33が一体成形されている。前記取付凹部31、31′、32、32′には、前記S字状帯部材14、15が垂直方向からネジ止めでき、取付作業が容易にできる。
【0059】
前記遮蔽アダプター33は、遮蔽部材取付用突起溝331が成形されており、前記遮蔽部材取付用突起溝331に遮蔽部材332が嵌挿されている。さらに、前記S字状帯部材14、15は、図示されていないネジによって、引っ張られた状態で取り付けられた後、板状座金311、321を介して、ネジ312、322によって、さらに、緊締された状態で取り付けられる。
【0060】
一方のS字状帯部材14は、一端を一方の取付凹部31に図示されていない平ネジ等により取り付け、柱体11、12の対向面111に沿って一方から他方の取付凹部32′へ、たすき掛けに巻き付け、他端が引っ張った状態で固定される。他方のS字状帯部材15は、同様に、一端を他方の取付凹部32に図示されていない平ネジ等により取り付け、対向面121に沿って他方から一方へ、たすき掛けに巻付け、他端が引っ張った状態で固定される。その後、前記S字状帯部材14、15は、前記取付凹部31、31′、32、32′において、前記平ネジ等の上から、板状座金311、321を当接し、ネジ312、322により、前記S字状帯部材14、15の一端および/または他端が前記取付凹部31、31′、32、32′の上部から底部に向かって押し込まれることにより、さらに、強く緊締された状態で固定される。
【実施例3】
【0061】
図4は本発明の第3実施例で、取付部材を連結するためのヒンジ金具を説明するための概略図である。図4において、第1実施例および第2実施例と異なるのは、柱体11、12に図示されていない取付部材を挿入する挿入凹部41と、S字状帯部材14、15、および前記取付部材を取り付ける取付部42、42′、43、43′が設けられている点にある。前記柱体11、12は、対向面111、121との反対面に前記取付部材が挿入される挿入凹部41が成形されている。また、前記取付部42、42′、43、43′には、前記S字状帯部材14、15が実施例1および実施例2と同様に、図示されていない平ネジ、図示されているネジ46と板状座金45によって固定されている。
【実施例4】
【0062】
図5は本発明の第4実施例で、取付部材を連結するためのヒンジ金具を説明するための概略図である。図5において、柱体11、12は、断面1/4ほぼ半円形51、52と、前記断面1/4ほぼ半円形51、52部分に連設された断面ほぼ1/4切欠き部(L字状切欠き部)53、54と、前記断面1/4ほぼ半円形51、52および切欠き部53、54の反対側に設けられている取付部材取付部112、122と、取付部材等を取り付ける取付フィン57、57′、58、58′とから構成されている。
【0063】
前記S字状帯部材14、15は、一端が前記取付フィン57′、58′に取り付けられ、他端が前記断面ほぼ1/4切欠き部(L字状切欠き部)53、54に前記実施例と同様に取り付けられている。前記取付フィン57、58には、図示されていない取付部材が取り付けられている。前記断面ほぼ1/4切欠き部(L字状切欠き部)53、54には、必要に応じて、遮蔽部材55、56が嵌入される。図5に示された遮蔽部材55、56の例は、必ずしも密閉する必要がない取付部材の例である。
【実施例5】
【0064】
図6は本発明の第5実施例で、取付部材を連結するためのヒンジ金具を説明するための概略図である。図6において、第4実施例と異なる所は、S字状帯部材14、15の他端部を取り付ける取付けネジ69、69′の方向が90度異なっている点、および遮蔽部材65、65′が互いに密着して機密性を向上させている点である。図5および図6における遮蔽部材55、56、65、65′は、弾性のある部材からなり、凹部を覆う形状の蓋部材に代えることができる。前記蓋部材と前記凹部とは、互いに嵌合できる凹凸を設けることにより互いに取り付けられる。
【実施例6】
【0065】
図7は本発明の第6実施例で、取付部材を連結するためのヒンジ金具を説明するための概略図である。図7において、第4実施例および第5実施例と異なる所は、断面1/4ほぼ半円形71、72に連設する部分が90度の角部73、74を備えている点、およびS字状帯部材14、15、および図示されていない取付部材を取り付ける取付けフィン75、76が成形されている点である。図7に示されたヒンジ金具は、図の下方向にのみ回動ができる。
【実施例7】
【0066】
図8は本発明の第7実施例で、取付部材を連結するためのヒンジ金具を説明するための概略図である。第1実施例から第6実施例と異なる所は、柱体11、12の一方または両方に遮蔽部材が嵌挿された溝が設けられている点、および360度回転することができる点にある。図8において、前記柱体11、12の一方に遮蔽部材を設けた例で、対向面111、121の中央部において長さ方向に垂直溝81が成形されており、遮蔽部材82が嵌挿されている。前記遮蔽部材82は、前記垂直溝81から僅かに突出する程度にすることで、S字状帯部材14、15が巻回されている部分、および巻回されていない部分における隙間を無くすことができる。また、第7実施例における取付部材は、第1実施例から第6実施例と異なり、360度自在に回動することができる。さらに、前記垂直溝81と、遮蔽部材82とは、一方の柱体11にのみ設けられているが、他の柱体側、または両方の柱体に設けることができる。
【実施例8】
【0067】
図9(イ)から(ヘ)は本発明の第8実施例で、S字状帯部材の端部を柱体にネジ止めする状態を説明するための図である。図9(イ)および(ロ)において、前記各実施例と異なる所は、S字状帯部材912を取り付ける垂直取付部またはフィン916を有するS字状帯部材取付金具915を柱体91に取り付けている点、およびS字状帯部材912を固定する板状座金917のネジ孔919を偏心させている点である。前記S字状帯部材取付金具915は、柱体91の取付部914および溝914′に取り付けられる。
【0068】
前記S字状帯部材取付金具915に垂直に成形されている垂直取付部916には、図示されていない平ネジにより、S字状帯部材912の一方の端部および他方の端部が固定される。その後、前記S字状帯部材912は、さらに、板状座金917のネジ孔919を下に向けてネジ920により垂直取付部916に固定することで、より緊締することができる。図9(ハ)および(ニ)は、板状座金917の偏心したネジ孔919を下(S字状帯部材取付金具915側)にして垂直取付部916に取り付けられた場合が示されている。また、図9(ホ)および(ヘ)は、前記板状座金917の偏心したネジ孔919を上(S字状帯部材取付金具915と反対側)に向けて垂直取付部916に取り付けられた場合が示されている。
【0069】
図9(ニ)および(ヘ)を比較すると、前記S字状帯部材912は、偏心したネジ孔919を上に向けて垂直取付部916に取り付けられた場合の方がより引っ張られた状態に緊締されている(図9(ヘ)参照)。本発明のS字状帯部材912は、経年変化により、僅かであるが延びるため、前記板状座金917の向きを変えるといった簡単な工事により、柱体91間の緩みを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本実施例に記載されているヒンジ金具は、如何なる形状、目的、大きさの取付部材にも適用できる。前記ヒンジ金具は、アルミニウム合金、その他の金属、金属合金、合成樹脂等からなり、公知または周知の押し出し加工によって任意の形状に加工することができる。S字状帯部材は、多少の弾性、薄く加工のできる部材、適度の強度を有するものであれば、金属、合金、または合成樹脂等を採用することができる。また、前記各実施例は、それぞれを任意に組み合わせて使用することができる。
【0071】
なお、本実施例は、二つの柱体の連結をS字状帯部材のみで行なった場合、およびS字状帯部材および連結部材の両者からなる場合、および連結部材のみによるヒンジ金具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1実施例で、取付部材を連結するためのヒンジ金具を説明するための概略図である。(実施例1)
【図2】本発明の各実施例に使用される柱体の連結部材であるS字状帯部材を説明するための概略図である。
【図3】本発明の第2実施例で、取付部材を連結するためのヒンジ金具を説明するための概略図である。(実施例2)
【図4】本発明の第3実施例で、取付部材を連結するためのヒンジ金具を説明するための概略図である。(実施例3)
【図5】本発明の第4実施例で、取付部材を連結するためのヒンジ金具を説明するための概略図である。(実施例4)
【図6】本発明の第5実施例で、取付部材を連結するためのヒンジ金具を説明するための概略図である。(実施例5)
【図7】本発明の第6実施例で、取付部材を連結するためのヒンジ金具を説明するための概略図である。(実施例6)
【図8】本発明の第7実施例で、取付部材を連結するためのヒンジ金具を説明するための概略図である。(実施例7)
【図9】(イ)から(ヘ)は本発明の第8実施例で、S字状帯部材の端部を柱体にネジ止めする状態を説明するための図である。(実施例8)
【図10】従来のヒンジ金具を説明するための図である。
【符号の説明】
【0073】
11、12・・・柱体
111、121・・・対向面
112、122・・・取付部材取付部
113、123・・・側部
13・・・遮蔽アダプター
131・・・突起溝
132・・・遮蔽部材
14、14′、15、15′・・・S字状帯部材
141、141′、142、142′、151、151′、152、152′・・・ネジ孔
16、17・・・連結部材
31、31′、32、32′・・・取付凹部(断面コ字型取付凹部)
311、321・・・板状座金
33・・・遮蔽アダプター
331・・・溝(遮蔽部材取付用突起溝)
332・・・遮蔽部材
312、322・・・ネジ
41・・・挿入凹部
42、42′、43、43′・・・取付部
45・・・板状座金
46・・・ネジ
51、52、71、72・・・断面1/4ほぼ半円形
53、54・・・断面ほぼ1/4切欠き部(L字状切欠き部)
55、56、65、65′・・・遮蔽部材
57、57′、58、58′、67、67′、68、68′・・・取付フィン 69、69′・・・ネジ
73、74・・・90度の角部
75、76・・・取付フィン
77・・・取付部
81・・・垂直溝
82・・・遮蔽部材
91・・・柱体
911・・・対向面
912、913・・・S字状帯部材
914・・・取付部
914′・・・溝
915・・・S字状帯部材取付金具
916・・・垂直取付部(フィン)
917、918・・・板状座金
919・・・ネジ孔
920・・・ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材を互いに連結するとともに、180度回動させることができるヒンジにおいて、
断面ほぼ半円形で、互いに対向する対向面を有し、中心軸を中心にして、前記対向面に対向しながら回動するとともに、前記対向面の反対側に部材取付部を有する一対の柱体と、
一方の柱体における前記断面ほぼ半円形以外の部分に一端部が取り付けられ、一方から他方に向かって前記対向面に沿いながら他方の柱体の断面ほぼ半円形以外の部分に他端部が取り付けられた第1のS字状帯部材と、
他方の柱体における断面ほぼ半円形以外の部分に一端部が取り付けられ、他方から一方に向かって前記対向面に沿いながら一方の柱体の断面ほぼ半円形以外の部分に他端部が取り付けられた第2のS字状帯部材と、
から少なくとも構成され、
少なくとも一組からなる前記第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材によって前記二つの柱体が回動自在に緊締されていることを特徴とするヒンジ金具。
【請求項2】
部材を互いに連結するとともに、180度回動させることができるヒンジ金具において、
断面がほぼ1/4円形と、前記ほぼ1/4円形に連設する対向面とが互いに対向する対向面を有し、中心軸を中心にして、前記対向面に対向しながら回動するとともに、前記対向面の反対側に部材取付部を有する一対の柱体と、
一方の柱体における非対向面に一端部が取り付けられ、一方から他方に向かって前記対向面に沿いながら他方の柱体の非対向面に他端部が取り付けられた第1のS字状帯部材と、
他方の柱体における非対向面に一端部が取り付けられ、他方から一方に向かって前記対向面に沿いながら一方の柱体の非対向面に他端部が取り付けられた第2のS字状帯部材と、
から少なくとも構成され、
少なくとも一組からなる前記第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材によって前記二つの柱体が回動自在に緊締されていることを特徴とするヒンジ金具。
【請求項3】
部材を互いに連結するとともに、180度回動させることができるヒンジ金具において、
断面がほぼ1/4円形部と前記ほぼ1/4円形部に連設された切欠き部とから構成され、前記ほぼ1/4円形部が互いに対向する対向面となり、中心軸を中心にして、前記対向面に対向しながら回動するとともに、前記対向面の反対側に部材取付部を有する一対の柱体と、
一方の柱体における前記切欠き部に一端部が取り付けられ、一方から他方に向かって前記対向面に沿いながら他方の柱体の非対向面に他端部が取り付けられた第1のS字状帯部材と、
他方の柱体における非対向面に一端部が取り付けられ、他方から一方に向かって前記対向面に沿いながら一方の柱体の切欠き部に他端部が取り付けられた第2のS字状帯部材と、
前記一対の柱体間を密封するために、前記一方および他方の切欠き部に固定された遮蔽部材と、
から少なくとも構成され、
少なくとも一組からなる前記第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材によって前記二つの柱体が回動自在に緊締されていることを特徴とするヒンジ金具。
【請求項4】
部材を互いに連結するとともに、360度回動させることができるヒンジ金具において、
断面ほぼ半円形で、互いに対向する対向面を有し、中心軸を中心にして、前記対向面に対向しながら回動するとともに、前記対向面の反対側に部材取付部を有する一対の柱体と、
一方の柱体における断面ほぼ半円形以外の部分に一端部が取り付けられ、一方から他方に向かって前記対向面に沿いながら他方の柱体の断面ほぼ半円形以外の部分に他端部が取り付けられた第1のS字状帯部材と、
他方の柱体における断面ほぼ半円形以外の部分に一端部が取り付けられ、他方から一方に向かって前記対向面に沿いながら一方の柱体の断面ほぼ半円形以外の部分に他端部が取り付けられた第2のS字状帯部材と、
前記いずれか一方の柱体における断面ほぼ半円形の凸部に設けられた長さ方向の遮蔽部材を固定する溝と、
前記溝に固定された遮蔽部材と、
から少なくとも構成され、
少なくとも一組からなる前記第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材によって前記二つの柱体が回動自在に緊締されていることを特徴とするヒンジ金具。
【請求項5】
前記一対の柱体のいずれか一方には、片持ち式に一体成形または別体に取り付けられているとともに、前記一対の柱体間を密封する長さ方向の遮蔽部材を固定する突起溝を備えた遮蔽アダプターと、
前記遮蔽アダプターの突起溝に嵌合された遮蔽部材と、
が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたヒンジ金具。
【請求項6】
前記S字状帯部材は、鉄、銅、アルミニウム合金、鉄合金、銅合金、あるいは合成樹脂部材の一つからなる薄板であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載されたヒンジ金具。
【請求項7】
前記S字状帯部材は、弾性を有するバネ部材から構成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載されたヒンジ金具。
【請求項8】
前記柱体に取り付けられる部材は、扉、戸、窓、建具、間仕切り、インテリア、家具、エクステリア等に使用されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載されたヒンジ金具。
【請求項9】
前記第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材は、前記柱体にねじ止めする際に、非対照に設けられたねじ孔を備えた板状座金により強固に止められることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載されたヒンジ金具。
【請求項10】
前記第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材は、一対の柱体の対向面と反対側に設けられたフィン取付部に取り付けられることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載されたヒンジ金具。
【請求項11】
前記第1のS字状帯部材および第2のS字状帯部材の一端部および他端部は、一対の柱体における側部に設けられた凹部に取り付けられることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載されたヒンジ金具。
【請求項12】
前記一対の柱体は、断面がほぼ1/4円形の回動を行なうための対向面と、前記対向面に連なる断面直角部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載されたヒンジ金具。
【請求項13】
前記一対の柱体の上下部において、二つの中心軸部材が一対の柱体とともに、前記連結部材に対して回動自在に、接続されていることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載されたヒンジ金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−328736(P2006−328736A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−152014(P2005−152014)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(505193243)
【Fターム(参考)】