説明

ヒンバシンアナログのエキソ−選択的合成

【課題】ヒンバシンアナログの合成のための新たなプロセス、ならびにそれによって生成された化合物を提供すること。
【解決手段】この合成は、環式ケタール−アミド経路、キラルカルバメート−アミド経路、およびキラルカルバメート−エステル経路を含む選択経路によって進む。これらによって生成された化合物は、トロンビンレセプターアンタゴニストとして有用である。本明細書中に開示する化学は、以下の合成順序に例示されている:(式8A、7B)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本出願は、ヒンバシンアナログの合成のための新規なプロセス、ならびにそれによって生成されるアナログを開示する。この合成は、環式ケタール−アミド経路、キラルカルバメート−アミド経路、およびキラルカルバメート−エステル経路を含む選択経路によって進む。これによって生成された化合物は、トロンビンレセプターアンタゴニストとして有用である。本明細書中に開示される本発明は、米国仮特許出願番号60/643,932;60/643,927;および60/644,464に対応する同時係属中の特許出願において開示されている発明と関連しており、4つの全ての出願は同日に出願されている。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
トロンビンは、異なる細胞のタイプにおいて多種の活性を有することが公知であり、そしてトロンビンレセプターは、ヒト血小板、血管の平滑筋細胞、内皮細胞および線維芽細胞のような細胞タイプ内に存在することが公知である。トロンビンレセプターアンタゴニストは、血栓性障害、炎症性障害、アテローム性動脈硬化症の障害および線維増殖性障害、ならびにトロンビンおよびそのレセプターが病理学的役割を果たす他の障害の処置において有用であり得る。例えば、特許文献1を参照のこと(この開示は参考として援用される)。
【0003】
一つのトロンビンレセプターアンタゴニストは、式:
【0004】
【化63】

の化合物およびその塩である。
【0005】
この化合物は、ヒンバシンから誘導された、経口で生物学的に利用可能なトロンビンレセプターアンタゴニストであり、この合成は、Diels−Alder反応をとおして進む。
【0006】
類似したヒンバシンアナログのトロンビンレセプターアンタゴニストを合成するためのプロセスは、特許文献1および特許文献2内に開示されており、特定のヒンバシンアナログの重硫酸塩の合成は、特許文献3内に開示されており、これらの開示は、本明細書中に参考として援用される。本発明は、Diels−Alder反応(アミド中間体のそれらに対応するカルボキシラートへの単純で、より効率のよい変換)をとおして少なくとも1つの高収量の所望するエキソ生成物を提供することで、トロンビンレセプターアンタゴニストを調製するための改良されたプロセス、および結晶化をとおしての中間体の改良された精製を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,063,847号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0216437号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0176418号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
一つの実施形態において、本発明は、化合物1:
【0009】
【化64】

を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは、化合物2:
【0010】
【化65】

を環化する工程を包含し、
ここで、Rは、ORおよびNRからなる群より選択され、RおよびRは、H、NHR、OR、NHC(O)RおよびNOからなる群より独立して選択されるか、もしくはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員の複素環式環を形成し、そしてR、R、R、RおよびRは、H、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択されるか、もしくはRがNRである場合、RおよびRはそれらが結合している窒素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員の複素環式環を形成し得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、溶媒は、キシレン、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジフェニルエーテル、ジメチルアセトアミド、およびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0012】
いくつかの実施形態において、塩基は、有機塩基、無機塩基および有機金属塩基からなる群より選択される。
【0013】
いくつかの実施形態において、塩基は、トリエチルアミン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンおよび1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンからなる群より選択される。
【0014】
いくつかの実施形態において、温度は約70℃と約190℃との間であり、好ましくは、約80℃と約170℃との間であり、さらに好ましくは、約100℃と約160℃との間であり、なおさらに好ましくは、約120℃と約150℃との間である。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、化合物3:
【0016】
【化66】

を調製するためのプロセスを提供し、
ここで、R10およびR11は、H、アルキル基、アルコキシ基、C(O)R、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択され、ここで、Rは、H、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群より選択され、R12は、ハロゲン、−CF、C−Cアルキル、C−Cアルコキシおよび−COOR13からなる群より選択され、ここで、R13は、H、C−Cアルキル、フェニルおよびベンジルからなる群より選択され、そしてnは、1〜5の範囲の整数であって、このプロセスは、(a)化合物1を化合物4:
【0017】
【化67】

に還元する工程;
(b)化合物4を化合物5:
【0018】
【化68】

に変換する工程;
(c)化合物5を化合物6:
【0019】
【化69】

と反応させることで、化合物3に変換する工程を包含し、ここで、R14は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびアリルからなる群より選択される。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、化合物7:
【0021】
【化70】

を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは、化合物8:
【0022】
【化71】

を環化する工程を包含し、ここで、R15およびR16は、H、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択されるか、もしくはそれらが結合している窒素と一緒になった場合、1〜3個のヘテロ原子を含む3〜6員の複素環式環を形成し得る。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、化合物3A:
【0024】
【化72】

を調製するためのプロセスを提供し、ここで、R11およびR12は上記で定義したとおりであり、このプロセスは:
(a)化合物7を化合物14:
【0025】
【化73】

に変換する工程;
(b)化合物14を還元し、続いて加水分解して、化合物15:
【0026】
【化74】

を得る工程;
(c)化合物15をアミノ化して、化合物4:
【0027】
【化75】

を得る工程(ここで、R10およびR11は上記で定義したとおりである);
(d)化合物4を化合物17:
【0028】
【化76】

に変換する工程;
(e)化合物17を化合物18:
【0029】
【化77】

に変換する工程:そして、
(f)化合物18を化合物3A:
【0030】
【化78】

に変換する工程を包含する。
【0031】
別の実施形態において、化合物20:
【0032】
【化79】

を調製するためのプロセスが提供され、このプロセスは、化合物21:
【0033】
【化80】

を環化する工程を包含する。
【0034】
別の実施形態において、化合物3C:
【0035】
【化81】

を調製するためのプロセスが提供され、このプロセスは:
(a)化合物24:
【0036】
【化82】

を還元し、化合物25:
【0037】
【化83】

を得る工程(ここで、R10、R11、R15およびR16は上記で定義したとおりである);
(b)化合物25を化合物4:
【0038】
【化84】

に変換する工程;
(c)化合物4を化合物5:
【0039】
【化85】

に変換する工程;そして
(d)化合物5を化合物3C:
【0040】
【化86】

に変換する工程を包含する。
【0041】
さらに別の実施形態において、化合物27:
【0042】
【化87】

を調製するためのプロセスが提供され、このプロセスは、化合物26:
【0043】
【化88】

を環化する工程を包含する。
【0044】
本発明の別の実施形態において、化合物3C:
【0045】
【化89】

を調製するためのプロセスが提供され、このプロセスは:
(a)化合物27:
【0046】
【化90】

を還元し、化合物4:
【0047】
【化91】

を得る工程(ここで、R10およびR11は上記で定義したとおりであり、そしてR17は、H、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群より選択される);
(d)化合物4を化合物5:
【0048】
【化92】

に変換する工程;
(e)化合物5を化合物3C:
【0049】
【化93】

に変換する工程を包含する。
【0050】
本発明の別の実施形態において、以下の式:
【0051】
【化94】

の化合物が提供され、ここで、R15およびR16は上記で定義したとおりである。
【0052】
本発明のなおさらなる別の実施形態において、以下の式:
【0053】
【化95】

の化合物が提供され、ここで、R15およびR16は上記で定義したとおりである。
【0054】
本発明の別の実施形態において、以下の式:
【0055】
【化96】

の化合物が提供され、ここで、R、RおよびRは上記で定義したとおりである。
【0056】
本発明の別の実施形態において、以下の式:
【0057】
【化97】

の化合物が提供され、ここで、R、RおよびRは上記で定義したとおりである。
【0058】
本発明のなおさらなる別の実施形態において、以下の式:
【0059】
【化98】

の化合物が提供され、ここで、R、R10およびR11は上記で定義したとおりである。
【0060】
さらに別の実施形態において、本発明は、以下の式:
【0061】
【化99】

の化合物を包含し、ここで、Rは、HおよびRからなる群より選択され、そして
およびRは、H、NHR、OR、NHC(O)RおよびNOからなる群より独立して選択されるか、もしくは
およびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員の複素環式環を形成し、そして
、R、RおよびRは、H、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択される。
【0062】
さらに別の実施形態において、本発明は、以下の式:
【0063】
【化100】

の化合物に関し、
ここで、Rは、ORおよびNRからなる群より選択され、
およびRは、H、NHR、OR、NHC(O)RおよびNOからなる群より独立して選択されるか、もしくは
およびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員の複素環式環を形成し、そして
、R、R、RおよびRは、H、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択されるか、もしくはRがNRである場合、RおよびRはそれらが結合している窒素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子を含む3〜6員の複素環式環を形成し得る。
【0064】
以下の本発明の詳細な説明から、本発明のさらなる理解が得られる。
例えば、本発明は、以下を提供する:
(項目1)
化合物1
【化1】


を環化をとおして調製するためのプロセスであって、該環化が:
a)化合物2を溶媒中で高温まで熱し;そして
b)塩基で処理する工程を包含し、
ここで、化合物2は式
【化2】


で表され、ここで:
は、ORおよびNRからなる群より選択され、
およびRは、H、NHR、OR、NHC(O)RおよびNOからなる群より独立して選択されるか、もしくはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員の複素環式環を形成し、そして
、R、R、RおよびRは、H、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択されるか、もしくはRがNRである場合、RおよびRはそれらが結合している窒素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子を含む3〜6員の複素環式環を形成し得る、プロセス。
(項目2)
前記溶媒が、キシレン、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジフェニルエーテル、ジメチルアセトアミド、およびそれらの混合物からなる群より選択される、項目1に記載のプロセス。
(項目3)
前記塩基が、有機塩基、無機塩基および有機金属塩基からなる群より選択される、項目1に記載のプロセス。
(項目4)
前記塩基が、トリエチルアミン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンおよび1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンからなる群より選択される、項目3に記載のプロセス。
(項目5)
前記温度が約70℃と約190℃との間である、項目1に記載のプロセス。
(項目6)
前記温度が約80℃と約170℃との間である、項目1に記載のプロセス。
(項目7)
前記温度が約100℃と約160℃との間である、項目1に記載のプロセス。
(項目8)
前記温度が約120℃と約150℃との間である、項目1に記載のプロセス。
(項目9)
化合物3:
【化3】

を調製するためのプロセスであって、
ここで、R10およびR11は、H、アルキル基、アルコキシ基、C(O)R、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択され、ここで、Rは、H、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群より選択され、
12は、ハロゲン、−CF、C−Cアルキル、C−Cアルコキシおよび−COOR13からなる群より選択され、ここで、R13は、H、C−Cアルキル、フェニルおよびベンジルからなる群より選択され、そして
nは、1〜5の範囲の整数であって、該プロセスは:
(a)化合物1
【化4】

を化合物4:
【化5】

に還元する工程;
(b)化合物4を化合物5:
【化6】


に変換する工程;および
(c)化合物5を化合物3に変換する工程を包含する、プロセス。
(項目10)
化合物5を化合物3に変換する前記工程が、化合物5と化合物6:
【化7】


とを反応させ、化合物3を得る工程を包含し、ここで、R14は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびアリルからなる群より選択される、項目9に記載のプロセス。
(項目11)
化合物7:
【化8】

を環化をとおして調製するためのプロセスであって、該環化が:
1)化合物8を溶媒中で高温まで熱し;そして
2)塩基で処理する工程を包含し、
ここで、化合物8は式:
【化9】

で表され、ここで、R15およびR16は、H、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択されるか、もしくはそれらが結合している窒素と一緒になった場合、1〜3個のヘテロ原子を含む3〜6員の複素環式環を形成し得る、プロセス。
(項目12)
化合物8が調製されるプロセスであって、該プロセスが:
化合物9:
【化10】

を化合物10:
【化11】


に変換する工程、および化合物10を化合物8に変換する工程を包含する、項目11に記載のプロセス。
(項目13)
化合物10が化合物8に変換されるプロセスであって、ここで:
(a)化合物10を化合物11:
【化12】

に還元し;そして
(b)化合物11と化合物12:
【化13】


とを反応させて、化合物8を得る、項目12に記載のプロセス。
(項目14)
化合物10と化合物12とを反応させて、化合物13:
【化14】

を得、そして化合物13を還元して化合物8を得ることで、化合物10が化合物8に変換される、項目12に記載のプロセス。
(項目15)
化合物9が化合物10に変換されるプロセスであって、該プロセスは:
【化15】


および
【化16】

からなる群より選択され、
ここで:
Pは保護基であり、Xは離脱基であり、かつCl、Br、Iおよび複素環式環からなる群より選択され;
Lはリガンドであり、かつPR’から選択され、ここで、R’は、アルキル、アリール、アルキルアリールおよびNR”からなる群より選択され、ここでR”は、アルキル、アリールおよびアルキルアリールからなる群より選択され;
YはCl、Br、IおよびR’’’COOからなる群より選択され、ここで、R’’’はアルキル、アリール、アルキルアリールおよびアリールアルキルからなる群より選択され;そして
nは0〜4の範囲である、項目12に記載のプロセス。
(項目16)
化合物3A:
【化17】

を調製するためのプロセスであって、
ここで、R11は、アルキル基、アルコキシ基、C(O)R、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群より選択され;そしてR12は、ハロゲン、−CF、C−Cアルキル、C−Cアルコキシおよび−COOR13からなる群より選択され、ここで、R13は、H、C−Cアルキル、フェニルおよびベンジルからなる群より選択され、そしてnは、1〜5の範囲の整数であり、該プロセスは:
(a)化合物7:
【化18】

を化合物7A’:
【化19】

に還元する工程であって、ここで、
15およびR16は、H、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択されるか、もしくはそれらが結合している窒素と一緒になった場合、1〜3個のヘテロ原子を含む3〜6員の複素環式環を形成し得る、工程;
(b)化合物7A’を加水分解して化合物15:
【化20】

を得る工程;
(c)化合物15をアミノ化して化合物4:
【化21】

を得る工程であって、
ここで、R10およびR11は、H、アルキル基、アルコキシ基、C(O)R、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択され、ここで、Rは、H、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群より選択される、工程;
(d)化合物4を化合物17:
【化22】

に変換する工程;
(e)化合物17を化合物18:
【化23】


に変換する工程;そして
(f)化合物18を化合物3A:
【化24】

に変換する工程を包含する、プロセス。
(項目17)
化合物18を化合物3Aに変換する前記工程が、化合物18と化合物6:
【化25】

とを反応させ、化合物3Aを得る工程を包含し、ここでR14は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびアリルからなる群より選択される、項目16に記載のプロセス。
(項目18)
化合物20:
【化26】

を調製するためのプロセスであって、該プロセスは、化合物21:
【化27】

を環化する工程を包含し、
ここで、R10およびR11は、H、アルキル基、アルコキシ基、C(O)R、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択され、ここで、Rは、H、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群より選択され;そして
15およびR16は、H、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択されるか、もしくはそれらが結合している窒素と一緒になった場合、1〜3個のヘテロ原子を含む3〜6員の複素環式環を形成し得る、プロセス。
(項目19)
化合物21が調製されるプロセスであって、ここで、該プロセスは:
(a)化合物9:
【化28】

を化合物10:
【化29】

に変換する工程;そして
(b)化合物10を化合物21に変換する工程を包含する、項目18に記載のプロセス。
(項目20)
化合物10を化合物21に変換する前記工程が:
(a)化合物10を化合物11:
【化30】


に還元する工程;そして
(b)化合物11と化合物22:
【化31】


とを反応させ、化合物21を得る工程を包含する、項目19に記載のプロセス。
(項目21)
化合物10を化合物21に変換する前記工程が:
(a)化合物10と化合物22:
【化32】


とを反応させ、化合物23:
【化33】

を得る工程;そして
(b)化合物23を還元して、化合物21を得る工程を包含する、項目19に記載のプロセス。
(項目22)
化合物3C:
【化34】


を調製するためのプロセスであって、該プロセスは:
(a)化合物20:
【化35】

を還元する工程であって、
ここで、R10およびR11は、H、アルキル基、アルコキシ基、C(O)R、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択され、ここで、Rは、H、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群より選択され;
15およびR16は、H、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択されるか、もしくはそれらが結合している窒素と一緒になった場合、1〜3個のヘテロ原子を含む3〜6員の複素環式環を形成し得、
化合物25:
【化36】


を得る、工程;
(b)化合物25を化合物4:
【化37】

に加水分解する工程;
(c)化合物4を化合物5:
【化38】

に変換する工程;そして
(d)化合物5を化合物3C:
【化39】

に変換する工程を包含する、プロセス。
(項目23)
化合物5を化合物3Cに変換する前記工程が、化合物5と化合物19:
【化40】

とを反応させて、化合物3Cを得る工程を包含する、項目22に記載のプロセス。
(項目24)
化合物9が化合物10に変換されるプロセスであって、該プロセスが:
【化41】

および
【化42】


からなる群より選択され、
ここで、Pは保護基であり、Xは離脱基であり、かつCl、Br、Iおよび複素環式環からなる群より選択され;
Lはリガンドであり、かつPR’から選択され、ここで、R’は、アルキル、アリール、アルキルアリールおよびNR”からなる群より選択され、ここでR”は、アルキル、アリールおよびアルキルアリールからなる群より選択され;
YはCl、Br、IおよびR’’’COOからなる群より選択され、ここで、R’’’はアルキル、アリール、アルキルアリールおよびアリールアルキルからなる群より選択され;そして
nは0〜4の範囲である、項目19に記載のプロセス。
(項目25)
化合物29:
【化43】

を調製するためのプロセスであって、該プロセスは、化合物26:
【化44】

を環化する工程を包含し、
ここで、R10およびR11は、H、アルキル基、アルコキシ基、C(O)R、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択され、ここで、Rは、H、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群より選択され;そして
17は、H、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリール基およびアリル基からなる群より選択される、プロセス。
(項目26)
化合物26が調製されるプロセスであって、該プロセスが:
(a)化合物27:
【化45】

と化合物22:
【化46】

とを反応させ、化合物28:
【化47】


を得る工程;そして
(b)化合物28を還元して、化合物26を得る工程を包含する、項目25に記載のプロセス。
(項目27)
化合物9:
【化48】

を化合物27:
【化49】

に変換することで、化合物27が調製される、項目26に記載のプロセス。
(項目28)
化合物3C:
【化50】

を調製するためのプロセスであって、該プロセスは:
(a)化合物29:
【化51】


を還元し、化合物4:
【化52】

を得る工程であって、
ここで、R10およびR11は、H、アルキル基、アルコキシ基、C(O)R、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択され、ここで、Rは、H、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群より選択され、そしてR17は、H、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリール基およびアリル基からなる群より選択される、工程;
(b)化合物4を化合物5:
【化53】


に変換する工程;そして
(c)化合物5を化合物3C:
【化54】


に変換する工程を包含する、プロセス。
(項目29)
化合物5を化合物3Cに変換する前記工程が、化合物5と化合物19:
【化55】


とを反応させて、化合物3Cを得る工程を包含する、項目28に記載のプロセス。
(項目30)
以下の式:
【化56】


の化合物であって、
ここで、R15およびR16は、H、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択されるか、もしくはそれらが結合している窒素と一緒になった場合、1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員の複素環式環を形成し得る、化合物。
(項目31)
以下の式:
【化57】


の化合物であって、
ここで、R15およびR16は、H、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択されるか、もしくはそれらが結合している窒素と一緒になった場合、1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員の複素環式環を形成し得る、化合物。
(項目32)
以下の式:
【化58】


の化合物であって、
ここで、Rは、ORおよびNRからなる群より選択され、RおよびRは、H、NHR、OR、NHC(O)RおよびNOからなる群より独立して選択されるか、もしくはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員の複素環式環を形成し、そして
、R、R、RおよびRは、H、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択されるか、もしくはRがNRである場合、RおよびRはそれらが結合している窒素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子を含む3〜6員の複素環式環を形成し得る、化合物。
(項目33)
以下の式:
【化59】


の化合物であって、
ここで、Rは、ORおよびNRからなる群より選択され、RおよびRは、H、NHR、OR、NHC(O)RおよびNOからなる群より独立して選択されるか、もしくはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子を含む3〜5員の複素環式環を形成し、そして
、R、R、RおよびRは、H、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択されるか、もしくはRがNRである場合、RおよびRはそれらが結合している窒素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員の複素環式環を形成し得る、化合物。
(項目34)
以下の式:
【化60】


の化合物であって、
ここで、Rは、ORおよびNRからなる群より選択され、
、RおよびRは、H、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択されるか、もしくはRがNRである場合、RおよびRはそれらが結合している窒素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員の複素環式環を形成し得、そして
10およびR11は、H、アルキル基、アルコキシ基、C(O)R、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択される、化合物。
(項目35)
以下の式:
【化61】


の化合物であって、
ここで、Rは、HおよびRからなる群より選択され、そして
およびRは、H、NHR、OR、NHC(O)R、およびNOからなる群より独立して選択されるか、
もしくはRおよびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員の複素環式環を形成し、そして
、R、RおよびRは、H、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択される、化合物。
(項目36)
以下の式:
【化62】


の化合物であって、
ここで、Rは、ORおよびNRからなる群より選択され、
およびRは、H、NHR、OR、NHC(O)RおよびNOからなる群より独立して選択されるか、もしくは
およびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員の複素環式環を形成し、そして
、R、R、RおよびRは、H、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびヘテロアリール基からなる群よりそれぞれ独立して選択されるか、もしくはRがNRである場合、RおよびRはそれらが結合している窒素と一緒になって、1〜3個のヘテロ原子を含む3〜6員の複素環式環を形成し得る、化合物
【発明を実施するための形態】
【0065】
(発明の説明)
以下の定義および用語は、本明細書中で使用されるか、もしくはそうでなければ、当業者に公知である。そうでないと述べられていない限り、この定義は本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。化学名、一般名および化学構造は、同一の構造を説明するために交換可能に使用され得る。他に示されない限り、これらの定義は、用語がそれ自体で使用されるか、もしくは他の用語と組み合わせて使用されるかにかかわらず、適用される。ゆえに、「アルキル」の定義は、「アルキル」ならびに「ヒドロキシアルキル」、「ハロアルキル」、「アルコキシ」などの「アルキル」部分に適用される。
【0066】
そうではないことが公知であるか、記載されているか、もしくは示されない限り、対象構造に対する複数用語の置換基(単一の部分を同定するために組み合わされる2個以上の用語)についての結合点は、その複数用語の置換基の最後に挙げられた用語を介する。例えば、シクロアルキルアルキル置換基は、その置換基の後者の「アルキル」部分をとおして標的構造に結合している(例えば、構造−アルキル−シクロアルキル)。
【0067】
式中で1つより多く存在するそれぞれの変数の正体は、他に示されない限り、その変数の定義から独立して選択され得る。
【0068】
そうではないことが公知であるか、記載されているか、もしくは示されない限り、共有結合化合物の化学式内に示される全ての原子は、標準的な原子価を有する。ゆえに、水素原子、二重結合、三重結合および環構造は、一般的化学式に明白に表される必要はない。
【0069】
二重結合は、適切な場合、化学式中の原子のまわりの括弧の存在によって表され得る。例えば、カルボニル官能基−CO−はまた、−C(O)−もしくは−C(=O)−による化学式で表され得る。当業者は、共有結合した分子内の二重(および三重結合)の存在の有無を決定することができる。例えば、カルボキシル官能基が、−COOH、−C(O)OH、−C(=O)OHもしくは−COHによって表され得ることは容易に認識される。
【0070】
用語「ヘテロ原子」は、本明細書中で使用される場合、窒素原子、硫黄原子もしくは酸素原子を意味する。同じ基内の複数のヘテロ原子は、同じであっても異なっていてもよい。
【0071】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、直鎖状でも分枝状でもよく、1〜約24個の炭素原子を鎖中に含む脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、その鎖中に1〜約15個の炭素原子を含む。さらに好ましいアルキル基は、その鎖中に1〜約6個の炭素原子を含む。「分枝状」は、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル
、エチルもしくはプロピル)が直鎖状のアルキル鎖に結合していることを意味する。アル
キルは、ハロ、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)(アルキルは同じでも異なっていてもよい)、カルボキシ、および−C(O)O−アルキルからなる群より独立して選択される1つ以上の置換基によって置換され得る。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘプチル、ノニル、デシル、フルオロメチル、トリフルオロメチルおよびシクロプロピルメチルが挙げられる。
【0072】
「アルケニル」は、1つ以上の二重結合をその鎖中に含む、脂肪族炭化水素基(直鎖状もしくは分枝状の炭素鎖)を意味し、これは共役していても共役していなくてもよい。有用なアルケニル基は、2〜約15個の炭素原子を鎖中に含み得、好ましくは、2〜約12個の炭素原子を鎖中に含み得、そしてさらに好ましくは、2〜約6個の炭素原子を鎖中に含み得る。アルケニル基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノおよびアルコキシからなる群より独立して選択される1つ以上の置換基によって置換され得る。適切なアルケニル基の非限定的な例としては、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブタ−エニル、n−ペンテニルが挙げられる。
【0073】
アルキル鎖もしくはアルケニル鎖が2つの他の変数と結合し、したがって、それらは2価である場合、用語、アルキレンおよびアルケニレンがそれぞれ使用される。
【0074】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基を意味し、ここでこのアルキル基は上記で述べられたとおりである。有用なアルコキシ基は、1〜約12個の炭素原子を、好ましくは、1〜約6個の炭素原子を含み得る。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシおよびイソプロポキシが挙げられる。アルコキシのアルキル基は、エーテル酸素をとおして隣接部分に結合している。
【0075】
用語「シクロアルキル」は、本明細書中で使用される場合、非置換もしくは置換の、飽和の、安定的な、非芳香族の、化学的に可能な炭素環式環を意味し、この環は、好ましくは、3〜15個の炭素原子を、さらに好ましくは、3〜8個の炭素原子を有する。シクロアルキル炭素環ラジカルは、飽和であり、そして1〜2個のシクロアルキル環、芳香族環、複素環式環もしくはヘテロ芳香族環と縮合(例えば、ベンゾ縮合)され得る。シクロアルキルは、任意の環内の炭素原子において結合し得、その結果、安定構造をとる。好ましい炭素環式環は、5〜6個の炭素を有する。シクロアルキルラジカルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。
【0076】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、直鎖状でも分枝していてもよく、約2〜約15個の炭素原子をその鎖中に含む脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキニル基は、その鎖中に約2〜約10個の炭素原子を有しており;さらに好ましいのは、その鎖中に約2〜約6個の炭素原子を有する。分枝したというのは、1つ以上の低級のアルキル基(例えば、メチル、エチルもしくはプロピル)が線状のアルキニル鎖に結合している意味である。適切なアルキニル基の非限定的な例として、エチニル、プロピニル、2−ブチニル、3−メチルブチニル、n−ペンチニルおよびデシニルが挙げられる。アルキニル基は、同じであっても異なっていてもよい1つ以上の置換基で置換され得、それぞれの置換基は、アルキル、アリール、およびシクロアルキルからなる群より独立して選択される。
【0077】
用語「アリール」は、本明細書中で使用される場合、置換もしくは非置換の、芳香族で、単環式もしくは二環式の化学的に可能な、1〜2個の芳香族環を有する、炭素環式環系を意味する。アリール部分は、一般的に6〜14個の炭素原子を有しており、アリール部分の全ての有効な置換可能炭素原子は可能な結合点であることが意図される。代表的な例としては、フェニル、トリル、キシリル、クメニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどが挙げられる。所望の場合、炭素環式部分は、1〜5個、好ましくは、1〜3個の部分(例えば、モノハロ〜ペンタハロ、アルキル、トリフルオロメチル、フェニル、ヒドロキシ、アルコキシ、フェノキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノなど)で置換され得る。
【0078】
「ヘテロアリール」は、約5〜約14個の環原子、好ましくは、約5〜約10個の環原子の単環式もしくは多環式の芳香族環系を意味し、ここで環系内の1個以上の原子は炭素以外の原子であり、例えば、窒素、酸素、もしくは硫黄である。単環式および多環式(例えば、二環式)のヘテロアリール基は、非置換であり得るか、もしくは多数の置換基(好ましくは、1〜5個の置換基で、さらに好ましくは、1、2もしくは3個の置換基)(例えば、モノハロ〜ペンタハロ、アルキル、トリフルオロメチル、フェニル、ヒドロキシ、アルコキシ、フェノキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノなど)によって置換され得る。代表的に、ヘテロアリール基は、化学的に可能な、5もしくは6個の原子の環式基、あるいは化学的に可能な、9もしくは10個の原子の二環式基であって、少なくともその1つが炭素であり、そして、芳香族の特徴を提供するのに充分な数のpi(π)電子を有する、炭素環式環を中断する少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子もしくは窒素原子を有する環式基もしくは二環式基を表す。代表的なヘテロアリール(ヘテロ芳香族)基は、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、オキサゾリル基、ピロリル基、イソオキサゾリル基、1,3,5−トリアジニル基およびインドリル基である。
【0079】
用語「複素環式環」もしくは「複素環」は、本明細書中で使用される場合、非置換もしくは置換された、飽和、不飽和もしくは芳香族の、化学的に適した環を意味し、炭素原子および1個以上のヘテロ原子をその環内に含む。複素環式環は、単環式でも多環式でもよい。単環式環は、好ましくは、その環構造中に3〜8個の原子を含み、さらに好ましくは、5〜7個の原子を含む。2つの環からなる多環式環系は、好ましくは、6〜16個の原子を含み、最も好ましくは、10〜12個の原子を含む。3つの環からなる多環式環系は、好ましくは、13〜17個の原子を含み、さらに好ましくは、14個もしくは15個の原子を含む。それぞれの複素環式環は、少なくとも1個のヘテロ原子を有する。そうでないと述べられていない限り、このヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子および酸素原子からなる群よりそれぞれ独立して選択され得る。
【0080】
用語「Hal」、「ハロ」、「ハロゲン」および「ハロゲン化物」は、本明細書中で使用される場合、クロロ、ブロモ、フルオロもしくはヨード原子のラジカルを意味する。塩化物、臭化物およびフッ化物が好ましいハロゲン化物である。
【0081】
以下の略語は定義される:eeはエナンチオマー過剰率であり;EtOHはエタノールであり;Meはメチルであり;Etはエチルであり;Buはブチルであり;n−Buはnormal−ブチルであり、t−Buはtert−ブチルであり、OAcはアセテートであり;KOt−Buはカリウム−tert−ブトキシドであり;NBSはN−ブロモスクシンイミドであり;NMPは1−メチル−2−ピロリジノンであり;DMAはN,N−ジメチルアセトアミドであり;n−BuNBrは臭化テトラブチルアンモニウムであり;n−BuNOHは水酸化テトラブチルアンモニウムであり;n−BuNHSOは硫酸水素テトラブチルアンモニウムであり、そして、equiv.は等量である。
【0082】
(一般的合成)
以下の一般的合成は、続く実施例中に記載されている具体的なプロセスの説明である。
【0083】
以下は、ヒンバシンアナログの調製への環式ケタール−アミド経路を説明する一般的スキームである。
【0084】
【化101】

このブチノールは、多くの異なる方法によってアミド10に変換され得るが、それらの方法のうちの2つを方法Aおよび方法Bとして示す:
【0085】
【化102】

【0086】
【化103】

方法Aおよび方法Bのそれぞれにおいて、Pは保護基であり、Xは離脱基であり、これはCl、Br、Iおよび複素環式環からなる群より選択される。Lはリガンドであり、これはPR’3から選択され、ここで、R’はアルキル、アリール、アルキルアリールおよびNR’’からなる群より選択され、ここで、R’’はアルキル、アリールおよびアルキルアリールからなる群より選択される。YはCl、Br、IおよびR’’’COOからなる群より選択され、ここで、R’’’はアルキル、アリール、アルキルアリールおよびアリールアルキルからなる群より選択される。nは0〜4の範囲である。
【0087】
化合物8までの2つの別の経路があり;1つの経路では、アミド10を酸12と反応させ、アミド13を得、その後、これをLindlar触媒をとおしてアミド8まで還元する。2つめの経路では、アミド10をビニルアルコール11に還元し、そして、酸12との反応によって側鎖を付加し、アミド8を得る。その後、Diels−Alder反応条件をとおして、適切な溶媒(例えば、炭化水素(例えば、キシレン、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジフェニルエーテル、ジメチルアセトアミドなど、ならびにそれらの混合物))中で、高温(例えば、約70℃〜約190℃、好ましくは、約80℃〜約170℃、さらに好ましくは、約100℃〜約160℃、なおさらに好ましくは、約100℃〜約150℃)でアミド8を環化して、エキソ−およびエンド−異性体の混合物を生成する。この混合物を、適切な塩基で処理して、trans[5,6]−環−連結においてcis−異性体(化合物7)へのエピマー化を完了させる。適切な塩基は、非限定的な例としては、トリエチルアミン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンおよび1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンが挙げられる。その後、化合物7を還元し(例えば、水素化によって)、続いて、加水分解して、酸15を得る。この水素化は、好ましくは、水素化触媒(例えば、炭素担持パラジウム)の存在下で実施される。
【0088】
その後、酸15をアミノ化条件にさらして、アミン16を得る。続いて、このアミン基を、ハロギ酸アルキル(例えば、クロロギ酸エチル)との反応によってカルバメートに変換する。このカルバメート17Aをその後、対応するアルデヒド18Aに変換し、その後、これをリン酸エステル19と反応させて、ヒンバシンアナログ3Bを得る。
【0089】
ヒンバシンアナログ3Bへの別の経路は、キラルカルバメート−アミド経路であり、以下に要約する:
【0090】
【化104】

キラルカルバメート−アミド経路において、アミド10は、2つの経路のうちのいずれかをとおしてカルバメート−アミド21Aに変換され得る。最初の経路においては、アミド10をカルバメート−酸22Aと反応させて、アミド23Aを得、続いて、これをカルバメート−アミド21Aに還元する。その後、カルバメート−アミド21Aを、Diels−Alder反応をとおして(化合物8の環化およびその後の塩基処理に関して上記に記載されたように)環化して、化合物20Aを得る。
【0091】
カルバメート−アミド20Aを、水素化し(好ましくは、水素化触媒の存在下で)、炭素−炭素二重結合を還元して、化合物25Aを得る。このアミド25Aを、強塩基の希釈溶液との反応、続いて鉱酸(例えば、塩酸)での酸性化によって、化合物17Aに変換する。その後、このカルバメート酸17Aを対応するアルデヒド18Aに変換し、その後、これをリン酸エステル19と反応させて、ヒンバシンアナログ3Bを得る。
【0092】
ヒンバシンアナログへの別の経路は、キラルカルバメート−エステル経路をとおしてであり、これは一般的に以下のように説明される:
【0093】
【化105】

この経路において、エステル27Aを、トリメチルアセチルクロリドの存在下でカルバメート−酸22Aと反応させて、28Aを得、続いてこれを還元し(好ましくは、Lindlar触媒の存在下での水素によって)、26Aを得る。化合物26AをDiels−Alder環化反応(化合物8の環化およびその後の塩基処理に関して上記に記載されたように)させて、29Aを得る。ベンジルエステル29Aを、1つ以上の新たな金属触媒の存在下での水素化によって対応する酸17Aに変換する。酸17Aを対応するアルデヒド18Aに変換し、その後これを化合物19と反応させて、ヒンバシンアナログ3Bを得る。
【0094】
本明細書中に開示する実験条件は好ましい条件であり、当業者は同様の生成物を得るために、必要に応じてこれらを改変し得る。
【実施例】
【0095】
一般。そうでないと特定されない限り、全ての反応は窒素雰囲気下で実施された。3−ブチン−2−オール、ヘキサメチルジシラザン、ヨウ化銅、トリフェニルホスフィン、ジフェニルカルバミルクロリド、ジメチルカルバミルクロリド、4−モルホリンカルボニルクロリド、ジイソプロピルカルバミルクロリド、トリメチルアセチルクロリド、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、キノリンおよび1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンは、Aldrichより購入した。Lindlar触媒(Pbで被毒された5% Pd/CaCO)は、Johnson Matthey/Alfa Aesarより購入し、そして炭素担持白金(5重量%Pt、50%wet)はEngelhardより購入した。n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M)、トリエチルアミンおよび塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)は、Acrosより購入した。(R)−3−ブチン−2−オールおよびEDCl.HClは、商業製造業者より購入した。溶媒および水素ガス(UHPグレード)は、商業製造業者(Acros/FisherおよびAirgas)より購入し、それ以上精製せずに使用した。NMRスペクトルは、Bruker 400MHzスペクトロメーター上で記録した。HPLC分析は、Waters 996 Photodiode Array Detectorを装備したWaters 2690 Alliance上で実施した。
【0096】
HPLCの条件:
Column Waters Symmetry(登録商標)C−18(3.9×150mm)(WAT046980)
移動層 アセトニトリル:0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を含む水
【0097】
【表1】

(実施例1−アミドの調製−方法A)
【0098】
【化106】

以下の手順は、ラセミ体のもしくはエナンチオマーの純粋な出発ブチン−2−オールのいずれかで実施され得る。THF(240mL)中の硫酸(濃、40μL)の攪拌した溶液に、(R)−3ブチン−2−オール(40g、0.57mol)および、その後ヘキサメチルジシラザン(46.9g、0.31mol)を、室温で続けて加えた。この溶液を3〜4時間還流し、その後、−40℃までゆっくり冷却した。生じた混合物を、温度を−40℃に保ちながら、ヘキシルリチウム(ヘキサン中2.5M、249mL、0.62mol)中にゆっくり満たした。この溶液およびTHF(1088mL)およびトルエン(435mL)の混合溶媒中のジフェニルカルバミルイミダゾール(180g、0.68mol)の溶液を、冷却したスタティックミキサーをとおしたポンプを使用して攪拌し、そして5Nの硫酸(560mL、〜5℃)中に直接クエンチした。このクエンチした溶液を25℃まで温め、そして1時間攪拌した。有機層を分離し、5Nの硫酸(80mL)、その後2回10%ブライン(200mL、各回)で洗浄した。最終的なブライン洗浄液のpHを、5%NaHCO溶液で5〜7に調節した。その後、有機層を蒸留し、トルエン(440mL)で置き換えた。このトルエン溶液をヘプタン(400mL)に85℃で加え、20℃までゆっくり冷却し、そしてろ過した。ろ過したケーキを、トルエン(80mL)およびヘプタン(80mL)の混合溶液で洗浄した。その後、このケーキを真空オーブン内で50℃で乾燥し、表題の化合物を84%のモル収率(120.6g、純度99%)で得た。Mp 105℃。
【0099】
【化107】

(実施例2−ジメチルアミド10Bの調製)
【0100】
【化108】

(1)上記に記載した方法Aをとおして実施した。上記の10Aの合成に類似した手順において、この実験の実施により、カラムクロマトグラフィーによる単離によって32.1%の収率を得た。
【0101】
【化109】

(2)以下に記載する方法Bをとおして実施した。モルホリンアミドの合成に類似した手順において、この実験の実施により、55℃で4日後に、61.7%の溶液収率(H−NMRアッセイによって)を得た。
【0102】
(実施例3−方法Bの代表的な手順−4−モルホリンアミドの調製)
【0103】
【化110】

10g(143mmol)の(R)−3−ブチン−2−オールに、0.82g(4.3mmol)のCuI、1.0g(3.8mmol)のPPh、1.57gの(2.23mmolのPd(PPhCl)、21.34g(143mmol)の4−モルホリンカルボニルクロリド、100mLのTHFおよび60mLのトリエチルアミンを加えた。この混合物を55℃まで熱し、そして一晩この温度で保った。この溶液を室温まで冷却し、セライトをとおしてろ過し、そして油状物(32.0g)まで濃縮した。この油状物をSiOのカラムをとおして精製し、そしてTBMEから結晶化させ、9.0gの10Cをオフホワイト色の結晶として得た。
【0104】
【化111】

(実施例4−方法Aをとおしての10Dの調製)
【0105】
【化112】

22g(314mmol)の(R)−3−ブチン−2−オールに、1.62g(8.51mmol)のCuI、2.0g(7.62mmol)のPPh、3.05gの(4.33molのPd(PPhCl)、46.7g(285mmol)のジイソプロピルカルバモイルクロリド、200mLのTHFおよび120mLのトリエチルアミンを加える。この混合物を57℃まで熱し、そして一晩この温度で保つ。この溶液を室温まで冷却し、セライトのパッドをとおしてろ過し、そして油状物まで濃縮する。この油状物の純度は42.6%であり、収率は48%である。
【0106】
【化113】

(実施例5−Lindlar還元をとおしての11の調製)
【0107】
【化114】

200mLの酢酸エチル中の10A(14.9g、56.2mmol)およびLindlar触媒(5% Pd/CaCO、0.50〜0.75g)のスラリーに、水素ガス(1atm、バルーンをとおして)を加えた。この混合物を室温で攪拌し、H−NMRによって反応の進行を時々モニタリングした。反応が完了したら、触媒を取り除くためにこの混合物をろ過し、そしてロータリーエバポレーター(35℃、85mbar)で濃縮して、16.0gの褐色の油状物を得た。この粗製のcis−ビニルアルコールを、その後の合成の工程で直接使用した。
【0108】
【化115】

(実施例6−8Aの調製)
【0109】
【化116】

(1)混合無水物の方法をとおして。以下のようにして、2.0gの上記の物質を使用して側鎖の酸へのカップリングを実施した:20mLのTHF中の12(2.4g、11.3mmol)の溶液に、トリエチルアミン(3.7mL、26.3mmol)を室温で加えた。生じた褐色の溶液を0℃まで冷却し、そしてトリメチルアセチルクロリド(1.3mL、10.8mmol)を5分にわたってゆっくり加えた。この混合物を1時間攪拌した。その後、4−ジメチルアミノピリジン(0.04g、0.3mmol)およびビニルアルコール(2.0g、7.5mmol)を加えた。0℃で18時間経った後、この混合物を室温まで温め、そして30mLの水でクエンチした。分離(split)を形成するために、トルエン(10mL)を加えた。上部の有機層を、40mLの2.5%水酸化アンモニウム(ammonium hydroxide)溶液および30mLの10%塩化ナトリウム溶液でさらに洗浄し、その後、ロータリーエバポレーター(35℃、50mbar)で濃縮した。90gのシリカカートリッジを装備したBiotageフラッシュクロマトグラフィーで精製を行なった。1Lの25%酢酸エチル/ヘプタンおよび0.5Lの30%酢酸エチル/ヘプタンでの溶出後、純粋な画分を収集した。濃縮し、1.6gの透明な油状物(49.9%収率)を得た。HPLC保持時間(254nm):12、1.9分;11A、4.0分;混合無水物、9.4分;8A、16.7分。
【0110】
【化117】

(2)EDCl化学をとおして。200mLの酢酸エチル中の10A(25.0g、94.2mmol)およびLindlar触媒(5% Pd/CaCO、0.25〜1.75g)のスラリーに、水素ガス(100psi、Parr器機)を加えた。この混合物を室温で攪拌し、H−NMRによって反応の進行を時々モニターリングした。反応が完了したら、触媒を取り除くためにこの混合物をろ過し、すぐに30mLの酢酸エチルで洗浄し、そしてロータリーエバポレーター(25℃、35mbar)で濃縮して、25.8gの褐色の油状物を得た。この粗製のcis−ビニルアルコール中間体を、その後の合成の工程で直接使用した。
【0111】
以下のようにして、側鎖の酸へのカップリングを実施した:250mLの塩化メチレン中のcis−ビニルアルコール、11A(23.8g、113mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(5.8g、47mmol)の溶液に、EDCl.HCl(21.7g、113mmol)を0℃で加えた。その後、この混合物を0℃で17時間攪拌し、続けて行なったHPLC分析は、<0.5%のアルケノールの残留を示した。この混合物を室温まで温め、そして200mLの1Nの硫酸でクエンチした。上部の有機層を、50mLの飽和した炭酸水素ナトリウム溶液および50mLの水の混合物で洗浄し、pHを8に調節した。濃縮して、58.1gの濃い褐色の油状物を得た。800gのシリカカートリッジを装備したBiotage Flash 75クロマトグラフィーで精製を行なった。この粗製生成物をカラム上に油状物として直接入れ、2×20mLのトルエンでさらに洗い流した。10Lの25%酢酸エチル/ヘプタンでの溶出の後、純粋な画分を収集した。濃縮して、21.6gの淡い黄色の油状物を得た(49.9%収率)。
【0112】
(実施例7−Diels−Alder反応)
【0113】
【化118】

7BへのDiels−Alder環化。130mlのo−キシレン中の8A(21.6g、47.0mmol)の溶液を還流(147℃)で16時間熱し、その後、これを40℃まで冷却し、そして、1,8−ジアザビシクロ[5.40]ウンデカ−7−エン(DBU)(0.30g、1.9mmol)を加えた。2時間後のH−NMR分析は、エピマー化が完了したこと、そしてエキソ/エンド異性体の比率が94:6であることを示した。加熱を止め、この溶液を、50mLの1Nの硫酸で洗浄し、1,8−ジアザビシクロ[5.40]ウンデカ−7−エンを取り除いた。50mLの飽和した炭酸水素ナトリウム溶液による2度目の洗浄で、pHを中性にもどした。有機層をロータリーエバポレーター(55℃、25mbar)で濃縮し、36gの褐色の油状物を得、これを、Biotage Flash 75クロマトグラフィーの800gのシリカカートリッジ上に入れ、そして2×20mLのo−キシレンで洗い流した。15Lの40%酢酸エチル/ヘプタンでの溶出の後、純粋な画分を収集した。濃縮して、18.6gの白色固体を得た(86.1%収率)。
【0114】
【化119】

(実施例8−7Cの調製)
【0115】
【化120】

110mLの酢酸エチル中の7B(18.6g、40.5mmol)および炭素担持5%Pt(9.3〜18.6g)のスラリーに、水素ガス(100psi、Parr器機をとおして)を加えた。この混合物を室温で攪拌し、HPLCにより時々反応の進行をモニタリングした。37時間後、H−NMRは、おおよそ10%の7Bが残留していることを示した。触媒を取り除くために、この混合物をろ過し、100mLの酢酸エチルですぐに洗浄し、そしてロータリーエバポレーター(30℃、40mbar)で濃縮して、19.3gの透明な油状物を得た。この一部(17.6g)を、110mLの酢酸エチル中に再び溶解させ、炭素担持5%Pt(9.3g)および水素ガス(100psi、Parr器機をとおして)を加えることで、再び水素化させた。24時間後のHPLC分析は、この反応が完了したことを示した。この混合物をろ過し、50mLの酢酸エチルですぐに洗浄し、そしてローターリーエバポレーター(30℃、60mbar)で濃縮して、20.6gの透明な油状物を得た。一晩放置して、結晶を形成させた。さらに、超音波処理(2分間)および濃縮(30℃、30mbar)によって、17.9(g)の白色固体を得た。この粗製物質の一部(2.0g)を5mLの塩化メチレン中に再び溶解させ、Biotageフラッシュクロマトグラフィーの90gのシリカカートリッジ上に入れ、2×5mLの塩化メチレンで洗い流した。2Lの45%酢酸エチル/ヘプタンでの溶出の後、純粋な画分を収集した。ロータリーエバポレーター(30℃、60mbar)で濃縮して、白色固体(1.5g)を得た(78.7%収率)。HPLC保持時間(254nm):7B、7.4分;7C、6.8分。
【0116】
【化121】

(実施例9−15の調製)
【0117】
【化122】

50mgの化合物7Aを、2mLの20%NaOH水溶液と混合し、そしてこの混合物を室温で16時間攪拌した。この混合物に、2.5mLの50%水性HClを加え、そして攪拌をさらに30分続けた。化合物15を、TBME(4mL)で抽出し、そしてNMRによって構造を確認した。
【0118】
(実施例10−8Aの調製)
【0119】
【化123】

混合無水物化学をとおしての上記のエステル8Aの合成に類似した手順において、12(1.0g、7.1mmol)および化合物11Bに関して行なった実験によって、1.3gのエステル8B(透明な黄色の油状物、54.9%の収率)を得た。
【0120】
【化124】

(実施例11−7Cの調製)
【0121】
【化125】

7CへのDiels−Alder環化。7Bの合成に類似した手順において、8B(0.30g、0.89mmol)に関して行なった実験は、H−NMRによって、エキソ/エンド異性体の90:10の比率を示した。
【0122】
【化126】

(実施例12−13Bの調製)
【0123】
【化127】

8Aの合成に類似した手順において、アルキルアミド10C(5.4g、29.5mmol)に関して行なった実験によって、8.2gの黄色の油状物を得た(トルエン溶媒を差し引いた後、73.9%の収率)。HPLC保持時間(勾配プログラム 2,254nm):12、1.9分;13B、3.6分;混合無水物、9.3分。
【0124】
【化128】

(実施例13−8Bの調製)
【0125】
【化129】

20mLのトルエン中の13B(3.9g、10.4mmol)、キノリン(0.37mL、3.0mmol)およびLindlar触媒(5%Pd/CaCO、0.34〜0.85g)のスラリーに、水素ガス(1atm、バルーンをとおして)を加えた。この混合物を室温で攪拌し、反応の進行をHPLCで時々モニタリングした。反応が完了したら(HPLC分析で<4%の13B)、触媒を取り除くためにこの混合物をろ過し、そしてすぐに2×15mLのトルエンを使用して、残留している物質をリンスした。ろ液を、15mLの0.5Nの塩酸溶液で2度洗浄し(キノリンを取り除くため)、その後、15mLの飽和した炭酸水素ナトリウム溶液および15mLの水でさらに洗浄して、中和した。単離した有機層を、ロータリーエバポレーター(40℃、26mm Hg)で濃縮して、3.7gの透明な油状物を得た(94.2%の収率)。HPLC保持時間(勾配プログラム、254nm):8C、8.5分;13B 14.1分。
【0126】
【化130】

(実施例14−Diels−Alder反応をとおした7Cの調製)
【0127】
【化131】

7の合成に類似した手順において、8C(3.4g、9.0mmol)に関して行なった実験は、H−NMRによって、エピマー化後に、91:9のエキソ/エンドの比率を示した。Biotageフラッシュクロマトグラフィーをとおして精製して、2.9gの透明な油状物を得た(85.2%の収率)。
【0128】
【化132】

7Bの7Cへの変換に関して記載した手順と同様の手順に従って、化合物7Dを還元した。
【0129】
(実施例15−13Cの調製)
【0130】
【化133】

100mLのトルエン中の12(16.6g、7mmol)の溶液に、トリエチルアミン(25.7mL、185mmol)を加え、そして生じたスラリーを0℃まで冷却した。10分にわたってゆっくりトリメチルアセチルクロリド(9.4mL、76mmol)を添加することにより、混合無水物の形成を開始し、そして、0℃で30分攪拌して完了させた。その後、触媒量の4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.26g、2mmol)およびアルコール10D(10.4g、53mmol)をこの混合物に加え、続いて、100mLのテトラヒドロフランを加えて、残留試薬を洗い流した。0℃で18時間攪拌した後、冷却器をはずし、そしてこの反応混合物をロータリーエバポレーター(30℃、26mm Hg)で濃縮して、73gの褐色の油状物を得た。
【0131】
800gのシリカカートリッジを装備したBiotageフラッシュクロマトグラフィーで精製した。粗製物質を、25mLのヘプタンでスラリーにして、カラム上に入れ、そして塩化メチレン(10mL)で洗い流した。ヘプタン中の10Lの25%酢酸エチルおよびヘプタン中の5Lの20%酢酸エチルによる溶出の後、純粋な画分を収集した。濃縮して、化合物13Cを黄色の油状物として得た。HPLC保持時間(勾配プログラム、254nm):12、3.1分;13C、20.9分。
【0132】
【化134】

(実施例16−8Dの調製)
【0133】
【化135】

66mLのトルエン中の13C(6.6g、17mmol)、キノリン(0.61mL、5mmol)およびLindlar触媒(5% Pd/CaCO、0.66g)のスラリーに、水素ガス(1atm、バルーンをとおして)を加えた。この混合物を室温で攪拌し、そしてHPLCによって時々、反応の進行をモニタリングした。この反応が終了したら(おおむね3時間)、この混合物を、33mLの1Nの塩酸溶液で洗浄してキノリンを取り除いた。
【0134】
この混合物を40gのシリカカートリッジ上に入れて、Biotageフラッシュクロマトグラフィーによるさらなる精製を行ない、そして、2×15mLのトルエンですぐに残留物質を洗浄した。ヘプタン中の500mLの30%の酢酸エチルによる溶出の後、純粋な画分を収集した。濃縮して、7.3gの黄色の油状物(8D)を得た(残留トルエンを差し引いた後、95%の収率)。HPLC保持時間(勾配プログラム、254nm):トルエン、18.9分;8D、20.3分;13C、20.9分。
【0135】
【化136】

(実施例17−調製7E)
【0136】
【化137】

28mLのo−キシレン中の8D(2.8g、7.2mmol)の溶液を、封をした管中で還流(147℃)して16時間熱した。50℃未満まで冷却して、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(0.04g、0.3mmol)を加え、そして、この溶液を70℃で4時間さらに攪拌してエピマー化を完了させた。H−NMR(CDCl、400MHz)は、エキソ/エンド異性体の98:2の比率を示した(δ 4.93におけるラクトンのプロトンシグナルに対して4.65ppm)。
【0137】
90gのシリカカートリッジを装備したBiotageフラッシュクロマトグラフィーをとおして、この生成物を精製した。粗製生成物の溶液をカラム上に直接入れて、2×10mLのトルエンですぐに洗浄した。トルエン中の1.5Lの25%エタノールによる溶出の後、純粋な画分を収集した。ロータリーエバポレーター(40℃、26mm Hg)での濃縮の後、黄色の油状物(3.3g)を得た(残留トルエンを差し引いた後、86%の収率)。HPLC保持時間(勾配プログラム、215nm)δ 7E、18.3分。
【0138】
【化138】

7Bの7Cへの変換に関して記載した手順と同様の手順に従って、化合物7Eを還元した。
【0139】
(実施例18−22Aの調製)
【0140】
【化139】

攪拌器、温度計および窒素入口を装備した3Lの3つ首フラスコに、100gの12、1Lのアセトニトリル、600mLの0.7Nのp−トルエンスルホン酸水溶液を加えた。この反応混合物を、0℃に冷却する前に、20℃で20時間攪拌した。温度を0℃に保ちながら、約40mLの50%水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを7と7.5との間に調節し、続いて、135gの酢酸アンモニウムを加えた。この反応混合物に、60gのNaCNBHを4時間中に分割して加えた。生じた混合物を室温までゆっくり温め、そして2日間攪拌した。温度を5℃未満まで冷却し、そして50%水酸化ナトリウム水溶液で、pHを約12まで調節した。その後、温度を5℃未満に保ちながら、約250mLのクロロギ酸エチルをゆっくり加えた。その後、35%塩酸水溶液で、pHを7に調節した。この反応混合物を真空下で濃縮して、アセトニトリルを取り除き、そして、5℃未満で、35%塩酸水溶液で、pHを約2に調節した。1Lの酢酸エチルで生成物を2回抽出した。合せた有機層を水で洗浄して、ウレタンを取り除いた。その後、この有機層を真空下で濃縮して、生成物を結晶として沈殿させた。この結晶をろ過し、乾燥して、30gの固体のラセミ体22Aを得た(26%の収率)。その後、このラセミ生成物を、分取用キラルHPLCによって分割して、純粋な化合物22Aを得た。
【0141】
【化140】

この分取用キラルHPLCの条件は以下のとおりである。カラム:ChiralPak AD−H 3.0cm i.d.×25cm L;溶出剤:CO2/MeOH=75/25;温度:30℃;化合物22Aの回収収率:89%;純度:98.5%ee。
【0142】
(実施例19−21Bの調製)
【0143】
【化141】

EDClの方法をとおしてのエステル8の合成に類似した手順において、カルバメート酸22A(1.0g、4.2mmol)を用いて実施した実験により、0.83gの21B(透明な油状物、48%の収率)を得た。
【0144】
【化142】

(実施例20−Diels−Alder反応をとおしての20Bの調製)
【0145】
【化143】

7Bの合成に類似した手順において、21B(1.80g、3.7mmol)に関して行なった実験は、H−NMRによって、エキソ/エンド異性体の93:7の比率を示した。Biotageフラッシュクロマトグラフィーをとおして精製して、1.2gの白色固体を得た(66.7%の収率)。HLPC保持時間(254nm):20Bのエンド異性体、7.8分;20B、8.0分;エピマー化の前の20、8.9分;アルケニルエステル、15.9分。
【0146】
【化144】

(実施例21−水素化をとおしての25Bの調製)
【0147】
【化145】

7Cの合成に類似した手順において、20B(0.52g、1.1mol)に関して行なった実験によって、0.47gの化合物25Bを得た(90%の収率)。HPLC保持時間(無勾配プログラム、254nm):25B、15.9分;20B、20.0分。
【0148】
【化146】

(実施例22−25Bの17Aへの変換)
【0149】
【化147】

攪拌器、温度計および還流冷却器を装備した250mLの3つ首のフラスコに、10gの25B(20.4mmol)およびTHF(50mL)を加えた。この溶液に、5%(w/w)水酸化ナトリウムの水溶液(50mL)を加えた。その後、この反応混合物を40℃まで熱して、そして40℃で約4時間攪拌した。この加水分解が完了したと判断されたら、トルエン(50mL)を加え、この混合物をやや速い速度で約10分攪拌した。副生成物を含む有機相を、生成物を含む水相から分離した。この有機相を、5%のNaOH水溶液(50mL)で逆抽出した。合せた水溶液をトルエン(2×50mL)で2度抽出して、有機抽出物を捨てた。この水溶液に、トルエン(25mL)およびTHF(50mL)の溶媒混合物を加えた。生じた混合物を0℃〜5℃まで冷却した。0〜5℃で、2Nの塩酸水溶液(およそ59mL)を加えて、この混合物のpHを約13から2.5へ調節した。その後、水相を有機相から分離して、そして、トルエン(25mL)およびTHF(50mL)の溶媒混合物で抽出した。この有機相および有機洗浄液を合せて、THF(50mL)で希釈した。その後、この混合物を、蒸留を反復することによって、最終的な水分含有量が≦0.05%になるまで大気中で濃縮した。この粗製生成物は、これ以上単離および精製せずに、次の工程で使用した(6.80g含有、99%の収率)。
【0150】
【化148】

(実施例23−23Cの調製)
【0151】
【化149】

20mLのトルエン中の22A(3.0g、13mmol)の溶液に、トリエチルアミン(4.9mL、35mmol)を加え、そして、生じたスラリーを0℃まで冷却した。この混合物をさらに可溶化するために、20mLのテトラヒドロフランを加えた。トリメチルアセチルクロリド(1.5mL、1.2mmol)を5分にわたって加えることで、混合無水物の形成を開始し、0℃で2時間攪拌して完了させた。その後、触媒量の4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.05g、0.4mmol)およびアルコール10D(2.0g、10mmol)を褐色のスラリー/混合物に加え、続いて、5mLのテトラヒドロフランを加えて残留試薬を洗い流した。
【0152】
0℃で72時間攪拌した後、冷却器を取り除き、そしてこの反応を20mLの水でクエンチした。下部の水層を分離した一方、有機層を、20mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液および10mLの水の混合物で洗浄し、その後、ロータリーエバポレーター(35℃、26mm Hg)で濃縮して、6.5gの褐色の油状物を得た。
【0153】
90gのシリカカートリッジを装備したBiotageフラッシュクロマトグラフィーで精製を行なった。この粗製物質を、10mLのヘプタンでスラリーにし、カラム上に入れ、そしてトルエン(2×15mL)で洗い流した。ヘプタン中の1500mLの30%酢酸エチルでの溶出の後、純粋な画分を収集した。濃縮して、3.8gの淡い黄色の油状物(23D)を得た(91%の収率)。HPLC保持時間(勾配プログラム、254nm):22、4.2分;23C、20.7分。
【0154】
【化150】

(実施例24−21Cの調製)
【0155】
【化151】

34mLのトルエン中の23C(3.4g、8.1mmol)、キノリン(0.31mL、2.6mmol)およびLindlar触媒(5% Pd/CaCO、0.34〜0.85g)のスラリーに、水素ガス(1atm、バルーンをとおして)を加えた。この混合物を室温で攪拌し、そして、反応の進行をHPLCで時々モニタリングした。反応が終了したら(HPLC分析で<4%の23C)、この混合物をろ過して触媒を取り除き、そして、2×15mLのトルエンを使用して残留物質をすぐにリンスした。ろ液を、15mLの0.5Nの塩酸溶液で2度洗浄し(キノリンを取り除くため)、そして、15mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液および15mLの水でさらに洗浄して、中和した。単離した有機層を、ロータリーエバポレーター(40℃、26mm Hg)で濃縮して、3.9gの黄色の油状物を得た(残留トルエンを差し引いた後、88%の収率)。H−NMR分析は、物質が純粋であることを示し、ゆえに、次の合成の工程ではこれを直接使用し得た。HPLC保持時間(勾配プログラム、254nm):トルエン、18.9分;21C、20.3分;23C、20.7分。
【0156】
【化152】

(実施例25−20Cの調製)
【0157】
【化153】

30mLのo−キシレン中の21C(3.0g、7.1mmol)の溶液を、封をした100mLの管中で還流(147℃)して21時間熱した。室温まで冷却して、不純物を取り除くために、この混合物を15mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液で2度洗浄し、そして、有機層を濃縮して(50℃、26mm Hg)、3.7gの褐色の油状物を得た。この粗製生成物を、その後の還元工程で直接使用した。H−NMR(CDCl、400MHz)は、エキソ/エンド異性体の96:4の比率を示した(δ 5.41におけるアルケンのプロトンシグナルに対して5.22ppm)。HPLC保持時間(無勾配プログラム、215nm):20Cのエンド異性体、10.5分;20C、12.8分;トルエン、14.0分;o−キシレン、22.4分。
【0158】
(実施例26−25Cの調製)
【0159】
【化154】

30mLの酢酸エチル中の20C(上記の手順からの3.7gの油状物)およびPt/C触媒(5%Pt/C、50%wet〜1.0g)のスラリーに、水素ガス(1atm、バルーンをとおして)を加えた。この混合物を室温で攪拌し、そして、反応の進行をHPLCで時々モニタリングした。反応が完了したら(12時間後、HPLC分析で<3%の20C)、この混合物をロータリーエバポレーター(30℃、26mm Hg)で乾燥するまで濃縮し、10mLのトルエンでスラリー中に再び溶解し、Biotageフラッシュクロマトグラフィーにより精製するために、90gのシリカカートリッジ上に入れた。トルエンをいくらか(3×5mL)使用して、カラム上の残留物質を洗浄した。ヘプタン中の1000mLの40%酢酸エチルおよびヘプタン中の2000mLの50%の酢酸エチルによる溶出の後に、純粋な画分を収集した。所望する画分を合せて、ロータリーエバポレーター(30℃、26mm Hg)で濃縮して、2.5gの白色固体の25Cを得た(2つの工程に対して83%の収率)。HPLC保持時間(無勾配プログラム、215nm):25C、10.1分;20C、12.7分。
【0160】
【化155】

(実施例27−化合物28Aの調製)
【0161】
【化156】

攪拌器、温度計および窒素入口を装備した100mLの3つ首フラスコに、22A(2.0g)およびテトラヒドロフラン(50mL)を加えた。この混合物を10分攪拌し、その後、25℃未満で、トリエチルアミン(4mL)をゆっくり加えた。この混合物を0℃まで冷却し、続いて、温度を5℃未満に保ちながら、トリメチルアセチルクロリド(1mL)をゆっくり加えた。この反応混合物を5℃未満で30分攪拌したのち、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(40mg)および27A(1.7g活性)を加えた。生じた混合物を5℃未満で攪拌した。この反応が完了したと判断された後、水(5mL)をゆっくり加えてこの反応をクエンチし、そして温度を20℃まで温めた。5%炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)および酢酸エチル(50mL)を加えた。有機層を分離し、真空下で濃縮して、粗製の油状物を得た。この油状物をカラムクロマトグラフィーでさらに精製して、約2.0gの化合物28Aを白色固体として得た(56%のモル収率)。
【0162】
【化157】

(実施例28−17Aの調製)
【0163】
【化158】

攪拌器、温度計および窒素入口を装備した100mLの3つ首フラスコに、化合物28A(0.5g)、Lindlar触媒(50mg)、テトラヒドロフラン(20mL)およびキノリン(0.1mL)を加えた。この混合物を水素(15psig)の下、室温で約15分攪拌した。この反応混合物を、セライトをとおしてろ過して触媒を取り除く前に、酢酸エチル(50mL)で希釈した。有機溶液を、キノリンを取り除くために1Nの塩酸水溶液(10mL)で洗浄し、その後、5%炭酸ナトリウム水溶液(10mL)およびブライン(10mL)で洗浄した。有機層を濃縮して、粗製の26Aを油状物として得た。
【0164】
これ以上精製せずに、この油状物をo−キシレン(4mL)中に溶解して、溶液Aを作製した。攪拌器、温度計、冷却器および窒素入口を装備した、2つめの100mLの3つ首フラスコに、o−キシレン(3mL)を加えた。この溶媒を加熱して、140℃で還流させ、続いて、約1時間内に、溶液Aを、注射ポンプをとおしてゆっくり加えた。この混合物を還流させながらさらに6時間攪拌し、その後、室温まで冷却した。1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(1滴)を加え、そして、生じた混合物を室温で約12時間攪拌した。この混合物を、酢酸エチル(25mL)で希釈し、1Nの塩酸水溶液(5mL)、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(5mL)およびブライン(5mL)で洗浄した。有機層を濃縮して、粗製の29Aを油状物として得た。
【0165】
精製せずに、この粗製の29Aを酢酸エチル(25mL)に溶解した。5mLのこの溶液を酢酸エチル(15mL)で希釈し、その後、水素化機(hydrogenator)に、50mgの5%Pt/C(50%wet)と共に移した。生じた混合物を水素下(100psig)、室温で20時間攪拌した。10%Pd/C(50%wet)を10gさらに加え、この混合物を水素下(100psig)、室温でさらに2時間攪拌した。セライトをとおしたろ過の後、この混合物を真空下で濃縮して、約35mgの粗製の17Aを得た。
【0166】
【化159】

本発明は、上記の特定の実施形態と関連して記載されているが、多数の代案、改変、およびそれらの別の変更が当業者にとって明白となる。全てのこういった代案、改変、および変更は本発明の意図および範囲内であることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載される発明。

【公開番号】特開2011−153160(P2011−153160A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−110863(P2011−110863)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【分割の表示】特願2007−551361(P2007−551361)の分割
【原出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】