ヒートシール装置及び被シール物
【課題】シールされた被シール物から内容物を容易に取り出すことができるようなシールを行うヒートシール装置を提供する。
【解決手段】被シール物のシール領域を圧着挟持するための第1圧着部4と第2圧着部5と、圧着挟持されたシール領域を加熱溶融してシールするため、第1圧着部4と第2圧着部5の少なくとも一方に設けられるヒーター41と、を備えたヒートシール装置であって、シール領域に引き裂き強度が強い第1シール領域部分と引き裂き強度が弱い第2シール領域部分を形成するための易裂性処理手段(凹凸形成テープ53)を設けた。
【解決手段】被シール物のシール領域を圧着挟持するための第1圧着部4と第2圧着部5と、圧着挟持されたシール領域を加熱溶融してシールするため、第1圧着部4と第2圧着部5の少なくとも一方に設けられるヒーター41と、を備えたヒートシール装置であって、シール領域に引き裂き強度が強い第1シール領域部分と引き裂き強度が弱い第2シール領域部分を形成するための易裂性処理手段(凹凸形成テープ53)を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被シール物のシール領域を圧着挟持するための第1圧着部と第2圧着部と、圧着挟持されたシール領域を加熱溶融してシールするため、前記第1圧着部と前記第2圧着部の少なくとも一方に設けられるヒーターと、を備えたヒートシール装置、及び、このヒートシール装置によりシールされた被シール物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筒状の包装体(被シール物に相当)のシール領域をシールするヒートシール装置として、例えば、下記特許文献1に開示されるインパルス式のヒートシール装置が知られている。このヒートシール装置は、熱融着可能な筒状の連続包装体を下方向に送り出し、食品等の内容物を収容した後、所定ピッチでシール領域を熱融着してシールし、そのシールされた部分で単位包装袋毎に切断分離するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−187143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる包装袋に収容された内容物は、後で取り出す必要があることから、包装袋を手で引き裂くなどの処理を行っていた。しかし、容易に引き裂くことができるような処理を施しているものはなかった。仮に、シール領域を手で引き裂こうとすると、大きな力を要したり、意図しない箇所が破れたりし、内容物が不用意に包装体から飛び出してしまうこともあった。従って、包装体の一部をハサミやナイフでカットするなど、引き裂くための道具を別途必要としていた。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、シールされた被シール物から内容物を容易に取り出すことができるようなシールを行うヒートシール装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明に係るヒートシール装置は、
被シール物のシール領域を圧着挟持するための第1圧着部と第2圧着部と、
圧着挟持されたシール領域を加熱溶融してシールするため、前記第1圧着部と前記第2圧着部の少なくとも一方に設けられるヒーターと、を備えたヒートシール装置であって、
前記シール領域に引き裂き強度が強い第1シール領域部分と引き裂き強度が弱い第2シール領域部分を形成するための易裂性処理手段を設けたことを特徴とするものである。
【0007】
この構成によるヒートシール装置の作用・効果を説明する。被シール物のシール領域を第1圧着部と第2圧着部により圧着挟持し、ヒーターで加熱することで、シール領域をシールすることができる。ここで、易裂性処理手段が設けられており、シール領域は引き裂き強度が強い第1シール領域部分と、引き裂き強度が弱い第2シール領域部分が形成される。この第2シール領域部分を設けることで、相対的に引き裂き易い領域を形成することができる。従って、手で容易に包装袋を引き裂き、内容物を取り出すことができる。
【0008】
本発明に係る前記易裂性処理手段は、線状に形成された前記ヒーターの表面に設けられる突出部であり、この突出部により、前記第2シール領域部分を形成することが好ましい。
【0009】
この構成によると、ヒーターは線状に形成され、その表面には突出部が形成される。この突出部をシール領域に作用させることで、引き裂き強度の弱い第2シール領域部分を形成することができる。突出部をヒーターに一体形成すれば、コストを抑制しながら易裂性処理手段を構成することができる。
【0010】
本発明に係る前記第2シール領域部分は、前記シール領域に形成される孔であることが好ましい。孔を形成することで、シール領域を手で引き裂きことが容易になる。
【0011】
本発明に係る前記易裂性処理手段は、前記第1圧着部と第2圧着部の少なくとも一方の圧着面に設けられる凹凸部であり、この凹凸部により、前記第1シール領域部分と前記第2シール領域部分を形成することが好ましい。
【0012】
被シール物を圧着挟持する第1圧着部及び/又は第2圧着部の圧着面に凹凸部を設けることで、シール領域にも凹凸部を形成することができる。この凹凸部により、第1シール領域部分と第2シール領域部分を形成することができる。
【0013】
本発明において、前記第1シール領域部分と前記第2シール領域部分を前記シール領域の長手方向に沿って、交互に形成することが好ましい。
【0014】
交互に形成することで、引き裂き強度の弱い第2シール領域部分を複数個所形成することができ、引き裂き可能な箇所を複数設けることができる。これにより、更に容易に内容物を容易に取り出すことができるようになる。
【0015】
本発明において、前記易裂性処理手段には、前記凹凸部を有する凹凸面と、前記凹凸部を有しない平坦面とが、圧着面の短手方向に隣接して形成されており、前記凹凸面により圧着された第1圧着領域が被シール物の端部に形成されるとともに、前記平坦面により圧着された第2圧着領域が、被シール物における前記第1圧着領域よりも内側に形成されることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、被シール物の第1圧着領域にのみ凹凸部が形成され、第2圧着領域には凹凸部が形成されない。凹凸部が形成された第1圧着領域よりも内側(内容物側)に、凹凸部を有しない第2圧着領域が形成されることにより、内容物などによる内側からの圧力に対して、被シール物が凹凸部から容易に破れてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】フィルムシール装置の構成を示す斜視図
【図2】フィルムシール装置の構成を示す斜視図
【図3】チューブ状フィルムを示す図
【図4A】フィルムを装置にセットして内容物を収容する場合の動作を示す図
【図4B】フィルムを装置にセットして内容物を収容する場合の動作を示す図
【図5】動作している時のフィルムシール装置の外観を示す斜視図
【図6】フィルムシール部の動作の詳細を示す図
【図7】内容物が収容されて切断された後のフィルムを示す図
【図8】第1圧着部と第2圧着部の構成を示す組立斜視図
【図9】第1圧着部と第2圧着部の構成を示す分解斜視図
【図10】第1圧着部と第2圧着部の構成を示す断面図
【図11】フィルムのシール領域をシール時の動作を示す図
【図12】切断後のフィルムのシール領域を拡大して示す斜視図
【図13】包装袋を引き裂く時の動作を示す図
【図14】凹凸形成テープの別実施形態を示す図
【図15】第3実施形態に係るフィルムシール装置のヒーターを示す外観斜視図
【図16】図14に係るヒーターの断面形状を示す図
【図17】第3実施形態に係るフィルムシール装置によりシールした包装袋を示す図
【図18】図14の凹凸形成テープのヒートシール装置への使用例を示す図
【図19】凹凸部の形状と引き裂き易さを説明する図
【図20】凹凸部の形状と引き裂き易さを説明する図
【図21】第4実施形態に係るフィルムシール装置の第1圧着部と第2圧着部の構成を示す組立斜視図
【図22】第4実施形態に係るフィルムシール装置によりシールされて切断された包装袋を示す図
【図23】第5実施形態に係るフィルムシール装置の第1圧着部と第2圧着部の構成を示す組立斜視図
【図24】第6実施形態に係るヒートシール装置の第1圧着部と第2圧着部の構成を示す組立斜視図
【図25】第7実施形態に係るヒートシール装置の第1圧着部と第2圧着部の構成を示す組立斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るヒートシール装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1、図2は、フィルムシール装置の構成を示す斜視図である。図1は、フィルムを装着していない状態を示し、図2は、フィルムを装着した状態を示している。
【0019】
比較的面積の広い支持プレート1の上におわん状に形成されたガイド部材2が取り付けられる。ガイド部材2は、側面がテーパ状に形成されており、底部にガイド穴2bが形成されている。図2は、折り畳んだ状態のチューブ状フィルムF(図3(a)参照)を装着した状態を示す。ガイド部材2の周囲が、フィルム装着部として機能する。支持プレート1の下面側には、フィルムをシールして切断するための機構部3が装着されている。環状に折り畳んだ状態のフィルムFをセッティングする時の操作については、既に説明した通りである。すなわち、折り畳んだフィルムFの一番外側の部分F1を手で持ち上げて、ガイド部材2の中へ穴2bの位置まで押し込めばよい。その後、搬送ローラを駆動することで、フィルムFは下方に引き込まれていく。基本的な動きは、図4A,4Bで説明する。
【0020】
本実施形態のヒートシール装置は、いわゆるトイレシーラーであり、ガイド部材2の上に腰かけた状態で使用される。フィルムF内に収容される内容物は、排泄物である。
【0021】
この装置は、チューブ状に成形されたフィルムを環状に折り畳んだ状態でフィルム装着部に装着し、フィルム内に内容物を収容するたびに繰り出されてシール領域をシールし、シール領域をカットして内容物が収容されたフィルムを分離する。そして、次の内容物を収容すべくフィルムを繰り出しセットする。このように、フィルムの繰り出し、内容物の収容、フィルムの繰り出し、シール領域のシール及びカットを繰り返して使用する。これを図3により説明する。
【0022】
図3(a)は、チューブ状フィルムFを成形した直後の状態を示す。これを環状に折り畳んだ状態を(b)に示す。折り畳む際の折れ線をL1,L2で示している。L1が谷折する線であり、L2が山折する線である。チューブ状フィルムFの長手方向に沿って、所定間隔で谷折と山折を交互に繰り返すことで(b)に示すような折り畳み状態にする。
【0023】
次に、このフィルムFを装置にセットして内容物を収容する場合の動作を図4A,図4Bにより説明する。(a)は、折り畳んだ状態のフィルムFを示す。環状に折り畳まれたフィルムFの一番外側の部分F1を手でつかんで引っ張り、中央方向に移動させ、搬送ローラ100の位置にまで持ってくる(b)。次に、搬送ローラ100を駆動してフィルムFを送り出す。(c)の位置まで送り出した後、搬送ローラ100が停止され、フィルムシール部101を作動させる。これにより、フィルムFの端部F1が溶融されシールされる。フィルムシール部101は、通常はフィルムFから離間した位置に待機している。シールを行った後、(d)に示すように、フィルムFの中に内容物Nを収容する。内容物Nとしては、例えば、人の排せつ物や生ゴミがあげられる。
【0024】
内容物Nの収容が終わると、再び、搬送ローラ100を駆動させる。これを(e)に示す。所定量フィルムFが繰り出されると、搬送ローラ100を停止させ、フィルムシール部101をフィルムFに圧着させ、シールを行うと共にシール領域に対する切断作用を行う。これにより、(f)に示すように、内容物Nが収容されたフィルムFが分離される。分離された内容物入りのフィルムFは、廃棄処分等が行われる。図5は、動作している時のフィルムシール装置の外観を示す斜視図である。
【0025】
図6は、フィルムシール部101の動作の詳細を示す図である。フィルムシール部101は1つの駆動モータ(アクチュエータ)により駆動される。図6(a)に示すように、フィルムFを挟むように一対のフィルムシール部101が設けられ、それぞれ、フィルム挟持手段101aと、フィルム圧着手段101bを備えている。フィルム圧着手段101bは、互いに向かい合う第1圧着部4と第2圧着部5により構成される。
【0026】
駆動モータにより、フィルム挟持手段101aとフィルム圧着手段101bの両方が一体的に駆動する。図6(b)に示すように、最初にフィルム挟持手段101aどうしでフィルムFの端部を挟持する。この時点では、まだフィルム圧着手段101bはフィルムFを圧着していない。さらに駆動モータを駆動すると、コイルスプリング102の付勢力に抗して、フィルム圧着手段101bどうしが近接し始め、(c)に示すようにフィルムFをフィルム圧着手段101bで圧着した状態になる。
【0027】
次に、フィルム圧着手段101b(第1圧着部4)の表面に設けられたヒーターを加熱し、フィルムFのシール領域をシールする。また、圧着時にはフィルム切断手段による切断作用も行わせる。ただし、フィルムFのシール領域の切断は完全には行われていない。
【0028】
次に、(d)に示すように、駆動モータを逆方向に駆動させて、フィルム圧着手段101bの圧着状態を解除させる。ただし、フィルム挟持手段101aによる挟持状態は解除させない。この状態で、搬送ローラ100を逆方向(戻し方向)に回転させる。この動作により、フィルムFの切断が確実に行われる((e)参照)。その後、駆動モータをさらに逆方向に駆動して、フィルム挟持手段101aによる挟持状態を解除させる。
【0029】
環状に折り畳まれた状態のチューブ状フィルムを搬送ローラ100で引き込んでいくように駆動するので(図3参照)、ヒーターでシールを行うシール領域には、何重にもシワが寄った形でフィルムFが供給される。すなわち、シール部におけるフィルムFの厚みは一定していない状態である。従って、かかる状態のシール領域をヒーターで加熱してシールし、切断作用を行っても、きれいにフィルムFが分離できないことがあるが、搬送ローラ100を戻し方向に逆回転させることで、フィルムFの切断を確実に行うようにしている。
【0030】
図7は、内容物Nが収容されて切断された後のフィルムFを示す図である。フィルムFの送り出し方向の前後にシールされるシール領域F2が設けられる。
【0031】
<圧着部の構成>
次に、第1圧着部4と第2圧着部5の構成を図8の組立斜視図及び図9の分解斜視図及び図10の断面図により説明する。第1圧着部4は、第1保護テープ40と、線状のヒーター41と、絶縁テープ42と、断熱紙43と、第1圧着体44により構成される。第2圧着部5は、第2保護テープ50と、弾性体51と、第2圧着体52と、凹凸形成テープ53により構成される。
【0032】
第1圧着部4の側の第1保護テープ40は、フッ素樹脂で形成され、内部に収容されるヒーター41を保護する。第1保護テープ40は、断面形状が略コの字であり、長手方向に沿った形状を有する。ヒーター41は、線状に形成され、通電すると加熱される。ヒーター41の長手方向の両端部は、電極41aとして機能し、不図示のリード線先端にかしめられた端子とネジで共締めされる。また、ヒーター41の幅方向中央には切断手段として機能する突出部41bが長手方向に沿って形成される。
【0033】
ヒーター41の内側には、絶縁テープ42が配置され、金属製のヒーター41を他の部分から絶縁する。絶縁テープ41の内側には、シート状の断熱紙43が配置され、ヒーター41による溶融加熱を効率よく行うようにしている。
【0034】
第1圧着体44は、耐熱樹脂製であり、ヒーター41等の部材を保持する機能も有する。ネジ45及びワッシャー46により、ヒーター41の電極41aに形成されたネジ穴部41cを用いて結合する。これにより、絶縁テープ42と断熱紙43も併せて結合される。
【0035】
一方、第2圧着部5の側の第2保護テープ50は、第1保護テープ40と同じように、フッ素樹脂で形成され、内側に配置される弾性体51を保護する。弾性体51は、例えば、シリコンスポンジ等の材料により形成される。第2圧着体52は、第1圧着体51と同様の材質及び形状を有している。
【0036】
凹凸形成テープ53(易裂性処理手段に相当)は、フッ素樹脂で形成され、断面略コの字に形成され、第2保護テープ50の表面にかぶせるように取り付けられる。凹凸形成テープ53には、短辺方向に沿った多数のスリット53aが形成されており、スリット53aの両端部は、側面部53bにまで伸びている。スリット53aを形成することで、表面が凹凸に形成される。
【0037】
<シール動作>
フィルムFのシール領域をシール時の動作は、図10及び図11に示される。第1圧着部4の第1保護テープ40の圧着面40aと、第2圧着部5の第2保護テープ50の圧着面50aにより、シール領域を圧着する。圧着後、ヒーター41を所定時間加熱することで、シール領域を溶融してシールすると共に、突出部41bによりフィルムFを切断する。
【0038】
図12は、切断後のフィルムFのシール領域を拡大して示す斜視図である。FLは切断線である。凹凸形成テープ53により圧着された部分には、凹凸形状に対応した凹凸部F3が形成される。すなわち、凹凸部F3の厚みが厚い部分は引き裂き強度が強い第1シール領域部分F30に相当し、薄い部分は引き裂き強度が弱い第2シール領域部分F31に相当する。この第2シール領域部分31を引っ張ることで、その箇所から容易に手で引き裂くことができる。
【0039】
図13は、実際に包装袋を引き裂く時の動作を示す図である。包装袋FBの上下がシールされており、それぞれのシール領域の中央に凹凸部F3が形成されている。(a)に示すように、包装袋FBの上端部の左右を手で持ち、(b)に示すように、左右に引っ張る。次に、(c)に示すように、包装袋FBの上下をひっくり返すと、(d)に示すように、内容物Nを取り出すことができる。本発明の場合、引き裂き強度の弱い第2シール領域部分F31が形成されているので、左右に包装袋FBを引っ張るだけで、包装袋FBの所定箇所(凹凸部F3)を引き裂くことができる。
【0040】
本実施形態の場合、シール領域の厚みは、両端に近い部分が厚くなり、中央部分は薄くなる。これは、両端に近い厚いシール部は、フィルムFの搬送ローラ100により引っ張られ、シワが多く形成されるためである。一方、シール領域の中央部分はシワの形成が少なくなるので厚さは薄い。従って、中央部分に凹凸部F3を設けるようにすれば、引き裂き強度の弱い第2シール領域部分F31を形成しやすくなる。
【0041】
<第2実施形態>
次に、易裂性処理手段としての凹凸形成テープ530の別実施形態を図14により説明する。この実施形態では、凹凸形成テープ530は、シールになっており台紙に接着されている。使用する時は、図14(a)に示すように、台紙からはがして、(b)に示すように、圧着面40aに貼り付ける。凹凸形成テープ530には、スリット530aが形成されており、これにより、フィルムFに凹凸部F3が形成される。(c)は圧着した状態を示し、(d)はシール後の包装袋を示す。(e)は袋を引き裂く時の様子を示す図である。
【0042】
このシールタイプの凹凸形成テープ530は、図18に示すような通常の包材をシールする汎用のヒートシール装置に好適に用いることができる。すなわち、既存のヒートシール装置に、使用者が凹凸形成テープ530を自分で貼り付けることで、易裂性処理手段の機能を簡単に付加することができる。これにより、安価に機能向上できるという利点を有する。
【0043】
第1実施形態では、チューブ状フィルムを対象としたヒートシール装置を説明したが、図18に示す汎用のヒートシール装置の場合、シール部に不均一な量のしわがよることがない。従って、凹凸形成テープ530もシール領域の広範囲にわたって貼り付ける必要はなく、ごく短い幅のシール形状とすることができる。第1実施形態の場合は、シール部に、不均一なしわがよるので、シール部の厚みの正確な管理が困難である。そこで、できるだけ広範囲に易裂性処理手段としての機能を持たせている。
【0044】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係るヒートシール装置について説明する。図15は、易裂性処理手段の機能を有するヒーター41の形状を示す外観斜視図である。図16は、その断面形状を示す図である。図15に示すように、ヒーター41の中央の線状の突出部41bの両側に多数の円錐状の突出部41d(易裂性処理手段に相当)が形成される。この突出部41dの先端は鋭利にしてもよいし丸くしてもよい。突出部41dの高さは、線状の突出部41bと同じ高さでもよいし、変えてもよい。
【0045】
上記のような突出部41dを設けることで、シール領域に第1シール領域部分F30と第2シール領域部分F31を形成することができる。図17にも示すように、第2シール領域部分F31は、具体的には、フィルムFに形成される孔である。孔として形成することで、手で引き裂きやすくなる。なお、完全な孔として形成されていなくてもよく、少なくとも、引き裂き強度が弱くなるような薄肉に形成されていればよい。
【0046】
<凹凸部の形状について>
凹凸形成テープでフィルムの凹凸部F3を形成する場合、図19に示すように、フィルムF側に形成された凹凸部F3の奥の角F32が鋭いほうが引き裂き易い。すなわち、角F32の部分に応力集中が生じ、図19(b)に示すように、そこからクラックが入ることで引き裂き易くなる。従って、凹凸形成テープ530も角を鋭くしておくことが好ましい。この点は、第1実施形態で説明した図9の凹凸形成テープ53も同様である。
【0047】
一方、図20に示すように、凹凸部F3の奥の角F32が鋭くない(丸みを有する、Rが大きい等)場合は、図20(b)に示すように、クラックが生じにくくなるため、フィルムFを左右方向に引っ張っても薄肉部(第2シール領域部分)が伸びてしまうだけ、という可能性がある。従って、フィルムFに凹凸部F3を形成する場合は、上記を考慮して凹凸形成テープを構成し装着させる必要がある。
【0048】
<第4実施形態>
図21は、第4実施形態に係るフィルムシール装置の第1圧着部4と第2圧着部5の構成を示す組立斜視図である。本実施形態では、凹凸形成テープ53の構成のみが図8とは異なり、他の構成については図8と同様であるため、同様の構成については説明を省略する。
【0049】
本実施形態における凹凸形成テープ53(易裂性処理手段に相当)は、フッ素樹脂で形成され、第2保護テープ50の表面にかぶせるように取り付けられる。凹凸形成テープ53には、短辺方向に沿った多数のスリット53aが形成されているが、スリット53aの両端部は、図8のように側面部53bにまで伸びていない。すなわち、各スリット53aの両端部と側面部53bとの間に間隔が形成されることにより、各スリット53aの長手方向の両側に、凹凸のない平坦面53cが形成されている。これら2つの平坦面53cの間には、スリット53aにより構成された凹凸部を有する凹凸面53dが形成されている。フィルムFは、凹凸面53d上の切断線L1において切断される。
【0050】
図22は、第4実施形態に係るフィルムシール装置によりシールされて切断された包装袋FBを示す図である。切断された包装袋FBには、フィルムFの送り出し方向の前後にシール領域F2が形成される。各シール領域F2には、凹凸面53dにより圧着された第1圧着領域F4と、平坦面53cにより圧着された第2圧着領域F5とが、フィルムFの送り出し方向の前後に隣接して形成される。第1圧着領域F4は、包装袋FBの端部に形成され、第2圧着領域F5は、第1圧着領域F4よりも内側(内容物N側)に形成される。第1圧着領域F4には、凹凸面53dの各スリット53aに対応する位置に、各スリット53aの凹凸形状に対応した凹凸部F3が形成される。
【0051】
このように、凹凸部F3が形成された第1圧着領域F4よりも内側に、凹凸部F3を有しない第2圧着領域F5が形成されることにより、内容物Nなどによる内側からの圧力に対して、包装袋FBが凹凸部F3から容易に破れてしまうのを防止することができる。
【0052】
<第5実施形態>
図23は、第5実施形態に係るフィルムシール装置の第1圧着部4と第2圧着部5の構成を示す組立斜視図である。本実施形態では、第2圧着部5の構成のみが図8とは異なり、他の構成については図8と同様であるため、同様の構成については説明を省略する。
【0053】
本実施形態では、第2圧着部5が、フィルムFの送り出し方向の前後に3つの圧着部5a〜5cを並べた構成となっている。3つの圧着部5a〜5cは、いずれも図9に示す第2保護テープ50、弾性体51及び第2圧着体52を有し、各第2保護テープ50の圧着面50aが第1圧着部4の第1保護テープ40の圧着面40aに対向している。これら3つの圧着部5a〜5cのうち、中央に位置する圧着部5bにのみ凹凸形成テープ53(易裂性処理手段に相当)が取り付けられている。
【0054】
凹凸形成テープ53は、フッ素樹脂で形成され、圧着部5bの第2保護テープ50の表面にかぶせるように取り付けられる。凹凸形成テープ53には、短辺方向に沿った多数のスリット53aが形成されており、各スリット53aの両端部は、隣接する圧着部5a,5cにまで伸びている。これにより、各スリット53aの長手方向の両側に、凹凸のない平坦面53cが圧着部5a,5cによって形成されている。これら2つの平坦面53cの間には、スリット53aにより構成された凹凸部を有する凹凸面53dが圧着部5bによって形成されている。フィルムFは、凹凸面53d上の切断線L1において切断される。
【0055】
このようなフィルムシール装置を用いた場合でも、図22と同様に、凹凸面53dにより圧着された第1圧着領域F4と、平坦面53cにより圧着された第2圧着領域F5とを有するシール領域F2を包装袋FBの端部に形成することができる。
【0056】
<第6実施形態>
図24は、第6実施形態に係るヒートシール装置の第1圧着部4と第2圧着部5の構成を示す組立斜視図である。この第1圧着部4と第2圧着部5は、例えば図18に示すようなヒートシール装置に適用可能である。ただし、図18に例示されるようなヒートシール装置では、予め切断された包装袋FBの開口部が圧着されるため、第1圧着部4における切断手段としての突出部41bは不要である。また、図18と同様に、第1圧着部4及び第2圧着部5を上下反転させた状態で使用することも可能である。
【0057】
凹凸形成テープ53(易裂性処理手段に相当)を図18に示すようなヒートシール装置に適用する場合、凹凸形成テープ53を図21と同様の構成とすることも可能であるが、本実施形態では、各スリット53aの一端部のみが側面部53bまで伸びている。すなわち、各スリット53aの長手方向の一方側に、凹凸のない平坦面53cが形成されている。スリット53aにより構成された凹凸部を有する凹凸面53dは、平坦面53cに隣接して形成されている。第2圧着部5は、平坦面53cがヒートシール装置の手前側となるように取り付けられ、手前側から第1圧着部4と第2圧着部5との間に挿入される包装袋FBの端部(開口部側の端部)が、凹凸面53d上の目標線L2に合わせられる。このように、スリット53a上の目標線L2に包装袋FBの端部を合わせることの必要性は、図18の構成においても同様であり、包装袋FBの端部が凹凸形成テープ53よりも後側に位置しないように合わせる必要がある。
【0058】
このようなヒートシール装置を用いた場合でも、図22と同様に、凹凸面53dにより圧着された第1圧着領域F4と、平坦面53cにより圧着された第2圧着領域F5とを有するシール領域F2を包装袋FBの一端部に形成することができる。
【0059】
<第7実施形態>
図25は、第7実施形態に係るヒートシール装置の第1圧着部4と第2圧着部5の構成を示す組立斜視図である。この第1圧着部4と第2圧着部5は、例えば図18に示すようなヒートシール装置に適用可能である。この例においても、第1圧着部4における切断手段としての突出部41bは不要であり、図18と同様に、第1圧着部4及び第2圧着部5を上下反転させた状態で使用することも可能である。
【0060】
本実施形態では、第2圧着部5が、前後に2つの圧着部5d,5eを並べた構成となっている。2つの圧着部5d,5eは、いずれも図9に示す第2保護テープ50、弾性体51及び第2圧着体52を有し、各第2保護テープ50の圧着面50aが第1圧着部4の第1保護テープ40の圧着面40aに対向している。これら2つの圧着部5d,5eのうち、後側に位置する圧着部5eにのみ凹凸形成テープ53(易裂性処理手段に相当)が取り付けられている。
【0061】
凹凸形成テープ53は、フッ素樹脂で形成され、圧着部5eの第2保護テープ50の表面にかぶせるように取り付けられる。凹凸形成テープ53には、短辺方向に沿った多数のスリット53aが形成されており、各スリット53aの一端部は、隣接する圧着部5dにまで伸びている。これにより、各スリット53aの長手方向の一方側に、凹凸のない平坦面53cが圧着部5dによって形成されている。スリット53aにより構成された凹凸部を有する凹凸面53dは、圧着部5eによって平坦面53cに隣接して形成されている。第2圧着部5は、平坦面53cがヒートシール装置の手前側となるように取り付けられ、手前側から第1圧着部4と第2圧着部5との間に挿入される包装袋FBの端部(開口部側の端部)が、凹凸面53d上の目標線L2に合わせられる。
【0062】
このようなヒートシール装置を用いた場合でも、図22と同様に、凹凸面53dにより圧着された第1圧着領域F4と、平坦面53cにより圧着された第2圧着領域F5とを有するシール領域F2を包装袋FBの一端部に形成することができる。
【0063】
<別実施形態>
本実施形態において、ヒーターは第1圧着部4の側にのみ設けられているが、第1圧着部4と第2圧着部5の双方に設けられていてもよい。また、第2圧着部5のみに設けられていてもよい。
【0064】
本発明において、フィルムFの材質は特に限定されるものではなく、加熱すれば溶融してシール可能な樹脂フィルム等、種々のフィルムFを使用することができる。また、内容物Nについても、特定のものに限定されるものではない。
【0065】
本発明において、易裂性処理手段を適用すべきヒートシール装置の構造や、シールすべきフィルムの形態は、特定の構造や形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0066】
4 第1圧着部
5 第2圧着部
41 ヒーター
41d 突出部
53 凹凸形成テープ
53a スリット
53c 平坦面
53d 凹凸面
530 凹凸形成テープ
F フィルム
F3 凹凸部
F4 第1圧着領域
F5 第2圧着領域
F30 第1シール領域部分
F31 第2シール領域部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、被シール物のシール領域を圧着挟持するための第1圧着部と第2圧着部と、圧着挟持されたシール領域を加熱溶融してシールするため、前記第1圧着部と前記第2圧着部の少なくとも一方に設けられるヒーターと、を備えたヒートシール装置、及び、このヒートシール装置によりシールされた被シール物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
筒状の包装体(被シール物に相当)のシール領域をシールするヒートシール装置として、例えば、下記特許文献1に開示されるインパルス式のヒートシール装置が知られている。このヒートシール装置は、熱融着可能な筒状の連続包装体を下方向に送り出し、食品等の内容物を収容した後、所定ピッチでシール領域を熱融着してシールし、そのシールされた部分で単位包装袋毎に切断分離するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−187143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる包装袋に収容された内容物は、後で取り出す必要があることから、包装袋を手で引き裂くなどの処理を行っていた。しかし、容易に引き裂くことができるような処理を施しているものはなかった。仮に、シール領域を手で引き裂こうとすると、大きな力を要したり、意図しない箇所が破れたりし、内容物が不用意に包装体から飛び出してしまうこともあった。従って、包装体の一部をハサミやナイフでカットするなど、引き裂くための道具を別途必要としていた。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、シールされた被シール物から内容物を容易に取り出すことができるようなシールを行うヒートシール装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明に係るヒートシール装置は、
被シール物のシール領域を圧着挟持するための第1圧着部と第2圧着部と、
圧着挟持されたシール領域を加熱溶融してシールするため、前記第1圧着部と前記第2圧着部の少なくとも一方に設けられるヒーターと、を備えたヒートシール装置であって、
前記シール領域に引き裂き強度が強い第1シール領域部分と引き裂き強度が弱い第2シール領域部分を形成するための易裂性処理手段を設けたことを特徴とするものである。
【0007】
この構成によるヒートシール装置の作用・効果を説明する。被シール物のシール領域を第1圧着部と第2圧着部により圧着挟持し、ヒーターで加熱することで、シール領域をシールすることができる。ここで、易裂性処理手段が設けられており、シール領域は引き裂き強度が強い第1シール領域部分と、引き裂き強度が弱い第2シール領域部分が形成される。この第2シール領域部分を設けることで、相対的に引き裂き易い領域を形成することができる。従って、手で容易に包装袋を引き裂き、内容物を取り出すことができる。
【0008】
本発明に係る前記易裂性処理手段は、線状に形成された前記ヒーターの表面に設けられる突出部であり、この突出部により、前記第2シール領域部分を形成することが好ましい。
【0009】
この構成によると、ヒーターは線状に形成され、その表面には突出部が形成される。この突出部をシール領域に作用させることで、引き裂き強度の弱い第2シール領域部分を形成することができる。突出部をヒーターに一体形成すれば、コストを抑制しながら易裂性処理手段を構成することができる。
【0010】
本発明に係る前記第2シール領域部分は、前記シール領域に形成される孔であることが好ましい。孔を形成することで、シール領域を手で引き裂きことが容易になる。
【0011】
本発明に係る前記易裂性処理手段は、前記第1圧着部と第2圧着部の少なくとも一方の圧着面に設けられる凹凸部であり、この凹凸部により、前記第1シール領域部分と前記第2シール領域部分を形成することが好ましい。
【0012】
被シール物を圧着挟持する第1圧着部及び/又は第2圧着部の圧着面に凹凸部を設けることで、シール領域にも凹凸部を形成することができる。この凹凸部により、第1シール領域部分と第2シール領域部分を形成することができる。
【0013】
本発明において、前記第1シール領域部分と前記第2シール領域部分を前記シール領域の長手方向に沿って、交互に形成することが好ましい。
【0014】
交互に形成することで、引き裂き強度の弱い第2シール領域部分を複数個所形成することができ、引き裂き可能な箇所を複数設けることができる。これにより、更に容易に内容物を容易に取り出すことができるようになる。
【0015】
本発明において、前記易裂性処理手段には、前記凹凸部を有する凹凸面と、前記凹凸部を有しない平坦面とが、圧着面の短手方向に隣接して形成されており、前記凹凸面により圧着された第1圧着領域が被シール物の端部に形成されるとともに、前記平坦面により圧着された第2圧着領域が、被シール物における前記第1圧着領域よりも内側に形成されることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、被シール物の第1圧着領域にのみ凹凸部が形成され、第2圧着領域には凹凸部が形成されない。凹凸部が形成された第1圧着領域よりも内側(内容物側)に、凹凸部を有しない第2圧着領域が形成されることにより、内容物などによる内側からの圧力に対して、被シール物が凹凸部から容易に破れてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】フィルムシール装置の構成を示す斜視図
【図2】フィルムシール装置の構成を示す斜視図
【図3】チューブ状フィルムを示す図
【図4A】フィルムを装置にセットして内容物を収容する場合の動作を示す図
【図4B】フィルムを装置にセットして内容物を収容する場合の動作を示す図
【図5】動作している時のフィルムシール装置の外観を示す斜視図
【図6】フィルムシール部の動作の詳細を示す図
【図7】内容物が収容されて切断された後のフィルムを示す図
【図8】第1圧着部と第2圧着部の構成を示す組立斜視図
【図9】第1圧着部と第2圧着部の構成を示す分解斜視図
【図10】第1圧着部と第2圧着部の構成を示す断面図
【図11】フィルムのシール領域をシール時の動作を示す図
【図12】切断後のフィルムのシール領域を拡大して示す斜視図
【図13】包装袋を引き裂く時の動作を示す図
【図14】凹凸形成テープの別実施形態を示す図
【図15】第3実施形態に係るフィルムシール装置のヒーターを示す外観斜視図
【図16】図14に係るヒーターの断面形状を示す図
【図17】第3実施形態に係るフィルムシール装置によりシールした包装袋を示す図
【図18】図14の凹凸形成テープのヒートシール装置への使用例を示す図
【図19】凹凸部の形状と引き裂き易さを説明する図
【図20】凹凸部の形状と引き裂き易さを説明する図
【図21】第4実施形態に係るフィルムシール装置の第1圧着部と第2圧着部の構成を示す組立斜視図
【図22】第4実施形態に係るフィルムシール装置によりシールされて切断された包装袋を示す図
【図23】第5実施形態に係るフィルムシール装置の第1圧着部と第2圧着部の構成を示す組立斜視図
【図24】第6実施形態に係るヒートシール装置の第1圧着部と第2圧着部の構成を示す組立斜視図
【図25】第7実施形態に係るヒートシール装置の第1圧着部と第2圧着部の構成を示す組立斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るヒートシール装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1、図2は、フィルムシール装置の構成を示す斜視図である。図1は、フィルムを装着していない状態を示し、図2は、フィルムを装着した状態を示している。
【0019】
比較的面積の広い支持プレート1の上におわん状に形成されたガイド部材2が取り付けられる。ガイド部材2は、側面がテーパ状に形成されており、底部にガイド穴2bが形成されている。図2は、折り畳んだ状態のチューブ状フィルムF(図3(a)参照)を装着した状態を示す。ガイド部材2の周囲が、フィルム装着部として機能する。支持プレート1の下面側には、フィルムをシールして切断するための機構部3が装着されている。環状に折り畳んだ状態のフィルムFをセッティングする時の操作については、既に説明した通りである。すなわち、折り畳んだフィルムFの一番外側の部分F1を手で持ち上げて、ガイド部材2の中へ穴2bの位置まで押し込めばよい。その後、搬送ローラを駆動することで、フィルムFは下方に引き込まれていく。基本的な動きは、図4A,4Bで説明する。
【0020】
本実施形態のヒートシール装置は、いわゆるトイレシーラーであり、ガイド部材2の上に腰かけた状態で使用される。フィルムF内に収容される内容物は、排泄物である。
【0021】
この装置は、チューブ状に成形されたフィルムを環状に折り畳んだ状態でフィルム装着部に装着し、フィルム内に内容物を収容するたびに繰り出されてシール領域をシールし、シール領域をカットして内容物が収容されたフィルムを分離する。そして、次の内容物を収容すべくフィルムを繰り出しセットする。このように、フィルムの繰り出し、内容物の収容、フィルムの繰り出し、シール領域のシール及びカットを繰り返して使用する。これを図3により説明する。
【0022】
図3(a)は、チューブ状フィルムFを成形した直後の状態を示す。これを環状に折り畳んだ状態を(b)に示す。折り畳む際の折れ線をL1,L2で示している。L1が谷折する線であり、L2が山折する線である。チューブ状フィルムFの長手方向に沿って、所定間隔で谷折と山折を交互に繰り返すことで(b)に示すような折り畳み状態にする。
【0023】
次に、このフィルムFを装置にセットして内容物を収容する場合の動作を図4A,図4Bにより説明する。(a)は、折り畳んだ状態のフィルムFを示す。環状に折り畳まれたフィルムFの一番外側の部分F1を手でつかんで引っ張り、中央方向に移動させ、搬送ローラ100の位置にまで持ってくる(b)。次に、搬送ローラ100を駆動してフィルムFを送り出す。(c)の位置まで送り出した後、搬送ローラ100が停止され、フィルムシール部101を作動させる。これにより、フィルムFの端部F1が溶融されシールされる。フィルムシール部101は、通常はフィルムFから離間した位置に待機している。シールを行った後、(d)に示すように、フィルムFの中に内容物Nを収容する。内容物Nとしては、例えば、人の排せつ物や生ゴミがあげられる。
【0024】
内容物Nの収容が終わると、再び、搬送ローラ100を駆動させる。これを(e)に示す。所定量フィルムFが繰り出されると、搬送ローラ100を停止させ、フィルムシール部101をフィルムFに圧着させ、シールを行うと共にシール領域に対する切断作用を行う。これにより、(f)に示すように、内容物Nが収容されたフィルムFが分離される。分離された内容物入りのフィルムFは、廃棄処分等が行われる。図5は、動作している時のフィルムシール装置の外観を示す斜視図である。
【0025】
図6は、フィルムシール部101の動作の詳細を示す図である。フィルムシール部101は1つの駆動モータ(アクチュエータ)により駆動される。図6(a)に示すように、フィルムFを挟むように一対のフィルムシール部101が設けられ、それぞれ、フィルム挟持手段101aと、フィルム圧着手段101bを備えている。フィルム圧着手段101bは、互いに向かい合う第1圧着部4と第2圧着部5により構成される。
【0026】
駆動モータにより、フィルム挟持手段101aとフィルム圧着手段101bの両方が一体的に駆動する。図6(b)に示すように、最初にフィルム挟持手段101aどうしでフィルムFの端部を挟持する。この時点では、まだフィルム圧着手段101bはフィルムFを圧着していない。さらに駆動モータを駆動すると、コイルスプリング102の付勢力に抗して、フィルム圧着手段101bどうしが近接し始め、(c)に示すようにフィルムFをフィルム圧着手段101bで圧着した状態になる。
【0027】
次に、フィルム圧着手段101b(第1圧着部4)の表面に設けられたヒーターを加熱し、フィルムFのシール領域をシールする。また、圧着時にはフィルム切断手段による切断作用も行わせる。ただし、フィルムFのシール領域の切断は完全には行われていない。
【0028】
次に、(d)に示すように、駆動モータを逆方向に駆動させて、フィルム圧着手段101bの圧着状態を解除させる。ただし、フィルム挟持手段101aによる挟持状態は解除させない。この状態で、搬送ローラ100を逆方向(戻し方向)に回転させる。この動作により、フィルムFの切断が確実に行われる((e)参照)。その後、駆動モータをさらに逆方向に駆動して、フィルム挟持手段101aによる挟持状態を解除させる。
【0029】
環状に折り畳まれた状態のチューブ状フィルムを搬送ローラ100で引き込んでいくように駆動するので(図3参照)、ヒーターでシールを行うシール領域には、何重にもシワが寄った形でフィルムFが供給される。すなわち、シール部におけるフィルムFの厚みは一定していない状態である。従って、かかる状態のシール領域をヒーターで加熱してシールし、切断作用を行っても、きれいにフィルムFが分離できないことがあるが、搬送ローラ100を戻し方向に逆回転させることで、フィルムFの切断を確実に行うようにしている。
【0030】
図7は、内容物Nが収容されて切断された後のフィルムFを示す図である。フィルムFの送り出し方向の前後にシールされるシール領域F2が設けられる。
【0031】
<圧着部の構成>
次に、第1圧着部4と第2圧着部5の構成を図8の組立斜視図及び図9の分解斜視図及び図10の断面図により説明する。第1圧着部4は、第1保護テープ40と、線状のヒーター41と、絶縁テープ42と、断熱紙43と、第1圧着体44により構成される。第2圧着部5は、第2保護テープ50と、弾性体51と、第2圧着体52と、凹凸形成テープ53により構成される。
【0032】
第1圧着部4の側の第1保護テープ40は、フッ素樹脂で形成され、内部に収容されるヒーター41を保護する。第1保護テープ40は、断面形状が略コの字であり、長手方向に沿った形状を有する。ヒーター41は、線状に形成され、通電すると加熱される。ヒーター41の長手方向の両端部は、電極41aとして機能し、不図示のリード線先端にかしめられた端子とネジで共締めされる。また、ヒーター41の幅方向中央には切断手段として機能する突出部41bが長手方向に沿って形成される。
【0033】
ヒーター41の内側には、絶縁テープ42が配置され、金属製のヒーター41を他の部分から絶縁する。絶縁テープ41の内側には、シート状の断熱紙43が配置され、ヒーター41による溶融加熱を効率よく行うようにしている。
【0034】
第1圧着体44は、耐熱樹脂製であり、ヒーター41等の部材を保持する機能も有する。ネジ45及びワッシャー46により、ヒーター41の電極41aに形成されたネジ穴部41cを用いて結合する。これにより、絶縁テープ42と断熱紙43も併せて結合される。
【0035】
一方、第2圧着部5の側の第2保護テープ50は、第1保護テープ40と同じように、フッ素樹脂で形成され、内側に配置される弾性体51を保護する。弾性体51は、例えば、シリコンスポンジ等の材料により形成される。第2圧着体52は、第1圧着体51と同様の材質及び形状を有している。
【0036】
凹凸形成テープ53(易裂性処理手段に相当)は、フッ素樹脂で形成され、断面略コの字に形成され、第2保護テープ50の表面にかぶせるように取り付けられる。凹凸形成テープ53には、短辺方向に沿った多数のスリット53aが形成されており、スリット53aの両端部は、側面部53bにまで伸びている。スリット53aを形成することで、表面が凹凸に形成される。
【0037】
<シール動作>
フィルムFのシール領域をシール時の動作は、図10及び図11に示される。第1圧着部4の第1保護テープ40の圧着面40aと、第2圧着部5の第2保護テープ50の圧着面50aにより、シール領域を圧着する。圧着後、ヒーター41を所定時間加熱することで、シール領域を溶融してシールすると共に、突出部41bによりフィルムFを切断する。
【0038】
図12は、切断後のフィルムFのシール領域を拡大して示す斜視図である。FLは切断線である。凹凸形成テープ53により圧着された部分には、凹凸形状に対応した凹凸部F3が形成される。すなわち、凹凸部F3の厚みが厚い部分は引き裂き強度が強い第1シール領域部分F30に相当し、薄い部分は引き裂き強度が弱い第2シール領域部分F31に相当する。この第2シール領域部分31を引っ張ることで、その箇所から容易に手で引き裂くことができる。
【0039】
図13は、実際に包装袋を引き裂く時の動作を示す図である。包装袋FBの上下がシールされており、それぞれのシール領域の中央に凹凸部F3が形成されている。(a)に示すように、包装袋FBの上端部の左右を手で持ち、(b)に示すように、左右に引っ張る。次に、(c)に示すように、包装袋FBの上下をひっくり返すと、(d)に示すように、内容物Nを取り出すことができる。本発明の場合、引き裂き強度の弱い第2シール領域部分F31が形成されているので、左右に包装袋FBを引っ張るだけで、包装袋FBの所定箇所(凹凸部F3)を引き裂くことができる。
【0040】
本実施形態の場合、シール領域の厚みは、両端に近い部分が厚くなり、中央部分は薄くなる。これは、両端に近い厚いシール部は、フィルムFの搬送ローラ100により引っ張られ、シワが多く形成されるためである。一方、シール領域の中央部分はシワの形成が少なくなるので厚さは薄い。従って、中央部分に凹凸部F3を設けるようにすれば、引き裂き強度の弱い第2シール領域部分F31を形成しやすくなる。
【0041】
<第2実施形態>
次に、易裂性処理手段としての凹凸形成テープ530の別実施形態を図14により説明する。この実施形態では、凹凸形成テープ530は、シールになっており台紙に接着されている。使用する時は、図14(a)に示すように、台紙からはがして、(b)に示すように、圧着面40aに貼り付ける。凹凸形成テープ530には、スリット530aが形成されており、これにより、フィルムFに凹凸部F3が形成される。(c)は圧着した状態を示し、(d)はシール後の包装袋を示す。(e)は袋を引き裂く時の様子を示す図である。
【0042】
このシールタイプの凹凸形成テープ530は、図18に示すような通常の包材をシールする汎用のヒートシール装置に好適に用いることができる。すなわち、既存のヒートシール装置に、使用者が凹凸形成テープ530を自分で貼り付けることで、易裂性処理手段の機能を簡単に付加することができる。これにより、安価に機能向上できるという利点を有する。
【0043】
第1実施形態では、チューブ状フィルムを対象としたヒートシール装置を説明したが、図18に示す汎用のヒートシール装置の場合、シール部に不均一な量のしわがよることがない。従って、凹凸形成テープ530もシール領域の広範囲にわたって貼り付ける必要はなく、ごく短い幅のシール形状とすることができる。第1実施形態の場合は、シール部に、不均一なしわがよるので、シール部の厚みの正確な管理が困難である。そこで、できるだけ広範囲に易裂性処理手段としての機能を持たせている。
【0044】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係るヒートシール装置について説明する。図15は、易裂性処理手段の機能を有するヒーター41の形状を示す外観斜視図である。図16は、その断面形状を示す図である。図15に示すように、ヒーター41の中央の線状の突出部41bの両側に多数の円錐状の突出部41d(易裂性処理手段に相当)が形成される。この突出部41dの先端は鋭利にしてもよいし丸くしてもよい。突出部41dの高さは、線状の突出部41bと同じ高さでもよいし、変えてもよい。
【0045】
上記のような突出部41dを設けることで、シール領域に第1シール領域部分F30と第2シール領域部分F31を形成することができる。図17にも示すように、第2シール領域部分F31は、具体的には、フィルムFに形成される孔である。孔として形成することで、手で引き裂きやすくなる。なお、完全な孔として形成されていなくてもよく、少なくとも、引き裂き強度が弱くなるような薄肉に形成されていればよい。
【0046】
<凹凸部の形状について>
凹凸形成テープでフィルムの凹凸部F3を形成する場合、図19に示すように、フィルムF側に形成された凹凸部F3の奥の角F32が鋭いほうが引き裂き易い。すなわち、角F32の部分に応力集中が生じ、図19(b)に示すように、そこからクラックが入ることで引き裂き易くなる。従って、凹凸形成テープ530も角を鋭くしておくことが好ましい。この点は、第1実施形態で説明した図9の凹凸形成テープ53も同様である。
【0047】
一方、図20に示すように、凹凸部F3の奥の角F32が鋭くない(丸みを有する、Rが大きい等)場合は、図20(b)に示すように、クラックが生じにくくなるため、フィルムFを左右方向に引っ張っても薄肉部(第2シール領域部分)が伸びてしまうだけ、という可能性がある。従って、フィルムFに凹凸部F3を形成する場合は、上記を考慮して凹凸形成テープを構成し装着させる必要がある。
【0048】
<第4実施形態>
図21は、第4実施形態に係るフィルムシール装置の第1圧着部4と第2圧着部5の構成を示す組立斜視図である。本実施形態では、凹凸形成テープ53の構成のみが図8とは異なり、他の構成については図8と同様であるため、同様の構成については説明を省略する。
【0049】
本実施形態における凹凸形成テープ53(易裂性処理手段に相当)は、フッ素樹脂で形成され、第2保護テープ50の表面にかぶせるように取り付けられる。凹凸形成テープ53には、短辺方向に沿った多数のスリット53aが形成されているが、スリット53aの両端部は、図8のように側面部53bにまで伸びていない。すなわち、各スリット53aの両端部と側面部53bとの間に間隔が形成されることにより、各スリット53aの長手方向の両側に、凹凸のない平坦面53cが形成されている。これら2つの平坦面53cの間には、スリット53aにより構成された凹凸部を有する凹凸面53dが形成されている。フィルムFは、凹凸面53d上の切断線L1において切断される。
【0050】
図22は、第4実施形態に係るフィルムシール装置によりシールされて切断された包装袋FBを示す図である。切断された包装袋FBには、フィルムFの送り出し方向の前後にシール領域F2が形成される。各シール領域F2には、凹凸面53dにより圧着された第1圧着領域F4と、平坦面53cにより圧着された第2圧着領域F5とが、フィルムFの送り出し方向の前後に隣接して形成される。第1圧着領域F4は、包装袋FBの端部に形成され、第2圧着領域F5は、第1圧着領域F4よりも内側(内容物N側)に形成される。第1圧着領域F4には、凹凸面53dの各スリット53aに対応する位置に、各スリット53aの凹凸形状に対応した凹凸部F3が形成される。
【0051】
このように、凹凸部F3が形成された第1圧着領域F4よりも内側に、凹凸部F3を有しない第2圧着領域F5が形成されることにより、内容物Nなどによる内側からの圧力に対して、包装袋FBが凹凸部F3から容易に破れてしまうのを防止することができる。
【0052】
<第5実施形態>
図23は、第5実施形態に係るフィルムシール装置の第1圧着部4と第2圧着部5の構成を示す組立斜視図である。本実施形態では、第2圧着部5の構成のみが図8とは異なり、他の構成については図8と同様であるため、同様の構成については説明を省略する。
【0053】
本実施形態では、第2圧着部5が、フィルムFの送り出し方向の前後に3つの圧着部5a〜5cを並べた構成となっている。3つの圧着部5a〜5cは、いずれも図9に示す第2保護テープ50、弾性体51及び第2圧着体52を有し、各第2保護テープ50の圧着面50aが第1圧着部4の第1保護テープ40の圧着面40aに対向している。これら3つの圧着部5a〜5cのうち、中央に位置する圧着部5bにのみ凹凸形成テープ53(易裂性処理手段に相当)が取り付けられている。
【0054】
凹凸形成テープ53は、フッ素樹脂で形成され、圧着部5bの第2保護テープ50の表面にかぶせるように取り付けられる。凹凸形成テープ53には、短辺方向に沿った多数のスリット53aが形成されており、各スリット53aの両端部は、隣接する圧着部5a,5cにまで伸びている。これにより、各スリット53aの長手方向の両側に、凹凸のない平坦面53cが圧着部5a,5cによって形成されている。これら2つの平坦面53cの間には、スリット53aにより構成された凹凸部を有する凹凸面53dが圧着部5bによって形成されている。フィルムFは、凹凸面53d上の切断線L1において切断される。
【0055】
このようなフィルムシール装置を用いた場合でも、図22と同様に、凹凸面53dにより圧着された第1圧着領域F4と、平坦面53cにより圧着された第2圧着領域F5とを有するシール領域F2を包装袋FBの端部に形成することができる。
【0056】
<第6実施形態>
図24は、第6実施形態に係るヒートシール装置の第1圧着部4と第2圧着部5の構成を示す組立斜視図である。この第1圧着部4と第2圧着部5は、例えば図18に示すようなヒートシール装置に適用可能である。ただし、図18に例示されるようなヒートシール装置では、予め切断された包装袋FBの開口部が圧着されるため、第1圧着部4における切断手段としての突出部41bは不要である。また、図18と同様に、第1圧着部4及び第2圧着部5を上下反転させた状態で使用することも可能である。
【0057】
凹凸形成テープ53(易裂性処理手段に相当)を図18に示すようなヒートシール装置に適用する場合、凹凸形成テープ53を図21と同様の構成とすることも可能であるが、本実施形態では、各スリット53aの一端部のみが側面部53bまで伸びている。すなわち、各スリット53aの長手方向の一方側に、凹凸のない平坦面53cが形成されている。スリット53aにより構成された凹凸部を有する凹凸面53dは、平坦面53cに隣接して形成されている。第2圧着部5は、平坦面53cがヒートシール装置の手前側となるように取り付けられ、手前側から第1圧着部4と第2圧着部5との間に挿入される包装袋FBの端部(開口部側の端部)が、凹凸面53d上の目標線L2に合わせられる。このように、スリット53a上の目標線L2に包装袋FBの端部を合わせることの必要性は、図18の構成においても同様であり、包装袋FBの端部が凹凸形成テープ53よりも後側に位置しないように合わせる必要がある。
【0058】
このようなヒートシール装置を用いた場合でも、図22と同様に、凹凸面53dにより圧着された第1圧着領域F4と、平坦面53cにより圧着された第2圧着領域F5とを有するシール領域F2を包装袋FBの一端部に形成することができる。
【0059】
<第7実施形態>
図25は、第7実施形態に係るヒートシール装置の第1圧着部4と第2圧着部5の構成を示す組立斜視図である。この第1圧着部4と第2圧着部5は、例えば図18に示すようなヒートシール装置に適用可能である。この例においても、第1圧着部4における切断手段としての突出部41bは不要であり、図18と同様に、第1圧着部4及び第2圧着部5を上下反転させた状態で使用することも可能である。
【0060】
本実施形態では、第2圧着部5が、前後に2つの圧着部5d,5eを並べた構成となっている。2つの圧着部5d,5eは、いずれも図9に示す第2保護テープ50、弾性体51及び第2圧着体52を有し、各第2保護テープ50の圧着面50aが第1圧着部4の第1保護テープ40の圧着面40aに対向している。これら2つの圧着部5d,5eのうち、後側に位置する圧着部5eにのみ凹凸形成テープ53(易裂性処理手段に相当)が取り付けられている。
【0061】
凹凸形成テープ53は、フッ素樹脂で形成され、圧着部5eの第2保護テープ50の表面にかぶせるように取り付けられる。凹凸形成テープ53には、短辺方向に沿った多数のスリット53aが形成されており、各スリット53aの一端部は、隣接する圧着部5dにまで伸びている。これにより、各スリット53aの長手方向の一方側に、凹凸のない平坦面53cが圧着部5dによって形成されている。スリット53aにより構成された凹凸部を有する凹凸面53dは、圧着部5eによって平坦面53cに隣接して形成されている。第2圧着部5は、平坦面53cがヒートシール装置の手前側となるように取り付けられ、手前側から第1圧着部4と第2圧着部5との間に挿入される包装袋FBの端部(開口部側の端部)が、凹凸面53d上の目標線L2に合わせられる。
【0062】
このようなヒートシール装置を用いた場合でも、図22と同様に、凹凸面53dにより圧着された第1圧着領域F4と、平坦面53cにより圧着された第2圧着領域F5とを有するシール領域F2を包装袋FBの一端部に形成することができる。
【0063】
<別実施形態>
本実施形態において、ヒーターは第1圧着部4の側にのみ設けられているが、第1圧着部4と第2圧着部5の双方に設けられていてもよい。また、第2圧着部5のみに設けられていてもよい。
【0064】
本発明において、フィルムFの材質は特に限定されるものではなく、加熱すれば溶融してシール可能な樹脂フィルム等、種々のフィルムFを使用することができる。また、内容物Nについても、特定のものに限定されるものではない。
【0065】
本発明において、易裂性処理手段を適用すべきヒートシール装置の構造や、シールすべきフィルムの形態は、特定の構造や形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0066】
4 第1圧着部
5 第2圧着部
41 ヒーター
41d 突出部
53 凹凸形成テープ
53a スリット
53c 平坦面
53d 凹凸面
530 凹凸形成テープ
F フィルム
F3 凹凸部
F4 第1圧着領域
F5 第2圧着領域
F30 第1シール領域部分
F31 第2シール領域部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被シール物のシール領域を圧着挟持するための第1圧着部と第2圧着部と、
圧着挟持されたシール領域を加熱溶融してシールするため、前記第1圧着部と前記第2圧着部の少なくとも一方に設けられるヒーターと、を備えたヒートシール装置であって、
前記シール領域に引き裂き強度が強い第1シール領域部分と引き裂き強度が弱い第2シール領域部分を形成するための易裂性処理手段を設けたことを特徴とするヒートシール装置。
【請求項2】
前記易裂性処理手段は、線状に形成された前記ヒーターの表面に設けられる突出部であり、この突出部により、前記第2シール領域部分を形成することを特徴とする請求項1に記載のヒートシール装置。
【請求項3】
前記第2シール領域部分は、前記シール領域に形成される孔であることを特徴とする請求項2に記載のヒートシール装置。
【請求項4】
前記易裂性処理手段は、前記第1圧着部と第2圧着部の少なくとも一方の圧着面に設けられる凹凸部であり、この凹凸部により、前記第1シール領域部分と前記第2シール領域部分を形成することを特徴とする請求項1に記載のヒートシール装置。
【請求項5】
前記第1シール領域部分と前記第2シール領域部分を前記シール領域の長手方向に沿って、交互に形成することを特徴とする請求項4に記載のヒートシール装置。
【請求項6】
前記易裂性処理手段には、前記凹凸部を有する凹凸面と、前記凹凸部を有しない平坦面とが、圧着面の短手方向に隣接して形成されており、
前記凹凸面により圧着された第1圧着領域が被シール物の端部に形成されるとともに、前記平坦面により圧着された第2圧着領域が、被シール物における前記第1圧着領域よりも内側に形成されることを特徴とする請求項4又は5に記載のヒートシール装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒートシール装置によってシールされた被シール物であって、前記第1シール領域部分と前記第2シール領域部分が形成された被シール物。
【請求項1】
被シール物のシール領域を圧着挟持するための第1圧着部と第2圧着部と、
圧着挟持されたシール領域を加熱溶融してシールするため、前記第1圧着部と前記第2圧着部の少なくとも一方に設けられるヒーターと、を備えたヒートシール装置であって、
前記シール領域に引き裂き強度が強い第1シール領域部分と引き裂き強度が弱い第2シール領域部分を形成するための易裂性処理手段を設けたことを特徴とするヒートシール装置。
【請求項2】
前記易裂性処理手段は、線状に形成された前記ヒーターの表面に設けられる突出部であり、この突出部により、前記第2シール領域部分を形成することを特徴とする請求項1に記載のヒートシール装置。
【請求項3】
前記第2シール領域部分は、前記シール領域に形成される孔であることを特徴とする請求項2に記載のヒートシール装置。
【請求項4】
前記易裂性処理手段は、前記第1圧着部と第2圧着部の少なくとも一方の圧着面に設けられる凹凸部であり、この凹凸部により、前記第1シール領域部分と前記第2シール領域部分を形成することを特徴とする請求項1に記載のヒートシール装置。
【請求項5】
前記第1シール領域部分と前記第2シール領域部分を前記シール領域の長手方向に沿って、交互に形成することを特徴とする請求項4に記載のヒートシール装置。
【請求項6】
前記易裂性処理手段には、前記凹凸部を有する凹凸面と、前記凹凸部を有しない平坦面とが、圧着面の短手方向に隣接して形成されており、
前記凹凸面により圧着された第1圧着領域が被シール物の端部に形成されるとともに、前記平坦面により圧着された第2圧着領域が、被シール物における前記第1圧着領域よりも内側に形成されることを特徴とする請求項4又は5に記載のヒートシール装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒートシール装置によってシールされた被シール物であって、前記第1シール領域部分と前記第2シール領域部分が形成された被シール物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−184032(P2012−184032A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124364(P2011−124364)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000236964)富士インパルス株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000236964)富士インパルス株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
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