説明

ヒートパイプ埋め込みパネル及びその製造方法

【課題】本発明は、温度センサによる重量増加を抑えつつ、ヒートパイプの温度をより正確に計測することができるヒートパイプ埋め込みパネル及びその製造方法を得ることを目的とするものである。
【解決手段】ヒートパイプ4の側面には、ヒートパイプ4の温度を検出する光ファイバ温度センサ5が接着されている。光ファイバ温度センサ5は、光ファイバ6と、光ファイバ6に互いに間隔をおいて設けられた複数のセンサ部7とを有している。センサ部7は、光ファイバ6により直列に接続されている。各センサ部7は、光ファイバ6に形成されたファイバ・ブラッグ・グレーティング(Fiber Bragg Grating)部と、平板状の基材と、FBG部を基材に接着する接着剤とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば人工衛星等に用いられるヒートパイプ埋め込みパネル及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の人工衛星用のパネルとしては、インナ表皮、アウタ表皮及びハニカムコアにより構成されるハニカムサンドイッチパネルが用いられている。また、搭載された機器等の発熱を宇宙空間に効率良く排熱するため、ハニカムコア内にはヒートパイプが埋め込まれている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来のヒートパイプ埋め込みパネルでは、熱の輸送能力が設計通りに得られているかを確認するため、ヒータによりパネルを部分的に加熱し、その際のパネル表面の温度を熱電対によって計測する(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−129857号公報(図21)
【特許文献2】特開2002−120310号公報(図13〜15)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の温度計測方法では、パネル表面に熱電対を貼り付けるため、実際の搭載機器をパネル表面に実装した状態では熱電対を配置することができず、搭載機器実装状態での精密な性能評価ができない。また、搭載機器実装状態での温度計測をあきらめ、熱輸送能力の評価のみを行う場合でも、パネル表面に熱電対を貼り付けるため、パネル表面の温度しか計測できず、ヒートパイプ自身の温度を正確に計測することができず、精密な評価が行えない。
【0006】
これに対して、熱電対をパネル内に埋め込めば上記の問題は回避できるが、その場合、1計測地点に対して2本の金属線を埋め込み、かつその金属線を数m程度のかなりの長さに渡って引き回してパネル外へ取り出す必要があるため、軽量化が必須の人工衛星構体の重量を増やしてしまう。特に、多点で計測する必要がある場合は、重量増加が大きな問題となり、この構成を採用することができない。
【0007】
また、ヒートパイプの試験は、宇宙空間を模擬した大型の真空槽中で行う必要があるため、熱電対を用いる場合、設置点数を増やすのに対応して配線数が増大し、設置の作業性が極めて悪い。さらに、真空槽壁面に設置されるハーメチック端子の数によって設置点数が制限される。さらにまた、振動試験などの他の試験を行う場合は、熱電対を一度取り外し、再度取り付ける必要があり、作業効率が悪い。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、温度センサによる重量増加を抑えつつ、ヒートパイプの温度をより正確に計測することができるヒートパイプ埋め込みパネル及びその製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るヒートパイプ埋め込みパネルは、第1のスキンパネル、第1のスキンパネルに対向する第2のスキンパネル、第1及び第2のスキンパネル間に設けられているコア材、第1及び第2のスキンパネル間に設けられているヒートパイプ、及びヒートパイプに取り付けられ、反射スペクトルのブラッグ波長が温度に応じて変化するファイバ・ブラッグ・グレーティング部が形成された光ファイバを有する光ファイバ温度センサを備えている。
【発明の効果】
【0010】
この発明のヒートパイプ埋め込みパネルは、ファイバ・ブラッグ・グレーティング部が設けられた光ファイバ温度センサを用いたので、1本の光ファイバに複数のファイバ・ブラッグ・グレーティング部を形成することにより、計測地点が増えても光ファイバは増加させずに済み、ヒートパイプへの取り付けが容易であるとともに、温度センサによる重量の増加を抑えることができる。また、光ファイバ温度センサをヒートパイプとともに第1及び第2のスキンパネル間に埋め込んでヒートパイプ自身の温度を計測することができ、ヒートパイプの温度をより正確に計測することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるヒートパイプ埋め込みパネルを示す斜視図であり、この例では人工衛星用のヒートパイプ埋め込みパネルを示している。図において、互いに対向する平板状の第1及び第2のスキンパネル1,2間には、コア材としてのハニカムコア3が介在されている。即ち、このヒートパイプ埋め込みパネルは、ハニカムサンドイッチパネル構造を有している。
【0012】
また、第1及び第2のスキンパネル1,2間には、ハニカムコア3に隣接してヒートパイプ4が設けられている。第1又は第2のスキンパネル1,2に搭載された機器で局所的に発生した熱は、ヒートパイプ4に沿って輸送されることによりヒートパイプ4の長さ方向に均等化され、パネル表面から宇宙空間に排熱される。
【0013】
ヒートパイプ4の側面には、ヒートパイプ4の温度を検出する光ファイバ温度センサ5が接着されている。光ファイバ温度センサ5は、図2にも示すように、光ファイバ6と、光ファイバ6に互いに間隔をおいて設けられた複数(図では3つ)のセンサ部7とを有している。センサ部7は、光ファイバ6により直列に接続されている。
【0014】
光ファイバ6の先端部は、封止されている。また、光ファイバ6の基端部は、第1のスキンパネル1に設けられた窓1aから第1のスキンパネル1上に引き出され、光コネクタ8に接続されている。光ファイバ温度センサ5に対する光信号の入出力は、光コネクタ8から行われる。
【0015】
第1及び第2のスキンパネル1,2間には、窓1aに連通する開口を有する光ファイバ収納箱9が設けられている。光ファイバ収納箱9には、ヒートパイプ埋め込みパネルの製造途中で光ファイバ6の基端部が収納される。
【0016】
図3は図1のセンサ部7の断面図である。各センサ部7は、光ファイバ6に形成されたファイバ・ブラッグ・グレーティング(Fiber Bragg Grating)部11(以下、FBG部と略称する)と、平板状の基材12と、FBG部11を基材12に接着する接着剤13とを有している。
【0017】
基材12は、機械的な強度及び剛性がヒートパイプ4よりも高い材料、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により構成されている。また、基材12は、その裏面の一端の領域のみが接着剤14によりヒートパイプ4の壁面に接着されている。そして、基材12の裏面の接着領域以外の領域は、ヒートパイプ4の壁面に単に接触されている(図3では隙間があるが、実際には密着される)。
【0018】
基材12の接着領域は、基材12の裏面の半分未満とするのが好適である。また、基材12の接着領域は、FBG部11が設置された領域を除く領域で基材12の一端側のみとするのがさらに好適である。
【0019】
図4は図3の光ファイバ6のFBG部11付近を示す拡大図である。光ファイバ6は、コア15と、コア15の外周を覆うクラッド16と、クラッド16の外周を覆う被覆(図示せず)とを有している。FBG部11の付近では、被覆が除去されており、クラッド16が露出されている。
【0020】
図3ではFBG部11を光ファイバ6よりも太く描いたが、実際には、FBG部11の付近の径は、被覆が除去された分だけ他の部分の径よりも小さくなっている。例えば、光ファイバ6全体の径は250μm、クラッド16の径は125μm、コア15の径は10μm程度である。各FBG部11は、コア15に5mm程度の範囲に渡って形成されている。
【0021】
図5は図4のFBG部11の構造を示す説明図、図6は図5のFBG部11の反射スペクトルの特性を示すグラフである。FBG部11は、コア15中に形成される屈折率の周期構造であり、急峻な反射スペクトル特性が得られるという特徴を有している。FBG部11では、コア15の屈折率が周期長Λで変化している。
【0022】
反射スペクトルの中心波長(ブラッグ波長:λb)、周期Λ、及び屈折率nの関係は、次式で表される。
λb=2nΛ
屈折率nは温度に依存するので、周期Λが変化しなければ、ブラッグ波長を計測することにより温度を知ることができ、温度センサとして使用することができる。
【0023】
図7は図2の光ファイバ温度センサ5を用いた温度計測システムを示す構成図である。温度計測時には、光ファイバ6の基端部に、光路を変換する光サーキュレータ17が接続される。また、光サーキュレータ17には、広帯域光源であるASE(Amplified Spontaneous Emission)光源18と、波長計測装置である光波長計19とが接続される。
【0024】
図8は図7のシステムで計測されたブラッグ波長と温度との関係を示すグラフである。このように、直線性の高い関係が得られる。従って、図8のようなブラッグ波長と温度との関係を予め計測しておくことにより、ブラッグ波長から計測地点の温度を正確に計測することができる。また、例えば常温におけるブラッグ波長を計測地点毎にずらす(例えば2nm以上)ことにより、多くの計測地点の温度を検出することができる。
【0025】
次に、実施の形態1のヒートパイプ埋め込みパネルの製造方法について説明する。まず、図9に示すように、ブラッグ波長が互いに異なるFBG部11を、計測地点に対応した間隔L1,L2をおいて光ファイバ6に形成する。このとき、長さ方向に予め分割された複数の光ファイバ分割片のそれぞれにFBG部11を1箇所ずつ形成した後、光ファイバ分割片同士を融着しても、1本の光ファイバ6にそのまま全てのFBG部11を形成してもよい。
【0026】
次に、光ファイバ6のFBG部11が形成された部分の被覆を除去する。そして、図10に示すように、各FBG部11を、予め成形された基材12上に接着剤13により接着する。また、図11に示すように、ヒートパイプ4の側面に光ファイバ収納箱9を接着しておく。
【0027】
この後、図12に示すように、ヒートパイプ4の側面に光ファイバ温度センサ5を接着し、光ファイバ6の基端部を光ファイバ収納箱9に収納する。このとき、上述したように、基材12の端部のみがヒートパイプ4に接着され、基材12のFBG部11が設置された領域は、ヒートパイプ4の計測地点に接触されるが接着はされない。
【0028】
次に、第1及び第2のスキンパネル1,2の裏面にそれぞれ接着剤を塗布した後、図13に示すように、ハニカムコア3と図12のヒートパイプ4とを第1及び第2のスキンパネル1,2の裏面間に挟み込み加圧成形する。また、接着剤を加熱硬化させ、第1及び第2のスキンパネル1,2とハニカムコア3とヒートパイプ4とを一体化させる。
【0029】
この後、パネルの周囲を所望の形状にトリミングする。また、第1のスキンパネル1の光ファイバ収納箱9に対応する部分に穴あけ加工を施して窓1aを設け、光ファイバ6の基端部を窓1aから第1のスキンパネル1上に引き出す。そして、光ファイバ6の基端部に光コネクタ8を接続する。これにより、図1に示したヒートパイプ埋め込みパネルが完成する。以上のように製造したヒートパイプ埋め込みパネルの温度分布を、図7に示したような温度計測システムにより計測したところ、温度分布の計測を精度良く行うことができた。
【0030】
上記のようなヒートパイプ埋め込みパネルでは、FBG部11が設けられた光ファイバ温度センサ5を用いたので、1本の光ファイバ6に複数のFBG部11を形成することにより、計測地点が増えても光ファイバ6は増加させずに済み、ヒートパイプ4への取り付けが容易であるとともに、温度センサによる重量の増加を抑えることができる。また、光ファイバ温度センサ5をヒートパイプ4とともに第1及び第2のスキンパネル1,2間に埋め込んでヒートパイプ4自身の温度を計測することができ、ヒートパイプ4の温度をより正確に計測することができる。さらに、搭載機器をパネルに実装した状態でヒートパイプ4の温度を計測することができる。
【0031】
また、FBG部11は、ヒートパイプ4よりも強度及び剛性の高い材料からなる基材12を介してヒートパイプ4に取り付けられているので、ヒートパイプ4の歪みによりブラッグ波長が変化するのを防止することができ、ヒートパイプ4の温度を安定して計測することができる。
【0032】
ここで、計測地点の歪みによる影響を除去するために、FBG部11をゲル状物質で覆う構造も考えられるが、人工衛星構体のように真空中で使用する場合には、ゲル状物質のガス放出が問題となる。また、ガスが放出しないように厳重なパッケージを行う場合には、パッケージの小型化や軽量化が難しく、パネル内の実装が難しい。
【0033】
これに対して、実施の形態1では、基材12を介してFBG部11をヒートパイプ4に取り付けたので、センサ部7を小型化し、光ファイバ温度センサ5を容易にパネル内に実装することができる。
【0034】
基材12は、FBG部11が設置された領域を除く領域の一部である接着領域でヒートパイプ4に接着されているので、ヒートパイプ4が温度変化で変形しても、接着領域が基材12の一部であるため、基材12に不要な歪が生じず、計測地点の歪みによる影響をより確実に除去できる。
また、基材12の接着領域を除く部分はヒートパイプ4に接触されているので、ヒートパイプ4の温度は接着領域を介することなく直接基材12に伝熱できるため、ヒートパイプ4の温度をより正確に計測することができる。
【0035】
さらに、基材12は、熱伝導性に優れた炭素繊維強化プラスチック材料により構成されているので、FBG部11の温度を速やかに計測地点の温度と同じにすることができ、ヒートパイプ4の温度を精度良く計測することができる。加えて、炭素繊維強化プラスチック材料は、比強度、比剛性が高いので、センサ部7をさらに小型化することができる。
【0036】
さらにまた、製造時に光ファイバ6の端部が収納される光ファイバ収納箱9を用い、パネル成形前に光ファイバ収納箱9に光ファイバ6の端部を収納し、パネル成形後に、第1のスキンパネル1の光ファイバ収納箱9に対応する位置に穴あけ加工を施し、光ファイバ6の端部を第1のスキンパネル1上に引き出すので、パネル成形後にパネル外周のトリミング加工を行っても光ファイバ6が断線されるのを防止することができる。
【0037】
実施の形態2.
次に、図14はこの発明の実施の形態2によるヒートパイプ埋め込みパネルのセンサ部7の断面図である。この例では、FBG部11が基材12内に埋め込まれている。基材12にFBG部11を埋め込む方法としては、例えば、FBG部11を内部に配置した状態で基材12を成型する方法や、基材12を複数枚のシートの積層構造とし、シート間にFBG部11を挟み込んで加熱硬化させる方法等が挙げられる。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0038】
このようなヒートパイプ埋め込みパネルでは、製造工程で高温に曝された場合にも反射スペクトルの形状が変化しにくくなり、ヒートパイプ4の温度の計測精度を安定させることができる。
【0039】
ここで、図15はFBG部11を基材12内に埋め込む場合と埋め込まない場合の光ファイバ温度センサ5の反射スペクトル形状を示すグラフである。ヒートパイプ埋め込みパネルの製造工程において接着剤の強度が低下するような高温に曝された場合、基材12上にFBG部11が接着された光ファイバ温度センサ5では、実線で示す製造前の反射スペクトル形状が製造後に破線の形状に変化した。このように、スペクトル形状が変化すると、予め計測しておいたブラッグ波長と温度との関係が変化してしまい、ブラッグ波長から正確な温度を計測することができなくなる。
【0040】
これに対して、実施の形態2の光ファイバ温度センサ5では、ヒートパイプ埋め込みパネルの製造工程で高温に曝された場合も反射スペクトル形状が実線のまま変化しなかった。このため、高温に曝された場合でも精度が低下しない光ファイバ温度センサ5を得ることができた。
【0041】
実施の形態3.
次に、図16はこの発明の実施の形態3によるヒートパイプ埋め込みパネルのセンサ部7の断面図である。この例では、光ファイバ6の長さ方向に強化された一方向強化炭素繊維強化プラスチック材料により構成された基材21が用いられている。他の構成は、実施の形態2と同様である。
【0042】
このようなヒートパイプ埋め込みパネルでは、光ファイバ6の長さ方向の熱伝導性が向上するので、温度変化に対して応答性の良い光ファイバ温度センサを得ることができる。
【0043】
実施の形態4.
次に、図17はこの発明の実施の形態4によるヒートパイプ埋め込みパネルのヒートパイプ4に光ファイバ温度センサ5を接着した状態を示す斜視図である。この例では、互いに隣接するセンサ部7間の光ファイバ6に所定の弛みが設けられている。弛み量としては、センサ部7間の間隔に対して、センサ部7間の光ファイバ6の長さを5%以上長くするのが好適である。勿論、光ファイバ6の弛み量の上限は、パネル内の光ファイバ温度センサ5の設置スペースにより制約される。例えば、センサ部7間の間隔が30mmである場合、センサ部7間の光ファイバ6の長さは31mmに設定される。他の構成は、実施の形態1〜3と同様である。
【0044】
このようなヒートパイプ埋め込みパネルでは、製造工程で高温に曝された場合にも反射スペクトルの形状が変化しにくくなり、ヒートパイプ4の温度の計測精度を安定させることができる。
【0045】
ここで、図18は光ファイバ6に弛みを持たせる場合と持たせない場合の光ファイバ温度センサ5の反射スペクトル形状を示すグラフである。ヒートパイプ埋め込みパネルの製造工程において接着剤の強度が低下するような高温に曝された場合、光ファイバ6に弛みを持たせない光ファイバ温度センサ5では、実線で示す製造前の反射スペクトル形状が製造後に破線の形状に変化した。
【0046】
これは、光ファイバ6に弛みがない場合、高温下でのヒートパイプ4の熱膨張によってセンサ部7間の光ファイバ6にテンションがかかり、この結果、FBG部11と基材12との間で滑りが生じ、冷却後に不均一な応力が残留するためである。
【0047】
これに対して、光ファイバ6に弛みを持たせた場合、ヒートパイプ埋め込みパネルの製造工程で高温に曝された場合も反射スペクトル形状が実線のまま変化しなかった。このため、高温に曝された場合でも精度が低下しない光ファイバ温度センサを得ることができた。
【0048】
なお、上記の例では光ファイバ6の先端部を封止したが、先端部をスキンパネル1上に引き出して延長し、延長した部分に他のヒートパイプ埋め込みパネルのヒートパイプ4の温度を検出するセンサ部7を設けてもよい。同様に、光ファイバ6の先端部をスキンパネル1上に引き出し、その先端部に光コネクタ8を接続し、他の光ファイバ温度センサ5と直列に接続してもよい。これらの場合、ヒートパイプ4の両端部に光ファイバ収納箱9を取り付けることにより、パネル成形後のトリミング加工で光ファイバ6が断線されるのを防止することができる。
また、コア材は、ハニカムコア3に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明の実施の形態1によるヒートパイプ埋め込みパネルを示す斜視図である。
【図2】図1の光ファイバ温度センサを示す拡大図である。
【図3】図1のセンサ部の断面図である。
【図4】図3の光ファイバのFBG部付近を示す拡大図である。
【図5】図4のFBG部の構造を示す説明図である。
【図6】図5のFBG部の反射スペクトルの特性を示すグラフである。
【図7】図2の光ファイバ温度センサを用いた温度計測システムを示す構成図である。
【図8】図7のシステムで計測されたブラッグ波長と温度との関係を示すグラフである。
【図9】図1の光ファイバ温度センサの製造途中の状態を示す説明図である。
【図10】図9のFBG部を基材に接着した状態を示す側面図である。
【図11】図1のヒートパイプに光ファイバ収納箱を接着する様子を示す斜視図である。
【図12】図11のヒートパイプに図10の光ファイバ温度センサを接着した状態を示す斜視図である。
【図13】図12のヒートパイプとハニカムコアとを第1及び第2のスキンパネル間に挟み込んだ状態を示す斜視図である。
【図14】この発明の実施の形態2によるヒートパイプ埋め込みパネルのセンサ部の断面図である。
【図15】FBG部を基材内に埋め込む場合と埋め込まない場合の光ファイバ温度センサの反射スペクトル形状を示すグラフである。
【図16】この発明の実施の形態3によるヒートパイプ埋め込みパネルのセンサ部の断面図である。
【図17】この発明の実施の形態4によるヒートパイプ埋め込みパネルのヒートパイプに光ファイバ温度センサを接着した状態を示す斜視図である。
【図18】光ファイバに弛みを持たせる場合と持たせない場合の光ファイバ温度センサの反射スペクトル形状を示すグラフである。
【符号の説明】
【0050】
1 第1のスキンパネル、2 第2のスキンパネル、3 ハニカムコア(コア材)、4 ヒートパイプ、5 光ファイバ温度センサ、6 光ファイバ、9 光ファイバ収納箱、11 FBG部(ファイバ・ブラッグ・グレーティング部)、12,21 基材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のスキンパネル、
上記第1のスキンパネルに対向する第2のスキンパネル、
上記第1及び第2のスキンパネル間に設けられているコア材、
上記第1及び第2のスキンパネル間に設けられているヒートパイプ、及び
上記ヒートパイプに取り付けられ、反射スペクトルのブラッグ波長が温度に応じて変化するファイバ・ブラッグ・グレーティング部が形成された光ファイバを有する光ファイバ温度センサ
を備えていることを特徴とするヒートパイプ埋め込みパネル。
【請求項2】
上記ファイバ・ブラッグ・グレーティング部は、上記ヒートパイプよりも強度及び剛性の高い材料からなる基材を介して上記ヒートパイプに取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のヒートパイプ埋め込みパネル。
【請求項3】
上記基材は、上記ファイバ・ブラッグ・グレーティング部が設置された領域を除く領域の一部である接着領域で上記ヒートパイプに接着されており、上記基材の上記接着領域を除く部分は上記ヒートパイプに接触されていることを特徴とする請求項2記載のヒートパイプ埋め込みパネル。
【請求項4】
上記ファイバ・ブラッグ・グレーティング部は、上記基材内に埋め込まれていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のヒートパイプ埋め込みパネル。
【請求項5】
上記基材は、炭素繊維強化プラスチック材料により構成されていることを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載のヒートパイプ埋め込みパネル。
【請求項6】
上記基材は、上記光ファイバの長さ方向に強化された一方向強化炭素繊維強化プラスチック材料により構成されていることを特徴とする請求項5記載のヒートパイプ埋め込みパネル。
【請求項7】
上記光ファイバには、ブラッグ波長が互いに異なる複数の上記ファイバ・ブラッグ・グレーティング部が設けられており、
互いに隣接する上記ファイバ・ブラッグ・グレーティング部間の上記光ファイバには、所定の弛みが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のヒートパイプ埋め込みパネル。
【請求項8】
上記第1及び第2のスキンパネル間に設けられ、製造時に上記光ファイバの端部が収納される光ファイバ収納箱をさらに備えていることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のヒートパイプ埋め込みパネル。
【請求項9】
ヒートパイプに光ファイバ収納箱を取り付ける工程、
光ファイバ温度センサを上記ヒートパイプに取り付けるとともに、上記光ファイバ温度センサの端部を上記光ファイバ収納箱に収納する工程、
上記ヒートパイプとコア材とを第1及び第2のスキンパネル間に挟み込み、上記第1及び第2のスキンパネルと上記ヒートパイプと上記コア材とを一体化する工程、及び
上記第1のスキンパネルの上記光ファイバ収納箱に対応する位置に穴あけ加工を施し、上記光ファイバ温度センサの端部を第1のスキンパネル上に引き出す工程
を含むことを特徴とするヒートパイプ埋め込みパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−300378(P2009−300378A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158099(P2008−158099)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】