説明

ヒートポンプ式給湯装置

【課題】貯湯式のヒートポンプ式給湯装置において、蒸発器で発生するドレン水を受けるドレン水受けの凍結を防止することを目的とする。
【解決手段】蒸発器24のドレン水受け91に貯湯タンク40の圧力逃がし弁92から出る膨張水を排出するよう構成したものである。これによって、ドレン水受け91の凍結を防止し、確実にドレン水受け91からドレン水を正常に排水でき、ドレン水のオーバーフローによる他の部品の被水を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプサイクルにより水を加熱するヒートポンプ式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のヒートポンプ式給湯装置において、貯湯タンクとヒートポンプサイクルを一体化した構成としたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3は、特許文献1に記載された従来のヒートポンプ式給湯装置を示すものである。図3において1は貯湯タンクである。圧縮機2、放熱器3、減圧手段(図示せず)、吸熱器4でヒートポンプサイクルを形成している。5は吸熱器に空気を供給する送風手段である。6は注水管、7は出水管である。
【0004】
送風手段5により供給される空気より吸熱器4が吸熱し、放熱器3からの放熱により貯湯タンク1の水が加熱される。貯湯タンク1の上部に圧縮機2、吸熱器4、送風手段5を配置し、装置の小型化を図っている。
【特許文献1】特開平7−98156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来のヒートポンプ式給湯装置は、蒸発器で生成するドレン水の処理に関しては開示していない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明のヒートポンプ式給湯装置は、蒸発器で発生するドレン水を受けるドレン水受けに貯湯タンクの圧力逃がし弁から出る膨張水を排出するよう構成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のヒートポンプ式給湯装置は、ドレン水受けの凍結を防止し、確実にドレン水受けからドレン水を正常に排水でき、ドレン水のオーバーフローによる他の部品の被水を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、圧縮機、給湯用熱交換器、膨張弁、蒸発器を冷媒配管で接続したヒートポンプサイクルと、前記給湯用熱交換器で加熱した水を貯留する貯湯タンクと、前記貯湯タンクの圧力逃がし弁と、前記蒸発器で発生するドレン水を受けるドレン水受けとを備え、前記圧力逃がし弁から出る膨張水を前記ドレン水受けに排出するよう構成している。そして、高温の膨張水をドレン水受けに排出することにより、ドレン水受けの凍結を防止し、確実にドレン水受けからドレン水を正常に排水でき、ドレン水のオーバーフローによる他の部品の被水を防止することができる。
【0009】
第2の発明は、特に第1の発明において、膨張水をドレン水受けのドレン水排出口に向けて排出している。そして、高温の膨張水がドレン排出口に向けて排出されるので、ドレン排出口の凍結を防止できる。
【0010】
第3の発明は、特に第1〜2のいずれか一つの発明において、圧力逃がし弁に接続された膨張水排出手段の末端が動かないように膨張水排出手段を固定している。そして、膨張水排出手段の末端が動かないので、ドレン水受けに確実に排水できる。
【0011】
第4の発明は、特に第1〜3のいずれか一つの発明において、給湯用熱交換器の直上にドレン水受けを設けている。そして、給湯用熱交換器の放熱をドレン水受けで受熱し、ドレン水受けの凍結をさらに確実に防止できる。
【0012】
第5の発明は、特に第1〜4のいずれか一つの発明において、ドレン水受けと膨張弁前冷媒配管とを接触させている。そして、膨張弁前冷媒配管の冷媒からドレン水受けに放熱して、ドレン水受けの凍結をさらに確実に防止できる。また冷媒の過冷却度を大きくでき、COPを向上できる。
【0013】
第6の発明は、特に第1〜5のいずれか一つの発明において、蛇口等の給湯端末からの出水を検出する出水検出手段と、前記出水検出手段の信号を受けて圧縮機を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は前記出水検出手段の信号により出水を検出すると、前記圧縮機を起動させる。そして、給湯端末から出水を検出して圧縮機を起動するので、給湯用熱交換器にて加熱した湯を給湯端末より直接出湯することができる。
【0014】
第7の発明は、特に第1〜6のいずれか一つの発明において、蛇口等の給湯端末からの出水を検出する出水検出手段と、前記出水検出手段の信号を受けて前記圧縮機を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記出水検出手段の検出流量が大きいほど、前記圧縮機の回転数を大きくするように制御する。そして、幅広い出水流量において、設定温度の湯を出湯できる。
【0015】
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか一つの発明において、給湯用熱交換器からの温水と貯湯タンクからの温水とを混合する第一混合手段を設けている。そして、ヒートポンプ運転起動時の加熱能力の不足を補うことができ、給湯端末から出水後の湯温立ち上がりを早くし、設定温度にて出湯できるまでの時間をより短縮化することができる。また定常時においても加熱能力が不足しているときはその不足を補うことができる。
【0016】
第9の発明は、特に、第8の発明において、第一混合手段からの温水と水道管からの冷水とを混合する第二混合手段を設けている。そして、第一混合手段から出湯する湯温が設定温度より高い場合には、水を混ぜて設定温度にすることができる。
【0017】
第10の発明は、特に、第1〜9のいずれか一つの発明において、ヒートポンプサイクルに用いる冷媒を二酸化炭素とし、高圧側では臨界圧を越える状態で運転している。そして、高温の湯を生成することができ、また高温の湯を貯留できるため貯湯タンクを小型化できる。
【0018】
第11の発明は、特に、第1〜10のいずれか一つの発明において、ヒートポンプサイクルと貯湯タンクとを同一の筐体に収納している。そして、装置をコンパクト化できるので、設置の自由度を広げることができる。また蒸発器と貯湯タンクの距離が近くなるので、これらの熱交換関係を容易に構築できる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における回路構成図である。また図2は同実施の形態における給湯用熱交換器等の配置構成図である。
【0021】
まず、本実施の形態によるヒートポンプ式給湯装置の冷凍回路について説明する。図1において、ヒートポンプサイクル20は、二酸化炭素を冷媒として用い、高圧側では臨界圧を越える状態で運転することが好ましい。
【0022】
ヒートポンプサイクル20は、圧縮機21、給湯用熱交換器22、風呂用熱交換器26、膨張弁23、及び蒸発器24を順に配管で接続して構成されている。また、ヒートポンプサイクル20は、給湯用熱交換器22をバイパスするバイパス回路25を備え、このバイパス回路25には制御弁25Aを設けている。また、ヒートポンプサイクル20には、圧縮機21の温度を検出する温度センサ20A、圧縮機21からの吐出冷媒温度を検出する温度センサ20B、圧縮機21からの吐出冷媒圧力を検出する圧力センサ20C、蒸発器24の出口側の低圧冷媒温度を検出する温度センサ20D、蒸発器24の吸入空気を検出する温度センサ20E、風呂用熱交換器26の入口冷媒温度を検出する温度センサ20Fを備えている。
【0023】
ここで、温度センサ20Aはコールドスタートの検出を、圧力センサ20Cは圧縮機21又はヒートポンプサイクル20の異常検出を行う。さらに蒸発器24に送風するためのファン27と風路28を設けている。蒸発器24はいわゆるフィンチューブ式の冷媒対空気熱交換器としている。
【0024】
次に、本実施の形態によるヒートポンプ式給湯装置の出湯回路について説明する。給湯用熱交換器22の水用配管22Aの流入側は、流量調整弁31、減圧弁32、及び逆止弁33を介して水道管等の水供給配管34に接続されている。一方、水用配管22Aの流出側は、逆止弁35、第一混合手段36、及び第二混合手段37を介してキッチン、又は洗面所等の給湯用の蛇口38(給湯端末)に接続されている。この出湯回路には、蛇口38や浴槽60等の給湯端末からの出水を検出すると共にその流量を検出する流量センサ30A(出水検出手段)、入水温度を検出する温度センサ30B、水用配管22Aの出口温度を検出する温度センサ30C、第一混合手段36の出口温度を検出する温度センサ30D、及び第二混合手段37の出口温度を検出する温度センサ30E、給湯熱交換器22への流入流量を検出する流量センサ30Fを備えている。
【0025】
次に、本実施の形態によるヒートポンプ式給湯装置の貯湯回路について説明する。貯湯タンク40の底部配管42は、流量調整弁31、減圧弁32、及び逆止弁41を介して水道管等の水供給配管34に接続されている。この底部配管42は、循環ポンプ43を介して水用配管22Aの流入側と接続されている。また、貯湯タンク40の上部循環用配管44は、制御弁45を介して水用配管22Aの流出側と接続されている。なお、本実施の形態による貯湯タンク40は、積層式の給湯タンクであり、タンク内での撹拌が防止され、上部に高温水が底部に低温水が蓄積されるように構成されている。
【0026】
一方、貯湯タンク40の上部出湯用配管51は、第一混合手段36に接続されている。また、貯湯タンク40の底部配管42から分岐させた出水用配管52は、逆止弁53を介して第二混合手段37に接続されている。なお、貯湯タンク40には、出湯温度を検出する温度センサ40Aの他に、貯湯タンク40内の湯量を検出するための複数の温度センサ40B、40C、40Dが設けられている。また、水用配管22Aの分岐前の流入側配管には、貯湯タンク40の底部配管42から導出される湯温を検出する温度センサ40Eが設けられている。
【0027】
次に、本実施の形態によるヒートポンプ式給湯装置の浴槽加熱回路について説明する。風呂用熱交換器26の水用配管26Aは、循環ポンプ61を備えた浴槽用循環配管62と接続されている。この浴槽用循環配管62は、水用配管26Aをバイパスするバイパス配管63と、水用配管26Aとバイパス配管63とを切り換える三方弁64とを備えている。また浴槽用循環配管62には、浴槽水の循環量を検出する流量センサ60A、水用配管26Aの出口温度を検出する温度センサ60B、浴槽水の循環温度を検出する温度センサ60C、浴槽内の水位を検出する水位センサ60Dを備えている。
【0028】
なお、浴槽60への注湯は、第二混合手段37の下流側配管から分岐させた注湯用配管71を用いて行うことができる。この注湯用配管71は、浴槽用循環配管62に接続するか、又は直接浴槽60に導く。注湯用配管71には、注湯弁72及び流量を検出する流量センサ70Aが設けられている。
【0029】
リモコン81は、蛇口38からの出湯温度の指示や、浴槽60の沸き上げ温度及び沸き上げ開始などを指示し、このリモコン81からの指示に基づいて第1のヒートポンプサイクル10と第2のヒートポンプサイクル20とを制御手段82にて制御する。なお各種のセンサの検出値はこの制御手段82に入力される。
【0030】
次に、本実施の形態によるヒートポンプ式給湯装置の排水経路について説明する。91は蒸発器24から発生するドレン水を受けるドレン水受けである。貯湯タンク40の圧力逃がし弁92から排出される膨張水は膨張水排出手段93を通じてドレン水受け91へ排出される。膨張水排出手段93の末端は固定手段94によりドレン水排出口95に向け、ドレン水排出口95近傍にて固定されている。ドレン水受け91と膨張弁23前の冷媒配管96はロー付けにより接触している。
【0031】
装置の移設、メンテナンス等の時に貯湯タンク40から排水するため、タンク排水弁97を介してタンク排水通路98を貯湯タンク40に接続している。またドレン水排水通路99をドレン水排出口95に接続している。なお、上記説明したヒートポンプ式給湯装置は筐体100に収納される。
【0032】
以下、本実施の形態によるヒートポンプ式給湯装置の動作について説明する。まず、本実施の形態によるヒートポンプ式給湯装置の通常の給湯運転モードについて説明する。
【0033】
蛇口38が開放され、出水を流量センサ30Aにて検知し、ヒートポンプサイクル20が運転を開始する。
【0034】
圧縮機21で圧縮された冷媒は、給湯用熱交換器22で放熱し、膨張弁23で減圧された後、蒸発器24にて吸熱し、ガス状態で圧縮機21に吸入される。このとき、制御弁25Aは閉状態であり、バイパス回路25には冷媒は流れない。
【0035】
水供給配管34から供給される水は、流量調整弁31、減圧弁32、及び逆止弁33を順に通り、給湯用熱交換器22の水用配管22Aとにそれぞれ導かれる。水用配管22Aで加熱された温水は、逆止弁35、第一混合手段36、及び第二混合手段37を順に通り蛇口38に導かれる。
【0036】
圧縮機21での能力制御及び膨張弁23での開度制御は、温度センサ30Cでの検出温度がリモコン81で設定された湯温に近づくように、温度センサ20B、20D、20E、流量センサ30A、30Hからの検出値によって制御される。ここで流量センサ30Aの検出流量が多くなるほど圧縮機21の回転数が大きくなるように制御される。
【0037】
なお、ヒートポンプサイクル20での能力制御を行っても、給湯用熱交換器22からの水温が設定温度よりも高い場合には、出水用配管52から第二混合手段37に冷水を導入し、第二混合手段37での出口温度が設定温度となるように制御する。
【0038】
また、ヒートポンプサイクル20での能力制御を行っても、給湯用熱交換器22からの水温が設定温度よりも低い場合には、貯湯タンク40から第一混合手段36に温水を導入し、第一混合手段36での出口温度が設定温度となるように制御する。さらに第一混合手段36での出口温度が設定温度よりも低い場合は、通常全開状態の流量調整弁31の開度を小さくし、蛇口38からの出湯流量を少なくして第一混合手段36での出口温度が設定温度となるように制御する。
【0039】
次に、本実施の形態によるヒートポンプ式給湯装置の給湯運転モードの立ち上げ制御について説明する。圧縮機21の起動から所定の時間は、給湯用熱交換器22で十分な放熱量を得られない。従って、蛇口38の開放を流量センサ30Aにて検知し、ヒートポンプサイクル20が運転を開始すると同時に、上部出湯用配管51から貯湯タンク40内の高温水を第一混合手段36に導く。このとき、温度センサ30Eと温度センサ40Aとの温度を検出し、温度センサ30Dでの検出温度が設定温度となるように第一混合手段36での混合割合を制御する。運転開始時には、給湯用熱交換器22からの水温は低いため、給湯タンク40からの温水を多く流し、その後給湯用熱交換器22からの水温が高まるにしたがって給湯タンク40からの温水を減少させる。そして給湯用熱交換器22からの水温が十分に高まった時点で給湯タンク40からの出湯を停止する。
【0040】
次に、本実施の形態によるヒートポンプ式給湯装置の貯湯運転モードについて説明する。貯湯運転モードでは、制御弁45を開として循環ポンプ43を運転する。循環ポンプ43の運転により、貯湯タンク40の底部配管42から冷水を導出し、給湯用熱交換器22の水用配管22Aに導かれる。給湯用熱交換器22で加熱された温水は、上部循環用配管44から貯湯タンク40の上部に戻される。圧縮機21での能力制御は、温度センサ40Eによる給湯用熱交換器22の入口温度と、温度センサ30Eによる給湯用熱交換器22の出口温度と、流量センサ30Fによる循環流量、温度センサ20B、20D、20Eによって制御される。貯湯タンク40内の貯湯量は、温度センサ40B、40C、40Dによって検出し、貯湯タンク40内の貯湯量が所定以下であることを検出すると貯湯運転を開始し、貯湯タンク40内の貯湯量が所定以上であることを検出すると貯湯運転を停止する。
【0041】
次に、本実施の形態によるヒートポンプ式給湯装置の浴槽加熱運転モードについて説明する。浴槽加熱運転モードでは、制御弁25Aを開放する。圧縮機21で圧縮された冷媒は、バイパス回路25を流れ、風呂用熱交換器26で放熱し、膨張弁23で減圧された後、蒸発器24にて吸熱し、ガス状態で圧縮機21に吸入される。
【0042】
一方、循環ポンプ61を運転し、浴槽60内の浴槽水を浴槽用循環配管62を介して水用配管26Aに導き、水用配管26Aで加熱された浴槽水を浴槽60内に戻す。
【0043】
圧縮機21での能力制御及び膨張弁23での開度制御は、温度センサ60Cでの検出温度がリモコン81で設定された湯温に近づくように、温度センサ20F、60B、60C、20B、20D、20E、20Fからの検出値によって制御される。また、循環ポンプ61での循環量は、流量センサ60Aによって制御される。浴槽60内の温度を検出するためには、三方弁64の切り換えによって風呂用熱交換器26をバイパスさせ、循環ポンプ61、バイパス配管63、及び浴槽60で浴槽水を循環させ、温度センサ60Cにて検出を行う。
【0044】
一方、浴槽60に温水を補充する場合あるいは浴槽60が空の状態から湯張りする場合には、注湯弁72を開放して給湯運転モードと同様に制御し、注湯用配管71から浴槽用循環配管62を介して浴槽60に給湯する。
【0045】
次に、本実施の形態によるヒートポンプ式給湯装置の除霜運転モードについて説明する。制御弁25Aを開、膨張弁23を全開とし、ファン27の動作を停止して行う。圧縮機21で圧縮された冷媒は、バイパス回路25を流れ、蒸発器24にて放熱し、ガス状態で圧縮機21に吸入される。こうして蒸発器24の除霜を行うことができる。なお、着霜の検出は、温度センサ20D、20Eによって行う。
【0046】
以上、ヒートポンプ式給湯装置の各モードを説明したが、貯湯タンク40に湯が貯湯されている時は、運転モードに関係なく、圧力逃がし弁92から湯が排水され、貯湯タンク40の水圧が所定圧以上になることを防止している。この高温の膨張水は膨張水排出手段93によってドレン水受け91に排出される。
【0047】
以上説明したように、高温の膨張水をドレン水受け91に排出することにより、ドレン水受け91の凍結を防止し、確実にドレン水受け91からドレン水を正常に排水でき、ドレン水のオーバーフローによる他の部品の被水を防止することができる。
【0048】
また、膨張水をドレン水受け91のドレン水排出口95に向けて排出している。そして、高温の膨張水がドレン排出口95に向けて排出されるので、ドレン排出口95の凍結を防止できる。
【0049】
また、圧力逃がし弁92に接続された膨張水排出手段93の末端が動かないように膨張水排出手段93を固定手段94で固定している。そして、膨張水排出手段93の末端が動かないので、ドレン水受け91に確実に排水できる。
【0050】
また、給湯用熱交換器22の直上にドレン水受け91を設けている。そして、給湯用熱交換器22の放熱をドレン水受け91で受熱し、ドレン水受け91の凍結をさらに確実に防止できる。
【0051】
また、ドレン水受け91と膨張弁前の冷媒配管とを接触させている。膨張弁前冷媒配管96の冷媒からドレン水受け91に放熱して、ドレン水受け91の凍結をさらに確実に防止できる。また冷媒の過冷却度を大きくでき、COPを向上できる。
【0052】
また、流量センサ30Aの信号により出水を検出すると、圧縮機21を起動させる。そして、給湯端末から出水を検出して圧縮機21を起動するので、給湯用熱交換器22にて加熱した湯を給湯端末より直接出湯することができる。
【0053】
また、流量センサ30Aの検出流量が大きいほど、圧縮機21の回転数を大きくするように制御する。そして、幅広い出水流量において、設定温度の湯を出湯できる。
【0054】
給湯用熱交換器22からの温水と貯湯タンク40からの温水とを混合する第一混合手段36を設けている。
【0055】
そして、ヒートポンプ運転起動時の加熱能力の不足を補うことができ、給湯端末から出水後の湯温立ち上がりを早くし、設定温度にて出湯できるまでの時間をより短縮化することができる。また定常時においても加熱能力が不足しているときはその不足を補うことができる。
【0056】
また、第一混合手段36からの温水と水道管からの冷水とを混合する第二混合手段37を設けている。そして、第一混合手段36から出湯する湯温が設定温度より高い場合には、水を混ぜて設定温度にすることができる。
【0057】
また、ヒートポンプサイクル20に用いる冷媒を二酸化炭素とし、高圧側では臨界圧を越える状態で運転している。そして、高温の湯を生成することができ、また高温の湯を貯留できるため貯湯タンクを小型化できる。
【0058】
また、ヒートポンプサイクル20と貯湯タンク40とを同一の筐体111に収納している。そして、装置をコンパクト化できるので、設置の自由度を広げることができる。また貯湯タンク40と蒸発器24との熱交換関係を容易に構築できる。
【0059】
なお、上記実施の形態では冷媒として二酸化炭素を用いた場合で説明したが、冷媒として410A冷媒やHC冷媒などのその他の冷媒を用いてもよい。
【0060】
また、上記実施の形態では、単一のヒートポンプサイクル20を備えたヒートポンプ式給湯装置を用いて説明したが、2つ以上のヒートポンプサイクルを用いてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態において、風呂用熱交換器26での放熱量を最大にするため、給湯用熱交換器22への冷媒流入を阻止する制御弁を設けることが更に好ましい。
【0062】
また、上記実施の形態では、給湯用熱交換器22で加熱された温水を、上部循環用配管44から貯湯タンク40の上部に戻す構成としたが、上部循環用配管44及び制御弁45を設けることなく、第一混合手段36を用いて給湯用熱交換器12及び給湯用熱交換器22の出口側配管と上部出湯用配管51とを連通させることで、給湯用熱交換器22で加熱された温水を貯湯タンク40の上部に戻す構成としてもよい。
【0063】
また、上記説明における風呂用熱交換器26を、例えば床暖房や温風機器などの暖房用熱交換器として利用することもできる。
【0064】
また、ヒートポンプサイクル20と貯湯タンク40を同一の筐体111に収納したものとして説明したが、それぞれを別の筐体に収納して別設したり、あるいは、工場出荷時は別々の筐体に収納して出荷し、設置現場にてこれら筐体を集合させて一体化させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかるヒートポンプ式給湯装置は、ヒートポンプサイクルにより水を加熱するヒートポンプ式給湯装置に応用でき、産業上の利用可能性があるものである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態1におけるヒートポンプ式給湯装置の回路構成図
【図2】同実施の形態1における給湯用熱交換器等の配置構成図
【図3】従来のヒートポンプ式給湯装置の全体構成図
【符号の説明】
【0067】
20 ヒートポンプサイクル
21 圧縮機
22 給湯用熱交換器
23 膨張弁
24 蒸発器
30A 流量センサ(出水検出手段)
36 第一混合手段
37 第二混合手段
38 蛇口(給湯端末)
40 貯湯タンク
82 制御手段
91 ドレン水受け
92 圧力逃がし弁
93 膨張水排出手段
94 固定手段94
95 ドレン水排出口
96 膨張弁前冷媒配管
100 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、給湯用熱交換器、膨張弁、蒸発器を冷媒配管で接続したヒートポンプサイクルと、前記給湯用熱交換器で加熱した水を貯留する貯湯タンクと、前記貯湯タンクの圧力逃がし弁と、前記蒸発器で発生するドレン水を受けるドレン水受けとを備え、前記圧力逃がし弁から出る膨張水を前記ドレン水受けに排出するよう構成したヒートポンプ式給湯装置。
【請求項2】
膨張水をドレン水受けのドレン水排出口に向けて排出する請求項1記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項3】
圧力逃がし弁に接続された膨張水排出手段の末端が動かないように膨張水排出手段を固定する固定手段を設けた請求項1または2記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項4】
給湯用熱交換器の直上にドレン水受けを設けた請求項1〜3のいずれか1項記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項5】
ドレン水受けと膨張弁前冷媒配管とを接触させた請求項1〜4のいずれか1項記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項6】
蛇口等の給湯端末からの出水を検出する出水検出手段と、前記出水検出手段の信号を受けて圧縮機を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は前記出水検出手段の信号により出水を検出すると、前記圧縮機を起動させる請求項1〜5のいずれか1項記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項7】
蛇口等の給湯端末からの出水を検出する出水検出手段と、前記出水検出手段の信号を受けて前記圧縮機を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記出水検出手段の検出流量が大きいほど、前記圧縮機の回転数を大きくするように制御する請求項1〜6のいずれか1項記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項8】
給湯用熱交換器からの温水と貯湯タンクからの温水とを混合する第一混合手段を設けた請求項1〜7のいずれか1項記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項9】
第一混合手段からの温水と水道管からの冷水とを混合する第二混合手段を設けた請求項8記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項10】
ヒートポンプサイクルに用いる冷媒を二酸化炭素とし、高圧側では臨界圧を越える状態で運転する請求項1〜9のいずれか1項記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項11】
ヒートポンプサイクルと貯湯タンクとを同一の筐体に収納した請求項1〜10のいずれか1項記載のヒートポンプ式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−2959(P2006−2959A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176804(P2004−176804)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】