説明

ビスシトラコンイミド、ビスイタコンイミド、および/またはシトラコンイミド−イタコンイミドを含んでいる組成物

本発明は、モノマー、オリゴマー、およびビスシトラコンイミド、ビスイタコンイミド、およびシトラコンイミド−イタコンイミドのうちの少なくとも1から成る不飽和モノマーの重合によって得られることができるポリマー、ならびに任意的に、ビスマレイミド、シトラコンアミドマレイミド、およびイタコンアミドマレイミドから選択された(共)硬化性化合物、の混合物を含んでいるプレポリマー組成物であって、該組成物の5〜55重量%がモノマーであり、20〜80重量%が分子量300〜3,000を有するオリゴマーであり、10〜50重量%が分子量3,000〜約80,000を有するポリマーであり、さらに該組成物中のモノマー、オリゴマー、およびポリマーの合計含有量が少なくとも90重量%である組成物に関する。該プレポリマーは、該組成物を硬化してポリマーにすることによって、積層物およびプリプレグを造るために使用されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスシトラコンイミドを含んでいる組成物、ならびにこれらの組成物を含んでいるプリプレグおよび積層物に関する。
【背景技術】
【0002】
ビスシトラコンイミドは公知の化合物であり、非特許文献1に開示された方法によって調製されることができる。これらのビスシトラコンイミドは重合されて、良好な熱安定性を示す靭性の琥珀色をした膜になる。
【0003】
非特許文献2に、シトラコン酸イミドとイタコン酸イミドとの異性体混合物の形をしたビスシトラコンイミドを調製する方法が開示されている。
【0004】
非特許文献3に、ビスマレイミドが、その特性の故に炭素繊維強化複合物のための主要な候補であることが開示されている。しかし、該論文はこれらの物質が脆性である傾向があることも指摘している。したがって、重合されたビスマレイミドの破壊靱性を改良するためのいくつかの試みがなされている。
【0005】
非特許文献4では、配合化されたビスマレイミドが、アニオン性触媒DABCOおよび2−メチルイミダゾールで硬化されている。一般に、配合化されたビスマレイミドの硬化は、より低い内在的硬化応力の故に該物質の破壊靱性を改良すると結論付けられた。
【0006】
1986年2月4日に発行された特許文献1は、混合された芳香族ビスマレイミド/芳香族ビスシトラコンイミド樹脂に関するものであり、これは、個別の樹脂による物質よりも良好な取扱い性、加工性および熱的特性を有する物質を製造する。これらの樹脂は、硬化触媒を用いないで熱硬化される。しかし、ビスマレイミド中にビスシトラコンイミドを取り込むと、一般に引張伸びパーセントの有意の低下を起こした。
【0007】
特許文献2に、少なくとも1のビスシトラコンイミド単位を含んでいる硬化性ビスイミド組成物が開示されており、該組成物は、該ビスシトラコンイミド単位に付いた基を、硬化された組成物中でアルキレン架橋に転化する量のアニオン性硬化触媒を含んでいる。この特許出願明細書の実施例8に、ラジカル重合によってビスシトラコンイミドオリゴマーの組成物を造る方法が記載されている。n−ヘキサメチレンビスシトラコンイミド、スチレン、およびジクミルパーオキシドの混合物が重合され、このようにして得られた組成物がプリプレグの調製に使用された。しかし、この組成物の粘度は非常に低すぎて、その結果、これは工業規模のプリプレグおよび積層物の製造方法に使用されることができないことが発見された。その上、このプレポリマーの反応性は低く、その結果、最終硬化工程に必要とされるゲル時間は到達されることができないものであった。
【0008】
一般に、工業的に使用されるビスマレイミド樹脂はすべて、ほとんど化学量論的な量のビスマレイミドとジアミン、ジアリル化合物のようなコモノマーとから造られたコオリゴマーに基づいており、困難な加工条件を要求する。これに加えて、マレイミドポリマーは、網状組織ポリマーにおいて得られる高い架橋密度の故にしばしば脆性であり、さらに他方において、特許文献2のマレイミドオリゴマーは、織物の上に施与されたときに低い流れ能力を有する。容易に加工可能であり、ほとんど専らビスシトラコンイミドモノマーから造られており、かつ、より低いコストを有するビスイミド樹脂系が必要とされていることを、従来技術である先行の技術実体は反映している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,568,733号明細書
【特許文献2】欧州特許第0407661号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Galanti,A.V.およびScola,D.A.、「ビスシトラコンイミドおよびポリビスシトラコンイミドの合成」、Journ.of Poly.Sci.:Polymer Chemistry Edition、1981年、第19巻、451〜475ページ
【非特許文献2】Galanti,A.V.ら、「ビスイタコンアミド酸およびビスイミドモノマー異性体の合成」、Journ.of Poly.Sci.:Polymer Chemistry Edition、1982年、第20巻、233〜239ページ
【非特許文献3】Stenzenberger,H.D.ら、「靭性のビスマレイミド樹脂の開発」、第31回国際SAMPEシンポジウム、1986年、第31巻、920〜932ページ
【非特許文献4】Segal,C.L.ら、「ビスマレイミド樹脂、「Compimide」BMI樹脂の特性および加工」、第17回全国SAMPE会議、1985年、第17巻、147〜160ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、その目的として、従来技術のビスイミド樹脂の前記の欠点を取り除き、かつビスシトラコンイミド樹脂から造られた組成物の加工性を実質的に改良する。この目的のために、本発明は、より高いポリマーへさらに硬化されることができ、かつプリプレグを造るのに適しており、また積層物を造るために使用されることもできる特定のビスシトラコンイミド組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明は、モノマー、オリゴマー、およびビスシトラコンイミド、ビスイタコンイミド、およびシトラコンイミド−イタコンイミドのうちの少なくとも1から成る不飽和モノマーの重合によって得られることができるポリマー、ならびに任意的に、ビスマレイミド、シトラコンアミドマレイミド、およびイタコンアミドマレイミドから選択された(共)硬化性化合物、の混合物を含んでいるプレポリマー組成物に関し、5〜55重量%がモノマーであり、20〜80重量%が分子量330〜3,000を有するオリゴマーであり、および10〜50重量%が分子量3,000〜約80,000を有するポリマーであり、さらに該組成物中のモノマー、オリゴマー、およびポリマーの合計含有量が少なくとも90重量%である。
【0013】
便宜上、本明細書において「ビスシトラコンイミド」の語は、ビスシトラコンイミド、ビスイタコンイミド、および/またはシトラコンイミド−イタコンイミドを包含する。これらの化合物の化学構造が以下に示される。


【0014】
上記のこれらの式中の基Rは、二価の炭化水素部分である。好適な炭化水素部分は、芳香族または脂肪族の、環式または非環式の、置換されたまたは非置換の、および直鎖状または分枝状の部分を包含する。好ましくは、このような部分は、1〜25の炭素原子、およびO、N、およびSから選択された1以上の任意的なヘテロ原子を含んでいる。
【0015】
より好まれるのは、C1〜20アルキレン、C6〜C24シクロアルキレン、C6〜C18アリーレン、およびC7〜25アラルキレンから選択された基Rである。
【0016】
たとえば、ビスシトラコンイミド、ビスイタコンイミド、および/またはシトラコンイミド−イタコンイミドは、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、2−メチルペンタメチレン、ネオペンチレン、(2,2,4−トリメチル)ヘキサメチレン、1,3−ビス(メチレン)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス−2−メチルシクロヘキサン、2,2−ジシクロヘキシルプロピレン、4,4’−オキソジフェニレン、4,4’−スルホノジフェニレン、4,4’−チオジフェニレン、エチレン、ドデカメチレン、オキシビスプロピレン、1,3−シクロヘキシレン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレン、m−フェニレン、p−フェニレン、o−フェニレン、1,3−ナフチレン、1,4−ナフチレン、4,6−ジメチルフェニレン、4−メチルフェニレン、6−メチルフェニレン、2−メチルフェニレン、4,4’−メチレンジフェニレン、ならびにフェニルメチレン、o−キシリレン、m−キシリレン、およびp−キシリレンから選択された基Rを有する。最も好まれる基Rはm−キシリレンである。
【0017】
ビスマレイミド、シトラコンイミド−マレイミド、およびイタコンイミド−マレイミドは以下の式を有し、

これらの式で、基Rは上記と同じ意味である。
【発明の効果】
【0018】
これらのプレポリマー組成物およびこれらから製造された製造物品は、従来技術のビスイミド組成物を超えるいくつかの利点を提供する。たとえば、これらのビスシトラコンイミド含有組成物は容易に成形されることができ、得られたこれらの最終ポリマー物質は低い温度で加工されることができ、かつ優れた特性、たとえば高いTg、良好な熱安定性、および良好な機械特性、たとえば引張強さを有し、その結果、これらの物質は積層物を製造するのに、たとえばプリント配線板に、または断熱用複合物、もしくは特別なコーティング、たとえばガラスもしくは金属上の特別なコーティングに非常に適している。
【0019】
本発明の組成物は、公知のビスシトラコンイミド組成物では得られない特性の組み合わせを有する。このようにして本発明の組成物は、溶媒、たとえばガンマブチロラクトンおよびケトン中への高い溶解度を有し、この場合にこれらの組成物は室温において70%(重量/容積)までの溶解度を有する。このような溶液はさらにその上数日間、より好ましくは2週間超、安定である。
【0020】
これらの組成物の溶液は、好ましくは繊維および織物、たとえばガラス織物等中に含浸されるのに適切な粘度を有し、さらに溶媒の除去後、純品の樹脂前駆体プレポリマーは175℃において少なくとも150cPの粘度を有し、その結果、これは硬化の間、繊維または織物から流れ出さない。
【0021】
さらにその上、このプレポリマーは好ましくは反応性を有し、これは、任意的に触媒の助けを借りて、171℃において2〜5分間のゲル時間をもたらす。
【0022】
「プレポリマー」の語は、該組成物が、実質的な量の、330〜3,000のMW(分子量)範囲にあるオリゴマー前駆体を含有することを表すために使用される。該組成物は、これよりいくらか高い、3,000〜約80,000のMWを有するオリゴマーも含有する。「約80,000」の語は、このポリマーのわずかな量がこれよりいくぶん高い、すなわち100,000までまたは120,000までさえの分子量を有することができることを意味する。
【0023】
これらのより高いオリゴマーは、本明細書において以下、「ポリマー」と呼ばれ、このポリマーは、プレポリマーを硬化した後に生成されるはるかにより高いMWを有するポリマーと混同されてはならない。このプレポリマーは、さらに重合されて(80,000より高い、普通にはこれよりはるかに高い、すなわち400,000以上の)高分子量を有する架橋されたポリマー物質になることができ、これはプリプレグおよび積層物のために使用されることができる。
【0024】
従来技術の組成物は、特定の化学薬品、たとえばビスアミン(「Kerimid」)またはアリルフェノール化合物(たとえば、ジアリルビスフェノールA)がモノマーに添加されてプレポリマー組成物中に取り込まれない限り、これらの要件を満たさない。これらの添加剤は、これらの組成物のコストを実にかなり増加し、または発ガン性であり、この理由のために許容されもしくは受け入れられることができない。これらの従来技術の前駆体のさらなる問題は、これらがDMF、NMP、またはガンマブチロラクトンのような溶媒とともに使用されることができるのみであり、これらの溶媒はその毒性の故に特別の注意の下にのみ使用されることができることである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に従う好まれる実施態様では、プレポリマー組成物は10〜45重量%のモノマー、30〜60重量%のオリゴマー(330〜3,000)および15〜40重量%のポリマー(3,000〜約80,000)を含有する。
【0026】
好まれるビスイミドはm−キシリレンビスシトラコンイミドである。
【0027】
ビスシトラコンイミドは公知の化合物であり、蘭国特許出願第6,514,767号、非特許文献1、および非特許文献2に開示された方法のいずれかによって調製されることができ、これらの公開文献は引用によって本明細書に取り込まれる。ビスシトラコンイミドは、蘭国、Flexsys有限責任株式会社から得られることができるFlexlink(商標)(異性体イタコンイミド基10%までを有するm−キシリレンビスシトラコンイミドの混合物)の商標下に商業的に入手可能である。
【0028】
上記の組成を有するオリゴマー混合物は、たとえばビスシトラコンイミドを溶融物として単に加熱することによって、またはプリプレグ製造工程に望まれる溶媒中に好適な濃度(30〜70イミド重量/容積%)で130〜250℃、より好ましくは150〜220℃の温度において溶解することによって造られることができる。任意的に、触媒の存在において、ビスシトラコンイミドは溶融物として加熱され、またはプリプレグ製造工程に望まれる溶媒中に好適な濃度(30〜70イミド重量/容積%)で130〜220℃の温度において溶解されることができる。
【0029】
オリゴマー化は、ビスシトラコンイミドおよび1以上の共硬化性物質を含有する組成物を何らかの触媒を用いないでビスシトラコンイミドの融点より上の温度まで加熱し、そして該モノマーをオリゴマー生成物へとオリゴマー化するのに十分な時間、温度をそのレベルに維持することによって実施されることもできる。一般に、140℃超の温度において、オリゴマー化は達成されることができる。オリゴマー化時間は、存在する触媒の量および硬化される物質のタイプに応じて様々である。共硬化性物質は、ビスマレイミド、シトラコンイミドマレイミド、イタコンアミノマレイミド、および芳香族アミンから選択され、該組成物の40%までの量で存在することができる。組成物は他のオレフィン性不飽和モノマー、たとえばスチレンを含まない。
【0030】
好適な触媒は、アミン、たとえばトリアルキルアミンまたは置換イミダゾールである。一般に、0.2〜1重量%の量が使用される。反応時間は、使用される溶媒および溶媒の量のみならず、触媒の量および温度にも、また所望の分子量分布にも依存し、該分子量分布は最終硬化段階の間の粘度挙動を決定する。
【0031】
十分な反応制御をするために、所望の組成物を得るのに少なくとも1時間のオリゴマー化の反応時間が要求されるような触媒、触媒の量、および温度を選択することが推奨される。たとえば、粘度のインライン測定によって、使用される温度における所望の粘度に到達するとすぐに反応が停止されることができるような様式で、反応は制御されることができる。
【0032】
他の可能性は、サンプルを採り、そしてオリゴマー組成を、たとえばHPSEC手法によって分析することである。
【0033】
上記のオリゴマー混合物は、アニオン性触媒、たとえばDabcoまたはDMAP、ホスフィンおよび任意的であるが必ずしも必要ではない2%までの共触媒、たとえばトリアリルシアヌレート(TAC)を添加することによってさらに重合されることができ、またはビスマレイミドが使用されることができる。
【0034】
本発明の組成物を造るためにアニオン性オリゴマー化に用いられるアニオン性触媒は一般に、商業的に得られることができるまたは公知の方法によって調製されることができる公知の化合物を含む。一般に、アニオン性触媒は、適当な温度における脂肪族ビスシトラコンイミド含有組成物のオリゴマー化に触媒活性を示さなければならない。本発明の範囲内にあるアニオン性触媒は、イミダゾール、置換イミダゾール、有機アルコールのアルカリ金属塩、トリフェニルホスフィン、トリアルキルホスフィン、置換または非置換の脂肪族および芳香族の2級および3級アミンを含む。経済性および性能の双方の理由から好まれる触媒は、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、および脂肪族アミンである。
【0035】
本発明のオリゴマー生成物は、優れた熱的、電気的および機械的特性の故に、繊維強化複合物を造るためにおよびコーティング用途に特に有用である。本発明の新規な組成物は、良好な粘度および溶解度特性の故に、容易に加工可能である。本発明に従うオリゴマー混合物から造られたポリマー成形物が、対応するモノマーから直接造られたポリマーと比較して、改良された熱的および機械的特性(改良されたガラス温度、改良された曲げひずみ)を有する生成物をもたらすことも発見された。
【0036】
さらに、重合は溶媒を使用しないで揮発物を生成しないで達成されることができ、このようにしてボイド(空隙)のないオリゴマーの加工品製作が可能となる。
【0037】
積層物の分野における用途では、積層物のための所望の特性を得るために、ビスシトラコンイミドからプリプレグを造ることが必要である。含浸された繊維布は粘着性でなく、可撓性であり、かつ適切な溶融粘度を有さなければならない。ビスシトラコンイミドモノマー自体は、有する溶融粘度が低すぎるので、これらの用途には適していない。
【0038】
プリプレグ製造工程においてこれらのオリゴマーは必ずしも溶媒を必要としないという明瞭に区別される利点を有する、プリプレグを造るために用いられることができる、所望の特性を有するプレポリマーを造ることが可能である。現行の工業的なプリプレグ製造方法では、溶媒が用いられなければならず、このことは高コストの溶媒除去段階および最終製品中にある程度のボイドをもたらす。
【0039】
本発明は以下の実施例を参照してさらに説明され、該実施例は本発明の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【実施例1】
【0040】
600gのFlexlink(商標)(蘭国、Flexsys Holding有限責任株式会社からの、10重量%までのm−キシリレンビスイタコンイミドを有するm−キシリレンビスシトラコンイミド)が、撹拌されたガラス反応器中で溶融され、そして200℃まで加熱された。この温度において6gのフェニルイミダゾールが添加され、そしてこの液状混合物の粘度がMARIMEX粘度計を用いてインラインで測定された。
【0041】
230分間後、このプレポリマーの動的粘度は200℃において70cPとなり、そして該反応混合物は冷却された(180℃においてこの混合物の粘度は212cpである。)。
【0042】
生成物は、Flexlinkモノマー44重量%、330〜3,000の範囲にあるMWを有するオリゴマー33重量%、および3,000〜約80,000のMWを有するポリマー23重量%を含有していた。
【0043】
生成物は、ガンマブチロラクトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、NMP、DMFのような溶媒中に80重量%までの濃度で完全に可溶性であった。したがって、該生成物は、(適切な硬化触媒を添加した後)プリプレグ、積層物および複合物、またはコーティングを造るために使用されるのに優れて適している。
【実施例2】
【0044】
実施例1におけるように実験が行われるが、溶融物は180℃まで加熱され、そしてオリゴマー化触媒として、6gのフェニルイミダゾールと1.5gの2−エチル−4−メチルイミダゾールとの混合物が添加された。
【0045】
8.5時間後、オリゴマー混合物の180℃における動的粘度は205cpである。生成物は、Flexlink(商標)モノマー45重量%、330〜1500のMW範囲にあるオリゴマー35重量%、および3,000〜約80,000の範囲にあるポリマー19重量%を含有していた。
【0046】
分析カラムとしてPL−ゲル:100A、600×7.5mmID、Dp=5μmおよび移動相としてTHFを使用するHPSECによって、分子量(MW)分布が分析された。
【0047】
既知のMWのポリスチレン標準物を用いる較正ラインによって、MWの値が求められた。第二のカラム(PL−ゲル1000A、300×7.5nm)を用いるHPSECによって、約80,000の上限の値が求められた。
【実施例3】
【0048】
70gのFlexlink(商標)菱形錠剤および30gのガンマブチロラクトン(BLO)が、任意的に触媒の存在において、ガラスフラスコ中で撹拌下に所望の温度まで加熱され、そしてこの混合物はBLO中の均一かつ清澄な溶液(多かれ少なかれ粘性な液体)であり、HPSEC手法によって分析された。
【0049】
以下の結果が得られた(溶媒は考慮されていない。)。

【実施例4】
【0050】
触媒を用いるプレポリマー化も、溶媒を用いないで100gのFlexlink(商標)900(蘭国、Flexsys有限責任株式会社からのビスシトラコンイミド)の溶融物で実施された。
【0051】
同じ転化率を得るために、より高い温度および/またはより長い反応時間が必要であり、以下の結果が得られた。

【0052】
より低い温度における(たとえば、EMIのようなより活性な触媒の存在における)プレポリマー化は、より低いMWを有するオリゴマーを持つ混合物をもたらすことを、実施例1および2の結果は示す。温度がより高ければ、より高いMWのオリゴマーが生成される。
【0053】
この生成物は上記の溶媒中に優れて可溶性であり、かつその溶液は分子量分布が変化しないで数月間安定である。
【0054】
該生成物は、(適切な硬化触媒を添加した後)プリプレグ、高温安定性の複合物のための積層物、またはコーティングを造るのに優れて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー、オリゴマー、およびビスシトラコンイミド、ビスイタコンイミド、およびシトラコンイミド−イタコンイミドのうちの少なくとも1から成る不飽和モノマーの重合によって得られることができるポリマー、ならびに任意的に、ビスマレイミド、シトラコンアミドマレイミド、およびイタコンアミドマレイミドから選択された(共)硬化性化合物、の混合物を含んでいるプレポリマー組成物であって、5〜55重量%がモノマーであり、20〜80重量%が分子量300〜3,000を有するオリゴマーであり、および10〜50重量%が分子量3,000〜約80,000を有するポリマーであり、さらに該組成物中のモノマー、オリゴマー、およびポリマーの合計含有量が少なくとも90重量%である組成物。
【請求項2】
モノマー、オリゴマー、およびポリマーが、ビスシトラコンイミド、ビスイタコンイミド、および/またはシトラコンイミド−イタコンイミドから得られたものであり、何らかの他の(共)硬化性化合物を含んでいない請求項1に従う組成物。
【請求項3】
モノマー、オリゴマー、およびポリマーが、ビスマレイミド、シトラコンアミドマレイミド、およびイタコンアミノマレイミドから選択された(共)硬化性化合物と、ビスシトラコンイミド、ビスイタコンイミド、およびシトラコンイミド−イタコンイミドのうちの少なくとも1から得られたものである、請求項1に従う組成物。
【請求項4】
ビスシトラコンイミド、ビスイタコンイミド、および/またはシトラコンイミド−イタコンイミドが、m−キシリレンビスシトラコンイミド、m−キシリレンビスイタコンイミド、および/またはm−キシリレンシトラコンイミド−イタコンイミドである、請求項1〜3のいずれか1項に従う組成物。
【請求項5】
10〜45重量%がモノマーであり、30〜60重量%がオリゴマーであり、および15〜40重量%がポリマーである、請求項1〜3のいずれか1項に従う組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に従う組成物を繊維に含浸させ、そして該含浸された繊維を高められた温度で硬化することによる、プリプレグの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に従う組成物を繊維に含浸させ、そして該含浸された繊維を高められた温度で硬化して、積層物を造るために使用されるプリプレグを得ることによる、積層物を造る方法。

【公表番号】特表2010−505966(P2010−505966A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510393(P2009−510393)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054104
【国際公開番号】WO2007/134948
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(502337538)フレクシス ビー.ブイ. (2)
【Fターム(参考)】