説明

ビデオカメラ

【課題】 認証操作を容易にし、認証に使用するパスワード画像を登録する煩雑な処理を解消する。
【解決手段】 電源が投入される毎に認証処理を行う機能を有するビデオカメラにおいて、撮影した映像データを記録する映像データ記録手段4と、映像データ記録手段4に記録されている撮影日時が異なる複数の映像データそれぞれから静止画像を抽出する静止画像抽出手段31と、抽出された静止画像から、予め設定された所定数の静止画像を認証用画像として選択し、この選択した所定数の認証用画像を映像データ記録手段4に登録する認証用画像選択手段32と、映像データ記録手段4に登録された所定数の認証用画像を表示する映像データ表示手段5と、外部からの指示により、映像データ表示手段5に表示された所定数の認証用画像が、撮影日時に基づき予め決定されている所定の順序で選択された場合、その後の操作を許可する認証処理を行う認証手段33とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビデオカメラに関し、特に本体利用に関して撮影済み映像を使用した認証技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量化した光ディスク、磁気ディスク及び不揮発性半導体メモリ等の記録媒体を有するビデオカメラは、多くの撮影映像を記録することができる。また、コンピュータ等と接続することで、撮影映像以外のデータもビデオカメラ内の記録媒体に蓄積することが可能である。一方、大量の情報を記録できる記録媒体を有する機器は、盗難や置き忘れによる情報の流出及び漏洩が社会問題化している。このため、デジタル情報を蓄積可能な記録媒体を所持する機器については、情報の機密性を保持するための対策が必要不可欠である。そこで、対策の一つして機器の操作に対する認証機能を備えることが考えられる。ビデオカメラも例外ではなく、ビデオカメラの操作をする際に、認証機能により正当な権限を持つユーザ以外は使用不可能とすることで、ビデオカメラ内に記録された情報の流出及び漏洩を防ぐことが可能となる。
【0003】
一般に、認証方式として、数字、アルファベット及び記号をパスワードとして入力するパスワード認証方式が広く普及している。パスワード認証方式は、本人の同一性を問う本人認証としては意味を持たないが、正しいパスワードを入力することで、パスワードを知得可能な正当な権限を持つ利用者であることを証明できる。また、パスワード認証では入力する数字等の桁数が少ないと容易にパスワードを発見される可能性が高くなり、逆に桁数が多いと認証の堅牢性は高くなり脆弱性は低くなるが、パスワードを記憶することが困難になるという問題がある。パスワードを記憶することなく、より守秘性を高めた方法に、指紋及び虹彩等の本人固有の身体情報を利用するバイオメトリクス認証方式があるが、バイオメトリクス認証の機能を実現するには、処理能力の高い機器や部品の実装が必要になること、登録したユーザにのみ使用可能となり利用者が限定されること及び身体情報登録することへの心理的抵抗感等の様々な問題がある。
【0004】
そこで、パスワード認証方式を改良し、堅牢性の高いパスワードを記憶する問題点について解決を図る方法として、画像を用いるパスワード認証方式が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−157675公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ビデオカメラの用途が多様化すると、盗難や置き忘れなどによる情報の流出及び漏洩が懸念され、ビデオカメラへの情報保護機能の実装が重要となる。また、ビデオカメラは小型化が進み、携帯性が高まった反面、細かいボタン操作などユーザインタフェースの煩雑性が高まっている。このような観点から、ビデオカメラには、正当な権限を持つ利用者を選択するための認証機能を備える必要はあるが、従来のパスワード認証方式を採用することは様々な問題点が存在する。また、認証操作の煩雑性の高いパスワード認証方式の問題点を解消するバイオ認証方式を利用すれば、機器のコスト等の問題が発生する。
【0006】
そこで、画像を使用した認証方式を用いることは、映像を撮影するビデオカメラ本来の目的からみても、非常に有効な手段となり得る。しかし、従来の画像を使用した認証方式は、認証操作の煩雑性は低くなるが、認証に使用するパスワード画像を登録する操作についての煩雑性は高い。
【0007】
本発明は、認証操作が容易で、認証に使用するパスワード画像を登録する煩雑な処理を解消するビデオカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の様態によれば、(イ)電源が投入される毎に認証処理を行う機能を有するビデオカメラにおいて、撮影した映像データを記録する映像データ記録手段と、(ロ)映像データ記録手段に記録されている撮影日時が異なる複数の映像データそれぞれから静止画像を抽出する静止画像抽出手段と、(ハ)抽出された静止画像から、予め設定された所定数の静止画像を認証用画像として選択し、この選択した所定数の認証用画像を映像データ記録手段に登録する認証用画像選択手段と、(ニ)映像データ記録手段に登録された所定数の認証用画像を表示する映像データ表示手段と、(ホ)外部からの指示により、映像データ表示手段に表示された所定数の認証用画像が、撮影日時に基づき予め決定されている所定の順序で選択された場合、その後の操作を許可する認証処理を行う認証手段とを備えるビデオカメラが提供される。
【0009】
また、本発明の様態によれば、電源が投入される毎に認証処理を行う機能を有するビデオカメラにおいて、(イ)撮影した映像を記録する映像データ記録手段と、(ロ)映像データ記録手段に記録されている撮影日時が異なる複数の映像それぞれから静止画像を抽出する静止画像抽出手段と、(ハ)抽出された静止画像から、予め設定された所定数の静止画像を認証用画像として選択するとともに、この選択した所定数の認証用画像を、認証処理に実際に用いる画像である複数の認証パスワード画像と、認証処理に実際には用いない画像であるダミー画像とに分けて映像データ記録手段に登録する認証用画像選択手段と、(ニ)映像データ記録手段に登録された所定数の認証用画像を表示する映像データ表示手段と、(ホ)外部からの指示により、映像データ表示手段に表示された所定数の認証用画像のうちの複数の認証パスワード画像が、撮影日時に基づき予め決定されている所定の順序で選択された場合、その後の操作を許可する認証処理を行う認証手段とを備えるビデオカメラが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、認証操作が容易で、認証に使用するパスワード画像を登録する煩雑な処理を解消するビデオカメラを提供可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に図面を参照して、本発明の第1〜4の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。なお以下の示す第1〜4の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は構成部品の配置等を下記のものに特定するものではない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るビデオカメラは、図1に示すように、ユーザからの操作を受け付けるユーザインタフェース2と、ビデオカメラ1の映像データ記録手段4及び映像データ表示手段5等の各構成要素を制御し、計算、データの入出力及びメモリ上に記憶されたプログラムの実行等を管理及び命令する演算処理装置3と、撮影済みの映像、映像の属性を示す映像属性データ及び撮影済み映像から抽出した静止画像等を保存する映像データ記録手段4と、撮影済み映像、映像属性データ及び撮影済み映像から抽出した静止画像等を表示する映像データ表示手段5と、撮影対象の実像を入力する映像入力手段6と、撮影された映像を圧縮符号化するCODEC手段7と、ビデオカメラ1の各構成要素間で送受信するデータを一時的に保存するRAM8と、演算処理装置3がビデオカメラ1の各構成要素に対して制御を行う際に読み出すプログラムを保存しているROM9と、ビデオカメラ1と外部機器とで接続を行う入出力端子10と、演算処理装置3や映像データ記録手段4等から成るビデオカメラ1の各構成要素間で、管理及び制御命令やデータを転送するための伝送経路であるシステムバス11とを備える。
【0013】
また、演算処理装置3は、中央演算処理装置(CPU)等であり、通信手段を備え、外部機器との間で映像及び映像属性データの入出力を行い、複数の映像毎に静止画像を抽出する静止画像抽出手段31と、抽出された静止画像から、予め設定されたフレーム数分の静止画像を無作為に選択し、選択された静止画像からパスワードを構成する認証パスワード画像及びパスワードを構成しないダミー画像をそれぞれ選択し、選択された複数の認証パスワード画像及びダミー画像を映像データ記録手段4に登録する認証用画像選択手段32と、複数の認証パスワード画像及びダミー画像の中から、予め設定された順序及びフレーム数の認証用画像が選択されることで、操作許可に関する認証を行う認証手段33とを備える。ここで、「認証パスワード画像」とは、ビデオカメラ1の利用者として正当な権限を持つユーザを認証するために、対象となるユーザしか知り得ない画像を指す。ユーザによりパスワード画像を使って入力されたパスワードが、予め登録されてある条件と一致する場合、認証手段33がユーザに対してビデオカメラ1の操作を許可する。また、「ダミー画像」とは、ビデオカメラ1の不当なユーザに対して、パスワード画像を選択するに当たって、パスワードの高堅牢性及び低脆弱性を維持するためのパスワード画像以外の画像である。さらに、本発明における「パスワード」とは、予め設定したパスワード画像のフレーム数に対して、予め設定した順序で選択し入力された情報を指す。
【0014】
ユーザインタフェース2は、ユーザとビデオカメラ1との間で情報のやり取りを行う。ユーザによるビデオカメラ1への操作を受け付けるため、図2に示す操作ダイヤル24及び操作ボタン25等が使用可能である。
【0015】
図1に示した静止画像抽出手段31は、ビデオカメラ1が撮影した複数の映像から、それぞれ1フレームずつ静止画像を抽出する。静止画像の抽出方法には、時間的な条件等を予め設定することで自動的に抽出する方法や、ビデオカメラ1の使用者が任意の静止画像を手動で抽出する方法が可能である。
【0016】
認証用画像選択手段32は、静止画像抽出手段31が複数の撮影済み映像それぞれから抽出した1フレームずつの静止画像を、ユーザがビデオカメラ1を操作する権限があるかどうかの認証に使用する「認証用画像」として、映像データ記録手段4に登録する。ここで、「認証用画像」とは図3(a)及び図3(b)に示すように、認証手段33が認証処理を行う際に用いる、撮影済み映像A〜Dから、静止画像抽出手段31が抽出した1フレーム毎の静止画像A〜Dの集合を指す。「認証用画像」は、図3(c)に示すように、認証用画像選択手段32によって選択された、認証パスワードを形成する「認証パスワード画像」、及び認証パスワード解析の難度を高める「認証パスワード画像」とは無関係の「ダミー画像」によって構成される。新たに撮影済み映像が映像データ記録手段4に追加されるたびに、撮影済み映像から新たに抽出された静止画像は「認証パスワード画像」及び「ダミー画像」によって構成される「認証用画像」として映像データ記録手段4に追加登録される。また、撮影済み映像が消去される際は、対応する抽出された認証用画像は消去されず、認証情報として保持する。「認証情報」とは、認証処理を行う際に、必要となる認証用画像等を特定するID情報等を指す。一方、撮影済み映像が増え過ぎた際には、必要に応じて撮影時刻の古い認証用画像から順次消去する。
【0017】
認証手段33は、映像データ記録手段4に登録されている、複数の認証用画像の中から無作為に選択した認証用画像から、予め設定された条件に従って、認証パスワードを生成し、映像データ記録手段4に登録する。ここで、「認証パスワード」とは、認証パスワード画像を利用して、予め設定された条件を満たすように構成された認証を許可する情報のことである。予め設定された条件とは、例えば、認証パスワード画像のフレーム数及び認証パスワード画像を選択する順序を指す。
【0018】
認証パスワードを生成するための認証パスワード画像及びダミー画像のフレーム数や付随する条件等は予め設定可能である。認証手段33は、ユーザが入力したパスワードと映像データ記録手段4に登録された認証パスワードを照合し、ユーザの認証を行う。
【0019】
本願発明のビデオカメラ1における認証手段33は、認証パスワード画像及びダミー画像を含む認証用画像の中から認証パスワード画像を選択するよう促す。選択する認証パスワード画像のフレーム数と順序等の認証条件は、ビデオカメラ1に対して正当な権限を持つユーザが予め設定可能なパラメータである。また、認証失敗時における認証処理のリトライ回数及び認証処理毎の認証パスワード変更の有無等も予め設定可能である。ここで、「認証処理のリトライ回数」とは、認証パスワードの入力ミス等により認証処理に失敗した際、再度試みる認証処理の回数のことである。また、「選択画像フレーム数」とは、予め設定した認証パスワード画像のフレーム数のことである。
【0020】
映像データ記録手段4は、撮影済みの映像、映像に付加された属性データ、映像から抽出された静止画像、認証用画像及び認証パスワード等を保存する記憶媒体である。ハードディスクのような磁気ディスク、DVD(登録商標)のような光ディスク及びメモリーカードのような不揮発性半導体メモリ等が使用可能である。
【0021】
映像データ表示手段5は、映像データ記録手段4に保存された映像及び映像に付加された属性データ等を表示可能である。ユーザが各種情報を視覚的に認識する必要があるため、図2(c)に示す液晶モニタ21及びファインダー22が使用可能である。
【0022】
映像入力手段6は、図2(b)に示すレンズ20を持ち、被写体の像を入力する装置である。CCDイメージセンサ及びCMOSイメージセンサ等のような、半導体撮像素子を使用可能である。映像撮影時には、撮影された映像が映像入力手段6に内蔵された撮像素子で光電変換され、デジタル化される。
【0023】
図1に示すCODEC手段7は、映像入力手段6によってデジタル化された映像を、データの実質的な性質を保ったまま、データ量を減らした別のデータに変換する圧縮符号化を行い、映像データ記録手段4に保存する。また、映像再生時には、映像データ記録手段4に記録された、圧縮符号化されたデータを映像信号に復元し、映像データ表示手段5に出力する。
【0024】
入出力端子10は、図4(a)に示すテレビ27又は図4(b)に示すコンピュータ28とビデオカメラ1を接続端子26で接続し、映像データ記録手段4に記録されたデータの読み出しや書き込みを行う。
【0025】
システムバス11は、ビデオカメラ1を構成する各構成要素を接続し、プログラム、映像、映像に付加された属性データ等を転送するための伝送経路である。
【0026】
次に、図5に示すフローチャートを用いて、図1のビデオカメラ1が行う認証処理に関する説明をする。
【0027】
(a)ステップS100において、ビデオカメラ1を操作すべく、ユーザにより電源がオフ(OFF)からオン(ON)の状態に変更された際、及び待機状態で操作ダイヤル24及び操作ボタン25が操作された際に、ビデオカメラ1は操作に関する正当な権限を持っているユーザにのみ使用許可を与えるため、演算処理装置3は認証処理のプログラムをハードディスクのような映像データ記録手段4から読み出し、実行する。ここで、「待機状態」とは、完全に電源が切られているのではなく、電源はオンの状態であり、すぐに起動できるように、ビデオカメラ1が備える必要最小限の装置に対して微弱な電流が流れている状態を意味する。認証処理の起動により、認証手段33は映像データ記録手段4に記録されている認証用画像を読み出し、映像データ表示手段5に表示する。
【0028】
(b)ステップS101において、認証モードが設定されていなければ、ビデオカメラ1へのアクセスはステップS109において許可され処理は終了し、ビデオカメラ1の電源の状態は利用可能な状態になる。認証モードが設定されていれば、認証処理はステップS102へ移る。認証モードのオン及びオフに関する設定は予めビデオカメラ1を利用する正当な権限を保持するユーザが設定可能である。
【0029】
(c)ステップS102において、演算処理装置3は認証のプログラム処理を続行し、認証処理のリトライ回数rを0にセットする。続いて、ステップS103において、選択画像フレーム数nを0にセットする。
【0030】
(d)ステップS104において、認証処理を受けるユーザに対して、認証用画像を、液晶モニタ21等の映像データ表示手段5に表示する。図6に示すように、認証手段33はユーザに対して、4フレームの認証用画像を、選択条件と共に液晶モニタ21上に表示する。図6に示すように、本発明の第1の実施の形態では、認証手段33は、ユーザに4フレームの認証用画像を提示し、撮影日時の新しい順序で、3フレームを選択するよう促す。すなわち、認証パスワード画像は3フレームであり、ダミー画像は1フレームとした例である。ユーザが認証パスワード画像の何フレーム目を選択しているかは、図6及び7に示す選択フレーム数61により認識可能である。
【0031】
(e)ステップS105において、認証手段33は、図6で液晶モニタ21に表示された認証パスワード画像の1フレーム目をユーザに対して選択するよう促す。ステップS106において、認証手段33は、選択された画像のフレーム数nが予め設定した選択フレーム数Nに達したかを判断する。n≠Nの場合、ステップS107において、選択画像フレーム数nに1を加算後、ステップS104の処理が実行され、図6で認証パスワード画像の2フレーム目をユーザに対して選ぶよう促す。図7は図6とは異なった認証用画像において、認証パスワード画像の2フレーム目がユーザにより選択された例である。ここで、選択フレーム数Nは、認証パスワード画像のフレーム数が3フレームに設定されている場合は、N=2となる。次に、n=Nの場合、ステップS108に移る。
【0032】
(f)ステップS108において、認証パスワード画像の種類と選択順序によって構成されている予め設定された認証パスワードと、選択された認証パスワード画像の種類及び順序が一致するかをチェックする。すなわち、認証パスワードとユーザがユーザインタフェース2より入力したパスワードを照合する。画像選択の順序は図6の液晶モニタ21上で示されたメッセージのように、撮影日時の新しい順序でも可能であり、撮影日時の古い順序でも可能である。第1の実施例では、認証されるために、4フレームの認証画像から3フレームの認証パスワード画像が、撮影日時の新しい順序で選択している。
【0033】
(g)ユーザの入力したパスワードが正しければ、ステップS109において、認証処理を行ったユーザへのビデオカメラ1の使用が許可され、CPU等の演算処理装置3が備える認証手段33は認証処理を終了する。認証パスワードとユーザが入力したパスワードとを照合した結果、一致しない場合、すなわちユーザの入力したパスワードが正しくない場合は、ステップS110において、リトライ回数rが予め設定された許容上限値Rに達したかどうかを判断する。
【0034】
(h)リトライ回数rが予め設定された許容上限値Rに達していないr≠Rの場合には、ステップS111において、リトライ回数rに1を加算した後、CPU等の演算処理装置3が備える認証手段33は、再びステップS103を実行する。ここで、許容上限値Rはリトライ回数を3回まで許可するのであれば、R=2となる。次に、r=Rの場合、ステップS112においてビデオカメラ1の使用は許可されず、認証処理は終了する。
【0035】
このように、第1の実施の形態に係るビデオカメラ1によれば、撮影日時に関して予め設定した順序で、予め設定したフレーム数の画像を選択する認証処理方法を取るため、パスワードの堅牢性を向上させることができ、パスワードとして登録する静止画像においては、登録作業の煩雑性を減殺することができる。さらに、撮影を行ったユーザだけでなく、撮影時に同行した者も認証用パスワード画像に対する情報を記憶しているため、ビデオカメラ1の利用者間でパスワード情報の開示を必要とせず、パスワード情報の守秘性を向上させることができる。
【0036】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るビデオカメラは、図1に示す静止画像抽出手段31が、映像データ記録手段4に新たな撮影済み映像が追加された際には、新たな撮影済み映像から、撮影開始時刻より予め設定された時間経過後における静止画像を1フレーム新たに抽出し、認証用画像選択手段32が、静止画像抽出手段31によって新たに抽出された複数の静止画像を、新たな認証用画像として設定することを特徴とする。本発明の第2の実施の形態に係るビデオカメラ1が備える静止画像抽出手段31は、第1の実施の形態における静止画像抽出手段31と新たなパスワード画像の登録方法が異なる。
【0037】
説明のため、簡易的に以下の前提を置く。すなわち、図8は映像データ記録手段4に記録される映像信号フォーマットの一例を模式図に示したものであり、メタデータ領域と及び映像データ領域により構成される。メタデータ領域には撮影日時、撮影条件及び識別ID等が格納される。映像データ領域には撮影された映像が記録される。第2の実施の形態における説明では簡単のため、認証処理に利用される撮影日時情報は0〜3の番号により表現し、値の小さい方を撮影日時が古いものとする。また、図9に示すように、4つの映像信号1100〜1103が記録されているものとする。ただし、実際に記録されている映像信号の数は4つに限定されるものではなく、認証の堅牢性を高めるためには、より多くの映像信号が記録されているのが好ましい。
【0038】
図10は、図9の複数の映像信号から抽出された静止画像を示す。すなわち、図9の映像信号1100、1101、1102及び1103から図10の静止画像1203、1201、1202及び1200がそれぞれ抽出される。抽出された静止画像は認証用画像として認証処理に使用される。抽出された4フレームの認証用画像は、映像データ表示手段5に、図6及び図7に示すように撮影日時とは無関係に表示される。この際、認証用画像1203が日時=0で最も撮影日時が古いため、認証処理の際、認証パスワードとは無関係のダミー画像となる。なお、第1の実施の形態においては、簡易的に「映像」としたが、正確には「映像信号」であり、静止画像抽出手段31が抽出する静止画像は、図8で示す「映像信号」の持つ映像データ領域に格納されている映像が対象となる。
【0039】
次に図11のフローチャートを用いて、本発明の第2の実施の形態に係るビデオカメラ1が備える静止画像抽出手段31における認証用画像の登録方法を説明する。新たに撮影が行われると、図9に示す4つの映像信号1100〜1103に、図12に示すような日時=4の映像信号1300が加わり、全体として5つの映像信号が記録された状態となる。
【0040】
(a)ステップS200において、新たな映像信号が映像データ記録手段4に記録されると、静止画像抽出手段31によって、認証用画像の抽出操作が実行される。図13は新たに撮影され、ハードディスク等の記録媒体である映像データ記録手段4に記録された映像信号1300の映像領域において、格納された映像の模式図である。図13で示される映像は時系列で並べられた静止画像の集合である。撮影開始時t=0の静止画像1000から時間順にフレームが並んで映像を構成している。このとき予め設定された撮影開始からの時間Tにおける静止画像1001が認証用画像として抽出される。
【0041】
(b)ステップS201において、認証用画像選択手段32は、映像信号1300に格納されている映像から静止画像抽出手段31が抽出した静止画像1001を認証用画像として映像データ記録手段4に登録する。その際、認証処理に使用する認証用画像のフレーム数が、予め設定した数を超えた場合は、最も撮影時刻の古い静止画像が認証用画像から外される。認証用画像1001は、登録されている静止画像の中で撮影時刻が日時=4で最も新しいため、認証パスワード画像として、映像データ記録手段4に登録される。すなわち、図10で示す、撮影日時が日時=0で最も古いダミー画像1203が認証用画像から削除され、映像信号1300から抽出された静止画像1001が、図14に示すように新たに認証用画像1400として登録される。
【0042】
(c)ステップS202において、当初登録されていた静止画像1203が認証用画像から削除されたことにより、現在登録されている認証用画像の中の撮影日時が日時=1で最も古い1201が自動的にダミー画像としてハードディスク等の記録媒体である映像データ記録手段4に再登録される。
【0043】
(d)ステップS203において、図1の映像データ記録手段4に認証用画像及び画像の抽出元である映像信号における撮影日時等の画像情報、撮影日時を基にした認証処理に関する画像選択の順序等であるパスワード情報等を、ハードディスク等の記録媒体である映像データ記録手段4に保存する。
【0044】
このように、第2の実施の形態に係るビデオカメラ1によれば、撮影を行う毎に、自動的に認証用画像の登録及び更新が行われるため、ビデオカメラ1の使用に対するパスワード更新の頻度が高く、セキュリティを高い状態で維持できる。また、ビデオカメラ1のユーザによる手動の登録操作を必要としないため、ユーザへの煩雑さを省略でき、パスワードの更新忘れを防ぐことができる。
【0045】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係るビデオカメラは、図5に示す認証処理のフローにおいて、図1に示す静止画像抽出手段31が、ユーザの認証が失敗し再度認証を行う際には、複数の撮影済み映像それぞれから、撮影開始時刻より予め設定された時間を変化させた時間経過後における静止画像を1フレーム新たに抽出することを特徴とする。すなわち、図5のステップS111において、リトライ回数rに1を加算した後、再びステップS103が実行される際に、図15に示す処理が図13の撮影開始後経過時間tの値を変更して実行され、登録されている認証用画像それぞれの基となる映像信号が格納する映像における異なる位置の1フレームの静止画像をそれぞれ抽出する。
【0046】
(a)ステップS300において、CPU等の演算処理装置3が備える静止画像抽出手段31は、ハードディスク等の記録媒体である映像データ記録手段4に記録された図13に示す映像の撮影開始後経過時間tの値をTからT’に変更する。
【0047】
(b)ステップS301において、ハードディスク等の記録媒体である映像データ記録手段4に記録された、図9の認証用画像の抽出元である映像信号1100〜1103が格納するそれぞれの映像から撮影開始後経過時間T’における静止画像を抽出する。図11のステップS200において抽出される静止画像はt=Tの時点のものであるが、ステップS300において抽出される静止画像はt=T’の時点のものであり、抽出元の映像は同一であるが、抽出される静止画像が異なる。
【0048】
(c)ステップS302において、ステップS301で抽出した静止画像を、現在登録されてある認証用画像1200〜1203と置き換え、ハードディスク等の記録媒体である映像データ記録手段4に保存することで、認証用画像の登録及び更新を行う。
【0049】
このように、第3の実施の形態に係るビデオカメラ1によれば、ユーザによる認証処理の失敗で、再度認証処理を行う際にも、毎回異なる画像を提示するため、認証のセキュリティを著しく向上させることができる。
【0050】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係るビデオカメラによれば、図1に示す静止画像抽出手段31が、ユーザが撮影中に指定した場面における静止画像を認証用画像として抽出することを特徴とする。本発明の第1及び2の実施の形態における静止画像抽出手段31とは、撮影済み映像信号が格納する映像から静止画像を抽出する方法において異なる。
【0051】
図11のステップS200において、ビデオカメラ1による撮影を行う際、撮影の中で任意の場面を指定することで、指定した場面の静止画像を、認証用画像として抽出し、ハードディスク等の記録媒体である映像データ記録手段4に登録することができる。
【0052】
他の構成や手順は第2の実施の形態と同様なので省略する。
【0053】
このように、第4の実施の形態に係るビデオカメラ1によれば、認証用画像が撮影中のユーザによって指定されることで、ユーザの記憶には更に鮮明に残り、認証処理における認証パスワード画像の選択の失敗を減少させることができる。また、認証用画像の指定は撮影中に行うため、撮影後に改めて認証用画像として指定をする時間を割く必要はなく、認証用画像の作成に対する煩雑性の減殺に貢献する。
【0054】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の第1〜4の実施の形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、図1に示すビデオカメラ1の演算処理装置3が備える静止画像抽出手段31、認証用画像選択手段32及び認証手段33は、演算処理装置3に内蔵されているが、ハードウェアとして演算処理装置3とは独立に設けることも可能である。また、図6及び7に示すように、認証用画像の同時表示フレーム数は4フレームとしたが、4フレームに限定されるものではなく、必要に応じて変更できるとしてもよいことは勿論である。認証用画像のフレーム数を増加して、図6及び7の液晶モニタ21に全てのフレームを一度に表示できない場合は、図6のスクロールバー62を上下に動かすことで、全フレームを閲覧可能となる。
【0055】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明からは妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1、2、3及び4の実施の形態に係るビデオカメラのブロック図である。
【図2】本発明の第1、2、3及び4の実施の形態に係るビデオカメラの概観図である。
【図3】本発明の第1、2、3及び4の実施の形態に係る撮影済み映像、認証用画像、認証パスワード画像及びダミー画像の模式図である。
【図4】本発明の第1、2、3及び4の実施の形態に係るビデオカメラとテレビ及びコンピュータとの接続例である。
【図5】本発明の本発明の第1、2、3及び4の実施の形態に係るビデオカメラにおいて、利用者への認証方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1、2、3及び4の実施の形態に係るビデオカメラにおいて、利用者への認証処理における液晶モニタ上での表示例である。
【図7】本発明の第1、2、3及び4の実施の形態に係るビデオカメラにおいて、利用者への認証処理における液晶モニタ上での表示例である。
【図8】本発明の第2、3及び4の実施の形態に係るビデオカメラにおいて、撮影済み映像信号のフォーマットを示した模式図である。
【図9】本発明の第1、2、3及び4の実施の形態に係るビデオカメラにおいて、映像データ記録手段に記録された映像信号例である。
【図10】本発明の第1、2、3及び4の実施の形態に係るビデオカメラにおいて、認証用画像例である。
【図11】本発明の第1、2、3及び4の実施の形態に係るビデオカメラにおいて、認証用画像の登録処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第1、2、3及び4の実施の形態に係るビデオカメラにおいて、映像データ記録手段に記録された映像信号の例である。
【図13】本発明の第2、3及び4の実施の形態に係るビデオカメラにおいて、撮影済み映像信号が格納する映像から1フレームを抽出する際の模式図である。
【図14】本発明の第1、2、3及び4の実施の形態に係るビデオカメラにおいて、新たな撮影済み映像信号が格納する映像から抽出された1フレームの静止画像が、認証用画像として、映像データ記録手段に登録された例である。
【図15】本発明の第3の実施の形態に係るビデオカメラにおいて、認証用画像の抽出方法示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1…ビデオカメラ
2…ユーザインタフェース
3…演算処理装置
4…映像データ記録手段
5…映像データ表示手段
6…映像入力手段
7…CODEC手段
8…RAM
9…ROM
10…入出力端子
11…システムバス
20…レンズ
21…液晶モニタ
22…ファインダー
24…操作ダイヤル
25…操作ボタン
26…接続端子
27…テレビ
28…コンピュータ
31…静止画像抽出手段
32…認証用画像選択手段
33…認証手段
61…選択フレーム数
62…スクロールバー
1000、1001…静止画像
1100、1101、1102、1103…信号映像
1200、1201、1202、1203、1400…認証用画像
1300…映像信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源が投入される毎に認証処理を行う機能を有するビデオカメラにおいて、
撮影した映像データを記録する映像データ記録手段と、
前記映像データ記録手段に記録されている撮影日時が異なる複数の映像データそれぞれから静止画像を抽出する静止画像抽出手段と、
抽出された前記静止画像から、予め設定された所定数の前記静止画像を認証用画像として選択し、この選択した所定数の認証用画像を前記映像データ記録手段に登録する認証用画像選択手段と、
前記映像データ記録手段に登録された前記所定数の認証用画像を表示する映像データ表示手段と、
外部からの指示により、前記映像データ表示手段に表示された前記所定数の認証用画像が、前記撮影日時に基づき予め決定されている所定の順序で選択された場合、その後の操作を許可する認証処理を行う認証手段と、
を備えることを特徴とするビデオカメラ。
【請求項2】
電源が投入される毎に認証処理を行う機能を有するビデオカメラにおいて、
撮影した映像を記録する映像データ記録手段と、
前記映像データ記録手段に記録されている撮影日時が異なる複数の映像それぞれから静止画像を抽出する静止画像抽出手段と、
抽出された前記静止画像から、予め設定された所定数の前記静止画像を認証用画像として選択するとともに、この選択した所定数の認証用画像を、前記認証処理に実際に用いる画像である複数の認証パスワード画像と、前記認証処理に実際には用いない画像であるダミー画像とに分けて前記映像データ記録手段に登録する認証用画像選択手段と、
前記映像データ記録手段に登録された前記所定数の認証用画像を表示する映像データ表示手段と、
外部からの指示により、前記映像データ表示手段に表示された前記所定数の認証用画像のうちの前記複数の認証パスワード画像が、前記撮影日時に基づき予め決定されている所定の順序で選択された場合、その後の操作を許可する認証処理を行う認証手段と、
を備えることを特徴とするビデオカメラ。
【請求項3】
前記認証手段における認証処理において、その後の操作が許可されなかった場合、前記静止画像抽出手段は、前記撮影日時が異なる複数の映像データそれぞれから新たな静止画像を抽出し、
前記認証用画像選択手段は、抽出された前記新たな静止画像から、予め設定された所定数の新たな静止画像を認証用画像として選択する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のビデオカメラ。
【請求項4】
前記静止画像抽出手段は、前記映像データ記録手段に記録されている撮影日時が異なる複数の映像データそれぞれにおいて、各映像データの撮影開始時点から予め設定されている所定時間が経過した時点の映像データを静止画像として抽出する手段であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のビデオカメラ。
【請求項5】
前記静止画像抽出手段は、撮影中に、外部から抽出指示があった場合、この抽出指示を受け付けた時点に撮影された映像データを静止画像として抽出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のビデオカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−181417(P2008−181417A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15390(P2007−15390)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】