説明

ビデオテープレコーダ

【課題】 簡単な構成により光検知センサを取り付けることができるとともに、光検知センサの固定位置がずれて誤動作が生じる問題を防止し得るビデオテープレコーダを提供する。
【解決手段】録画・再生ヘッド等を備えたデッキの中央から左右側面に向けて所定の光を出射可能に構成され、前記光の受光強度によってビデオテープの始端又は終端を検出する光検知センサを備えたビデオテープレコーダにおいて、前記デッキのシャーシ側面に一体的に成形された保持手段によって前記光検知センサを固定するようにした。
具体的には、前記光検知センサは、主基板とは別に設けられ前記主基板に電気的に接続された副基板にフォトトランジスタを配置されてなり、前記保持手段は、前記フォトトランジスタをデッキ内に露出させる開口部を有するとともに、前記副基板を係合可能な係合部を有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオテープを記録媒体として録画再生を行うビデオテープレコーダ(VTR)に関し、特に、ビデオテープの始端又は終端を検出する光検知センサの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のビデオテープレコーダ(以下、VTRと略する)のデッキ部分の分解斜視図である。図4に示すように、デッキDの下部に録画再生回路やモータ制御回路等を実装したプリント配線基板Pが固定されており、デッキDの上方はシールドSで覆われている。また、VTRには、挿入されたビデオテープの動作状況を検出するために、光検知センサ40が設けられている。
【0003】
この光検知センサ40は、例えば、所定の高さを有する基板(立ち基板)にフォトトランジスタを配設して構成され、この立ち基板の下部に設けられた突出部をプリント配線基板Pの係合孔に嵌合し、半田付けにより立ち基板を立設することでフォトトランジスタを主回路と電気的に接続している。なお、図4において、右側の光検出センサ40Rはテープ始端検出用で、左側の光検出センサ40Lはテープの終端検出用となる。
【0004】
具体的には、プリント配線基板Pに配設された発光ダイオード30から光を出射し、該発光ダイオード30の上方に配置され、デッキDの中央に立設された中央プリズム(図示略)に光を入射させる。そして、この中央プリズムで左右に分光された光をデッキDの側壁に設けられた開口部50を介して光検知センサ10のフォトトランジスタに受光させることで、ビデオテープの始端及び終端を検出する。
【0005】
図4では、デッキDの中央に立設した中央プリズムからの光を光検知センサ40で直接受光する構造となっているが、デッキDに設けられた開口部50に対応する位置にさらにプリズムを設けて、該プリズムにより中央プリズムからの光を下方に反射させて、プリント配線基板Pに直接配設された光検知センサで受光するようにした構造も提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−111404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図4に示す構造のVTRにおいては、光検知センサ40はプリント配線基板Pに半田付けにより立設されているだけであるため、VTR動作時の振動等によって半田付け部分の固定強度が弱くなり、光検知センサ40の位置がずれるおそれがある。この場合、光検知センサ40での受光強度が変化してしまうため、誤動作が生じてしまう(いわゆるセンサ不良)。また、図4では、光検知センサ40の立ち基板と垂直な方向に、固定強度を向上するための補強部材が設けられているが、振動等の外力に十分に対応するためには改善の余地がある。
【0007】
また、ビデオテープの始端及び終端を精度よく検出するためには光検知センサ40の位置決めが非常に重要となるが、デッキDと光検知センサは離間されているために所望の精度を得るのは比較的困難であり、決して組み立て工程が容易であるとは言えない。
【0008】
また、上記先願技術においては、センサ不良を防止するには有効であるが、中央プリズムからの光を下方のフォトトランジスタに導くためのプリズムが必要となるため、VTRの装置コストが嵩むという問題がある。
【0009】
本発明は、簡単な構成により光検知センサを取り付けることができるとともに、光検知センサの固定位置がずれて誤動作が生じる問題を防止し得るビデオテープレコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、録画・再生ヘッド等を備えたデッキの中央(録画・再生ヘッドとビデオテープのリール軸との中間位置)から左右両側面に向けて所定の検出光を出射可能な発光手段と、前記光の受光強度によってビデオテープの始端又は終端を検出する光検知センサを備えたビデオテープレコーダにおいて、前記デッキのシャーシ側面に一体的に成形された保持手段によって前記光検知センサを固定するようにしたものである。
【0011】
具体的には、前記光検知センサは、主基板とは別に設けられ前記主基板に電気的に接続された副基板にフォトトランジスタを配置されてなり、前記保持手段は、前記フォトトランジスタをデッキ内に露出させる開口部を有するとともに、前記副基板を係合可能な係合部を有するようにした。
【0012】
また、前記係合部は、前記開口部の周縁部に外側に向けて形成された少なくとも一組の対向する起立壁で構成され、前記起立壁は、先端にフック状の第1の係止片を有するとともに、前記第1の係止片の内側に第2の係止片を有し、前記第1の係止片及び第2の係止片により前記副基板を狭持可能に構成されるようにした。
【0013】
また、前記第2の係止片は、対向する第2の係止片同士の間隔が、前記フォトトランジスタの径と同一となる大きさで形成されるようにした。
【0014】
さらに、前記副基板は、主基板から切り離され不要となった捨て基板を成形してなるようにした。ただし、副基板と電気的に接続される主基板から生じた捨て基板に制限されず、他の電子機器用の主基板から生じた捨て基板を用いても構わない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光検知センサは常に同じ位置に固定され、VTR動作時の振動等によって位置がずれるおそれはないので、光検知センサの位置がずれることに起因して受光強度が変化してしまい誤動作が生じるのを防止することができる。また、光検知センサとデッキの位置関係は、デッキに保持手段を成形する時点で決定されるので、光検知センサの組み込み作業は格段に簡易化される。
【0016】
また、主基板から切り離され不要となった捨て基板を成形してフォトトランジスタを配置する副基板とする上、必要となる基板面積も小さくてすむので、コスト低減に貢献できる。従来は、フォトトランジスタを配置する立ち基板に捨て基板を利用することもあったが、本発明に係る副基板は従来使用していた立ち基板よりも必要面積が小さいので、同じ面積の捨て基板から副基板としての部品を多く作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るビデオテープレコーダ(以下、VTRと略する)のデッキ部分の分解斜視図である。図1に示すように、デッキDの下部に録画再生回路やモータ制御回路等を実装したプリント配線基板Pが固定され、デッキDの上方はシールドSで覆われている。そして、これらがVTR本体の筐体内に配設される。なお、デッキDやプリント配線基板Pの詳細な構造は、周知のVTRとほぼ同様であるため説明は省略する。
【0019】
本実施形態では、挿入されたビデオテープの始端及び終端を検出するための光検知センサの取付構造が従来のVTRと異なる。すなわち、デッキDのシャーシ側面に一体的に成形された保持手段20によって光検知センサ10を固定するようにしている。なお、図1において、右側の光検出センサ10Rはテープ始端検出用で、左側の光検出センサ10Lはテープの終端検出用となる(いわゆるスタートエンドセンサ)。
【0020】
また、デッキDの略中央部には、アクリル樹脂製の中央プリズム(図示しない)が立設されており、この中央プリズムの上端部には左右反射面が設けられている。また、中央プリズムに光を入射させるための光源としての発光ダイオード30がプリント配線基板Pに配設されている。この発光ダイオード30から発射された光が中央プリズムで反射され、反射光を光検知センサ10で受光することでビデオテープの始端又は終端を検出することができる。
【0021】
具体的には、発光ダイオード30から光を出射すると、該発光ダイオードの上方に配置された中央プリズムに光が入射され、この中央プリズム上端の左右反射面で光が左右に反射される。そして、この反射光が光検知センサ10によって受光される。このとき、中央プリズムと光検出センサ10間の光路をビデオテープの録画再生可能な部分(暗色部分)が横切るときは、中央プリズムからの光はビデオテープにより遮断されるので、光検知センサ10では受光されない。一方、ビデオテープの始端及び終端に設けられている透明のリーダテープが前記光路を横切るときは、中央プリズムからの光は透過され光検知センサにより受光されるので、これによりビデオテープの始端或いは終端に到達したことを検出できる。
【0022】
次に、本実施形態に係る光検知センサ10の取付構造について詳細に説明する。
【0023】
図2は光検知センサ10及び保持手段20の拡大図であり、図3は保持手段20を構成する片側の起立壁25の拡大図であり、図4は光検知センサ10の取付状態を示す上面図である。
【0024】
図2に示すように、光検知センサ10は、捨て基板を成形してなる副基板12に、フォトトランジスタ11及びリード線13の一端が半田付けにより接続されてなる。ここで、副基板12はフォトトランジスタ11とリード線13を接続可能な大きさで略正方形に成形されている。つまり、副基板12は、従来使用していた立ち基板よりも必要面積が小さく、同じ面積の捨て基板から副基板12としての部品を多く作製することができる。また、フォトトランジスタ11は副基板12の裏面側でリード線13の一端と電気的に接続されており、リード線13の他端がプリント配線基板Pに半田付けされることでメイン回路に電気的に接続されている。
【0025】
一方、保持手段20は、デッキDのシャーシ側面の所定の位置(中央プリズムで反射された反射光の光路上)に略円形の開口部26を設け、該開口部26の周縁に対向する一組の起立壁25を例えば板金加工によりデッキDの外方に向けて成形してなる。
【0026】
図3に示すように、起立壁25は、先端部にフック状の第1の係止片21を有し、その内側に第2の係止片22を有する。2つの係止片21,22の間の距離は、副基板12の厚さとほぼ同一とされる。また、対向する第2の係止片22同士は、両者間の距離がフォトトランジスタ11の径とほぼ同一となるような大きさで形成される。
【0027】
このような2つの係止片21,22を有する起立壁20を対向配置させることで、光検知センサ10の副基板12を2つの係止片21,22の間に狭持できるとともに、フォトトランジスタ11を第2の係止片22,22間にはめ込むように位置をあわせることで光検知センサ10をほぼ正確な位置に固定することができる。
【0028】
本実施形態に係る光検知センサ10の取付構造によれば、光検知センサ10は常に同じ位置に固定されるので、VTR動作時の振動等によって位置がずれるおそれはない。したがって、光検知センサ10の位置がずれることに起因して受光強度が変化してしまい誤動作が生じるのを防止することができる。
【0029】
また、光検知センサ10とデッキDの位置関係は、デッキDに保持手段としての開口部26及び起立壁25を成形する時点で決定されるので、光検知センサ10の組み込み作業は格段に簡易化される。
【0030】
また、主基板から切り離され不要となった捨て基板を成形してフォトトランジスタを配置する副基板とするので、コスト低減に貢献できる。
【0031】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0032】
例えば、本実施形態では、水平方向に対向する一組の起立壁25を設けて、これにより光検知センサ10を固定するようにしているが、さらに垂直方向に対向する一組の起立壁を設けるようにすれば、第2の係止片22によりフォトトランジスタ11は上下方向にも固定されるので光検知センサ10の位置決め精度を向上することができる。
【0033】
また、上記実施形態で説明した保持手段の構造(対向する一組の起立壁25)に加えて、副基板12が脱落不能に開口部26の周縁部下方に、副基板を支持する支持部材を設けるようにしてもよい。
【0034】
なお、光検知センサ10をデッキDのシャーシに取り付ける方法は、上述した方法に制限されず、例えばビス止めによって固定しても構わない。
【0035】
また、本発明に係る光検知センサ10の取付構造は、ビデオテープの録画再生機能を備えたテレビジョン受像機(いわゆるテレビビデオ)にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るビデオテープレコーダのデッキ部分の分解斜視図である。
【図2】光検知センサ10及び保持手段20の拡大図である。
【図3】保持手段20を構成する片側の起立壁25の拡大図である。
【図4】光検知センサ10の取付状態を示す上面図である。
【図5】従来のビデオテープレコーダのデッキ部分の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
D デッキ
P プリント配線基板
S シールド
10 光検知センサ
11 フォトトランジスタ
12 副基板
13 リード線
20 保持手段
21 第1の係止片
22 第2の係止片
25 起立壁
26 開口部
30 発光ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
録画・再生ヘッド等を備えたデッキの前記録画・再生ヘッドとビデオテープのリール軸との中間位置から左右両側面に向けて所定の検出光を出射可能な発光手段と、前記光の受光強度によってビデオテープの始端又は終端を検出する光検知センサを備えたビデオテープレコーダにおいて、
前記光検知センサは、主基板とは別に設けられ前記主基板に電気的に接続された副基板にフォトトランジスタを配置されてなり、
前記フォトトランジスタをデッキ内に露出させる開口部を有するとともに、前記副基板を係合可能な係合部を有する保持手段を備え、
前記係合部は、前記開口部の周縁部に外側に向けて形成され、先端にフック状の第1の係止片を有するとともに前記第1の係止片の内側に第2の係止片を有し、前記第1の係止片及び第2の係止片により前記副基板を狭持可能な少なくとも一組の対向する起立壁で構成され、前記第2の係止片は対向する第2の係止片同士の間隔が前記フォトトランジスタの径と同一となる大きさで形成されていることを特徴とするビデオテープレコーダ。
【請求項2】
録画・再生ヘッド等を備えたデッキの前記録画・再生ヘッドとビデオテープのリール軸との中間位置からから左右両側面に向けて所定の検出光を出射可能な発光手段と、前記光の受光強度によってビデオテープの始端又は終端を検出する光検知センサを備えたビデオテープレコーダにおいて、
前記光検知センサは、前記デッキのシャーシ側面に一体的に成形された保持手段によって固定されていることを特徴とするビデオテープレコーダ。
【請求項3】
前記光検知センサは、主基板とは別に設けられ前記主基板に電気的に接続された副基板にフォトトランジスタを配置されてなり、
前記保持手段は、前記フォトトランジスタをデッキ内に露出させる開口部を有するとともに、前記副基板を係合可能な係合部を有することを特徴とする請求項2に記載のビデオテープレコーダ。
【請求項4】
前記係合部は、前記開口部の周縁部に外側に向けて形成された少なくとも一組の対向する起立壁で構成され、
前記起立壁は、先端にフック状の第1の係止片を有するとともに、前記第1の係止片の内側に第2の係止片を有し、前記第1の係止片及び第2の係止片により前記副基板を狭持可能に構成されることを特徴とする請求項3に記載のビデオテープレコーダ。
【請求項5】
前記第2の係止片は、対向する第2の係止片同士の間隔が、前記フォトトランジスタの径と同一となる大きさで形成されていることを特徴とする請求項4に記載のビデオテープレコーダ。
【請求項6】
前記副基板は、主基板から切り離され不要となった捨て基板を成形してなることを特徴とする請求項3から5の何れかに記載のビデオテープレコーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−18961(P2006−18961A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197862(P2004−197862)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】