説明

ビニルエステル系モノマー重合用担持型触媒組成物およびそのビニルエステル系モノマーの重合への使用

【課題】 より温和な条件下で簡便に酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマーをイソタクチック重合させる。
【解決手段】 重合体のイソタクチシチーがメソ2連子(m)で50%以上となるビニルエステル系モノマーのイソタクチック重合用担持型触媒組成物であって、周期律表第4族から第9族の金属のハロゲン化物、アルキル化物、アリール化物、アリル化物、水素化物、含酸素有機化物、含窒素有機化物から選ばれた金属化合物(成分A)を無機担体または有機担体に担持させた触媒と、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基もしくは炭素数6〜40の芳香族炭化水素基を少なくとも1つ有する、原子番号3以上かつ周期律表第1、2、12もしくは13族元素の化合物または過塩素酸塩から選ばれた化合物(成分B)とを含有するイソタクチック重合用担持型触媒組成物、およびそのビニルエステル系モノマーの重合への使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周期律表第4族から第9族の金属化合物を含有するビニルエステル系モノマー重合用担持型触媒組成物、およびそれを用いたビニルエステル系モノマーのイソタクチック重合に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマーの重合体は、鹸化することでポリビニルアルコール(PVA)へと変換され、繊維、フィルム、接着剤など多岐に渡る分野で使用されている。PVAの物性は、ポリマーの側鎖である水酸基の立体規則性により大きく変化することが知られている。例えば、イソタクチシチーまたはシンジオタクチシチーに富むPVAは、アタクチックポリマーに比べて強度、耐熱性等の点でより優れている。
【0003】
ビニルエステル系モノマーの付加重合法としては、ラジカル重合が知られている。しかしながら、ラジカル重合法では立体規則性制御に限界があり、特殊な溶媒を用いる必要がある、極低温での重合が必須である等の操作の煩雑さを伴い、簡便かつ温和な条件下で立体規則性を制御することは困難である。通常工業的に用いられている酢酸ビニルのラジカル重合から得られるPVAのイソタクチシチーはメソ2連子(m)で50%以下を示し、重合溶媒や重合温度を変えても50%を超えない。
【0004】
一方、チグラー・ナッタ触媒またはメタロセン触媒を用いる重合に代表される配位重合は、立体規則性の制御が比較的容易であることが知られている。そのようなことから、ビニルエステル系モノマーについて遷移金属触媒を用いて立体規則性重合しようとする試みが幾つかなされており、例えば非特許文献1〜3等の報告がされている。これらの報告には、5〜10%の収率でポリマーが得られると記されているのみで、いずれも生成ポリマーの立体規則性を明らかにしていないが、これまでの均一系遷移金属触媒によるイソ特異性重合の発現機構から、イソタクチシチ−の高いポリ酢酸ビニルは、得られていないと推測される。
【0005】
また、特許文献1には、ロジウム化合物を触媒に用いたエチレン−酢酸ビニル共重合体の製造方法が報告されている。この方法により得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル含量は、0.001〜50%にコントロールすることが可能と記載されているが、酢酸ビニルの単独重合およびエチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル連鎖の長さおよびその立体規則性については不明である。
【0006】
【特許文献1】特開平3−296505号公報
【非特許文献1】工業化学雑誌,第65巻,74頁,1962年
【非特許文献2】Z.Anorg.Allorg.Chem.,第629巻,781頁,2003年
【非特許文献3】Polym.Prepr.Jpn.,第46巻,1311頁,1997年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は上記のような従来技術の問題点を解決し、より温和な条件下でビニルエステル系モノマーからイソタクチシチーが高く、品質、物性等が良好なPVAを製造するための重合用担持型触媒組成物、およびイソタクチシチーの高いポリマーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、
重合体のイソタクチシチーがメソ2連子(m)で50%以上となるビニルエステル系モノマーのイソタクチック重合用担持型触媒組成物であって、下記成分Aから選ばれた少なくとも1種の金属化合物を無機担体または有機担体に担持させた触媒と、下記成分Bから選ばれた少なくとも1種の化合物とを含有するイソタクチック重合用担持型触媒組成物に関する。
成分A:周期律表第4族から第9族の金属のハロゲン化物、アルキル化物、アリール化物、アリル化物、水素化物、含酸素有機化物、含窒素有機化物。
成分B:置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基もしくは置換基を有していてもよい炭素数6〜40の芳香族炭化水素基を少なくとも1つ有する、原子番号3以上かつ周期律表第1、2、12もしくは13族元素の化合物、または過塩素酸塩。
【0009】
さらに本発明は、上記の重合用担持型触媒組成物の、ビニルエステル系モノマーのイソタクチック重合への使用に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の重合用触媒組成物によれば、より温和な条件下でビニルエステル系モノマーを重合でき、かつイソタクチシチーが高く、品質、物性等が良好なポリビニルアルコールを与えるビニルエステル系ポリマーを製造することができる。得られるポリビニルアルコールは、高強度高弾性率材料、耐熱性材料等に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のイソタクチック重合用担持型触媒組成物は、成分Aの金属化合物を無機担体または有機担体に担持させた触媒と、成分Bの化合物との組合せからなる。
本発明の重合用担持型触媒組成物に含有させるべき成分Aは、周期律表第4族から第9族の金属のハロゲン化物、アルキル化物、アリール化物、アリル化物、水素化物、含酸素有機化物、含窒素有機化物からなる群から選ばれた少なくとも1種類の金属化合物である。金属化合物の金属は、周期律表第4族のチタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、周期律表第5族のバナジウム、ニオブ、タンタル、周期律表第6族のクロム、モリブデン、タングステン、周期律表第7族のマンガン、レニウム、周期律表第8族の鉄、ルテニウム、オスミウム、周期律表第9族のコバルト、ロジウム、イリジウムであり、特にチタニウム、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウムが好ましい。
【0012】
成分Aで示される周期律表第4族から第9族の金属のハロゲン化物としては、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、過塩素酸化物などが挙げられる。該周期律表第4族から第9族の金属のハロゲン化物の具体例としては、フッ化チタニウム(III)、フッ化チタニウム(IV)、フッ化ジルコニウム(IV)、フッ化ハフニウム(IV)、フッ化バナジウム(IV)、バナジウムオキシフルオライド(V)、フッ化ニオブ(V)、フッ化タンタル(V)、フッ化クロム(II)、フッ化クロム(III)、フッ化モリブデン(VI)、フッ化タングステン(VI)、フッ化マンガン(III)、フッ化鉄(II)、フッ化コバルト(II)、フッ化コバルト(III)、塩化チタニウム(IV)、塩化チタニウム(III)、塩化チタニウム(II)、ジクロロビス(シクロペンタジエニル)チタニウム(IV)、トリクロロ(シクロペンタジエニル)チタニウム(IV)、トリクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)、ジクロロ(シクロペンタジエニル)チタニウム(III)、クロロビス(シクロペンタジエニル)チタニウム(III)、ジクロロビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)、トリクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)、ジクロロビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)、オキソビス[クロロビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)]、ジクロロ[エチレンビス(インデニル)]ジルコニウム(IV)、ジクロロ[エチレンビス(テトラヒドロインデニル)]ジルコニウム(IV)、ジクロロビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)、塩化ジルコニウム(IV)、トリクロロ(シクロペンタジエニル)ハフニウム(IV)、トリクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウム(IV)、ジクロロビス(シクロペンタジエニル)ハフニウム(IV)、オキソビス[クロロビス(シクロペンタジエニル)ハフニウム(IV)]、ジクロロビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウム(IV)、塩化ハフニウム(IV)、クロロビス(シクロペンタジエニル)バナジウム、ジクロロビス(シクロペンタジエニル)バナジウム、クロロ(シクロペンタジエニル)(テトラヒドロフラン)バナジウム、トリクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)バナジウム、ジクロロ(シクロペンタジエニル)オキソバナジウム、塩化バナジウム(II)、塩化バナジウム(III)、塩化バナジウム(IV)、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)コバルト(I)、塩化コバルト(II)、過塩素酸コバルト(II)、クロミルクロライド、クロロ(シクロペンタジエニル)ジカルボニル酸鉄(II)、クロロ(シクロペンタジエニル)[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]鉄(II)、ジクロロビス[1,2−ビス(ジエチルホスフィノ)エタン]鉄(II)、クロロヒドリドビス[ビス(1,2−ジフェニルホスフィノ)エタン]鉄(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)鉄(II)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、過塩素酸鉄(II)、過塩素酸鉄(III)、ハフニウムオキシクロライド、クロロペンタカルボニルマンガン(I)、クロロジカルボニル(ヘキサメチルベンゼン)マンガン(I)、塩化マンガン(II)、過塩素酸マンガン(II)、ジルコニルクロライド、過塩素酸ジルコニル、塩化クロム(II)、塩化クロム(III)、塩化イリジウム(III)、塩化イリジウム(IV)、ルテニウム(III)ニトロシルクロライド、トリクロロニトロシルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(III)、テトラフルオロホウ酸クロロジニトロシルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ジクロロテトラキス(イソシアン化t−ブチル)ルテニウム(II)、ジクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(III)、クロロ(シクロペンタジエニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、クロロ(シクロペンタジエニル)ビス(トリメチルホスフィン)ルテニウム(II)、クロロジカルボニル(シクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、クロロジカルボニル(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、クロロ(シクロペンタジエニル)(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム(II)、クロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム(II)、クロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ビス(メチルジフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ジクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(III)、トリクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(IV)、ジクロロ(アリル)(シクロペンタジエニル)ルテニウム(IV)、ジクロロ(アリル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(IV)、テトラクロロビス(ベンゼン)二ルテニウム(II)、テトラクロロビス(ヘキサメチルベンゼン)二ルテニウム(II)、バナジウム(V)オキシクロライド、塩化レニウム(III)、ジクロロテトラカルボニル二ロジウム(I)、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、ジクロロテトラキス(アリル)二ロジウム(III)、塩化ロジウム(III)、ジクロロビス(クロロトリカルボニル)ルテニウム(II)、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、塩化ルテニウム(III)、テトラクロロ(シクロペンタジエニル)ニオブ(V)、テトラクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ニオブ(V)、ジクロロビス(シクロペンタジエニル)ニオブ(V)、ジクロロビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ニオブ(V)、トリクロロ(ジフェニルアセチレン)ニオブ、塩化ニオブ(V)、塩化レニウム(V)、テトラクロロ(シクロペンタジエニル)タンタル(V)、テトラクロロ(ペンタメチルシクロペンタジエニル)タンタル(V)、ジクロロビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)タンタル(V)、シクロペンタジエニル)(エテン)タンタル、ジクロロシクロペンタジエニルジカルボニルタンタル、トリクロロ(2,2−ジメチルプロピリデン)ビス(トリメチルホスフィン)タンタル、塩化タンタル(V)、臭化コバルト(II)、臭化鉄(II)、ブロモペンタカルボニルマンガン、臭化マンガン(II)、ブロモペンタカルボニルレニウム(I)、ブロモトリカルボニル(アリル)鉄(II)、ブロモ(シクロペンタジエニル)カルボニル(トリメチルホスフィン)鉄(II)、臭化鉄(III)、臭化イリジウム(III)、臭化ロジウム(III)、ブロモ(シクロペンタジエニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ブロモ(シクロペンタジエニル)ビス(トリメチルホスフィン)ルテニウム(II)、ブロモ(シクロペンタジエニル)(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム(II)、臭化ルテニウム(III)、臭化バナジウム(III)、臭化ハフニウム(IV)、臭化チタニウム(IV)、ジブロモビス(シクロペンタジエニル)チタニウム(IV)、トリブロモ(シクロペンタジエニル)チタニウム(IV)、トリブロモ(シクロペンタジエニル)ジルコニウムテトラアリルジルコニウム(IV)、臭化ジルコニウム(IV)、臭化ニオブ(V)、臭化タンタル(V)、臭化クロム(II)、臭化クロム(III)、カルボニル(シクロペンタジエニル)ジヨードコバルト(III)、(シクロペンタジエニル)(トリフェニルホスフィン)ジヨードコバルト(III)、カルボニルジヨード(ペンタメチルシクロペンタジエニル)コバルト(III)、ジヨードビス[ペンタメチルシクロペンタジエニル]ヨードコバルト(III)]、ヨウ化コバルト(II)、ヨウ化鉄(II)、ヨウ化ハフニウム(IV)、ヨウ化マンガン(II)、ヨウ化ロジウム(III)、ヨードジカルボニル(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、ヨウ化ルテニウム(III)、ヨウ化バナジウム(III)、ヨウ化チタニウム(IV)、ヨウ化ジルコニウム(IV)、ヨウ化ニオブ(V)、ヨウ化タンタル(V)、ヨウ化クロム(II)、ヨウ化クロム(III)、過塩素酸クロム(III)、塩化モリブデン(III)、塩化モリブデン(V)、臭化モリブデン(III)、モリブデンジクロライドジオキサイド(VI)モリブデンオキシクロライド(VI)、二塩化モリブドセン(IV)、クロロトリカルボニル(シクロペンタジエニル)モリブデン(II)、塩化タングステン(IV)、塩化タングステン(VI)、臭化タングステン(V)、タングステンジクロライドジオキサイド(VI)、タングステンオキシクロライド(VI)、ジアセトニトリル(アリル)(ジカルボニル)(クロロ)タングステン(II)、ブロモトリカルボニル(シクロペンタジエニル)タングステン(II)、ジクロロビス(シクロペンタジエニル)タングステン(IV)、ジクロロビス(シクロペンタジエニル)オキソタングステン(VI)等が挙げられる。
【0013】
成分Aで示される周期律表第4族から第9族の金属のアルキル化物としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基の少なくとも1つを配位子として有する金属化合物を示す。上記炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基等の直鎖、分岐鎖または環状の脂肪族炭化水素基が挙げられる。また、これらの基の置換基としては、上記の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリロキシ基、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、アセトキシ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボニル基、アミノ基等の官能基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。周期律表第4族から第9族の金属のアルキル化物の具体例としては、トリクロロメチルチタニウム(IV)、トリブロモメチルチタニウム(IV)、ジメチルビス(シクロペンタジエニル)チタニウム(IV)、クロロ(メチル)ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム(IV)、ジメチルビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)、トリメチル(シクロペンタジエニル)チタニウム(IV)、メチルトリイソプロポキシチタニウム(IV)、トリス(ジメチルアミノ)メチルチタニウム(IV)、1,4−テトラメチレンビス(シクロペンタジエニル)チタニウム(IV)、ビス(シクロペンタジエニル)(2,3−イソプロピリデン)チタナシクロブタン(IV)、ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム(IV)、ヨードメチルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)、ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルハフニウム(IV)、メチルビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)バナジウム、テトラクロロメチルニオブ(V)、ジクロロトリメチルニオブ(V)、エチルビス(シクロペンタジエニル)(プロピン)ニオブ、テトラクロロメチルタンタル(V)、ジクロロトリメチルタンタル(V)、トリメチルビス(シクロペンタジエニル)タンタル(V)、メチル(メチリデン)ビス(シクロペンタジエニル)タンタル、テトラメチルクロム(IV)、テトラキス(トリメチルシリルメチル)クロム(IV)、トリカルボニル(シクロペンタジエニル)メチルモリブデン(II)、トリカルボニル(シクロペンタジエニル)エチルモリブデン(II)、トリカルボニル(シクロペンタジエニル)イソプロピルモリブデン(II)、トリカルボニル(シクロペンタジエニル)クロロメチルモリブデン(II)、トリカルボニル(シクロペンタジエニル)ヨードメチルモリブデン(II)、トリカルボニル(シクロペンタジエニル)ブロモプロピルモリブデン(II)、トリカルボニル(シクロペンタジエニル)ブロモブチルモリブデン(II)、ジメチル(ベンゼン)ビス(トリメチルホスフィン)モリブデン(II)、ヘキサメチルタングステン(VI)、ヘキサキス(トリメチルシリルメチル)二タングステン(III)、ペンタカルボニルメチルマンガン(I)、ペンタカルボニルメチルレニウム(I)、カルボニルニトロシルメチル(ペンタメチルシクロペンタジエニル)レニウム(I)、メチル(トリオキソ)レニウム(VII)、(シクロペンタジエニル)メチルカルボニル鉄(II)、(シクロペンタジエニル)メチルカルボニル(トリメチルホスフィン)鉄(II)、クロロメチル(シクロペンタジエニル)カルボニル(トリフェニルホスフィン)鉄(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)メチルコバルト(I)等が例示される。
【0014】
周期律表第4族から第9族の金属のアリール化物としては、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を少なくとも1つは配位子として有する金属化合物を示す。上記炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基等が挙げられる。また、これらの基の置換基としては、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリロキシ基、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、アセトキシ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボニル基、アミノ基等の官能基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。周期律表第4族から第9族の金属のアリール化物の具体例としては、テトラベンジルチタニウム(IV)、ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルチタニウム(IV)、トリフェニルトリス(テトラヒドロフラン)クロム(III)等が例示される。
【0015】
周期律表第4族から第9族の金属のアリル化物としては、π結合性配位子を少なくとも1つは配位子として有する金属化合物を示す。上記π結合性配位子としては、置換基を有していてもよいアリル基、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基等が挙げられる。また、これらの基の置換基としては、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリロキシ基、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、アセトキシ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボニル基、アミノ基等の官能基等が挙げられる。これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。周期律表第4族から第9族の金属のアリル化物の具体例としては、ジシクロペンタジエニルビス(シクロペンタジエニル)チタニウム(IV)、テトラアリルジルコニウム(IV)、テトラアリルハフニウム(IV)、ビス(シクロペンタジエニル)バナジウム、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)バナジウム、トリス(アリル)クロム(III)、テトラキス(アリル)二クロム(II)、ヘキサカルボニルビス(シクロペンタジエニル)二クロム(I)、クロモセン(II)、ビス(シクロペンタジエニル)エチレンモリブデン(II)、ビス(シクロペンタジエニル)(1,2−ジフェニルエチン)モリブデン(II)、(アリル)ビス(シクロペンタジエニル)モリブデン(IV)トシラート、トリカルボニル(シクロペンタジエニル)(エチレン)タングステン(II)ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキサカルボニルビス(シクロペンタジエニル)二タングステン(I)、カリウムトリカルボニル(シクロペンタジエニル)タングステン(0)酸カリウム、ビス(シクロペンタジエニル)タングステン(II)、アリルビス(シクロペンタジエニル)タングステン(IV)ヘキサフルオロリン酸塩、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)マンガン(II)、フェロセン、ルテノセン、コバルトセン等が例示される。
【0016】
周期律表第4族から第9族の金属の水素化物としては、水素原子を少なくとも1つは配位子として有する金属化合物を示す。周期律表第4族から第9族の金属の水素化物の具体例としては、ジヒドリドビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウム(IV)、ジヒドリドビス[ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム(III)]、ポリ[ヒドリドビス(シクロペンタジエニル)]チタニウム(III)、ビス(シクロペンタジエニル)ジヒドリドジルコニウム(IV)、クロロビス(シクロペンタジエニル)ヒドリドジルコニウム(IV)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジヒドリドジルコニウム(IV)、クロロビス(シクロペンタジエニル)ヒドリドハフニウム(IV)、ジヒドリドビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウム(IV)、トリヒドリドビス(シクロペンタジエニル)ニオブ(V)、ヒドリドビス(シクロペンタジエニル)エチレンニオブ(III)、ヒドリドビス(シクロペンタジエニル)(3,3−ジメチルブチン)ニオブ、トリヒドリドビス(シクロペンタジエニル)タンタル(V)、トリカルボニルヒドリド(シクロペンタジエニル)クロム(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ジヒドリドモリブデン(IV)、トリカルボニル(シクロペンタジエニル)ヒドリドモリブデン(II)、トリカルボニルヒドリド(ペンタメチルシクロペンタジエニル)モリブデン(II)、ジヒドリド(ベンゼン)ビス(トリフェニルホスフィン)モリブデン(II)、テトラヒドリドビス{1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン}モリブデン(IV)、ジヒドリドペンタキス(トリメチルホスフィン)モリブデン(II)、ホルマトヒドリドビス{1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン}モリブデン(II)、トリカルボニル(シクロペンタジエニル)(ヒドリド)タングステン(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ジヒドリドタングステン(II)、ビス(シクロペンタジエニル)(エチレン)(ヒドリド)タングステン(II)ヘキサフルオロリン酸塩、ヒドリドペンタカルボニルマンガン(I)、トリス(ヒドリドテトラカルボニルマンガン)(I)、ヒドリドペンタカルボニルレニウム(I)、(ヒドリド)(プロペニル)(オクタカルボニル)二レニウム、ジカルボニルジヒドリド(シクロペンタジエニル)レニウム(III)、トリヒドリドビス[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]レニウム(III)、トリカルボニルヒドリド(トリフェニルホスフィン)鉄(0)酸テトラエチルアンモニウム、(シクロペンタジエニル)ヒドリドジカルボニル鉄(II)、ジヒドリドビス[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]鉄(II)、ヒドリドビス[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]鉄(I)、ジヒドリド(二窒素)トリス(エチルジフェニルホスフィン)鉄(II)、ジヒドリドテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、テトラヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ジヒドリド(トリフルオロホスフィン)トリス(フェニルホスフィン)ルテニウム(II)、アセタトヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ヒドリドニトロシルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ヒドリド(シクロペンタジエニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ヒドリド(シクロペンタジエニル)(1,5−シクロオクタジエン)ルテニウム(II)、トリヒドリド(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(IV)、ヒドリドテトラカルボニルコバルト(I)、ヒドリド(二窒素)トリス(トリフェニルホスフィン)コバルト(I)、ヒドリドテトラカルボニルロジウム(I)、ヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、ヒドリドトリス(トリイソプロピルホスフィン)ロジウム(I)ヒドリドテトラキス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、[ジヒドリドビス(トリフェニルホスフィン)ビス(アセトニトリル)ロジウム(I)]過塩素酸塩、ジヒドリドビス(トリエチルシリル)ペンタメチルシクロペンタジエニルロジウム(V)等が例示される。
【0017】
周期律表第4族から第9族の金属の含酸素有機化物としては、置換基を有していてもよいメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基等ノカルボキシル基、フェノキシ基等のアリロキシ基、アセチルアセトナート基、アセトキシ基、アミド基等の含酸素有機配位子を少なくとも1つは配位子として有する金属化合物を示す。周期律表第4族から第9族の金属の含酸素有機化物の具体例としては、アセチルクロロビス(シクロペンタジエニル)チタニウム(IV)、塩化トリイソプロポキシチタニウム(IV)、トリス(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)(2,2−ジメチルプロピリデン)タンタル、テトラクロロ(2,6−ジイソプロピルフェノキシ)タンタル(V)、酢酸クロム(III)、ベンゾイルアセトナートクロム(III)、ヘキサフルオロアセチルアセトナートクロム(III)、ナフテン酸クロム(III)、酢酸モリブデン(II)、2−エチルへキサン酸モリブデン、ビス(アセチルアセトナート)酸化モリブデン(IV)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)酸化モリブデン(VI)、タングステン(VI)エトキシド、アセチルアセトナートクロム(III)、トリス(サリチルアルデヒダト)クロム(III)、ビス(アセチルアセトナート)ジオキソモリブデン(VI)、ペンタカルボニルアセチルレニウム(I)、ジアセタトジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ジカルボニル(ヒドロキシメチル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、2,4−ペンタンジオナートビス(エチレン)ロジウム(I)、ビス(アセチルアセトナート)ジクロロチタニウム(IV)、トリクロロ(アセチルアセトナート)ジクロロチタニウム(IV)、アセチルアセトナートジルコニウム(IV)、アセチルアセトナートバナジウム(IV)、アセチルアセトナートマンガン(III)、アセチルアセトナートマンガン(II)、アセチルアセトナート鉄(III)、アセチルアセトナート鉄(II)、アセチルアセトナートルテニウム(III)、アセチルアセトナートコバルト(III)、アセチルアセトナートコバルト(II)、アセチルアセトナートロジウム(III)等が例示される。
【0018】
周期律表第4族から第9族の金属の含窒素有機化物としては、置換基を有していてもよいアミノ基、アミド基、イミノ基、ニトリル基等の含窒素有機配位子を少なくとも1つは配位子として有する金属化合物を示す。周期律表第4族から第9族の金属の含窒素有機化物の具体例としては、臭化トリス(ジメチルアミノ)チタニウム(IV)、テトラフェニルポルフィン塩化クロム(III)、トリス(2−アミノエタノラト)クロム(III)、トリス(グリシナト)クロム(III)、(トリメチレンジアミンテトラアセタト)クロム(III)酸ナトリウム等が例示される。
【0019】
上記成分Aは、無機担体または有機担体に担持させることが、ビニルエステル系モノマーのイソタクチック重合を行う上で有用である。無機担体としては、無機物、金属の酸化物やハロゲン化物などが挙げられる。例えば、活性炭、アルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、ゼオライト、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化銅などが例示される。さらには、反応によって無機担体となりうるものも使用できる。例えば、金属マグネシウムとアルコールとの反応物などが挙げられる。
【0020】
有機担体としては、有機溶媒に不溶な高分子化合物、イオン交換樹脂などが挙げられる。例えば、ポリスチレンビーズ、シクロデキストリン、Amberlyst、Nafion、Dowex、Sephadex、シリカゲル等が挙げられる。
【0021】
上記成分Aを無機担体または有機担体に担持する方法は、触媒製造技術分野で通常用いる方法を利用することができる。例えば、上記成分Aと無機担体とを不活性ガス雰囲気下、ボールミルや振動ミル中で共粉砕する方法や、上記成分Aの溶液に無機担体または有機担体を浸漬した後乾燥担持させる方法、上記成分Aが有する配位子を有機担体と化学的に結合させる方法などが挙げられる。無機担体または有機担体への上記成分Aの担持量は、特に限定されないが0.001〜30wt%程度が好ましい。
【0022】
本発明の重合用担持型触媒組成物に含有させるべき成分Bは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基もしくは置換基を有していてもよい炭素数6〜40の芳香族炭化水素基を少なくとも1つ有する、原子番号3以上かつ周期律表第1,2,12もしくは13族元素の化合物、または過塩素酸塩である。置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基等の直鎖、分岐鎖または環状の脂肪族炭化水素基が挙げられ、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基等が挙げられる。また、これらの基の置換基としては、上記の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリロキシ基、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、アセトキシ基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボニル基、アミノ基等の官能基等が挙げられる。これらの置換基はさらなる置換基を有していてもよい。
【0023】
成分Bに含まれる化合物としては、アルキルリチウム、アルキルナトリウム、アルキルマグネシウム、アルキル亜鉛、アルキルアルミニウム、有機ホウ素化合物、過塩素酸塩などが挙げられる。具体例としては、メチルリチウム、ブチルリチウム、フェニルリチウム、ブチルナトリウム、ブチルエチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム、臭化ブチルマグネシウム、臭化フェニルマグネシウム、塩化メチルマグネシウム、塩化エチルマグネシウム、塩化ブチルマグネシウム、塩化フェニルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムイソプロポキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド、エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド、水素化ジイソプロピルアルミニウム、メチルアルミニウムビス(2,6−ジtert−ブチルフェノキシド)、メチルアルミニウムビス(2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジtert−ブチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノキシド)、メチルアルミニウムビス{2−(N−フェニルイミノ)フェノキシド}、イソブチルアルミニウムビス{2−(N−フェニルイミノ)フェノキシド}、ジエチルアルミニウム{2−(N−フェニルイミノ)フェノキシド}、ジメチルアルミニウム(N,N`−ジイソプロピルアセトアミジナート)、ジメチルアルミニウム(N,N`−ジシクロヘキシルアセトアミジナート)、ジメチルガリウム(N,N`−ジイソプロピルアセトアミジナート)、ジメチルガリウム(N,N`−ジシクロヘキシルアセトアミジナート)、酸素原子や窒素原子を介して2個以上のアルミニウムが結合したアルミノキサン化合物等が挙げられる。中でもトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライドアルミノキサン化合物等が好ましい。
【0024】
また、有機ホウ素化合物には狭義の有機ホウ素化合物の他に有機ホウ酸化合物をも含み、具体例としては、トリスペンタフルオロフェニルホウ素、トリス(トリフルオロメチル)ホウ素、テトラキスペンタフルオロフェニルホウ酸トリフェニルメチル、テトラキス[3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸トリフェニルメチル、テトラキス[3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウムなどが挙げられる。過塩素酸塩とは過塩素酸金属塩や過塩素酸と有機カチオンとの塩を含み、具体例としては、過塩素酸銀、過塩素酸トリフェニルメチルなどが挙げられる。成分Bは、これらの化合物の1種又は2種以上混合して用いることができる。
【0025】
本発明で用いるビニルエステル系モノマーとしては、代表的には酢酸ビニルが示されるが、本発明では、酢酸ビニル以外にも、炭素数3〜20のビニルエステル系単量体が用いられてもよい。そのような単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、2−エチルへキサン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられる。また、これらは単独でも2種以上を組み合せてもよい。本発明の重合用担持型触媒組成物を用いたビニルエステル系モノマーの重合時に、ビニルエステル系単量体と共重合可能な単量体、例えばエチレン、プロピレン、イソブテンなどのα−オレフィン;アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸などの不飽和酸類、その塩またはモノもしくはジアルキルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド類;ビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン;スチレン、α−メチルスチレン;ブタジエン、イソプレン、1,5−ヘキサジエン、シクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、ノルボルナジエン;ビニルスルホン酸またはその塩;などを少量存在させることも可能である。
【0026】
重合条件は特に限定されないが、ビニルエステル系モノマーと不活性溶媒との混合溶液を用いることが好ましい。この不活性溶媒は、重合を阻害しないものであればいかなる溶媒でも使用することができるが、特に炭素数4〜20の脂肪族炭化水素、例えばイソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等;芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン等;炭素数1〜20のハロゲン化脂肪族炭化水素、例えばクロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、ジブロモエタン、テトラクロロエタン等;ハロゲン化芳香族炭化水素、例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等;炭素数3〜20の脂肪族エステル、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸2−エチルへキシル、酢酸フェニル、ヘキサン酸エチル等;または芳香族エステル、例えば安息香酸メチル、安息香酸エチル等;が適当である。
【0027】
本発明の実施にあたり、成分Aはビニルエステル系モノマーと不活性溶媒を含有する混合溶液1Lあたり周期律表第4族から第9族の金属原子0.001〜2.5モルに相当する量で使用するのが好ましく、条件によりさらに高い濃度で使用することもできる。
【0028】
成分Bは、成分Aの種類等により適宜濃度を変更し得るが、ビニルエステル系モノマーと不活性溶媒を含有する混合溶液1Lあたり、通常周期表第1、2、11、12または13族の金属原子0.02〜50モルの濃度で使用するのが好ましい。触媒組成物の成分B/成分Aのモル比は特に限定されないが、通常10000以下であり、好ましくは5000以下であり、より好ましくは0.1〜1000である。
【0029】
本重合における重合操作は、通常の単一の重合条件で行う一段重合のみならず、複数の重合条件下で行う多段重合においても行うことができる。
【0030】
本発明における重合条件は特に限定されないが、通常−100℃〜200℃であり、好ましくは−20℃〜100℃である。
【0031】
本発明の担持型触媒組成物を用い、ビニルエステル系モノマーを重合して得られたビニルエステル系重合体からは、鹸化してPVAを製造することができるが、鹸化方法やその条件には特に制限はなく、ビニルエステル系重合体のアルコール溶液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリを触媒として公知の方法で鹸化することができる。なお、本発明の担持型触媒組成物は、ビニルエステル系モノマーを重合して、イソタクチシチーがメソ2連子(m)で50%以上となるビニルエステル系重合体を得るためのものである。本発明においてビニルエステル系重合体のイソタクチシチーとは、該ビニルエステル系重合体をアルカリ鹸化してPVAへと変換し、核磁気共鳴装置により後述の実施例に記載の方法に従って求めた値を指すものとする。
【実施例】
【0032】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例に用いた測定方法は次の通りである。
【0033】
(イソタクチシチー(二連子))
ポリ酢酸ビニルは常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換し、核磁気共鳴装置(日本電子社製、JNM−LAMBDA−400)によりプロトンNMRを測定し、三連子(mm/mr/rr)の割合(%)を求め、次式からイソタクチシチー(二連子)(m)(%)を算出した。
イソタクチシチー(二連子)(m)=mm+(mr/2)
【0034】
(重合体の分子量)
カラム(東ソー社製、TSKgelGMHHR−MおよびTSKgelG2000HHR)および示差屈折率計(東ソー社製、RI−8020)を備えたゲル浸透クロマトグラフ(東ソー社製)により、40℃、テトラヒドロフラン溶媒中で、ビニルエステル系重合体の重量平均分子量(Mw)および分子量分散度(MWD)〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)〕をポリスチレン換算で求めた。
【0035】
合成例1
[担持型触媒の調製]
アセチルアセトナートクロム(III)を無機担体の塩化マグネシウムに担持させた。すなわち、内容積0.2Lのガラス製シュレンクチューブにアルゴン雰囲気下アセチルアセトナートクロム(III)0.1g、塩化マグネシウム5.0gとトルエン0.015Lを仕込み24時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去することで下アセチルアセトナートクロム(III)を担体上に担持させた。得られた塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートクロム(III)触媒中のクロム含率は、0.056mmol/gであった。
【0036】
実施例1
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1の塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートクロム(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表1に示した。また、クロム1mol当たりの触媒活性は、7.44kg/mol-Crであった。
【0037】
実施例2
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1の塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートクロム(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加えた。反応溶液は、室温で10分攪拌した後、液層を除去し、同等量のトルエンを加えた。次に酢酸ビニル(0.01L)をこの溶液に加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表1に示した。
【0038】
実施例3
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1の塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートクロム(III)(1.0g)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で2mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)をこの溶液に加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表1に示した。
【0039】
実施例4
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにn−ヘプタン(0.01L)を装入し、合成例1の塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートクロム(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表1に示した。
【0040】
実施例5
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1の塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートクロム(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で6時間撹拌した。6時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表1に示した。
【0041】
実施例6
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1の塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートクロム(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて40℃で6時間撹拌した。6時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表1に示した。
【0042】
【表1】

【0043】
実施例7
酢酸ビニルの重合
エチレン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1の塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートクロム(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で6時間撹拌した。6時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表2に示した。
【0044】
実施例8
酢酸ビニルの重合
エチレン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1の塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートクロム(III)(1.0g)、安息香酸エチル(3mmol)およびジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表2に示した。
【0045】
実施例9
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1と同様の方法で調製した塩化マグネシウム担持トリフルオロアセチルアセトナートクロム(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表2に示した。
【0046】
実施例10
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1と同様の方法で調製した塩化マグネシウム担持ベンゾイルアセチルアセトナートクロム(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表2に示した。
【0047】
実施例11
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1と同様の方法で調製した塩化マグネシウム担持ビス(アセチルアセトナート)酸化モリブデン(IV)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表2に示した。
【0048】
【表2】

【0049】
実施例12
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1と同様の方法で調製した塩化マグネシウム担持ビス(アセチルアセトナート)ジクロロチタニウム(IV)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表3に示した。
【0050】
実施例13
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1と同様の方法で調製した塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートジルコニウム(IV)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表3に示した。
【0051】
実施例14
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1と同様の方法で調製した塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートバナジウム(IV)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて0℃で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表3に示した。
【0052】
実施例15
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコに合成例1に準じた方法で調整した塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートバナジウム(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(10mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて0℃で6時間撹拌した。6時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表3に示した。
【0053】
合成例2
[2−メチル−1,3−ブタンジオネートバナジウム(III)の合成]
1)2-メチル-1,3-フ゛タンシ゛オネート配位子の合成:滴下ロートを備えた500mlシュレンクチューフ゛に粉末のCH3ONa(0.24mol),HCOOCH3(0.53mol)およびTHF(300ml)を導入した。次に反応容器を0℃に冷却した後、撹拌しながらメチルエチルケトン(0.26mol)を30分かけてゆっくりと滴下した。その後、0℃で4時間,室温で20時間撹拌した。反応溶液は、2日間静置することで溶液部と固体部に分離し、溶液部のみを除去した。目的物の固体部(薄黄色)は、減圧乾燥した(収率約90%)。
2)錯体の合成:300mlシュレンクチューフ゛に上記の方法で合成した2-メチル-1,3-フ゛タンシ゛オネート(57mmol)を入れ、50mlの蒸留水に溶解した。この溶液にVCl3水溶液(3.0g/50ml)を加えて1時間撹拌した。次に、この溶液を数時間静置した後、上澄み液を除去した。このように蒸留水で10回程洗浄することで目的の錯体を精製した。最後に減圧乾燥することで茶色の錯体を得た(収率約50%)[Makromol.Chem.,Rapid Commun.,8,285(1987年)参照]。
【0054】
実施例16
酢酸ビニルの重合
合成例2で得た2−メチル−1,3−ブタンジオネートバナジウム(III)を合成例1に準じた方法で塩化マグネシウムに担持した。アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、塩化マグネシウム担持2−メチル−1,3−ブタンジオネートバナジウム(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(10mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて0℃で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表3に示した。
【0055】
実施例17
酢酸ビニルの重合
合成例2で得た2−メチル−1,3−ブタンジオネートバナジウム(III)を合成例1に準じた方法で塩化マグネシウムに担持した。アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコに塩化マグネシウム担持2−メチル−1,3−ブタンジオネートバナジウム(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(10mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて0℃で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表3に示した。
【0056】
【表3】

【0057】
実施例18
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1と同様の方法で調製した塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートマンガン(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表4に示した。
【0058】
実施例19
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1と同様の方法で調製した塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートマンガン(II)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表4に示した。
【0059】
【表4】

【0060】
実施例20
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1と同様の方法で調製した塩化マグネシウム担持アセチルアセトナート鉄(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表5に示した。
【0061】
実施例21
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1と同様の方法で調製した塩化マグネシウム担持アセチルアセトナート鉄(II)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表5に示した。
【0062】
実施例22
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1と同様の方法で調製した塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートルテニウム(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表5に示した。
【0063】
【表5】

【0064】
実施例23
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1と同様の方法で調製した塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートコバルト(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表6に示した。
【0065】
実施例24
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1と同様の方法で調製した塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートコバルト(II)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表6に示した。
【0066】
実施例25
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにヘプタン(0.01L)を装入し、合成例1に準じた方法で調整した塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートコバルト(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(10mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で6時間撹拌した。6時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表6に示した。
【0067】
実施例26
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコに合成例1に準じた方法で調整した塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートコバルト(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(5mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で6時間撹拌した。6時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表6に示した。
【0068】
実施例27
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.02L)を装入し、合成例1に準じた方法で調整した塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートコバルト(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(10mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて60℃で3時間撹拌した。3時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表6に示した。
【0069】
【表6】

【0070】
実施例28
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1と同様の方法で調製した塩化マグネシウム担持アセチルアセトナートロジウム(III)(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表7に示した。
【0071】
実施例29
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1と同様の方法で調製した塩化マグネシウム担持トリクロロ(シクロペンタジエニル)チタニウム(IV)(1.0g)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で2mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて0℃で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表7に示した。
【0072】
実施例30
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、合成例1と同様の方法で調製した塩化マグネシウム担持rac-エチレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム(IV)(1.0g)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で2mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。結果を表7に示した。
【0073】
【表7】

【0074】
比較例1
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、アゾイソブチロニトリル(10mg)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて60℃で24時間撹拌した。24時間後、反応溶液を濃縮し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。当該条件は、通常のラジカル重合としての比較例に該当する。結果を表8に示した。
【0075】
比較例2
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、アセチルアセトナートクロム(III)(17.5mg)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。当該条件は、成分Aを担体に担持させていない比較例に該当する。結果を表8に示した。
【0076】
比較例3
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、アセチルアセトナートクロム(III)(175mg)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。当該条件は、成分Aを担体に担持させていない比較例に該当する。結果を表8に示した。
【0077】
比較例4
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、ジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。当該条件は、成分Aを用いていない比較例に該当する。結果を表8に示した。
【0078】
比較例5
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、塩化マグネシウム(1.0g)とアゾイソブチロニトリル(10mg)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて60℃で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。当該条件は、担体共存下での通常のラジカル重合としての比較例に該当する。結果を表8に示した。
【0079】
【表8】

【0080】
比較例6
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、トリフルオロアセチルアセトナートクロム(III)(25.6mg)とジエチルアルミニウムクロライド(1.1mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。当該条件は、成分Aを担体に担持させていない比較例に該当する。結果を表9に示した。
【0081】
比較例7
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、ベンゾイルアセチルアセトナートクロム(III)(26.8mg)とジエチルアルミニウムクロライド(1.1mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。当該条件は、成分Aを担体に担持させていない比較例に該当する。結果を表9に示した。
【0082】
比較例8
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、ビス(アセチルアセトナート)酸化モリブデン(IV)(16.3mg)とジエチルアルミニウムクロライド(1.1mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。当該条件は、成分Aを担体に担持させていない比較例に該当する。結果を表9に示した。
【0083】
比較例9
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、塩化マグネシウム(1.0g)とジエチルアルミニウムクロライド(11mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。当該条件は、成分Aを用いていない比較例に該当する。結果を表9に示した。
【0084】
比較例10
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、メチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で2mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。当該条件は、成分Aを用いていない比較例に該当する。結果を表9に示した。
【0085】
【表9】

【0086】
比較例11
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、アセチルアセトナートクロム(III)(17.5mg)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で2mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。当該条件は、成分Aを担体に担持させていない比較例に該当する。結果を表10に示した。
【0087】
比較例12
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、トリフルオロアセチルアセトナートクロム(III)(25.6mg)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で2mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。当該条件は、成分Aを担体に担持させていない比較例に該当する。結果を表10に示した。
【0088】
比較例13
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、ベンゾイルアセチルアセトナートクロム(III)(26.8mg)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で2mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。当該条件は、成分Aを担体に担持させていない比較例に該当する。結果を表10に示した。
【0089】
比較例14
酢酸ビニルの重合
アルゴン置換した0.1Lシュレンクフラスコにトルエン(0.01L)を装入し、ビス(アセチルアセトナート)酸化モリブデン(IV)(16.3mg)とメチルアルミノキサン(アルミニウム原子換算で2mmol)を加え、さらに酢酸ビニル(0.01L)を加えて室温で24時間撹拌した。24時間後、反応容器に0.1M塩酸水溶液0.1L中に投入し、クロロホルムで生成物を抽出し、ポリ酢酸ビニルを得た。得られたポリ酢酸ビニルは、常法に従ってアルカリ鹸化してPVAへと変換した。当該条件は、成分Aを担体に担持させていない比較例に該当する。結果を表10に示した。
【0090】
【表10】

【0091】
実施例1〜30と比較例1〜14との比較から明らかなように、本発明の重合用担持型触媒組成物を用いると、温和な条件下でイソタクチシチーの高いポリマーを製造できることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合体のイソタクチシチーがメソ2連子(m)で50%以上となるビニルエステル系モノマーのイソタクチック重合用担持型触媒組成物であって、下記成分Aから選ばれた少なくとも1種の金属化合物を無機担体または有機担体に担持させた触媒と、下記成分Bから選ばれた少なくとも1種の化合物とを含有するイソタクチック重合用担持型触媒組成物。
成分A:周期律表第4族から第9族の金属のハロゲン化物、アルキル化物、アリール化物、アリル化物、水素化物、含酸素有機化物、含窒素有機化物。
成分B:置換基を有していてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基もしくは置換基を有していてもよい炭素数6〜40の芳香族炭化水素基を少なくとも1つ有する、原子番号3以上かつ周期律表第1、2、12もしくは13族元素の化合物、または過塩素酸塩。
【請求項2】
成分Aが、置換基を有していてもよいアセチルアセトナート基の少なくとも1つを配位子として有する金属化合物である、請求項1に記載の重合用担持型触媒組成物。
【請求項3】
成分Aを担持させる担体が、周期律表第1族または第2族の金属のハロゲン化物である、請求項1または2に記載の重合用担持型触媒組成物。
【請求項4】
成分Bが、有機リチウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機ホウ素化合物、有機アルミニウム化合物または過塩素酸塩である、請求項1〜3のいずれかに記載の重合用担持型触媒組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の重合用担持型触媒組成物の、ビニルエステル系モノマーのイソタクチック重合への使用。
【請求項6】
ビニルエステル系モノマーの炭素数が3〜20である請求項5に記載のビニルエステル系モノマーのイソタクチック重合への使用。
【請求項7】
ビニルエステル系モノマーが酢酸ビニルである請求項6に記載のビニルエステル系モノマーのイソタクチック重合への使用。

【公開番号】特開2007−2232(P2007−2232A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142308(P2006−142308)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】