説明

ビーズ状架橋ポリ(アミノアルキレン)マトリックスおよびその使用

本発明は、固相合成、反応混合物の精製、クロマトグラフ分離手順などのためのビーズ状架橋高積載容量ポリマーの合成に関する。したがって、本発明は、ポリマービーズまたはそれに結合した化学実体に対して親和性を有する分子実体を単離するために使用することができる。該ビーズ状ポリマーマトリックスは、置換されていてもよいポリ(アミノアルキレン)を、逆相懸濁重合条件または逆相乳化重合条件下、≧2の官能価の架橋単位で架橋することによって形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固相合成、反応混合物の精製、クロマトグラフ分離手順などのための、ビーズ状架橋高積載(loading)容量ポリマーの合成に関する。したがって、本発明は、ポリマービーズに対して親和性を有する分子実体、またはポリマービーズに結合した化学的実体を単離するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
固相化学技術の興味および重要性は、数十年の間、迅速に発展してきた。その使用の初期の研究は、アミノ酸またはヌクレオチドのオリゴマー、またはペプチドのような他の化学的構築ブロックの非天然オリゴマーの合成に集中していた[Geysenら、J.Bioorg.Med.Chem.Lett.、3、397(1993年);Egholmら、J.Am.Chem.Soc.、114、1895(1992年);Simonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89、9367(1992年)]。近年になって、非オリゴマー小分子のライブラリー合成が、激しい研究活動の領域となってきている[Wangら、J.Med.Chem.、38、2995(1995年)]。
【0003】
化学品を製造するための全てのアプローチにおいて、固相であろうと溶液相であろうと、高積載容量、迅速精製、および単離が必要とされる。固相技術は、反応媒体からの生成物の分離の容易性、および容量分析を用いるビーズの取扱性などの利点を提供する。固相技術の制限には、反応スケールの制限、しばしばビーズが低容量であること、生成物の検証の必要性、および固相合成に固有の反応性の低下が含まれる。溶液相合成技術は、制限されないスケールの利点を有する。溶液相合成の主な制限は、特に複雑な生成物が得られる場合の、反応混合物からの反応生成物の単離または精製である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明のポリマービーズ合成支持体およびポリマービーズ除去機能の使用は、この制限を大部分解消し得る。この概念を裏付ける理論的根拠は、高官能基密度、およびその基本的な概念において、多量の他の官能基に容易に変換されることから非常に多用途であるアミノ官能基、を含有する本樹脂である。
【0005】
米国特許US4,605,701は、架橋モノアリルアミンホモポリマーを開示する。
1986年3月13日付けで公開された特開昭61−051007号公報は、架橋ポリビニルアミンを開示する。
国際公開WO03/08503は、膨張性の、易架橋性の、本質的に直鎖状のポリマーおよびその使用を開示する。
国際公開WO00/55258は、混合ベッドイオン交換吸収剤ポリマー組成物を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のビーズ状ポリマーマトリックスは、化学または生化学合成、ペプチド合成、オリゴヌクレオチド合成、オリゴ糖合成、触媒反応用途、親和性クロマトグラフィー、医薬用途における不溶性支持体として、酵素の固定化に、および化学物質部分(例えば、カルボニル部分または酸塩化物など)の除去に利用することができる。
【0007】
コンビナトリアルライブラリーの概念の使用による化合物の化学合成は、新規治療薬および診断薬の有力候補を開発する方法に重要な影響を有する。コンビナトリアル化学は、非常に多くの構造的に異なる化合物を、費用的に好適な、および時間効率的な様式で、同等の反応条件下、製造する技術である。その後、化合物は、高性能スクリーニングアッセイによる生物学的試験に導入され得る。
【0008】
例えば、有機または生物有機反応における、試薬支持体としての本発明のポリマーマトリックスの使用は、生成物および試薬の単離を容易にし、および、例えば、所望されない副生成物の除去などの他の利点を有する。
【0009】
また、高官能基密度、好ましくは第1級アミンまたはその誘導体を含んでなるポリマーマトリックスを含んでなる官能性表面も提供される。当該官能基は、固相合成試薬、リンカー、スペーサー、中間体または最終生成物のための結合部位である。
【0010】
一局面において、置換されていてもよいポリ(アミノアルキレン)を、逆相懸濁重合条件または逆相乳化重合条件下、架橋することによって形成される式I:
【0011】
【化1】

〔式中、Aは、≧2の官能価の架橋単位であり、
ただし、ポリ(アミノアルキレン)がポリ(アリルアミン)である場合、全ての窒素の少なくとも1%が置換され、および、
ポリ(アミノアルキレン)がポリ(ビニルアミン)である場合、Aは、
(a)式(CH(式中、rは、2〜10の整数である)で示されるポリメチレン、または
(b)置換されていてもよいキシリレン、または
(c)式(CH(式中、sは、2〜5の整数である)で示されるポリメチレンによって結合したジイミン、または
(d)置換されていてもよいキシリレンによって結合したジイミン、または
(e)CHCHOHCHまたはCHCHCHOHではない〕
で示されるビーズ状ポリマーマトリックスが提供される。
【0012】
別の局面において、式IV:
【0013】
【化2】

〔式中、nは、0〜10の数であり、
mは、3〜15000の数であり、
oは、0または1の数であり、
pは、>0かつ<mの数であり、
Yは、ヘテロ原子または水素対であり、および
R’’、R’’’、R、およびRは、独立して、水素、置換されていてもよい飽和または不飽和アルキル基、置換されていてもよい飽和または不飽和アシル基、および置換されていてもよいアリール基からなる群から選択される〕
で示される、ラジカル反応性基RR’’’C=CR’’C=Yを有する分子のラジカル重合によって得られる、ビーズ状架橋ポリ(アミノアルキレン)マトリックスが提供される。
【0014】
上記ビーズ状架橋マトリックスの使用および製造方法も、本発明にしたがって提供される。
上記ビーズ状架橋マトリックスの製造方法としては、ラジカル重合方法が挙げられる。
【0015】
ポリマーマトリックスがラジカル重合方法によって製造される場合、本発明にしたがって、複数の置換アミノ基を含んでなるポリマーマトリックスがさらに提供される。ここで、該ポリマーマトリックスは、(重合工程およびビーズ化工程後)、少なくとも幾つかのアミノ基を、式V:
【0016】
【化3】

〔式中、RおよびRは、独立して、水素、および本発明のポリマーマトリックスのアミノ基と、アルキル化剤またはアシル化剤とを反応させることによって形成された有機基から選択される〕
の官能基NRに変換するさらなる工程を組み合わせた、本明細書に開示されるラジカル重合方法によって得られる。
【0017】
〔定義〕
逆相乳化重合:「Principles of Polymerisation」第3版、George Odian、John Wiley & Sons、Inc.、NY、1991年、ISBN 0−471−61020−8を参照のこと。
逆相懸濁重合:「Principles of Polymerisation」第3版、George Odian、John Wiley & Sons、Inc.、NY、1991年、ISBN 0−471−61020−8を参照のこと。
【0018】
用語「飽和または不飽和アルキル基」および「飽和または不飽和脂肪族基」は、一以上の不飽和炭素原子対を有する脂肪族基を意味することが意図されている。その例は、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、アリル、ブチル、i−ブチルなどである。
用語「アルキル基」は、飽和脂肪族基、例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチルなどを意味することが意図されている。
用語「アリール基」は、一以上の環を有する芳香族基、例えば、フェニル、ナフチルなどを意味することが意図されている。
用語「アリールアルキル基」は、アリール基を有するアルキル基、例えば、ベンジル、p−メトキシベンジルなどを意味することが意図されている。
用語「アシル基」は、式:R−C(=O)−(式中、Rは、置換されていてもよい飽和または不飽和アルキル基および置換されていてもよいアリール基などからなる群から選択される)で示される基を意味することが意図されている。アシル基の例は、ホルミル、アセチル、プロパノイル、アクリロイル、ブタノイル、i−ブタノイル、エトキシアセチル、ベンゾイル、p−メトキシベンゾイル、ナフトイル、ニコチノイルなどである。
アルキル基は、好ましくは1〜10個の炭素原子を有し、飽和または不飽和アラルキル基は、典型的に1〜10個の炭素原子を有し、および飽和または不飽和アシル基は、典型的に1〜10個の炭素原子を有する。該基は、必要に応じて1〜4個のヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、または硫黄を有する。
用語「置換されていてもよい」は、対象となる基が一以上の置換基を有し得ることを意味することが意図されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
一実施態様において、置換されていてもよいポリ(アミノアルキレン)は、式II:
【0020】
【化4】

〔式中、RおよびR’は、独立して、水素、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、および置換されていてもよいアシル基からなる群から選択され、
nは、0〜10の整数、例えば0〜4、例えば0〜2、例えば0または1であり、
mは、3〜15000の整数、例えば5〜15000の整数、例えば50〜10000の整数、例えば100〜10000の整数、例えば100〜8000の整数、例えば100〜7000の整数、例えば100〜6000の整数、例えば100〜5000の整数、例えば100〜4500の整数、例えば100〜4000の整数、例えば100〜3500の整数、例えば100〜3000の整数、例えば100〜2000の整数、例えば100〜1500の整数、例えば100〜1000の整数、例えば100〜500の整数、例えば500〜10000の整数、例えば1000〜10000の整数、例えば1500〜10000の整数、例えば2000〜10000の整数、例えば2500〜10000の整数、例えば3000〜10000の整数、例えば3500〜10000の整数、例えば4000〜10000の整数、例えば4500〜10000の整数、例えば5000〜10000の整数、例えば5500〜10000の整数、例えば6000〜10000の整数、例えば6500〜10000の整数、例えば7000〜10000の整数、例えば7500〜10000の整数、例えば8000〜10000の整数、例えば9000〜10000の整数、例えば9500〜10000の整数、例えば500〜1000の整数、例えば1000〜1500の整数、例えば1500〜2000の整数、例えば2000〜2500の整数、例えば2500〜3000の整数、例えば3000〜3500の整数、例えば3500〜4000の整数、例えば4000〜4500の整数、例えば4500〜5000の整数、例えば5000〜5500の整数、例えば5500〜6000の整数、例えば6000〜6500の整数、例えば6500〜7000の整数、例えば7000〜7500の整数、例えば7500〜8000の整数、例えば8000〜8500の整数、例えば8500〜9000の整数、例えば9000〜9500の整数、例えば9500〜10000の整数、例えば1000〜2000の整数、例えば2000〜3000の整数、例えば3000〜4000の整数、例えば4000〜5000の整数、例えば5000〜6000の整数、例えば6000〜7000の整数、例えば7000〜8000の整数、例えば8000〜9000の整数、例えば1000〜5000の整数、例えば2500〜7500の整数、例えば200〜250の整数、例えば950〜1150の整数、例えば7500〜8500であり、および
oは、0または1、例えば0または1である〕
で示され得る。
【0021】
整数mは、平均重合度を示し、および材料のバッチについての平均分子量を有するポリ(アミノアルキレン)種に対応する値である。
【0022】
一実施態様において、RおよびR’は、独立して、水素、アルキル基およびアシル基からなる群から選択される。
【0023】
別の実施態様において、RおよびR’は、独立して、1〜15個の炭素原子を有し、必要に応じて1〜4個のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、または硫黄)を有する、飽和または不飽和脂肪族基、飽和または不飽和アリールアルキル基、および1〜15個の炭素原子を有し、必要に応じて1〜4個のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、または硫黄)を有する飽和または不飽和アシル基からなる群から選択される。
【0024】
RおよびR’は、好ましくは独立して、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、アリル、ブチル、i−ブチル、エトキシエチル、ベンジル、p−メトキシベンジル、ナフチル、ホルミル、アセチル、プロパノイル、アクリロイル、ブタノイル、i−ブタノイル、エトキシアセチル、ベンゾイル、p−メトキシベンゾイル、ナフトイル、およびニコチノイルからなる群から選択される。
【0025】
好ましい実施態様において、ポリ(アミノアルキレン)は、上記に挙げた、置換されていてもよいポリ(アミノメチレン)、置換されていてもよいポリビニルアミン、または置換ポリ(アリルアミン)である。
【0026】
好ましくは、ポリ(アミノアルキレン)がポリ(アリルアミン)である場合、全窒素の少なくとも2%、例えば、少なくとも5%、例えば8%、例えば10%、例えば15%、例えば20%、例えば30%、例えば40%、例えば50%、例えば60%、例えば70%、例えば80%、例えば90%、例えば95%、例えば本質的に全窒素、が置換される。また、窒素置換度は、例えば1%〜25%、25%〜50%、50%〜75%、および75%〜100%であり得る。
【0027】
ポリ(アミノアルキレン)がポリ(アリルアミン)ではない場合、窒素は、置換されていてもよい。
【0028】
一実施態様において、ポリ(アミノアルキレン)がポリ(アミノメチレン)、ポリ(ビニルアミン)、またはポリ(アリルアミン)である場合、ビーズ状架橋ポリマーの窒素の一部、例えば、全窒素の1%〜20%、例えば20%〜40%、例えば40%〜60%、例えば60%〜80%、例えば80%〜100%、が置換される。
【0029】
式Iで示されるビーズ状ポリマーマトリックスが、置換されていてもよいポリ(アミノアルキレン)を、逆相懸濁重合条件または逆相乳化重合条件下、架橋することによって得られる場合、架橋単位Aは、2以上の官能価を有し、および、好ましくはポリ(アミノアルキレン)と、式III:
AX 式III
〔式中、Aは、飽和または不飽和の脂肪族または芳香族であるか、または飽和および/または不飽和の脂肪族および芳香族フラグメントの両方から構成され、および必要に応じてヘテロ原子(例えば、ケイ素、窒素、リン、酸素、または硫黄)を含有し、
Xは、反応性基であり、
qは、反応性基の数、例えば2〜10など、好ましくは2、3、4、5、または6であり、
ただし、ポリ(アミノアルキレン)がポリ(ビニルアミン)である場合、AXは、
(a)一般式(2):
【化5】

(式中、Xは、BrまたはIを示し、およびn’は、2〜10の整数を示す)
で示される二臭化または二ヨウ化ポリメチレン、または
(b)一般式(3):
【化6】

(式中、Xは、Cl、Br、またはIを示し、およびR’は、H、メチル基、エチル基、またはハロゲン原子を示す)
で示されるp−ジハロゲン化キシリレン、または
(c)アルキルで置換されていてもよい第1級アミノ基と結合し得るその核置換誘導体、または
(d)一般式(4)
【0030】
【化7】

(式中、mは、2〜5の整数を示す)
で示されるポリメチレンジアルデヒド、または
(e)一般式(5):
【0031】
【化8】

(式中、lは、0または1〜20の整数を示し、およびR’は、H、メチル基、エチル基、またはハロゲン原子を示す)
で示される分子内ベンゼン核を有するジアルデヒド、または
(f)エピクロロヒドリン
ではない〕
で示される架橋分子とを反応させることによって得られる。
【0032】
Aは、好ましくは、2〜200個の炭素原子および必要に応じて1〜100個のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、または硫黄)を有する脂肪族基またはアルキルアリール基であり、好ましくは10〜100個の炭素原子および必要に応じて2〜50個のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、または硫黄)を有する脂肪族またはアルキルアリール基である。
【0033】
Aは、好ましくは、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,4−ブテニレン、1,5−ペンチレン、1,6−ヘキシレン、o−キシリレン、p−キシリレン、オキシジエチル、トリ(エチレンオキシド)ジイル、テトラ(エチレンオキシド)ジイル、ペンタ(エチレンオキシド)ジイル、ヘキサ(エチレンオキシド)ジイル、ヘプタ(エチレンオキシド)ジイル、オクタ(エチレンオキシド)、ノナ(エチレンオキシド)ジイル、デカ(エチレンオキシド)ジイル、および多分散ポリ(エチレンオキシド)ジイル、例えば、(エチレンオキシド)10ジイル、多分散(エチレンオキシド)15ジイル、多分散(エチレンオキシド)20ジイル、多分散(エチレンオキシド)25ジイル、多分散(エチレンオキシド)30ジイル、多分散(エチレンオキシド)40ジイル、および多分散(エチレンオキシド)45ジイルからなる群から選択され、またはAは、上記で定義した基の一以上のメンバー(それらの任意の組合せを含む)を含んでなる。
【0034】
式IIIで示される反応性基Xは、好ましくはS2脱離基、マイケル受容体、イソシアネートおよび還元アミノ化を受け得るカルボニル基(ただし、架橋工程に続いてイミンがアミンに還元される)からなる反応性基の群から選択される反応性基である。
【0035】
式IIIで示される反応性基XがS2脱離基である場合、好ましい例としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、p−トルエンスルホネート、またはエポキシドが挙げられる。
式IIIで示される反応性基Xがマイケル受容体である場合、好ましい例としては、アクリレート、メタクリレート、エタクリレート、またはアクリルアミドが挙げられる。
ここで、式IIIで示される反応性基Xは、脂肪族または芳香族分子の構成成分である。
【0036】
式IIIで示される反応性基Xが還元アミノ化を受け得るカルボニル基(ただし、架橋工程に続いてイミンがアミンに還元される)である場合、好ましい例としては、アルデヒドおよびケトンが挙げられる。
【0037】
好ましくは、イミンをアミンに変換するために使用される還元剤は、ホウ化水素(例えば、ホウ化水素ナトリウムまたはシアノホウ化水素ナトリウム)、またはアルミニウム水素化物(例えば、水素化アルミニウムリチウムまたはナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムハイドライド)を含む。
【0038】
AXの例としては、限定されないが、S2脱離基化合物、例えば、エチレンジブロミド、プロピレンジブロミド、ブチレンジブロミド、キシリレンジブロミド、エチレングリコールジトシレート、ジエチレングリコールジクロリド、トリエチレングリコールジクロリド、ポリエチレングリコールジクロリド、エピクロロヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、多分散ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、例えば、(エチレンオキシド)10ジグリシジルエーテル、(エチレンオキシド)15ジグリシジルエーテル、(エチレンオキシド)20ジグリシジルエーテル、エトキシル化トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテルなど、ただし、AXがエチレンジブロミド、プロピレンジブロミド、ブチレンジブロミド、キシリレンジブロミドである場合、ポリ(アミノアルキレン)は、置換されていてもよいポリビニルアミンではない;マイケル受容体、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアシレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、またはJeffamineジアクリレートなど;イソシアネート、例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、および1,4−フェニレンジイソシアネートなど;およびカルボニル化合物(ただし、架橋工程に続いてイミンがアミンに還元される)、例えば、ホルムアルデヒド、グリオキサール、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、1,4−ジホルミルベンゼン、1,4−ジアセチルベンゼン、ポリエチレングリコールジ(ホルミルメチル)エーテルなどが挙げられる。
【0039】
本発明が式IV:
【0040】
【化9】

〔式中、nは、0〜10の数であり、
mは、3〜50000の数、例えば、3〜15000の数であり、
oは、0または1の数であり、
pは、>0かつ<mの数であり、
Yは、ヘテロ原子または水素原子対であり、および
R’’、R’’’、R、およびRは、独立して、水素、置換されていてもよい飽和または不飽和アルキル基、置換されていてもよい飽和または不飽和アシル基、および置換されていてもよいアリール基からなる群から選択される〕
で示される、ラジカル反応性基RR’’’C=CR’’C=Yを有する分子の、ラジカル重合によって得られるビーズ状架橋ポリ(アミノアルキレン)マトリックスに関する場合、nは、それらと独立して、好ましくは0〜10の整数、例えば0〜4、例えば0〜2、例えば0または1である。
【0041】
mは、好ましくは、多分散ポリ(アミノアルキレン)の平均分子量を示す3〜15000の整数;例えば5〜15000の整数、例えば50〜10000の整数、例えば100〜10000の整数、例えば100〜8000の整数、例えば100〜7000の整数、例えば100〜6000の整数、例えば100〜5000の整数、例えば100〜4500の整数、例えば100〜4000の整数、例えば100〜3500の整数、例えば100〜3000の整数、例えば100〜2000の整数、例えば100〜1500の整数、例えば100〜1000の整数、例えば100〜500の整数、例えば500〜10000の整数、例えば1000〜10000の整数、例えば1500〜10000の整数、例えば2000〜10000の整数、例えば2500〜10000の整数、例えば3000〜10000の整数、例えば3500〜10000の整数、例えば4000〜10000の整数、例えば4500〜10000の整数、例えば5000〜10000の整数、例えば5500〜10000の整数、例えば6000〜10000の整数、例えば6500〜10000の整数、例えば7000〜10000の整数、例えば7500〜10000の整数、例えば8000〜10000の整数、例えば9000〜10000の整数、例えば9500〜10000の整数、例えば500〜1000の整数、例えば1000〜1500の整数、例えば1500〜2000の整数、例えば2000〜2500の整数、例えば2500〜3000の整数、例えば3000〜3500の整数、例えば3500〜4000の整数、例えば4000〜4500の整数、例えば4500〜5000の整数、例えば5000〜5500の整数、例えば5500〜6000の整数、例えば6000〜6500の整数、例えば6500〜7000の整数、例えば7000〜7500の整数、例えば7500〜8000の整数、例えば8000〜8500の整数、例えば8500〜9000の整数、例えば9000〜9500の整数、例えば9500〜10000の整数、例えば1000〜2000の整数、例えば2000〜3000の整数、例えば3000〜4000の整数、例えば4000〜5000の整数、例えば5000〜6000の整数、例えば6000〜7000の整数、例えば7000〜8000の整数、例えば8000〜9000の整数、例えば1000〜5000の整数、例えば2500〜7500の整数、例えば200〜250の整数、例えば950〜1150の整数、例えば7500〜8500の整数である。
【0042】
上記と独立して、ポリマー鎖当たりの反応性基の数は、0.01m<p<m、例えば0.05m<p<0.80m、例えば0.05m<p<0.70m、例えば0.05m<p<0.60m、例えば0.05m<p<0.50m、例えば0.05m<p<0.40m、例えば0.05m<p<0.30m、例えば0.05m<p<0.20m、例えば0.1m<p<0.80m、例えば0.1m<p<0.70m、例えば0.1m<p<0.60m、例えば0.1m<p<0.50m、例えば0.1m<p<0.40m、例えば0.1m<p<0.30m、例えば0.1m<p<0.2m、例えば0.2m<p<0.3m、例えば0.3m<p<0.4m、例えば0.4m<p<0.5m、例えば0.5m<p<0.6m、例えば0.6m<p<0.7m、例えば0.7m<p<0.8m、例えば0.8m<p<0.9m、例えば0.9m<p<mの範囲である。
【0043】
立体配置Yは、任意のヘテロ原子、例えば、酸素原子、硫黄原子、または水素原子対など、好ましくは酸素原子であり得る。
【0044】
式IVにおいて、Rは、好ましくは、独立して、水素またはホルミルからなる群から選択され、およびR’’、R’’’、およびRは独立して、好ましくは水素、アルキル基、アラルキル基およびアリール基からなる群から選択される。例えば、R’’、R’’’、R、およびRは、独立して、水素、1〜10個の炭素原子を有する飽和または不飽和脂肪族基、1〜10個の炭素原子を有する飽和または不飽和アラルキル基、および1〜10個の炭素原子を有する飽和または不飽和アリール基からなる群から選択することができる(これらの基は、必要に応じて1〜4個のヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、または硫黄を有する)。
【0045】
一実施態様において、R’’、R’’’、R、およびRは、好ましくは、水素、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、アリル、ブチル、i−ブチル、エトキシエチル、ベンジル、p−メトキシベンジル、ナフチル、ホルミル、アセチル、プロパノイル、アクリロイル、ブタノイル、I−ブタノイル、エトキシアセチル、ベンゾイル、p−メトキシベンゾイル、ナフトイル、またはニコチニルである。反応性基RR’’’C=CR’’−CYの好ましい例は、アクリロイル、メタクリロイル、エタクリロイル、およびアリルである。
【0046】
ラジカル重合によって得られるポリ(アミノアルキレン)は、好ましくはポリ(アミノメチレン)、ポリビニルアミン、またはポリ(アリルアミン)を含んでなるか、またはこれらからなる。
【0047】
また、本発明は、上記ビーズ状架橋ポリマーマトリックスの製造方法に関する。本発明のビーズ状架橋ポリマーマトリックスは、例えば、懸濁重合条件下、ポリアミンまたはその誘導体(例えば、置換ポリアミン)を、多官能性架橋剤と反応させることによって製造することができる。ポリアミンは、ポリ(アミノメチレン)、ポリ(アミノエチレン)、またはポリアリルアミン、またはそれらの誘導体であり得る。多官能性架橋剤は、例えば、ポリエポキシド、ポリハライド、ポリイソシアネートまたはポリ(マイケル受容体)であり得る。
【0048】
一実施態様において、ポリアミンおよび多官能性架橋剤を混合し、そして、好ましくは界面活性剤を添加する。必要に応じて、溶媒、例えば、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、またはジメチルホルムアミド、またはそれらの混合物を添加する。次いで、この混合物を、反応混合物が不溶であるか、または本質的に不溶である媒体を含有する反応器に添加する。反応器に攪拌装置を設置して、連続相中に分散した反応相の小滴を効率的に形成させる。必要に応じて、界面活性剤を、反応性モノマー相中に添加する代わりに、連続相に添加することができる。温度を、適度な反応速度および反応時間に至るように調整する。必要に応じて、触媒、例えば、塩基成分(例えば、トリエチルアミンまたは水酸化ナトリウム)または求核触媒(例えば、ヨウ化物)を、反応系に添加することができる。
小滴が十分な機械的強度の固体粒子に変換されたとき、反応混合物をろ過し、生成物を収集し、および溶媒で洗浄して、連続相、残留出発材料、副生成物、および他の汚染物質を除去する。
【0049】
したがって、一実施態様において、式IIで示されるポリ(アミノアルキレン)および式IIIで示される架橋分子を提供する工程、
ビーズ化条件下、ポリ(アミノアルキレン)および架橋分子を反応させる工程、および
本発明のビーズ状架橋ポリマーマトリックスを得る工程
を含む、本発明のビーズ状架橋ポリマーマトリックスの製造方法が提供される。
【0050】
好ましくは、式IIで示される化合物を、必要に応じて溶媒の存在下、式IIIで示される化合物と混合する。界面活性剤は、混合モノマー相中または連続相中のいずれかに存在する。その後、この混合物を、攪拌または超音波照射しながら、反応性混合物と非混和性の液体に添加する。添加は、好ましくは、ビーズ形成および架橋が迅速であることを確保する反応体の特定比率および反応温度を必要とする。必要に応じて、求核触媒または塩基触媒も存在させることができる。
【0051】
式IIの窒素と式IIIのXとのモル比によって定義される反応体の化学量論(mol N/mol X)は、好ましくは500〜0.1、例えば400〜0.2、例えば300〜0.3、例えば200〜0.4、例えば100〜0.5、例えば80〜0.6、例えば70〜0.7、例えば60〜0.8、例えば50〜0.9の範囲である。
【0052】
架橋およびビーズ化方法は、非溶媒下、または溶媒の存在下、例えば、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、またはアセトニトリル、またはそれらの混合物中で、行う。
【0053】
反応溶液の濃度は、5〜90%、例えば10〜80%、例えば20〜60%であり得る。
攪拌回転数は、好ましくは1〜2000rpm、例えば50〜1000rpm、例えば100〜800rpm、例えば100〜600rpm、例えば100〜500rpmの攪拌回転数である。
【0054】
非混和性液体は、好ましくは、石油画分、脂肪族油、天然脂肪またはトリグリセリド、芳香族溶媒(例えば、トルエンまたはキシレン)、ハロゲン化溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、フッ素化溶媒)、またはそれらの混合物である。
【0055】
反応相と非混和性液体との比率は、10:1〜1:10、例えば5:1〜1:5、例えば2:1〜1:2、または2:1〜1:100、または4:5〜1:75または1:2〜1:30である。
【0056】
任意の求核触媒は、塩、例えば、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、または臭化テトラブチルアンモニウムであり得る。
任意の塩基触媒は、アルカリ化合物、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、または水酸化テトラブチルアンモニウムであり得る。
【0057】
任意の界面活性剤は、好ましくは、以下からなる群から選択される:
負電荷界面活性剤、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなど;
中性界面活性剤、例えば、エトキシル化脂肪族アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、アルキルフェノール、炭水化物誘導エステル、例えば、ソルビタンラウレート、両親媒性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコールメタクリレートとラウリルアクリレートまたはトリアルキルシリルアルキルメタクリレートとのコポリマー、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、またはホモポリマー、例えば、ポリ酢酸ビニルまたは完全または部分加水分解ポリ酢酸ビニルなど;および
正電荷界面活性剤、例えば、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラヘプチルトリメチルアンモニウム、または臭化テトラブチルアンモニウムなど。
【0058】
反応温度は、−20℃〜150℃、例えば20℃〜100℃、例えば40℃〜80℃の任意の温度であり得る。
【0059】
本発明の別の実施態様において、本発明のビーズ状架橋ポリマーマトリックスを製造するためのラジカル重合が提供される。この方法における使用のために、ポリアミンまたはその誘導体は、ラジカル重合によって反応可能な化学基を含んでなる。ラジカル活性出発材料を、本質的に上記のビーズ形成条件に付す。かくして、材料を、溶媒(例えば、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、またはジメチルホルムアミドまたはそれらの混合物)中に溶解させる。好ましくは、界面活性剤および/またはラジカル開始剤またはラジカル開始系を、反応混合物または連続系に添加する。次いで、この混合物を、反応混合物が不溶であるか、または本質的に不溶である媒体を含有する反応器に添加する。反応器に攪拌装置を設置して、連続相中に分散した反応相の小滴を効率的に形成させる。温度を、適度な反応速度および反応時間に至るように調整する。小滴が所望の機械的強度の架橋粒子に変換されたとき、生成物をろ過により収集し、および溶媒で洗浄して、連続相、残留出発材料、副生成物、および他の汚染物質を除去する。
【0060】
ラジカル重合性ポリアミン反応体は、例えば、ポリアミンまたはその誘導体のアクリル化、メタクリル化、エタクリル化、マレアミド化、またはアリル化によって、製造することができる。ラジカル重合性ポリアミンを製造するのに適当な試薬としては、例えば、塩化アクリロイル、塩化メタクリロイル、無水メタクリル酸、塩化エタクリロイル、無水マレイン酸、および塩化アリルが挙げられる。ラジカル重合性ポリアミンは、必要に応じて溶媒(例えば、塩化メチレン、またはトルエン)の存在下、さらに必要に応じて触媒(例えば、塩基化合物、例えばアミン、例えばトリエチルアミン)の存在下、反応体を混合することによって、製造される。反応が完了したとき、必要に応じて添加した溶媒および/または触媒を除去し、および生成物を、上記のようにラジカル重合に使用することができる。
【0061】
したがって、本発明のこの局面において、式IVで示される化合物およびラジカル開始剤を提供する工程、
ラジカル重合条件下およびビーズ化条件下、工程a)で提供された反応混合物を反応させる工程、
本発明のビーズ状架橋ポリマーマトリックスを得る工程
を含む、ビーズ状架橋ポリマーマトリックスの製造方法が提供される。
【0062】
該方法は、界面活性剤、および/または溶媒、および/または非混和相を、反応混合物に提供する工程、およびビーズ形成および架橋が可能な温度にて、攪拌下または超音波照射条件下、反応混合物を反応させる工程をさらに含む。必要に応じて、界面活性剤は、非混和性相に添加される。
【0063】
ラジカル重合開始剤は、好ましくはラジカル重合方法を開始させるために使用され得る。開始剤の例としては、ペルオキシド(例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、またはペルオキソ二硫酸テトラブチルアンモニウム)、ヒドロペルオキシド(例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド)、アゾ化合物(例えば、アゾイソブチロニトリル)、混合開始剤系(例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウムと二亜硫酸ナトリウムとの混合物、またはペルオキソ二硫酸アンモニウムとN,N,N’,N’−テトラメチルジアミノエタンとの混合物、またはペルオキソ二硫酸アンモニウムとN,N,N’,N’−テトラメチルジアミノエタンと二亜硫酸ナトリウムとの混合物)が挙げられる。
【0064】
反応温度、反応溶液の濃度、攪拌回転数、溶媒、非混和性液体、界面活性剤、および反応相と非混和性液体との比率は、上記の通りである。
【0065】
ポリマーマトリックスがラジカル重合方法によって製造される場合、本発明にしたがって、複数の置換アミノ基を含んでなるポリマーマトリックスがさらに提供される。ここで、該ポリマーマトリックスは、(重合工程およびビーズ化工程後)、少なくとも幾つかのアミノ基を、式V:
【0066】
【化10】

〔式中、RおよびRは、独立して、Hまたは本発明のポリマーマトリックスのアミノ基と、アルキル化剤またはアシル化剤とを反応させることによって形成された有機基である〕
の官能基NRに変換するさらなる工程を組み合わせた、上記ラジカル重合方法によって得られる。
【0067】
アルキル化剤は、好ましくはハロゲン化アルキルまたはハロゲン化置換アルキル、アルキルスルホネートまたは置換アルキルスルホネート、エポキシドまたはマイケル求電子試薬である。
【0068】
置換されていてもよいハロゲン化アルキルの形態のアルキル化剤の例としては、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、クロロ酢酸、塩化ベンジル、臭化ベンジル、臭化メチルベンジル、臭化メトキシベンジル、または臭化ニトロベンジルが挙げられる。
アルキルスルホネートまたは置換アルキルスルホネートの形態のアルキル化剤の例としては、メチルメタンスルホネート、メチルトリフルオロメタンスルホネート、またはメチルp−トルエンスルホネートが挙げられる。
エポキシドの形態のアルキル化剤の例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはそれらのグリシドール誘導体が挙げられる。
マイケル求電子試薬の例としては、アクリル酸メチルおよびアクリル酸エチルが挙げられる。
【0069】
アシル化剤は、好ましくは
(a)縮合剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド)によって活性化されていてもよい、活性化されていてもよいカルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロパン酸、チオ乳酸、保護アミノ酸、例えば、N−(フルオレニルオキシメチルカルボニル)グリシンまたはN−(ベンジルオキシカルボニル)アラニン、またはN−(t−ブトキシカルボニル)フェニルアラニン、またはそれらの誘導体、
(b)活性化カルボン酸、例えば、無水酢酸、塩化アセチル、酢酸エチル、塩化ベンゾイル、
(c)炭酸誘導体、例えば、メチルクロロホーメート、t−ブチルクロロホーメート、ベンジルクロロホーメート、またはジフェニルカーボネート、または
(d)ヘテロアレン、例えば、エチルイソシアネート、フェニルイソシアネート、エチルイソチオシアネート、またはフェニルイソチオシアネートである。
【0070】
本発明のポリマーマトリックスは、好ましくは、約0.5〜約33mmol/g、例えば1〜20mmol/g、例えば2〜15mmol/g、例えば2〜10mmol/g、例えば2〜8mmol/g、例えば2〜6mmol/g、例えば2〜4mmol/g、例えば4〜15mmol/g、例えば6〜15mmol/g、例えば8〜15mmol/g、例えば10〜15mmol/g、例えば12〜15mmol/g、例えば2〜6mmol/g、例えば6〜10mmol/g、例えば10〜14mmol/g、例えば14〜18mmol/gの範囲の官能基の積載量を有する。
【0071】
本発明のポリマーマトリックスは、好ましくは、1mL/g〜30mL/g、例えば1mL/g〜20mL/g、例えば2mL/g〜15mL/g、例えば3mL/g〜10mL/g、例えば2mL/g〜12mL/g、例えば2mL/g〜10mL/g、例えば2mL/g〜8mL/g、例えば2mL/g〜6mL/g、例えば2mL/g〜4mL/g、例えば4mL/g〜20mL/g、例えば6mL/g〜20mL/g、例えば8mL/g〜20mL/g、例えば10mL/g〜20mL/g、例えば12mL/g〜20mL/g、例えば14mL/g〜20mL/g、例えば16mL/g〜20mL/g、例えば18mL/g〜20mL/g、例えば2mL/g〜6mL/g、例えば6mL/g〜10mL/g、例えば10mL/g〜14mL/g、例えば14mL/g〜18mL/gの範囲の水性液体(水を含む)中の膨潤を有する。
【0072】
本発明のビーズ状または顆粒状ポリマーマトリックス、または複数のビーズ状架橋ポリマーマトリックスを含んでなる組成物は、好ましくは0.01μm〜1500μmの範囲の平均粒径、例えば10〜1000μmの範囲の平均粒径、例えば100〜500μmの範囲の平均粒径、例えば約200μm、例えば約300μm、例えば約400μmの平均粒径を有する。
【0073】
また、本発明は、所望されない化合物を、化学的実体の混合物を含んでなる組成物から除去するための、置換されていてもよい第1級アミンおよび第2級アミン(好ましくは置換されていてもよい第1級アミン)から選択される複数の官能基を含んでなるビーズ状または顆粒状架橋ポリマーマトリックスの使用に関する。所望されない化合物は、官能性アミン基と反応可能である。
【0074】
一実施態様において、本発明は、所望されない化合物(好ましくはカルボニルおよび/またはスルホニル化合物)を、化学的実体の混合物を含んでなる組成物から除去するための、固定化試薬、例えば、酸化剤、またはアルキル化剤、または錯化剤(例えば、ホスフィン)用の支持体としての、置換されていてもよい第1級アミンおよび第2級アミン(好ましくは置換されていてもよい第1級アミン)からなる群から選択される複数の官能基を含んでなる顆粒状またはビーズ状架橋ポリマーマトリックスの使用に関する。
【0075】
また、所望されない化合物を、化学的実体の混合物を含んでなる組成物から除去するための、上記のような本発明のポリマーマトリックスの使用が提供される。
【0076】
所望されない化合物は、例えば、有機金属反応において生成され得るが、該使用は、このような反応に限定されない。
【0077】
除去される所望されない化合物は、好ましくはカルボニル基および/またはスルホニル基を含んでなる。このような化合物の例としては、限定されないが、有機酸、酸塩化物、塩化スルホニル、ケトン、アルデヒド、およびそれらの誘導体が挙げられる。
【0078】
また、本発明は、カルボニル化合物(例えば、酸塩化物など)を、このようなカルボニル化合物を含有する混合物から除去するための、置換されていてもよい第1級アミンおよび第2級アミン(好ましくは置換されていてもよい第1級アミン)から選択される複数の官能基を含んでなるビーズ状または顆粒状架橋ポリマーマトリックスの使用に関する。所望されない化合物は、官能性アミン基と反応可能である。
【0079】
また、有機分子合成用支持体としての、上記ような本発明のポリマーマトリックスの使用、または複数の異なる化学的実体を含んでなるコンビナトリアル化学ライブラリー製造用支持体としての、複数のこのようなマトリックスの使用が提供される。
【0080】
別の実施態様において、薬剤分子、ペプチド、タンパク質、DNA、またはRNAの合成用支持体としての、上記ような本発明のポリマーマトリックスの使用が提供される。
【0081】
また、別の実施態様において、固相酵素反応用支持体としての、上記ような本発明のポリマーマトリックスの使用が提供される。
【0082】
また、本発明のマトリックスは、タンパク質固定化、本発明のマトリックス上の官能基に対して親和性を有する所望の標的化合物のクロマトグラフ分離および/または親和性精製にも使用することができる。
【0083】
以下の実施例において、本発明をさらに説明するが、これらの実施例は、本明細書中に開示される特定の実施態様に本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0084】
実施例1
ビーズ状ポリマー樹脂を、逆相懸濁重合法によって製造した。10gの水を含有するフラスコに、30gのポリビニルアミン(分子量約50000g/mol)および7.5gのジグリシジルエーテルポリ(エチレングリコール)(M=400g/mol)を添加した。該混合物を攪拌して均質溶液を形成した後、0.75gのヒマシ油エトキシレートを該溶液に添加した。該反応混合物を、Nに15分間付した。機械式攪拌機を備えた三首バッフルフラスコに、600mLのパラフィン油を添加し、そして70℃に加熱した。該反応混合物を、ビーズ形成油に添加した。化学合成、すなわち、ネットワーク形成を70℃で20時間行った。合成後、得られたビーズを油相からろ過した。次いで、ビーズを、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノールおよび水で連続して洗浄して残留物および油を除去した。アミン官能価(アミン積載容量)を、3.9mol/kgと分析した。水中の膨張挙動を、12mL/gと決定した。
【0085】
実施例2
20gの水を含有するフラスコに、15gのポリビニルアミン(分子量約50000g/mol)および15gのジグリシジルエーテルポリ(エチレングリコール)(M=400g/mol)を添加した。該混合物を攪拌して、0.60gのヒマシ油エトキシレートを該溶液に添加した。該反応混合物を、Nに15分間付した。機械式攪拌機を備えた三首バッフルフラスコに、600mLのパラフィン油を添加し、そして70℃に加熱した。該反応混合物を、ビーズ形成油に添加した。化学合成、すなわち、ネットワーク形成を70℃で20時間行った。合成後、得られたビーズを油相からろ過した。次いで、ビーズを、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノールおよび水で連続して洗浄して残留物および油を除去した。アミン官能価(アミン積載容量)を、1.7mol/kgと分析した。水中の膨張挙動を、9mL/gと決定した。
【0086】
実施例3
13gの水を含有するフラスコに、37.5gのポリビニルアミン(分子量約50000g/mol)および12.5gのジグリシジルエーテルポリ(エチレングリコール)(M=400g/mol)を添加した。該反応混合物を、Nに15分間付し、攪拌して均質溶液を形成した。機械式攪拌機を備えた三首バッフルフラスコに、600mLのパラフィン油を添加し、そして70℃に加熱した。これに続いて、0.5gの油溶性ポリマー界面活性剤を添加し、そして油中に溶解させた。次いで、該反応混合物を、ビーズ形成油に添加した。化学合成、すなわち、ネットワーク形成を70℃で20時間行った。合成後、得られたビーズを油相からろ過した。次いで、ビーズを、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノールおよび水で連続して洗浄して残留物および油を除去した。アミン官能価(アミン積載容量)を、2.1mol/kgと分析した。水中の膨張挙動を、9mL/gと決定した。
【0087】
実施例4
25gの水を含有するフラスコに、234gのポリビニルアミン(水中に溶解した24%の固形分から構成される;分子量約50000g/mol)および14.3gのジグリシジルエーテルポリ(エチレングリコール)(M=400g/mol)を添加した。該反応混合物を、Nに20分間付し、攪拌して均質溶液を形成した。機械式攪拌機を備えた三首バッフルフラスコに、500mLのパラフィン油を添加し、そして70℃に加熱した。これに続いて、1.1gの油溶性ポリマー界面活性剤を添加し、そして油中に溶解させた。次いで、該反応混合物を、ビーズ形成油に添加した。化学合成、すなわち、ネットワーク形成を70℃で20時間行った。合成後、得られたビーズを油相からろ過した。次いで、該ビーズをジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノールおよび水で連続して洗浄して、残余の生成物および油を除去した。アミン官能価(アミン積載容量)を、8.5mol/kgと分析した。水中の圧縮膨張挙動を、13mL/gと決定した。
【0088】
実施例5
3gの水を含有するフラスコに、237gのポリビニルアミン(水中に溶解した24%の固形分から構成される;分子量約50000g/mol)および6.4gのジグリシジルエーテルポリ(エチレングリコール)(M=400g/mol)を添加した。該反応混合物を、Nに20分間付し、攪拌して均質溶液を形成した。機械式攪拌機を備えた三首バッフルフラスコに、450mLのパラフィン油を添加し、そして70℃に加熱した。これに続いて、1.3gの油溶性ポリマー界面活性剤を添加し、そして油中に溶解させた。次いで、該反応混合物を、ビーズ形成油に添加した。化学合成、すなわち、ネットワーク形成を70℃で20時間行った。合成後、得られたビーズを油相からろ過した。次いで、該ビーズをジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノールおよび水で連続して洗浄して、残余の生成物および油を除去した。アミン官能価(アミン積載容量)を、9.9mol/kgと分析した。水中の圧縮膨張挙動を、40mL/gと決定した。
【0089】
実施例6
33gの水を含有するフラスコに、198gのポリビニルアミン(水中に溶解した24%の固形分から構成される;分子量約50000g/mol)および16.0gのジグリシジルエーテルポリ(エチレングリコール)(M=400g/mol)を添加した。該反応混合物を、Nに20分間付し、攪拌して均質溶液を形成した。機械式攪拌機を備えた三首バッフルフラスコに、450mLのパラフィン油を添加し、そして70℃に加熱した。これに続いて、1.3gの油溶性ポリマー界面活性剤を添加し、そして油中に溶解させた。次いで、該反応混合物を、ビーズ形成油に添加した。化学合成、すなわち、ネットワーク形成を70℃で20時間行った。合成後、得られたビーズを油相からろ過した。次いで、該ビーズをジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノールおよび水で連続して洗浄して、残余の生成物および油を除去した。アミン官能価(アミン積載容量)を、6.9mol/kgと分析した。水中の圧縮膨張挙動を、10mL/gと決定した。
【0090】
実施例7
25gの水を含有するフラスコに、234gのポリビニルアミン(水中に溶解した24%の固形分から構成される;分子量約50000g/mol)および14.3gのジグリシジルエーテルポリ(プロピレングリコール)(M=380g/mol)を添加した。該反応混合物を、Nに20分間付し、攪拌して均質分散体を形成した。機械式攪拌機を備えた三首バッフルフラスコに、500mLのパラフィン油を添加し、そして70℃に加熱した。これに続いて、1.1gの油溶性ポリマー界面活性剤を添加し、そして油中に溶解させた。次いで、該反応混合物を、ビーズ形成油に添加した。化学合成、すなわち、ネットワーク形成を70℃で20時間行った。合成後、得られたビーズを油相からろ過した。次いで、該ビーズをジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノールおよび水で連続して洗浄して、残余の生成物および油を除去した。圧縮膨張挙動を、水中6.0mL/g、およびエタノール中6.6mL/gと決定した。
【0091】
実施例8
61gの水を含有するフラスコに、211gのポリビニルアミン(水中に溶解した24%の固形分から構成される;分子量約50000g/mol)および6.9gのトリグリシジルエーテルポリ(エチレングリコール)(M=100g/mol)を添加した。該反応混合物を、Nに20分間付し、攪拌して均質分散体を形成した。機械式攪拌機を備えた三首バッフルフラスコに、400mLのパラフィン油を添加し、そして70℃に加熱した。これに続いて、0.9gの油溶性ポリマー界面活性剤を添加し、そして油中に溶解させた。次いで、該反応混合物を、ビーズ形成油に添加した。化学合成、すなわち、ネットワーク形成を70℃で20時間行った。合成後、得られたビーズを油相からろ過した。次いで、該ビーズをジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノールおよび水で連続して洗浄して、残余の生成物および油を除去した。圧縮膨張挙動を、水中7.6mL/g、およびエタノール中7.6mL/gと決定した。
【0092】
実施例9
61gの水を含有するフラスコに、211gのポリビニルアミン(水中に溶解した24%の固形分から構成される;分子量約50000g/mol)および5.7gのトリグリシジルエーテルポリ(エチレングリコール)(M=500g/mol)を添加した。該反応混合物を、Nに20分間付し、攪拌して均質分散体を形成した。機械式攪拌機を備えた三首バッフルフラスコに、400mLのパラフィン油を添加し、そして70℃に加熱した。これに続いて、0.9gの油溶性ポリマー界面活性剤を添加し、そして油中に溶解させた。次いで、該反応混合物を、ビーズ形成油に添加した。化学合成、すなわち、ネットワーク形成を70℃で20時間行った。合成後、得られたビーズを油相からろ過した。次いで、該ビーズをジクロロメタン、テトラヒドロフラン、メタノールおよび水で連続して洗浄して、残余の生成物および油を除去した。圧縮膨張挙動を、水中7.1mL/g、およびエタノール中7.4mL/gと決定した。
【0093】
実施例10:パラジウムの除去
酸性極性溶媒からのパラジウムイオンの除去能力を試験するために、ポリビニルアミン樹脂を条件の範囲内で試験した。水エタノール混合物(1:1)中の1M HCl中の塩化パラジウム(II)の0.5%(W/W)溶液を製造した。
【0094】
この溶液の2mLを、多数の小バイアル瓶の各々に添加した。バイアル瓶に、実施例1にしたがって製造した乾燥樹脂を、0〜10mgの量で変化させて添加し、60分間振盪し、および上清の色の強さを書き留めた。その結果を以下の表に示す。
【0095】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換されていてもよいポリ(アミノアルキレン)を、逆相懸濁重合条件または逆相乳化重合条件下、架橋することによって形成される式I:
【化1】

〔式中、Aは、≧2の官能価の架橋単位であり、
ただし、ポリ(アミノアルキレン)がポリ(アリルアミン)である場合、全ての窒素の少なくとも1%が置換され、および、ポリ(アミノアルキレン)がポリ(ビニルアミン)である場合、Aは、(a)式(CH(式中、rは、2〜10の整数である)で示されるポリメチレン、または(b)置換されていてもよいキシリレン、または(c)式(CH(式中、sは、2〜5の整数である)で示されるポリメチレンによって結合したジイミン、または(d)置換されていてもよいキシリレン、または(e)CHCHOHCHまたはCHCHCHOHではない〕
で示されるビーズ状ポリマーマトリックス。
【請求項2】
上記ポリ(アミノアルキレン)は、式II:
【化2】

〔式中、RおよびR’は、独立して、水素、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、および置換されていてもよいアシル基からなる群から選択され、
nは、0〜10の数であり、
mは、3〜15000の数であり、
oは、0または1の数である〕
で示される、請求項1に記載のビーズ状架橋ポリ(アミノアルキレン)マトリックス。
【請求項3】
ポリ(アミノアルキレン)は、置換されていてもよいポリ(アミノメチレン)、置換されていてもよいポリビニルアミン、または置換ポリ(アリルアミン)である、請求項1に記載のビーズ状架橋ポリ(アミノアルキレン)。
【請求項4】
ポリ(アミノアルキレン)窒素は、1〜25%、または25%超〜50%、または50%超〜75%、または75%超〜100%の画分が置換されている、請求項1〜3のいずれかに記載のビーズ状架橋ポリ(アミノアルキレン)。
【請求項5】
ポリ(アミノアルキレン)は、ポリ(アミノメチレン)、ポリ(ビニルアミン)、またはポリ(アリルアミン)であり、該ポリ(アミノアルキレン)の窒素は、1〜20%、または20%超〜40%、または40%超〜60%、または60%超〜80%、または80%超〜100%の画分が置換されている、請求項1〜3のいずれかに記載のビーズ状架橋ポリ(アミノアルキレン)。
【請求項6】
架橋単位Aは、ポリ(アミノアルキレン)と、式III:
AX 式III
〔式中、Aは、飽和または不飽和の脂肪族および/または芳香族であるか、または飽和および/または不飽和の脂肪族および芳香族フラグメントの両方から構成され、および必要に応じてヘテロ原子(例えば、ケイ素、窒素、リン、酸素、または硫黄)を含有し、
Xは、反応性基であり、
qは、反応性基の数、例えば、2、3、4、5、または6であり、
ただし、ポリ(アミノアルキレン)がポリ(ビニルアミン)である場合、AXは、
(a)一般式(2):
【化3】

(式中、Xは、BrまたはIを示し、およびn’は、2〜10の整数を示す)
で示される二臭化または二ヨウ化ポリメチレン、または
(b)一般式(3):
【化4】

(式中、Xは、Cl、Br、またはIを示し、およびR’は、H、メチル基、エチル基、またはハロゲン原子を示す)
で示されるp−ジハロゲン化キシリレン、または
(c)アルキル置換第1級アミノ基と結合し得る多官能性架橋剤としての、その核置換誘導体、または
(d)一般式(4):
【化5】

(式中、mは、2〜5の整数を示す)
で示されるポリメチレンジアルデヒド、または
(e)一般式(5):
【化6】

(式中、lは、0または1〜20の整数を示し、およびR’は、H、メチル基、エチル基、またはハロゲン原子を示す)
で示される分子内ベンゼン核を有するジアルデヒド、または
(f)エピクロロヒドリン
ではない〕
で示される架橋分子とを反応させることによって得られる、請求項1〜5のいずれかに記載のビーズ状架橋ポリ(アミノアルキレン)マトリックス。
【請求項7】
Aは、2〜200個の炭素原子および必要に応じて1〜100個のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、または硫黄)を有する脂肪族またはアルキルアリール基であり、好ましくは10〜100個の炭素原子および必要に応じて2〜50個のヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、または硫黄)を有する脂肪族またはアルキルアリール基である、請求項6に記載のビーズ状架橋ポリ(アミノアルキレン)マトリックス。
【請求項8】
架橋分子AXは、
a)エチレンジブロミド、プロピレンジブロミド、ブチレンジブロミド、キシリレンジブロミド、エチレングリコールジトシレート、ジエチレングリコールジクロリド、トリエチレングリコールジクロリド、ポリエチレングリコールジクロリド、エピクロロヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、多分散ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、例えば、(エチレンオキシド)10、ジグリシジルエーテル、(エチレンオキシド)15、ジグリシジルエーテル(エチレンオキシド)20、ジグリシジルエーテル、エトキシル化トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル(ただし、AXがエチレンジブロミド、プロピレンジブロミド、ブチレンジブロミド、キシリレンジブロミドである場合、ポリ(アミノアルキレン)は、置換されていてもよいポリビニルアミンではない)、
b)エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアシレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、またはJeffamineジアクリレート、
c)1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、または1,4−フェニレンジイソシアネート、または
d)ホルムアルデヒド、グリオキサール、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、1,4−ジホルミルベンゼン、1,4−ジアセチルベンゼン、ポリエチレングリコールジ(ホルミルメチル)エーテル(ただし、架橋工程に続いてイミンがアミンに還元される)
である、請求項6または7に記載のビーズ状架橋ポリ(アミノアルキレン)マトリックス。
【請求項9】
式IV:
【化7】

〔式中、nは、0〜10の数であり、
mは、3〜15000の数であり、
oは、0または1の数であり、
pは、>0かつ<mの数であり、
Yは、ヘテロ原子または水素対であり、および
R’’、R’’’、R、およびRは、独立して、水素、置換されていてもよい飽和または不飽和アルキル基、置換されていてもよい飽和または不飽和アシル基、および置換されていてもよいアリール基からなる群から選択される〕
で示される、ラジカル反応性基RR’’’C=CR’’−CYを有する分子を、ラジカル重合することによって得られる、ビーズ状架橋ポリ(アミノアルキレン)マトリックス。
【請求項10】
ラジカル重合によって得られる請求項9に記載のビーズ状架橋ポリ(アミノアルキレン)マトリックスであって、該ポリ(アミノアルキレン)は、ポリ(アミノメチレン)、ポリビニルアミン、またはポリ(アリルアミン)を含んでなる、マトリックス。
【請求項11】
ラジカル重合によって得られる請求項9または10に記載のビーズ状架橋ポリ(アミノアルキレン)マトリックスであって、反応性基RR’’’C=CR’’−CYは、アクリロイル、メタクリロイル、エタクリロイル、またはアリルである、マトリックス。
【請求項12】
a)式IIで示されるポリ(アミノアルキレン)および式IIIで示される架橋分子を提供する工程、
b)ビーズ化条件下、ポリ(アミノアルキレン)および架橋分子を反応させる工程、および
c)請求項1〜11のいずれかに記載のビーズ状架橋ポリマーマトリックスを得る工程
を含む、請求項1〜11のいずれかに記載のビーズ状架橋ポリマーマトリックスの製造方法。
【請求項13】
a)式IVで示される化合物およびラジカル開始剤を提供する工程、
b)ラジカル重合条件下およびビーズ化条件下、工程a)で提供された反応混合物を反応させる工程、
c)請求項1〜11のいずれかに記載のビーズ状架橋ポリマーマトリックスを得る工程
を含む、請求項1〜11のいずれかに記載のビーズ状架橋ポリマーマトリックスの製造方法。
【請求項14】
界面活性剤、および/または溶媒、および/または非混和相を、反応混合物に提供する工程、およびビーズ形成および架橋が可能な温度にて、攪拌下または超音波照射条件下、反応混合物を反応させる工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも幾つかのアミノ基を、重合工程およびビーズ化工程後、式V:
【化8】

〔式中、RおよびRは、独立して、水素、および請求項1〜11のいずれかに記載のポリマーマトリックスのアミノ基と、アルキル化剤またはアシル化剤とを反応させることによって形成された有機基から選択される〕
の官能基NRに変換する工程をさらに含む請求項12〜14のいずれかに記載の方法によって得られる、複数の置換アミノ基を含んでなるポリマーマトリックス。
【請求項16】
望ましくない化合物(好ましくはカルボニルおよび/またはスルホニル化合物)を、化学的実体の混合物を含んでなる組成物から除去するための、固定化試薬、例えば、酸化剤、またはアルキル化剤、または錯化剤(例えば、ホスフィン)のための支持体としての、置換されていてもよい第1級アミンおよび第2級アミン(好ましくは置換されていてもよい第1級アミン)からなる群から選択される複数の官能基を含んでなる顆粒状またはビーズ状架橋ポリマーマトリックスの使用。
【請求項17】
所望されない化合物(好ましくはカルボニルおよび/またはスルホニル化合物)を、化学的実体の混合物を含んでなる組成物から除去するための、請求項1〜11および15のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。
【請求項18】
有機分子合成用支持体としての、請求項1〜11および15のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。
【請求項19】
コンビナトリアル化学ライブラリーを製造する場合の支持体としての、複数の請求項1〜11および15のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。
【請求項20】
化学的実体のライブラリーを製造する場合の支持体としての、複数の請求項1〜11および15のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。
【請求項21】
薬剤分子、ペプチド、タンパク質、DNA、またはRNAの合成用支持体としての、請求項1〜11および15のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。
【請求項22】
固相酵素反応用支持体としての、請求項1〜11および15のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。
【請求項23】
生体分子、例えば、タンパク質、酵素、または他の生化学的活性実体のタンパク質固定化のための、請求項1〜11および15のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。
【請求項24】
所望の標的化合物のクロマトグラフ分離または精製(親和性精製を含む)のための、請求項1〜11および15のいずれかに記載のポリマーマトリックスの使用。

【公表番号】特表2008−510022(P2008−510022A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525170(P2007−525170)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000384
【国際公開番号】WO2006/015594
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(507046794)ヴァーサマトリックス・アクティーゼルスカブ (3)
【氏名又は名称原語表記】VersaMatrix A/S
【Fターム(参考)】