説明

ビームパターンを改善するヘッドライトの自動照準変更システム

【課題】 従来技術の少なくとも1つの欠点を無くすか、軽減する新規なヘッドライトシステムを提供することにある。
【解決手段】 ヘッドライトシステムの作動モードに基いて、少なくともロービーム・イルミネータを垂直方向に照準変更して、法規要件に適合させると同時に、効率的で有効な照明を行なうことができる新規なヘッドライトシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のヘッドライトシステムに関し、より詳しくは、ヘッドライトシステムが異なる作動モードで使用されるときに、ビームパターン等の所望作動条件を達成すべくヘッドライトの照準変更(re-aim)を行なうヘッドライトシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
この数十年来、自動車の照明システムは大きな変化を遂げてきた。改善されたランプ技術、設計技術およびより厳格化した法規要件により、より明るくかつ合焦性に優れた照明システムが開発されており、これらの照明システムは、車両ドライバにより良い照明を与え、安全性およびドライバの快適性を向上させると同時に、他の車両のドライバに与える虞れがある眩しさおよび他の好ましくないアーティファクトも低減させる。
【0003】
最近のヘッドライトシステムは、しばしば、多数のランプおよび/またはハロゲンランプおよび/または高輝度放電(High Intensity Discharge:HID)ランプのような非常に明るいランプを使用して、夜間運転のための高い光強度を得ている。また、光源がパラボラ状リフレクタの焦点に配置される従来のリフレクタヘッドライト以外に、プロジェクタヘッドライトも創出されている。プロジェクタヘッドライトでは、光源は楕円形リフレクタの焦点に配置される。楕円形リフレクタは、パラボラ状リフレクタよりも効率良く光源からの有効光を収集でき、リフレクタの下流側の光路内には1つ以上の集束レンズが設けられていて、光を所望パターンに適当に合焦させる。いずれにせよ、最近のヘッドライトシステムにより得られる大量の光は、ほんの数年前に使用されていたヘッドライトシステムと比較して、安全な夜間運転の体験を可能にしている。
【0004】
しかしながら、このような最近のヘッドライトシステムは、高い光強度が得られる長所がある反面、最近のヘッドライトシステムが設けられた車両に近付く車両または最近のヘッドライトシステムが設けられた車両により追いつかれる他の車両のドライバに与えるこのような強い光の有害な効果はかなり増大しており、近付いてくるドライバに、不快感だけでなく、最悪の場合には最も安全性を欠く運転条件を招くことにもなる。
【0005】
従って、種々の規格団体は、ヘッドライトシステムが発生する最大光量およびヘッドライトシステムにより光が放射されるビームパターンの両方を特定している。例えばECE、FMVSS、JISおよび他の規格団体は、ロービーム(すれ違いビーム)モードで走行するときのヘッドライトシステムにより発生される光のビームパターン(強度および分布)、およびハイビーム(ドライビングビーム)モードで走行するときのヘッドライトシステムの種々のビームパターンを特定する種々の規定を定めている。
【0006】
良好な照明を作りかつ規格団体が定める基準および制限に適合する有効ヘッドライトシステムの製造は努力を要することである。車両のデザイン的外観の要件とコスト的考察の要件とを組合せるときは、困難性は一層増大する。
良好な照明を作ると同時に、関連する法規制限に適合するヘッドライトシステムを提供することが要望されている。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,183,118号明細書(Toda等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の少なくとも1つの欠点を無くすか、軽減する新規なヘッドライトシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一形態によれば、各側のヘッドライトシステムが、水平方向および垂直方向に照準を合わせることができるロービーム・イルミネータと、ハイビーム・イルミネータと、ロービーム・イルミネータの垂直照準を変更すべく作動できるアクチュエータとを有するヘッドライトシステムにおいて、ヘッドライトシステムがロービームモードで作動しているときに、ロービーム・イルミネータの照準を第一垂直照準ターゲット位置に合わせるべく各側のアクチュエータを作動させ、かつハイビーム・イルミネータおよびロービーム・イルミネータの両方が作動していて、ヘッドライトシステムがハイビームモードで作動しているときに、ロービーム・イルミネータの照準を第二垂直照準ターゲット位置に合わせるべく作動させるコントローラ手段を有するヘッドライトシステムが提供される。
アクチュエータは、ロービーム・イルミネータの照準を垂直照準ターゲット位置に合わせるべく作動するヘッドライトレベリングシステムの一部であるのが好ましい。
【0010】
本発明は、種々のヘッドライト法規に適応できると同時に、有効な照明が行なえるヘッドライトシステムを提供する。本発明の他の形態によれば、ロービーム・イルミネータおよびハイビーム・イルミネータを有するヘッドライトシステムが提供される。アクチュエータは、ロービームのホットスポットの照準を変えるべく作動する。コントローラはアクチュエータを作動して、ロービーム・イルミネータの照準を、ロービーム・イルミネータのみが付勢されていてヘッドライトシステムがロービームモードで作動しているときの第一ターゲットと、ハイビーム・イルミネータおよびロービーム・イルミネータの両方が付勢されていてヘッドライトシステムがハイビームモードで作動しているときの第二ターゲットとの間のロービームホットスポットに合わせる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を単なる例示として説明する。
図1には、最近のヘッドライトシステム20の一方の側(ドライバ側すなわち乗客側)が概略的に示されている。各側のシステム20は、ハイビーム・イルミネータ24およびロービーム・イルミネータ28を有している。各イルミネータ24、28は、リフレクタ、および/または1つ以上のレンズ、および白熱電球(白熱バルブ)、HID電球またはハロゲン電球等の光源の組立体で構成できる。システム20は4バルブ点灯(four-bulb-burn)型ヘッドライトシステムであり、該システムでは、システム20がハイビームモードにあるときは各ハイビーム・イルミネータ24のみが給電(従って発光)されるが、各ロービーム・イルミネータ28はシステム20がロービームモードおよびハイビームモードの両モードで作動するときに給電される。換言すれば、システム20がハイビームモードにあるときに両イルミネータ24、28が作動し、一方、システム20がロービームモードにあるときにはロービームイルミネータ28のみが作動する。これは、それぞれの両モードで、ハイビーム・イルミネータ24およびロービーム・イルミネータ28のうちの適当な一方のイルミネータのみが給電されるされる2バルブ点灯(two-bulb-burn)型ヘッドライトシステムとは異なっている。
【0012】
システム20の各側は、コントローラ36からの信号に応答してロービーム・イルミネータ28の垂直照準を変化させるべく作動できるアクチュエータ32を有している。当業者には理解されようが、アクチュエータ32は、ロービーム・イルミネータ28の照準を垂直方向に変化させるリニアDCステッパモータまたは他の任意の適当な電気的または機械的手段で構成できる。一般にアクチュエータ32はロービーム・イルミネータ28のハウジングを機械的に傾動させてその照準を変化させるが、当業者には明らかなように、ロービーム・イルミネータ28のリフレクタまたはレンズを移動させる等の他の技術を用いることもできる。
【0013】
図1に破線で示すように、車両へのイルミネータ24、28の取付け構造に基いて、各側のアクチュエータ32は、ロービーム・イルミネータ28の照準のみ、またはロービーム・イルミネータ28およびハイビーム・イルミネータ24の両者の照準を垂直方向に変化させることができる。
【0014】
システム20のコントローラ36は、当業者ならば理解されようが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、PICまたは他の適当なデジタルまたはアナログ処理デバイスで構成でき、静荷重(貨物車および/または乗用車)および/または動荷重(加速/減速および/またはコーナリング)による路面に対する車体のあらゆる位置変化を表示できる1つ以上のセンサ40からの入力を受け、かつ必要に応じて、ロービーム・イルミネータ28の垂直照準を変えるべく適当な制御信号をアクチュエータ32に発生する。コントローラ36からの破線で示す信号ラインは、システム20の他側(図示せず)のアクチュエータ32に接続するためのものである。既知のヘッドライト・レベリングシステムの一例が、上記特許文献1に開示されている。
【0015】
例えばECE規格では、ロービーム・イルミネータ28にHID光源を使用する場合には、ロービーム・イルミネータ28の垂直照準を調節する手段を設けなくてはならない。最小限、これらの手段は、ドライバがロービーム・イルミネータの垂直照準を手動で調節して、車両の静荷重を補償できる手動アジャスタで構成できる。しかしながら、ECE規格または同様な法規が適用されない国/領域でも、安全性の向上のため自動システムを設けることが一般的になっており、従って図1に示すものと同様なヘッドライト・レベリングシステムが一般的になっている。このような自動システムは、システムがイルミネータの照準を維持すべく作動する所定垂直照準ターゲット位置を有している。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、ロービーム・イルミネータ28a、28bは、各々がHID光源を備えたプロジェクタヘッドライト組立体を有している。ハイビーム・イルミネータ24a、24bは、ハロゲン光源を備えたプロジェクタヘッドライト組立体を有している。この構成は、適切な規格団体により許容された最高照明(強度および分布)を満たすかこれに近い照明を作るべく意図した点で高性能ヘッドライトシステムである。
【0017】
この特定実施形態では、左側の2つのプロジェクタ組立体のリフレクタは、右側の2つのプロジェクタ組立体のリフレクタとの共通フレームを共有している。かくして、アクチュエータ32a、32bがそれぞれのロービーム・イルミネータ28a、28bの垂直照準を変えるときには、対応するハイビーム・イルミネータ24a、24bの垂直照準も変化してしまう。当業者には理解されようが、このような構成は本発明が必要とするものではなく、アクチュエータ32a、32bによりロービーム・イルミネータ28a、28bが照準変更されても、ハイビーム・イルミネータ24a、24bは固定垂直位置を維持できなくてはならない。同様に、ハイビーム・イルミネータ24a、24bおよびロービーム・イルミネータ28a、28bの両方とも、プロジェクタ組立体にする必要はない。
【0018】
上記のように、種々の規格団体がヘッドライトシステムの強度および分布(ビームパターン)に関する規格を賦課している。図2は、ECEが規定するロービーム・ヘッドライトのビームパターンを示している。図2において、水平(H)軸および垂直(V)軸の中心はイルミネータのほぼ中心に位置し、陰影を付した部分は、ロービーム・イルミネータからの最高照明量が得られる領域を概略的に示すものである。ビームパターンの実際の形状および試験は当業者に良く知られており、ここでこれ以上説明する必要はない。
【0019】
理解されようが、近付いてくる車両からの目眩みを防止するには、許容されるビームパターンは、光を、ビームの左側領域ではH軸より幾分(約0.6°)下方に投射させることができ、かつビームの右側領域では、光を、V軸からの距離に従って徐々にリニアに増大する高さでH軸より上方に投射させることができるに過ぎない。当業者には理解されようが、このパターンは、車両が道路の左側を走行する管轄区内では逆になる。いずれの場合でも、このパターンは、近付いてくる車両のドライバに対する眩しさの発生を低減させると同時に、道路の側方および/または歩道等の照明を確保することを意図したものである。
【0020】
イルミネータのビームパターンを許容パターンに従うものとするのにしばしば用いられている1つの技術は、イルミネータの内部光路内に金属シールドを設けて、ビームパターンの禁止領域からの光を遮断することであり、このような技術は、システム20のロービーム・イルミネータ28に使用される。
【0021】
図3Aには、達成される実際のビームパターンであって、最高強度のビームパターン領域104を含む陰影領域100が示されている。図3Bには、ハイビーム・イルミネータ24が作るビームパターンであって、最高強度のパターン領域108を含む陰影領域106が示されている。
【0022】
ハイビーム・イルミネータ24は、図3Bに示すように、H軸とV軸yとの交点に中心をもつほぼ円形の高強度領域108を備えたほぼ楕円形のビームパターン106を作る。
【0023】
ヘッドライトシステム20が4バルブ点灯型システムでかつ該システム20がハイビームモードで作動するときは、ロービーム・イルミネータ28のビームパターンとハイビーム・イルミネータ24のビームパターンとが組合される。図4は、本発明によることなく達成される、ロービームパターン100とハイビームパターン106との組合せを示す。
【0024】
しかしながら、ECE規格#112のセクション6.3は、ハイビームパターンのH軸とV軸との交点で測定した光の強度は、ビームパターンの他の領域に見られる最高強度の少なくとも80%となることを要求している。理解されようが、ロービームの最高強度領域すなわちホットスポット104およびハイビームの最高強度領域すなわちホットスポット108は領域112内でオーバーラップする。これは、本発明を使用しないシステム20ではH軸とV軸との交点には位置せず、かつオーバーラップのため充分に明るく、80%規格はこのパターンによっては満たされない。
【0025】
このように過度に明るい領域に対処する従来技術として、H軸の下の領域を照明しないように、ロービーム照明およびハイビーム照明のいずれか一方または両方の焦点を意図的にずらすか、ハイビーム・イルミネータ24に金属シールドを設ける技術がある。しかしながら、これらの両技術では、最高の性能を発揮できるヘッドライトシステムは得られない。
【0026】
本発明者が直面したジレンマは、領域112が最も明るい領域であるならば、それをH軸とV軸との交点に移動すべきであるということである。しかしながら、ロービームモードでロービーム・イルミネータ28の垂直照準を上方に移動させると、照明が許容できないほどにH軸に近付くかこれを横切ってしまうため、規格で要求されているロービームパターンに背くものとなってしまう。或いは、ハイビーム・イルミネータ24の垂直照準を上方に移動させるか(オーバーラップ領域108の発生を防止するため)、ロービーム・イルミネータ28の最高強度領域を下方に位置変更すると、ヘッドライトシステムの性能が非常に低下してしまう。また、ロービームモードにあるときにロービーム・イルミネータ28の垂直照準を位置変更すると、上方または下方へのいずれの位置変更であっても、ECE規格の要件に背くものとなり、従って許容されない。
【0027】
本発明者は、ヘッドライトシステム20がハイビームモードにあるときにロービーム・イルミネータ28の垂直照準ターゲット位置が移動される場合には、ロービーム・イルミネータ28は垂直方向に照準変更すれば所望の性能が得られるであろうし、ロービームパターンの法規要件をも満たすであろうと判断した。
【0028】
従って、コントローラ36に接続されたセンサ40iは、ヘッドライトシステム20がハイビームモードにあるかロービームモードにあるかを判断する。当業者には明らかであろうが、センサ40iは、ハイビーム/ロービーム選択システムからの付加信号リード(additional signal lead)またはヘッドライトシステム20の作動モードを決定するのに適した他の任意の手段で構成できる。コントローラ36は、センサ40iからの信号を受け、かつヘッドライトシステム24の表示モードに基いて、ロービーム・イルミネータ28の2つの垂直照準ターゲット位置のうちの1つを選択する。
【0029】
ロービームモードでは、コントローラ36は、ロービーム・イルミネータ28の垂直方向照準を、図3Aに示すロービームパターンを達成するのに必要な高さである垂直照準ターゲット位置に定めるべくアクチュエータ32を作動する。ハイビームモードでは、コントローラ36は、ロービーム・イルミネータ28の垂直方向照準を、図5に示すハイビームパターンを達成するのに必要な高さである、より高い垂直照準ターゲット位置に定めるべくアクチュエータ32を作動する。この場合には、ロービームパターン100の最高強度領域104とハイビームパターン106の最高強度領域108とのオーバーラップから生じる最高強度領域112は、所望通り、H軸とV軸との交点にほぼ中心を有し、ヘッドライトシステム20の性能は、ハイビームモードにおいて低下されるどころか、高められる。
【0030】
本発明の一実施形態では、ハイビームモードでのロービーム・イルミネータ28の垂直照準ターゲット位置は、ロービームモードでの垂直照準ターゲット位置より約0.9°高い。当業者には明らかであろうが、ヘッドライトシステム20の他の実施形態の垂直照準ターゲット位置は、適用できる法規要件、ハイビーム・イルミネータ24およびロービーム・イルミネータ28の実際の構造、イルミネータ(単一または複数)に使用される金属シールド、および他の何らかのパラメータに基いて変えることができる。しかしながら、容易に理解されようが、他の実施形態の垂直照準ターゲット位置は必要に応じて経験的に容易に決定できる。
【0031】
本発明は、2つの作動モードを有するヘッドライトシステムに限定されるものではない。例えば、更にフォグランプを有し、従って3つの作動モード(ハイビーム、ロービームおよびフォグランプ)を有するヘッドライトシステムに本発明を使用することも考えられる。フォグランプに夜間運転照明を設ける場合には、霧中の水滴からの反射が車両のドライバに強い眩しさを与えるため、水平に近い領域の光がドライバの視線に分散するのを防止することが望まれる。従って、多くの車両は車両のヘッドライトシステムより下に取付けられたフォグランプを有しており、車両ドライバの視界を妨げる反射による眩しさの危険が小さい、充分な照明を得ることを試みている。本発明により、システム20がロービームモードおよびハイビームモードの表示に加えてフォグランプモードにあるときに、センサ40iがこれをコントローラ36に表示するようにシステム20を構成することを考えることができる。システム20がフォグランプモードにあることを検出すると、関連規格団体により認可されるならば、コントローラ36は、ロービームモードの垂直照準ターゲット位置より低い垂直照準ターゲット位置を用いることができる。この場合、コントローラ36はアクチュエータ32を作動させて、ロービーム・イルミネータ28の垂直照準を、ロービームパターンのノーマルな垂直照準ターゲット位置から下方に変化させ、反射による眩しさの可能性を更に低減させる。
【0032】
本発明を、付加アクチュエータ32により垂直方向に照準変更可能な一体型フォグランプ/ドライビングライトが設けられたヘッドライトシステムに使用することを考えることもできる。運転モードでは、一体型フォグランプ/ドライビングライトの垂直照準ターゲット位置は、照明システムがフォグランプモードにあるときの垂直照準ターゲット位置より高くなるであろう。また、本発明を、各側のロービーム・イルミネータ28および各側のハイビーム・イルミネータ24が別々のアクチュエータに接続されていて、コントローラ36が各ロービーム・イルミネータ28およびハイビーム・イルミネータ24を異なる垂直照準ターゲット位置に照準変更するように構成されたヘッドライトシステムに使用することを考えることもできる。当業者ならば、種々の状況に有効な他の垂直照準位置をもつ他のモードを考えることもできようが、このようなモードおよび垂直照準ターゲット位置は本発明の範囲内にある。
【0033】
また、本発明は、規格団体により賦課される種々の基準の交付に対処すべく使用でき、従ってヘッドライトシステムの製造業者が直面する構造変更の問題点を簡単化できる。特に、コントローラ36は、特定の法規に適合するようにあつらえられた垂直照準ターゲット位置をプログラムすることができる。このようなプログラミングは、製造業者が装着すべきヘッドライトシステムが適合しなければならない規格を決定するときに行なうことができ、或いはヘッドライトシステムが装着された自動車が既に販売されている場合でもプログラムすることができる。或いは、コントローラ36は、多くの法規および適当な組の垂直照準ターゲット位置の各々を必要に応じて選択できるように、数組の垂直照準ターゲット位置をプログラムすることもできる。
【0034】
以上説明した本発明の実施形態は本発明の例示であって、当業者ならば、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更を加えることができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】ロービーム・イルミネータの垂直照準を垂直照準ターゲット位置に調節するアクチュエータおよびコントローラを備えた4バルブ点灯型ヘッドライトシステムの一方の側を示す概略図である。
【図2】一規格団体により認可されているロービームパターンを示す図面である。
【図3A】図1のロービーム・イルミネータにより作られるロービームパターンを示す図面である。
【図3B】図1のハイビーム・イルミネータにより作られるハイビームパターンを示す図面である。
【図4】本発明の利益なくして図3Aのロービームパターンと組合された図3Bのハイビームパターンを示す図面である。
【図5】本発明の利益をもって組合されたハイビームパターンおよびロービームパターンを示す図面である。
【符号の説明】
【0036】
20 ヘッドライトシステム
24 ハイビーム・イルミネータ
28 ロービーム・イルミネータ
32 アクチュエータ
36 コントローラ
104 ロービームの最高強度領域
108 ハイビームの最高強度領域
112 オーバーラップした最高強度領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドライトシステムであって、各側のヘッドライトシステムが、
水平方向および垂直方向に照準を合わせることができるロービーム・イルミネータと、
ハイビーム・イルミネータと、
ロービーム・イルミネータの垂直照準を変更すべく作動できるアクチュエータとを有するヘッドライトシステムにおいて、
ヘッドライトシステムがロービームモードで作動しているときに、ロービーム・イルミネータの照準を第一垂直照準ターゲット位置に合わせるべく各側のアクチュエータを作動させ、かつハイビーム・イルミネータおよびロービーム・イルミネータの両方が作動していて、ヘッドライトシステムがハイビームモードで作動しているときに、ロービーム・イルミネータの照準を第二垂直照準ターゲット位置に合わせるべく作動させるコントローラ手段を有することを特徴とするヘッドライトシステム。
【請求項2】
対応する第三ターゲットをもつ第三作動モードを更に有し、コントローラは、ヘッドライトシステムが第三作動モードにあると決定したときに、アクチュエータを作動させてロービーム・イルミネータの照準を第三垂直照準ターゲット位置に合わせることを特徴とする請求項1記載のヘッドライトシステム。
【請求項3】
コントローラは少なくとも2組の第一および第二垂直照準ターゲット位置がプログラムされており、各組は特定法規要件に対応しており、コントローラは少なくとも2つの組から所望の組を選択する手段を形成していることを特徴とする請求項1記載のヘッドライトシステム。
【請求項4】
各側のヘッドライトシステムが別のイルミネータおよび別のアクチュエータを更に有し、コントローラが前記別のイルミネータのための1対の垂直照準ターゲット位置を有し、コントローラは、前記別のアクチュエータを作動させて、システムが第一モードで作動しているときに前記別のイルミネータの照準を一方の垂直照準ターゲット位置に合わせ、かつシステムが第二モードで作動しているときに前記別のイルミネータの照準を他方の垂直照準ターゲット位置に合わせることを特徴とする請求項1記載のヘッドライトシステム。
【請求項5】
前記ロービーム・イルミネータはパラボラ状リフレクタを有していることを特徴とする請求項1記載のヘッドライトシステム。
【請求項6】
前記ロービーム・イルミネータは投射組立体であることを特徴とする請求項1記載のヘッドライトシステム。
【請求項7】
ロービームホットスポットをもつロービーム・イルミネータと、
ハイビームホットスポットをもつハイビーム・イルミネータと、
ロービームホットスポットの照準を変更すべく作動するアクチュエータと、
コントローラとを有し、該コントローラはアクチュエータを作動して、ロービーム・イルミネータのみが付勢されていてヘッドライトシステムがロービームモードで作動しているときには、ロービーム・イルミネータを移動させてロービームホットスポットの照準を第一ターゲットに合わせ、ハイビーム・イルミネータおよびロービーム・イルミネータの両方が付勢されていてヘッドライトシステムがハイビームモードで作動しているときには、ロービーム・イルミネータを移動させてロービームホットスポットの照準を第二ターゲットに合わせることを特徴とするヘッドライトシステム。
【請求項8】
前記ハイビームホットスポットは、システムがハイビームモードで作動しているときは、第二ターゲットに照準が合わされることを特徴とする請求項8記載のヘッドライトシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−76551(P2006−76551A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2004−299389(P2004−299389)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(501490830)デコマ インターナショナル インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】