説明

ピアツーピア通信ネットワークの同期

アドホックなピアツーピア通信ネットワークにおいて、2つ以上のノード間のタイミング同期を容易にすることができる。ノードは、オリジナルのシンボルタイミングを確立し、ピアノードから第1のタイミング同期シンボルを受信することができる。タイミング調整を、第1のタイミング同期シンボルに一部分基づいて計算することができる。調整されたシンボルタイミングは、計算されたタイミング調整量により第1のシンボルタイミングを調節することにより確立することができる。調整されたシンボルタイミングは、ノード間のタイミング同期を容易にするために1つ以上のピアノードに伝えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の記載は、概して無線通信に関し、より詳細にはアドホックピアツーピアネットワークにおける同期に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムは、広く展開されて様々なタイプの通信を提供しており、例えば音声および/またはデータは、無線通信システムを通じて提供されることが可能である。典型的な無線通信システムすなわちネットワークは、複数のユーザが1つまたは複数の共有リソースにアクセスできるようにすることができる。例えばシステムは、周波数分割多重(FDM)、時分割多重(TDM)、符号分割多重(CDM)、直交周波数分割多重(OFDM)など、様々な複数のアクセス技術を使用することができる。
【0003】
一般に無線通信ネットワークは、ユーザがどこに位置しているか(建造物の内部か外部か)、またユーザが静止しているか動いているか(例えば乗車中、歩行中など)にかかわらず、情報を通信するために利用される。概して無線通信ネットワークは、基地局またはアクセスポイントと通信している移動機によって確立される。アクセスポイントは、ある地理的範囲またはセルをカバーし、移動機が操作されるとき、移動機はこれらの地理的セルを出入りする可能性がある。
【0004】
時にはネットワークは、アクセスポイントを利用せずに単にピアツーピア通信を利用して構築されることが可能であり、あるいはアクセスポイント(インフラストラクチャモード)とピアツーピア通信の両方を含むことが可能である。こうしたタイプのインフラストラクチャは、アドホックネットワークまたは独立基本サービスセット(IBSS)と呼ばれる。アドホックネットワークは自動設定とすることができ、それによってある移動機(またはアクセスポイント)が別の移動機から通信を受信するとき、この別の移動機がネットワークに追加される。移動機がこのエリアを離れると、移動機はネットワークから動的に削除される。したがってネットワークの形態(topography)は常に変化している可能性がある。
【0005】
他の機器との通信を容易にするために、タイミングソースから同期が受信され、これによって機器は一定の機能(例えばピアの発見、ページングなど)を行うことができるようになる。しかし、2つ以上の機器間にタイミングの不一致またはタイミングオフセットがある場合、それによって問題が発生する可能性があり、機器間でさらなる同期が必要となる可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
以下には、このような諸態様を基本的に理解できるように、1つまたは複数の態様の簡潔な概要を提示する。この概要は、検討されるすべての態様の包括的な概要ではなく、また鍵となる要素もしくは決定的要素を明らかにするものでも、あらゆるすべての態様の範囲を明確にするものでもない。その唯一の目的は、後に示すより詳細な説明への前置きとして、1つまたは複数の態様のいくつかの概念を簡単な形で示すことである。
【0007】
1つまたは複数の態様ならびにその対応する開示に従って、ピアツーピア通信ネットワーク内の2つ以上のノード間の同期を容易にすることと関連して様々な態様について説明する。各ノードは、近くのタイミングソースのダウンリンクブロードキャスト信号からネットワークのタイミングを受信することができる。各ノードは、専用の時間区間で既知のタイミングを用いて広帯域信号を送信し、時間区間の残りの部分で近くの他ノードからの広帯域信号をリッスンする。各ノードは、受信した近くの他ノードのタイミングおよびネットワークタイミングに応じて自らのタイミングを調整することができる。
【0008】
一態様は第1の無線通信端末を動作させる方法に関する。その方法は、オリジナルのシンボルタイミングを決定することと、少なくとも1つの第2の無線通信端末から第1のタイミング同期信号を受信することを含む。タイミング調整は、第1のタイミング同期信号に一部分基づいて計算することができる。そして、調整されたシンボルタイミングは、計算されたタイミング調整により決められた量だけオリジナルのシンボルタイミングを調節することにより決定することができる。調整されたシンボルタイミングを有する第2のタイミング同期信号は送信され得る。
【0009】
別の態様は、メモリと、メモリに結合されて、メモリに保存された命令を実行するように構成されているプロセッサを含んでいる無線通信装置に関する。メモリにおいて保存された命令は、第1のシンボルタイミングを確認することと、第1のタイミング同期信号を受信することと、受信された第1のタイミング同期信号に一部基づいてタイミング調整を確立することに関係し得る。その命令は、さらに、確立されたタイミング調整の関数として第1のシンボルタイミングを調節することと、第2のタイミング同期信号を有する調整されたシンボルタイミングを伝えることに関係し得る。
【0010】
別のものでは関連する態様は、ピアツーピア通信ネットワークにおける同期を容易にする無線通信装置である。その装置は、受信されたタイミング基準信号からオリジナル信号タイミングを確立するための手段およびピアから第1のタイミング同期信号を受信するための手段を備えることができる。さらに、少なくとも第1のタイミング同期信号に基づいて、タイミング調整を計算するための手段を含むことができる。その装置は、決定された調整量によりオリジナル信号タイミングを調節するための手段、および第2のタイミング同期信号において調整された信号タイミングを送信するための手段をさらに含むことができる。
【0011】
別の態様は、第1の機器において第1のシンボルタイミングを確立し、および、第2の機器から第1のタイミング同期シンボルを受信するための機械実行可能命令をその上に記憶した機械可読媒体に関する。タイミング調整は、第1のタイミング同期シンボルに一部分基づいて計算することができる。そして、調整されたシンボルタイミングは、計算されたタイミング調整により決定された量だけ第1のシンボルタイミングを調節することにより決定することができる。機械実行可能命令は、調整されたシンボルタイミングを含んでいる第2のタイミング同期シンボルを伝えることを含むことができる。
【0012】
無線通信システムにおいて、別の態様は、ネットワーク同報通信ソースから受信されたタイミング基準信号に一部分基づいてオリジナルのシンボルタイミングを決定するように構成することができる、プロセッサを含む装置に関する。プロセッサは、少なくとも1つの第2の無線通信端末から第1のタイミング同期信号を受信して、かつ第1のタイミング同期信号に一部分基づいてタイミング調整を計算するように構成され得る。調整されたシンボルタイミングは、計算されたタイミング調整により決められた量だけオリジナルのシンボルタイミングを調節することにより決定することができる。そして、第2のタイミング同期信号は調整されたシンボルタイミングにより送信することができる。
【0013】
前述の目的および関連する目的を達成するために、1つまたは複数の態様は、以下に十分に説明し、特許請求の範囲の中で個々に指摘する特徴を備える。次の説明および付属の図面は、1つまたは複数の態様のある説明に役立つ実例を詳細に示す。しかしながらこれらの例は、様々な態様の原理を用いることができる様々な方法のほんの数例を示すものであり、記載例はこのようなすべての態様およびその均等物を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本明細書に示す様々な態様に従った無線通信ネットワークを示す図。
【図2】1つまたは複数の開示する態様に従った例示的タイミング区間を示す図。
【図3】本明細書で開示する様々な態様に従ったタイミングオフセットの例示的表示を示す図。
【図4】一態様に従ったタイミングソースに応じた同期の例示的な説明図。
【図5】タイミング同期区間の例示的シーケンスを示す図。
【図6】開示する態様に従ったタイミング区間の別の例を示す図。
【図7】無線通信端末を操作する方法を示す図。
【図8】無線通信ネットワーク内の時間同期のための方法を示す図。
【図9】ピアツーピア無線通信ネットワーク内で通信を同期するために無線機器を操作する方法を示す図。
【図10】例示的無線端末を示す図。
【図11】ピアツーピア無線通信環境における同期を容易にする例示的システムを示す図。
【詳細な説明】
【0015】
次に図面を参照して様々な例を説明する。以下の記載では、1つまたは複数の態様を十分に理解できるように、説明の目的で数多くの特定の細部を示す。しかしながら、このような(諸)態様は、これらの特定の細部がなくとも実行可能であることは明らかであろう。他の場合では、1つまたは複数の例の説明を容易にするために、周知の構造および機器をブロック図の形で示す。
【0016】
本出願で使用する、「コンポーネント」、「モジュール」、「システム」などの用語は、コンピュータ関連のエンティティ、すなわちハードウェア、ファームウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアを指すものとする。例えば、コンポーネントは、プロセッサで実行中のプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行のスレッド、プログラム、および/またはコンピュータである場合があるが、これらに限定されない。説明のために、コンピューティングデバイスで実行中のアプリケーションもそのコンピューティングデバイスも、コンポーネントとすることができる。1つまたは複数のコンポーネントは、プロセスおよび/または実行のスレッドの中にある可能性があり、またコンポーネントは、1つのコンピュータに局在化される、および/または2つ以上のコンピュータ間で分散される場合がある。さらにこれらのコンポーネントは、様々なデータ構造を格納した様々なコンピュータ可読媒体から実行可能である。コンポーネントは、1つまたは複数のデータパケット(例えばローカルシステム、分散システム、および/または信号による他のシステムを有するインターネットのようなネットワーク全体で別のコンポーネントと対話する1つのコンポーネントからのデータ)を有する信号に従うなど、ローカル処理および/またはリモート処理によって通信することができる。
【0017】
さらに本明細書では様々な例を、無線端末に関連して説明する。また無線端末は、システム、加入者ユニット、加入者局、移動局、移動体、移動機、リモート局、リモート端末、アクセス端末、ユーザ端末、端末、無線通信機器、ユーザエージェント、ユーザ装置、またはユーザ機器(UE)と呼ばれることも可能である。無線端末は、携帯電話、コードレス電話、スマートフォン、セッション開始プロトコル(SIP)電話、無線ローカルループ(WLL)局、携帯情報端末(PDA)、ラップトップ、ハンドヘルド通信機器、ハンドヘルドコンピュータ機器、コンピュータ機器、衛星ラジオ、全地球測位システム、無線モデムに接続された処理装置、および/または通信用の他の好適な装置であることが可能である。
【0018】
さらに、本明細書に記載する様々な態様または特徴は、標準的なプログラミング技術および/またはエンジニアリング技術を使用して、方法、装置、または製品として実行されることが可能である。本明細書で使用する「製品」と言う用語は、いかなるコンピュータ可読デバイス、キャリア、または媒体からでもアクセス可能なコンピュータプログラムを含むものとする。例えばコンピュータ可読媒体には、磁気記憶装置(例えばハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気帯など)、光ディスク(例えばコンパクトディスク(CD)、ディジタル多用途ディスク(DVD)など)、スマートカード、およびフラッシュメモリデバイス(例えばEPROM、カード、スティック、キードライブなど)が含まれるが、これらに限定されない。また、本明細書に記載する様々な記憶媒体は、情報を格納するための1つまたは複数のデバイスおよび/または他の機械可読媒体を表すことができる。「機械可読媒体」という用語には、命令および/またはデータを格納する、含む、および/または搬送することができる無線チャネルおよび様々な他の媒体が含まれるが、これらに限定されない。
【0019】
次に図1を参照すると、本明細書に示す様々な態様に従った無線通信ネットワーク100が示されている。ネットワーク100は、アドホック無線通信ネットワークであることが可能であり、ピアツーピア型の構成であることが可能である。ピアツーピア構成とは、アクセスポイントがなく、ノード、機器、端末または局のみを備えるネットワークである。このようなネットワークでは、ネットワーク内の機器は基地局と同様に機能して、トラヒックまたは通信を他の機器にリレーすることができ、トラヒックが最終宛先に到達するまで基地局と同様に機能する。一部のアドホックネットワークは、端末とアクセスポイントをともに含むことができる(図示せず)。
【0020】
ネットワーク100は、無線通信の中にあるいかなる数の移動機またはノードを含むこともできるが、そのうちの6つを示している。移動機は、例えば携帯電話、スマートフォン、ラップトップ、ハンドヘルド通信機器、ハンドヘルドコンピュータ機器、衛星ラジオ、全地球測位システム、PDA、および/または無線通信システム100による通信用の他の好適な機器であることが可能である。
【0021】
ノード102、104、106、108、110、および112は、ピアツーピアアドホック形態で構成されるように示している。各ノードは、1つまたは複数の他のノードの範囲内にあることが可能であり、他のノードと通信する、またはマルチホップ形態などで他のノードの利用を介して通信することができる(例えば通信は、最終宛先に到達するまでノードからノードへホップすることができる)。例えば送信ノード102が、受信ノード112と通信することを希望する場合がある。送信ノード102と受信ノード112の間のパケット転送を可能にするために、1つまたは複数の中間ノード104、106、108、および/または110を利用することができる。いかなるノード102〜112も送信ノードおよび/または受信ノードとなる可能性があること、また実質的に同時に情報を送信するまたは受信するという機能を実行することができる(例えば情報を受信するのとほぼ同時に情報をブロードキャストするまたは伝達することができる)ことを理解されたい。
【0022】
各ノードは、ネットワークブロードキャストソースなどのタイミングソースからタイミング基準信号を受信することができ、ネットワークブロードキャストソースは、地上基地局、地上波テレビもしくはラジオの送信機、衛星送信機、またはその組合せである可能性がある。いくつかの態様に従ってタイミングソースは、ピア装置(例えば別の無線端末)であることが可能である。ネットワークの各ノードは、同じタイミングソースからまたは異なるタイミングソースからタイミング基準信号を受信することができる。例えば、第1の機器は、タイミングソースAからタイミングを受信することができ、第2の機器は、タイミングソースBからタイミングを受信することができる。通信にはオーバーラップがあるはずであるので、ノード間のタイミング(例えばそれぞれのノードと関連するタイミング基準)は、極小の問題でわずかにオフセットされる可能性がある(例えば1マイクロ秒、0.02マイクロ秒など)ことを理解されたい。しかしながら、ノードが同様のタイミングを持たない(例えば6マイクロ秒などオフセットの最小量より多いオフセットがある)場合、問題を引き起こす可能性があり、ノードが様々な機能(例えば通信、ピア発見など)を実行することができるように同期が行われるべきである。
【0023】
各ノードが広帯域信号(例えばOFDM、PMCA、または他の信号)を送信することができる特定の時間区間が確定されるまたは選択されることが可能である。各ノードは、各ノードのそれぞれ選択された時間区間(例えば時間信号の選択小部分)の間に送信し、その他の時間区間(例えば時間信号の非選択小部分)の間にリッスン(listen)することができる。いつ送信するか、およびいつリッスンするかを確定するための様々な方法が数多く存在する可能性がある(例えば送信することとリッスンすることは、一般に同時に起こることはない)。例えばノードは、各信号の間に送信することができるが、選択された時間の信号の短い部分またはサブセットにのみ送信することができる。いくつかの態様に従って、ノードは、各信号の間に送信する(例えばある信号の間に送信し、次の信号の間にリッスンする)のではなく、全時間区間の間に送信することができる。全体的に見れば、連続していない可能性がある、ある確定された時間区間があって、各ノードはその時間区間の一定の(例えば少量の)小部分(例えばそれぞれの選択部分)の間に送信し、残りの区間(例えば非選択部分)の間にリッスンすることができる。
【0024】
各ノードは、メモリと、メモリに結合され、メモリに保存された命令を実行するように構成されたプロセッサとを含むことができる。いくつかの態様に従ってメモリは、第1のシンボルタイミングを確認することおよび第1のタイミング同期信号を受信することと関連する命令を保存することができる。タイミング調整は、受信された第1のタイミング同期信号に一部基づいて確定されることが可能である。さらにメモリは、確定されたタイミング調整に応じて第1のシンボルタイミングを調整すること、および調整済みシンボルタイミングを第2のタイミング同期信号で他の機器へ伝えることができる。
【0025】
それに加えてまたはその代わりにメモリは、第1のシンボルタイミングを調整済みシンボルタイミングに変更することに関連する命令を保存することができる。メモリは引き続き、第2のタイミング同期信号を受信するステップ、受信された第2のタイミング同期信号に一部基づいてタイミング調整を確定するステップ、確定されたタイミング調整に応じてシンボルタイミングを調整するステップ、調整済みシンボルタイミングを次のタイミング同期信号で伝えるステップの繰り返しに移ることができる。
【0026】
別の態様に従ってメモリは、タイミング基準を受信すること、一連のタイミング同期時間区間を決定すること、およびシンボルタイミングを決定することに関連する命令を保存するように構成されることが可能である。メモリは、一連のタイミング同期時間区間の少なくとも1つの小部分を選択して、シンボルタイミングを含む第1の信号を送信することができる。メモリはさらに、この少なくとも1つの時間区間の非選択小部分の間に第2の信号を受信すること、シンボルタイミングおよび第2のタイミング基準に基づいてタイミング調整を決定すること、およびこのタイミング調整に基づいてシンボルタイミングを変更することに関連する命令を保存することができる。
【0027】
それに加えてまたはその代わりにメモリは、少なくとも1つのタイミング同期区間に続くタイミング同期区間の間に次の信号を調整済みタイミング基準で送信することに関連する命令を保存することができる。いくつかの態様に従ってメモリは、少なくとも1つの時間区間の非選択小部分の間に数多くの信号を受信することに関連する命令を保存することができる。数多くの信号のそれぞれが、第2のタイミング基準を含むことができる。メモリはさらに、多数の信号の中で受信されたタイミング基準に応じて、合成タイミング基準値を決定する、および第1のタイミング基準およびこの合成タイミング基準値に応じてタイミング調整を決定することができる。
【0028】
別の態様に従ってメモリは、第1のソースから第1のタイミング基準を受信すること、第1のタイミング基準に基づいてシンボルタイミングを決定すること、および第2のソースから第2のタイミング基準を含む第2の信号を受信することに関連する命令を保存することができる。シンボルタイミングと第2のタイミング基準との差が発見される可能性があり、この差を用いてタイミング調整を決定する。メモリは、決定されたタイミング調整に基づいてシンボルタイミングを調整し、第3の信号をこのシンボルタイミングで送信することができる。
【0029】
1つまたは複数の開示する態様に従った例示的タイミング200の例示的時間区間の図を図2に示している。水平線202は「時間」を表し、A、A、A、A、A、およびAと表示された6つの時間区間を示している。第1のノードは、Aなどの時間をランダムに(または何らかの他の方法で)選択することができ、その時間の間(例えばAの全区間またはその一部)にタイミング基準を含むことができる信号(例えば広帯域信号)を送信する。他の時間区間(例えばA、A、A、A、およびA)では、第1のノードは他のノードからブロードキャストされている信号をリッスンする。第2のノードは、時間区間A(または他のいずれかの時間区間)を選択してその間に送信することができ、残りの(例えば非選択)時間区間A、A、A、A、およびAにリッスンする。第1のノードは、区間Aの間第2の機器からの信号を読み取る(例えば受信する)ことができる。他のノードは、他の時間区間またはその一部(Aおよび/またはAの一部を含む)の間に送信している可能性がある。ノードが信号を送信している間、ノードは他のノードからの信号を実質的に同時に受信することができないことに注意されたい。
【0030】
他のノードからの信号が受信されると、受信された信号と関連するタイミングおよび関連するタイミングオフセットが決定されることが可能である。第1のノードは、第2のノードから信号を受信し、第2のノードのタイミングがわずかに異なる、つまり値τだけオフセットされることに気づくことができる。第1のノードは、第1のノードのタイミングまたはタイミングソースから受信されるタイミングとピアノードから受信されるタイミングとの差を計算することができる。ノードは、第2のノードからのタイミング情報(例えば第2のノードのクロック)を用いてそのクロックを調整する(例えばそのタイミングを同期する)べきであると判定することができる。したがって、第1のノードは、(例えばピア装置、タイミングソースから直接に)受信される信号から得られるタイミングに応じて自身のタイミングを調整することができる。例えば、第1のノードのタイミングまたはクロックが、第2のノードのクロックより速い場合、タイミング同期を行う1つの方法として、第1のノードはそのクロックを少し遅くすることができ、第2のノードはそのクロックを速くすることができる。
【0031】
ノードがそれぞれのタイミングを修正するとき、タイミング情報は、選択された適切な時間区間で送信され続ける。各ノードが他のノードのタイミング情報を受信するとき、各ノードのタイミングは、さらなる情報が受信されるにつれて変わる可能性がある(例えば各ノードは、実質的に同時に同期している可能性がある)。このような方法で、ピアツーピアネットワークは、ローカルオープンループネットワークと同様に機能することができる。通信(例えばページング、トラヒック送信など)が確立されることになるとき、このような通信に各ノードの修正済みタイミング(例えばタイミング同期)を使用することができる。
【0032】
図3は、本明細書で開示する様々な態様に従ったタイミングオフセットの例示的表示を示している。この例はCDMA信号を示しているが、開示の態様で他の信号(例えば広帯域信号)を利用することができることを理解されたい。0010100(302に示す)などの信号が、第1のノードによって送信されることが可能である。第2のノードが、τだけオフセットされている可能性がある信号(304に示す)を送信する。別のノードが、τだけオフセットされている信号(306に示す)を送信する可能性がある。各オフセットは小さい可能性があり、タイミング解決のパフォーマンスは、信号の関数とすることができる(例えば信号の帯域が広がるにつれてパフォーマンスが良くなる)。図では、期待される信号より時間が遅い(+)オフセットであるタイミングを示しているが、1つまたは複数の信号は、時間が早い(−)可能性があり、または図示して説明するオフセットより大きい部分によるオフセットである可能性があることを理解されたい。
【0033】
ピアツーピア通信ネットワーク内でタイミング同期を行うためにタイミングを調整することができる少なくとも4つの異なる方法がある。これらの4つの異なるシナリオには、平均化、タイミングが早い場合の平均化、デッドゾーン、およびタイミングソースの考慮が含まれる。これらのタイミングを調整する異なる方法のそれぞれについて、以下により詳細に説明する。
【0034】
「平均化」に関連する一例には、第1のノード(T0)のタイミングが含まれる。第1のノードは、ある量τだけオフセットされた(遅い(+)または早い(−))タイミングを含む可能性がある信号T1を受信する。信号T2など、1つまたは複数の他の信号が受信される可能性があり、この信号は第2の量τだけオフセットされた(遅い(+)または早い(−))タイミングを含む可能性がある。第1のノードは、受信された信号T1およびT2に含まれる受信されたタイミング情報に基づいて、受信された信号のオフセットτおよびτの平均を求めることによって、新しいタイミングT0を決定することができ、求められた平均に応じてそのタイミングを調整する。いくつかの態様に従って、平均は加重平均であり、これは対応する信号の受信された信号強度の関数とすることができる。平均は、第1のノードのタイミングを含む場合があり、含まない場合もある。
【0035】
受信されたタイミングは、遅れた時間である可能性があるので、平均化によってタイミングを調整することに伴う問題がある。例えばノードが少なくとも第2のノードと同期したばかりである場合、クロックは一致しているはずである。しかしながら、第2のノードからの信号が第1のノードで受信されるときまでに、第2のノードから第1のノードへの伝搬遅延によりこの信号はすでに遅れている。したがって、受信された信号のタイミング情報の平均が同期に使用される場合、この平均の時間は遅いまま、第2のノードに送信され、第2のノードはそれに応じて(遅いタイミングに基づいて)そのタイミングを調整する。したがって、クロックは、伝搬遅延(例えば信号が送信されるときから信号が受信されるときまでの時間遅延)により時間が遅れ続ける可能性がある。
【0036】
伝搬遅延を緩和するために、受信された信号の平均に加えて別の要素を利用することができる。この要素は、受信された信号の平均が、計算ノード(例えばタイミング情報を受信したノード)のタイミングより早いか遅いかを含む。計算ノードは、この平均が計算装置の時間より早いタイミングとなる場合、受信されたタイミング情報の平均を使用して、タイミング同期のためにそのクロックを調整することができる。第1のノードが、第1のノードのクロックのタイミングより遅いすなわち後のタイミングまたはタイミングの平均を受信する(例えばこのノードがタイミングリーダーである)場合、第1のノードは受信されたタイミングおよび/または計算された平均を無視する。
【0037】
上述のシナリオでは、2つ以上のノードが、最大、伝搬遅延によりオフセットされている可能性がある。第2のノードが、伝搬遅延によってオフセットされた第1のノードのタイミングを受信する場合、第2のノードのクロックの方が早く、第2のノードは第1のノードのタイミングを無視する。したがって、ここで第2のノードのクロックは、伝搬遅延だけオフセットされる。伝搬遅延は、大きく変わらないということに注意されたい。
【0038】
タイミング同期を行う別の方法は、デッドゾーンを使用することであり、デッドゾーンは、ロバストなタイミング同期をもたらすことができる。このシナリオでは、第1のノードがピアノードから受信されたタイミングがオフセットされていると判定すると、タイミングオフセットの平均が見つけ出されることが可能である。平均が第1のノードのクロックより早い場合、第1のノードは平均と同期するようにそのタイミングを調整する。しかしながら、平均が第1のノードのクロックより遅い場合、第1のノードは、デッドゾーンを確定し、このデッドゾーンは他のノードの位置を考慮に入れることができ、また第1のノードに関する距離とすることが可能であり、この距離は、あらかじめ確定された距離とすることができる。
【0039】
デッドゾーンを考慮に入れるように決定されると、そのゾーンの外の(例えば第1のノードのタイミングから遠く離れた)ノードから受信されるタイミング情報は廃棄され、その結果新しい平均が計算されることになる。デッドゾーン内のノードの平均タイミングが第1のノードのクロックより早い場合、第1のノードは、この平均と同期するためにそのタイミングを調整してそのタイミングと平均タイミングとの差を明らかにする。デッドゾーン内のノードの平均タイミングが第1のノードのクロックより遅い場合、第1のノードはこのタイミング情報を無視し、自身のタイミングを修正しない。あるいは、すべてのノードから受信されるタイミング情報の平均タイミングが、まず計算される。平均タイミングがデッドゾーン内である(第1のノードのタイミングから非常に近い)場合、第1のノードはこのタイミング情報を無視し、自身のタイミングを修正しない。いくつかの態様に従ってデッドゾーン(例えばノードからの距離)は、タイミング情報と共に受信される情報に基づいて(例えばより短い距離、より長い距離に)修正されることが可能である。ノードのタイミング(例えば調整済み、または無調整)は、次の選択された時間区間で隣接ノードに送信される。
【0040】
ノード間のタイミングを同期するための別のシナリオは、タイミング基準信号を提供したタイミングソースを考慮に入れる。このシナリオでは、ピアツーピアネットワーク内のノードは、インフラストラクチャ(例えば基地局)ネットワークを考慮に入れて、ピアノードの同期を容易にする。一態様に従ったタイミングソースに応じた同期の例示的な図を図4に示している。
【0041】
この図の例では、2つのノード402および404が通りの曲がり角に位置しており(ただしノードは様々な他の場所に位置していることもある)、一方のノード402がビルディング406の一方の側に、もう一方のノード404がビルディング406の隣接する側にある。この例のノード402、404は、これらがピアツーピア方式で互いと直接通信することができるように位置している。しかしながら各ノード402、404は、各ノード402、404の位置により、基地局408および410など異なるタイミングソースからタイミング基準を取得している(例えばビルディング406は、単一タイミングソースからの両方のノード402、404への通信を遮っている)。したがってノード402は基地局408からタイミングを受信し、ノード404は基地局410からタイミングを受信している。タイミングソースとして基地局を示しているが、GPS衛星など他の機器がタイミングソースとして利用されることも可能であると理解されたい。
【0042】
両方のソース408、410からのタイミングが同様である場合、ノード402、404はピアツーピア方法で通信することができ、ピア発見、ページングおよび他の機能を行うことができる。しかしながら、タイミングが一定量だけ異なるまたはオフセットされる(例えばあらかじめ決められたレベルまたは量とすることができるしきい値オフセットレベルを満たすまたは超える)場合、ノード402、404は、タイミング同期を行うべきである。
【0043】
この例を続けるために、次に、タイミング同期区間500の例示的シーケンスを示す図5を参照する。タイミングは、ブロックまたはビン502および504などブロックに分割されるが、タイミングは、図示して説明する2つより多いブロックに分割されることも可能である。基地局識別子およびタイミング情報を含む基地局408の情報は、時間ブロック504の間に送信され、基地局識別子およびタイミング情報を含む基地局410の情報は、時間ブロック502の間に送信される。ノード402は、基地局410から信号を直接受信することができず、ノード404は、基地局408から信号を直接受信することができない(上記の例の通り)。
【0044】
基地局408はノード402へタイミング情報を提供しており、基地局410はノード404へタイミング情報を提供している。したがってノード402は、ビン504で表されるタイミング区間の間にそのタイミング情報をハッシュして信号を送信し、ノード404は、ビン506で表されるタイミング区間の間にそのタイミング情報をハッシュして信号を送信することができる。各ノードのビンまたはタイミング区間は、あらかじめ選択されることが可能である。次にノード402および404によってこの情報が送信されるとき、ハッシュされた情報は異なるブロックまたはビンに置かれることが可能であり、これはタイミングソースの機能とすることができる。
【0045】
基地局408からタイミングを受信するノード506など第3のノードがある場合、ノード506はノード402と同じビン504の中でそのタイミング情報をハッシュすることができるが、ビン504の異なる部分を選択することができる。ノード402およびノード506は、同様の時間で送信しているので、これらのノードは互いによって送信された伝送を受信することはない。さらにノード402および506は、それぞれのタイミング基準を同じタイミングソース(例えば基地局408)から得るので、これらのノードはすでに同期されており、ゆえに互いからタイミング情報を受信する必要がない。
【0046】
ノード404は、異なるタイミングソース(例えば基地局410)からそのタイミングを受信し、したがってそのタイミング情報は、異なるビン(例えばブロック502)にハッシュされる。ノード402および506は、ビン504で表される時間区間の間に送信し、その他の時間区間の間にリッスンするので、ノード404からタイミング情報を含むことができる信号を受信することができる。同様にノード404は、非選択ビンまたはタイミング区間(例えばこの例ではビン502以外の区間)の間に、ノード402および/または506から、タイミング情報を含むことができる信号を受信することができる。ノードは、異なるクロックを有することを確認することができ、タイミングオフセット量、タイミングの関係(例えばより早いまたはより遅い)、デッドゾーンを含む様々な要因により、タイミングを調整または同期するべきかどうかを決定することができる。
【0047】
例えば、ノード402および506がより早いタイミングを有する場合、ノード404はそのタイミングを調整することができ、ノード404がより早い場合、ノード402および506はそのそれぞれのタイミングを調整することができる。しかしながら、その他のノードから受信されたタイミングがより遅い場合、タイミングは(例えば伝搬遅延エラーを緩和するために)調整または同期されるべきではない。
【0048】
いくつかの態様に従って、ノードがそのタイミングをタイミングソースから直接に受信したか、間接的に(例えばピアノードを介して)受信したか判定を行うことができる。自分のタイミングをタイミングソースから直接受信する機器は、ピアノードから(例えば間接的に)受信されたタイミング基準に基づいて自分のタイミングを同期させる機器より信頼できるタイミング基準を有するとみなすことができる。
【0049】
間接的に(例えば一段間接、二段間接など)受信されたタイミング基準は、そのタイミング基準がもともとどこから得られたのかわからない場合があるので信頼性が低いとみなすことができる。したがって機器は、タイミング情報のソースに関するデータを含むその信号に情報を含むことができる。いくつかの態様に従って、機器がそのタイミングを間接的に(例えばピアノードから)受信する場合、機器はそのタイミング情報がピア装置に送信されないように構成されることが可能である、および/またはタイミングソースが間接タイミングソースであった場合、受信機器は受信される情報を信頼するかどうか判定するように構成されることが可能である。タイミング基準の完全性を監視することで、ネットワーク全体に誤りを伝播することによる不良な機器(または不正な機器)の発生を緩和することができる。いくつかの実施形態では、K=1、2または5などKが小さい整数であるとすると、間接的なタイミングソースは最大Kホップまで伝播されるように制限されることが可能である。
【0050】
このようにノードは、その位置、波形、またはその他のデータをタイミング情報と共に送信することができる。タイミングソースの表示が含まれている(例えば基地局識別子)場合、これはビン、ブロック、または選択された時間区間の間に信号が送信されるかに影響を与えることができる。
【0051】
図6は、開示する態様に従ったタイミング区間の別の例を示している。ビンまたはブロック602、604で表す2つのタイミング区間を示しているが、タイミング基準信号は、いかなる数のタイミング区間に分割することもできる。ブロック604の第1の部分606(または別の部分)は、例えばピア発見の目的のために確保されることが可能である。ブロック604の後半は、さらなるビンまたはブロックに(4つの場合を図示している)分割されることが可能であり、この間に広帯域信号がタイミングの目的で送信されることが可能である。タイミングソースおよびそのタイミング情報のIDは、信号で送信されるようにこの4つのビンのうちの1つにハッシュされることが可能である。同じタイミングソースからタイミングを受信するすべてのノードは、それぞれの情報をビンの別の部分にハッシュすることができる(例えばノードは、実質的に同時にタイミング情報を送信することができる)。特定のノードが情報を送信するビンは、ノードの識別子、タイミングソース識別子、時間基準、またはその組合せの関数とすることができる。ピアまたはタイミングソース識別子は、衝突が繰り返されないようにハッシュされることが可能である。
【0052】
ビンまたはタイミング区間もしくはそのサブセットの1つまたは複数は、間接的なタイミング信号用に設計されることが可能である。このような方法では、ノードが間接的なタイミングソース(例えばピアノード)から受信されるタイミング情報に基づいてノードのタイミングを同期する場合、選択されるタイミング区間は、間接的なタイミングソースと関連する識別子の関数である。したがって、このタイミング情報を受信している他のノードは、このタイミング情報が間接的で、信頼できない可能性のあるソースに基づいていると判定することができ、それによってノードは、受信したタイミング情報を利用するかどうか選択的に決定することができるようになる。
【0053】
例示のためであって限定ではないが、ノードc1、c2、およびc3は同じソースからタイミングを受信する。この方法では、c1、c2、およびc3は同じビンにハッシュし、同じビンにハッシュしてビン全体を送信する(または占有する)ためこれらの間にタイミングオフセットは見られない(例えば受信と実質的に同時に受信することができない)。タイミングは同じソースからのものであり、しきい値量より大きくオフセットされるはずがないので、これは受容できる。
【0054】
図7〜9を参照すると、ローカルのピアツーピア領域における同期に関する方法が示されている。説明を簡単にするために、方法を一連の動作として示して説明しているが、方法は、動作の順序に限定されず、一部の動作は、1つまたは複数の態様に従って、本明細書に示して説明した順序とは異なる順序で発生する、および/または他の動作と同時に発生する場合があることを理解し、認識されたい。例えば、方法は代替的に、状態図においてなど、一連の相互に関係のある状態または事象として表すことができることを、当業者は理解し、認識するであろう。さらに、1つまたは複数の態様に従って方法を実施するために、例示したすべての動作が必要とされるわけではない。
【0055】
次に図7を見ると、無線通信端末を動作させる方法700が示されている。方法700は、2つ以上の端末の間のタイミング同期を容易にすることができ、702から始まり、最初のシンボルタイミングが決定される。最初のシンボルタイミングは、ネットワークブロードキャストソースから受信されるタイミング基準信号から決定されることが可能である。ネットワークブロードキャストソースの例には、地上波基地局送信機、地上波テレビもしくはラジオ送信機、または衛星送信機、またはその組合せが含まれる。他の無線通信端末からタイミング同期信号を受信するために使用される、一連のタイミング同期時間区間は、タイミング基準信号に基づいて決定されることが可能である。他の無線通信端末は、ピアツーピア通信システムで操作されるピア装置であることが可能である。
【0056】
704においてタイミング同期信号が、1つまたは複数の無線通信端末から受信される。第1のタイミング同期信号は、タイミング同期時間区間の中で受信されることが可能であり、タイミング基準信号は多数のタイミング同期時間区間に分割される。706において、受信された一連のタイミング同期信号の少なくとも1つに部分的に基づいて、タイミング調整が計算されることが可能である。この無線端末は、ユーザのデータ通信用の無線端末のいずれともアクティブ接続がない可能性がありながら、これらの無線端末とタイミング同期の動作を実行していることに注意されたい。
【0057】
計算されたタイミング調整で決定された量だけ最初のシンボルタイミングを調整することによって、708において調整済みシンボルタイミングを決定することができる。調整済みシンボルタイミングを有する第2のタイミング同期信号は、710において送信されることが可能である。第2のタイミング同期は、多数のタイミング同期時間区間から選択された、第2のタイミング同期時間区間の一部で送信されることが可能である。いくつかの態様に従って、第2のタイミング同期信号が送信される前に、第2の時間区間の一部が、ネットワークブロードキャストソースの識別子、第1の端末の識別子、乱数、もしくは疑似乱数、またはその組合せに応じて選択されることが可能である。第2の時間区間の残部は、他の無線通信端末によって送信されたタイミング同期信号が受信される部分とすることができる。
【0058】
いくつかの態様に従って、方法700はさらに、多数のタイミング同期時間区間から選択された別のタイミング同期時間区間の一部(またはそれ以上)で、最初のシンボルタイミングで別の信号を送信することを含むことができる。
【0059】
方法700は、708において決定された調整済みシンボルタイミングに等しくなるように、最初の(または以前の)シンボルタイミングを変更するまたは設定することによって、702に戻ることができる。方法700は、704において1つまたは複数の無線通信端末から次のタイミング同期信号を受信すること、706においてタイミング同期信号に部分的に基づいてタイミング調整を計算すること、708において計算されたタイミング調整に基づいて新しい調整済みシンボルタイミングを決定すること、710において新しい調整済みシンボルタイミングでタイミング同期信号を送信することによって繰り返すことができる。この動作は、任意の数の時間同期信号が受信され、任意の数の調整済みシンボルタイミングが計算されて送信されることが可能であるように、連続して可能であることを理解されたい。
【0060】
図8は、無線通信ネットワーク内の時間同期のための方法800を示している。802において、地上波基地局送信機、地上波テレビもしくはラジオ送信機、または衛星送信機、またはその組合せである可能性があるソースから、タイミング基準が受信される。804において受信されたタイミング基準に基づき一連のタイミング同期時間区間が決定され、806においてシンボルタイミングが決定される。
【0061】
シンボルタイミングを含む信号を送信するために、タイミング同期時間区間の1つまたは複数の小部分が808において選択される。1つまたは複数の時間信号の非選択小部分の間は、810において第2のタイミング基準を含む第2の信号が受信されることが可能である。812において、シンボルタイミングおよび第2のタイミング基準に基づき、タイミング調整が決定されることが可能である。814において、決定されたタイミング調整に基づき、シンボルタイミングが調整されることが可能である。次の(例えば第3の)信号は、少なくとも1つのタイミング同期区間に続くタイミング同期区間の小部分の間、調整済みシンボルタイミングで送信されている可能性がある。
【0062】
いくつかの態様に従って、方法800は、1つまたは複数の時間区間の非選択小部分の間に多数の信号を受信することを含むことができ、多数の信号は第2の信号を含むことができる。各時間区間はタイミング基準を含むことができ、タイミング基準は第2のタイミング基準を含むことができる。多数の信号のタイミング基準に応じて、合成タイミング基準値が決定されることが可能である。合成タイミング基準値は、多数の信号のタイミング基準の平均とすることが可能である。いくつかの態様に従って、タイミング基準値は、多数の信号のタイミング基準の加重平均とすることができる。加重平均を計算するために使用される各タイミング基準の重みは、対応する信号の受信された信号強度の関数とすることができる。いくつかの態様に従って、合成タイミング基準値は、多数の信号のタイミング基準の中で最も早いタイミング基準とすることができる。この方法は、タイミング調整を第1のタイミング基準および合成タイミング基準値に基づかせることを含むことができる。
【0063】
タイミング調整を決定する前に、合成タイミング基準がシンボルタイミングより早いかどうか判定することができる。方法800は、受容時間区間を計算すること、合成タイミング基準が受容時間区間外である場合、タイミング調整がゼロであると判定することをさらに含むことができる。受容時間区間は、シンボルタイミングより第1の量だけ早い時刻に始まり、シンボルタイミングより第2の量だけ遅い時刻に終了することが可能である。第1および第2の量は、最大で第2の信号のシンボル継続時間の約5分の1(1/5)とすることができる。いくつかの態様に従って、第2の量はゼロとすることができる。
【0064】
さらに方法800は、シンボルタイミングが合成タイミング基準より早い場合は、シンボルタイミングが第3の量だけ遅くなるように調整されるタイミングを決定し、合成タイミング基準がシンボルタイミングより早い場合は、シンボルタイミングが第4の量だけ早まるようにタイミング調整を決定することができる。第3および第4の量は、最大で第2の信号のシンボル継続時間の約5分の1(1/5)とすることができる。
【0065】
図9を参照すると、ピアツーピア無線通信ネットワーク内で通信を同期するために無線機器を操作する方法900が示されている。902においては無線機器で、地上波基地局送信機、地上波テレビもしくはラジオ送信機、または衛星送信機、またはその組合せである可能性があるソースから、タイミング基準が受信される。いくつかの態様に従ってソースは、別の無線機器である可能性がある。
【0066】
904においては、タイミング基準に基づきシンボルタイミングを決定することができる。タイミング基準を含む次の信号は、906において第2の無線機器から受信することができる。いくつかの態様に従って第2の無線機器は、タイミング情報のソースである無線機器とは異なる。第2の無線機器は、902において、受信されたタイミング基準を提供したソースとは異なるソースからそれぞれのタイミング基準を得ることができる。
【0067】
908において、シンボルタイミングと次のタイミング基準が異なるかどうかが判定される。タイミング基準が異なる場合は、910においてシンボルタイミングおよび次のタイミングに基づきタイミング調整が決定される。912において決定されたタイミング調整に基づきシンボルタイミングを調整することができ、914において次の信号を、調整されたシンボルタイミングで送信することができる。
【0068】
さらに方法900は、第1のソースに応じて無線機器のタイミングソース識別子を設定することを含むことができる。第1のソースが地上波基地局送信機、地上波TVもしくはラジオ送信機、または衛星送信機、またはその組合せの少なくとも1つである場合、タイミングソース識別子は非ヌル(non-null)値とすることができる。いくつかの態様に従うとソースは別の無線機器であり、タイミングソース識別子はヌル値に設定される。一連のタイミング同期時間区間は、第1の時間基準に基づいて決定することができる。第2の信号を受信する前に、1つまたは複数のタイミング同期時間区間の小部分を選択して、その中で第1の信号をシンボルタイミングで送信することができ、第2の信号は1つまたは複数の選択された時間区間の非選択小部分の間に受信することができる。
【0069】
選択される小部分は、第1の機器のタイミングソース識別子の関数とすることができ、第2の機器のタイミングソース識別子は、1つまたは複数の時間区間の中で第2の信号が受信される小部分に基づいて得られることが可能である。いくつかの態様に従って、第2の機器のタイミングソース識別子がヌル(null)である場合、タイミング調整はゼロとなるように決定することができる。
【0070】
方法は、シンボルタイミングと共に第2のタイミング基準を備えることを含み、シンボルタイミングが第2のタイミング基準より早いと判定される場合、タイミング調整はゼロであると決定することができる。第2のタイミング基準は、シンボルタイミングと比較することができ、タイミング調整は、第2のタイミング基準に応じて決定することができる。第2のタイミング基準がシンボルタイミングより早く、第2のデバイスが非ヌルであると判定される場合、第1の機器のタイミングソース識別子は、ヌルに設定することができる。
【0071】
第3の信号は、一連のタイミング同期時間区間の小部分で送信することができる。この小部分は、第1の機器のタイミングソース識別子の関数とすることができる。タイミング同期時間区間は、多数のスロットNに分割することができ、第1の信号は、第1の機器のタイミングソース識別子に応じて多数のスロットNの1つで送信することができる。いくつかの態様に従って、Nは少なくとも3である。第1の機器のタイミングソース識別子が非ヌルである場合、第1の信号は、Nスロットの第1の所定のサブセットの1つで送信することができ、第1の機器のタイミングソース識別子がヌルである場合、第1の信号は、Nスロットの第2の所定のサブセットの1つで送信することができる。第2のサブセットは、1つのスロットを含むことができる。
【0072】
本明細書に記載する1つまたは複数の態様に従って、どのタイミング信号をタイミング基準として使用すべきか、情報を送信するためにどの時間区間を選択すべきか、同期のタイミングに行われるべき調整などに関して推論を行うことができることを理解されるであろう。本明細書で使用する、「推論する」または「推論」という用語は、一般に、事象および/またはデータによって取り込まれる一連の観察から、システム、環境、および/またはユーザの状態を考えるまたは推論するプロセスを指す。推論は、特定のコンテキストまたは動作を識別するために用いられることが可能であり、あるいは推論により、例えば状態に関する確率分布を生成することができる。推論は、確率的とする、すなわちデータおよび事象の検討に基づいた興味のある状態に関する確率分布の計算とすることができる。また推論は、一連の事象および/またはデータから上位レベルの事象を構成するために使用される技法を指すこともできる。このような推論は、事象が時間的に近接した相関性があるかどうか、また事象およびデータが1つまたはいくつかの事象およびデータのソースから発生しているかどうかにかかわらず、一連の観察された事象および/または格納された事象データから新しい事象または動作の構成をもたらす。
【0073】
一例によれば、上記の1つまたは複数の態様は、受信した信号に基づいてタイミングを選択的に調整することに関係する推論を行うことを含むことができる。別の例によれば、タイミングソースが直接タイミングソースであるか、間接タイミングソースであるか、またタイミングソースは、直接であれ間接であれ、信頼できるものであるかを判定することに関連して推論を行うことができる。別の例に従って、多数の時間区間から信号を送信する時間区間を選択することに関連して推論を行うことができる。前述の例は説明的な性質のものであり、行うことができる推論の数、または本明細書に記載する様々な例と共にそのような推論を行う方法を制限することを目的としていないことは理解されるであろう。
【0074】
図10は、開示した態様の無線端末(例えば送信ノード、受信ノード、……)のいずれか1つとして使用することができる例示的無線端末1000を示している。無線端末1000は、復号器1012を含む受信機1002と、符号器1014を含む送信機1004と、プロセッサ1006と、様々な要素1002、1004、1006、1008がデータおよび情報を交換することができるバス1010によって結合されたメモリ1008とを含む。基地局および/または他の機器から信号を受信するために使用されるアンテナ1003が、受信機1002に結合されている。信号を(例えば基地局および/または他の無線端末に)送信するために使用されるアンテナ1005が、送信機1004に結合されている。
【0075】
プロセッサ1006(例えばCPU)は、無線端末1000の動作を制御し、メモリ1008の中でルーチン1020を実行し、データ/情報1022を使用することによって方法を実行する。データ/情報1022は、ユーザデータ1034、ユーザ情報1036、およびトーンサブセット割当てシーケンス情報1050を含む。ユーザデータ1034は、送信機1004によって基地局および/または他の機器に送信される前に符号化するために符号器1014にルーティングされる、ピアノードを対象とするデータと、受信機1002の中の復号器1012によって処理された、基地局および/または他の機器から受信されたデータとを含むことができる。ユーザ情報1036は、アップリンクチャネル情報1038、ダウンリンクチャネル情報1040、端末ID情報1042、基地局ID情報1044、セクタID情報1046、およびモード情報1048を含む。アップリンクチャネル情報1038は、無線端末1000の基地局によって基地局への送信時に使用するように割り当てられたアップリンクチャネルのセグメントを識別する情報を含む。アップリンクチャネルは、アップリンクトラヒックチャネル、専用アップリンク制御チャネル(例えばリクエストチャネル、電力制御チャネル、およびタイミング制御チャネル)を含むことができる。各アップリンクチャネルは、1つまたは複数の論理トーンを含み、各論理トーンはアップリンクトーンホッピングシーケンスの次にくる。アップリンクホッピングシーケンスは、セルのセクタ型ごとに、および隣接セル間で異なる。ダウンリンクチャネル情報1040は、基地局がデータ/情報を無線端末1000に送信しているときに使用するために基地局によって割り当てられたダウンリンクチャネルのセグメントを識別する情報を含む。ダウンリンクチャネルは、ダウンリンクトラヒックチャネル、割当てチャネルを含むことができ、各ダウンリンクチャネルは1つまたは複数の論理トーンを含み、各論理トーンはダウンリンクホッピングシーケンスの次に来て、セルの各セクタ間で同期される。
【0076】
ユーザ情報1036はまた、基地局が割り当てた識別である端末ID情報1042と、無線端末1000が通信を確立した特定の基地局を識別する基地局ID情報1044と、無線端末1000が現在位置しているセルの特定のセクタを識別するセクタID情報1046とを含む。基地局ID1044はセルのスロープ値を提供し、セクタID情報1046はセクタのインデックスタイプを提供し、セルのスロープ値およびセクタのインデックスタイプは、トーンホッピングシーケンスを得るために使用することができる。やはりユーザ情報1036に含まれるモード情報1048は、無線端末1000がスリープモード、保留モード、またはオンモードであるかを識別する。
【0077】
トーンサブセット割当てシーケンス情報1050は、ダウンリンクストリップシンボル時間情報1052およびダウンリンクトーン情報1054を含んでいる。ダウンリンクストリップシンボル時間情報1052は、スーパースロット、ビーコンスロット、およびウルトラスロット構造情報などのフレーム同期構造情報、所与のシンボル期間がストリップシンボル期間であるかどうかを特定する情報、およびそうであればストリップシンボル期間のインデックス、ならびにストリップシンボルが基地局によって使用されるトーンサブセット割当てシーケンスを切り捨てるリセットポイントであるかどうかを特定する情報を含んでいる。ダウンリンクトーン情報1054は、基地局に割り当てられた搬送周波数、トーンの数および周波数、ストリップシンボル期間に割り当てられるトーンサブセットのセット、ならびにスロープ、スロープインデックスおよびセクタタイプなど他のセルおよびセクタの特定の値を含む情報を含んでいる。
【0078】
ルーチン1020は、通信ルーチン1024および無線端末制御ルーチン1026を含んでいる。通信ルーチン1024は、無線端末1000によって使用される様々な通信プロトコルを制御する。例えば、通信ルーチン1024は、ワイドエリアネットワーク(例えば基地局を利用)および/またはローカルエリアピアツーピアネットワーク(例えば個々の無線端末を直接利用)を介する通信を可能にすることができる。さらなる例として、通信ルーチン1024は、ブロードキャスト信号を(例えば基地局から)受信することを可能にすることができる。無線端末制御ルーチン1026は、基本的な無線端末1000の機能を制御する。
【0079】
図11を参照すると、ピアツーピア無線通信環境において同期を容易にする例示のシステム1100が示される。例えば、システム1100は、モバイル機器内に少なくとも部分的に存在しうる。システム1100が、プロセッサ、ソフトウェアあるいはそれの組み合わせ(例えばファームウェア)によりインプリメントされた機能を表す機能的ブロックであリ得る機能的ブロックを含んでいるように表されていることは十分に理解されるはずである。
【0080】
システム1100は、個別にあるいは結合されて動作することができる電気コンポーネントの論理グルーピング1102を含んでいる。例えば、論理グルーピング1102は、受信タイミング基準信号によるオリジナル信号タイミングの確立のための電気コンポーネント1104を含むことができる。タイミング基準信号を受信することができる。また、電気コンポーネント1106がピアから第1のタイミング同期信号を受信するために含まれている。ピアは、ピアツーピア通信環境内の無線機器であり得る。論理グルーピング1102は、またタイミング調整の計算のための電気コンポーネント1108を含むことができる。タイミング調整は、少なくとも第1のタイミング同期信号に基づいて計算することができる。論理グルーピング1102は、さらに、決定した調整量だけオリジナル信号タイミングを調節するための電気コンポーネント1110、および第2のタイミング同期信号において調整された信号タイミングを送信するための電気コンポーネント1112を含むことができる。
【0081】
論理グルーピング1102は、さらに、タイミング基準信号を受信するための電気コンポーネント、および受信されたタイミング基準信号に基づいて、オリジナル信号タイミングおよびタイミング同期時間区間のシーケンスを決定するための電気コンポーネントを含むことができる。タイミング同期時間区間のシーケンスはタイミング同期信号の受信に使用される。
【0082】
それに加えてあるいはその代わりに、論理グルーピング1102は、オリジナルのシンボルタイミングを、調整されたシンボルタイミングに変更するための電気コンポーネント、および次のタイミング同期信号を受信するための電気コンポーネントを含むことができる。論理グルーピングは、少なくとも次のタイミング同期信号に基づいてタイミング調整を計算するための電気コンポーネント、および、決定した調整量により変更されたオリジナル信号タイミングを調節するための電気コンポーネントをさらに含むことができる。さらに、次のタイミング同期信号において調整された信号タイミングを送信するための電気コンポーネント含むことができる。
【0083】
それに加えて、システム1100は、電気コンポーネント1104、1106、1108、1110および1112、または他の構成要素に関連した機能を実行するための命令を保存するメモリ1114を含むことができる。メモリ1114の外側にあるとして示されているが、電気コンポーネント1104、1106、1108、1110および1112の1つ以上が、メモリ1114内に存在することがあることは理解されるべきである。
【0084】
本明細書に記載した例は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、またはそのいかなる組合せにおいて実装されることも可能であると理解されたい。ハードウェアの実装については、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、ディジタル信号プロセッサ(DSP)、ディジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、本明細書に記載した機能を実行するように設計されたその他の電子ユニット、またはその組合せの中に、処理ユニットを実装することができる。
【0085】
諸態様が、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェアまたはマイクロコードに実装されるとき、これらは記憶装置など機械可読媒体に格納されることが可能である。コードセグメントは、手順、関数、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェアパッケージ、クラス、または命令の任意の組合せ、データ構造、またはプログラムステートメントを表すことができる。コードセグメントは、情報、データ、引数、パラメータ、またはメモリコンテンツを渡すおよび/または受信することによって、別のコードセグメントまたはハードウェア回路と結合することができる。情報、引数、パラメータ、データなどは、メモリシェアリング、メッセージパッシング、トークンパッシング、ネットワーク送信などを含む任意の好適な手段を使用して渡される、転送される、または送信されることが可能である。
【0086】
ソフトウェア実装については、本明細書に記載する技術は、本明細書に記載する機能を実行するモジュール(例えばプロシージャ、関数など)で実装されることが可能である。ソフトウェアのコードは、メモリユニットに格納され、プロセッサによって実行されることが可能である。メモリユニットは、プロセッサ内にまたはプロセッサの外部に実装される場合があり、外部に実装される場合は、メモリユニットは当技術分野で知られている様々な手段によってプロセッサに通信可能に結合されることが可能である。
【0087】
上述したものは、1つまたは複数の態様の例を含んでいる。当然ながら、上述の諸態様を説明する目的で、構成要素または方法の考えられるあらゆる組合せを説明することは不可能であるが、様々な態様のさらなる組合せおよび変形が多く考えられることを当業者は理解するであろう。したがって、記載した諸態様は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内にあるこのような代替形態、変更形態、および変形形態をすべて包含するものとする。さらに、「含む」という用語が詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで使用される限りでは、このような用語は、「備える」という用語が請求項の移行語として使用されるときに解釈される「備える」と同様の意味で包含的であるとする。さらに、特許請求の範囲の詳細な説明のいずれかで使用される「または」という用語は、「非排他的なまたは」であるとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信端末を動作させる方法であって、
オリジナルのシンボルタイミングを決定することと、
少なくとも1つの第2の無線通信端末から第1のタイミング同期信号を受信することと、
前記第1のタイミング同期信号に一部分基づいてタイミング調整を計算することと、
前記計算されたタイミング調整により決定された量だけ前記オリジナルのシンボルタイミングを調節することにより、調整されたシンボルタイミングを決定することと、
前記調整されたシンボルタイミングを有する第2のタイミング同期信号を送信すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記オリジナルのシンボルタイミングを決定する前に、ネットワーク同報通信ソースからタイミング基準信号を受信することと、
前記タイミング基準信号に基づいて前記オリジナルのシンボルタイミングを決定することと、
前記タイミング基準信号に基づいて、他の無線通信端末からタイミング同期信号を受信するために使用されるタイミング同期時間区間のシーケンスを決定すること、
ここにおいて、前記第1のタイミング同期信号は前記タイミング同期時間区間の第1の1つで受信される、
をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項3】
前記ネットワーク同報通信ソースは、地上波基地局送信機、地上波TVまたはラジオ送信機、あるいは衛星送信機の少なくとも1つ、あるいはそれの組み合わせである、請求項2の方法。
【請求項4】
前記第1の無線通信端末および第2の無線通信端末は、ピアツーピア通信システムで動作されるピア装置である、請求項1の方法。
【請求項5】
前記調整されたシンボルタイミングで、第3の無線通信端末にトラヒック信号を送信すること、
前記第3の無線通信端末は前記第2の無線通信端末とは異なっており、
そして、
前記トラヒック信号は、前記第3の無線通信端末により受信されるように意図されるデータトラヒックを含んでいる、
をさらに含む、請求項4の方法。
【請求項6】
前記第2のタイミング同期信号は、前記タイミング同期時間区間のシーケンスの第2の1つの少なくとも1つの部分において送信される、請求項2の方法。
【請求項7】
無線通信端末により送信されたタイミング同期信号を受信するために前記第2の時間区間の残りの部分の少なくとも一部でリッスンすること、をさらに含む請求項6の方法。
【請求項8】
前記第2の時間区間の部分において第2のタイミング同期信号を送信する前に、前記ネットワーク同報通信ソースの識別子、前記第1の端末の識別子、乱数、または擬似乱数、あるいはそれの組み合わせの少なくとも1つの関数として第2の時間区間の部分を選択することをさらに含む、請求項6の方法。
【請求項9】
タイミング同期時間区間のシーケンスの第3の1つの少なくとも1つの部分において前記オリジナルのシンボルタイミングを有する第3の信号の送信すること、ただし、前記タイミング同期時間区間のシーケンスの第3の1つはタイミング同期時間区間のシーケンスの第2の1つに先行する、をさらに含む、請求項6の方法。
【請求項10】
前記調整されたシンボルタイミングと等しくなるように前記オリジナルのシンボルタイミングを設定することと、
少なくとも1つの無線通信端末からタイミング同期信号を受信するステップを繰り返すことと、
前記タイミング同期信号に一部分基づいてタイミング調整を計算することと、
前記計算されたタイミング調整に基づいて、新しい調整されたシンボルタイミングを決定することと、
前記新しい調整されたシンボルタイミングを有するタイミング同期信号を送信すること、
をさらに含む、請求項1の方法。
【請求項11】
第1のシンボルタイミングを確認することと、
第1のタイミング同期信号を受信することと、
受信された第1のタイミング同期信号に一部分基づいてタイミング調整を確立することと、
前記確立したタイミング調整の関数として前記第1のシンボルタイミングを調節することと、
第2のタイミング同期信号を有する前記調整されたシンボルタイミングを伝えること、
に関する命令を保存するメモリと、
前記メモリに結合され、前記メモリにおいて保存された命令を実行するように構成されたプロセッサ、
を含む無線通信装置。
【請求項12】
前記メモリは、
前記第1のシンボルタイミングを前記調整されたシンボルタイミングに変更することと、
第2のタイミング同期信号を受信するステップを繰り返すことと、
前記第2の受信されたタイミング同期信号に一部分基づいて、タイミング調整を確立することと、
前記確立されたタイミング調整の関数として前記シンボルタイミングを調節することと、
後続のタイミング同期信号で前記調整されたシンボルタイミングを伝えること、
に関する命令をさらに保存する、請求項11の無線通信装置。
【請求項13】
前記メモリは、
他の装置により受信されるように意図されたデータトラヒックを含んでいる、前記調整されたシンボルタイミングを有するトラヒック信号を伝えること、
に関する命令をさらに保存する、請求項11の無線通信装置。
【請求項14】
前記メモリは、
タイミング基準信号を受信することと、
前記受信されたタイミング基準信号に基づいて、前記第1のシンボルタイミングおよびタイミング同期時間区間のシーケンスを決定すること、
に関する命令をさらに保存する、請求項11の無線通信装置。
【請求項15】
前記メモリは、
前記タイミング同期時間区間のシーケンスの第1の1つの少なくとも1つの部分において、前記第2のタイミング同期信号を送信することと、
信号について前記タイミング同期のシーケンスの第1の1つの残りの部分の少なくとも1つの部分においてリッスンすること、
に関係する命令をさらに保存する、請求項14の無線通信装置。
【請求項16】
前記メモリは、
ネットワーク同報通信ソースの識別子、第1の端末の識別子、乱数、または擬似乱数、あるいはそれの組み合わせの少なくとも1つの関数として、前記第2の時間区間の一部を選択することと、
前記タイミング同期時間区間のシーケンスの第1の1つの少なくとも1つの部分において前記第2のタイミング同期信号を送信すること、
に関係する命令をさらに保存する、請求項14の無線通信装置。
【請求項17】
受信されたタイミング基準信号からオリジナル信号タイミングを確立するための手段と、
ピアからの第1のタイミング同期信号を受信するための手段と、
少なくとも前記第1のタイミング同期信号に基づいてタイミング調整を計算するための手段と、
決定された調整量により前記オリジナル信号タイミングを調節するための手段と、
第2のタイミング同期信号において前記調整された信号タイミングを送信するための手段、
を備えるピアツーピア通信ネットワークにおける同期を容易にする無線通信装置。
【請求項18】
タイミング基準信号を受信するための手段と、
前記受信されたタイミング基準信号に基づいて、前記オリジナル信号タイミングおよびタイミング同期時間区間のシーケンスを決定するための手段、
前記タイミング同期時間区間のシーケンスは、タイミング同期信号の受信に使用される、
をさらに備える、請求項17の無線通信装置。
【請求項19】
オリジナルのシンボルタイミングを、調整されたシンボルタイミングに変更するための手段と、
次のタイミング同期信号を受信するための手段と、
少なくとも前記次のタイミング同期信号に基づいてタイミング調整を計算するための手段と、
決定された調整量により前記変更されたオリジナル信号タイミングを調節するための手段と、
次のタイミング同期信号において前記調整された信号タイミングを送信するための手段、
をさらに備える、請求項17の無線通信装置。
【請求項20】
第1の機器において第1のシンボルタイミングを確立することと、
第2の機器から第1のタイミング同期シンボルを受信することと、
前記第1のタイミング同期シンボルに一部分基づいて、タイミング調整を計算することと、
前記計算されたタイミング調整により決定された量だけ前記第1のシンボルタイミングを調節することにより、調整されたシンボルタイミングを決定することと、
前記調整されたシンボルタイミングを含んでいる第2のタイミング同期シンボルを伝えること、
のための機械実行可能命令を記憶した機械可読媒体。
【請求項21】
前記機械実行可能命令は、
第1の機器において第1のシンボルタイミングを確立する前に、ネットワーク同報通信ソースからタイミング基準信号を受信することと、
ここにおいて、前記ネットワーク同報通信ソースは、地上波基地局送信機、地上波テレビまたはラジオ送信機、あるいは衛星送信機の少なくとも1つ、あるいはそれの組み合わせである、
前記タイミング基準信号に基づいて前記第1のシンボルタイミングを決定することと、
前記タイミング基準信号に基づいて、他の機器からタイミング同期信号を受信するために使用されるタイミング同期信号のシリーズを決定することと、
ここにおいて、前記第1のタイミング同期信号はタイミング同期時間区間の第1の1つにおいて受信される、
をさらに含む、請求項20の機械可読媒体。
【請求項22】
ネットワーク同報通信ソースから受信されたタイミング基準信号に一部分基づいて、オリジナルのシンボルタイミングを決定する、
少なくとも1つの第2の無線通信端末から第1のタイミング同期信号を受信する、
前記第1のタイミング同期信号に一部分基づいてタイミング調整を計算する、
前記計算されたタイミング調整により決定された量だけ前記オリジナルのシンボルタイミングを調節することにより、調整されたシンボルタイミングを決定する、
および、
前記調整されたシンボルタイミングを有する第2のタイミング同期信号を送信する、
ように構成されたプロセッサ、
を備えた無線通信システムにおける装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−533425(P2010−533425A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516133(P2010−516133)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/068897
【国際公開番号】WO2009/009347
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】