説明

ピストンシリンダアッセンブリのためのセンサ保持装置

【課題】摩擦力を最小にして2つの位置測定装置の回転指向性が得られるようなセンサ保持装置を提供する。
【解決手段】本発明は、シリンダ(3)と該シリンダに対し可動なピストン棒(5)とを備えたピストンシリンダアッセンブリ(1)のためのセンサ保持装置に関わる。センサ保持装置は、ピストン棒(5)と同期して運動を行ない且つ第1の位置測定装置(11)を担持している保持要素(7)を有している。第2の位置測定装置(13)は保持部(15)を介してシリンダ(3)に対し軸線方向において位置固定して保持され、第1の位置測定装置(11)と第2の位置測定装置(13)との間に回転指向性の取り付け位置がある。この種のセンサ保持装置において、本発明によれば、シリンダ側の保持部(15)と保持要素(7)とが互いに相対回転可能であり、保持部(15)と保持要素(7)との間に作用する磁力が両位置測定装置(11,13)を互いに回転させて方向調整させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダと該シリンダに対し可動なピストン棒とを備えたピストンシリンダアッセンブリのためのセンサ保持装置であって、ピストン棒と同期して運動を行ない且つ第1の位置測定装置を担持している保持要素を有し、第2の位置測定装置が保持部を介してシリンダに対し軸線方向において位置固定して保持され、第1の位置測定装置と第2の位置測定装置との間に回転指向性の(verdrehorientiert)取り付け位置がある前記センサ保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1からは、距離測定システムを備えたピストンシリンダアッセンブリが知られている。このピストンシリンダアッセンブリでは、シリンダ側の位置測定装置と、ピストン棒に対し軸線が平行になるように外側に延在している位置測定装置とが使用される。両位置測定装置は協働して距離信号を形成する。シリンダ側の位置測定装置はキャップ状の保持部に固定され、キャップ状の保持部は前記軸線平行な位置測定装置のための案内面を保護管内部に有している。この案内面を介してシリンダに対する保護管の回転指向の取り付け位置が得られ、したがって両位置測定装置の回転指向の取り付け位置が得られる。この解決手段はそれ自体優れたものであるが、しかしながら、保護管が案内面を介して保持部と接触し、塵埃、湿気が境界条件をさらに圧下させるという欠点がある。
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102004038691A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、摩擦力を最小にして2つの位置測定装置の回転指向性が得られるようなセンサ保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によれば、シリンダ側の保持部と保持要素とが互いに相対回転可能であり、保持部と保持要素との間に作用する磁力が両位置測定装置を互いに回転させて方向調整させることによって解決される。
【0006】
本発明の大きな利点は、両位置測定装置の間にまたは両位置測定装置を担持している部材の間に直接接触がなくてもよいことにある。位置測定システム全体は自動的に方向調整(指向)される。この原理により部材の構成が簡潔になり、前記技術水準に比べてピストンシリンダアッセンブリの摩擦がより小さくなる。
【0007】
この場合、シリンダ側の保持部は、シリンダに回転可能に支持されているリングとして構成されている。リング形状は、保持部を取り付ける際の回転方向調整に関する完全な自由度を可能にする。シリンダ側の位置測定装置は、回転誤差が非常に大きい場合でも所定の回転方向調整位置を占めることができる。
【0008】
有利な従属項によれば、シリンダ側の保持部はシリンダの側面で支持されている。シリンダの端面はたとえばそれ自体公知のバンプストップのために利用できる。
【0009】
有利には、リングに、第1の位置測定装置の保持要素の磁石と協働する磁石が固定されている。簡単な永久磁石を使用することによりケーブルコネクタの配設が不要になり、部材の操作が容易になる。
【0010】
位置測定システム全体の障害を避けるため、両磁石は、シリンダ側の保持部の、両位置測定装置に対向している領域に指向している。
【0011】
保持部の回転機能を最適にするため、保持部はシリンダ側に固定された支持リングを有し、該支持リングに、第2の位置測定装置を担持する回転リングが配置されている。シリンダ表面に何らかの狂いがあっても、回転リングの支持クオリティに影響しない。支持リングはたとえば低摩擦のプラスチックから成っていることができる。
【0012】
基本的には、支持リングを直接シリンダと結合させてもよい。しかし、製造技術的には、支持リングがスナップリングによりシリンダに対し軸線方向において保持されるのが好ましい。
【0013】
本発明の他の有利な構成では、第1の位置測定装置のための保持要素はピストン棒のための保護管によって形成され、保持要素はピストン棒のストローク方向に指向している磁石としての金属条片を備えている。金属条片により、両位置測定装置はピストン棒の全ストロークにわたって回転指向性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態を添付の図面を用いて詳細に説明する。
図1および図2はピストンシリンダアッセンブリ1の一部分を示している。ピストンシリンダアッセンブリ1はシリンダ3を有し、シリンダ3内ではピストン棒5が軸線方向に可動に案内されている。ピストン棒5は、該ピストン棒と同期運動を行なう保護管7によって囲まれている。
【0015】
ピストンシリンダアッセンブリ1は位置測定システム9を備えている。位置測定システム9は互いに相対的に軸線方向に可動な2つの位置測定装置11,13を有している。第1の位置測定装置11は保持要素としての保護管7に固定されている。シリンダ3には、厳密にはシリンダ3の側面には、第2の位置測定装置13のための保持部15が固定されている。保持部15はリングとして実施され、シリンダ3に回転可能に支持されているとともに、シリンダ側に固定された支持リング17を有している。支持リング17上には、第2の位置測定装置13を担持する回転リング19が配置されている。支持リング17もスナップリング21によってシリンダ3に対し軸線方向において保持される。支持リング17は、有利には、摩擦を最適にさせるプラスチック(たとえばPOM(ポリオキシメチレン))から成っている。このように回転リング19を間接的に支持することにより、シリンダ3の寸法ずれ、形状誤差が補償される。
【0016】
回転リング19には磁石23が固定されている。磁石23は第1の位置測定装置11の磁石25または保護管7と協働する。磁石23は、両位置測定装置11,13に対し最大間隔を達成するため、シリンダ側保持部の、両位置測定装置に対向している領域に指向しており、或いは、回転リング19のほうへ指向している。図1からわかるように、保護管7に固定されている磁石25は、ピストン棒5のストローク方向に指向している、磁気的性質を持った金属条片によって形成される。
【0017】
組み立て時には、まずピストンシリンダアッセンブリ1にスナップリング21を備えさせる。次に、支持リング17をスナップリング21上へ固定させる。支持リング17は、すでに、第2の位置測定装置13と磁石23とを備えた回転リング19を担持している。保護管7とシリンダとの間に、図示した実施形態の場合のようにわずかに半径方向の間隔がある場合にだけ、回転リング19の粗い回転方向調整が必要である。
【0018】
場合によっては、保護管7に、細割板状の第1の位置測定装置11を受容する条溝状の受容部27を備えさせる。磁気的な金属条片25は、保護管7を取り付ける前にその所定の位置に取り付けられている必要がある。図2からわかるように、磁石25に対しても受容溝29が保護管7に設けられている。保護管7を第1の位置測定装置11とともにシリンダ3上に挿通させると、両磁石23,25は異なる極性で作用し、その引き寄せ磁力により、第2の位置測定装置13を備えた保持部15は第1の位置測定装置11を備えた保護管7に対し回転して方向調整される。この場合、シリンダ側保持部15の回転可能性は、第1の位置測定装置11をピストン棒側で保持するために利用され、すなわち保護管7のために利用される。図2からわかるように、保持部15と保護管7との間に接触はない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ピストンシリンダアッセンブリに設けた位置測定システムの縦断面図である。
【図2】図1のピストンシリンダアッセンブリの横断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 ピストンシリンダアッセンブリ
3 シリンダ
5 ピストン棒
7 保護管
11 第1の位置測定装置
13 第2の位置測定装置
15 第2の位置測定装置のための保持部
17 支持リング
23,25 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ(3)と該シリンダに対し可動なピストン棒(5)とを備えたピストンシリンダアッセンブリ(1)のためのセンサ保持装置であって、ピストン棒(5)と同期して運動を行ない且つ第1の位置測定装置(11)を担持している保持要素(7)を有し、第2の位置測定装置(13)が保持部(15)を介してシリンダ(3)に対し軸線方向において位置固定して保持され、第1の位置測定装置(11)と第2の位置測定装置(13)との間に回転指向性の取り付け位置がある前記センサ保持装置において、
シリンダ側の保持部(15)と保持要素(7)とが互いに相対回転可能であり、保持部(15)と保持要素(7)との間に作用する磁力が両位置測定装置(11,13)を互いに回転させて方向調整させることを特徴とするセンサ保持装置。
【請求項2】
シリンダ側の保持部(15)が、シリンダ(3)に回転可能に支持されているリング(19)として構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のセンサ保持装置。
【請求項3】
シリンダ側の保持部(15)がシリンダ(3)の側面で支持されていることを特徴とする、請求項2に記載のセンサ保持装置。
【請求項4】
リング(19)に、第1の位置測定装置(11)の保持要素(7)の磁石(25)と協働する磁石(23)が固定されていることを特徴とする、請求項2に記載のセンサ保持装置。
【請求項5】
両磁石(23,25)が、シリンダ側の保持部(15)の、両位置測定装置(11,13)に対向している領域に指向していることを特徴とする、請求項4に記載のセンサ保持装置。
【請求項6】
前記保持部(15)がシリンダ側に固定された支持リング(17)を有し、該支持リング(17)に、第2の位置測定装置(13)を担持する回転リング(19)が配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のセンサ保持装置。
【請求項7】
支持リング(17)がスナップリング(21)によりシリンダ(3)に対し軸線方向において保持されることを特徴とする、請求項6に記載のセンサ保持装置。
【請求項8】
第1の位置測定装置(11)のための保持要素(7)がピストン棒(5)のための保護管によって形成され、保持要素(7)がピストン棒(5)のストローク方向に指向している磁石(25)としての金属条片を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のセンサ保持装置。

【図1】
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【図2】
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