説明

ピッキングシステム

【課題】作業効率の向上を図ること。
【解決手段】複数のカメラ3a,3bが、コンベアの搬送路上の異なる領域をそれぞれ撮像し、制御装置5が、カメラ3a,3bによって撮像された画像に基づいて搬送路上のワークを検出するとともに、検出したワークの保持動作をロボット2a,2bに対して指示し、ロボット2a,2bが、制御装置からの指示に従って保持動作および移動動作を行う。特に、制御装置5は、ワークの保持動作を、カメラ3a,3bによって撮像される領域ごとに対応付けられたロボット2a,2bに対して指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベルトコンベア等の搬送装置によって搬送されるワークをロボットによって保持して他の場所へ移動させるピッキングシステムが知られている。
【0003】
かかるピッキングシステムでは、作業効率の向上を図るために、搬送速度の高速化が進められている。このため、かかる搬送速度の高速化に対応するために、複数のロボットを用いてワークの保持を行うピッキングシステムも開発されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−340321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように複数のロボットを用いることで搬送速度の高速化に対応することができるものの、作業効率の更なる向上を図ることが望ましい。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、作業効率の向上を図ることができるピッキングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示するピッキングシステムは、ワークを搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって搬送されるワークを保持する保持動作および保持したワークを所定の場所へ移動させる移動動作を行う複数のロボットと、前記複数のロボットよりも前記搬送装置の上流側へ配置され、前記搬送装置の搬送路上の異なる領域をそれぞれ撮像する複数の撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記搬送路上のワークを検出するとともに、検出したワークの保持動作を前記ロボットに対して指示する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記ワークの保持動作を前記撮像装置によって撮像される前記領域毎に対応付けられたロボットに対して指示する。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示するピッキングシステムの一つの態様によれば、作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本実施例に係るピッキングシステムの模式斜視図である。
【図2】図2は、本実施例に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3−1】図3−1は、検出処理の一例を示す図である。
【図3−2】図3−2は、検出処理の一例を示す図である。
【図4−1】図4−1は、ロボットの動作例を示す図である。
【図4−2】図4−2は、ロボットの動作例を示す図である。
【図5−1】図5−1は、作業履歴情報の一例を示す図である。
【図5−2】図5−2は、ペア情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、ピッキングシステムの他の例を示す図である。
【図7−1】図7−1は、カメラとロボットとの他の対応付け方法の説明図である。
【図7−2】図7−2は、カメラとロボットとの他の対応付け方法を説明図である。
【図7−3】図7−3は、カメラとロボットとの他の対応付け方法を説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本願の開示するピッキングシステムのいくつかの実施例を詳細に説明する。ただし、これらの実施例における例示で本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0011】
まず、本実施例に係るピッキングシステムの外観について図1を用いて説明する。図1は、本実施例に係るピッキングシステムの模式斜視図である。なお、以下では、2台のロボットを備えるピッキングシステムの例について説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施例に係るピッキングシステムは、コンベア1と、ロボット2a,2bと、カメラ3a,3bとを備える。コンベア1は、搬送路11上に載置されたワークwを上流から下流へ向けて搬送する搬送装置である。なお、ここでは、一例として、コンベア1がベルトコンベアであるものとするが、ワークwを所定方向へ搬送することができるものであれば他の搬送装置であってもよい。
【0013】
ロボット2a,2bは、天井や壁面・床面等に固定された垂直多関節ロボットであり、コンベア1によって搬送されるワークwを保持する保持動作および保持したワークwを所定の場所へ移動させる移動動作を行う。
【0014】
たとえば、ロボット2a,2bは、真空ポンプ等の吸引装置を用いてワークwを吸着させる吸着部をエンドエフェクタ(保持部)として備えており、かかる吸着部を用いてワークwを保持する。そして、ロボット2aは、保持したワークwをコンベア4aへ移動させ、ロボット2bはコンベア4bへ移動させる。
【0015】
なお、ここでは、ロボット2a,2bがエンドエフェクタとして吸着部を備える場合の例について説明するが、ワークwを保持することができれば他のエンドエフェクタであってもよい。たとえば、ロボット2a,2bは、ワークwを把持するハンド部をエンドエフェクタとして備えていてもよい。
【0016】
本実施例では、ロボット2a,2bとして垂直多関節ロボットを適用した例について説明するが、ロボットの構成はこれに限ったものではなく、ロボット2a,2bは、水平多関節ロボット、パラレルリンクロボット、直交ロボット等、ワークwを保持して移送できる構成であればよい。
【0017】
また、ここでは、ロボット2a,2bが搬送路11を挟んで配置される場合の例について説明するが、これに限ったものではなく、ロボット2a,2bは、搬送路11に沿って並んで配置されてもよいし、搬送路11の上方に配設されてもよい。
【0018】
カメラ3a,3bは、ロボット2a,2bよりもコンベア1の上流側へ配置され、コンベア1の搬送路11上の異なる領域をそれぞれ撮像する撮像装置である。カメラ3a,3bによって撮像された画像は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを介して図示しない制御装置へそれぞれ出力される。なお、コンベア1が動いているため、各カメラ3a,3bは、撮像タイミングごとに、コンベア1上の異なる領域を撮像することとなる。
【0019】
ピッキングシステムは、上記のように構成されており、カメラ3a,3bが、搬送路11上のそれぞれ異なる領域を撮像し、図示しない制御装置が、カメラ3a,3bによって撮像された画像に基づいて搬送路11上のワークwを検出するとともに、検出したワークwの保持動作をロボット2a,2bに対して指示する。そして、ロボット2a,2bが、制御装置からの指示に従って保持動作および移動動作を行う。
【0020】
特に、本実施例では、ロボット2a,2bごとに、ペアとなるカメラ3a,3bが対応付けられており、制御装置は、各カメラ3a,3bによって撮像された画像に基づいて検出したワークwの保持動作を、かかるワークwを撮像したカメラ3a,3bに対応するロボット2a,2bに対して指示するように構成されている。以下では、かかる制御装置の構成および動作について具体的に説明する。
【0021】
図2は、本実施例に係る制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図2では、制御装置の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0022】
図2に示すように、制御装置5は、制御部51と、記憶部52とを備える。また、制御部51は、ワーク検出部511と、動作指示部512と、ペア変更部513とを備え、記憶部52は、ペア情報521と、作業履歴情報522とを記憶する。
【0023】
制御部51は、制御装置5全体を制御する制御部である。ワーク検出部511は、カメラ3a,3bからそれぞれ入力される画像に基づいて搬送路11上のワークwを検出するとともに、検出結果を動作指示部512へ出力する処理部である。
【0024】
ここで、ワーク検出部511から動作指示部512へ出力されるワークwの検出結果には、各ワークwの位置や姿勢等の情報とともに、ワークwを撮像したカメラ3a,3bを示す情報(以下、「撮像カメラ情報」と記載する)が含まれる。
【0025】
なお、ワーク検出部511によるワークwの検出については、いずれの公知技術を用いても構わない。
【0026】
動作指示部512は、ワーク検出部511から受け取ったワークwの検出結果および記憶部52に記憶されるペア情報521を用いて、ロボット2a,2bに対して保持動作および移動動作の実行を指示する処理部である。
【0027】
ペア情報521は、ロボット2a,2bごとに、ペアとなるカメラ3a,3bを対応付けた情報である。本実施例では、ロボット2aに対してカメラ3aが対応付けられ、ロボット2bに対してカメラ3bが対応付けられているものとする。
【0028】
動作指示部512は、ワーク検出部511からワークwの検出結果を受け取ると、検出結果に含まれる撮像カメラ情報を参照し、ワークwを撮像したカメラ3a,3bを特定する。また、動作指示部512は、ペア情報521を参照し、特定したカメラ3a,3bと対応付けられているロボット2a,2bを特定する。
【0029】
そして、動作指示部512は、特定したロボット2a,2bに対してかかるワークwの保持動作および移動動作を指示する。この結果、カメラ3aによって撮像されたワークwの保持動作をカメラ3aに対応するロボット2aが行い、カメラ3bによって撮像されたワークwの保持動作をカメラ3bに対応するロボット2bが行うこととなる。なお、ワーク検出部511および動作指示部512の動作例については、図3−1〜図4−2を用いて後述する。
【0030】
また、動作指示部512は、各ロボット2a,2bに対してワークwの保持動作の実行指示を行うごとに、作業履歴情報522を更新する処理も併せて行う。ここで、作業履歴情報522は、各ロボット2a,2bのワークwの処理数、すなわち、各ロボット2a,2bが保持動作を行ったワークwの個数を格納する情報である。
【0031】
なお、動作指示部512は、ワークwの保持動作の実行指示を行うごとではなく、各ロボット2a,2bから保持動作および移動動作を完了した旨の通知を受け取るごとに、作業履歴情報522を更新することとしてもよい。
【0032】
ここで、ワーク検出部511および動作指示部512の動作例について図3−1〜図4−2を用いて説明する。図3−1および図3−2は、ワーク検出部511による検出処理の一例を示す図である。また、図4−1および図4−2は、ロボット2a,2bの動作例を示す図である。
【0033】
図3−1に示すように、コンベア1によって搬送されるワークw1〜w12のうち、ワークw1〜w3がカメラ3bによって撮像され、ワークw4〜w6がカメラ3aによって撮像されたとする。ワーク検出部511は、カメラ3bによって撮像された画像に基づいてワークw1〜w3を検出するとともに、カメラ3aによって撮像された画像に基づいてワークw4〜w6を検出する。
【0034】
また、ワーク検出部511は、ワークw1〜w3の検出結果として、ワークw1〜w3の位置や姿勢等の情報およびワークw1〜w3を撮像したカメラがカメラ3bであることを示す撮像カメラ情報を動作指示部512へ出力する。また、ワーク検出部511は、ワークw4〜w6の検出結果として、ワークw4〜w6の位置や姿勢等の情報およびワークw4〜w6を撮像したカメラがカメラ3aであることを示す撮像カメラ情報を動作指示部512へ出力する。
【0035】
同様に、図3−2に示すように、次の撮像タイミングにおいて、ワークw7〜w9がカメラ3bによって撮像され、ワークw10〜w12がカメラ3aによって撮像されたとする。かかる場合、ワーク検出部511は、ワークw7〜w9の検出結果として、ワークw7〜w9の位置や姿勢等の情報およびワークw7〜w9を撮像したカメラがカメラ3bであることを示す撮像カメラ情報を動作指示部512へ出力する。また、ワーク検出部511は、ワークw10〜w12の検出結果として、ワークw10〜w12の位置や姿勢等の情報およびワークw10〜w12を撮像したカメラがカメラ3aであることを示す撮像カメラ情報を動作指示部512へ出力する。
【0036】
ここで、図3−1および図3−2に示すように、カメラ3aが撮像する搬送路11上の領域100aとカメラ3bが撮像する搬送路11上の領域100bとは、搬送方向に沿って互いに隣接する。すなわち、カメラ3a,3bは、コンベア1の搬送方向に沿って互いに隣接する搬送路11上の領域をそれぞれ撮像する。このため、コンベア1の上流から下流へ向かって搬送されるワークwを撮り損ねることなく適切に撮像することができる。
【0037】
また、図3−1および図3−2に示すように、以下では、カメラ3aによって撮像されたワークw4〜w6,w10〜w12を黒色であらわすこととし、カメラ3bによって撮像されたワークw1〜w3,w7〜w9と区別する。
【0038】
動作指示部512は、ワーク検出部511から受け取った検出結果およびペア情報521に基づき、カメラ3aによって撮像されたワークw4〜w6,w10〜w12の保持動作および移動動作を、カメラ3aに対応するロボット2aに対して指示する。この結果、図4−1に示すように、ロボット2aは、ワークw1〜w12のうち、カメラ3aによって撮像されたワークw4〜w6,w10〜w12の保持動作および移動動作を行うこととなる。
【0039】
また、動作指示部512は、カメラ3bによって撮像されたワークw1〜w3,w7〜w9の保持動作および移動動作をロボット2bに対して指示する。この結果、図4−2に示すように、ロボット2bは、ワークw1〜w12のうち、カメラ3bによって撮像されたワークw1〜w3,w7〜w9の保持動作および移動動作を行うこととなる。
【0040】
このように、制御装置5は、ワークwの保持動作を、かかるワークwを撮像したカメラ3a,3bに対応するロボット2a,2bに対して指示することとした。これにより、本実施例に係るピッキングシステムは、作業効率の向上を図ることができる。
【0041】
すなわち、従来のピッキングシステムにおいては、短時間で多量のワークを処理する必要がある場合には、ロボットを複数台並設することで、上流側のロボットで処理し切れず通過するワークを下流側のロボットで処理させることで処理能力の向上を図っている。しかしながら、このような手法では、上流側に配置されたロボットに負荷が集中してしまい、ピッキングシステム全体として効率的とはいえない場合がある。
【0042】
これに対し、本実施例に係るピッキングシステムでは、カメラ3a,3bによって撮像されたワークwの保持動作を、各カメラ3a,3bにそれぞれ対応するロボット2a,2bが分担して行う。このため、従来のピッキングシステムと異なり、各ロボット2a,2bの処理負荷が均等になり易いため、ピッキングシステム全体としての作業効率を高めることができる。
【0043】
また、搬送速度が高速化した場合には、カメラの性能によってはワークの撮像が追い付かなくなり、ワークを撮像し損ねる可能性がある。撮像し損なったワークは、ロボットに保持されることなく下流側へ搬送されることとなる。すなわち、ワークの取りこぼしが発生することとなるため、好ましくない。
【0044】
しかし、本実施例にかかるピッキングシステムでは、コンベア1の搬送速度を更に高速化させたい場合には、カメラとロボットのペアを搬送速度に応じて増設することで、かかる搬送速度の高速化に容易に対応することができる。
【0045】
図2に戻り、ペア変更部513について説明する。ペア変更部513は、ロボット2a,2bの作業量に応じてカメラ3a,3bおよびロボット2a,2bの対応関係を変更する処理部である。
【0046】
具体的には、ペア変更部513は、作業履歴情報522を参照し、ロボット2aによるワークwの処理個数とロボット2bによるワークwの処理個数との比率が所定の範囲を超えた場合に、ペア情報521を更新してカメラ3a,3bおよびロボット2a,2bのペアを変更する。ペア変更部513によるペア変更処理の具体的な内容については、図5−1、図5−2を用いて後述する。
【0047】
記憶部52は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成され、ペア情報521および作業履歴情報522を記憶する。ペア情報521は、ロボット2a,2bごとに、ペアとなるカメラ3a,3bを対応付けた情報である。また、作業履歴情報522は、各ロボット2a,2bのワークwの処理数、すなわち、各ロボット2a,2bが保持動作を行ったワークwの個数を格納する情報である。
【0048】
ここで、ペア変更部513によるペア変更処理の動作例について図5−1、図5−2を用いて説明する。図5−1は、作業履歴情報522の一例を示す図であり、図5−2は、ペア情報521の一例を示す図である。
【0049】
図5−1に示すように、作業履歴情報522には、「ロボット2a」に対して「100」が関連付けられ、「ロボット2b」に対して「50」が関連付けられているとする。ペア変更部513は、かかる作業履歴情報522を参照して、ロボット2aによるワークwの処理個数「100」に対するロボット2bによるワークwの処理個数「50」の比率「0.5」を求める。
【0050】
ここで、所定の範囲が「−0.3〜+0.3」であるとすると、上記の比率「0.5」が所定の範囲を超えている、すなわち、一方のロボット(ここでは、ロボット2a)に処理負荷が集中しているため、ペア変更部513は、カメラ3a,3bおよびロボット2a,2bのペアを変更する。具体的には、ペア変更部513は、図5−2に示すように、ロボット2aに対してカメラ3aを対応付け、ロボット2bに対してカメラ3bを対応付けたペア情報521を更新し、ロボット2aに対してカメラ3bを対応付け、ロボット2bに対してカメラ3aを対応付ける。
【0051】
このように、ロボット2a,2bの作業量に応じてカメラ3a,3bおよびロボット2a,2bの対応関係を変更することとすれば、ロボット2a,2bの一方に処理負荷が集中し続けることを防止することができる。
【0052】
なお、ここでは、作業履歴情報522をロボット2a,2bの作業量として用いることとしたが、これに限ったものではない。たとえば、ペア変更部513は、ワーク検出部511によるワークwの検出結果を記憶部52等に蓄積し、蓄積した検出結果から、カメラ3aが撮像したワークwの個数およびカメラ3bが撮像したワークwの個数をそれぞれ求め、これらの個数を各カメラ3a,3bにそれぞれ対応するロボット2a,2bの作業量として用いることとしてもよい。
【0053】
上述してきたように、本実施例では、ワークの保持動作をカメラによって撮像される領域毎に対応付けられたロボットに対して指示することとした。具体的には、本実施例では、ワークの保持動作を、かかるワークを撮像したカメラに対応するロボットに対して指示することとしたため、作業効率の向上を図ることができる。
【0054】
ところで、上述してきた実施例では、ピッキングシステムが2台のロボット2a,2bを備える場合の例について説明してきたが、ピッキングシステムは、3台以上のロボットを備えていてもよい。以下では、一例として4台のロボット2a〜2dを備えるピッキングシステムについて図6を用いて説明する。図6は、ピッキングシステムの他の例を示す図である。
【0055】
図6に示すように、ピッキングシステムが4台のロボット2a〜2dを備える場合には、各ロボット2a〜2dにそれぞれ対応するカメラ3a〜3dを搬送方向に沿って並べて配置すればよい。このように、カメラおよびロボットのペアを増設していくことで、搬送速度の高速化に容易に対応することができる。
【0056】
また、カメラ3a〜3dは、搬送方向に沿って互いに隣接する搬送路11上の領域100a〜100dをそれぞれ撮像する。これにより、上流から下流へ向かって搬送されるワークwを撮り損ねることなく適切に撮像することができる。
【0057】
また、ペア変更部513は、作業履歴情報522に基づいて各ロボット2a〜2dの作業量を定期的に求め、作業量が最も多いロボットおよびかかるロボットに対応するカメラのペアと、作業量が最も少ないロボットおよびかかるロボットに対応するカメラのペアとを入れ替えてもよい。
【0058】
ところで、上述してきた実施例では、ピッキングシステムが複数のカメラを備える場合の例について説明した。すなわち、上述した実施例では、カメラとロボットとを1対1で対応付けることとしたが、カメラとロボットとの対応付けの方法は、これに限ったものではない。たとえば、カメラを1台のみ設け、かかるカメラに対して複数のロボットを交互に対応付けることとしてもよい。以下では、かかる場合の例について図7−1〜図7−3を用いて説明する。
【0059】
図7−1〜図7−3は、カメラとロボットとの他の対応付け方法の説明図である。ここでは、一例として、ピッキングシステムが、1台のカメラ3cおよび2台のロボット2a,2b(図示せず)を備える場合の例について説明する。
【0060】
なお、図7−1には、カメラ3cのある撮像タイミングにおける搬送路11上の様子を示しており、図7−2には、図7−1に示す撮像タイミングの次の撮像タイミングにおける搬送路11上の様子を示している。また、図7−3には、図7−2に示す撮像タイミングの次の撮像タイミングにおける搬送路11上の様子を示している。
【0061】
カメラ3cは、撮像タイミングごとに、ロボット2a,2bのうちの一のロボットと対応付けられる。たとえば、カメラ3cの撮像タイミングのうち、奇数回目の撮像タイミングを第1の撮像タイミングとし、偶数回目の撮像タイミングを第2の撮像タイミングとする。そして、カメラ3cは、第1の撮像タイミングではロボット2aと対応付けられ、第2の撮像タイミングではロボット2bと対応付けられる。かかる対応付けの情報は、たとえば、記憶部52にあらかじめ記憶される。
【0062】
ここで、図7−1に示すように、第1の撮像タイミングにおいて、カメラ3cがワークw24〜w26を撮像したとする。かかる場合、動作指示部512は、ワークw24〜w26の保持動作および移動動作を、第1の撮像タイミングにおいてカメラ3cと対応付けられたロボット2aに対して指示する。
【0063】
なお、図7−1において領域200aに含まれるワークw21〜w23は、ワークw24〜w26が撮像された第2の撮像タイミングよりも1つ前の撮像タイミングである第2の撮像タイミングにおいて撮像されたワークである。したがって、動作指示部512は、ワークw21〜w23の保持動作および移動動作を、第2の撮像タイミングにおいてカメラ3cと対応付けられたロボット2bに対して指示する。
【0064】
同様に、動作指示部512は、図7−1に示した第1の撮像タイミングの次の撮像タイミングである第2の撮像タイミングにおいてカメラ3cが撮像したワークw27〜w29の保持動作および移動動作をロボット2bに対して指示する(図7−2参照)。また、動作指示部512は、図7−2に示した第2の撮像タイミングの次の撮像タイミングである第1の撮像タイミングにおいてカメラ3cが撮像したワークw30〜w32の保持動作および移動動作をロボット2aに対して指示する(図7−3参照)。
【0065】
このように、制御装置5は、第1の撮像タイミングにおいて撮像されたワークw、すなわち、領域200bに含まれるワークw24〜w26,w30〜w32)および第2の撮像タイミングにおいて撮像されたワークw、すなわち、領域200aに含まれるワークw21〜w23,w27〜w29)の保持動作および移動動作をロボット2a,2bに対して交互に指示する。
【0066】
すなわち、制御装置5は、1台のカメラの撮像タイミングごとに、撮像する領域を異ならせる。具体的には、制御装置5は、ワークwの保持動作を、かかるワークwの撮像タイミングにおいてカメラ3cと対応付けられたロボットに対して指示することとしたため、上述した実施例と同様に、作業効率の向上を図ることができる。
【0067】
なお、撮像タイミングの間隔は、カメラ3cによって撮像される搬送路11上の領域100cの搬送方向における幅と、コンベア1の搬送速度とに基づいて決定するのが好ましい。
【0068】
たとえば、カメラ3cによって撮像される搬送路11上の領域100cの搬送方向における幅を「D(m)」、コンベア1の搬送速度を「V(m/s)」とすると、撮像タイミングの間隔「T(s)」は、「T=D/V」の式を用いて求めることができる。このように撮像タイミングの間隔を決定することで、上流から下流へ向かって搬送されるワークwを撮り損ねることなく適切に撮像することができる。
【0069】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施の形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
w ワーク
1 コンベア
11 搬送路
2a〜2d ロボット
3a〜3d カメラ
4a,4b コンベア
5 制御装置
51 制御部
511 ワーク検出部
512 動作指示部
513 ペア変更部
52 記憶部
521 ペア情報
522 作業履歴情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送されるワークを保持する保持動作および保持したワークを所定の場所へ移動させる移動動作を行う複数のロボットと、
前記複数のロボットよりも前記搬送装置の上流側へ配置され、前記搬送装置の搬送路上の異なる領域をそれぞれ撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記搬送路上のワークを検出するとともに、検出したワークの保持動作を前記ロボットに対して指示する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
前記ワークの保持動作を前記撮像装置によって撮像される前記領域毎に対応付けられたロボットに対して指示することを特徴とするピッキングシステム。
【請求項2】
前記撮像装置は、複数設けられ、それぞれ前記搬送路上の異なる領域を撮像し、
前記制御装置は、
前記ワークの保持動作を、該ワークを撮像した撮像装置と対応付けられたロボットに対して指示することを特徴とする請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項3】
前記複数の撮像装置は、
前記搬送装置の搬送方向に沿って互いに隣接する前記搬送路上の領域をそれぞれ撮像することを特徴とする請求項2に記載のピッキングシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記複数のロボットの作業量に応じて前記撮像装置および前記ロボットの対応関係を変更することを特徴とする請求項2または3に記載のピッキングシステム。
【請求項5】
前記撮像装置は、
1台の撮像装置の撮像タイミングごとに、撮像する領域を異ならせるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のピッキングシステム。
【請求項6】
前記撮像タイミングの間隔は、
前記撮像装置によって撮像される前記搬送路上の領域の搬送方向における幅と、前記搬送装置の搬送速度とに基づいて決定されることを特徴とする請求項5に記載のピッキングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【公開番号】特開2013−1548(P2013−1548A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136653(P2011−136653)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】