説明

ピラゾロピリジンならびにその作製および使用方法

式(I)の化合物は、Alk5および/またはAlk4に対して予想外に高い親和性を有し、そして多数の疾患(線維性の障害を含めて)を予防および/または治療するアンタゴニストとして、有用であり得る。1実施態様において、本発明は、式(I)の化合物に特徴がある。式(I)の化合物は、TGFβ系統I型レセプタであるAlk5および/またはAlk4の予想外に強力なアンタゴニストである。それゆえ、式(I)の化合物は、線維症(例えば、腎臓線維症、肺線維症および肝臓線維症)、進行性癌のような疾患、またはTGFβ系統のシグナル伝達活性の低下が望ましい他の疾患の予防および/または治療で使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この非仮出願は、米国仮出願第60/408,811号(2002年9月6日出願)の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
TGFβ(トランスフォーミング成長因子β)は、2量体ポリペプチド成長因子(アクチビン,インヒビン、骨形態形成たん白質(BMP)、成長・分化因子(GDF)、およびミューラー阻害物質(MIS)が挙げられる)の大きなファミリーのメンバーである。TGFβは、3つのアイソフォーム(TGFβ1、TGFβ2およびTGFβ3)で存在し、レセプターと共に大部分の細胞に存在している。各アイソフォームは、組織特異的様式および発生的に制御された様式の両方で、発現する。各TGFβアイソフォームは、細胞内で切断されて、C末端領域(潜伏性結合ペプチド(LAP))および、成熟または活性TGFβとして知られるN末端領域にされる、前駆体タンパク質として合成される。LAPは、代表的には、細胞から分泌される前は、成熟TGFβと非共有結合的に結合する。LAP−TGFβ複合体は、TGFβレセプターとは結合し得ず、生物学的に活性ではない。TGFβは、一般的に、種々の機構(例えば、トロンボスポンジン−1またはプラスミンとの相互作用が挙げられる)によって、この複合体から放出され(そして活性化され)る。
【0003】
活性化の後で、TGFβは、高い親和性でII型レセプター(TGFβRII)、構成的に活性なセリン/スレオニンキナーゼに結合する。このリガンドが結合したII型レセプターは、TGFβ I型レセプター(Alk5)をグリシン/セリン豊富ドメインでリン酸化し、これによって、I型レセプターが、下流のシグナル伝達分子であるSmad2またはSmad3をリクルートし、リン酸化することが可能となる。例えば、Huse,Mら,Mol.Cell.8:671−682(2001)を参照のこと。次いで、リン酸化されたSmad2またはSmad3は、Smad4と複合体を形成し得、その完全へテロSmad複合体が、核内へと移動し、種々のTGFβ応答性遺伝子の転写を調節する。例えば、Massague,J.Ann,Rev.Biochem.Med.67:773(1998)を参照のこと。
【0004】
アクチビンもまた、TGFβスーパーファミリーのメンバーであり、それらはアクチビンβaまたはβbのホモ二量体またはヘテロ二量体であるという点で、TGFβと異なる。アクチビンは、TGFβと類似の様式で、つまり、構成的なセリン−スレオニンレセプターキナーゼであるアクチビンII型レセプター(ActRIIB)と結合し、そして、I型セリン−スレオニンレセプターであるAlk4を活性化して、Smad2またはSmad3をリン酸化することによって、シグナルを伝達する。Smad4を有するヘテロ−Smad複合体の結果としての形成もまた、遺伝子転写のアクチビン誘導性の調節を起こす。
【0005】
実際、TGFβおよび関連因子(例えば、アクチビン)は、広範囲の細胞内プロセス(例えば、上皮細胞および造血細胞における細胞周期の停止、間葉細胞の増殖および分化の制御、炎症細胞のリクルート、免疫抑制、創傷治癒、および細胞外マトリクスの生産)を調節する。例えば、Massague,J.Ann.Rev.Cell.Biol.6:594−641(1990);Roberts,A.B.とSporn M.B.Peptide Growth Factors and Their Receptors,95:419−472 Berlin:Springer−Verlag(1990);Roberts,A.B.とSporn M.B.Growth Factors 8:1−9(1993);およびAlexandrow,M.G.,Moses,H.L.Cancer Res.55:1452−1457(1995)を参照のこと。TGFβのシグナル伝達経路の機能亢進は、多くのヒト障害(例えば、細胞外マトリクスの過剰蓄積
、異常に高いレベルの炎症性応答、繊維性障害、および進行性の癌)の原因である。同様に、アクチビンのシグナル伝達およびアクチビンの過剰発現も、以下を含む病理学的障害に関与している;細胞外マトリクスの蓄積および繊維症(例えば、Matsuse,T.ら,Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.13:17−24(1995);Inoue,S.ら,Biochem.Biophys.Res.Comm.205:441−448(1994);Matsuse,T.ら,Am.J.Pathol.148:707−713(1996);De Bleserら,Hepatology 26:905−912(1997);Pawlowski,J.E.ら,J.Clin.Invest.100:639−648(1997);Sugiyama,M.ら,Gastroenterology 114:550−558(1998);Munz,B.ら,EMBO J.18:5205−5215(1999)を参照のこと)、炎症性応答(例えば、Rosendahl,Aら,Am.J.Repir.Cell Mol.Biol.25:60−68(2001)を参照のこと)、研究によって、TGFβおよびアクチビンは、相乗的に作用し得、細胞外マトリクスを誘導することが示されている(例えば、Sugiyama,M.ら,Gastroenterology 114:550−558,(1998)を参照のこと)。そのために、このシグナル伝達経路の機能不全に関する障害を予防および/または処置するために、TGFβファミリーのシグナル伝達成分に対する調節因子(例えば、アンタゴニスト)を開発することが所望される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
式(I)の化合物は、TGFβ系統I型レセプタであるAlk5および/またはAlk4の予想外に強力なアンタゴニストである。それゆえ、式(I)の化合物は、線維症(例えば、腎臓線維症、肺線維症および肝臓線維症)、進行性癌のような疾患、またはTGFβ系統のシグナル伝達活性の低下が望ましい他の疾患の予防および/または治療で使用できる。
【0007】
1局面では、本発明は、式(I)の化合物に特徴がある:
【0008】
【化2】

、X、X、およびXの各々は、独立して、CRまたはNであり;但し、X、X、X、およびXのうちの2つのみが、同時にNであり得る。YおよびYの各々は、独立して、CRまたはNであり;但し、YおよびYのうちの少なくとも1つは、Nでなければならない。言い換えると、Y環原子およびY環原子を有する環は、ピリミジニルまたはピリジルであり得る。各Rは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アシル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、シアノ、グアナジノ、アミジノ、カルボキシ、スルホ、メルカプト、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、カルバモイル、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルスルファニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルスルファニル、アリール、アリールオキシ、アリールスルファニル、アロイル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールスルファニルまたはヘテロアロイルであり得る。各Rは、独立して、以下:アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、ハロ、ヒドロキシ、−NH、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)(シクロアルキル)、−NH(ヘテロシクロアルキル)、−NH(ヘテロアリール)、−NH−アルキル−ヘテロシクロアルキル、−NH−アルキル−ヘテロアリール、−NH(アラルキル)、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アリール、アラルキル、アロイル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアロイル、ニトロ、シアノ、グアナジノ、アミジノ、カルボキシ、スルホ、メルカプト、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、(シクロアルキル)アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、(ヘテロシクロアルキル)アルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アルキルスルファニル、シクロアルキルスルファニル、(シクロアルキル)アルキルスルファニル、アリールスルファニル、アラルキルスルファニル、ヘテロシクロアルキルスルファニル、(ヘテロシクロアルキル)アルキルスルファニル、ヘテロアリールスルファニル、ヘテロアリールアルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノカルボニル、アミノスルホニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノアルキルアミノ、(ヘテロアリール)アリールカルボニルアミノアルキルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノアルキルアミノ、(ヘテロアリール)アリールスルホニルアミノアルキルカルボニルアミノアルキルアミノ、アリールスルホニルアミノアルキルアミノ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、もしくはカルバモイルである。mは、0、1、2、3、もしくは4であり;但し、m≧2の場合、2個の隣接したR基は、結合して、4員〜8員の必要に応じて置換した環状部分を形成し得る。nは、0、1、2、もしくは3であり;ここで、n≧2の場合、2個の隣接したR基は、結合して、4員〜8員の必要に応じて置換した環状部分を形成し得る。以下の4員〜8員の必要に応じて置換された環状部分の例を参照のこと。各RおよびRは、独立して、以下:水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アシル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、グアナジノ、アミジノ、カルボキシ、スルホ、メルカプト、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シクロアルキルカルボニル、(シクロアルキル)アルキルカルボニル、アロイル、アラルキルカルボニル、ヘテロシクロアルキルカルボニル、(ヘテロシクロアルキル)アシル、ヘテロアロイル、(ヘテロアリール)アシル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、(アミノ)アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルスルホニルアミノ、(シクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキル)アルキルスルホニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、アラルキルスルホニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)スルホニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルキルスルホニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルスルホニルアミノ、(ヘテロアリール)アリールカルボニルアミノアルキルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノアルキルアミノ、(ヘテロアリール)アリールスルホニルアミノアルキルカルボニルアミノアルキルアミノ、アリールスルホニルアミノアルキルアミノ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、カルバモイル、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルスルファニル、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルキル)アルコキシ、(シクロアルキル)アルキルスルファニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルスルファニル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルコキシ、(ヘテロシクロアルキル)アルキルスルファニル、アリール、アリールオキシ、アリールスルファニル、アラルキル、アラルキルオキシ、アラルキルスルファニル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールスルファニル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリール)アルコキシ、もしくは(ヘテロアリール)アルキルスルファニルである。
【0009】
上記で定義されるように、m≧2の場合、2個の隣接したR基は、結合して、4員〜8員の必要に応じて置換した環状部分を形成し得る。すなわち、前記2−ピリジル環は、4員〜8員の環状部分と縮合して、1つの部分、例えば、7H−[1]ピリジニル、6,7−ジヒドロ−5H−[1]ピリジニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−キノリニル、5,7−ジヒドロ−フロ[3,4−b]ピリジニルまたは3,4−ジヒドロ−1H−チオピラノ[4,3−c]ピリジニルを形成できる。この縮合された環状部分は、必要に応じて、1個またはそれ以上の置換基(例えば、アルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキルおよびハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)が挙げられる;以下の「アルキル」の定義を参照のこと)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルキル−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−カルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソまたはカルバモイル)で置換され得る。
【0010】
同様に、n≧2の場合、2個の隣接したR基は、結合して、4員〜8員の必要に応じて置換した環状部分を形成し得、これによって、ピリジルもしくはピリミジニル基と縮合した環を形成する。このような部分のいくつかの例は、以下に示される:
【0011】
【化3】

2個の隣接したR基によって形成されたこの4員〜8員の環状部分は、必要に応じて、置換基(例えば、アルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキルおよびハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)が挙げられる;以下の「アルキル」の定義を参照のこと)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルキル−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−カルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソまたはカルバモイル)で置換され得る。
【0012】
1実施態様では、X、X、およびXは、独立して、CRである。1実施態様では、X、X、およびXの各々は、独立して、−CH−、−C(CH)−、−C(OH)−、−C(NH)−、−C(CO−NH)−、−C(CO−NHOH)−、−C(NH(非置換アルキル))−、−C(NH(アリール))−、−C(NH(アラルキル))−、−C(NH(ヘテロアリール))−、−C(NH(ヘテロアリールアルキル))−、−C(NH−CO−(非置換アルキル))−、−C(NH−CO−(アリール))−、−C(NH−CO−(ヘテロアリール))−、−C(NH−CO−(アラルキル))−、−C(NH−CO−(ヘテロアリールアルキル))−、−C(NH−SO−(非置換アルキル))−、−C(NH−SO−(アリール))−、−C(NH−SO−ヘテロアリール))−、−C(NH−SO−(アラルキル))−、−C(NH−SO−(ヘテロアリールアルキル))−、−C(NH−SO−NH(非置換アルキル))−、−C(NH−SO−NH(アリール))−、−C(NH−SO−NH(ヘテロアリール))−、−C(NH−SO−NH(アラルキル))−、−C(NH−SO−NH(ヘテロアリールアルキル))−、−C(ヒドロキシアルキル)−、もしくは−C(カルボキシ)−であり、そしてXは、−CH−である。
【0013】
1実施態様では、YおよびYは、Nである。
【0014】
1実施態様では、mは、0、1もしくは2である(例えば、mは、1である)。1実施態様では、Rは、5位もしくは6位で置換される(すなわち、Rは、5位もしくは6位のいずれかでモノ置換され得るか、またはRは、5位および6位の両方でジ置換され得る)。1実施態様では、Rは、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、ハロ、アミノ、アミノカルボニル、もしくはアルコキシカルボニルである。
【0015】
1実施態様では、nは、1もしくは2である(例えば、nは、1である)。
【0016】
1実施態様では、各Rは、独立して、非置換アルキル(例えば、6−メチル、6−エチル、6−n−プロピル、もしくは6−イソプロピル)、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル(例えば、6−トリフルオロメチル)、アミノアルキル、アリールオキシアルキル、ヘテロアラルキルオキシアルキル、非置換アルケニル(例えば、6−ビニル)、アルコキシ、アシル、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、グアナジノ、アミジノ、アミノ(例えば、−NH、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モノヘテロシクロアルキルアミノ、モノヘテロアリールアミノ、モノ(ヘテロシクリルアルキル)アミノ、モノ(アラルキル)アミノ、もしくはモノ(ヘテロアラルキル)アミノ)、カルボキシ、メルカプト、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルカルボニル(例えば、−CONH、−CONH(アルキル)、もしくは−CO−N(アルキル))、アルキルカルボニルアミノ(−NH−CO−アルキル、もしくは−N(アルキル)−CO−アルキル)、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、スルファモイル(例えば、−SO−NH、−SO−NH(アルキル)、もしくは−SO−N(アルキル))、シクロアルキル(例えば、6−シクロプロピル)、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロアラルキルである。
【0017】
1実施態様では、各Rは、独立して、以下:非置換アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アミノアルキル(例えば、アミノメチル)、アリールオキシアルキル、ヘテロアラルキルオキシアルキル、アルコキシ、アシル、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、グアナジノ、アミジノ、−NH、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モノシクロアルキルアミノ、モノヘテロシクロアルキルアミノ(例えば、−NH−ピペリジニルもしくは−NH−モルフォリノ)、モノヘテロアリール−アミノ(例えば、−NH−テトラゾリル、−NH−ピラゾリル、もしくは−NH−イミダゾリル)、モノ(ヘテロシクロアルキルアルキル)アミノ(例えば、−NH−(CH1〜3−ピペリジニルもしくは−NH−(CH1〜3−モルフォリノ)、モノ(ヘテロアラルキル)アミノ(例えば、−NH−(CH1〜3−テトラゾリル、−NH−(CH1〜3−ピラゾリル、もしくは−NH−(CH1〜3−イミダゾリル)、−N(アルキル)(シクロアルキル)、メルカプト、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、−CONH、−CONH(アルキル)、−CO−N(アルキル)、−NH−CO−アルキル、−N(アルキル)−CO−アルキル、−CO−アルキル、−O−CO−アルキル、−SO−NH、−SO−NH(アルキル)、−SO−N(アルキル)、−NH−SO−アルキル、−N(アルキル)−SO−アルキル、−NH−CO−NH(アルキル)、−N(アルキル)−CO−NH(アルキル)、−NH−SO−NH(アルキル)、−N(アルキル)−SO−NH(アルキル)、ヘテロシクロアルキル、もしくはヘテロアリール(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、テトラゾリル、もしくはピリジル)である。例えば、Rは、3位で置換され、かつグアナジノ、アミジノ、−NH、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モノシクロアルキルアミノ、モノヘテロシクロアルキルアミノ、モノヘテロアリールアミノ、モノ((ヘテロシクロアルキル)アルキル)アミノ、モノ(ヘテロアラルキル)アミノ、−NH−CO−NH(アルキル)、−N(アルキル)−CO−NH(アルキル)、−NH−SO−NH(アルキル)、−N(アルキル)−SO−NH(アルキル)、ヘテロシクロアルキル、もしくはヘテロアリールである。
【0018】
1実施態様では、各Rは、独立して、以下:水素、非置換アルキル、ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシエチルのようなヒドロキシ−C1〜4アルキル)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アミノアルキル、アリールオキシアルキル、ヘテロアラルキルオキシアルキル、アルコキシ(例えば、C1〜4アルコキシ(例えば、メトキシもしくは−OCFのようなC1〜4ハロアルコキシ))、ハロ(例えば、クロロもしくはブロモ)、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、グアナジノ、アミジノ、アミノ(例えば、−NH、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(ヘテロシクロアルキル)、−NH(ヘテロアリール)、−NH(ヘテロシクロアルキル−アルキル)、−NH(アラルキル)、もしくは−NH(ヘテロアラルキル))、カルボキシ、(ヘテロアリール)アシル、アミノカルボニル(例えば、−CO−NH、−CO−NH−(CH0〜3−COOH、−CO−NH−(CH0〜3−OH、−CO−NH−(CH0〜3−ヘテロアリール(例えば、−CO−NH−(CH0〜3−テトラゾリル、−CO−NH−(CH0〜3−ピラゾリル、もしくは−CO−NH−(CH0〜3−イミダゾリル)、−CO−NH−(CH0〜3−ヘテロシクロアルキル(例えば、−CO−NH−(CH0〜3−ピペリジニルもしくは−CO−NH−(CH0〜3−モルフォリノ)、または、−CO−NH−(CH0〜3−アリール(例えば、−CO−NH−(CH0〜3−フェニル))、ヘテロアリールカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルコキシ、(ヘテロアリール)アルコキシ、(ヘテロアリール)アルキルスルファニル、ヘテロシクロアルキル(例えば、モルフォリノ、ピラジニル、もしくはピペリジニル)、(ヘテロシクロアルキル)アルキル(例えば、モルフォリノ−C1〜4アルキル、ピラジニル−C1〜4アルキル、もしくはピペリジニル−C1〜4アルキル)、ヘテロアリール(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、テトラゾリル、もしくはピリジル)、もしくはヘテロアラルキル(例えば、イミダゾリル−C1〜4アルキル、ピラゾリル−C1〜4アルキル、テトラゾリル−C1〜4アルキル、もしくはピリジル−C1〜4アルキル)。−NH(アルキル)のいくつかの例は、−NH(ハロアルキル)(例えば、−NHCF)、−NH(カルボキシアルキル)(例えば、−NH(CH1〜3COOH)、and−NH(ヒドロキシアルキル)(例えば、−NH(CH1〜3OH)である。−NH(ヘテロアリール)のいくつかの例は、−NH(テトラゾリル)、−NH(ピラゾリル)、および−NH(イミダゾリル)である。−NH(ヘテロシクロアルキルアルキル)のいくつかの例は、−NH(ピペラジニルアルキル)(例えば、−NH(CH1〜3−ピペリジン)および−NH(モルフォリノ−アルキル)(例えば、−NH(CH1〜3−モルフォリン)である。−NH(ヘテロアラルキル)のいくつかの例は、−NH(テトラゾリルアルキル)(例えば、−NH(CH1〜3−テトラゾール)、−NH(ピラゾリル−アルキル)(例えば、−NH(CH0〜3−ピラゾール)、および−NH(イミダゾリル−アルキル)(例えば、−NH(CH0〜3−イミダゾール)である。
【0019】
1実施態様では、Rは、水素、非置換アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、アミノアルキル、アリールオキシアルキル、ヘテロアラルキルオキシアルキル、アルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、グアナジノ、アミジノ、アミノ(例えば、−NH、−NH(アルキル)、−N(アルキル),−NH(シクロアルキル)、−NH(ヘテロシクロアルキル)、−NH(ヘテロアリール)、−NH(ヘテロシクロアルキル−アルキル)、−NH(アラルキル)、もしくは−NH(ヘテロアラルキル))、カルボキシ、(ヘテロアリール)アシル、アミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルコキシ、(ヘテロアリール)アルコキシ、(ヘテロアリール)アルキルスルファニル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルである。
【0020】
1実施態様では、Xは、Nである。例えば、Xは、Nであり、そしてX、X、およびXは、独立してCRである。
【0021】
1実施態様では、Xは、Nである。例えば、Xは、Nであり、そしてX、X、およびXは、独立してCRである。
【0022】
1実施態様では、Xは、Nである。例えば、Xは、Nであり、そしてX、X、およびXは、独立してCRである。
【0023】
1実施態様では、Xは、Nである。例えば、Xは、Nであり、そしてX、X、およびXは、独立してCRである。
【0024】
式(I)の化合物のいくつかの例は、4−(2−ピリジン−2−イル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−イル)−ピリミジン−2−イルアミン、4−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル]−ピリミジン−2−イルアミン、2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−3−(2−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン、4−[2−(6−クロロ−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−c]ピリミジン−3−イル]−ピリミジン−2−イルアミン、2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−3−(2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−ピラゾロ[1,5−c]ピリミジン、4−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−3−イル]−ピリミジン−2−イルアミン、4−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]−ピリミジン−2−イルアミン、4−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−c]ピリミジン−3−イル]−ピリミジン−2−イルアミンである。
【0025】
式(I)の化合物の各々のN−オキシド誘導体または薬学的に受容可能な塩はまた、本発明の範囲内である。例えば、そのイミダゾールコア環または窒素含有ヘテロシクリル置換基の窒素環原子は、適当な酸化剤(例えば、m−クロロ過安息香酸またはH)の存在下で、オキシドを形成できる。
【0026】
事実上酸性である(例えば、カルボキシル基またはフェノール性水酸基を有する)式(I)の化合物は、薬学的に受容可能な塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩または金塩)を形成できる。薬学的に受容可能なアミン(例えば、アンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミンおよびN−メチルグルカミン)で形成された塩もまた、本発明の範囲内である。式(I)の化合物は、酸で処理され、酸付加塩を形成できる。このような酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、アスコルビン酸、マレイン酸、酢酸、および当業者に周知の無機酸および有機酸が挙げられる。これらの酸付加塩は、式(I)の化合物を、その遊離塩基形状にて、酸付加塩(例えば、塩酸塩)を生じるのに十分な量の酸(例えば、塩酸)で処理することにより、調製できる。この酸付加塩は、その塩を適当な希薄塩基水溶液(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムまたはアンモニア)で処理することにより、その遊離塩基形状に戻して変換できる。式(I)の化合物はまた、例えば、キラル化合物、ラセミ混合物、光学活性化合物、純粋ジアステレオマーまたはジアステレオマー混合物の形状であり得る。
【0027】
式(I)の化合物は、驚くべきことに、TGFβ系統I型レセプタであるAlk5および/またはAlk4に高い親和性を示し、例えば、実施例7および8にて以下で記述した条件下にて、10μM未満のIC50値を有する。式(I)の一部の化合物は、0.1μM未満のIC50値を示す。
【0028】
式(I)の化合物はまた、適当な官能基を付加して選択的な生体特性を高めることにより、変性できる。このような変性は、当該技術分野で公知であり、所定生体系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生体浸透性を高めるもの、経口バイオアベイラビリティーを高めるもの、注射により投与できるように溶解性を高めるもの、代謝を変えるもの、および/または排泄速度を変えるものが挙げられる。これらの変性の例には、ポリエチレングリコールによるエステル化、ピボレート(pivolates)または脂肪酸置換基での誘導体化、カーバメートへの変換、芳香環の水酸化、および芳香環でのヘテロ原子置換が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明はまた、式(I)の化合物(または式(I)の2種またはそれ以上の化合物の組合せ)と薬学的に受容可能な担体との医薬組成物に特徴がある。また、本発明では、式(I)の化合物を単独でまたは適当な賦形剤と共に含有する医薬組成物も含まれる。
【0030】
本発明はまた、細胞において、TGFβ系統I型レセプタであるAlk5および/またはAlk4(例えば、10μM未満、好ましくは、1μM未満、より好ましくは、0.1μM未満のIC50値を有する)を阻害する方法に特徴があり、該方法は、該細胞に、式(I)の化合物の有効量を接触させる工程を包含する。また、本発明の範囲には、被験体(例えば、哺乳動物(例えば、ヒト))における細胞のTGFβおよび/またはアクチビンシグナル伝達経路を阻害する方法が含まれ、該方法は、該被験体に、式(I)の化合物の有効量を接触させるか投与する工程を包含する。
【0031】
また、本発明の範囲内には、(例えば、TGFβの過剰発現に由来する)高いTGFβレベルおよび/またはアクチビン活性に特徴があるかそれが原因となっている病気に罹った被験体を治療または予防する方法が含まれる。この方法は、該被験体に、式(I)の1種またはそれ以上の化合物の有効量を投与する工程を包含する。これらの病気には、過剰な細胞外マトリックスの蓄積;線維性の病気(例えば、強皮症、ループス腎炎、結合織疾患、創傷治癒、外科手術の瘢痕、脊髄損傷、CNS瘢痕、急性肺損傷、特発性肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、急性肺損傷、薬物誘発性肺損傷、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、高血圧症誘発腎症、肝臓線維症もしくは胆汁線維症、肝硬変、原発性胆汁性肝硬変、脂肪肝疾患、原発性硬化性胆管炎、再狭窄、心線維症、眼球の瘢痕、線維硬化症、線維性癌、類線維腫、線維腫、線維腺腫、線維肉腫、移植動脈疾患、およびケロイド);多発性硬化症におけるニューロンの脱髄;アルツハイマー病;大脳の脈管障害;ならびに、腫瘍細胞および癌腫(例えば、扁平上皮癌、多発性骨髄腫、黒色腫、神経膠腫、グリア芽細胞腫、白血病、そして肺、乳房、卵巣、子宮頸部、肝臓、胆管、胃腸管、膵臓、前立腺、ならびに頭部および頸部の癌腫)のTGFβ誘発転移。
【0032】
本明細書中で使用する「アルキル」とは、1個〜8個(例えば、1個〜6個または1個〜4個)の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は、直鎖または分枝であり得る。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二級ブチル、第三級ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチルおよび2−エチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、必要に応じて、1個またはそれ以上の置換基(例えば、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、スルホ、メルカプト、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルキル−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−カルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルオキシ)で置換できる。
【0033】
本明細書中で使用する「アルケニル」とは、2個〜8個(例えば、2個〜6個または2個〜4個)の炭素原子および少なくとも1個の二重結合を含有する脂肪族炭素基を意味する。アルキル基と同様に、アルケニル基は、直鎖または分枝であり得る。アルケニル基の例には、アリル、イソプレニル、2−ブテニルおよび2−ヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されない。アルケニル基は、必要に応じて、1個またはそれ以上の置換基(例えば、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、スルホ、メルカプト、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルキル−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−カルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルオキシ)で置換できる。
【0034】
本明細書中で使用する「アルキニル」とは、2個〜8個(例えば、2個〜6個または2個〜4個)の炭素原子を含有しかつ少なくとも1個の三重結合を有する脂肪族炭素基を意味する。アルキニル基は、直鎖または分枝であり得る。アルキニル基の例には、プロパルギルおよびブチニルが挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基は、必要に応じて、1個またはそれ以上の置換基(例えば、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、スルホ、メルカプト、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルキル−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−カルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルオキシ)で置換できる。
【0035】
本明細書中で使用する「アミノ」基とは、−NRを意味し、ここで、各RおよびRyは、独立して、水素、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアラルキルである。「アミノ」との用語は、末端基(例えば、アルキルカルボニルアミノ)ではないとき、−NR−で表わされる。Rは、上で定義した意味と同じ意味を有する。
【0036】
本明細書中で使用する「アリール」基とは、フェニル、ナフチルまたはベンゾ縮合基(これは、2個〜3個の環を有する)を意味する。例えば、ベンゾ縮合基には、1個または2個のC4〜8炭素環部分で縮合したフェニル(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、インダニルまたはフルオレニル)が挙げられる。アリールは、必要に応じて、1個またはそれ以上の置換基(例えば、アルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキルおよびハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル))、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカル
ボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソまたはカルバモイル)で置換されている。
【0037】
本明細書中で使用する「アラルキル」基とは、アリール基で置換したアルキル基(例えば、C1〜4アルキル基)を意味する。「アルキル」および「アリール」の両方は、上で定義した。アラルキル基の一例には、ベンジルがある。
本明細書中で使用する「シクロアルキル」基とは、3個〜10個(例えば、4個〜8個)の炭素原子を有する脂肪族炭素環を意味する。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、ノルボルニル、クビル(cubyl)、オクタヒドロ−インデニル、デカヒドロ−ナフチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニルおよびビシクロ[3.2.3]ノニルが挙げられる。本明細書中で使用する「シクロアルケニル」基とは、3個〜10個(例えば、4個〜8個)の炭素原子および1個またはそれ以上の二重結合を有する非芳香族炭素環を意味する。シクロアルケニル基の例には、シクロペンテニル、1,4−シクロヘキサ−ジ−エニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、ヘキサヒドロ−インデニル、オクタヒドロ−ナフチル、ビシクロ[2.2.2]オクテニルおよびビシクロ[3.3.1]ノネニルが挙げられる。シクロアルキル基またはシクロアルケニル基は、必要に応じて、1個またはそれ以上の置換基(例えば、アルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキルおよびハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)を含めて)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソまたはカルバモイル)で置換できる。
【0038】
本明細書中で使用する「ヘテロシクロアルキル」基とは、3員〜10員(例えば、4員〜8員)の飽和環構造であり、ここで、その環原子の1個またはそれ以上は、ヘテロ原子(例えば、N、OまたはS)である。ヘテロシクロアルキル基の例には、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフリル、ジオキソラニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロ−ベンゾフリル、オクタヒドロ−クロメニル、オクタヒドロ−チオクロメニル、オクタヒドロ−インドリル、オクタヒドロ−ピリジニル、デカヒドロ−キノリニル、オクタヒドロ−ベンゾ[b]チオフェニル、2−オキサ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクチル、3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチルおよび2,6−ジオキサ−トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルが挙げられる。本明細書中で使用する「ヘテロシクロアルケニル」基とは、二重結合を有する3員〜10員(例えば、4員〜8員)の非芳香環構造であり、ここで、その環原子の1個またはそれ以上は、ヘテロ原子(例えば、N、OまたはS)である。ヘテロシクロアルキル基またはヘテロシクロアルケニル基は、必
要に応じて、1個またはそれ以上の置換基(例えば、アルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキルおよびハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)を含めて)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソまたはカルバモイル)で置換できる。
【0039】
本明細書中で使用する「ヘテロアリール」基とは、5個〜15個の環原子を有する単環式、二環式または三環式の環構造を意味し、ここで、それらの環原子の1個またはそれ以上は、ヘテロ原子(例えば、N、OまたはS)であり、ここで、この二環式または三環式の環構造の1個またはそれ以上の環は、芳香族である。ヘテロアリールの一部の例には、ピリジル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、テトラゾリル、ベンゾフリル、ベンズチアゾリル、キサンテン、チオキサンテン、フェノチアジン、ジヒドロインドールおよびベンゾ[1,3]ジオキソールがある。ヘテロアリールは、必要に応じて、1個またはそれ以上の置換基(例えば、アルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキルおよびハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)を含めて)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、アミノ、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル−カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソまたはカルバモイル)で置換されている。本明細書中で使用する「ヘテロアラルキル」基とは、ヘテロアリール基で置換したアルキル基(例えば、C1〜4アルキル基)を意味する。「アルキル」および「ヘテロアリール」の両方は、上で定義した。
【0040】
本明細書中で使用する「環状部分」には、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリールまたはヘテロアリールが挙げられ、これらの各々は、上で定義した。
【0041】
本明細書中で使用する「アシル」基とは、ホルミル基またはアルキル−C(=O)−を意味し、「アルキル」は、先に定義した。アセチルおよびピバロイルは、アシル基の例である。
【0042】
本明細書中で使用する「カルバモイル」基とは、−O−CO−NRまたは−NRx−CO−O−Rの構造を有する基を意味し、ここで、RおよびRは、先に定義しており、そしてRは、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアラルキルであり得る。
【0043】
本明細書中で使用する「カルボキシ」基および「スルホ」基とは、それぞれ、−COOHおよび−SOHを意味する。
【0044】
本明細書中で使用する「アルコキシ」基とは、アルキル−O−基を意味し、ここで、「アルキル」は、上で定義した。
【0045】
本明細書中で使用する「スルホキシ」基とは、−O−SO−Rまたは−SO−O−Rを意味し、ここで、Rは、上で定義した。
【0046】
本明細書中で使用する「ハロゲン」基または「ハロ」基とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0047】
本明細書中で使用する「スルファモイル」基とは、−S(O)−NRまたは−NR−S(O)−Rの構造を意味し、ここで、R、RおよびRは、上で定義した。
【0048】
本明細書中で使用する「スルファミド」基とは、−NR−S(O)−NRの構造を意味し、ここで、R、RおよびRは、上で定義した。
【0049】
本明細書中で使用する「尿素」基とは、−NR−CO−NRを意味し、そして「チオ尿素」基とは、−NR−CS−NRの構造を意味する。R、RおよびRは、上で定義した。
【0050】
本明細書中で使用する有効量は、治療した患者に対して治療効果を与えるのに必要な量として定義され、典型的には、患者の年齢、体表面積、体重および健康状態に基づいて、決定される。動物およびヒトへの投薬量の相互関係は、(体表面積1平方メートルあたりのミリグラム数に基づいて)、Freireichら、Cancer Chemother.Rep.,50:219(1966)により、記述されている。体表面積は、大体、患者の身長および体重から決定され得る。例えば、Scientific Tables,Geigy Pharmaceuticals,Ardsley,New York,537(1970)を参照。本明細書中で使用する「患者」とは、哺乳動物(ヒトを含めて)を意味する。
【0051】
本明細書中で使用するアンタゴニストは、レセプタを活性化することなくレセプタに結合する分子である。それは、レセプタ上の結合部位について内因性リガンドまたは基質と競争し、それゆえ、レセプタが内因性リガンド結合に応答して細胞内シグナルを伝達する能力を阻害する。
【0052】
式(I)の化合物は、TGFβレセプタI型(Alk5)および/またはアクチビンレセプタI型(Alk4)のアンタゴニストであり、それらの化合物は、TGFβおよび/またはアクチビンシグナル変換の結果(例えば、細胞外マトリックス(例えば、コラーゲンおよびフィブロネクチン)の産生、間質細胞の筋線維芽細胞への分化、および炎症細胞の刺激および移動)を阻害するのに有用である。それゆえ、式(I)の化合物は、炎症応答および線維応答を刺激し、そしてTGFβおよび/またはアクチビン活性の低下が望ましい障害または疾患(例えば、種々の線維性癌または進行癌)を治療および/または予防するという有用性を有する。
【0053】
他に定義されていなければ、本明細書中で使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術の当業者に一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書中で引用した全ての特許および出版物の内容は、本明細書中で参考として援用されている。それに加えて、物質、方法および実施例は、例示にすぎず、限定するつもりはない。
【0054】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求の範囲から、明らかとなる。
【0055】
(発明の詳細な説明)
一般に、本発明は、式(I)の化合物に特徴があり、これは、驚くべきことに、TGFβ系統I型レセプタであるAlk5および/またはAlk4に対して、高い親和性を示す。
【0056】
(式(I)の化合物の合成)
式(I)の化合物は、市販の出発物質または公知の出発物質から、多数の方法により、調製され得る。1方法では、式(I)の化合物は、以下のスキーム1に従って、調製される。具体的には、式(II)の化合物(ここで、X1、X2、X3、およびX4は、各々、先に規定されている)は、適切な塩基(例えば、KOH)を用いて、不活性溶媒(例えば、CHCl)中で式(III)のアセチレンでの極性環化付加を受けて、以下に示すように、中間体、式(IV)の化合物を形成し得る。この中間体は、次いで、式(V)のアミンと反応して(ここで、Rは、低級アルキル(例えば、メチルのようなC1−4アルキル)であり、Rが、適切な脱離基(例えば、エトキシのようなC1−4アルコキシ)である)、さらなる中間体、式(VI)の化合物を形成する。この中間体と試薬(例えば、必要に応じて置換されたグアニジン(ここで、スキーム1において以下に示すRは、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロアリールであり得る)またはチオ尿素)とのさらなる反応は、式(I)の化合物を導く。
【0057】
あるいは、式(IV)の中間体化合物は、高温(例えば、90℃)で極性溶媒(例えば、ジオキサン)中でジエトキシケトンと反応することによってアルキル化されて、さらなる中間体、式(VII)の化合物を生じる。次いで、この中間体は、高温(例えば、100℃)でグアニジンカルボネートのような試薬と反応して、アミノピリミジノン置換基を有する式(I)の化合物を形成し得る。この式(I)の化合物は、式(I)の他の化合物にさらに誘導体化され得る(例えば、スキーム1に示されるように、アミノピリミジノン置換基をジアミノピリミジン置換基に変換することによる)。
【0058】
(スキーム1)
【0059】
【化4】

式(I)の化合物を誘導体化するためのいくつかの他の方法が、以下のスキーム2に示される。
【0060】
(スキーム2)
【0061】
【化5】

スキーム3は、式(I)の化合物を調製するためのなお別の方法を示す。詳細には、式(II)の化合物は、式(VIII)のアセチレンで環化されて、式(IX)の中間体化合物を形成し得る。この中間体とNaOHとの反応、続いて、臭素化剤(N−ブロモスクシンイミド)と反応して、式(I)の化合物を生じる。式(X)の化合物と式(XI)または式(XII)のいずれかの試薬とのさらなる反応は、式(I)の化合物を生じる。参照として、Stille,Angew.Chem.IN.Ed.Engl.25,508(1996)およびSuzukiら、Synth.Commun.11,513(1981)を参照のこと。
【0062】
(スキーム3)
【0063】
【化6】

式(III)および式(VIII)のアセチレン(それぞれ、スキーム1および3に示される合成手順の開始化合物)を、以下の式4に従って調製し得る。詳細には、2−ハロピリジン(XIII)は、最初に、トリメチルシリルアセチレンと反応して、トリメチルシラニルエチニル置換ピリジン(XIV)を形成し得、これは、次いで、塩基(例えば、NaOH、KCO、またはテトラブチルアンモニウムフルオリド)で脱保護されて、式(XV)の2−エチニルピリジンを生じる。この化合物と無水酢酸およびクロロギ酸メチルとのさらなる反応は、それぞれ、式(III)および式(VIII)の化合物を生じる。
【0064】
(スキーム4)
【0065】
【化7】

なおさらに、式(I)の化合物は、以下のスキーム5に従って調製され得る。詳細には、式(XVI)のジアリールアセチレンまたは式(XVII)のケトンは、アミン化剤(例えば、O−(メシチルスルホニル)−ヒドロキシルアミン)で環化されて、式(XVIII)の化合物を生じ、これは、臭素化(例えば、N−ブロモスクシンイミドを使用することによる)されて、式(X)の化合物を形成し得る。式(X)と式(XI)または式(XII)のいずれかの試薬とのさらなる反応は、式(I)の化合物を生じる。
【0066】
(スキーム5)
【0067】
【化8】

式(XVII)の開始化合物を、上記スキーム4に示される方法と類似の方法に従って、例えば、適切なピリジルアセチレンと2−ハロピリジンとを結合することによって調製され得る。参照として、Yamanakeら、Chem.Pharm.Bull.1890(1988)を参照のこと。式(XVII)の化合物はまた、公知の方法(例えば、Cassityら、J.Org.Chem.2286(1978)を参照のこと)に従って調製され得る。
【0068】
スキーム2に加えて、式(I)の化合物を、スキーム6および7に従って、式(I)の他の化合物に改変され得る。Rcは、アルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキルを表すことに留意のこと。
【0069】
【化9】

当業者に明らかであるように、いくつかの中間体は、上記に記載されるような合成工程を行う前に、保護される必要があり得る。適切な保護基としては、例えば、T.W.Greene,Protective Groupsin Organic Synthesis,John Wiley & Sons,Inc.,New York(1981)を参照のこと。
【0070】
(式(I)の化合物の使用)
上記に議論されるように、TGFβファミリーシグナル伝達経路の過活動は、細胞外基質の過剰な沈着および炎症性応答の増加をもたらし、このことは、組織および器官(例えば、肺、腎臓、および肝臓)の線維症を引き起こし、最終的に器官不全をもたらす。例えば,Border,W.A.およびRuoslahti E.JClin.Invest.90:1−7(1992)、ならびにBorder,W.A.およびNoble,N.A.N.Engl.J.Med 331:1286−1292(1994)を参照のこと。TGFβ mRNAおよび/もしくはアクチビンmRNAの発現、ならびにTGFβおよび/もしくはアクチビンのレベルが、種々の線維症障害(線維症性腎疾患、アルコール性および自己免疫性肝炎、骨髄線維症,ブレオマイシン誘導性肺線維症、および特発性肺線維症)に罹患する患者において増加されるという研究が示された
したがって、式(I)の化合物(これは、TGFβファミリーI型レセプター、Alk5および/もしくはAlk4のアンタゴニストであり、そしてTGFβおよび/もしくはアクチビンシグナル伝達経路を阻害する)は、線維性障害、または増加したTGFβおよび/もしくはアクチビン活性によって媒介される疾患の処置ならびに/あるいは予防に有用である。本明細書中で使用される場合、化合物は、それがこの経路のレセプター(例えば、Alk5および/もしくはAlk4)に(例えば、10μMより低いIC50値で;好ましくは、1μMより低いIC50値で;より好ましくは、0.1μMより低いIC50値で)結合する場合、TGFβシグナル伝達経路を阻害し、それによって、このレセプター上の結合部位に関して内在性のリガンドもしくは基質と競合して、このレセプターの、内在性のリガンドもしくは基質の結合に応答した細胞内シグナルを伝達する能力を低下させる。上記の障害もしくは疾患としては、以下:(a)異常な高レベルのTGFβおよび/もしくはアクチビンの存在によって特徴付けられるあらゆる状態;および/もしくは(b)細胞外基質の過剰な蓄積;および/もしくは(c)筋線維芽細胞の数および合成活性の増加、が挙げられる。これらの障害もしくは疾患としては、線維症状態(例えば、強皮症、特発性肺線維症、糸球体腎炎,、糖尿病性腎症、ループス腎炎、高血圧症誘発腎症、眼球および角膜の瘢痕、肝臓線維症もしくは胆汁線維症、急性肺損傷、肺線維症、梗塞後心線維症、線維硬化症、線維性癌、類線維腫、線維腫、線維腺腫、線維肉腫)が挙げられる(限定ではない)。式(I)の化合物による予防処置に関する他の線維症状態は、放射線治療誘導性線維症、化学療法誘導性線維症、外科手術誘導性瘢痕(外科手術性の癒着、椎弓切除術、および冠状動脈再狭窄を含む)を含む治療有用性を有し得る。
【0071】
増加したTGFβ活性はまた、進行性癌を有する患者において、顕著に見られる。研究は、種々の癌の後期段階において、腫瘍内の腫瘍細胞および間質細胞の両方が、一般的にTGFβを過剰発現することを示した。このことは、新脈管新生の刺激、細胞の運動性、免疫系の抑制、および腫瘍細胞と細胞外基質との相互作用の増加をもたらす。例えば、Hojo,M.ら、Nature 397:530−534(1999)を参照のこと。結果として、腫瘍細胞は、より侵襲的になり、離れた器官に転移する。例えば、Maehara,Y.ら、J.Clin.Oncol.17:607−614(1999)、およびPicon,A.ら、Cancer Epidemiol.Biomarkers Prev.7:497−504(1998)を参照のこと。したがって、式(I)の化合物(これは、TGFβ I型レセプターのアンタゴニストであり、そしてTGFβおよび/もしくは予防に有用である。このような後期段階の癌としては、肺、乳房、肝臓、胆管、胃腸管、頭部および頸部、膵臓、前立腺、頸部の癌腫、ならびに多発性骨髄腫、黒色腫、神経膠腫、およびグリア芽細胞腫が挙げられる。
【0072】
重要なことには、TGFβおよび/もしくはアクチビンの過剰発現によって媒介される障害もしくは疾患(例えば、線維症もしくは癌)の慢性性質、およびいくつかの場合、局在性性質のため、低分子処置(例えば、本発明に開示される処置)が、長期処置のために好ましい。
【0073】
式(I)の化合物は、高レベルのTGFβおよび/もしくはアクチビン活性によって媒介される障害もしくは疾患を処置するのに有用なだけでなく、これらの化合物はまた、同じ障害もしくは疾患を予防するために使用され得る。TGFβおよび/もしくはアクチビン生成の増加をもたらす多型が、線維症および高血圧に関連することが知られている。実際、高い血清TGFβレベルは、放射線療法を受けた乳癌患者における線維症、慢性対宿主性移植片病、特発性間質性肺炎、移植レシピエントの静脈閉塞疾患、および連続的な歩行式腹膜透析を受けた患者における線維症の発生と相関している。従って、血清におけるTGFβおよび/またはアクチビンのレベルならびに組織におけるTGFβ mRNAおよび/またはアクチビンmRNAのレベルは、測定され得、かつTGFβおよび/またはアクチビンの過剰発現により媒介される障害または疾患についての診断マーカーまたは予後マーカーとして使用され得、そしてTGFβおよび/またはアクチビンの産生を決定するTGFβ遺伝子における多形はまた、障害または疾患に対する感受性を予測するのに使用され得る。例えば、Blobe,G.C.ら,N.Engl.J.Med.342(18):1350−1358(2000);Matsuse,T.ら,Am.J.Respir.Cell.Mol.Biol.13:17−24(1995);Inoue,S.ら,Biochem.Biophys.Res.Comm.205:441−448(1994);Matsuse,Tら,Am.J.Pathol.148:707−713(1996);De Bleserら,Hepatology 26:905−912(1997);Pawlowski,J.E.ら,J.Clin.Invest.100:639−648(1997);およびSugiyama,M.ら,Gastroenterology 114:550−558(1998)を参照のこと。
【0074】
(式(I)の化合物の投与)
上記の通り、有効量とは、処置される患者に対して治療効果を与えるのに必要な量である。式(I)の化合物について、有効量は、例えば、約1mg/kg〜約150mg/kg(例えば、約1mg/kg〜約100mg/kg)の範囲であり得る。有効用量はまた、当業者に認識されているように、投与経路、賦形剤の使用、および他の治療処置の同時使用(他の治療剤および/もしくは放射線療法の使用を含む)の可能性に依存して変化する。
【0075】
式(I)の化合物は、薬学的化合物の投与に適した任意の様式(ピル、錠剤、カプセル、エアロゾル、坐剤、経口摂取もしくは注射のためまたは点眼もしくは点耳として使用するための液体処方物、栄養補助食品、および局所用調製物を含むがこれらに限定されない)で投与され得る。薬学的に受容可能な組成物としては、等張性生理食塩水、5%グルコース、または他の周知の薬学的に受容可能な賦形剤中の活性剤の水溶液が挙げられる。可溶化剤(例えば、シクロデキストリンまたは当業者に周知の他の可溶化剤)が、治療化合物の送達のために薬学的賦形剤として使用され得る。投与経路に関して、この組成物は、経口的に、鼻内に、経皮的に、皮内に、膣内に、耳内に、眼内に、頬内に、直腸に、経粘膜的に、または吸入、移植(例えば、外科的に)、もしくは静脈内投与を通じて投与され得る。この組成物は、動物(例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、イヌ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ハムスター、アレチネズミ、フェレット、トカゲ、爬虫類、または鳥類)に投与され得る。
【0076】
必要に応じて、式(I)の化合物は、TGFβシグナル伝達経路を阻害するかまたは異なる作用機構により対応する病理学的障害(例えば、線維症または進行性癌)を処置する1つ以上の他の薬剤と組み合わせて投与され得る。これらの薬剤の例としては、アンジオテンシン変換酵素インヒビター、非ステロイドおよびステロイド抗炎症剤、および化学療法剤もしくは放射線、ならびにTGFβレセプターのリガンド結合または活性化をアンタゴナイズする薬剤(例えば、抗TGFβ、抗TGFβレセプター抗体、またはTGFβ II型レセプターのアンタゴニスト)が挙げられる。
【0077】
本発明は、以下の実施例にさらに記載されており、これらの実施例は、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定しない。
【0078】
上記スキーム1および2に説明される合成手順は、以下の表題化合物の調製において使用された。
【実施例】
【0079】
(実施例1)
(4−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−4−イル]−ピリミジン−2−イルアミン)
表題化合物の合成を、以下の部分(a)〜(f)に記載する。
【0080】
(a)2−メチル−6−トリメチルシラニルエチニル−ピリジン
無水トリエチルアミン(45mL)、PdCl2(PPh3)2(0.48mmol)、およびヨウ化銅(I)(1.45mmol)を、6−ブロモ−2−メチルピリジン(48.2mmol)の無水DMF(110mL)溶液に添加した。(トリメチルシリル)アセチレン(62.6mmol)を得られたオレンジ色溶液に滴下した。室温で一晩攪拌後、反応物を減圧下で濃縮し、そしてエーテル(100mL)、ヘキサン(100mL)および水(100mL)で希釈した。このエマルジョンをセライトプラグを通して濾過し、エーテルでリンスした。分離した有機相を水(1×)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮して、2−メチル−6−トリメチルシラニルエチニル−ピリジンとして同定された、8.86gの暗褐色油状物を得た。
【0081】
【化10】

(b)2−エチニル−6−メチル−ピリジン
2−メチル−6−トリメチルシラニルエチニル−ピリジン(46.8mmol)の飽和炭酸カリウム/メタノール(115mL)溶液を室温で1時間攪拌し、減圧下で濃縮し、エーテル(200mL)中に溶解し、水(2×100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮して、2−エチニル−6−メチル−ピリジンとして同定された、4.8gの暗褐色油状物を得た。
【0082】
【化11】

(c)4−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ブト−3−イン−2−オン
2−エチニル−6−メチル−ピリジン(41.00mmol)の無水THF(30mL)溶液を、1.0M エチルマグネシウムブロミド/THF(61.5mmol)の無水THF(30mL)溶液に、0℃で窒素雰囲気下で、ガスを放出させながら滴下した。30分攪拌後、この溶液を、0℃で窒素雰囲気下で、無水酢酸(82.0mmol)の無水THF(30mL)溶液に、カニューレで移した。さらに45分後、反応物を飽和塩化アンモニウムでクエンチした。室温で攪拌後、反応物を、水で希釈した。水相をエーテル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機相を飽和塩化アンモニウム(2×)で洗浄し、乾燥/脱色(MgSO/チャコール)し、減圧下で濃縮して、4−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ブト−3−イン−2−オンとして同定される、6.54gの褐色油状物を得た。
【0083】
【化12】

(d)1−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル−エタノン
ヨウ化1−アミノピリジニウム(82.0mml)を、4−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ブト−3−イン−2−オン(41.0mmol)の塩化メチレン(60mL)溶液に、室温で添加した。0℃に冷却した後、水酸化カリウム(106.6mmol)の水(60mL)溶液を添加し、この二相混合物を活発に攪拌した。5分後、反応物を室温に温めた。3.5時間後、反応物を、1:1塩化メチレン/水(120mL)で希釈し、そしてpHを濃塩酸で7に調節した。水相を広範囲に塩化メチレンで抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして減圧下で濃縮して、暗褐色固体を得た。この固体を酢酸エチル(20mL)中に溶解し、希1N塩酸で抽出した。合わせた水相を酢酸エチル(1×)で洗浄し、固体ビカルボネートでpH8に調節し、そして酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機相を水(1×)、ブライン(1×)、乾燥/脱色(MgSO/チャコール)し、減圧下で濃縮して、1−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル−エタノンとして同定される5.24gの黄褐色固体を得た。
【0084】
【化13】

(e)3−ジメチルアミノ−1−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル]−プロペノン
1−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル−エタノン(20.85mmol)の、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール(80mL)溶液を、窒素雰囲気下で135℃に温めた。3日後、この反応物を減圧下で一定質量に濃縮し、そして3−ジメチルアミノ−1−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル]−プロペノンとして同定した。
【0085】
【化14】

(f)4−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル]−ピリミジン−2−イルアミン
21wt%のナトリウムエトキシド/エタノール(48.99mmol)を、無水イソプロピルアルコール(50mL)中のグアニジンHCl(48.99mmol)のスラリーに添加した。塩化ナトリウムがすぐに沈殿した。この懸濁液に、3−ジメチルアミノ−1−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル]−プロペノン(20.85mmol)の無水イソプロピルアルコール(50mL)溶液を添加した。次いで、この暗い懸濁液を一晩加熱還流した。暖かい反応物を氷(130g)上に注ぎ、フラスコを水でリンスし、リンスを氷スラリーに添加した。この懸濁液を1.5時間攪拌し、濾過し、冷水で洗浄し、空気乾燥して、4−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル]−ピリミジン−2−イルアミンとして同定される、2.63gの黄褐色固体を得た。水性母液を減圧下で濃縮し、イソプロピルアルコールでスラリー化し、濾過し、イソプロピルアルコール、水および塩化メチレンで洗浄し、空気乾燥して、4−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル]−ピリミジン−2−イルアミンとして同定された1.25gの黄褐色粉末を得た。収穫物を塩化メチレン中最終の再スラリーのために合わせ、固体を濾過し、そして空気乾燥して、3.62gの黄褐色固体を得た。
【0086】
【化15】

式(I)の化合物のTGFβもしくはアクチビン抑制性活性は、以下の実施例に記載される方法によって、評価され得る。
【0087】
(実施例2)
(TGFβ I型レセプター自己リン酸化の抑制を評価するためのセルフリーアッセイ)
TGFβ I型セリン−スレオニンキナーゼ活性を、N末端ポリヒスチジン、TEV切断部位標識(例えば、His−TGFβRI)を含有するレセプターの細胞質内ドメインの自己リン酸化活性として測定した。このHis標識化レセプター細胞質内キナーゼドメインを、感染した昆虫細胞培養物から、Gibco−BRL FastBac HTbバキュロウイルス発現ベクターシステムを用いて精製した。
【0088】
96ウェルNickel FlashPlate(NEN Life Science,Perkin Elmer)に、アッセイ緩衝液(50mM Hepes、60mM NaCl,1mM MgCl,2mM DTT,5mM MnCl,2%グリセロール、および0.015% Brij 35)中の1.25μCi33P−ATP/25μM ATPを、20μl添加した。5%DMSO溶液中に調製した式(I)の試験化合物10μlを、FlashPlateに添加した。次いで、12.5pmolのHis−TGFβRIを含有するアッセイ緩衝液 20μlの、各ウェルへの添加によって、アッセイを開始した。プレートを30分間室温でインキュベートし、次いで、TBSによる単回リンスによって、反応を終了した。プレートの各ウェルからの放射を、TopCount(Packard)上で読み取った。全結合(阻害なし)を試験化合物を含まないDMSO溶液の存在下で測定された数値として定義し、そして非特異的結合を、EDTAもしくはキナーゼを含まないコントロールの存在下で測定された数値として定義した。
【0089】
あるいは、上記の試薬およびインキュベーション条件を用いて、しかし微量遠心管内で実施された反応を、4%〜20%SDS−PAGEゲル上での分離によって分析し、そして40kDa His−TGFβRI SDS−PAGEバンドへの放射線標識の組み込みを、Storm Phosphoimager(Molecular Dynamics)上で定量化した。
【0090】
式(I)の化合物は、代表的に、10μMより低いIC50値を示した;いくつかは、0.1μMより低いIC50値を示した。
【0091】
(実施例3)
式(I)の試験化合物による、アクチビンI型レセプター(Alk4)キナーゼ自己リン酸化活性の阻害は、同様にHis標識された形態のAlk4(His−Alk4)が、His−TGFβRIの代わりに用いられたことを除いて、上記の実施例7に記載されるのと同様の様式で決定され得る。
【0092】
(実施例4)
(TGFβのシグナル伝達および細胞毒性の細胞性阻害を評価するためのアッセイ)
式(I)の化合物の生物学的活性を、HepG2細胞における、それらのTGFβ誘導性PAIルシフェラーゼレポーター活性を阻害する活性を測定することによって、決定した。
【0093】
HepG2細胞を、10%FBS、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、L−グルタミン(2mM)、ピルビン酸ナトリウム(1mM)、および非必須アミノ酸(1×)を含むDMEM培地中で増殖したPAIルシフェラーゼレポーターを用いて、安定にトランスフェクトした。次いで、トランスフェクトされた細胞を、96ウェルプレート中に2.5×10細胞/ウェルの濃度で平板培養し、そして5%COインキュベーター内で、0.5%FBSを含む培地中で37℃で3時間〜6時間飢餓状態においた。次いで、細胞を、リガンドの2.5ng/ml TGFβ(1%DMSOを含有する飢餓培地中)および式(I)の試験化合物の存在下、またはリガンドの2.5ng/ml TGFβ(1%DMSOを含有する飢餓培地中)および式(I)の試験化合物の非存在下のいずれかで刺激し、そして上記に記載するように24時間インキュベートした。後日、この培地を洗浄し、そして、推奨されるようにLucLite Luciferase Reporter Gene Assay kit(Packard,cat.no.6016911)を用いて、ルシフェラーゼレポーターを検出した。プレートを、Wallac Microbetaプレートリーダー上で読み取り、その読みを、HepG2細胞におけるTGFβ誘導性PAIルシフェラーゼレポーター活性の抑制に関する式(I)の化合物のIC50値を決定するのに使用した。式(I)の化合物は、代表的に、10μMより低いIC50値を示した。
【0094】
上記に記載されるのと同じ細胞培養条件を用いて、細胞毒性を決定した。具体的には、CytoLite cell viability kit(Packard,cat.no.6016901)を用いた一晩のインキュベーションの後に、細胞の生存度を決定した。式(I)の化合物は、代表的に、10μMより高いLD25値を示した。
【0095】
(実施例5)
(TGFβのシグナル伝達の細胞性阻害を評価するためのアッセイ)
式(I)の化合物によるアクチビンシグナル伝達活性の細胞性阻害を、血清飢餓細胞に2.5ng/ml TGFβの代わりに100ng/mlのアクチビンを添加することを除いて、上記の実施例115に記載されるのと同様の様式で決定した。
【0096】
(実施例6)
(TGFβ誘導性コラーゲン発現に関するアッセイ)
(不死化コラーゲンプロモーター−緑色蛍光タンパク質細胞の調製)
コラーゲン1A1プロモーター(Krempen,K.ら、Gene Exp.8:151−163(1999)を参照のこと)の制御下で、線維芽細胞を、緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する成体トランスジェニックマウスの皮膚から誘導した。細胞を、33℃で活性な温度感受性巨大T抗原で不死化した。細胞を33℃で増殖させ、次いで、37℃に移動し、それによって巨大Tを不活性化した(Xu,S.ら、Exp.Cell Res.220:407−414(1995)を参照のこと)。約4日の経過および1回の分裂を経て、細胞は増殖を停止する。次いで、細胞を単一の96ウェルプレートに十分なアリコート中に凍結させる。
【0097】
(TGFβ誘導性コラーゲン−GFP発現のアッセイ)
細胞を解凍し、10%ウシ胎仔を含む血清完全DMEM(非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、および2mM L−グルタミンを含む)中で平板培養し、37℃、5%COでインキュベートする。後日、細胞をトリプシン処理し、50μlの完全DMEM(2%ウシ胎仔を含むが、フェノールレッドを含まない)中に30000細胞/ウェルとして、96ウェル形式に移動する。細胞を37℃で3時間〜4時間インキュベートし、それらをプレートに接着させ、次いで、式(I)の試験化合物を含む溶液を、TGFβを含まない3つのウェルに添加し、同様に1ng/mlのTGFβを含む3つのウェルに添加する。DMSOをまた、0.1%の最終濃度で全てのウェルに添加する。CytoFluor マイクロプレートリーダー(PerSeptive Biosystems)上で、485nmでの励起に続く、530nmでのGFPの蛍光放出を、試験化合物を含む溶液の添加の48時間後に計測した。次いでデータを、各試験サンプルについて、TGFβ非誘導性に対するTGFβ誘導性の比率として表現する。
【0098】
(他の実施形態)
本発明が、それらの詳細な説明とともに記載されてきたが、上記の記載が、本発明の範囲を説明することを意図されており、本発明の範囲を限定することを意図されないということ、本発明の範囲が、添付の特許請求の範囲によって定義されるということは、理解されるべきである。他の局面、利点もよび改変は、以下の特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物:
【化1】

ここで、
、X、X、およびXの各々は、独立して、CRまたはNであり;但し、X、X、X、およびXのうちの2つのみが、同時にNであり得;
およびYの各々は、独立してCRまたはNであり;但し、YおよびYのうちの少なくとも1つは、Nでなければならず;
各Rは、独立して、以下:アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アシル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、グアナジノ、アミジノ、カルボキシ、スルホ、メルカプト、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、カルバモイル、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルスルファニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルスルファニル、アリール、アリールオキシ、アリールスルファニル、アロイル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールスルファニル、もしくはヘテロアロイルであり;
各Rは、独立して、以下:アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、ハロ、ヒドロキシ、−NH、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)(シクロカルキル)、−NH(ヘテロシクロアルキル)、−NH(ヘテロアリール)、−NH−アルキル−ヘテロシクロアルキル、−NH−アルキル−ヘテロアリール、−NH(アラルキル)、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アリール、アラルキル、アロイル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロアロイル、ニトロ、シアノ、グアナジノ、アミジノ、カルボキシ、スルホ、メルカプト、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、(シクロアルキル)アルコキシ、アリールオキシ、アリールアルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、(ヘテロシクロアルキル)アルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルコキシ、アルキルスルファニル、シクロアルキルスルファニル、(シクロアルキル)アルキルスルファニル、アリールスルファニル、アラルキルスルファニル、ヘテロシクロアルキルスルファニル、(ヘテロシクロアルキル)アルキルスルファニル、ヘテロアリールスルファニル、ヘテロアリールアルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノカルボニル、アミノスルホニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノアルキルアミノ、(ヘテロアリール)アリールカルボニルアミノアルキルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノアルキルアミノ、(ヘテロアリール)アリールスルホニルアミノアルキルカルボニルアミノアルキルアミノ、アリールスルホニルアミノアルキルアミノ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、もしくはカルバモイルであり;
mは、0、1、2、3、もしくは4から選択され;ここで、m≧2の場合、2個の隣接したR基は、結合して、4員〜8員の必要に応じて置換した環状部分を形成し得;
nは、0、1、2、もしくは3から選択され;ここで、n≧2の場合、2個の隣接したR基は、結合して、4員〜8員の必要に応じて置換した環状部分を形成し得;そして、
各RおよびRは、独立して、以下:水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アシル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、グアナジノ、アミジノ、カルボキシ、スルホ、メルカプト、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、シクロアルキルカルボニル、(シクロアルキル)アルキルカルボニル、アロイル、アラルキルカルボニル、ヘテロシクロアルキルカルボニル、(ヘテロシクロアルキル)アシル、ヘテロアロイル、(ヘテロアリール)アシル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、(アミノ)アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルスルホニルアミノ、(シクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキル)アルキルスルホニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、アラルキルスルホニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)スルホニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルキルスルホニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルスルホニルアミノ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、カルバモイル、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルスルファニル、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルキル)アルコキシ、(シクロアルキル)アルキルスルファニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルスルファニル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルコキシ、(ヘテロシクロアルキル)アルキルスルファニル、アリール、アリールオキシ、アリールスルファニル、アラルキル、アラルキルオキシ、アラルキルスルファニル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールスルファニル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリール)アルコキシ、もしくは(ヘテロアリール)アルキルスルファニルである、
化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩もしくはN−オキシド。
【請求項2】
、X、XおよびXの各々が、独立してCRである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
各Rが、独立して、水素、非置換のアルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アミノアルキル、アリールオキシアルキル、ヘテロアラルキルオキシアルキル、アルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、グアナジノ、アミジノ、アミノ、カルボキシ、(ヘテロアリール)アシル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)アルコキシ、(ヘテロアリール)アルコキシ、(ヘテロアリール)アルキルスルファニル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロアラルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
各Rが、独立して、水素、非置換アルキル、ヒドロキシアルキル、トリフルオロメチル、アルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、グアナジノ、アミジノ、−NH、−NH(非置換アルキル)、−NH(ヒドロキシアルキル)、−NH(アルコキシアルキル)、−NH(カルボキシアルキル)、−N(非置換アルキル)、−NH(ヘテロシクロアルキル)、−NH(ヘテロアリール)、−NH(ヘテロシクロアルキルアルキル)、−NH(アラルキル)、−NH(ヘテロアラルキル)、−NH−CO−アルキル、−NH−CO−ヘテロアリール、アミノカルボニル、ヘテロシクロアルキル、もしくはヘテロアリールである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
各Rが、独立して、水素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
、X、およびXの各々が、−CH−、−C(CH)−、−C(OH)−、−C(NH)−、−C(CO−NH)−、−C(CO−NHOH)−、−C(NH(非置換アルキル))−、−C(NH(アリール))−、−C(NH(アラルキル))−、−C(NH(ヘテロアリール))−、−C(NH(ヘテロアリールアルキル))−、−C(NH−CO−(非置換アルキル))−、−C(NH−CO−(アリール))−、−C(NH−CO−(ヘテロアリール))−、−C(NH−CO−(アラルキル))−、−C(NH−CO−(ヘテロアリールアルキル))−、−C(NH−SO−(非置換アルキル))−、−C(NH−SO−(アリール))−、−C(NH−SO−ヘテロアリール))−、−C(NH−SO−(アラルキル))−、−C(NH−SO−(ヘテロアリールアルキル))−、−C(NH−SO−NH(非置換アルキル))−、−C(NH−SO−NH(アリール))−、−C(NH−SO−NH(ヘテロアリール))−、−C(NH−SO−NH(アラルキル))−、−C(NH−SO−NH(ヘテロアリールアルキル))−、−C(ヒドロキシアルキル)−、もしくは−C(カルボキシ)−であり、そしてXが、−CH−である、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
mが、0、1、もしくは2から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
各Rが、独立して、非置換アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アミノアルキル、アリールオキシアルキル、ヘテロアラルキルオキシアルキル、非置換アルケニル、アルコキシ、アシル、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、グアナジノ、アミジノ、アミノ、カルボキシ、メルカプト、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルスルホニル、スルファモイル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロアラルキルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
mが1であり、そしてRが、6−アルキル、6−アルケニル、または6−シクロアルキルから選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
およびYの両方が、Nである、請求項7に記載の化合物。
【請求項11】
nが、1もしくは2であり、そして各Rが、独立して、非置換アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アミノアルキル、アリールオキシアルキル、ヘテロアラルキルオキシアルキル、アルコキシ、アシル、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、グアナジノ、アミジノ、−NH、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モノシクロアルキルアミノ、モノヘテロシクロアルキル−アミノ、モノヘテロアリール−アミノ、モノ(ヘテロシクロアルキルアルキル)アミノ、モノ(ヘテロアラルキル)アミノ、−N(アルキル)(シクロアルキル)、メルカプト、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、−CO−NH、−CO−NH(アルキル)、−CO−N(アルキル)、−NH−CO−アルキル、−N(アルキル)−CO−アルキル、−CO−アルキル、−O−CO−アルキル、−SO−NH、−SO−NH(アルキル)、−SO−N(アルキル)、−NH−SO−アルキル、−N(アルキル)−SO−アルキル、−NH−CO−NH(アルキル)、−N(アルキル)−CO−NH(アルキル)、−NH−アルキル−NH−CO−アルキル−ヘテロアリール、−NH−アルキル−NH−CO−アリール−ヘテロアリール、−NH−アルキル−NH−CO−アルキル−NH−SO−アリール−ヘテロアリール、−NH−アルキル−NH−SO−アリール、−NH−SO−NH(アルキル)、−N(アルキル)−SO−NH(アルキル)、ヘテロシクロアルキル、もしくはヘテロアリールである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、その3位置で置換され、グアナジノ、アミジノ、−NH、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モノシクロアルキルアミノ、モノヘテロシクロアルキルアミノ、モノヘテロアリールアミノ、モノ((ヘテロシクロアルキル)アルキル)アミノ、モノ(ヘテロアラルキル)アミノ、−NH−CO−NH(アルキル)、−N(アルキル)−CO−NH(アルキル)、−NH−アルキル−NH−CO−アルキル−ヘテロアリール、−NH−アルキル−NH−CO−アリール−ヘテロアリール、−NH−アルキル−NH−CO−アルキル−NH−SO−アリール−ヘテロアリール、−NH−アルキル−NH−SO−アリール、−NH−SO−NH(アルキル)、−N(アルキル)−SO−NH(アルキル)、ヘテロシクロアルキル、もしくはヘテロアリールである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
mが1であり、そしてRが、6−メチル、6−エチル、6−プロピル、6−トリフルオロメチル、6−ビニル、もしくは6−シクロプロピルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
mが、0、1もしくは2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
が、5位もしくは6位で置換される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
が、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、ハロ、アミノ、アミノカルボニル、もしくはアルコキシカルボニルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
が、非置換アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アミノアルキル、アリールオキシアルキル、ヘテロアラルキルオキシアルキル、非置換アルケニル、アルコキシ、アシル、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、グアナジノ、アミジノ、−NH、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モノヘテロシクロアルキルアミノ、モノヘテロアリールアミノ、モノ(ヘテロシクリルアルキル)アミノ、モノ(アラルキル)アミノ、モノ(ヘテロアラルキル)アミノ、カルボキシ、メルカプト、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、−CONH、−CONH(アルキル)、−CO−N(アルキル)、−NH−CO−アルキル、−N(アルキル)−CO−アルキル、−CO−アルキル、−O−CO−アルキル、−SO−NH、−SO−NH(アルキル)、−SO−N(アルキル)、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、もしくはヘテロアリールから独立して選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項18】
mが1であり、Rが、6−メチル、6−エチル、6−プロピル、6−クロロ、6−トリフルオロメチル、6−エチル、6−ビニル、もしくは6−シクロプロピルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
およびYが、Nである、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
nが、1もしくは2であり、そして各Rが、独立して、非置換アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アミノアルキル、アリールオキシアルキル、ヘテロアラルキルオキシアルキル、アルコキシ、アシル、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、グアナジノ、アミジノ、−NH、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モノシクロアルキルアミノ、モノヘテロシクロアルキルアミノ、モノヘテロアリール−アミノ、モノ(ヘテロシクロアルキルアルキル)−アミノ、モノ(ヘテロアラルキル)アミノ、−N(アルキル)(シクロアルキル)、メルカプト、アルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、−CONH、−CONH(アルキル)、−CO−N(アルキル)、−NH−CO−アルキル、−N(アルキル)−CO−アルキル、−CO−アルキル、−O−CO−アルキル、−SO−NH、−SO−NH(アルキル)、−SO−N(アルキル)、−NH−SO−アルキル、−N(アルキル)−SO−アルキル、−NH−CO−NH(アルキル)、−N(アルキル)−CO−NH(アルキル)、−NH−SO−NH(アルキル)、−N(アルキル)−SO−NH(アルキル)、−NH−アルキル−NH−CO−アルキル−ヘテロアリール、−NH−アルキル−NH−CO−アリール−ヘテロアリール、−NH−アルキル−NH−CO−アルキル−NH−SO−アリール−ヘテロアリール、−NH−アルキル−NH−SO−アリール、ヘテロシクロアルキル、もしくはヘテロアリールである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
nが1であり、そして各Rが、独立して、グアナジノ、アミジノ、−NH、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モノシクロアルキルアミノ、モノヘテロシクロアルキルアミノ、モノヘテロアリールアミノ、モノ((ヘテロシクロアルキル)アルキル)アミノ、モノ(ヘテロアラルキル)アミノ、−NH−CO−NH(アルキル)、−N(アルキル)−CO−NH(アルキル)、−NH−SO−NH(アルキル)、−N(アルキル)−SO−NH(アルキル)、−NH−アルキル−NH−CO−アルキル−ヘテロアリール、−NH−アルキル−NH−CO−アリール−ヘテロアリール、−NH−アルキル−NH−CO−アルキル−NH−SO−アリール−ヘテロアリール、−NH−アルキル−NH−SO−アリール、ヘテロシクロアルキル、もしくはヘテロアリールである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
が、3位で置換される、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
、XおよびXの各々が、独立して、−CH−、−C(OH)−、−C(NH)−、−C(NH(非置換アルキル))−、−C(NH(アリール))−、−C(NH(アラルキル))−、−C(NH(ヘテロアリール))−、−C(NH(ヘテロアリールアルキル))−、−C(NH−CO−(非置換アルキル))−、−C(NH−CO−(アリール))−、−C(NH−CO−(ヘテロアリール))−、−C(NH−CO−(アラルキル))−、−C(NH−CO−(ヘテロアリールアルキル))−、−C(NH−SO−(非置換アルキル))−、−C(NH−SO−(アリール))−、−C(NH−SO−ヘテロアリール))−、−C(NH−SO−(アラルキル))−、−C(NH−SO−(ヘテロアリールアルキル))−、−C(NH−SO−NH(非置換アルキル))−、−C(NH−SO−NH(アリール))−、−C(NH−SO−NH(ヘテロアリール))−、−C(NH−SO−NH(アラルキル))−、−C(NH−SO−NH(ヘテロアリールアルキル))−、−C(ヒドロキシアルキル)−、−C(カルボキシ)−、もしくはNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
が、−CH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
が、Nである、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
が、Nである、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
が、Nである、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
が、Nである、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
請求項1に記載の化合物であって、該化合物が、以下:
4−(2−ピリジン−2−イル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−イル)−ピリミジン−2−イルアミン、4−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル]−ピリミジン−2−イルアミン、2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−3−(2−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン、4−[2−(6−クロロ−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−c]ピリミジン−3−イル]−ピリミジン−2−イルアミン、2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−3−(2−モルホリン−4−イル−ピリミジン−4−イル)−ピラゾロ[1,5−c]ピリミジン、4−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピラジン−3−イル]−ピリミジン−2−イルアミン、4−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]−ピリミジン−2−イルアミン、4−[2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−ピラゾロ[1,5−c]ピリミジン−3−イル]−ピリミジン−2−イルアミン、またはその薬学的に受容可能な塩もしくはN−オキシドである、化合物。
【請求項30】
請求項1に記載の化合物、および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
【請求項31】
請求項29に記載の化合物、および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
【請求項32】
被験体におけるTGFβシグナル伝達経路を阻害する方法であって、請求項1に記載の化合物の有効量を、該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項33】
被験体におけるTGFβシグナル伝達経路を阻害する方法であって、請求項29に記載の化合物の有効量を、該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項34】
細胞におけるTGFβ I型レセプタを阻害する方法であって、請求項1に記載の化合物の有効量を、該細胞に接触させる工程を包含する、方法。
【請求項35】
細胞におけるTGFβ I型レセプタを阻害する方法であって、請求項29に記載の化合物の有効量を、該細胞に接触させる工程を包含する、方法。
【請求項36】
被験体においてTGFβにより誘発された過剰な細胞外マトリックスの蓄積を減らす方法であって、請求項1に記載の化合物の有効量を、該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項37】
被験体においてTGFβにより誘発された過剰な細胞外マトリックスの蓄積を減らす方法であって、請求項29に記載の化合物の有効量を、該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項38】
被験体における線維性の状態を治療または予防する方法であって、請求項1に記載の化合物の有効量を、該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項39】
被験体における線維性の状態を治療または予防する方法であって、請求項29に記載の化合物の有効量を、該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項40】
前記線維性の状態が、強皮症、ループス腎炎、結合織疾患、創傷治癒、外科手術の瘢痕、脊髄損傷、CNS瘢痕、急性肺損傷、特発性肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、急性肺損傷、薬物誘発性肺損傷、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、高血圧症誘発腎症、肝臓線維症もしくは胆汁線維症、肝硬変、原発性胆汁性肝硬変、脂肪肝疾患、原発性硬化性胆管炎、再狭窄、心線維症、眼球の瘢痕、線維硬化症、線維性癌、類線維腫、線維腫、線維腺腫、線維肉腫、移植動脈疾患、およびケロイドから選択される、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
被験体における腫瘍細胞の転移を阻害する方法であって、請求項1に記載の化合物の有効量を、該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項42】
被験体における腫瘍細胞の転移を阻害する方法であって、請求項29に記載の化合物の有効量を、該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項43】
TGFβの過剰発現により媒介される疾患もしくは障害を治療する方法であって、このような治療が必要な被験体に、請求項1に記載の化合物の有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項44】
TGFβの過剰発現により媒介される疾患もしくは障害を治療する方法であって、このような治療が必要な被験体に、請求項29に記載の化合物の有効量を投与する工程を包含する、方法。
【請求項45】
前記疾患もしくは障害が、多発性硬化症におけるニューロンの脱髄、アルツハイマー病、大脳の脈管障害、扁平上皮癌、多発性骨髄腫、黒色腫、神経膠腫、グリア芽細胞腫、白血病、そして肺、乳房、卵巣、子宮頸部、肝臓、胆管、胃腸管、膵臓、前立腺、ならびに頭部および頸部の癌腫からなる群から選択される、請求項43または45に記載の方法。

【公表番号】特表2006−502165(P2006−502165A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−534571(P2004−534571)
【出願日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2003/027722
【国際公開番号】WO2004/022054
【国際公開日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【Fターム(参考)】