説明

ピリジン環を14位置換基に有する12位置換ムチリン誘導体

【課題】各種耐性菌を含むグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して強力かつ幅広い抗菌作用を示し、感染症治療薬としての用途が期待されるムチリンの新規類縁体である12位置換誘導体を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)


で示されるムチリン誘導体またはそれらの酸付加塩類。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種耐性菌を含むグラム陽性菌、およびグラム陰性菌に対して強力な抗菌作用を示し、感染症治療薬としての用途が期待されるムチリンの新規類縁体である12位置換ムチリン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
プレウロムチリンは、1951年にPleurotus
mutilus Sacc.から、また1976年にPleurotus
passeckerianus Pil.から単離・構造決定されたジテルペン化合物であり、そのアグリコン部はムチリンと呼ばれる(非特許文献1、2)。高度に官能基化された8員環にヒドロインダノン構造が縮合した三環性構造を有し、9つの不斉炭素原子を有している点が構造的特徴として挙げられる。
【0003】
【化1】

【0004】
近年、各種耐性菌による難治性感染症の蔓延が世界的に問題になっている。プレウロムチリンは、細菌のリボゾームに作用してタンパク合成を阻害することによって抗菌活性を示すことが明らかであり、難治性感染症治療薬の探索において新しいリード化合物として有用である。このうち、プレウロムチリン誘導体としてチアムリン(商標)が家畜用の感染症治療薬として古くから用いられているものの、ヒトの感染症治療にプレウロムチリン、あるいはムチリン誘導体を適用した例は未だ報告がない。
【0005】
このようにムチリン系化合物は、強力な抗菌活性と興味深い化学構造の2点から世界的に注目される化合物であり、近年いくつかのグループから新規ムチリン誘導体が報告されている。すなわち、特許文献1では、
【0006】
【化2】

【0007】
(式中、Rは、ビニル、エチルであり、
、およびRは、同一または異なって水素原子、置換されていてもよい飽和、若しくは不飽和の低級アルキル基、置換されていてもよい飽和、若しくは不飽和の3員から8員の環状低級アルキル基、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよい芳香環またはRが上記置換基の時、Rは下記一般式(I)
【0008】
【化3】

【0009】
(Rは、置換されていてもよい鎖状、もしくは環状低級アルキル基、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよい芳香環、置換されていてもよい低級アルキルアミノ基、置換されていてもよい芳香族アミノ基であり、Rは、置換されていてもよい鎖状、もしくは環状低級アルキル基、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよい芳香環であり、RおよびRは、異なって水素原子、置換されていてもよい飽和、若しくは不飽和の低級アルキル基、置換されていてもよい飽和、若しくは不飽和の3員から8員の環状アルキル基、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよい芳香環であるか、若しくは窒素原子と一緒になってO、N、S等のヘテロ原子を1個以上含んでもよく、また置換されていてもよい炭化水素環、複素環、芳香環と縮合してもよい、3員から8員の環を形成する)であるかまたはRとRが一緒になって、置換されてもよく、またO、N、S等のヘテロ原子を1個以上含んでもよい3員から8員の環状低級アルキル基を表す)、
【0010】
特許文献2では、
【0011】
【化4】

【0012】
(式中、Rは、ビニルまたはエチルであり、Rは、下記一般式(I)
【0013】
【化5】

【0014】
(RおよびRは、アザビシクロ環であり、RおよびRは、一緒になってアザビシクロ環を形成する)を表す)
を表す)、
【0015】
特許文献3では、
【0016】
【化6】

【0017】
(式中、Rは、ビニルまたはエチルであり、Raは、下記一般式(I)
【0018】
【化7】

【0019】
(XはO、S、NR’であり、RおよびR’は、異なって脂肪族置換基、若しくは芳香族置換基を表し、R、Rは、同一または異なって水素原子、置換されていてもよい飽和、若しくは不飽和の低級アルキル基、置換されていてもよい飽和、若しくは不飽和の3員から8員の環状低級アルキル基、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよい芳香環またはRが上記置換基の時、Rは下記一般式(I)
【0020】
【化8】

【0021】
(Rは、置換されていてもよい鎖状、もしくは環状の低級アルキル基、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよい芳香環、置換されていてもよい低級アルキルアミノ基、置換されていてもよい芳香族アミノ基であり、Rは、置換されていてもよい鎖状、もしくは環状の低級アルキル基、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよい芳香環であり、RおよびRは、異なって水素原子、置換されていてもよい飽和、若しくは不飽和の低級アルキル基、置換されていてもよい飽和、若しくは不飽和の3員から8員の環状低級アルキル基、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよい芳香環であるか、若しくは窒素原子と一緒になってO、N、S等のヘテロ原子を1個以上含んでもよく、また置換されていてもよい炭化水素環、複素環、芳香環と縮合してもよい、3員から8員の環を形成する)であるか、またはRとRが一緒になって、置換されていてもよく、またO、N、S等のヘテロ原子を1個以上含んでもよい、3員から8員の環状低級アルキル基を表す)、
【0022】
特許文献4では、
【0023】
【化9】

【0024】
(式中、Rは、下記一般式(I)
【0025】
【化10】

【0026】
(Rは、塩基性窒素原子を1ないし2個含むスピロ結合型の単環、若しくは双環性置換基を表し、X、Xは、同一または異なってメチレン基、カルボニル基を表すか、若しくは少なくとも一方はカルボニル基を表し、Yは、窒素原子、メチレン基、エチレン基を表し、Rは、炭素原子を介して、置換されていてもよい芳香環または複素芳香環を表し、mは1−3の整数を表し、nは0−2の整数を表し、pは1−4の整数を表す)
は、ビニルまたはエチルであり、
は、水素原子、水酸基またはフッ素原子であり、Rは水素原子を表すか若しくはRが水素原子の時、Rはフッ素原子を表す)、
【0027】
特許文献5では、
【0028】
【化11】

【0029】
(式中、Rは、少なくとも1個の窒素原子を含む、窒素原子を介して結合する5員の複素芳香環を含む、置換されていてもよい複素芳香環を表し、
は、ビニルまたはエチルであり、
は、水素原子、水酸基またはフッ素原子であり、
は、水素原子を表すか、若しくはRが水素原子の時、Rはフッ素原子を表す)、
【0030】
特許文献6では、
【0031】
【化12】

【0032】
(式中、Rは、置換されていてもよいフェニル基、置換されていてもよい窒素原子を含有する複素環を表し、
は、ビニルまたはエチルであり、
は、水素原子、水酸基またはフッ素原子であり、
は、水素原子を表すか、若しくはRが水素原子の時、Rはフッ素原子を表す)
を表す)、
【0033】
特許文献7では、
【0034】
【化13】

【0035】
(式中、Rは、ビニルまたはエチルであり、
およびRは、同一または異なって水素原子、置換されていてもよい飽和、若しくは不飽和の低級アルキル基、置換されていてもよい飽和、若しくは不飽和の3員から8員の環状低級アルキル基、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよい芳香環、またはRが上記置換基の時、Rは下記一般式(I)
【0036】
【化14】

【0037】
(Rは、置換されていてもよい鎖状、もしくは環状の低級アルキル基、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよい芳香環、置換されていてもよい低級アルキルアミノ基、置換されていてもよい芳香族アミノ基であり、Rは置換されていてもよい鎖状、もしくは環状の低級アルキル基、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよい芳香環であり、RおよびRは、異なって水素原子、置換されていてもよい飽和、若しくは不飽和の低級アルキル基、置換されていてもよい飽和、若しくは不飽和の3員から8員の環状低級アルキル基、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよい芳香環であるか、若しくは窒素原子と一緒になってO、N、S等のヘテロ原子を1個以上含んでもよく、また置換されていてもよい炭化水素環、複素環、芳香環と縮合してもよい、3員から8員の環を形成する)であるか、またはRとRが一緒になって、置換されていてもよく、またO、N、S等のヘテロ原子を1個以上含んでもよい、3員から8員の環状低級アルキル基を表す)、
【0038】
特許文献8では、
【0039】
【化15】

【0040】
(式中、Rは、窒素原子を含む複素環、置換されていてもよい芳香環、置換されていてもよい複素芳香環または下記一般式(I)
【0041】
【化16】

【0042】
(Xは、ハロゲン原子を表し、Rは、低級アルキルアミノ基、窒素原子を含む複素環、置換されていてもよい芳香環、置換されていてもよい複素芳香環を表す)
を表し、
は、ビニルまたはエチルであり、
は、水素原子、水酸基またはフッ素原子であり、
は、水素原子を表すか、若しくはRが水素原子の時、Rはフッ素原子を表す)
を表す)、
【0043】
特許文献9では、
【0044】
【化17】

【0045】
(Rは、5員若しくは6員の、置換されていてもよい複素芳香環であり、Rは、ビニルまたはエチルを表す)、
【0046】
特許文献10では、
【0047】
【化18】

【0048】
(式中、Rは、5員、若しくは6員の、ハロゲン原子、置換されていてもよい低級アルコキシ基、置換されていてもよい低級アルキルチオアルコキシ基、水素原子または置換されていてもよい低級アルキル基で置換されたアミノ基によって置換された芳香環または複素芳香環、5員、若しくは6員の、1個の酸素原子または1、ないし2個の窒素原子を含み、ベンゼン環と縮合していてもよいジヒドロ複素芳香環、5員、若しくは6員の、1、ないし2個の窒素原子を含む複素芳香環、5員、若しくは6員の、O、N、Sを含んでもよい複素環、6員の、窒素原子を1ないし2個含むテトラヒドロ複素芳香環、9、ないし10員の、窒素原子を1−4個含む双環性の複素芳香環であり、
は、ビニルまたはエチルであり、
は、水素原子、水酸基またはフッ素原子であり、
は、水素原子を表すか、若しくはRが水素原子の時、Rはフッ素原子を表し、この時R、Rは、一体となって酸素原子を表すか、または、R、およびRが水素原子の時、Rは、水素原子または水酸基であり、Rは、水素原子であり、または、Rが水素原子の時、Rは、水素原子または水酸基を表す)、
【0049】
特許文献11では、
【0050】
【化19】

【0051】
(式中、Rは、置換されていてもよい低級アルキル基、置換されていてもよい3員から6員の環状低級アルキル基、置換されていてもよい複素環であり、
は、ビニルまたはエチルであり、
は、水素原子、水酸基またはフッ素原子であり、
は、水素原子を表すか、若しくはRが水素原子の時、Rはフッ素原子を表し、この時RおよびRは、一体となって酸素原子を表すか、または、RおよびRが水素原子の時、Rは、水素原子、水酸基であり、Rは、水素原子であり、または、Rが水素原子の時、Rは、水素原子または水酸基を表す)、
【0052】
特許文献12では、
【0053】
【化20】

【0054】
(式中、Rは、置換されていてもよい5員、若しくは6員の複素芳香環であり、
は、ビニルまたはエチル
を表す)、
というような例が報告されている。これらはいずれも、12位置換基が天然物であるプレウロムチリン由来のビニル基、若しくはそれを還元したエチル基を請求範囲とする特許であり、本発明中に示すような12位置換基が各種置換基であるという構造的特徴を有するムチリン誘導体は未だ報告されておらず、従ってその抗菌活性も未知である。
【0055】
また、特許文献1および特許文献7では、本発明中に示すような14位置換基に(3-ピリジル)アクリル酸構造を含むという構造的特徴を有するムチリン誘導体が請求範囲に含まれるが、実際に12位置換基が天然物であるプレウロムチリン由来のビニル基、もしくはそれを還元したエチル基であり、かつ14位置換基に(3-ピリジル)アクリル酸構造を含むという構造的特徴を有するムチリン誘導体が製造されておらず、従ってその抗菌活性も未知である。同様に、特許文献3では、本発明中に示すような2位置換基にフッ素原子を含むという構造的特徴を有するムチリン誘導体が請求範囲に含まれるが、実際に2位置換基にフッ素原子を含み、12位置換基が天然物であるプレウロムチリン由来のビニル基、もしくはそれを還元したエチル基であり、かつ14位置換基に(3-ピリジル)アクリル酸構造を含むという構造的特徴を有するムチリン誘導体が製造されておらず、従ってその抗菌活性も未知である。
【0056】
12位置換ムチリン誘導体、および12位置換4-エピムチリン誘導体については、下記化合物が公知である。すなわち、非特許文献3では、下記12位デスエテニル4-エピムチリン誘導体が公知である。
【0057】
【化21】

【0058】
非特許文献4では、下記12位ジメチル-4-エピムチリン誘導体が公知である。
【0059】
【化22】

【0060】
非特許文献5では、12位置換基の立体化学が天然型と逆のプレウロムチリン誘導体および12位シクロプロピル置換プレウロムチリン誘導体が公知である。
【0061】
【化23】

【0062】
これらは、いずれも本発明中に記載されている12位置換基が天然型のビニル基またはそれを還元したエチル基ではない化合物であるが、本発明中に示したようなアシルカルバモイル構造を介して環状アミン構造を配している化合物は報告されておらず、従ってそれら化合物の抗菌活性も知られていない。
【0063】
また、11位水酸基が保護されているムチリン誘導体については、下記化合物が公知である。すなわち、
非特許文献6では、下記ムチリン誘導体が公知である。
【0064】
【化24】

【0065】
本論文では、11位アセトキシ、ジクロロアセトキシおよびトリフルオロアセトキシムチリン体が報告され、それら化合物が公知となっているが、これら化合物は本発明の特許請求の範囲に含まれておらず、また本発明に示したような12位が各種置換基であり、かつ14位にアシルカルバモイル構造を介して環状アミン構造を配している化合物は製造されておらず、従ってそれら化合物の抗菌活性も知られていない。
【0066】
一方、抗菌活性を指向した下記ムチリン誘導体の製造が報告されている。すなわち、
非特許文献7では、下記ムチリン14-カルバメート誘導体が公知である。
【0067】
【化25】

【0068】
このように、当該非特許文献7に記載されている12位が天然型のビニル基、またはそれを還元したエチル基であり、かつ14位がカルバモイル誘導体である化合物は公知であるが、本発明中に示したような12位が各種置換基であり、かつ14位にアシルカルバモイル構造を介して環状アミン構造を配している化合物は製造されておらず、従ってそれら化合物の抗菌活性も知られていない。
【0069】
以上のように、これまでに開示されているムチリン誘導体は、いずれも抗菌作用、毒性、および体内動態において満足できるものではなく、優れたムチリン誘導体が常に求められている。
【特許文献1】WO1997/25309号パンフレット
【特許文献2】WO1998/05659号パンフレット
【特許文献3】WO2000/07974号パンフレット
【特許文献4】WO2000/27790号パンフレット
【特許文献5】WO2000/37074号パンフレット
【特許文献6】WO2000/73287号パンフレット
【特許文献7】US6239175 公報
【特許文献8】WO2001/14310号パンフレット
【特許文献9】WO2001/74788号パンフレット
【特許文献10】WO2002/12199号パンフレット
【特許文献11】WO2002/30929号パンフレット
【特許文献12】US2003/0114674公報
【非特許文献1】Kavanagh,F.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1951, 37,570-574.
【非特許文献2】Knauseder,F.ら、J. Antibiot. 1976,29, 125-131.
【非特許文献3】Berner,H.ら、Tetrahedron 1981,37, 915-919.
【非特許文献4】Berner,H.ら、Tetrahedron 1983,39, 1745-1748.
【非特許文献5】Berner, H.ら、Monatsch. Chem. 1986, 117, 1073-1080.
【非特許文献6】Birch,A.J.ら、Tetrahedron 1966,Suppl.8, Part II, 359-387.
【非特許文献7】Brooks,G.ら、Bioorg. Med. Chem. 2001,9, 1221-1231.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0070】
本発明の目的は、各種耐性菌を含むグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して強力かつ幅広い抗菌作用を示し、感染症治療薬としての用途が期待されるムチリンの新規類縁体である12位置換誘導体およびその製造中間体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0071】
本発明者らは、上記課題を鑑み鋭意研究を重ねた結果、本発明の下記化合物が強力な抗菌作用を有し、またその製造において製造中間体として極めて有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
【0072】
1)下記一般式(1)
【0073】
【化26】

【0074】
(式中、R1は水素原子、ホルミル基、置換されていてもよい低級アルキル基、芳香環が置換されていてもよいアラルキル基、芳香環が置換されていてもよいヘテロアラルキル基または低級アルキルオキシカルボニル基を表し、R2は水素原子、低級アルキル基または芳香環が置換されていてもよいアラルキル基を表し、R3は水素原子またはフッ素原子を表し、破線部分は単結合または二重結合を表す)で示されるムチリン誘導体またはそれらの酸付加塩類、
【0075】
2)下記一般式(1-1)
【0076】
【化27】

【0077】
(式中、R1は水素原子、置換されていてもよい低級アルキル基、芳香環が置換されていてもよいアラルキル基、芳香環が置換されていてもよいヘテロアラルキル基または低級アルキルオキシカルボニル基を表し、R2は水素原子、低級アルキル基または芳香環が置換されていてもよいアラルキル基を表し、R4は水酸基の保護基を表し、破線部分は単結合または二重結合を表す)で示されるムチリン誘導体またははそれらの酸付加塩類、
【0078】
3)下記一般式(1-2)
【0079】
【化28】

【0080】
(式中、R1は水素原子、ホルミル基、置換されていてもよい低級アルキル基、芳香環が置換されていてもよいアラルキル基、芳香環が置換されていてもよいヘテロアラルキル基または低級アルキルオキシカルボニル基を表し、R2は水素原子、低級アルキル基または置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、R3は水素原子またはフッ素原子を表し、R4は水酸基の保護基を表し、破線部分は単結合または二重結合を表す)で示されるムチリン誘導体またはそれらの酸付加塩類、
【0081】
4)下記一般式(1)
【0082】
【化29】

【0083】
(式中、R1は水素原子、ホルミル基、置換されていてもよい低級アルキル基、芳香環が置換されていてもよいアラルキル基、芳香環が置換されていてもよいヘテロアラルキル基または低級アルキルオキシカルボニル基を表し、R2は水素原子、低級アルキル基または芳香環が置換されていてもよいアラルキル基を表し、R3は水素原子またはフッ素原子を表し、破線部分は単結合または二重結合を表す)で示されるムチリン誘導体またはそれらの酸付加塩類の少なくとも一種以上を有効成分として含有することを特徴とする感染症治療薬、
【0084】
5)下記一般式(1-1)
【0085】
【化30】

【0086】
(式中、R1は水素原子、置換されていてもよい低級アルキル基、芳香環が置換されていてもよいアラルキル基、芳香環が置換されていてもよいヘテロアラルキル基または低級アルキルオキシカルボニル基を表し、R2は水素原子、低級アルキル基または芳香環が置換されていてもよいアラルキル基を表し、R4は水酸基の保護基を表し、破線部分は単結合または二重結合を表す)で示されるムチリン誘導体またはそれらの酸付加塩類少なくとも一種以上を有効成分として含有することを特徴とする感染症治療薬、
【0087】
6)下記一般式(1-2)
【0088】
【化31】

【0089】
(式中、R1は水素原子、ホルミル基、置換されていてもよい低級アルキル基、芳香環が置換されていてもよいアラルキル基、芳香環が置換されていてもよいヘテロアラルキル基または低級アルキルオキシカルボニル基を表し、R2は水素原子、低級アルキル基または置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、R3は水素原子またはフッ素原子を表し、R4は水酸基の保護基を表し、破線部分は単結合または二重結合を表す)で示されるムチリン誘導体またはそれらの酸付加塩類少なくとも一種以上を有効成分として含有することを特徴とする感染症治療薬、
に関するものである。
【発明の効果】
【0090】
本発明化合物は、優れた抗菌作用を有する新規なムチリン誘導体であり、各種薬剤耐性菌を含むグラム陽性菌およびグラム陰性菌が関与する感染症に対する治療薬として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0091】
本発明では化合物の位置番号をIUPAC命名法によらず下記に示すムチリン化学での位置番号を用いた。すなわち、非特許文献3によれば、ムチリンは、IUPAC名では「(1S,2R,3S,4S,6R,7R,8R,14R)-3,6-ジヒドロキシ-2,4,7,14-テトラメチル-4-ビニル-トリシクロ[5.4.3.01, 8]テトラデカン-9-オン」であり、
【0092】
【化32】

【0093】
一方、下記一般式(3)では、IUPAC名では「(1R,2R,4S,6R,7R,8S,9R,14R)-6-ヒドロキシ-9-メトキシ-2,4,7,14-テトラメチル-4-ビニル-1-トリシクロ[5.4.3.01,
8]テトラデカン-3-オン」であるが、ムチリン化学では、「(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-3-メトキシ-11-オキソ-4-エピムチリン」である。
【0094】
【化33】

【0095】
本発明において、「低級アルキル」とは、メチル、エチル、1-メチルエチル、1,1-ジメチルエチル、プロピル、2-メチルプロピル等の直鎖もしくは分岐した炭素数1〜6のものがあげられ、置換基としては、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、チオール基、低級アシルオキシ基、低級アルキルオキシカルボニル基、低級アルキルカルボニル基、低級アルキルカルボキサミド基、ニトロ基、1つ以上の置換基を有していてもよい、5〜14員環のO、N、S等のヘテロ原子を1つ以上含んでも良い脂肪族複素環または1つ以上の置換基を有していてもよい、5〜14員環のO、N、S等のヘテロ原子を1つ以上含んでもよい芳香族複素環等があげられる。また鎖状や環状、飽和や不飽和を問わない。
【0096】
「アラルキル基」としては、ベンジル基、1-フェニルエチル基等があげられ、置換基としては、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、チオール基、低級アシルオキシ基、低級アルキルオキシカルボニル基、低級アルキルカルボニル基、低級アルキルカルボキサミド基またはニトロ基等があげられる。
【0097】
「低級アルコキシ基」としては、メトキシ基、エトキシ基、1-メチルエトキシ基、1,1-ジメチルエトキシ基、プロポキシ基、2-メチルプロポキシ基等の直鎖もしくは分岐した炭素数1〜6のものがあげられ、飽和、不飽和を問わない。
【0098】
「アラルキルオキシ基」としては、ベンジルオキシ基、1-フェニルエトキシ基等があげられ、置換基としては、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、チオール基、低級アシルオキシ基、低級アルキルオキシカルボニル基、低級アルキルカルボニル基、または低級アルキルカルボキサミド基またはニトロ基等があげられる。
【0099】
「低級アシルオキシ基」とは、ホルミル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基または2,2-ジメチルプロピオニルオキシ基等の炭素数1〜5のものがあげられる。
【0100】
「1つ以上の置換基を有していてもよい、5〜14員環のO、N、S等のヘテロ原子を1つ以上含んでも良い脂肪族複素環」における「1つ以上の置換基」とは、例えばハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルコキシカルボニル基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基等があげられ、「脂肪族複素環」とは、例えばピロリジル、ピペリジル、ピペラジル、モルホリル等があげられる。この場合の「アミノ基」とは、アシル、例えばアセチル等によって置換されてもよく、また1〜2個の低級アルキル基によって置換されてもよい。
【0101】
「1つ以上の置換基を有していてもよい、5〜14員環のO、N、S等のヘテロ原子を1つ以上含んでも良い芳香族複素環」における「1つ以上の置換基」とは、例えばハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルコキシカルボニル基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基等があげられ、「芳香族複素環」とは、例えばフラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピラチル等があげられ、それらはまた、ベンゼン環と任意の位置で縮合していてもよい。この場合の「アミノ基」とは、アシル、例えばアセチル等によって置換されてもよく、また1〜2個の低級アルキル基によって置換されてもよい。
【0102】
「置換されていてもよい水酸基」とは、水酸基、低級アルコキシ基、低級アシルオキシ基、保護基を有する水酸基、アリールアシルオキシ基、あるいは酸素原子と一体となって脱離基を形成した水酸基等があげられる。ここでいう「アリールアシル基」とは、ベンゾイル基等があげられ、置換基としては、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等があげられる。
【0103】
また、水酸基の保護基としては、トリメチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基等のアリールメチル基、アセチル基、プロピオニル基等のアシル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基等の低級アルコキシメチル基、ベンジルオキシメチル基等のアラルキルオキシメチル基、テトラヒドロピラニル基等があげられ、その導入および除去は文献記載の方法を適宜採用して行うことができる(Green, T.W.; Wuts, P.G.M. “Protective
Groups in Organic Synthesis”, 2nd Ed., Wiley Interscience
Publication, John-Weiley&Sons, New York, 1991。以下、「Green
et.al.」と略称する。)。
【0104】
また、「酸素原子と一体になって脱離基」とは、例えば低級アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等があげられる。
【0105】
「置換されていてもよいチオール基」とは、チオール基、低級チオアルコキシ基、低級アシルチオオキシ基、保護基を有するチオール基、あるいはアリールアシルチオオキシ基等があげられる。ここでいう「アリールアシル基」とは、ベンゾイル基等があげられ、置換基としては、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等があげられる。また、チオール基の保護基としては、トリメチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基等のトリアルキルシリル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基等のアリールメチル基、アセチル基、プロピオニル基等のアシル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基等の低級アルコキシメチル基、ベンジルオキシメチル基等のアラルキルオキシメチル基、テトラヒドロピラニル基等があげられ、その導入および除去は文献記載の方法を適宜採用して行うことができる(Green et.al.)。
【0106】
「置換されていてもよいアミノ基」とは、アミノ基、低級アルキルアミノ基、低級アシルアミノ基、保護基を有するアミノ基、アリールアシルアミノ基等があげられる。
【0107】
「アミノ基の保護基」とは、例えばアセチル、プロピオニルのような低級アシル基、エトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニルのような低級アルコキシカルボニル基、ベンジル基等があげられ、その導入および除去は文献記載の方法を適宜採用して行うことができる(Green et.al.)。
【0108】
「アリールアシル基」とは、ベンゾイル基等があげられ、置換基としては、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基等があげられる。
【0109】
本発明中の好ましい化合物としては、
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
14-[2-(ピリジン-3-イル)プロパノイル]カルバモリルムチリン、
11-O-メトキシメチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
11-O-メトキシメチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロパノイル]カルバモイルムチリン、
(2R)-2-フルオロ-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
(2S)-2-フルオロ-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
(2S)-2-フルオロ-14-[2-(ピリジン-3-イル)プロパノイル]カルバモイルムチリン、
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニルムチリン、
14-[2-(ピリジン-3-イル)プロパノイル]カルバモイル-12-デスエテニルムチリン、
12-デスエテニル-12-メチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
12-デスエテニル-12-メトキシメチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
12-デスエテニル-12-(1-ヒドロキシエタン-2-イル)-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
12-デスエテニル-12-(1-プロペン-3-イル)-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
12-デスエテニル-12-フェニルメチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
12-デスエテニル-12-(1-プロピン-3-イル)-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
12-デスエテニル-12-(2-プロピン-3-イル)-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
12-デスエテニル-12-(1-フルオロエタン-2-イル)-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
12-デスエテニル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-(1,1,1-トリフルオロエタン-2-イル)ムチリン、
12-デスエテニル-12-フルオロメチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
12-ヒドロキシメチル-12-デスエテニル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
12-デスエテニル-12-(4-ピリジル)メチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
12-デスエテニル-12-[2-プロペン-3-イル]-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
12-シアノメチル-12-デスエテニル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
12-デスエテニル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-[1-(1,2,3-トリアゾール-1-イル)エチル]ムチリン、
12-デスエテニル-12-ホルミル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
12-デスエテニル-12-ホルミル-14-[2-(ピリジン-3-イル)プロパノイル]カルバモイルムチリン、
12-デスエテニル-12-メトキシカルボニル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン、
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニル-12-[1-(E)-(エトキシカルボニル)エテン-2-イル]ムチリン、
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニル-12-(1,2-ジヒドロキシエタン-2-イル)ムチリン、
14-[2-(ピリジン-3-イル)プロパノイル]カルバモイル-12-デスエテニル-12-(1,2-ジヒドロキシエタン-2-イル)ムチリン、
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニル-12-(1,2-ジヒドロキシエタンジメチルケタール-2-イル)ムチリン、
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニル-12-(1,3-ジオキソラン-2-オン-4-イル)ムチリン、
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニルムチリン 12-N-メチルカルボキサミド、
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニルムチリン 12-N,N-ジメチルカルボキサミド、
などがあげられる。
【0110】
本発明化合物が薬理学上許容な塩を形成する場合、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、および燐酸などの無機塩または酢酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、パルミチン酸またはトリフルオロ酢酸などの有機酸塩との付加塩が例示できる。
【0111】
本発明化合物は、複数の不斉炭素を有しており相当する光学異性体が存在し得るが、これらの光学異性体およびこれらの任意の比率を示す混合物をも本発明に包含されるものである。
【0112】
上記一般式(1)で表される本発明化合物またはその塩は、分子内塩や付加物、それらの溶媒和物、あるいは水和物などのいずれも含むものである。
【0113】
上記一般式(1)で表される本発明化合物またはその塩は、単独でまたは一種以上の製剤上許容される補助剤と共に医薬組成物として用いることができ、薬理学上許容される担体、賦形剤(例えば、デンプン、乳糖、リン酸カルシウムまたは炭酸カルシウムなど)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムタルクまたはステアリン酸など)、結合剤(例えば、デンプン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ポリビニルピロリドンまたはアルギン酸など)、崩壊剤(例えば、タルクまたはカルボキシメチルセルロースカルシウムなど)、希釈剤(例えば、生理食塩水、グルコース、マンニトールまたはラクトースなどの水溶液など)などと混合し、通常の方法により錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、アンプル剤または注射剤などの形態で経口的、または非経口的に投与することができる。投与量は、上記一般式(1)で表される本発明化合物またはその塩の種類、投与方法、患者の年齢、体重、症状などにより異なるが、通常、人を含む哺乳動物に対して上記一般式(1)で表される本発明化合物またはその塩として0.0001〜1000 mg/kg/日である。投与は、例えば1日1回、または数回に分割して投与する。
【0114】
本発明の一般式(1)で表される化合物群は、化学式(3)で表される化合物を鍵中間体とし、例えば下記の製造工程に従って製造することができる。ここで、化学式(3)で示される化合物は公知化合物であり、その製造は例えば非特許文献(Tetrahedron 1980,36,1807-1811)に記載されている方法を参考に実施することができる。
【0115】
【化34】

【0116】
(第一工程)
本工程は、プレウロムチリンから公知の方法によって製造した前記化学式(3)で表される4-エピムチリン誘導体の14位水酸基に適当な保護基を導入し、前記一般式(3-1)で表される14位水酸基が保護された4-エピムチリン誘導体を製造するものである。
【0117】
本反応における水酸基の保護基の導入は、文献記載の方法を適宜採用して行うことができる(Green et.al.)。反応溶媒としては、反応に関与しない限りいかなる溶媒も用いることができるが、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、ニトロエタン、N,N-ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒が好適に用いられる。反応は、通常-20°Cから200°Cで円滑に進行する。
【0118】
(第二工程)
本工程は、前記第一工程で得られる前記一般式(3-1)で表される14位水酸基が保護された4-エピムチリン誘導体中の12位二重結合をジオール化し、前記一般式(2-1a)で表される4-エピムチリン19,20-ジオール誘導体を製造するものである。
【0119】
本反応は、通常適当なオスミウム誘導体を触媒量用い、等量〜過剰量の酸化剤共存下で反応を行う。溶媒としては反応に関与しなければいかなる溶媒も用いることができるが、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール等のアルコール系溶媒またはこれらと水の混合系溶媒が好適に用いられる。反応は0°Cから200°Cで、円滑に進行する。
【0120】
(第三工程)
本工程は、前記第二工程で得られる前記一般式(2-1a)で表される4-エピムチリン19,20-ジオール誘導体のジオール部位を逆アルドール型の反応によって除去し、前記一般式(2-1b)で表される12位デスエテニル4-エピムチリン誘導体を製造するものである。
【0121】
本反応は、通常適当な反応剤、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物、n-ブチルリチウム、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドのようなアルカリ金属有機塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、イミダゾール、ピロリジン、ピペリジン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ-7-セン等の三級有機塩基、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基の存在下で行うことができる。また、必要に応じて塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化錫、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体、過塩素酸リチウム等のルイス酸存在下で行うことができる。溶媒としては反応に関与しなければいかなるものも用いることができるが、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒が好適に用いられる。反応は-110°Cから100°Cで、円滑に進行する。
【0122】
(第四工程)
本工程は、前記第三工程で得られる前記一般式(2-1b)で表される12位デスエテニル4-エピムチリン誘導体の12位に適当な親電子剤を塩基存在下で反応させ、前記一般式(2-1c)で表される12位R1置換4-エピムチリン誘導体を製造するものである。
【0123】
本反応は、通常適当な親電子剤を等量〜過剰量用いて、適当な反応剤、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドのようなアルカリ金属有機塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、イミダゾール、ピロリジン、ピペリジン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ-7-セン等の三級有機塩基、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基存在下で行うことができる。また、必要に応じて塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化錫、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体、過塩素酸リチウム等のルイス酸存在下で行うことができる。溶媒としては反応に関与しなければいかなる溶媒も用いることができるが、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒が好適に用いられる。反応は-110°Cから100°Cで、円滑に進行する。
【0124】
(第五工程)
本工程は、前記第四工程で得られる前記一般式(2-1c)で表される12位R1置換4-エピムチリン誘導体中の、14位水酸基の保護基を除去し、前記一般式(2-1d)で表される14位水酸化4-エピムチリン誘導体を製造するものである。水酸基の保護基を除去する方法は、文献記載の方法を適宜採用して行うことができる(Green et.al.)。溶媒としては反応に関与しなければいかなるものも用いることができるが、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール等のアルコール系溶媒が好適に用いられる。反応は-110°Cから100°Cで、円滑に進行する。
【0125】
(第六工程)
本工程は、前記第五工程で得られる前記一般式(2-1d)で表される14位水酸化4-エピムチリン誘導体中の14位水酸基に、適当な反応条件下前記一般式(4)で表されるピリジルアクリル酸塩化物誘導体を反応させてアシルカルバモイル化反応を行い、前記一般式(1-1a)で表される14位アシルカルバモイル化4-エピムチリン誘導体を製造するものである。
【0126】
本工程は、通常文献記載の方法を参考に行うことができる。すなわち、(A) 適当な塩基存在下で前記一般式(4)で表されるピリジルアクリル酸塩化物誘導体およびシアン酸銀を前記一般式(2-1d)で表される14位水酸化4-エピムチリン誘導体と反応させる方法
(J.Org.Chem.1962,27,3317.)、あるいはイソシアン酸トリブチルすずを用いる方法 (Chem.Ber.1986,119,83.) 、もしくは、(B) 通常の反応条件下で前記一般式(2-1d)で表される14位水酸化4-エピムチリン誘導体の14位水酸基にカルバモイル化反応を行った後、適当な塩基存在下で前記一般式(4)で表されるピリジルアクリル酸塩化物誘導体を結合する方法、もしくは、(C) 前記一般式(2-1d)で表される14位水酸化4-エピムチリン誘導体を、適当な塩基存在下でトリメチルシリルイソシアネート、および前記一般式(4)で表されるピリジルアクリル酸塩化物誘導体を用いる方法 (J.Gen.Chem.USSR,1977,2061-2067.) 、もしくは、(D) 前記一般式(4)で表されるピリジルアクリル酸を、適当な塩基存在下で通常の反応条件下で酸アミド化した後、前記一般式(2-1d)で表される14位水酸化4-エピムチリン誘導体を、ビス(トリメチルシリル)アミド塩等の適当な塩基存在下でカルボニル源、例えば塩化オキザリルやホスゲン、CDI等の試薬を反応させる方法 (J.Org.Chem.1962,27,3742.) 等を採用することができる。反応は、通常適当な塩基、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドのようなアルカリ金属有機塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、イミダゾール、ピロリジン、ピペリジン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ-7-セン等の三級有機塩基、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基等の存在下で行われる。溶媒としては反応に関与しなければいかなる溶媒も用いることができるが、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒が用いられる。反応は、-100°Cから100°Cで円滑に進行する。

【0127】
(第七工程)
本工程は、前記第六工程で得られる前記一般式(1-1a)で表される14位アシルカルバモイル化4-エピムチリン誘導体中の14位スペーサー部位に存在する窒素原子にR2(水素原子を除く)で示される置換基を導入し、前記一般式(1-1b)で表される14位アシルカルバモイル化4-エピムチリン誘導体を製造するものである。用いられる塩基としては、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドのようなアルカリ金属有機塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、イミダゾール、ピロリジン、ピペリジン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ-7-セン等の三級有機塩基、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基存在下で行うことができる。溶媒としては反応に関与しなければいかなる溶媒も用いることができるが、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール等のアルコール系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒が好適に用いられる。反応は-110°Cから100°Cで、円滑に進行する。
【0128】
(第八工程)
本工程は、前記第七工程で得られる前記一般式(1-1a、および1-1b)で表される14位アシルカルバモイル化4-エピムチリン誘導体中の3位保護基を除去し、前記一般式(1)で表される14位アシルカルバモイル化ムチリン誘導体を製造するものである。保護基の除去は、文献記載の方法を適宜採用して行うことができる(Green et.al.)が、好適には塩酸、あるいは塩化亜鉛―塩酸(Lucas試薬)を用いる。反応溶媒としては、反応に関与しない限りいかなる溶媒も用いることができるが、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、ニトロエタン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒またはこれらと水の混合系溶媒の存在下あるいは非存在下で行われ、通常-20°Cから200°Cで円滑に進行する。
【0129】
あるいは、本発明の一般式(1)で表される化合物群は、プレウロムチリンを出発原料とし、例えば下記の製造工程に従っても製造することができる。
【0130】
【化35】

【0131】
(第一工程)
本工程は、プレウロムチリンの14位グリコール酸エステル部位の水酸基および11位水酸基の双方に適当な保護基を導入し、前記一般式(5-1)で表される2つの水酸基が保護されたプレウロムチリン誘導体を製造するものである。
【0132】
本反応における水酸基の保護基の導入は、文献記載の方法を適宜採用して行うことができる(Green et.al.)。反応溶媒としては、反応に関与しない限りいかなる溶媒も用いることができるが、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、ニトロエタン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒で行うことができる。反応は、通常-20°Cから200°Cで円滑に進行する。
【0133】
(第二工程)
本工程は、前記第一工程で得られる前記一般式(5-1)で表される2つの水酸基が保護されたプレウロムチリン誘導体中の14位グリコール酸エステル部位を加水分解し、前記一般式(5-2)で表される11位水酸基のみが保護されたムチリン誘導体を製造するものである。
【0134】
本反応は、通常適当な反応剤、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドのようなアルカリ金属有機塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、イミダゾール、ピロリジン、ピペリジン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ-7-セン等の三級有機塩基、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基存在下で行うことができる。また、必要に応じて塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化錫、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体、過塩素酸リチウム等のルイス酸存在下、あるいは塩酸存在下で行うことができる。溶媒としては反応に関与しなければいかなる溶媒も用いることができるが、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒またはこれらと水の混合系溶媒の存在下あるいは非存在下で行われ、反応は-110°Cから100°Cで円滑に進行する。
【0135】
(第三工程)
本工程は、前記第二工程で得られる前記一般式(5-2)で表される11位水酸基が保護されたムチリン誘導体の19,20位二重結合部位をジオール化し、前記一般式(2-2a)で表される11位水酸基が保護されたムチリン19,20-ジオール誘導体を製造するものである。
【0136】
本反応は、通常適当なオスミウム誘導体を触媒量用い、等量〜過剰量の酸化剤共存下で反応を行う。溶媒としては反応に関与しなければいかなるものも用いることができるが、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール等のアルコール系溶媒またはこれらと水の混合系溶媒が好適に用いられる。反応は0°Cから200°Cで、円滑に進行する。
【0137】
(第四工程)
本工程は、前記一般式(2-2a)で表される11位水酸基が保護されたムチリン19,20-ジオール誘導体をジオール開裂反応に付し、前記一般式(2-2b)で表される11水酸基が保護された12位ホルミル化ムチリン誘導体を製造するものである。
【0138】
本反応は、通常過ヨウ素酸ナトリウム存在下で行うことができる。溶媒としては反応に関与しなければいかなるものも用いることができるが、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒またはこれらと水の混合系溶媒が好適に用いられる。反応は-110°Cから100°Cで、円滑に進行する。
【0139】
(第五工程)
本工程は、前記一般式(2-2b)で表される11水酸基が保護された12位ホルミル化ムチリン誘導体中の、12位ホルミル基を足がかりとして様々な官能基変換に付し、前記一般式(2-2c)で表される11位水酸基が保護された12位R1置換ムチリン誘導体を製造するものである。例えばWittig反応を例に取った場合、本工程に用いられるホスホニウム塩としては、例えば、塩化メチルトリフェニルホスホニウム、臭化メチルトリフェニルホスホニウム、ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウムが挙げられ、用いられる塩基としては、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドのようなアルカリ金属有機塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、イミダゾール、ピロリジン、ピペリジン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ-7-セン等の三級有機塩基、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基存在下で行うことができる。溶媒としては反応に関与しなければいかなる溶媒も用いることができるが、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール等のアルコール系溶媒が好適に用いられる。反応は-110°Cから100°Cで、円滑に進行する。あるいは、ホルミル基を酸化しカルボン酸誘導体へ変換することも可能である。その場合、適当な酸化剤存在下で反応を行う。溶媒としては反応に関与しなければいかなる溶媒も用いることができるが、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール等のアルコール系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒またはこれらと水の混合系溶媒が好適に用いられる。反応は-110°Cから100°Cで、円滑に進行する。あるいは、ヒドロキシアミン誘導体を反応させてオキシム誘導体を製造することも可能である。その場合、塩酸ヒドロキシアミン、あるいはその誘導体を用いる。溶媒としては反応に関与しなければいかなる溶媒も用いることができるが、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール等のアルコール系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒またはこれらと水の混合系溶媒が好適に用いられる。反応は-110°Cから100°Cで、円滑に進行する。
【0140】
(第六工程)
本工程は、前記第五工程で得られる前記一般式(2-2c)で表される11位水酸基が保護された12位R1置換ムチリン誘導体中の14位水酸基に、適当な反応条件下前記一般式(4)で表されるピリジルアクリル酸塩化物誘導体を反応させてアシルカルバモイル化反応を行い、前記一般式(1-2a)で表される11位水酸基が保護された14位アシルカルバモイル化ムチリン誘導体を製造するものである。
【0141】
本工程は、通常文献記載の方法を参考に行うことができる。すなわち、(A) 適当な塩基存在下で前記一般式(4)で表されるピリジルアクリル酸塩化物誘導体、およびシアン酸銀を前記一般式(2-2c)で表される11位水酸基が保護された14位水酸化ムチリン誘導体と反応させる方法 (J.Org.Chem.1962,27,3317.)、あるいはイソシアン酸トリブチルすずを用いる方法
(Chem.Ber.1986,119,83.) 、もしくは、(B) 通常の反応条件下で前記一般式(2-2c)で表される11位水酸基が保護された14位水酸化ムチリン誘導体の14位水酸基にカルバモイル化反応を行った後、適当な塩基存在下で前記一般式(4)で表されるピリジルアクリル酸塩化物誘導体を結合する方法、もしくは、(C) 前記一般式(2-2c)で表される11位水酸基が保護された14位水酸化ムチリン誘導体を、適当な塩基存在下でトリメチルシリルイソシアネート、および前記一般式(4)で表されるピリジルアクリル酸塩化物誘導体を用いる方法
(J.Gen.Chem.USSR,1977,2061-2067.) 、もしくは、(D) 前記一般式(4)で表されるピリジルアクリル酸を、適当な塩基存在下で通常の反応条件下で酸アミド化した後、前記一般式(2-2c)で表される11位水酸基が保護された14位水酸化ムチリン誘導体を、ビス(トリメチルシリル)アミド塩等の適当な塩基存在下でカルボニル源、例えば塩化オキザリルやホスゲン、CDI等の試薬を反応させる方法
(J.Org.Chem.1962,27,3742.) 等の方法を採用することができる。反応は、通常適当な塩基、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドのようなアルカリ金属有機塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、イミダゾール、ピロリジン、ピペリジン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ-7-セン等の三級有機塩基、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基等の存在下で行われる。溶媒としては反応に関与しなければいかなる溶媒も用いることができるが、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒が用いられる。反応は、-100°Cから100°Cで円滑に進行する。
【0142】
(第七工程)
本工程は、前記第六工程で得られる前記一般式(1-2a)で表される11位水酸基が保護された14位アシルカルバモイル化ムチリン誘導体中の14位スペーサー部位に存在する窒素原子にR2(水素原子を除く)で示される置換基を導入し、前記一般式(1-2b)で表される11位水酸基が保護された14位アシルカルバモイル化ムチリン誘導体を製造するものである。用いられる塩基としては、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドのようなアルカリ金属有機塩基、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、イミダゾール、ピロリジン、ピペリジン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ-7-セン等の三級有機塩基、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基存在下で行うことができる。溶媒としては反応に関与しなければいかなる溶媒も用いることができるが、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール等のアルコール系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒が好適に用いられる。反応は-110°Cから100°Cで、円滑に進行する。
【0143】
(第八工程)
本工程は、前記第七工程で得られる前記一般式(1-2a、および1-2b)で表される11位水酸基が保護された14位アシルカルバモイル化ムチリン誘導体中の11位水酸基の保護基を除去し、前記一般式(1)で表される14位アシルカルバモイル化ムチリン誘導体を製造するものである。保護基の除去は、文献記載の方法を適宜採用して行うことができる(Green et.al.)が、好適には塩酸、あるいは塩化亜鉛―塩酸(Lucas試薬)を用いる。反応溶媒としては、反応に関与しない限りいかなる溶媒も用いることができるが、例えばペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、ニトロエタン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒またはこれらと水の混合系溶媒の存在下あるいは非存在下で行われ、通常-20°Cから200°Cで円滑に進行する。
【実施例】
【0144】
以下、実施例および参考例により本発明を詳細に説明するが、本発明がこれらに限定されるものでないことはいうまでもない。
【0145】
(参考例1)
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-4-エピムチリン
【0146】
【化36】

【0147】
文献の方法 (Tetrahedron 1980,36,1807-1811.) に従って、プレウロムチリンから2工程で製造した4-エピムチリン2.00
g (5.98 mmol) の塩化メチレン溶液 (50 mL) 中に、0 °Cアルゴン雰囲気下ジイソプロピルエチルアミン2.08 mL (12.0 mmol)、次いでクロロメチルメチルエーテル0.91 mL (12.0 mmol) を加え、室温下60時間攪拌した。反応混合物を冷希クエン酸水溶液に注ぎ溶媒を減圧留去し、酢酸エチル抽出した(20 mL x 3)。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (20 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 8:1)にて精製し、2.30
gの無色油状物である表題化合物を得た(収率100%)。
MS
(FAB) (m/z): 379 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C23H39O4 (MH+):
379.2848. Found, 379.2883.

【0148】
(参考例2)
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-19,20-ジヒドロキシ-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-4-エピムチリン
【0149】
【化37】

【0150】
参考例1の化合物130 g (0.34 mol) の含水アセトン溶液 (800 mL) 中に、4-メチルモルホリンN-オキシド60.3 g (0.52
mol) と触媒量の四酸化オスミウム (5% t-ブタノール溶液) を加え、60時間加熱還流した。反応混合物を減圧留去し、残渣に希クエン酸水溶液を加えて酢酸エチル抽出した(500 mL x 3)。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (500 mL) し、無水硫酸ナトリウム乾燥し、ろ過し、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、次いで酢酸エチル:メタノール = 10:1)にて精製し、135
gの黄色油状物である表題化合物を得た(収率95%)。
MS
(FAB) (m/z): 413 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C23H41O6 (MH+):
413.2903. Found, 413.2933.
【0151】
(参考例3)
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-4-エピムチリン
【0152】

【化38】

【0153】
参考例2の化合物94.6 g (0.23 mol) のアセトン溶液 (1000 mL) 中に、0 °C下炭酸カリウム63.4 g (0.46 mol) を加え、室温下4時間攪拌した。反応混合物をセライトろ過し、残渣を酢酸エチル洗浄し、ろ液を減圧留去した。得られた残渣に希クエン酸水溶液 (1000 mL) を加えて酢酸エチル抽出した(500 mL x 3)。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (500 mL) し、無水硫酸ナトリウム乾燥し、ろ過し、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 8:1)にて精製し、70.2
gの無色粉末状の表題化合物を得た(収率87%)。
MS
(FAB) (m/z): 353 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C21H37O4
(MH+): 353.2692. Found, 353.2720.
【0154】
(参考例4)
11-O-メトキシメチルムチリン
【0155】
【化39】

【0156】
2 Lナスコル中のプレウロムチリン50.0 g (0.13 mol) 、およびN, N-ジイソプロピルエチルアミン138 mL (0.79 mol) の塩化メチレン溶液 (500 mL) に、0 ℃、アルゴン雰囲気下クロロメチルメチルエーテル40.1
mL (0.53 mol) を滴下し、21日間室温で放置した。反応混合物に3-(ジメチルアミノ)プロピルアミン33.2
mL (0.26 mol) を加えて減圧留去し、残渣に希クエン酸水溶液を加えて酢酸エチル抽出 (200 mL
x 3) した。合した有機層を飽和食塩水洗浄後 (100 mL) 、無水硫酸ナトリウム乾燥し、ろ過し、溶媒を留去し、粗製の化合物を得た。これを2 mol/L水酸化カリウム−メタノール溶液500 mLに溶解し、3時間加熱還流した。冷後溶媒を減圧留去し、希クエン酸水溶液を加えて酢酸エチル抽出 (300 mL x 3) した。合した有機層は飽和食塩水洗浄 (300 mL) し、無水硫酸ナトリウム乾燥し、ろ過し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)にて精製し、42.0
gの無色粉末状物である表題化合物を得た(2工程収率87%)。
MS
(FAB) (m/z): 365 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C22H37O4 (MH+):
365.2692. Found, 365.2665.
【0157】
(参考例5)
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-4-エピムチリン
【0158】
【化40】

【0159】
参考例3の化合物970 mg (2.75 mmol) の塩化メチレン溶液 (30 mL) に、p-トルエンスルホン酸523 mg (2.75 mmol) を加え、室温下24時間攪拌した。反応混合物を減圧留去し、残渣に水を加えて酢酸エチル抽出した(20 mL x 3)。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (20 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1)にて精製し、772
mgの無色粉末状の表題化合物を得た(収率91%)。
MS
(FAB) (m/z): 291 (MH+-H2O).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C19H31O2 (MH+-H2O):
291.2324. Found, 291.2317.
【0160】
(参考例6)
12-デスエテニル-12-ホルミル-11-O-メトキシメチルムチリン
【0161】
【化41】

【0162】
参考例4の化合物300 mg (0.82 mmol) のテトラヒドロフラン溶液 (5 mL) に、触媒量の四酸化オスミウム (5% t-ブタノール溶液) および過ヨウ素酸ナトリウム352 mg (1.65 mmol) の水溶液 (5 mL) を加え、室温で24時間攪拌した。反応混合物をセライトろ過し、残渣を酢酸エチル洗浄した。ろ液を減圧留去後、希クエン酸水溶液を加えて酢酸エチル抽出 (10 mL x 3) した。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (5 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、169 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率56%)。
MS
(CI) (m/z): 367 (MH+).
HRMS
(CI) (m/z): Calcd. for C21H35O5 (MH+):
367.2484. Found, 367.2500.
【0163】
(参考例7)
14-アセトキシ-12-デスエテニル-12-ホルミル-11-O-メトキシメチルムチリン
【0164】
【化42】

【0165】
参考例6の化合物1.50 g (4.09 mmol) に、無水酢酸3.86 mL (41.0 mmol) 、ピリジン6.62 mL (41.0
mmol) および4-(ジメチルアミノ)ピリジン460 mg (4.09 mmol) を加え、室温で72時間攪拌した。反応混合物に希クエン酸水溶液を加えて酢酸エチル抽出 (30 mL x 3) した。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (30 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1)にて精製し、939
mgの黄色粉末状物である表題化合物を得た(収率56%)。
MS
(FAB) (m/z): 409 (MH+).
Rf
= 0.20 (ヘキサン:酢酸エチル = 2:1)
【0166】
(実施例1)
第一工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-3-メトキシ-11-オキソ-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0167】
【化43】

【0168】
文献(Tetrahedron 1980,36,1807-1811.)記載の化合物300 mg (0.90 mmol) の塩化メチレン溶液 (9 mL) に、室温攪拌下シアン酸銀202 mg (1.35 mmol) 、トランス-3-(3-ピリジル)アクリル酸および塩化オキザリルから調製した酸塩化物塩酸塩 275 mg (1.35
mmol) 、トリエチルアミン0.19 mL (1.35 mmol) および4-(ジメチルアミノ)ピリジン165
mg (1.35 mmol)を加え、遮光室温下約16時間攪拌した。反応混合物をセライトろ過し、残渣を塩化メチレン洗浄した。合した有機層を減圧留去し、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチル抽出した(10 mL x 3)。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (10 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1、ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、次いでヘキサン:酢酸エチル
= 1:1)にて精製し、317 mgの無色粉末状の表題化合物を得た(収率63%)。
MS
(FAB) (m/z): 509 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C30H41N2O5
(MH+): 509.3015. Found, 509.3022.
【0169】
第二工程
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0170】
【化44】

【0171】
第一工程の化合物165 mg (0.32 mmol) のジオキサン溶液 (2 mL) に、氷冷攪拌下濃塩酸2.00 mLを加え、自然昇温しながら2.5時間攪拌した。反応混合液を10%水酸化ナトリウム水溶液に加えてアルカリ性とした後水層を酢酸エチル抽出した(10
mL x 3)。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (10 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:2)にて精製し、157
mgの無色粉末状の表題化合物を得た(収率90%)。
MS
(FAB) (m/z): 495 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C29H39N2O5
(MH+): 495.2859. Found, 495.2878.
【0172】
(実施例2)
14-[2-(ピリジン-3-イル)プロパノイル]カルバモリルムチリン
【0173】
【化45】

【0174】
実施例1の第一工程の方法に従って、4-エピムチリン1.00 g (2.99 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩924 mg (4.48
mmol) 、シアン酸銀1.34 g (8.97 mmol) およびトリエチルアミン625 μL (4.48 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、159 mgの無色粉末状物である化合物を得た(収率10%)。得られた化合物159 mg (0.31 mmol) を用いて実施例1の第二工程と同様の反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、次いで酢酸エチル)にて精製し、94.4 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率45%)。
MS
(FAB) (m/z): 497 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C29H41N2O5
(MH+): 497.3015. Found, 497.3026.
【0175】
(実施例3)
11-O-メトキシメチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0176】
【化46】

【0177】
実施例1の第一工程の方法に従って、参考例4の化合物120 mg (0.33 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩101 mg (0.43
mmol) 、シアン酸銀123 mg (0.82 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン40.2
mg (0.33 mmol) およびトリエチルアミン69.0 μL (0.49 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、154 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率87%)。
MS
(FAB) (m/z): 539 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C31H43N2O6
(MH+): 539.3121. Found, 539.3106.
【0178】
(実施例4)
11-O-メトキシメチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロパノイル]カルバモイルムチリン
【0179】
【化47】

【0180】
実施例1の第一工程の方法に従って、参考例4の化合物120 mg (0.33 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩102 mg (0.49
mmol) 、シアン酸銀123 mg (0.82 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン40.2
mg (0.33 mmol) およびトリエチルアミン69.0 μL (0.49 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、116 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率65%)。
MS
(FAB) (m/z): 541 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C31H45N2O6
(MH+): 541.3278. Found, 541.3284.
【0181】
(実施例5)
(2R)-2-フルオロ-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0182】
【化48】

【0183】
実施例1の第一工程の方法に従って、文献(WO2000/07974号パンフレット)の方法に従って製造した(2R)-2-フルオロ-11-O-ホルミルムチリン733 mg (2.00 mmol) 、カルボン酸447 mg (3.00 mmol) から調製したカルボン酸塩化物塩酸塩、シアン酸銀749 mg (5.00 mmol) 、およびトリエチルアミン0.29 mL (2.00
mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1)にて精製し、25.0 mgの無色粉末状物である化合物を得た(収率2%)。この化合物を実施例1の第二工程の方法に従って、25.0 mg (46.2 μmol) を用いて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1)にて精製し、9.90
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率42%)。
MS
(FAB) (m/z): 513 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C29H38FN2O5
(MH+): 513.2765. Found, 513.2772.
【0184】
(実施例6)
第一工程
(2S)-2-フルオロ-11-O-ホルミル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0185】
【化49】

【0186】
実施例1の第一工程の方法に従って、文献(WO2000/07974号パンフレット)の方法に従って製造した(2S)-2-フルオロ-11-O-ホルミルムチリン820 mg (4.02 mmol) 、カルボン酸塩化物1.04 g (2.83
mmol) 、シアン酸銀1.06 g (7.07 mmol) およびトリエチルアミン0.56 mL (4.02 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、170 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率8%)。
MS
(FAB) (m/z): 541 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C30H38FN2O6
(MH+): 541.2714. Found, 541.2718.
【0187】
第二工程
(2S)-2-フルオロ-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0188】
【化50】

【0189】
実施例1の第二工程の方法に従って、第一工程の化合物74.0 mg (0.14 mmol) を用いて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 3:2、ヘキサン:酢酸エチル = 1:2、次いでヘキサン:酢酸エチル
= 1:2)にて精製し、51.9 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率74%)。
MS
(FAB) (m/z): 513 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C29H38FN2O5
(MH+): 513.2765. Found, 513.2738.
【0190】
(実施例7)
第一工程
(2S)-2-フルオロ-11-O-ホルミル-14-[2-(ピリジン-3-イル)プロパノイル]カルバモイルムチリン
【0191】
【化51】

【0192】
実施例1の第一工程の方法に従って、文献(WO2000/07974号パンフレット)記載の方法に従って製造した(2S)-2-フルオロ-11-O-ホルミルムチリン100 mg (0.27 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩84.3 mg (0.41
mmol) 、シアン酸銀102 mg (0.68 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン 33.4
mg (0.27 mmol) およびトリエチルアミン57.0 μL (0.41 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:2、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、70.7 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率48%)。
MS
(FAB) (m/z): 543 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C30H40FN2O6
(MH+): 543.2870. Found, 543.2896.
【0193】
第二工程
(2S)-2-フルオロ-14-[2-(ピリジン-3-イル)プロパノイル]カルバモイルムチリン
【0194】
【化52】

【0195】
実施例1の第二工程の方法に従って、第一工程の化合物62.7 mg (0.12 mmol) を用いて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 3:2、ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、次いでヘキサン:酢酸エチル
= 1:2)にて精製し、21.8 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率37%)。
MS
(FAB) (m/z): 515 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C29H40FN2O5
(MH+): 515.2921. Found, 515.2924.
【0196】
(実施例8)
第一工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0197】
【化53】

【0198】
実施例1の第一工程の方法に従って、参考例5の化合物400 mg (1.30 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩399 mg (1.95
mmoL) 、シアン酸銀486 mg (3.24 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン 159
mg (1.30 mmol) およびトリエチルアミン0.27 mL (1.95 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、ヘキサン:酢酸エチル = 1:2、次いでヘキサン:酢酸エチル
= 1:4)にて精製し、552 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率88%)。
MS
(EI) (m/z): 482 (M+).
HRMS
(EI) (m/z): Calcd. for C28H38N2O5
(M+): 482.2781. Found, 482.2773.
【0199】
第二工程
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニルムチリン
【0200】
【化54】

【0201】
実施例1の第二工程の方法に従って、第一工程の化合物253 mg (0.52 mmol) を用いて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:8)にて精製し、183
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率75%)。
MS
(FAB) (m/z): 469 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C27H37N2O5
(MH+): 469.2702. Found, 469.2699.
【0202】
(実施例9)
第一工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-14-[2-(ピリジン-3-イル)プロパノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0203】
【化55】

【0204】
実施例1の第一工程の方法に従って、参考例5の化合物400 mg (1.30 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩402 mg (1.95
mmol) 、シアン酸銀486 mg (3.24 mmol) およびトリエチルアミン0.27 mL (1.95 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、448 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率71%)。
MS
(EI) (m/z): 484 (MH+).
HRMS
(EI) (m/z): Calcd. for C28H40N2O5
(MH+): 484.2937. Found, 484.2907.
【0205】
第二工程
14-[2-(ピリジン-3-イル)プロパノイル]カルバモイル-12-デスエテニルムチリン
【0206】
【化56】

実施例1の第二工程の方法に従って、第一工程の化合物210 mg (0.43 mmol) を用いて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:8)にて精製し、155
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率76%)。
MS
(FAB) (m/z): 471 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C27H39N2O5
(MH+): 471.2859. Found, 471.2859.
【0207】
(実施例10)
第一工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-12-メチル-11-オキソ-4-エピムチリン
【0208】
【化57】

【0209】
参考例3の化合物5.00 g (14.2 mmol) の無水テトラヒドロフラン溶液 (200 mL) に、-70 °Cアルゴン雰囲気下カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5 mol/Lトルエン溶液)34.0 mL (17.0 mmol) を加え、0.5時間攪拌した。同条件下ヨウ化メチル1.06 mL (17.0 mmol) を加え、-50 °Cまで昇温させながら4時間攪拌した。反応混合液に希クエン酸水溶液を加えて減圧留去し、得られた残渣を酢酸エチル抽出した(50 mL x 3)。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (50 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)にて精製し、5.20
gの黄色油状の表題化合物を得た(収率100%)。
MS
(FAB) (m/z): 367 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C22H39O4 (MH+):
367.2848. Found, 367.2884.
【0210】
第二工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-12-メチル-11-オキソ-4-エピムチリン
【0211】
【化58】

【0212】
参考例5の方法に従って、第一工程の化合物5.20 g (14.2 mmol) およびp-トルエンスルホン酸2.70
g (14.2 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)にて精製し、3.70 gの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率81%)。
MS
(FAB) (m/z): 323 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C20H35O3 (MH+):
323.2586. Found, 323.2609.
【0213】
第三工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-12-メチル-11-オキソ-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0214】
【化59】

【0215】
実施例1の第一工程の方法に従って、第二工程の化合物76.2 mg (0.24 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩72.3 mg (0.35 mmol) 、シアン酸銀88.5 mg (0.59
mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン28.8 mg (0.24 mmol) およびトリエチルアミン49.0 μL (0.35 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、83.5 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率71%)。
MS
(FAB) (m/z): 497 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C29H41N2O5
(MH+): 497.3015. Found, 497.3007.
【0216】
第四工程
12-デスエテニル-12-メチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0217】
【化60】

【0218】
実施例1の第二工程の方法に従って、第三工程の化合物78.2 mg (0.16 mmol) を用いて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、68.8
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率91%)。
MS
(FAB) (m/z): 483 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C28H39N2O5
(MH+): 483.2859. Found, 483.2902.
【0219】
(実施例11)
第一工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-12,14-O,O-ジメトキシメチル-11-オキソ-4-エピムチリン
【0220】
【化61】

【0221】
実施例10の第一工程の方法に従って、参考例3の化合物2.00 g (5.67 mmol) 、クロロメチルメチルエーテル0.52 mL
(6.81 mmol) およびカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5 mol/Lトルエン溶液)13.6 mL (6.81 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)にて精製し、1.80
gの黄色油状の表題化合物を得た(収率80%)。
MS
(FAB) (m/z): 397 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C23H41O5 (MH+):
397.2954. Found, 397.2926.
【0222】
第二工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-12-メトキシメチル-11-オキソ-4-エピムチリン
【0223】
【化62】

【0224】
参考例5の方法に従って、第一工程の化合物1.80 g (4.54 mmol) およびp-トルエンスルホン酸0.86
g (4.54 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1)にて精製し、1.30 gの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率81%)。
MS
(FAB) (m/z): 353 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C21H37O4 (MH+):
353.2692. Found, 353.2656.
【0225】
第三工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-12-メトキシメチル-11-オキソ-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0226】
【化63】

【0227】
実施例1の第一工程の方法に従って、第二工程の化合物654 mg (1.86 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩569 mg (2.79 mmol) 、シアン酸銀418 mg (2.79 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン341
mg (2.79 mmol) およびトリエチルアミン0.39 mL (2.79 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、ヘキサン:酢酸エチル =
1:2、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、470 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率48%)。
MS
(FAB) (m/z): 527 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C30H43N2O6
(MH+): 527.3121. Found, 527.3149.
【0228】
第四工程
12-デスエテニル-12-メトキシメチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0229】
【化64】

【0230】
実施例1の第二工程の方法に従って、第三工程の化合物470 mg (0.89 mmol) を用いて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、ヘキサン:酢酸エチル =
1:2、ヘキサン:酢酸エチル = 1:4、次いで酢酸エチル:メタノール = 10:1)にて精製し、288
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率63%)。
MS
(FAB) (m/z): 513 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C29H41N2O6
(MH+): 513.2965. Found, 513.2968.
【0231】
(実施例12)
第一工程
(3R)-12-(1-アセトキシエタン-2-イル)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-4-エピムチリン
【0232】
【化65】

【0233】
実施例10の第一工程の方法に従って、参考例3の化合物5.00 g (14.2 mmol) 、酢酸ブロモエチル1.88 mL (17.0
mmol) およびカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5
mol/Lトルエン溶液)34.0
mL (17.0 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 5:1)にて精製し、5.47 gの淡黄色油状の表題化合物を得た(収率88%)。
MS
(FAB) (m/z): 377 (MH+-HOCH2OCH3).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C23H37O4 (MH+-HOCH2OCH3):
377.2692. Found, 377.2725.
【0234】
第二工程
(3R)-12-(1-アセトキシエタン-2-イル)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-4-エピムチリン
【0235】
【化66】

【0236】
参考例5の方法に従って、第一工程の化合物5.18 g (11.8 mmol) およびp-トルエンスルホン酸2.25
g (14.2 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:2、次いでヘキサン:酢酸エチル
= 1:4)にて精製し、3.15 gの無色粉末状物である(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-12-(1-ヒドロキシエタン-2-イル)-3-メトキシ-11-オキソ-4-エピムチリンを得た(収率76%)。このうち359 mg (1.02 mmol) 、無水酢酸 1 mLおよびピリジン 1 mL を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1)にて精製し、210
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率80%)。
MS
(FAB) (m/z): 377 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C23H37O4 (MH+):
377.2692. Found, 377.2701.
【0237】
第三工程
(3R)-12-(1-アセトキシエタン-2-イル)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0238】
【化67】

【0239】
実施例1の第一工程の方法に従って、第二工程の化合物210 mg (1.07 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩163 mg (0.80 mmol) 、シアン酸銀120 mg (0.80 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン97.7
mg (0.80 mmmol) およびトリエチルアミン0.11 mL (0.80 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、次いで酢酸エチル:メタノール = 40:1)にて精製し、173
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率57%)。
MS
(FAB) (m/z): 569 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C32H45N2O7
(MH+): 569.3227. Found, 569.3240.
【0240】
第四工程
12-デスエテニル-12-(1-ヒドロキシエタン-2-イル)-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0241】
【化68】

【0242】
実施例1の第二工程の方法に従って、第三工程の化合物173 mg (0.30 mmol) を用いて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、次いで酢酸エチル:メタノール = 10:1)にて精製し、24.7
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率16%)。
MS
(FAB) (m/z): 513 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C29H41N2O6
(MH+): 513.2965. Found, 513.2955.
【0243】
(実施例13)
第一工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-12-(1-プロペン-3-イル)-4-エピムチリン
【0244】
【化69】

【0245】
実施例10の第一工程の方法に従って、参考例3の化合物5.00 g (14.2 mmol) 、ヨウ化アリル1.47 mL (17.0
mmol) およびカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5
mol/Lトルエン溶液)34.0
mL (17.0 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 10:1)にて精製し、2.52 gの黄色油状の表題化合物を得た(収率45%)。
MS
(FAB) (m/z): 393 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C24H41O4 (MH+):
393.3005. Found, 393.2977.
【0246】
第二工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-12-(1-プロペン-3-イル)-4-エピムチリン
【0247】
【化70】

【0248】
参考例5の方法に従って、第一工程の化合物2.52 g (6.42 mmol) およびp-トルエンスルホン酸1.22 g (6.42 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)にて精製し、1.76
gの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率79%)。
MS
(FAB) (m/z): 349 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C22H37O3 (MH+):
349.2743. Found, 349.2788.
【0249】
第三工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-12-(1-プロペン-3-イル)-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0250】
【化71】

【0251】
実施例1の第一工程の方法に従って、第二工程の化合物178 mg (0.51 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩157 mg (0.77 mmol) 、シアン酸銀115 mg (0.77 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン94.1
mg (0.77 mmol) およびトリエチルアミン0.11 mL (0.77 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、次いで酢酸エチル:メタノール = 40:1)にて精製し、189
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率71%)。
MS
(FAB) (m/z): 523 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C31H43N2O5
(MH+): 523.3172. Found, 523.3207.
【0252】
第四工程
12-デスエテニル-12-(1-プロペン-3-イル)-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0253】
【化72】

【0254】
実施例1の第二工程の方法に従って、第三工程の化合物129 mg (0.25 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:2、次いで酢酸エチル:メタノール = 20:1)にて精製し、67.6
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率53%)。
MS
(FAB) (m/z): 509 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C30H41N2O5
(MH+): 509.3015. Found, 509.2987.
【0255】
(実施例14)
第一工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-12-フェニルメチル-4-エピムチリン
【0256】
【化73】

【0257】
実施例10の第一工程の方法に従って、参考例3の化合物2.00 g (5.67 mmol) 、ベンジルブロミド0.81 mL (6.81
mmol) およびカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5 mol/Lトルエン溶液)13.6 mL (6.81 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)にて精製し、2.51
gの無色油状の表題化合物を得た(収率100%)。
MS
(FAB) (m/z): 381 (MH+-HOCH2OCH3).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C26H37O2 (MH+-HOCH2OCH3):
381.2794. Found, 381.2817.
【0258】
第二工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-12-フェニルメチル-4-エピムチリン
【0259】

【化74】

【0260】
参考例5の方法に従って、第一工程の化合物2.51 g (5.67 mmol) およびp-トルエンスルホン酸1.08 g (5.67 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)にて精製し、1.55
gの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率69%)。
MS
(FAB) (m/z): 399 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C26H39O3 (MH+):
399.2899. Found, 399.2900.
【0261】
第三工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-12-フェニルメチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0262】
【化75】

【0263】
実施例1の第一工程の方法に従って、第二工程の化合物517 mg (1.30 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩398 mg (1.95 mmol) 、シアン酸銀292 mg (1.95 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン238
mg (1.95 mmol) およびトリエチルアミン0.27 mL (1.95 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、ヘキサン:酢酸エチル =
1:2、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、313 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率42%)。
MS
(FAB) (m/z): 573 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C35H45N2O5
(MH+): 573.3328. Found, 573.3333.
【0264】
第四工程
12-デスエテニル-12-フェニルメチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0265】
【化76】

【0266】
実施例1の第二工程の方法に従って、第三工程の化合物313 mg (0.55 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、ヘキサン:酢酸エチル =
1:2、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、212 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率69%)。
MS
(FAB) (m/z): 559 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C34H43N2O5
(MH+): 559.3172. Found, 559.3194.
【0267】
(実施例15)
第一工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-12-(1-プロピン-3-イル)-4-エピムチリン
【0268】
【化77】

【0269】
実施例10の第一工程の方法に従って、参考例3の化合物2.00 g (5.67 mmol) 、プロパルギルブロミド0.51 mL (6.81
mmol) およびカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5
mol/Lトルエン溶液)13.6
mL (6.81 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)にて精製し、2.32 gの黄色油状の表題化合物を得た(収率100%)。
MS
(FAB) (m/z): 329 (MH+-HOCH2OCH3).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C22H33O2 (MH+-HOCH2OCH3):
329.2481. Found, 329.2467.
【0270】
第二工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-12-(1-プロピン-3-イル)-4-エピムチリン
【0271】
【化78】

【0272】
参考例5の方法に従って、第一工程の化合物2.32 g (5.67 mmol) およびp-トルエンスルホン酸1.08 g (5.67 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1)にて精製し、1.61
gの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率82%)。
MS
(FAB) (m/z): 347 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C22H35O3 (MH+):
347.2586. Found, 347.2600.
【0273】
第三工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-12-(1-プロピン-3-イル)-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0274】
【化79】

【0275】
実施例1の第一工程の方法に従って、第二工程の化合物300 mg (0.87 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩267 mg (1.31 mmol) 、シアン酸銀196 mg (1.31 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン160 mg
(1.31 mmol) およびトリエチルアミン0.18 mL (1.31 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、ヘキサン:酢酸エチル =
1:2、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、232 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率51%)。
MS
(FAB) (m/z): 521 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C31H41N2O5
(MH+): 521.3015. Found, 521.3022.
【0276】
第四工程
12-デスエテニル-12-(1-プロピン-3-イル)-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0277】
【化80】

【0278】
実施例1の第二工程の方法に従って、第三工程の化合物232 mg (0.45 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、ヘキサン:酢酸エチル =
1:2、ヘキサン:酢酸エチル = 1:4、次いで酢酸エチル)にて精製し、152 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率67%)。
MS
(FAB) (m/z): 507 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C20H39N2O5
(MH+): 507.2859. Found, 507.2850.
【0279】
(実施例16)
第一工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-12-(2-プロピン-3-イル)-4-エピムチリン
【0280】
【化81】

【0281】
実施例15の第一工程の化合物13.3 g (34.0 mmol) のテトラヒドロフラン溶液 (150 mL) に、氷冷下カリウムt-ブトキシド3.82 g (34.0 mmol) を加え、自然昇温させながら12時間攪拌した。反応混合物を希クエン酸水溶液に注ぎ溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチル抽出 (100 mL x 3) し、合した有機層を飽和食塩水洗浄 (50 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 8:1)にて精製し、13.2
gの黄色油状の表題化合物を得た(収率99%)。
MS
(FAB) (m/z): 391 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C24H39O4 (MH+):
391.2848. Found, 391.2871.
【0282】
第二工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-12-(2-プロピン-3-イル)-4-エピムチリン
【0283】
【化82】

【0284】
参考例5の方法に従って、第一工程の化合物3.09 g (7.91 mmol) およびp-トルエンスルホン酸1.50 g (7.91 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)にて精製し、2.12
gの黄色油状物である表題化合物を得た(収率77%)。
MS
(FAB) (m/z): 329 (MH+-H2O).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C22H33O2 (MH+-H2O):
329.2481. Found, 329.2477.
【0285】
第三工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-12-(2-プロピン-3-イル)-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0286】
【化83】

【0287】
実施例1の第一工程の方法に従って、第二工程の化合物500 mg (1.44 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩441 mg (2.16 mmol) 、シアン酸銀324 mg (2.16 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン264
mg (2.16 mmol) およびトリエチルアミン0.30 mL (2.16 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、次いで酢酸エチル)にて精製し、367 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率49%)。
MS
(FAB) (m/z): 521 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C31H41N2O5
(MH+): 521.3015. Found, 521.3000.
【0288】
第四工程
12-デスエテニル-12-(2-プロピン-3-イル)-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0289】
【化84】

【0290】
実施例1の第二工程の方法に従って、第三工程の化合物367 mg (0.70 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、ヘキサン:酢酸エチル = 1:2、ヘキサン:酢酸エチル = 1:4、次いで酢酸エチル)にて精製し、281 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率79%)。
MS
(FAB) (m/z): 507 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C30H39N2O5
(MH+): 507.2859. Found, 507.2889.
【0291】
(実施例17)
第一工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-12-(1-フルオロエタン-2-イル)-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-4-エピムチリン
【0292】
【化85】

【0293】
実施例10の第一工程の方法に従って、参考例3の化合物5.00 g (14.2 mmol) 、1-ブロモ-2-フルオロエタン2.16 g (17.0 mmol) およびカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5 mol/Lトルエン溶液)34.0 mL (17.0 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)にて精製し、5.29
gの淡黄色油状の表題化合物を得た(収率94%)。
MS
(FAB) (m/z): 399 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C23H40FO4 (MH+):
399.2911. Found, 399.2916.
【0294】
第二工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-12-(1-フルオロエタン-2-イル)-3-メトキシ-11-オキソ-4-エピムチリン
【0295】
【化86】

【0296】
参考例5の方法に従って、第一工程の化合物5.29 g (13.3 mmol) およびp-トルエンスルホン酸2.52 g (13.3 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1、次いでヘキサン:酢酸エチル = 2:1)にて精製し、4.07 gの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率86%)。
MS
(FAB) (m/z): 355 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C21H36FO3 (MH+):
355.2648. Found, 355.2672.
【0297】
第三工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-12-(1-フルオロエタン-2-イル)-3-メトキシ-11-オキソ-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0298】
【化87】

【0299】
実施例1の第一工程の方法に従って、第二工程の化合物500 mg (1.41 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩433 mg (2.12 mmol) 、シアン酸銀318 mg (2.12 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン259
mg (2.12 mmol) およびトリエチルアミン0.28 mL (2.12 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、次いで酢酸エチル:メタノール = 20:1)にて精製し、276
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率37%)。
MS
(FAB) (m/z): 529 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C30H42FN2O5
(MH+): 529.3078. Found, 529.3088.
【0300】
第四工程
12-デスエテニル-12-(1-フルオロエタン-2-イル)-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0301】
【化88】

【0302】
実施例1の第二工程の方法に従って、第三工程の化合物276 mg (0.52 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:2、ヘキサン:酢酸エチル = 1:4、酢酸エチル)にて精製し、92.8 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率35%)。
MS
(FAB) (m/z): 495 (MH+-HF).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C29H39FN2O5
(MH+-HF): 495.2859. Found, 495.2897.
【0303】
(実施例18)
第一工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-12-(1,1,1-トリフルオロエタン-2-イル)-4-エピムチリン
【0304】
【化89】

【0305】
実施例10の第一工程の方法に従って、参考例3の化合物600 mg (1.70 mmol) 、トリフルオロエチルヨーダイド201 μL (2.04 mmol) およびカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5 mol/Lトルエン溶液)4.08 mL (2.04 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 10:1)にて精製し、563
mgの無色油状の表題化合物を得た(収率78%)。
MS
(FAB) (m/z): 391 (MH+-MeOH).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C21H34F3O3
(MH+-MeOH): 391.2460. Found, 391.2459.
【0306】
第二工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-12-(1,1,1-トリフルオロエタン-2-イル)-4-エピムチリン
【0307】
【化90】

【0308】
参考例5の方法に従って、第一工程の化合物563 mg (1.33 mmol) およびp-トルエンスルホン酸253 mg (1.33 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)にて精製し、396
mgの黄色粉末状物である表題化合物を得た(収率79%)。
MS
(CI) (m/z): 391 (MH+).
HRMS
(CI) (m/z): Calcd. for C21H34F3O3
(MH+): 391.2460. Found, 391.2479.
【0309】
第三工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-(1,1,1-トリフルオロエタン-2-イル)-4-エピムチリン
【0310】
【化91】

【0311】
実施例1の第一工程の方法に従って、第二工程の化合物198 mg (0.51 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩157 mg (0.77 mmol) 、シアン酸銀115 mg (0.77 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン94.1
mg (0.77 mmol) およびトリエチルアミン0.11 mL (0.77 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、次いで酢酸エチル:メタノール = 20:1)にて精製し、161
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率56%)。
MS
(FAB) (m/z): 565 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C30H40F3N2O5
(MH+): 565.2889. Found, 565.2916.
【0312】
第四工程
12-デスエテニル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-(1,1,1-トリフルオロエタン-2-イル)ムチリン
【0313】
【化92】

【0314】
実施例1の第二工程の方法に従って、第三工程の化合物161 mg (0.29 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、135
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率85%)。
MS
(FAB) (m/z): 551 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C29H38F3N2O5
(MH+): 551.2733. Found, 551.2718.
【0315】
(実施例19)
第一工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-12-フルオロメチル-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-4-エピムチリン
【0316】
【化93】

【0317】
実施例2の第一工程の方法に従って、参考例3の化合物5.00 g (14.2 mmol) 、酢酸ブロモメチル1.67 mL (17.0
mmol) およびカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5
mol/Lトルエン溶液)34.0
mL (17.0 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)にて精製し、3.93 gの無色油状の(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-12-アセトキシメチル-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-4-エピムチリンを得た(収率65%)。
MS
(FAB) (m/z): 363 (MH+-HOCH2OCH3).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C22H35O4 (MH+-HOCH2OCH3):
363.2535. Found, 363.2552.
【0318】
この化合物2.00 g (4.71 mmol) にメタノールを加え、炭酸カリウム 1.30 g (9.42 mmol) を添加して2時間室温攪拌した。反応混合物をセライトろ過し、残渣を酢酸エチルにて洗浄した。溶媒を減圧留去後、残渣に希クエン酸水溶液を加えて酢酸エチル抽出 (10 mL x 3) した。合した有機層は飽和食塩水洗浄後 (10 mL)、ろ過し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:2)にて精製し、1.13 gの無色粉末状物である(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-12-ヒドロキシメチル-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-4-エピムチリンを得た(収率63%)。
MS
(FAB) (m/z): 383 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C22H39O5 (MH+):
383.2797. Found, 383.2824.
【0319】
この化合物1.13 g (2.95 mmol) のトルエン溶液に、氷冷アルゴン雰囲気下1,8-1ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ-7-セン1.33
mL (8.86 mmol) 、次いでパーフルオロオクタンスルホニルフルオリド1.22 mL (4.43
mmol) を滴下し、自然昇温させながら15時間攪拌した。反応混合物に希クエン酸水溶液を加えて酢酸エチル抽出 (10 mL x 3) した。合した有機層は飽和食塩水洗浄後 (10 mL) 、ろ過し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 8:1)にて精製し、1.00
gの黄色粉末状物である表題化合物を得た(収率88%)。
MS
(FAB) (m/z): 323 (MH+-H2O).
Rf
= 0.41 (ヘキサン:酢酸エチル = 4:1).
【0320】
第二工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-12-フルオロメチル-3-メトキシ-11-オキソ-4-エピムチリン
【0321】
【化94】

【0322】
参考例5の方法に従って、第一工程の化合物1.00 g (2.60 mmol) およびp-トルエンスルホン酸0.49 g (2.60 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1、次いでヘキサン:酢酸エチル = 2:1)にて精製し、526 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率59%)。
MS
(FAB) (m/z): 341 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C20H34FO3 (MH+):
341.2492. Found, 341.2502.
【0323】
第三工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-12-フルオロメチル-3-メトキシ-11-オキソ-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0324】
【化95】

【0325】
実施例1の第一工程の方法に従って、第二工程の化合物263 mg (0.77 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩237 mg (1.16 mmol) 、シアン酸銀174 mg (1.16 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン142
mg (1.16 mmol) およびトリエチルアミン0.16 mL (1.16 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、ヘキサン:酢酸エチル =
1:2、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:4、次いで酢酸エチル)にて精製し、133 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率34%)。
MS
(FAB) (m/z): 515 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C29H40FN2O5
(MH+): 515.2910. Found, 515.2921.
【0326】
第四工程
12-デスエテニル-12-フルオロメチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0327】
【化96】

【0328】
実施例1の第二工程の方法に従って、第三工程の化合物133 mg (0.26 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、94.3
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率72%)。
MS
(FAB) (m/z): 501 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C28H38FN2O5
(MH+): 501.2765. Found, 501.2785.
【0329】
(実施例20)
第一工程
(3R)-12-アセトキシメチル-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-4-エピムチリン
【0330】
【化97】

【0331】
参考例5の方法に従って、(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-12-アセトキシメチル-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-4-エピムチリン 600
mg (1.41 mmol) およびp-トルエンスルホン酸26.9 mg (0.14 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1)にて精製し、156
mgの無色油状物である表題化合物を得た(収率29%)。
MS
(FAB) (m/z): 381 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C22H37O5 (MH+):
381.2641. Found, 381.2656.
【0332】
第二工程
(3R)-12-アセトキシメチル-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0333】
【化98】

【0334】
実施例1の第一工程の方法に従って、第一工程の化合物195 mg (0.51 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩157 mg (0.77 mmol) 、シアン酸銀115 mg (0.77 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン94.1
mg (0.77 mmol) およびトリエチルアミン0.11 mL (0.77 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、次いで酢酸エチル:メタノール = 20:1)にて精製し、153
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率55%)。
MS
(FAB) (m/z): 555 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C31H43N2O7
(MH+): 555.3070. Found, 555.3074.
【0335】
第三工程
12-ヒドロキシメチル-12-デスエテニル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0336】
【化99】

【0337】
実施例1の第二工程の方法に従って、第二工程の化合物153 mg (0.28 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、次いで酢酸エチル:メタノール = 10:1)にて精製し、82.1
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率59%)。
MS
(FAB) (m/z): 499 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C28H39N2O6
(MH+): 499.2808. Found, 499.2819.
【0338】
(実施例21)
第一工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-12-(4-ピリジル)メチル-4-エピムチリン
【0339】
【化100】

【0340】
実施例10の第一工程の方法に従って、参考例3の化合物2.00 g (5.67 mmol) 、4-クロロメチルピリジン塩酸塩1.01 g (6.81 mmol) およびカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5 mol/Lトルエン溶液)13.6 mL (6.81 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1、ヘキサン:酢酸エチル = 1:4、次いで酢酸エチル)にて精製し、2.06 gの茶色粉末状物である表題化合物を得た(収率82%)。
MS
(FAB) (m/z): 444 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C27H42NO4 (MH+):
444.3114. Found, 444.3122.
【0341】
第二工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-12-(4-ピリジル)メチル-4-エピムチリン
【0342】
【化101】

【0343】
参考例5の方法に従って、第一工程の化合物2.06 g (4.64 mmol) およびp-トルエンスルホン酸1.77 g (9.29 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル、次いで酢酸エチル:メタノール = 10:1)にて精製し、1.32
gの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率71%)。
MS
(FAB) (m/z): 400 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C25H38NO3 (MH+):
400.2852. Found, 400.2872.
【0344】
第三工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-12-(4-ピリジル)メチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0345】
【化102】

【0346】
実施例1の第一工程の方法に従って、第二工程の化合物500 mg (1.25 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩384 mg (1.88 mmol) 、シアン酸銀282 mg (1.88 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン230
mg (1.88 mmol) およびトリエチルアミン0.26 mL (1.88 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:4、次いで酢酸エチル:メタノール = 10:1)にて精製し、294
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率41%)。
MS
(FAB) (m/z): 574 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C34H44N3O5
(MH+): 574.3281. Found, 574.3268.
【0347】
第四工程
12-デスエテニル-12-(4-ピリジル)メチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0348】
【化103】

【0349】
実施例1の第二工程の方法に従って、第三工程の化合物294 mg (0.51 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル、次いで酢酸エチル:メタノール = 10:1)にて精製し、229 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率80%)。
MS
(FAB) (m/z): 560 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C33H42N3O5
(MH+): 560.3124. Found, 560.3099.
【0350】
(実施例22)
第一工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-12-[2-プロペン-3-イル]-4-エピムチリン
【0351】
【化104】

【0352】
実施例16の第一工程の化合物13.2
g (33.8 mmol) のトルエン溶液 (250 mL) にLindlar触媒1.30 g (10%重量) を添加し、常温下98.1KPaにて5時間接触還元に付した。反応混合物をセライトろ過し、残渣を酢酸エチルにて洗浄した。合したろ液を減圧留去し、13.3 gの無色油状物である表題化合物を得た(収率100%)。
MS
(FAB) (m/z): 393 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C24H41O4 (MH+):
393.3005. Found, 393.3010.
【0353】
第二工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-12-[2-プロペン-3-イル]-4-エピムチリン
【0354】
【化105】

【0355】
参考例5の方法に従って、第一工程の化合物13.3 g (33.9 mmol) およびp-トルエンスルホン酸6.44 g (33.9 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1)にて精製し、10.1
gの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率86%)。
MS
(FAB) (m/z): 331 (MH+-H2O).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C22H35O2 (MH+-H2O):
331.2637. Found, 331.2645.
【0356】
第三工程
12-デスエテニル-3-メトキシ-11-O-メトキシメチル-11-オキソ-12-[2-プロペン-3-イル]-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0357】
【化106】

【0358】
実施例1の第一工程の方法に従って、第二工程の化合物300 mg (0.86 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩263 mg (1.29 mmol)、シアン酸銀193 mg (1.29 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン 158
mg (1.29 mmmol) およびトリエチルアミン0.18 mL (1.29 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 4:1、次いでヘキサン:酢酸エチル = 2:1)にて精製し、442 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率83%)。
MS
(FAB) (m/z): 523 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C31H43N2O5
(MH+): 523.3172. Found, 523.3215.
【0359】
第四工程
12-デスエテニル-12-[2-プロペン-3-イル]-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0360】
【化107】

【0361】
実施例1の第二工程の方法に従って、第三工程の化合物185 mg (0.35 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、164
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率82%)。
MS
(FAB) (m/z): 509 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C30H41N2O5
(MH+): 509.3015. Found, 509.3029.
【0362】
(実施例23)
第一工程
(3R)-12-シアノメチル-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-4-エピムチリン
【0363】
【化108】

【0364】
実施例10の第一工程の方法に従って、参考例3の化合物3.00 g (8.51 mmol) 、クロロアセトニトリル0.65 mL (10.2
mmol) およびカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.5
mol/Lトルエン溶液)20.4
mL (10.2 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 5:1、次いでヘキサン:酢酸エチル
= 2:1)にて精製し、2.10 gの黄色油状の表題化合物を得た(収率63%)。
MS
(FAB) (m/z): 330 (MH+-HOCH2OCH3).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C21H32NO2 (MH+-HOCH2OCH3):
330.2433. Found, 330.2426.
【0365】
第二工程
(3R)-12-シアノメチル-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-4-エピムチリン
【0366】
【化109】

【0367】
参考例5の方法に従って、第一工程の化合物2.10 g (5.36 mmol) およびp-トルエンスルホン酸1.02 g (5.36 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1)にて精製し、1.31
gの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率70%)。
MS
(FAB) (m/z): 330 (MH+-H2O).
Rf
= 0.23 (ヘキサン:酢酸エチル = 2:1)
【0368】
第三工程
(3R)-12-シアノメチル-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0369】
【化110】

【0370】
実施例1の第一工程の方法に従って、第二工程の化合物500 mg (1.44 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩441 mg (2.16 mmol) 、シアン酸銀324 mg (2.16 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン264
mg (2.16 mmol) およびトリエチルアミン0.30 mL (2.16 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1)にて精製し、380
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率51%)。
MS
(FAB) (m/z): 522 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C30H40N3O5
(MH+): 522.2968. Found, 522.2968.
【0371】
第四工程
12-シアノメチル-12-デスエテニル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0372】
【化111】

【0373】
実施例1の第二工程の方法に従って、第三工程の化合物380 mg (0.73 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、ヘキサン:酢酸エチル
= 1:2、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、61.8 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率17%)。
MS
(FAB) (m/z): 508 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C29H38N3O5
(MH+): 508.2811. Found, 508.2771.
【0374】
(実施例24)
第一工程
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-12-[1-(1,2,3-トリアゾール-1-イル)エチル]-4-エピムチリン
【0375】
【化112】

【0376】
(3R)-3-デオキソ-11-デオキシ-12-デスエテニル-12-(1-ヒドロキシエタン-2-イル)-3-メトキシ-14-O-メトキシメチル-11-オキソ-4-エピムチリン
4.49 g (11.3 mmol) の塩化メチレン溶液 (100 mL) に、氷冷アルゴン雰囲気下トリエチルアミン4.74 mL (34.0 mmol) 、次いで塩化メタンスルホニル1.32 mL
(17.0 mmoL) を加え、自然昇温させながら2時間攪拌した。反応混合物を希クエン酸水溶液に注ぎ、溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチル抽出 (30 mL x 3) した。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (30 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル = 2:1) にて精製し、4.35 g の無色油状物を得た(収率81%)。
【0377】
このうち2.30 g (4.85 mmol) をN,N-ジメチルホルムアミド (30 mL) に溶解し、アジ化ナトリウム0.47 g (7.27 mmol) を加えて80℃にて4時間加熱攪拌した。冷後反応混合物を冷水に注ぎ、酢酸エチル抽出 (30 mL x 3) した。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (30 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒留去し、粗製のアジド体を得た。これにビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエン5.23
mL (48.5 mmol) を加えて80℃にて1時間加熱攪拌した。冷後反応混合物をジオキサン (20 mL) で希釈し、1時間加熱還流した。冷後溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、ヘキサン:酢酸エチル = 1:2、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:4) にて精製し、1.50 g の淡黄色粉末状物を得た(収率69%)。これをメタノール (50 mL) に溶解し、p-トルエンスルホン酸1.27
g (6.70 mmol) を加えて室温下24時間放置した。反応混合物を濃縮した後、希炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチル抽出(30 mL x 3) した。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (20 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル = 1:2、酢酸エチル、次いで酢酸エチル:メタノール = 10:1) にて精製し、1.03 g の無色粉末状物である表題化合物を得た(収率76%)。
MS
(FAB) (m/z): 386 (MH+-HOCH2OCH3).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C23H36N3O2
(MH+-HOCH2OCH3): 386.2808. Found, 386.2859.
【0378】
第二工程
12-デスエテニル-3-メトキシ-11-オキソ-12-[1-(1,2,3-トリアゾール-1-イル)エチル]-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-4-エピムチリン
【0379】
【化113】

【0380】
実施例1の第一工程の方法に従って、第一工程の化合物400 mg (0.99 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩304 mg (1.49 mmol) 、シアン酸銀223 mg (1.49 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン182
mg (1.49 mmol) およびトリエチルアミン0.21 mL (1.49 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:4、ヘキサン:酢酸エチル = 1:8、酢酸エチル、次いで酢酸エチル:メタノール = 10:1)にて精製し、346 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率60%)。
MS
(FAB) (m/z): 578 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C23H44N5O5
(MH+): 578.3342. Found, 578.3360.
【0381】
第三工程
12-デスエテニル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-[1-(1,2,3-トリアゾール-1-イル)エチル]ムチリン
【0382】
【化114】

【0383】
実施例1の第二工程の方法に従って、第二工程の化合物346 mg (0.60 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:4、酢酸エチル、次いで酢酸エチル:メタノール = 10:1)にて精製し、230
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率68%)。
MS
(FAB) (m/z): 564 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C31H42N5O5
(MH+): 564.3186. Found, 564.3199.
【0384】
(実施例25)
第一工程
12-デスエテニル-12-ホルミル-11-O-メトキシメチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0385】
【化115】

【0386】
実施例1の第一工程の方法に従って、参考例6の化合物103 mg (0.28 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩86.2 mg (0.42
mmol) 、シアン酸銀105 mg (0.70 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン34.3
mg (0.28 mmol) およびトリエチルアミン59.0 μL (0.42 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:4、次いで酢酸エチル)にて精製し、56.0 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率37%)。
MS
(FAB) (m/z): 541 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C30H41N2O7
(MH+): 541.2914. Found, 541.2928.
【0387】
第二工程
12-デスエテニル-12-ホルミル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0388】
【化116】

【0389】
実施例1の第二工程の方法に従って、第一工程の化合物50.2 mg (92.8 μmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)にて精製し、35.2 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率76%)。
MS
(FAB) (m/z): 497 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C28H37N2O6
(MH+): 497.2652. Found, 497.2664.
【0390】
(実施例26)
第一工程
12-デスエテニル-12-ホルミル-11-O-メトキシメチル-14-[2-(ピリジン-3-イル)プロパノイル]カルバモイルムチリン
【0391】
【化117】

【0392】
実施例1の第一工程の方法に従って、参考例6の化合物103 mg (0.28 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩87.0 mg (0.42
mmol) 、シアン酸銀105 mg (0.70 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン34.3
mg (0.28 mmol) およびトリエチルアミン59.0 μL (0.42 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:4、次いで酢酸エチル)にて精製し、78.5 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率51%)。
MS
(FAB) (m/z): 543 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C30H43N2O7
(MH+): 543.3070. Found, 543.3050.
【0393】
第二工程
12-デスエテニル-12-ホルミル-14-[2-(ピリジン-3-イル)プロパノイル]カルバモイルムチリン
【0394】
【化118】

【0395】
実施例1の第二工程の方法に従って、第一工程の化合物75.5 mg (0.14 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)にて精製し、58.7 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率85%)。
MS
(FAB) (m/z): 499 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C28H39N2O6
(MH+): 499.2808. Found, 499.2815.
【0396】
(実施例27)
第一工程
12-デスエテニル-12-メトキシカルボニル-11-O-メトキシメチルムチリン
【0397】
【化119】

【0398】
参考例6の化合物1.37 g (3.74 mmol) の含水テトラヒドロフラン溶液 (15 mL) に、塩素酸ナトリウム1.01 g (11.2 mmol) およびリン酸二水素ナトリウム 1.75 g を加えて室温下9時間攪拌した。反応混合物に希水酸化ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチル抽出 (10 mL x 3) した。水層に希クエン酸水溶液を加えて酢酸エチル抽出 (10
mL x 3) し、合した有機層を飽和食塩水洗浄 (10 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒を留去し、1.16 gの無色粉末状物である粗製のカルボン酸誘導体を得た(収率81%)。
MS
(CI) (m/z): 383 (MH+).
HRMS
(CI) (m/z): Calcd. for C21H35O6 (MH+):
383.2434. Found, 383.2414.
【0399】
このカルボン酸誘導体100 mg (0.26 mmol) のアセトニトリル溶液 (2 mL) に、硫酸ジメチル49.5 μL (0.52 mmol)および炭酸カリウム145 mg (1.05 mmol) を加えて7時間加熱還流した。反応混合物をセライトろ過し、残渣を酢酸エチル洗浄した。ろ液を減圧留去し、残渣に水を加えて酢酸エチル抽出 (3 mL x 3) した。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (3 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1)にて精製し、89.3
mgの無色油状物である表題化合物を得た(収率86%)。
MS
(FAB) (m/z): 397 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C22H37O6 (MH+):
397.2590. Found, 397.2598.
【0400】
第二工程
(3R)-12-デスエテニル-12-メトキシカルボニル-11-O-メトキシメチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0401】
【化120】

実施例1の第一工程の方法に従って、第一工程の化合物83.0 mg (0.21 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩64.1 mg (0.31 mmol) 、シアン酸銀78.4 mg (0.52
mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン25.5 mg (0.21 mmol) およびトリエチルアミン44.0 μL (0.31 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、ヘキサン:酢酸エチル = 1:2、次いでヘキサン:酢酸エチル
= 1:4)にて精製し、65.5 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率55%)。
MS
(FAB) (m/z): 571 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C31H43N2O8
(MH+): 571.3019. Found, 571.3066.
【0402】
第三工程
12-デスエテニル-12-メトキシカルボニル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0403】
【化121】

【0404】
実施例1の第二工程の方法に従って、第二工程の化合物64.0 mg (0.11 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:4、次いで酢酸エチル)にて精製し、51.9 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率88%)。
MS
(FAB) (m/z): 527 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C29H39N2O7
(MH+): 527.2757. Found, 527.2751.
【0405】
(実施例28)
第一工程
12-デスエテニル-12-[1-(E)-(エトキシカルボニル)エテン-2-イル]-11-O-メトキシメチルムチリン
【0406】
【化122】

【0407】
トリエチルホスホノアセテート288 mg (1.28 mmol) のテトラヒドロフラン溶液 (10 mL) に、室温下水素化ナトリウム76.9 mg (1.92 mmol) を加えて室温下0.5時間攪拌した。同温度アルゴン雰囲気下参考例6の化合物470 mg (1.28 mmol) のテトラヒドロフラン溶液 (10 mL) を加えて1時間攪拌した。反応混合物に希クエン酸水溶液を加えて溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチル抽出 (10 mL x 3) した。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (5 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1)にて精製し、351
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率59%)。
MS
(FAB) (m/z): 437 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C25H41O6 (MH+):
437.2903. Found, 437.2903.
【0408】
第二工程
12-デスエテニル-12-[1-(E)-(エトキシカルボニル)エテン-2-イル]-11-O-メトキシメチル-14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイルムチリン
【0409】
【化123】

【0410】
実施例1の第一工程の方法に従って、第一工程の化合物150 mg (0.34 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩104 mg (0.51 mmol) 、シアン酸銀76.4 mg (0.51 mmol)
、4-(ジメチルアミノ)ピリジン62.3 mg (0.51 mmol) およびトリエチルアミン71.1 μL (0.51 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、次いで酢酸エチル:メタノール = 20:1)にて精製し、106
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率50%)。
MS
(CI) (m/z): 611 (MH+).
HRMS
(CI) (m/z): Calcd. for C34H47N2O8
(MH+): 611.3332. Found, 611.3325.
【0411】
第三工程
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニル-12-[1-(E)-(エトキシカルボニル)エテン-2-イル]ムチリン
【0412】
【化124】

【0413】
実施例1の第二工程の方法に従って、第二工程の化合物106 mg (0.17 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)にて精製し、6.10 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た (収率6%)。
MS
(FAB) (m/z): 567 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C32H43N2O7
(MH+): 567.3070. Found, 567.3072.
【0414】
(実施例29)
第一工程
14-アセトキシ-11-O-メトキシメチルムチリン
【0415】
【化125】

【0416】
参考例7に従って、参考例4で得られた11-O-メトキシメチルムチリン3.00 g (7.38 mmol) をアセチル化反応に付し、得られた粗製の生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:2)にて精製し、1.73 gの黄色油状物である表題化合物を得た(収率53%)。
MS
(FAB) (m/z): 407 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C24H39O5 (MH+):
407.2797. Found, 407.2804.
【0417】
第二工程
19,20-O,O-イソプロピリデン-19,20-ジヒドロキシ-12-デスエテニル-11-O-メトキシメチルムチリン
【0418】
【化126】

【0419】
参考例2に従って、第一工程で得られた化合物3.00 g (7.38 mmol) をジオール化反応に付し、得られた粗製の生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 2:1、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:2)にて精製し、1.73 gの黄色油状物であるジオール体を得た(収率53%)。この化合物をメタノール (10 mL) に溶解し、希水酸化ナトリウム水溶液 (10 mL) を加えて13時間加熱還流した。冷後溶媒を減圧留去し、残渣に希クエン酸水溶液を加えて酢酸エチル抽出 (30 mL x 3) した。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (30 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒留去し、粗製のトリオール体を得た。これをアセトン (30 mL) に溶解し、アセトンジメチルアセタール 1.45 mL (11.8
mmol) および触媒量のp-トルエンスルホン酸を加えて室温下12時間放置した。反応混合物を減圧留去し、残渣に希クエン酸水溶液を加えて酢酸エチル抽出
(30 mL x 3) した。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (30 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー (ヘキサン:酢酸エチル = 2:1) にて精製し、1.22 g の淡黄色粉末状物である表題化合物を得た(収率71%)。
MS
(FAB) (m/z): 439 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C25H43O6 (MH+):
439.3060. Found, 439.3082.
【0420】
第三工程
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニル-12-(1,2-ジヒドロキシエタンジメチルケタール-2-イル)-11-O-メトキシメチルムチリン
【0421】
【化127】

【0422】
実施例1の第一工程の方法に従って、第二工程の化合物266 mg (0.61 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩187 mg (0.92 mmol) 、シアン酸銀229 mg (1.53 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン74.6
mg (0.61 mmol) およびトリエチルアミン0.11 mL (0.92 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1、次いでヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、333 mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率89%)。
MS
(FAB) (m/z): 613 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C34H49N2O8
(MH+): 613.3489. Found, 613.3491.
【0423】
第四工程
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニル-12-(1,2-ジヒドロキシエタン-2-イル)ムチリン
【0424】
【化128】

【0425】
実施例1の第二工程の方法に従って、第三工程の化合物131 mg (0.21 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール = 10:1)にて精製し、67.0
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た (収率59%)。
MS
(FAB) (m/z): 529 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C29H41N2O7
(MH+): 529.2914. Found, 529.2959.
【0426】
(実施例30)
第一工程
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロパノイル]カルバモイル-12-デスエテニル-12-(1,2-ジヒドロキシエタンジメチルケタール-2-イル)-11-O-メトキシメチルムチリン
【0427】
【化129】

【0428】
実施例1の第一工程の方法に従って、実施例29の第一工程で得られた化合物266 mg (0.61 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩189 mg (0.92
mmol) 、シアン酸銀229 mg (1.53 mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン74.6
mg (0.61 mmol) およびトリエチルアミン0.11 mL (0.92 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:1)にて精製し、229
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率61%)。
MS
(FAB) (m/z): 615 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C34H51N2O8
(MH+): 615.3645. Found, 615.3649.
【0429】
第二工程
14-[2-(ピリジン-3-イル)プロパノイル]カルバモイル-12-デスエテニル-12-(1,2-ジヒドロキシエタン-2-イル)ムチリン
【0430】
【化130】

【0431】
実施例1の第二工程の方法に従って、第一工程の化合物205 mg (0.33 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール = 10:1)にて精製し、110
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た (収率62%)。
MS
(FAB) (m/z): 531 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C29H43N2O7
(MH+): 531.3070. Found, 531.3101.
【0432】
(実施例31)
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニル-12-(1,2-ジヒドロキシエタンジメチルケタール-2-イル)ムチリン
【0433】
【化131】

【0434】
実施例29で得られた14-[2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニル-12-(1,2-ジヒドロキシエタン-2-イル)ムチリン50.0 mg (94.6 μmol)
のN,N-ジメチルホルムアミド溶液 (1.50 mL) に、アセトンジメチルアセタール11.8 mg (0.11
mmol) およびピリジニウムp-トルエンスルホネート 28.4 mg (0.11 mmol) を加えて室温下1.5時間攪拌した。反応混合物に水を加えて酢酸エチル抽出した(3 mL x 2)。合した有機層を水 (3 mL) 、次いで飽和食塩水洗浄 (3 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:4)にて精製し、51.3
mgの表題化合物を得た (収率95%)。
MS
(FAB) (m/z): 569 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C32H45N2O7
(MH+): 569.3227. Found, 569.3238.
【0435】
(実施例32)
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニル-12-(1,3-ジオキソラン-2-オン-4-イル)ムチリン
【0436】
【化132】

【0437】
実施例29で得られた14-[2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニル-12-(1,2-ジヒドロキシエタン-2-イル)ムチリン50.0 mg (94.6 μmol)
の塩化メチレン溶液 (4 mL) に、1,1’-カルボニルジイミダゾール16.9 mg (0.10 mmol) の塩化メチレン溶液 (4 mL) を加えて8時間加熱還流した。冷後溶媒留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 1:8)にて精製し、50.9
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た (収率98%)。
MS
(FAB) (m/z): 555 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C30H39N2O8
(MH+): 555.2706. Found, 555.2701.
【0438】
(実施例33)
第一工程
12-デスエテニル-11-O-メトキシメチルムチリン 12-N-メチルカルボキサミド
【0439】
【化133】

【0440】
実施例27の第一工程で製造した12-カルボキシ-12-デスエテニル-11-O-メトキシメチルムチリン200 mg (0.52 mmol) の塩化メチレン溶液 (2 mL) に、塩酸1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド 100 mg (0.52mmol) およびメチルアミン (2 mol/L
テトラヒドロフラン溶液) 0.78 mL (1.57 mmol) を加えて室温下12時間攪拌した。反応混合物に希クエン酸水溶液を加えて酢酸エチル抽出 (5 mL x
3) した。合した有機層を飽和食塩水洗浄 (5 mL) し、無水硫酸マグネシウム乾燥し、ろ過し、溶媒留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー (NH、ヘキサン:酢酸エチル =
1:1) にて精製し、46.7 mg の無色油状物である表題化合物を得た(収率23%)。
MS
(FAB) (m/z): 396 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C22H38NO5 (MH+):
396.2750. Found, 396.2759.
【0441】
第二工程
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニルムチリン 12-N-メチルカルボキサミド
【0442】
【化134】

【0443】
実施例1の第一工程の方法に従って、第一工程の化合物43.1 mg (0.11 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩33.4 mg (0.16 mmol) 、シアン酸銀40.8 mg (0.27
mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン13.3 mg (0.11 mmol) およびトリエチルアミン23.0 μL (0.16 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール = 10:1)にて精製し、29.9
mgの無色粉末状物である14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニル-11-O-メトキシメチルムチリン 12-N-メチルカルボキサミドを得た(収率48%)。
実施例1の第二工程の方法に従って、上記化合物29.9 mg (52.5 μmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール = 10:1)にて精製し、22.9
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た (収率83%)。
MS
(FAB) (m/z): 526 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C29H40N3O6
(MH+): 526.2917. Found, 526.2935.
【0444】
(実施例34)
第一工程
12-デスエテニル-11-メトキシメチルオキシムチリン 12-N,N-ジメチルカルボキサミド
【0445】
【化135】

【0446】
実施例33の方法に従って、実施例27の第一工程で製造した12-カルボキシ-12-デスエテニル-11-O-メトキシメチルムチリン 200 mg (0.52 mmol) 、塩酸1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド 100 mg (0.52mmol) およびジメチルアミン (2 mol/L
テトラヒドロフラン溶液) 0.78 mL (1.57 mmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー (NH、ヘキサン:酢酸エチル =
1:1) にて精製し、46.6 mg の無色油状物である表題化合物を得た(収率22%)。
MS
(FAB) (m/z): 410 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C23H40NO5 (MH+):
410.2906. Found, 410.2988.
【0447】
第二工程
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニル-11-O-メトキシメチルムチリン 12-N,N-ジメチルカルボキサミド
【0448】
【化136】

【0449】
実施例1の第一工程の方法に従って、第一工程の化合物40.3 mg (98.4 mmol) 、カルボン酸塩化物塩酸塩30.1 mg (0.15 mmol) 、シアン酸銀36.9 mg (0.25
mmol) 、4-(ジメチルアミノ)ピリジン12.0 mg (98.4 μmol) およびトリエチルアミン18.0 μL (0.15 mmol) にて反応を行い、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール = 10:1)にて精製し、24.4
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た(収率42%)。
MS
(FAB) (m/z): 584 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C32H46N3O7
(MH+): 584.3336. Found, 584.3368.
【0450】
第三工程
14-[(E)-2-(ピリジン-3-イル)プロペノイル]カルバモイル-12-デスエテニルムチリン 12-N,N-ジメチルカルボキサミド
【0451】
【化137】

【0452】
実施例1の第二工程の方法に従って、第二工程の化合物23.2 mg (39.7 μmol) を用いて反応を行い、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール = 10:1)にて精製し、19.3
mgの無色粉末状物である表題化合物を得た (収率90%)。
MS
(FAB) (m/z): 540 (MH+).
HRMS
(FAB) (m/z): Calcd. for C30H42N3O6
(MH+): 540.3074. Found, 540.3039.
【0453】
(試験例)
MIC [最小発育阻止濃度 (MIC,
minimum inhibitory concentration)]の測定は、NCCLS寒天平板希釈法
(Methods for dilution antimicrobial susceptibility tests
for bacteria that grow aerobically; approved standard-sixth edition. NCCLS.
2003, M7-A6, Vol. 23 (No. 2).) に準じて行った。
その結果、本発明化合物が優れた抗菌活性を有することを見出した。
【産業上の利用可能性】
【0454】
本発明化合物は、優れた抗菌作用を有する新規なムチリン誘導体であり、各種薬剤耐性菌を含むグラム陽性菌およびグラム陰性菌が関与する感染症に対する治療薬として有用である。






【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、R1は水素原子、ホルミル基、置換されていてもよい低級アルキル基、芳香環が置換されていてもよいアラルキル基、芳香環が置換されていてもよいヘテロアラルキル基または低級アルキルオキシカルボニル基を表し、R2は水素原子、低級アルキル基または芳香環が置換されていてもよいアラルキル基を表し、R3は水素原子またはフッ素原子を表し、破線部分は単結合または二重結合を表す)で示されるムチリン誘導体またはそれらの酸付加塩類。
【請求項2】
下記一般式(1-1)
【化2】

(式中、R1は水素原子、置換されていてもよい低級アルキル基、芳香環が置換されていてもよいアラルキル基、芳香環が置換されていてもよいヘテロアラルキル基または低級アルキルオキシカルボニル基を表し、R2は水素原子、低級アルキル基または芳香環が置換されていてもよいアラルキル基を表し、R4は水酸基の保護基を表し、破線部分は単結合または二重結合を表す)で示されるムチリン誘導体またはそれらの酸付加塩類。
【請求項3】
下記一般式(1-2)
【化3】

(式中、R1は水素原子、ホルミル基、置換されていてもよい低級アルキル基、芳香環が置換されていてもよいアラルキル基、芳香環が置換されていてもよいヘテロアラルキル基または低級アルキルオキシカルボニル基を表し、R2は水素原子、低級アルキル基または置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、R3は水素原子またはフッ素原子を表し、R4は水酸基の保護基を表し、破線部分は単結合または二重結合を表す)で示されるムチリン誘導体またはそれらの酸付加塩類。
【請求項4】
下記一般式(1)
【化4】

(式中、R1は水素原子、ホルミル基、置換されていてもよい低級アルキル基、芳香環が置換されていてもよいアラルキル基、芳香環が置換されていてもよいヘテロアラルキル基または低級アルキルオキシカルボニル基を表し、R2は水素原子、低級アルキル基または芳香環が置換されていてもよいアラルキル基を表し、R3は水素原子またはフッ素原子を表し、破線部分は単結合または二重結合を表す)で示されるムチリン誘導体またはそれらの酸付加塩類の少なくとも一種以上を有効成分として含有することを特徴とする感染症治療薬。
【請求項5】
下記一般式(1-1)
【化5】

(式中、R1は水素原子、置換されていてもよい低級アルキル基、芳香環が置換されていてもよいアラルキル基、芳香環が置換されていてもよいヘテロアラルキル基または低級アルキルオキシカルボニル基を表し、R2は水素原子、低級アルキル基または芳香環が置換されていてもよいアラルキル基を表し、R4は水酸基の保護基を表し、破線部分は単結合または二重結合を表す)で示されるムチリン誘導体またはそれらの酸付加塩類少なくとも一種以上を有効成分として含有することを特徴とする感染症治療薬。
【請求項6】
下記一般式(1-2)
【化6】

(式中、R1は水素原子、ホルミル基、置換されていてもよい低級アルキル基、芳香環が置換されていてもよいアラルキル基、芳香環が置換されていてもよいヘテロアラルキル基または低級アルキルオキシカルボニル基を表し、R2は水素原子、低級アルキル基または置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、R3は水素原子またはフッ素原子を表し、R4は水酸基の保護基を表し、破線部分は単結合または二重結合を表す)で示されるムチリン誘導体またはそれらの酸付加塩類少なくとも一種以上を有効成分として含有することを特徴とする感染症治療薬。



【公開番号】特開2006−306727(P2006−306727A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−127299(P2005−127299)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(000001395)杏林製薬株式会社 (120)
【Fターム(参考)】