説明

ピリド[3,2−h]キナゾリノン類、および/または、その5,6−ジヒドロ誘導体類、その製造方法、および、これらを含有するドープされた有機半導体材料

【課題】ドープされた有機半導体材料に、従来技術の不都合を克服する改善されたマトリクス材の提供。特に、電気伝導率が改善され、さらに、増大した電荷キャリア濃度、効率的な電荷キャリア移動度、および、改善された電気伝導率を示す半導体材料のためのマトリックス材の提供。
【解決手段】新規なピリド[3,2−h]キナゾリノン類、および/または、その5,6−ジヒドロ誘導体類、それらの製造方法、および、このようなキナゾリノン類を用いてドープされた有機半導体材料。該半導体材料は、高い熱的安定性を示し、例えば、ガラス転移温度が高い、昇華温度が高い、分解温度が高い等の特徴がある。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ピリド[3,2−h]キナゾリノン類、および/または、その5,6−ジヒドロ誘導体類、これらの製造方法、および、これらキナゾリノンを用いた、ドープされた有機半導体材料に関する。
【0002】
1989年に、有機発光ダイオード類および有機太陽電池類[C.W.Tang et al., Appl. Phys. Lett. 51(12), 913, (1987)によって]が提供されて以来、有機薄膜から成る、上記有機発光ダイオード類および有機太陽電池類の各部材が重点的に研究されてきた。このような薄膜は、上述の各アプリケーションにとって、例えば、有機発光ダイオードの電気発光の効率が高い点、有機太陽電池の可視光線範囲における吸収係数が高い点、とりわけ極めて簡素な電子回路であるために上記部材の材料費用および製造費用が安価である点のような有利な特性を有している。有機発光ダイオード類をディスプレイアプリケーションに用いることは、既に、商業的な重要性を有している。
【0003】
(光電子工学の)電気的な積層部材の動作特性は、特に、該積層の電荷キャリを輸送する性能によって決定されていた。発光ダイオードの場合には、動作中のこの電荷輸送層における電気抵抗損は、電気伝導率に関係している。また、該電気伝導率は、一方では必要とされる動作電圧に直接影響を与え、他方では上記部材の熱的負荷を決定する。
【0004】
さらに、この有機層における電荷キャリアの濃度に依存しながら、上記動作特性を示すバンドの曲がりが金属接点の近傍に生じることは、結果として、電荷キャリアの注入を単純化し、これによって接触抵抗が低減される。有機太陽電池においても同様に考慮すると、これら有機太陽電池の効率も、電荷キャリアの輸送量によって決定されるという結論が導かれる。
【0005】
各正孔輸送層に、好適なアクセプタ材料をドーピングすること(p型ドーピング)、または、電子伝達層にドナー材料をドーピングすること(n型ドーピング)によって、各有機固体内における電荷キャリアの密度(および従ってその伝導率)を、大幅に増大させることが可能である。
【0006】
加えて、無機半導体における、素子内のp型ドープされた層およびn型ドープされた層の使用の経験から類推される、素子内のp型ドープされた層およびn型ドープされた層の上記使用に基づいた各アプリケーションについては、上記有機発光ダイオード類および有機太陽電池類においても正確に想定することが可能であるが、上記無機半導体での使用に基づいていない各アプリケーションについては、上記有機発光ダイオード類および有機太陽電池類では想定可能ではない。
【0007】
有機発光ダイオードにおいて、ドープされた電荷キャリア輸送層を用いること(上記正孔輸送層をアクセプタ様分子の混合材によってp型ドーピングすること、上記電子伝達層をドナー様分子の混合材によってn型ドーピングすること)は、米国特許第5,093,698号公報に記載されている。
【0008】
これまでに、有機蒸着層の伝導率を改善するために、以下の各手段が知られている。
1.上記電荷キャリアの移動度を、
a)複数の有機基から成る電子伝達層を用いることによって(米国特許第5,811,833号公報)、
b)上記各分子のπ軌道の最適なオーバーラップを可能にする、高度に配置された各層を生成することによって、増大させる手段。
2.可動性電荷キャリアの濃度を、
a)上記材料を清浄して丁寧に処理して、電荷キャリアの付着した各サイトの形成を回避することによって、
b)各有機層を、
aa)無機材料(アルカリ金属:J. Kido et al., 米国特許第6,013,384号公報; J.Kido et al., Appl. Phys. Lett. 73, 2866頁 (1998年)、ヨウ素、SbCl5などのような酸化剤)、
bb)有機材料(TNCQ:M. Maitrot et al., J. Appl. Phys. 60(7), 2396−2400頁(1986年)、F4TCNQ:M. Pfeiffer et al., Appl. Phys. Lett., 73(22) 3202頁(1998年)、BEDT−TTF:A. Nollau et al., J. Appl. Phys., 87(9), 4340頁(2000年)、ナフタレンジカルボン酸アミド:M. Thomson et al., 国際公開第03088271号公報、陽イオン色素:A. G. Werner, Appl. Phys. Lett. 82, 4495頁(2003年))、
cc)有機金属化合物類(メタロセン:M. Thomson et al., 国際公開第03088271号公報)、
dd)金属錯体類(Ru0(terpy)3:K. Harada et al., Phys. Rev. Lett. 94, 036601(2005年))によりドーピングすることによって増大させる手段。
【0009】
p型ドーピング用には、十分に強力な有機ドーパントが既に存在しているが(F4TCNQ)、n型ドーピングには、例えばセシウムのような無機材料のみが利用可能である。この用法によって、有機発光ダイオード類(OLEDs)の性能パラメータの改善を実現することが、既に可能であった。従って、正孔輸送層を上記アクセプタ材料F4TCNQによってドーピングすることによって、上記発光ダイオードの動作電圧を飛躍的に低減させることが可能である(X. Zhou et al., Appl. Phys. Lett., 78(4), 410頁(2001年))。上記電子伝達層をCsまたはLiによってドーピングすることによって、同様の成果を実現することが可能である(J. Kido et al., Appl. Phys. Lett., 73(20), 2866頁(1998年);J. S. Huang et al., Appl. Phys. Lett., 80, 139頁(2002年))。
【0010】
長い間、n型ドーピングでは、無機材料類だけがこのプロセスに利用可能であったということが、大きな問題であった。しかしながら、無機材料類を用いることは、用いられる原子または分子が小さいために、これらが上記部材の中で容易に拡散し、従って、一定の、例えばp型ドープされた領域からn型ドープされた領域までの急な遷移の生成を妨げ得るという欠点を有している。
【0011】
これに対して、高度のエネルギー障壁が克服される場合のみ、回路交差プロセスが可能であるので、空間を満たす、大きな有機分子をドーパントとして用いる場合には、上記拡散はそれほど大きな役割を果たさないであろう。
【0012】
国際公開第2005/086251 A2号公報からは、有機半導体マトリクス材をドーピングするためのn型ドーパントとして金属錯体を用いて、該有機半導体マトリクス材の電気特性を変化させることが知られており、ここでは、該マトリクス材への接続点が、n型ドーパントを示している。この場合、上記ドーパント化合物として、中性の金属錯体を用いることが提案されている。該中性の金属錯体は、電子を豊富に含むと共に、好ましくは中性のまたは荷電された、少なくとも16個の価電子を有する遷移金属原子のような中心原子を有する。
【0013】
長年、特に有機ポリマー半導体材料類の場合には、ドーパント(例えばナトリウム)から上記有機マトリクス(例えばポリアセチレン)への有効な電子移動は、上記ドーパントのHOMOエネルギー準位(=イオン化電位)と、上記マトリクスのLUMOエネルギー準位(=電子親和力)との間の差異が可能な限り小さい場合のみ可能であるということが知られていた。
【0014】
上記イオン化電位を決定する好ましい方法は、紫外線光電子分光法(UPS)である(例えば、R. Schlaf et al., J. Phys. Chem. B 103, 2984頁(1999年))。関連する方法である逆光電子分光法(IPES)を用いて電子親和力を決定する方法(例えば、W. Gao.et al., Appl. Phys. Lett. 82, 4815頁(2003年))もあるが、これは確立されているとはいえない。あるいは、溶液において、例えばサイクリックボルタンメトリー(CV)によって酸化電位EOX、または、還元電位EREDをそれぞれ電気化学的に測定することによって、この固体状態での電位を予測することが可能である(例えば、J. D. Anderson, J. Amer. Chem. Soc. 120, 9646頁(1998年))。
【0015】
いくつかの論文には、電気化学的電圧スケール(酸化電位)を、物理的(絶対的)エネルギースケール(イオン化電位)に変換する実験式が発表されており、これらは、例えば、B. W. Andrade et al., Org. Electron. 6, 11(2005年);T. B. Tang, J. Appl. Phys. 59, 5頁(1986年);V. D. Parker, J. Amer. Chem. Soc. 96, 5656頁(1974年);L. L. Miller, J. Org. Chem. 37, 916頁(1972年),Y. Fu et al., J. Amer. Chem. Soc. 127, 7227頁(2005年)である。
【0016】
電子親和力の測定は極めて困難であるので、還元電位と電子親和力との相互関係については知られていない。従って、上記電気化学的エネルギースケール、および、上記物理的エネルギースケールは、互いに、IP=4.8eV+e*EOX(対フェロセン/フェロセニウム)、および、EA=4.8eV+e*ERED(対フェロセン/フェロセニウム)によって容易に、それぞれ変換される。これは、B. W. Andrade, Org. Electron. 6, 11(2005年)が記載しているとおりである(上記報文の各参考文献25−28も参照されたい)。
【0017】
異なる各標準電位と酸化還元対との各変換は、例えば、A. J. Bard, L. R. Faulkner, "Electrochemical Methods: Fundamentals and Applications" Wiley,第2版2000年に記載されている。従って、現在、全エネルギー値を正確に決定することが不可能である点、および、表示される値がベンチマークとしてしか解釈されない点は、上述の説明に起因している。
【0018】
上記ドーパントは、n型ドーピングの場合には電子供与体として機能し、電子をマトリクスに伝達する。該マトリクスは、十分に高度な電子親和力によって特徴付けられている。これは、つまり、該マトリクスが還元されることを意味している。このn型ドーパントから該マトリクスへの電子の移動によって、上記層の電荷キャリアの濃度は増大する。
【0019】
該濃度が増大する範囲は、n型ドーパントが、電子親和力を有する好適なマトリクスに対して電子を供与し、これによって電荷キャリアの濃度を増大させることが可能であり、その結果として、電気伝導率が、上記n型ドーパントのHOMOと上記マトリクスのLUMOとの相互間の相違に依存している。
【0020】
上記n型ドーパントのHOMOが、電子親和力を有する上記マトリクスのLUMOより上位に位置するならば、電子移動が起こり得る。n型ドーパントのHOMOが、電子親和力を有する上記マトリクスのLUMOの真下に位置する場合には、これら2つの各軌道間のエネルギー差が、より高エネルギー軌道の所定の熱的集合にとって十分に小さいとすれば、電子移動は同様に起こり得る。このエネルギー差が小さければ小さいほど、結果として、得られた層の電気伝導率は高くなるであろう。
【0021】
しかしながら、最も電気伝導率が高いのは、上記n型ドーパントのHOMOの電位が、電子親和力を有する上記マトリクスのLUMOの電位よりも高い場合であると想定され得る。異なる各マトリクスの電荷キャリアの移動度を比較することができる場合、上記電気伝導率は、簡便に測定されることが可能であり、ドナーからアクセプタへの電子透過が如何に良好に機能しているかの測定である。
【0022】
薄膜サンプルの伝導率は、2点法によって測定される。上記測定では、導電性材料、例えば金またはインジウムスズ酸化物から成る複数の各コンタクトを、基板に堆積させる。その後、上記測定においては、検査される薄膜を、該各コンタクトの全てが該薄膜にて覆われている該基板の大きな表面に対して適用される。該各コンタクトに電圧を印加した後、その後に流れる電流を測定する。
【0023】
上記コンタクトの形状および上記サンプルの層厚から始めて、上記抵抗から生じる上記薄膜の材料の電気伝導率を決定する。上記2点法は、上記薄膜の抵抗がリード抵抗または接触抵抗よりも大幅に高い場合に、採用可能である。実験では、該方法を、各上記コンタクトに十分に広い間隔を設けて安全性を確保し、これによって、電圧−電流特性の直線性を確認することが可能である。
【0024】
発明者による研究では、下記の構造式Iの金属錯体ドーパントを、有機マトリクス材のためのドーパントとして、有効に用いることができることが示された。なぜなら、このようなドーパントによって、上述の拡散時の問題は、解決されるからである。
【0025】
【化1】

このため、構造式Iaを有するドーパントが、Alq3(トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)、または、BPhen(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)のような従来の電子伝達材料に代えてドーパントとして試験された。
【0026】
【化2】

構造式Iaを有するドーパントの気相内のイオン化電位は、3.6eVである。この固体の対応するイオン化電位は、Y. Fu et al. (J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 7227−7234)に従って予測することが可能であり、およそ2.5eVである。
【0027】
下記の表1に結果を示す。
【0028】
【表1】

表1から明らかであるように、公知のマトリクス材によって達成される電気伝導率は、依然として不十分であり、著しく低い。
【0029】
本発明の目的は、ドープされた有機半導体材料に、従来技術の不都合を克服する改善されたマトリクス材を提供することにある。特に、上記電気伝導率は、該マトリクス材を用いる場合に改善される。さらに、増大した電荷キャリア濃度、効率的な電荷キャリア移動度、および、改善された電気伝導率を示す半導体材料が利用可能になる。該半導体材料は、高い熱的安定性を示す。上記高い熱的安定性は、例えば、ガラス転移温度が高い、昇華温度が高い、分解温度が高いことである。
【0030】
最終的に、本発明の目的は、上記マトリクス材の製造方法を提供することにある。
【0031】
本発明の上記目的は、下記の構造式8のピリド[3,2−h]キナゾリノン、および/または、その5,6−ジヒドロ誘導体によって達成される。
【0032】
【化3】

上記構造式8では、R1およびR2は、置換または非置換された、アリール基、ヘテロアリール基、一般式CHR2(R=C1−C20のアルキル基)のアルキル基、または、一般式CR3(R=C1−C20のアルキル基)のアルキル基であり、R3は、H、置換または非置換された、C1−C20のアルキル基、アリール基、および、ヘテロアリール基から選択されており、R4は、H、置換または非置換された、C1−C20のアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基、NH2、NHR(R=C1−C20のアルキル基)、NR2(R=C1−C20のアルキル基)、N−アルキルアリール基、N−(アリール基)2、カルバゾリル基、ジベンザゼピニル基、並びに、CN基から選択されている。
【0033】
上記構造式8のピリド[3,2−h]キナゾリノンにおけるR1およびR2は、好ましくは、II、CN、ハロゲン、NH2、NO、NO2、OH、SH、OR、SR、COOR、CHO、並びに、一般式CH3およびCH2R(R=C1−C20のアルキル基)のアルキル基でないほうがよい。
【0034】
これらピリド[3,2−h]キナゾリノン、および/または、その5,6−ジヒドロ誘導体を、マトリクス材としての有機半導体材料に対してドープすることによって、改善された電気伝導率の結果を導くことが可能である。
【0035】
上記ピリド[3,2−h]キナゾリノン、および/または、5,6−ジヒドロ誘導体を、以下の各工程(各スキーム)を含む方法に従って生成することが可能である。
【0036】
(i)以下の反応スキームに従って、塩基の存在下で、構造式4の2,4−二置換キノリノンをアルデヒドと反応させて、ベンジリデンヒドロキノリノン5を生成する工程。
【0037】
【化4】

(ii)以下の反応スキームに従って、ベンジリデンヒドロキノリノン5を塩基性条件の下でベンズアミジニウム塩酸塩と反応させて、1,4,5,6−テトラヒドロピリド[3,2−h]キナゾリン6を生成すると共に、その後、酸化させて、5,6−ジヒドロピリド[3,2−h]キナゾリン7を生成する工程。
【0038】
【化5】

(iii)必要に応じて、以下の反応スキームに従って、5,6−ジヒドロピリド[3,2−h]キナゾリン7を芳香族化して、ピリド[3,2−h]キナゾリン8を生じさせる工程。
【0039】
【化6】

ここでは、R1、R2、R3、および、R4は、本願の請求項1において定義されたとおりである。
【0040】
上記反応スキームの場合、上記塩基として、水酸化カリウム、および/または、カリウムtert−ブトキシドを用いることが好ましい。
【0041】
さらに、上記1,4,5,6−テトラヒドロピリド[3,2−h]キナゾリンを酸化させるために、クロルアニルを用いることが好ましいと想定される。
【0042】
同様に、Pd触媒された脱水素反応による芳香族化する工程は、好ましくは、Pd/Cで行われることが提案される。
【0043】
本発明によれば、ドープされた有機半導体材料は、少なくとも1つのドーパントでドープされた少なくとも1つの有機マトリクス材を含んでおり、該マトリクス材は、ピリド[3,2−h]キナゾリン、および/または、その5,6−ジヒドロ誘導体である。
【0044】
上記有機半導体材料に関連して、上記マトリクス材は、可逆的に還元され得るものであることが好ましい。
【0045】
本発明の一変形例では、上記マトリクス材は、上記ドーパントによる還元工程の間に、安定した酸化還元の各不活性成分を生じていてもよい。
【0046】
上記ドーパントは、金属錯体であってもよい。
【0047】
上記金属錯体は、ドイツ特許出願第102004010954号(対応の国際公開第05086251号公報)に開示された下式の構造式Iを有していることが好ましく、
【0048】
【化7】

上記構造式Iでは、Mは遷移金属であり、好ましくは、MoまたはWであり、
上記各構造成分a−fは、a=−CR910−、b=−CR1112−、c=−CR1314−、d=−CR1516−、e=−CR1718−、および、f=−CR1920−であることを意味することが可能であり、この場合、R9−R20は、独立して、水素、C1−C20のアルキル基、C1−C20のシクロアルキル基、C1−C20のアルケニル基、C1−C20のアルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、−NRR、または、−ORであり、R=C1−C20のアルキル基、C1−C20のシクロアルキル基、C1−C20のアルケニル基、C1−C20のアルキニル基、アリール基、または、ヘテロアリール基であり、この場合、好ましくは、R9、R11、R13、R15、R17、R19はH、および、好ましくは、R10、R12、R14、R16、R18、R20はC1−C20のアルキル基、C1−C20のシクロアルキル基、C1−C20のアルケニル基、C1−C20のアルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、−NRR、または、−ORであり、または、上記構造成分cおよび/またはdにおいて、Cを、Siに置き換えることが可能であり、または、必要に応じて、aまたはbまたはeまたはfは、NR(R=C1−C20のアルキル基、C1−C20のシクロアルキル基、C1−C20のアルケニル基、C1−C20のアルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基)であるか、または、必要に応じて、aおよびfまたはbおよびcは、NR(R=C1−C20のアルキル基、C1−C20のシクロアルキル基、C1−C20のアルケニル基、C1−C20のアルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基)であり、上記構造式Iでは、各化学結合a−c、b−d、c−e、および、d−fの少なくとも何れかはは、不飽和であるが、a−cとc−eとが、共に不飽和になることはなく、b−dとd−fとが、共に不飽和になることはなく、上記構造式Iの場合、上記各化学結合a−c、b−d、c−e、および、d−fは、ヘテロ元素O、S、Se、N、P、Ge、Snを含み得る、飽和または不飽和の環形の一部であることが可能であり、または、上記各化学結合a−c、b−d、c−e、および、d−fは、ヘテロ元素O、S、Si、Nを含み得る、芳香族環形、または、縮合芳香族環形の一部であり、原子Eは、好ましくはC、N、P、As、Sbの群から選択された典型元素であり、上記構造成分a−E−bは、必要に応じて、ヘテロ元素O、S、Se、N、P、Si、Ge、Snを含み得る、飽和または不飽和の環形の構成要素であり、または、上記構造成分a−E−bは、必要に応じて、ヘテロ元素O、S、Se、Nを含み得る、芳香族環形の構成要素である。
【0049】
上記ドーパントは、次の構造式Iaを有していることが特に好ましい。
【0050】
【化8】

状況に応じて、上記ドーパントは、十分に高い酸化電位(HOMO)を有する有機化合物であることも好ましい。
【0051】
状況に応じて、上記ドーパントは、アルカリ、および/または、アルカリ土類金属、好ましくはセシウムであることも好ましい。
【0052】
本発明に係る有機半導体材料は、最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位を有することを提案するものである。該最低空軌道は、上記ドーパントのイオン化電位(HOMO)から、0Vを超え、0.5Vまでにて、好ましくは0Vを超え、0.3Vまでにて、特に好ましくは0Vを超え、0.15Vまでにて異なる。
【0053】
本発明の一実施形態は、上記マトリクス材が、上記ドーパントのHOMOよりも低いLUMOエネルギー準位を有することを特徴とする。ここでは、「低い」とは、上記LUMOエネルギー準位が上記HOMOエネルギー準位よりも小さな数値を有していることを意味している。両変数が、真空準位から始まる負の数として与えられているので、これは、上記HOMOエネルギー価の絶対値が上記LUMOエネルギー価の絶対値よりも小さいことを意味している。
【0054】
また、上記ドーパントの濃度は、0.5重量パーセント〜25重量パーセント、好ましくは1重量パーセント〜15重量パーセント、特に好ましくは2.5重量パーセント〜5重量パーセントであることが好ましい。
【0055】
本発明によれば、有機発光ダイオードは、本発明に係る半導体材料、および、構造式5のベンジリデンヒドロキノリノン類を含んでいる。
【0056】
予期しないことに、ピリド[3,2−h]キナゾリノン、および/または、その5,6−ジヒドロ誘導体は、特に、構造式Iを有する金属錯体ドーパントでドープされることが可能な酸化還元可能の、かつドープ可能なマトリクス材として用いられることが見出された。
【0057】
上記のようにドープされた積層を用いる場合に、本発明に係るOLEDの能力効率は増大する。
【0058】
上記半導体材料に本発明に従って用いられる上記マトリクス材は、さらに、従来技術と比較すると改善された熱的安定性を示す。これは、特に、ガラス転移温度が高い点、並びに、昇華温度および分解温度が高い点に起因している。
【0059】
上記マトリクス材のガラス転移温度Tgは、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンの転移温度(Tg=63℃)よりも高いことが好ましい。
【0060】
上記マトリクス材は、少なくとも200℃の昇華温度を有していることが好ましい。
【0061】
上記マトリクス材は、少なくとも300℃の分解温度を有していることが好ましい。
【0062】
4,6,7−トリアザフェナンスレン類、またはその誘導体であるピリド[3,2−h]キナゾリノンは、これまで、文献からは知られていない。
【0063】
構造式4の2,4−二置換キノリノン類は、2,4,6−トリフェニルピリリウム塩剤1、および、シクロヘキサンジオンを出発材料とし、8−オキソ−1−ベンゾピリリウム塩剤3(スキーム1参照)のステップを介した3段階合成において得ることが可能である。8−オキソ−1−ベンゾピリリウム過塩素酸塩は、既にZimmermann et al.に記載されている(T. Zimmermann, G. W. Fischer, B. Olk, M. Findeisen: J. prakt. Chem. 331, 306−318頁[1989年])。
【0064】
過塩素酸塩類を大量に使用することについては、安全性に関して問題があるため、本発明では、テトラフルオロホウ酸3を介した下記の合成(スキーム1)を新たに開発した。
【0065】
【化9】

構造式4の2,4−二置換キノリノンは、N−複素環の構成に特に有効な合成成分であることが分かった。キノリノンとアルデヒドの縮合を、ベンジリデン誘導体を形成するために用いることができることが知られている。この反応を、スキーム2に従って上記2,4−二置換キノリノンに適用することによって、新たなベンジリデンヒドロキノリノン5が得られる。
【0066】
【化10】

このクラスの各物質は、本発明の主たる対象である新規のピリド[3,2−h]キナゾリノン8を調製するための重要化合物を示すことが明らかになった。予期しないことに、スキーム3に基づき、上述のベンジリデンヒドロキノリノン5を、塩基性条件の下でベンズアミジニウム塩酸塩と反応させることによって、中間生成化合物6が生成されることが分かった。該中間生成化合物は、その後、酸化工程(例えばクロルアニルとの酸化工程)によって、新規の5,6−ジヒドロ[3,2−h]キナゾリノン7に転換される。
【0067】
【化11】

その後、スキーム4に基づき、ジヒドロ化合物7をPd触媒された脱水素反応させることによって、例えば新規のピリド[3,2−h]キナゾリノン8への芳香族化を行うことが可能である。
【0068】
【化12】

本発明の他の特徴および利点は、以下の好ましい典型的な各実施形態の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0069】
〔実施例1〕2,4,7,9−四置換ピリド[3,2−h]キナゾリノン8の各物質の新規なクラスの誘導体8aの合成に関する完全な各ステップについて、以下にそれぞれ記載する。
【0070】
ステップ1:5,6−ジヒドロ−2−フェナシル−2,4−ジフェニル−2H,7H−1−ベンゾピラン−8−オン2aを合成する。
【0071】
【化13】

文献:T. Zimmermann, G. W. Fischer, B. Olk, M. Findeisen: J. prakt. Chem. 331, 306−318頁[1989年]
13.51gの2,4,6−トリフェニルピリリウムテトラフルオロホウ酸(34.1mmol)と、4.78gのシクロヘキサン−1,2−ジオン(42.6mmol)との懸濁液を、メタノール中において、沸点まで加熱し、その後、4.56gの酢酸(75.9mmol)と7.68gのトリエチルアミン(75.9mmol)とを少しのメタノールに溶かした溶液を、滴下して加えた。還流において7時間加熱した後に、上記反応溶液を室温まで冷却した。吸引によって淡黄色の沈殿物を分取し、100mlの氷冷メタノールによって少しずつ洗浄して、恒量まで乾燥させた。融点が178℃−179℃(文献:182−184℃)の、11.37gの淡黄色の粉末(79.3%)を得た。
【0072】
ステップ2:5,6,7,8−テトラヒドロ−8−オキソ−2,4−ジフェニル−1−ベンゾピリリウムテトラフルオロホウ酸3aの合成
【0073】
【化14】

25mlのBF3−ジメタノール錯体(BF3の50%)を、32.7gの5,6−ジヒドロ−2−フェナシル−2,4−ジフェニル−2H,7H−1−ベンゾピラン−8−one(77.8mmol)を500mlのジ−n−ブチルエーテル中に懸濁させた懸濁液に添加した。この添加の間に、該懸濁液はオレンジ色に変化した。該懸濁液を室温において攪拌する工程を2時間続け、その後、該懸濁液を沸点まで加熱し、その後、還流状態において2時間沸騰させる。室温に冷却した後、この沈殿物を、濾紙を有するヌッチェを介した吸引工程によって分取し、その後、ジエチルエーテルで洗浄した。高真空下で乾燥させた後、213℃−214℃(分解)の融点を有する、29.9g(99%)の赤褐色の粉末を得た。IR:CO価電子振動バンドは、1718cm-1において生じる。
【0074】
ステップ3:6,7−ジヒドロ−2,4−ジフェニルキノリン−8(5H)−オン4aの合成
【0075】
【化15】

12.44gの5,6,7,8−テトラヒドロ−8−オキソ−2,4−ジフェニル−1−ベンゾピリリウムテトラフルオロホウ酸(32mmol)を、80mlの蒸留水中にて懸濁させ、200mlの蒸留水内に25gのアンモニウムカルバミネート(320mmol)を溶かした溶液を、上記懸濁液に攪拌しながら加える。
【0076】
室温において24時間攪拌した後、該溶液を、ヌッチェを介した吸引によって分取し、蒸留水によって洗浄し、吸引によって乾燥させた。このクリーム色の粉末をジエチルエーテルで少しずつ洗浄し、真空乾燥機において50℃で恒量まで乾燥させた。177℃−178℃(分解)の融点を有する、8.39gの象牙色の生成物(87.5%)を得た。
【0077】
IR(ATR):上記CO価電子振動バンドは、1700cm-1において認められた。1H−NMR(500MHz、CDCl3):δ=8.09(d、2H、2−フェニル基のo−H)、7.79(s、1H、H3)、7.56−7.33(m、8H、arom.H)、2.92(t、2H、J=5.75Hz)、2.83(t、2H、J=6.56Hz)、2.10(p、2H、J=5.75Hz、J=6.56Hz)。
【0078】
ステップ4:7−ベンジリデン−6,7−ジヒドロ−2,4−ジフェニルキノリン−8(5H)−オン5aの合成
【0079】
【化16】

40mlの蒸留水中に5.6gの水酸化カリウム(100mmol)を溶かした溶液を、13.8gの6,7−ジヒドロ−2,4−ジフェニルキノリン−8(5H)−オン(46mmol)の懸濁液によく攪拌しながら加えた。このクリーム色の懸濁液を8mlの氷酢酸によって中和し、室温における攪拌工程を30分間続けた。この象牙色の生成物を吸引によって分取し、100mlの蒸留水で洗浄し、吸引によって急激に乾燥させて、風乾した。
【0080】
象牙色の粉末を、80mlのメタノール中に懸濁し、室温における攪拌工程を30分間続けた。沈殿物を吸引によって分取し、少量のメタノールおよびジエチルエーテルで洗浄し、吸引によって乾燥させて、真空乾燥機において60℃で恒量まで乾燥させた。185℃−187℃(分解)の融点を有する16.38gの象牙色の粉末(91.9%)を得た。IRスペクトルでは、上記生成物は、1675cm-1において、カルコン類に典型的なCO価電子の振動バンドを示した。1H−NMR(500MHz、CD2Cl2):δ=8.13(d、2H、2−フェニル基のo−H)、7.93(s、1H、H9)、7.87(s、1H、H3)、7.56−7.32(m、13arom.H)、3.09(dt、2H)、2.95(t、2H)。
【0081】
ステップ5:1,4,5,6−テトラヒドロ−2,4,7,9−テトラフェニルピリド[3,2−h]キナゾリン6aの合成
【0082】
【化17】

1.71gの7−ベンジリデン−6,7−ジヒドロ−8−オキソ−2,4−ジフェニルキノリン−8(5H)−オン(4.4mmol)と、0.79gのベンズアミジニウム塩化物一水和物(4mmol)とを30mlのエタノール中に懸濁して、沸点まで加熱した。上記沈殿物が徐々に溶解する間に、該懸濁液に、20mlのエタノール中に0.56gのカリウムtert−ブトキシド(5mmol)を溶かした溶液を滴下して加えた。
【0083】
還流状態において1.5時間沸騰させた後、微細な結晶質の無色の沈殿物が形成された。還流状態において、さらに16時間加熱した後、上記懸濁液を空気中で室温において冷却した。この象牙色の沈殿物を吸引によって分取し、蒸留水で洗浄して、30mlのエタノールで再洗浄した。
【0084】
高真空下で乾燥させた後、142℃−144℃の融点(不明瞭な融点)を有する、2g(92.8%)のほぼ白色の綿状の粉末を得た。上記粉末は、TGAでは、139℃の融点の結果を示し、DSCでは74℃のTgを示した。IRスペクトルでは、上記生成物は、3385cm-1のブロードなNHバンドと共に、低強度バンドにおいて、分離されたC=Nバンドに割り当てられ得る1687cm-1のバンドを示した。上記低強度バンドより、少し強い強度のバンドでは、1630cm-1に、上記粉末のジヒドロキノリン環に起因する吸収が観察された。
【0085】
1H−NMR(500MHz、CD2Cl2):δ=8.46(s、br、NH)、8.12−8.04(m、2H、9−フェニル基のo−H)、7.95−7.88(m、2H、9−フェニル基のo−H)、7.60(s、1H、H8)、7.56−.22(m、16H、arom.H)、5.40(s、1H、H4)、2.99−2.80(m、2H)、2.30−2.18(m、1H)、2.18−2.06(m、1H)。
【0086】
ステップ6:5,6−ジヒドロ−2,4,7,9−テトラフェニルピリド[3,2−h]キナゾリン7aの合成
【0087】
【化18】

3.43gの2,4,7,9−テトラフェニル−1,4,5,6−テトラヒドロピリド[3,2−h]キナゾリン(7mmol)を、50mlのクロロホルムに溶解した後、1.97gのクロルアニル(8mmol)を一度に加えた。得られた茶色の懸濁液を室温において攪拌する工程を続けた。30分後に、この上澄み液のDC検査(アルミニウム酸化物;溶離液:二塩化メチレン)は、出発材料のスポットがほとんど消滅したことを示した。上記懸濁液を室温において攪拌する工程をさらに2時間続け、該懸濁液を吸引によって分取して、風乾した。このクリーム色の粉末(1.35g)を、50mlのクロロホルムで少しずつ洗浄した。
【0088】
該クロロホルム溶液に、100mlの6%炭酸カリウム溶液を加え、この混合溶液を激しく攪拌した。上記混合溶液の水相を分液漏斗により分取し、続いて、上記水相を、各25mlのクロロホルムとともに2回振って、上記水相を廃棄した。上記各クロロホルム相を合わせたものを蒸留水で洗浄し、該水相を分離した後、上記クロロホルム相を無水炭酸カリウムで乾燥させた。乾燥させた淡黄色のクロロホルム溶液をひだフィルターによって濾過して、50mlのシクロヘキサンを加えた。回転エバポレータ上において蒸留法を行うことによって、上記クロロホルムをほとんど減圧除去した。
【0089】
得られたクリーム色の微晶質粉末を吸引によって分取し、シクロヘキサンで洗浄して、高真空の下で乾燥させた。298℃−299℃の融点を有する、3.10gの象牙色の微晶質の生成物(91%)を得た。上記生成物は、TGAでは299℃の融点ピークを示した。上記生成物のサンプルは、冷却した後には第2の加熱プロセスにおいて、103℃のTgを示した。IRスペクトルでは、上記出発材料の3385cm-1のNHバンド、および、1687cm-1、および、1630cm-1のC=Nバンドが消滅し、その代わりに、新たなスプリットバンドが、低強度の1591cm-1または1581cm-1において、それぞれ観察された。
【0090】
1H−NMR(500MHz、CDCl3):δ=8.78(d、2H、2−フェニル基のo−H)、8.31(d、2H、9−フェニル基のo−H)、7.83(s、1H、H8)、7.78−7.73(m、2H、4−フェニル基のo−H)、7.64−7.36(m、14H、arom.H)、3.08(dd、2H)、2.95(dd、2H)。
【0091】
5,6−ジヒドロ−2,4,7,9−テトラフェニルピリド[3,2−h]キナゾリン7aは、THF溶液において、還元半波電位E1/2Ered=−2.27V(ΔETEred=70mV)vs.Fc/Fc+を有していた。この還元は可逆性であった。上記化合物7aは、THF溶液内において利用可能なウィンドウ内において酸化電位を測定することは、不可能であった。
【0092】
ステップ7:2,4,7,9−テトラフェニルピリド[3,2−h]キナゾリン8aの合成
【0093】
【化19】

940mgの5,6−ジヒドロ−2,4,7,9−テトラフェニルピリド[3,2−h]キナゾリン(1.93mmol)を50mlのジエチレングリコール内にて懸濁し、加熱することによって溶液とし、その後、上記溶液に、200mgのPd/C(5%)を少しずつ加えた。上記溶液に上記Pd/Cを加えた懸濁液を沸点まで加熱し、還流状態において10時間加熱し、その後、室温において空気中で冷却した。
【0094】
DC検査の後、50mlの蒸留水を加えた。上記懸濁液を室温において攪拌する工程を30分間続け、これを濾過し、この濾過ケーキを蒸留水で少しずつ洗浄し、吸引によって急激に乾燥させた。白い結晶が散在した黒い残渣を、ガラス濾過器上において、400mlのクロロホルムで少しずつ洗浄した。
【0095】
この茶色がかった黄色の濾液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、蒸発乾固させる。このクリーム色の残渣をわずかに加熱しながら50mlのクロロホルムで溶解し、さらに100mlのシクロヘキサンを加えて濾過した。この淡黄色の溶液を、その容積が半分になるまで濃縮し、この間に、象牙色の綿状の沈殿物が沈殿する。これを吸引によって分取し、少量のシクロヘキサンおよびジエチルエーテルで洗浄して、高真空の下で乾燥させた。
【0096】
極めて正確な327℃の融点を有する、0.82g(87.5%)の微晶質の白い粉末を得た。最初においては、ガラス転移温度Tgは測定できなかった。上記第2の加熱プロセスの後の、制御されて記録される冷却曲線(10K/min)は、272℃における再結晶を示した。最初の冷却工程の後、DSCでは、103℃のTgが測定された。上記1H−NMRのスペクトルは、5,6−ジヒドロ−2,4,7,9−テトラフェニルピリド[3,2−h]キナゾリンの各シグナルのみを含んでいた。3.07(dd、2H)および2.95(dd、2H)における上記出発材料の各メチレンプロトンの各シグナルは、消滅していた。
【0097】
テトラフェニルピリド[3,2−h]キナゾリン8aは、MeCN中において、還元半波電位El/2Ered=−2.06V(ΔETEred=70mV)vs.Fc/Fc+を有していた。この還元は、可逆性である。MeCN内において利用可能なウィンドウ内において酸化電位を測定することは、不可能であった。
【0098】
500℃までは、上記化合物8a(DSC)の分解温度を窒素の下で決定することは不可能であった。従って、上記クラスの化合物類は、極めて高い熱ストレズに対しも耐性を有することが可能である。上記化合物8aの昇華温度は、259℃であり、従って、200℃のベンチマークよりも著しく高い。
【0099】
上記各化合物7aおよび8aのガラス転移温度をBPhenと比較した結果は、該BPhenの形状安定性が極めて低いこととは対照的に、上記化合物7aおよび8aのガラス転移温度が極めて上昇しているということである。
【0100】
〔実施例2〕以下に、前記化合物4aを出発材料とする、誘導体8bの部分合成について記載する。
【0101】
ステップ4:7−トルイデン−6,7−ジヒドロ−2,4−ジフェニルキノリン−8(5H)−オン5bの合成
15mlの蒸留水中の1.5gの水酸化カリウムの溶液(36.7mmol)を、5gの6,7−ジヒドロ−2,4−ジフェニルキノリン−8(5H)−オン(16.7mmol)の懸濁液に加えた。結果として生じる懸濁液を、室温において、密封された丸底フラスコの中で1日間攪拌し、氷酢酸によって中和させて、室温における攪拌工程を30分間続ける。この沈殿物を吸引によって分取し、蒸留水で洗浄して、乾燥させた。
【0102】
上記沈殿物の象牙色の粉末を80mlのメタノールにおいて懸濁し、室温における攪拌工程を30分間続ける。この沈殿物を吸引によって分取し、メタノールおよびジエチルエーテルで洗浄して、高真空の下で乾燥させた。175℃−185℃(分解)の融点を有する、3.2gの象牙色の粉末(47%)を得た。この生成物は、1675cm-1において、カルコン類に典型的なCO価電子振動バンドを示している。
【0103】
1H−NMR(500MHz、CD2Cl2):δ=8.13(d、2H、2−フェニル基のo−H)、7.96(s、1H、H9)、7.81(s、1H、H3)、7.56−7.32(m、11arom.H)、7.21(d、フェニル基の2H)、3.08(t、2H)、2.94(t、2H)、2.37(8s、3H)
【0104】
ステップ5:1,4,5,6−テトラヒドロ−2,7,9−トリフェニル−4−p−トルイルピリド[3,2−h]キナゾリン6bの合成
3gの7−トルイデン−6,7−ジヒドロ−2,4−ジフェニルキノリン−8(5H)−オン(7.5mmol)、および、1.6gのベンズアミジニウム塩化物一水和物(8.2mmol)を50mlのエタノールにおいて懸濁し、沸点まで加熱した。上記沈殿物が徐々に溶解する間に、該懸濁液に、20mlのエタノール中の1.2gのカリウムtert−ブトキシド(10mmol)の溶液を滴下した。還流状態において24時間沸騰させた後に、上記懸濁液を室温において冷却した。この沈殿物を吸引によって分取し、蒸留水およびエタノールで洗浄し、高真空の下で恒量まで乾燥させた。128℃−133℃の融点を有する、2.6gの生成物(57%)を得た。
【0105】
IRスペクトル(ATR)では、この生成物は、3418cm-1のブロードなNHバンド、および、低強度では、分離されたC=Nバンドに割り当てられ得る、1625cm-1のバンドを示していた。
【0106】
1H−NMR(500MHz、CD2Cl2):δ=8.43(s、br、NH)、8.09(d、2H、9−フェニル基のo−H)、7.93−7.91(m、2H、2−フェニル基のo−H)、7.59(s、1H、H8)、7.54−7.43(m、10H、arom.H)、7.38(d、2H)、7.35(d、2H)、7.15(d、2H)、5.35(s、1H、H4)、2.95−2.82(m、2H)、2.32(s、3H)、2.26−2.20(m、1H)、2.15−2.08(m、1H)。
【0107】
ステップ6b:5,6−ジヒドロ−2,7,9−トリフェニル−4−p−トルイルピリド[3,2−h]キナゾリン7bの合成
2.5gの2,4,7,9−テトラフェニル−1,4,5,6−テトラヒドロピリド[3,2−h]キナゾリン(4.96mmol)を、70mlのクロロホルムにおいて溶解した。その後、1.46gのクロルアニル(5.95mmol)を一度に加えた。結果として生じた茶色がかった懸濁液を室温において攪拌する工程を続けた。30分後に、この上澄み液のDC検査(アルミニウム酸化物;溶離液:二塩化メチレン)は、上記反応が完了したことを示した。この懸濁液をD4ガラス濾過器によって濾過した。
【0108】
このクロロホルム溶液に、100mlの6%炭酸カリウム溶液を加えて激しく攪拌した。この水相を各25mlのクロロホルムとともに2回振り、その後廃棄する。上記にて得られた各クロロホルム相を合わせて蒸留水で洗浄し、無水炭酸カリウムで乾燥させ、濾過して、50mlのシクロヘキサンを加えた。該クロロホルムを、蒸留法によってほとんど減圧除去した。
【0109】
得られた粉末を吸引によって分取し、少量のシクロヘキサンで洗浄して、高真空の下で乾燥させた。261℃の融点および109℃のTgを有する、2.1g(85%)の象牙色の微晶質の生成物を得た。
【0110】
1H−NMR(500MHz、CDCl3):δ=8.77(d、2H、2−フェニル基のo−H)、8.29(d、2H、9−フェニル基のo−H)、7.81(s、1H、H8)、7.67(d、2H、4−フェニル基のo−H)、7.56−7.44(m、10H、arom.H)、7.42(d、2H、フェニル基)、7.32(d、2H、フェニル基)3.07(m、2H)、2.93(m、2H)、2.44(s、3H)。
【0111】
5,6−ジヒドロ−2,7,9−トリフェニル−4−p−トルイルピリド[3,2−h]キナゾリン7bは、THF溶液では、還元半波電位E1/2Ered=−2.29V(ΔETEred=70mV)vs.Fc/Fc+を有していた。この還元は、可逆性である。THF溶液において利用可能なウィンドウ内において、酸化電位を測定することは、不可能であった。
【0112】
ステップ7:2,7,9−トリフェニル−4−p−トルイルピリド[3,2−h]キナゾリン8bの合成
2gの5,6−ジヒドロ−2,7,9−トリフェニル−4−p−トルイルピリド[3,2−h]キナゾリン(3.98mmol)を、100mlのジエチレングリコールにて懸濁し、加熱しながら溶液とした後、500mgのPd/C(10%)を少しずつ加えた。この懸濁液を沸点まで加熱し、DC検査によって決定されるように、還流状態において、上記出発材料を検出することが不可能になるまで沸騰状態にて加熱した。
【0113】
次に、上記溶液に対して、50mlの蒸留水を加え、室温において攪拌する工程を30分間続けて、これを濾過した。この残渣を300mlの蒸留水によって少しずつ洗浄し、吸引によって乾燥させた。その後、該残渣を600mlのクロロホルムで少しずつ洗浄する。この濾液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濾過した。この溶液を、減圧の下で、蒸発乾固させた。このクリーム色の残渣を、50mlのクロロホルムに、わずかに加熱することによって溶解し、100mlのシクロヘキサンを加えて濾過した。この淡黄色の溶液を、その容積が半分になるまで減圧濃縮させた。
【0114】
この濃縮の間に、象牙色の綿状の沈殿物が沈殿した。この沈殿物を吸引によって分取し、シクロヘキサンおよびジエチルエーテルで洗浄して、高真空の下で乾燥させた。261℃の融点を有する、1.5g(75%)の微晶質の白色の綿状粉末を得た。上記綿上粉のTgは、DSCによっては、検出され得なかった。
【0115】
CDCl3内の1H−NMRスペクトルは、5,6−ジヒドロ−2,4,7,9−テトラフェニルピリド[3,2−h]キナゾリンの各シグナルのみを含んでいた。3.07(dd、2H)および2.95(dd、2H)における上記出発材料の各メチレンプロトンの各シグナルは消滅しており、これはつまり、上記脱水素反応が完了したことを意味している。
【0116】
2,7,9−トリフェニル−4−p−トルイルピリド[3,2−h]キナゾリン8bは、THF溶液において、還元半波電位E1/2Ered=−2.29V(ΔETEred=70mV)vs.Fc/Fc+を有していた。この還元は可逆性である。THF溶液において利用可能なウィンドウ内において、酸化電位を測定することは、不可能であった。
【0117】
500℃までは、窒素下で上記化合物8b(DSC)の分解温度を決定することは、不可能であった。従って、上記クラスの化合物類は、極めて高い熱ストレスに対しても耐性を示した。上記化合物8bの昇華温度は、272℃であり、従って、200℃のベンチマークよりも著しく高い。
【0118】
上記化合物7bおよび8bのガラス転移温度をBphenと比較した結果は、BPhenの形状安定性が極めて低く、その一方で、7bおよび8bの形状安定性は、著しく高い点である。
【0119】
〔実施例3〕ガラス基板に、インジウムスズ酸化物から成るコンタクトを設けた。その後、該基板上に、構造Iaのドーパントでドープされた化合物7aの層を形成した。ドーパントIaのドーピング濃度は、5mol%である。室温における上記層の伝導率は、4.13*10-5S/cmであった。
【0120】
〔実施例4〕ガラス基板に、インジウムスズ酸化物から成るコンタクトを設けた。その後、該基板上に、構造Iaのドーパントでドープされた化合物8aの層を形成した。ドーパントIaのドーピング濃度は、5mol%である。室温における上記層の伝導率は、1.84*10-5S/cmであった。
【0121】
〔実施例5〕ガラス基板に、インジウムスズ酸化物から成るコンタクトを設けた。その後、該基板上に、構造Iaのドーパントでドープされた化合物7bの層を形成した。ドーパントIaのドーピング濃度は、5mol%である。室温における上記層の伝導率は、2.05*10-5S/cmであった。
【0122】
〔実施例6〕ガラス基板に、インジウムスズ酸化物から成るコンタクトを設けた。その後、構造Iaのドーパントでドープされた化合物8bの層を形成した。ドーパントIaのドーピング濃度は、5mol%である。室温における上記層の伝導率は、2.76*10-5S/cmであった。
【0123】
〔比較例7〕比較例7が、実施例3〜6の手順と同じように行われたが、各マトリクス材である各化合物7a、8a、7b、8bの代わりに、文献より公知のBphenが用いられた。上記層の得られる伝導率は、4*10-9S/cmであった。
【0124】
従って、実施例3〜6の伝導率を、マトリクス材、Alq3、Bphen、または、従来技術より公知のBAlq2の伝導率と比較すると(表1および比較実施例7)、本発明による基板8のクラスが、3〜4桁大きい改善された伝導率を示す。
【0125】
〔実施例8〕ガラスから成る基板に、インジウムスズ酸化物のコンタクトを設けた。その上に、各層:p型ドーパント2−(6−ジシアノメチレン−1,3,4,5,7,8−ヘキサフルオロ−6H−ナフタレン−2−イリデン)マロノニトリルでドープされたスピロTTB(50nm、1.5wt%)/N,N’−ジ(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(10nm)、エミッタイリジウム(III)ビス(2−メチルジベンゾ[f、h]キノキサリン)(アセチルアセトネート)でドープされたN,N’−ジ(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(20nm、10wt%)/2,4,7,9−テトラフェニルフェナントロリン(10nm)/構造Iaでドープされた化合物8a(60nm、8wt%)/Al(100nm)を、その後連続的に堆積させた。
【0126】
これによって作製された有機発光ダイオードは、橙赤色の光を発し、3.2Vにおいて1000cd/m2、および20cd/Aの操作パラメータを有するものであった。
【0127】
〔比較例9〕(従来技術)実施例6におけるOLED構造を生成した。本比較例では、構造Iaでn型ドープされた電子伝達層8aの代わりに、ドープされていない電子伝達層8aを用いている。このOLEDは、18.2Vにおいて、100cd/m2および7.4cd/Aの操作パラメータを有するものであった。
【0128】
構造Iaでドープされた化合物8aを上記電子伝達層として用いることにより、結果として、OLED構造は、より低い動作電圧、および/または、より高い電流効率を有する。従って、上記部材の能力効率も増大する。
【0129】
本明細書および特許請求の範囲に開示した特徴は、本発明を1つの実施形態、および、異なる複数の実施形態を任意により組み合わせて実施する上で、不可欠であり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造式8であり、
【化1】

1およびR2は、置換または非置換された、アリール基、ヘテロアリール基、一般式CHR2(R=C1−C20のアルキル基)のアルキル基、または、一般式CR3(R=C1−C20のアルキル基)のアルキル基であり、
3は、H、置換または非置換された、C1−C20のアルキル基、アリール基、および、ヘテロアリール基から選択されており、
4は、H、置換または非置換された、C1−C20のアルキル基、アリール基およびヘテロアリール基、NH2、NHR(R=C1−C20のアルキル基)、NR2(R=C1−C20のアルキル基)、N−アルキルアリール基、N−(アリール基)2、カルバゾリル基、ジベンザゼピニル基、並びに、CN基から選択されている、ピリド[3,2−h]キナゾリノン、および/または、その5,6−ジヒドロ誘導体。
【請求項2】
ピリド[3,2−h]キナゾリノン、および/または、その5,6−ジヒドロ誘導体の製造方法であって、
上記方法は、
(i)以下の反応スキームに従って、
【化2】

塩基の存在下で、構造式4の2,4−二置換キノリノンをアルデヒドと反応させて、ベンジリデンヒドロキノリノン5を生成する工程と、
(ii)以下の反応スキームに従って、
【化3】

ベンジリデンヒドロキノリノン5を塩基性条件の下でベンズアミジニウム塩酸塩と反応させて、1,4,5,6−テトラヒドロピリド[3,2−h]キナゾリン6を生成すると共に、その後、酸化させて、5,6−ジヒドロピリド[3,2−h]キナゾリン7を生成する工程と、
(iii)必要に応じて、以下の反応スキームに従って、
【化4】

5,6−ジヒドロピリド[3,2−h]キナゾリン7を芳香族化して、ピリド[3,2−h]キナゾリン8を生じさせる工程とを含み、
1、R2、R3およびR4は、請求項1に記載のものである、ピリド[3,2−h]キナゾリノン、および/または、その5,6−ジヒドロ誘導体の製造方法。
【請求項3】
上記塩基として、水酸化カリウム、および/または、カリウムtert−ブトキシドを用いることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
1,4,5,6−テトラヒドロピリド[3,2−h]キナゾリン6を酸化させるためにクロルアニルを用いることを特徴とする、請求項2または3に記載の製造方法。
【請求項5】
Pd触媒された脱水素反応による芳香族化する工程は、Pd/Cで行われることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
少なくとも1つのドーパントでドープされた、少なくとも1つの有機マトリクス材を含み、
上記有機マトリクス材は、請求項1に記載の、ピリド[3,2−h]キナゾリン、および/または、その5,6−ジヒドロ誘導体である、ドープされた有機半導体材料。
【請求項7】
上記有機マトリクス材は、可逆的に還元可能であることを特徴とする、請求項6に記載の有機半導体材料。
【請求項8】
上記有機マトリクス材は、還元中に、安定した酸化還元の各活性成分を生じるものであることを特徴とする、請求項6に記載の有機半導体材料。
【請求項9】
上記ドーパントは、金属錯体であることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
【請求項10】
上記金属錯体は、下記の構造式Iのものであり、
【化5】

Mは、遷移金属であるとともに、
上記各構造成分a−fは、a=−CR910−、b=−CR1112−、c=−CR1314−、d=−CR1516−、e=−CR1718−、および、f=−CR1920−であり、R9−R20は、独立して、水素、C1−C20のアルキル基、C1−C20のシクロアルキル基、C1−C20のアルケニル基、C1−C20のアルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、−NRR、または、−ORであり、上記Rは、R=C1−C20のアルキル基、C1−C20のシクロアルキル基、C1−C20のアルケニル基、C1−C20のアルキニル基、アリール基、または、ヘテロアリール基であり、
または、上記構造成分cおよび/またはdにおいて、Cを、Siに置き換えることが可能であり、
または、必要に応じて、aまたはbまたはeまたはfは、NR(R=C1−C20のアルキル基、C1−C20のシクロアルキル基、C1−C20のアルケニル基、C1−C20のアルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基)であり、
または、必要に応じて、aおよびfまたはbおよびcは、NR(R=C1−C20のアルキル基、C1−C20のシクロアルキル基、C1−C20のアルケニル基、C1−C20のアルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基)であり、
各化学結合a−c、b−d、c−e、および、d−fの少なくとも何れかは、不飽和であるが、a−cとc−eとが、共に不飽和になることはなく、b−dとd−fとが、共に不飽和になることはなく、
上記各化学結合a−c、b−d、c−e、および、d−fは、ヘテロ元素O、S、N、P、Se、Ge、Snを含み得る、飽和または不飽和の環形の一部であってもよく、
または、上記各化学結合a−c、b−d、c−e、および、d−fは、ヘテロ元素O、S、Si、Nを含み得る、芳香族環形、または、縮合芳香族環形の一部であり、
原子Eは、典型元素であり、
上記構造成分a−E−bは、必要に応じて、ヘテロ元素O、S、Se、N、P、Si、Ge、Snを含み得る、飽和または不飽和の環形の構成要素であるか、または、
上記構造成分a−E−bは、必要に応じて、ヘテロ元素O、S、Se、Nを含み得る、芳香族環形の構成要素であることを特徴とする、請求項9に記載の有機半導体材料。
【請求項11】
Mは、MoまたはWであることを特徴とする、請求項10に記載の有機半導体材料。
【請求項12】
9、R11、R13、R15、R17、R19はHであり、および、R10、R12、R14、R16、R18、R20はC1−C20のアルキル基、C1−C20のシクロアルキル基、C1−C20のアルケニル基、C1−C20のアルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、−NRR、または、−ORであることを特徴とする、請求項10に記載の有機半導体材料。
【請求項13】
Eは、C、N、P、As、Sbの群から選択されていることを特徴とする、請求項10に記載の有機半導体材料。
【請求項14】
上記ドーパントは、
【化6】

上記構造式Iaのものであることを特徴とする、請求項10に記載の有機半導体材料。
【請求項15】
上記ドーパントは、アルカリ、および/または、アルカリ土類金属であることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
【請求項16】
上記ドーパントは、セシウムであることを特徴とする、請求項15に記載の有機半導体材料。
【請求項17】
上記有機マトリクス材は、上記ドーパントのイオン化電位(HOMO)から0〜0.5Vにて異なる最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位を有することを特徴とする、請求項6〜16のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
【請求項18】
上記有機マトリクス材のエネルギー準位は、上記ドーパントのイオン化電位から0〜0.3Vにて異なることを特徴とする、請求項17に記載の有機半導体材料。
【請求項19】
上記有機マトリクス材のエネルギー準位は、上記ドーパントのイオン化電位から0〜0.15Vにて異なることを特徴とする、請求項17に記載の有機半導体材料。
【請求項20】
上記有機マトリクス材は、上記ドーパントのイオン化電位(HOMO)よりも低いLUMOエネルギー準位を有することを特徴とする、請求項6〜19のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
【請求項21】
上記ドーパントの濃度は、0.5重量パーセント〜25重量パーセントであることを特徴とする、請求項6〜20のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
【請求項22】
上記ドーパントの濃度は、1重量パーセント〜10重量パーセントであることを特徴とする、請求項21に記載の有機半導体材料。
【請求項23】
上記ドーパントの濃度は、2.5重量パーセント〜5重量パーセントであることを特徴とする、請求項21に記載の有機半導体材料。
【請求項24】
上記有機マトリクス材のガラス転移温度Tgは、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンの転移温度よりも高いことを特徴とする、請求項6〜23のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
【請求項25】
上記有機マトリクス材は、少なくとも200℃の昇華温度を有していることを特徴とする、請求項6〜24のいずれか1項に記載の有機半導体材料。
【請求項26】
請求項6〜25のいずれか1項に記載の有機半導体材料を含む、有機発光ダイオード。
【請求項27】
下記の構造式5のものであり、
【化7】

1、R2、R3、および、R4は、請求項1において定義したものであるベンジリデンヒドロキノリノン。

【公開番号】特開2009−1544(P2009−1544A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−67125(P2008−67125)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(503180100)ノヴァレッド・アクチエンゲゼルシャフト (47)
【Fターム(参考)】