説明

ピリミジン−スルファミドを含む安定な医薬組成物

【課題】プロピルスルファミン酸[5-(4-ブロモ-フェニル)-6-[2-(5-ブロモ-ピリミジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-ピリミジン-4-イル]-アミドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型である化合物を含む安定な医薬組成物を提供する。
【解決手段】前記医薬組成物の総重量に基づくa)重量の50%までの総量の前記化合物、b)10〜95%の総量の、微結晶性セルロースと乳糖からなる充填剤、c)1〜20%の総量の、デンプングリコール酸ナトリウムまたはデンプングリコール酸ナトリウムとポリビニルピロリドンとの組み合わせからなる崩壊剤、d)0.1〜3%の総量の、ポリソルベートからなる界面活性物質、e)0.05〜10%の総量の、ステアリン酸マグネシウムからなる潤滑剤、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピルスルファミン酸[5-(4-ブロモ-フェニル)-6-[2-(5-ブロモ-ピリミジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-ピリミジン-4-イル]-アミドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型を含む安定な医薬組成物に関し、前記化合物は、以後式Iの化合物と記載する。式Iの化合物は、以下の式を有する:
【0002】
【化1】

【背景技術】
【0003】
式Iの化合物は、エンドセリン受容体阻害剤であり、エンドセリン受容体アンタゴニストとして有用である。式Iの化合物およびその製造は、特許文献1に開示されている。
【0004】
本開示の状況の範囲内で、式Iの化合物に対するいずれの言及も、他に示されていない場合、および適切かつ好都合な場合は、式Iの化合物の薬学的に許容される塩または水和物を含む溶媒和物、並びにその多形型をも指すことが理解されるはずである。
【0005】
式Iの本化合物は、現在臨床試験において評価されており、したがって、安定な製剤が開発されなければならなかった。したがって、本発明は、化合物プロピルスルファミン酸[5-(4-ブロモ-フェニル)-6-[2-(5-ブロモ-ピリミジン-2-イルオキシ)-エトキシ]-ピリミジン-4-イル]-アミドまたはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型を含む安定な医薬組成物に関する。
【特許文献1】国際公開第02/053557号
【発明の開示】
【0006】
本発明に従った安定な医薬組成物は:
a)下記に示した式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型
【0007】
【化2】

b)充填剤、
c)崩壊剤、
d)界面活性物質および、
e)潤滑剤、
を含むであろう。
【0008】
本発明の好ましい態様によれば、医薬組成物は、錠剤の形態であろう。
【0009】
本発明のもう一つの好ましい態様によれば、医薬組成物は、カプセルの形態であろう。
【0010】
本発明に従った安定な医薬組成物は、好ましくは充填剤が、以下の1つまたは複数から選択され:乳糖、トウモロコシデンプン、アルファ化デンプン、第二リン酸カルシウム二水和物(CaHPO4・2H2O)、微結晶性セルロース、マルトデキストリンおよびマンニトール;崩壊剤が、以下の1つまたは複数から選択され:クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋されたポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルファ化デンプン、ガーゴム、粘土およびイオン交換樹脂;界面活性物質が、以下から選択され:ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、ポリエチレンポリオキシプロピレン重合体、ポリオキルエチレンステアラート、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンC1-4-アルキルエーテル、スクロースモノエステル、並びにラノリンエステルおよびエーテル;並びに、潤滑剤が、以下から選択されるようなものである:マグネシウム、アルミニウムまたはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、安息香酸ナトリウム、グリセリル・モノ脂肪酸、ポリエチレングリコール、水素付加された綿実油、ヒマシ油およびスクロースエステル。
【0011】
特に、本発明に従った安定な医薬組成物は:
a)請求項1で定義したとおりの式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型
b)乳糖、トウモロコシデンプン、アルファ化されたデンプン、リン酸水素カルシウムおよび微結晶性セルロースからなる群より選択される1つまたは複数の賦形剤、
c)ポリビニルピロリドン、
d)デンプングリコール酸ナトリウム
e)界面活性物質および、
f)潤滑剤、
を含むことができる。
【0012】
より詳細には、本発明に従った安定な医薬組成物は:
a)医薬組成物の総重量に基づく重量の50%までの総量の(たとえば、医薬組成物の総重量に基づく重量の、1〜50%、特に5〜30%、および特に10〜20%の総量の)、請求項1で定義したとおりの式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型、
b)医薬組成物の総重量に基づく重量の10〜95%の総量の(たとえば、医薬組成物の総重量に基づく重量の、30〜90%、特に50〜80%、および特に60〜75%の総量の)、乳糖、トウモロコシデンプン、アルファ化デンプン、リン酸水素カルシウムおよび微結晶性セルロースからなる群より選択される1つまたは複数の賦形剤、
c)医薬組成物の総重量に基づく重量の20%までの総量の(たとえば、医薬組成物の総重量に基づく重量の、0.5〜10%、特に1〜5%、および特に2〜4%の総量の)、ポリビニルピロリドン、
d)医薬組成物の総重量に基づく重量の30%までの総量の(たとえば、医薬組成物の総重量に基づく重量の、0.5〜20%、特に1〜10%、および特に2〜6%の総量の)、デンプングリコール酸ナトリウム、
e)医薬組成物の総重量に基づく重量の7%までの総量の(たとえば、医薬組成物の総重量に基づく重量の、0.01〜5%、特に0.05〜1%、および特に0.1〜0.5%の総量の)、界面活性物質、および、
f)医薬組成物の総重量に基づく重量の10%までの総量の(たとえば、医薬組成物の総重量に基づく重量の、0.05〜5%、特に0.1〜2%、および特に0.25〜1.5%の総量の)、潤滑剤を含むことができる。
【0013】
たとえば、本発明に従った安定な医薬組成物は:
a)医薬組成物の総重量に基づく重量の50%までの総量の(たとえば、医薬組成物の総重量に基づく重量の、1〜50%、特に5〜30%、および特に10〜20%の総量の)、請求項1で定義したとおりの式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型、
b)医薬組成物の総重量に基づく重量の10〜75%の総量の(たとえば、医薬組成物の総重量に基づく重量の、30〜70%、特に45〜65%、および特に52〜60%の総量の)、乳糖または乳糖一水和物、
c)医薬組成物の総重量に基づく重量の0〜20%までの総量の(たとえば、医薬組成物の総重量に基づく重量の、1〜10%、特に2〜8%、および特に4〜6%の総量の)、微結晶性セルロース、
d)医薬組成物の総重量に基づく重量の20%までの総量の(たとえば、医薬組成物の総重量に基づく重量の、0.5〜10%、特に1〜5%、および特に2〜4%の総量の)、ポリビニルピロリドン、
e)医薬組成物の総重量に基づく重量の30%までの総量の(たとえば、医薬組成物の総重量に基づく重量の、0.5〜20%、特に1〜10%、および特に2〜6%の総量の)、デンプングリコール酸ナトリウム、
f)医薬組成物の総重量に基づく重量の7%までの総量の(たとえば、医薬組成物の総重量に基づく重量の、0.01〜5%、特に0.05〜1%、および特に0.1〜0.5%の総量の)、界面活性物質、および、
g)医薬組成物の総重量に基づく重量の10%までの総量の(たとえば、医薬組成物の総重量に基づく重量の、0.05〜5%、特に0.1〜2%、および特に0.25〜1.5%の総量の)、潤滑剤を含むことができる。
【0014】
本発明に従った医薬組成物は:
a)請求項1で定義したとおりの式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型、
b)乳糖または乳糖一水和物、
c)微結晶性セルロース、
d)ポリビニルピロリドン、
e)デンプングリコール酸ナトリウム、
f)界面活性物質、および、
g)潤滑剤、
を特に含むことができる。
【0015】
前述の組成物の好ましい態様によれば、界面活性物質は、ポリソルベートである。
【0016】
前述の組成物のもう一つの好ましい態様によれば、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0017】
任意に、本発明の安定な医薬組成物は、流動促進剤(glidant)も含んでいてもよい。したがって、本発明は:
a)式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型、
b)充填剤、
c)崩壊剤、
d)界面活性物質、
e)流動促進剤、および、
f)潤滑剤
を含む安定な医薬組成物をさらに提供する。
【0018】
本発明による充填剤には、以下の1つまたは複数を含むが、制限されない:乳糖、トウモロコシデンプン、アルファ化デンプン、第二リン酸カルシウム二水和物(CaHPO4・2H2O)微結晶性セルロース、マルトデキストリンおよびマンニトール。好ましくは、微結晶性セルロースと乳糖、トウモロコシデンプンと乳糖、微結晶性セルロースとアルファ化デンプンまたは微結晶性セルロースと二リン酸カルシウム二水和物が使用される。また、好ましくは、微結晶性セルロース(たとえば、アビセル(Avicel)(登録商標)PH101)と乳糖一水和物(たとえば、ファルマトース(Pharmatose)(登録商標)200 Mesh)である。
【0019】
本発明による崩壊剤には、以下の1つまたは複数を含むが、制限されない:クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC-Ca)、カルボキシメチルセルロースナトリウムCMC-Na、架橋されたポリビニルピロリドン(たとえば、クロスポビドン(Crospovidone)(PVP XL;ポリプラスドン(Polyplasdone)、ISP会社から市販、またはBASFからのコリドン(Kollidon)(登録商標) XL))、ポリビニルピロリドン(PVP)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルファ化デンプン、ガーゴム、粘土およびイオン交換樹脂。好ましくは、デンプングリコール酸ナトリウムまたはデンプングリコール酸ナトリウムおよびPVPの組み合わせが、崩壊剤として使用される。
【0020】
本発明による界面活性物質には、以下の1つまたは複数を含むが、制限されない:ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート(Tween(登録商標)として市販)、ポリエチレンポリオキシプロピレン重合体(Pluronic F65)、ポリオキシルエチレンステアラート(MYRJ)、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Nikko Chemicalsから市販)、ポリオキシエチレンC1-4-アルキルエーテル、スクロースモノエステルおよびラノリンエステルおよびエーテル。好ましくは、ラウリル硫酸ナトリウムが、界面活性物質として使用される。
【0021】
本発明による組成物に含まれるポリソルベートは、20〜100(好ましくは、約80)モノマー単位の平均重合度を有し、たとえばポリソルベート80であってもよい。好ましくはまた、ポリソルベートは、野菜由来であるべきである。
【0022】
本発明による流動促進剤には、以下の1つまたは複数を含むが、制限されない:シリカ;コロイド性二酸化ケイ素、たとえばコロイドシリカ無水物(たとえば、エアロシル(Aerosil)(登録商標)200)、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプンおよびタルク。好ましくは、二酸化コロイド性のシリコーンが使用される。
【0023】
本発明による潤滑剤には、以下の1つまたは複数を含むが、制限されない:Mg-、Al-またはCa-ステアリン酸、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、安息香酸ナトリウム、モノ脂肪酸グリセリル、たとえば200〜800ダルトンの分子量を有し(たとえばモノステアリン酸グリセリン(たとえばDanisco, UK))、ジベヘン酸グリセリル(たとえば、CompritolAT0888(商標), Gattefosse France)、グリセリルパルミート-ステアリン酸エステル(たとえば、Precirol(商標), Gattefosse France)、ポリエチレングリコール(PEG, BASF)、水素付加された綿実油(Lubitab, Edward Mendell Co Inc.)、ヒマシ油(Cutina HR, Henkel)およびショ糖エステル(Surfhope SE, Mitsubishi-Kagaku Foods Co.)。好ましくは、ステアリン酸マグネシウムが使用される。
【0024】
任意の所与の賦形剤、たとえば充填剤、崩壊剤、界面活性物質、流動促進剤および/または潤滑剤として、複数の機能を担い得ることが認識されるであろう。
【0025】
任意に、本発明の安定な医薬組成物は(流動促進剤を含むかどうかにかかわらず)、酒石酸も含んでいてもよい。
【0026】
市販の供給元から入手可能な乳糖が本発明のために使用され、好ましくは、乳糖一水和物(DMV Internationalからのファルマトース(Pharmatose)(登録商標)200Mのような)が、本発明のために使用される。
【0027】
市販の供給元から入手可能なトウモロコシデンプン、好ましくはRoquetteからのトウモロコシデンプンが、本発明のために使用される。
【0028】
市販の供給元から入手可能なアルファ化デンプン、好ましくはスターチ(Starch) 1500(Colorconから)が、本発明のために使用される。
【0029】
市販の供給元から入手可能な第二リン酸カルシウム二水和物、好ましくはカリファーム(Calipharm) AまたはA-Tabなどの、製粉されていない形態の第二リン酸カルシウム二水和物が、本発明のために使用される。
【0030】
市販の供給元から入手可能な微結晶性セルロース、好ましくはFMC internationalからのアビセルPH101が、本発明のために使用される。
【0031】
市販の供給元から入手可能なポリビニルピロリドン(PVP)、好ましくはBASFからのポリビニルピロリドンが、本発明のために使用される。
【0032】
市販の供給元から入手可能なデンプングリコール酸ナトリウム、好ましくはRoquetteからのデンプングリコール酸ナトリウムが、本発明のために使用される。
【0033】
市販の供給元から入手可能なラウリル硫酸ナトリウム、好ましくはEllis & Everardからのラウリル硫酸ナトリウムが、本発明のために使用される。
【0034】
市販の供給元から入手可能なコロイド性二酸化ケイ素、好ましくはDegussa AG からのエアロシル(Aerosil)が、本発明のために使用される。
【0035】
市販の供給元から入手可能なステアリン酸マグネシウム、好ましくはPeter Grevenからのステアリン酸マグネシウムが、本発明のために使用される。
【0036】
「C1-4-アルキル」という用語は、単独で、またはその他の基と組み合わせて、1〜4炭素原子をもつ直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。直鎖および分枝のC1-C4アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチルである。
【0037】
数値「X」の前に置かれた「約」という用語は、本出願において、X引くXの10%〜X足すXの10%までに及ぶ間隔を、および好ましくは、X引くXの5%〜X足すXの5%までに及ぶ間隔をいう。
【0038】
薬学的に許容される塩という表現には、塩酸または臭化水素酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、マレイン酸、酒石酸、安息香酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、生きた生物に対して非中毒性であるその他のもののような無機酸もしくは有機酸とのいずれかの塩、または式(I)の化合物の性質が酸性である場合、アルカリまたは土アルカリ塩基、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムその他のような無機塩基との塩も包含する。
【0039】
ww%という表現は、組成物の総重量と比較した重量百分率をいう。
【0040】
本発明の好ましい態様において、医薬組成物は:
以下の1つまたは複数から選択される充填剤:乳糖、トウモロコシデンプン、アルファ化デンプン、第二リン酸カルシウム二水和物(CaHPO4・2H2O)および微結晶性セルロース、マルトデキストリンおよびマンニトール;以下の1つまたは複数から選択される崩壊剤:クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、CMC-Ca、CMC-Na、架橋されたPVP、PVP、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルファ化デンプン、ガーゴム、粘土およびイオン交換樹脂;以下から選択される界面活性物質:ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、ポリエチレンポリオキシプロピレン重合体、ステアリン酸ポリオキシルエチレンおよびスルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンC1-4-アルキルエーテル、スクロースモノエステルおよびラノリンエステルおよびエーテル;以下から選択される流動促進剤:二酸化ケイ素、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプンおよびタルク;以下から選択される潤滑剤:Mg-、Al-またはCa-ステアラート、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、安息香酸ナトリウム、モノ脂肪酸グリセリル、ポリエチレングリコール、水素付加された綿実油、ヒマシ油およびスクロースエステルを含む。
【0041】
本発明のもう一つの好ましい態様において、医薬組成物は:
a)乳糖、トウモロコシデンプン、アルファ化されたデンプン、リン酸水素カルシウムおよび微結晶性セルロースから選択される以下の賦形剤の少なくとも1つまたは複数の混合物、
b)ポリビニルピロリドン、
c)デンプングリコール酸ナトリウム、
d)ラウリル硫酸ナトリウム、
e)コロイド性二酸化ケイ素および、
f)ステアリン酸マグネシウム、
を含む。
【0042】
本発明のさらに好ましい態様において、医薬組成物は:
a)乳糖、トウモロコシデンプン、スターチ 1500、カリファーム AおよびアビセルPH101、から選択される以下の賦形剤の少なくとも1つまたは複数の混合物、
b)ポリビニルピロリドン、
c)デンプングリコール酸ナトリウム、
d)ラウリル硫酸ナトリウム、
e)エアロシルおよび
f)ステアリン酸マグネシウム、
を含む。
【0043】
本発明のもう一つの好ましい態様において、医薬組成物は:
a)医薬組成物の総重量に基づく重量の50%までの総量の、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型、
b)医薬組成物の総重量に基づく重量の、10〜95%の総量の、充填剤の少なくとも1つまたは複数の混合物、
c)医薬組成物の総重量に基づく重量の20%までの総量の、ポリビニルピロリドン、
d)医薬組成物の総重量に基づく重量の30%までの総量の、デンプングリコール酸ナトリウム、
e)医薬組成物の総重量に基づく重量の7%までの総量の、界面活性物質、
f)医薬組成物の総重量に基づく重量の5%までの総量の、流動促進剤、および、
g)医薬組成物の総重量に基づく重量の10%までの総量における潤滑剤、
を含み、医薬組成物の総ww%は、100である。
【0044】
本発明のさらに好ましい態様において、医薬組成物は:
a)医薬組成物の総重量に基づく重量の50%までの総量の、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型、
b)医薬組成物の総重量に基づく重量の30〜85%の総量の、充填剤の少なくとも1つまたは複数の混合物、
c)医薬組成物の総重量に基づく重量の2〜10%の総量の範囲の、ポリビニルピロリドン、
d)医薬組成物の総重量に基づく重量の10%までの総量の、デンプングリコール酸ナトリウム
e)医薬組成物の総重量に基づく重量の3%までの総量の、界面活性物質、
f)医薬組成物の総重量に基づく重量の2.5%までの総量の、流動促進剤、および、
g)医薬組成物の総重量に基づく重量の7%までの総量の、潤滑剤、
を含み、医薬組成物の総ww%は、100である。
【0045】
本発明のもう一つの好ましい態様において、医薬組成物は:
a)医薬組成物の総重量に基づく重量の50%までの総量の、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型、
b)医薬組成物の総重量に基づく重量の30〜85%の総量の、充填剤の少なくとも1つまたは複数の混合物、
c)医薬組成物の総重量に基づく重量の2〜5%の総量の範囲の、ポリビニルピロリドン、
d)医薬組成物の総重量に基づく重量の5%までの総量の、デンプングリコール酸ナトリウム、
e)医薬組成物の総重量に基づく重量の3%までの総量の、界面活性物質、
f)医薬組成物の総重量に基づく重量の1%までの総量の、流動促進剤、および、
g)医薬組成物の総重量に基づく重量の3%までの総量の、潤滑剤、
を含み、医薬組成物の総ww%は、100である。
【0046】
本発明による医薬組成物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型は、医薬として使用してもよい。
【0047】
本発明による医薬組成物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型は、肺動脈性高血圧症(PAH)の治療に使用するための医薬の製造のために使用してもよい。
【0048】
これらのおよびその他の薬学的に許容される賦形剤、並びに本明細書において言及した方法のための主題についての広範な文献に対して参照がなされ、特にHandbook of Pharmaceutical Excipients, Third Edition, edited by Arthur H. Kibbe, American Pharmaceutical Association, Washington, USA and Pharmaceutical Press, London;並びに Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete edited by H. P. Fiedler, 4th Edition, Edito Cantor, Aulendorfおよび以前の版を参照されたい。
【0049】
本発明、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型の量に応じて、医薬組成物の総重量に基づく重量の90%までの総量であってもよい。好ましくは、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型の量は、医薬組成物の総重量に基づく重量の50%までの総量であってもよい。より好ましくは、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型の量は、医薬組成物の総重量に基づく重量の1〜50%、特に5〜30%および特に10〜20%である。
【0050】
本発明によれば、充填剤の量は、医薬組成物の総重量に基づく重量の10〜95%、特に30〜85%および特に30〜50%の範囲内で変更してもよい。
【0051】
崩壊剤の量は、医薬組成物の総重量に基づく重量の1〜20%、好ましくは2〜10%(たとえば、3〜8%)および特に2〜5%で変更してもよい。たとえば、組成物は、医薬組成物の総重量に基づく重量の2〜4%(たとえば、3%)の崩壊剤を含んでいてもよい。
【0052】
界面活性物質の量は、医薬組成物の総重量に基づく重量の0.01〜7%、好ましくは0.1〜3%および特に0.1〜1%で変更してもよい。
【0053】
流動促進剤の量は、組成物中に存在するときに、医薬組成物の総重量に基づく重量の0.1〜5%、特に0.1〜2.5%、特に0.5〜1.0%の範囲内で変更してもよい。
【0054】
潤滑剤の量は、医薬組成物の総重量に基づく重量の0.05〜10%、好ましくは0.05〜7%、最も好ましくは0.1〜3.0%および特に0.1〜1%の間で変更してもよい。
【0055】
酒石酸の量は、組成物中に存在するときに、医薬組成物の総重量に基づく重量の0.1〜10%、好ましくは1〜10%および最も好ましくは4〜6%で変更してもよい。
【0056】
それぞれの薬学的に許容される賦形剤の絶対量およびその他の薬学的に許容される賦形剤と相対的な量は、錠剤の所望の特性に依存し、ルーチン試験によって選択することができる。
【0057】
医薬組成物の総重量パーセントは、100である。
【0058】
本発明に従った医薬組成物は、一定の期間の間に式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物もしくは多形型の初期含量の70%、好ましくは80%および最も好ましくは95%が前記期間にわたって維持される場合に、「安定」と考えられる。
【0059】
医薬組成物の安定性は、従来の様式で、たとえば25℃および60%の相対湿度にて定義された期間貯蔵後および/または、40℃および75%の相対湿度にて定義された期間貯蔵後の、たとえば式Iの化合物の測定およびその分解生成物、溶解、脆さ、崩壊時間、外見および/または顕微鏡観察によって試験してもよい。
【0060】
溶出試験法の例は、実施例に続く実験部分に示してある。
【0061】
好ましくは、本発明の固体の組成物は、5〜50℃の温度にて保持したときに、少なくとも6月または12月間安定である。より好ましくは、これらは、15〜45℃の温度にて保持したときに、少なくとも6月または12月間安定である。最も好ましくは、これらは、25〜40℃の温度にて保持したときに、少なくとも6月または12月間安定である。
【0062】
より好ましい態様において、医薬組成物は、1年および好ましくは2年などの一定の期間以上安定である。より好ましくは、医薬組成物は、3年間安定である。
【0063】
カプセルまたは錠剤における化合物1およびその分解生成物の含量は、HPLCを介して評価した。
【0064】
医薬組成物は、カプセルおよび錠剤として製剤化してもよい。たとえば、1mgの投与強度の1625g(6500カプセル)のバッチサイズは、以下のとおりに製造してもよい:
【0065】
【表1】

粒子内材料は、使用前に高剪断ミキサー、たとえばDiosna(6Lのボウル)で5分間混合した。約731〜893gの水を65g/分の速度にて粒子内材料に添加し、一方で適切な顆粒が形成されるまで混合した。粒子内材料を2分間さらに混合した。次いで、これらを、顆粒の乾燥減量が6〜9% w/wになるまで、流動床乾燥器において60℃の入口気温で乾燥させた。次いで、顆粒を813μmのスクリーンにあわせた同時製粉機(co-mill)を通した。ステアリン酸マグネシウム以外の全ての粒子外材料は、1000μmのスクリーンを通して、10LのPharmatechダブルコーンシェルミキサーで25rpmにて25分間顆粒と共に混合した。ステアリン酸マグネシウムは、500μmのふるいを通してスクリーニングして、ミキサーの残りの粉末混合物に添加して、さらに3分間混合した。
【0066】
次いで、粉末をサイズ「0」の白い不透明な硬ゼラチンカプセルに詰めた。
【0067】
本発明の一つの側面において、圧縮前にタブレット化機械の、プレスツール、たとえばパンチおよび/または鋳型の材料接触面に、1つまたは複数の潤滑剤を噴霧してもよい。
【0068】
カプセルは、たとえばサイズ1〜「00」のサイズで変更してもよい。
【0069】
本発明によれば、錠剤を産生してもよい。錠剤は、形状が異なってもよく、たとえば、丸く、卵形で、長楕円形で、円柱形で、クローバ形で、またはその他の任意の適切な形状であってもよい。
【0070】
本発明のある態様において、得られる錠剤は、クローバ形または丸形である。錠剤の端は、斜角をつけてもよく、または丸めてもよい。もう一つの態様において、錠剤は、縁に傾斜を付けたクローバ形である。本発明に従った錠剤は、刻みめを入れても、または刻印を入れてもよい。
【0071】
また、本発明に従った錠剤は、縁に傾斜を付けた、四分されたクローバ形でもよい。これは、5〜15mmの間で変動する直径(たとえば、6mmの直径などの5〜8mmの直径)、特に8〜15mmの間で変動する直径および特に9〜11mmの間で変動する直径を有してもよい。その厚み(コーティング薄膜が錠剤に適用される場合、コーティング前)は、2.5〜4.5mmの範囲、好ましくは2.9〜3.9mmの間である。
【0072】
本発明のカプセルおよび錠剤は、個々の外見を仕上げて、直ちにこれらを認識可能にするように、着色し、および/またはマークしてもよい。色素の使用は、外見を増強するため、並びに錠剤を同定するために役に立ち得る。調剤に使用するために適した色素には、典型的にはカロチノイド、酸化鉄またはクロロフィルを含む。本発明の錠剤は、インプリントコードを使用してマークしてもよい。
【0073】
本発明のカプセルおよび錠剤は、PAHの治療のために有用であり、優れた薬物動態学的プロフィールを示す。
【0074】
使用してもよい手順は、当該技術分野の従来法であるか、もしくは公知であるか、またはたとえば、L. Lachman et al., The Theory and Practice of Industrial Pharmacy, 3rd Ed., 1986; H. Sucker et al., Pharmazeutische Technologie, Thieme, 1991; Hagers Handbuch der pharmazeutischen Praxis, 4th Ed. (Springer Verlag, 1971)およびRemington's Pharmaceutical Sciences, 13th Ed., (Mack Publ., Co., 1970)もしくはより後期の版に記述されたものなどの手順に基づいていてもよい。
【0075】
本発明に従ったカプセルの形態の医薬組成物の製造のための方法は、以下のプロセスフローチャートにしたがって実施することができる:
【0076】
【表2】


乾燥工程は、特に流動床乾燥器を使用することによって実施することができる。
【0077】
製造される医薬組成物が錠剤の形態であるときは、本発明による製造方法は、以下のプロセスフローチャートにしたがって実施することができる:
【0078】
【表3】


このプロセスの2つの変形を実施してもよく、一方は、湿式造粒法(すなわち、上記フローチャートに示したとおりの方法であって、いくらかの水を粒子内材料に添加して、前記水が乾燥工程によって除去される方法)を含み、他方は、直接圧縮法(すなわち、上記フローチャートに示したとおりの方法であって、乾燥工程が少なく、水が粒子内材料に添加されていないので、前記乾燥工程が余分な方法)を含む。
【0079】
本方法の好ましい変形によれば、以前に記載した製造方法によって得られる錠剤は、保護薄膜によって被覆される。前記保護薄膜は、特に湿気との錠剤の直接接触を防止し;また、これらには、錠剤のインプリントを容易にし得る。
【0080】
本発明によれば、重量によるコーティング材料の量は、そのコーティングの前の錠剤の重量の2〜8%、好ましくは3〜7%、およびより好ましくは4〜6%である。
【0081】
前記保護薄膜を行ったコーティング材料には、低水蒸気透過性重合体(ポリビニルアルコール(たとえば、Opadry(登録商標)AMB)またはメタクリル酸ジメチルアミノエチル(たとえば、EUDRAGIT(登録商標)EPO)を含む。コーティング材料には、可塑剤(たとえば、プロピレングリコール、トリアセチン、フタル酸ジブチルまたはセバシン酸ジブチル)、界面活性物質(たとえば、ラウリル硫酸ナトリウムまたはTweenなどのポリソルベート)および/または潤滑剤/流動促進剤(たとえば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウムまたはタルク)をさらに含むことができる。さらに、コーティング材料には、錠剤に着色した側面を与える色素(たとえば、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)または酸化チタン)も含むことができる。
【0082】
以下の非制限的な実施例は、本発明を例証する。
【実施例】
【0083】
実施例1〜15の医薬組成物は、以下のフローチャートによって要約される方法にしたがって製造した:
【0084】
【表4】

【0085】
実施例16〜33の医薬組成物は、以下のフローチャートによって要約される湿式造粒法にしたがって製造した:
【0086】
【表5】

【0087】
最終的には、実施例34〜35の医薬組成物は、以下のフローチャートによって要約される直接圧縮法にしたがって製造した:
【0088】
【表6】


(なお、上記のフローチャートにおいて、RPMは、毎分回転数を意味する)。
【0089】
Opadry(登録商標)AMBでの錠剤のコーティングに関しては、この後に詳述した方法(今後、「Opadry(登録商標)AMBでの一般的錠剤コーティング法と呼ぶ」)を使用した。
【0090】
Opadry(登録商標)AMBコーティング錠のためのコーティング溶液は、ステンレス鋼容器内で室温にて、精製水にOpadry(登録商標)AMB(微細な白色粉末)の20%w/w分散を調整することによって得られた。分散は、使用前およびコーティング過程の全体にわたって、45分間ステンレス鋼攪拌棒を備えたHeidolph攪拌機を使用して撹拌した。コーティングパンは、錠剤を満たす前に設定点温度(60℃)に平衡化させた。錠剤は、コーティング前に10分間乾燥皿で平衡化させた。加熱、コーティングおよび乾燥段階についても、同じ温度および空気流を使用した。
【0091】
式(I)の化合物を含む錠剤をコーティングするために使用したパラメーターは、以下のとおりである:
【0092】
【表7】

コーティングパンにおける空気流は、コーティング時に測定しなかったが、その後に測定し、1時間あたりおよそ250m3であることが判明した。フィルムコーティングには、完了までに110〜120分を要した(1460gの溶液が噴霧されたときに、コーティングを止めた)。錠剤は、コーティング後に皿において10分間乾燥させた。
【0093】
EUDRAGIT(登録商標)E POでの錠剤のコーティングに関しては、この後に詳述した方法(今後、「EUDRAGIT(登録商標)E POでの一般的錠剤コーティング法と呼ぶ」)を使用した。
【0094】
コーティング模様(coating trail)は、Lodige LHC 25で行った。スプレーガンタイプは、1.2mmの直径のノズルをもつ風媒スプレー銃Schlick 970/7-1 S75であった。懸濁液のスプレーための送達系として、Verder CD 70ペリスタル型ポンプおよび2mmの内径をもつシリコーンチューブを使用した。
【0095】
EUDRAGIT(登録商標)E POコーティング錠のためのコーティング懸濁液は、以下のとおりに得られた。水を容器内に入れ、ラウリル硫酸ナトリウムの相対量を添加し、ULTRA Turraxを使用して混合物を5分間ホモジナイズした。その後、ステアリン酸の相対的な量を少量添加して、5〜10分間ホモジナイズした。このホモジナイゼーション期間の後、EUDRAGIT(登録商標)E POを少量でゆっくりと添加して、30分間ホモジナイズした。次いで、ステアリン酸マグネシウムの相対的な量を、ULTRA Turraxにより水中の15%の懸濁液として調製して、ホモジナイズした。ステアリン酸マグネシウム懸濁液をEUDRAGIT(登録商標)E POに投与した。最終的なコーティング懸濁液は、本過程の間に従来のプロペラ攪拌機で連続的に撹拌した。
【0096】
実施例1
バッチサイズ:20g
【表8】

【0097】
実施例2および3
バッチサイズ:625g
【表9】

【0098】
実施例4〜11
【表10】

【0099】
実施例12
【表11】

【0100】
実施例13:
【表12】

【0101】
実施例14:
【表13】

【0102】
実施例15:
【表14】

【0103】
実施例16〜20:
バッチサイズ:1kg
【0104】
【表15】

【0105】
以下のパラメーターを、上記の表に示した組成物の70mgの錠剤を作成するために使用した:
【表16】

【0106】
実施例21〜25:
バッチサイズ:1kg
【表17】

【0107】
以下のパラメーターを、上記の表に示した組成物の70mgの錠剤を作成するために使用した(硬度および厚みパラメーターは、可能性のあるコーティングの前に測定した):
【表18】

【0108】
実施例26〜30:
バッチサイズ:1kg
【表19】

【0109】
以下のパラメーターを、上記の表に示した組成物の70mgの錠剤を作成するために使用した(硬度および厚みパラメーターは、可能性のあるコーティングの前に測定した):
【表20】

【0110】
実施例31:バッチサイズ:500g
1mgの式Iの化合物を含む250mgの錠剤を、上記の実施例16〜30のものと同様のパラメーターを使用して、下記の表に示した組成物で調製した:
【表21】

【0111】
実施例32:
バッチサイズ:500g
1mgの式Iの化合物を含み、かつ4kPの平均硬度を有する70mgの錠剤を、上記の実施例16〜30のものと同様のパラメーターを使用して、下記の表に示した組成物で調製した:
【表22】

【0112】
実施例33:
バッチサイズ:500g
1mgの式Iの化合物を含む70mgの錠剤を、上記の実施例16〜30のものと同様のパラメーターを使用して、下記の表に示した組成物で調製した:
【表23】

【0113】
実施例34
バッチサイズ:500g
【表24】

【0114】
実施例35
バッチサイズ:500g
【表25】

【0115】
実施例36
上記の実施例17と同様に作成した10mgの式Iの化合物を含む70mgの錠剤を、一般的錠剤コーティング法を使用して、以下の特定のコーティングパラメーターで、前述のOpadry(登録商標)AMBで被覆した(NB:固体およびコーティング溶液について言及した量は、7300gのコーティングされていないバッチのコーティングが可能なものである):
【表26】

【0116】
実施例37
上記の実施例17と同様に作成した10mgの式Iの化合物を含む70mgの錠剤を、一般的錠剤コーティング法を使用して、以下の特定のコーティングパラメーターで、前述のOpadry(登録商標)AMBで被覆した(NB:固体およびコーティング溶液について言及した量は、7300gのコーティングされていないバッチのコーティングが可能なものである):
【表27】

【0117】
実施例38
上記の実施例17と同様に作成した10mgの式Iの化合物(5mmの直径および3.1mmの高さを有する)を含む70mgの錠剤を、一般的錠剤コーティング法を使用して、前述のEUDRAGIT(登録商標)E POで被覆した。コートされていない錠剤のバッチサイズは、500gであった。以下のEUDRAGIT(登録商標)E PO、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムおよび水の量を使用した:
【表28】

【0118】
実施例39
上記の実施例28と同様に作成した0.3mgの式Iの化合物(5mmの直径および2.9mmの高さを有する)を含む70mgの錠剤を、一般的錠剤コーティング法を使用して、前述のEUDRAGIT(登録商標)E POで被覆した。コートされていない錠剤のバッチサイズは、600gであった。以下のEUDRAGIT(登録商標)E PO、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムおよび水の量を使用した:
【表29】

【0119】
本発明の医薬組成物の実験研究:溶出試験:
溶出試験
装置
溶出試験のために、以下の材料を使用した:
-USP型装置2:SOTAX AT7溶出試験ステーションまたは同等物、6×1000ml溶解容器および6攪拌棒)。
-データ取得を備えたHPLC系Agilent 1100(Chemstation Plus)。
-Analysis Balance Mettler AX205dr
-ミリQ勾配A10 Millipore, F1KN13093 H。
【0120】
装置の作動条件
溶出試験のために、以下の条件を使用した:
溶出装置:
○温度:37.0±0.5℃
○速度:50±2rpm
○体積:900ml。
【0121】
○溶出溶媒:0.05%のTween 80を含む緩衝液pH=6.8
○サンプリング体積:培地置換を伴わずに12ml
○サンプリング時点:5、10、15、30、45、60分におけるプロフィール
HPLCパラメーター:
○定常相:EC 250/3 Nucleodur C18 gravity 3μm(cat. No. 7600820.30)
○カラム:250mm×3.00 mm 3μm(Macherey-Nagel)
○移動相:均一濃度
○注入体積:10μl
○カラム温度:25℃
○自動サンプラー温度:25℃
○流速:0.5 ml/分
○圧力:149bar
○検出波長:260nm
○クロマトグラム時間:10分
○移動相:850ml アセトニトリル、150ml 水および5ml トリフルオロ酢酸をよく混合する。使用前に脱気する。
【0122】
プロトコル
10lの溶出溶媒を以下の取りに調製する:79.85gのNaH2PO4・2H2O、69.55gのNa2HPO4および5gのTween 80を10lの総容積に水で希釈する。
【0123】
式Iの化合物の参照標準液を2つ調製する。参照標準液の一方は、作業参照標準液として使用し、他方の標準液は、対照参照標準液として使用する。式Iの化合物の参照標準液は、以下のとおりに得られる:
55mgの式Iの化合物を250mlのメスフラスコ内で計量して、4mlのアセトニトリルを添加する。混合物を5分間超音波処理する。式Iの化合物の完全な溶解後、溶出溶媒を250mlまで完全に添加する。10.0mlのこの溶液を200mlのメスフラスコにピペットで取って、溶解培地を250mlまで完全に添加する。したがって、参照標準液中の式Iの化合物の濃度は、11mg/mlである。
【0124】
溶解試料溶液は、以下のとおりに調製する:
900mlの溶出溶媒を溶出装置のそれぞれの容器に移す。溶出溶媒は、37℃±0.5℃にて溶解バッチ中で少なくとも30分間平衡化させる。10mgの式Iの化合物の錠剤をそれぞれの容器に滴下する。12mlの試料溶液を5、10、15、30、45および60分にて、それぞれの容器ら取り除く。培地置換は、必要ではない。試料溶液を遅滞なくHPLCバイアル内にGelman 1μmグラスファイバアクロディスクシリンジフィルタ(acrodisk syringe filter)を通して濾過し、室温に冷却する。
【0125】
以下の注射順序を使用してHPLC解析を実施する:
- 溶出溶媒を一度注射する;
- 作業参照標準液を連続的に6回注射する;
- 対照参照標準液を2回注射する;
- それぞれの試料溶液を一度注射する。
【0126】
6個の試料注射後に、系のドリフトが制限(2.0%)内であることを確認するために、作業参照標準液を再注入する。
【0127】
以下の基準を満たさなければならない:
作業参照標準液は、連続的に6回注射する。反応因子からの%RSD(すなわち、基準溶液のピーク面積によって分けられる基準溶液の濃度)が、≦2.0%であるべきである。実行の全体にわたって注射される作業参照標準液における式Iの化合物の反応因子の全体のRSDは、≦2.0%であるべきである。
【0128】
作業参照標準液の6回の注射の平均の反応因子および対照参照標準液の2回の注射の平均値間の相対的相違は、≦1.5%であるべきである。
【0129】
結果は、以下の式を使用して算出することができる:
【0130】
【数1】

【表30】

式中、
D(%)=標識された量に基づいた溶解した式Iの化合物
Cn=mg/mlでの、第n番目の注射のための式Iの化合物の濃度(のもの)
V=ml = 900での溶出溶媒の初期容積
Vr=ml = 12での、それぞれの注射について除去された溶出溶媒の体積
Vn=第n番目の注射についての、mlでの、溶出溶媒の実際の体積
T=錠剤あたりの式Iの化合物の標識された量= 10mg
n=第n番目のサンプリング
Aspl=試料溶液から得られる式Iの化合物のピーク面積
Astd=作業参照標準液から得られる式Iの化合物のピーク面積
Cstd=作業参照標準液における式Iの化合物の、mg/mlの濃度
Wstd=mgでの、作業参照標準液における式Iの化合物の重量
Pstd=% での式I参照物質の化合物の能力
DFstd=ml = 5'000での、標準液の希釈比
本発明に従った医薬組成物についての結果:
実施例16〜20の組成物は、説明したプロトコルを使用して試験したときに、図1に示した溶解プロフィールを示す(式中パーセンテージ溶解(Y軸)は、分での時間(X軸)の関数で表してある)。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】実施例16〜20の組成物は、説明したプロトコルを使用して試験したときに、図1に示した溶解プロフィールを示す(式中パーセンテージ溶解(Y軸)は、分での時間(X軸)の関数で表してある)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物であって:
a)前記医薬組成物の総重量に基づく重量の50%までの総量の、下記に示したとおりの式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物、
【化1】


b)前記医薬組成物の総重量に基づく重量の10〜95%の総量の、微結晶性セルロースと乳糖からなる充填剤
c)前記医薬組成物の総重量に基づく重量の1〜20%の総量の、デンプングリコール酸ナトリウムまたはデンプングリコール酸ナトリウムとポリビニルピロリドンとの組み合わせからなる崩壊剤
d)前記医薬組成物の総重量に基づく重量の0.1〜3%の総量の、ポリソルベートからなる界面活性物質、
e)前記医薬組成物の総重量に基づく重量の0.05〜10%の総量の、ステアリン酸マグネシウムからなる潤滑剤、
を含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記ポリソルベートが前記医薬組成物の総重量に基づく重量の0.1〜1%までの総量で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記ポリソルベートがポリソルベート80である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記デンプングリコール酸ナトリウムまたはデンプングリコール酸ナトリウムとポリビニルピロリドンとの組み合わせが前記医薬組成物の総重量に基づく重量の2〜10%の総量で存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記ステアリン酸マグネシウムが前記医薬組成物の総重量に基づく重量の0.1〜1%の間の総量で存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
カプセル形態である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
錠剤形態である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
肺動脈性高血圧症の治療に使用するための医薬の製造のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。

【図1】
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【公開番号】特開2009−235073(P2009−235073A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112258(P2009−112258)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【分割の表示】特願2008−529767(P2008−529767)の分割
【原出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(500226786)アクテリオン ファーマシューティカルズ リミテッド (151)
【氏名又は名称原語表記】Actelion Pharmaceuticals Ltd
【住所又は居所原語表記】Gewerbestrass 16,CH−4123 Allschwil,Switzerland
【Fターム(参考)】