説明

ピルフェニドンを含有するゲル

本発明は、従来技術において既知の皮膚に適用される医薬品形態よりも有益であり、且つ線維化病変を伴う組織の修復のための且つ線維化病変の予防のための治療に使用することができる、ピルフェニドン含有ゲル組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現行の技術水準における既知の皮膚適用の医薬品形態を超える利点をもたらす、ピルフェニドン(Pirfenidone)を含有するゲル製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
次の式:
【0003】
【化1】

【0004】
で表わされる5−メチル−1−フェニル−2(1H)−ピリドンは、線維症による病変を伴う組織の修復、及び線維化病変の予防に適用されている薬剤である。ピルフェニドンであるこの化合物自体は、既知の化合物であり、その薬理作用は、解熱剤及び鎮痛剤を含む抗炎症剤として、例えば特開昭49−87677号公報(第87677/1974号)及び特開昭51−1284338号公報(第1284338/1976号)に記載されている。また、1974年10月1日登録の米国特許第3,839,346号明細書、1976年8月10日発行の米国特許第3,974,281号明細書、1977年8月16日発行の米国特許第4,042,699号明細書、及び1977年10月4日発行の米国特許第4,052,509号明細書には、ピルフェニドンを得るための方法、及び抗炎症剤としてのピルフェニドンの使用が記載されている。また、メキシコ特許第182,266号明細書には、5−メチル−1−フェニル−2(1H)−ピリドンの抗線維化活性について記載されている。
【0005】
これまでに種々の方策及び治療が使用されてきたが、それらはいずれも実際に有効であるとは証明されていなかった。ピルフェニドンは、種々の病状及び器官に対する抗線維化剤としての効能を示しており、また、本発明者等が以前に行った研究において、また実験モデル及び臨床試験においても、そのことが証明された。以前の研究においては、線維芽細胞に対する効果並びに膠原質及び細胞外基質の産生を観測した。
【0006】
ゲル化剤(gelificant agent)を添加すると、多くの物質がゲルを形成することができる。この事実は、食品から接着剤、さらには塗料に至る、製品の製造業の多くの多様な製品において使用される。
【0007】
ゲルはまた、ゾル−ゲルプロセスに関する化学分野において、またナノ細孔を有する固体材料の合成において重要なものである。
【0008】
ゲルは、その水性成分が水又は有機溶媒であるか;また、本質的に有機物であるか又は無機物であるか、その粒子のサイズの点でコロイドであるか又は大きな(thick)粒であるか;また、その物理的特性の点で硬質ゲルであるか、弾性又はチキソトロピー(tixothrophic)を有するかによって、水性(ヒドロゲル)又は有機(オルガノゲル)に分類される。
【0009】
親水コロイドは、植物性タンパク質及び動物性タンパク質又は多様な糖類から生成される物質である。親水コロイドは、それら自体を膨潤させ且つ水と結合する能力を有する。親水コロイドは、食品を増粘、凝固及び安定化させるのに使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、粘稠剤であるピルフェニドンと、可溶化剤と、非イオン性可溶化剤と、保存料と、中和剤と、精製水とを含有する、皮膚適用のためのゲル組成物を提供することである。
【0011】
また、本発明の目的は、皮膚適用のための、ピルフェニドンを含有するゲルの製造方法を提供することである。
【0012】
また、本発明の別の目的は、抗線維化剤及び抗炎症剤として使用することのできるゲル薬剤を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ゲルの組成
ゲル組成物は、2%〜12%のピルフェニドンを含有しており、ピルフェニドンと、0.4%〜1.2%の粘稠剤と、10%〜30%の可溶化剤と、5%〜15%の非イオン性可溶化剤と、0.2%〜1%の保存料と、0.4%〜1.2%の中和剤と、残りは精製水とを利用して構成される。粘稠剤が、カルボマー(Carbomer)940(MR)、ウルトレックス(Ultrex)10(MR)、セルロース誘導体、ガム、ポリオキサマー(polioxameres)から選択され、可溶化剤が、メチルピロリドン、エチルアルコール及びプロピレングリコールから選択され、保存料が、ジアゾリジニル尿素、ヨードプロピニルブチルカルバメート(iodopropilibutilcarbamate)、メチルパラベン、プロピルパラベン(propilparabene)及びこれらの化合物の混合物からなる群から選択され、中和剤が、モノエタノールアミン、ビエタノールアミン及びトリエタノールアミン型の第一級、第二級及び第三級脂肪酸アミン、並びに水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物からなる群から選択される。
【0014】
ゲルの組成の一例を表1に示す。
【0015】
【表1】

【0016】
ピルフェニドンを含有するゲルの組成物は、以下のようにして製造される。
a)使用する総水量の50%と粘稠剤とを混合し、該粘稠剤の完全な湿潤を可能にする。
b)ピルフェニドンと可溶化剤とを、一定の攪拌をしながら別個に混合する。
c)総水量の25%中に非イオン性可溶化剤を別個に溶解させ、40℃で使用し、それが溶解したら、総水量の15%を添加する。
d)工程(c)からの溶液を、工程(b)からの混合物に添加し、該混合物が均質になるまで攪拌する。
e)中和剤を、使用する総水量の10%中に希釈し、該混合物が均質になるまで攪拌する。
f)工程(a)からの混合物に、工程(d)からの溶液、保存料及び工程(e)からの溶液を、一定の攪拌をしながら添加すると共に、添加毎に均質化させる。
【0017】
記載した手順に従って調製した組成物を表2に示す。
【0018】
【表2】

【0019】
これらの組成物は実施例の態様で示されるが、本発明の詳細な説明書の範囲のいずれの段階においてもそれらの組成物に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2%〜12%のピルフェニドンと、0.4%〜1.2%の粘稠剤と、10%〜30%の可溶化剤と、5%〜15%の非イオン性可溶化剤と、0.2%〜1%の保存料と、0.4%〜1.2%の中和剤とからなり、残りは精製水であることを特徴とするピルフェニドン含有ゲルの組成物。
【請求項2】
8%のピルフェニドンと、0.5%の粘稠剤と、20%の可溶化剤と、11.5%の非イオン性可溶化剤と、0.5%の保存料と、0.5%の中和剤とからなり、残りは精製水であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記粘稠剤が、カルボマー940(MR)、ウルトレックス10(MR)、セルロース誘導体、ガム、ポリオキサマーから選択され、前記可溶化剤が、メチルピロリドン、エチルアルコール及びプロピレングリコールから選択され、前記保存料が、ジアゾリジニル尿素、ヨードプロピニルブチルカルバメート、メチルパラベン、プロピルパラベン及びこれらの化合物の混合物からなる群から選択され、前記中和剤が、モノエタノールアミン、ビエタノールアミン及びトリエタノールアミン型の第一級、第二級及び第三級脂肪酸アミン、並びに水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記粘稠剤がカルボマー940(MR)であり、前記可溶化剤がN−メチルピロリドンであり、前記保存料がジアゾリジニル尿素及びヨードプロピニルブチルカルバメートであり、前記中和剤がトリエタノールアミンであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
次の工程:
a)使用する総水量の50%と粘稠剤とを混合し、該粘稠剤の完全な湿潤を可能にする工程と、
b)別に、ピルフェニドンと可溶化剤とを、一定の攪拌をしながら混合する工程と、
c)別に、総水量の25%中に非イオン性可溶化剤を溶解させ、40℃とし、溶解したら、総水量の15%を添加する工程と、
d)工程(c)からの溶液を、工程(b)からの混合物に添加し、該混合物が均質になるまで攪拌する工程と、
e)中和剤を、使用する総水量の10%中に希釈し、該混合物が均質になるまで攪拌する工程と、
f)工程(a)からの混合物に、工程(d)からの溶液、保存料及び工程(e)からの溶液を、一定の攪拌をしながら添加し、添加毎に均質化させる工程と
からなることを特徴とするピルフェニドン含有ゲルの組成物を製造する方法。
【請求項6】
線維化病変を伴う組織の修復のための且つ線維化病変の予防のための、請求項1〜4のいずれか一項に記載のピルフェニドン含有ゲルの組成物の使用。

【公表番号】特表2010−536747(P2010−536747A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520954(P2010−520954)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際出願番号】PCT/MX2008/000107
【国際公開番号】WO2009/022899
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(510040204)セル セラピー アンド テクノロジー,エス.エー. デーイー シー.ヴィ. (1)
【Fターム(参考)】