説明

ピロー包装機

【課題】 ピロー包装体における耳部(エンドシール部)の先端までシールすることのできるピロー包装機を提供すること
【解決手段】ピロー包装機のエンドシール装置を、筒状フィルムを挟んで上下に配置されるエンドシーラ35a,35bと、そのエンドシーラのシール面を対向させた状態を保持しながらそのエンドシーラを所定の軌跡で移動させる駆動機構とを備えるようにした。そして、上下のエンドシーラのシール面の所定位置に幅方向に延びる凹溝を設け、一方のエンドシーラに設けた凹溝内には上下方向に移動するカッター刃34を設け、他方のエンドシーラに設けた凹溝内には筒状フィルムに接触可能に受け板35を設けた。受け板が接触した筒状フィルムのフィルム部位はシールされ、カッター刃はその受け板にてシールされたフィルム部位をカットするように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロー包装機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装体の形態には多種多様のものがあるが、その中の一つとしてピロー包装体がある。このピロー包装体は、帯状の包装フィルムを製袋器に通過させることで筒状に製袋し、その帯状フィルムの進行方向両端縁同士をシール(センターシール)することで筒状フィルムとし、更に、その筒状フィルム内に被包装物を内包させると共に前後の被包装物間のフィルム部位を筒状フィルムの進行方向と直交する方向にシール(エンドシール,エンドシール)すると共にカットすることで製造される。
【0003】
このようにして製造された包装体1は、図1に示すように、内部に被包装物2を内包すると共に、1本のセンターシール部と、両端に形成される耳部(エンドシール部)4により密封された形態を採る。
【0004】
係るピロー包装体を製造するピロー包装機は、図2に示すようなエンドシール装置6を備えている。このエンドシール装置6は、上下一対のシーラ7,8を備え、そのシーラ7,8のシール面7a,8aの中央部に凹溝7b,8bが形成されている。そして、下側のシーラ8aの凹溝8b内に、カッター9が配置されている。このカッター9は、シーラ8に対して相対的に上下移動可能となっている。これにより、一対のシーラ7,8にて筒状フィルムを挟み込むことでシールすることができ、更に、カッター9が上昇してその先端がシール面8aよりも上方に突出することにより筒状フィルムのシール部位をカットすることができる。
【特許文献1】特開2004−345707
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のピロー包装機を用いて製造される包装体は、耳部4の先端に未シール部位4aが形成されてしまう。すなわち、一対のシーラ7,8には、凹溝7b,8bが存在しておりその凹溝7b,8bに対向するフィルム部位は加熱・加圧されないためである。また、シール装置とカット装置を別々に形成し、まず前段でシール装置により横方向にシールをし、後段でそのシールした部分をカットするようにすれば未シール部をなくすことができる。しかし、係る構成を採ると、装置が大型化してしまうと共に、フィルムを横方向にシールする位置とカットする位置とを同期させる処理が必要となり煩雑である。
【0006】
本発明は、簡単な構成でもってピロー包装体における耳部(エンドシール部)の先端までシールすることのできるピロー包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明に係るピロー包装機は、(1)連続して供給される帯状フィルムを筒状に形成する手段と、その筒状に形成された筒状フィルムの重合端にシールを施すセンターシール装置と、そのセンターシール装置の下流側に配置され、前記筒状フィルムの幅方向にシールするとともにカットするエンドシール装置を備えたピロー包装機であって、前記エンドシール装置は、前記筒状フィルムを挟んで上下に配置されるエンドシーラと、そのエンドシーラのシール面を対向させた状態を保持しながらそのエンドシーラを所定の軌跡で移動させる駆動機構とを備え、前記上下のエンドシーラのシール面の所定位置に幅方向に延びる凹溝を設け、一方のエンドシーラに設けた凹溝内には上下方向に移動するカッター刃を設け、他方のエンドシーラに設けた凹溝内には前記筒状フィルムに接触可能に受け板を設けてなり、前記受け板が接触した筒状フィルムのフィルム部位はシールされ、前記カッター刃はその受け板にてシールされたフィルム部位をカットするように構成した。
【0008】
駆動機構の所定の軌跡は、上下のエンドシーラを上下移動(接近・離反)させるだけでもよいし、上下移動に加えて水平方向(筒状フィルムの移動方向)の移動を含むようにしたものでもよい。凹溝は実施形態では貫通孔31b,32bに対応する。
【0009】
本発明によれば、上下一対のエンドシーラが互いに接近して筒状フィルムを上下から挟み込むと、シール面に接触する部位が熱シールされる。さらに、受け板が接触する筒状フィルムのフィルム部位も熱シールされる。そして、その受け板にて熱シールされた部分がカッター刃により切断されるため、その切断された部位も熱シールされた状態となる。よって、最終的なピロー包装体の耳部(エンドシール部位)の先端までシールされた状態となる。
【0010】
(2)前記受け板は、熱伝導性が良好な材料から構成され、エンドシーラに内蔵されたヒータにより加熱された当該エンドシーラの熱を利用して筒状フィルムを熱シールするようにするとよい。これにより、簡単な構成で受け板が接触するフィルム部位を熱シールできる。
【0011】
(3)前記上下のエンドシーラが互いに離反している際に、前記受け板の先端が前記シール面よりも突出するように構成すると良い。このようにすると、より確実に受け板が接触するフィルム部位を熱シールできる。
【0012】
(4)前記受け板の先端を前記シール面から突出する方向に付勢する付勢手段を設け、前記カッター刃の先端の刃部の両側に、その刃部よりも先端側に突出し、前記受け板に接触可能な接触部位を設け、前記カッター刃は、前記上下のエンドシーラが互いに離反している際には前記刃部並びに前記接触部位はシール面よりも突出せず、前記上下のエンドシーラが互いに接触した際には前記カッター刃が移動し、前記接触部位が前記受け板を前記付勢手段の付勢力に抗して押し戻してその受け板の先端を前記シール面よりも奥側に移動させるとともに、前記刃部が前記筒状フィルムをカットするように構成するとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、簡単な構成でもってピロー包装体における耳部(エンドシール部)の先端までシールすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図3から図7は、本発明の好適な一実施形態を示している。図に示すように、本実施形態のピロー包装機10は、包装機本体11と、その包装機本体11に対して帯状の包装フィルムを連続して供給するフィルム供給装置12と、包装機本体11の上流側に配置され、その包装機本体11に対して被包装物13を所定間隔毎に供給する被包装物搬送供給装置14とを備えている。
【0015】
フィルム供給装置12は、帯状フィルム15をロール状に巻き取った原反ロール16に対し、図示省略する駆動モータ(サーボモータ等の速度制御可能なモータ)の出力を連係し、原反ロール16の回転速度を適宜制御しながら一定速度で包装機本体11に供給する。また、原反ロール16から包装機本体11に至る所定位置に各種のローラ17(図では、代表して1個のみ記載している)を配置し、原反ロール16から送り出された帯状フィルム15は、そのローラ17に掛け渡されることで、所定の経路を通って包装機本体11に導かれる。もちろん、本発明では、必ずしも原反ロール16に駆動モータを連係する必要はなく、包装フィルムの搬送経路上にフィードローラを設け、引き出すようにしても良い。
【0016】
被包装物搬送供給装置14は、前後に配置されたスプロケット19と、その複数のスプロケット19に掛け渡されたエンドレスチェーン20と、そのエンドレスチェーン20に所定ピッチ毎に取り付けられた複数の押送フィンガー21とにより構成される。これにより、被包装物13の後面に押送フィンガー21が突き当たると、押送フィンガー21の移動に伴い、被包装物13も搬送路17上を前進移動する。
【0017】
包装機本体11は、供給される帯状フィルム15を筒状フィルム24に整袋する製袋器25と、その製袋器25の下流側に配置され、筒状フィルム24のフィルム重合端を進行方向に沿って熱シールするセンターシール装置27と、そのセンターシール装置27の下流側に配置され、被包装物13を内包する筒状フィルム21を搬送するベルトコンベア26と、ベルトコンベア26の下流側に配置されたエンドシール装置30と、エンドシール装置30の下流側に配置された搬出コンベア28と、を備えている。
【0018】
ここでエンドシール装置30は、いわゆるボックスモーションタイプのもので、上下に配置された一対のエンドシーラ31,32が、互いのシール面31a,32aを対向させた状態を維持しながら所定の軌跡で移動する。つまり、両シーラ31,32は、基準位置から互いに接近移動して筒状フィルム21を上下から挟み込むことで、そのシール面31a,32aに接触したフィルム部位を所定の圧力で加圧すると共に加熱する。そして、上側シーラ31aは、上記のように互いに接近して筒状フィルム24を挟持した状態を維持したまま互いに筒状フィルム24の移動方向に沿って前進移動する。このときの移動速度は、筒状フィルム18の移動速度と等しくしている。一対のシーラ31,32は、所定距離だけ移動すると、両シーラ31,32は互いに離反移動すると共に、筒状フィルム24の移動方向と逆方向に移動して基準位置に至る。
【0019】
さらに、両エンドシーラ31,32のシール面31a,32aの中央部には、それぞれ貫通孔31b,32bを設けているとともに、そのシール面31a,32aの近傍にヒータ31c,32cが内蔵されている。そして、下側のエンドシーラ31に設けた貫通孔32b内には、カッター刃34を上下移動可能に配置している。このカッター刃34は、上端に鋸歯状の刃部34aが形成されるとともに、上端の両側端には上方に突出する押し上げ部34bが形成されている。この2つの押し上げ部34bの上面は、同一平面上に位置するとともに、刃部34aの上端は当該同一平面よりも下側に位置するようにしている。
【0020】
シリンダその他の駆動源に従いカッター刃34が下側のエンドシーラ32に対して相対的に昇降移動する。そして、カッター刃34が最上昇位置にくると、刃部34aがシール面32aよりも上方に位置する。
【0021】
上側エンドシーラ31aに設けた貫通孔31bは、下側エンドシーラ32aに対向する位置に設けられ、その内部に扁平状の受け板35を上下移動可能に配置している。そして、受け板35の幅Wは、両押し上げ部34b間の間隔W1よりも長くしており(本例では、受け板35の幅とカッター刃34の幅を等しくしている)、受け板35の下面両側縁部が両押し上げ部34bに接触可能となっている。
【0022】
更に、受け板35は、上下方向に延びるガイド孔35aを有しており、受け板35を貫通孔31b内に挿入配置した状態で、ガイド孔35a内にガイドピン37を挿入する。ガイドピン37は、上側のエンドシーラ31に固定される。これにより、受け板35は、ガイドピン37によって上下方向の移動が規制される。つまり、待機状態の基準位置にある受け板35は、その下端(下側先端)がシール面よりも若干(例えば2mm位)下方に突出する。さらに、受け板35の上面と上側のエンドシーラ31aの天面31dとの間にコイルスプリング46を配置している。受け板35は、このコイルスプリング46の弾性復元力により下方へ付勢力を受ける。受け板35は、定常状態、つまり、上方への付勢力を受けていない状態では、自重並びにコイルスプリング46の弾性復元力によって下方に位置し、その下面はエンドシーラ31のシール面31aよりも若干下方に突出する。この突出量は、本実施形態では2mm程度としたが、1〜5mm程度にするのが筒状フィルムに対して適度な圧力で接触するため好ましい。
【0023】
さらにまた、受け板35は、熱伝導性の良好な材料で構成される。本実施形態では、鉄(S45C)を用いて構成した。さらに、受け板35と貫通孔31bとの間のクリアランスは、片側0,5mmとした。すなわち、受け板35の厚さを3mmにするとともに、貫通孔41bの受け板35の厚さ方向の長さを4mmに設定した。これにより、エンドシーラ31の熱が受け板35にも伝わり、後述するように受け板35の下面に筒状フィルムが接触すると、当該フィルム部位を加熱することができる。
【0024】
また、貫通孔41b内には、受け板35に対する積極的なガイド機能は設けていない。これは、貫通孔41bの形状をできるだけストレートにすることで、内部(貫通孔と受け板の間に形成される隙間等)に埃などがたまらないようにしている。
【0025】
次に、図7を用いながら本実施形態の要部となるエンドシール装置30の作用を説明する。まず、上側のエンドシーラ31のシール面31aから受け板35の下面が少し突出した状態と、下側のエンドシーラ32のシール面32aよりもカッター刃34の刃部34aの上端が下方に位置した状態をそれぞれのエンドシーラ31,32における受け板35とカッター刃34の基本状態とする。
【0026】
まず、カッター刃34と受け板35が基本状態を保持させながら両エンドシーラ31,32が互いに接近し、シール面31a,32aが筒状フィルム21の所定部位に接触する(図7(a)参照)。この状態でさらに両エンドシーラ31,32が接近し、筒状フィルム21を上下から挟み込む(図7(b)参照)。これにより、シール面31a,32aと接触するフィルム部位は、所定圧力で挟持されるとともに、加熱される。これにより、この状態が一定時間継続すると当該フィルム部位は熱シールされる。
【0027】
このとき、各エンドシーラ31,32に設けた貫通孔31b,32bに対向するフィルム部位には、シール面31a,32aが存在していないものの、基準状態にある受け板35が接触している。そして、受け板35は、エンドシーラ31にて発生する熱が伝わり高温になっているため、その受け板35に接触するフィルム部位も加熱される。しかも、受け板35の両側(筒状フィルムの進行方向前後両側)に位置するフィルム部位は、上下のエンドシーラ31,32のシール面31a,32aにてそれぞれ上下から挟み込まれているため、筒状フィルム24とエンドシーラ31,32とは前後方向に相対移動不能となる。よって、受け板35に接触するフィルム部位も、所定の圧力がかかるため、係るフィルム部位もこの状態が一定時間継続すると熱シールされる。
【0028】
次いで、カッター刃34が上昇移動すると、その上端両側に設けた押し上げ部34bが受け板35に接触する(図7(c)参照)。その上から更にカッター刃34が上昇すると、押し上げ部34bを介して受け板35を押し上げるとともに、刃部34aが筒状フィルム24の接触部位を切断する(図7(d)参照)。このとき切断されるフィルム部位は、受け板35により熱シールされた部分であるので、当該切断された部位は従来のように広がることがない。
【0029】
その後、カッター刃34が下降移動し、それにつれて受け板35も下降する(図7(e),(f)参照)。そして、上下のエンドシーラ31,32が互いに離反し、筒状フィルム21の先端が分離されてピロー包装体50が製造される(図7(g)参照)。このようにして製造されたピロー包装体50は、図8に示すように、そのエンドシールされた部分である耳部51の先端51a(カッター刃34で切断された部位)までシールされた状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】従来のエンドシール装置を示す図である。
【図2】従来の装置を用いて製造された包装体を示す斜視図である。
【図3】本発明の好適な一実施の形態を示す平面図である。
【図4】エンドシール装置を示す図である。
【図5】エンドシール装置を示す図である。
【図6】(a)は図5のA−A断面図であり、(b)は図5のB−B面図である。
【図7】作用を説明する図である。
【図8】本実施形態のピロー包装機を用いて製造された包装体を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
10 ピロー包装機
11 包装機本体
12 フィルム供給装置
13 被包装物
14 被包装物搬送供給装置
24 筒状フィルム
27 センターシール装置
30 エンドシール装置
31,32 エンドシーラ
31a,32a シール面
31b,32b 貫通孔(凹溝)
34 カッター刃
34a 刃部
34b 押し上げ部
35 受け板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して供給される帯状フィルムを筒状に形成する手段と、
その筒状に形成された筒状フィルムの重合端にシールを施すセンターシール装置と、
そのセンターシール装置の下流側に配置され、前記筒状フィルムの幅方向にシールするとともにカットするエンドシール装置を備えたピロー包装機であって、
前記エンドシール装置は、
前記筒状フィルムを挟んで上下に配置されるエンドシーラと、
そのエンドシーラのシール面を対向させた状態を保持しながらそのエンドシーラを所定の軌跡で移動させる駆動機構とを備え、
前記上下のエンドシーラのシール面の所定位置に幅方向に延びる凹溝を設け、
一方のエンドシーラに設けた凹溝内には上下方向に移動するカッター刃を設け、
他方のエンドシーラに設けた凹溝内には前記筒状フィルムに接触可能に受け板を設けてなり、
前記受け板が接触した筒状フィルムのフィルム部位はシールされ、前記カッター刃はその受け板にてシールされたフィルム部位をカットするように構成したことを特徴とするピロー包装機。
【請求項2】
前記受け板は、熱伝導性が良好な材料から構成され、エンドシーラに内蔵されたヒータにより加熱された当該エンドシーラの熱を利用して筒状フィルムを熱シールするようにしたことを特徴とする請求項1に記載のピロー包装機。
【請求項3】
前記上下のエンドシーラが互いに離反している際に、前記受け板の先端が前記シール面よりも突出していることを特徴とする請求項1または2に記載のピロー包装機。
【請求項4】
前記受け板の先端を前記シール面から突出する方向に付勢する付勢手段を設け、
前記カッター刃の先端の刃部の両側に、その刃部よりも先端側に突出し、前記受け板に接触可能な接触部位を設け、
前記カッター刃は、前記上下のエンドシーラが互いに離反している際には前記刃部並びに前記接触部位はシール面よりも突出せず、前記上下のエンドシーラが互いに接触した際には前記カッター刃が移動し、前記接触部位が前記受け板を前記付勢手段の付勢力に抗して押し戻してその受け板の先端を前記シール面よりも奥側に移動させるとともに、前記刃部が前記筒状フィルムをカットするように構成したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のピロー包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−239165(P2008−239165A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78320(P2007−78320)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】