説明

ピンチバルブ

【課題】ピンチバルブにおいて、小型軽量化を図りつつ、流体の流通状態をより一層迅速に切り換える。
【解決手段】ピンチバルブ10において、ソレノイド部16を構成する可動鉄心38とエンドカバー46との間には、前記可動鉄心38をボディ14に設けられたチューブ12側に向かって付勢するスプリング48が設けられる。このスプリング48の弾発力Fbは、弁体54に対して付勢されるチューブ12の反力Faより小さく設定される。そして、ソレノイド部16の非励磁状態では、チューブ12の反力Faによって弁体54がソレノイド部16側へと押圧され、前記チューブ12の流路24に流体が流通し、前記ソレノイド部16の励磁状態では、スプリング48の弾発力Fbに対して可動鉄心38のチューブ12側への吸引力Fcが加わるため、弁体54がチューブ12の反力Faに抗して押圧して流路24を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通路における流体の流通状態を切換可能なピンチバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、チューブ等で形成された管体の内部を流通する流体の流通状態を切り換えるためにピンチバルブが用いられている。このピンチバルブは、ボディと、該ボディの内部に設けられ内部に流体が流通する管体と、前記管体を挟むことで変形させ流体の流通状態を切り換える挟圧子と、前記挟圧子を前記管体に接近・離間させる方向に付勢するピストンとを備える。そして、例えば、圧力流体の供給作用下にピストンが管体側に向かって押圧され移動することで、前記ピストンと共に挟圧子が移動し、前記管体がボディと挟圧子との間に挟持されて押し潰される。これにより、管体の内部を通じた流体の流通が遮断される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−174352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したようなピンチバルブでは、より一層の小型化を図りたいという要請があると共に、流体の流通状態をより迅速に切り換えたいという要請がある。
【0005】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、小型軽量化を図りつつ、流体の流通状態をより一層迅速に切り換えることが可能なピンチバルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明は、ボディと、
弾性を有し、前記ボディに保持され内部に流体の流通する管体と、
前記ボディに連結され、コイルへの通電作用下に励磁して可動鉄心が固定鉄心側へと吸引されるソレノイド部と、
前記管体に臨んで配置され、前記ボディの軸方向に沿って変位自在な弁体を有し、前記ソレノイド部の励磁作用下に前記弁体を前記管体側へと押圧する弁機構と、
前記可動鉄心を前記固定鉄心側へと付勢する弾発手段と、
を備え、
前記弁体が前記管体側へと変位することで該管体が前記ボディとの間で挟持され前記流体の流通が遮断されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、コイルへの通電作用下に励磁して可動鉄心を固定鉄心側へと吸引するソレノイド部において、該ソレノイド部を構成する可動鉄心を固定鉄心側へと付勢する弾発手段を設けている。そして、ソレノイド部の励磁作用下に可動鉄心を固定鉄心側へと吸引し、該可動鉄心を介して弁体を管体側へと変位させて該管体を押圧する際に、前記可動鉄心には、その吸引力に加えて弾発手段の弾発力が合わさるため、弾性を有する管体の反力に打ち勝って前記管体を変形させて流体の流通を遮断することができる。
【0008】
従って、弾発手段を設けるという簡素な構成で、弁体による管体への押圧力を大きく確保することができるため、例えば、スプリングを設けずに同程度の押圧力を確保しようとした場合と比較し、ソレノイド部を小型軽量化することができる。また、可動鉄心を介して弁体を動作させる際に、弾発手段の弾発力が加わることにより、より一層迅速に前記弁体を管体側に向かって移動させることが可能となる。
【0009】
また、弾発手段の弾発力を調整可能な調整機構を備えるとよい。
【0010】
さらに、弾発手段は、スプリングであるとよい。
【0011】
さらにまた、スプリングは、可動鉄心の端面に設けられた第1凹部と、該端面に臨むように設けられたカバー部材の第2凹部との間に介装するとよい。
【0012】
またさらに、弁機構は、可動鉄心と弁体との間に設けられたシャフトを備え、前記可動鉄心と共に前記シャフトが変位することで前記弁体を押圧して前記管体側へと変位させるとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0014】
すなわち、コイルへの通電作用下に励磁して可動鉄心を固定鉄心側へと吸引するソレノイド部において、該ソレノイド部を構成する可動鉄心を固定鉄心側へと付勢する弾発手段を設けることで、弁体による管体への押圧力を大きく確保することができるため、例えば、スプリングを設けずに同程度の押圧力を確保しようとした場合と比較し、ソレノイド部を小型軽量化することができる。また、可動鉄心を介して弁体を動作させる際に、弾発手段の弾発力が加わることにより、より一層迅速に前記弁体を管体側に向かって移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るピンチバルブを示す全体断面図である。
【図2】図1のピンチバルブにおける弁体が変位してチューブを挟み込んで流路を遮断した状態を示す全体断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るピンチバルブを示す全体断面図である。
【図4】図3のピンチバルブにおける弁体が変位してチューブを挟み込んで流路を遮断した状態を示す全体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るピンチバルブについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0017】
図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係るピンチバルブを示す。
【0018】
このピンチバルブ10は、図1及び図2に示されるように、例えば、水や血液等の流体が流通するチューブ(管体)12の挿通されたボディ14と、前記ボディ14の上部に連結されるソレノイド部16と、前記ソレノイド部16及びボディ14の内部に設けられ、該ソレノイド部16の励磁作用下に軸方向(矢印A、B方向)に沿って変位する弁機構18とを含む。
【0019】
ボディ14は、例えば、樹脂製材料から形成され、一直線上に貫通した貫通孔20を有し、その略中央部には上方(矢印A方向)に向かって突出した挟圧部22が形成される。挟圧部22は、貫通孔20の延在方向に対して直交し、且つ、該貫通孔20の内周面に対して所定高さだけ突出して形成されると共に、前記挟圧部22の先端は半球状に形成される。
【0020】
チューブ12は、例えば、ゴムや樹脂製材料等の弾性を有する材質から管状に形成され、ボディ14の貫通孔20に挿通される。そして、チューブ12は、その外周面が貫通孔20の内周面に密着することでボディ14に対して支持されると共に、その内部には流体の流通する流路24が形成される。
【0021】
また、ボディ14の略中央部には、貫通孔20と連通し、該貫通孔20と直交方向に延在して上方(矢印A方向)に向かって開口した弁孔26が形成される。この弁孔26には、後述する弁機構18の弁体54が変位自在に設けられ、該弁体54が設けられた状態でカバープレート28によって閉塞される。すなわち、チューブ12は、ボディ14において弁孔26に対して直交方向に延在している。
【0022】
ソレノイド部16は、ボディ14の上部に連結される円筒状のハウジング30と、前記ハウジング30の内部に設けられコイル32が巻回されるボビン34と、前記ボビン34の内部に設けられる固定鉄心36と、該固定鉄心36と同軸上で変位自在に設けられる可動鉄心38とを含む。
【0023】
ボビン34は、軸方向(矢印A、B方向)に沿った両端部に半径外方向に突出した一対の鍔部40を備え、前記鍔部40がハウジング30の内周面に係合されると共に、一方の鍔部40と他方の鍔部40との間にコイル32が巻回されている。なお、コイル32は、図示しない電源に対して電気的に接続されている。
【0024】
固定鉄心36は、例えば、電磁ステンレス等の磁性材料から形成され、その下端部がカバープレート28に対して固定されると共に、上端部がボビン34の内部に挿入され固定されている。また、固定鉄心36の中央部には、軸方向(矢印A、B方向)に沿って貫通したシャフト孔42が形成され、後述する弁機構18のシャフト56が挿通され変位自在に支持される。
【0025】
可動鉄心38は、固定鉄心36と同様に、例えば、電磁ステンレス等の磁性材料から形成され、ボビン34の内部に沿って変位自在に設けられる。この可動鉄心38の一端部が固定鉄心36に臨むと共に、該固定鉄心36側(矢印B方向)に向かって先細状となるテーパ面を有している。また、可動鉄心38の一端部には、該可動鉄心38の軸線と直交した平面状で、且つ、シャフト56に当接する当接面44が形成される。一方、可動鉄心38の他端部は、ハウジング30の上部に連結されたエンドカバー46に臨むように配置される。
【0026】
そして、可動鉄心38とエンドカバー46との間には、該可動鉄心38を固定鉄心36側(矢印B方向)に向かって付勢するスプリング(弾発手段)48が設けられている。
【0027】
スプリング48は、例えば、コイルスプリングからなり、可動鉄心38の他端部に設けられた第1凹部50と、エンドカバー46の端面に形成された第2凹部52との間に介装される。この第1及び第2凹部50、52は、互いに対向するように配置され、スプリング48の位置決めを行う位置決め手段として機能しており、前記スプリング48が軸方向(矢印A、B方向)と直交方向に移動してしまうことを規制する。
【0028】
そして、図示しない電源に接続されたコイル32に通電を行うことにより、該コイル32が励磁して可動鉄心38が固定鉄心36側(矢印B方向)へと吸引され所定距離だけ移動する。
【0029】
弁機構18は、ボディ14の弁孔26に設けられる弁体54と、前記弁体54の上端面に当接し固定鉄心36に対して変位自在に支持されるシャフト56と、前記ボディ14に設けられる挟圧部22とを含む。弁体54は、例えば、樹脂製材料から断面矩形状に形成され、チューブ12に臨む下端面には該チューブ12側(矢印B方向)に向かって突出して当接する突起部58が設けられる。この突起部58は、チューブ12を挟んで挟圧部22と対向するように配置されると共に、前記挟圧部22と同様に先端が半球状に形成される。
【0030】
また、弁体54の上部は略中央部が凹状に窪み、その内部に受圧体60が装着される。受圧体60は、例えば、金属製材料から形成され、弁体54の上面と略同一面となるように収納される。そして、受圧体60には、シャフト56の端部が常に当接しており、前記シャフト56から付勢される押圧力を受ける。
【0031】
シャフト56は、一定径で軸方向(矢印A、B方向)に沿って延在した軸体であり、固定鉄心36の内部にシャフト孔42を介して変位自在に挿通される。シャフト56の一端部が弁体54に装着された受圧体60に当接し、他端部が可動鉄心38の当接面44に当接している。そして、可動鉄心38がボディ14側(矢印B方向)に変位することでシャフト56が押圧され、該シャフト56を介して弁体54が下方(矢印B方向)へと押圧され、それに伴って、弁孔26に沿ってチューブ12側(矢印B方向)へと移動して突起部58がチューブ12を押し潰すように変形させる。
【0032】
この際、チューブ12を弁体54によって押圧して変形させる際に、該チューブ12から弁体54へと付与されるチューブ12の反力Faは、可動鉄心38に対して付勢されるスプリング48の弾発力Fbに対して大きく設定されている(Fa>Fb)。換言すれば、スプリング48の弾発力Fbが、チューブ12の反力Faに対して小さくなるように設定されている。
【0033】
このチューブ12の反力Faは、該チューブ12の上方に設けられた弁体54に向かって鉛直上方向(矢印A方向)に付勢され、一方、スプリング48の弾発力Fb、可動鉄心38の吸引力Fcは、前記反力Faと同軸上で、且つ、該反力Faと反対方向となるチューブ12側(矢印B方向)に向かった鉛直下方向に付勢される。
【0034】
なお、スプリング48の弾発力Fbは、該弾発力Fbによって押圧された弁体54がチューブ12を押圧した際に、前記チューブ12の流路24において流体が所定流量で流通可能な流路断面積を確保できる大きさで設定される。
【0035】
本発明の第1の実施の形態に係るピンチバルブ10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、以下の説明では、図1に示されるソレノイド部16が非励磁状態で、可動鉄心38、シャフト56及び弁体54に下方(矢印B方向)への推力が付勢されておらず、チューブ12の内部を流体が流通している連通状態を初期状態として説明する。
【0036】
先ず、このような初期状態において、図示しない電源からソレノイド部16のコイル32に対して通電を行うことにより、該コイル32が励磁され、その励磁作用下によって可動鉄心38が固定鉄心36側(矢印B方向)へと吸引される(図2参照)。この際、可動鉄心38は、ソレノイド部16における固定鉄心36側(矢印B方向)への吸引力Fcに対してスプリング48の弾発力Fbが加えられた状態で移動する。
【0037】
これにより、図2に示されるように、可動鉄心38によってシャフト56がボディ14側(矢印B方向)に向かって押圧されると同時に、弁体54が前記シャフト56によって押圧されてチューブ12側(矢印B方向)に向かって移動する。そして、弁体54の突起部58がチューブ12を挟圧部22側(矢印B方向)へと押圧し、該挟圧部22との間で前記チューブ12を押し潰すことで、該チューブ12の流路24を閉塞する。その結果、チューブ12の流路24を通じた流体の流通が遮断される。
【0038】
すなわち、弁体54に付勢される押圧力は、可動鉄心38に対する吸引力Fcとスプリング48の弾発力Fbとが合算されたものであり、チューブ12の反力Faに対して大きいため(Fa<Fb+Fc)、前記弁体54が前記反力Faに打ち勝って前記チューブ12を変形させることが可能となる。
【0039】
一方、ソレノイド部16への通電を停止することで、コイル32の励磁状態が解除されて可動鉄心38に対する固定鉄心36側(矢印B方向)への吸引力Fcが滅勢される。これにより、弁体54側(矢印A方向)に向かって付勢するチューブ12の反力Faが、該弁体54をチューブ12側(矢印B方向)に向かって付勢するスプリング48の弾発力Fbに対して大きいため(Fa>Fb)、前記弁体54が、チューブ12の反力Faによってソレノイド部16側(矢印A方向)へと押し戻され、それに伴って、シャフト56及び可動鉄心38がスプリング48の弾発力Fbに抗してエンドカバー46側(矢印A方向)へと変位する。
【0040】
その結果、弁体54と挟圧部22とによるチューブ12に対する押圧状態が解除され、前記チューブ12はその弾性作用下に図1に示される初期形状へと復帰し、流路24を通じて流体が流通可能な連通状態(初期状態)となる。
【0041】
以上のように、第1の実施の形態では、ピンチバルブ10において、コイル32への通電作用下に弁体54をチューブ12側(矢印B方向)に向かって付勢するソレノイド部16を有し、前記ソレノイド部16の可動鉄心38を前記弁体54側(矢印B方向)に向かって付勢するスプリング48を設けている。そして、スプリング48の弾発力Fbは、可動鉄心38の吸引力Fcと合わさることで初めてチューブ12の反力Faに対して大きくなるように設定されている(Fa<Fb+Fc)。このような構成とすることにより、弁体54をチューブ12側(矢印B方向)に変位させ該チューブ12を押し潰して流体の流通を遮断する際に、弁体54には、可動鉄心38の吸引力Fcに加えてスプリング48の弾発力Fbが付勢されるため、より一層迅速に流体の流通状態を遮断することができる。
【0042】
換言すれば、スプリング48は、可動鉄心38が吸引力Fcによって弁体54を押圧する際に同一方向に弾発力を付勢することでアシストする機能を有している。
【0043】
また、スプリング48を設けるという簡素な構成で、弁体54によるチューブ12への押圧力を大きく確保することができるため、例えば、前記スプリング48を設けずに同程度の押圧力を確保しようとした場合と比較し、ソレノイド部16の小型軽量化を図ることが可能となる。
【0044】
さらに、チューブ12の反力Faに応じて弾発力Fbの異なるスプリング48へと交換することで、様々な前記チューブ12に対応させることが可能である。
【0045】
次に、第2の実施の形態に係るピンチバルブ100を図3及び図4に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係るピンチバルブ10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0046】
この第2の実施の形態に係るピンチバルブ100では、可動鉄心38に付与されるスプリング48の弾発力Fbを適宜調整可能な調整機構102を備えている点で、第1の実施の形態に係るピンチバルブ10と相違している。
【0047】
このピンチバルブ100は、図3及び図4に示されるように、エンドカバー104の略中央部に第2凹部52と連通したボルト孔106が形成され、前記ボルト孔106には調整機構102を構成する調整ボルト108が螺合されている。
【0048】
この調整ボルト108は、例えば、スタッドボルトからなり、その下端部にはスプリング48の端部が当接し、上端部がエンドカバー104に対して上方に突出している。そして、調整ボルト108は、螺回させることでボルト孔106に沿って進退動作する。また、調整ボルト108の上部には、エンドカバー104に近接するようにロックナット110が螺合されている。
【0049】
そして、ロックナット110を回転させエンドカバー104から離間させる方向に移動させた状態で、調整ボルト108を前記エンドカバー104に対して螺回させる。これにより、調整ボルト108が第2凹部52にスプリング48に対して接近又は離間する方向に進退動作し、前記調整ボルト108の端部によって押圧されるスプリング48の弾発力Fbが変化する。
【0050】
すなわち、調整ボルト108をスプリング48側(矢印B方向)に移動させることで、該スプリング48が可動鉄心38との間で圧縮されるため、前記可動鉄心38、シャフト56及び弁体54をチューブ12側(矢印B方向)に向かって付勢する押圧力が増加する。一方、調整ボルト108をスプリング48から離間する方向(矢印A方向)へと移動させることで、該スプリング48に対する圧縮状態が緩和されるため、前記可動鉄心38、シャフト56及び弁体54をチューブ12側(矢印B方向)に向かって付勢する押圧力が減少する。
【0051】
以上のように、第2の実施の形態では、例えば、弾性の異なる材質から形成された別のチューブ12へと交換し、該チューブ12の反力Faが変化した場合でも、該反力Faに応じて調整機構102でスプリング48から可動鉄心38へと付勢される弾発力Fbを調整することが可能となるため、前記チューブ12の交換に応じてその都度弾発力の異なる別のスプリングへと交換する必要がなく好適である。
【0052】
詳細には、チューブ12の交換によって該チューブ12の反力Faが増加した場合には、調整ボルト108を前記チューブ12側(矢印B方向)に向かって移動させることでスプリング48を圧縮し、該スプリング48の弾発力Fbを増加させればよく、反対に、前記チューブ12の反力Faが減少した場合には、調整ボルト108を前記チューブ12から離間させる方向(矢印A方向)へ移動させることでスプリング48の圧縮を緩和し、該スプリング48の弾発力Fbを減少させればよい。
【0053】
なお、調整機構102によるスプリング48の弾発力Fbの調整は、ソレノイド部16の非励磁状態において、チューブ12の反力Faがスプリング48の弾発力Fbに対して大きくなり(Fa>Fb)、前記ソレノイド部16の励磁状態において、前記チューブ12の反力Faがスプリング48の弾発力Fbと可動鉄心38の吸引力Fcとが合算された押圧力(Fb+Fc)に対して小さくなるように行われる(Fa<Fb+Fc)。
【0054】
なお、本発明に係るピンチバルブは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0055】
10、100…ピンチバルブ 12…チューブ
14…ボディ 16…ソレノイド部
18…弁機構 22…挟圧部
30…ハウジング 32…コイル
36…固定鉄心 38…可動鉄心
46、104…エンドカバー 48…スプリング
54…弁体 56…シャフト
58…突起部 102…調整機構
106…ボルト孔 108…調整ボルト
110…ロックナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディと、
弾性を有し、前記ボディに保持され内部に流体の流通する管体と、
前記ボディに連結され、コイルへの通電作用下に励磁して可動鉄心が固定鉄心側へと吸引されるソレノイド部と、
前記管体に臨んで配置され、前記ボディの軸方向に沿って変位自在な弁体を有し、前記ソレノイド部の励磁作用下に前記弁体を前記管体側へと押圧する弁機構と、
前記可動鉄心を前記固定鉄心側へと付勢する弾発手段と、
を備え、
前記弁体が前記管体側へと変位することで該管体が前記ボディとの間で挟持され前記流体の流通が遮断されることを特徴とするピンチバルブ。
【請求項2】
請求項1記載のピンチバルブにおいて、
前記弾発手段の弾発力を調整可能な調整機構を備えることを特徴とするピンチバルブ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のピンチバルブにおいて、
前記弾発手段は、スプリングであることを特徴とするピンチバルブ。
【請求項4】
請求項3記載のピンチバルブにおいて、
前記スプリングは、前記可動鉄心の端面に設けられた第1凹部と、該端面に臨むように設けられたカバー部材の第2凹部との間に介装されることを特徴とするピンチバルブ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のピンチバルブにおいて、
前記弁機構は、前記可動鉄心と前記弁体との間に設けられたシャフトを備え、前記可動鉄心と共に前記シャフトが変位することで前記弁体が押圧され前記管体側へと変位することを特徴とするピンチバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−104440(P2013−104440A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246411(P2011−246411)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】