説明

ピンホール検査装置

【課題】被検査物の比較的広い面積に光を照射して検査する場合であっても、ピンホールの場所によらず均一な検査感度で精度よくピンホールの有無を検査することができるピンホール検査装置を提供する。
【解決手段】複数の光源それぞれの輝度を互いに独立に複数階調で調整可能な光照射装置40と、光照射装置40の複数の光源によって面状に照射される照射光を検出する光源調整用の光検出装置30と、光源調整用の光検出装置30の検出結果に基づいて、光照射装置40の複数の光源によって面状に照射される照射光の光量が照射面において均一になるように前記複数の光源それぞれの輝度を複数階調で調整する制御部100と、制御手段100によって前記複数の光源の輝度が調整された光照射装置40から面状に照射され被検査物10を透過した漏れ光を検出するピンホール検査用の光検出装置31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種フィルム、金属箔、塗膜、蒸着膜などの薄膜、インクジェットヘッドの振動板などの板状物等の被検査物におけるピンホールの有無を検査するピンホール検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のピンホール検査装置として、被検査物に光を照射し、その被検査物を透過した照射光を検出することにより、被検査物におけるピンホールの有無を光学的に検査するものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、被検査物の膜厚より孔部の径が小さい場合であっても容易に孔部の有無を光学的に検査することができる光学的検査装置が開示されている。この光学的検査装置は、(1)照射光を出射して被検査物に照射する光源と、(2)被検査物を挟んで光源とは反対側に配され、光源から出射された照射光のうち被検査物の孔部を通過した照射光を入射面に入射し、その照射光の入射に伴って蛍光を発生し、その蛍光を検出面から出射する蛍光部材と、(3)蛍光部材の検出面から出射した蛍光を検出する光検出器と、(4)光源と蛍光部材との間に設けられ、光源から出射された照射光を通過させる開口部を有し、その開口部を覆うように被検査物を載置するステージと、(5)ステージと被検査物との隙間を光が通過するのを防止するマスクと、を備えた光学的検査装置が開示されている。この光学的検査装置によれば、もし被検査物に孔部(ピンホール)がある場合には、光源から出射された照射光のうち被検査物の孔部を通過した照射光は、被検査物の孔部を通過して蛍光部材の入射面に入射する。蛍光部材では照射光の入射に伴って蛍光が発生し、その蛍光は、蛍光部材の検出面から出射して光検出器に入射し、光検出器により検出される。すなわち、光検出器による蛍光検出の有無に基づいて、被検査物における孔部の有無が検出される。
【0004】
また、特許文献2には、校正基準物における透過光の検出値を基に照明光の光量および光検出器の感度を制御し、被検査物(被検サンプル)の検査結果を補正することができる高精度で簡易なピンホール検査装置が開示されている。このピンホール検査装置は、(1)被検査物を保持する保持手段と、(2)前記被検査物に照明光を照射する第1の照明手段と、(3)前記第1の照明手段から前記被検査物に存在するピンホールを透過した光を検出する第1の光検出手段と、(4)前記被検査物に存在するピンホール以外からの光を前記第1の光検出手段に入射させない第1の遮光手段と、(5)校正基準物と、(6)前記校正基準物に照明光を照射する第2の照明手段と、(7)前記第2の照明手段から前記校正基準物を透過した光を検出する第2の光検出手段と、(8)前記第2の光検出手段による検出値を基にして装置を校正する校正手段と、を備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の光学的検査装置及び上記特許文献2のピンホール検査装置では、被検査物に照射する照射光の照度ムラを補正する機構を有していないので、被検査物上のピンホール検査感度が均一でなく、被検査物上の場所によってはピンホールの検査精度が悪いという問題がある。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、被検査物の比較的広い面積に光を照射して検査する場合であっても、ピンホールの場所によらず均一な検査感度で精度よくピンホールの有無を検査することができるピンホール検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、被検査物を透過した光を検出することにより、前記被検査物におけるピンホールの有無を検査するピンホール検査装置であって、被検査物に対して面状に光を照射可能に並設された複数の光源を有し、その複数の光源それぞれの輝度を互いに独立に複数階調で調整可能な光照射手段と、前記光照射手段の複数の光源によって面状に照射される照射光を検出する第1の光検出手段と、前記第1の光検出手段の検出結果に基づいて、前記光照射手段の複数の光源によって面状に照射される照射光の光量が照射面において均一になるように前記複数の光源それぞれの輝度を複数階調で調整する輝度調整手段と、前記輝度調整手段によって前記複数の光源の輝度が調整された前記光照射手段から面状に照射され被検査物を透過した漏れ光を検出する第2の光検出手段と、を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のピンホール検査装置において、前記光照射手段の複数の光源それぞれにおける発光部は、前記被検査物におけるピンホールの径よりも小さいことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2のピンホール検査装置において、前記第1の光検出手段は、前記光照射手段による照射光の空間分解能と同等又はより細かい空間分解能で前記照射光を検出することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかのピンホール検査装置において、前記光照射手段以外からの光を前記第1の光検出手段及び前記第2の光検出手段に入射させない遮光手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかのピンホール検査装置において、前記第1の光検出手段で照射光を検出可能な輝度調整用の位置と、前記第2の光検出手段で照射光を検出可能な検査用の位置との間で、前記光照射手段を移動させる移動手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至4のいずれかのピンホール検査装置において、前記被検査物を通過しない照射光を前記第1の光検出手段で検出可能な輝度調整用の位置と、前記被検査物を通過した照射光を前記第2の光検出手段で検出可能な検査用の位置との間で、前記被検査物と前記第1の光検出手段及び前記第2の光検出手段とを移動させる移動手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかのピンホール検査装置において、前記光照射手段と前記被検査物の間に、前記光照射手段から照射される照射光を拡散する光拡散手段を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光照射手段の複数の光源から被検査物に対して面状に光を照射することにより、被検査物の比較的広い面積に光を照射してピンホールの有無を検査することができる。しかも、その検査に先立って、光照射手段の複数の光源それぞれの輝度を以下のように互いに独立に複数階調で調整することができる。まず、第1の光検出手段により、光照射手段の複数の光源によって面状に照射される照射光が検出される。そして、その第1の光検出手段の検出結果に基づいて、光照射手段の複数の光源によって面状に照射される照射光の光量が照射面において均一になるように前記複数の光源それぞれの輝度が複数階調で調整される。このように面状に照射される照射光の光量が照射面において均一になった状態で、光照射手段から面状に照射され被検査物を透過した漏れ光を第2の光検出手段で検出することにより、ピンホールの場所によらず均一な検査感度で精度よくピンホールの有無を検査できる。よって、本発明によれば、被検査物の比較的広い面積に光を照射して検査する場合であっても、ピンホールの場所によらず均一な検査感度で精度よくピンホールの有無を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るピンホール検査装置の要部構成の一例を示す説明図。
【図2】光照射装置と光源調整用の光検出装置との関係を示す模式図。
【図3】(a)〜(c)は照明光の照度ムラ補正の様子を示す説明図。
【図4】本発明の他の実施形態に係るピンホール検査装置の要部構成の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に示す実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、ここでピンホールと述べているのは、被検査物に存在している照明光を透過可能な貫通孔等の孔部である。
【0011】
図1は本発明の一実施形態に係るピンホール検査装置の要部構成の一例を示す説明図である。
図1において、本実施形態のピンホール検査装置は、遮光手段としての遮光部材20と、被検査物10を保持する被検査物保持部22と、第1の光検出手段としての光源調整用の光検出装置30と、第2の光検出装置としてのピンホール検査用の光検出装置31と、光照射手段としての光照射装置40と、光照射装置40を移動させる移動手段としての移動装置50と、制御手段としての制御部100とを備えている。
【0012】
遮光部材20は、被検査物10の検査領域のサイズに相当する開口部20aを有し、光照射装置40以外からの光を光源調整用の光検出装置30及びピンホール検査用の光検出装置31に入射させないように遮光する。
【0013】
光源調整用の光検出装置30は、光照射装置40の複数の光源によって面状に照射される照射光を、各光源からの光を識別可能な空間分解能で検出する。すなわち、光源調整用の光検出装置30は、光照射装置40による照射光の空間分解能と同等又はより細かい空間分解能で照射光を検出することができる。光源調整用の光検出装置30は、例えばCCDカメラ、CMOSカメラ、デジタルカメラで構成される。ピンホール検査用の光検出装置31は、前記複数の光源の輝度が調整された光照射装置40から面状に照射され被検査物10を透過した漏れ光を一括して検出する。ピンホール検査用の光検出装置31は、例えば光電子増倍管又は照度計で構成される。なお、図示の構成例では、光源調整用の光検出装置30及びピンホール検査用の光検出装置31は固定配置されている。
【0014】
光照射装置40は、例えば液晶表示装置で構成され、被検査物10に対して面状に光を照射可能に並設された複数の光源を有する。光照射装置40の複数の光源それぞれの輝度は、輝度可変部42により互いに独立に複数階調で調整することができる。ここで、上記「輝度」は、平面状の光源がある方向に単位立体角あたりに放射する光の光源における単位面積あたりの明るさであり、単位はカンデラ毎平方メートル(cd/m)で表される。
【0015】
光源調整用の光検出装置30を、近年の高解像度化が著しいCCDカメラ、CMOSカメラ、デジタルカメラで構成し、光照射装置40を、近年の高解像度化が著しい液晶表示装置で構成することにより、光照射装置40の複数の光源間のピッチが検査対象のピンホールの孔径より小さくなり、且つ光源調整用の光検出装置30の分解能が光照射装置40と同等以上になる。これにより、被検査物10のピンホールの孔径より小さい分解能での照度ムラの補正が可能となっている。
【0016】
移動装置50は、光源調整用の光検出装置30で照射光を検出可能な輝度調整用の位置(図中の符号40、20の位置)と、ピンホール検査用の光検出装置31で照射光を検出可能な検査用の位置(図中の符号41、21の位置)との間で、光照射装置40と遮光部材20とを一体的に移動させることができる。
【0017】
なお、図示の構成例では、光照射装置40と遮光部材20とを一体的に移動させているが、光照射装置40及び遮光部材20を固定配置しておき、被検査物10と光源調整用の光検出装置30及びピンホール検査用の光検出装置31とを一体的に移動させるように構成してもよい。この場合、被検査物10を通過しない照射光を光源調整用の光検出装置30で検出可能な輝度調整用の位置と、被検査物10を通過した照射光をピンホール検査用の光検出装置31で検出可能な検査用の位置との間で、被検査物10と光検出装置30、31とを移動させる。
【0018】
制御部100は、例えばCPU、ROM、RAMなどで構成され、所定の制御プログラムが読み込まれて実行されることにより、光源調整用の光検出装置30の検出結果に基づいて、光照射装置40の複数の光源によって面状に照射される照射光の光量である照度が照射面において均一になるように複数の光源それぞれの輝度を複数階調で調整する輝度調整手段として機能する。なお、上記「照度」は、平面状の物体に照射された光の明るさを表す物理量であり、単位面積あたりに照射された光束と等しい。単位は、ルクス(lx)またはルーメン毎平方メートル(lm/m)で表される。
【0019】
また、図示の構成例において、制御部100は、第1の検出値記憶部60と第2の検出値記憶部61と演算処理部70とを備える。第1の検出値記憶部60は、光源調整用の光検出装置30で検出された検出値を記憶し、第2の検出値記憶部61はピンホール検査用の光検出装置31で検出された検出値を記憶する。また、演算処理部70は、第1の検出値記憶部60から読み出した光源調整用の光検出装置30で検出された検出値に基づいて、光照射装置40の複数の光源ごとに照度ムラ補正後の光量の輝度を算出し、その算出値を前記輝度可変部42へ送る。輝度可変部42は、演算処理部70から受けた照度ムラ補正後の光量の輝度の算出値に基づいて、光照射装置40の複数の光源それぞれの輝度を制御する。
【0020】
なお、光照射装置40の各光源の光量の輝度の階調、及び、光源調整用の光検出装置30の検出値の輝度の階調は、一般的には256階調である。
【0021】
図2は、光照射装置40と光源調整用の光検出装置30との関係を、照明方向を縦方向下向きとした場合に横方向から見た模式図である。図2において、光照射装置40は、複数の光源43aの集合体43で構成され、光源調整用の光検出装置30は、複数の受光部32aの集合体32で構成されている。光源調整用の光検出装置30は、CCDカメラ等で構成されるが、CCDカメラ等は複数の画素がマトリックス状に配列されているので、受光部の集合体32は複数の画素に相当し、単体の受光部32aは1画素に相当する。そして、単体の受光部32aは、1画素毎に受光した光量の複数階調の輝度を検出する。また、光源についても、光照射装置40に液晶表示装置を使用するため、単体の光源43aは1画素に相当すると見なすことができる。
【0022】
ここで、光照射装置40の空間分解能と光源調整用の光検出装置30の空間分解能が等しい場合は、単体の光源43aの光量の輝度を光源調整用の光検出装置30で最も近接した1画素で検出する。しかし、光照射装置40の空間分解能よりも光源調整用の光検出装置30の空間分解能が高い場合は、単体の光源43aに対して最も近接した1画素とその周囲の複数の画素で光量の輝度を検出し、それらの検出値を平均化して算出し、その算出した値を光源43aの光量の輝度とすることで、より細かい分解能での光源43aの光量の輝度を1光源毎に得ることができる。また、光源調整用の光検出装置30は、複数の光源43aのすべてについて光量の輝度を検出する必要があるので、複数の光源43aの集合体のサイズと同等又はそれ以上の範囲での輝度の検出が必要である。
【0023】
図3は、照明光の照度ムラ補正の様子を示す図である。図3(a)は、照度ムラ補正前の照度分布を示す図、図3(b)は、照明手段の光量について画素単位での輝度の階調分布を示す図、図3(c)は、照度ムラ補正後の照度分布を示す図である。
光照射装置40にて単体の光源を画素単位に相当するとして、画素のある直線上の光量を全画素で均一な輝度にした場合、その照明光の照度分布が、図3(a)で表すように中央部では所望の照度より高く、両端で低いとする。そのような照度分布の場合、照明光量のある直線上の1画素毎の輝度を、照度分布との増減を逆にして、中央部で図3(b)で表すように中央部では輝度を下げ、両端では輝度を上げる。そのように照明光量の輝度を変えた場合、照度分布が図3(a)から図3(c)に変化してほぼ均一となり所望の照度がある直線上の全画素内で得られる。
この場合、照明光量のある直線上はマトリックス状の画素のX方向又はY方向の任意の一列となるが、もしX、Y方向を合成した全画素についての照度ムラ補正を行う場合は、マトリックス状の全画素内の平均照度が所望の照度と最も差が小さくなるように、1画素毎に照明光量の輝度を調整する。
ただし、以上の図3について、本実施形態のピンホール検査装置における照度ムラ補正では、照度分布ではなく、光源調整用の光検出装置30で得られた照明光量の画素毎の輝度を用いて照度分布の代替とする。
また、図3は、光照射装置40よりも光源調整用の光検出装置30の方が画素サイズ及び画素数の分解能が高い場合を例示しているが、両者の分解能が等しい場合は図3(b)の画素単位での輝度の階調分布はより滑らかになる。また、光照射装置40及び光源調整用の光検出装置30の分解能が等しい場合は、照度ムラ補正の処理が簡易化されるので、処理時間が短縮される利点がある。
【0024】
上記構成のピンホール検査装置におけるピンホール検査の手順は、例えば以下のとおりである。
(A1)被検査物10を被検査物保持部22にセットする。
(A2)光照射装置40及びピンホール検査用の光検出装置31を被検査物10の位置に移動する。
(A3)被検査物10を遮光部材21で遮光する。
(A4)光照射装置40の全光源を点灯する。
(A5)遮光部材21の開口部21aを通して、光照射装置40からの照明光を被検査物10に照射する。
(A6)光照射装置40からの照明光について、被検査物10を透過した光をピンホール検査用の光検出装置31で検出する。
(A7)ピンホール検査用の光検出装置31で検出した被検査物10の透過光について、その検出値を記憶する。
(A8)上記(A7)の検出値が良否判定規格値未満ならば被検査物10はピンホール無しで良品と判定し、良否判定規格値以上ならば被検査物10はピンホール有りで不良品と判定する。なお、良否判定規格値は予め決められた固定値とする。
(A9)光照射装置40の全光源を消灯する。
(A10)遮光部材21による被検査物10の遮光を解除する。
(A11)光照射装置40及びピンホール検査用の光検出装置31を、被検査物10の位置(検査用の位置)から、被検査物10を被検査物保持部22から取り外すことが可能な位置に移動する。
(A12)被検査物10を被検査物保持部22から取り外す。
【0025】
なお、被検査物10上に検査箇所が複数有る場合は、上記(A2)〜(A10)を繰り返し、被検査物10上の全検査箇所の検査が完了したら、上記(A11)及び(A12)を行う。
【0026】
また、上記構成のピンホール検査装置における光照射装置40の照明光の照度ムラ補正は、被検査物10毎に、被検査物10を被検査物保持部22にセットする前に行う。
【0027】
上記構成のピンホール検査装置における光照射装置40の照明光の照度ムラ補正の手順は、例えば以下のとおりである。
(B1)光照射装置40を、光源調整用の光検出装置30の位置(輝度調整用の位置)に移動する。
(B2)光照射装置40の全光源を点灯する。ただし、この際の各光源の光量は均一となるように設定する。
(B3)光照射装置40の照明光を、光源調整用の光検出装置30で検出する。
(B4)光源調整用の光検出装置30で検出した検出値を記憶する。
(B5)上記(B4)の検出値より照度ムラを算出する。
(B6)全画素の照度ムラが規格内である場合は、光照射装置40の全光源を消灯し、光照射装置40をピンホール検査用の光検出装置31の位置(検査用の位置)に移動する。
(B7)照度ムラが規格外である画素がある場合は、上記(B4)の検出値より照度ムラ補正を行い、全画素の照度ムラが規格内に入るまで上記(B3)〜(B5)を繰り返す。
【0028】
また、上記構成のピンホール検査装置における濃度ムラ補正の具体的な方法は、例えば以下のとおりである。
(C1)光照射装置40の照明光を、光源調整用の光検出装置30で受光する。
(C2)光源調整用の光検出装置30の検出範囲について、輝度平均値を算出し、且つマトリックス状に輝度値を算出する。
(C3)光源調整用の光検出装置30の1画素毎に、輝度平均値とその画素の輝度値の差Aを求める。
(C4)光源調整用の光検出装置30に入射する光について、上記差Aが打ち消されるように光照射装置40の光量を各光源毎に調整する。
【0029】
なお、光照射装置40における片方向(X軸方向又はY軸方向)の光源の数が、光源調整用の光検出装置30の片方向の画素数よりも少ない場合は、光検出装置30の検出範囲全体での上記差Aの合計値が最も少なくなるように各光源の光量を調整する。
また、上記照度ムラ補正完了後に行うピンホール検査では、全画素の照度ムラが規格内となった時点の光照射装置40の各光源毎の光量設定値を使用する。
【0030】
図4は、本発明の他の実施形態に係るピンホール検査装置の要部構成の一例を示す説明図である。図1と同様な構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
図4のピンホール検査装置では、光照射装置40と被検査物10の間に、光照射装置40から照射される照射光を拡散する光拡散手段としての光拡散板80を備えることにより、光照射装置40の1画素毎の輝度の差をより小さくし、より高精度な照度ムラ補正を行うことができる。
【0031】
以上、本実施形態によれば、被検査物10を透過した光を検出することにより被検査物10におけるピンホールの有無を検査するピンホール検査装置において、被検査物10に対して面状に光を照射可能に並設された複数の光源を有し、その複数の光源それぞれの輝度を互いに独立に複数階調で調整可能な光照射手段としての光照射装置40と、光照射装置40の複数の光源によって面状に照射される照射光を検出する第1の光検出手段としての光源調整用の光検出装置30と、光源調整用の光検出装置30の検出結果に基づいて、光照射装置40の複数の光源によって面状に照射される照射光の光量が照射面において均一になるように前記複数の光源それぞれの輝度を複数階調で調整する輝度調整手段としての制御部100と、制御手段100によって前記複数の光源の輝度が調整された光照射装置40から面状に照射され被検査物10を透過した漏れ光を検出する第2の光検出手段としてのピンホール検査用の光検出装置31と、を備える。
このピンホール検査装置では、光照射装置40の複数の光源から被検査物10に対して面状に光を照射することにより、被検査物10の比較的広い面積に光を照射してピンホールの有無を検査することができる。しかも、その検査に先立って、光照射装置40の複数の光源それぞれの輝度を以下のように互いに独立に複数階調で調整することができる。まず、光源調整用の光検出装置30により、光照射装置40の複数の光源によって面状に照射される照射光が検出される。そして、その光源調整用の光検出装置30の検出結果に基づいて、光照射装置40の複数の光源によって面状に照射される照射光の光量が照射面において均一になるように前記複数の光源それぞれの輝度が複数階調で調整される。このように面状に照射される照射光の光量が照射面において均一になった状態で、光照射装置40から面状に照射され被検査物10を透過した漏れ光をピンホール検査用の光検出装置31で検出することにより、ピンホールの場所によらず均一な検査感度で精度よくピンホールの有無を検査できる。よって、被検査物10の比較的広い面積に光を照射して検査する場合であっても、ピンホールの場所によらず均一な検査感度で精度よくピンホールの有無を検査することができる。
また、本実施形態によれば、光照射装置40の複数の光源それぞれにおける発光部は、被検査物10におけるピンホールの径よりも小さいことにより、被検査物10のピンホールの孔径より小さい分解能での照度ムラの補正が可能となる。
また、本実施形態によれば、光源調整用の光検出装置30は、光照射装置40による照射光の空間分解能と同等又はより細かい空間分解能で前記照射光を検出することにより、被検査物10のピンホールの孔径より小さい分解能での照度ムラの補正が可能となる。
また、本実施形態によれば、光照射装置40以外からの光を光源調整用の光検出装置30及びピンホール検査用の光検出装置31に入射させない遮光手段としての遮光部材21を備えることにより、光検出装置30、31による不要な光の検出を防止することができ、ピンホールの検査精度をよい高めることができる。
また、本実施形態によれば、光源調整用の光検出装置30で照射光を検出可能な輝度調整用の位置と、ピンホール検査用の光検出装置31で照射光を検出可能な検査用の位置との間で、光照射装置40を移動させる移動手段としての移動装置50を備えることにより、光検出装置30、31を固定配置した状態で、上記光照射装置40の照度ムラの補正及びピンホール検査が可能になる。
また、本実施形態によれば、被検査物10を通過しない照射光を光源調整用の光検出装置30で検出可能な輝度調整用の位置と、被検査物10を通過した照射光をピンホール検査用の光検出装置31で検出可能な検査用の位置との間で、被検査物10と光検出装置30、31とを移動させる移動手段を備えることにより、光照射装置40を固定配置した状態で、上記光照射装置40の照度ムラの補正及びピンホール検査が可能になる。
また、本実施形態によれば、光照射装置40と被検査物10の間に、光照射装置40から照射される照射光を拡散する光拡散手段としての光拡散板80を備えることにより、光照射装置40の1画素毎の輝度の差をより小さくし、より高精度な照度ムラ補正を行うことができる。
【符号の説明】
【0032】
10 被検査物
20(21) 遮光部材
20a(21a) 開口
22 被検査物保持部
30 光源調整用の光検出装置
31 ピンホール検査用の光検出装置
40(41) 光照射装置
50 移動装置
100 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開平11−326239号公報
【特許文献2】特開2004−191324号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を透過した光を検出することにより、前記被検査物におけるピンホールの有無を検査するピンホール検査装置であって、
被検査物に対して面状に光を照射可能に並設された複数の光源を有し、その複数の光源それぞれの輝度を互いに独立に複数階調で調整可能な光照射手段と、
前記光照射手段の複数の光源によって面状に照射される照射光を検出する第1の光検出手段と、
前記第1の光検出手段の検出結果に基づいて、前記光照射手段の複数の光源によって面状に照射される照射光の光量が照射面において均一になるように前記複数の光源それぞれの輝度を複数階調で調整する輝度調整手段と、
前記輝度調整手段によって前記複数の光源の輝度が調整された前記光照射手段から面状に照射され被検査物を透過した漏れ光を検出する第2の光検出手段と、
を備えたことを特徴とするピンホール検査装置。
【請求項2】
請求項1のピンホール検査装置において、
前記光照射手段の複数の光源それぞれにおける発光部は、前記被検査物におけるピンホールの径よりも小さいことを特徴とするピンホール検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2のピンホール検査装置において、
前記第1の光検出手段は、前記光照射手段による照射光の空間分解能と同等又はより細かい空間分解能で前記照射光を検出することを特徴とするピンホール検査装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかのピンホール検査装置において、
前記光照射手段以外からの光を前記第1の光検出手段及び前記第2の光検出手段に入射させない遮光手段を備えたことを特徴とするピンホール検査装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかのピンホール検査装置において、
前記第1の光検出手段で照射光を検出可能な輝度調整用の位置と、前記第2の光検出手段で照射光を検出可能な検査用の位置との間で、前記光照射手段を移動させる移動手段を備えたことを特徴とするピンホール検査装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかのピンホール検査装置において、
前記被検査物を通過しない照射光を前記第1の光検出手段で検出可能な輝度調整用の位置と、前記被検査物を通過した照射光を前記第2の光検出手段で検出可能な検査用の位置との間で、前記被検査物と前記第1の光検出手段及び前記第2の光検出手段とを移動させる移動手段を備えたことを特徴とするピンホール検査装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかのピンホール検査装置において、
前記光照射手段と前記被検査物の間に、前記光照射手段から照射される照射光を拡散する光拡散手段を備えたことを特徴とするピンホール検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−173162(P2012−173162A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36036(P2011−36036)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】