説明

ファイバセンサ

【課題】受光量の変動要因を簡易な構成によって判別できるファイバセンサを提供すること。
【解決手段】ファイバセンサ1は、モニタ用受光素子14の受光量P1と第1基準受光量Pth1との比較を行う第1比較演算手段31と、検出手段30による被検出物Wの非検出時における受光素子18の受光量P2と第2基準受光量Pth2との比較を行う第2比較演算手段32とを備える。ファイバセンサ1のファイバ異常判別手段33は、モニタ用受光素子14の受光量P1が第1基準受光量Pth1以上であり、受光素子18の受光量P2が第2基準受光量Pth2を下回った場合、投光用ファイバ21および受光用ファイバ22のうちの少なくとも1つに関連するファイバ異常を判別する。報知手段41は、ファイバ異常判別手段33の判別結果を外部へ報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバセンサに関し、詳しくは、その受光量の変動要因の判別に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファイバセンサを長時間使用していると、ファイバの先端の汚れ等に起因して、ファイバでの光量減衰が大きくなり、それに伴って受光素子の受光量が変動し、被検出物の検出が不安定となる。そのため、例えば特許文献1においては、受光素子の受光量を一定とするように投光素子の投光量を制御する技術が開示されている。
【0003】
また、ファイバの劣化に起因する投光量の変動を補償するために、例えば特許文献2においては、ファイバの劣化に起因する投光量の変動を測定するための、専用の測定用ファイバを設ける例が示されている。そこでは、測定用ファイバを介した光をモニタ用受光素子によって受光して、投光量を所定のレベルに制御するようにしている。
【特許文献1】特開平2−285713号公報
【特許文献2】特開平1−283725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、単に受光素子の受光量を監視して投光量を制御しているため、受光量の低下(変動)がファイバの要因によるものか投光素子等の他の要因によるものかを好適に特定できないという不具合を有する。
【0005】
また、上記特許文献2の技術では、受光量の変動要因がファイバであることを特定することはできる。しかしながら、測定用ファイバが投光用ファイバとは別途に設けられるため、必ずしも投光用ファイバの劣化度合いを正確に反映した結果が得られない虞があった。また、製造コストおよび配置空間が増加するという不具合があった。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、受光量の変動要因を簡易な構成によって判別できるファイバセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、第1の発明は、投光素子と、前記投光素子からの光を直接受光可能に配置されるモニタ用受光素子と、前記投光素子からの光を導き、被検出物に向けて前記光を投光する投光用ファイバと、前記投光素子からの光を受け取る受光用ファイバと、前記受光用ファイバからの光を受光する受光素子と、前記受光素子の受光量に基づいて前記被検出物を検出する検出手段とを備えたファイバセンサにおいて、予め、第1基準受光量と、第2基準受光量とを記憶する記憶手段と、前記モニタ用受光素子の受光量と前記第1基準受光量との比較を行う第1比較演算手段と、前記検出手段による前記被検出物の非検出時における前記受光素子の受光量と前記第2基準受光量との比較を行う第2比較演算手段と、前記第1比較演算手段において、前記モニタ用受光素子の受光量が前記第1基準受光量以上であり、前記第2比較演算手段において、前記受光素子の受光量が前記第2基準受光量を下回った場合、前記投光用ファイバおよび受光用ファイバのうちの少なくとも1つに関連するファイバ異常を判別するファイバ異常判別手段と、前記ファイバ異常判別手段の判別結果を外部へ報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本構成によれば、受光量の変動が、少なくともファイバの異常に起因することを判別でき、作業者にそれを早急に知らせることができる。そのため、部品の交換作用等の工程数が削減できるとともに、早急に対処することができる。また、既存のファイバセンサの構成をほとんど利用できるため、構成が複雑化することもない。そのため、ファイバの異常を、簡易な構成によって判別することができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明のファイバセンサにおいて、前記第1比較演算手段において、前記モニタ用受光素子の受光量が前記第1基準受光量を下回った場合に前記投光素子の異常を判別する投光異常判別手段をさらに備え、前記報知手段は、前記投光異常判別手段の判別結果を、前記ファイバ異常判別手段の判別結果とは個別に外部へ報知することを特徴とする。
本構成によれば、さらに、投光素子の異常を判別でき、作業者にそれを早急に知らせることができる。また、投光素子の交換により正常の受光量が得られる場合、受光量の変動が、投光素子の異常に起因することも判別できる。
【0010】
第3の発明は、第1または2の発明のファイバセンサにおいて、前記第2基準受光量を設定するための、作業者によって操作される操作手段をさらに備え、前記第2基準受光量は、前記操作手段の操作に基づいて設定されることを特徴とする。
本構成によれば、第2基準受光量を、必要に応じて作業者によって適宜設定することができる。
【0011】
第4の発明は、第1〜第3の発明のうちのいずれか1つのファイバセンサにおいて、前記受光用ファイバは前記被検出物からの反射光を受光可能に配置されると共に、前記投光用ファイバから出射される光の少なくとも一部を前記受光用ファイバへ反射する反射手段をさらに備えることを特徴とする。
本構成によれば、ファイバセンサがいわゆる反射型のファイバセンサである場合においても、上記各発明と同様な効果が得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のファイバセンサによれば、受光量変動の要因、特にファイバの異常を簡易な構成によって判別できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明に係るファイバセンサの実施形態1について図1を参照して説明する。
1.ファイバセンサの構成
実施形態1のファイバセンサ1は、図1に示すように、大きくはアンプ部10とファイバ部20から構成される。ファイバセンサ1は、光の投光量に対する受光量の大きさが、ワークW(本発明の「被検出物」に相当)によって変化を受けることに基づき、ワークWの有無や状態を検出する、いわゆる透過型のファイバセンサである。
【0014】
アンプ部10は、投光回路11、投光素子12、モニタ受光回路13、モニタ用受光素子14、受光素子18、受光回路19、検出回路30、報知装置41および操作ボタン(操作手段の一例)42等を含む。また、アンプ部10は、第1および第2比較演算回路(31、32)、異常判別回路(本発明におけるファイバ異常判別手段および投光異常判別手段に相当する)33、投光量制御回路34、およびメモリ37等を含む。
【0015】
一方、ファイバ部20は、投光用ファイバ21と受光用ファイバ22とを含む。ファイバセンサ1が所定の場所に設置される際、受光用ファイバ22は、その受光口(図示せず)が投光用ファイバ21の投光口(図示せず)と対向するように配置される。投光用ファイバ21は、投光素子12からの光を導き、受光用ファイバ22に向けてその光を出射する。投光用ファイバ21と受光用ファイバ22との間にワークWが存在する場合には、投光素子12からの投光量はワークWによって変化を受ける。一方、ワークWが存在しない場合(非検出時)には、受光素子18は、投光素子12からの光を直接投光用ファイバ21および受光用ファイバ22を介して受け取る。
【0016】
以下、アンプ部10を詳述する。まず、投光量制御回路34は、投光素子12からの投光量P1を制御する。実施形態1において、投光量制御回路34は、例えば、メモリ37に記憶された所定の投光量に係るデータに基づいて、その所定の投光量に応じた投光素子12の駆動信号を生成し投光回路11に供給する。投光回路11は受けた駆動信号を所定の大きさに増幅し、増幅された駆動信号を投光素子12に供給する。投光素子12は、駆動信号に従って、投光用ファイバ21に所定の投光量の光を投光する。
【0017】
モニタ用受光素子14は、投光素子12からの光、詳しくは、その一部の光を直接受光可能に配置されている。モニタ用受光素子14は受光量P1に応じたモニタ受光信号を生成し、モニタ受光回路13に供給する。モニタ受光信号はモニタ受光回路13によって所定の大きさに増幅され、第1比較演算回路31に供給される。
【0018】
また、投光素子12から投光された光は、投光用ファイバ21および受光用ファイバ22を介して、受光素子18によって受光され、受光量P2に応じた受光信号に変換される。受光信号は受光回路19によって所定の大きさに増幅され、第2比較演算回路32に供給される。
【0019】
メモリ37は、予め、第1基準受光量Pth1と、第2基準受光量Pth2とを記憶する。ここで、第1基準受光量Pth1は、例えば、投光素子12の正常動作を保障する、モニタ用受光素子14の受光量P1の基準受光量として、事前に試験等において決定され、例えば、ファイバセンサ1の製造時にメモリ37に記憶される。なお、第1基準受光量Pth1の決定およびメモリ37への記憶はこれに限られず、例えば、ファイバセンサ1の使用初期段階等において、作業者によって必要に応じて適宜決定され、メモリ37、例えば不揮発性RAMへ記憶されるようにしてもよい。
【0020】
一方、第2基準受光量Pth2は、ファイバの機能を保障する、受光素子18の受光量P2の基準受光量として、適宜決定され、記憶される。第2基準受光量Pth2は、好ましくは、ファイバセンサ1の使用の初期段階において、検出回路30によるワークWの非検出時における受光素子18の受光量P2に基づいて決定される。
【0021】
また、ここで、好ましくは、第2基準受光量Pth2を設定するための、作業者によって操作される操作手段、例えば操作ボタン42が設けられ、第2基準受光量Pth2は、作業者による操作ボタン42の操作に基づいて設定され、メモリ37に記憶される。そのため、第2基準受光量Pth2の設定が、必要に応じて、作業者によって適宜設定することができる。なお、第2基準受光量Pth2の決定およびメモリ37への記憶はこれに限られず、例えば、事前に試験等において決定され、ファイバセンサ1の製造時にメモリ37、例えば不揮発性RAMに記憶されるようにし、その後においても、作業者によって適宜設定変更されるようにしてもよい。要は、ファイバ等の異常判別を行う以前に予めメモリ37に記憶さていればよい。
【0022】
第1比較演算回路31は、モニタ用受光素子14の受光量P1と第1基準受光量Pth1との比較を行う。一方、第2比較演算回路32は、検出回路30によるワークWの非検出時における受光素子18の受光量P2と第2基準受光量Pth2との比較を行う。
【0023】
異常判別回路33は、第1比較演算回路31において、モニタ用受光素子14の受光量P1が第1基準受光量Pth1以上であり、第2比較演算回路32において、受光素子18の受光量P2が第2基準受光量Pth2を下回った場合、投光用ファイバ21および受光用ファイバ22のうちの少なくとも1つに関連するファイバ異常を判別する。また、異常判別回路33は、第1比較演算回路31において、モニタ用受光素子14の受光量P1が第1基準受光量Pth1を下回った場合に投光素子12の異常を判別する。
【0024】
報知装置(例えば、ブサー、警告灯等)41は、異常判別回路33の判別結果を外部へ報知する。その際、報知装置41は、ファイバ異常と投光素子12の異常とを個別に報知する。
【0025】
また、検出回路30は、受光素子18の受光量P2に基づいてワークWを検出する。すなわち、ワークWの存在によって受光素子12の受光量P2が所定値から減少するため、その受光量P2の減少から、ワークWを検出する。検出回路30は、ワークWを検出した場合には、検出信号生成し、例えば、表示装置(図示せず)に供給し、ワークWの検出をユーザに知らせる。また、検出回路30は、作業者による操作ボタン42の操作によって、ワークWの非検出時における受光素子18の受光量P2に基づいて、第2基準受光量Pth2を設定するための設定信号を生成する。設定信号はメモリ37に供給され、第2基準受光量Pth2はメモリ37に記憶される。
【0026】
2.受光量の変動要因の判別処理
次に、上記のように構成れたファイバセンサ1における、受光量P2の変動要因の判別に係る作用を説明する。なお、実施形態1における受光量P2の変動要因の判別に係る処理は、アンプ部10の検出回路30によるワークWの非検出時(以下、単に「ワーク非検出時」という)に行われる。すなわち、以下に示す処理は、ファイバセンサ1によるワークWの検出作業中には行われず、好ましくは、ワークWの検出作業の開始前に行われる。
【0027】
まず、ワーク非検出時に、操作ボタン42を介した操作指令に従って、投光素子12から所定の投光量の光が投光される。このときの所定の投光量は、第1および第2基準受光量を決定する際の投光量と等しいものとする。
【0028】
すると、上記したように、第1比較演算回路31は、モニタ用受光素子14の受光量P1と第1基準受光量Pth1とを比較し、第1比較信号を生成する。第1比較信号は異常判別回路33に供給される。また。第2比較演算回路32は、受光素子18の受光量P2と第2基準受光量Pth2とを比較し、第2比較信号を生成する。第2比較信号は異常判別手回路33に供給される。
【0029】
そして、異常判別回路33は、第1比較信号および第2比較信号に基づいて、モニタ用受光素子14の受光量P1が第1基準受光量Pth1以上であり、受光素子18の受光量P2が第2基準受光量Pth2を下回ったと判定した場合、投光用ファイバ21および受光用ファイバ22のうちの少なくとも1つにファイバ異常が発生したと判別する。すなわち、この場合、モニタ用受光素子14の受光量P1は第1基準受光量Pth1以上であるため、投光素子12は正常であると判定される。そのため、この場合、受光素子18の受光量P2が第2基準受光量Pth2を下回った要因(受光量の変動要因)が、ファイバの異常によるものであることが判別される。ここで、ファイバの異常(受光量の変動)の要因としては、例えば、ファイバの折れ、ファイバの先端の汚れ、およびファイバの温度特性等が考えられる。
【0030】
さらに、異常判別回路33は、第1比較信号に基づいて、モニタ用受光素子14の受光量P1が第1基準受光量Pth1を下回ったと判定した場合、投光素子12の異常を判別する。このとき、投光素子12の交換によって正常の受光量が得られる場合は、受光量の変動が、投光素子12の異常に起因することも判別できる。なお、投光素子12の交換によっても正常の受光量が得られない場合には、さらにファイバの異常も想定される。ここで、投光素子12の異常(投光量の変動および受光量の変動)の要因としては、例えば、投光素子12の劣化、投光素子12の温度特性等が考えられる。
【0031】
そして、異常判別手段33は、ファイバ異常を判別した場合には、判別結果情報を有するファイバ異常判別信号を生成し、ファイバ異常判別信号を報知装置41に供給する。また、異常判別手段33は、投光素子12の異常を判別した場合には、判別結果情報を有する投光素子異常判別信号を生成し、投光素子異常判別信号を報知装置41に供給する。すると、報知装置41は、各異常判別信号にしたがって判別結果を外部へ個別に報知する。そのため、ユーザは、ファイバ異常と投光素子12の異常とを判別することができ、早期にメンテナンス時期を知ることができる。
【0032】
3.実施形態1の効果
受光量の変動が、投光素子12の異常に起因するかファイバ異常に起因かを判別できるため、部品の交換作用等の工程数が削減できる。また、既存のファイバセンサの構成をほとんど利用できるため、構成が複雑化することもない。そのため、受光量の変動の要因を、簡易な構成によって判別することができる。
【0033】
<実施形態2>
ファイバセンサの実施形態2について図2を参照して説明する。なお、実施形態1と同一の構成には、同一の符号を付し、その説明を省略し、実施形態1との相違点を主に説明する。また、実施形態1と同様に、受光量の変動要因の判別処理は、ワーク非検出時に行われる。
図2に示されるように、実施形態2のファイバセンサ1Aは、さらに、第1フィードバック回路35と第2フィードバック回路36とを備える。
【0034】
また、実施形態2においては、第1比較演算回路31は、モニタ用受光素子14の受光量P1と第1基準受光量Pth1との差ΔP1を算出し、差ΔP1(詳しくは、差ΔP1に関する信号)を第1フィードバック回路35に供給する。また、第2比較演算回路32は、検出回路30によるワークWの非検出時における受光素子18の受光量P2と第2基準受光量Pth2との差ΔP2を算出し、差ΔP2(詳しくは、差ΔP2に関する信号)を第2フィードバック回路36に供給する。
【0035】
第1フィードバック回路35は、第1比較演算回路31の差ΔP1に基づいて投光量制御回路34に投光量を制御させる。また、第2フィードバック回路36は、第2比較演算回路32の差ΔP2に基づいて投光量制御回路34に投光量を制御させる。なお、ここで投光量(フィードバック量)の制御は、投光量を増加および減少させる両方の制御を含む。
【0036】
そして、実施形態2においては、異常判別回路33は、第1フィードバック回路35による投光量の制御量が第1の所定量以下でかつ、第2フィードバック回路36による投光量の制御量が第2の所定量以上の場合に、投光用ファイバ21および受光用ファイバ22のうちの少なくとも1つに関連するファイバ異常を判別する。ここで、第1の所定量は、所定の投光量を得るための、投光素子12の正常動作範囲におけるフィードバック量であり、事前に試験等において決定される。また、第2の所定量は、所定の受光量を得るための、少なくとも、投光素子12の正常動作範囲におけるフィードバック量であり、事前に試験等において決定される。
【0037】
実施形態2においては、さらに、第2フィードバック回路36は、投光量制御回路34に対する投光量制御を行った際に、投光制御量(フィードバック量)、例えば第2受光量差ΔP2に応じて第1基準受光量Pth1を補正する。この補正は以下の理由による。
【0038】
すなわち、ファイバの劣化等に起因して受光素子18の受光量P2が減少した場合、投光素子12の投光量を増加させないと、受光素子18は所定の受光量を得られない。そのため、第2フィードバック回路36は投光素子12の投光量を増加させるように投光量制御回路34を制御する。しかしながら、投光素子12の投光量の増加に伴ってモニタ用受光素子14の受光量P1が第1基準受光量Pth1を超えると、第1フィードバック回路35は投光素子12の投光量を減少させるように投光量制御回路34を制御することとなる。その結果、受光素子18は所定の受光量を得られなくなる。
【0039】
そのため、第2フィードバック回路36は、例えば、投光量制御回路34に対して投光量を増加されるような投光量制御を行った際に、その増加量(投光制御量)に応じて第1基準受光量Pth1を、増加するように補正する。すると、投光素子12の投光量が増加された場合であっても、モニタ用受光素子14の受光量P1が第1基準受光量Pth1を超えることがなく、受光素子18は所定の受光量を得ることができる。
【0040】
4.実施形態2の効果
所定の受光量を得るために投光量をフィードバック制御を行う場合であっても、受光量の変動要因、特にファイバ異常を判別できるため、部品の交換作用等の工程数が削減できる。また、既存のファイバセンサの構成をほとんど利用できるため、構成が複雑化することもない。そのため、、受光量の変動要因、特にファイバ異常を、簡易な構成によって判別することができる。
【0041】
また、第2フィードバック回路36は、投光量制御回路34に対する投光量制御を行った際に、投光制御量(フィードバック量)、例えば第2受光量差ΔP2に応じて第1基準受光量Pth1を補正する。そのため、投光量をフィードバック制御のためにモニタ用受光素子14が設けられる場合において、ファイバの劣化に起因して受光素子18の受光量が減少する場合であっても、受光素子18は所定の受光量を好適に得られる。すなわち、ファイバが劣化して受光素子18の受光量に変動が生じた場合においても、その受光量の変動の許容範囲において、好適にワークWの検出作業を行うことができる。
【0042】
<実施形態3>
ファイバセンサの実施形態3について図3を参照して説明する。なお、実施形態2と同一の構成には、同一の符号を付し、その説明を省略し、実施形態2との相違点を主に説明する。また、実施形態2と同様に、受光量の変動要因の判別処理は、ワーク非検出時に行われる。
【0043】
実施形態3のファイバセンサ1Bは、図3に示すように、受光用ファイバ22AはワークWからの反射光を受光可能に配置される。すなわち、ファイバセンサ1Bは、ワークWに投光した光のワークWからの反射光の受光量P2に基づき、ワークWの有無や状態を検出する、いわゆる反射型のファイバセンサである。
【0044】
ファイバセンサ1Bは、投光用ファイバ21から出射される光の少なくとも一部を受光用ファイバ22Aへ反射するファイバ反射器(反射手段の一例)24をさらに備える。ここで、ファイバ反射器24は、投光用ファイバ21および受光用ファイバ22AのワークWの先端部に着脱可能に取り付けられる。また、ファイバ反射器24は、ワーク非検出時の、第2基準受光量の決定時、および受光量の変動要因の判別処理の際に使用され、ワーク検出時には、取り外すことができる。
【0045】
なお、ファイバ反射器24を、投光用ファイバ21および受光用ファイバ22Aの先端部に着脱可能に取り付ける構成としては、例えば、ファイバ反射器24を所定のホルダー内に保持し、ファイバ反射器24が保持されたホルダーを投光用ファイバ21および受光用ファイバ22Aの先端部に取り付けたり外したりする構成とすればよい。また、反射手段としては、図3の点線で示されるように、投光用ファイバ21および受光用ファイバ22Aとは離間して用いられる反射手段RMであってもよい。
【0046】
このような構成によって、反射型のファイバセンサ1Bにおいても、実施形態2と同様に、受光量の変動要因、特にファイバの異常を、簡易な構成によって判別することができる。また、ファイバの劣化に起因して受光素子18の受光量が減少した場合であっても、受光素子18は所定の受光量を好適に得られる。
【0047】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0048】
(1)上記実施形態1ではファイバセンサのファイバ部20が透過型である場合の例示したが、実施形態1において、ファイバ部20は、図3に示すようなファイバ反射器(反射手段の一例)24を備えた反射型のファイバ部であってもよい。
【0049】
(2)上記各実施形態において、投光用ファイバ21および受光用ファイバ22を単芯ファイバとする構成を示したがこれに限定されず、各ファイバは、多芯ファイバであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明によるファイバセンサの実施形態1を示す概略的な構成図
【図2】ファイバセンサの実施形態2を示す概略的な構成図
【図3】ファイバセンサの実施形態3を示す概略的な構成図
【符号の説明】
【0051】
1…ファイバセンサ
12…投光素子
18…受光素子
21…投光用ファイバ
22…受光用ファイバ
24…ファイバ反射器(反射手段)
30…検出回路
31…第1比較演算回路
32…第2比較演算回路
33…異常判別回路(ファイバ異常判別手段、投光異常判別手段)
34…投光量制御回路
37…メモリ(記憶手段)
41…報知装置
42…操作ボタン(操作手段)
W…ワーク(被検出物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光素子と、
前記投光素子からの光を直接受光可能に配置されるモニタ用受光素子と、
前記投光素子からの光を導き、被検出物に向けて前記光を投光する投光用ファイバと、
前記投光素子からの光を受け取る受光用ファイバと、
前記受光用ファイバからの光を受光する受光素子と、
前記受光素子の受光量に基づいて前記被検出物を検出する検出手段とを備えたファイバセンサにおいて、
予め、第1基準受光量と、第2基準受光量とを記憶する記憶手段と、
前記モニタ用受光素子の受光量と前記第1基準受光量との比較を行う第1比較演算手段と、
前記検出手段による前記被検出物の非検出時における前記受光素子の受光量と前記第2基準受光量との比較を行う第2比較演算手段と、
前記第1比較演算手段において、前記モニタ用受光素子の受光量が前記第1基準受光量以上であり、前記第2比較演算手段において、前記受光素子の受光量が前記第2基準受光量を下回った場合、前記投光用ファイバおよび受光用ファイバのうちの少なくとも1つに関連するファイバ異常を判別するファイバ異常判別手段と、
前記ファイバ異常判別手段の判別結果を外部へ報知する報知手段と
を備えることを特徴とするファイバセンサ。
【請求項2】
前記第1比較演算手段において、前記モニタ用受光素子の受光量が前記第1基準受光量を下回った場合に前記投光素子の異常を判別する投光異常判別手段をさらに備え、
前記報知手段は、前記投光異常判別手段の判別結果を、前記ファイバ異常判別手段の判別結果とは個別に外部へ報知することを特徴とする請求項1に記載のファイバセンサ。
【請求項3】
前記第2基準受光量を設定するための、作業者によって操作される操作手段をさらに備え、
前記第2基準受光量は、前記操作手段の操作に基づいて設定されることを特徴とする請求項1または2に記載のファイバセンサ。
【請求項4】
前記受光用ファイバは前記被検出物からの反射光を受光可能に配置されると共に、
前記投光用ファイバから出射される光の少なくとも一部を前記受光用ファイバへ反射する反射手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のファイバセンサ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−250716(P2009−250716A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97260(P2008−97260)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】