説明

ファイバーオンエンド材料

【課題】ファイバーオンエンド材料
【解決手段】ファイバーオンエンド材料およびこれらの製造方法を提供する。この材料を用いていろいろな完成品を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年7月28日付けで出願した米国仮出願番号60/837389(これは全体があらゆる目的で本明細書の一部として組み入れられる)の利点を請求するものである
【0002】
本発明は、繊維で作られたエンドオンエンド(end−on−end)材料およびこの材料の製造方法に向けたものである。本発明は、更に、そのようにして作られたファイバーオンエンド(Fiber−on−end)材料を含んで成る製品およびこれらの使用方法にも向けたものである。
【背景技術】
【0003】
微多孔膜は化学、食品、製薬学および医学産業で広く用いられていて、それらは、工程流れから必要または不必要な成分を分離する目的、例えば不純物を濾過で除去するか或は貴重または有用な粒状種を分離して保持する目的などで用いられる。微多孔膜は、また、通気性を与えるが着用者を天候を構成する要素、例えば風雨などから保護する特別注文の衣服、例えば外出着などでも用いられる。それらはまた毒性のある粒状種、例えば発癌性エーロゾル、胞子および細菌などを排除するに役立つ保護用マスクおよび衣服の製造でも用いられる。上述した用途の全部に関して、性能は膜の中の最も大きな孔で大きく制限される、と言うのは、その最も大きな孔によって排除可能な粒子の大きさが決まりかつ流れの大部分は大きい方の孔を通る(小さい方の孔によって膜の孔数が多くなり得るが、それらが全体としての流れに貢献する度合は低い)からである。従って、口径の偏差がほとんどか或は全く無い多孔膜を製造することができれば、これは望ましいことである。
【0004】
平らな膜の中に均一な孔を作り出すことを可能にする製造技術は多種多様に存在する。例えばイオン衝撃およびトラックエッチ方法(track−etched processes)などを用いて均一なキャピラリー孔を作り出すことができる。また、レーザーアブレーション、イオンビームエッチングまたは光リソグラフィーを用いることでもそれらを作り出すことができる。しかしながら、そのような微細製造方法は全部がいろいろな要因、例えばコスト、適切な材料基質の数が限られていること、大きな面積の膜を作り出すことができないこと、および間隙率が低いことなどの中の1つ以上で制限される。
【0005】
この上に示した開放孔を持たない膜は、ある物は拡散させるが他の物は拡散させないことを利用して化学種を分離する目的で用いられる。生命自体は細胞脂質膜を貫く選択的拡散によって維持され、脱塩は淡水または飲料水を海水または汽水から作り出す目的で世界的に用いられており、同様に、気体精製、腎臓透析および他のいろいろな化学的分離もエントロピー推進過程として知られている。いろいろな材料が膜としての使用を可能にする高い選択性を示しはするが、物性が劣ることからそのような材料自身を商業的に価値のある大表面積の膜として使用することができないことで用いられていない。
【0006】
また、「ファイバーオンエンド」(FOE)方法を用いることでも膜およびシート構造物を作り出すことができ、この方法では、微細特徴(microfeatures)を有する多成分繊維を好適な方向に組み立てた後に一緒に合併または焼結させることで欠陥のない構造物を生じさせる。その固体状構造物を当該繊維の配向に垂直な方向に切断または区分化すると、微細特徴を有する膜およびシートが作り出される。ファイバーオンエンド配列が膜およびキャピラリーアレイに有用な特性であることを見いだした。そのような材料を手でレイアップすることも可能ではあるが、商業的製造には実用的でない。
【0007】
1つのファイバーオンエンド材料製造方法は、ある長さに前以て切断しておいた熱可塑性プラスチック繊維をプレスダイスの空洞部の中に配列させる方法である。そのダイスを閉じた後、熱および圧力を繊維の壁が軟化して一緒に融合するようにかける。そのかける圧力および熱の量は当該繊維の組成および構造に依存するであろう。かける圧力があまりにも高いと中空繊維が崩壊するか或はシース−コア(シース−コア)繊維のコアが変形を起こす可能性がある。かける圧力が充分でないと繊維がある程度のみしか融合しないことで空隙および欠陥部が残る可能性がある。また、中心部近くの繊維を圧縮するに充分であるが外側近くの繊維が押し潰されるほどではない圧力をかける必要もある。また、熱を外部からかけることで熱が繊維の集合体を通って伝達されて中心部に到達するようにもする。熱を注意深くかけかつ伝熱速度が充分であると最も外側に位置する繊維のコアが劣化することも変形を起こすことも溶融を起こすこともなく中心部近くに位置する繊維を融合させることができる。
【0008】
結合剤または溶媒を用いてファイバーオンエンド材料を製造する時にも同様な注意を払う。結合剤または溶媒が表面の中に拡散しかつ適宜蒸発するには充分な時間を要する。熱で活性化する結合剤を用いる場合には、伝熱速度が律速になる可能性があり、最も内側に位置する繊維の硬化が外側の繊維が硬化する前に起こることを確保する注意を払う。
【0009】
そのような方法を用いて大きな寸法のファイバーオンエンド材料を製造しようとする時には伝熱速度が律速になりかつ時間および温度を選択して注意深く制御する必要があると思われる。
【0010】
特許文献1および2では、繊維をドラムの上に平行に巻きそして次にそれらを結合または熱で融合させて前記繊維を合併させることで固体にした後に前記固体を前記平行に位置する繊維に対して垂直な方向に薄く剥いでいる。前記巻き取り用ドラムの表面と同心円配列させた繊維をこれらを巻いた方向に対して半径方向に薄く切る必要がある。これは、その合併させた繊維層を切断し、それを平らに圧縮し、その平らにした層の断片を切り取り、その断片を90°に再配向させ、その断片を一緒に融合させることでブロックを生じさせ、そのブロックを再び切断することで台形を生じさせ、その台形を担持用ドラムの周囲に配列させそして繊維軸に対して垂直に層を薄く剥いで膜を生じさせることで達成される。特許文献2では海重合体(sea polymer)の固形円柱体を前記海の融点より高い温度で作成した後、軸方向に切断して4セグメントを生じさせ、それらを平らに圧縮した後、薄い切断片からそのような平らなセグメントを生じさせている。そのように小さい重合体コアで補強されている融合した厚い重合体ブロックを圧縮して平らにすると前記コアにそのような4分割された部分の小さい方の内側湾曲部の所で高い外部圧力がかかりかつ外側の大きい方の湾曲部に近い所でコアに高い圧縮応力がかかる。それによってコアが大きく変形しかつキャピラリーの構造が不均一になる可能性がある。特許文献1および特許文献2に示されている方法では、必要な取り扱い段階が複数存在しかつ連続的または潜在的に自動化可能な大規模操作に容易に適合させるのは不可能である。また、熱可塑性プラスチックまたは反応性結合剤を用いて各融合段階をどれくらい迅速に達成することができるかも伝熱速度によって決まる。そのような特徴によって前記方法の生産性および実現可能な膜サイズが制限される。
【0011】
従って、大きな平面寸法、例えば幅が1メートル以上の寸法を有するファイバーオンエンド材料を少なくともある程度連続的または自動化した様式で製造することを可能にする方法が必要とされているままである。
【0012】
【特許文献1】ヨーロッパ特許出願195860A1
【特許文献2】ヨーロッパ特許出願167094A1
【0013】
発明の要約
本発明の1つの面は、ファイバーオンエンド材料の製造方法であり、この方法は、
a. 多数の繊維を互いに平行に配列させ、
b. 前記繊維を互いに平行に維持しながら前記繊維を連続的に融合または結合させることでリボンまたはファブリックを生じさせ、
c. 前記リボンまたはファブリックを連続的に折り畳むか或はそれらにひだを付け、
d. 前記折り畳んだか或はひだを付けたリボンまたはファブリックを圧縮しかつ融合させることで固体を生じさせ、そして
e. 前記固体から所望の厚みのファイバーオンエンド材料を薄く剥ぐ、
ことを含んで成る。
【0014】
本発明の別の面もファイバーオンエンド材料の製造方法であり、この方法は、
a. 多数の繊維を互いに平行に配列させ、
b. 前記繊維を回転ロールの上に巻き、
c. 前記ロールを所望の厚みの繊維材料が蓄積するに充分な時間回転させ、
d. 前記蓄積させた繊維材料を前記繊維が互いに少なくともある程度融合するまで加熱し、
e. 前記少なくともある程度融合した繊維材料を周囲の温度になるまで冷却し、
f. 前記少なくともある程度融合した繊維材料を細長く切り、
g. 前記細長く切った材料を前記冷えたロールから取り出し、
h. それを平らにすることでリボンまたはマットを生じさせ、
i. 場合により、aからhの段階を繰り返すことで追加的リボンまたはマットを生じさせてもよく、
j. 前記リボンまたは1個以上のリボンまたはマットから切り取った部分を含んで成る積み重ね品を生じさせ、
k. 前記積み重ね品を圧縮かつ融合させることで固体を生じさせ、そして
l. 前記固体から所望の厚みのファイバーオンエンド材料を薄く剥ぐ、
ことを含んで成る。
【0015】
本発明のさらなる面もファイバーオンエンド材料の製造方法であり、この方法は、
a. 融合またはある程度融合した繊維をオンエンド(on end)に含んで成る成形ビレットを生じさせ、
b. 前記繊維が台形部分の底辺に実質的に垂直に配向するように前記ビレットから台形部分を切り取り、
c. 前記台形部分を一緒に溶着させることで断面が2個の同心多角形であるビレットを生じさせ、
d. 段階cで生じさせたビレットをスピンドルの上に置き、
e. 前記ビレットを連続的に回転させ、そして
f. 前記連続的に回転しているビレットから所望の厚みのファイバーオンエンド材料を薄く剥ぐ、
ことを含んで成る。
【0016】
本発明のさらなる面は、多孔質膜およびキャピラリーアレイの製造方法であり、この方法は、
a. 融合またはある程度融合した繊維をオンエンドに含んで成る成形ビレットを生じさせ、
b. 前記繊維が環状扇形の外側弧に実質的に垂直に配向するように前記ビレットから環状扇形を切り取り、
c. 前記環状扇形を一緒に溶着させることで断面が2個の同心円である円柱形ビレットを生じさせ、
d. 段階cで生じさせたビレットをスピンドルの上に置き、
e. 前記ビレットを連続的に回転させ、そして
f. 前記連続的に回転しているビレットから所望の厚みのファイバーオンエンド材料を薄く剥ぐ、
ことを含んで成る。
【0017】
本発明のさらなる面は、互いに平行に配列して融合している多数の繊維を含んで成るビレットから所望の厚みの材料を薄く剥ぐことで作られたファイバーオンエンド材料であり、ここでは、前記ビレットを調製または薄く剥ぐ時の少なくとも1つの段階を連続様式で実施しかつ場合により前記繊維の成分を溶解させる目的でその薄く剥いだ材料を溶媒と接触させてもよい。
【0018】
また、そのようなファイバーオンエンド材料を含んで成る製品も提供する。
【0019】
詳細な説明
本明細書で用いる如き用語“ファイバーオンエンド”(FOE)は、繊維の実質的に全部が共通軸に平行かつ任意の加工手段に垂直に位置する配列を指す。本発明の1つの態様では、多数の繊維を互いに平行に配列させそして平行な繊維配向を保持しているファブリックまたはリボンに成形する。そのファブリックまたはリボンにひだを付けた後に融合させることで材料の固体状ブロック、即ち「ビレット」を生じさせる。本明細書で用いる如き用語「ビレット」は、融合した繊維を含んで成る半完成固体状材料を指す。前記繊維を熱で融合させるか、前記繊維を結合剤で被覆するか或は溶媒で結合させることで前記繊維を一緒に結合させてもよい。本明細書で用いる如き用語「繊維」は、細長い構造を有する材料、例えば重合体または天然繊維などのいずれかを意味する。繊維は一般に長さが直径もしくは幅の少なくとも100倍であることを特徴とする。本明細書で用いる如き用語「フィラメント」は、絹に自然に見られるように長さが無限または極めて長い繊維を意味する。本明細書で用いる如き用語「ヤーン」は、織物繊維、フィラメント、または編み、織りまたは他の様式でより合わせることで織物繊維を生じさせるに適した形態の材料の連続ストランドの一般的用語である。
【0020】
「ファイバーオンエンド」から生じさせた融合固体から鋭利な刃物で薄い層を典型的には必ずしもではないが繊維の配向に対して垂直な方向に剥いで膜を生じさせることでさらなる処理を実施する。この工程は「薄く剥ぐ」として知られる。本明細書で用いる如き用語「膜」は、これと接触した種、例えば気体、蒸気、エーロゾル、液体および/または粒子などの輸送を加減し得る個別の薄い構造物である。フィルムの厚みおよびこれらの独特の最終使用を複製するには断片をより厚くする必要があり得かつ例えばレザーまたはスリットレザー用途などを複製するには更により厚くする必要があり得ることから、それらを例えば立方体などに切断し、そのような製品を薬剤などの如き材料を含有させることができる錠剤として用いることができる。中空繊維または多成分繊維を用いて多孔質膜を生じさせることができ、前記繊維に入れておいた成分が前記膜をビレットから薄く剥いだ後に溶解して出て行くようにすることができる。本明細書で用いる如き用語「多成分繊維」は、2種以上の成分(2成分、3成分など)を含有する繊維を表す。本明細書で用いる如き用語「多孔質膜」は、膜を完全に横切るか或は完全には横切っていなくてもよい開口部(孔)を含有する膜を表す。本明細書で用いる如き用語「キャピラリーアレイ」は、本発明の目的で、孔がある程度または完全に他の種で満たされ得る膜またはシートを表す。
【0021】
本明細書に示す方法は連続的またはある程度連続的に実施可能である。連続方法の一例を図1に図式的に示し、これは、大きな面積の膜を従来技術の方法の伝熱制約無しに連続的に製造することを可能にするものである。いろいろなビレット製造方法を以下に記述する。必要ならば、ビレットを調製した後、後で薄く剥ぐ目的で取っておいてもよい。
【0022】
膜およびキャピラリーアレイの調製は、融合させたブロックから層を薄く剥ぎそして場合により1種以上の繊維成分を溶解させることで実施可能である。薄く剥ぐ方向は典型的に繊維軸に対して本質的に垂直であるが、いくつかの用途ではキャピラリー軸に対してある角度で切断する必要があり得る。
【0023】
繊維
本発明の態様で用いるに適した繊維の製造は本技術分野で公知のいろいろな方法のいずれかを用いて実施可能である。用いる個々の重合体1種または2種以上に応じて、繊維の紡糸は溶液の状態(例えばポリ尿素、ポリウレタン)または溶融状態(例えばポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル)で実施可能である。繊維の製造に関する材料、装置、原理および方法がFourne,F.,Synthetic fibers,(Carl
Hanser Verlag,1999)(H.H.A.HergethおよびR.Mearsによる翻訳および編集)に詳細に考察されている。
【0024】
中空繊維は良く知られており、それらの製造および用途が例えばFourne,549頁およびIrving Moch,Jr.“Hollow Fiber Membranes,”Kirk−Othmer Enシクロpedia of Chemical Technology,第4版,第13巻,312−337頁(John Wiley &
Sons,1996)の中で考察されている。
【0025】
2成分および多成分繊維(例えば「海の中の島」およびシース−コア繊維)の製造が例えばFourne,539−548頁および717−720頁に考察されている。本明細書で用いる如き用語“海の中の島”は、また多重インターフェースまたはフィラメントインマトリクス(filament−in−matrix)としても記述される種類の2成分もしくは多成分繊維を表す。「島」は、ある重合体で構成されている「海」(またはマトリクス)の中に埋め込まれている別の1種以上の重合体で構成されている限られた長さのコアまたはフィブリルである。しばしば、マトリクスが溶解することでフィラメント当たりのデニールが非常に低いフィラメントが残存する。逆に、「島」が溶解することで中空繊維が残存することもあり得る。本明細書で用いる如き用語「シース−コア」は、2種類の重合体または同じ重合体であるが2種以上の変種で出来ている2成分もしくは多成分繊維を表す。2成分のシース−コア繊維では、一方の重合体がコアを構成しそしてもう一方の重合体がシースとしてそれを取り巻いている。また、コアと1個以上の内側シースと外側シースを含有する多成分シース−コア型の繊維もしくは2種以上の重合体も製造可能である。そのコアを中空として生じさせる場合、中空部を2個以上存在させてもよくそして2個以上のシースで前記中空部を取り巻くことも可能である。また、中空部に持たせる形状もいろいろであり得る。
【0026】
本明細書に記述する方法でファイバーオンエンド膜を生じさせる時にいろいろな重合体材料を用いることができる。重合体材料の適切な選択はいくつかの要因に依存するであろう。1つの要因は、繊維を結合させて欠陥のないFOEビレットを生じさせる時の合併工程および条件である。FOE束の中の隣接して位置する繊維に焼結を受けさせる目的で高温高圧を用いる場合、好適には、多成分繊維の中の最も外側のシースまたは海を構成する重合体が示す融点もしくは軟化点の方が当該繊維の中の内側シース、コアまたは島を構成する重合体1種または2種以上が示す融点よりも低くなるようにする。また、内側のシース、コアまたは島が示すガラス転移温度もしくは軟化点もしくは熱たわみ温度の方が外側シース重合体または海重合体が示す融点もしくは軟化点よりも高くなるようにするのも望ましい可能性がある。
【0027】
重合体成分の中の1成分が後で溶解して出て行くことで孔が生じるようにする場合、そ
のような成分は溶媒に容易に溶解すべきである。また、当該繊維の中の他の重合体成分もしくは相が可溶重合体成分を溶解させる目的で用いる溶媒に抵抗するか或は不溶であるようにするのも望ましい。可溶重合体およびこれが溶解する溶媒の例には、これらに限定するものでないが、蟻酸に溶解するポリアミド、強アルカリ溶液に溶解するポリエステル、極性溶媒、例えばジメチルアセトアミドなどに溶解するポリウレタン、芳香族溶媒、例えばトルエンなどおよび非極性溶媒、例えばジクロロメタンなどに溶解するポリスチレンおよびこれの共重合体、および水に溶解するポリビニルアルコールおよびある種のポリエーテルおよびポリエーテル共重合体などが含まれる。本分野の技術者は、特定の重合体は高純度の溶媒に不溶であっても混合溶媒に可溶であることを認識している。また、そのような重合体を本明細書に記述する方法で生じさせる膜を作成する時に用いる多成分繊維の中の可溶成分として用いることも可能である。
【0028】
重合体成分を選択する時にまた機械的特性も考慮に入れるべきである。ひだを付ける工程中に繊維が折り畳みに耐えるには充分な機械的柔軟性を示す必要がある。繊維を融合させてビレットを生じさせた時点で、その材料は、本分野の技術者に公知の1つまたは数種の薄く剥ぐ操作を用いて行う薄剥ぎを受け入れる必要がある。
【0029】
当該繊維を構成する重合体成分の選択は、ある程度ではあるが、その繊維から生じさせるFOE材料の最終使用で決まるであろう。例えば、本明細書に記述する方法で生じさせるファイバーオンエンド膜を化学的および生物学的保護衣服の製造で用いる場合、その繊維の重合体成分は毒性のある化学的および生物学的作用剤に本質的に耐性がありかつ不透過性であるべきである。その膜を化学、生化学または製薬学産業で工程流れを濾過または精製する目的で用いる場合、その繊維の重合体成分は、望ましくは、その工程流れに存在するいろいろな種に耐性を示すものである。消防士の出動服の中の疎水性であるが通気性のある1つ以上の層を生じさせる目的でファイバーオンエンド膜を用いる場合、固有の疎水特性を示すばかりでなく耐火特性も示す重合体成分を選択するのが望ましい可能性がある。本明細書に記述する方法で生じさせるFOE膜の用途は他にいくつか存在すると予測する。従って、特定の用途に要求される所望特性を示すように前駆体である多成分繊維の重合体成分を選択してもよい。
【0030】
本分野の技術者は、幅広く多様な重合体材料を用いて多成分繊維を紡糸することができることを認識するであろう。適切な種類の重合体材料の例には、これらに限定するものでないが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリスルホン、ビニル重合体、ポリスチレン、ポリシラン、ポリスルフィドおよびフッ素化重合体のホモ重合体、共重合体および混合物が含まれる。上述した重合体の各種類の中または各種類の間の共重合体はランタン共重合体またはブロック共重合体であってもよい。ポリオレフィンの具体例には、これらに限定するものでないが、エチレンおよびプロピレンの立体特異的およびランダムホモ重合体、およびそれらとブテン、イソブチレン、オクテン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、メタアクリル酸、アクリル酸、酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルまたは無水マレイン酸の共重合体が含まれる。また、ポリオレフィン共重合体から生じさせたアイオノマー、例えばDuPontTM
Surlyn(R) アイオノマー樹脂(E.I.du Pont de Nemours & Company,Inc.,Wilmington,Delaware,USA)も多成分繊維に入れる成分として使用可能である。フッ素化重合体の具体例には、これらに限定するものでないが、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロプロピルビニルエーテルおよびヘキサフルオロプロピレンのホモ重合体および共重合体が含まれる。ポリアミド(PA)の具体例には、これらに限定するものでないが、PA−6,PA−66,PA−610,PA−611,PA−612,PA−1212およびこれらのN−アルキル化類似物のホモ重合体および共重合体が含まれる。また
、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸およびイソフタル酸などから得られるポリアミド、および芳香族ジアミン、例えばメタ−キシレンジアミンまたはパラ−キシレンジアミンなどから得られるポリアミドも多成分繊維製造で使用可能である。スチレン重合体の具体例には、これらに限定するものでないが、ポリスチレン、スチレンと1,2ブタジエン、1,4ブタジエン、イソプレンおよびイソブチレンの共重合体が含まれる。そのような共重合体は完全飽和、部分飽和または不飽和であり得る。部分もしくは完全飽和を当該重合体が有する二重結合に還元を受けさせることで達成する。スチレン系材料のアイオノマー(例えば酸による)およびアイオノマー塩がさらなる例である。
【0031】
繊維に続いて膜を生じさせる時に使用可能な有用な熱可塑性ポリウレタン弾性重合体には、高分子量グリコールとジイソシアネートと少なくとも1種のジオールもしくはジアミン系鎖伸長剤から作られた弾性重合体が含まれる。ジオール系鎖伸長剤が好適である、と言うのは、それを用いて作られたポリウレタンが示す融点の方がジアミン系鎖伸長剤を用いて作られたそれの融点も低いからである。弾性重合体であるポリウレタンを製造する時に用いるに有用な高分子量グリコールには、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコールおよびこれらの共重合体が含まれる。そのようなグリコールの例には、ポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(トリエチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(エチレン−コ−1,4−ブチレンアジペート)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコール,ポリ(エチレン−コ−1,4−ブチレンアジペート)グリコール,ポリ(エチレン−コ−1,2−プロピレンアジペート)グリコール,ポリ(ヘキサメチレン−コ−2,2−ジメチル−1,3−プロピレンアジペート),ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)グリコール,ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンノナノエート)グリコール,ポリ(2,2−ジメチル−1,3−プロピレンドデカノエート)グリコール,ポリ(ペンタン−1,5−カーボネート)グリコールおよびポリ(ヘキサン−1,6−カーボネート)グリコールが含まれる。有用なジイソシアネートには、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン,1−イソシアナト−2−[(4−イソシアナト−フェニル)メチル]ベンゼン,イソホロンジイソシアネート,1,6−ヘキサンジイソシアネート,2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)プロパン,1,4−ビス(p−イソシアナト,アルファ,アルファ−ジメチルベンジル)ベンゼン,1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)および2,4−トリレンジイソシアネートが含まれる。有用なジオール系鎖伸長剤には、エチレングリコール,1,3 プロパンジオール,1,4−ブタンジオール,2,2−ジメチル−1,3−プロピレンジオール,ジエチレングリコールおよびこれらの混合物が含まれる。好適な高分子量グリコールはポリ(トリエチレンエーテル)グリコール,ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール,ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチル−テトラメチレンエーテル)グリコール,ポリ(エチレン−コ−1,4−ブチレンアジペート)グリコールおよびポリ(2,2−ジメチル−1,3−プロピレンドデカノエート)グリコールである。1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼンが好適なジイソシアネートである。好適なジオール系鎖伸長剤は1,3 プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールである。単官能連鎖停止剤、例えば1−ブタノールなどを添加することで重合体の分子量を制御することができる。
【0032】
有用な熱可塑性ポリエステル弾性重合体には、ポリエーテルグリコールと低分子量ジオール、例えば分子量が約250未満のジオールとジカルボン酸もしくはこれのジエステル、例えばテレフタル酸またはテレフタル酸ジメチルなどを反応させることで作られたポリエーテルエステルが含まれる。有用なポリエーテルグリコールには、ポリ(エチレンエーテル) グリコール,ポリ(トリエチレンエーテル) グリコール,ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール,ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテ
ル)グリコール[テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフランの共重合で作られた]およびポリ(エチレン−コ−テトラメチレンエーテル)グリコールが含まれる。有用な低分子量ジオールには、エチレングリコール,1,3プロパンジオール,1,4−ブタンジオール,2,2−ジメチル−1,3−プロピレンジオールおよびこれらの混合物が含まれ、1,3 プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールが好適である。有用なジカルボン酸にはテレフタル酸[場合によりイソフタル酸を少量(例えば<20モル%)伴っていてもよい]およびこれのジエステルが含まれる。
【0033】
繊維そして膜を生じさせる時に使用可能な有用な熱可塑性ポリエステルアミド弾性重合体には、米国特許第3,468,975号に記述されているそれらが含まれる。例えば、そのような弾性重合体の調製は、エチレングリコール,1,2−プロパンジオール,1,3−プロパンジオール,1,4−ブタンジオール,2,2−ジメチル1,3−プロパンジオール,1,5−ペンタンジオール,1,6−ヘキサンジオール,1,10−デカンジオール,1,4−ジ(メチロール)シクロヘキサン,ジエチレングリコールまたはトリエチレングリコールとマロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸,3−メチルアジピン酸,3,4−ジメチルアジピン酸,ピメリン酸,スベリン酸,アゼライン酸,セバシン酸またはドデカン二酸もしくはこれらのエステルの反応で生じたポリエステルセグメントを有するように実施可能である。そのようなポリエステルアミドの中のポリアミドセグメントの例には、ヘキサメチレンジアミンまたはドデカメチレンジアミンとテレフタル酸、しゅう酸、アジピン酸またはセバシン酸の反応で生じたそれらおよびカプロラクタムの開環重合で生じたそれらが含まれる。
【0034】
また、熱可塑性ポリエーテルエステルアミド弾性重合体、例えば米国特許第4,230,838号に記述されているそれらを用いて繊維そして膜を生じさせることも可能である。そのような弾性重合体の調製は、例えば、ジカルボン酸末端ポリアミドプレポリマーを低分子量(例えば約300から約15,000)のポリカプロラクタム,ポリオエナントラクタム,ポリドデカノラクタム,ポリウンデカノラクタム,ポリ(11−アミノウンデカン酸),ポリ(12−アミノドデカン酸),ポリ(ヘキサメチレンアジペート),ポリ(ヘキサメチレンアゼレート),ポリ(ヘキサメチレンセバケート),ポリ(ヘキサメチレンウンデカノエート),ポリ(ヘキサメチレンドデカノエート),ポリ(ノナメチレンアジペート)などとこはく酸、アジピン酸,スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、テレフタル酸、ドデカン二酸などから生じさせることを通して実施可能である。次に、そのプレポリマーをヒドロキシ末端ポリエーテル、例えばポリ(トリエチレンエーテル)グリコール,ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール,ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコール,ポリ(プロピレンエーテル)グリコール,ポリ(エチレンエーテル)グリコールなどと反応させてもよい。
【0035】
繊維の整列および結合
FOE方法における鍵となる難題は、紡糸したままのヤーンを取り出しそして繊維を高い詰め込み密度で並べて整列させ、繊維が好適な方向に向くようにそれらを配向させた後、それらを合併させてブロックを生じさせそしてそのブロックを薄く剥ぐことでフィルムを生じさせることにある。そのように合併させたブロックに持たせる形態は所望の最終製品に応じていろいろであり得る。例えば、繊維が薄く剥ぐべき表面に対して垂直に配向している長方形のビレットでは、それを直線的に剥ぐと、フィルムの個々のシートが作り出されるであろう。同様な様式で、繊維が円柱軸に対して半径方向に配向している円柱形ビレットを回転させながら薄く剥ぐと長い連続したフィルムがもたらされるであろう。
【0036】
繊維を適切に整列させることは欠陥の無いFOE膜を生じさせるに役立つであろう。繊維を好適には繊維方向もしくは軸と呼ぶ方向に互いに平行に配列させる[繊維がほとんどか或は全く交差もクロスラッピング(cross lapping)も起こさないように
]。繊維を軸に対して平行に整列させておかないと、その繊維を合併させた後に薄く剥ぐ時に、多分、構造的欠陥が生じるであろう。最も費用効果的な様式で繊維を整列させる方法はいくつか存在するが、それら各々の有用性は配向方法、合併方法および生じさせるべき最終的ビレット形態に依存する。典型的には、紡糸したままのヤーンを最初にボビンに巻き取る。大部分(全部ではないが)の整列方法で、そのようなボビンを供給材料の供給源として用いる。整列方法の例には、これらに限定するものでないが、繊維をリボンに成形する方法、ヤーンを一方向ファブリックに織る方法、かせ巻き取り(skein winding)およびボビン自身を用いる方法が含まれる。
【0037】
繊維の表面に汚染物が存在すると密着ブロックを生じさせる時の繊維と繊維、即ちシースとシースの合併が妨害される可能性がある。そのように良好に密着していないと、そのブロックから切り取った膜が示す引裂き強度があまりにも低くなることで最終使用環境下で充分な性能を示さない可能性がある。紡糸中の繊維に水を加えるとこれは繊維の取り扱いに役立ちかつ奇麗な表面がもたらされる。
【0038】
リボン
本明細書で用いる如き用語「リボン」は繊維の薄い平らな配列を表し、これの幅は数インチから数フィートであり得るが、厚みは一般にほんの繊維数本の厚みであり得る。リボンの厚みを0.2インチ(0.51cm)未満にするのが望ましが、厚みを0.1インチ(0.25cm)未満にするのが好適であり、厚みを0.05インチ(0.13cm)未満にするのがより好適である。リボンを個々の繊維が緩むことなく取り扱うことができるように繊維を一緒に軽く連結させる。ある材料のリボンを生じさせるに一般的なテキスタイル方法は、ヤーンのボビンを取り出しそして吸数百または数千のリボンを用いてそれらを組み立ててクリールを生じさせる[いわゆるビーミング(beaming)]。前記ボビンの各々の末端部を櫛状に一緒にした後、マンドレルの上に巻き取ることでビームを生じさせる。そのビームを生じさせた後、そのビームを構成している個々の繊維を数種の異なる手段の中の1つ以上を用いて連結または結合させることでシート様の構造物を生じさせることができる。
【0039】
そのようなビームの適切なヤーン密度(ビームの単位幅当たりのヤーン末端部の数で定義される如き)は、いくつかの要因、例えば単一ヤーン末端部の中の繊維末端部の数およびフィラメントのデニールなどに依存するであろう。例えば、ヤーンを構成するフィラメントのデニールが小さい場合、ビームを生じさせるのにヤーン末端部の数をより多くする必要があり、その場合、繊維のいくつかまたは全部を隣接して位置するフィラメントに連結させる。逆に、繊維のデニールが大きい場合、ある程度連結した繊維ビームを生じさせるに要するヤーン末端部の数は少ないであろう。ヤーン末端部の密度を最適にするのが望ましい。ヤーン末端部密度が低いと連結度合が劣るビームが生じる可能性があり、そしてヤーン密度を非常に高くすると連結させた時に堅いビームがもたらされるであろう。本分野の技術者は、連結した繊維ビームを生じさせる時にヤーン末端部の総数にヤーン末端部の直径を掛けた値の方がビームの幅よりも大きいことを注目するであろう。
【0040】
繊維をいろいろな技術の中のいずれかを用いて一緒に結合させてもよく、そのような技術には、これらに限定するものでないが、繊維を熱で融合させること、繊維を結合剤で被覆すること、および溶媒で結合させることが含まれる。繊維を熱で融合させる方法は数多く存在する。例えば、当該繊維を含んで成るビームを加熱装置(輻射加熱装置、熱風対流加熱装置、マイクロ波加熱装置など)の中または上に通すことで繊維を互いに連結させてもよい。また、当該ビームを1個以上のカレンダーロール(これは駆動していてもよいか或はしていなくてもよい)の中に通すことで前記ビームの中の繊維を連結させることも可能である。また、前記ビームを加熱または加熱されていないロール間隙の中に通すことで繊維ビームの厚みを調節することも可能である。用いる加熱方法は、本技術分野で良く知
られているように、融合させるべき繊維の種類およびビームの密度に依存する。そのビームの中の繊維をまさに最適な度合に連結させる必要がある。その繊維が互いに連結している度合が弱いと、それらはビームから脱離しかつ破断を起こす可能性がある。繊維が破断を起こすか或は末端部が緩んでいると最終的ファイバーオンエンド製品の中に欠陥部が生じる可能性がある。1種類の繊維または2種以上の繊維を用いてリボンを生じさせることができる。繊維の種類を多種多様な方法で異ならせることができる。繊維を例えば断面の大きさまたは形状、コアの大きさ、形状または繊維当たりの数、繊維を構成する重合体成分などの点で異ならせることができる。また、繊維を特性、例えば色、化学的組成、表面化学および導電性などの点で異ならせることも可能である。ビーミング操作中にいろいろな種類の繊維を無作為に分布させてもよいか、或はそれらを望ましい繰り返しパターンまたは繰り返さないパターンで分布させることも可能である。
【0041】
ファブリック
ヤーンを整列させる別の方法は、それらを編んで一方向ファブリックを生じさせる方法である。本明細書で用いる如き用語「ファブリック」は、ヤーンの繊維またはフィラメントを織り合わせることで生じさせた平らなテキスタイル構造物を指す。「一方向ファブリック」は、方向強度を一方向のみに示すように考案した織目を有するように作られたファブリックである。ヤーンを横糸または縦糸方向のいずれかに織ってもよい。各々がいろいろな利点を有する。ヤーンを縦糸方向に織る場合には、それを単一のボビンから送り出すことができることからセットアップ数が少なく、また、ヤーンの密度も調整可能である。別法として、ヤーンを横糸方向に置く場合(「ユニ横糸(uni−weft)」ファブリックの場合)、ビーミングの場合と同様に、必要なボビンの数は多いが、クリールを組み立てた後にファブリックをより速い速度で製造することができると言った利点がある。両方の場合とも、交差軸のヤーンが目の粗い織りの状態で織られた低融点結合剤繊維であり、それを用いてファブリックを一緒に結合させる。本明細書に記述する方法の1つの態様では、一方向横糸(「ユニ横糸」)ファブリックを横糸方向の繊維密度が高くて縦糸繊維が非常にまばらになるように織り、そして縦糸繊維を溶融温度が低い繊維にすることで、織り工程後にそれらを溶融させることを利用して、横糸繊維を一緒に保持する。
【0042】
織りファブリックを、リボンの場合と同様に、1種以上の繊維で構成させてもよい。いろいろな種類の繊維を無作為に織ることでファブリックを生じさせてもよいか或は特定の繰り返しパターンまたは繰り返さないパターンが生じるように織ることも可能である。
【0043】
ボビン巻き取り
巻き取りに典型的な巻き上げの角度は螺旋であり、この場合、ヤーンがその角度で交差して互いに重なり合う。しかしながら、繊維が互いに本質的に平行に位置するようにヤーンを非常に低い角度で巻き取ることも可能である。繊維を深さが1インチ以上になるまで巻き取ることも可能ではあるが、しかしながら、さらなる処理を行う時には深さを1/16”から1/4”(1.6mmから6.4mm)にするのが有利である。前記繊維を熱で融合させるか、前記繊維を結合剤で被覆するか、或は溶媒で結合させることで、前記繊維を一緒に結合させてもよい。熱で融合させる場合には、ボビンをオーブンの中に入れることで、繊維を一緒に緩く融合させてもよい。そのオーブンの温度は繊維の組成に依存するであろう。次に、その融合させた繊維材料をボビンから切り取った後、平らに置くことで繊維の一方向マットを生じさせてもよい。我々の試験では一般に6”(15cm)の中心部に繊維が1/16”(1.6mm)および1/8”(3.2mm)の厚みに巻き付けられているボビンの状態で融合させた。そのボビンをオーブンに入れて80−90℃に2時間加熱した。その中心部を取り外した後、その繊維のマットを繊維密度が高くなるように一緒に良好に連結させ、そしてそれの厚みを、次にクーポンまたはプレプレグ(pre−pregs)と呼ぶ形状に切断するに適するように平らに置くのが容易なほど薄くした。
【0044】
説明として、繊維をボビンに厚みが1/32”(0.8mm)から1/8”(3.2mm)の範囲内になるように巻いた。そのボビン上の繊維を融合させる目的で用いる温度は、当該繊維の外側シースが示す融点に従って決まる。融合温度を外側シースを構成している重合体が溶融し始める温度のプラスマイナス約15℃にするのが望ましい。示差走査熱量計を用いることで当該重合体が溶融し始める温度を得ることができる。当該重合体が融点を示さない場合、融合の温度をその重合体が示す軟化温度範囲内にしてもよい。その巻き取ったフィラメントが熱処理によってある程度融合した時点で、そのある程度焼結した繊維構造物をボビンの軸に平行な方向に細長く切るか或は切断することで、好適な一方向に流れる繊維を含んで成る湾曲または平らなプレートを生じさせる。
【0045】
かせ巻き取り
繊維をかせ巻き取り具に巻くことでヤーンの拘束されていないコイルを生じさせることができる。次に、そのヤーンを一巻の平行な繊維として鋳型の中に直接入れた後、熱および圧力をかけて合併させることでビレットを生じさせることができる。別法として、繊維を結合剤で被覆するか或は溶媒で結合させることで繊維を一緒に結合させることも可能である。複合体産業に一般的な手順および装置を用いてそのような段階に必要な構造を達成することができかつクーポンまたはプレプレグを切断することができる。
【0046】
ビレットの生成および薄剥ぎ
最終的ビレットの要求は望まれる製品およびアセンブリのコストで決まる。個々のシートを生じさせる目的でビレットを薄く剥ぐ(線形薄剥ぎの)場合、繊維の全部を互いに平行に配列させかつ通常は薄剥ぎ表面に対して垂直に配向させる。ある用途では、繊維軸に対してある角度で薄く剥ぐことで膜に追加的価値を与える。この種類の薄剥ぎによって薄く剥がされた表面領域を有するシートがもたらされるであろう。線形薄剥ぎに適したビレットの製造はいろいろな方法で実施可能であり、そのような方法には、これらに限定するものでないが、ひだを付けた後に融合させる方法、および積み重ねた後に融合させる方法が含まれる。そのような方法の図式図を図1に示す。多数の平行に結合した繊維で構成させたリボンまたはファブリック1をひだ付けゾーン2の中に通した後に融合ゾーン3に入らせ、そのゾーンの中でひだを融合させることで固形ブロック4を生じさせる。そのブロックを合併させた時点で前記ブロックからファイバーオンエンド膜5を連続的に薄く剥ぐ(薄剥ぎ用ナイフ6を用いて)か、或は前記ブロックを機械で部分に分けた後、以下に説明するように、例えば回転式薄剥ぎなどの目的で組み立ててもよい。
【0047】
ひだ付け
融合させたリボンまたはファブリックにこのリボンまたはファブリックを繰り返し折り畳んだ後に一緒に積み重ねる連続ひだ付け操作を受けさせてもよい。この過程は折り畳まれたフィルター媒体またはファブリックの中のひだを生じさせる目的で用いられるひだ付け工程に類似している。この過程を図1に示す。典型的な条件を以下の実施例1で用い、実施例1では、ユニ横糸ファブリックにひだをひだの高さが0.5”(1.3cm)になるように付けそしてそのひだ付け装置をひだが1分当たりに30付くように30psi(0.21MPa)下80℃で稼働させた。
【0048】
前記ひだを生じさせて一緒に熱および圧力下で結合させることでバットを生じさせたが、そのバットの中の繊維はその時点で典型的にバット表面に対して実質的に垂直に配向している。このバットをいくつかの方法で用いることができる。それを長方形鋳型の中に入れた後、熱および圧力下で合併させることで長方形のビレットを生じさせ、それを薄く剥ぐことでシートを生じさせることができる。加うるに、前記バットまたはこれから生じさせた長方形のビレットを断片(例えば台形または他の形状)に区分けした後、以下に記述する如き回転式薄削りの目的で準備する時にそれを組み立てて前記繊維を半径方向に配向させてもよい。
【0049】
このひだ付け工程を薄い固体が生じるように適合させることも可能であり(例えば図2を参照)、それによって、伝熱もしくは溶媒拡散の問題を更に軽減しかつ固体材料から薄削りすべき層の数を最小限にすることで生産性を高めることも可能である。厚い膜が例えばキャピラリーアレイを生じさせる時などに望まれる場合、折り畳みの深さを所望の厚みに調整することで膜をほぼ最終的な形状で作成することも可能である。
【0050】
積み重ね
ボビン巻き取り工程で生じさせた融合繊維のマットを一緒に積み重ねた後に成形することで三次元のビレットを生じさせることができる。このビレットを薄く剥ぐことでフィルムの個々のシートを生じさせてもよいか、或はビレットを断片に切断した後にそれらを組み立てて回転式薄削り用の円柱形ビレットを生じさせてもよい。また、前記マットを断片に切断した後、それらを組み立てることで繊維を半径方向に配向させることも可能である。例えば、前記マットから台形の断片7を切り取り(図3A)そして次にそれらを一緒に六角形鋳型の中で積み重ねてもよい(図3B)。その個々の断片を充分な熱および圧力下で成形すると、それらが一緒に融合することで、薄削りを受け入れる準備が出来ている固形ビレットが生じる。別法として、そのような固形ビレットを互いの上に数個積み重ねた後、融合させることで、より幅広いフィルムを薄削りするに適した1個の大きなビレットを生じさせることも可能である。この工程では、また、成形操作中に他の材料を添加することも可能である。例えば、断片と断片の間に高強度用材料もしくは繊維を一方向または両方向(ビレットを横切りそして/またはそれの回り)であるがビレットの厚み方向の外側から内側に向かって完全に貫くように加え(図3B,3Cの中の8)、その結果として、ファイバーオンエンド自身が達成し得る強度に比べて一方向もしくは両方向の強度が高い薄削りフィルムを生じさせることができる。
【0051】
回転式薄削り用円柱形ビレットの作成
この上に記述した方法のいずれかを用いてFOE材料の長方形ビレットを生じさせることができる。そのようなビレットを線形薄削り工程で用いてフィルムの個々のシートを生じさせることができるが、フィルムの連続ロールの方が好適な用途も存在する。連続ロールの製造は回転式薄削りで実施可能であり、この場合には、円柱形ビレットをこれの軸の回りを回転させながら薄削りすることで、幅はビレットの幅であるが長さが非常に長いフィルムを生じさせる(図6)。そのような円柱形ビレットでは、その繊維を軸から本質的に半径方向に配向させる。我々は、長方形ビレットの断片を組み立てて回転式薄削りに適した円柱形態にする方法を開発した。
【0052】
最初に、ビレットを切断または機械加工して断片にする。1つの態様における断片は図4Aに示す如き「台形の断片」である。本明細書で用いる如き用語「台形断片」は、ビレットから切断した形状物の断面が台形であることを示す。別の態様における断片は環状扇形である。本明細書で用いる如き用語「環状扇形」は、ビレットから切断した形状物の断面が図11に示すように環状扇形であることを示す。繊維の配向が台形の底辺に対して垂直になるように台形断片を切り取る(図4A)。その台形断片を用いて断面が2個の同心多角形であるビレットを生じさせる。好適な態様では、3個の台形を一緒に溶着させることで三つ組を生じさせ(図5A)そして次に2個の三つ組を一緒に溶着させることで断面が2個の同心六角形である固体を生じさせ(図5B)、それを薄削り用スピンドルに取り付ける(図9)ことで円柱形の外側表面を生じさせそして連続FOE膜の急速薄削りを実施する。同様に、より多い数の台形断片を切り取った後、同じ様式で融合させ、例えば8個の断片を切り取り、2個の四つ組を生じさせそして2個の四つ組を一緒に溶着させてビレットを生じさせることで断面が2個の八角形である固体を生じさせる。別法として、環状扇形を切り取った後、繊維の配向が外側弧に対して垂直になるように同様に組み立て(図11)ることで、断面が2個の同心円である円柱形ビレットを生じさせることも可能で
ある。
【0053】
切断した断片を一緒に溶着させる方法は数多く存在する。断片をオーブンに入れて圧力有り無しで加熱することでそれらを溶着させてもよい。また、他の公知プラスチック溶着技術の大部分も使用可能であり、それらには、これらに限定するものでないが、ホットプレート溶着、振動溶着および超音波溶着が含まれる。
【0054】
ある場合には、溶着を行う前に機械加工した表面を覆っておく方が好適である。固形フィルム9を表面の上に熱で密封させておく(図4B)と繊維が保護されかつ溶着工程中に起こるコア材料の移行が防止される。
【0055】
図11に示す環状扇形は、最も長い繊維が本質的に半径方向に配向するように本質的に平行な繊維で構成されている。そのような断片(部分)を、この上に記述したように、ヤーンボビン上でオーブン内で融合させた融合フィラメントを平らに敷くことで生じさせたシートからダイスで切断する。また、ダイスを用いてそれらをボビン上で切断することで断片に小さな湾曲部が残存するようにし、あらゆる断片を圧力および熱の下で融合させて最終的なビレットを生じさせようとする時の必要に応じてそれらを平らにすることも可能であろう。図10に示すように、前記断片の上を覆うフィルムは、その選択の価値がビレットへの加工に付加されるか或は薄削りに付加されるか或は製品に付加されるかに応じて、組成、分子量および/または融点の点で多様であり得る。
【0056】
本明細書に記述する方法は、連続および/または自動化工程を用いてオンエンドに配列させた繊維から所望のいずれかの幅と長さを有する多孔質膜またはキャピラリーアレイを製造するように実施可能である。加うるに、処理が連続的でありかつ製造段階の数が少ない結果として低い製造コストを達成することも可能である。
【0057】
本明細書である範囲の数値を示す場合、特に明記しない限り、その範囲にこの範囲内の端点およびあらゆる整数および分数を包含させることを意図する。本発明の範囲をある範囲に限定する時、それをその示す特定の値に限定することを意図するものでない。
【0058】
用途
追加的処理段階および最終的用途は、ある程度ではあるが、元々の繊維の性質および薄削りした層の厚みに依存するであろう。本ファイバーオンエンド材料を生じさせる時に用いる繊維が特定の特性を有する場合、その材料を薄削りすることで生じさせる膜またはキャピラリーもまた特定の特性およびユニークな価値を有するであろう。そのような特性は、例えば穴径の特殊な分布、またはユニークな配列をもたらすいろいろな多成分繊維の幾何学的配列、または繊維軸のユニークな角度または多数の角度、または選択した導電もしくは表面エネルギーもしくは表面化学の値、または光学的指数、色、または種の拡散(選択的透過性)などであり得る。本明細書で用いる如き用語「角度」は、所定FOE材料の中の繊維軸がこのFOE材料の表面に対して垂直になるように生じる角度を指す。例えば、ある製品は少なくとも2個の平行キャピラリーアレイを含んで成り得るが、その各アレイの中のキャピラリーは本質的に全部がこのアレイの表面に対する垂直からある角度で配列している(即ち同じ角度を有する)が、1つのアレイの中のキャピラリーの角度は他の少なくとも1つのアレイの中のキャピラリーの角度とは異なる。
【0059】
多孔質膜およびキャピラリーアレイ
本発明の方法の1つの態様では多孔質膜を製造する。元々の繊維が中空である(即ち中心部が空気である)場合、融合させた繊維のブロックから薄削りした層または膜は多孔質でありかつビレットを適切に調製すると均一な大きさの穴が規則正しい間隔を置いて位置する。元々の繊維が紡糸後に溶解し得る材料で出来ている固形コアを有する2成分繊維の
場合、薄削り後に前記コアが溶解して出て行くことで穴が生じることから、多孔質膜が生じ得る。同様に、各繊維が数多くの小さい方の溶解し得る繊維コアが異なる重合体で出来ている海の中に配列している「海の中の島」の種類の多数のコアを有する場合、その島が溶解することで小さい方の孔を有する膜、即ち微多孔膜が生じ得る。
【0060】
他のいろいろな変法も数多く可能である。例えば、元々の繊維は、中心のコアが空気であるか或は溶解して出て行き得る固形であり、内側シースが硬質で特殊な機能(例えば親水性、疎水性、導電性)に貢献しそして外側のシースが前記内側シースまたはコア材料よりも低い温度で融合し得るような3成分であってもよい。
【0061】
別の例として、元々の繊維は、中心のコアが空気であるか或は溶解して出て行き得る固形であり、内側シースが外部の刺激(即ち温度、化学品との接触など)の存在下で体積が変わりそして外側のシースが前記内側シースまたはコア材料よりも低い温度で融合し得るような3成分繊維であってもよい。そのような繊維から作られた膜は、外部の刺激がかかるか或は取り除かれた時にはいつでも、孔径、従って透過性が変わり得るであろう。
【0062】
更に別の例として、キャピラリーの壁の表面に活性もしくは反応性化学部分、例えばカルボン酸基、ヒドロキシル基、アミン基、エポキシ基、無水物基などを有するファイバーオンエンドシートもしくは膜を生じさせることも可能である。溶解して出て行き得る中心のコアと前記中心のコアが溶解した後に活性もしくは反応性化学種を表面に含有する最も内側のシースと前記最も内側のシースまたはコア材料より低い温度で融合し得る最も外側のシースを含んで成る多成分繊維を用いてFOEビレットを加工することを通して、そのようなシートまたは膜を生じさせることができる。別法として、その繊維は、中空で表面に所望の部分を有する内側シースと前記最も内側のシースより低い温度で融合し得る外側のシースを持つように作られていてもよい。そのような繊維から生じさせた膜は種のアフィニティー分離で使用可能であり、その分離を、それらを1個以上のFOEキャピラリーアレイ、例えばR.Ghosh、”Protein separation using
membrane chromatography:opportunities and challenges,”Journal of Chromatography,952(1−2),13−27頁,2002に記述されている膜クロマトグラフィー用途などのキャピラリーの中に通すことで起こさせる。一般にクロマトグラフィー、特に膜クロマトグラフィーの技術分野の技術者に公知のように、活性もしくは反応性化学種をキャピラリー壁に沿って用いることで他の反応性基、例えばスルホン酸基、第四級アミン基、金属イオン、酵素、蛋白質など(これらは工程流れから精製または除去する必要のある特定の生物学的および化学的種と選択的に結合するであろう)と結合または接合させることができる。本分野の技術者は、通常の膜が幅広い孔径分布を示すようにする方法を認識している可能性がある。流体の流れは、そのように孔径が多様であることから、膜の最も大きな孔を通って流れかつ小さい孔は流量全体にあまり貢献しない。膜クロマトグラフィー用途では、活性部位を有する孔の全部が流体の流れに貢献することによって分離過程に貢献するのが望ましい。本明細書に記述するFOEキャピラリーアレイは均一なキャピラリー孔を達成することから、その膜の孔全部を通ってより均一に流れることで分離過程の効率が向上し得る。
【0063】
ある用途では、孔または孔径の分布が二頂、三頂または他の制御された分布であることに加えていくつかの穴が官能化を受けているが他の孔は官能化を受けていないようにすることによって利益が得られる可能性がある。これは、繊維の直径または繊維成分の直径を適合させることを利用して達成することができる。例えば、外側直径は同じであるが壁厚が異なる、従って穴径が異なる中空繊維を用いることも可能である。
【0064】
本明細書に記述するFOE膜の使用例には、これらに限定するものでないが、以下に記
述するように、規定サイズ分布(例えば単分散または異なる2種類の直径を有する繊維を用いる場合には二頂)を用いた粒子サイズ合わせ用フィルター、クロマトグラフィー膜、および刺激に反応して透過性が変わる適応膜構造物、および衣服が含まれる。
【0065】
そのような多孔質膜は、係属中の米国特許出願番号11/118961,11/119484,60/729110および60/729193に記述した如き適応バリヤー膜構造物の穴含有成分として使用可能である。適応膜構造物は、穴を有する1番目と2番目の膜かつ動刺激に反応して前記1番目の膜をこれが前記2番目の膜と接触した状態で前記1番目の膜の穴が2番目の膜の穴と実質的に合致しないか或は合致しない位置に移動させて膜構造物の透過性を変化させる手段を包含する。代替適応膜構造物における本発明の多孔質膜は2枚の隣接して位置する膜の中の一方であり、2番目の膜は突き出ている部材の隊列を含有し、その突き出ている部材の各々は、一方もしくは両方の膜がこれに刺激がかかった或は取り除かれたことに反応して互いの方向に移動する時に前記多孔質膜の中の穴に挿入または入り込むような形状でありかつそのように位置している。突き出ている部材の各々が相当する穴に入り込むと、それと穴の内側表面の接触が前記突き出ている部材とこれと対になる穴の間にシールが形成されるような様式で起こり、それによって、通路の透過、対流および/または拡散が起こらなくなる。
【0066】
適応膜構造物を有効に組み込むことが可能な製品の例には、これらに限定するものでないが、衣服(例えば1組の保護衣服、保護被覆材、帽子または他の頭被覆物、フード、マスク、ガウン、コート、ジャケット、シャツ、ズボン、パンツ、手袋、ブーツ、靴およびソックス)、エンクロージャ(例えばテント、安全室、クリーンルーム、温室、住居、オフィスビルまたは貯蔵容器)、および気体、蒸気、液体および/または粒子の流れを制御する弁が含まれる。保護被覆材は化学的保護、生物学的保護または両方用の保護衣服であってもよく、それには、これらに限定するものでないが、カバーオール、1組の保護衣服、コート、ジャケット、限られた用途の保護衣服、手袋、ソックス、ブーツ、靴またはブーツカバー、ズボン、フード、帽子または他の頭被覆物、マスクおよびシャツ、医学用衣服、手術用マスク、医学または手術用ガウンまたはスリッパが含まれる。
【0067】
また、膜の孔が特別な特性、例えば触媒もしくは酵素活性、反応性、吸着性、親水性、疎水性などを示すように、それらに化学的官能化を受けさせることも可能である。
【0068】
本明細書に記述する如く製造した多孔質膜は、また、これの表面またはキャピラリー孔の内側のいずれかに他の無機、有機もしくは生物学的材料を担持する目的でも使用可能である。そのような材料を前記膜に物理的に担持させてもよいか或は化学的に接合させてもよい。他の材料を前記膜またはこれの孔の中に導入することによって、多種多様な用途、例えば濾過、分離、精製、保護、感知および診断などで使用可能な複合膜を生じさせることも可能である。
【0069】
本発明の多孔質膜をまた高度な材料を合成または製造するための鋳型(templates)として用いることも可能である。キャピラリーはダイスキャスティングまたは逆画像構造を複製するための部位にもなり得る。膜の均一なキャピラリー孔を小型反応槽として用いてミクロチューブおよびナノチューブなどの如き材料を合成することも可能である。そのような高度な材料が孔の中に残存することで複合膜がもたらされるか或は前記膜を適切な溶媒に溶解させることでそのような材料を回収することも可能である。そのような高度な材料が非常に高い温度で安定な材料の場合、外側の膜を高温で焼失または燃焼させることでそれらを回収することも可能である。
【0070】
孔またはキャピラリーが満たされている膜
別の態様では、本明細書に記述する方法を用いて、満たされている孔またはキャピラリ
ーを含有する膜を生じさせる。例えば、使用するシース−コア繊維のコア材料が必要ならば溶解しないままにしてもよく、そしてそのコア材料が組成に応じて当該膜に特殊な機能、例えば耐火性、抗菌活性、熱色素特性などを与えるようにすることができる。そのコア材料は例えば充分な量の難燃剤、抗菌剤、殺虫剤および昆虫忌避剤などと一緒に配合しておいた重合体を含んで成っていてもよく、それによって、そのような特性を前記膜を含んで成る製品に与えることができる。そのような様式で混合することができる難燃剤の例は、少しではあるが、ハロゲン含有および燐含有難燃剤であり、それには、これらに限定するものでないが、デカブロモジフェニルオキサイド、環式ホスホネートエステル、トリフェニルホスフェート、ポリ(スルホニルジフェニレンフェニルホスホネート)およびポリ燐酸アンモニウムが含まれる。また、帯電防止剤もしくは導電性材料または疎水性もしくは親水性物質を含有させておいたコア材料(例えばポリマーまたはオリゴマー)を用いることで表面特性を変えることも可能である。
【0071】
厚い層がもたらされるようにファイバーオンエンド材料を薄く剥ぐと、短い穴ではなく長いキャピラリーが生じ得る。そのようなキャピラリー膜を用いて流体を選択的に吸い上げるか或は流体を貯蔵しそして制御した様式で分与することができる。このような膜は例えば医学用材料、デバイスまたは移植片などに入れておいた薬剤を徐放させる目的でも使用可能であり、それらには、これらに限定するものでないが、包帯、創傷用包帯、カテーテル、人工器官、ペースメーカー、心臓弁、人工心臓、膝および股関節用移植片、血管移植片、整形外科用固定具、外耳道シャント、美容整形インプラント、移植可能ポンプ、ヘルニアパッチおよび人工皮膚が含まれる。その膜自身を移植した時に長時間かけて体に吸収される材料で製造することも可能である。
【0072】
キャピラリー膜にいろいろな機能的材料を含浸させることも可能である。本明細書で用いる如き用語「機能的材料」は、所望の特性、例えばこれらに限定するものでないが、温熱調節、抗菌活性、耐火性、光学特性、帯電防止特性および防食特性などを与える目的で当該膜のキャピラリーに注入する物質を意味する。その機能的材料は、毛細管作用によって穴の中に吸い込まれたか或は溶液の中に溶解(その溶液を膜に染み込ませた後に溶媒を蒸発させる)している液体自身であってもよい。また、当該膜を生じさせる目的で用いる繊維のシースもしくはコア成分の一部または全部として機能的材料を紡糸することも可能である。
【0073】
例えば、パラフィンワックスが温熱調節用途で用いられる相変化材料の例である。従って、パラフィンワックスを塩化メチレンに溶解させた後、ウィッキングによって多孔質キャピラリー膜の中に入り込ませた後、溶媒を蒸発させることで前記パラフィンワックスが残存するようにしてもよい。そのように満たされたキャピラリー膜を含んで成る製品は、環境の温度に応じて、望ましい温熱調節特性を示すであろう。相変化材料を添加しておいたキャピラリー膜を含有させた製品の代表例には、これらに限定するものでないが、ブランケット、家庭用および自動車座席用装飾品、寝具(例えば枕、枕ケース、シーツ、掛け布団、ベッドスプレッド、マットレス、マットレスカバー)、水中潜水用耐寒防水服、履物(例えば靴、ブーツ、アイススケート用ブーツ、スニーカーおよびスリッパ)用のミドソールおよびライナー、手袋およびミトン、帽子、スキーマスク、ジャケット、コート、パーカー、スノースーツ、スキーパンツおよび他のパンツ、防寒用下着および他の密着衣服、ベスト、シャツ、ブラウス、セーター、ドレスおよび鍋つかみが含まれる。
【0074】
また、抗菌剤および防臭剤を機能的充填材として本明細書に記述するファイバーオンエンド材料の中に取り込ませることも可能である。抗菌剤は殺微生物剤、殺菌・殺カビ剤(カビに対する活性を包含)および/または抗ウイルス剤である。それらには、例えばキトサンおよびこれの誘導体、トリクロサン、セチルピリジニウムクロライド、ポリビグアニドが基になった化合物、および4−ヒドロキシ安息香酸のアルキル(特にメチル、エチル
、プロピルおよびブチル)およびベンジルエステル(これらは一般に「パラベン」と呼ばれる)が含まれる。特定の抗菌もしくは防臭機能充填材を特定のキャピラリー膜構造物と一緒に用いるには、その機能的充填材を溶かすが前記膜構造物には影響を与えない溶媒を用いる必要があるであろう。本発明の抗菌性および防臭性製品は衣服[これらに限定するものでないが、履物(例えばブーツ、靴、スリッパ、スニーカー)用のライナーおよびミドソール、手袋およびミトン、帽子、シャツおよびブラウス、外出着、セーター、ドレス、密着衣服および医学用衣服を包含]、ヘルスケア(医学用ドレープ、抗菌性雑巾、ハンカチおよび医学用包装を包含)などの如き用途で使用可能である。
【0075】
また、殺虫剤および昆虫忌避剤を機能的充填材として用いることも可能である。その例には、これらに限定するものでないが、N,N−ジエチル−m−トルアミド(“DEET”);ジヒドロネペタラクトンおよびこれの誘導体、精油、例えばシトロネラ油、バックハウジア・シトリオドラ油(backhousia citriodora oil)、メラロイカ・エリカフォリア油(melaleuca ericafolia oil)、カリトル・コルメタシス(葉)油[callitru collumellasis(leaf) oil],カリトルス・グラウコフィラ油(callitrus glaucophyla oil)およびメラロイカ・リナリフォリア油(melaleuca linarifolia oil)など、およびピレトイド(pyrethoid)殺虫剤、例えばこれらに限定するものでないが、ペルメトリン(permethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、シフルトリン(cyfluthrin)、アルファ−シペルメトリン(cypermethrin)、エトフェンプロックス(etofenprox)およびラムダ−シハルトリン(lambda−cyhalthrin)などが含まれる。殺虫剤および/または昆虫忌避材料もしくは化合物を含有させた製品を本発明の充填キャピラリー膜構造物から製造するか或はそれに取り込ませておくと、そのような製品は、衣服(これらに限定するものでないが、帽子、フード、スカーフ、ソックス、靴用ライナー、シャツおよびブラウス、ショーツ、ズボンを包含)、テント、防水布および寝具などの如き用途で使用可能である。
【0076】
微小突起物
当該繊維のコアが1個のみであるか或は多数の小さい繊維コア(「島」)が異なる重合体の海の中に配列していて前記海が前記島を溶かさない溶媒に溶解する種類の「海の中の島」である場合、その海を腐食させると微小突起物または毛を多数有する表面が生じ得る。そのような表面が例えば自己浄化表面または湿気を防ぐ材料などで用いるに有用な超疎水特性を示すようにすることができる。
【0077】
この上に示した例は全部、繊維自身が有する価値および有用性よりも高い価値および有用性を有する。本明細書に記述するようにして生じさせたFOE材料は、濾過、保護膜、薬剤送達、自己浄化性超疎水性表面および他の数多くの面白い新規な材料で新しい用途を持ち得る。
【0078】
実施例
本発明の具体的態様を以下の実施例に示す。本実施例の基になる発明の態様は単に例示であり、添付請求項の範囲を限定するものでない。
【0079】
省略形の意味は下記の通りである:“h”は時間を意味し、“min”は分を意味し、“m”はメートルを意味し、“cm”はセンチメートルを意味し、“mm”はミリメートルを意味し、“μm”はミクロメートルを意味し、“g”はグラムを意味し、“mL”はミリリットルを意味し、“psi”は1平方インチ当たりのポンドを意味し、“ksi”は1平方インチ当たりの1000ポンドを意味し、“MPa”はメガパスカルを意味し、そして“rpm”は1分当たりの回転数を意味する。
【0080】
Surlyn(R) はE.I.du Pont de Nemours and Companyの登録商標である。
【0081】
Elvamide(R) はE.I.du Pont de Nemours and Companyの登録商標である。
【0082】
Nucrel(R) はE.I.du Pont de Nemours and Companyの登録商標である。
【実施例1】
【0083】
この実施例には、微多孔膜を生じさせる目的で用いる実験室規模のファイバーオンエンド方法を記述する。
【0084】
シース−コア繊維の紡糸を連続繊維紡糸ラインを用いて実施した。この紡糸ラインの図式図を図6に示す。以前に米国特許第2,936,482号およびその後の特許および公開に記述されたスピンパック(spin pack)を用いてシース−コアフィラメント構造物を生じさせた。その繊維のシースをSurlyn(R) 8150樹脂[これはエチレン/メタアクリル酸共重合体の中のメタアクリル酸基をナトリウムイオンである程度中和しておいた樹脂であり、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,Delaware,USA)が販売している]で構成させた。その繊維のコアをElvamide(R) 8061ナイロンマルチポリマー樹脂[これもまたE.I.du Pont de Nemours and Companyが販売している一般目的の低融点(T=156℃)ナイロンマルチポリマー樹脂である]で構成させた。
【0085】
繊維を紡糸する前に、Surlyn(R) 8150樹脂およびElvamide(R) 8061ナイロンマルチポリマー樹脂を真空オーブンに入れて無水窒素で清掃しながら60℃で16時間乾燥させておいた。その乾燥させた重合体(12および13)を2基の個別の同方向回転2軸押出し加工機(14および15)で溶融させた。その溶融させたアイオノマーを送り出す前記押出し加工機を255℃に設定しかつ溶融させたElvamide(R) 8061ナイロンマルチポリマー樹脂を送り出す前記押出し加工機を200℃に設定した。個々の押出し加工機から出てきた両方の重合体溶融物流れを個別のZenithギアポンプに送った後、その溶融重合体を計量してスピンパック16に通した。前記2個のギアポンプの速度をそれぞれ前記アイオノマーを11.2g/分で供給しかつ前記Elvamide(R) 8061ナイロンマルチポリマー樹脂を4.8g/分で供給するように前以て設定しておいた。そのような流量にすると、シース−コア繊維の中の外側シースが名目上70重量%になりかつコアが名目上30重量%になった。前記スピンパックを加熱ブロック17で244℃に加熱した。両方の重合体流れを前記パック内の個別の仕切りの中の3個の200メッシュスクリーンと1個の325メッシュスクリーンに通して濾過した。濾過後のコポリアミドを直径が0.015”(0.38mm)で長さが0.030”(0.76mm)のオリフィスに通して計量して、これを取り巻くアイオノマーのシースプール[米国特許第2,936,482号に記述されているように、コア用オリフィスを含有する平らな金属表面および高原部の上部から測定して0.004”(0.10mm)のオフセットで同心配列するように計量した]の中に入らせた。次に、シースおよびコアを直径が0.0625”(1.6mm)で長さが約0.325“(8.26mm)のカウンターボアの中をそれらが直径が0.012“(0.30mm)で長さが0.050”(1.3mm)のフィラメント成形用オリフィスに到達するまで下流に流した。紡糸口金オリフィス出口の所で全体で34本の個々のシース−コアフィラメントが生じた。
【0086】
その結果として得た34本のフィラメントを周囲の空気(急冷ゾーン18)で冷却し、水表面仕上げ剤(19)を与えた後、スピンパックから約8フィート(2.4メートル)下方のガイドの中で一緒にした。その34本のフィラメントヤーンを紡糸口金オリフィスから引き出した後、1分当たり約1200メートルで回転している1対のロール20で前記ガイドの中に送った。そのヤーンを前記ロールから取り出して通常の巻き取り装置21に送ることで数個のボビン上に巻き取った。そのヤーンがフィラメント当たりに示した測定平均デニールは3.6であった。
【0087】
そのシース/コアヤーンを前記ボビンから取り出した後、85℃に設定して加熱した回転ロールの上に巻いた。そのロールの回転速度を約58rpmに設定した。そのロールの外径は推定で10.11”(25.68cm)であった。そのヤーンを前記回転ロールで取り上げながら、また、その回転シリンダーの軸に平行な方向に沿って振動しているガイドでそれを直線的に移動させた。その振動しているガイドはMossberg Industries(Cumberland,Rhode Island)製であった。そのガイドの振動幅を5インチ(13cm)に設定し、それによって前記ヤーンを前記加熱ロール上に5インチ(13cm)の距離に渡って広げた。前記ガイドの線形速度を低く保つことで巻き取りの螺旋角が極めて低くなることを確保した。前記加熱ロール上に前記シース−コアヤーンを約2,800メートル巻き取った。その巻き取りが完了した後のロールを室温に冷却した。それによって、巻き取られた各ヤーンが最も近くに位置するヤーンと軽く融合することで幅が5”(13cm)のリボンが生じた。その軽く融合したリボンを細く切り、前記ロールから取り出した後、テーブルの上に平らに敷いた。その結果として得たリボンは長さが31.75”(80.64cm)で幅が5”(13cm)で厚みが約0.03”(0.76mm)であった。それの重量は38.24gであり、これはリボンの最も長い軸に対して全部が平行に走るシース−コアフィラメントを約118,500本含有していた。そのリボンの密度は推定で0.49g/cmであった。このリボンの中のヤーン密度は推定で線形1インチ当たり349個のヤーン末端部であった。この方法を用いて全体で4個のリボンを生じさせた。鋭利な刃物を用いて、各リボンを細く切って等しく半分にすることで、各々の長さが31.75”(80.64cm)で幅が2.5”(6.4cm)で厚みが0.03”(0.8mm)のリボンを8個得た。
【0088】
次に、各リボンを手で繰り返し距離が2.25”(5.72cm)になるようにそれ自身の上に折り畳むことでひだを生じさせた。ひだ付けをリボンの長さ方向に沿って実施したが、その方向は、また、前記リボンを構成している繊維が配向している方向でもあった。次に、ひだを付けたリボンの各々を85℃に設定しておいた対流オーブンに入れて8.5ポンド(3.9 kg)の重量下で30分間圧縮した。それによって前記ひだ付きリボンの中の繊維が隣接する繊維とある程度融合した。繊維配向の方向を示すマークを各プレート上に付けた。この工程で部分的に融合した約2.5”x 2.25” x 0.45”(6.4cm x 5.72cm x 1.14cm)のプレートを全体で8個得た。そのようにして生じさせたある程度融合した8個のプレートを互いの上にプレート全部の中の繊維配向が同じ方向になることを確保しながら積み重ねた。その積み重ね全体を対流オーブンに入れて85℃に60分間加熱した。その加熱したプレート積み重ね品を前記オーブンから取り出した後直ちに前以て加熱しておいた2枚のアルミ板の間に挟んだ後、加熱したCarver油圧プレスの間で圧縮した。そのプレスの温度を85Cに設定しかつ圧縮圧力を15psi(0.10MPa)にした。30分間の圧縮後、前記油圧プレスのヒーターを切り、そしてその積み重ね品を15psi(0.10MPa)の圧縮圧力下に置きながら室温になるまで冷却した。その予合併させておいたプレートの積み重ね品を圧縮する過程でそれらが融合することで、寸法が2.5”x 2.25” x 1.99”(6.4cm x 5.72cm x 5.05cm)で密度が0.83g/cmの単一ブロックが生じた。帯鋸を用いて前記ブロックの形を整えることで1.98”x 1.98”x 1.99”(5.03cm x 5.03cm x 5.05cm)の最終
寸法にした。その時点のブロックの重量は105.7gであった。
【0089】
その予合併させておいたブロックを金属製鋳型の空洞部の中に前記ブロックの中の配向している繊維の方向が前記鋳型空洞部の垂直壁に対して垂直になるように入れた。その鋳型空洞部は2.0”x 2.0”(5.08cm x 5.08cm)平方でありかつ高さは5”(13cm)であった。2個の金属製ラムを前記鋳型空洞部の開放末端部の上に前記予合併させておいた重合体ブロックを挟むように置いた。前記鋳型をCarver油圧プレスの間に置いた後、前記ラムに1000psi(6.9MPa)の圧力をかけた。次に、密に合致する円形のWatlowバンドヒーターを前記鋳型の回りに巻くことで前記鋳型の外側壁を加熱した。前記鋳型の温度を前記鋳型の壁の中に挿入しておいた熱電対で測定しかつ前記鋳型の温度を温度制御装置で制御した。前記ヒーターのスイッチを入れた後、前記熱電対が95℃に安定になるに要した時間は40分であった。前記重合体ブロックを前記温度および1000psi(6.9MPa)の圧力下に2時間保持した後、前記ヒーターのスイッチを切って、前記ブロックを1000psi(6.9MPa)の圧力下に置きながら冷却した。前記ブロックが室温になるまで冷えた時点で、それを鋳型空洞部から取り出した。このブロックの最終寸法は2.0”x 2.0” x 1.64”(5.08cm x 5.08cm x 4.17cm)であった。このブロックの密度は推定で0.98g/cmであった。密度がそのような密度であることは、前記ブロックが完全に合併されていて前記ブロックの中に空隙がほとんどか或は全く存在しないことを示している。
【0090】
その完全に合併させたブロックからいろいろな厚みの薄いフィルムを図7に示すようにして薄く剥ぎ取った。この特別な用途の目的で改造しておいたBridgeport垂直フライス盤を用いてフィルムを薄く剥ぎ取った。Delaware Diamond Knifeが製造しているウエッジタイプの炭化タングステン製ブレードであるHB971を切断具(22)として用いた。切断面を前記固形の重合体ブロックを生じさせる時に用いた繊維の配向軸に対して垂直にした。被加工品の表面とブレードの間の角度を20度に固定した。切断速度を100インチ/分(254cm/分)にした。そのブレードを切断表面の面に沿って被加工品に対して45度の角度の方向に動かした(図7を参照)。角度をそのような角度にすることでスライシング(slicing)とプローイング(plowing)の両方のベクターが生じた。その薄く剥いだフィルムの大きさは2.0”x 1.64”(5.08cm x 4.17cm)であった。厚みが下記の如く異なる3種類のフィルムサンプルを得た:0.002”(51μm),0.004”(102μm)および0.006”(152μm)。
【0091】
薄く剥ぎ取ったフィルムサンプルを濃蟻酸(90重量%)の中に5−10分間浸けた。蟻酸によって各フィルムの中のElvamide(R) 8061ナイロンマルチポリマー樹脂相が溶解して出て行くことで微多孔膜が生じた。Elvamide(R) 8061ナイロンマルチポリマー樹脂相が溶解する前および溶解した後のフィルムサンプルの重量を測定した。重量分析により、Elvamide(R) 8061ナイロンマルチポリマー樹脂相はフィルムの約30重量%であることが分かった。そのElvamide(R) 8061ナイロンマルチポリマー樹脂の密度は1.07g/cmである。従って、その膜の間隙率は推定で28%であった。そのようにして生じさせた膜サンプルに走査電子顕微鏡(SEM)を用いた分析を受けさせた。SEM画像により、前記膜の中に円柱形の孔が存在することが分かった(図8を参照)。SEM画像により、また、その膜サンプルの中にはピンホールも他の欠陥も存在しないことが分かった。SEM画像の解析[National Institute of Health(Bethesda,MD)が開発した画像解析ソフトウエア NIH 1.62]により、前記膜の平均孔径は9.8μmであることが分かった。この実施例の微多孔膜にまたフロースルーキャピラリープロモーター(flow through capillary porometer)[Porou
s Materials Inc.(Ithaca,NY)が供給]を用いた特徴付けも受けさせた。プロモーターの結果としてもたらされた平均フローポア(flow pore)直径は11.4μmであった。
【実施例2】
【0092】
この実施例には、一方向ファブリックにひだを付けた後に合併させることを通して固形ビレットを生じさせることを記述する。
【0093】
Surlyn(R) 8150樹脂のシースとElvamide(R) 8061 ナイロンマルチポリマー樹脂のコアを有するシース−コア繊維の紡糸を実施例1に記述した如く実施した。そのシース−コア繊維を平織りで一方向ファブリックに織った。そのファブリックのカンウト数は5 x 35.6であり、それの幅は18 3/16インチ[46.2cm]でありかつそれの重量は5.913オンス/平方ヤードであった。その一方向ファブリックを繊維の方向に沿って切断することで幅が2.5”(6.4cm)で長さが約18”(46cm)のファブリックリボンを数個生じさせた。次に、実施例1に記述した方法と同じ方法を用いて、各リボンを手でそれ自身の上に繰り返し距離が2.25”(5.72cm)になるように折り畳むことでひだを生じさせた。ひだ付けを繊維の方向に沿って実施した。そのようにひだを付けた4個のリボンを互いの上に積み重ねた後、8.5ポンドのの重量下90℃で30分間圧縮することで一緒に連結させた。それによって密度が0.42g/cmの予合併プレートがもたらされた。前記予合併プレートを互いの上に積み重ねた後、油圧プレスを用いて90℃の温度で60psi(0.41MPa)の圧力をかけることで一緒に連結させた。その結果としてもたらされたブロックの密度は0.95g/cmであった。そのブロックの形を整えることで寸法をおおよそ2.0” x 2.0” x 2.17”(5.1cm x 5.1cm x 5.51cm)にした後、金属製鋳型(実施例1に記述した如き)の中に入れて95℃の温度および1000psi(6.9MPa)の圧力で更に合併させた。その結果としてもたらされたブロックの密度は1.0g/cmでありかつ完全に合併していた。
【0094】
実施例1および2では、ある程度合併させておいた繊維リボンおよび一方向織りファブリックにひだを手で付けた。また、ひだ付けおよび合併を自動化した機械を用いてずっと速い速度で連続的に実施することも可能である。商業的方法では、予合併繊維ビームまたは一方向織りファブリックの連続シートを連続的に加熱ゾーンの中に送り込んでもよく、その中で前記シートを所望温度に加熱する。次に、その加熱されたシートを取り出して商業的振動ナイフひだ付け機、例えばJCEM GmbH(スイス)が製造している機械などに通してもよい。その機械を用いて前記シートの中に所望の幅のひだを生じさせる。次に、そのひだを付けたシートを加熱スタファーボックス(stuffer box)に送ってもよく、その中で、個々のひだを先行するひだに対して所望の力で押し付けることになるであろう。そのスタファーボックスの中の高温高圧によってそれらを一緒に連結させることで固形シート構造物(この中の繊維はシートの面に対して垂直に走りかつシートの厚みはひだの幅に等しい)を生じさせることができるであろう。次に、その固体を所望の形状に切断した後、それを高温高圧で更に合併させることで薄削り用のFOE ビレットを生じさせることができる。
【実施例3】
【0095】
自動化ひだ付け機を用いた一方向ファブリックのひだ付けそして合併
実施例2に記述した一方向ファブリックを自動化振動ナイフひだ付け機に送った。ひだ付け速度を1分当たり30個のひだに設定しかつひだの高さを0.5”(1.27cm)に設定した。同じ機械を用いて、その結果としてもたらされたひだを最も近くに位置するひだと連続的に結合させた。結合させる時の温度を80℃にしそしてかける圧力を30psiにした。その結果としてもたらされた合併構造物は幅が18”で厚みが0.5”であ
った。
【実施例4】
【0096】
融合させた台形断片の回転式薄削りによる連続膜の製造
台形の組み立てを図4、5および6に示す。FOEブロックを実施例1に記述したようにして生じさせた。そのブロックに機械加工を通常の機械加工技術を用いて受けさせることで台形にした。前記ブロックに機械加工を繊維が台形の平行表面内に対して垂直になるようにそれらを配向させる様式で受けさせた。その台形の角のある表面を平行な表面に対して60度の角度で機械加工した。台形ブロックの各々の寸法は最も長い辺L(図4A)に沿って2インチ(5cm)でありかつ厚みは2“(5cm)であった。各々を完全に組み立てるには6個の台形ブロックが必要である。
【0097】
各ブロックの2個の角のある表面にキャッピングフィルム(capping film)を接着させた。前記フィルムを付着させる方法を図4Bに示す。キャッピングフィルム9は厚みが0.005”(127μm)のSurlyn(R) 樹脂フィルム製であった。底プラテンを加熱しておいた油圧プレスを用いて前記フィルムを結合させることでブロックを生じさせた。前記底プラテン11を100℃に加熱した。厚みが0.005”(127μm)のKapton(R) ポリイミドフィルムのシートを前記底プラテンの上に置くことでそれを剥離層10として作用させた。キャッピングフィルム9のシートをKapton(R) ポリイミドフィルムの上部に置くことで高温にしたが、それに要した時間は約5秒であった。前記台形ブロックを前記フィルムの上に一方の角のある表面が前記フィルムと接触するように置いた。前記ブロックを前記フィルムに600ポンド(2.7キロニュートン)の力で押し付けることで200psi(1.4MPa)の結合圧力を生じさせた。その圧力を60秒間保持した。この工程をもう一方の角のある表面に関しても繰り返しかつ残りの5個の台形に関しても繰り返した。
【0098】
次に、その個々の台形をBranson振動溶着機であるModel Kiefel 240Gで一緒に溶着させた。この機械には、垂直方向に固定されていて水平方向に振動する上方のプラテンが備わっている。前記下方のプラテンは垂直に動くが、水平方向に固定されている。前記台形を溶着させて円柱形ビレットを生じさせる段階を2段階で実施した。最初に3個の台形を一緒に溶着させることで3つ組を生じさせた(図5A)。次に、2個の3つ組を一緒に溶着させることで最終的なビレットを生じさせた(図5B)。
【0099】
3つ組を生じさせる時、前記下方のプラテンに固定しておいた特殊に考案した固定具の中に2個の台形を入れた。その固定具で前記2個の台形をそれらが溶着工程中に動かないようにしっかりと固定した。各台形を一方の角のある表面が水平になりかつもう一方の角のある表面が3番目の台形を前記2個の台形の間にぴったりと合致させることができるように位置するように配向させた(図5A)。
【0100】
前記台形を前記固定具にしっかりと固定した後、前記下方のプラテンを上昇させることで前記台形を接触させ、それらを1800ポンド(8.0キロニュートン)の力で一緒に押し付けたが、その結果としてもたらされた結合圧力は130*psi(0.90MPa)であった。上方の台形を60Hzにおいて0.070”(1.8mm)の振幅で10*秒間振動(図5A、振動の方向はページを出入りする方向である)させることで3個の台形をその時点で溶着させて3つ組を生じさせた。2番目の組の台形を同じ方法に従って一緒に溶着させた。
【0101】
次に、前記台形を溶着させる時に用いた振動溶着機と同じ機械を用いて前記3つ組を一緒に溶着させた。特殊に考案した固定具を上方および下方のプラテンの上に取り付けることで、前記3つ組を溶着中しっかりと保持した。前記固定具を用いて前記3つ組を前記下
方のプラテンが上昇した時に各3つ組の角のある表面が互いに接触するような様式で保持した。
【0102】
前記3つ組を適切に位置させて固定した後、前記下方のプラテンを上昇させることで前記3つ組を互いに接触させた(図5B)。それらを1800ポンド(8.0キロニュートン)の力で一緒に圧縮したが、その結果としてもたらされた結合圧力は257psi(1.77MPa)であった。前記上方の3つ組を60Hzにおいて0.070”(1.8mm)の振幅で13秒間振動させた。その時点で前記3つ組が溶着して単一のビレット23になったが、これは、各々の繊維が主に半径方向に配向している6個の台形で構成されていた。
【0103】
そのビレットの中心部に直径が1.0”(2.54cm)の穴を開けた。特殊に加工したスピンドル24のデザインは、ビレット23を溶着溶着連結部に過度の負荷がかからないように駆動させるデザインであった。そのスピンドルを直径が1.0”の穴の中にぴったり固定し、そしてプレート25をビレットにボルトで留めることでそれを駆動させた(図9A)。前記スピンドルを標準的金属加工旋盤の中に入れた。薄剥ぎ用ナイフを前記旋盤の刃物台に取り付けた。前記ナイフは鋭利な炭化タングステン製刃を36゜の角度で有していた。それを8°の逃げ角で取り付け(図9B)。前記ビレットを17rpmで回転させながら前記ナイフを1回転当たり0.002”(51μm)で送り込んだ。それによって0.002”(51μm)の最終的フィルム厚がもたらされた。
【実施例5】
【0104】
この実施例は、内側シースと外側シースを有する中空繊維から膜を生じさせる例であり、この例では、前記外側シースが熱で融合してマトリクスになる一方で前記内側シースは中空形状の孔を保持する。この実施例ではまた孔がいろいろな断面形状を持ち得ることも示す。前記繊維の外側シースはNucrel(R)0411HS エチレン共重合体、即ちDuPontが製造している熱可塑性エチレンメタアクリル酸共重合体であり、そして前記内側シースは3.14 IV ポリカプロラクタムであり、それらの比率をそれぞれ40/60にした。出発繊維の断面を示す顕微鏡写真を図12Aに示す。
【0105】
前記繊維を45デニールの10繊維ヤーンとしてボビンの上に3500メートル/分で巻き付けた。米国特許第5,439,626の図6Aおよび4Bに示されているようにして、紡糸口金に重合体を255℃で同心シース−コア重合体形態物がオリフィスを通るように供給した。次に、それらのヤーンを前記ボビンから取り出して、本質的に平行に整列させ、長方形のスロットの中に入れ、前記スロットの中に入っているバーを用いて約120℃および780psiで圧縮した後、冷却することでブロックを生じさせた。膜の薄削りを繊維軸に対して約90度の角度で実施し、顕微鏡写真を図12Bに示す。その結果として得た膜は、この膜を曲げるか或は伸ばした時に非弾性孔が一定の寸法を保持している柔軟性のある膜であった。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】図1は、ひだ付け、融合そして薄削り工程を例示する本発明の1つの態様の図式図である。
【図2】図2は、ひだの深さを調整することで薄い固体を生じさせることを示す図式図である。
【図3】図3は、合併マットを切断し、積み重ねそして台形を成形することでビレットを生じさせることを示す図式図である。
【図4】図4は、台形断片へのキャッピングフィルムの取り付けを示す図式図である。
【図5】図5は、3個の台形を合併させて3つ組(5A)を生じさせそして2個の3つ組を合併させて六角形(5B)を生じさせることを示す図式図である。矢印は鋳型が動く方向を示す。
【図6】図6は、実施例1で用いた紡糸ラインの図式図である。
【図7】図7は、実施例1で用いた薄削り工程の図式図である。
【図8】図8に、実施例1で生じさせた多孔質膜の走査電子顕微鏡写真を3倍の倍率で示す。
【図9】図9は、図5に示したように6個の台形断片を合併させることで生じさせたビレットの回転式薄削りを側面および真横から見た図式図である。
【図10】図10は、積み重ねて融合させた繊維マットから生じさせた薄削り用円柱形ビレットに固形キャッピングフィルムを2つの方向に取り付けた状態[前方の末端キャップは見えるが後方は見えない]を示す図式図である。また、前記ビレットの回りのウエーハの間に位置していて前記ビレットを横切るように貫く固形キャッピングフィルムも示す。
【図11】図11は、図10に示したビレットを生じさせる目的で積み重ねる数多くの断片の中の1つである融合繊維の環状扇形を示す図式図である。
【図12】図12に、内側シースと外側シースを有する中空繊維(12A)およびこれらから生じさせたファイバーオンエンド膜(12B)の断面を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイバーオンエンド材料の製造方法であって、下記の逐次的段階:
a. 多数の繊維を互いに平行に配列させ、
b. 前記繊維を互いに平行に維持しながら前記繊維を連続的に融合または結合させることでリボンまたはファブリックを生じさせ、
c. 前記リボンまたはファブリックを連続的に折り畳むか或はそれらにひだを付け、
d. 前記折り畳んだか或はひだを付けたリボンまたはファブリックを圧縮しかつ融合させることで固体を生じさせ、そして
e. 前記固体から所望の厚みのファイバーオンエンド材料を薄く剥ぐ、
段階を含んで成る方法。
【請求項2】
オンエンドに配列させた繊維から製品を製造する方法であって、下記の逐次的段階:
a. 多数の繊維を互いに平行に配列させ、
b. 前記繊維を回転ロールの上に巻き、
c. 前記ロールを所望の厚みの繊維材料が蓄積するに充分な時間回転させ、
d. 前記蓄積させた繊維材料を前記繊維が互いに少なくともある程度融合するまで加熱し、
e. 前記少なくともある程度融合した繊維材料を周囲の温度になるまで冷却し、
f. 前記少なくともある程度融合した繊維材料を細長く切り、
g. 前記細長く切った材料を前記冷えたロールから取り出し、
h. それを平らにすることでリボンまたはマットを生じさせ、
i. 場合により、aからhの段階を繰り返すことで追加的リボンまたはマットを生じさせてもよく、
j. 前記リボンまたは1個以上のリボンまたはマットから切り取った部分を含んで成る積み重ね品を生じさせ、
k. 前記積み重ね品を圧縮かつ融合させることで固体を生じさせ、そして
l. 前記固体から所望の厚みのファイバーオンエンド材料を薄く剥ぐ、
段階を含んで成る方法。
【請求項3】
ファイバーオンエンド材料の製造方法であって、下記の逐次的段階:
a. 融合またはある程度融合した繊維をオンエンドに含んで成る成形ビレットを生じさせ、
b. 前記繊維が台形部分の底辺に実質的に垂直に配向するように前記ビレットから台形部分を切り取り、
c. 前記台形部分を一緒に溶着させることで断面が2個の同心多角形であるビレットを生じさせ、
d. 段階cで生じさせたビレットをスピンドルの上に置き、
e. 前記ビレットを連続的に回転させ、そして
f. 前記連続的に回転しているビレットから所望の厚みのファイバーオンエンド材料を薄く剥ぐ、
段階を含んで成る方法。
【請求項4】
ファイバーオンエンド材料の製造方法であって、下記の逐次的段階:
a. 融合またはある程度融合した繊維をオンエンドに含んで成る成形ビレットを生じさせ、
b. 前記繊維が環状扇形の外側弧に実質的に垂直に配向するように前記ビレットから環状扇形を切り取り、
c. 前記環状扇形を一緒に溶着させることで断面が2個の同心円である円柱形ビレットを生じさせ、
d. 段階cで生じさせたビレットをスピンドルの上に置き、
e. 前記ビレットを連続的に回転させ、そして
f. 前記連続的に回転しているビレットから所望の厚みのファイバーオンエンド材料を薄く剥ぐ、
段階を含んで成る方法。
【請求項5】
互いに平行に配列して融合している多数の繊維を含んで成るビレットから所望の厚みの材料を薄く剥ぐことで作られたファイバーオンエンド材料であって、前記ビレットを調製または薄く剥ぐ時の少なくとも1つの段階を連続様式で実施しかつ場合により前記繊維の成分を溶解させる目的でその薄く剥いだ材料を溶媒と接触させることで作られたファイバーオンエンド材料。
【請求項6】
多孔質膜またはキャピラリーアレイである請求項5記載のファイバーオンエンド材料。
【請求項7】
請求項5記載のファイバーオンエンド材料を含んで成る製造品。
【請求項8】
適応膜構造物である請求項7記載の製造品。
【請求項9】
衣料品または保護被覆材である請求項7記載の製造品。
【請求項10】
流体中の種にアフィニティー分離を受けさせる方法であって、前記流体をこの流体から精製または除去する必要のある特定の生物学的および化学的種と選択的に結合する活性もしくは反応性化学種をキャピラリーの壁に沿って含有させておいた請求項2記載の少なくとも1種のファイバーオンエンドキャピラリーアレイのキャピラリーに通して流すことを含んで成る方法。

【図3】
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【図11】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−88622(P2008−88622A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−198022(P2007−198022)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】