説明

ファイル受付システム、ファイル受付方法及びファイル受付プログラム

【課題】システムの負荷分散を図りながら、効率的に取引ファイルを受信するためのファイル受付システム、ファイル受付方法及びファイル受付プログラムを提供する。
【解決手段】受付サーバ20の制御部21は、振込依頼ファイルの受入処理を実行し、緊急性を判断する。残り時間が時間基準値未満の場合には、ファイルサイズ、処理システム30の負荷状態情報を取得し、即時一括転送処理或いは分割転送処理を実行する。一方、残り時間が時間基準値以上の場合には、振込指定日の余裕度を判断し、優先順位転送処理或いは夜間転送処理を実行する。夜間転送を行なう場合には、顧客優遇処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して処理対象ファイルを受信するためのファイル受付システム、ファイル受付方法及びファイル受付プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、各種データを、ネットワークを介して相手方に送信することにより各種イベントを実行させることが多い。例えば、金融機関においても、従来、金融機関に対する口座振替依頼データを磁気テープに記録して提供していたが、公衆回線等のネットワークを介して送信することが多くなっている。金融機関では、受信した口座振替依頼データに基づいて振替処理を実行する。
【0003】
この口座振替依頼の量は、時期によって変動する。例えば、金融取引が多くなる月末等においては、口座振替依頼データの送信が集中することがある。そこで、このような処理の集中を分散させるための処理対象ファイル受付方法が検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。この文献記載の技術では、管理システムの管理コンピュータは、複数のクライアント端末に接続されている。管理コンピュータは、高い優先度の依頼をクライアント端末から受信すると、処理能力が飽和しているか否かを判断する。処理能力が飽和している場合には、管理コンピュータは、処理中の低い優先度の依頼の処理を保留するための割込処理を行なう。この場合、管理コンピュータは、優先度の低い依頼を行ったクライアント端末に待ち時間を通知し、高い優先度の依頼の処理を実行する。保留されたクライアント端末は、待ち時間経過後に、再度、処理依頼を送信する。
【特許文献1】特開2005−107581号公報(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような振込依頼の中には金融機関への送信期限が設定されているものがある。更に、この期限との関係で急いで処理しなければならない場合もあれば、比較的に余裕がある場合もある。
【0005】
上述の特許文献1の技術においては、処理の集中を分散させるために優先度を用いており、優先度の低い依頼については保留され、待ち時間経過後に、再送信する必要がある。この場合、クライアント端末において処理負荷が大きくなる場合がある。また、管理システム側の制御も複雑になる。
【0006】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされ、その目的は、システムの負荷分散を図りながら、効率的に処理対象ファイルを受信するためのファイル受付システム、ファイル受付方法及びファイル受付プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、クライアント端末と処理システムとを中継する制御手段と、処理種別に対して、処理指定日に処理を行なうための処理時限を記録した時限情報記憶手段と、前記処理システムの通常負荷基準値を記録した負荷基準情報記憶手段とを備えたファイル受付システムであって、前記制御手段が、前記クライアント端末から処理対象ファイル及び処理指定日に関するデータを受信する手段、前記時限情報記憶手段を用いて、前記処理対象ファイルについての処理種別に応じて、前記処理指定日に処理を行なうための時限を特定する手段、前記処理対象ファイルのファイルサイズを特定する手段、前記処理指定日に処理を行なうための時間余裕が時間基準値より短
い場合には、前記処理システムの負荷状態情報を取得し、この負荷状態情報に基づいて、前記ファイルサイズのファイルを転送した場合の前記処理システムの負荷予測値を算出し、この負荷予測値が前記負荷基準情報記憶手段に記録された通常負荷基準値を超えない場合には、前記処理対象ファイルを前記処理システムに転送する転送制御手段を備えたことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のファイル受付システムにおいて、前記処理システムの負荷上限を記録した上限情報記憶手段を更に備え、前記転送制御手段は、前記負荷予測値が通常負荷基準値を超える場合には、前記負荷上限を超えない範囲で前記処理対象ファイルを分割して転送することを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のファイル受付システムにおいて、処理対象ファイルを蓄積する転送ファイル記憶手段を更に備え、前記時間余裕が時間基準値より長い場合には、優先度を付与して前記転送ファイル記憶手段に蓄積し、前記転送制御手段は、前記優先度に応じて前記処理対象ファイルを前記処理システムに転送することを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のファイル受付システムにおいて、前記転送制御手段は、前記転送ファイル記憶手段において、前記通常負荷基準値を超えない範囲のファイルサイズの処理対象ファイルを特定して前記処理システムに転送することを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載のファイル受付システムにおいて、利用者識別子に対して特典量を蓄積する特典情報記憶手段を更に備え、前記制御手段が、前記処理対象ファイルの送信者の利用者識別子を特定し、優先度が低い処理対象ファイルの送信者に対して付与する特典量を算出し、前記利用者識別子に関連付けて、この特典量を前記特典情報記憶手段に記録する特典管理手段を更に備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、クライアント端末と処理システムとを中継する制御手段と、処理種別に対して、処理指定日に処理を行なうための処理時限を記録した時限情報記憶手段と、前記処理システムの通常負荷基準値を記録した負荷基準情報記憶手段とを備えたファイル受付システムを用いて、ファイルの受付処理を行なう方法であって、前記制御手段が、前記クライアント端末から処理対象ファイル及び処理指定日に関するデータを受信する段階、前記時限情報記憶手段を用いて、前記処理対象ファイルについての処理種別に応じて、前記処理指定日に処理を行なうための時限を特定する段階、前記処理対象ファイルのファイルサイズを特定する段階、前記処理指定日に処理を行なうための時間余裕が時間基準値より短い場合には、前記処理システムの負荷状態情報を取得し、この負荷状態情報に基づいて、前記ファイルサイズのファイルを転送した場合の前記処理システムの負荷予測値を算出し、この負荷予測値が前記負荷基準情報記憶手段に記録された通常負荷基準値を超えない場合には、前記処理対象ファイルを前記処理システムに転送する転送制御段階を実行することを要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、クライアント端末と処理システムとを中継する制御手段と、処理種別に対して、処理指定日に処理を行なうための処理時限を記録した時限情報記憶手段と、前記処理システムの通常負荷基準値を記録した負荷基準情報記憶手段とを備えたファイル受付システムを用いて、ファイルの受付処理を行なうためのプログラムであって、前記制御手段を、前記クライアント端末から処理対象ファイル及び処理指定日に関するデータを受信する手段、前記時限情報記憶手段を用いて、前記処理対象ファイルについての処理種別に応じて、前記処理指定日に処理を行なうための時限を特定する手段、前記処理
対象ファイルのファイルサイズを特定する手段、前記処理指定日に処理を行なうための時間余裕が時間基準値より短い場合には、前記処理システムの負荷状態情報を取得し、この負荷状態情報に基づいて、前記ファイルサイズのファイルを転送した場合の前記処理システムの負荷予測値を算出し、この負荷予測値が前記負荷基準情報記憶手段に記録された通常負荷基準値を超えない場合には、前記処理対象ファイルを前記処理システムに転送する転送制御手段として機能させることを要旨とする。
【0014】
(作用)
請求項1、6又は7に記載の発明によれば、制御手段が、クライアント端末から処理対象ファイルを受信し、時限情報記憶手段を用いて、処理対象ファイルについての処理種別に応じて、前記処理指定日に処理を行なうための時限を特定する。更に、処理対象ファイルのファイルサイズを特定する。ここで、処理指定日に処理を行なうための時間余裕が時間基準値より短い場合には、処理システムの負荷状態情報を取得する。そして、この負荷状態情報に基づいて、ファイルサイズのファイルを転送した場合の処理システムの負荷予測値を算出し、この負荷予測値が負荷基準情報記憶手段に記録された通常負荷基準値を超えない場合には、処理対象ファイルを処理システムに転送する。これにより、処理システムの負荷を考慮しながら、処理時限までの時間余裕に応じて処理対象ファイルを転送することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、転送制御手段は、負荷予測値が通常負荷基準値を超える場合には、負荷上限を超えない範囲で処理対象ファイルを分割して転送する。処理対象ファイルの分割により、処理システムの負荷を軽減しながら処理対象ファイルを転送することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、時間余裕が時間基準値より長い場合には、優先度を付与して転送ファイル記憶手段に蓄積し、転送制御手段は、優先度に応じて処理対象ファイルを処理システムに転送する。これにより、各処理対象ファイルの状況を考慮するとともに、処理システムの負荷分散を図りながら、処理対象ファイルを転送することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、転送ファイル記憶手段において、通常負荷基準値を超えない範囲のファイルサイズの処理対象ファイルを特定して処理システムに転送する。これにより、負荷状態を考慮しながら一括して処理対象ファイルを効率的に転送することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、制御手段が、処理対象ファイルの送信者の利用者識別子を特定し、優先度が低い処理対象ファイルの送信者に対して付与する特典量を算出する。そして、利用者識別子に関連付けて、この特典量を特典情報記憶手段に記録する。これにより、利用者に対して余裕を持って処理対象ファイルを送信させる動機付けを行なうことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、システムの負荷分散を図りながら、効率的に処理対象ファイルを受信するためのファイル受付システム、ファイル受付方法及びファイル受付プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
本実施形態では、預金口座振替、総合振込、給与振込、賞与振込等の振込依頼者から振込依頼ファイルを受け付ける場合のファイル受付方法及びファイル受付プログラムとして説明する。本実施形態では、図1に示すように、クライアント端末10から振込依頼ファ
イル(処理対象ファイル)を受付サーバ20で受信し、金融機関のホストシステム(処理システム30)において振込依頼の取引処理を実行する。
【0021】
クライアント端末10は、振込依頼者(ここでは、金融機関の顧客)が使用するコンピュータ端末であり、図示しないCPU、RAM及びROM等を備える。そして、振込依頼ファイルを送信するための依頼処理プログラムを実行する。
【0022】
更に、クライアント端末10は、ディスプレイ等の出力手段、キーボード及びポインティングデバイス等の入力手段を備えている。そして、振込依頼者は、ディスプレイに表示された画面を閲覧しながら、キーボードやポインティングデバイスを用いて、転送する振込依頼ファイルを指定する。
【0023】
更に、クライアント端末10は、ファイル記憶部を備えており、受付サーバ20に転送する振込依頼ファイルが記憶されている。本実施形態では、ファイル記憶部に記憶されているファイルは、口座振込を行なうために定められた所定のフォーマットで構成される。そして、このファイルは、ファームバンキングサービスにおいて利用されている公知の伝送シーケンスによって送信される。
【0024】
この伝送シーケンスは、通信制御電文(開局)、ファイル制御電文(開始)、振込依頼ファイル、ファイル制御電文(終了)、通信制御電文(閉局)の各送信と、これに対応する応答によって行なわれる。この振込依頼ファイルは、同じ属性の1又は複数のレコード(給与振込データや総合振込データ等)から構成される。
【0025】
通信制御電文は、電文区分、処理結果、相手センタ確認コード、当方センタ確認コード、通信時刻(年月日時分秒)、パスワード、アプリケーションID、モードの各エリア及び拡張用エリアから構成される。ここで、相手センタ確認コード、当方センタ確認コードの各エリアには、双方の正当性を確認するための通信セキュリティチェックのために利用されるセンタコードやCPU/端末コードに関するデータが記録される。また、パスワードエリアには開局時のセキュリティチェックのために用いられる認証コードに関するデータが記録される。
【0026】
ファイル制御電文は、電文区分、処理結果、ファイル名、ファイルアクセスキー、テキスト数、レコード数、レコードID、レコード長、再送指定区分、データ圧縮IDの各エリア及び拡張用エリアから構成される。ここで、レコード数エリアには、同一ファイルに含まれる総レコード数に関するデータが記録される。また、ファイル名エリアには、全国銀行協会によって定められた「全銀協規定ファイル名」を用いて指定されたデータが記録される。「全銀協規定ファイル名」に含まれる区分コードによって、預金の出入りに関する連絡データ、振込、振替の依頼に関するデータ、融資関係データ、財形関係データ、外為関係データの取引種別を特定することができる。
【0027】
更に、振込依頼ファイルは、ヘッダーレコード(H)、データレコード(D)、トレーラレコード(T)、エンドレコード(E)から構成されている。ヘッダーレコード(H)とトレーラレコード(T)とは、振込依頼についてのデータレコード(D)の開始と終了とを特定するためのレコードである。エンドレコード(E)は、振込依頼ファイル終了を特定するためのレコードである。
【0028】
処理システム30は、クライアント端末10から受信した振込依頼ファイルに応じて各種取引処理を実行する。
この処理システム30には、図1に示すように、受付サーバ20が接続される。この受付サーバ20は、クライアント端末10から受信したデータを処理システム30に中継す
る制御を行なう制御部21を備える。
【0029】
この制御部21は、クライアント端末と処理システムとを中継する制御手段(CPU、RAM及びROM等)として機能し、後述する処理(処理対象ファイル受信段階、時限特定段階、ファイルサイズ特定段階、転送制御段階、転送可否判断段階、処理対象ファイルの分割転送段階、優先順位の付与段階、特典記憶段階を含む処理)を行なう。このため、ファイル受付プログラムを実行することにより、制御部21は、ファイル受信手段211、制御情報検出手段212、ファイルサイズ取得手段213、転送制御手段214、負荷状況監視手段215及び特典管理手段216として機能する。
【0030】
ここで、ファイル受信手段211は、クライアント端末10から振込依頼ファイルを受信する。
制御情報検出手段212は、クライアント端末10から受信した振込依頼ファイルについての取引種別コードや顧客コードを取得し、転送制御手段214に供給する。
【0031】
ファイルサイズ取得手段213は、振込依頼ファイルのサイズを特定し、転送制御手段214に供給する。
転送制御手段214は、振込依頼ファイルについて、取引種別コードや顧客コード、振込指定日、時限、ファイルサイズに応じて、処理システム30に対する転送制御を実行する。
【0032】
負荷状況監視手段215は、処理システム30の負荷状況情報を取得し、転送制御手段214に供給する。
特典管理手段216は、利用者に対して付与する特典量を管理する。
【0033】
更に、受付サーバ20は、取引顧客データ記憶部22A、取引条件データ記憶部22B、取引契約データ記憶部22C、受付ファイル記憶部23、緊急転送ファイル記憶部24、優先転送ファイル記憶部25、夜間転送ファイル記憶部26を備えている。ここで、取引顧客データ記憶部22Aは特典情報記憶手段として機能する。取引条件データ記憶部22B、取引契約データ記憶部22Cは、処理時限を記録した時限情報記憶手段として機能する。
【0034】
取引顧客データ記憶部22Aには、図2(a)に示すように、クライアント端末10を用いて振込依頼ファイルを送信する振込依頼者(取引顧客)に関する顧客管理レコードが記録される。この顧客管理レコードは、金融機関と顧客との間で、取引依頼を行なう場合のファイル転送についての契約を締結したときに記録される。顧客管理レコードは、顧客コード、確認コード、パスワード、取引条件コード及び優遇ポイント数に関するデータを含んで構成される。
【0035】
顧客コードデータ領域には、顧客を特定するための識別子(利用者識別子)に関するデータが記録される。この顧客コードは、取引契約データ記憶部22Cから「振込指定日に取引処理を完了するための条件(指定日処理条件)」を取得するために用いられる。例えば、財形貯蓄預金の取引依頼については、契約時に時限が定められている。
【0036】
確認コードデータ領域には、伝送シーケンスにおいて、通信相手を特定するための識別子(クライアント端末10の「当方センタ確認コード」)に関するデータが記録される。
パスワードデータ領域には、顧客と金融機関との間に事前に決められた認証情報であって、顧客の正当性を認証するためのパスワードに関するデータが記録される。このパスワードは、クライアント端末10から受信した通信制御電文に含まれるパスワードと照合するために用いられる。
【0037】
取引条件コードデータ領域には、顧客との間で取引を行なう場合の条件を特定するための識別子に関するデータが記録される。本実施形態では、この取引条件コードは、後述する取引条件データ記憶部22Bから「振込指定日に取引処理を完了するための条件(指定日処理条件)」を取得するために用いられる。例えば、総合振込である場合、各顧客を「当日振込先」、「振込内容確認先」等に識別するためのデータが記録される。ここで、「当日振込先」は、所定時間までに振込依頼を受けた場合には、当日に振り込むことを定めた取引先(顧客)である。「振込内容確認先」は、振込依頼後、顧客による内容確認を行なうために、振込指定日の前日の所定時間までに振込依頼を受けた場合には、振込指定日に振り込むことを定めた取引先である。
【0038】
優遇ポイント数データ領域には、余裕を持って振込依頼ファイルを送信した顧客に対して付与された優遇ポイント数(特典量)に関するデータが記録される。取引顧客には、この優遇ポイント数に応じて、手数料の減免等の特典が付与される。
【0039】
取引条件データ記憶部22Bには、図2(b)に示すように、取引種別に対応して指定日処理条件に関する取引条件レコードが記録される。取引条件レコードは、取引種別コード、取引条件コードに対して指定日処理条件に関するデータを含んで構成される。
【0040】
取引種別コードデータ領域には、取引依頼の種別を特定するための識別子に関するデータが記録される。
取引条件コードデータ領域には、顧客との間で取引を行なう場合の条件が設定されている場合には、この条件を特定するための識別子に関するデータが記録される。なお、特別の条件が設定されていない「通常扱い」については「通常」を特定するコードが記録される。
【0041】
指定日処理条件データ領域には、振込指定日に取引処理を完了するための条件に関するデータが記録される。この指定日処理条件を満足する場合には、振込指定日に処理を行なうための時限が設定されている。
【0042】
例えば、取引種別が「総合振込」については、以下のような条件が設定されている。
・取引条件コードが「当日振込先」の条件:「データ受信日=振込指定日当日」かつ「データ受信時刻<振込指定日当日の第1時刻までに受信」
・取引条件コードが「振込内容確認先」の条件:「データ受信日<振込指定日」かつ「データ受信時刻<振込指定日の前日の第2時刻までに受信」
また、取引種別が「給与・賞与振込」については、「データ受信日が振込指定日の2営業日前」かつ「データ受信時刻<振込指定日の2営業日前の第3時刻までに受信」のような条件が設定されている。
【0043】
取引契約データ記憶部22Cには、図2(c)に示すように、特定の取引種別について、顧客との個別契約で定められた指定日処理条件に関する取引契約レコードが記録されている。取引条件レコードは、顧客コード、取引種別コードに対して指定日処理条件に関するデータを含んで構成される。
【0044】
顧客コードデータ領域には、顧客を特定するための識別子に関するデータが記録される。
取引種別コードデータ領域には、取引依頼の種別を特定するための識別子に関するデータが記録される。
指定日処理条件データ領域には、振込指定日に取引処理を完了するための条件に関するデータが記録される。
【0045】
受付ファイル記憶部23には、クライアント端末10から受信した振込依頼ファイルが、一時的に格納される。
【0046】
緊急転送ファイル記憶部24は、処理システム30に緊急転送する振込依頼ファイルを蓄積する。この緊急転送ファイル記憶部24に蓄積される各振込依頼ファイルは、処理システム30に即時転送或いは分割転送される。
【0047】
優先転送ファイル記憶部25は、処理システム30に優先転送する振込依頼ファイルを蓄積する。この優先転送ファイル記憶部25に蓄積される各振込依頼ファイルには優先順位が記録されており、この優先順位に従って処理システム30に転送される。
【0048】
夜間転送ファイル記憶部26は、処理システム30に夜間転送する振込依頼ファイルを蓄積する。この夜間転送ファイル記憶部26に蓄積される各振込依頼ファイルは、夜間取扱時刻になった場合に処理システム30に転送される。
【0049】
本実施形態では、優先転送ファイル記憶部25、夜間転送ファイル記憶部26は、転送ファイル記憶手段として機能する。そして、優先順位を付与して優先転送ファイル記憶部25に記録したり、夜間転送ファイル記憶部26に記録したりすることにより、処理システムに転送するための優先度が決められる。
【0050】
更に、受付サーバ20は、後述する各処理において判断処理やパラメータ設定に用いる各種データを記憶した基本情報記憶部(図示せず)を備える。この基本情報記憶部は、負荷基準情報記憶手段、上限情報記憶手段として機能する。
【0051】
次に、以上のように構成された受付サーバ20において、振込依頼ファイルの受付処理を行なう場合についての手順を図3〜図4に基づいて説明する。
ファイル転送を行なう場合、まず、振込依頼者はクライアント端末10を用いて、受付サーバ20に対してログインのための処理を行なう。この場合、クライアント端末10は、受付サーバ20に対して、ネットワークを介して通信制御電文を送信する。この通信制御電文には、クライアント端末10の当方センタ確認コード及びパスワードを含める。
【0052】
通信制御電文を受信した受付サーバ20の制御部21は、ファイル受入処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、制御部21のファイル受信手段211は、受信した通信制御電文に含まれる当方センタ確認コード、パスワードを、取引顧客データ記憶部22Aを用いて確認する。そして、ファイル受信手段211は、通信制御電文に含まれる当方センタ確認コード、パスワードと、取引顧客データ記憶部22Aに記録されている確認コード、パスワードとが一致した場合には、通信セキュリティチェックを完了する。そして、クライアント端末10から受信した振込依頼ファイルを受付ファイル記憶部23に蓄積する。
【0053】
次に、受付サーバ20の制御部21は、直近の振込指定日及び時限の特定処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21の制御情報検出手段212は、ファイル制御電文のファイル名を用いて取引種別を特定する。また、制御情報検出手段212は、振込依頼ファイルの中のヘッダレコード(H)から振込指定日を取得する。更に、制御情報検出手段212は、ファイル制御電文の当方センタ確認コードに関連付けられている顧客コードを取引顧客データ記憶部22Aから取得する。そして、制御情報検出手段212は、取引種別、振込指定日及び顧客コードに関するデータを転送制御手段214に供給する。
【0054】
なお、本実施形態では、総合振込、給与振込、賞与振込の取引種別については、振込指定日及び時限に応じて処理を行なうが、預金口座振替については時限の確認は行なわず、すべて夜間転送処理を行なうものとする。
【0055】
次に、受付サーバ20の制御部21は、緊急性の判断処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部21の転送制御手段214は、制御情報検出手段212から取得した取引種別、振込指定日及び顧客コードに基づいて、取引条件データ記憶部22B或は取引契約データ記憶部22Cから時限を特定して緊急性を判断する。
【0056】
ここで、取引種別が総合振込の場合には、顧客コードに基づいて取引顧客データ記憶部22Aから取引条件コードを取得する。そして、転送制御手段214は、この取引条件コードに基づいて、取引条件データ記憶部22Bから指定日処理条件を取得する。この指定日処理条件に合致する場合に、振込指定日と時限とを特定する。例えば、取引条件コードが「当日振込先」の場合には、時限として当日振込可能な所定時刻(第1時刻)を取得する。取引条件コードが「振込内容確認先」の場合には、時限として振込指定日の前日の所定時刻(第2時刻)を取得する。
【0057】
一方、取引種別が財形貯蓄預金(依頼明細)の場合には、転送制御手段214は、顧客コードを用いて取引契約データ記憶部22Cから、振込指定日に対応する時限とを取得する。
【0058】
そして、振込依頼ファイルの受信時刻、及び振込依頼ファイルに付加された振込指定日に対して、データ受信日が取引顧客データ記憶部22Aに記録されている取引条件を満足するかどうかを照合し、データ受信時刻が取引条件データ記憶部22B或は取引契約データ記憶部22Cに記録されている時限を満足するかどうかを照合する。
【0059】
そして、転送制御手段214は、現在時刻から時限までの残り時間(時間余裕)を算出し、基本情報記憶部に記録されている時間基準値と比較する。
残り時間が時間基準値未満であり、緊急扱いの場合(ステップS1−3において「YES」の場合)には、受付サーバ20の制御部21の転送制御手段214は、緊急扱いとして、この受信ファイルを緊急転送ファイル記憶部24に記録する。
【0060】
そして、受付サーバ20の制御部21は、ファイルサイズ特定処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、制御部21のファイルサイズ取得手段213は、ヘッダーレコード(H)〜トレーラレコード(T)間のデータレコードのレコード数を取得し、転送制御手段214に供給する。なお、複数の振込依頼ファイルが含まれている場合には、すべての振込依頼ファイルのデータレコード(D)のレコード数の合計数を算出して、転送制御手段214に供給する。
【0061】
次に、受付サーバ20の制御部21は、処理システム30の負荷状態情報の取得処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、制御部21の負荷状況監視手段215は、処理システム30からCPUやメモリなどの現在の負荷状態についての情報(現在負荷値)を取得し、転送制御手段214に供給する。
【0062】
そして、受付サーバ20の制御部21は、受入可否判断処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、制御部21の転送制御手段214は、負荷状況監視手段215から取得した現在負荷状態において、ファイルサイズ取得手段213から取得したファイルサイズの振込依頼ファイルを処理システム30に転送した場合の負荷予測値を算出する。そして、転送制御手段214は、この負荷予測値と、基本情報記憶部に記録されている第1基準負荷値(通常負荷基準値)とを比較する。
【0063】
負荷予測値が第1基準負荷値よりも低い場合(ステップS1−6において「YES」の場合)には、受入可能と判断して、受付サーバ20の制御部21は、即時一括転送処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、制御部21の転送制御手段214は、緊急転送ファイル記憶部24に記録された振込依頼ファイルを、一括して処理システム30にそのまま転送する。
【0064】
一方、負荷予測値が第1基準負荷値よりも高い場合(ステップS1−6において「NO」の場合)には、受付サーバ20の制御部21は、負荷許容範囲内になるようにデータ分割処理を実行する(ステップS1−8)。具体的には、制御部21の転送制御手段214は、現在負荷値と、基本情報記憶部に記録されている第2基準負荷値との差分から、受入可能なレコード数を算出する。ここで、基本情報記憶部においては、第2基準負荷値は第1基準負荷値よりも高い値を設定しておく。そして、転送制御手段214は、負荷値の差分と受入可能なレコード数とを対応付けた許容量算出テーブルを用いて、受入可能なレコード数を算出する。この許容量算出テーブルも基本情報記憶部に記録されている。
【0065】
そして、受付サーバ20の制御部21は、分割転送処理を実行する(ステップS1−9)。具体的には、制御部21の転送制御手段214は、緊急転送ファイル記憶部24に記録された振込依頼ファイルを、受入可能なレコード数によって分割して、分割したファイルを処理システム30に転送する。
【0066】
一方、残り時間が時間基準値以上であり、緊急扱いでない場合(ステップS1−3において「NO」の場合)には、受付サーバ20の制御部21は、振込指定日の余裕度判断処理を実行する(ステップS1−10)。具体的には、制御部21の転送制御手段214は、振込指定日及び指定日処理条件に基づいて、振込処理日が翌日以降かどうかを判断する。
【0067】
振込指定日に余裕がない場合(ステップS1−10において「NO」の場合)には、受付サーバ20の制御部21は、優先順位を付与して蓄積処理を実行する(ステップS1−11)。具体的には、制御部21の転送制御手段214は、受付ファイル記憶部23に記録された振込依頼ファイルを優先転送ファイル記憶部25に記録する。本実施形態では、データ受信時刻が早い振込依頼ファイルに対して高い優先順位を付与する。
【0068】
そして、受付サーバ20の制御部21は、この優先転送ファイル記憶部25に記録された振込依頼ファイルについて、後述する優先順位転送処理を実行する(ステップS1−12)。
【0069】
一方、振込指定日に余裕がある場合(ステップS1−10において「YES」の場合)には、受付サーバ20の制御部21は、夜間転送ファイルとしての蓄積処理を実行する(ステップS1−13)。具体的には、制御部21の転送制御手段214は、受付ファイル記憶部に記録された振込依頼ファイルを夜間転送ファイル記憶部26に記録する。
【0070】
そして、受付サーバ20の制御部21は、顧客優遇処理を実行する(ステップS1−14)。具体的には、制御部21の転送制御手段214は特典管理手段216に対して夜間転送ファイルの蓄積を行なったことを通知する。そして、特典管理手段216は、振込依頼ファイルのレコード数と特典ポイント数とを対応付けた特典算出テーブルを用いて特典ポイント数を算出する。この特典算出テーブルも基本情報記憶部に記録されている。そして、特典管理手段216は、取引顧客データ記憶部22Aにおいて、この顧客コードに対応する顧客管理レコードに優遇ポイント数を加算する。
【0071】
そして、受付サーバ20の制御部21は、夜間転送処理を実行する(ステップS1−15)。具体的には、制御部21の転送制御手段214は、所定の夜間取扱時刻になった場合に夜間転送ファイル記憶部26に記録された振込依頼ファイルを処理システム30に転送する。
【0072】
(優先順位転送処理)
次に、優先順位転送処理について説明する。この優先順位転送処理は優先転送ファイル記憶部25に振込依頼ファイルが蓄積されている場合に実行される。この優先順位転送処理においては、優先転送ファイル記憶部25に記録された振込依頼ファイルを処理システム30に転送する処理が行なわれる。
【0073】
ここでは、まず、優先転送ファイル記憶部25において振込依頼ファイルの蓄積を検知した受付サーバ20の制御部21は、負荷状態情報の取得処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21の負荷状況監視手段215は、処理システム30からCPUやメモリなどの現在の負荷状態についての情報(現在負荷値)を取得し、転送制御手段214に供給する。
【0074】
次に、受付サーバ20の制御部21は、負荷余裕度の判断処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21の転送制御手段214は、負荷余裕度として、現在負荷値と第1基準負荷値との差分を算出する。現在負荷値が第1基準負荷値よりも高く、処理システム30の処理能力に余裕がない場合(ステップS2−2において「NO」の場合)、負荷状態情報の取得(ステップS2−1)を継続する。
【0075】
一方、現在負荷値が第1基準負荷値よりも低く、処理能力に余裕がある場合(ステップS2−2において「YES」の場合)、受付サーバ20の制御部21は、負荷余裕度に応じて受入可能サイズの特定処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21の転送制御手段214は、この差分に対応して、許容量算出テーブルから受入可能なレコード数(受入可能サイズ)を取得する。
【0076】
次に、受付サーバ20の制御部21は、受入可能サイズ、優先順位に基づいて蓄積ファイルの特定処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21の転送制御手段214は、受け入れ可能なレコード数以下の振込依頼ファイルであって、受信時刻が最も早いファイルを特定する。
【0077】
そして、受付サーバ20の制御部21は、蓄積ファイルの転送処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21の転送制御手段214は、特定した振込依頼ファイルを、処理システム30に転送する。
【0078】
そして、受付サーバ20の制御部21は、優先転送ファイル記憶部25に蓄積されている振込依頼ファイルの有無の確認処理を実行する(ステップS2−6)。ここで、まだ、優先転送ファイル記憶部25に振込依頼ファイルが残っている場合(ステップS2−6において「NO」の場合)には、ステップS2−1以降の処理を継続する。一方、すべての振込依頼ファイルの転送を完了した場合(ステップS2−6において「YES」の場合)には、優先転送処理を終了する。
【0079】
以上、説明した本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
・ 本実施形態によれば、受付サーバ20の制御部21は、直近の振込指定日及び時限の特定処理を実行する(ステップS1−2)。そして、制御部21は、取引条件データ記憶部22B或は取引契約データ記憶部22Cを用いて緊急性の判断処理を実行する(ステップS1−3)。これにより、取引依頼の取引種別や顧客との契約に応じて緊急性を判断
し、この緊急性に応じた転送処理(ステップS1−7、S1−9)を行なうことができる。
【0080】
・ 本実施形態によれば、緊急扱いの場合、受付サーバ20の制御部21は、ファイルサイズを特定(ステップS1−4)するとともに、処理システム30の負荷状態情報を取得する(ステップS1−5)。そして、受入可否判断処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、制御部21の転送制御手段214は、負荷状況監視手段215から取得した現在負荷状態において、ファイルサイズ取得手段213から取得したファイルサイズを処理システム30に転送した場合の負荷予測値を算出し、第1基準負荷値とを比較する。負荷予測値が第1基準負荷値よりも高い場合(ステップS1−6において「NO」の場合)には、受付サーバ20の制御部21は、負荷許容範囲内になるようにデータ分割処理を実行する(ステップS1−8)。これにより、処理システム30の負荷状況を考慮しながら、転送を行なうことができる。
【0081】
・ 本実施形態によれば、残り時間が時間基準値以上であり、緊急扱いでない場合(ステップS1−3において「NO」の場合)には、受付サーバ20の制御部21は、振込指定日の余裕度判断処理を実行する(ステップS1−10)。振込指定日に余裕がない場合(ステップS1−10において「NO」の場合)には、受付サーバ20の制御部21は、優先順位を付与して蓄積し(ステップS1−11)、優先順位転送処理を実行する(ステップS1−12)。これにより、緊急転送の合間を縫って転送することができる。
【0082】
・ 本実施形態によれば、振込指定日に余裕がある場合(ステップS1−10において「YES」の場合)には、受付サーバ20の制御部21は、夜間転送ファイルとして蓄積するとともに(ステップS1−13)、顧客優遇処理を実行する(ステップS1−14)。これにより、顧客が余裕を持って送信させる動機付けを行なうことができる。そして、このように蓄積された振込依頼ファイルは、夜間転送を行なう(ステップS1−15)。通常、夜間にはクライアント端末10からの送信が無いため、負荷状態が比較的に低くなる。従って、この時間帯を利用して転送処理を行なうことで、処理システム30の負荷分散を図ることができる。
【0083】
・ 上記実施形態では、即時一括転送処理(ステップS1−7)の可否については第1基準負荷値を用いる(ステップS1−6)。一方、データ分割処理(ステップS1−8)においては、第2基準負荷値との差分から、受入可能なレコード数を算出する。このように、第1基準負荷値と第2基準負荷値とを用いることにより、緊急扱い以外の振込依頼ファイルの転送において、負荷状態を抑制するとともに、緊急扱いの振込依頼ファイルについては負荷状態が高い場合にも、更にコンピュータの限界を超えない範囲で転送することができる。
【0084】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 上記実施形態では、ファイルサイズに応じて、即時一括転送処理(ステップS1−7)又は分割転送処理(ステップS1−9)を行なう。負荷予測値が第1基準負荷値よりも高い場合(ステップS1−6において「NO」の場合)には、分割転送処理の代わりに、転送をホールドするように構成してもよい。この場合には、制御部21の転送制御手段214は、負荷予測値が第1基準負荷値を下回るまで待機する。そして、負荷状況監視手段215から、振込依頼ファイルを処理システム30に転送しても第1基準負荷値を超えないところまで現在負荷値が下がった場合に、転送制御手段214は、この振込依頼ファイルの一括転送処理を開始する。分割する場合はオーバーヘッドが重くなるが、一括転送を行なうことにより、負荷を軽減しながら転送を行なうことができる。
【0085】
○ 上記実施形態では、即時一括転送処理(ステップS1−7)の可否については第1
基準負荷値を用いる(ステップS1−6)。一方、データ分割処理(ステップS1−8)においては、第2基準負荷値との差分から、受入可能なレコード数を算出する。ここでは、第2基準負荷値とを用いたが、同じ基準負荷値を用いることも可能である。
【0086】
○ 上記実施形態では、転送制御手段214は、現在時刻から時限までの残り時間を算出し、この残り時間を用いて緊急性を判断する。これに代えて、クライアント端末10において通信制御電文に、処理対象ファイル(振込依頼ファイル)に直近の振込指定日を記録するようにしてもよい。この場合には、クライアント端末10の依頼処理プログラムによって、送信する取引ファイルの直近の振込指定日を取得し、通信制御電文に記録する。これにより、電文を受信した段階で緊急性を判断することができる。
【0087】
○ 上記実施形態では、振込指定日と時限に基づいて緊急性を判断する。この場合、ファイルサイズと処理システム30の負荷状態を考慮して緊急性を判断するようにしてもよい。具体的には、受付サーバ20の制御部21は、負荷情報とファイルサイズとから処理所要時間を算出し、この所要時間を用いて緊急性を判断する。ここでは、現在時刻に対して処理所要時間を加算した時刻が時限を越える場合には、制御部21の転送制御手段214は、緊急扱いと判断する。この結果、負荷状態が高く、ファイルサイズが大きい場合には、緊急扱いとして転送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施形態のシステムの概略図。
【図2】本発明の一実施形態の各データ記憶部に記録されたデータの説明図であって、(a)は取引顧客データ記憶部、(b)は取引条件データ記憶部、(c)は取引契約データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図3】本発明の一実施形態の処理手順の説明図。
【図4】本発明の一実施形態の処理手順の説明図。
【符号の説明】
【0089】
10…クライアント端末、20…受付サーバ、21…制御部、211…ファイル受信手段、212…制御情報検出手段、213…ファイルサイズ取得手段、214…転送制御手段、215…負荷状況監視手段、216…特典管理手段、22A…取引顧客データ記憶部、22B…取引条件データ記憶部、22C…取引契約データ記憶部、23…受付ファイル記憶部、24…緊急転送ファイル記憶部、25…優先転送ファイル記憶部、26…夜間転送ファイル記憶部、30…処理システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末と処理システムとを中継する制御手段と、
処理種別に対して、処理指定日に処理を行なうための処理時限を記録した時限情報記憶手段と、
前記処理システムの通常負荷基準値を記録した負荷基準情報記憶手段とを備えたファイル受付システムであって、
前記制御手段が、
前記クライアント端末から処理対象ファイル及び処理指定日に関するデータを受信する手段、
前記時限情報記憶手段を用いて、前記処理対象ファイルについての処理種別に応じて、前記処理指定日に処理を行なうための時限を特定する手段、
前記処理対象ファイルのファイルサイズを特定する手段、
前記処理指定日に処理を行なうための時間余裕が時間基準値より短い場合には、前記処理システムの負荷状態情報を取得し、
この負荷状態情報に基づいて、前記ファイルサイズのファイルを転送した場合の前記処理システムの負荷予測値を算出し、
この負荷予測値が前記負荷基準情報記憶手段に記録された通常負荷基準値を超えない場合には、前記処理対象ファイルを前記処理システムに転送する転送制御手段
を備えたことを特徴とするファイル受付システム。
【請求項2】
前記処理システムの負荷上限を記録した上限情報記憶手段を更に備え、
前記転送制御手段は、前記負荷予測値が通常負荷基準値を超える場合には、前記負荷上限を超えない範囲で前記処理対象ファイルを分割して転送することを特徴とする請求項1に記載のファイル受付システム。
【請求項3】
処理対象ファイルを蓄積する転送ファイル記憶手段を更に備え、
前記時間余裕が時間基準値より長い場合には、優先度を付与して前記転送ファイル記憶手段に蓄積し、
前記転送制御手段は、前記優先度に応じて前記処理対象ファイルを前記処理システムに転送することを特徴とする請求項1又は2に記載のファイル受付システム。
【請求項4】
前記転送制御手段は、前記転送ファイル記憶手段において、前記通常負荷基準値を超えない範囲のファイルサイズの処理対象ファイルを特定して前記処理システムに転送することを特徴とする請求項3に記載のファイル受付システム。
【請求項5】
利用者識別子に対して特典量を蓄積する特典情報記憶手段を更に備え、
前記制御手段が、
前記処理対象ファイルの送信者の利用者識別子を特定し、
優先度が低い処理対象ファイルの送信者に対して付与する特典量を算出し、
前記利用者識別子に関連付けて、この特典量を前記特典情報記憶手段に記録する特典管理手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のファイル受付システム。
【請求項6】
クライアント端末と処理システムとを中継する制御手段と、
処理種別に対して、処理指定日に処理を行なうための処理時限を記録した時限情報記憶手段と、
前記処理システムの通常負荷基準値を記録した負荷基準情報記憶手段とを備えたファイル受付システムを用いて、ファイルの受付処理を行なう方法であって、
前記制御手段が、
前記クライアント端末から処理対象ファイル及び処理指定日に関するデータを受信する段階、
前記時限情報記憶手段を用いて、前記処理対象ファイルについての処理種別に応じて、前記処理指定日に処理を行なうための時限を特定する段階、
前記処理対象ファイルのファイルサイズを特定する段階、
前記処理指定日に処理を行なうための時間余裕が時間基準値より短い場合には、前記処理システムの負荷状態情報を取得し、
この負荷状態情報に基づいて、前記ファイルサイズのファイルを転送した場合の前記処理システムの負荷予測値を算出し、
この負荷予測値が前記負荷基準情報記憶手段に記録された通常負荷基準値を超えない場合には、前記処理対象ファイルを前記処理システムに転送する転送制御段階
を実行することを特徴とするファイル受付方法。
【請求項7】
クライアント端末と処理システムとを中継する制御手段と、
処理種別に対して、処理指定日に処理を行なうための処理時限を記録した時限情報記憶手段と、
前記処理システムの通常負荷基準値を記録した負荷基準情報記憶手段とを備えたファイル受付システムを用いて、ファイルの受付処理を行なうためのプログラムであって、
前記制御手段を、
前記クライアント端末から処理対象ファイル及び処理指定日に関するデータを受信する手段、
前記時限情報記憶手段を用いて、前記処理対象ファイルについての処理種別に応じて、前記処理指定日に処理を行なうための時限を特定する手段、
前記処理対象ファイルのファイルサイズを特定する手段、
前記処理指定日に処理を行なうための時間余裕が時間基準値より短い場合には、前記処理システムの負荷状態情報を取得し、
この負荷状態情報に基づいて、前記ファイルサイズのファイルを転送した場合の前記処理システムの負荷予測値を算出し、
この負荷予測値が前記負荷基準情報記憶手段に記録された通常負荷基準値を超えない場合には、前記処理対象ファイルを前記処理システムに転送する転送制御手段
として機能させることを特徴とするファイル受付プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−86945(P2009−86945A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−254872(P2007−254872)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)
【出願人】(592259978)株式会社みずほ銀行 (117)
【Fターム(参考)】