説明

ファン

【課題】上シール部とロータホルダとの間の上部空間と、下シール部が位置する下部空間との間における圧力差を低減することにより、潤滑油の漏れを防止する。
【解決手段】ファン1は、複数の翼122と、前記複数の翼を回転するモータ11と、を備え、前記モータが、外周面に前記複数の翼が配置される有蓋略円筒状のロータホルダ121と、シャフト41と、前記シャフトが挿入されるスリーブ44と、前記スリーブを保持するホルダと、前記シャフトの下側に配置されるスラストプレート42と、を備え、前記シャフトと前記スリーブとの間のラジアル間隙にて前記シャフトをラジアル方向に支持するラジアル軸受部66aが構成され、前記スラストプレートと前記ホルダとの間に、潤滑油の下側の界面が位置する下シール部62aが構成され、前記ホルダと前記スリーブとの間に、前記潤滑油の上側の界面が位置する上シール部61aが構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアの流れを発生するファンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な電子機器の筐体内部に電子部品を冷却するための冷却ファンが設けられる。実公平6−31199号公報に開示されるファンモータは、ケースと、ステータと、スリーブと、軸と、環状部材と、ロータと、複数の羽根と、を備える。ステータは、ケースの内筒の外周に設けられる。スリーブは、内筒内に嵌合して固定される。軸は、スリーブに挿入される。軸の外周面には、動圧発生用の溝が設けられる。環状部材は、軸の下端部に嵌合して固定される。環状部材は、スリーブの下面と軸方向に対向する。スリーブと軸との間およびスリーブと環状部材との間に潤滑流体が封入される。軸の上端部には、ロータが固定される。ロータの円筒状の取付部材の内周に磁石が固定され、磁石はステータと径方向に対向する。取付部材の外周には複数の羽根が固定される。ファンモータでは、軸およびスリーブによりラジアル動圧軸受が構成される。スリーブおよび環状部材によりスラスト動圧軸受が構成される。
【特許文献1】実公平6−31199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、実公平6−31199号公報に開示されるファンの駆動時には、スリーブと軸との間に形成される潤滑流体の上側の界面と、スリーブの下面と環状部材の上面との間またはその近傍に形成される潤滑流体の下側の界面との間に圧力差が生じる虞がある。その結果、潤滑流体が漏れ出す虞がある。
【0004】
本発明は、上シール部とロータホルダとの間の上部空間と、下シール部が位置する下部空間との間における圧力差を低減することにより、潤滑油の漏れを防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面に係る例示的なファンは、複数の翼と、前記複数の翼を中心軸を中心として回転するモータと、を備え、前記モータが、ステータを有する静止部と、前記ステータの径方向外側に配置されるロータマグネットを有する回転部と、前記回転部を前記静止部に対して回転可能に支持する軸受機構と、を備え、前記回転部が、外周面に前記複数の翼が配置される有蓋略円筒状のロータホルダ、を備え、前記軸受機構が、シャフトと、前記シャフトが挿入されるスリーブと、前記スリーブを保持するホルダと、前記シャフトの下側に配置されるスラストプレートと、を備え、前記シャフトと前記スリーブとの間のラジアル間隙にて前記シャフトをラジアル方向に支持するラジアル軸受部が構成され、前記スラストプレートと前記ホルダとの間に、潤滑油の下側の界面が位置する下シール部が構成され、前記ホルダと前記スリーブとの間に、前記潤滑油の上側の界面が位置する上シール部が構成され、前記ホルダが、前記ロータホルダの内部と前記上シール部との間の上部空間と、前記下シール部が位置する下部空間と、を連絡する連絡路を形成する連絡路形成部、を備える。
【0006】
本発明の第2の側面に係る例示的なファンは、複数の翼と、前記複数の翼を中心軸を中心として回転するモータと、を備え、前記モータが、ステータを有する静止部と、前記ステータの径方向外側に配置されるロータマグネットを有する回転部と、前記回転部を前記静止部に対して回転可能に支持する軸受機構と、を備え、前記回転部が、外周面に前記複数の翼が配置される有蓋略円筒状のロータホルダ、を備え、前記軸受機構が、シャフトと、前記シャフトが挿入されるスリーブと、前記スリーブを保持するホルダと、前記シャフトの下側に配置されるスラストプレートと、を備え、前記ホルダが、前記スリーブの外周面およびスラストプレートの外周面を覆う略円筒状の第1ホルダと、前記第1ホルダの外周面が固定される内周面を有し、前記ステータが外側に配置される第2ホルダと、を備え、前記シャフトと前記スリーブとの間のラジアル間隙に、前記シャフトをラジアル方向に支持するラジアル軸受部が構成され、前記スラストプレートと前記第1ホルダとの間に、潤滑油の下側の界面が位置する下シール部が構成され、前記シャフトと前記第1ホルダの前記スリーブよりも上側にて径方向内方に突出する環状上部との間にて前記潤滑油の上側の界面が位置する上シール部が構成され、前記第2ホルダが、前記ロータホルダの内部と前記上シール部との間の上部空間と、前記下シール部が位置する下部空間と、を連絡する連絡路を形成する連絡路形成部、を備える。
【0007】
本発明の例示的な第3の側面に係るファンは、複数の翼と、前記複数の翼を中心軸を中心として回転するモータと、を備え、前記モータが、ステータを有する静止部と、前記ステータの径方向外側に配置されるロータマグネットを有する回転部と、前記回転部を前記静止部に対して回転可能に支持する軸受機構と、を備え、前記静止部が、前記ステータを径方向外側にて保持するブッシュ、を備え、前記回転部が、外周面に前記複数の翼が配置される有蓋略円筒状のロータホルダ、を備え、前記軸受機構が、シャフトと、前記シャフトが挿入される軸受部と、前記シャフトの下側に配置されるスラストプレートと、を備え、前記シャフトと前記軸受部との間のラジアル間隙にて前記シャフトをラジアル方向に支持するラジアル軸受部が構成され、前記スラストプレートと前記軸受部との間に、潤滑油の下側の界面が位置する下シール部が構成され、前記シャフトの上部から径方向外方へ広がるスラスト部から軸方向下方へ伸びるロータ円筒部と、前記軸受部との間に、前記潤滑油の上側の界面が位置する上シール部が構成され、前記ブッシュが、前記ロータホルダの内部と前記上シール部との間の上部空間と、前記下シール部が位置する下部空間と、を連絡する連絡路を形成する連絡路形成部、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上部空間と下部空間との間における圧力差を低減することにより、潤滑油の漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るファンの断面図である。
【図2】図2は、軸受機構を拡大して示す断面図である。
【図3】図3は、軸受機構を拡大して示す断面図である。
【図4】図4は、軸受機構の横断面図である。
【図5】図5は、スラストプレートの平面図である。
【図6】図6は、他の例に係るホルダの横断面図である。
【図7】図7は、他の例に係る軸受機構の断面図である。
【図8】図8は、さらに他の例に係る軸受機構の断面図である。
【図9】図9は、さらに他の例に係る軸受機構の断面図である。
【図10】図10は、ホルダの横断面図である。
【図11】図11は、第2の実施形態に係るファンの断面図である。
【図12】図12は、第3の実施形態に係るファンの断面図である。
【図13】図13は、軸受機構を拡大して示す断面図である。
【図14】図14は、他の例に係る軸受機構の断面図である。
【図15】図15は、第4の実施形態に係るファンの断面図である。
【図16】図16は、他の例に係るファンの断面図である。
【図17】図17は、さらに他の例に係るファンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、モータの中心軸方向における図1の上側を単に「上側」と呼び、下側を単に「下側」と呼ぶ。なお、上下方向は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。また、中心軸に平行な方向を「軸方向」と呼び、中心軸を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る軸流ファン1の断面図である。以下、軸流ファン1を単に「ファン1」という。ファン1は、モータ11と、インペラ12と、ハウジング13と、複数の支持リブ14と、を備える。ハウジング13は、インペラ12の外周を囲む。複数の支持リブ14は、周方向に配列される。支持リブ14を介してハウジング13とモータ11とが接続される。
【0012】
インペラ12は樹脂製であり、有蓋略円筒状のロータホルダ121と、複数の翼122と、を有する。ロータホルダ121は、モータ11の外側を覆う。ロータホルダ121は、後述のモータ11の回転部2の一部を兼ねている。ロータホルダ121は、天面部123と、側壁部124と、筒状のブッシング125と、を有する。天面部123は、中心軸J1に垂直に広がる。側壁部124は、天面部123の外縁部から下方に延びる。ブッシング125は、金属にて形成され、天面部123の中央の孔内に固定される。複数の翼122は、中心軸J1を中心として側壁部124の外周面から径方向外方に延びる。ロータホルダ121および複数の翼122は樹脂の射出成型により一繋がりの部材として構成される。
【0013】
ファン1では、モータ11によりインペラ12が中心軸J1を中心として回転することにより、上方から下方に向かってエアの流れが発生する。
【0014】
モータ11は、アウタロータ型の単相もしくは3相モータである。モータ11は、回転部2と、静止部3と、軸受機構401と、を有する。回転部2は、軸受機構401により静止部3に対して回転可能に支持される。回転部2は、有蓋略円筒状のロータホルダ121と、略円筒状の金属製のヨーク21と、ロータマグネット22と、を有する。ヨーク21は、ロータホルダ121の側壁部124の内側に固定される。ロータマグネット22は、ヨーク21の内周面に固定される。
【0015】
静止部3は、ベース部31と、ステータ32と、回路基板33と、を有する。ステータ32は、軸受機構401の外周に配置される。ステータ32は、ステータコア321と、ステータコア321上に形成された複数のコイル322と、を有する。ステータコア321は、磁性鋼板にて形成される。ステータ32の下部には、回路基板33が固定される。回路基板33に挿入された図示省略のピンにコイル322からの引出線が取り付けられることにより、ステータ32と回路基板33とが電気的に接続される。コイル322の引出線は、回路基板33に直接接続されてもよい。モータ11の駆動時には、ロータマグネット22とロータマグネット22の径方向内側に位置するステータ32との間にて回転力が発生する。
【0016】
回路基板33の上面には、ホール素子331や駆動回路(図示省略)が設けられている。ホール素子331は、ロータマグネット22の下方に位置し、ロータマグネット22の回転に伴う磁束の変化を検知する。
【0017】
ロータマグネット22とステータ32との間には、ロータマグネット22を下方に吸引する磁気吸引力が生じる。その結果、インペラ12が静止部3に対して浮上する力を低減することができる。
【0018】
軸受機構401は、シャフト41と、環状のスラストプレート42と、スリーブ44と、キャップ部材であるスラストキャップ45と、ホルダ46と、潤滑油47と、を有する。シャフト41は、スリーブ44に挿入される。シャフト41の上部は、ブッシング125を介して天面部123に間接的に固定される。なお、シャフト41の上部は、ブッシング125を介さず天面部123に直接的に固定されても良い。スラストプレート42は、スリーブ44の下側にてシャフト41の下端部に固定される。スラストプレート42は、シャフト41の外周面から径方向外方に広がる。スラストプレート42は、外周面と下面との間に下方に向かって径方向内方に傾斜する傾斜面421、を有する。
【0019】
スリーブ44は、潤滑油47が含浸された金属の焼結体であり、略円筒状のホルダ46内に保持される。ホルダ46は、ベース部31および支持リブ14と一繋がりの部材であり、ベース部31の中央から上方に向かって延びる。ホルダ46、ベース部31および支持リブ14は、樹脂にて成型される。なお、これらの部材は金属にて形成されてもよい。ホルダ46の上部は、上環状部461と、上円筒部462と、を備える。上環状部461は、中心軸J1を中心とする環状であり、スリーブ44の上側に位置する。上円筒部462は、上環状部461の外縁部から上方に向かって延びる。ホルダ46は、連絡路形成部5、をさらに備える。連絡路形成部5は、ホルダ46内に連絡路51を形成する。ホルダ46の外周面には、ステータコア321の径方向内側の部位が固定される。なお、シャフト41およびスラストプレート42は、回転部2の一部を兼ねている。スリーブ44、スラストキャップ45およびホルダ46は、静止部3の一部を兼ねている。
【0020】
図2は、軸受機構401の一部を拡大して示す断面図である。スリーブ44の上部および下部はそれぞれ、ホルダ46の内周部に固定される。以下、ホルダ46の内周部のうち、スリーブ44の上部と径方向に当接する部位を「上当接部463」という。スリーブ44の下部と径方向に当接する部位を「下当接部464」という。スリーブ44の外周面は、上当接部463と下当接部464との間にて上方に向かって径方向内方に傾斜する傾斜面441、を有する。
【0021】
スリーブ44の傾斜面441とホルダ46の内周面46aとの間には、上方に向かって径方向の幅が漸次増大する上シール間隙611が構成される。上シール間隙611には、毛管現象により潤滑油47を保持する上シール部61aが構成される。上シール部61aには、潤滑油47の上側の界面が存在する。
【0022】
図3は、ファン1の上部を拡大して示す図である。図4は、図3の矢印Aの位置にて軸受機構401を切断した断面図である。ホルダ46の上当接部463には、上下方向に延びる切欠部463aが設けられる。切欠部463aは、上当接部463とスリーブ44の外周面との間において、上下方向に延びる通気路651となる。
【0023】
図3に示すように、ホルダ46の上方には、ブッシング125が位置する。ブッシング125の下面と上環状部461の上面との間に中心軸J1に垂直な方向に広がる横間隙652が構成される。ブッシング125の外周面と上円筒部462の内周面との間に軸方向に延びる縦間隙653が構成される。縦間隙653は、中心軸J1を中心とする環状である。上シール間隙611は、通気路651、スリーブ44の上面と上環状部461の下面との間の空間656、上環状部461の内端とシャフト41との間の隙間、横間隙652および縦間隙653を介して図1のステータ32の上方の空間に繋がる。以下の説明では、上シール間隙611、通気路651、空間656、横間隙652および縦間隙653、すなわち、スリーブ44、ホルダ46、シャフト41およびブッシング125により囲まれる空間をまとめて、「上部空間61」と呼ぶ。ただし、上部空間61には、縦間隙653近傍に存在する図1のステータ32の内周部とロータホルダ121との間の空間が含まれてよい。
【0024】
図2に示すように、スラストキャップ45は、円板状であり、スラストプレート42の下方にてホルダ46の下部に固定される。スラストキャップ45により、ホルダ46の下部が閉塞される。軸受機構401では、スラストキャップ45、スラストプレート42、ホルダ46およびシャフト41により囲まれる空間62が構成される。以下、スラストキャップ45の上側に存在する空間62を「下部空間62」という。下部空間62のうち、スラストプレート42の傾斜面421とホルダ46の内周面46aとの間の部位を「下シール間隙621」と呼ぶ。下シール間隙621の径方向の幅は、下方に向かって漸次増大する。下シール間隙621には、毛管現象により潤滑油47を保持する下シール部62aが構成される。下シール部62aには、潤滑油47の下側の界面が存在する。
【0025】
連絡路形成部5により構成される連絡路51は、縦穴511と、上横穴512と、下横穴513と、を含む。縦穴511は、ホルダ46内部を上下方向に延びる。上横穴512は、縦穴511の上部から径方向内方に延びる。上横穴512の開口、すなわち、連絡路51の上側の開口は、ホルダ46の内周面46aの中央部に位置する。上横穴512は、上シール部61aの上側において上シール間隙611に連絡する。下横穴513は、縦穴511の下部から径方向内方に延びる。下横穴513の開口、すなわち、連絡路51の下側の開口は、ホルダ46の内周面46aの下部に位置する。下横穴513は、下シール部62aの下側において下部空間62に繋がる。軸受機構401では、連絡路51を介して上部空間61と下部空間62とが連絡する。
【0026】
スラストキャップ45の下側にて、銘板であるシール部材311がベース部31の下面に貼付される。ファン1では、シール部材311、スラストキャップ45の下面およびベース部31の内周面との間に空間622が構成される。以下、スラストキャップ45の下側に存在する空間622を「キャップ下部空間622」という。
【0027】
スラストプレート42の上面とスリーブ44の下面との間には、径方向に広がるスラスト間隙64が構成される。図5はスラストプレート42の平面図である。スラストプレート42の上面には、ヘリングボーン形状のスラスト動圧溝列641が構成される。モータ11の駆動時には、スラスト間隙64において、スラスト動圧溝列641により潤滑油47に対してスラスト動圧を発生するスラスト軸受部64aが形成される。
【0028】
スリーブ44の内周面とシャフト41の外周面との間には、軸方向に広がるラジアル間隙66が構成される。ラジアル間隙66では、潤滑油47によりラジアル軸受部66aが構成される。図3に示すように、スリーブ44の上部は、径方向に延びる上側溝部442、を有する。スリーブ44の上面には環状の上部プレート48が配置される。上側溝部442と上部プレート48との間には、径方向に延びる連通路654が構成される。
【0029】
連通路654が設けられることにより、スリーブ44の上部から染み出る潤滑油47をラジアル間隙66に導くことができ、スリーブ44の上部からの潤滑油47の漏出を防止することができる。なお、連通路654内の潤滑油47は、上シール間隙611側に流れることもある。また、軸受機構401では、横間隙652および縦間隙653が設けられることにより、ラジアル間隙66の上部から気化した潤滑油を含む空気が、軸受機構401の外部へと移動することが抑制される。その結果、軸受機構401内の潤滑油47の蒸発を抑制することができる。
【0030】
図1に示すファン1の駆動時には、スラスト軸受部64aにより、スラストプレート42が静止部3に対して軸方向に安定して支持される。ラジアル軸受部66aにより、シャフト41がラジアル方向に安定して支持される。ファン1では、流体動圧を利用する軸受機構が用いられることにより、玉軸受を有するファンに比べて、製造コストを抑えることができる。また、ファンの駆動時の騒音を低減することができる。
【0031】
以上、第1の実施形態に係るファン1について説明したが、ファン1では、ロータホルダ121の内部と上シール部61aとの間に存在する上部空間61が、連絡路51を介して、下部空間62に繋がる。これにより、上部空間61と下部空間62との間に生じる圧力差を低減または防止することができる。その結果、上シール部61aおよび下シール部62aからの潤滑油47の漏出が防止される。ファン1の下流側の空間と下部空間62との間にスラストキャップ45が設けられることにより、下部空間62と上部空間61との間の圧力差をより抑えることができる。
【0032】
図6は、ホルダ46の他の例を示す横断面図である。ホルダ46には、複数の連絡路形成部5が設けられる。複数の連絡路形成部5により形成される複数の連絡路51は、周方向に等間隔に配置される。複数の連絡路51が設けられることにより、図2に示す上部空間61と下部空間62との間の圧力差の発生をより確実に抑えることができる。
【0033】
図7は、他の例に係る軸受機構401の断面図である。ホルダ46は、連絡路51aを形成する連絡路形成部5a、を有する。連絡路51aは、縦溝514と、上横穴512と、下横穴513と、を有する。縦溝514は、ステータ32の内側にてホルダ46の外周面を上下方向に延びる。正確には、縦溝514およびステータ32により、連絡路51aの一部である縦穴514aが構成される。縦溝514は、上横穴512と下横穴513とを上下方向に繋ぐ。
【0034】
上横穴512は、縦溝514の上側にてホルダ46を径方向に貫通する。上横穴512の径方向内側の開口は、ホルダ46の内周面46aの中央部に位置し、上シール間隙611に繋がる。下横穴513は、縦溝514よりも下側にてホルダ46を径方向に貫通する。下横穴513の径方向内側の開口は、ホルダ46の内周面46aの下部に位置し、下シール間隙621に繋がる。
【0035】
軸受機構401においても、連絡路51aが設けられることにより、上部空間61と下部空間62との間の圧力差の発生を抑えることができる。軸受機構401では、ホルダ46が樹脂の射出成型にて成型される際に、金型の一部を径方向外方に引き抜くことにより、容易に縦溝514、上横穴512および下横穴513を形成することができる。
【0036】
図8は、さらに他の例に係る軸受機構401の断面図である。図8では、軸受機構401の奥側の形状も示している。後述の図9においても同様である。ホルダ46は、連絡路51bを形成する連絡路形成部5b、を有する。連絡路51bは、ホルダ溝515と、ホルダ貫通孔516と、を有する。ホルダ溝515は、ステータ32の内周面の内側にて、ホルダ46の外周面を上下方向に延びる。ホルダ貫通孔516は、ホルダ溝515の下端からホルダ46の外周部の下端まで上下方向に貫通する。正確には、ホルダ溝515とステータ32の内周面とにより、連絡路51bの一部が構成される。
【0037】
ホルダ貫通孔516は、スラストキャップ45に外接するようにスラストキャップ45の外側に位置する。ホルダ46のスラストキャップ45よりも径方向外側には、ホルダ貫通孔516に連続して軸方向に延びる溝部516aが設けられる。ホルダ46とスラストキャップ45との間にて溝部516aが連絡路51bの一部を構成する。正確には、溝部516aおよびスラストキャップ45の外周面との間に、連絡路51bの一部が構成される。
【0038】
スラストキャップ45は、スラストキャップ45を上下方向に貫通するキャップ貫通孔451、を有する。軸受機構401の製造時には、キャップ貫通孔451を介して軸受機構401内部に潤滑油47が充填される。
【0039】
ステータコア321は、内周部に上下方向に延びる切欠部321a、を有する。切欠部321aは、ステータコア321を構成する複数の磁性鋼板を積層する際に、各磁性鋼板の周方向における位置決めに利用される。軸受機構401では、切欠部321aとホルダ溝515とが径方向に重なる。なお、ホルダ溝515は必ずしもステータコア321の切欠部321aと径方向に重なる必要はなく、ステータコア321の切欠部321a以外の内周部とホルダ溝515とが、径方向に重なっても良い。
【0040】
軸受機構401では、上シール間隙611の界面よりも上方の空間を含む上部空間61が、連絡路51b、キャップ下部空間622およびキャップ貫通孔451を介して下部空間62に繋がることにより、下部空間62と上部空間61との間の圧力差の発生を抑えることができる。
【0041】
図9は、さらに他の例に係る軸受機構401の断面図である。図10は、図9に示す矢印Bの位置にてホルダ46を切断した断面図である。ホルダ46は、連絡路52を構成する連絡路形成部5cを有する。連絡路52は、上下方向に延びる縦穴である。連絡路52の径方向内側の部位は、上下方向に延びるスリット状の部位(以下、「スリット部521」という。)を有する。
【0042】
図10に示すように、スリット部521の周方向の幅は、連絡路52のスリット部521よりも径方向外側の部位の同方向の幅に比べて十分に小さい。図9に示すように、連絡路52は、上シール間隙611の上シール部61aよりも上側の部位と、下シール間隙621の下シール部62aよりも下側の部位とを繋ぐ。これにより、上部空間61と下部空間62との間の圧力差の発生を抑えることができる。軸受機構401では、スリット部521の周方向の幅を十分に小さくすることにより、潤滑油47が連絡路52内に進入することが防止される。
【0043】
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態に係るファン1を示す図である。ファン1のスラストキャップ45は、スラストキャップ45を上下方向に貫通するキャップ貫通孔451、を有する。ベース部31は、ベース部31を上下方向に貫通するベース貫通孔312、を有する。回路基板33は、回路基板33を上下方向に貫通する基板貫通孔332、を有する。ベース貫通孔312および基板貫通孔332は、軸方向に重なる。ただし、これらの貫通孔312,332は、正確に軸方向に重なる必要はない。
【0044】
ホルダ46の上部は、径方向に貫通する横穴517、を有する。横穴517の径方向内側の開口は、上当接部463の内周面に位置する。横穴517は、通気路651を介して上シール間隙611と繋がる。ファン1では、樹脂のチューブ16の一方の端部が、ステータ32の複数のコイル322の周方向における隙間を介して横穴517に挿入される。チューブ16は、基板貫通孔332およびベース貫通孔312に挿入され、他方の端部が、キャップ貫通孔451に挿入される。ファン1の他の構造は、第1の実施形態に係るファン1と同様である。
【0045】
第2の実施形態では、連絡路形成部であるチューブ16が設けられることにより上部空間61と下部空間62とが連絡し、上部空間61と下部空間62との間における圧力差の発生を抑えることができる。その結果、潤滑油47の漏出が防止される。以下の他の実施形態においても同様である。
【0046】
(第3の実施形態)
図12は、第3の実施形態に係るファン1aを示す図である。ファン1aの軸受機構402は、シャフト41と、スリーブ44と、ホルダ7と、スラストプレート42と、スラストキャップ45と、潤滑油47と、を含む。シャフト41は、スリーブ44に挿入される。スリーブ44は、潤滑油47が含浸された焼結体である。スラストプレート42は、シャフト41の下端部に固定される。
【0047】
ホルダ7は、第1ホルダ71と、第2ホルダ72と、を含む。第1ホルダ71は、中心軸J1を中心とする略円筒状であり、スリーブ44を保持する。スリーブ44の外周面およびスラストプレート42の外周面は、第1ホルダ71により覆われる。第1ホルダ71は、スリーブ44の上側にて、径方向内方に突出する環状の部位711、を有する。以下、部位711を「環状上部711」という。
【0048】
第2ホルダ72は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。第2ホルダ72の内周面には、第1ホルダ71の外周面が固定される。第2ホルダ72の外周面には、ステータ32が固定される。第2ホルダ72は、連絡路730を形成する連絡路形成部73、を有する。ファン1aの軸受機構402以外の構造は、第1の実施形態に係るファン1と同様である。以下、同様の構成には同符号を付す。
【0049】
スリーブ44の内周面とシャフト41の外周面との間のラジアル間隙66には、ラジアル軸受部66aが構成される。ラジアル間隙66の上側にて、環状上部711の内周面とシャフト41の外周面との間に上方に向かって径方向の幅が漸次増大する上シール間隙611が構成される。上シール間隙611には潤滑油47を保持する上シール部61aが構成され、上シール部61aには、潤滑油47の上側の界面が位置する。スラストプレート42の外周面と第1ホルダ71の内周面の下部との間には、下方に向かって径方向の幅が漸次増大する下シール間隙621が構成される。下シール間隙621には潤滑油47を保持する下シール部62aが構成され、下シール部62aには、潤滑油47の下側の界面が位置する。
【0050】
図13に示すように、第1ホルダ71の外周面の上部と、第2ホルダ72の内周面の上部との間には、軸方向に延びる微小間隙74が構成される。微小間隙74は、ブッシング125の下面と環状上部711の上面との間に構成される横間隙652を介して上シール部61aに繋がる。以下、上シール間隙611、微小間隙74、横間隙652、および、ブッシング125の外周面と第2ホルダ72の内周面の上部との間に構成される縦間隙653、すなわち、シャフト41、ホルダ7およびロータホルダ121により囲まれる空間をまとめて、「上部空間61」と呼ぶ。ただし、上部空間61には、ステータ32の内周部とロータホルダ121との間の空間が含まれてよい。
【0051】
連絡路730は、縦穴731と、上横穴732と、下横穴733と、を含む。縦穴731は、第2ホルダ72内部を上下方向に延びる。上横穴732は、縦穴731の上部から径方向内方に延びる。上横穴732の開口、すなわち、連絡路730の上側の開口は、第2ホルダ72の内周面の上部に位置し、微小間隙74に繋がる。
【0052】
スラストキャップ45は、第2ホルダ72の下部に固定される。第2ホルダ72の内周部は、スラストキャップ45の上側にて、径方向に延びる溝部、を有し、スラストキャップ45と第2ホルダ72の内周部との間にて、溝部が下横穴733となる。下横穴733は、縦穴731の下部から径方向内方に延びる。下横穴733の開口、すなわち、連絡路730の下側の開口は、第2ホルダ72の内周面の下部に位置する。スラストキャップ45、スラストプレート42、ホルダ7およびシャフト41により、下部空間62が構成される。
【0053】
第3の実施形態においても、ロータホルダ121の内部と上シール部61aとの間に存在する上部空間61が、連絡路730を介して下部空間62に連絡することにより、下部空間62と上部空間61との間の圧力差の発生が抑えられる。
【0054】
図14は、他の例に係る軸受機構402の断面図である。第2ホルダ72は、連絡路730aを形成する連絡路形成部73a、を有する。連絡路730aは、縦溝734と、縦穴735と、を有する。縦溝734は、第2ホルダ72の外周面上に位置する。正確には、縦溝734およびステータ32の内周面により、縦穴735の上側に連続する縦穴が構成される。縦穴735は、縦溝734の下側にて第2ホルダ72の外周部を上下方向に貫通する。スラストキャップ45は、スラストキャップ45を上下方向に貫通するキャップ貫通孔451、を有する。シール部材311がベース部31の下面に貼付されることにより、スラストキャップ45の下方に、キャップ下部空間622が形成される。図8と同様に、下部空間62は、キャップ貫通孔451、キャップ下部空間622および連絡路730aを介して上部空間61に繋がる。
【0055】
(第4の実施形態)
図15は、第4の実施形態に係るファン1bを示す図である。ファン1bは、回転部2aと、静止部3aと、軸受機構403と、を有する。軸受機構403は、シャフト41と、軸受部49と、スラストプレート42と、スラストキャップ45と、を有する。軸受部49は、筒形状の部材であるスリーブ491と、ホルダ492と、を含む。ホルダ492は、スリーブ491の外周面を覆う。シャフト41は、スリーブ491に挿入される。シャフト41の下端部にスラストプレート42が固定される。スラストプレート42の上面はスリーブ491の下面と軸方向に対向する。軸受機構403では、スラストプレート42の外縁部とホルダ492の下端部との間に潤滑油47の下側の界面が位置する下シール部62aが構成される。スラストプレート42、軸受部49およびスラストキャップ45により下部空間62が構成される。
【0056】
回転部2aのロータホルダ121aは、第1ロータ部材126と、第2ロータ部材127と、を有する。第1ロータ部材126は、中心軸J1を中心とする略環状であり、シャフト41の上部から径方向外方へと広がる。第2ロータ部材127は、第1ロータ部材126の外周面に取り付けられる。第2ロータ部材127は、円筒部127aを有し、円筒部127aの内周面にロータマグネット22が固定され、外周面に翼122が配置される。
【0057】
第1ロータ部材126は、ホルダ492の径方向外側にて軸方向下方に延びる円筒状のロータ円筒部126a、を有する。ロータ円筒部126aの内周面とホルダ492の外周面の上部との間には、下方に向かって径方向の幅が漸次増大する上シール間隙611が構成される。上シール間隙611には、潤滑油47の界面が位置する上シール部61aが構成される。
【0058】
静止部3aは、略円筒状のブッシュ31aを有する。ブッシュ31aは、ベース部31の中央部から上方に向かって延びる。ブッシュ31aおよびベース部31は一繋がりの部材である。スラストプレート42の下側にて、スラストキャップ45が、ブッシュ31aの下部に固定され、スラストキャップ45によりブッシュ31aの下側の開口が塞がれる。ブッシュ31aの外周面にはステータ32が固定され、内周面にはホルダ492が固定される。ブッシュ31aは、連絡路340を構成する連絡路形成部34と、突出部313と、を有する。突出部313は、ロータ円筒部126aの外側にて上方に向かって延びる。ロータ円筒部126aと突出部313との間には、軸方向に延びる縦間隙655が構成され、上シール部61aからの潤滑油47の蒸発が抑制される。縦間隙655は、ホルダ492の外周面の中央にて径方向内方に窪む凹部、ロータ円筒部126aの下部、および、ブッシュ31aの突出部313よりも内側の部位により囲まれる空間623を介して上シール間隙611に繋がる。以下、縦間隙65、空間623および上シール間隙611(正確には、上シール間隙611の界面よりも下方の空間)をまとめて「上部空間61」と呼ぶ。
【0059】
連絡路340は、縦穴341と、下横穴342と、を有する。縦穴341は、突出部313の内側にて軸方向に延びる。縦穴341の上側の開口は、上部空間61に繋がる。スラストキャップ45は、ブッシュ31aの下部に固定される。ブッシュ31aの内周部は、スラストキャップ45の上側にて、径方向に延びる切欠状の溝部、を有し、スラストキャップ45と第2ホルダ72の内周部との間にて溝部が下横穴342となる。下横穴342は、縦穴341の下端から径方向内方に向かって延びる。下横穴342の開口、すなわち、連絡路340の下側の開口は、ブッシュ31aの内周面に位置する。下部空間62は、下横穴342に繋がる。
【0060】
軸受機構403では、第1ロータ部材126の下面とスリーブ491の上面との間の上スラスト間隙661に第1ロータ部材126を軸方向に支持する上スラスト軸受部661aが構成される。このように、第1ロータ部材126は、上スラスト軸受部661aを形成するスラスト部としての役割を果たす。スリーブ491の下面とスラストプレート42の上面との間の下スラスト間隙662にスラストプレート42を軸方向に支持する下スラスト軸受部662aが構成される。シャフト41の外周面とスリーブ491の内周面との間のラジアル間隙66にシャフト41をラジアル方向に支持するラジアル軸受部66aが構成される。
【0061】
第4の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ロータホルダ121aの内部と上シール部61aとの間に存在する上部空間61が、連絡路340を介してスラストキャップ45の上側の下部空間62に連絡し、上部空間61と下部空間62との間の圧力差の発生を抑えることができる。軸受機構403では、第1ロータ部材126とホルダ492の上面との間に上スラスト軸受部が構成されてもよい。以下の図16においても同様である。
【0062】
図16は、他の例に係る軸受機構403の断面図である。ブッシュ31aの連絡路形成部34aにより構成される連絡路340aは、ブッシュ溝343と、ブッシュ貫通孔344と、を有する。ブッシュ溝343は、ステータ32の内周面の内側にて、ブッシュ31aの外周面を上下方向に延びる。ブッシュ貫通孔344は、ブッシュ溝343の下端からブッシュ31aの外周部の下端まで上下方向に貫通する。正確には、ブッシュ溝343およびステータ32の内周面により、ブッシュ貫通孔344の上側に連続する縦穴が構成される。スラストキャップ45は、キャップ貫通孔451、を有する。スラストキャップ45と、スラストキャップ45の下側にてベース部31の下面に貼付されたシール部材311との間に、キャップ下部空間622が構成される。
【0063】
軸受機構403では、下部空間62が、キャップ貫通孔451、キャップ下部空間622および連絡路340aを介して上部空間61に連絡する。
【0064】
図17は、さらに他の例に係る軸受機構403を示す図である。軸受機構403は、1つの金属にて形成されたスリーブである軸受部493、を有する。軸受部493の外周面がブッシュ31aに固定される。軸受部493の内周面と、軸受部493に挿入されたシャフト41の外周面との間のラジアル間隙66にラジアル軸受部66aが構成される。軸受部493の上面と第1ロータ部材126の下面との間の上スラスト間隙661に上スラスト軸受部661aが構成される。なお、軸受機構403では、下スラスト軸受部が構成されない。軸受機構403の他の構造は、図15に示すファン1bの軸受機構403と同様である。図17に示す場合においても、連絡路340が設けられることにより、上部空間61と下部空間62とが連絡し、これらの間隙61,62の間の圧力差の発生が抑えられる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、図2に示す軸受機構401では、ホルダ46の上横穴512よりも上側の部位、下横穴513よりも下側の部位、および、当該2つの部位の間にて連絡路形成部5を有する部位が別部材にて構成されてもよい。これにより、連絡路形成部5を容易に成型することができる。
【0066】
第3の実施形態では、チューブ16を介して上部空間61と下部空間62とが繋がってもよい。第4の実施形態においても同様である。図12に示すファン1aでは、第2ホルダ72の内周面に上下方向に延びる溝部により連絡路が構成されてもよい。図15および図17に示すブッシュ31aにおいても同様である。
【0067】
上記実施形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、エアの流れを発生するファンに利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1,1a,1b ファン
2 回転部
3 静止部
5,5a〜5c,34,34a,73,73a 連絡路形成部
7,46,492 ホルダ
11 モータ
22 ロータマグネット
31a ブッシュ
32 ステータ
41 シャフト
42 スラストプレート
44,491 スリーブ
45 スラストキャップ
49 軸受部
51,51a,51b,52,340,340a,730,730a 連絡路
61 上部空間
61a 上シール部
62 下部空間
62a 下シール部
64,662 下スラスト間隙
64a,662a 下スラスト軸受部
66 ラジアル間隙
66a ラジアル軸受部
71 第1ホルダ
72 第2ホルダ
121 ロータホルダ
122 翼
126 第1ホルダ部材
126a ロータ円筒部
311 シール部材
343 ブッシュ溝
344 ブッシュ貫通孔
401〜403 軸受機構
451 キャップ貫通孔
515 ホルダ溝
516 ホルダ貫通孔
622 キャップ下部空間
661a 上スラスト軸受部
661 上シール間隙
711 環状上部
J1 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の翼と、
前記複数の翼を中心軸を中心として回転するモータと、
を備え、
前記モータが、
ステータを有する静止部と、
前記ステータの径方向外側に配置されるロータマグネットを有する回転部と、
前記回転部を前記静止部に対して回転可能に支持する軸受機構と、
を備え、
前記回転部が、外周面に前記複数の翼が配置される有蓋略円筒状のロータホルダ、を備え、
前記軸受機構が、
シャフトと、
前記シャフトが挿入されるスリーブと、
前記スリーブを保持するホルダと、
前記シャフトの下側に配置されるスラストプレートと、
を備え、
前記シャフトと前記スリーブとの間のラジアル間隙にて前記シャフトをラジアル方向に支持するラジアル軸受部が構成され、
前記スラストプレートと前記ホルダとの間に、潤滑油の下側の界面が位置する下シール部が構成され、前記ホルダと前記スリーブとの間に、前記潤滑油の上側の界面が位置する上シール部が構成され、
前記ホルダが、前記ロータホルダの内部と前記上シール部との間の上部空間と、前記下シール部が位置する下部空間と、を連絡する連絡路を形成する連絡路形成部、を備える、ファン。
【請求項2】
複数の翼と、
前記複数の翼を中心軸を中心として回転するモータと、
を備え、
前記モータが、
ステータを有する静止部と、
前記ステータの径方向外側に配置されるロータマグネットを有する回転部と、
前記回転部を前記静止部に対して回転可能に支持する軸受機構と、
を備え、
前記回転部が、外周面に前記複数の翼が配置される有蓋略円筒状のロータホルダ、を備え、
前記軸受機構が、
シャフトと、
前記シャフトが挿入されるスリーブと、
前記スリーブを保持するホルダと、
前記シャフトの下側に配置されるスラストプレートと、
を備え、
前記ホルダが、
前記スリーブの外周面およびスラストプレートの外周面を覆う略円筒状の第1ホルダと、
前記第1ホルダの外周面が固定される内周面を有し、前記ステータが外側に配置される第2ホルダと、
を備え、
前記シャフトと前記スリーブとの間のラジアル間隙にて前記シャフトをラジアル方向に支持するラジアル軸受部が構成され、
前記スラストプレートと前記第1ホルダとの間に、潤滑油の下側の界面が位置する下シール部が構成され、前記シャフトと前記第1ホルダの前記スリーブよりも上側にて径方向内方に突出する環状上部との間に、前記潤滑油の上側の界面が位置する上シール部が構成され、
前記第2ホルダが、前記ロータホルダの内部と前記上シール部との間の上部空間と、前記下シール部が位置する下部空間と、を連絡する連絡路を形成する連絡路形成部、を備える、ファン。
【請求項3】
複数の翼と、
前記複数の翼を中心軸を中心として回転するモータと、
を備え、
前記モータが、
ステータを有する静止部と、
前記ステータの径方向外側に配置されるロータマグネットを有する回転部と、
前記回転部を前記静止部に対して回転可能に支持する軸受機構と、
を備え、
前記静止部が、前記ステータを径方向外側にて保持するブッシュ、を備え、
前記回転部が、外周面に前記複数の翼が配置される有蓋略円筒状のロータホルダ、を備え、
前記軸受機構が、
シャフトと、
前記シャフトが挿入される軸受部と、
前記シャフトの下側に配置されるスラストプレートと、
を備え、
前記シャフトと前記軸受部との間のラジアル間隙に、前記シャフトをラジアル方向に支持するラジアル軸受部が構成され、
前記スラストプレートと前記軸受部との間に、潤滑油の下側の界面が位置する下シール部が構成され、前記シャフトの上部から径方向外方へ広がるスラスト部から軸方向下方へ伸びるロータ円筒部と、前記軸受部との間に、前記潤滑油の上側の界面が位置する上シール部が構成され、
前記ブッシュが、前記ロータホルダの内部と前記上シール部との間の上部空間と、前記下シール部が位置する下部空間と、を連絡する連絡路を形成する連絡路形成部、を備える、ファン。
【請求項4】
前記スリーブの下面と前記スラストプレートの上面との間の下スラスト間隙に、前記スラストプレートを軸方向に支持する下スラスト軸受部が構成される、請求項1または2に記載のファン。
【請求項5】
前記軸受部の下面と前記スラストプレートの上面との間の下スラスト間隙に、前記スラストプレートを軸方向に支持する下スラスト軸受部が構成される、請求項3に記載のファン。
【請求項6】
前記軸受部が、
筒形状の部材であるスリーブと、
前記スリーブの外周面を覆うホルダと、
を備え、
前記スリーブの上面と、前記スラスト部の下面との間に前記スラスト部を軸方向に支持する上スラスト軸受部が構成される、請求項3または5に記載のファン。
【請求項7】
前記スリーブの外周面と前記ホルダの内周面との間に、上方に向かって径方向の幅が漸次増大する上シール間隙が構成され、前記上シール間隙内に前記上シール部が構成され、
前記上部空間が、前記スリーブ、前記ホルダ、前記シャフトおよび前記ロータホルダに囲まれる空間である、請求項1に記載のファン。
【請求項8】
前記環状上部の内周面と前記シャフトの外周面との間に、上方に向かって径方向の幅が漸次増大する上シール間隙が構成され、前記上シール間隙内に前記上シール部が構成され、
前記上部空間が、前記シャフト、前記ホルダおよび前記ロータホルダに囲まれる空間である、請求項2に記載のファン。
【請求項9】
前記連絡路形成部の上側の開口が前記ホルダの内周面に位置する、請求項1、2、4、7および8のいずれかに記載のファン。
【請求項10】
前記連絡路形成部の下側の開口が前記ホルダの内周面に位置する、請求項1、2、4並びに7ないし9のいずれかに記載のファン。
【請求項11】
前記軸受機構が、前記ホルダの下部の開口を塞ぐキャップ部材、をさらに備え、
前記キャップ部材の上側に前記下部空間が存在する、請求項1、2、4並びに7ないし10のいずれかに記載のファン。
【請求項12】
前記キャップ部材が、前記キャップ部材を上下方向に貫通するキャップ貫通孔、を含み、
前記下部空間が、前記キャップ貫通孔および前記連絡路を介して前記上部空間に連絡する、請求項11に記載のファン。
【請求項13】
前記連絡路が、
前記ステータの内周面の内側にて、前記ホルダの外周面を上下方向に延びるホルダ溝と、
前記ホルダ溝から前記ホルダの下端まで貫通するホルダ貫通孔と、
を含み、
前記キャップ部材との間に空間を形成するシール部材が前記キャップ部材の下側に位置し、
前記下部空間が、前記キャップ貫通孔、前記キャップ部材と前記シール部材との間の前記空間、前記ホルダ貫通孔、および、前記ホルダ溝を介して前記上部空間に連絡する、請求項12に記載のファン。
【請求項14】
前記連絡路形成部の下側の開口が前記ブッシュの内周面に位置する、請求項3、5および6のいずれかに記載のファン。
【請求項15】
前記軸受機構が、前記ブッシュの下部の開口を塞ぐキャップ部材、をさらに備え、
前記キャップ部材の上側に前記下部空間が存在する、請求項3、5、6および14のいずれかに記載のファン。
【請求項16】
前記キャップ部材が、前記キャップ部材を上下方向に貫通するキャップ貫通孔、を含み、
前記下部空間が、前記キャップ貫通孔および前記連絡路を介して前記上部空間に連絡する、請求項15に記載のファン。
【請求項17】
前記連絡路が、
前記ステータの内周面の内側にて、前記ブッシュの外周面を上下方向に延びるブッシュ溝と、
前記ブッシュ溝から前記ブッシュの下端まで貫通するブッシュ貫通孔と、
を含み、
前記キャップ部材との間に空間を形成するシール部材が前記キャップ部材の下側に位置し、
前記下部空間が、前記キャップ貫通孔、前記キャップ部材と前記シール部材との間の前記空間、前記ブッシュ貫通孔、および、前記ブッシュ溝を介して前記上部空間に連絡する、請求項16に記載のファン。
【請求項18】
前記連絡路形成部が、前記連絡路を含む複数の連絡路、を形成し、前記複数の連絡路が周方向に等間隔に配置される、請求項1ないし17のいずれかに記載のファン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2013−108470(P2013−108470A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255845(P2011−255845)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000232302)日本電産株式会社 (697)
【Fターム(参考)】