説明

フィルタエレメント及び当該フィルタエレメントを製造するための方法

【課題】長い耐用年数にわたって、高い処理量を有し、圧力変動を含む圧力負荷に耐えるとともに、機械的に安定しているメンブランフィルタを提供する。
【解決手段】フィルタエレメントは、複数の穿孔を有するメンブレン層とキャリア層とを有する。 キャリア層において、膜チャンバが露出し、メンブレン層は膜チャンバ上に広がる。メンブレン層は、開始材料の強度よりも高められた強度を有する、圧縮され、且つ/又は少なくとも部分的に結晶性の構造を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタエレメント、特にメンブランフィルタ、及びそれを製造するための方法に関する。
【0002】
フィルタ過程は、基本的には、まず、いわゆる脱水濾過、深層濾過及び表面濾過に分けることができる。脱水濾過では、比較的粗い基板上に形成されたフィルタケーキによって濾過が実行され、深層濾過では、主な濾過効果が濾過材内の吸収によって機械的に生じ、表面濾過では、主な濾過効果が、濾過材、たとえばフィルタエレメントの表面上にある、たとえば固体粒子を分離することによって機械的に生じる。
【0003】
本発明によるフィルタエレメントは、表面濾過に関係し、フィルタ内への流れがフィルタ表面に対して概ね垂直に生じるか(いわゆる「静的」又は「全量」濾過)、又はフィルタ表面に対して概ね平行に生じるか(いわゆる「クロスフロー濾過」)のいずれかである。
【0004】
静的濾過では、未透過物(残留物質)がいわゆるフィルタケーキを形成し、それにより深層濾過が徐々に行われ、時間とともにフィルタ処理量を低下させる。ケーキの形成は大抵の場合、濾過材の表面にわたる並流によって、及び/又は濾過材を通るバックフラッシングによって相殺される。
【0005】
メンブランフィルタは、表面濾過に特に適している。今日、最も頻繁に用いられるメンブランフィルタは、たとえば高分子膜(たとえば、ポリエステル、PPポリエステル、PVDF=ポリ弗化ビニリデン等)又はセラミド膜(たとえば、酸化ジルコニウム、SiC、Si、Al等)を有する。しかしながら、そのような膜系は数多くの不利な点を有する。たとえば、膜の分離精度が悪いことに起因して、「細孔直径」の分布が、その膜の中の比較的広範囲に及ぶ。その場合、実際には残留させようとした物質が膜を通過する可能性がある。セラミック膜の場合、これらの膜は、流れ抵抗が高い、比較的長い「細孔」(「細孔直径」と比較した場合;したがって、より正確には流路である)を有する。さらに、処理量が比較的小さいという問題に直面する。さらに、そのようなメンブランフィルタは、化学的安定性及び温度安定性に関して制限される。上記の膜系のいくつかでは、膜表面が比較的不均一であるか、又は粗いために、(クロスフロー動作の場合であっても)ケーキ形成が少ないという問題もある。さらに、上記のメンブランフィルタのうちのいくつかは、膜を横切る最大圧力差に関して(及び、それゆえ、差圧を高めることによって処理量を増加させることに関して)制限される。
【0006】
ここ数年、エッチング法又はリソグラフィ法によって製造される、Si又はSiO、Si等に基づくメンブランフィルタが提案されている。
【0007】
一例が米国特許第5,543,046号に記載されている。この特許は、無機膜を製造するための方法を記載しており、その無機膜は、たとえばCV法又はスパッタリング法によってマクロポーラスキャリアに被着され、それらの間には「平坦化層」が最初に配置されている。別の実施形態では、「平坦化層」の代わりに、機械研磨も述べられている。「平坦化層」は細孔の形成後に除去される。
【0008】
別の例が米国特許第5,753,014号に記載されている。この特許は、メンブランフィルタ及びそれを製造するための方法を記載しており、そのマクロポーラスキャリアも、Si、SiC、Al等の無機材料から成ることができる。その膜も、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、Si、C、[原文のまま;正しくは、SiC]、Si、SiO、Al、金属又は鋼から成ることができる。この方法においても、たとえば半導体産業において以前より知られている技法によって、細孔がメンブレン層内にエッチングされる。細孔が形成された後に、キャリア層の背面を完全にエッチングすることにより、膜が露出する。別の実施形態では、キャリア構造は膜を製造する前に形成することもできる。メンブレン層とキャリアとの間の引張応力を低減するために、且つそれらの結合をさらに良好にするために、ホウ砂、クロム、ニッケル等の中間層を用いることもできる。この特許は、工程の最後に再び除去されなければならない、ポリシリコン、アルミニウムなとの細孔充填材料も記述している。一実施形態では、或る印刷形態の助けを借りる印刷方法(「インプリント」及び「リフトオフ」技法)によって、ポリアミド層がメンブレン層のためのマスク層として構造化されるか、又は別の実施形態では、構造化されたポリアミド層そのものがメンブレン層として用いられる。
【0009】
米国特許第5,139,624号の場合には、細孔がウエット化学手段によって製造される。
【0010】
一般的に、少なくとも2つの層(キャリア層及びメンブレン層)から形成されるフィルタエレメントは、コーティング方法が、主に又は完全に、機械的な強度のためには不都合であるアモルファス層を生成することが多いという問題を抱えていることに留意されたい。
【0011】
Siは、現在のところメンブレン層として用いられることが多い材料である。しかしながら、先行技術は、現在のところ、約1400℃以下の温度において、より大きな結晶核を超える内部結晶構造を有するSi層を製造することが難しいことを示している。現在の技術は、研究所及び実験レベルである。フィルタエレメントのキャリア構造は大抵の場合に、融点が1420℃であるSiから成る。それゆえ、高い結晶性の小部分を生成するために必要なSiの加熱/アニールを行うと、キャリア構造に損傷を与えるか、さらにはキャリア構造を破壊するであろう。
【0012】
細孔直径<1μmであり、それにもかかわらず、比較的高い圧力(>1バール)に対して安定している非常に薄い膜(<1μm)を現時点で知られている方法を用いて製造することは難しく、不良品になる度合いが高くなる。圧力に耐える能力に関する制約は、相対的な多孔率及び膜厚にも関連し、処理量が高い濾過を費用がかかるものにする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、上記の不利な点を回避する、メンブランフィルタ及びそれを製造するための方法を生み出すことである。詳細には、長い耐用年数にわたって、高い処理量を有し、圧力変動を含む圧力負荷に耐えるとともに、機械的に安定しているフィルタエレメントが設計されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、請求項1及び請求項24に記載の特徴によって解決される。本発明の好都合な実施形態及びさらなる発展形態は、従属請求項から知ることができる。
【0015】
フィルタエレメントの許容可能な機械的応力を機械的に改善するための方法は、
1. 膜の好都合な形状によって、
2. 膜材料の許容可能な機械的応力又は強度を、
2.1. 膜の内部プレストレス、及び、
2.2. 膜材料の結晶構造、によって高めることによって、そして、
3. 膜材料を圧縮することによって、達成することができる。
【0016】
一般的な解決法は、キャリア材料の融点以下(Siの場合、約1400℃以下)の温度において十分に高い結晶性の小部分(>50%)を達成する材料からメンブレン層を形成することから成る。この点で(特に)SiCが思い浮かぶ。
【0017】
Siでは、結晶形成は比較的高い温度で開始する。したがって、約1400℃以上の温度では、90%よりも高い度合いの結晶化が見られる。Siキャリア材料の類似の溶融材料を考えると、低い温度、すなわちできる限り約1350℃以下の温度で、結晶形成が開始されて十分な度合いの結晶化まで実行されなければならない。Siの場合、いくつかの方法を利用することができる。これらの方法において最も重要なことは、成長しているコーティング薄膜に付加的なエネルギーが導入されるという共通点を有することである。
【0018】
これらの方法は、中でも、イオン衝撃(Arイオンを用いることが好ましい)又はマグネトロンスパッタリング法を用いるコーティング、高周波数結合と組み合わせたコーティング方法、及びHW−CVD(ホットワイヤCVD)又はCat−CVD(触媒CVD)とも呼ばれる別の好都合なコーティング方法を含む。種々のコーティング方法が後にさらに詳細に説明される。
【0019】
大抵の場合、これらの方法を用いた後に、低い度合いの結晶化(結晶核)を必要な値まで高めるべく、二次的な熱処理を実行する必要がある。このべく、コーティングされた基板は、場合によっては数時間、1000℃以上の温度まで加熱される。
【0020】
この手順はコストがかかり(キャリア材料としてSiを用いる場合)、コスト集約的であり、場合によっては、新たな、そしてさらにコストがかかるコーティング設備を必要とするか、又は既存のコーティング設備をさらに発展させる必要さえある。
【0021】
機械的に安定した薄膜を作製するための別の可能性は、低い結晶形成温度を有し、先に記載されたフィルタエレメントのための同じ製造方法と同様に処理することができる異なるコーティング材料に切り替えることである。1つのそのような材料は炭化シリコン(SiC)である。
【0022】
SiCの場合、結晶形成は約400℃で開始し、1000℃以上の温度では、処理時間が十分な場合には85%よりも高い結晶形成が期待される。SiCのEモジュラスは、約300GPaであり、そのように処理した後には、約370〜430Gpaに達することができ、使用時の曲げ強度は1000Mpa以上である。数ナノメートル、たとえば5nmから50nm以上までの寸法を有する結晶を形成することができ、それは機械的強度を高め、亀裂の発生及び拡大を抑制するという目標のために好都合である。
【0023】
たとえばSiC及びSiの複合材料から成る(後続の)メンブレン層を被着することにより、別の改善を達成することができる。そのような複合材料系を用いる場合、明らかに1100Mpa以上の最終強度値を達成することができる。
【0024】
フィルタエレメントを製造するための方法は、
S1)キャリア基板にメンブレン層を被着するステップと、
S2)キャリア基板の、メンブレン層と反対側に、キャリア基板の残留層が依然として残されるように膜チャンバをエッチングするステップと、
S3)孔あけされた膜を形成するべく、リソグラフィ及びエッチング工程によって、メンブレン層内に細孔を形成するステップと、
S4)メンブレン層を露出させるべく、エッチングによって残留層を除去するステップと、
S5)ステップS1中に、又は後続のステップにおいて、メンブレン層をさらに処理して、機械的強度を高めるステップとを含む。
【0025】
先に言及したように、膜材料の許容可能な機械的応力は、膜材料を圧縮することによって、内部にプレストレスを与えることによって、且つ/又は膜材料の結晶構造(後に説明するような、好都合の膜形状を選択することに加えて)によって高めることができる。
【0026】
別の実施例では、強度を増すことは、メンブレン層が内部に機械的なプレストレスを有することによって達成される。このプレストレスによって、メンブレン層は、いわば、膜チャンバ上に張架された状態になり、この膜チャンバを通して、その表面に対して垂直方向において、より高い圧力に適応することができる。
【0027】
メンブレン層のプレストレスは、メンブレン層(たとえばSi又はSiCから成る)を被着するために用いられるコーティング方法によって決定される。この場合に、10〜100Paの処理圧及び約400〜900℃の範囲の温度において機能するLPCVD法(「低圧化学気相成長」)が特に適している。
【0028】
膜の内部プレストレスは、膜がかなりの圧力負荷を受けているときに、膜内のいわゆるミーゼス応力(Von Mises stress)を低減し、一実施例では、予め設定される膜応力の約80%を低減する。さらに、膜の内部プレストレスは、圧力負荷を受けるときに生じる膜の伸長も低減する。膜のプレストレスは、約10Mpaより大きく、好ましくは100Mpaよりも大きくすべきである。
【0029】
別の実施例では、メンブレン層はナノ及び/又はマイクロ結晶構造を有する。
【0030】
結晶構造はいくつかの方法で製造することができる。多くのコーティング工程では、コーティングは、実際には完全にアモルファス形態でキャリアに被着される。しかしながら、方法によっては、コーティング中であっても少なくとも結晶核を生成することができる場合もあり、これらは、後続の処理(ステップS5による)のために特に好都合である。
【0031】
薄い層を製造するのに特に適したコーティング方法は、今のところ、いわゆるCVD(化学気相成長)及びPVD(物理気相成長)に大別される。CVD法では、気相によってもたらされる固体材料の薄い層が、化学反応(たとえば、高温での熱分解)によって基板上に堆積される。それゆえ、CVD法では、必要条件は、互いに反応することができるように気体化合物が存在することであり、反応生成物のうちの一方がコーティングのために用いられる物質である。他の反応生成物はすべて気体であり、それゆえ、容易に放出することができる。
【0032】
CVD法は、当該技術分野において知られている他の特定のCVD法、たとえば、APCV工程(常圧CVD)、圧力が10〜100PaのLPCVD工程(低圧CVD)、圧力が1〜10kPaのRPCVD(減圧気相エピタキシ)、PECVD工程(プラズマ誘起CVD)、レーザ誘起CVD、並びにスパッタリング技法及び蒸着技法から成る反応性の変形形態に分けることができる。
【0033】
PVD工程では、基板は、基板上に蒸気を堆積することによりコーティングされる。この場合、その蒸気は物理的に生成される(たとえば、蒸着、陰極噴霧化又はスパッタリング、分子ビームエピタキシによる)。PVD工程は、基本的には、基板上での3つの段階、すなわち粒子の生成、粒子の輸送及び粒子の堆積又は凝縮から成る。PVD工程の重要な特性は、PVD工程が実行される高い真空度(10−8−10Pa)である。
【0034】
膜材料の被着中に、少なくとも、結晶構造又は結晶化核の適当な形成を開始し、促進することができる。
【0035】
既知のように、CVD法では、堆積された層内の結晶構造の小部分が、キャリア又は基板温度が高くなるのに応じて大きくなる(たとえば、LPCVD工程では、400℃以上の温度)。PECVD工程では、基板温度は約1350℃まで高めることができ、結晶化の度合いが75%以上の、特別な場合には概ね100%の結晶性メンブレン層(SiCの例の場合)を作り出すことができる。
【0036】
コーティングそのものを実施中に(それだけでなく、その後も)、少なくとも、結晶化核を生成するための別の可能性は、イオン、たとえばArイオンで基板に衝撃を与えることである。この場合のイオン衝撃は、数百℃の温度で行われる。入射するイオンは、衝撃点において、そのエネルギーを投入する。イオン衝撃の他に、結晶核の形成を支援するための他の既知の手段は、レーザ照射及び電磁放射であり、たとえば電波が用いられる(たとえば13.65MHzでのマグネトロンスパッタリング)。このように膜材料にエネルギーを導入することにより、より低い温度においても、結晶化核の形成が促進される。
【0037】
HWCVD法では、膜材料内の結晶化核の成長は、より低いCVDコーティング温度でも開始され、著しく促進される。HWCVD法では、非常に熱い(1800℃以上の温度の)タンタルワイヤが、コーティングされることになる表面の近くにある反応チャンバ内に、シラン(SiH)の遊離基及びアンモニア粒子(NH)を生成し、それらが、コーティング材料において、及び行い得る他の処理ステップにおいても結晶化核としての役割を果たす。
【0038】
キャリアに膜材料を被着した後に、結晶性の小部分も同様に、以下の措置によって、さらに明確に増やすことができる。
a)圧力をかけた状態、又は概ね圧力をかけない状態での焼結
b)イオン衝撃
c)等方圧ホットプレス
d)a)、b)及びc)の組み合わせ
【0039】
本発明によるフィルタエレメントを製造するための方法の一実施形態では、キャリア構造に(後で)被着されるメンブレン層が、エネルギーを導入する(たとえば、温度を高める)ことによって焼結される。たとえば、Siメンブレン層の場合、既に存在している可能性がある結晶化核によって促進される結晶成長は約1450℃の温度で開始する。細長いSi結晶、いわゆるβ−Siが形成する。結晶サイズは約20〜50μmの範囲内にある。温度を高めるとともに加熱時間を長くすると、β−Siの小部分は急激に大きくなり、約1750℃以上で90%以上の値に達する。Si層を圧縮することに伴って、結晶境界の体積の減少に起因して、焼結作用が生じる。約1500℃以上で、その密度は、理論的に実現可能である値の90%にも達することができる。
【0040】
焼結作業中にAl及び/又はYのような焼結を助ける物質を(たとえばそれぞれ約5wt%ずつ)追加することができる。
【0041】
別の実施形態では、電磁放射、たとえばマイクロ波(たとえば、25GHz以上)又は電波によって、α−Siが加熱される。電磁放射による焼結の重要な利点は、エネルギーが概ね全サンプル体積内に投入されることであり、従来の場合のように、表面又は結晶表面から体積への熱伝導によるものではないことである。焼結を助ける物質がさらにエネルギーの結合を支援する。この変形形態では、結晶成長は、先に記載された従来の焼結方法の場合よりも約100〜150℃低い温度で終了する。こうして、この場合の結晶成長は約1350℃で既に開始しており、約1600℃において、Siは90%以上が結晶形態になる。圧縮も、対応する低めの温度で開始し、90%以上の最大値において停止する。放射ピークは、コーティング材料の吸収曲線の少なくとも1つのピーク付近にあることが好ましい。
【0042】
結晶相の形成では、Si層内に或る一定のアモルファスの残留小部分(たとえば、最大10%)が残存することに注意が払われるべきである。その理由は、そうでない場合には、β相の粒子が大きくなりすぎて、最終的には、その層が再び脆弱になってしまうからである。
【0043】
後続のメンブレン層のためのコーティング材料としてSiCが選択される場合には、結晶粒がはっきりと形成されている場合、焼結作業は明らかに低めの温度(場合によっては1400℃以下)で実行することができる。このことから、900℃の温度で開始して、少なくとも10%の度合いの結晶化が既に達成されているものと仮定することができる。同様に、焼結時間を長くすることは、結晶化の度合いを高くすることに寄与する。その場合、シリコンのキャリア構造上に、機械的に安定性の高いメンブレン層を形成することもできる。
【0044】
そのような焼結作業が与えるメンブレン層の機械的強度への影響は、中でも、引張強度を著しく高めることである。焼結されていないSiの場合、引張強度は500〜600MPaであるのに対して、焼結後には、1100Mpaを超える。これが、メンブレン層の、圧力に対する抵抗力を明らかに高める理由である。
【0045】
別の実施形態では、たとえば、等方圧ホットプレスによって、メンブレン層をさらに圧縮することができる。プレス作業は、たとえば、750℃以上の温度及び100バール以上の圧力で実行される。この工程は、焼結処理後に行うこともできる。ここでは、結晶粒組織には概ね変化しないが、多孔性は明らかに減少し、引張強度を1100MPa以上の値まで高めることができる。
【0046】
上記の焼結処理は、メンブレン層の構造化(細孔の形成)の前又は後のいずれかにおいて実行することができる。
【0047】
等方圧ホットプレスは構造化されていないメンブレン層上で実行される。
【0048】
膜の厚みは、50μm未満、好ましくは1μm未満である。
【0049】
細孔直径は、50μm未満であり、好ましくは1μm未満である。「要素セル」(=1つの細孔を有する膜の表面の単位)は、(細孔直径)以上の面積を有する。
【0050】
フィルタエレメントの重要な特性は、
−低いアスペクト比(膜厚:細孔直径)で比較的薄い懸架された膜(→高い処理量)であり、
−機械的強度又は圧力に対する抵抗力が比較的高いことである。
【0051】
本方法の以下のステップは、このための決め手となる。
−いくつかのステップにおけるエッチング。この場合、キャリア構造の残留層(たとえばSi層)がメンブレン層内に細孔を形成するために一時的に残され、この残留層は、細孔が形成されるまで除去されない(中間支持構造を用いる場合、用いない場合がある)。
−メンブレン層材料の結晶構造の形成。それによって、亀裂の形成及び亀裂の成長がかなり抑制され、引張強度が大幅に高められる。これは、コーティング工程のための工程パラメータ(温度、圧力等)を適当に選択する他に、焼結工程及び/又は等方圧(ホット)プレスによって行われる。ここで、場合によっては、膜内の細孔形成の後に、1つ又は複数の焼結ステップを実行できることにも留意されたい。
【0052】
膜の内部プレストレスは内部ミーゼス基準応力を低減し、それにより、メンブレン層内の曲げ応力を(いくつかのモデルケースでは約300MPa分)低減する。本発明のフィルタエレメントを製造するべく、最初に、結晶構造の形成が極めて重要である。メンブレン層内の或る一定の低いプレストレスは、(1)懸架された膜の場合に必要であり(それを張架するため)、及び(2)コーティング工程の工程パラメータに従って個々の場合に、有用な「付随する現象」である(多くの場合、約100Mpa以上)。
【0053】
Siキャリア構造の残留層が除去されるステップ(メンブレン層内に細孔を形成した後)は、(上記のように)背面(キャリア構造の側)を付加的にエッチングすることによってだけでなく、膜側から形成された細孔を通して実行できることに留意されたい。その後、孔あけされたメンブレン層の下で、アンダーカットエッチングが行われ、残留層が除去され、それにより、孔あけされた膜が露出する。このために用いられるエッチング剤は当然、メンブレン層を侵蝕してはならない。ここで、用いることができる工程は、中でも、たとえばSF、CCl+O、NF、並びに等方性及び異方性エッチング剤の混合物によるドライエッチング工程である。
【0054】
Siディープエッチングは膜チャンバを形成し、膜チャンバは懸架された膜によってそれぞれ覆われる。膜チャンバの外周形状は、原理上は限定されない。したがって、膜チャンバは、正方形、長方形、菱形等にすることができる。しかしながら、膜チャンバの寸法は、基本的にはSiキャリア構造によって与えられるフィルタエレメント全体の全体的な安定性によって決定される。
【0055】
Si基板を適当に選択して、膜チャンバの側面は(断面図で見ると)垂直になるように(たとえば(110)−Si)、又は傾斜するように(たとえば(100)−Si)形成することができる。
【0056】
強度試験は、圧力に対する膜の抵抗力が、膜の一方の側面の長さのみによって大きく影響を及ぼされることも示す。この理由から好ましい実施形態では、膜チャンバは長いスロットになるように形成される。その理由は、特に側面長が短いと、膜の圧力安定性及び亀裂の挙動が影響を及ぼされるからである。一実施形態では、この方向におけるスパン幅は約100μmの長さであることが好ましい。長い側面長は基本的には制限されない。ただし、フィルタエレメント全体の全体的な安定性は別である。こうして、原理上は、スロット形状の膜チャンバがフィルタの全長にわたって延在することができ、フィルタエレメントの多孔性に好都合に寄与する。
【0057】
他の実施形態では、より大きな膜スパン幅及び/又はより高い多孔率の場合に、中間支持構造を組み込むべく、Siディープエッチングは3ステップ以上で実行することができる。Siディープエッチングの第1のステップでは、後続の膜チャンバのより大きな底面積を構造化又はエッチングすることができ、ここでも同様に、最初にSiキャリア材料の残留層が残される。次に、考えられ得る一方法では、膜が上述のように前面に形成される。その後、背面上のSiキャリアの残留層はマスク層(たとえば光ワニス)でコーティングされ、その後、適当なフォトリソグラフィ工程によって構造化される。その後、このようにして形成されたマスク層の構造を用いて、構造化されたマスク層を通して到達可能であるSiキャリアの残留層をエッチングして除去する。ここで、構造化されたマスク層によってエッチングから保護されるSiキャリア材料の残留層の部分が中間支持構造を形成し、この中間支持構造は、より大きな膜チャンバにおける膜の安定性を改善する。この実施形態によって、フィルタエレメントの多孔率を(膜チャンバ面積を大きくすることによって)大幅に高めることができる。
【0058】
Siディープエッチングのためのこのマルチステップ法は、同じ原理にのっとって、本明細書に記載される2つ又は3つのエッチングステップよりも多くのステップに、必要に応じて拡張することができる。膜を製造する前のSiディープエッチングの最初のステップの遂行は、フィルタエレメントのための製造工程の並列処理を、ひいては経済的な効率を改善する。
【0059】
Siディープエッチングのためのマルチステップ工程の別の利点は、一時的に存在するSiキャリア材料の残留層が、膜内の応力を容易に吸収し、散逸させることができることであり、それは、内部プレストレスを有するメンブレン層の場合に、且つ/又はたとえば、付加的な一時的な中間層(たとえば、NiCr、Cu等の金属犠牲層)が存在するときに特に重要である。さらに、細孔エッチングおいて、全ての細孔が同時に開口されるとは限らないので、この残留層は、メンブレン層内に一時的に生じ、膜内の細孔形成中に生じる場合がある応力を緩和する。さらに、残留層は、フィルタの製造中にフィルタエレメント構造全体の取り扱いをさらに容易にする。これらの全てが、不良品になる度合いを著しく低減する。
【0060】
膜内に細孔を形成する前に背面エッチングすることの別の利点は(中でも、工程ステップを並列処理することの他に)、このようにして、中間支持体の階層を比較的容易に作り出せることである。
【0061】
孔あけされたメンブレン層を露出させるための最後のエッチングステップでは、原則として、フィルタエレメントの膜側がエッチング剤から保護される。これは、たとえば、その構造の前面(膜側)を覆う、いわゆる「エッチング被覆」を用いることによって行われる。別の可能性は、細孔を少なくとも部分的に塞ぐ、たとえばAlのような媒介物によって、孔あけされた膜の前面を覆うことである。これは、最後のエッチングステップにおいて形成される、たとえば水素が、メンブレン層を破壊することを、又は形成されたメンブレン層がエッチング媒体によって衝撃を受けて変質されることを防ぐ。水素、又は一般的に言うと、直径dを有する細孔内の気泡の圧力は、経験則P≒3.5bar/d1μmを満たし、すなわちd=1の場合には、細孔内に約3.5バールの圧力が存在し、一方、d=0.5では、細孔内に7バールの圧力が存在する。この目安は、フィルタエレメントの製造時の不良品を大幅に削減する。
【0062】
ここで、本発明によるフィルタエレメントを製造するための方法の一実施形態が以下に説明されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
図1によれば、第1の工程ステップでは、メンブレン層1がキャリア層2に被着される。キャリア層2は、この場合には、たとえばSi基板である。たとえばSi、SiC又はそれらの組み合わせから成るメンブレン層1の被着は、CVD法(たとえばLPCVD又はPECVD)又はPVD法(たとえばスパッタリング)によって行われることが好ましい。この実施例では、これは片面において行われる。しかしながら、それは両面において行うこともできる。メンブレン層の厚みは、たとえば、500nm以上にすることができる。キャリア層2には、半導体業界において知られているような、従来のSiウェーハを用いることができる。
【0064】
図2に示される第2のステップでは、背面、したがってメンブレン層1の反対側にあるキャリア層の面において、Siディープエッチングが実行される。このべく、最初に、背面がレジスト層(たとえば光ワニス)でコーティングされ、レジスト層はその後、好ましくはフォトリソグラフィによって構造化される。レジスト層の構造は、たとえばRIEドライエッチングによって、その下にある層に転写される。両面において(Si又はSiCで)コーティングされる基板の場合、これは、後の膜側と反対側に存在するSi又はSiCコーティングである。背面コーティングへのレジスト構造の転写後に、たとえばNaOHで実際のSiディープエッチングが行われる(たとえば、80℃でのNaOHウエットエッチング、約7〜8時間のエッチング時間)。その構造が片面(後の膜の側)のみにコーティングされる場合には、レジストを構造化した直後に、NaOHウエットエッチングが行われる。このウエット化学エッチングは、基板の結晶方向に対して、エッチング速度の強い方向依存性を示す。いわゆる(111)エリアは、他の表面よりも100倍遅くエッチングされ、(100)−Siウェーハの場合には、(100)−Siの場合に54.76°の角度αを有する傾斜のある面4を与える。(110)‐Siの場合、それらの面は急勾配になり、すなわち概ね垂直である。そのエッチング速度は約1μm/分である。一実施形態では、このエッチングステップは、約30μmの残留Siキャリア層厚で停止され、結果として残留層5が残る。ちなみに、このステップでは、コーティング(Si又はSiC)は、たとえば約600〜800nmまで薄くされる。
【0065】
第3の主要ステップ(S3)では、NiCr、Cu等のいわゆる金属犠牲層が、最初に、約150nmの厚みで被着され、実際のメンブレン層(Si又はSiC層)の構造化においてエッチングマスクとしての役割を果たす。その後、たとえば金(Au)を被着し、既知のように、フォトリソグラフィ及びウエット化学によって十字又は類似の印に構造化して、ウェーハ全体の適合能力を改善することができる。これらのマーカは高いコントラスト能力を有し、結果として、ウェーハをさらに良好に位置決めすることができる。ここで、500nmの調質された(tempered)ワニス層が従来どおりにリソグラフィによって所望の細孔パターンに構造化される。
【0066】
細孔パターンを(たとえば、Si又はSiから成る)メンブレン層へ転写することは、一実施形態では、2つのドライエッチングステップにおいて行われる。すなわち、第1の部分ステップ(S3−1)では、たとえば、Ar−IBE(Arビームイオンエッチング)によって、ワニス構造が金属犠牲層に転写され、第2の部分ステップ(S3−2)では、金属犠牲層内の細孔構造が、たとえば、ECR−RIE(エッチングガス、たとえばCF/O)によってメンブレン層に転写される(図3を参照)。それぞれの場合に、装置又は他の工程の細部に応じて、他の既知のエッチング技法を用いることができる。
【0067】
第4の主ステップ(S4)では、ここで、背面Siディープエッチングが完了し、すなわち、下からメンブレン層3を露出させるべく、この場合には約30μmである残留層5が除去される。その際、この犠牲層から膜へのあらゆる応力の導入を避けるべく、最初に、主要ステップS3からの残留金属犠牲層を除去することができる。TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)はNaOHよりもメンブレン層に与える衝撃が少ないので、このSiディープエッチングステップは、たとえば、約80℃のTMAHで、且つ約1時間のエッチング時間で実行される。当然、他の既知のエッチング方法を用いることもできる。
【0068】
約1μm以下の細孔直径の場合、このエッチングステップにおいて生じる気体形成の結果として、膜が裂ける可能性がある。この理由から、一実施形態では、いわゆる「エッチング被覆」を用いて、膜がエッチング剤から保護される。このべく、ウェーハの膜側が、たとえば、ペトリ皿のような容器に密着される。別の実施形態では、気体形成によって裂けるのを防ぐべく、細孔がAlのような材料で満たされる(そして、膜の前面も覆われる)。Siディープエッチングの終了後に、この材料は、たとえば、別のエッチング工程によって、又は他の化学処理によって、又はたとえば、単に加熱することによって、膜の前面から、且つ細孔から除去される。
【0069】
第1のステップS1中に、又は後のステップにおいて、メンブレン層は個別の処理(すなわち、圧力、イオン衝撃及び/又は加熱処理)にかけられる。イオン衝撃及び/又は加熱処理は、メンブレン層の被着と同時に、それゆえステップS1において、又は後の時点、たとえば、ステップS4までの後の時点において行われることが好ましい。等方圧ホットプレスがステップS1とS2との間に実行されることが好ましい。
【0070】
完了するべく、依然としてウェーハに結合されているフィルタエレメントが、たとえば、エッチングによって予め形成された切断端(意図的な切断部位)に沿って、たとえば、従来の鋸引き又は切断によって分離される。
【0071】
既に言及されたように、背面から見た膜チャンバ3は、数多くの輪郭を有することができる。好ましい一実施形態では、膜チャンバは長いスロット形状を有し、概ね膜によって覆われる。一実施形態では、チャンバスロットは、約2100μmの長さ及び100μmの幅を有する。
【0072】
フィルタエレメント当たりの多孔率又は膜面積を高めるべく、一実施形態によれば、約100μmの距離において、より小さな中間支持体8を導入することにより、より大きなサイズの(100μmより大きい)主膜チャンバを形成することができる。これは、より大きな面積にわたってステップS2を実行することにより行うことができる。このSiディープエッチングが停止された後に、上記のように30μmよりも厚くすることができる、この残留層は、再び適当に構造化され(薄い金属犠牲層を用いる場合も、用いない場合もある)、以下同様に処理される。これは、さらに複雑な中間支持体を作り出すべく、原理上は、何度でも(ステップS2−i、i=1...n)繰り返すことができる。しかしながら、既に述べた理由のべく、残留層5が細孔6の形成前には必ず残され、最後まで除去されないことが好ましい。
【0073】
SiCメンブレン層は特に強いので、細孔直径が0.4μmよりも小さい膜を、概ね同じアスペクト比(0.45μmの細孔直径:0.80μm膜厚の代わりに、たとえば0.2μm(又はそれ以下):0.4μm(又はそれ以下))において、より簡単に、且つ良好な歩留まりで製造することができる。
【0074】
高い強度のSiC層は、損傷することなく、細孔エッチングにおいて生じる応力に適応することができるので、SiCメンブレン層の強度が十分である場合には、ステップS2において残留層5を省くこともできる。この場合には、S4が省かれ、これによって、フィルタエレメントを製造するための方法は、より簡単に、より短く、そしてより安価になる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1の工程ステップ後の膜エレメントの断面図である。
【図2】第2の工程ステップ後の膜エレメントの断面図である。
【図3】第3の工程ステップ後の膜エレメントの断面図である。
【図4】請求項1の第3の工程ステップ後及び第4の工程ステップ前の一実施例の断面図である。
【図5】第4の工程ステップ後の上記実施例の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタエレメントを製造するための方法であって、
S1)キャリア基板にメンブレン層を被着するステップと、
S2)前記キャリア基板の、前記メンブレン層と反対側に、前記キャリア基板の残留層が依然として残されるように膜チャンバをエッチングするステップと、
S3)孔あけされた膜を形成するべく、リソグラフィ及びエッチング工程によって、前記メンブレン層内に細孔を形成するステップと、
S4)前記メンブレン層を露出させるべく、エッチングによって前記残留層を除去するステップと、
S5)前記ステップS1中に、又は後続のステップにおいて、前記メンブレン層をさらに処理して、機械的強度を高めるステップと
を含む、フィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項2】
前記処理されたメンブレン層は少なくとも25%の結晶性の小部分を有することを特徴とする、請求項1に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項3】
前記メンブレン層は化学気相成長工程(CVD工程)によって前記キャリア基板に被着されることを特徴する、請求項1に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項4】
前記メンブレン層は物理気相成長工程(PVD工程)によって前記キャリア基板に被着されることを特徴する、請求項1に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項5】
前記メンブレン層はセラミック材料から成ることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項6】
前記メンブレン層は非酸化物セラミックから成ることを特徴とする、請求項5に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項7】
前記メンブレン層は窒化非酸化物セラミック(nitride non-oxide ceramic)から成ることを特徴とする、請求項6に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項8】
前記メンブレン層はSiから成ることを特徴とする、請求項7に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項9】
前記メンブレン層は炭化非酸化物セラミックから成ることを特徴とする、請求項6に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項10】
前記メンブレン層はSiCから成ることを特徴とする、請求項9に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項11】
結晶核は前記ステップS1において前記メンブレン層内に既に生成されていることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項12】
前記メンブレン層内の前記結晶性の小部分を増やすべく、キャリア層及び前記メンブレン層から成る構造が温度処理にかけられる(詳細には加熱される)ことを特徴とする、請求項1に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項13】
前記メンブレン層内の前記結晶を増やすべく、前記ステップS5において、前記キャリア層及び前記メンブレン層から成る前記構造は等方圧ホットプレスされることを特徴とする、請求項1及び/又は12に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項14】
前記ステップS1又はS5において、前記メンブレン層は内部プレストレスを与えられることを特徴とする、請求項1ないし13のいずれか一項に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項15】
前記許容可能な機械的負荷を高めるための処理は、前記メンブレン層を約5ないし100Paの処理圧において約200℃ないし2000℃までの温度範囲に保持することによって実行される温度処理であることを特徴とする、請求項1ないし14のいずれか一項に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項16】
前記温度処理ステップは約900℃以上の温度における焼結であることを特徴とする、請求項1ないし15のいずれか一項に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項17】
前記温度処理は電波又はマイクロ波範囲内の電磁放射によって実行されることを特徴とする、請求項1ないし16のいずれか一項に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項18】
前記マイクロ波放射は、25GHz以上の周波数範囲、好ましくは前記メンブレン層の材料がその吸収曲線においてピークを有する周波数範囲内にあることを特徴とする、請求項17に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項19】
前記温度処理ステップは約750℃以上の温度及び約100バール以上の圧力における等方圧ホットプレスを含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記等方圧ホットプレスステップは、請求項1に記載のステップS3の前に実行されることを特徴とする、請求項13及び/又は19に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項21】
前記メンブレン層は、請求項1に記載のステップS3の後にエッチング剤に対して保護されることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項22】
前記膜は固体マスクによって保護されることを特徴とする、請求項21に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項23】
前記メンブレン層は、請求項1のステップS4の後に再び除去されるコーティング材料によって保護されることを特徴とする、請求項21に記載のフィルタエレメントを製造するための方法。
【請求項24】
複数の穿孔(6)を有するメンブレン層(1)とキャリア層(2)とを有するフィルタエレメントであって、前記キャリア層(2)において、膜チャンバ(3)が露出し、前記メンブレン層(1)は前記膜チャンバ(3)上に広がり、前記メンブレン層(1)は、開始材料の強度よりも高められた強度を有する、圧縮され、且つ/又は少なくとも部分的に結晶性の構造を有することを特徴とする、フィルタエレメント。
【請求項25】
前記メンブレン層(1)の前記高められた強度は内部機械的プレストレスによって生み出されることを特徴とする、請求項24に記載のフィルタエレメント。
【請求項26】
前記メンブレン層(1)はマイクロ結晶及び/又はナノ結晶構造を有し、且つ/又は圧縮されていることを特徴とする、請求項24に記載のフィルタエレメント。
【請求項27】
前記キャリア基板(2)は複数の膜チャンバ(3)を有し、該膜チャンバはそれぞれ、1つの同じ前記メンブレン層(1)によって覆われることを特徴とする、請求項24ないし26のいずれか一項に記載のフィルタエレメント。
【請求項28】
前記膜チャンバ(3)は平面図において長方形であることを特徴とする、請求項24ないし27のいずれか一項に記載のフィルタエレメント。
【請求項29】
前記膜チャンバ(3)は平面図においてスロットの形状を有し、その長さはその幅の少なくとも2倍であることを特徴とする、請求項28に記載のフィルタエレメント。
【請求項30】
前記膜チャンバ(3)の2つの対向して位置する側面(4)は、前記膜の平面に対して90°未満の角度をなすことを特徴とする、請求項24ないし29のいずれか一項に記載のフィルタエレメント。
【請求項31】
前記膜の厚みD及び細孔直径Pの細孔比は、0.01<D/P<100の関係であることが有効であり、前記膜の厚みDには、0.01μm<D<100μmが当てはまることを特徴とする、請求項24ないし30のいずれか一項に記載のフィルタエレメント。
【請求項32】
前記細孔は概ね円形であり、0.01μmないし100μmの範囲内の直径を有することを特徴とする、請求項24ないし31のいずれか一項に記載のフィルタエレメント。
【請求項33】
前記膜チャンバ(3)の方に向いた側にある前記メンブレン層(1)は少なくとも1つの中間支持体(8)上に存在し、該中間支持体(8)の厚みは前記キャリア基板の厚みよりも薄いことを特徴とする、請求項24ないし32のいずれか一項に記載のフィルタエレメント。
【請求項34】
前記膜チャンバ(3)は概ね、前記フィルタエレメントのエリア全体にわたって延在することを特徴とする、請求項24ないし33のいずれか一項に記載のフィルタエレメント。
【請求項35】
前記キャリア基板は、Si、SiC、酸化チタン及び他のチタン化合物、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、ニッケル、クロム、Ni−クロム化合物、Al、イットリウム化合物のグループから選択され、前記メンブレン層はSi、SiC、該2つの物質の組み合わせ、又は別のシリコンセラミックから成ることを特徴とする、請求項24ないし34のいずれか一項に記載のフィルタエレメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−513317(P2009−513317A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518100(P2006−518100)
【出願日】平成16年7月3日(2004.7.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007262
【国際公開番号】WO2005/007276
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(500038237)
【Fターム(参考)】