説明

フィルター上の微生物の検出及びキャラクタリゼーション方法

本発明は、以下の段階、すなわち、a)流体中又は表面に存在する微生物をフィルターと接触させる段階、b)増幅産物を得るために、フィルター上に存在する微生物由来の核酸を等温で特異的に増幅する段階、c)増幅産物を検出する段階を含むことを特徴とする、流体中に存在する1種類以上の微生物をフィルター上で特異的に検出する方法に関する。本発明は、この方法の実施に適切な装置、キット及びオリゴヌクレオチドにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前記微生物の核酸の特異的等温増幅段階を含む、流体中に存在する1種類以上の微生物をフィルター上で特異的に検出する方法、並びにこの方法を実施するための検出キット及び配列に関する。
【背景技術】
【0002】
現在で、産業又は医療分野において水及び空気並びに使用済み又は使い捨て用具(disposed−of tools)及び材料の微生物学的品質のモニタリングは、ますます厳格な基準下に置かれている。
【0003】
このため、工業及び衛生の当局は、微生物学的汚染を低コストでできるだけ早く改善できるように、微生物学的汚染をできるだけ早く検出することができるツールを持つことができなければならない。従来、微生物学的分析は寒天培地上で実施されている。これらのタイプの培養は、実施が容易であり、菌を裸眼で数えることができ、微生物を生かしたままにすることができ、適切であればキャラクタリゼーション試験を実施することもできる。
【0004】
これらのキャラクタリゼーション試験は、一般に、微生物中に含まれる核酸の抽出、及び当業者に公知である幾つかの連鎖反応技術(PCR:ポリメラーゼ連鎖反応法又はLCR:リガーゼ連鎖反応)の1つによる前記核酸の特異的増幅からなる。
【0005】
しかし、核酸増幅によるキャラクタリゼーション試験は極めて信頼性が高いが、微生物の培養、微生物からの核酸抽出、及び上記連鎖反応技術の1つの実施からなる各段階は時間がかかる。
【0006】
裸眼でも見えるようにするために、微生物を少なくとも24時間培養しなければならない。マイコバクテリアなどの増殖の遅い微生物、又は環境条件によるストレスを受けた微生物では、更に長い場合もある。
【0007】
また、核酸の抽出は、寒天培地上で直接実施することができず、キャラクタリゼーション前に微生物をサンプリングする必要がある。
【0008】
PCRは、異なる温度における多数の増幅サイクルからなり、最終的には、サーマルサイクラー中に置かれる小さな管中の溶液中で実施しなければならず、増幅前後に核酸を移す追加の作業が必要である欠点がある。
【0009】
固体担体上に固定された核酸プローブとの種々のハイブリダイゼーション技術を用いたラボオンチップ(lab−on−a−chip)設備の最近の進歩によって、微生物の分析段階における時間を節約することができる。しかし、これらの技術は、製造コストが更に高く、キャラクタリゼーション前の核酸の抽出及び移動の段階を省略することができない。
【0010】
これらの条件下で、24時間を超える時間が、微生物を数え、分析するのに依然として必要である。これは、生成物の品質を恒常的に確実に監視しなければならない工業的状況においては余りにも長すぎる。
【0011】
注射用薬液組成物用の工業用水の品質を管理する特定分野においては、例えば、一連の製造に導入される水の品質についての情報は、実質的に瞬時に得ることができなければならない。
【0012】
微生物は、その場で、可能であれば最低限の装置及び人員で、検出されなければならない。
【0013】
検出は、所望の検出レベルが水1リットル当たりごく少数の微生物のオーダーである状況においては一層困難であり、微生物をろ過によって濃縮する前段階が必要である。
【0014】
これらの制約に対処するために、微生物の有無を迅速に決定する手法が、本出願人によって国際出願WO01/59157号に最初に提案された。
【0015】
この手法は、微生物の代謝活動に基づいて微生物を検出することによって培養期間を短縮することからなる。
【0016】
例えば微生物中に含まれるATP、又はCO放出であり得る、共通代謝マーカーを測定して、コロニーが寒天培地上で裸眼で見えようになる前に微生物の存在を確認する。
【0017】
水の微生物学的モニタリングの例では、ある体積の水(100mlから1l)をろ過膜によってろ過して、水中に含まれる微生物を捕捉する。次いで、微生物が成長を開始するのに利用する寒天培地上にろ過膜を置く。次いで、膜を回収して、光子を生成する酵素(ルシフェラーゼ)とATPを反応させることによって、その表面に存在する微生物のATPを検出する。ルミネッセンスを画像解析システムによって測定する。
【0018】
このシステムは、Milliflex(登録商標)Rapidシステムの名称で本出願人によって市販されており、液体中の微生物の有無を確認するのに必要な時間を既に数時間短縮している。
【0019】
このシステムは、定性的ではなく、定量的な情報をもたらす。存在する微生物の性質を確認しなければならないとき、又は所与の微生物を特異的に捜し出さなければならないときには、PCRによって一般に実施されるキャラクタリゼーション段階を追加せねばならず、上述したように、試験時間がかなり増加する。
【0020】
一方、核酸の特異的増幅技術がLAMP(loop−mediated isothermal amplification)という名称で開発された。その原理は、国際出願WO00/28082号、WO01/077317号及びWO02/024902号に記載されている。
【0021】
PCRとは異なり、この方法は、高レベルの特異性を維持しつつ、恒温(等温条件)下で実施される特徴を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の一目的は、初期の検出方法の欠点を取り除き、その核酸の増幅によってフィルター上で直接に検出することにある方法を提供することである。
【0023】
驚くべきことに、通常は核酸の培養及び抽出後に溶液状態で実施される、LAMP法などの等温増幅技術を、微生物の培養段階、及びその核酸を増幅のために試験管に移す段階を必要とせずに、微生物が捕捉されたフィルター上で実施することができる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
したがって、本発明の方法は、ある体積の水、ガスの中に、又は固体表面に存在する微生物を、ごく少数の微生物の検出いき値で、短時間で特異的に検出することができる。
【0025】
好ましい態様においては、本発明は、膜上のその場で、すなわち膜の所与の部分において、膜上に捕捉された微生物を個々に数えることができる。
【0026】
したがって、本発明は、以下の段階、すなわち、
a)流体中に存在する微生物をフィルター上で接触させる段階、
b)増幅産物を得るために、フィルター上に存在する微生物由来の核酸を等温で特異的に増幅する段階、
c)好ましくは前記フィルター上で、増幅産物を検出する段階
を含むことを特徴とする、流体中に存在する1種類以上の微生物をフィルター上で特異的に検出する方法に関する。
【0027】
より具体的には、本発明は、以下の段階、すなわち、
a)フィルター上の微生物を捕捉するために、液体、ガス又は表面がフィルターと接触される段階、
b)増幅産物を得るために、微生物中に存在する核酸がフィルター上で等温で特異的に増幅される段階、
c)得られた増幅産物が検出される段階
を含むことを特徴とする、液体中、ガス中又は表面に存在する1種類以上の微生物をフィルター上で特異的に検出する方法に関する。
【0028】
本発明は、本発明による方法の実施に特に適切な装置、キット及びプライマーにも関する。
【0029】
下記図の目的は、本発明のある特徴を説明することである。
図1:本発明による検出方法の段階b)において好ましく使用される、微生物に含まれるメッセンジャーRNAの検出に適切なLAMP増幅技術の原理を示す図である。
図2:本発明の方法によるLAMP法によるシュードモナス エルジノーサの特異的検出に使用されるプライマーを示すoprL遺伝子から生ずるDNA配列(5’−>3’)を示す図である。本発明によって使用されるプライマーに対応する配列に陰影をつけ、その配向を矢印で示す。
図3:実施例1において実施される、本発明による方法の各段階を示す図である。
図4:実施例1に記載の、本発明による方法の段階b)及びc)の説明図である。
図5:実施例2において実施される、本発明による検出方法の各段階を示す図である。
図6:実施例2に記載の、本発明による検出方法の段階b)及びc)の図である。
図7:実施例3において実施される、本発明による検出方法の各段階を示す図である。
図8:本発明による方法を実施するための核酸増幅装置の斜視図である。
図9:図8の装置の断面図である。
図10:扁平な壁及びカバーのない、図8の装置の断面図である。
図11:図10の装置図の上面図である。
図12:図8の装置の分解組立斜視図である。
図13:貯蔵部を取り外した後の図8の装置の斜視図である。
図14:図13の装置の横断面図である。
図15:図13の装置の分解組立斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明による検出方法によって、液体、ガスなどの流体、更に表面の微生物学的品質のモニタリングが可能である。
【0031】
したがって、この方法は、例えば、農産食品又は薬剤に関係した製造及び再処理中の水のモニタリング、空調システム又は屋内クリーンルームから放出される空気のモニタリング、実験室、工場及び手術室における作業面(work surface)の無菌レベルのモニタリングなどの多数の工業用途及び衛生用途に適用可能である。
【0032】
この方法は、診断目的、例えば、尿路感染症の場合には尿、髄膜炎の場合には脳脊髄液、胎児の感染若しくは異常の場合には羊水、ウイルス感染研究の場合には血しょう、又は気管支若しくは肺感染の場合には呼気の分析に使用することもできる。
【0033】
より一般的には、この方法は、想定される用途にかかわらず、核酸のキャラクタリゼーションのためのラボオンチップの代替となる。
【0034】
本発明の方法によって意図される微生物は、一般に、シュードモナス(Pseudomonas)属、エシェリキア(Escherichia)属、レジオネラ(Legionella)属、サルモネラ(Salmonella)属、リステリア(Listeria)属、バチルス(Bacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ビブリオ(Vibrio)属、エルシニア(Yersinia)属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属、シゲラ(Shigella)属、クロストリジウム(Clostridium)属、カンピロバクター(Campylobacter)属又はアエロモナス(Aeromonas)属の病原菌;ジアルジア属、エントアメーバ属、クリプトスポリジウム属、シクロスポラ属の原生動物;マイコプラズマ属及びウレアプラズマ属のマイコプラズマ、アスペルギルス(Aspergillus)属、カンジダ(Candida)属又はペニシリウム(Penicillium)属の真菌、環境中に存在する病原性汚染物質であるA型及びE型肝炎ウイルスから選択される。このリストは、限定的なものではなく、当業界で最も興味深い生物体を単に確認したにすぎない。他の生物体も興味深いものであり得る。それらも本発明に包含されるものとする。
【0035】
本願では「微生物」という用語は、細菌、真菌及び酵母に限定されない。この用語は、ラン藻類などの単細胞藻類、アメーバ、線虫卵などの寄生生物の単細胞体、又は花粉、精子などの植物若しくは動物の配偶子、更に吸虫、回虫などの細胞周囲の微視的生物体のような他の微視的生命体(living form)にも当てはまる。
【0036】
本発明の一態様によれば、微生物は、最初に液体中、ガス中又は表面に存在する。
【0037】
本発明の意味における液体は、懸濁した固相を含み得る溶液、より優先的には水性媒体溶液であり得る。ガスは、好ましくは空気などのガス混合物で構成されるが、拡張して、エアゾール剤など、固体粒子、液体粒子及びガス粒子の混合物からなることもできる。
【0038】
表面は、好ましくは、例えばクリーンルームの床又は壁などの固体の表面である。
【0039】
微生物は、ろ過によって、又はフィルターと汚染表面の接触によって、前記フィルター上又は前記フィルターの深部に捕捉、すなわち保持される。
【0040】
「フィルター」とは、本発明では、主構成要素が、その性質、そのサイズ及び/又はその配列によって、フィルターを通過する液体又はガスの流れの中に懸濁して含まれる微生物を保持する材料である媒体を意味する。
【0041】
したがって、「フィルター」という用語は、ろ過パッド、膜、又はマイクロビーズ、ゲル、樹脂などのクロマトグラフィー媒体が充填された微小カラムなど、種々のタイプのろ過製品を指す。
【0042】
好ましい実施形態によれば、フィルターの主構成要素である材料は、微生物の外膜と、又は微生物に由来する核酸と相互作用して、生物体をフィルターに捕捉するのを、又は張り付けるのを助ける抗体又は化学基で被覆されている。
【0043】
フィルターは単層でも多層でもよい。一般に、フィルターは、ガラス、ラテックス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化(ビニリデン)、ポリカルボナート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アセチルセルロース、混合セルロース及びニトロセルロースから選択される1種類以上の材料、又はろ過製品分野の当業者に公知の任意の材料で構成される。
【0044】
好ましい実施形態においては、フィルターは膜である。膜の孔は、一般に、平均直径が0.1から1.5ミクロン、好ましくは0.15から0.8ミクロン、より優先的には0.2から0.6ミクロンである。
【0045】
材料は、好ましくは、本方法の段階b)及びc)中に使用される溶媒に適合するように選択され、特に微生物をフィルター上に固定し、これらの微生物に含まれる核酸を放出させるのに使用することができるアルコール及びアルデヒドに適合するように選択される。
【0046】
本願では「膜」とは、2つの表面を有する合成支持体で構成されたフィルターを意味し、その孔は平均の既知の直径を有する。この平均の既知の直径は、前記平均直径の寸法を有する微生物の少なくとも99%が膜を通過するのを防止するように計算される。本発明の範囲内で使用される膜は、一般に、高い表面/体積比を有し、好ましくは90から200ミクロンの一定厚みを有する。
【0047】
本発明による膜は、好ましくは、例えばMillipore Corporationによって商品名MXHVWP124で市販されている膜などのPVDFろ過膜である。
【0048】
本発明の好ましい態様によれば、微生物は、膜の2つの表面に圧力差をかけて液体又はガスを膜の孔を通過させることによって実施されるろ過によって膜上に捕捉される。次いで、微生物は、膜の表面及び/又は孔に保持される。
【0049】
本発明の好ましい特徴によれば、本方法の段階a)は、液体又はガス中に存在する微生物を膜上で濃縮することを意図したろ過からなる。
【0050】
酵母型及びカビ型の微生物を保持しようとするときには、平均孔径0.5から1.5ミクロン、好ましくは0.6から1ミクロンを選択することが望ましい。細菌微生物の場合、平均直径0.2から0.8ミクロン、好ましくは0.3から0.5ミクロンが選択される。マイコプラズマ型微生物及びウイルスの場合、直径0.2ミクロン未満、好ましくは0.1から0.2ミクロンが選択される。一般に孔は、各々不規則な多孔度を有する、同じ材料又は異なる材料の異なる層の重ね合わせから生ずるので、孔径は、統計学的計算によって得られる。
【0051】
微生物が膜全体により良好に再分布し、段階c)において微生物をより良く数えることができるように、炭化水素化(hydrocarbonated)、非濡性ワックス、ワセリン、シリコーンワックス若しくはオイル、エポキシ樹脂、ポリフルオロエチレン又はポリスチレンの溶液のネットワークを形成する疎水性メッシュを含むろ過膜を使用することはろ過中に有利であり得る。
【0052】
ろ過しない場合には、微生物をフィルター表面と接触させることによって捕捉する。この接触は、液体若しくはガスをフィルターの方向に能動的に放出することによって(気流、水流)、又は微生物が重力によってフィルター上に堆積するときに受動的に生じ得る。逆に、フィルターを微生物が存在する固体表面に適用することもできる。この捕捉方法の場合、フィルター表面が、微生物の付着を容易にするコーティングで覆われていることが有利であり得る。このコーティングは、例えばグリセリンで形成することができる。
【0053】
必要に応じて、フィルター上に固定された微生物を培養する段階を、増幅段階b)の前に実施することができる。かかる培養は、適切であれば、フィルター上の微生物の最初の位置を考慮しつつ、存在する微生物の数を増加させ得る栄養培地、特に寒天培地とフィルターを接触させることによって、膜のようなフィルター上で直接起こり得る。得られたコロニーは、段階c)用の生体材料として保存することができ、又は例えばATP生物発光による定量などの他の分析目的で試料採取することができる。
【0054】
フィルターの上又は深部に捕捉された微生物に含まれる核酸は、二本鎖又は一本鎖DNA及びRNAから本質的になる。これらは、特に染色体DNA、葉緑体DNA、ミトコンドリアDNA、リボソームRNA、転移RNA又はメッセンジャーRNAからなり得る。
【0055】
本発明の好ましい形態によれば、微生物の外壁は、微生物に含まれる核酸を放出させるために増幅段階c)の前に溶解される。溶解段階は、例えばフィルターに溶解緩衝剤を含浸させることによって、フィルター上で直接実施することができる。溶解段階は、適切であれば、例えば核酸をアルコールによってフィルター表面又は内部に沈殿させることからなる精製段階によって、完結することができる。
【0056】
本発明の好ましい形態によれば、フィルター上にその核酸と一緒に捕捉された微生物は、適切な処理によってフィルターに固定される。この固定化段階によって、異なる微生物から生じる核酸の遊走及び混合が防止される。この処理は、例えば、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドなどの架橋剤を含む、固定液によるフィルターの含浸からなり得る。グルタルアルデヒドは、ポリアミド系膜を使用するときには、特に有利である。
【0057】
本発明による固定の別の形態は、フィルターを構成する材料と核酸の架橋反応を得るために、フィルターに紫外(UV)線を照射することからなる。
【0058】
本発明による方法の段階b)によれば、微生物中に存在する核酸は、増幅産物を得るために、フィルター上で等温で特異的に増幅される。
【0059】
特異的増幅とは、本明細書では、テンプレートとして役立つ核酸を含む配列の全部又は一部を再生する目的で、テンプレートとして役立つ核酸に相補的な特異的プライマーのハイブリダイゼーションによって開始される核酸の重合反応を意味する。
【0060】
PCR法とは異なり、本発明による増幅段階b)は、温度の周期的変化を必要とせず、したがってサーマルサイクラーも、反応媒体に確実に有効に熱伝達するように設計された、サーマルサイクラーに付随した小さい消耗品も不要である。
【0061】
本発明の好ましい特徴によれば、増幅段階は、フィルター上で、すなわちフィルターの表面又は内部で、より優先的には囲い(enclosure)の中で制御温度で、実施される。一般に、温度は、35から90℃、優先的には50から70℃、より優先的には60から65℃に維持される。
【0062】
一本鎖RNA単位複製配列が得られる、例えば、NASBA法(nucleic acid sequence based amplification)、TMA(transcription mediated amplification)など、核酸の等温増幅のための異なる方法を本発明の方法に適用することができる[Nature, 1991, 350: 91−92]。
【0063】
本発明による好ましい増幅技術は、ステムループを形成する単位複製配列を介してDNAテンプレートが再生されるLAMP法である。
【0064】
LAMP法の原理は国際出願WO00/28082号に記載されている。
【0065】
本発明によるこの技術の好ましい翻案物を図1に示す。
【0066】
LAMP型増幅技術とは、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、DNAポリメラーゼに相補的なDNA鎖を核酸のテンプレートから特異的「FIP」プライマー(Forward Inner Primer)を介して合成する段階を少なくとも含む、LAMP法に由来するあらゆる等温増幅技術を意味する。FIPプライマーは、その3’部分ではなくその5’部分においてテンプレートとハイブリッド形成することを特徴とする。実際に、その3’部分は、形成された相補鎖の配列の1つと続いてハイブリッド形成し得る配列を有する。その結果、相補鎖が合成された後、FIPの3’部分は、合成鎖の3’部分自体とのハイブリダイゼーションに有利に働き、ステムループ構造を形成する。次いで、このステムループ構造は、後続の増幅段階において再生される。
【0067】
LAMP型増幅は、FIPと同じ機能を、ただし反対側の鎖に対して有する第2の「BIP」プライマー(Backward Inner Primer)を優先的に必要とする。より優先的には、F1、F2、F3(F:順方向)及びB1、B2、B3(B:逆方向)と称する相補的プライマーを使用する。F1、F2、F3プライマーは、コーディング鎖上に位置する配列に対応し、B1、B2、B3プライマーは、相補鎖上に位置する配列に対応する。F3及びB3は、増幅断片の5’末端に対応し、F2及びB2は、FIP及びBIPの5’末端に位置する配列に対応し、F1及びB1は、(F1c及びB1cと呼ばれる)FIP及びBIPの3’末端に位置する配列の相補配列に対応する。
【0068】
増幅しようとする核酸のタイプによっては、二本鎖DNA分子のDNA鎖を分離することを目的として60℃から80℃に加熱することによってDNAを変性する局面が、増幅手順の最初に必要となり得る。
【0069】
一般に、LAMP型増幅技術は、一本鎖又は二本鎖DNAを出発テンプレートとして使用する。
【0070】
本発明による方法の好ましい態様によれば、出発テンプレートはcDNAである。
【0071】
本発明のより好ましい特徴によれば、図1に示すように、微生物のRNAを、BIPプライマーを用いて逆転写酵素によってあらかじめ逆転写する。これによって、ステムループ構造を含むcDNAが得られ、LAMP型増幅を直接開始することができる。
【0072】
本発明の更に好ましい特徴によれば、前の逆転写段階に用いた、微生物から生じるRNAは、メッセンジャーRNAである。実際に、メッセンジャーRNAは、その転写に役立つDNA分子よりもはるかに多く存在する利点を有する。このようにして、本発明による方法の検出いき値を低下させることができる。
【0073】
LAMP型増幅技術は、有利には、追加のプライマーのループF及びループBが、ループを構成する配列のレベルで増幅産物とハイブリッド形成する局面を含む。これらのプライマーは、増幅産物を含むループから出発する新しい相補鎖の合成を促進し、増幅産物形成速度を増加させる。
【0074】
LAMP型技術によって得られる増幅産物は、一般に、幾つかのステムループを含む二本鎖DNA分子である。増幅産物のサイズは、合成されたループの数の関数として変動する。一般に、幾つかのサイズの断片が増幅方法の最後に共存し、図4に示すタイプの電気泳動プロファイルを生じる。
【0075】
本発明の好ましい特徴によれば、増幅産物を検出する段階c)を、標識された分子を直接又は間接的に用いる方法によって実施して、増幅産物の蛍光、比色又は化学発光によって検出することができる。
【0076】
次いで、画像解析装置を使用して、標識された分子の発光スペクトル及びフィルター上の位置を記録することができる。特に非特異的増幅と関連した寄生信号を除去することを目的にして、信号を適切に処理することによって、増幅産物をその場で可視化することができる。これは、膜を使用したときに特に有用である。というのは、膜表面が大きいと定量的及び定性的な精度が得られるからである。
【0077】
比色又は蛍光によって増幅産物を検出する手段は、当業者に公知である。
【0078】
好ましくは、本発明の方法に従って用いられる検出手段は、特異的であり、その核酸が増幅される微生物を個々に特定することができる。
【0079】
検出手段は、例えば、本方法の段階b)中に修飾プリン又はピリミジン塩基を増幅反応の基質として増幅産物に組み入れることからなり得る。好ましくは、標識されたプリン又はピリミジン塩基は、dNTPであり、より優先的にはdUTPである。
【0080】
別の検出手段は、1種類以上の標識された特異的プローブを用いて得られる増幅産物を段階b)の最後にハイブリッド形成することからなり得る。その空間的構造がDNAの空間的構造を模倣している、例えばPNA型プローブ(ペプチド核酸)、すなわちプリン及びピリミジン塩基で置換されたポリペプチド鎖で構成されたプローブなど、異なるタイプのプローブを使用することができる[Nielsen, P.E. et al., (1991) Sequence selective recognition of DNA by strand displacement with a thymine−substituted polyamide, Science 254:1497−1500]。
【0081】
使用するプローブは、有利には「分子標識(molecular beacon)」型であり、すなわち蛍光団、消光基及びステムループ構造を有し、増幅産物とハイブリッド形成したときにのみプローブの蛍光を発する。
【0082】
増幅産物をハイブリダイゼーションプローブを用いて検出するときには、特にDNA鎖を分離することを目的として、増幅産物の変性の予備的段階に進むことが必要であると判明する場合がある。
【0083】
本発明の方法による別の検出手段は、特異的リガンド、好ましくは標識された抗原及び抗体を使用することからなる。この場合、修飾プリン又はピリミジン塩基、更に特異的プローブは、例えば抗ジオキシゲニン抗体などの抗体によって特異的に認識することができる、ジオキシゲニンなどの抗原として役立つ1種類以上の分子を用いてマークされる。或いは、検出プローブを抗体と結合させることができ、次いで標識された抗原と接触させる。抗体又は抗原は、FITC(特定の形態のイソチオシアナート)などの蛍光団と複合化することができる。
【0084】
修飾プリン若しくはピリミジン塩基のマーキング、又は特異的プローブのマーキングは、放射性同位体(H、P32、P33、S35...)によって実施することができ、又は例えば、複合アビジン若しくはストレプトアビジンを含有する溶液を西洋わさび(Raifort)ペルオキシダーゼ、大豆若しくはアルカリホスファターゼなどの酵素に添加することによって検出されるビオチンなどの、非放射性生成物によって実施することができる。これらの酵素の基質が、例えば膜表面に広がると、これらの酵素は、検出可能な発光反応を起こす光子を放出する。
【0085】
本発明によるマーキングの好ましい方法は、上記ハイブリダイゼーション又はリガンドを蛍光性分子又は蛍光団と結合させることからなる。異なる発光スペクトルを有する蛍光団は、検出段階c)中に有利に使用することができ、異なる微生物から生じる増幅産物を認識するように規定されたリガンド又はプローブと結合する。このために、Molecular ProbesによってALEXA FLUORINE(登録商標)の名称で、又はDyomicsによってDY−(登録商標)の名称で市販されている蛍光団などの蛍光団は、異なる発光スペクトルを有するので、有利に使用される。その結果、異なる微生物種に対して並行して検出を実施することができる。適切な画像処理後、異なる微生物種の各々を色分けすることができ、それによって、捜し求める各種の異なる微生物又はコロニーを確認することができる。これは、フィルター媒体として膜を用いて実施するときには特に良好な画像を与える。
【0086】
「量子ドット」として知られ、Qdots(登録商標)の名称で市販されている微粒子を用いて、段階c)において使用されるプローブ又はリガンドをマークすることもできる。これらは、ナノ結晶で構成される無機蛍光団であり、その蛍光は経時的に極めて安定になる。微粒子の使用は、画像解析装置によってデータを収集するのに長時間を要する、少ない標的の検出に特に適している。「量子ドット」は、多色マーキングにも適合し、したがって、異なる微生物種の同時検出が可能である。
【0087】
本発明の範囲内で、膜をフィルターとして使用するときには、膜を構成する合成材料による蛍光を防止するために、LiCor(登録商標)によってIRdye 700及びIRDye 800の名称で市販されているIRdye、又はDyomics(登録商標)によって、例えばDY−700、DY−730、DY−750及びDY−780の名称で市販されているIRdyeなどの近赤外に蛍光を有する色素を使用することが好ましい。実際に、膜は、一般に、近赤外の蛍光が弱いことが観察された。
【0088】
本発明による方法は、ガス中、液体中又は表面の1000個未満の同種微生物、優先的には50個未満の同種微生物、より優先的には5個未満の同種微生物、及びちょうど1個の所与の種の微生物を検出することを目的とする。
【0089】
上記方法の段階の1つでフィルター表面の微生物又はその核酸が移動するのを防止するために、特にフィルターが膜であるときには、反応溶液を介して作用し得る、前記表面の異なる領域での交換を制限する手段を使用することが有利である。
【0090】
これらの交換を制限する一手段は、例えば、反応溶液を含浸させたパッドを介して、反応溶液を微生物又は核酸と接触させることからなる。含浸パッドは、例えば、膜表面に置いた(plate)ときには、隣接領域にあふれ出ることなしに、反応が起こるのに十分な体積の反応溶液を局所的に輸送する。
【0091】
交換を制限する別の手段は、ゲル、好ましくはアクリルアミドゲルの形の反応溶液を処方することからなり得る。
【0092】
本発明による交換を制限する別の手段は、フィルターの異なる領域を区切る、フィルター上に位置する垂直の仕切り(partitioning)からなる。有利には、この仕切りは、反応溶液を収容するように、膜表面にある体積を設けるように設計されている。好ましくは、仕切りは、フィルターと接触し続ける複数のセルを形成するグリッドの形で存在する。
【0093】
本発明の好ましい特徴によれば、本方法は、以下の段階、すなわち、
a)液体がフィルター、好ましくは膜によってろ過される段階、
b)液体中に含まれる細菌が前記フィルター上で捕捉される段階、
c)これらの細菌に含まれるシュードモナス エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)の核酸が、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6及び配列番号7から選択される配列を含む少なくとも1種類のプライマーを特に必要とするLAMP型増幅によって、フィルターの表面又は内部で等温で特異的に増幅される段階、
d)フィルター上で得られた増幅産物が検出される段階
を含むことを特徴とする、液体中に含まれるシュードモナス エルジノーサ種の1種類以上の細菌をフィルター上で特異的に検出することに適用される。
【0094】
本発明の特に好ましい特徴によれば、LAMP型技術によってシュードモナス エルジノーサの核酸の増幅に使用されるプライマーは、以下の通りである。
【0095】
【化1】

(配列番号2)
【0096】
【化2】

(配列番号3)
【0097】
【化3】

(配列番号4)
【0098】
【化4】

(配列番号5)
【0099】
【化5】

(配列番号6)
【0100】
【化6】

(配列番号7)
【0101】
これらのプライマーによって、配列番号1で示される、シュードモナス エルジノーサの領域の増幅が可能になる(oprL遺伝子の領域)。
【0102】
シュードモナス エルジノーサに含まれるメッセンジャーRNAは、次いでLAMP型増幅技術によって増幅される、配列番号1の配列を含むcDNAを得るために、段階b)において好ましくは逆転写される。
【0103】
本発明の別の特徴は、本発明による上記方法の実施に適切な核酸増幅装置に関する。増幅しようとする核酸を受けるフィルター(1)を含むこの装置は、内部体積を画成する本体(2)を含み、この内部体積中で、フィルター(1)と、扁平な不透過性壁(3)との、また、フィルター(1)表面に複数のセルを形成するグリッド(4)との接触を維持する手段を備えたことを特徴とする。
【0104】
好ましくは、サイズ及び形状が可変であり得るセルは、一般に反応溶液1から100μl、優先的には1から50μl、より優先的には3から10μlを含むことができるように設計される。
【0105】
装置の本体(2)は、フィルター(1)の外縁部と協働するのに適切な肩部(5)を有し得るものであり、フィルター(1)は、その外縁部が前記肩部(5)に対して固定され得る。
【0106】
扁平な壁(3)は、前記肩部(5)に対して多孔質フィルター(1)の外縁部を固着させるのにも役立つ。扁平な壁(3)は、本体と対向して脱着可能であり、更に、横に広がるスカート(6)を有し得る。この場合、本体(2)は、有利には、スカート(6)と協働するようになされたスリーブ(7)を有する。スカート(6)は、扁平な壁(3)から離れて広がる形状を有し得る。
【0107】
グリッド(4)は、本体から独立していても、本体(2)と一体であってもよい。グリッド(4)が本体から独立しているときには、セルの仕切りがフィルター表面と均一に接触するように、本体内部の奥に設置することができる。セルは、好ましくは、等体積の反応溶液で満たすことができるように、同一サイズであり、正四角形又は平行六面体である。グリッドと本体が一体であるときには、フィルターは、有利には、セル間の交差汚染を防止するために、グリッド上で密閉することができる。
【0108】
本発明の別の特徴によれば、核酸増幅装置は、本体(2)に取り付けられた貯蔵部(9)を有する。この貯蔵部は、扁平な壁(3)の代わりにスリーブ(7)に装着された真空ポンプを例えば用いて、フィルター(1)(その場合はろ過フィルターである。)を通過することによってろ過される液体で満たされるようになされている。次いで、液体中に含まれる微生物は、フィルターの流入側又は上流側で捕捉される。この操作が終了した後、フィルターの下面又は下流の面に対して密封状態で、扁平な壁(3)を交換する。
【0109】
ろ過前の液体の汚染を防止するために、貯蔵部は、脱着可能なカバー(8)を備え得ることが想定される。
【0110】
貯蔵部(9)は、有利には、ろ過操作が終了した後、貯蔵部の水平方向上縁部に強い圧力を下方に加えることによって貯蔵部を取り外すことができるように、易破壊性領域(10)によって本体(2)に取り付けることができる。
【0111】
本発明の好ましい特徴によれば、脱着可能なカバー(8)は、貯蔵部(9)を閉鎖するのに、又は前記内部体積を易破壊性領域(10)のレベルで閉鎖するのに適切である。
【0112】
図13及び14に示すように、脱着可能なカバー(8)で易破壊性領域を閉鎖すると、カバーは、グリッド(4)の反対側に位置して、前記内部体積を閉鎖する。この形状の装置によって、フィルターは、扁平な壁(3)、本体(2)及びカバー(8)によって画成された体積中に閉じ込められ、グリッド(4)によって垂直に仕切られる。この体積は、増幅用の反応溶液、場合によっては、上記精製、固定、洗浄段階などの本方法の他の段階のための反応溶液を受けるものである。この体積は、好ましくは、溶液が失われないように密閉されている。
【0113】
フィルターを小さな反応体積に閉じ込めることは、増幅反応を満足な条件で実現させるのに重要である。実際に、一方では、外部環境に起因する汚染を防止せねばならず、一方では、酵素反応は、過大な体積で起きてはならない。酵素試薬は高価であり、温度を均一に調節しなければならないので、これは必要である。最後に、反応溶液の過剰な蒸発を防止しなければならない。
【0114】
前記溶液の付着は、好ましくは、カバーを一時的に外して実施され、マイクロピペット又は気化器を用いて、溶液をグリッド全体にかける。溶液の体積は、グリッドの高さを超えても、超えなくてもよい。
【0115】
本発明による装置の好ましい態様によれば、扁平な壁(3)は排液口(11)を有し、適切であれば、排液口(11)を密閉するのに適切な栓(12)を有する。次いで、本発明の方法による増幅又はマーキング段階後、例えば、フィルター上に存在する核酸を過剰に懸濁させる恐れなしに、溶液を慎重に除去することができる。増幅及びマーキング段階を実施後、例えば画像解析装置を用いた生物発光分析などの選択された技術によってフィルターを分析するために、フィルターを装着した装置本体のみを、又は適切であればフィルターのみを保持することができる。
【0116】
本発明の別の特徴は、本発明による検出方法を実施するためのキットに関する。このキットは、少なくとも、
− フィルター、好ましくは膜、
− 核酸の等温での増幅を可能にする1種類以上の特異的プライマー
を含む。
【0117】
キットは、ポリメラーゼ酵素を含む増幅溶液、溶解溶液、好ましくはグルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒドを含有する固定溶液、反応を停止させるブロッキング溶液、及び本願で参照する検出剤の1種類を含む検出溶液も含むことができる。
【0118】
「核酸の等温での増幅を可能にする特異的プライマー」とは、LAMP型増幅の場合には例えばFIP、BIPオリゴヌクレオチドなどのDNAポリメラーゼの存在下で、又はNASBA型増幅の場合にはRNAポリメラーゼの存在下で、ハイブリッド形成可能な分子、及び重合反応を開始可能な分子を意味する。
【0119】
シュードモナス エルジノーサ菌の検出をより具体的に意図した本発明によるキットは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6及び配列番号7から選択されるDNA配列を含む、少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドを含む。
【0120】
本発明の別の特徴は、シュードモナス エルジノーサの特異的検出を、この細菌に含まれる核酸を増幅することによって可能にするオリゴヌクレオチドに関し、そのヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6及び配列番号7から選択される配列を含むことを特徴とする。
【0121】
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するためのものである。
【実施例1】
【0122】
本願の図4に示す試験は、図1に示すLAMP法に従って、わずか50個のシュードモナス エルジノーサ細胞のメッセンジャーRNAを増幅することからなった。このために用いたプライマーを本願の図2に示す。
【0123】
処理細胞数について正確を期するために、核酸を細菌から抽出し、管中の溶液25μl(40mM Tris HCl pH8.8、20mM KCl、0.6Mベタイン、dNTPの各々1.5mM+0.2mM UTPビオチン、20mM(NHSO、8mM MgSO、0.1%Triton(登録商標)×100界面活性剤、0.005U/μl AMV RTase、0.32U/μl B. st DNAポリメラーゼ中のFIP&BIPオリゴヌクレオチド2pmol/μl;ループF&ループBオリゴヌクレオチド1pmol/μl;F3&B3オリゴヌクレオチド0.2pmol/μl)を水浴中に63℃で3時間放置して増幅した。
【0124】
増幅を以下の条件で実施した。
【0125】
− 管No.1: 50個のP.エルジノーサ細胞の処理、
− 管No.2: 細胞を含まない対照、
− 管No.3: 細胞を含まない対照+dUTPビオチン、
− 管No.4: 50個の細胞の処理+dUTPビオチン
増幅産物をアガロースゲル上で観察し、反応混合物1及び4における増幅産物の存在、並びに混合物2及び3における増幅の欠如を確認した。
【0126】
4つの反応の生成物をナイロン膜に塗布した。
【0127】
次いで、膜をブロッキング溶液(Pierceブロッキング緩衝剤+1%SDS)と一緒に45分間インキュベートし、次いでブロッキング溶液で1:750希釈した、西洋わさびペルオキシダーゼと複合化されたストレプトアビジン(1mg/ml)の溶液と接触させた。45分間のインキュベーション後、膜を洗浄溶液(Tween(登録商標)界面活性剤、0.2%v/vを含むPBS)で30分間リンスした。発光反応を起こすために、ブラックラディッシュペルオキシダーゼの、Pierce Chemicalによって市販されているルミノールを主成分とした基質を膜表面に噴霧した。
【0128】
図4のポイントC/は、分析装置(CCDカメラ)による画像処理後に得られた画像である。ビオチン標識増幅産物とペルオキシダーゼの間で得られる反応は、反応混合物No.4で容易に見ることができる。
【0129】
この実験によれば、シュードモナス エルジノーサなどの微生物の50個の細胞と等価な量の核酸から得られる増幅産物を膜上で容易に検出することができる。
【実施例2】
【0130】
図4に示す別の試験は、約130個のシュードモナス エルジノーサ細胞を膜(MXHVWP124)に塗布することからなった。
【0131】
この塗布後、固定化溶液(変性アルコール95%中の0.25%グルタルアルデヒド)1.5mlを含浸したセルロースパッド上に膜を周囲温度で5分間置き、次いで周囲温度で5分間乾燥させた。
【0132】
密封したペトリ皿中に膜を置き、次いで増幅溶液(40mM Tris HCl pH8.8、20mM KCl、0.6Mベタイン、dNTPの各々1.5mM+0.2mM UTPビオチン、20mM(NHSO、8mM MgSO、0.1%Triton(登録商標)×100界面活性剤、0.005U/μl AMV RTase、0.32U/μl DNAポリメラーゼ中のFIP&BIPオリゴヌクレオチド2pmol/μl;ループF&ループBオリゴヌクレオチド1pmol/μl;F3&B3オリゴヌクレオチド0.2pmol/μl)0.5mlを添加し、63℃で150分間インキュベートした。
【0133】
次いで、膜をブロッキング溶液(Pierceブロッキング緩衝剤+1%SDS)と一緒に45分間インキュベートし、次いでブロッキング溶液で1:750希釈した、西洋わさびペルオキシダーゼと複合化されたストレプトアビジン(1mg/ml)の溶液と接触させた。45分間のインキュベーション後、膜を洗浄溶液(Tween(登録商標)界面活性剤、0.2%v/vを含むPBS)で30分間リンスした。発光反応を起こすために、ブラックラディッシュペルオキシダーゼの、Pierceによって市販されているルミノールを主成分とした基質を膜表面に噴霧した。Milliflex(登録商標)Rapidシステムを用いて信号を記録した。
【0134】
結果を図6のB及びCに示す。図6のCにおいて、膜への細胞の最初の塗布に対応する2個の増幅ピークを容易に見ることができる。
【0135】
並行して、増幅に役立つ溶液を回収し、アガロースゲル電気泳動によって分析した。その結果を図6のBに示す。増幅産物の一部が増幅溶液中に存在することを容易に見ることができる。
【0136】
この実験によれば、シュードモナス エルジノーサなどの微生物の130個の細胞と等価な量の核酸から得られる増幅産物を膜上で容易に検出することができる。それにもかかわらず、これらの増幅産物の一部は、膜によって溶出し、電気泳動によって検出することができる。
【実施例3】
【0137】
図6に示す別の試験は、図5に示す装置を用いて溶液100mlをろ過することからなり得る。
【0138】
ろ過後、固定化溶液(変性アルコール95%中の0.25%グルタルアルデヒド)1.5mlを含浸したセルロースパッド上に装置を周囲温度で5分間置く。
【0139】
膜を周囲温度で5分間乾燥させ、次いでインキュベーション中の漏洩を防止するために装置の下部を閉鎖カセットを用いて閉鎖する。
【0140】
増幅溶液(40mM Tris HCl pH8.8、20mM KCl、0.6Mベタイン、dNTPの各々1.5mM+0.2mM UTPビオチン、20mM(NHSO、8mM MgSO、0.1%Triton(登録商標)×100界面活性剤、0.005U/μl AMV RTase、0.32U/μl DNAポリメラーゼ中のFIP&BIPオリゴヌクレオチド2pmol/μl;ループF&ループBオリゴヌクレオチド1pmol/μl;F3&B3オリゴヌクレオチド0.2pmol/μl)1.5mlを装置の膜全体に散布し、次いで、63℃で150分間のインキュベーション中に蒸発するのを防止するために、その上部をカバーで再度閉鎖する。
【0141】
次いで、膜をブロッキング溶液と一緒に45分間インキュベートし、次いでブロッキング溶液で1:750希釈した、西洋わさびペルオキシダーゼと複合化されたストレプトアビジン(1mg/ml)溶液と接触させる。45分間のインキュベーション後、Tween(登録商標)界面活性剤、0.2%v/vを含むPBS溶液で膜を30分間リンスした。発光反応を起こすために、Pierceによって市販されている、ブラックラディッシュペルオキシダーゼの、ルミノールを主成分とした基質を膜表面に噴霧する。Milliflex(登録商標)Rapidシステムを用いて信号を記録する。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明による検出方法の段階b)において好ましく使用される、微生物に含まれるメッセンジャーRNAの検出に適切なLAMP増幅技術の原理を示す図である。
【図2】本発明の方法によるLAMP法によるシュードモナス エルジノーサの特異的検出に使用されるプライマーを示すoprL遺伝子から生ずるDNA配列(5’−>3’)を示す図である。本発明によって使用されるプライマーに対応する配列に陰影をつけ、その配向を矢印で示す。
【図3】実施例1において実施される、本発明による方法の各段階を示す図である。
【図4】実施例1に記載の、本発明による方法の段階b)及びc)の説明図である。
【図5】実施例2において実施される、本発明による検出方法の各段階を示す図である。
【図6】実施例2に記載の、本発明による検出方法の段階b)及びc)の図である。
【図7】実施例3において実施される、本発明による検出方法の各段階を示す図である。
【図8】本発明による方法を実施するための核酸増幅装置の斜視図である。
【図9】図8の装置の断面図である。
【図10】扁平な壁及びカバーのない、図8の装置の断面図である。
【図11】図10の装置図の上面図である。
【図12】図8の装置の分解組立斜視図である。
【図13】貯蔵部を取り外した後の図8の装置の斜視図である。
【図14】図13の装置の横断面図である。
【図15】図13の装置の分解組立斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含むことを特徴とする、流体中又は表面に存在する1種類以上の微生物をフィルター上で特異的に検出する方法:
a)流体中又は表面に存在する微生物をフィルターと接触させる段階、
b)増幅産物を得るために、フィルター上に存在する微生物由来の核酸を等温で特異的に増幅する段階、
c)増幅産物を検出する段階。
【請求項2】
以下の段階を含むことを特徴とする、液体中、ガス中又は表面に存在する1種類以上の微生物をフィルター上で特異的に検出する方法:
a)フィルター上に微生物を捕捉するために、液体、ガス又は表面がフィルターと接触される段階、
b)増幅産物を得るために、微生物中に存在する核酸がフィルター上で等温で特異的に増幅される段階、
c)得られた増幅産物が前記フィルター上で検出される段階。
【請求項3】
段階a)において、微生物が、液体又はガスをフィルターに通すことによって捕捉されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
段階a)において、ガス中又は表面に存在する微生物が、フィルター上への微生物の固着(impaction)によって捕捉されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
検出しようとする微生物が水性媒体中に含まれることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
検出しようとする微生物が空気中に含まれることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
段階b)において増幅される核酸がDNAからなることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
段階b)において増幅される核酸が、微生物に含まれるRNAから出発して実施される特定の追加の逆転写段階によって得られるcDNAからなることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
逆転写段階が実施される出発RNAが、微生物に含まれるメッセンジャーRNAであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
核酸、又は逆転写によって得られるcDNAが、段階b)においてLAMP型増幅技術によって増幅されることを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
LAMP型増幅技術が、増幅産物の形成速度を増加させるために、増幅産物中に存在するループのレベルでループF及びループBプライマーがハイブリッド形成される局面を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
段階c)において検出された増幅産物がDNAからなることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
核酸、又は逆転写によって得られるcDNAが、段階b)においてNASBA(nucleic acid sequence based amplification)法又はTMA(transcription mediated amplification)法によって増幅されることを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
マーカーが、段階b)において得られる増幅産物に組み込まれて、段階c)における増幅産物の検出を可能にすることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
増幅産物に組み込まれるマーカーが、標識されたプリン又はピリミジン塩基であることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
増幅産物に組み込まれるマーカーが、標識されたプライマーからなることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
増幅産物に組み込まれる標識されたプライマーが、請求項12に定義されたループF及び/又はループBプライマーからなることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
増幅産物に組み込まれたマーカーが、リガンドと相互作用し得る標識された分子と次いで反応するリガンドと結合することを特徴とする、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
リガンドがビオチンであることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
段階c)において、ビオチンを含む増幅産物が、ストレプトアビジンの検出を可能にする分子と結合したストレプトアビジンと接触させられることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
リガンドが、標識された抗体又は抗原と次いで反応する、抗原又は抗体からなることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
段階b)において増幅産物に組み込まれるマーカーが、ジオキシゲニン(dioxygenin)と結合することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
段階c)において、ジオキシゲニンを含む増幅産物が、抗ジオキシゲニン抗体の検出を可能にする分子と結合した抗ジオキシゲニン抗体と接触させられることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
リガンドと相互作用し得る標識された分子が、ブラックラディッシュ(black radish)ペルオキシダーゼ又は大豆(soya seed)ペルオキシダーゼと複合化されることを特徴とする、請求項20及び23の一項に記載の方法。
【請求項25】
このリガンドと相互作用し得る標識された分子が、アルカリホスファターゼと複合化していることを特徴とする、請求項20及び23の一項に記載の方法。
【請求項26】
増幅産物に組み込まれたマーカーが蛍光による検出を可能にすることを特徴とする、請求項14から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
蛍光による増幅産物の検出を可能にする分子が近赤外発光スペクトルを有することを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
段階c)において、段階b)で得られた増幅産物が、標識された特定のハイブリダイゼーションプローブとハイブリッド形成することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ハイブリダイゼーションプローブが、請求項18から27のいずれか一項に定義された蛍光性分子、リガンド、抗体又は抗原を用いてマークされる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
標識された特定のハイブリダイゼーションプローブがPNAタイプであることを特徴とする、請求項28及び29の一項に記載の方法。
【請求項31】
微生物の検出の段階c)がフィルター上で直接実施されることを特徴とする、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
使用されるフィルターが、0.1から1.5ミクロン、好ましくは0.15から0.8ミクロン、より優先的には0.2から0.6ミクロンの平均直径の孔を有することを特徴とする、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
フィルターが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化(ビニリデン)、ポリカルボナート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アセチルセルロース、混合セルロースエステル及びニトロセルロースから選択される1種類以上の材料で構成されることを特徴とする、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
段階a)においてフィルター上に捕捉された微生物を、前記フィルターを栄養培地と接触させることによって培養する段階を更に含むことを特徴とする、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
微生物に含まれる核酸を放出させるために、フィルター上に捕捉された微生物の壁を溶解させる段階を更に含むことを特徴とする、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
生きている微生物の存在をATP生物発光によって検出する段階を更に含むことを特徴とする、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
微生物及び/又は前記微生物から生じる核酸をフィルターの上又は内部に固定する段階を更に含むことを特徴とする、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
固定化段階が微生物又はその核酸を固定化溶液で処理することにあることを特徴とする、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
固定化溶液が、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド及びパラホルムアルデヒドから選択される架橋剤を含むことを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
固定化段階が、フィルター、フィルター上に捕捉された微生物又はその核酸のUV照射からなることを特徴とする、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
微生物又はその核酸が、ポリアミド系材料を含むフィルター上に固定されることを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
同じ流体由来の微生物の幾つかのタイプが、同じフィルター上で並行して特異的に検出され得ることを特徴とする、請求項1から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
検出しようとする微生物が、細菌、ウイルス、原生動物、マイコプラズマ、カビ及び酵母から選択されることを特徴とする、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
検出しようとする微生物が、水である液体中に存在することを特徴とする、請求項1から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
微生物が、シュードモナス エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)菌であることを特徴とする、請求項1から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
以下の段階を含むことを特徴とする、液体中に含まれるシュードモナス エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)種の1種類以上の細菌をフィルター上で特異的に検出する方法:
a)液体がフィルターによってろ過される段階、
b)液体中に含まれる細菌がフィルター上で捕捉される段階、
c)これらの細菌に含まれるシュードモナス エルジノーサの核酸が、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6及び配列番号7から選択される配列を含む少なくとも1種類のプライマーを用いたLAMP型増幅によって、ろ過膜の表面又は内部で等温で特異的に増幅される段階、
d)フィルター上で得られた増幅産物が検出される段階。
【請求項47】
配列番号1の配列を含むcDNAを得るために、LAMP型増幅が前記cDNAから出発して実施される、細菌中に含まれるRNAに対する逆転写段階を特徴とする、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
フィルターが膜であることを特徴とする、請求項1から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
ヌクレオチド配列が配列番号2から7から選択される配列を含むことを特徴とする、シュードモナス エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)中に含まれる核酸の増幅によってシュードモナス エルジノーサの特異的検出を可能にするオリゴヌクレオチド。
【請求項50】
− フィルター、
− LAMP型増幅技術による増幅を可能にする少なくとも1種類の特異的FIPプライマー
を含む、1種類以上の微生物をフィルター上で特異的に検出するキット。
【請求項51】
膜上の核酸を特異的に等温で増幅する手段が、LAMP型増幅の実施に必要なFIP及びBIPオリゴヌクレオチドを含むことを特徴とする、請求項49及び50の一項に記載のキット。
【請求項52】
− フィルター、
− 配列番号2から7の配列から選択されるヌクレオチド配列を含む少なくとも1種類のオリゴヌクレオチド
を含む、シュードモナス エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)菌をろ過膜上で特異的に検出するための、請求項50及び51の一項に記載のキット。
【請求項53】
フィルターが膜であることを特徴とする、請求項50から52のいずれか一項に記載のキット。
【請求項54】
増幅しようとする核酸を受けるフィルター(1)を含み、内部体積を画成する本体(2)を含み、この内部体積中で、フィルター(1)と、扁平な不透過性壁(3)との、また、フィルター(1)表面に複数のセルを形成するグリッド(4)との、接触を維持する手段を備えたことを特徴とする、請求項1から48に記載の方法を実施するのに適切な核酸増幅装置。
【請求項55】
前記セルが体積1から100μl、好ましくは3から10μlの反応溶液を含むことができることを特徴とする、請求項54に記載の装置。
【請求項56】
本体(2)がフィルター(1)の外縁部と協働するのに適切な肩部(5)を有することを特徴とする、請求項54及び55の一項に記載の装置。
【請求項57】
フィルター(1)が、前記肩部(5)に対してその外縁部によって固定されることを特徴とする、請求項56に記載の装置。
【請求項58】
扁平な壁(3)が、前記肩部(5)に対してフィルター(1)の外縁部を固着させることを特徴とする、請求項54から57のいずれか一項に記載の装置。
【請求項59】
グリッド(4)が本体(2)と一体であることを特徴とする、請求項54から58のいずれか一項に記載の装置。
【請求項60】
扁平な壁(3)が本体(2)と対向して脱着可能であることを特徴とする、請求項54から60のいずれか一項に記載の装置。
【請求項61】
扁平な壁(3)が、横に広がるスカート(6)を有し、本体(2)が、スカート(6)と協働するようになされたスリーブ(7)を有することを特徴とする、請求項60に記載の装置。
【請求項62】
グリッド(4)と対向して配置されて、前記内部体積を閉鎖するのに適切である脱着可能なカバー(8)も有することを特徴とする、請求項54から61のいずれか一項に記載の装置。
【請求項63】
本体(2)に取り付けられた貯蔵部(9)を有することを特徴とする、請求項54から62のいずれか一項に記載の装置。
【請求項64】
貯蔵部(9)が、易破壊性領域(10)によって本体(2)に取り付けられたことを特徴とする、請求項63に記載の装置。
【請求項65】
貯蔵部(9)を閉鎖するのに、又は前記内部体積を易破壊性領域(10)のレベルで閉鎖するのに適切な脱着可能なカバーも有し得ることを特徴とする、請求項64に記載の装置。
【請求項66】
扁平な壁(3)が排液口(11)を有することを特徴とする、請求項54から65のいずれか一項に記載の装置。
【請求項67】
フィルター(1)が膜であることを特徴とする、請求項54から66のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2008−538910(P2008−538910A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508344(P2008−508344)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【国際出願番号】PCT/IB2006/001230
【国際公開番号】WO2006/117676
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】