説明

フィルムスキャナー

【課題】 ランプ寿命の向上及びCCDのカラーフィルタの保護を目的とする。
【解決手段】 ランプとCCDの光軸上に設けられたシャッターの開閉タイミングに関するもの。シャッター開閉時に必要な輝度と安定した輝度が保持できるようにランプを消さずにコントロールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可視ランプ手段と赤外ランプ手段と可視画像取得手段と赤外画像取得手段と画像処理手段及びホストコンピュータ通信手段によって構成される、フィルムの画像を読み取るフィルムスキャナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムスキャナーにおける読み取り方法及び光軸上に構成されたシャッターの開閉については、可視光照射手段から照射された可視光をフィルムに当て、レンズ手段によって画像をCCDの大きさに拡大または縮小して、CCD手段によって読み取り可視画像としてインターフェース手段によってコンピュータへ取り込み、コンピュータ内の記憶手段に保存する。同じ画像を赤外光照射手段から照射された赤外光をフィルムに当て、レンズ手段によって画像をCCDの大きさに拡大または縮小して、CCD手段によって読み取り赤外画像としてインターフェース手段によってコンピュータへ取り込み、コンピュータ内の記憶手段に保存する。
【0003】
上記構成のフィルムスキャナーにおいて光軸上のシャッターについてはフィルムの保護を目的とするものが一般的であり、所定の時間経過してもフィルムが読み取り処理に入れない場合、フィルムの焼きつき防止としてシャッターを閉じるように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−344959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例ではフィルムの保護が目的であるため、フィルムの無い状態でも可視光照射手段から照射され続けるため、CCDのカラーフィルタが変質して、画像に影響を与えてしまう問題点や、ランプの寿命を縮めてしまう問題点があった。
【0005】
本発明は、以上の点に着目して成されたもので、ランプ寿命の向上及びCCDのカラーフィルタの保護を目的とするフィルムスキャナーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は下記の構成を備えることにより上記課題を解決できるものである。
【0007】
可視ランプ手段と赤外ランプ手段と可視画像取得手段と赤外画像取得手段と画像処理手段とホストコンピュータ通信手段と可視ランプ輝度可変手段と赤外ランプ輝度可変手段と光軸上に設けられたシャッター開閉手段とタイマー手段とフィルム検知手段によって構成され、前記ホストコンピュータ通信手段の通信が可能なとき前記シャッター開閉手段を開く、前記可視ランプ手段の点灯後、前記タイマー手段において所定時間の計時後、前記シャッター開閉手段を開く、前記シャッター開閉手段が閉じている時、前記可視ランプ輝度可変手段によって前記可視ランプ手段の輝度を下げる、前記可視ランプ手段が点灯しているとき、前記シャッター開閉手段を開いても前記可視ランプ手段の点灯が確認されないとき前記シャッター開閉手段を閉じる、前記赤外ランプ手段が点灯しているとき、前記シャッター開閉手段を開いても前記赤外ランプ手段の点灯が確認されないとき前記シャッター開閉手段を閉じる手段によって構成されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、可視ランプ手段と赤外ランプ手段と可視画像取得手段と赤外画像取得手段と画像処理手段とホストコンピュータ通信手段と可視ランプ輝度可変手段と赤外ランプ輝度可変手段と光軸上に設けられたシャッター開閉手段とタイマー手段とフィルム検知手段によって構成され、前記ホストコンピュータ通信手段の通信が可能なとき前記シャッター開閉手段を開く、前記可視ランプ手段の点灯後、前記タイマー手段において所定時間の計時後、前記シャッター開閉手段を開く、前記シャッター開閉手段が閉じている時、前記可視ランプ輝度可変手段によって前記可視ランプ手段の輝度を下げる、前記可視ランプ手段が点灯しているとき、前記シャッター開閉手段を開いても前記可視ランプ手段の点灯が確認されないとき前記シャッター開閉手段を閉じる、前記赤外ランプ手段が点灯しているとき、前記シャッター開閉手段を開いても前記赤外ランプ手段の点灯が確認されないとき前記シャッター開閉手段を閉じる手段によって構成される手段によって、CCDのカラーフィルタの保護とランプ寿命の向上を目指したフィルムスキャナーを提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を図1〜図3に基づき説明する。
【実施例】
【0010】
図1は本発明の特徴であるところの、フィルムスキャナーの内部の構成とホストコンピュータに関係を簡単に示した図である。1はフィルムスキャナー、2は画像のデジタル処理をするところのメインボード、3は画像のゴミキズ除去をおこなうところのゴミキズ除去ボード、4は光源であるところのハロゲンランプ、5はフィルムスキャナー1に読み込まれるところのフィルム、6はフィルムの拡大を行うところのレンズ、7は画像を読み取るところのCCDとそのデータをデジタルに変換するところのCCDボード、8はメインボード2とゴミキズ除去ボード3を接続するところのメインボード側のコネクタ、9はメインボード2とゴミキズ除去ボード3を接続するところのゴミキズ除去ボード側のコネクタ、10はメインボード2とゴミキズ除去ボード3、CCDボード7に電源供給を行うところの電源ユニット、11は電源ユニット10のAC入力であるところのACケーブル、12は赤外線を照射する光源であるところの赤外LED、13はモータ、14はモータ13によってフィルムの搬送を行うところの搬送ローラー、15はデータの処理及び記憶を行うところのホストコンピュータ、16はホストコンピュータ15とフィルムスキャナー1との間でデータ通信を行うインターフェースであるところのUSBケーブル、17は光軸上にあり光を遮断するところのシャッターである。
【0011】
上記構成において、ACケーブル11が接続され電源ユニット10から電源が投入されると機器内部は初期化状態になる。初期化処理の中でハロゲンランプ4が点灯され、所定時間の経過後にシャッター17が開く。
【0012】
初期化処理が終了しスタンバイ状態になるとフィルム5の挿入待ちとなる。
【0013】
フィルム5が挿入されるとモータ13が駆動する搬送ローラー14が回り、所定の位置までフィルムを搬送する。ハロゲンランプ4によって、可視光がフィルム5に照射され、レンズ6を通してCCDボード7にフィルム5の画像が取り込まれる。CCDボード7においては図示しないADコンバータによって可視画像データはデジタル化され、デジタル処理を行うためメインボード2に渡される。ここで可視画像データはいったんメインボード2に保存される。
【0014】
次に、赤外線によりゴミキズの検出のため、赤外LED12によって、赤外光がフィルム5に照射され、レンズ6を通してCCDボード7にフィルム5の赤外画像が取り込まれる。CCDボード7においては図示しないADコンバータによって赤外画像データはデジタル化され、デジタル処理を行うためメインボード2に渡される。
【0015】
メインボードに保存された可視画像データと赤外画像データはメインボード内のCPUによって、脱着可能であるところのゴミキズ除去ボード3が接続されているかを検出して、ゴミキズ除去ボード3が接続されている場合、可視画像データと赤外画像データは図示しないスイッチによってゴミキズ除去ボード3に送られ、可視画像データ上のゴミキズを画像処理によって除去し、再びゴミキズ除去ボード3からメインボード2に戻される。その後、メインボード2のインターフェースであるところのUSBからUSBケーブル16を通して、ホストコンピュータ15へ送信される。
【0016】
また、ゴミキズ除去ボード3が接続されていない場合、可視画像データと赤外画像データは、メインボード2のインターフェースであるところのUSBからUSBケーブル16を通して、ホストコンピュータ15へ送信される。
【0017】
メインボード2の処理の詳細ついては図2を用いて後ほど説明する。
【0018】
図2はメインボード2の制御用ASICの処理について説明したブロック図に関するものであり、20は制御用ASIC、21はモータドライブ回路、22はタイマー、23はランプ電圧制御回路、24はモータコントローラである。
【0019】
上記構成において、制御用ASIC20はタイマー22、ランプ電圧制御回路23、モータコントローラ24によって構成され、ランプ電圧制御回路23はハロゲンランプ4及び赤外LED12の輝度の調整を行う。モータコントローラ24はモータドライブ回路に接続されモータ13の制御を行う。シャッター17は制御用ASIC20のIO制御ポート25に接続され、開閉の制御を行う。
【0020】
図3はメインボード2の画像処理について説明したブロック図であり、30は可視画像データをCCDボード7から受け取るところのコネクタ、31は赤外画像データをCCDボード7から受け取るところのコネクタ、32は光源及びCCD画素のバラツキを補正するための可視シェーディング用SRAM、33はCCDの色のタイミングを補正する色合わせ用SRAM、34はネガフィルムを変換するためのガンマテーブル用SRAM、35は画像処理のための画像用ASIC、36はゴミキズ除去ボードの中のゴミキズ除去制御ユニット、37は可視画像データ及び赤外画像データを記憶するところのSDRAM、38はホストコンピュータとのインターフェースであるところのUSBのデータをコントロールするところのUSBコントローラ、39は図1のUSBケーブル16を接続するところのコネクタ、40はCPU42のワークエリアであるところのワーク用SRAM、41はCPUの命令コード及び固定データを持つところのROM、42はシステムの制御を行うところのCPU、44は光源及びCCD画素のバラツキを補正するための赤外シェーディング用SRAMである。
【0021】
上記構成において、CPU42はROM21のプログラムによって動作し、SRAM40、USBコントローラ38、制御用ASIC20、画像用ASIC35等の初期化処理を行い、機器が動作可能となる処理をしてスタンバイ状態となる。初期化処理においてCPU42はUSBコントローラ42を通してホストコンピュータ15と通信を行いデータ送受が可能かを判断して、ホストコンピュータ15とデータ送受が可能な場合には次の処理に進み、不可能な場合には初期化失敗とする。また、CPU42はシャッター17を開け、ハロゲンランプ4を点灯させ、CCDボード7を通してハロゲンランプ4の点灯を確認し、ハロゲンランプ4の点灯が確認されない場合、初期化失敗とする。また、赤外LED12に関して同様の点灯チェックを行い、初期化に失敗した場合、光軸上のシャッター17を閉じ、図示しないエラー表示LEDを点滅させる。
【0022】
CCDボード7から可視画像データはコネクタ30を通して画像用ASIC35に入力される。画像用ASIC35は始めに可視画像データに対してシェーディングを行う。シェーディングは可視シェーディング用SRAM32にフィルムの無い状態であらかじめ記憶された所定の値を画素に対して演算することによって行われる。つぎに色合わせはCCDのラインセンサー位置の違いによる色ずれを補正するもので、可視画像データを色合わせ用SRAMに一時的に保管して、色順を変換するものである。ガンマ変換はフィルムの濃度から演算したテーブルをガンマテーブル用SRAMにあらかじめロードして、テーブルに基づいて色の変換をすることによってネガフィルムの色を再現するように構成している。
【0023】
CCDボード7から赤外画像データはコネクタ31を通して画像用ASIC35に入力される。画像用ASIC35は始めに赤外画像データに対してシェーディングを行う。シェーディングは赤外シェーディング用SRAM32にフィルムの無い状態であらかじめ記憶された所定の値を画素に対して演算することによって行われる。
【0024】
CPU42はROM40とワーク用SRAMによってプログラム実行しASIC35およびUSBコントローラ38の制御を行う。ゴミキズ除去制御ユニット36においては赤外画像データにもとづいて、可視画像データに補間処理を行い修正された可視画像データを出力する。出力された可視画像データはSDRAM37に保管される。SDRAM37に保管されたデータは図示しないCPU42のDMAによってUSBコントローラ38へ送られ、USBコネクタ39を介してホストコンピュータに送信される。転送が終了するとシャッター17は閉じられ、ハロゲンランプ4を減光するとともにフィルム5は搬送ローラーによって排出される。
【0025】
図4はCPU42の内部の処理を示すフローチャートである。
【0026】
同図において、S101において初期化処理であるところの画像用ASIC35およびUSBコントローラ38等、デバイスのイニシャル処理を行う。S102においてフィルムの挿入を待ち、フィルムが挿入されるとS103に進み画像読み取り位置までモータ13及び搬送ローラー24でフィルムを搬送する。S104ではフィルムを読み取るための準備として、ハロゲンランプ4の輝度を所定のレベルに上げ、シャッター17を開く。S105において、可視画像をCCDから読み込み、S106では画像用ASIC35においてシェーディング、色合わせ等の画像処理をおこなう。
【0027】
次に赤外線による画像を取得するため、S107では赤外画像を読み取るための赤外LED12を点灯を行う。S108において赤外画像を取得し、S109において、画像用ASIC35でシェーディング、倍率変換等の画像処理を行う。
【0028】
S110において、ゴミキズ除去ボードがあるかどうか判定して、無い場合S111において画像用ASIC35の内部のスイッチをインターフェース側へ切り替え、S114で画像データをホストコンピュータ15へ出力する。またS110において、ゴミキズ除去ボードがある場合、S112で内部のスイッチをゴミキズ除去ボード側に切り替え、S113でゴミキズ除去ボード36においてゴミキズの除去を行った後、S114で画像データをホストコンピュータ15へ出力する。S115においてフィルム5を排出するとともに、シャッター17を閉じ、ハロゲンランプ4を減光して待機状態となる。
【0029】
図5は初期化処理のフローチャートである。
【0030】
同図において、S201ではワークメモリであるところのSRAM40の初期化を行い、S202ではデバイスのイニシャルであるところのUSBコントローラ38、制御用ASIC20、画像用ASIC20、タイマー22、ランプ電圧制御回路23、モータコントローラ24等の初期化処理を行う。S203ではランプ4を点灯する。S204において、CPU42はUSBコントローラ38を通してホストコンピュータ15と通信を行いデータ送受が可能かを判断して、ホストコンピュータ15とデータ送受が可能な場合には次の処理に進み、不可能な場合には初期化失敗とする。S206において、CPU42はシャッター17を開け、CCDボード7を通してハロゲンランプ4の点灯を確認し、ハロゲンランプ4の点灯が確認されない場合、初期化失敗とする。S207では赤外LED12に関して同様の点灯チェックを行い、正常な場合S210に進み、初期化に失敗した場合、S209で光軸上のシャッター17を閉じ、図示しないエラーLEDを点滅させる。S210では待機処理としてシャッター17を閉じ、ハロゲンランプ4を減光する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のシステムのブロック図
【図2】メインボードのブロック図
【図3】画像処理のブロック図
【図4】CPUの内部の処理を示すフローチャート
【図5】初期化処理のフローチャート
【符号の説明】
【0032】
1 フィルムスキャナー
2 メインボード
3 ゴミキズ除去ボード
4 ハロゲンランプ
5 フィルム
6 レンズ
7 CCDボード
8 メインボード側のコネクタ
9 ゴミキズ除去ボード側のコネクタ
10 電源ユニット
11 ACケーブル
12 赤外LED
13 モータ
14 搬送ローラー
15 ホストコンピュータ
16 USBケーブル
17 シャッター
20 制御用ASIC
21 モータドライブ回路
22 タイマー
23 ランプ電圧制御回路
24 モータコントローラ
25 IO制御ポート
30 コネクタ
31 コネクタ
32 可視シェーディング用SRAM
33 色合わせ用SRAM
34 ガンマテーブル用SRAM
35 画像用ASIC
36 ゴミキズ除去制御ユニット
37 SDRAM
38 USBコントローラ
39 コネクタ
40 ワーク用SRAM
41 ROM
42 CPU
44 赤外シェーディング用SRAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視ランプ手段と赤外ランプ手段と可視画像取得手段と赤外画像取得手段と画像処理手段とホストコンピュータ通信手段と可視ランプ輝度可変手段と赤外ランプ輝度可変手段と光軸上に設けられたシャッター開閉手段とタイマー手段とフィルム検知手段によって構成されることを特徴とするフィルムスキャナー。
【請求項2】
前記ホストコンピュータ通信手段の通信が可能なとき前記シャッター開閉手段を開くことを特徴とする請求項1記載のフィルムスキャナー。
【請求項3】
前記可視ランプ手段の点灯後、前記タイマー手段において所定時間の計時後、前記シャッター開閉手段を開くこと請求項1記載のフィルムスキャナー。
【請求項4】
前記シャッター開閉手段が閉じている時、前記可視ランプ輝度可変手段によって前記可視ランプ手段の輝度を下げることを特徴とする請求項1記載のフィルムスキャナー。
【請求項5】
前記可視ランプ手段が点灯しているとき、前記シャッター開閉手段を開いても前記可視ランプ手段の点灯が確認されないとき前記シャッター開閉手段を閉じることを特徴とする請求項1記載のフィルムスキャナー。
【請求項6】
前記赤外ランプ手段が点灯しているとき、前記シャッター開閉手段を開いても前記赤外ランプ手段の点灯が確認されないとき、前記シャッター開閉手段を閉じることを特徴とする請求項1記載のフィルムスキャナー。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−303790(P2006−303790A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−121137(P2005−121137)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】