説明

フィルムロール用容器

【課題】 操作性と耐久性とを向上させたフィルムロール用容器を提供する。
【解決手段】 フィルムロール用容器1が、上半体2と下半体3とから成っている。切断歯7は、上半体2の先端稜線に沿って形成され、上半体2と下半体3とは、ヒンジ部8を回動中心にして相対回動自在に連結され、それらの外側に、上指挿入部14と下指挿入部15とをそれぞれ備えている。上指挿入部14と下指挿入部15とに片手の親指と残りの指とをそれぞれ挿入して、片手で容器1を把持するとともに、これらの指の開閉動作によって、上半体2と下半体3とを相対的に開閉方向に回動操作することができるようになっている。上半体2と下半体3との各湾曲の程度及び断面周長は、フィルムロール4の外形寸法が減少した程度に応じてそれらが相対的に閉方向に回動してフィルムロール4を抱持・固定することができる形状・大きさにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の発明は、フィルムロール用容器に関し、特にロール芯材に捲回された食品等を包むラップフィルム、アルミフィルム等のフィルム材の切断機能を有し、操作性と耐久性とに優れたフィルムロール用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、家庭台所用品及び業務厨房用品として、ラップフィルムやアルミフィルムは盛んに利用され、食品等の一時的あるいは長期的保管・保存のための便利な用具として、なくてはならないものになっている。しかしながら、これらラップフィルムやアルミフィルムをロール芯材に捲回した状態で収容する容器(フィルムロール用容器)は、従来、一般に、使い捨てであるために、操作性が犠牲にされている。
【0003】
例えば、容器からラップフィルムを引き出すとき、前回切断後のフィルム端末を摘もうとすると、これが切断歯に付着して摘みにくかったり、前回切断後、放置している間にロールが巻き戻り、フィルム端末がフィルムロールに付着して容器の中に引っ込んでしまって、そのままの状態では摘むことができず、容器の蓋を開けなければならなかったりして、フィルム端末を摘むのに時間を要することがある。また、フィルム端末を摘むことができて、これを容器の外に引き出そうとすると、今度は、容器の外からフィルムロールを確実に保持することができないので、フィルムロール自体の摩擦によるセルフロックを起こし、引き出すのに相当の力を要し、容器を変形させたりする。この傾向は、フィルムの消費が進んで、フィルムロールの外形寸法及び重量が減少したときに特に顕著である。
【0004】
さらに、フィルム端末を容器の外に引き出すことができて、次いで、フィルムを所望の長さ容器が備えている切断歯で切り取ろうとすると、紙製の容器の剛性が不足し、切断歯が撓み、また、容器の中でフィルムロールが不安定に動いて、フィルムと切断歯との相対位置を固定することができず、これらが原因となり、切断の力が分散されて切断しにくく、また、切断面が乱れて綺麗な一直線上に揃わないといった問題点がある。この傾向も、フィルムの消費が進んで、フィルムロールの外形寸法及び重量が減少したときに特に顕著である。
【0005】
さらに、また、フィルムを所望の長さ容器が備えている切断歯で切り取ることができた後、放置していると、前記したように、フィルムロールが巻き戻り、フィルム端末がフィルムロールに付着して容器の中に引っ込んでしまって、その後、フィルム端末を摘み出すのに苦労するといった事態がしばしば生じている。
【0006】
従来のフィルムロール用容器においても、前記のような問題点の解決を図ったものは存する。例えば、容器を繰り返し使用可能なものとし、フィルムロールの巻き戻しを防止して、フィルム端部を摘み易くし、必要量のフィルムを簡単に切り分けできるようにしたもの(特許文献1)、フィルムロールの交換を容易にしたもの(特許文献2)などがある。しかしながら、これらのものも、前記したような問題点を全面的に解決したものとは言い難く、特にフィルムの消費が進んで、フィルムロールの外形寸法及び重量が減少したときに生ずるフィルムロールの不安定及びこれより生ずる種々の問題点の解決を図ったものは存在しない。
【特許文献1】登録実用新案第3097658号公報
【特許文献2】特開2003−175941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願の発明は、従来のフィルムロール用容器が有する前記のような問題点を解決して、容器の材料を適切に選択して容器の剛性を高めるとともに、フィルム端末を摘み出し易い構造にし、さらに、フィルム材がフィルムロールから繰り出され、その結果、フィルムロールの外形寸法が減少した程度に応じて該フィルムロールを抱持・固定することができる手段を施して、これらにより操作性を向上させ、また、耐久性を向上させて、前記のような問題点を一掃したフィルムロール用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記のような課題は、本願の各請求項に記載された次のような発明により解決される。
すなわち、その請求項1に記載された発明は、ラップフィルムやアルミフィルム等のフィルム材をロール芯材に捲回して成るフィルムロールを内部に収容するとともに、前記捲回が解けて、前記フィルムロールから繰り出される前記フィルム材を切断するための切断歯を有するフィルムロール用容器であって、湾曲した板状体をなす上半体と、同じく湾曲した板状体をなす下半体とから成り、前記切断歯は、前記上半体の先端稜線に沿って形成されており、前記上半体と前記下半体とは、それらの湾曲方向を外側にして互いに対向し、それらの基端部が集まったヒンジ部を回動中心にして相対的に回動自在に連結されており、それらの外側に、上指挿入部と下指挿入部とをそれぞれ備え、これら上指挿入部と下指挿入部とに片手の親指と残りの指とをそれぞれ挿入して、前記片手で前記容器を把持するとともに、前記片手の親指と残りの指との開閉動作によって前記上半体と前記下半体とを相対的に開閉方向に回動操作することができるようにされており、前記上半体と前記下半体との各湾曲の程度及び断面周長は、前記捲回が解けて前記フィルム材が前記フィルムロールから繰り出され、その結果、前記フィルムロールの外形寸法が減少した程度に応じて前記上半体と前記下半体とが相対的に閉方向に回動して前記フィルムロールを抱持・固定することができる形状・大きさにされていることを特徴とするフィルムロール用容器である。
【0009】
請求項1に記載された発明は、前記のように構成されているので、容器の上半体と下半体とがそれぞれ備える上指挿入部と下指挿入部とに片手の親指と残りの指とをそれぞれ挿入して、容器を片手で把持し、これらの指を開閉動作させれば、フィルム材がフィルムロールから繰り出されて該フィルムロールの外形寸法が減少した程度に応じて上半体と下半体との開度が調節されて、上半体と下半体とがフィルムロールを抱持・固定することができ、また、その解除をすることができる。これにより、フィルム端末を摘んで、これを容器の外に引き出すときには、容器を把持する片手を適宜に開いて、上半体と下半体との開度をわずかに広げれば、フィルムロールが安定に回転して、フィルム端末を容器の外に円滑に引き出すことができ、フィルムロール自体の摩擦によるセルフロックを起こすようなことがなくなる。
また、これにより、フィルム端末を容器の外に所望の長さ引き出して、次いで、フィルム材を容器が備える切断歯で切り取ろうとするときには、容器を把持する片手を適宜に閉じて、上半体と下半体とでフィルムロールを確実に抱持・固定させれば、切断の力が分散されることもなく、確実にスムーズにフィルム材を切断できて、切断面も綺麗に揃えることができる。
【0010】
また、その請求項2に記載された発明は、請求項1に記載のフィルムロール用容器において、その切断歯のヒンジ部を中心にした回動半径の方が、下半体の先端稜線のヒンジ部を中心にした回動半径よりも大きくされており、その大きさは、フィルムロールから繰り出されるフィルム材が切断歯により切断された後の該フィルムロール側のフィルム端末を摘み出すための空間が上半体の下方に形成されるとともに、そのフィルム端末が下半体の先端稜線に係止もしくは吊持されることが可能な程度にされていることを特徴としている。
【0011】
この構成により、容器の上半体の下方に形成される空間内に手(もう一方の片手)を入れ、フィルム端末の適宜個所をこの手で把持して、このフィルム端末をゆとりを持って摘み出すことができ、また、フィルム端末をフィルムロールから浮き上がらせ、フィルム端末がフィルムロールと密着することを防止することができるので、フィルム端末を摘み出す操作が容易になる。
【0012】
また、その請求項3に記載された発明は、請求項1又は請求項2に記載のフィルムロール用容器において、そのヒンジ部には、前記上半体と前記下半体とを相対的に閉方向に回動するように付勢する付勢手段が組み込まれていることを特徴としている。
【0013】
この構成により、容器の上半体と下半体とがフィルムロールを抱持・固定した状態で、上指挿入部と下指挿入部とから片手の親指と残りの指とをそれぞれ抜いたとしても、上半体と下半体とは、このフィルムロールの抱持・固定状態を継続することができ、言わば、ブレーキ機能が働いて、フィルムロールの自由回転を防止することができるので、フィルム材の切断後、容器を放置している間にフィルムロールが巻き戻り、フィルム端末がフィルムロールに付着して容器の中に引っ込んでしまうといったことがなくなる。これにより、次にフィルム端末を摘み出す操作を短時間に容易に行うことができる。
【0014】
さらに、その請求項4に記載された発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のフィルムロール用容器において、その容器は、全体が硬質の樹脂又は金属製とされていることを特徴としている。
【0015】
この構成により、容器の剛性が高められ、フィルムロールの抱持・固定を確実に行うことができ、また、切断歯が撓むこともなくなるので、フィルム端末を容器の外に所望の長さ引き出して、次いで、フィルム材を容器が備える切断歯で切り取ろうとするときには、切断の力が分散されることもさらになく、さらに確実にスムーズに切断できて、切断面も綺麗に揃えることができる。また、容器を使い捨てでなく、フィルムロールの交換により繰り返し使用でき、耐久性のあるものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
前記のとおり、本願の発明のフィルムロール用容器によれば、フィルムロール用容器が上半体と下半体とから成り、これら上半体と下半体とがそれぞれ備える上指挿入部と下指挿入部とに片手の親指と残りの指とをそれぞれ挿入して、容器を片手で把持し、これらの指を開閉動作させれば、フィルム材がフィルムロールから繰り出されて該フィルムロールの外形寸法が減少した程度に応じて上半体と下半体との開度が調節されて、上半体と下半体とがフィルムロールを抱持・固定することができ、また、その解除をすることができる。これにより、フィルム端末を摘んで、これを容器の外に引き出したり、フィルム材を所望の長さ容器が備える切断歯で切り取ったりする操作を確実にスムーズに実行でき、容器の操作性を著しく向上させることができる。
【0017】
また、容器の上半体の先端稜線に沿って形成される切断歯のヒンジ部を中心にした回動半径の方が、下半体の先端稜線のヒンジ部を中心にした回動半径よりも所定長大きくされる場合には、上半体の下方に形成される空間内に手(もう一方の片手)を入れ、フィルム端末の適宜個所をこの手で把持して、このフィルム端末をゆとりを持って摘み出すことができ、また、フィルム端末をロールから浮き上がらせ、フィルム端末がロールと密着することを防止することができるので、フィルム端末を摘み出す操作を行い易くなり、容器の操作性をさらに向上させることができる。
【0018】
また、容器の上半体と下半体との各基端部が集まったヒンジ部に、上半体と下半体とを相対的に閉方向に回動するように付勢する付勢手段が組み込まれる場合には、容器の上半体と下半体とがフィルムロールを抱持・固定した状態で、上指挿入部と下指挿入部から片手の親指と残りの指とをそれぞれ抜いたとしても、ブレーキ機能が働いて、フィルムロールの自由回転を防止することができるので、フィルム材の切断後、容器を放置している間にフィルムロールが巻き戻り、フィルム端末がフィルムロールに付着して容器の中に引っ込んでしまうといったことがなくなる。これにより、容器の操作性をさらに向上させることができる。
【0019】
さらに、容器の全体が硬質の樹脂又は金属製とされる場合には、容器の剛性が高められ、フィルムロールの抱持・固定を確実に行うことができ、また、切断歯が撓むこともなくなるので、フィルム材を所望の長さ容器が備える切断歯で切り取る操作をさらに確実にスムーズに実行できて、容器の操作性をさらに向上させることができる。また、容器を耐久性のあるものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
ラップフィルムやアルミフィルム等のフィルム材をロール芯材に捲回して成るフィルムロールを内部に収容するとともに、該捲回が解けて、フィルムロールから繰り出されるフィルム材を切断するための切断歯を有するフィルムロール用容器が、湾曲した板状体をなす上半体と、同じく湾曲した板状体をなす下半体とから成るものとする。切断歯は、上半体の先端稜線に沿って形成し、上半体と下半体とは、それらの湾曲方向を外側にして互いに対向し、それらの基端部が集まったヒンジ部を回動中心にして相対的に回動自在に連結され、それらの外側に、上指挿入部と下指挿入部とをそれぞれ備え、上指挿入部と下指挿入部とに片手の親指と残りの指とをそれぞれ挿入して、該片手で容器を把持するとともに、該片手の親指と残りの指との開閉動作によって上半体と下半体とを相対的に開閉方向に回動操作することができるようにする。
上半体と下半体との各湾曲の程度及び断面周長は、フィルム材の捲回が解けてフィルム材がフィルムロールから繰り出され、その結果、フィルムロールの外形寸法が減少した程度に応じてそれらが相対的に閉方向に回動して、該フィルムロールを抱持・固定することができる大きさにする。
【0021】
また、切断歯のヒンジ部を中心にした回動半径の方が、下半体の先端稜線のヒンジ部を中心にした回動半径よりも大きくし、その大きさは、フィルムロールから繰り出されるフィルム材が切断歯により切断された後のフィルムロール側のフィルム端末を摘み出すための空間が上半体の下方に形成されるとともに、そのフィルム端末が下半体の先端稜線に係止もしくは吊持されることが可能な程度にする。容器は、全体が硬質の樹脂又は金属製とする。
【実施例】
【0022】
次に、本願の発明の一実施例について説明する。
図1は、本実施例のフィルムロール用容器を使用して、フィルムロールから繰り出されるフィルム材を切断している状態を示す斜視図、図2は、同フィルムロール用容器の全体斜視図、図3は、同フィルムロール用容器の断面図である。
【0023】
本実施例のフィルムロール用容器は、家庭台所用品及び業務厨房用品として使用される食品等を包むラップフィルムをロール芯材に捲回して成るフィルムロールを内部に収容する容器であるが、フィルム材としては、ラップフィルムに限られず、アルミフィルム、紙シート等であっても良い。また、この容器は、フィルムロールを内部に収容するばかりでなく、収容されたフィルムロールから繰り出されるフィルム材を所望の長さに切断して、所望の用に供するフィルム片もしくはフィルムシートを作成する機能をも担う。
【0024】
本実施例のフィルムロール用容器1は、図1〜図3に図示されるように、あらまし湾曲した板状体をなす硬質樹脂製の上半体2と、同じく湾曲した板状体をなす硬質樹脂製の下半体3とから成っている。そして、その内部には、ラップフィルムやアルミフィルム等のフィルム材5をロール芯材6に捲回して成るフィルムロール4が収容されるとともに、その上半体2の先端稜線に沿って、捲回が解けてフィルムロール4から繰り出されるフィルム材5を切断するための切断歯7が形成されている。
【0025】
切断歯7は、上半体2の先端稜線が歯状に成形されて形成されても良いし、図4に図示されるように、別体の金属製の切断歯片9が樹脂製の上半体2の先端稜線に沿って埋設されて形成されるのであっても良い。また、歯自体の形状は、鋸歯状、その他どのような形状であってもよい。
【0026】
上半体2と下半体3とは、いずれも断面滑らかに湾曲した平面視矩形の板状体から成り、それらの湾曲方向を外側にして互いに対向し、それらの基端部が集まったヒンジ部8を回動中心にして、相対的に回動自在に連結されている。下半体3の両端部には、フィルムロール4の軸方向移動を規制するための側面視レンズ形状の側壁3aが、その本体部に対して起立せしめられて一体に形成されている。なお、上半体2の両端部にも、側壁3aと同様なものが形成されても良い。
【0027】
ヒンジ部8の構成例としては、種々のものが考えられる。図5に示すものは、通常、ドアの取付け等に使用される蝶番と同じ構造の蝶番10にネジリコイルバネ11が組み込まれたものであって、これを所要個数用いてボルト等の手段により上半体2と下半体3とを連結する。ネジリコイルバネ11の付勢方向は、上半体2と下半体3とが閉じる方向である。図6に示すものは、ヒンジ部8の近傍の上半体2と下半体3との間に、これら両半体が閉じる方向にコイルバネ12が介装されたものであって、ヒンジ部8自体の構造としては、図7に示すような蝶番方式、図8に示すような上半体2と下半体3とを一体成形により形成する方式等の何れであっても良い。また、図8に示す一体成形方式において、そのヒンジ部8を適量薄く成形すれば、それだけでバネ機能を備えたものとすることができる。さらに、図8に示す一体成形方式において、材料そのものをバネ性のあるもの、例えば、ステンレス鋼として、ヒンジ部8をバネ機能を備えたものとして構成することも考えられる。さらに、また、図9、図10に示すように、ヒンジ部8に板バネ13を使用することも考えられ、その場合には、その両側部を上半体2、下半体3の基端部の内側面にそれぞれスポット溶接、ボルト止め等により固着するか(図9)、上半体2、下半体3が樹脂製である場合には、それらの基端部にそれぞれ埋め込んで固着する方式が考えられる(図10)。
【0028】
また、上半体2と下半体3とは、それらの外側湾曲面上に上指挿入部14と下指挿入部15とをそれぞれ備えている。そして、これら上指挿入部14と下指挿入部15とに、図1に図示されるように、片手の親指と残りの指とをそれぞれ挿入して、該片手で容器1を把持するとともに、該片手の親指と残りの指とを開閉動作することによって、上半体2と下半体3とを、ヒンジ部8を中心として、相対的に開閉方向に回動操作することができるようになっている。ここで、「上指挿入部14と下指挿入部15とに片手の親指と残りの指とをそれぞれ挿入」とは、人の手の握りの癖により、型通りにならない挿入を含んでおり、形式的に解釈されるべきではない。
【0029】
なお、これら上指挿入部14と下指挿入部15とは、上半体2の外側湾曲面上、下半体3の外側湾曲面上に細長い側面視凹状もしくは倒立凹状の指係止帯片16、17がそれぞれ一体に取り付けられることにより、指係止帯片16と上半体2の外側湾曲面との間、指係止帯片17と下半体3の外側湾曲面との間に、それぞれ形成されるようになっている。これら指係止帯片16、17は、上指挿入部14と下指挿入部15とにそれぞれ挿入された片手の親指と残りの指とが開動作するとき、これらの指にそれぞれ係止して、これらの指の開動作に随伴して上半体2と下半体3とが相対的に開方向に回動するようにする。なお、指係止帯片17の底面(外面)17aは、容器1を安定に任意台上に載置することができるように、少なくともその周縁部が平坦に形成されている。
指係止帯片16、17は、上半体2、下半体3とは別体のものとして形成されて、これらが上半体2の外側湾曲面上、下半体3の外側湾曲面上にそれぞれ一体に取り付けられるのであっても良いし、初めから上半体2、下半体3と一体成形により形成されるのであっても良い。
【0030】
上半体2と下半体3との各湾曲の程度及び断面周長は、図3に図示されるように、フィルム材5の捲回が解けて該フィルム材5がフィルムロール4から繰り出され、その結果、フィルムロール4の外形寸法が減少した程度に応じてそれら上半体2と下半体3とが相対的に閉方向に回動して(図面鎖線参照)、フィルムロール4を抱持・固定することができる形状・大きさにされている。
【0031】
上半体2と下半体3との各湾曲の程度及び断面周長は、また、図3に図示されるように、上半体2の先端稜線に沿って形成された切断歯7のヒンジ部8を中心にした回動半径の方が、下半体3の先端稜線のヒンジ部8を中心にした回動半径よりも大きくされており、しかも、その大きさの程度は、フィルムロール4から繰り出されるフィルム材5が切断歯7により切断された後のフィルムロール4側のフィルム端末を摘み出すための空間Aが上半体2の下方に形成されるとともに、そのフィルム端末が下半体3の先端稜線に係止もしくは吊持されることが可能な程度にされている。
【0032】
次に、本実施例のフィルムロール用容器1の使用法について説明する。
図1に図示されるように、上半体2の上指挿入部14に片手の親指を挿入し、下半体3の下指挿入部15(図3参照)に片手の残りの指を挿入して、該片手にて、容器1を把持する。この状態にて、片手の親指と残りの指とをわずかに開方向に動作させて、上半体2と下半体3とを相対的にわずかに開方向に回動操作すれば、上半体2と下半体3とによるフィルムロール4の抱持・固定が緩むので、この間に、他方の片手の一部の指を上半体2下方の空間A内に入れるなどして、この空間Aを適宜有効に利用して、この他方の片手にて、切断歯7に付着しているフィルム端末の適宜個所を摘み、これを容器1の外に所望の長さ引き出す。このとき、フィルムロール4は安定に回転して、フィルム端末を容器1の外に円滑に引き出すことができる。なお、フィルム端末が下半体3の先端稜線に係止もしくは吊持されているときには、このフィルム端末の引き出しは、さらに容易に円滑に行われる。
【0033】
他方の片手でフィルム端末を容器1の外に所望の長さ引き出すと、次いで、容器1を把持する片手の親指と残りの指とを適宜に閉じて、上半体2と下半体3とでフィルムロール4を確実に抱持・固定させてから、他方の片手でフィルム材5を容器1が備える切断歯7に当たるように引っ張って、これを切断歯7で切り取る。このとき、切断の力が分散されることもなく、確実にスムーズに切断できて、切断面も綺麗に揃えることができる。
【0034】
このようにして、1枚のフィルム片もしくはフィルムシートを切り取ってから、さらにもう1枚のフィルム片もしくはフィルムシートを作出したいときには、再び、容器1を把持する片手の親指と残りの指とをわずかに開方向に動作させて、上半体2と下半体3とによるフィルムロール4の抱持・固定を緩め、他方の片手にて、フィルム端末を摘んで、これを容器1の外に所望の長さ引き出し、次いで、容器1を把持する片手の親指と残りの指とを適宜に閉じて、上半体2と下半体3とでフィルムロール4を確実に抱持・固定させてから、他方の片手でフィルム材5を切断歯7で切り取る。
【0035】
フィルム材5の切断歯7による切断作業を終了するときには、上指挿入部14、下指挿入部15から片手の親指、残りの指をそれぞれ抜き出して、適宜容器1を掴み、これを図3に示される姿勢で任意の台上に載置する。このとき、ヒンジ部8にネジリコイルバネ11、コイルバネ12、板バネ13等の付勢手段が組み込まれている場合には、上半体2と下半体3とは、フィルムロール4の抱持・固定状態を継続することができ、ブレーキ機能が働いて、フィルムロール4の自由回転を防止することができる。
【0036】
本実施例のフィルムロール用容器1は、前記のように構成されているので、次のような効果を奏することができる。
容器1の上半体2と下半体3とがそれぞれ備える上指挿入部14と下指挿入部15とに片手の親指と残りの指とをそれぞれ挿入して、容器1を片手で把持し、これらの指を開閉動作させれば、フィルム材5がフィルムロール4から繰り出されて該フィルムロール4の外形寸法が減少した程度に応じて上半体2と下半体4との開度が調節されて、上半体2と下半体3とがフィルムロール4を抱持・固定することができ、また、その解除をすることができる。
これにより、フィルム端末を摘んで、これを容器1の外に引き出すときには、容器1を把持する片手を適宜に開いて、上半体2と下半体3との開度をわずかに広げれば、フィルムロール4が安定に回転して、フィルム端末を容器1の外に円滑に引き出すことができ、フィルムロール4自体の摩擦によるセルフロックを起こすようなことがなくなる。
また、これにより、フィルム端末を容器1の外に所望の長さ引き出して、次いで、フィルム材5を容器1が備える切断歯7で切り取ろうとするときには、容器1を把持する片手を適宜に閉じて、上半体2と下半体3とでフィルムロール4を確実に抱持・固定させれば、切断の力が分散されることもなく、確実にスムーズに切断できて、切断面も綺麗に揃えることができる。
【0037】
また、切断歯7のヒンジ部8を中心にした回動半径の方が、下半体3の先端稜線のヒンジ部8を中心にした回動半径よりも大きくされており、その大きさは、フィルムロール4から繰り出されるフィルム材5が切断歯7により切断された後の該フィルムロール4側のフィルム端末を摘み出すための空間Aが上半体2の下方に形成されるとともに、そのフィルム端末が下半体3の先端稜線に係止もしくは吊持されることが可能な程度にされているので、空間A内に手(もう一方の片手)を入れるなどして、フィルム端末の適宜個所をこの手で把持して、このフィルム端末を摘み出すことができ、また、フィルム端末をフィルムロール4から浮き上がらせ、フィルム端末がフィルムロール4と密着することを防止することができるので、フィルム端末を摘み出す操作が容易になる。
【0038】
また、ヒンジ部8に上半体2と下半体3とを相対的に閉方向に回動するように付勢する付勢手段が組み込まれる場合には、上半体2と下半体3とがフィルムロール4を抱持・固定した状態で、上指挿入部14と下指挿入部15とから片手の親指と残りの指とをそれぞれ抜いたとしても、上半体2と下半体3とは、このフィルムロール4の抱持・固定状態を継続することができ、言わば、ブレーキ機能が働いて、フィルムロール4の自由回転を防止することができるので、フィルム材5の切断後、容器1を放置している間にフィルムロール4が巻き戻り、フィルム端末がフィルムロール4に付着して容器1の中に引っ込んでしまうといったことがなくなる。これにより、次にフィルム端末を摘み出す操作を短時間に容易に行うことができる。
【0039】
さらに、容器1が硬質の樹脂製とされているので、容器1の剛性が高められ、フィルムロール4の抱持・固定を確実に行うことができ、また、切断歯7が撓むこともなくなるので、フィルム端末を容器1の外に所望の長さ引き出して、次いで、フィルム材5を容器が備える切断歯7で切り取ろうとするときには、切断の力が分散されることもさらになく、さらに確実にスムーズに切断できて、切断面も綺麗に揃えることができる。また、容器1を使い捨てでなく、フィルムロール4の交換により繰り返し使用でき、耐久性のあるものとすることができる。
【0040】
なお、本願の発明は、以上の実施例に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
例えば、本実施例のフィルムロール用容器1は、硬質樹脂製とされたが、これに代えて、金属製とされても良い。この場合、上半体2の切断歯7に近い側の下側面に樹脂等の非導電性の物質から成るコーティングをして、フィルム端末を摘み出す際に発生する静電気が発生し易くしてやると、フィルム材5の切断後のフィルムロール4側のフィルム端末がこの下側面に張り付いて、次にこのフィルム端末を指で摘み出すときに、その操作が容易になる。
【0041】
また、上指挿入部14、下指挿入部15の形成は、指係止帯16、17に依らずに、他に種々あり得る。例えば、袋状のポケットが形成されても良い。
さらに、フィルムロール用容器1を安定に任意台上に置く手段として、指係止帯17に代えて、突起部を形成したり、部品を取り付けて、三脚様のものを構成しても良い。また、容器1の一部に穴や吊り具を付加して、容器1をフックに掛けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本願の発明の一実施例のフィルムロール用容器を使用して、フィルムロールから繰り出されるフィルム材を切断している状態を示す斜視図である。
【図2】同フィルムロール用容器の全体斜視図である。
【図3】同フィルムロール用容器の断面図である。
【図4】同フィルムロール用容器の上半体の先端稜線に沿って形成される切断歯の変形例を示す図である。
【図5】同フィルムロール用容器の上半体と下半体との相対回動自在な連結部であるヒンジ部の一構成例を示す図である。
【図6】同他の構成例を示す図である。
【図7】同他の構成例における上半体と下半体との連結の一態様を示す図である。
【図8】同さらに他の構成例を示す図である。
【図9】同さらに他の構成例を示す図である。
【図10】同さらに他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1…フィルムロール用容器、2…上半体、3…下半体、3a…側壁、4…フィルムロール、5…フィルム材、6…、7…切断歯、8…ヒンジ部、9…切断歯片、10…蝶番、11…ネジリコイルバネ、12…コイルバネ、13…板バネ、14…上指挿入部、15…下指挿入部、16、17…指係止帯片、17a…底面、A…空間。











【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラップフィルムやアルミフィルム等のフィルム材をロール芯材に捲回して成るフィルムロールを内部に収容するとともに、前記捲回が解けて、前記フィルムロールから繰り出される前記フィルム材を切断するための切断歯を有するフィルムロール用容器であって、
湾曲した板状体をなす上半体と、同じく湾曲した板状体をなす下半体とから成り、
前記切断歯は、前記上半体の先端稜線に沿って形成されており、
前記上半体と前記下半体とは、
それらの湾曲方向を外側にして互いに対向し、それらの基端部が集まったヒンジ部を回動中心にして相対的に回動自在に連結されており、
それらの外側に、上指挿入部と下指挿入部とをそれぞれ備え、これら上指挿入部と下指挿入部とに片手の親指と残りの指とをそれぞれ挿入して、前記片手で前記容器を把持するとともに、前記片手の親指と残りの指との開閉動作によって前記上半体と前記下半体とを相対的に開閉方向に回動操作することができるようにされており、
前記上半体と前記下半体との各湾曲の程度及び断面周長は、前記捲回が解けて前記フィルム材が前記フィルムロールから繰り出され、その結果、前記フィルムロールの外形寸法が減少した程度に応じて前記上半体と前記下半体とが相対的に閉方向に回動して前記フィルムロールを抱持・固定することができる形状・大きさにされている
ことを特徴とするフィルムロール用容器。
【請求項2】
前記切断歯の前記ヒンジ部を中心にした回動半径の方が、前記下半体の先端稜線の前記ヒンジ部を中心にした回動半径よりも大きくされており、
その大きさは、前記フィルムロールから繰り出される前記フィルム材が前記切断歯により切断された後の前記フィルムロール側のフィルム端末を摘み出すための空間が前記上半体の下方に形成されるとともに、そのフィルム端末が前記下半体の先端稜線に係止もしくは吊持されることが可能な程度にされている
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルムロール用容器。
【請求項3】
前記ヒンジ部には、前記上半体と前記下半体とを相対的に閉方向に回動するように付勢する付勢手段が組み込まれていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフィルムロール用容器。
【請求項4】
前記容器は、全体が硬質の樹脂又は金属製とされていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のフィルムロール用容器。





















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−335363(P2006−335363A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158504(P2005−158504)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(505202877)
【出願人】(505202888)
【Fターム(参考)】