説明

フィルムロール用表面改質装置および包装装置、並びに原反ロール用支持脚部および原反ロール用機器配置装置

【課題】包装体の表面に対する印字強度を向上させ得る表面改質装置および包装装置を提供する。
【解決手段】このピロー包装機(包装装置)1には、そのフィルムロール2上に表面改質装置10が載置されている。この表面改質装置10は、フィルムロール2の側に向けて垂下される案内部12と、その案内部12に沿って移動可能なスライダ部14と、そのスライダ部14に連結されたブラケット部16とを備え、そのブラケット部16に、プラズマ放電でフィルムFの表面を改質可能な改質装置本体18と、支持脚部20とが装着されている。そして、この支持脚部20は、フィルムロール2の表面に当接し且つフィルムFが延出される方向に転動可能な転動体22を有しており、前記改質装置本体18をフィルムロール2との対向方向での所定の位置に支持するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムが巻回されているフィルムロールに用いてそのフィルムの表面を改質するための表面改質装置、および、そのフィルムを製袋するとともに、その製袋されたフィルム内に内容物を収容してこれを包装する包装装置に係り、特に、食品等を包装し、その包装体の流通、保管などの処理の履歴を管理するトレーサビリティに供する表示をするために好適なフィルムロール用表面改質装置および包装装置に関する。さらには、これらの用途に好適に供し得る原反ロール用支持脚部および原反ロール用機器配置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば食品、日用品、雑貨品、その他の種々の物品を内容物とし、これを包装するために、種々の包装体が開発されているが、その取り扱い性の良さや、軽量化、廃棄物の減量化などの点から、柔軟なプラスチック製のフィルムを製袋した包装体が採用されることが多い。この種のプラスチック製の包装体としては、例えばピロー包装体が知られている。通常、この種の包装体は、原反のフィルムを製袋するとともに、その製袋されたフィルム内に内容物を収容してこれを包装する包装装置によって包装装置のユーザサイドで製造される。
【0003】
ところで、近年、内容物を充填した包装体の流通、保管処理等の履歴を管理するトレーサビリティは、その重要性が増している。このようなトレーサビリティのための種々の情報(例えば製造年月日、賞味期限、シリアル番号等)は、プラスチック製の包装体のフィルム表面に、例えば特許文献1に記載の技術のように、インクジェットプリンタ等を用いて印刷されている。
【特許文献1】特開平07−329937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種のプラスチック製の包装体は、そのフィルム表面に対する印刷性については必ずしも良いとはいえない。
つまり、この種の包装体に用いられるプラスチック製のフィルムは、複数のフィルムの層がラミネーションされているが、フィルム表面(表層)は、例えば紙等と比べてその濡れ性が低く、必ずしも印刷に好適なものが用いられてはいないからである。なお、包装体のフィルム表面に予め表面処理等を施して印刷性を向上させた専用フィルムもあるものの、このような専用フィルムには、時間がたつにつれ表面処理の効果が低下するため使用期限があり、また、そのコストが高いので、これを採用することは通常のフィルムに比べてその管理やコスト面等で不利である。
【0005】
そして、この種のプラスチック製の包装体のフィルム表面に対する印字強度が不十分な場合、包装体の表面に印字されたトレーサビリティのための種々の情報が判読できなくなる可能性がある。特に、冷凍食品等は、賞味期限が非常に長く、また、それに伴う流通や保管過程での包装体相互のこすれなどの頻度も高いため、包装体の表面に対して一層強い印字強度が要求される。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、包装体のフィルム表面に対する印字強度を向上させ得るフィルムロール用表面改質装置および包装装置を提供することを目的としている。
また、本発明は、本発明に係るフィルムロール用表面改質装置および包装装置に好適に供し得る原反ロール用支持脚部および原反ロール用機器配置装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のうち第一の発明は、フィルムが巻回されているフィルムロールに用いてそのフィルムの表面を改質するための表面改質装置であって、前記フィルムロール上に載置されるようになっており、前記フィルムロールの側に向けて垂下される案内部と、その案内部に沿ってフィルムロールとの対向方向に移動可能なスライダ部と、そのスライダ部に連結されたブラケット部と、そのブラケット部に装備されて前記フィルムの表面を改質する改質装置本体と、前記ブラケット部に装備されて、前記フィルムロールの表面に当接し且つ前記フィルムが延出される方向に転動可能な転動体を有するとともに前記改質装置本体を前記フィルムロールとの対向方向での所定の位置に支持する支持脚部と、を備えて構成されていることを特徴としている。
【0008】
第一の発明に係る表面改質装置によれば、フィルムロール上に載置されるようになっているので、例えば既存の包装装置に対して容易に装備することが可能である。そのため、例えばこの表面改質装置を、フィルムを製袋するとともに、その製袋されたフィルム内に内容物を収容してこれを包装する包装装置に搭載し、さらに、この表面改質装置で改質された部分にその下流に配置した印刷装置で印刷すれば、包装体の表面に対する印字強度を向上させることができる。
【0009】
特に、この第一の発明に係る表面改質装置によれば、その改質装置本体を装備したブラケット部は、支持脚部を備えており、この支持脚部は、フィルムロールの表面に当接し且つフィルムが延出される方向に倣って転動可能な転動体を有するとともに改質装置本体をフィルムロールとの対向方向での所定の位置に支持するので、改質装置本体とフィルムロールとの対向距離を確保することができる。そのため、安定した表面改質が可能である。また、このブラケット部は、スライダ部に連結されており、そのスライダ部が案内部に沿ってフィルムロールとの対向方向に移動可能になっているので、フィルムロールのフィルム量が変動しても、その径の変化に追従することができる。したがって、フィルムロールの表面処理をするためのものとして好適である。
【0010】
ここで、第一の発明に係る表面改質装置において、前記支持脚部は、前記転動体を対をなして有しており、これら対をなす転動体は、前記フィルムロールの頂上を跨いでフィルムが延出される方向の両側それぞれに配置されていることは好ましい。このような構成であれば、ブラケット部をフィルムロールとの対向方向により安定して移動可能であり、フィルムロールのフィルム量が変動しても、その径の変化に追従させる上でより好適である。
【0011】
また、第一の発明に係る表面改質装置において、前記支持脚部は、前記対をなす転動体を少なくとも二対有しており、これら少なくとも二対の転動体のうち、対をなす一方の転動体は、前記フィルムロールの頂上に近い側に当該頂上を跨いで対称に配置され、対をなす他方の転動体は、前記対をなす一方の転動体よりも前記フィルムロールの頂上から遠い側に当該頂上を跨いで対称に配置されていることは好ましい。このような構成であれば、フィルムロールの径が大きなときには、例えばフィルムロールの頂上から遠い側に位置する対をなす転動体をフィルムロールの表面に優先して当接させ、また、フィルムロールの径が小さなときには、例えばフィルムロールの頂上から近い側に位置する対をなす転動体をフィルムロールの表面に優先して当接させるようにすることができるので、フィルムロールのフィルム量が変動しても、その径の変化に一層好適に追従させ得る構成とする上でより好適である。
【0012】
また、第一の発明に係る表面改質装置において、前記支持脚部の転動体は、前記フィルムロールの表面に当接する球体部と、その球体部を全方位に転動自在に支持する球体支持部とを有して構成されていることは好ましい。このような構成であれば、例えばフィルムロールのフィルムにしわが生じたような場合であっても、球体部が全方位に転動自在になっているので、フィルムのしわによる転動不良が防止または抑制される。さらに、その逆に、支持脚部の摺動抵抗の影響によってフィルムにしわが生じるといった問題についても好適に防止または抑制される。
【0013】
ここで、フィルムロールからフィルムが引き出されて、フィルムロールの径が小さくなるほどフィルムのたるみや蛇行が少なくなる。そこで、前記少なくとも二対の転動体のうち、少なくとも前記フィルムロールの頂上から遠い側に当該頂上を跨いで対称に配置されている対をなす他方の転動体は、前記フィルムロールの表面に当接する球体部と、その球体部を全方位に転動自在に支持する球体支持部とを有して構成されていることは好ましい。このような構成であれば、対をなす他方の転動体は、フィルムのたるみや蛇行の影響を確実に回避することができる。そして、仮に前記フィルムロールの頂上に近い側に当該頂上を跨いで対称に配置された対をなす一方の転動体として、車輪を採用した場合であっても、フィルムロールの径が小さくなるほどフィルムのたるみや蛇行が少なくなるので、転動体が車輪であっても対応可能である。
【0014】
また、第一の発明に係る表面改質装置において、前記支持脚部の転動体は、前記フィルムロールの幅方向での中央部のみに対して当接するように配置されていることは好ましい。このような構成であれば、フィルムロールの回転に対し、その蛇行等の影響が中央では少ないので、支持脚部の追従性を一層安定させることができる。
また、第一の発明に係る表面改質装置において、前記案内部とスライダ部との相対位置を、前記所定の位置よりも上方の第二の位置に固定可能な相対位置固定手段を備えていることは好ましい。このような構成であれば、表面改質装置の改質装置本体を含むブラケット部を、所定の位置よりも上方の第二の位置に固定することができるので、例えばフィルムロールを交換する場合に、この第二の位置に固定することで交換作業を容易に行うことができる。
【0015】
また、第一の発明に係る表面改質装置において、前記相対位置固定手段は、前記案内部に形成された貫通孔と、その貫通孔に挿通可能な挿通軸とを有して構成されており、前記貫通孔は、前記スライダ部の移動方向とは交差する方向に貫通して形成されており、前記挿通軸は、前記貫通孔に挿通されたときに前記スライダ部の移動方向で前記フィルムロール側への移動を拘束するように前記スライダ部に当接可能な長さを有していることは好ましい。このような構成であれば、簡単な構成で相対位置固定手段を構成可能である。つまり、第二の位置に固定する操作は、まず、スライダ部を案内部に沿って上方に移動させて、これを貫通孔よりも上方に位置させ、次いで、挿通軸を貫通孔に挿通すれば、挿通軸はスライダ部の移動方向で前記フィルムロール側への移動を拘束するようにスライダ部に当接可能な長さを有しているので、スライダ部のフィルムロール側への移動を挿通軸で拘束して、スライダ部を挿通軸によって下方から支持することができる。したがって、改質装置本体を含むブラケット部を第二の位置に固定することができる。
【0016】
また、第一の発明に係る表面改質装置において、前記改質装置本体は、大気中でプラズマ放電を発生させることにより前記フィルムの表面を改質する大気中プラズマ照射表面改質装置であることは好ましい。このような構成であれば、この改質装置本体は、大気中でプラズマ放電を発生させることによりフィルムの表面を改質するものなので、例えばコロナ放電処理に比べて、装置規模を小さくすることができる。そのため、適用範囲が広く汎用性にすぐれており、小規模の設備であっても適用が容易である。特に、フィルムロールの表面に処理をするためのものとして好適である。
【0017】
さらに、上記課題を解決するために、本発明のうち第二の発明は、フィルムが巻回されているフィルムロールに用いてそのフィルムの表面を改質するための表面改質装置であって、前記フィルムロールの上方に基端が回動可能に軸支されて前記フィルムロールの側に向けて垂下される回動腕部と、その回動腕部に連結されたブラケット部と、そのブラケット部に装備されて、大気中でプラズマ放電を発生させることにより前記フィルムの表面を改質可能な改質装置本体と、そのブラケット部に装備されて、前記フィルムロールの表面に当接して前記改質装置本体を前記フィルムロールとの径方向での所定の位置に支持するとともに、前記フィルムが延出される方向に倣って転動可能な転動脚を有する支持脚部と、を備えて構成されていることを特徴としている。
【0018】
第二の発明に係る表面改質装置によれば、ブラケット部は回動腕部に連結されており、この回動腕部は、フィルムロールの上方に基端が回動可能に軸支されてフィルムロールの側に向けて垂下され、さらに、そのブラケット部には、上記大気中プラズマ照射表面改質装置が改質装置本体として装備されており、このブラケット部に装備される支持脚部は、フィルムロールの表面に当接して改質装置本体をフィルムロールとの径方向での所定の位置に支持するとともに、フィルムが延出される方向に倣って転動可能な転動体を有するので、例えば既存の包装装置に対して容易に装備することが可能である。
【0019】
そのため、例えばこの表面改質装置および印刷装置を、フィルムを製袋するとともに、その製袋されたフィルム内に内容物を収容してこれを包装する包装装置に搭載し、さらに、この表面改質装置で改質された部分にその印刷装置で印刷すれば、上記第一の発明に係る大気中プラズマ照射表面改質装置が改質装置本体として装備されている表面改質装置同様に、包装体の表面に対する印字強度を向上させることができる。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明のうち第三の発明は、フィルムを製袋するとともに、その製袋されたフィルム内に内容物を収容してこれを包装する包装装置であって、前記フィルムの表面を改質する表面改質装置と、前記フィルムの表面に印刷をする印刷装置とを備え、前記表面改質装置は、大気中でプラズマ放電を発生させることにより前記フィルムの表面を改質可能な改質装置本体を備えて構成されており、前記印刷装置は、前記表面改質装置よりもフィルム送り方向下流側に設けられ、前記表面改質装置で改質された部分に印刷可能になっていることを特徴としている。
【0021】
第三の発明に係る包装装置によれば、フィルムの表面を改質する表面改質装置と、フィルムの表面に印刷をする印刷装置とを備えており、その表面改質装置は、大気中でプラズマ放電を発生させることにより前記フィルムの表面を改質可能な改質装置本体を備えて構成されており、印刷装置は、表面改質装置よりもフィルム送り方向下流側に設けられ、表面改質装置で改質された部分に印刷可能になっているので、包装体の表面に対する印字強度を向上させることができる。
【0022】
ここで、第三の発明に係る包装装置において、前記表面改質装置として、第一または第二の発明に係るフィルムロール用表面改質装置を備えて構成されていることは好ましい。このような構成であれば、上記第一または第二の発明に係るフィルムロール用表面改質装置の作用・効果を奏するので、包装体の表面に対する印字強度を向上させる上でより好適である。
【0023】
なお、第三の発明に係る包装装置において、前記第一または第二の発明に係るフィルムロール用表面改質装置を採用しない場合には、前記表面改質装置および印刷装置は、前記フィルムが搬送される経路の途中部分に配置されていることは好ましい。このような構成であれば、包装装置に表面改質装置および印刷装置を組み込んで、装置全体の構成をよりコンパクトとすることが可能であり、包装体の表面に対する印字強度を向上させる上で好適である。しかし、例えば既存の設備に対し包装体の表面に対する印字強度を向上させる機器を、容易かつ簡単な構成で盛り込む上では、上述した第一または第二の発明に係るフィルムロール用表面改質装置を採用することが好ましい。
【0024】
また、第三の発明に係る包装装置において、前記包装装置は、筒状にしたフィルムの重ね合わされた端をシールして縦シールを形成可能であり、さらに、筒状にされたフィルムの所定部位を横方向にシールして横シールを形成するとともにその横シール部を切断可能なピロー包装機であることは好ましい。このような構成であれば、第三の発明に係る包装装置がピロー包装機であるので、内容物をピロー包装体で包装し、その包装体のフィルム表面に印字強度を向上させた印刷をする上で好適である。
【0025】
また、本発明のうち第四の発明は、帯状のシート部材が巻回されている原反ロールに用いてそのシート部材に所望の処理をするための機器を配置するための装置に供する支持脚部であって、前記原反ロール上に載置されるようになっており、前記原反ロールの表面に当接し且つ前記シート部材が延出される方向に転動可能な転動体を有するとともに前記所望の処理をするための機器を前記シート部材との対向方向での所定の位置に支持するようになっていることを特徴としている。
【0026】
第四の発明に係る原反ロール用支持脚部によれば、この支持脚部は、原反ロールのシート部材表面に当接し且つフィルムが延出される方向に倣って転動可能な転動体を有するとともに所望の処理をするための機器をフィルムロールとの対向方向での所定の位置に支持するので、その機器と原反ロールとの対向距離を確保することができる。そのため、その機器での安定した処理を可能とすることができる。例えば、原反ロールとして上述のようなフィルムロールに適用し、その表面処理をするための機器を所定の位置に支持するための支持脚部として好適である。すなわち、上述した本発明に係るフィルムロール用表面改質装置および包装装置に好適に供し得る原反ロール用支持脚部を提供可能である。
【0027】
ここで、この第四の発明に係る原反ロール用支持脚部において、前記転動体を対をなして有しており、これら対をなす転動体は、前記原反ロールの頂上を跨いでシート部材が延出される方向の両側それぞれに配置されていることは好ましい。このような構成であれば、所望の処理をするための機器を原反ロールとの対向方向により安定して移動可能であり、原反ロールのシート部材の量が変動しても、その径の変化に追従させる上でより好適である。
【0028】
また、第四の発明に係る原反ロール用支持脚部において、前記対をなす転動体を少なくとも二対有しており、これら少なくとも二対の転動体のうち、対をなす一方の転動体は、前記原反ロールの頂上に近い側に当該頂上を跨いで対称に配置され、対をなす他方の転動体は、前記対をなす一方の転動体よりも前記原反ロールの頂上から遠い側に当該頂上を跨いで対称に配置されていることは好ましい。このような構成であれば、原反ロールの径が大きなときには原反ロールの頂上から遠い側に位置する対をなす転動体が原反ロールのシート部材表面に優先して当接し、また、原反ロールの径が小さなときには原反ロールの頂上から近い側に位置する対をなす転動体が原反ロールのシート部材表面に優先して当接し得るので、原反ロールのシート部材の量が変動しても、その径の変化に一層好適に追従させることができる。
【0029】
また、第四の発明に係る原反ロール用支持脚部において、前記転動体は、前記原反ロールの表面に当接する球体部と、その球体部を全方位に転動自在に支持する球体支持部とを有して構成されていることは好ましい。このような構成であれば、例えば原反ロールのシート部材にしわが生じたような場合であっても、球体部が全方位に転動自在になっているので、シート部材のしわによる転動不良が防止または抑制される。さらに、その逆に、支持脚部の摺動抵抗の影響によってシート部材にしわが生じるといった問題についても好適に防止または抑制される。
【0030】
また、第四の発明に係る原反ロール用支持脚部において、前記転動体は、前記原反ロールの幅方向での中央部のみに対して当接するように配置されていることは好ましい。このような構成であれば、フィルムロールの回転に対し、フィルムの蛇行等の影響が中央では少ないので、支持脚部の追従性を一層安定させることができる。
さらに、本発明のうち第五の発明は、帯状のシート部材が巻回されている原反ロールに用いてそのシート部材に所望の処理をするための機器を配置するための機器配置装置であって、前記原反ロール上に載置されるようになっており、前記原反ロールの上方に基端が固定されて前記原反ロールの側に向けて垂下される案内部と、その案内部に沿って原反ロールとの対向方向に移動可能なスライダ部と、そのスライダ部に連結されて前記所望の処理をするための機器を取り付け可能なブラケット部と、そのブラケット部に装備される支持脚部と、を備え、前記支持脚部として、第四の発明に係る原反ロール用支持脚部を用いて構成されていることを特徴としている。
【0031】
第五の発明に係る原反ロール用機器配置装置によれば、原反ロール上に載置されるようになっているので、例えば原反ロールを有する既存の装置に対して容易に装備することが可能である。そのため、例えばこの原反ロール用機器配置装置の所望の処理をするための機器として、フィルムの表面を改質するための表面改質装置を装備し、さらに、この表面改質装置を装備した原反ロール用機器配置装置を、例えばフィルムを製袋するとともに、その製袋されたフィルム内に内容物を収容してこれを包装する包装装置に搭載し、その表面改質装置で改質された部分に印刷装置で印刷するように構成すれば、包装体の表面に対する印字強度を向上させることができる。つまり、本発明に係るフィルムロール用表面改質装置および包装装置に好適に供し得る原反ロール用機器配置装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、包装体の表面に対する印字強度を向上させ得るフィルムロール用表面改質装置および包装装置を提供することができる。
また、本発明に係るフィルムロール用表面改質装置および包装装置に好適に供し得る原反ロール用支持脚部および原反ロール用機器配置装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
本実施形態は、上記包装装置としてピロー包装機に適用した例であり、そのピロー包装機に、本発明に係るフィルムロール用表面改質装置を備えた例である。また、このフィルムロール用表面改質装置には、上述の本発明に係る原反ロール用機器配置装置を採用するとともに、その支持脚部についても、上述の本発明に係る原反ロール用支持脚部を採用した例である。
【0034】
まず、このピロー包装機について、図1を適宜参照しつつ説明する。なお、このピロー包装機自体は、公知のピロー包装機と構成が同様であるので、概略のみ簡単に説明し、詳細な説明および図示については適宜省略する。
同図に示すように、このピロー包装機1は、横型ピロー包装機であり、原反ロールとして二つのフィルムロール2を有している。各フィルムロール2には、原反となるシート部材である帯状のフィルムFがそれぞれにロール状に巻回されている。そして、この帯状のフィルムFは、送出部8から連続して引き出されて製袋器3に供給されるようになっている。この製袋器3は、その内部に、不図示のセンターシーラ、エンドシーラおよび横シール部切断装置を有している。そして、このセンターシーラにてフィルムFの端を重ね合わせて筒状にし、さらに、その筒状にされたフィルムFの端をシールして縦シールを形成可能になっている。
【0035】
さらに、このピロー包装機1には、その製袋器3の搬入側に、上流からプールコンベア6、被包装物供給装置5およびフィンガコンベア4が設置されている。被包装物供給装置5は、プールコンベア6から搬送されてくる被包装物(不図示)を所定間隔毎にフィンガコンベア4に向けて送り出し可能であり、フィンガコンベア4は、筒状にされたフィルムF内に被包装物を順次供給可能になっている。そして、被包装物は、これらのコンベア6、4等によって、上記の筒状フィルム内に内包された状態のまま順次搬送され、その搬送途中で上記のエンドシーラにて筒状のフィルムFの所定部位を横方向にシールして横シールを形成するとともに、その横シール部を、被包装物同士の間毎に、上記の横シール部切断装置によって横方向に切断してピロー包装体を製造可能になっている。なお、製造されたピロー包装体は、下流のシュートコンベア7によって次工程に搬送される。
【0036】
ここで、図2に示すように、このピロー包装機1には、上記二つのフィルムロール2に対し、支持枠11が取り付けられている。この支持枠11は、二つのフィルムロール2の側方にそれぞれ立設された二本の支柱11aと、各支柱同士の上部に、フィルム送り方向に沿って水平方向に張り渡たされた梁11bとから略門型に構成され、各フィルムロール2の回転や他の構成部材との不都合な干渉が無いように配置されている。そして、この支持枠11によって二つのフィルムロール2の上方に、二つの表面改質装置10が支持されるとともに、各表面改質装置10は、二つのフィルムロール2それぞれに対して載置されている。そして、同図に示すように、このピロー包装機1には、その表面改質装置10よりもフィルム送り方向下流側のシュートコンベア7よりさらに搬送ラインHLの下流の適宜の位置に、印刷装置40が装備されている。そして、この印刷装置40は、インクジェットプリンタであり、表面改質装置10で改質されたフィルムFの所定の部分に、内容物を充填した包装体の流通、保管処理等の履歴を管理するトレーサビリティのための所望の印刷が可能になっている。なお、本発明に採用可能な印刷装置は、インクジェットプリンタに限定されず、フィルムFの所定の部分に所望の印刷が可能なものであれば、種々のプリンタ等が適用可能である。
【0037】
以下、上記の表面改質装置10について図2〜図6を適宜参照しつつ詳しく説明する。
この表面改質装置10は、図2に示すように、案内部12、スライダ部14、ブラケット部16、改質装置本体18、および支持脚部20を備えて構成されている。
詳しくは、案内部12は、その横断面が矩形状をなすステンレス鋼製の角パイプであり、この案内部12の一端が、上記の支持枠11の梁11bに継手部材12aを介してその長手方向を上下に向けて固定され、その他端がフィルムロール2の側に向けて垂下されている。そして、この案内部12にスライダ部14が取り付けられている。なお、この継手部材12aは、ねじ締結部をもつ抱き締めによって支持枠11の梁11bに固定されるようになっており、ねじ締結部を緩めることによって梁11bが張り渡されているフィルム送り方向に沿った水平方向に移動可能であり、水平方向での適宜の位置に固定可能になっている。
【0038】
このスライダ部14は、図3に示すように、上記の案内部12同様の、その横断面が矩形状をなすステンレス鋼製の角パイプ14aを備えて構成されている。この角パイプ14aは、案内部12の外形よりも大きな内形を有し、その長さは案内部12の長さよりも短い。そして、その角パイプ14aの4つの側面が、案内部12の4つの側面それぞれに対向する位置で案内部12に隙間をもって外嵌するようになっている。さらに、この角パイプ14aの4つの内側面それぞれには、例えばテフロン(登録商標)等のように、摺動性に優れた合成樹脂の板部材からなる摺動案内板14bが案内部12との隙間部分に介装されるように取り付けられており、これにより、スライダ部14は案内部12に沿って円滑に移動可能になっている。なお、各摺動案内板14bは、角パイプ14aの各内側面に対し、その幅方向中央且つ長手方向に適宜の距離を隔てた二箇所の位置を止めねじ14cによって固定されている。
【0039】
さらに、このスライダ部14にブラケット部16が連結されている。
詳しくは、図4ないし図6に拡大図示するように、スライダ部14には、その4つの側面のうち、改質装置本体18を取り付ける側を向く外側面に、ブラケット部16を取り付けるための取付けアングル15aが二箇所に固定されている。これら二つの取付けアングル15aは、平面視が略コ字型をなし、その略コ字型をなす3つの面のうち、中央に位置する面がスライダ部14に溶接によって固定され、他の二つの面が、改質装置本体18を取り付ける側に張り出しており、この張り出した二つの面がブラケット部16の装着部になっている。
【0040】
そして、ブラケット部16は、一対をなすブラケット部本体15を有して構成されている。これら一対のブラケット部本体15は、図6に示すように、略L字状をなすステンレス鋼製の板部材であり、各ブラケット部本体15は、略L字型の一方の側(同図での左側)が、上記取り付けアングル15aの装着部に、ねじ締結によってそれぞれ取り付けられている。そして、各ブラケット部本体15の略L字型の他方の側は、同図に示すように、前記一方の側の上方の位置から水平方向に張り出しており、この他方の側の張り出した先端部に、改質装置本体18がねじ締結によって取り付けられている。
【0041】
ここで、この改質装置本体18は、大気中でプラズマ放電を発生させることによりフィルムFの表面を改質可能なものである。具体的には、この改質装置本体18として、本実施形態では、大気中プラズマ照射表面改質装置を搭載している。この大気中プラズマ照射表面改質装置は、例えばコロナ放電処理装置のような対向電極が不要なので、複雑な形状の処理対象の表面改質処理に好適である。そして、上記印刷装置40によるトレーサビリティのための所望の印刷をする範囲は、フィルムロール2の幅方向で約15mmの範囲であり、この所望の印刷をする範囲に対し、この改質装置本体18は、フィルムロール2の幅方向で約20mmの処理範囲を有しており、必要十分な表面改質処理が可能である。なお、符号Sは、改質装置本体18の照射部を示し、また、符号SLは、その照射部Sフィルムロール2の回転方向での処理範囲の中心線を示している。ここで、上記「帯状のシート部材が巻回されている原反ロールに用いてそのシート部材に所望の処理をするための機器」には、この改質装置本体18が対応している。
【0042】
さらに、このブラケット部16には、保護カバー17および支持脚部20が装着されている。
詳しくは、ブラケット部16には、そのブラケット部本体15に、保護カバー17および支持脚部20を装着するための装着アングル17aが固定されている。この装着アングル17aは、図6に示すように、側面視が略L字型の板部材である。そして、この装着アングル17aは、その略L字型の一方の側(同図での上側)が、ブラケット部本体15の、上記一方の側の下方の端部に溶接によって固定されており、装着アングル17aの他方の側が、適宜の長さで下方に向けて直角に折り返された折り返し部17fになっている。そして、この折り返し部17fが、上記の保護カバー17および支持脚部20の装着部になっている。
【0043】
保護カバー17は、平面視が略長方形状の枠型をなし、上記改質装置本体18の照射部Sの周囲を覆うように形成され、その略長方形状の長辺が、フィルムロール2の軸方向に沿ってほぼ平行にして配置されている。そして、その4つの側面のうちのスライダ部14側を向く面が、上記装着アングル17aの折り返し部の、フィルムFの表面を改質すべき位置に向く側の面に溶接によって固定されている。
【0044】
ここで、この表面改質装置10には、ブラケット部16に、支持脚部20がフィルムロール2の軸方向両側それぞれに二組装着されている。なお、この支持脚部20は、上記本発明に係る原反ロール用支持脚部の一実施形態でもある。各組の支持脚部20のうち、一方の組の支持脚部20は、装着アングル17aの折り返し部に対し、フィルムFの表面を改質すべき位置に向く側とは反対側の面に、溶接によって固定されている。また、他方の組の2個の支持脚部取り付け台20aは、上記保護カバー17に対し、前記一方の組の支持脚部20とは反対側の面に、溶接によって固定されている。
【0045】
そして、各組の支持脚部20は、それぞれ2個の支持脚部取り付け台20aを有し、この支持脚部取り付け台20aに転動体22がそれぞれ取り付けられて構成されている。
詳しくは、各組の2個の支持脚部取り付け台20aは、フィルムロール2の回転方向に沿って且つフィルムロール2の頂上を跨いで左右対称に配置されている。そして、この支持脚部取り付け台20aは、図4ないし図6に示すように、略L字型の板金部材であり、略L字型の一方の側は、図5に示すように、正面視が略台形形状をなしており、その斜辺の部分を装着アングル17aの側に向けて固定することで、装着アングル17aとの相互の干渉が防止されている。また、この支持脚部取り付け台20aは、その略L字型の他方の側が、図4に示すように、平面視が略矩形形状をなしている。なお、図4では転動体22の図示を省略している。
【0046】
さらに、この支持脚部取り付け台20aは、図6に示すように、フィルムロール2の軸方向に張り出して形成されている。そして、その張り出している面の、フィルムロール2の軸方向での略中央部に且つフィルムFの延出方向で適宜の距離を隔てた位置に、転動体22を装着するための装着孔20hが、板厚方向に貫通して二箇所に加工されている。また、この装着孔20hの形成される位置は、フィルムロール2上にこの表面改質装置10が載置されたときに、フィルムロール2の軸方向での中央部CL上に丁度位置するようになっており、さらに、この装着孔20hの貫通する軸線の向きは、フィルムロール2の表面に対向する側に向けて形成されている。そして、各組の支持脚部20には、それぞれの支持脚部取り付け台20aの各装着孔20hに、転動体22がそれぞれ取り付けられる。これらの転動体22は、フィルムロール2の表面に当接し且つフィルムFが延出される方向に倣って転動可能になっている。
【0047】
ここで、本実施形態は、支持脚部20を二組備えている例であるが、実際にフィルムロール2の表面に当接することで表面改質装置10を支持するのは、一方のみであり、この一方の組の支持脚部20によって、その転動体22をフィルムロール2の表面に当接させて、改質装置本体18をフィルムロール2との対向方向での所定の位置に支持するようになっている。つまり、この表面改質装置10は、フィルムロール2上のフィルムFに対する表面改質の必要のある位置に応じて、適宜いずれかの組の支持脚部20のみを用いる。そのため、本実施形態の構成によれば、フィルムロール2の軸方向での各組の支持脚部20の設置位置を変えることで、フィルムFへの印字位置に応じた二つの位置への印字に対応可能である。本実施形態の例では、スライダ部14側に装着された前記一方の組の支持脚部20を用いる例で説明している。なお、両側それぞれの支持脚部20の構成は同じなので、以下、スライダ部14に近い、一方の組の支持脚部20について説明する。
【0048】
この支持脚部20の各転動体22は対をなしており、これら対をなす転動体22は、フィルムロール2の頂上を跨いでフィルムFが延出される方向の両側それぞれに配置されている。これにより、フィルムロール2に対して、対をなす転動体22同士による「挟み角」を所定の範囲内に確保して安定した載置状態を維持可能になっている。
詳しくは、図5に示すように、この支持脚部20は、対をなす転動体22を二対有している。これら二対の転動体22のうち、対をなす一方の転動体22は、フィルムロールFの頂上に近い側に当該頂上を跨いで対称に配置され、対をなす他方の転動体22は、前記対をなす一方の転動体22よりもフィルムロール2の頂上から遠い側に当該頂上を跨いで対称に配置されている。
【0049】
これら各転動体22は、略円筒状の球体支持部26を備えている。この球体支持部26は、フィルムロール2側に向けて開口しており、その内部に球体部24を収容可能な空隙を有し、この球体支持部26内の空隙に、球体部24が回動自在に内装されている。また、この球体部24は、球体支持部26内にさらに内装されている多数のボール27と、これら多数のボール27を循環可能に形成されたボール循環路28とを有している。そして、多数のボール27は、球体支持部26内の奥の側で球体部24に対し転動自在に摺接しつつ球体部24を支えている。これにより、各転動体22は、その球体支持部26の開口するフィルムロール2側から球体部24の一部を突出させて、この球体部24を任意の方向に転動可能になっている。さらに、球体支持部26の他端側には、球体支持部26と一体をなして同軸に延出する雄ねじ部29が形成されている。
【0050】
そして、同図に示すように、この雄ねじ部29が、上述した支持脚部取り付け台20aの装着孔20hにフィルムロール2側から挿入され、反対の側からワッシャ等を含む転動体固定ナット21によって確実に固定され、これにより、ブラケット部16に、支持脚部20の4つの転動体22がフィルムロール2側に向けて装着される。
ここで、各転動体22は、それぞれの雄ねじ部29の軸方向での締結位置を変えることで、表面改質装置10を所定の位置に載置した際の、上記改質装置本体18の照射方向に必要な所要の隙間を調整可能になっている。
【0051】
この所要の隙間の調整は、各転動体22の、支持脚部取り付け台20aと球体支持部26との間にスペーサ23を適宜介装することで行っている。そして、このスペーサ23を介装する枚数を変えることによって、上記対をなす転動体22の軸方向の位置を変えてフィルムロール2と改質装置本体18との間の隙間を調整し、改質装置本体18の照射方向に必要な所要の隙間を確保している。
【0052】
具体的には、本実施形態では、フィルムロールFの頂上に近い側に配置される一方の転動体22については、スペーサ23を3枚介装することで、その厚さの分だけフィルムロール2の側に突出させており、フィルムロール2の頂上から遠い側に配置される他方の転動体22については、スペーサ23を介装せずに装着することによって、上記一方の転動体22よりもフィルムロール2とは反対の側に引っ込んだ位置となるように調整している。
【0053】
これにより、頂上から遠い他方の転動体22は、図5に示すように、フィルムロール2の径が大きいときのフィルムF表面の位置F1に対して好適な当接状態とすることを可能とし、また、頂上に近い一方の転動体22は、フィルムロール2の径が小さくなったときのフィルムF表面の位置F2に対して好適な当接状態とすることを可能としている。したがって、フィルムロール2のフィルムFの量が変動しても、その径の変化に追従可能になっている。
【0054】
ここで、この表面改質装置10は、案内部12とスライダ部14との相対位置を、表面改質装置10をフィルムロール2上に載置した所定の位置に対し、その所定の位置よりも上方の第二の位置に固定可能な相対位置固定手段をさらに備えている。
詳しくは、図5に示すように、この相対位置固定手段は、案内部12に形成された円形の貫通孔62と、その貫通孔62に挿通可能な挿通軸64とを有して構成されている。貫通孔62は、案内部12に対し、表面改質装置10が所定の位置に位置した状態でのスライダ部14の上部よりも上方の位置に、スライダ部14の移動方向とは交差する方向TLに貫通して形成されている。
【0055】
挿通軸64は、貫通孔62の内径D1よりも小さな外径D2の軸部を有する軸部材である。そして、その外径D2の軸部の長さL2は、案内部12の幅W1よりも長い。つまり、この挿通軸64は、貫通孔62に挿通可能であり、また、これに挿通されたときに、スライダ部14の移動方向でフィルムロール2側への移動を拘束するようにスライダ部14の端部に当接可能になっている。これにより、スライダ部14の下端を貫通孔62よりも上方に移動させてから挿通軸64を貫通孔62に挿通することにより、スライダ部14の下端を挿通軸64に当接させることで、上記所定の位置よりも上方の位置、すなわち、第二の位置に固定(支持)可能になっている。なお、この挿通軸64の一方の端部は略尖頭状をなしており、また、その他方の端部は、外径D2の軸部よりも大径になっている。そのため、挿通軸64の大径部分を把持することで挿通軸64を挿抜する操作を容易とするとともに、貫通孔62への挿入の操作についても、その略尖頭状の側から挿入することで、その挿入が容易になっている。また、挿通軸64の大径部分は、貫通孔62に挿入した際の軸方向での位置決め(ストッパ)機能も有しており、第二の位置に固定(支持)する作業が容易にされるようになっている。
【0056】
次に、このピロー包装機1および表面改質装置10の作用・効果について説明する。
上述のように、このピロー包装機1は、フィルムFの表面を改質する表面改質装置10と、フィルムFの表面に印刷をする印刷装置40とを備えており、この表面改質装置10は、フィルムの表面を改質可能な改質装置本体18を備えて構成されている。そして、印刷装置40は、表面改質装置10よりもフィルム送り方向下流側に設けられ、表面改質装置10で改質された部分に印刷可能になっているので、包装体の表面に対する印字強度を向上させることができる。
【0057】
特に、この表面改質装置10は、フィルムロール2上に載置されるようになっているので、既存の包装装置に対して容易に装備することが可能である。
つまり、本実施形態では、この表面改質装置10を、フィルムFを製袋するとともに、その製袋されたフィルムF内に内容物を収容してこれを包装するピロー包装機1に、そのフィルムロール2上に載置することで搭載し、さらに、この表面改質装置10で改質された部分にその下流の適宜の位置に配置した印刷装置40で印刷可能な構成としているので、ピロー包装機自体への改造が不要であり、包装体の表面に対する印字強度を向上させる構成を既存の包装装置に容易に盛り込むことを可能としている。
【0058】
さらに、この表面改質装置10によれば、その改質装置本体18を装備したブラケット部16は、支持脚部20を備えており、この支持脚部20は、フィルムロール2の表面に当接し且つフィルムFが延出される方向に倣って転動可能な転動体22を有するとともに改質装置本体18をフィルムロール2との対向方向での所定の位置に支持するので、改質装置本体18とフィルムロール2との対向距離を確保することができる。そのため、安定した表面改質が可能である。
【0059】
また、このブラケット部16は、スライダ部14に連結されており、そのスライダ部14が案内部12に沿ってフィルムロール2との対向方向に移動可能になっているので、フィルムロール2のフィルムFの量が変動しても、フィルムロール2上に支持脚部20等を介して載置されている改質装置本体18をその径の変化に追従することができる。つまり、フィルムFが使用されるにつれ、フィルムロール2の径は徐々に減少するが、これに合わせて表面改質装置10が自重で降下するので、フィルムロール2の表面との対向距離を維持することが可能である。したがって、フィルムロール2の表面処理をするためのものとして好適である。なお、本実施形態の表面改質装置10は、その改質装置本体18の照射部SとフィルムFとの対向距離を、7〜15mmの範囲に保つことが可能になっている。
【0060】
また、この表面改質装置10によれば、その支持脚部20は、転動体22を対をなして有しており、これら対をなす転動体22は、フィルムロール2の頂上を跨いでフィルムFが延出される方向の両側それぞれに配置されているので、対をなす転動体22同士による「挟み角」(図5に示す符号θ)を所定の範囲内に確保して安定した載置状態を維持可能とすることができる。そのため、ブラケット部16をフィルムロール2との対向方向により安定して移動可能であり、フィルムロール2のフィルムFの量が変動しても、その径の変化に追従させる上でより好適である。なお、図5において、符号Oはフィルムロール2の中心であり、上記「挟み角θ」は、対をなす転動体22がフィルムロール2に当接している位置とフィルムロール2の中心Oとを結ぶ線分同士のなす角である。本実施形態の表面改質装置10は、「挟み角θ」は、60°を目安に設定されている。ここで、この挟み角θは、以下の考察に基づいて決定している。
【0061】
すなわち、フィルムロール2の芯は、一般的に90mm程度の外径を有しており、また、フィルムロール2の最大径は、巻回されるフィルムFの素材によって変わるものの、一般的に1000m巻きの場合、その最大径は260〜300mm以内である。このとき、これに適用する転動体22内部の球体部24の直径が30mmのとき、フィルムロール2の最大径に合わせて挟み角θを検討すると、挟み角θが60°を大きく超えたときには、フィルムロール2が芯のみとなる状態では、対をなす転動体22の当接する位置がフィルムロール2の芯直径を超えてしまう。そのため、対をなす転動体22によって挟むようにフィルムロール2に載置する上で良好な載置状態をフィルムFの巻き初めから終わりまでに亘って維持することが難しい。一方、フィルムFは、フィルムロール2が最大径のときの巻き緩みによってたるみやしわが生じ易い。そのため、フィルムロール2が最大径のときには、できるだけ挟み角θを大きく確保して、対をなす転動体22の当接する位置を安定させるように配置することが望ましい。そこで、本実施形態では、この「挟み角θ」を60°を目安に設定している。
【0062】
また、この表面改質装置10によれば、その支持脚部20は、前記対をなす転動体22を二対有しており、これら二対の転動体22のうち、対をなす一方の転動体22は、フィルムロール2の頂上に近い側に当該頂上を跨いで対称に配置され、対をなす他方の転動体22は、前記対をなす一方の転動体22よりもフィルムロール2の頂上から遠い側に当該頂上を跨いで対称に配置されているので、スタート時、つまりフィルムロール2の径が大きなとき(例えば図5でのF1)には、フィルムロール2の頂上から遠い側に位置する対をなす転動体22がフィルムロール2の表面に優先して当接し、これにより、表面改質装置10を支持する。そのため、フィルムFが延出される方向に比較的に広い距離を隔てて支持可能なので、フィルムロール2の径が大きな状態での載置状態を安定させることができる。そして、フィルムFが徐々に消費され、フィルムロール2の径が小さなとき(例えば図5でのF2)にはフィルムロール2の頂上から近い側に位置する対をなす転動体22がフィルムロール2の表面に優先して当接し、これにより、表面改質装置10を支持する。そのため、フィルムロール2のフィルムFの量が変動しても、頂上から遠い側の対をなす転動体22から頂上から近い側の対をなす転動体22に表面改質装置10を支持する部分を移行させて、フィルムロール2の径の変化に一層好適に追従させることを可能としている。
【0063】
なお、本実施形態では、対をなす転動体22を二組有する支持脚部20を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、対をなす転動体22を三組以上有する構成としてよいし、また、対をなす転動体22を一組のみ備える構成としてもよい。しかし、できるだけ部品点数を少なくして簡単な構成としつつ、フィルムロール2の径の変化に好適に追従させる上では、本実施形態での支持脚部20にように、対をなす転動体22を二組有する構成とすることは好ましい。
【0064】
また、この表面改質装置10によれば、その支持脚部20の転動体22は、フィルムロール2の表面に当接する球体部24と、その球体部24を全方位に転動自在に支持する球体支持部26とを有して構成されているので、フィルムロール2のフィルムFにしわが生じたような場合であっても、球体部24が全方位に転動自在になっているため、フィルムFのしわによる転動不良が防止または抑制される。また、新しいフィルムロール2をピロー包装機1にセットした際、フィルムロール2交換後には、フィルムFのたるみや蛇行が、運転が安定するまでの間は生じ易いが、この転動体22は、その球体部24が全方位に転動自在になっているので、フィルムFのしわによる転動体22の転動不良が防止または抑制される。さらに、支持脚部20の摺動抵抗の影響によってフィルムFにしわが生じるといった問題についても好適に防止または抑制される。したがって、フィルムロール2交換後に、安定した運転状態に素早く移行させることができる。
【0065】
ここで、例えば自動車の車輪のように、円環状の転動体を一の方位に転動させるものを支持脚部の転動体に適用することも可能である。しかし、このような自動車の車輪のような転動体を支持脚部に適用した場合、上記転動体22を用いた場合と比べて、フィルムFのたるみや蛇行が生じたときには、一の方位にしか転動できないため、たるみや蛇行の影響により、転動体の転動不良が生じるおそれが大きい。また、一の方位にしか転動できない転動体を複数用いる場合、各転動体の回転面相互を正確に合わせるのは難しく、さらに、相互の回転面の振れ等によってフィルムFにしわを生じさせてしまう可能性もある。したがって、このような問題に鑑みれば、上記支持脚部20の転動体22は、原反ロールに用いてそのシート部材に所望の処理をするための機器を配置するための支持用の脚として望ましい。
【0066】
ここで、フィルムロール2からフィルムFが引き出されて、フィルムロール2の径が小さくなるほどフィルムFのたるみや蛇行が少なくなる。
なお、その要因としては、例えば次の4つが考えられる。まず、フィルムロール2のフィルムFは、径方向の外側になるほど張力が低くなる傾向にあるからである。また、フィルムロール2は、作業者自身の手で緩めてセットされるため、その時点でフィルムロール2の外側にはたるみが生じ易い。また、フィルムロール2の径が大きいほど質量が大きいので、フィルムロール2を停止させても慣性によって回転してしまい、たるみが生じ易く、さらに、フィルムロール2の径が大きいほど外側に向かう遠心力が高くなるので、径方向の外側になるほど張力が低くなる傾向にあるからである。
【0067】
そこで、上述した二対の転動体のうち、少なくともフィルムロール2の頂上から遠い側に位置する対をなす転動体22は、上記球体部24および球体支持部26を有して構成されていることは好ましい。このような構成であれば、仮にフィルムロール2の頂上に近い側に位置する対をなす転動体22として、車輪を採用した場合であっても、フィルムロール2の径が大きいときには、遠い側に位置する対をなす転動体22によって、フィルムのたるみや蛇行の影響を確実に回避することができる。そして、フィルムロールの径が小さくなるほどフィルムのたるみや蛇行が少なくなるので、近い側に位置する対をなす転動体22が車輪であっても対応可能である。なお、勿論、フィルムのたるみや蛇行の影響を一層確実に回避する上では、全ての転動体22が、上記球体部24および球体支持部26を有して構成されていることはより好ましい。なおまた、転動体22として車輪を採用する場合において、キャスターを使用し、キャスターの向きを、フィルムロール2の回転に対して追従する側に向けて配置することで、フィルムのたるみや蛇行の影響を抑制することができる。
【0068】
また、この表面改質装置10によれば、その支持脚部20の転動体22は、フィルムロール2の幅方向での中央部CLのみに対して当接するように配置されているので、これにより、フィルムロール2の回転に対し、フィルムFの蛇行等の影響が中央では少ないので、支持脚部20の追従性を一層安定させることができる。
なお、上記実施形態では、フィルムロール2の幅方向での中央部CLのみに対して支持脚部20の転動体22を当接させる例で説明したが、本発明はこれに限定されず、フィルムロール2の幅方向での中央部以外の位置に対して支持脚部20の転動体22を当接させる構成としてもよい。例えば、フィルムロール2の幅が広く、且つ、所望の印刷位置がフィルムロール2の端部であるような場合には、表面改質装置10を支持する中央部に対して、改質装置本体18を装備する位置が端部となることで装置が片持ちとなり、これにより、オーバーハング量がその分大きくなってしまう場合がある。そのため、このような場合には、むしろ中央部以外の位置に支持脚部20の転動体22を当接させて、オーバーハング量を小さくすることが望ましいときもある。また、所望の処理をするための機器の形状や装置の構成によっては、その制約条件からフィルムロール2の幅方向での中央部に支持脚部20の転動体22をレイアウトするのが困難なときもある。しかし、このような制約等が特に無い場合には、本実施形態のように、フィルムロール2の幅方向での中央部CLのみに対して支持脚部20の転動体22を当接させる構成とすることは好ましい。
【0069】
また、この表面改質装置10によれば、案内部12とスライダ部14との相対位置を、前記所定の位置よりも上方の第二の位置に固定可能な相対位置固定手段を備えているので、表面改質装置10の改質装置本体18を含むブラケット部16を、所定の位置よりも上方の第二の位置に固定することができる。そのため、フィルムロール2を交換する場合に、この第二の位置に固定することで交換作業を容易に行うことができる。
【0070】
また、この表面改質装置10によれば、前記相対位置固定手段は、案内部12に形成された貫通孔62と、その貫通孔62に挿通可能な挿通軸64とを有して構成されており、貫通孔62は、スライダ部14の移動方向とは交差する方向に貫通して形成されており、挿通軸64は、貫通孔62に挿通されたときにスライダ部14の移動方向でスライダ部14に当接可能な長さを有しているので、簡単な構成で相対位置固定手段を構成可能であり、第二の位置に固定する操作についても、スライダ部14を貫通孔62よりも上方に移動させてから挿通軸64を貫通孔62に挿通するだけで、スライダ部14を支持することができる。これにより、改質装置本体18を含むブラケット部16を第二の位置に固定することも容易である。
【0071】
また、この表面改質装置10によれば、改質装置本体18は、大気中でプラズマ放電を発生させることによりフィルムFの表面を改質する大気中プラズマ照射表面改質装置なので、例えばコロナ放電処理に比べて、装置規模を小さくすることができる。そのため、適用範囲が広く汎用性にすぐれており、小規模の設備であっても適用が容易である。特に、本実施形態のように、フィルムロール2の表面に処理を施すためのものとして好適である。
【0072】
ここで、この種の大気中プラズマ照射表面改質装置は高電圧部を有する。そこで、上記の相対位置固定手段では、案内部12に形成された貫通孔62と、その貫通孔62に挿通可能な挿通軸64とを有する例で説明したが、これに、さらに改質装置本体18の電源をON/OFF可能なスイッチを備える構成とし、上述した第二の位置において挿通軸64を貫通孔62に挿入したときには、このスイッチによって改質装置本体18の電源をOFFとすることは好ましい。より具体的には、このスイッチとして例えばリミットスイッチを用い、挿通軸64を貫通孔62に挿入したときに、このリミットスイッチを、案内部12に形成された貫通孔62近傍且つそのアクチュエータに対し挿通軸64が当接可能な位置に装着する。これにより、第二の位置において挿通軸64を貫通孔62に挿入したときに改質装置本体18の電源をOFFとすることが可能である。したがって、オペレータがフィルムロール2を交換する際に、第二の位置で改質装置本体18に電源が投入されることが確実に防止されるので、フィルムロール2の交換作業中のフェールセーフ装置として好適である。
【0073】
また、この表面改質装置10によれば、これを支持するための支持枠11は、梁11bを備えて構成されており、この梁11bに、二つの表面改質装置10が支持されるようになっているので、二つのフィルムロール2に対し、二つの表面改質装置10を簡単に配置する上で好適である。
特に、この支持枠11は、その梁11bが、フィルム送り方向に沿って水平方向に張り渡たされているので、例えば、運用において、表面改質装置10を一つのみ用いる場合に、一方のフィルムロール2に対して載置されている表面改質装置10を、その継手部材12aの抱き締めを緩め、梁11bに沿って他方のフィルムロール2の上方に移動し、次いで、その位置で再び継手部材12aの抱き締めを締めることで、他方のフィルムロール2に対して表面改質装置10を載置するような使用方法を採用することも可能である。
【0074】
以上説明したように、このピロー包装機1および表面改質装置10によれば、包装体の表面に対する印字強度を向上させることができる。
なお、上記ピロー包装機1および表面改質装置10では、本発明に係る支持脚部をピロー包装機1のフィルムロール2上への載置用として採用した例で説明したが、本発明に係る支持脚部の適用範囲は、これに限定されるものでなく、帯状のシート部材が巻回されている原反ロールに用いてそのシート部材に所望の処理をするための機器を配置するための装置に供する用途であれば、好適に採用することができる。
【0075】
また、本発明に係る機器配置装置についても同様であり、つまり、本発明に係る機器配置装置の適用範囲は、表面改質のための機器を搭載する用途に限定されるものでなく、帯状のシート部材が巻回されている原反ロールに用いてそのシート部材に所望の処理をするための機器を配置する用途であれば、好適に採用することができる。
なおさらに、本発明に係る表面改質装置および包装装置についても、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
【0076】
例えば、上記実施形態では、表面改質装置は、フィルムロール上に載置されるようになっている例で説明したが、これに限定されず、本発明に係る表面改質装置は、フィルムロール上に載置する構成以外の構成とすることも可能である。そこで、以下、この様な他の構成例について説明する。
図7および図8に、本発明に係るフィルムロール用表面改質装置を搭載した本発明に係る包装装置の第二の実施形態を示す。なお、包装装置は、上記第一の実施形態のピロー包装機と同様なので、その説明および図示を適宜省略する。また、この第二の実施形態の表面改質装置についても、上記第一の実施形態の表面改質装置10と同様の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は適宜省略する。
【0077】
この表面改質装置10Bは、上記第一の実施形態の表面改質装置10と同様に、フィルムFが巻回されているフィルムロール2に用いてそのフィルムFの表面を改質するためのものであるが、その構成を、振り子状に回動可能とし、これをフィルムロール2に対して、その径方向での側面側から当接させている点が上記第一の実施形態に対して異なっている。
【0078】
詳しくは、図7(a)に示すように、本実施形態においてもピロー包装機には、その二つのフィルムロール2に対し、梁11bを有する支持枠11が取り付けられている。
そして、この表面改質装置10Bは、横断面が矩形状をなすステンレス鋼製の角パイプからなる回動腕部32を有し、この回動腕部32は、支持枠11の梁11bに対し、継手部材32aによって連結されている。ここで、この継手部材32aは、フィルムロール2の軸方向を向く支軸32bを有しており、この継手部材32aと回動腕部32の基端部との連結は、この支軸32bまわりに回動腕部32の基端部が回動可能にフィルムロール2の上方に軸支されている。そして、回動腕部32は、その基端の部分とは反対の先端側が、フィルムロール2の側に向けて垂下されている。さらに、この回動腕部32の先端側には、図7(b)に示すように、装着アングル38および一対のブラケット部本体35を有するブラケット部36が連結されている。
【0079】
そして、このブラケット部本体35は、図8に示すように、平面視が略L字状をなし、その略L字状の一方の側に装着アングル38が連結されており、他方の側には、改質装置本体18がその照射部Sをフィルムロール2の所定の位置に対向可能に装着されている。なお、この改質装置本体18も、上記第一の実施形態同様に、大気中でプラズマ放電を発生させることによりフィルムFの表面を改質する大気中プラズマ照射表面改質装置である。
【0080】
そして、このブラケット部36は、その装着アングル38によって上記の回動腕部32の先端に固定されている。さらに、このブラケット部36には、その装着アングル38に対し支持脚部34が固定されている。ここで、ブラケット部本体35に固定される支持脚部34は、転動体22一つのみによって構成されている。なお、この転動体22は、上記第一の実施形態同様に、図7(b)に示すように、フィルムロール2の表面(同図でのF3)に当接する球体部24と、その球体部24を全方位に転動自在に支持する球体支持部26とを有して構成されている。
【0081】
ここで、この支持脚部34(転動体22)がフィルムロール2の表面(同図でのF3)に当接する位置は、フィルムロール2の径方向での側面であり、特に、継手部材32aの支軸32bまわりでの回転軌跡Rが、フィルムロール2の軸心よりも僅かに支軸32b寄りの位置を通るように設定されている。なお、フィルムロール2の軸方向での当接位置は、上記第一の実施形態同様に、フィルムFの幅方向での中央である。これにより、この表面改質装置10Bは、そのブラケット部36は回動腕部32に連結されており、この回動腕部32は、フィルムロール2の上方に基端が回動可能に軸支されてフィルムロール2の側に向けて垂下されているので、このブラケット部36を、いわば振り子状に回動可能になっている。そのため、フィルムロール2のフィルムFの量が変動しても、その径の変化に追従可能になっている。また、その転動体22一つのみからなる支持脚部34によって、改質装置本体18をフィルムロール2との径方向で、改質装置本体18とフィルムロール2との対向距離を確保した所定の位置に、安定した支持が可能になっている。
【0082】
上述のように、この第二の実施形態の表面改質装置10Bは、そのブラケット部36を、いわば振り子状に移動させることができるので、この表面改質装置10Bによれば、フィルムロール2のフィルムFの量が変動しても、その径の変化に追従させることができる。
そして、このブラケット部36には、上記大気中プラズマ照射表面改質装置が改質装置本体18として装備されており、さらに、このブラケット部36に装備される支持脚部34は、フィルムロール2の表面に当接して改質装置本体18をフィルムロール2との径方向での所定の位置に支持するとともに、フィルムFが延出される方向に倣って転動可能な転動体22を有する構成なので、上記第一の実施形態同様に、既存の包装装置に対して容易に装備することが可能であり、また、上記第一の実施形態同様に、この表面改質装置10Bで改質された部分に印刷装置40で印刷すれば、包装体の表面に対する印字強度を向上させることができる。
【0083】
なお、この第二の実施形態の表面改質装置10Bは、上記第一の実施形態の表面改質装置10に比べて、少ない部品点数で構成可能なので、コスト面において比較的に有利である。しかし、この第二の実施形態の表面改質装置10Bは、その振り子状の回動動作をさせる上で、比較的大きな回転半径を必要とする。また、装置全体も比較的大きくなるので、設置する場所の天井の高さ等に制約がある。そのため、この第二の実施形態あるいは上記第一の実施形態のいずれを採用するかについては、このような点を適宜勘案して選択することが好ましい。
【0084】
次に、表面改質装置をフィルムロールに対して配置しない他の例について、図9を適宜参照して説明する。なお、図9は、本発明に係る包装装置の第三の実施形態を説明する図である。
同図に示すように、この第三の実施形態のピロー包装機1Bは、そのフィルムロール2に対し、スプライサ付きフィルム供給装置70を備える仕様のものである。そのため、例えば上記第一の実施形態のような載置型のフィルムロール用表面改質装置10を単純に搭載することはピロー包装機本体自体への改造なしでは難しい。そこで、例えばこのような仕様のピロー包装機1Bに対しては、同図に示すように、表面改質装置10Cおよび印刷装置40Cを、フィルムFが搬送される経路の途中部分に配置する構成を採用してもよい。
【0085】
すなわち、同図に示すように、フィルムFが搬送される経路の途中部分にフィルム導出装置52を備える構成とする。このフィルム導出装置52は、ピロー包装機1Bの本体側に装備されたサブユニット52Sと、ピロー包装機1Bの上部に配置されたメインユニット52Mとを有しており、サブユニット52SによってフィルムFの搬送される経路の途中部分からフィルムFをメインユニット52Mに導出し、その導出したフィルムFを再びメインユニット52Mからサブユニット52Sに戻すことで、本来のフィルムFの搬送される経路に復帰させるようになっている。そして、このフィルム導出装置52によって導出したフィルムFに対し、そのメインユニット52Mに、表面改質装置10C、その表面改質装置10Cで改質された部分に印刷可能な印刷装置40Cおよび画像検査装置50が、フィルムFの搬送方向の上流側から順に配置されている。画像検査装置50は、印刷面を撮像し、その撮像された情報を画像処理することで、印刷装置40Cによって所望の印刷がなされているか否かを判定可能なものである。なお、この表面改質装置10Cについても上記各実施形態同様の改質装置本体18を装備している。つまり、大気中でプラズマ放電を発生させることによりフィルムFの表面を改質可能になっている。
【0086】
この第三の実施形態のピロー包装機1Bによれば、フィルム導出装置52でフィルムFを導出し、その導出したフィルムFの表面に、表面改質装置10Bで表面を改質し、その改質された部分に印刷装置40Cで印刷可能になっているので、上記各実施形態同様に、包装体の表面に対する印字強度を向上させることができる。
なお、本実施形態のピロー包装機1Bは、フィルムFが搬送される経路の途中部分にフィルム導出装置52を備えるため、フィルム導出装置52には高度の装着精度およびフィルムF送り精度が要求される。そのため、この第三の実施形態は、その装置規模が大きくなり、製造コストやメンテナンスのコストについては、上記第一ないし第二の実施形態のように、フィルムロール2に対して装備するものの方が有利である。
【0087】
また、この第三の実施形態の構成を採用するに際しては、適用しようとする包装装置に、フィルムを導出する経路の確保が可能か否かを検討する必要がある。つまり、一般的に、この種のピロー包装機は、非常にコンパクトに設計されている。そのため、フィルムFが搬送される経路の途中部分に、この第三の実施形態のように後付によって表面改質装置等を組み込むことが困難なものがあるからである。したがって、このような場合には、上記第一ないし第二の実施絵形態の表面改質装置の搭載を検討する。そして、上記第一ないし第二の実施絵形態の表面改質装置は、このような場合に、好適に搭載し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係る原反ロール用支持脚部、および原反ロール用機器配置装置を採用した本発明に係るフィルムロール用表面改質装置を搭載した本発明に係る包装装置の一実施形態(第一の実施形態)を説明する図であり、同図(a)は、その包装装置の平面図、同図(b)は、その正面図である。
【図2】図1(b)での要部拡大図である。
【図3】本発明に係る原反ロール用支持脚部、および原反ロール用機器配置装置を採用した本発明に係るフィルムロール用表面改質装置の一実施形態を説明する図であり、同図(a)はその表面改質装置の平面図、同図(b)はその正面図、同図(c)はその右側面図である。
【図4】図3(a)の拡大図である。
【図5】図3(b)の拡大図である。
【図6】図3(c)の拡大図である。
【図7】本発明に係るフィルムロール用表面改質装置を搭載した本発明に係る包装装置の第二の実施形態を説明する図であり、同図(a)は、その概略構成を示す正面図であり、同図(b)は同図(a)の要部拡大図である。
【図8】本発明に係るフィルムロール用表面改質装置の第二の実施形態を説明する図であり、同図(a)はその平面図、同図(b)はその正面図、同図(c)はその右側面図である。
【図9】本発明に係る包装装置の第三の実施形態を説明する図である。
【符号の説明】
【0089】
1 ピロー包装機(包装装置)
2 フィルムロール(原反ロール)
3 製袋器
4 フィンガコンベア
5 被包装物供給装置
6 プールコンベア
7 シュートコンベア
8 送出部
10、10B フィルムロール用表面改質装置(表面改質装置)
11 支持枠
12 案内部
14 スライダ部
15 ブラケット部本体
16 ブラケット部
17 保護カバー
18 改質装置本体(シート部材に所望の処理をするための機器)
20 支持脚部
21 転動体固定ナット
22 転動体
23 スペーサ
24 球体部
26 球体支持部
27 ボール
28 ボール循環路
29 雄ねじ部
32 回動腕部
34 支持脚部
35 ブラケット部本体
36 ブラケット部
38 装着アングル
40 印刷装置
50 画像検査装置
52 フィルム導出装置
62 貫通孔
64 挿通軸
70 スプライサ付きフィルム供給装置
F フィルム(シート部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムが巻回されているフィルムロールに用いてそのフィルムの表面を改質するための表面改質装置であって、
前記フィルムロール上に載置されるようになっており、
前記フィルムロールの側に向けて垂下される案内部と、その案内部に沿ってフィルムロールとの対向方向に移動可能なスライダ部と、そのスライダ部に連結されたブラケット部と、そのブラケット部に装備されて前記フィルムの表面を改質する改質装置本体と、前記ブラケット部に装備されて、前記フィルムロールの表面に当接し且つ前記フィルムが延出される方向に転動可能な転動体を有するとともに前記改質装置本体を前記フィルムロールとの対向方向での所定の位置に支持する支持脚部と、を備えて構成されていることを特徴とするフィルムロール用表面改質装置。
【請求項2】
前記支持脚部は、前記転動体を対をなして有しており、これら対をなす転動体は、前記フィルムロールの頂上を跨いでフィルムが延出される方向の両側それぞれに配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルムロール用表面改質装置。
【請求項3】
前記支持脚部は、前記対をなす転動体を少なくとも二対有しており、これら少なくとも二対の転動体のうち、対をなす一方の転動体は、前記フィルムロールの頂上に近い側に当該頂上を跨いで対称に配置され、対をなす他方の転動体は、前記対をなす一方の転動体よりも前記フィルムロールの頂上から遠い側に当該頂上を跨いで対称に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のフィルムロール用表面改質装置。
【請求項4】
前記支持脚部の転動体は、前記フィルムロールの表面に当接する球体部と、その球体部を全方位に転動自在に支持する球体支持部とを有して構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルムロール用表面改質装置。
【請求項5】
前記少なくとも二対の転動体のうち、少なくとも前記フィルムロールの頂上から遠い側に当該頂上を跨いで対称に配置されている対をなす他方の転動体は、前記フィルムロールの表面に当接する球体部と、その球体部を全方位に転動自在に支持する球体支持部とを有して構成されていることを特徴とする請求項3に記載のフィルムロール用表面改質装置。
【請求項6】
前記支持脚部の転動体は、前記フィルムロールの幅方向での中央部のみに対して当接するように配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルムロール用表面改質装置。
【請求項7】
前記案内部とスライダ部との相対位置を、前記所定の位置よりも上方の第二の位置に固定可能な相対位置固定手段を備えていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のフィルムロール用表面改質装置。
【請求項8】
前記相対位置固定手段は、前記案内部に形成された貫通孔と、その貫通孔に挿通可能な挿通軸とを有して構成されており、
前記貫通孔は、前記スライダ部の移動方向とは交差する方向に貫通して形成されており、
前記挿通軸は、前記貫通孔に挿通されたときに前記スライダ部の移動方向で前記フィルムロール側への移動を拘束するように前記スライダ部に当接可能な長さを有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のフィルムロール用表面改質装置。
【請求項9】
前記改質装置本体は、大気中でプラズマ放電を発生させることにより前記フィルムの表面を改質する大気中プラズマ照射表面改質装置であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のフィルムロール用表面改質装置。
【請求項10】
フィルムが巻回されているフィルムロールに用いてそのフィルムの表面を改質するための表面改質装置であって、
前記フィルムロールの上方に基端が回動可能に軸支されて前記フィルムロールの側に向けて垂下される回動腕部と、その回動腕部に連結されたブラケット部と、そのブラケット部に装備されて、大気中でプラズマ放電を発生させることにより前記フィルムの表面を改質可能な改質装置本体と、前記ブラケット部に装備されて、前記フィルムロールの表面に当接して前記改質装置本体を前記フィルムロールとの径方向での所定の位置に支持するとともに、前記フィルムが延出される方向に転動可能な転動体を有する支持脚部と、を備えて構成されていることを特徴とするフィルムロール用表面改質装置。
【請求項11】
フィルムを製袋するとともに、その製袋されたフィルム内に内容物を収容してこれを包装する包装装置であって、
前記フィルムの表面を改質する表面改質装置と、前記フィルムの表面に印刷をする印刷装置とを備え、
前記表面改質装置は、大気中でプラズマ放電を発生させることにより前記フィルムの表面を改質可能な改質装置本体を備えて構成されており、
前記印刷装置は、前記表面改質装置よりもフィルム送り方向下流側に設けられ、前記表面改質装置で改質された部分に印刷可能になっていることを特徴とする包装装置。
【請求項12】
前記表面改質装置として、請求項1〜10のいずれか一項に記載のフィルムロール用表面改質装置を備えていることを特徴とする請求項11に記載の包装装置。
【請求項13】
前記表面改質装置および印刷装置は、前記フィルムが搬送される経路の途中部分に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の包装装置。
【請求項14】
前記包装装置が、筒状にしたフィルムの重ね合わされた端をシールして縦シールを形成可能であり、さらに、筒状にされたフィルムの所定部位を横方向にシールして横シールを形成するとともにその横シール部を切断可能なピロー包装機であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一項に記載の包装装置。
【請求項15】
帯状のシート部材が巻回されている原反ロールに用いてそのシート部材に所望の処理をするための機器を配置するための装置に供する支持脚部であって、
前記原反ロール上に載置されるようになっており、
前記原反ロールの表面に当接し且つ前記シート部材が延出される方向に転動可能な転動体を有するとともに前記所望の処理をするための機器を前記シート部材との対向方向での所定の位置に支持するようになっていることを特徴とする原反ロール用支持脚部。
【請求項16】
前記転動体を、対をなして有しており、これら対をなす転動体は、前記原反ロールの頂上を跨いでシート部材が延出される方向の両側それぞれに配置されていることを特徴とする請求項15に記載の原反ロール用支持脚部。
【請求項17】
前記対をなす転動体を少なくとも二対有しており、これら少なくとも二対の転動体のうち、対をなす一方の転動体は、前記原反ロールの頂上に近い側に当該頂上を跨いで対称に配置され、対をなす他方の転動体は、前記対をなす一方の転動体よりも前記原反ロールの頂上から遠い側に当該頂上を跨いで対称に配置されていることを特徴とする請求項16に記載の原反ロール用支持脚部。
【請求項18】
前記転動体は、前記原反ロールの表面に当接する球体部と、その球体部を全方位に転動自在に支持する球体支持部とを有して構成されていることを特徴とする請求項15〜17のいずれか一項に記載の原反ロール用支持脚部。
【請求項19】
前記転動体は、前記原反ロールの幅方向での中央部のみに対して当接するように配置されていることを特徴とする請求項15〜18のいずれか一項に記載の原反ロール用支持脚部。
【請求項20】
帯状のシート部材が巻回されている原反ロールに用いてそのシート部材に所望の処理をするための機器を配置するための機器配置装置であって、
前記原反ロール上に載置されるようになっており、
前記原反ロールの上方に基端が固定されて前記原反ロールの側に向けて垂下される案内部と、その案内部に沿って原反ロールとの対向方向に移動可能なスライダ部と、そのスライダ部に連結されて前記所望の処理をするための機器を取り付け可能なブラケット部と、そのブラケット部に装備される支持脚部と、を備え、
前記支持脚部として、請求項15〜19のいずれか一項に記載の原反ロール用支持脚部を用いて構成されていることを特徴とする原反ロール用機器配置装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−101133(P2008−101133A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285274(P2006−285274)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(505126610)株式会社ニチレイフーズ (71)
【Fターム(参考)】