説明

フィルム処理装置

【課題】 未現像写真フィルムの現像から画像データの取得までの一連の処理と、現像済写真フィルムから画像データを取得する処理とを簡便に行い得るフィルム処理装置を合理的に構成する。
【解決手段】 フィルムプロセッサFPの上方にフィルムスキャナFSを配置し、フィルムプロセッサSPのフィルム挿入部11と、フィルムスキャナFSの供給部21Aとをオペレータが操作する方向に形成し、フィルムプロセッサFPの排出部14からフィルムスキャナFSの供給部21Aに対してフィルムFを供給する供給搬送機構Aを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未現像写真フィルムの現像処理を行うフィルムプロセッサと、現像済写真フィルムのコマの情報を光電変換により画像データとして取得するフィルムスキャナとを備えているフィルム処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように構成された、フィルム処理装置として特許文献1に記載されるものが存在する。この特許文献1では、フィルム処理装置(写真フィルム自動現像装置)では、フィルム引き出し部からの未現像写真フィルムを現像処理部に送って現像処理を行い、この現像処理後の現像済写真フィルムを乾燥部で乾燥するようにフィルムプロセッサが構成され、このフィルムプロセッサから送られる現像済写真フィルムをフィルムスキャナ(画像読み取り装置)に供給して画像データ(撮影データ)を取得する処理と、フィルムプロセッサから送られる現像済写真フィルムをフィルムスキャナに送らずに直接排出する処理とを行える。
【0003】
このフィルム処理装置では、フィルムプロセッサから送られた搬送方向切り替え機構によって現像済写真フィルムを直接排出する搬送経路と、フィルムスキャナに送る搬送経路との何れかに選択して送るように搬送系が構成され、写真フィルムに貼付された識別ラベルの内容から画像読み取りの要否を判断して搬送方向の切り替えを行っている。また、フィルムスキャナで取得した(読み取った)画像データは写真プリント装置に伝送することも可能に構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11‐234476号公報 (段落番号〔0015〕〜〔0036〕、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
DP店において、撮影済(未現像)の写真フィルムからのプリントの依頼を受けた場合の処理形態を考えると、例えば、特許文献1に記載されるフィルム処理装置が設置されている場合には、未現像写真フィルムをセットして処理を実行するだけで、その写真フィルムに撮影されているコマの画像データを自動的に取得し、画像データを取得した後に、即座にプリント処理を実行することも可能となる。
【0006】
しかしながら、写真フィルムの搬送形態を考えると、特許文献1のように装置の内部に搬送経路を形成したものでは、リプリントの処理を行う際に、ピースフィルムをフィルムスキャナに挿入することが困難であり、搬送系に写真フィルムの詰まりを発生した場合に詰まりの除去が困難であると考えられる。特に、搬送方向を切り替える部位には故障や写真フィルムの詰まりの発生頻度が比較的高いものとなるが、特許文献1では、図面から判断して、この部位が装置の内部に配置されているため、詰まりの除去のための開放構造を備える等、構造を複雑にするものとなる。
【0007】
本発明の目的は、未現像写真フィルムの現像処理を行う際の操作、現像済写真フィルムから画像データを取得する際の操作をできるだけ容易に行い得るフィルム処理装置を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、未現像写真フィルムの現像処理を行うフィルムプロセッサと、現像済写真フィルムのコマの情報を光電変換により画像データとして取得するフィルムスキャナとを備えているフィルム処理装置であって、
前記フィルムプロセッサにおける前記未現像写真フィルムの挿入部と、前記フィルムスキャナにおける前記現像済写真フィルムの供給部とを同じ方向からオペレータが操作し得る位置に配置すると共に、
前記フィルムプロセッサの排出部から排出された現像済写真フィルムを前記フィルムスキャナの供給部に送り込む供給搬送機構を備え、この供給搬送機構は前記フィルムスキャナの供給部に対する前記現像済写真フィルムの人為的な供給を許す点にある。
【0009】
この構成により、フィルムプロセッサの排出部から排出された現像済写真フィルムを供給搬送機構がフィルムスキャナの供給部に送り込むことにより現像済写真フィルムのコマ画像データを取得できる。また、例えば、リプリントを行う場合には、供給部に対してピースフィルムを人為的に供給して画像データを取得することが可能となる。更に、プロセッサ本体とスキャナ本体との中間に供給搬送機構を配置しているので、現像済フィルムの詰まりの発生時には除去を容易に行える。その結果、未現像写真フィルムの現像から画像データの取得までの一連の処理を迅速に行う良好な面を損なうことなく、フィルムスキャナに現像済写真フィルムを直接セットして画像データを取得でき、写真フィルムの搬送系も簡素化するフィルム処理装置が合理的に構成された。
【0010】
本発明は、前記フィルムプロセッサの排出部から送り出された現像済写真フィルムを前記供給搬送機構で前記フィルムスキャナの供給部に送り込んで写真フィルムから前記画像データを取得する自動スキャニングモードでの制御と、
前記フィルムスキャナの前記挿入部に人為的に挿入された前記現像済写真フィルムから前記画像データを取得するマニュアルスキャニングモードでの制御とを実行しても良い。
【0011】
この構成により、自動スキャニングモードを実行することにより、未現像写真フィルムの現像処理をフィルムプロセッサで現像し、現像済写真フィルムを供給搬送機構がフィルムスキャナに供給して画像データを取得でき、フィルムスキャナの供給部に現像済写真フィルムを人為的にセットしてマニュアルスキャニングモードで実行することにより未現像写真フィルムから画像データを取得できる。
【0012】
本発明は、前記フィルムプロセッサの上部位置に現像済写真フィルムの排出部を形成し、フィルムスキャナの下部に前記挿入部を形成、この挿入部と排出部とが上下に位置する位置関係となるよう前記フィルムプロセッサの上方にフィルムスキャナを載置しても良い。
【0013】
この構成により、フィルムプロセッサの上部位置の排出部から排出した現像済写真フィルムを、このフィルムプロセッサの上方に配置したフィルムスキャナの供給部に対して短距離で送り込むことが可能となる。
【0014】
本発明は、前記フィルムスキャナが、前記供給部から供給された現像済写真フィルムから画像データを取得した後には、この現像済写真フィルムを前記供給部と反対側に排出しても良い。
【0015】
この構成により、フィルムスキャナで画像データを取得した現像済写真フィルムは、フィルムスキャナにおいて供給部と反対側に排出されるものとなり、供給部の側に現像済写真フィルムを排出するもののように取り扱い性を悪化させることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1に示すように、未現像写真フィルムの現像処理を行うフィルムプロセッサFPと、現像済写真フィルムのコマの情報を光電変換により画像データとして取得するフィルムスキャナFSとを上下位置に配置すると共に、フィルムプロセッサFPの排出部から排出された現像済写真フィルムを前記フィルムスキャナFSの供給部に送る供給搬送系に対して、現像済写真フィルムを前記供給部に送り込む供給状態と、外部に送り出す排出状態とに切換自在な供給搬送機構Aとを備えてフィルム処理装置が構成されている。
【0017】
このフィルム処理装置は、通信回線1を介して画像処理装置Gに接続され、この画像処理装置Gは、通信回線2を介して写真プリント装置Pに接続している。画像処理装置Gは、通信機能と画像処理機能とを有するコンピュータ3を備えると共に、ディスプレイ4とキーボード5とマウス6とを備えている。この構成により、フィルム処理装置で取得した画像データは、通信回線1を介して画像処理装置Gに伝送され、この画像処理装置Gから通信回線2を介して写真プリント装置Pに伝送され、この写真プリント装置Pにおいて印画紙等のプリント媒体にプリントされる。
【0018】
本発明のフィルム処理装置は、取得した画像データを写真プリント装置Pに対して直接伝送しても良い。また、写真プリント装置Pは銀塩式の印画紙を用いるものばかりでなく、インクジェット型ものや、昇華型のものを用いても良い。
【0019】
本発明では、フィルムプロセッサFPに送り込む以前の写真フィルムを未現像写真フィルムと称し、フィルムプロセッサFPで現像処理を行った後の写真フィルムを現像済写真フィルムと称しているが、夫々の区別は明らかであるので、以下、未現像写真フィルムと現像済写真フィルムとをフィルムFと略称する。
【0020】
〔フィルムプロセッサ〕
前記フィルムプロセッサFPは、図1〜図3に示すように、暗箱構造となる筐体構造のプロセッサ本体10の前部にフィルム挿入部11を配置し、プロセッサ本体10の内部に現像処理部12と乾燥処理部13とを備え、プロセッサ本体10の後部に排出部14を配置し、フィルム挿入部11から前記排出部14に亘って搬送機構15を形成している。また、プロセッサ本体10の前部位置には各種情報を表示する液晶ディスプレイ16Aと複数の操作ボタン16Bを有したコントロールパネル16を備え、プロセッサ本体10の内部には該フィルムプロセッサ全体の制御を実現する制御ユニット17を備えている。
【0021】
尚、プロセッサ本体10の前部とは、フィルム挿入部11やコントロールパネル16をオペレータが操作するために立つ側であり、前記フィルムスキャナFSにおいても、プロセッサ本体10の同じ方向を前部と称する。
【0022】
また、前記プロセッサ本体10の後部には排出ブロック10Aを上方に突出する形態で形成し、この排出ブロック10Aに形成した開口によって前記排出部14を形成している。この排出部14から送り出されるフィルムFを受け止めるフィルム貯留部18を前記プロセッサ本体10の上面に形成している。
【0023】
前記フィルム挿入部11には、開閉自在な蓋体11Aを備えており、このフィルム挿入部11にはカートリッジCaに巻き取る形態で収容されたロール状のフィルムFを前記搬送機構15に受け渡す作動系と、フィルムFの後端を切断する切断ユニット(図示せず)を備えている。
【0024】
135サイズのフィルムFの現像処理を例に挙げると、図5に示すように、カートリッジCaから引き出したフィルムFの先端に粘着テープ等を用いてリーダLを取り付け、蓋体11Aを開放して、このリーダLが先行するようにフィルム挿入部11にカートリッジCaをセットする。次に、蓋体11Aを閉じた後、前記コントロールパネル16の所定の操作ボタン16Bを操作することで、制御ユニット17の制御によってフィルムの搬送が開始され、現像処理部12での現像処理と、乾燥処理部13での乾燥処理の後に排出部14からリーダLを先頭にしてフィルムFが排出される。
【0025】
前記リーダLは樹脂製でフィルムFと同程度の柔軟性を持つシート状であり、幅方向での一端には搬送用の複数のパーフォレーションが形成されている。
【0026】
図面には示していないが、前記現像処理部12は、1つの発色現像槽、1つの漂白槽、2つの定着槽、3つの安定槽を樹脂材料で単一化した処理ユニット12Aを備えており、前記搬送機構15のうち、この処理ユニット12Aの部位でフィルムFを搬送する部位には処理ユニット12Aに形成した前記発色現像槽、漂白槽、定着槽、安定槽に対して、この順序で前記リーダL及びフィルムFを搬送する複数の圧着型のローラを備えている。また、前記乾燥処理部13には現像処理部12から送り出されたフィルムFに対して、外部の空気を加熱して吹き付けるブロワ13Aを備えている。
【0027】
前記搬送機構15は、前述したようにフィルム挿入部11から排出部14に亘ってフィルムFを搬送する機能を有するものであり、この搬送を行うため搬送経路の各部に圧着ローラ15Aを備え、この複数の圧着ローラ15Aを電動モータ(図示せず)で同期駆動する駆動系を備えている。この搬送機構15のうち、前記排出部14に隣接するものを特に排出ローラ15Eと称している。
【0028】
前記フィルム貯留部18は、図3及び図4に示すように、プロセッサ本体10の上部に備えた透明樹脂製のカバー18Aで構成されている。このカバー18Aは、後部位置(フィルムFの搬送方向で上流側)から前部位置(フィルムの搬送方向で下流側)に亘って前記リーダLの幅方向の両端部に接触して案内するガイド部18Gを形成し、このカバー18Aの後端側から中央部に亘ってフィルムFが上下方向に通過するスリット18Sを形成し、更に、このカバー18Aの前端側に前記リーダLを保持する保持部18Kを形成している。前記ガイド部18Bのうち後端側は、排出部14から排出されたリーダLの先端を上方に案内する傾斜面18GSを形成している。
【0029】
このように排出部14からリーダLが排出される際に、前記供給搬送機構Aが排出状態にある場合には、リーダLの先端が前記カバー18Aに形成したガイド部18Gの傾斜面18GSで案内されることで上方に持ち上げられ、この後、自重での滑動とフィルムFからの押圧力とによって前記保持部18Kに送り込まれる。このリーダLに続くフィルムFは前記スリット18Sから貯留空間に落とし込まれる。
【0030】
〔フィルムスキャナ〕
前記フィルムスキャナFSは、図1及び図2に示すように、筐体構造のスキャナ本体20の下部にフィルムキャリア21を配置し、このフィルムキャリア21の下側に光源ユニット22を配置し、このフィルムキャリア21の上側にズームレンズ23と光電変換ユニット24とを配置し、このスキャナ本体20の内部に制御ユニット25を配置し、更に、スキャナ本体20の前面にスタートボタン26を備えている。このフィルムスキャナFSは、前記フィルムプロセッサFPに固定された一対の中間フレーム30の上端に支持され、前記排出ブロック10Aの上部位置に配置されている
【0031】
このフィルムスキャナFSのフィルムキャリア21は、前記フィルムプロセッサFPの前部と同じ方向にフィルムFの供給部21Aを形成しており、この供給部21Aから供給したフィルムFをフィルムキャリア21において後部側に向け水平方向に搬送しながらスキャニングを行い、このスキャニングを終了したフィルムFを後部側(供給部21Aの反対側)から送り出し、フィルムスキャナFSの下面に形成したダクト27から下方に送り出すようにフィルムFの搬送経路が形成されている。
【0032】
ダクト27から下方に送り出されたフィルムFを受け止めるフィルムストッカー28が、前記フィルムプロセッサFPに備えている。また、フィルムキャリア21にフィルムFを搬送する際には、後述するように前記リーダLを切り離す処理が行われる。
【0033】
前記フィルムキャリア21には前記搬送ローラ21Bを駆動する搬送モータ(図示せず)と、フィルムFの存否を判別する非接触型の存否センサSFと、フィルムFの幅方向での端部にバーコード状に形成されたコード情報を取得するコードセンサ(図示せず)とを備えている。尚、存否センサSFは発光ダイオード等で成る光源Saと、フォトダイオードやフォトトランジスタ等で成る受光素子Sbとで構成されている。
【0034】
前記光源ユニット22はR(赤)・G(緑)・B(青)の3原色の発光ダイオード(図示せず)からの光線を上方に送り出す構造であり、前記ズームレンズ23は、焦点距離の調節によってフィルムFのコマの情報を設定された拡大率で前記光電変換ユニット24の光電変換面に結像させる。この光電変換ユニット24はR(赤)・G(緑)・B(青)の3原色に対応してCCD等の光電変換素子で成る3つのラインセンサ(図示せず)を備えている。
【0035】
〔マニュアルスキャニングモードでの制御〕
この構成から、このフィルムスキャナFSを用いて、例えば、135サイズのフィルムFのスキャニングを行う場合には、前記供給部21Aに対して前記供給搬送機構AからフィルムFの先端を送り込む、又は、オペレータが人為的にフィルムFの先端を送り込み、前記スタートボタン26を操作してスキャニングを開始することにより、制御ユニット25が搬送ローラ21Bを駆動してフィルムキャリア21でのフィルムFの搬送を開始する。
【0036】
この搬送時に光源ユニット22からの光線をフィルムFに照射し、フィルムFのコマの情報を前記ズームレンズ23が光電変換ユニット24のラインセンサの光電変換面に結像させる。この光電変換ユニット24ではフィルムの搬送速度と同期したタイミングでラインセンサから画像データを取得することになる。このように取得した画像データは、制御ユニット25が前記通信回線1を介して画像処理装置Gのコンピュータ3に伝送する。
【0037】
〔供給搬送機構〕
図2及び6(a)、(b)に示すように、前記供給搬送機構Aは前記一対の中間フレーム30で挟まれる空間に配置されると共に、この中間フレーム30に対して横向き姿勢の軸体40を介して上下方向に揺動自在に支持したガイド板41と、前記中間フレーム30に対して支持された回動軸50と一体的に揺動する揺動アーム51に支持されたチャッカーCと、これらを制御する制御ユニット31このチャッカーCから送り出されたリーダを受け止めるリーダトレイ32とを有している。
【0038】
前記ガイド板41は、前記リーダLの幅方向での両側部を圧着して搬送し得る幅に形成された下部ガイド板41Aと上部ガイド板41Bとを備えると共に、前記リーダLとフィルムFとを送る遊転ローラ42と、圧着型の供給搬送ローラ43を備え、前記下部ガイド板41Aにおいて搬送方向で供給搬送ローラ43より上流位置にはフィルムFの幅より充分に広い幅の開放空間41Sを形成してフィルムFが自重で下方に弛む現象を許している。
【0039】
前記遊転ローラ42は、下部ガイド板41Aに対して自由回転状態で支持され、前記供給搬送ローラ43は下部ガイド板41Aに支持された駆動ローラ43Aと、上部ガイド板41Bに支持された圧着ローラ43Bとで成り、このガイド板41の側部には駆動ローラ43Aを駆動する搬送モータ44を備えている。
【0040】
また、前記フィルムFの搬送方向でガイド板41の下流端には第1センサS1を備え、この第1センサS1より更に下流側に固定刃46Aと、可動刃46Bと、可動刃46Bを作動させるカッターモータ46Cとを有したカッター46を備えている。
【0041】
このガイド板41はフィルムFの搬送方向での上流側に位置する導入部Xを上下方向に変位させるように前記軸体40の位置を設定してあり、この導入部Xを上方に引き上げるバネ47(付勢機構の一例)を備え、このガイド板41の姿勢を図6(a)に示す供給位置X1と、図6(b)に示す排出位置X2とに切換自在な電磁ソレノイド48(アクチュエータの一例)を備えている。尚、この電磁ソレノイド48は駆動(通電)することにより、プランジャを退入させてガイド板41を供給位置X1にセットし、非駆動(非通電)状態でプランジャを突出させ、前記バネ47の付勢力によるガイド板41を排出位置X2へのセットを許す。
【0042】
前記チャッカーCは、前記揺動アーム51の揺動端に備えた第2センサS2と、駆動ローラ52と、この駆動ローラ52に圧着する圧着ローラ53とで構成されている。このチャッカーCは回動軸50の回動によって図6(a)に示すチャック位置C1と、図6(b)に示す受け渡し位置C2とに切り換え自在に構成され、この切り換えを行うように前記回動軸50を駆動する回動モータ54を前記中間フレーム30に備えている。
【0043】
図7に示すように、前記駆動ローラ52は駆動軸52Aに対しフィルムFを順方向に搬送する回転力を作用させる一方向クラッチ52Bを介して前記揺動アーム51に支持され、この駆動軸52Aの端部に被駆動ギヤ55を備えている。中間フレーム30には揺動アーム51がチャック位置C1(図7(a)を参照)と、受け渡し位置C2(図7(b)を参照)とにある状態で前記被駆動ギヤ55に咬合するように2つの駆動ギヤ56を備え、この2つの駆動ギヤ56をプーリ57とベルト58とを介して駆動するチャッカーモータ59を備えている。
【0044】
チャッカーCを受け渡し位置C2にセットした場合には、このチャッカーCとガイド板41の搬送終端との中間に前方の開放するループ形成空間Zを形成しており、この空間に透明樹脂製でトレイ状のループストッカー33を備えることにより、送り出されたフィルムFを大きく弛ませてループ状に貯留できるようにしている。
【0045】
前記第1センサS1と第2センサS2とは、発光ダイオード等で成る光源Saと、フォトダイオードやフォトトランジスタ等で成る受光素子Sbとで構成されている。
【0046】
この供給搬送機構Aは、チャッカーCの駆動ローラ52を駆動するモータ類を揺動アーム51に支持するように構成して良く、前記ガイド板41に備えた搬送モータ44を中間フレーム30に備え、この搬送モータ44からの駆動力を前記駆動ローラ43Aに伝えるギヤ類を備えても良い。
【0047】
図面には示していないが、前記フィルムプロセッサFPの制御ユニット17と、フィルムスキャナFSの制御ユニット25と、供給搬送機構Aの制御ユニット31と、コンピュータ3とは信号経路を介して制御信号のアクセスを行えるように構成している。また、前記フィルムプロセッサFPの制御ユニット17で現像処理されたフィルムFのサイズ(種類)や長さの情報はフィルムスキャナFSの制御ユニット25と、供給搬送機構Aの制御ユニット31と、コンピュータ3に伝送され、また、スキャニングの必要の有無の情報が前記コントロールパネル16又はコンピュータ3から供給搬送機構Aに伝送される。
【0048】
このフィルム処理装置では、フィルム現像のみを行う場合や、前記フィルムプロセッサFPにセットしたフィルムキャリア21で搬送可能なサイズ以外のフィルムFの現像処理を行う場合には、取得した情報に基づいた判断により、電磁ソレノイド48を非駆動状態に維持することにより、図4に示すようにフィルムプロセッサFPから排出されたフィルムFをそのままフィルム貯留部18に送り出す。
【0049】
また、スキャニングを行う必要がある場合には、フィルムプロセッサFPから排出されたフィルムFを前記供給搬送機構AがフィルムスキャナFSに供給する制御が行われる。このように、フィルムプロセッサFPから排出されたフィルムFを前記供給搬送機構AからフィルムスキャナFSに供給する際の制御(自動スキャニングモードでの制御)を図9のフローチャートのように示すことが可能である。
【0050】
〔自動スキャニングモードでの制御〕
つまり、フィルムFに備えたリーダLが排出部14から排出される以前に、電磁ソレノイド48を駆動してガイド板41を供給位置X1にセットする。このセットの際に、チャッカーCがチャック位置C1にない場合には、チャック位置C1にセットする(#01ステップ)。
【0051】
このように、ガイド板41を供給位置X1にセットした状態では前記供給搬送ローラ43とチャッカーCの駆動ローラ52とが駆動される。そして、排出部14からリーダLが排出された場合には、図6(a)、図8(a)に示すように、前記フィルム貯留部18のガイド部18Gに形成した傾斜面18GSに沿って斜め上方にリーダLが案内され、ガイド板41の下部ガイド板41Aと、上部ガイド板41Bとの間に導入され、前記遊転ローラ42から供給搬送ローラ43に送られ、この搬送モータ44とチャッカーCとで更に搬送される。
【0052】
尚、この供給搬送ローラ43とチャッカーCとの搬送速度は等しく設定されるものであるが、この搬送に起因してフィルムプロセッサFPの排出部14から排出されるフィルムFに対して不必要な張力を作用させないように、供給搬送ローラ43とチャッカーCとの搬送速度は、排出部14から排出されるフィルムFの搬送速度より少し低速に設定されている。
【0053】
このように供給搬送機構Aに導入されたリーダLの先端位置を第1センサS1と第2センサS2とが検出し、この検出タイミングと、供給搬送ローラ43、チャッカーC夫々によるリーダLの搬送速度とに基づいてリーダLの位置が取得される(#02ステップ)。
【0054】
リーダLの位置が取得された後、フィルムFが設定量だけ搬送されたタイミングで搬送を停止し、カッター46の切断作動によってフィルムFの先端を切断してリーダLを切り離し、この後、チャッカーCを駆動することにより、リーダLをリーダトレイ32に送り出し、更に、前記供給搬送ローラ43とチャッカーCとの駆動によってフィルムFの先端(切断された部位)をチャッカーCでチャックされる位置まで搬送して停止する(#03〜#06ステップ)。
【0055】
前述したように、ガイド板41でフィルムFを搬送する際に、フィルムFの搬送を一時的に停止させることや、これらの搬送速度を排出部14から排出されるフィルムFの搬送速度より低速に設定したことにより、排出部14から継続的に排出されるフィルムFの搬送速度と速度差を生ずるが、図8(a)に示すように、前記下部ガイド板41Aに形成した開放空間41SからフィルムFをループ状に弛ませて速度差を吸収する。
【0056】
次に、図8(b)に示すように、回動モータ54の駆動により揺動アーム51を受け渡し位置C2にセットする(#07ステップ)。
【0057】
このように揺動アーム51を受け渡し位置C2にセットする際には、供給搬送ローラ43を駆動することによりガイド板41からフィルムFを送り出し、この送り出し速度よりチャッカーCの移動速度が僅かに低速となるように(速度が一致しても良い)揺動アーム51を作動させる。
【0058】
このように揺動アーム51を受け渡し位置C2にセットした後にも、供給搬送ローラ43の駆動を継続的に行うことにより、図8(b)に示すように、ループ形成空間Zに対してフィルムFをループ状に弛ませ、ループストッカー33によって受け止めるようにしている。
【0059】
そして、フィルムプロセッサFPの排出部14からフィルムFの後端が排出されたことを第1センサS1が検出したタイミングをスキャニングを開始するタイミングとして、図8(c)に示すように、チャッカーモータ59を駆動することによりチャッカーCの駆動ローラ52でフィルムFを送り出し、フィルムFの先端をフィルムスキャナFSのフィルムキャリア21の供給部21Aに送り込み、フィルムスキャナFSにおいてフィルムFのコマの情報を光電変換によって画像データとして取得するスキャニングが行われるのである(#08、#09ステップ)。
【0060】
チャッカーCからフィルムFを送り出す際の搬送速度は、フィルムスキャナFSのフィルムキャリア21でのフィルムFの搬送速度より低速に設定され、チャッカーCから送り出したフィルムFを、フィルムキャリア21の搬送ローラ21Bで搬送する際には、一方向クラッチ52Bが駆動ローラ52の送り出し方向への回転を許すため、このチャッカーCから過剰にフィルムFを送り出す不都合を回避すると同時に、フィルムFに過大な張力を作用させず、円滑にフィルムFを送り込めるようにしている。
【0061】
また、フィルムプロセッサFPの排出部14からフィルムFの後端が排出されたタイミングでスキャニングを開始するタイミングとする理由は、フィルムプロセッサFPでの現像処理時のフィルムFの搬送速度と比較してフィルムスキャナFSでのスキャニングにおけるフィルムFの搬送速度が高速であるためである。
【0062】
このようにチャッカーCからフィルムFを送り出す制御を行い、送り出しが完了したことを第2センサS2での検出結果から判別した後には、回動モータ54の駆動によりチャッカーCをチャック位置C1にセットし、電磁ソレノイド48の駆動を解除してガイド板41を排出位置X2にセットする(#10、#11ステップ)。
【0063】
また、フィルムスキャナFSで取得した画像データは通信回線1を介してコンピュータ3に対して自動的に伝送され、必要な場合にはオペレータが色補正等の画像処理を行い、この後、写真プリント装置Pに伝送して印画紙等のプリント媒体にプリントする処理が行われるのである。
【0064】
このように、本発明のフィルム処理装置では、フィルムプロセッサFPにフィルムFをセットしてコントロールパネル16の操作ボタン16Bを操作して自動スキャニングモードでの制御を行うことにより、フィルムプロセッサFPの排出部14から排出されたフィルムFを供給搬送機構AがフィルムスキャナFSに送り込んでフィルムFのコマの情報から画像データを取得して、コンピュータ3等への伝送を実現する。また、リプリントを行う場合のようにフィルムスキャナFSでフィルムFの現像処理を行う場合には、フィルムスキャナFSにフィルムFをセットしてスタートボタン26を操作してマニュアルスキャニングモードでの制御を行うことにより、フィルムFから画像データを取得することも可能である。
【0065】
特に、フィルムプロセッサFPのフィルム挿入部11と、コントロールパネル16とを前部側に配置し、フィルムスキャナFSの供給部21Aとスタートボタン26とを前部側に配置したのでオペレータが簡単な操作で、自動スキャニングモードでの処理と、マニュアルスキャニングモードでの処理をオペレータが容易に行える。
【0066】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い。
【0067】
(a)供給搬送機構Aを、フィルムプロセッサFPの排出部14から排出されたフィルムFに接触してフィルムFの搬送方向を、フィルム貯留部18と、該供給搬送機構Aの搬送系とに切り換えて送る切換部材を備えて構成する。このように、フィルムFの搬送方向を切り換える切換部材と、フィルムFの搬送を行う機構とを別部材で構成することにより、供給搬送機構Aの全体の姿勢を変更するものと比較して、可動部分を小さくして機構の小型化を実現する。
【0068】
(b)フィルムプロセッサFPの排出部14からフィルムスキャナFSの供給部21AにフィルムFを搬送するための複数の搬送ローラや搬送ベルトと配置することによりチャッカーCを用いずに供給搬送機構Aを構成する。このように供給搬送機構Aを構成する場合、フィルムプロセッサFPの排出部14から排出されるフィルムFとの速度差を吸収するために、搬送系の中間にループ形成部を形成する必要もあるが、一層確実な搬送を実現する。
【0069】
(c)フィルムスキャナFSのフィルムキャリア21を、フィルムサイズに対応したものに自動的に切り換えるよう構成する。このように構成することにより、フィルムFの現像処理からスキャニングまでの一連の自動的な処理の汎用性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0070】
フィルムスキャナFSで取得した画像データから自動的なプリントを実現することや、取得した画像データをCD−R等のメディアに自動的に記憶する等、取得した画像データの処理形態を、複数の処理形態の中から選択できる制御系を備えても良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】フィルム処理装置と画像処理装置とを示す斜視図
【図2】フィルム処理装置の縦断側面図
【図3】フィルムプロセッサの平面図
【図4】フィルム貯留部の縦断側面図
【図5】リーダを取り付けたフィルムの斜視図
【図6】ガイド板を供給位置と排出位置に設定した供給搬送機構の側面図
【図7】チャッカーをチャック位置と受け渡し位置とに設定した際において駆動ローラを駆動する系を示す斜視図
【図8】フィルムプロセッサからフィルムスキャナへフィルムを供給する際の各部の作動形態を順次示す図
【図9】フィルム供給処理のフローチャート
【符号の説明】
【0072】
11 挿入部
14 排出部
21A 供給部
A 供給搬送機構
F 未現像写真フィルム・現像済写真フィルム
FP フィルムプロセッサ
FS フィルムスキャナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未現像写真フィルムの現像処理を行うフィルムプロセッサと、現像済写真フィルムのコマの情報を光電変換により画像データとして取得するフィルムスキャナとを備えているフィルム処理装置であって、
前記フィルムプロセッサにおける前記未現像写真フィルムの挿入部と、前記フィルムスキャナにおける前記現像済写真フィルムの供給部とを同じ方向からオペレータが操作し得る位置に配置すると共に、
前記フィルムプロセッサの排出部から排出された現像済写真フィルムを前記フィルムスキャナの供給部に送り込む供給搬送機構を備え、この供給搬送機構は前記フィルムスキャナの供給部に対する前記現像済写真フィルムの人為的な供給を許すフィルム処理装置。
【請求項2】
前記フィルムプロセッサの排出部から送り出された現像済写真フィルムを前記供給搬送機構で前記フィルムスキャナの供給部に送り込んで写真フィルムから前記画像データを取得する自動スキャニングモードでの制御と、
前記フィルムスキャナの前記挿入部に人為的に挿入された前記現像済写真フィルムから前記画像データを取得するマニュアルスキャニングモードでの制御とを実行する請求項1記載のフィルム処理装置。
【請求項3】
前記フィルムプロセッサの上部位置に現像済写真フィルムの排出部を形成し、フィルムスキャナの下部に前記挿入部を形成、この挿入部と排出部とが上下に位置する位置関係となるよう前記フィルムプロセッサの上方にフィルムスキャナを載置している請求項1又は2記載のフィルム処理装置。
【請求項4】
前記フィルムスキャナは、前記供給部から供給された現像済写真フィルムから画像データを取得した後には、この現像済写真フィルムを前記供給部と反対側に排出する請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−41098(P2007−41098A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222516(P2005−222516)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】