説明

フィルム分配ケースおよびフィルム入りケース

【課題】安全に切断部材を完全に箱から分離することが容易なフィルム分配ケースおよびフィルム入りケースを提供すること。
【解決手段】フィルム2が巻回された巻回体1を収容し、長方形の底板14と前板16、後板18および2枚の脇板20とを有し、一面26が開口された箱本体12と、長方形の蓋板30であって、蝶番辺60と蝶番辺と相対する折曲辺62とを有し、蝶番辺にて後板に回動可能に連接され、開口された面を塞ぐ蓋板と、蓋板に折曲辺にて連接された掩蓋片32であって、折曲辺と、折曲辺と相対する先端辺64と、2つの側辺66とで略長方形に形成された掩蓋片と、フィルムを切断する切断部材50であって、先端辺に沿って帯状に配設され、帯状の切断部材の長手方向に分布する固着部78にて掩蓋片に固着される切断部材とを備え、掩蓋片には、側辺から固着部と折曲辺との間を通り先端辺に至る切込線70・72が形成されたフィルム分配ケース10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムが巻回された巻回体を収容し、該フィルムを所望の長さに切断して使用するフィルム分配ケースおよびフィルム入りケースに関し、特に使用後にケースから切断部材を容易に分離出来るようにしたフィルム分配ケースおよびフィルム入りケースに関する。
【背景技術】
【0002】
食品包装などに用いられる合成樹脂製のラップフィルム、アルミホイル、台所用紙シートなどのフィルムは、一般的にフィルム分配ケースに収容されて販売される。フィルム分配ケースでは、紙製の直方体形状の箱本体にフィルムを収容し、箱本体には開口を覆う蓋板が開閉自在に連接されている。更に蓋板の先端には箱本体の前板と重なり合う掩蓋片が連接している。掩蓋片の先端部には裏側から金属製の切断部材がその鋸歯の刃先を掩蓋片から僅かに突出して設けられている。フィルムの使用に際し、この切断部材を用いてフィルムを所望の長さに切断する。フィルムを使い終わった後に、このフィルム分配ケースを廃棄処理あるいは用紙の再生処理をするためには、金属製の切断部材が設けられているために、切断部材を分離する作業が発生する。ところが、切断部材は鋸歯を有しており、手でつまんで作業をすると、指を傷付ける危険性がある。そこで、掩蓋片に切込線を形成し、切断部材が設けられている部分を分離除去し易くする方法が採用されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2627139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、切断部材を含んで分離した部分は、掩蓋片の一部である紙が僅かではあるが残ってしまう。そこで、本発明は、安全に、切断部材を完全に箱から分離することが容易なフィルム分配ケースおよびフィルム入りケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明に係る第1の態様としてのフィルム分配ケースは、例えば図1および図2に示すように、フィルム2が巻回された巻回体1を収容し、長方形の底板14と、底板14の4辺に立設された前板16、後板18および2枚の脇板20とを有し、一面26が開口された箱本体12と;長方形の蓋板30であって、蝶番辺60と蝶番辺60と相対する折曲辺62とを有し、蝶番辺60にて後板18に回動可能に連接され、開口された面26を塞ぐ蓋板30と;蓋板30に折曲辺62にて連接された掩蓋片32であって、折曲辺62と、折曲辺62と相対する先端辺64と、2つの側辺66とで略長方形に形成された掩蓋片32と;フィルム2を切断する切断部材50であって、先端辺64に沿って帯状に配設され、帯状の切断部材50の長手方向に分布する固着部78にて掩蓋片32に固着される切断部材50とを備え;掩蓋片32には、側辺66から固着部78と折曲辺62との間を通り、先端辺64に至る切込線70・72が形成されている。なお、掩蓋片がほぼ長方形に形成されたというときには、先端辺64がV形や円弧など、直線に形成されていない場合を含む。
【0005】
このように構成すると、掩蓋片には、側辺から固着部と折曲辺との間を通り、先端辺に至る切込線が形成されているので、この切込線で掩蓋片の一部を切断・除去し、切断部材の一部をむき出しにできる。むき出しの切断部材を起点とすることで、切断部材を掩蓋片から完全に分離し易くなる。
【0006】
また、本発明に係る第2の態様としてのフィルム分配ケースでは、例えば図4に示すように、第1の態様としてのフィルム分配ケース10において、掩蓋片32に連接される接合片36であって、切込線70・72と先端辺64との間の側辺66に連接される接合片36を備えてもよい。
このように構成すると、接合片をつまんで引っ張ることで、切込線で掩蓋片の一部を切断・除去し、容易に切断部材の一部をむき出しにできる。
【0007】
また、本発明に係る第3の態様としてのフィルム分配ケースでは、例えば図1および図2に示すように、第2の態様としてのフィルム分配ケース10において、蓋板30の、蝶番辺60と折曲辺62とを結ぶ脇辺68に連接される側蓋片34を備え;折曲辺62にて蓋板30と掩蓋片32とがほぼ直角に折り曲げられ、接合片36が側蓋片34に固着されてもよい。
このように構成すると、蓋板と掩蓋片とがほぼ直角に折り曲げられ、接合片と側蓋片とが固着されるので、蓋板と掩蓋片との折り曲げられた形状が安定し、掩蓋片の先端辺に沿って固着された切断部材でフィルムを切断し易くなる。
【0008】
また、本発明に係る第4の態様としてのフィルム分配ケースでは、例えば図1に示すように、第1ないし第3のいずれかの態様としてのフィルム分配ケース10において、切断部材50が金属製で、掩蓋片32にかしめ固着されてもよい。
このように構成すると、断部材が掩蓋片にかしめ固着されるので、切断部材を掩蓋片から完全に分離し易い。
【0009】
また、本発明に係る第5の態様としてのフィルム入りケースは、例えば図1に示すように、第1ないし第4のいずれかの態様としてのフィルム分配ケース10と、箱本体12に収容される巻回体1とを備える。
このように構成すると、切断部材を掩蓋片から完全に分離し易いフィルム入りケースとなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フィルム分配ケースが、フィルムが巻回された巻回体を収容し、長方形の底板と、底板の4辺に立設された前板、後板および2枚の脇板とを有し、一面が開口された箱本体と、長方形の蓋板であって、蝶番辺と蝶番辺と相対する折曲辺とを有し、蝶番辺にて後板に回動可能に連接され、開口された面を塞ぐ蓋板と、蓋板に折曲辺にて連接された掩蓋片であって、折曲辺と、折曲辺と相対する先端辺と、2つの側辺とで略長方形に形成された掩蓋片と、フィルムを切断する切断部材であって、先端辺に沿って帯状に配設され、帯状の切断部材の長手方向に分布する固着部にて掩蓋片に固着される切断部材とを備え、掩蓋片には、側辺から固着部と折曲辺との間を通り、先端辺に至る切込線が形成されているので、切込線で掩蓋片の一部を切断・除去し、切断部材の一部をむき出しにできる。そのため、むき出しの切断部材を起点として、切断部材を掩蓋片から完全に分離し易い。よって、安全に、切断部材を完全に箱から分離することが容易なフィルム分配ケースを提供することができる。
【0011】
また、本発明によれば、フィルム入りケースが、上記のフィルム分配ケースと、箱本体に収容される巻回体とを備えるので、切断部材を掩蓋片から完全に分離し易いフィルム入りケースとなる。よって、安全に、切断部材を完全に箱から分離することが容易なフィルム入りケースを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一又は相当する装置には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
図1を参照して、本発明の実施の形態としてのフィルム入りケース100を説明する。図1は、フィルム入りケース100を説明するための斜視図である。フィルム入りケース100では、フィルム分配ケース10に、フィルム2が巻回された巻回体1を収容している。図1では、フィルム分配ケース10中の巻回体1を破線で、一部引き出されたフィルム2を一点鎖線で示している。フィルム2としては、合成樹脂製のラップフィルム、アルミホイル、台所用紙シートなど特に限定されない。長尺に形成されたフィルム2は、円筒形の巻芯(不図示)に巻回され、巻回体1としてフィルム分配ケース10に収容されている。フィルム2は、フィルム分配ケース10から引き出され、所望の長さで切断されて、それぞれの用途に供される。
【0014】
フィルム分配ケース10は、箱本体12と、箱本体12に回動可能に接続された蓋板30と、蓋板30に接続された掩蓋片32と、掩蓋片32に固着された切断部材50とを備える。箱本体12は、直方体で一面26が開口している。図1に示す箱本体12において、底になる面、すなわち開口された面26と相対する面の板を底板14、手前に来る面の板を前板16、前板16と相対する面の板を後板18、前板16と後板18とを接続する側面2枚の板を脇板20と称する。箱本体12は、細長い直方体で、長手方向yでは円筒形の巻回体1の軸方向の長さより僅かに長く、幅方向xおよび高さzでは巻回体1の外径より僅かに長い。そのために、箱本体12中に巻回体1を中に収容することができる。なお、フィルム2を使用するにつれ、巻回体1の外径は小さくなり、幅方向xおよび高さzでは隙間が大きくなる。
【0015】
箱本体12の後板18の上辺、すなわち蝶番辺60に蓋板30が回動可能に連接する。蓋板30は、開口された面26を覆うように、開口された面26とほぼ同じ大きさの、あるいは僅かに大きな面に形成される。蓋板30の蝶番辺60と相対する辺である折曲辺62に掩蓋片32が連接する。また、蓋板30にて蝶番辺60と折曲辺62とをつなぐ残りの2辺である、脇辺68に側蓋片34が連接する。
【0016】
掩蓋片32の先端、すなわち折曲辺62と相対する先端辺64は、その中央部が凸となった山形、すなわちV形に、形成される。先端辺64は、折曲辺62に平行な直線で形成されても、折曲辺62に対し斜めな直線で形成されても、円弧で形成されても、その他任意の曲線で形成されてもよく、その形状は任意である。いずれの場合においても、掩蓋片32の形状は、略長方形の範疇に含まれるものとする。
【0017】
掩蓋片32の先端辺64に沿って、掩蓋片32の裏側、すなわち、掩蓋片32の箱本体12に面する側に、切断部材50が固着される。切断部材50は先端辺64に沿う帯状の部材で、帯状の切断部材50の長手方向において、縁に鋸歯が形成されている。切断部材50は、鋸歯が先端辺64から僅かに突き出るように配設される。切断部材50は、帯状の切断部材50の長手方向に分布する固着部78により掩蓋片32に固着される。図中、先端辺64に沿って分布する複数の丸印で示した部分が固着部78を表す。固着部78が帯状の切断部材50の長手方向に分布しているので、帯状の切断部材50の全体が安定して掩蓋片32に固着される。
【0018】
ここで、図2を参照して、フィルム分配ケース10の組み立てにつき、説明する。図2は、フィルム分配ケース10の組み立て前の展開図である。箱本体12、蓋板30、掩蓋片32および側蓋片34等は、典型的には紙製である。そこで、図2の展開図に示すように打ち抜かれ、折り線を付けられたブランクを用い、折り曲げ接着して組み立てる。前板16、底板14、後板18、蓋板30および掩蓋片32が、それぞれ折り線を挟んで順次連接され、一列に配される。掩蓋片32の先端辺64(図1参照)には、切取片40が連接する。すなわち、先端辺64の形状に沿った、長いミシン目の切り込みの部分である、切取線76が形成された1枚の板として、掩蓋片32と切取片40とが形成されている。そこで、前板16、底板14、後板18、蓋板30、掩蓋片32および切取片40とで、略長方形となる。
【0019】
前板16の両脇には折り線を挟んで接着片42が連接し、底板14の両脇には折り線を挟んで脇板20が連接し、後板18の両脇には折り線を挟んで接着片44が連接する。また、蓋板30の両脇には折り線を挟んで側蓋片34が連接し、掩蓋片32の両脇には折り線を挟んで接合片36が連接する。
【0020】
掩蓋片32には、裏側から切断部材50が固着される。切断部材50は、典型的には金属シートで形成され、かしめにて掩蓋片32に固着される。例えば、金属シートから円筒状の突起を形成し、突起を掩蓋片32に差し込んだ上で、突起の先端を曲げて掩蓋片32に固着する。このようにかしめにより固着すると、金属シートのブランクから切断部材50をプレス等で抜き取る際に、併せて突起を形成し、フィルム分配ケース10用の紙製ブランクに裏面から押し付けることにより、接着剤等を用いることなく、容易に固着することができる。ここで、かしめの突起の先端で、曲げられて掩蓋片32に食い込む部分は小さく形成される。つまり、かしめは外すことが容易なかしめである。なお、裏面とは、フィルム分配ケース10に組み立てられたときに内側になる面を指し、図2は表側からみた展開図となっている。すなわち、図2の折り線は、いずれも山折となる。
【0021】
掩蓋片32には、接合片36との間の折り線に相当する側辺66から、ミシン目である第1の切込線70が形成される。第1の切込線70は、側辺66から固着部78と折曲辺62との間に、帯状の切断部材50に沿って延在する。ここで、固着部78と折曲辺62との間とは、帯状の切断部材50の長手方向に分布する複数の固着部78を連結し(1次近似的に)側辺66に達する線分を仮定したときに、その仮定した線分と折曲辺62との間の部分を指す。また、掩蓋片32には、第1の切込線70から、同じくミシン目である第2の切込線72が派生する。第2の切込線72は、切断部材50が固着された固着部78を連結した線分を横断し、先端辺64に至る。このように、第1の切込線70と第2の切込線72とは、互いに交差する方向に延在し、その交点で接続する。接合片36は、先端辺64に相当する切取線76と第1の切込線70との間で、掩蓋片32に連接する。
【0022】
第1の切込線70と第2の切込線72とは、必ずしも図2に示すようなL形でなくてもよく、例えば、第1の切込線70の途中に第2の切込線72が交差したT形としてもよく、あるいは、掩蓋片32の両側の側辺66からの第1の切込線70がそれぞれ延長されて1本につながったπ形としてもよい。また、第1の切込線70と第2の切込線72とが明確に区別できず、曲線で接続し、あたかも1本の切込線のように形成されてもよく、あるいは、側辺66から、固着部78と折曲辺62との間を通り、先端辺64に相当する切取線76に至る直線、すなわち、切取線76に対して斜めに形成された直線としてもよい。なお、第1の切込線70および第2の切込線72は、ミシン目でなく、半切断されていてもよく、あるいは完全に切断されていてもよく、その他切り離しやすく形成されていればよい。ここで、半切断とは、紙製のブランクでは薄いシートを積層した紙を用いるのが一般的であるので、積層した紙の総てではなく、積層した紙の一部が切断されている状態を指し、完全な切断とは積層したすべての紙が切断された状態を指す。第1の切込線70および第2の切込線72が完全に切断されていても、第1の切込線70および第2の切込線72と切取線76(先端辺64)とで囲まれた分離部38は、切断部材50に固定され、また切取線76が完全に切断されていないので、掩蓋片32の他の部分と分離することはない。
【0023】
図2に示すブランクから、フィルム分配ケース10を組み立てるには、各折り線をほぼ直角に折り曲げ、重なる脇板20、接着片42、44を、脇板20を最外部にして重ねて接着する。脇板20、接着片42および接着片44を接着することにより、底板14の4辺に前板16、後板18および2枚の脇板20が立設した箱本体12が形成される。また、重なる側蓋片34と接合片36とを、側蓋片34を外側にして重ねて接着する。側蓋片34と接合片36とを接着することにより、蓋板30と掩蓋片32とが垂直に連接された形状が安定する。すなわち、それぞれの板30、32、34が垂直に保たれる。脇板20、接着片42、44と、側蓋片34、接合片36とを接着しないので、蓋板30は箱本体12に、蝶番辺60を回転中心として回動できる。
【0024】
図1に戻り、フィルム入りケース100の使用法について説明する。蓋板30を開き、開口された面26を露出させた状態で、巻回体1を箱本体12に収納し、蓋板30を閉めて開口された面26を覆う。その状態で、フィルム入りケース100として市販されるのが一般的である。輸送中に巻回体1がフィルム分配ケース10から出てしまうことがないように、例えば切取片40(図2参照)を前板16に接着剤を軽く用いて接着させてもよい。フィルム2を使用する前に、使用者は切取片40の一端を引っ張ることにより、順次切取線76(図2参照)のミシン目を切断して、切取片40を取り除く。切取片40が取り除かれることにより、切断部材50の鋸歯が掩蓋片32の先端辺64から僅かに出た状態となる。
【0025】
フィルム2を巻回体1から、蓋板30ならびに掩蓋片32と前板16との間を通してフィルム分配ケース10の外へ引き出す。引き出したフィルム2の長さが所望の長さとなったところで、掩蓋片32を前板16に押し付けるように押しつつ、引き出したフィルム2を蓋板30より上方へ持ち上げるように引く。すると、フィルム2は切断部材50の鋸歯に強く当接し、切断される。接合片36と側蓋片34とが接着されているので、蓋板30と掩蓋片32の形状が安定し、フィルム2が切断部材50に強く当接しても、掩蓋片32、すなわち切断部材50が変形することがなく、フィルム2の切断が容易である。このようにして、巻回体1に巻かれた長尺のフィルム2を、所望の長さに切断して使用することができる。
【0026】
次に、図3〜図7を参照して、使用済みのフィルム分配ケース10の解体について説明する。まず、図3は、使用済みのフィルム分配ケース10の展開図である。フィルム2を使い切ったならば、箱本体12から巻回体1に使用された芯を取り出す。そして、接着された脇板20、接着片42および接着片44の間の接着を剥がし、また、接着された側蓋片34と接合片36の間の接着を剥がし、図3の展開図のように1枚のシートに広げる。使用済みのフィルム分配ケース10では、図2に示す組み立て前のフィルム分配ケース10と異なり、切取片40(図2参照)が切り取られている。
【0027】
続いて、図4に示すように、表を上に、すなわち切断部材50が下側になるように平らなテーブルなどの上に広げて置く。図4は、接合片36をつまみ上げる状態でのフィルム分配ケース10の展開図である。接合片36を片方の手でつまみ、他の手で残りを押えて、接合片36を引き上げる。すると、接合片36は、側辺66を挟んで掩蓋片32に連接しているので、掩蓋片32も引っ張られる。ここで、接合片36は、掩蓋片32の先端辺64と第1の切込線70との間に連接しているので、側辺66の先端辺64と第1の切込線70との間が引き上げられる。その結果、第1の切込線70に力が加わり、切断される。なお、接合片36は、側辺66で掩蓋片32の第1の切込線70と折曲辺62との間にも連接されてもよい。なお、接合片36が、第1の切込線70と折曲辺62との間よりも、先端辺64と第1の切込線70との間に、より長く連接していれば、接合片36に加えた力は先端辺64と第1の切込線70との間に多く作用し、結果として第1の切込線70に力が加わり、切断される。このように、接合片36が、第1の切込線70と折曲辺62との間にも連接されるものの、先端辺64と第1の切込線70との間に、より長く連接される状態も、第1の切込線70と先端辺64との間の側辺66に連接されるという概念に含まれるものとする。
【0028】
第1の切込線70が切断され、さらに接合片36を持ち上げると、第2の切込線72が切断される。特に、接合片36を持ち上げつつ先端辺64側に引くようにすることで、より確実に第2の切込線72が切断される。第2の切込線72が切断された結果として、第1の切込線70、第2の切込線72および先端辺64に囲まれた分離部38が掩蓋片32の残りの部分から切り離される。その際に、分離部38は切断部材50からも分離されるが、切断部材50がかしめにより掩蓋片32、すなわち分離部38に固着されていると、きれいに分離される。特に、かしめの突起の先端で、曲げられて掩蓋片32に食い込む部分が小さく形成されたかしめであると、外し易くて、きれいに分離し易い。また、かしめが切断部材50の長手方向に分布し、分離部38にたとえば1箇所あるいは2箇所程度のかしめによる固着部78しか配列されていないと、容易にかしめが外れて切断部材50と分離部38とが分離されるので好ましい。
【0029】
図5に示すように、分離部38が切り離されることにより、その部分の切断部材50がむき出しとなる。図5は、分離部38が切り離されたフィルム分配ケース10の展開図である。このように、切断部材50の一部をむき出しにすることにより、切断部材50の鋸歯の部分ではなく、平らな幅中央部分をつまみやすい。よって、切断部材50だけを手で容易に、すなわち安全につまむことができる。
【0030】
そこで、図6に示すように、フィルム分配ケース10のシートを裏返し、切断部材50を上側にする。図6は、切断部材50を上側にした、分離部38が切り離されたフィルム分配ケース10の展開図である。そこで、切断部材50のむき出しになった部分を片手でつかみ、他の手でフィルム分配ケース10のシートを押えて、切断部材50を片側より徐々に引き上げる。すると、切断部材50を引き上げる力の大半は、一つの固着部78に作用することになるので、かしめが外れて、切断部材50は徐々に掩蓋片32から分離される。
【0031】
さらに、図7に示すように、切断部材50を、切断部材50が掩蓋片32に固着されている方向(図中の矢印方向)に折り曲げるように引き上げることにより、かしめがより外れ易くなる。図7は、切断部材50を、切断部材50が掩蓋片32に固着されている方向に折り曲げるように引き上げる状態での、フィルム分配ケース10の展開図である。このように、切断部材50を、容易に、安全に、完全に箱から分離することができる。したがって、金属製の不燃材である切断部材50を、紙製の箱から分離することができ、廃棄処理あるいは用紙の再生処理が容易となる。
【0032】
これまでの説明では、切断部材50は、金属製であるとして説明したが、プラスチック製、セラミック製等の切断部材であってもよい。また、切断部材50はかしめにより掩蓋片32に固着されるものとして説明したが、接着剤での接着等、他の周知の固着方法であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】フィルム入りケースを説明するための斜視図である。
【図2】フィルム分配ケースの組み立て前の展開図である。
【図3】使用済みのフィルム分配ケースの展開図である。
【図4】接合片をつまみ上げる状態でのフィルム分配ケースの展開図である。
【図5】分離部が切り離されたフィルム分配ケースの展開図である。
【図6】切断部材を上側にした、分離部が切り離されたフィルム分配ケースの展開図である。
【図7】切断部材を、切断部材が掩蓋片に固着されている方向に折り曲げるように引き上げる状態での、フィルム分配ケースの展開図である。
【符号の説明】
【0034】
1 巻回体
2 フィルム
10 フィルム分配ケース
12 箱本体
14 底板
16 前板
18 後板
20 脇板
26 開口された面
30 蓋板
32 掩蓋片
34 側蓋片
36 接合片
38 分離部
40 切取片
42、44 接着片
50 切断部材
60 蝶番辺
62 折曲辺
64 先端辺
66 側辺
68 脇辺
70 第1の切込線
72 第2の切込線
76 切取線
78 固着部
100 フィルム入りケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムが巻回された巻回体を収容し、長方形の底板と、前記底板の4辺に立設された前板、後板および2枚の脇板とを有し、一面が開口された箱本体と;
長方形の蓋板であって、蝶番辺と前記蝶番辺と相対する折曲辺とを有し、前記蝶番辺にて前記後板に回動可能に連接され、前記開口された面を塞ぐ蓋板と;
前記蓋板に前記折曲辺にて連接された掩蓋片であって、前記折曲辺と、前記折曲辺と相対する先端辺と、2つの側辺とで略長方形に形成された掩蓋片と;
前記フィルムを切断する切断部材であって、前記先端辺に沿って帯状に配設され、該帯状の切断部材の長手方向に分布する固着部にて前記掩蓋片に固着される切断部材とを備え;
前記掩蓋片には、前記側辺から前記固着部と前記折曲辺との間を通り、前記先端辺に至る切込線が形成された;
フィルム分配ケース。
【請求項2】
前記掩蓋片に連接される接合片であって、前記切込線と前記先端辺との間の前記側辺に連接される接合片を備える;
請求項1に記載のフィルム分配ケース。
【請求項3】
前記蓋板の、前記蝶番辺と前記折曲辺とを結ぶ脇辺に連接される側蓋片を備え;
前記折曲辺にて前記蓋板と前記掩蓋片とがほぼ直角に折り曲げられ、前記接合片が前記側蓋片に固着される;
請求項2に記載のフィルム分配ケース。
【請求項4】
前記切断部材が金属製で、前記掩蓋片にかしめ固着される;
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のフィルム分配ケース。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のフィルム分配ケースと;
前記箱本体に収容される巻回体とを備える;
フィルム入りケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−280076(P2008−280076A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126977(P2007−126977)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】