説明

フィルム貼付装置

【課題】光学フィルムのように薄いシート状のものを、気泡及び異物の巻き込みがなく、撓み及び皺を発生させることなく、高効率で基板上に貼付することができるフィルム貼付装置を提供する。
【解決手段】フィルム貼付装置1は、ステージ11に基板2が載置され、保持部材15により搬送されたフィルムをチャック部材12により保持する。チャック部材12は平板状に形成された圧着部材13の圧着面を複数個に分割する各領域に対応して設けられている。そして、チャック部材12により光学フィルム3を保持した状態で、フィルム3がステージ11上の基板2に対して所定位置にあるときに、圧着部材13により、チャック部材12を介して光学フィルム3を基板2の上面に圧着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルのような表示パネルの基板に、偏光フィルムのような光学フィルムを貼り付けるフィルム貼付装置に関し、特に、基板と光学フィルムとの間に気泡を生じることなく、光学フィルムを基板上の所定位置に高精度で貼付可能なフィルム貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示パネル等の表示装置は、高視野角、外光の反射防止等を目的として、ガラス基板の表面に光学フィルムが貼付されて使用されている。特に、近時、3D(Three Dimensional)ディスプレイパネルの開発がますます進められているが、この3Dディスプレイパネル用のガラス基板には、その表面に偏光フィルムが貼付されている。即ち、3Dディスプレイパネルにおいては、右目用及び左目用の画素列が交互に形成されており、各画素列からの表示光を、偏光フィルムにより相互に異なる方向に偏向させることにより、右目用の表示光と左目用の表示光との間に視差を形成できる。よって、特に、3Dディスプレイパネルにおいては、偏光フィルムを基板上の所定位置に高精度で貼付することが求められている。
【0003】
基板上に光学フィルムを高精度で貼付する技術として、例えば特許文献1においては、フィルム位置合わせ用の治具を使用し、治具上の所定位置に配置された光学フィルムに基板を張り合わせる技術が開示されている。特許文献2においては、光学フィルムを吸着保持するヘッドに、押圧用のローラと位置検出センサを設け、光学フィルムの先端部を基板に貼付し、ローラにより押圧して貼付していく際に、位置検出センサにより光学フィルムの貼付位置を検出する技術が開示されている。
【0004】
また、基板の表面に光学フィルムを貼付する際には、基板と光学フィルムとの間に気泡が形成されることがあるが、気泡の存在は、照度ムラ等の表示不良に繋がる。よって、光学フィルム貼付時の気泡の形成を防止するために、種々の技術が提案されている。特許文献3には、ローラの外面に軸方向に1列に並ぶように孔を設け、この孔内を排気することにより、光学フィルムの先端部をローラの外面に吸着して巻き取り、送給されてくる基板の端部に光学フィルムの先端部を接触させるのと同時に、孔からの噴気により光学フィルムを基板に押し付けた後、ローラにより光学フィルムをその先端部から順次基板に貼付していくように構成したフィルム貼付装置が開示されている。特許文献4には、光学フィルムを吸着する吸着部材の端部にローラを設け、光学フィルムをその先端部から基板に貼付すると共に、光学フィルムの上面をローラで押圧して、気泡の発生を防止する技術が開示されている。
【0005】
特許文献5においては、光学フィルム及び基板を収容したチャンバ内を減圧した状態で、光学フィルムを基板に対して接触させ、その後、チャンバ内を復圧する際の圧力により、光学フィルムを基板に密着させる技術が開示されている。特許文献6においては、光学フィルム及び基板を収容するチャンバ内を減圧することにより、基板に対する光学フィルムの密着性を高めることが開示されている。
【0006】
特許文献7及び8においては、基板上に光学フィルムを押圧する部材を設け、この押圧部材の下面を基板側に凸となるように湾曲させ、基板の送給に追従するように、光学フィルムに対する押圧部材の接触部分を移動させることにより、気泡の混入及び押圧ムラを解消する技術が開示されている。
【0007】
異方性導電膜の貼り付け装置は、一般的に、キャリアフィルムに異方性導電膜が貼り合わされた2層構造のテープ材のロールをリールに設置し、リールからテープ材を巻き解くことにより、テープ材を基板上に供給する(特許文献9)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−65055号公報
【特許文献2】特開2004−4636号公報
【特許文献3】特開2010−145597号公報
【特許文献4】特開平11−295680号公報
【特許文献5】特開平7−318919号公報
【特許文献6】特開2010−151993号公報
【特許文献7】特開平7−294902号公報
【特許文献8】特開2007−187960号公報
【特許文献9】特開平10−62807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、近時の表示装置の大型化に伴い、上記従来技術によっても、フィルム貼付時の気泡の発生を十分に防止できず、また、フィルムの貼付位置の精度も十分に高められていない。即ち、特許文献1乃至8のように、フィルムを基板への貼付位置まで搬送する部材が設けられている場合においては、薄いシート状の光学フィルムは、搬送部材に保持される際に、全体に撓み又は皺が発生し、これにより、気泡が発生したり、フィルムの貼付位置精度が低下する虞がある。
【0010】
また、特許文献9のように、フィルムを搬送するためのキャリアフィルムを設けた場合においては、光学フィルムをキャリアフィルムに張り合わせるために、両者間に粘着層を設ける必要があり、光学フィルムとしては不要な機能を有する素材を開発する必要があり、開発コストが上昇するだけではなく、光学フィルムをキャリアフィルムに張り合わせるために、生産コストも上昇するという問題点がある。なお、この特許文献9の技術は、キャリアフィルムに張り合わされた異方性導電膜を基板に貼付する方法であり、この異方性導電膜とキャリアフィルムとの2層構造のテープは、ロール状で供給され、リールに装着されたロールから巻き解かれて、基板上に供給されるが、このテープは、偏光フィルムのような薄いものではなく、また、キャリアフィルムに貼り合わされているので、撓み及び皺の発生が問題となることはないため、特許文献9においては、撓み及び皺の防止手段は開示されていない。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、光学フィルムのように薄いシート状のものを、気泡及び異物の巻き込みがなく、撓み及び皺を発生させることなく、高効率で基板上に貼付することができるフィルム貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るフィルム貼付装置は、シール材のディスペンサを含むシール材ディスペンサ部と、前記ディスペンサ部の隣に配置された液晶滴下ノズルを含む液晶滴下部と、前記液晶滴下部の隣に配置された下降する圧着部材を備えたフィルム貼り合わせ部と、光学フィルムの供給部と、前記供給部から供給された前記光学フィルムの側部を保持して前記圧着部材の下方に移動させる保持機構と、前記光学フィルムを貼り合わせる基板を前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部及び前記貼り合わせ部にこの順に搬送する移動装置と、を有し、前記圧着部材の下方に配置され、前記圧着部材の圧着面を複数個に分割する各領域に対応して設けられ、夫々前記光学フィルムを保持可能な複数個のチャック部材と、前記各チャック部材を前記圧着面に平行の方向に移動させる駆動部材と、前記光学フィルムと前記チャック部材とのアライメントをとるためのアライメント部材と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るフィルム貼付装置において、例えば前記アライメント部材は、前記圧着部材に設けられた透孔を介して前記光学フィルムに設けられた位置合わせ用のフィルムマークをみることにより、前記チャック部材とアライメントをとり、前記チャック部材は、前記駆動部材により所定の位置に移動された後、前記光学フィルムを保持する。
【0014】
例えば、前記アライメント部材は、前記光学フィルムと前記基板とのアライメントもとるように構成することができる。この場合に、例えば前記アライメント部材は、前記透孔を介して前記基板に設けられた位置合わせ用の基板マークをみることにより、前記光学フィルムとアライメントをとり、前記光学フィルムが前記チャック部材に保持された状態で前記駆動部材により所定の位置に移動された後、前記圧着部材が下降する。
【0015】
前記チャック部材は、例えば前記光学フィルムを静電力又は真空吸着力により保持する。また、前記保持機構は、例えば前記フィルムを静電力により保持して搬送する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るフィルム貼付装置は、シール材の塗布、液晶滴下、及び光学フィルムの基板への貼り合わせの3つの工程を連続して実施することができ、処理速度が向上する。また、圧着部材の圧着面に関して複数個に分割されて、夫々光学フィルムを保持可能な複数個のチャック部材が圧着部材の下方に設けられ、駆動部材により各チャック部材を圧着面に平行の方向に移動させる駆動部材、及び光学フィルムとチャック部材とのアライメントをとるためのアライメント部材が設けられている。よって、アライメント部材によりアライメントをとり、駆動部材によりチャック部材を夫々移動させ、各チャック部材により光学フィルムを保持させれば、光学フィルムは、撓み及び皺を発生させることなく各チャック部材に保持され、圧着部材が下降されることにより、気泡及び異物を巻き込むことなく、光学フィルムを基板上に貼付することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るフィルム貼付装置の構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光学フィルム貼付装置の配置を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るフィルム貼付装置において、フィルム貼り合わせ部を示す斜視図である。
【図4】基板に対するフィルムの貼付位置を示す概念図である。
【図5】基板及びその表面に設けられた位置合わせ用のマークを示す平面図である。
【図6】フィルム及び位置合わせ用のマークを示す平面図である。
【図7】基板に対してフィルムが所定位置にある場合における各マーク位置の関係を示す平面図である。
【図8】(a)は本発明の実施形態に係るチャック部材及びフィルムを示す平面図、(b)はチャック部材を示す断面図である。
【図9】チャック部材を有しないフィルム貼付装置を一例として示す図である。
【図10】(a)は図9に示すフィルム貼付装置において、基板に対してフィルムが所定位置にある場合における各指標位置の関係を示す平面図、(b)はフィルム位置がずれている場合における各指標位置の関係を示す平面図である。
【図11】(a)はフィルム保持部材15aの構造を示し、(b)はその配置を示す図である。
【図12】(a)乃至(c)はフィルムの搬送工程及びチャック部材による保持工程をその工程順に示す概略図である。
【図13】(a)乃至(c)はフィルムの圧着工程及び切断工程を工程順に示す概略図であり、図12(c)の次順の工程を示す。
【図14】(a)、(b)はリアルタイムアライメントの動作を示す図である。
【図15】(a)、(b)はリアルタイムアライメントの動作を示す一部拡大図である。
【図16】チャック部材の変形例を示す平面図である。
【図17】圧着部材に設けたアライメントマークの観察用透孔を示す平面図である。
【図18】同じく、紫外光照射用透孔を示す平面図である。
【図19】圧着部材及びチャック部材にアライメントマーク観察用透孔が設けられていない場合におけるチャック部材及び圧着部材と光学フィルムと基板との配置関係を示す図である。
【図20】図19の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の実施形態に係るフィルム貼付装置の構成を示す正面図、図2は本発明の実施形態に係る光学フィルム貼付装置の配置を示す平面図である。図2に示すように、本実施形態においては、真空チャンバ4内に、ガラス基板2のシールディスペンサ装置Aと、ガラス基板2への液晶滴下(ODF:One Drop Fill)装置Bと、ガラス基板2への光学フィルム3を巻回したロール30から、光学フィルム3を巻き解いて、光学フィルム3をガラス基板2に貼り合わせる貼合せ装置Cとが配置されている。また、この真空チャンバ4には、真空チャンバ4内にその真空を破壊せずにガラス基板2を導入するためのロードロック室5が設置され、更に、真空チャンバ4内からその真空を破壊せずに光学フィルム貼り合わせ後の基板2を取り出すためのロードロック室6が設置されている。そして、真空チャンバ4内には、その基板導入用ロードロック室5の近傍に、シールディスペンサ部Aが配置され、基板排出用ロードロック室6の近傍に、光学フィルム貼り合わせ部Cが配置され、シールディスペンサ部Aと貼り合わせ部Cとの間に、液晶滴下(ODF)部Bが配置されている。これにより、ロードロック室5から真空チャンバ4内に導入されたガラス基板2に対し、シールディスペンサ部Aで、ガラス基板2の縁部に、紫外線硬化シール材を被着する。そして、液晶滴下部Bで、ガラス基板2におけるシール材に取り囲まれた部分に液晶を滴下する。その後、液晶が滴下されたガラス基板2を貼り合わせ部Cに移動させ、ガラス基板2上に、光学フィルム3を貼り合わせる。そして、この光学フィルム3を貼り合わせたガラス基板2を、ロードロック室6を経て、外部に取り出す。
【0019】
なお、ロードロック室5,6と、シールディスペンサ部A、液晶滴下部B及び貼り合わせ部Cの配置は、上記実施形態に限らず、種々の形態が可能である。例えば、基板2の移動方向が直線になるように、ロードロック室5、シールディスペンサ部A、液晶滴下部B、貼り合わせ部C及びロードロック室5、6を一直線状に配置することも可能である。
【0020】
図1に示すように、真空チャンバ4内に台座7が設置されており、この台座7上に、移動装置11が配置されている、この移動装置11は、最下段に設けられた第1ステージ113と、その上の第2ステージ115と、その上の第3ステージ116と、更にその上の第4ステージ117とを備えている。第4ステージ117上に基板2が載置され、この基板2は静電チャック等により、第4ステージ117に固定される。
【0021】
モータ112により回転する螺棒111が第1ステージ113に螺合しており、この螺棒111の正逆回転により、第1ステージ113はシールディスペンサ部Aから液晶滴下部Bを経て貼り合わせ部Cまで、x方向に往復移動する。第2ステージ115は第1ステージ113に対して、x方向に垂直の水平方向であるy方向に往復移動可能に第1ステージ113に支持されており、モータ114の正逆回転により、第2ステージ115はy方向に往復移動する。第3ステージ116は第2ステージ115に対し、上下方向(z方向)に往復移動可能に支持されており、螺棒118がその軸方向を垂直にし、下端部を第2ステージ115に固定して設置されている。そして、この螺棒118は第3ステージ116に螺合しており、第3ステージ116は螺棒118をモータ又は手動により正逆回転させることにより、上下方向に往復移動することができる。また、第3ステージ116上には、第4ステージ117が垂直軸の回りに正逆回転可能に支持されており、これにより、第4ステージ117上の基板10は垂直軸の回りのθ軸方向の位置を調整することができる。
【0022】
貼り合わせ部Cには、この貼り合わせ部Cに停止した第4ステージ117上の基板2の上方に、圧着部材13が設置されている。この圧着部材13は、真空チャンバ4の天板に上下動可能に支持された支持部材132に、その面を水平にして固定されており、支持部材132に支持されて、上下動可能になっている。真空チャンバ4の天板には、支持部133が設置されており、螺棒131がその軸方向を垂直にして、支持部133に支持されている。この螺棒131は支持部133内でこの支持部133に螺合しており、螺棒131がモータ134の正逆回転により回転したときに、螺棒131は、その軸方向に上下動する。螺棒131の下端には、圧着部材13の圧着部本体130が固定されており、従って、モータ134の正逆回転により、圧着部材13は第4ステージ117上のガラス基板2に対して接近離隔移動する。
【0023】
貼り合わせ部Cには、圧着部材13の下方に、圧着部材13の圧着面を複数個に分割する各領域に対応して複数個の平板状のチャック部材12が設置されており、チャック部材12により、光学フィルム3を保持する又は保持した光学フィルム3を離脱することが可能である。各チャック部材12は、夫々圧着部材13の圧着面に平行の方向に移動できるように、駆動部材に接続されて支持されている。
【0024】
偏光フィルム等の光学フィルム3は、ロール状に巻回されて供され、このロール30が真空チャンバ4内の軸方向を水平にしたリールに装着される。このロール30から巻き解かれた光学フィルム3はガイドロール19により案内されて圧着部材13及びチャック部材12と基板2との間に供給される。このチャック部材12の近傍には、静電チャックにより光学フィルム3の側部を保持するフィルム保持部材15a、15bが設置されており、このフィルム保持部材15a、15bは水平方向に移動して、光学フィルム3を基板2上に供給する。また、圧着部材13の近傍には、光学フィルム3を切断するカッター16が設置されている。
【0025】
更に、真空チャンバ4の天板には、圧着部材13(及びチャック部材12)に設けた孔を介して基板2に設けたアライメントマークを検出するラインCCDカメラ14が設置されている。
【0026】
また、シールディスペンサ部Aには、その真空チャンバ4の天板に2個のCCDカメラ20,21が設置されており、液晶滴下部Bには、その真空チャンバ4の天板にラインCCDカメラ22が設置されている。
【0027】
そして、シールディスペンサ部Aには、基板2の縁部にシール材を噴出するシールディスペンサ31が設置されており、液晶滴下部Bには、基板2の中央部分に液晶を滴下する液晶滴下ノズル32が設置されている。
【0028】
図3は本発明の実施形態に係るフィルム貼付装置において、フィルム貼り合わせ部を示す斜視図である。図4は基板に対するフィルムの貼付位置を示す概念図、図5は基板及びその表面に設けられた位置合わせ用のマークを示す平面図、図6はフィルム及び位置合わせ用のマークを示す平面図、図7は基板に対してフィルムが所定位置にある場合における各マーク位置の関係を示す平面図である。図8(a)は本発明の実施形態に係るチャック部材及びフィルムを示す平面図、図8(b)はチャック部材を示す断面図である。上述のとおり、フィルム貼り合わせ部Cは、図3に示すように、光学フィルム3の上面を保持するための複数個の平板状のチャック部材12と、チャック部材12に保持された光学フィルム3を、チャック部材12を介して基板2の上面に圧着する圧着部材13とが設けられており、移動装置11の第4ステージ117上に載置された基板2が、圧着部材13及びチャック部材12の下方に移動してきたときに、貼付対象の光学フィルム3が、各チャック部材12により所定の位置で保持された状態で、圧着部材13が下降することにより、光学フィルム3がチャック部材12と共に基板2へ向けて押圧されて移動される。
【0029】
光学フィルム3が貼付される基板2は、図4及び図5に示すように、その4隅に、位置合わせ用の矩形の基板マーク2aが設けられている。
【0030】
光学フィルム3は、例えば3Dディスプレイパネルに使用される偏光フィルムであり、その表面には、ガラス基板の各画素列に対応する配向膜が、画素列ごとに交互に形成されている。本実施形態においては、光学フィルム3は、基板2に夫々貼付される複数枚の個別フィルムがシート状に連なって形成されている。図6に示すように、光学フィルム3には、個別フィルムごとに、3Dディスプレイパネルの画像表示領域となる領域よりも外側に、位置合わせ用のフィルムマーク3aが十字形状で4箇所に形成されており、図7に示すように、平面視で、4箇所の基板マーク2aの矩形の枠内に全てのフィルムマーク3aが収まったときに、基板2の各画素列に対応して設けられた光学フィルム3の表面の配向膜の位置が、基板2の各画素列に一致する。
【0031】
本実施形態においては、図8(a)に示すように、圧着部材13の圧着面を4個に分割する各領域に対応して、4個のチャック部材12が設けられており、各チャック部材12により光学フィルム3を保持できる。本実施形態においては、チャック部材12は、所謂静電チャックであり、図8(b)に示すように、支持体120と保持部材121との間に、正極及び負極の1対の電極122a、122bが埋め込まれており、電極間には、電源122cが接続されている。そして、各チャック部材12を光学フィルム3の表面に近接させた状態で、電源122cから電極間に電圧が印加されると、正極122aの表面には正電荷が誘起され、負極122bの表面には、負電荷が誘起され、光学フィルム3の表面には、各電極と正対する位置に、電極の表面に誘起された電荷と逆極性の電荷が誘起される。これにより、光学フィルム3をチャック部材12側に引き寄せる方向の静電力が生じ、チャック部材12により光学フィルム3が保持される。静電チャックにより光学フィルム3を表面分極させ、静電力により光学フィルム3を保持できるため、本実施形態においては、例えば空気による吸引力を利用した機械的保持に比して、光学フィルム3を保持する面内における保持力の不均一化を効果的に防止でき、光学フィルム3を保持する際に、光学フィルム3に撓み又は皺が生じることを抑制できる。
【0032】
本実施形態においては、各チャック部材12は、夫々、独立して位置を調節できるように駆動部材により支持されており、図8(a)に示すように、支持体120の側部に設けられた矩形の透孔120aの中央に前述のフィルムマーク3aが位置するように、各チャック部材12の位置が調節され、光学フィルム3が、夫々、チャック部材12により、所定位置で保持される。そして、光学フィルム3がチャック部材12により保持された状態で、基板マーク2aに対して各フィルムマーク3aが所定位置となるように、各チャック部材12の位置が調節される。
【0033】
各チャック部材12の位置を調節する機構としては、例えば、各チャック部材12等の上面に、x方向に延びる1対のx螺棒を、それらの各両端部を回転可能に支持する軸部をチャック部材12等の上面に固定することにより、チャック部材12等の端部近傍に適長間隔をおいて設置し、各x螺棒にxスライダを螺嵌することにより、このx螺棒をモータ等により回転駆動して前記xスライダをx方向に往復移動させ、この1対のxスライダ間にy方向に延びるy螺棒をその両端部で回転可能に軸部により支持させ、この軸部を前記xスライダに固定すると共に、このy螺棒を適宜のモータにより回転駆動することにより、y螺棒に螺嵌させてyスライダをy方向に往復移動させるように構成すればよい。そして、このyスライダを、後述する圧着部材13の下面に固定する。そうすると、1対のxスライダのx方向への移動と、yスライダのy方向への移動とにより、yスライダは、x−y平面で任意の位置に移動可能であり、このyスライダが圧着部材13の下面に固定されていることにより、相対的に、チャック部材12等は、圧着部材13に対して相対的に、x−y平面で任意の位置に若干移動することができる。このチャック部材12等のx方向及びy方向への移動は、上記機構に限らず種々の機構を採用することができる。また、平面サーボモータにより、圧着部材13とチャック部材12とを磁気的に結合させた状態で、チャック部材12を圧着部材13に対して任意の位置に若干移動させることができる。
【0034】
図3に示すように、圧着部材13は、平板状の圧着部本体130が螺棒131により上下動可能に構成されている。圧着部本体130には、前述の基板マーク2aに対応して、矩形の透孔130aが4箇所に設けられており、基板2が所定位置にあるときに、透孔130aを介して、各基板マーク2aを圧着部材13の上方に設置されたラインCCDカメラ14により、上方から観察できる。また、基板2に対して光学フィルム3が所定の貼付位置にあるときには、ラインCCDカメラ14により、透孔130aを介して、チャック部材12の透孔120a及びフィルムマーク3aも観察できる。そして、透孔130aを介して、基板2に対して光学フィルム3が所定の貼付位置にあることがラインCCDカメラ14により検出された場合には、圧着部材13は、基板2に向けて下降され、チャック部材12に保持された光学フィルム3は、チャック部材12を介して基板2の上面に圧着される。このように、本実施形態においては、圧着部材13の圧着面を複数個に分割する各領域に対応して複数個の平板状のチャック部材12が設置され、ラインCCDカメラ14により、光学フィルム3とチャック部材12とのアライメントをとって各チャック部材12の位置が調整されるため、光学フィルム3は、各チャック部材12により所定位置で保持され、光学フィルム3に撓み及び皺が発生することなく各チャック部材12に保持される。そして、この状態で、光学フィルム3が基板2に圧着されることにより、気泡及び異物を巻き込むことなく、光学フィルム3が基板2上に貼付される。なお、本実施形態においては、チャック部材12の透孔120a及び圧着部材の透孔130aは、矩形に設けられているが、基板2及びフィルム3が所定の位置に移動されて基板マーク2a及びフィルムマーク3aの位置を検出できる限り、透孔120a及び130aの形状は、矩形に限定されない。また、基板マーク2a及びフィルムマーク3aの形状も本実施形態の形状に限定されない。
【0035】
本発明における上記効果を、図9及び図10を参照して説明する。図9は、チャック部材を有しないフィルム貼付装置を一例として示す図である。なお、図9において、図示は省略しているが、光学フィルム3は、その側部を後述する保持部材15により支持されているものとする。図9に示すフィルム貼付装置10は、チャック部材12を有しないだけで、その他の構成は、本実施形態の貼合わせ部Cと同様である。光学フィルム3が所定の貼付位置にある場合には、図10(a)に示すように、圧着部材13の透孔130aから基板マーク3a及びフィルムマーク2aを所定位置で観察できる。しかし、図9に示す例においては、フィルム貼付装置10は、光学フィルム3の側部を支持する保持部材15以外には、光学フィルム3を支持する構成を有しないため、光学フィルム3が面積の広い基板2に対応する大きさで設けられている場合には、保持部材により支持された光学フィルム3の両側部間の領域には、撓み又は皺が生じやすい。よって、図10(b)に示すように、1以上のフィルムマーク3aを透孔130aの上方から観察できず、光学フィルム3を基板2に対して所定の貼付位置に設置することができない。しかし、本発明においては、撓み又は皺が生じやすい光学フィルム3の両側部間の領域は、複数個のチャック部材12によりその上面を保持されるため、各保持領域においては撓み又は皺が生じることはなく、仮に、1以上のフィルム指標3aが基板2の貼付予定位置からずれていた場合においても、各チャック部材12は個別にその位置を調節できる。よって、本実施形態においては、光学フィルム3を確実に基板2上の所定位置に設置することができる。
【0036】
図11(a)はフィルム保持部材15aの構造を示し、図11(b)はその配置を示す図である。なお、他のフィルム保持部材15bの構造も、フィルム保持部材15aと同様である。台座154上に移動部材153が配置され、移動部材153上にステージ156が配置され、このステージ156上にフィルム保持部材15aが設置されている。移動部材153には螺棒155が螺合しており、この螺棒155の正逆回転により、移動部材153は螺棒155の軸方向、即ちx方向に往復移動することができる。光学フィルム3は、ロール30からx方向の逆方向に繰り出される。
【0037】
また、移動部材153の上に配置されたステージ156は、ステージ156に螺合する螺棒157の正逆回転により、光学フィルム3の繰り出し方向に垂直の方向(y方向)に若干移動することができる。
【0038】
ステージ156上のフィルム保持部材15aは、光学フィルム3の側方の縁部を上下から挟むように、x方向に垂直の断面でみてコ字形をなすハウジング150を有し、このハウジング150の水平に延びる上方の張り出し部分には、その下面に誘電体部151が設けられている。そして、この誘電体部151に接触するようにして、2個の電極152a,152bがy方向に離隔してハウジング150内に内蔵されており、電極152a,152bには、電源152cから直流電圧が印加されるようになっている。
【0039】
このように構成されたフィルム保持部材15aにおいては、光学フィルム3の縁部がハウジング150の上方及び下方の張り出し部分の間に挿入される。そして、電源152cから電極152a,152bに直流電圧を印加すると、誘電体部151に正及び負の電荷が出現し、フィルム3を構成する基材の表面に、夫々負及び正の電荷が誘起される。そして、この誘電体部151の電荷とフィルム3の表面の電荷とが静電的に吸着し合い、所謂、静電チャックで、保持部材15aがフィルム3の縁部を保持する。光学フィルム3の両側部に配置された保持部材15aは、同時に通電されると共に同時に通電を解除され、対となって、フィルム3の縁部を静電チャックする。また、ロール30側に配置された保持部材15bも、光学フィルム3の両側部で、同時に通電されると共に同時に通電を解除され、対となって、フィルム3の縁部を静電チャックする。これにより、螺棒156がモータ等により回転駆動されて、移動部材153が基板2に向けて移動すると、保持部材15aにより両側部を保持された光学フィルム3が基板2に向けて移動する。なお、保持部材15aの動作と、保持部材15bの動作は、夫々、独立的に行われる。即ち、保持部材15aは第1の保持機構、保持部材15bは第2の保持機構を構成する。
【0040】
次に、本実施形態のフィルム貼付装置の動作について、図2、図12及び図13を参照して説明する。先ず、図2に示すように、ロードロック室5内にガラス基板2を挿入し、ロードロック室5内を真空に吸引する。その後、ロードロック室5内と真空チャンバ4内とを連結する扉を開にし、ロードロック室5内から基板2を真空チャンバ4内の第4ステージ117上に移載する。基板2は、静電チャック等により第4ステージ117に固定される。
【0041】
そして、シールディスペンサ部Aにおいて、CCDカメラ20,21により、基板2の表面のアライメントマークを撮像し、基板2を所定位置に位置合わせした後、ディスペンサ31から基板2の縁部に紫外光で硬化するUVシール材を噴射する。その後、モータ112を回転させて第1ステージ113を液晶滴下部Bに移動させる。そして、ラインCCDカメラ22により基板2の表面のアライメントマークを撮像し、基板2を所定位置に位置合わせした後、基板2の表面中央部に、液晶滴下ノズル32から液晶を滴下する。このように、ラインCCDカメラ22によりアライメントマークを撮像しながら、第4ステージ117をy軸方向に移動させて、基板2の位置をリアルタイムでアライメントするため、基板2への液晶滴下(ODF)工程も高精度に行うことができる。その後、第1ステージ113を光学フィルムの貼合わせ部Cに移動させ、図12(a)に示すように、第4ステージ117上の基板2を圧着部材13及びチャック部材12の下方に位置させる。
【0042】
その後、ラインCCDカメラ14により基板2の表面のアライメントマークを撮像し、第2ステージ115,第3ステージ116及び第4ステージ117を微調整して、基板2の位置を貼り合わせ部Cにおける所定の位置に、高精度で位置合わせする。この基板2の位置合わせは任意である。そして、ロール30から光学フィルム3を繰り出し、ガイドロール19を介して、光学フィルム3の先端部を第1の保持機構の保持部材15a及び第2の保持機構の保持部材15bに導く。その後、保持部材15aに通電して、保持部材15aにより光学フィルム3の先端部の側部を静電チャックにより保持する。保持部材15bには通電しない。
【0043】
そして、保持部材15aを前方(逆x方向)に移動させ、光学フィルム3をロール30から繰り出す。このとき、保持部材15bは給電していないので、光学フィルム3を静電チャックすることはなく、光学フィルム3はこの停止した保持部材15bを通過する。なお、保持部材15aは、図11に示すように、螺棒155の回転により移動部材153を逆x方向に移動させることにより、前方(逆x方向)に移動させるので、光学フィルム3はその幅方向に揺動することはなく、直進性を保持して前方(逆x方向)に進行する。なお、保持部材15aにより光学フィルム3を静電チャックした場合、静電チャックの際又はその後、光学フィルム3に幅方向にたるみが生じたときは、保持部材15aの螺棒65を回転させて、ステージ156を相互に離隔する方向(保持部材15aの場合は逆y方向)に若干移動させることにより、光学フィルム3を適度の張力をもって、緊張させることができる。
【0044】
そして、図12(b)に示すように、保持部材15aを更に前方(逆x方向)に移動させる。このとき、ガイドロール19側のラインCCDカメラ14により、ガラス基板2上のアライメントパターンと、光学フィルム3上のアライメントパターンとを同時に撮像し、光学フィルム3とガラス基板2とのアライメントを確認する。仮に、ガラス基板2上のアライメントパターンと、光学フィルム3上のアライメントパターンとがずれている場合は、保持部材15aを、両者の螺棒157を同一量回転させることにより、保持部材15aの間隔を一定に保持したまま、保持部材15aをy方向又は逆y方向、即ち、光学フィルム3の幅方向に移動させる。これにより、光学フィルム3の幅方向の位置が調整されて、光学フィルム3とガラス基板2との間のアライメントをとることができる。このようにして、保持部材15aは、光学フィルム3と基板2とのアライメントのずれを補正しつつ、前方(逆x方向)に移動して、光学フィルム2を走行させる。
【0045】
図14(a)、(b)及び図15(a)、(b)は、上述の光学フィルム3とガラス基板2との間で、リアルタイムでアライメントをとる方法を示す平面図である。図15は図14の一部拡大図である。図14(a)及び図15(a)に示すように、光学フィルム3は、第1保持機構の保持部材15aにより静電チャックにより保持されて走行しており、その後方には、第2保持機構の保持部材15bが配置されている。そして、基板2には、ライン状のリアルタイムアライメント用パターン81が形成されており、光学フィルム3には、同様にライン状のリアルタイムアライメント用パターン91が形成されている。そして、ラインCCDカメラ14により、パターン81とパターン91とがギャップGでずれていることが検出された場合には、光学フィルム3を保持している保持部材15aの位置を、前述の如く、光学フィルム3の幅方向に調整して、図14(b)及び図15(b)に示すように、パターン81とパターン91とが一致するように調整する。このようにして、基板2と光学フィルム3との位置合わせを、光学フィルム3の走行中にリアルタイムで行うことができる。
【0046】
なお、保持部材15aを光学フィルム3の幅方向に移動させる代わりに、基板2を支持している第4ステージ117をy又は逆y方向に移動させて、基板2と光学フィルム3とのアライメントをとってもよい。
【0047】
次いで、保持部材15aが更に進行して、ラインCCDカメラ14が光学フィルム3上の特定のアライメントマークを認識すると、保持部材15aが停止し、光学フィルム3の走行が停止する。このとき、第2保持機構の保持部材15bの電極にも電圧を印加し、保持部材15bにより光学フィルム3を静電チャックにより保持する。これにより、保持部材15aと保持部材15bとにより、光学フィルム3が適度の張力で緊張状態に保持される。
【0048】
そして、ラインCCDカメラ14により、光学フィルム3上のアライメントマークと、基板2上のアライメントマークとを同時に撮像し、基板2と光学フィルム3とのアライメントを確認する。その結果、基板2と光学フィルム3とのアライメントマークがずれていた場合には、移動装置11の各ステージ113,115,117の位置を調整して、基板2のx方向、y方向及びθ方向の位置を修正する。このようにして、基板2と光学フィルム3とのずれを解消して高精度で相互に位置合わせをすることができる。
【0049】
この状態で、チャック部材12を光学フィルム3に近接した位置まで下降させ、光学フィルム3の上面における保持位置がサーチされる。このとき、光学フィルム3の保持位置のサーチは以下のように進行する。即ち、貼付対象の光学フィルム3は、フィルムマーク3aごとに、その保持位置がサーチされる。先ず、フィルムマーク3aが圧着部材13の透孔130aを介して、ラインCCDカメラ14により観察できる位置に配置されるよう、保持部材15a,15bの位置を、光学フィルム3の送給方向(x方向)及びこれに垂直の幅方向(y方向)に調節する。ラインCCDカメラ14によりフィルムマーク3aが透孔130aを介して観察されたら、チャック部材12の位置をその透孔120aを指標として調節する。そして、圧着部材13に対してチャック部材12の位置が所定位置となるように調節されたら、電源122cによりチャック部材12の電極間に電圧を印加する。これにより、電極の表面には電荷が誘起され、これにより、光学フィルム3の表面には、各電極に正対する位置で、表面分極が発生し、電極の表面に誘起された電荷と逆極性の電荷が誘起され、静電力により、光学フィルム3がチャック部材12に引き寄せられて保持される。このとき、光学フィルム3は静電力により、保持されるため、機械的保持に比して、光学フィルム3を保持する面内における保持力は均一となる。よって、光学フィルム3を保持する際に、光学フィルム3に撓み又は皺が生じることを抑制できる。上記保持位置のサーチが各フィルム指標3aごとに行われることにより、光学フィルム3の保持位置を、フィルム指標3aを基準として精度よく行うことができる。
【0050】
全てのチャック部材12により光学フィルム3が保持されたら、フィルム搬送部材15によるフィルム側部の保持を解除する(図12(c))。これにより、光学フィルム3は、チャック部材12のみにより保持された状態となる。次に、基板2に対する光学フィルム3の貼付位置を調節する。即ち、各チャック部材12の位置は、基板マーク2aを基準として調節する。本実施形態においては、圧着部材13の圧着面を分割する各分割領域に対応して設けられたチャック部材12は、夫々個別に位置調節が可能であり、図3に示すように、フィルムの送給方向及びこれに垂直の方向(夫々図3のx方向及びy方向)に移動されて、フィルムマーク3aが透孔130aを介して観察できる位置に、各チャック部材12の位置を調節する。よって、各チャック部材12ごとに、基板マーク2aに対するフィルムマーク3aの位置を精度よく調節でき、位置の調節の際にも光学フィルム3に撓み及び皺が発生する虞がない。
【0051】
基板マーク2aに対する各チャック部材12の位置が調節されたら、圧着部材13を下降させる。すると、光学フィルム3は、圧着部材13により、チャック部材12を介して、基板2上の所定の貼付位置に貼付される。このとき、基板2に対して、光学フィルム3が精度よく貼付されるため、貼付時に、基板2と光学フィルム3との間に気泡が発生する虞もない。
【0052】
圧着部材13により応力が印加された状態で、図13(a)に示すように、基板2の縁部に紫外光を照射し、紫外光により基板2の縁部のシール材を硬化させる。これにより、光学フィルム3が基板2の縁部に固着され、液晶がシール材により取り囲まれて基板2と光学フィルム3との間に保持される。なお、UV光の照射は、例えば図18に示すような圧着部材13(及びチャック部材12)の縁部に設けた透孔(図18における符号130b)を介して行う。UV光の照射は、例えば透孔の上方に設置されたLEDランプ等により行う。
【0053】
その後、例えば、圧着部材13による応力が印加された状態で、保持部材15の位置を初期位置に戻し、再度、保持部材15aによる光学フィルム3の静電力保持がオンされる。これにより、光学フィルム3は、圧着部材13と保持部材15aとの間において、適度の緊張状態で保持される(図13(b))。この状態で、フィルム切断用のカッター16を下降させ、基板2上に貼付された光学フィルム3を、ロール30から分離する(図13(c))。なお、保持部材15aによる静電力保持は、オンのままにしておくことで、そのまま、次順のフィルム搬送に移行できる。
【0054】
以上のように、本実施形態においては、基板2上に貼付された光学フィルム3は、チャック部材12による保持の際に、撓み又は皺の発生が防止され、基板2に対する貼付位置が高精度で調節されるので、基板2と光学フィルム3との間に気泡が生じることがなく、また、貼付位置の精度も高い。よって、3Dディスプレイパネル等、フィルムの貼付位置に高精度が要求される製品において、本発明は極めて有益である。
【0055】
なお、本実施形態においては、フィルム貼付装置にチャック部材12が4個設けられている場合を説明したが、チャック部材12の個数は、基板及びフィルムの大きさによって増減することができる。例えば、フィルムの保持力の更なる均一化等を目的として、図16に示すように、チャック部材12を6個設けてもよい。但し、基板及びフィルムには、位置決め用の基板指標及びフィルムをチャック部材12の個数に対応させて設ける必要がある。
【0056】
また、本実施形態においては、チャック部材12及び保持部材15は、フィルムを静電力により保持する静電チャックとして説明したが、チャック部材によって各分割領域に撓み及び皺を発生させることなく保持できる限り、フィルムの保持は静電力に限定されない。例えば、チャック部材及び/又はフィルム搬送部材は、空気による真空吸引力を利用した機械的保持により、フィルムを保持できるように構成することができる。
【0057】
更に、光学フィルム3とガラス基板2との間のリアルタイムアライメントにおいて、以下のように光学フィルム3と基板2との間のアライメントをとってもよい。但し、本発明においては、チャック部材12により光学フィルム3を所定位置で保持することにより、本発明の効果が得られるため、特に必要がない場合は、上記リアルタイムアライメント及び以下の工程は省略できる。図17及び図18は、チャック部材12及び圧着部材13と光学フィルム3と基板2との配置関係を示す平面図である。図17に示すように、光学フィルム3には、その長手方向に延びる2本のライン上のアライメントマーク92が、光学フィルム3の両側縁に形成されており、ラインCCDカメラ14は、透孔130aを介して、アライメントマーク92を観察することができる。そして、アライメントマーク92は基本的には光学フィルム3の長手方向に延びるライン状のマークであるが、このラインには、所定の間隔で基本ラインに垂直の付加マークが形成されており、図18に示すように、光学フィルム3が進行して、この付加マークの位置が透孔130a内でラインCCDカメラ14により観察されたときに、光学フィルム12の進行を停止させる。
【0058】
更にまた、本実施形態においては、フィルムマーク3aを、圧着部材13及びチャック部材12の透孔130a,120aを介して、ラインCCDカメラ14により観察することにより、光学フィルム3とチャック部材12とのアライメントを行う場合について説明したが、光学フィルム3とチャック部材12とのアライメントを行うに際して、圧着部材13及びチャック部材12に基板マーク2a及びフィルムマーク3aの観察用の透孔130a,120aは設けられていなくてもよい。図19及び図20は、圧着部材及びチャック部材にアライメントマーク観察用透孔が設けられていない場合におけるチャック部材及び圧着部材と光学フィルムと基板との配置関係を示す図であって、図19は斜視図、図20は平面図である。図19及び図20に示す例においては、チャック部材12a及び圧着部材13aは、基板2及びこれに貼付されるフィルム3よりも大きさが若干小さく、図20に示すように、基板マーク2a及びフィルムマーク3aは、上方から確認できる位置に配置される。即ち、この例においては、ラインCCDカメラ14による観察領域(図19及び図20に丸印で示す領域14a)の中心に基板マーク2a及びフィルムマーク3aが位置するように、各チャック部材12の位置が調節される。圧着部材13a及びチャック部材12aには、フィルムマーク2a及び基板マーク3aを観察するための透孔(夫々図16及び図17における符号120a,130a)は設けられておらず、基板2の縁部のシール材の配置に対応してUV光照射用の透孔130bが設けられている。そして、各透孔130bの上方には、LEDランプ等のUV光用の照明が設置されている。なお、フィルム側部のアライメントマーク92によるフィルム位置のアライメントは、例えばラインCCDカメラ14による観察領域14a内でアライメントマーク92の位置を検出することにより行う。例えば、観察領域14aの中心を基準として、アライメントマーク92の位置を検出し、アライメントマーク92の位置が所定位置からずれている場合には、アライメントマーク92の位置を補正することにより、フィルム位置をアライメントする。
【符号の説明】
【0059】
1:フィルム貼付装置、11:移動装置、12:チャック部材、13:圧着部材、14:CCDカメラ、15:保持部材、16:カッター、2:基板、3:光学フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール材のディスペンサを含むシール材ディスペンサ部と、前記ディスペンサ部の隣に配置された液晶滴下ノズルを含む液晶滴下部と、前記液晶滴下部の隣に配置された下降する圧着部材を備えたフィルム貼り合わせ部と、光学フィルムの供給部と、前記供給部から供給された前記光学フィルムの側部を保持して前記圧着部材の下方に移動させる保持機構と、前記光学フィルムを貼り合わせる基板を前記ディスペンサ部、前記液晶滴下部及び前記貼り合わせ部にこの順に搬送する移動装置と、を有し、
前記圧着部材の下方に配置され、前記圧着部材の圧着面を複数個に分割する各領域に対応して設けられ、夫々前記光学フィルムを保持可能な複数個のチャック部材と、前記各チャック部材を前記圧着面に平行の方向に移動させる駆動部材と、前記光学フィルムと前記チャック部材とのアライメントをとるためのアライメント部材と、
を有することを特徴とするフィルム貼付装置。
【請求項2】
前記アライメント部材は、前記圧着部材に設けられた透孔を介して前記光学フィルムに設けられた位置合わせ用のフィルムマークをみることにより、前記チャック部材とアライメントをとり、前記チャック部材は、前記駆動部材により所定の位置に移動された後、前記光学フィルムを保持することを特徴とする請求項1に記載のフィルム貼付装置。
【請求項3】
前記アライメント部材は、前記光学フィルムと前記基板とのアライメントもとることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム貼付装置。
【請求項4】
前記アライメント部材は、前記透孔を介して前記基板に設けられた位置合わせ用の基板マークをみることにより、前記光学フィルムとアライメントをとり、前記光学フィルムが前記チャック部材に保持された状態で前記駆動部材により所定の位置に移動された後、前記圧着部材が下降することを特徴とする請求項3に記載のフィルム貼付装置。
【請求項5】
前記チャック部材は、前記光学フィルムを静電力により保持することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフィルム貼付装置。
【請求項6】
前記チャック部材は、前記光学フィルムを真空吸着力により保持することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のフィルム貼付装置。
【請求項7】
前記保持機構は、前記フィルムを静電力により保持して搬送することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のフィルム貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−242750(P2012−242750A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114962(P2011−114962)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(500171707)株式会社ブイ・テクノロジー (283)
【Fターム(参考)】