説明

フィーダ

【課題】塊状物の詰まりを抑止し、詰まったときには詰まりを解消し繰り出しを継続させ、塊状物の破損やモータの焼損を回避し作業性を向上させるフィーダを提供する。
【解決手段】モータ7回転力を動力伝達手段を介して回転軸に伝達してディスク9を回転させ、収納孔9bの塊状物を繰出口11へ搬送し、繰出口11から繰り出すフィーダであり、動力伝達手段はモータ軸を軸孔に挿通させた固定プーリと、前記モータ軸を軸孔に挿通させた状態で該モータ軸に沿って固定プーリから離間する方向へスライド可能な可動プーリとからなり、固定プーリと可動プーリは磁石10により一体化され、駆動側プーリ、回転軸に配設される従動側プーリ、および、可動プーリと従動側プーリとの間で展張され、駆動側プーリの回転力を従動側プーリに伝達する弾性環状ベルトから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤やカプセル錠等の一定同一形状とされた塊状物をホッパから1つずつ繰り出すフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、錠剤やカプセル剤などの塊状物を1つずつ排出するフィーダとして、支持体(本願発明の「ベース」に相当する)に設けたモータを駆動し、その駆動力を支持体に支持したホッパ内の供給回転盤(本願発明の「ディスク」に相当する)に伝達し、前記供給回転盤を回転させることにより、前記ホッパ内に収容した塊状物を前記供給回転盤に形成された複数の開口部(本願の「収納孔」に相当する)内のそれぞれに保持して前記支持体の排出部(本願発明の繰出口に相当する)に移動させ、該排出部から排出するように構成されたフィーダが利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−203525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構成のフィーダにおいては、塊状物が前記開口部と排出部との間に詰まって前記供給回転盤の回転が妨げられると、前記塊状物が破損したり、あるいはモータが焼損する虞がある。
【0005】
よって、本発明においては、先ずは、前記開口部と排出部との間に塊状物が詰まりにくい構成のフィーダを提供することを1つ目の主たる課題とする。
【0006】
また、昨今は、前述のように塊状物が破損したり、あるいはモータが焼損するような事態を回避するべく、前記開口部と排出部との間に塊状物が詰まってしまったことを早く、あるいは確実に検出し、モータの駆動を停止する構成を備えたフィーダも開発されているようである。
【0007】
しかしながら、仮に、塊状物が前記開口部と排出部との間に詰まったとしても、その詰まりを自ら解消し、フィーダ作業を継続させることのできる構成を備えたフィーダについては、そういう発想自体が今までになかった。
【0008】
そこで、本発明においては、さらには、塊状物が詰まったときには、自らの機構を利用して詰まりを解消しつつ、さらに、塊状物の繰り出しを継続させるための構成を備え、前記塊状物の破損やモータの焼損といった不具合の発生を回避して、作業性を向上させることができるフィーダを提供することを2つ目の主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明のフィーダの第1の特徴は、軸孔を中心とする円上に繰り出し対象となる塊状物を1つずつ収納可能な複数の収納孔が配列形成されたディスクを、支持手段に支持されたベースの表面に先端部を突出させて配設された回転軸に対し前記軸孔を係合させて回転自在に配設するとともに、前記ベースに前記塊状物を1つずつ裏面側へ繰り出させる繰出口を形成しておき、駆動源としてのモータの回転力を動力伝達手段を介して伝達することにより前記ディスクを回転させ、前記ディスクの回転方向における繰出口の形成位置より上流側に形成された塊状物収容域において前記収納孔へ収納した塊状物を、前記繰出口へ搬送し、前記繰出口から前記塊状物を繰り出すように構成されたフィーダであって、前記動力伝達手段は、モータのモータ軸を軸孔に挿通させた状態で固定配設された固定プーリと、前記モータ軸を軸孔に挿通させた状態で該モータ軸に沿って前記固定プーリから離間する方向へスライド可能に配設された可動プーリとを互いの対向面における前記各軸を中心とする周方向に等間隔に配設された複数個の磁石の磁力によって吸着させることにより一体化して回転可能とされた駆動側プーリ、前記回転軸に配設される従動側プーリ、および、前記駆動側プーリの可動プーリと前記従動側プーリとの間で展張され、駆動側プーリの回転力を従動側プーリに伝達する弾性環状ベルトから構成されている点にある。
【0010】
このように構成されたフィーダは、通常時には、前記モータの回転力は駆動側プーリを構成する固定プーリとこの固定プーリに磁力により吸着することにより一体化して回転する可動プーリからなる駆動側プーリから、前記弾性環状ベルトを介して従動側プーリに伝達され、従動側プーリと固定された回転軸に軸孔を係合させるディスクを回転させ、前記ディスクの回転方向における繰出口の形成位置より上流側に形成された塊状物収容域において前記ディスクの収納孔へ収納した塊状物を、前記繰出口へ搬送し、前記繰出口から前記塊状物を1つずつ繰り出す。
【0011】
そして、万が一、塊状物が前記収納孔と繰出口との間に詰まると、本発明のフィーダの動力伝達機構は、ディスクの回転が妨げられることにより、このディスクの軸孔に係合する回転軸に配設された従動側プーリとの間で前記弾性環状ベルトが展張巻回された前記駆動側プーリの可動プーリの回転も滞るが、その際に、前記モータの回転力により回転する前記固定プーリがなおも回転することにより、両プーリに展張されている弾性環状ベルトは、両プーリの回転中心を結ぶ仮想線で区分けされる一方側で収縮され、他方側で引伸されることにより、従動側プーリを逆回転させる方向の復元弾力を蓄積していく。そして、モータの回転力により固定プーリがなおも回転することにより、磁石の吸磁力よりも弾性環状ベルトの復元弾力が大きくなると、可動プーリに配設された磁石が、それまで吸着し合っていた固定プーリに配設された磁石との間の吸着状態を一旦解除し、続いて、固定プーリの回転方向における上流側に配設された磁石と再び吸着する。そのとき、可動プーリは、瞬間、通常時とは反対方向へ回転する(揺り戻し回転)。この揺り戻し回転が、前記弾性環状ベルトを介して従動側プーリに伝達され、ディスクが反転方向へ揺り動かされることにより、前記収納孔と繰出口との間の塊状物の詰まりを解消することができ、また、再び吸着した固定プーリと可動プーリとからなる駆動プーリ側から弾性環状ベルトを介して従動側プーリへ、モータの駆動力を伝達することで、引き続き、通常時のフィードを実行することができる(塊状物の繰り出しを継続させる「自己復帰機能」)。
【0012】
また、本願発明のフィーダの第2の特徴は、繰り出し対象となる塊状物に合わせて異なる形状の収納孔が形成されたディスクに交換可能とされている点にある。
【0013】
このように、繰り出しに供される塊状物に合わせて、その形や大きさ等を異ならせた収納孔が形成された複数パターンのディスクを予め用意しておき、適宜、交換して用いれば、塊状物の詰まりもより確実に未然に防止することが可能となる。
【0014】
また、本願発明のフィーダの第3の特徴は、前記ベースの表面には、前記回転軸を軸孔に挿通させて固定された回転盤が回転自在に埋設されており、前記ディスクは、前記回転軸を軸孔に挿通させた状態で、前記回転盤と一体化して回転可能に固定されている点にある。
【0015】
このように、ディスクを回転盤に対して着脱させる構成とすることで、ディスクの交換作業や保守点検作業も簡便になる。
【0016】
さらに、本願発明のフィーダの第4の特徴は、前記ベースは、前記表面が水平に対して角度を有するように傾斜させて支持手段に固定配設されており、前記繰出口は、傾斜させたベースに配設されたディスクの前記収納孔の回転軌道における上位側に対応させて形成されており、さらに、前記ディスクの前記収納孔の回転軌道における下位側に繰り出しに供される塊状物を集積させて、該下位側を前記塊状物収容域として機能させる、着脱可能なホッパを備えている点にある。
【0017】
このように構成されたフィーダは、ディスクが回転することにより、前記下位側に形成された塊状物収容域において集積された塊状物を前記ディスクの収納孔へ確実に収納し、その収納した塊状物を上位に形成された前記繰出口へ搬送し、前記繰出口から繰り出すことができる。
【0018】
さらに、本願発明のフィーダの第5の特徴は、前記ディスクの表面には、傾斜させたベースに配設されたディスクの下位側へ案内され、貯留された繰り出しに供される塊状物を撹拌可能な撹拌部が形成されている点にある。
【0019】
このように構成されたフィーダは、ディスクが回転することにより、前記下位側に形成された塊状物収容域において集積された塊状物をより確実に前記ディスクの収納孔へ収納することができる。
【0020】
またさらに、本願発明のフィーダの第6の特徴は、前記ベースには、塊状物を前記繰出口から前記ベースの裏面側へ繰り出させる経路を構成するシュータが取り付けられている点にある。
【0021】
このように構成されたフィーダは、シュータによって所望の下流側経路へ塊状物を搬送供給することができる。例えば、シュータの反ベース側先端部を、前記塊状物の梱包用搬送経路を構成するベルトコンベアの上方へ位置させるようにしたり、あるいは、開口させた薬瓶の上方へ位置させるようにすることもできる。
【0022】
そして、本願発明のフィーダの第7の特徴は、前記シュータは、底壁とその両側に立設する側壁とを備えた樋状に形成され、上端側(導入部)を前記繰出口内に臨ませるとともに、前記底壁と前記繰出口に位置した前記ディスクの収納孔の回転中心方向端部とが同位するようにして配設され、かつ、側壁は前記上端側において、少なくともディスクの回転方向における上流側に位置する一方の側壁の内面が他方の側壁から離間する方向へ拡開するように形成されている点にある。
【0023】
このように構成されたフィーダは、繰出口部分における塊状物の掃けを促すことができるので、前記繰出口に塊状物が詰まることを抑止することが可能となる。
【0024】
また、本願発明のフィーダの第8の特徴は、前記シュータ内を繰り出される塊状物を計数可能な計数機を備えた点にある。
【0025】
このように構成されたフィーダは、シュータ内を1つずつ繰り出される塊状物を計数することで、計数の誤差をなくすことが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
このように、本発明のフィーダによれば、塊状物の詰まりの発生を抑止するための構成を備えることにより、塊状物が繰出口に詰まってしまうことを抑止することができ、また、塊状物の繰り出しを継続させる「自己復帰機能」を備えることにより、万が一、塊状物が繰出口に詰まったときには、自らその詰まりを解消しつつ、さらに、塊状物の繰り出しを継続させることにより、前記塊状物の破損やモータの焼損といった不具合の発生を回避して、作業性を向上させることができる。
【0027】
そして、本発明のフィーダは、簡便な構成であり、部品点数も少なく、安価に提供することができるといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態のフィーダの全体を示す斜視図
【図2】本実施形態のフィーダの要部構成を示す平面図
【図3】本実施形態のフィーダの要部構成を示す側面図
【図4】本実施形態のフィーダの要部構成を示す前方視野斜視図
【図5】本実施形態のフィーダの要部構成を示す後方視野斜視図
【図6】本実施形態のフィーダの要部構成を示す背面図
【図7】図6のA−A断面図
【図8】本実施形態のフィーダの要部構成を示す後方視野一部断面斜視図
【図9】ディスクの上面形状の一例を示す説明図
【図10】(a)は別の構成のシュータの要部拡大図、(b)はその底壁上面を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明のフィーダの実施形態について説明する。なお、本実施形態のフィーダにおいて繰り出しの対象とする塊状物として、錠剤を想定して説明する。
【0030】
本実施形態のフィーダは、図1乃至図8に示すように、支持手段1に固定支持されたベース3と、ベース3の表面に先端部を突出させて回転自在に配設された回転軸4と、回転軸4に対し軸孔9aを係合させることによってベース3に対して回転自在に配設されたディスク9と、駆動源としてのDCモータ(以下、モータという)7と、モータ7の回転力を回転軸4に伝達する動力伝達手段21とを備えている。
【0031】
具体的には、本実施形態において、支持手段1は、図1に示すように、PVCからなる2枚の板部材を対向させて立設させてなる袖部1aを有する枠体として構成されている。
【0032】
ベース3は矩形状の第1基板3aと、その表面側であってディスク9と僅かな間隙を以て対向配置される領域に貼設された第2基板3bを有しており、表面が水平に対して仰角を有するように傾斜させ(これにより、前記表面はベースの上面となり、裏面は下面となる。)、第2基板3bが貼設された領域を傾斜方向における上方に位置させた状態で、支持手段1の袖部1a間に固定配設されている。
【0033】
なお、本実施形態においては、第1基板3aはPVC、前記第2基板3bはPTFE(テフロン(登録商標))からなる。第2基板3bをPTFEとしたのは、繰り出しの対象物である錠剤を1つずつ繰出口へ搬送する際の摩擦(繰り出しの搬送のためには摩擦は小さい方が好ましい)やその表面の衛生管理上の事情を考慮した結果である。また、ベース3の傾斜角(仰角)は、繰り出しの対象物の特性等に合わせて適宜変更することが望ましいが、錠剤を繰り出しの対象物とする本実施形態においてはその傾斜角(仰角)を30度とする。
【0034】
また、図7に示すように、ベース3には、第2基板3bの略中央に先端部4aを突出させるようにして、動力伝達手段21によってモータ7の回転力が伝達される回転軸4が配設されている。回転軸4は、ベース3の裏面に埋設されるとともに、ベアリングホルダ5で保護されたベアリング6によってその長手方向中央部を軸支され、回転自在に配設されている。
【0035】
また、ベース3の表面側には、回転軸4に軸孔8aを挿通させて固定された回転盤8が回転軸4と一体となって回転自在に配設されている。回転盤8の表面側には、ディスク9が回転軸4に軸孔9aを遊挿させるとともに、回転盤8の表面に形成された係合用突部8bに、ディスク9に形成された位置決め用の係合用孔9dを嵌着させて、回転盤8とディスク9が一体化して回転可能な状態で配設されている。なお、前記係合用突部8bと係合用孔9dに代えて、互いに吸着しあう磁石を配設してもよい。このように、ディスク9を回転盤8に対して着脱させる構成とすることで、ディスク9の交換作業や保守点検作業も簡便になる。
【0036】
ここで、ディスク9は、図9に示すように、軸孔9aを中心とする外周縁近傍の円上に、繰り出し対象となる錠剤を1つずつ収納可能な複数(本実施形態においては、15個)の収納孔9bが配列形成されている。
【0037】
本実施形態のディスク9に形成された収納孔9bは、平面視における四隅をアール状に面取りした、回転方向に長い矩形孔(長孔)として穿設されており、さらに、その長孔の回転方向側に位置する端部部分(図9における時計回転方向端部)には、錠剤を各長孔内へ案内する案内面9cがすり鉢状にディスク表面を削って形成されている。なお、ディスク9は、繰り出しに供される塊状物に合わせて、その形や大きさ等を異ならせた収納孔9bが形成された複数パターンを予め用意しておき、適宜、交換して用いるようにすることで、塊状物の詰まりも未然に防止することが可能となる。
【0038】
また、前記ベース3には、配設されたディスク9の前記収納孔9bの回転軌道における最上位(0時方向位置)に対応させて、錠剤を1つずつベース3の裏面側へ繰り出させる繰出口11が形成されている。本実施形態において前記繰出口11は、傾斜して配設されたベース3の上端辺における幅方向中央部分に、矩形状の切り欠き部として形成されており、前記繰出口11には、図7に示すように、錠剤を前記ベース3の裏面側へ繰り出させる経路を構成するシュータ12が、位置決めピンを兼ねたノックピン13を用いて着脱自在に取り付けられている。
【0039】
前記シュータ12は、繰り出される錠剤を滑落させる底壁12aと、前記収納孔9bの長手方向寸法以上に離間して前記底壁12aの両側に立設する側壁12bとを備えた樋状に形成されており、錠剤の繰り出し経路における上流側に配置される一端側を繰出口11内に臨ませて取り付けられているシュータ12の底壁12aは、その上面と、繰出口11に位置したディスク9の収納孔9bの回転中心方向端辺とが同位するようにして配設されている。また、本実施形態においては、各側壁12bは前記一端側においてその内面が互いに離間する方向へ拡開するように形成されている。このように、シュータ12の一端側における形状を工夫することにより、繰出口11における錠剤の掃けを促すことができるので、繰出口11に錠剤が詰まることを抑止することが可能となる。また、シュータ12を備えることによって所望の下流側経路へ錠剤を搬送供給することができる。例えば、シュータ12の反ベース側先端部を、前記錠剤の梱包用搬送経路を構成するベルトコンベアの上方へ位置させるようにしたり、あるいは、開口させた薬瓶の上方へ位置させるようにすることもできる。
【0040】
なお、本実施形態において、シュータ12は、図8に示すように、底壁12a上に戴置することにより、シュータ12の底壁12aの上面位置を実質的に底上げして、その上面と繰出口11に位置したディスク9の収納孔9bの回転中心方向端辺とを同位させるように調整するためのスペーサ12cを備えている。このスペーサ12cを配設し、繰り出される錠剤をそのままスペーサ12cの上面を滑らせるようにして繰り出し可能とすることにより、繰出口11からシュータ12へ繰り出される錠剤がシュータ12の底壁12aに当たって跳ねてシュータ12から外へ飛び出したり、後述する計数機14によってカウントされなかったりする不具合を防止することができる。
【0041】
また、前記シュータ12内を繰り出される錠剤を計数可能な計数機14を備えている。本実施形態において、計数機14は、シュータ12の両側壁12b、12bの外側に配置した発光素子14aと受光素子14bとからなる一対の光学センサにより形成されており、発光素子14aから出射される光をシュータ12の側壁12b,12bに形成された小孔12dを通過させて受光素子14bで受光させ、繰り出された錠剤がその光路を遮った回数を図示しない制御部において計数することで、繰り出された錠剤を計数することができるように構成されている。なお、本実施形態は、一対の光学センサを二組配設し、各組の光学センサにおいて計数することで、計数の精度を高めるように構成されている。
【0042】
ここで、再び、ベース3に戻って、その傾斜方向における下方となる、第2基板3bが貼接されていない領域の第1基板3aにおける幅方向中央には、図4に示すように、モータ7を配設するための開口3cが形成されている。ベース3の裏面には、その開口3cを覆うようにしてアルミニウム製のモータプレート7bが配設されており、前記モータ7は、そのモータ軸7aをモータプレート7bから裏面側へ突出させるようにして、このモータプレート7bに配設されている。このモータ7は、電気的に接続された図示しないコントロールパネルの操作により、モータ7の回転駆動のON・OFFや、回転数を調整可能とされている。
【0043】
そして、前記回転軸4と、モータ7のモータ軸7aとの間には、動力伝達手段21が配設されている。動力伝達手段21は、モータ軸7aに配設された駆動側プーリ22と、回転軸4に配設された従動側プーリ23と、駆動側プーリ22の回転力を従動側プーリ23に伝達する弾性環状ベルト24から構成されている。
【0044】
駆動側プーリ22は、モータ7のモータ軸7aを軸孔に挿通させた状態でモータ7側の位置に固定配設された固定プーリ22aと、前記モータ軸7aを軸孔に挿通させた状態でモータ軸7aに沿って、固定プーリ22aの外側でその固定プーリ22aから離間する方向へスライド可能に配設された可動プーリ22bとからなる。これらの固定プーリ22aと可動プーリ22bは、互いの対向面における前記モータ軸7aを中心とする円周方向に等間隔に配設された複数個の磁石10の磁力によって吸着されることにより一体化して回転可能とされている。なお、本実施形態において、固定プーリ22aと従動プーリ22bとの間には、図8に示すように、ワッシャ22cが介在されており、前記固定プーリ22aと可動プーリ22bは、ワッシャ22cの厚さを変えて対向する磁石10間の間隙を調整することによって、磁石10による吸着力を調整可能とされている。
【0045】
また、弾性環状ベルト24はポリウレタンゴム製の丸ベルトであり、駆動側プーリ22の可動プーリ22bと、従動側プーリ23との間で展張され、駆動側プーリ22の回転力を従動側プーリ23に伝達するように構成されている。
【0046】
さらに、本実施形態においては、繰り出しに供される錠剤を、傾斜させたベース3に配設されたディスク9の収納孔9bの回転軌道における下位側(6時方向位置)へ集積させ、該下位側を塊状物収容域Xとして機能させるホッパ25が、ベース3に配設されたディスク9の表面との間に、錠剤が嵌り込むことのない程度の僅かな隙間(実機は1mm)を形成し、ディスク9の回転を阻害しないようにして、前記支持手段1に配設されている。
【0047】
詳しくは、ホッパ25は周壁部25aと鍔部25bとによって形成されている。この周壁部25aは、その内周面がディスク9に形成された収納孔9bの回転軌道よりも大径で、かつ、前記回転軸4を中心とする同心円上であって、少なくとも傾斜させたベース3に配設されたディスク9の収納孔9bの回転軌道における下位側の半円領域において、ディスク9の表面に対して直交する方向に延在させて配置される半円筒状に形成されているとともに、半円筒状の上部にディスク9の最上部位置までを覆う平板部を連設させて形成されている。そして、この周壁部25aの上端部に鍔部25bが連設されており、この鍔部25bを支持手段1の袖部1aの上面に固定配置することで、周壁部25aが回転するディスク9と緩衝せず、しかも、錠剤を収納孔9bへ案内可能に配置される。さらに具体的には、支持手段1の袖部1aの上面に位置決め用の係合用突起1bを形成すると共に、固定用の磁石10を埋設するとよい。また、ホッパ25の鍔部25bにも、配設時に前記係合用突起1bと係合して位置合わせを基準となる係合用孔25cを形成するとともに、配設時に前記袖部1aに埋設された磁石10に吸着する磁石10を埋設するとよい。このようにして支持手段1の袖部1aと、ホッパ25の鍔部25bを形成し、ホッパ25を支持手段1の所定位置に位置決めしつつ装着することで、周壁部25aの内面は、回転するディスク9の表面と適切な間隙を形成しつつ、相俟って、繰り出しに供される錠剤を集積させる塊状物収容域Xを形成することが可能となる。
【0048】
なお、ディスク9の表面に、繰り出しに供される錠剤を撹拌可能な撹拌手段26を形成してもよい。この撹拌手段としては、例えば、ディスク9の回転中心から円周方向へ放射状あるいは渦巻き状に形成された溝部や突条部、または、その表面に点設された突部であってもよい。図9には、ディスク9の収納孔9の回転軌道上に等間隔に3つの突部が形成された例を示している。このように撹拌手段を形成すると、ディスク9が回転することにより、塊状物収容域Xへ集積された錠剤を撹拌し、錠剤同士が湿気等で固着してしまうような状態を回避しつつ、集積された錠剤を一つずつ前記ディスク9の収納孔9bへ収納することができる。
【0049】
次に、本実施形態のフィーダの作用について説明する。
【0050】
このように構成されたフィーダは、通常時には、塊状物収容域Xに複数の錠剤を収容させた状態でモータ7を回転駆動させる。すると、モータ7の回転力は、固定プーリ22aとこの固定プーリ22aに磁力により吸着することにより一体化して回転する可動プーリ22bからなる駆動側プーリ22から、弾性環状ベルト24を介して従動側プーリ23に伝達され、従動側プーリ23と固着された回転軸4に軸孔9aを係合させるディスク9を、ディスク9の正面視における時計回転方向に回転させる。このようにディスク9が回転することにより、その回転方向における繰出口11の形成位置より上流側に形成された塊状物収容域Xにおいてディスク9の収納孔9bへ錠剤を収納し、そのまま錠剤を繰出口11へ搬送し、そして繰出口11からシュータ12を滑らせて錠剤を繰り出すことができる。
【0051】
一方、錠剤が収納孔9bと繰出口11との間に詰まった非常時には、ディスク9の回転が妨げられることにより、このディスク9の軸孔9aに係合する回転軸4に配設された従動側プーリ23の回転が停止する。これにより、従動側プーリ23との間で前記弾性環状ベルト24が展張巻回された駆動側プーリ22の可動プーリ22bの回転が滞るとともに、両プーリ22,23に展張されている弾性環状ベルト24は、両プーリ23,23の回転中心を結ぶ仮想線で区分けされる一方側で収縮され、他方側で引伸されることにより、従動側プーリ23を逆回転させる方向の復元弾力を蓄積する。
【0052】
その後、モータ7の回転力により固定プーリ22aがなおも回転することにより、磁石10の吸磁力より弾性環状ベルト24の復元弾力が大きくなると、可動プーリ22bに配設された磁石10が、それまで吸着し合っていた固定プーリ22aに配設された磁石10との間の吸着状態を一旦解除し、続いて、固定プーリ22aの回転方向における上流側に配設された磁石10と再び吸着する(このとき、可動プーリ22bはモータ軸7aに沿って若干、離間する方向へスライドする)。このとき、可動プーリ22bは、弾性環状ベルト24に蓄積された復元弾力によって、瞬間、通常時とは反対方向へ回転する。
【0053】
例えば、固定プーリ22aと可動プーリ22bとの互いの対向面にそれぞれ、前記モータ軸7aを中心とする円周方向に90度ずつ、4つの磁石10を埋設した場合、錠剤が詰まったことによって回転が滞った可動プーリ22bは、固定プーリ22a側の磁石10との間の磁力によって弾性環状ベルト24の復元弾力を高めつつ固定プーリ22aと一緒に回転し、磁石10の吸磁力より弾性環状ベルト24の復元弾力が大きくなると、磁石10の吸磁力が解かれるとともに、その復元弾力によって可動プーリ22bが逆回転され、固定プーリ22aの回転方向下流側に位置する磁石10と吸着し、その後、正回転することとなる。
【0054】
このときに、可動プーリ22bが、弾性環状ベルト24の復元弾力によって、通常時とは反対方向へ回転することでディスク9が逆回転し、詰まりが生じていた収納孔9bと繰出口11との間は瞬間、広く拡開するので、詰まっていた錠剤をシュータ12内に解放し、落下させることができる。
【0055】
本実施形態のフィーダは、この揺り戻し回転が弾性環状ベルト24を介して従動側プーリ23に伝達され、ディスク9が反回転方向へ揺り動かされることにより、収納孔9bと繰出口11との間の錠剤の詰まりを解消することができ、また、再び吸着した固定プーリ22aと可動プーリ22bとからなる駆動プーリ22側から弾性環状ベルト24を介して従動側プーリ23へモータ7の駆動力が伝達されることで、引き続き、通常時のフィードを実行することができる(塊状物の繰り出しを継続させる「自己復帰機能」)。
【0056】
本実施形態の動力伝達手段21を作用させ、フィーダの自己復帰機能を有効に利用するためには、磁石10の配設数(配設間隔)、磁石10の磁力、弾性環状ベルト24の弾性力や張力(展張具合)、モータの回転速度等を、フィード対象の塊状物の大きさや前記収納孔9bの形成間隔などを考慮して調整する。
【0057】
このように、本実施形態のフィーダによれば、塊状物の詰まりの発生を抑止するのみならず、塊状物が詰まったときには、自らの機構を利用して詰まりを解消しつつ、さらに、塊状物の繰り出しを継続させるための構成を備え、前記塊状物の破損やモータの焼損といった不具合の発生を回避して、作業性を向上させることができる。
【0058】
なお、本発明は、前述した実施形態を必要に応じて種々に変更可能である。
【0059】
例えば、フィーダの対象物は、本実施形態のように、錠剤等の薬剤に限ることなく、例えば、ネジやボタン等の小さな塊状物であってもよい。
【0060】
また、固定プーリ22aと可動プーリ22bとの互いの対向面にそれぞれ埋設される磁石10の数は前述の例のように、90度ずつ4つに限ることなく、その配設数を決定することができるものとする。
【0061】
また、ホッパ25をディスク9との適切な位置関係を保った状態で備えるための構成も、前述のような鍔部25bの構成に限るものではなく、要は、ホッパ25は、塊状物収容域Xを構成する周壁部25aを有し、ホッパ25内に塊状物を集積可能な構成とされていればよく、その装着の対象も本実施形態のように支持手段1に限らず、例えば、ベース3に対し、直接装着するような構成であってもよい。
【0062】
計数機14についても、本実施形態のような公知の光学系のセンサを備えた計数機14に限ることなく、例えば接触スイッチ式のカウンタであってもよい。その場合においても、本実施形態のフィーダは、塊状物を1つずつ確実に繰り出すことができるので、カウントミスの発生率を極めて低く抑えることができる。
【0063】
また、シュータ12の側壁12bは、前記一端側において、少なくとも、ディスク9の回転方向における上流側に位置する一方の側壁12bのみを、その内面が他方の側壁12bから離間する方向へ拡開するように形成すれば、繰出口11における錠剤の掃けを促すことができ、繰出口11に錠剤が詰まることを抑止することが可能となる。
【0064】
ここで、図10に別の形状のシュータ12を示す。このシュータ12は、回転するディスク9から繰り出される錠剤が放物線状の弧を描いて繰り出されることを考慮し、両側壁12bによって、弧形に曲がった繰り出し経路が形成されている。繰り出し経路の底壁12aには、その幅方向においてディスク9の回転方向上流側を低く、下流側を高く位置させる段差部12eが、繰出口11に配置される上流側から前記計数機14を構成する光学センサを対向させて配設した位置よりも下流側まで形成されており、適切な回転速度で回転するディスク9から繰り出された錠剤をこの段差部12eに当て、そのままこの段差部12eに沿って下流側へ案内可能に構成されている。さらにいえば、繰り出される錠剤がこの段差部12eに沿って繰り出し経路内を落下するように、ディスク9の回転速度を調整することが望ましい。また、図10に示すシュータ12は、計数機14の一対の光学センサとして、所謂、ラインセンサを利用しており、発光素子14aから出射される光をシュータ12の側壁12b,12bに形成されたスリット12fを通過させて受光素子14bで受光させ、繰り出された錠剤がその光路を遮ったことを原因とする受光量の減少を検知して、この回数を計数することで、繰り出された錠剤を計数するように構成されている。なお、この図10においても、一対の光学センサを二組配設し、各組の光学センサにおいて計数することで、計数の精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 支持手段
1a 袖部
1b 係合用突起
3 ベース
3a 第1基板
3b 第2基板
4 回転軸
4a 先端部
4b 基端部
5 ベアリングホルダ
6 ベアリング
7 モータ
7a モータ軸
7b モータプレート
8 回転盤
8a 軸孔
8b 係合用突部
9 ディスク
9a 軸孔
9b 収納孔
9c 案内面
9d 係合用孔
10 磁石
11 繰出口
12 シュータ
12a 底壁
12b 側壁
12c スペーサ
12d 小孔
12e 段差部
12f スリット
13 ノックピン
14 計数機
14a 発光素子
14b 受光素子
21 動力伝達手段
22 駆動側プーリ
22a 固定プーリ
22b 可動プーリ
22c ワッシャ
23 従動側プーリ
24 弾性環状ベルト
25 ホッパ
25a 周壁部
25b 鍔部
25c 係合孔
26 撹拌手段
X 塊状物収容域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸孔を中心とする円上に繰り出し対象となる塊状物を1つずつ収納可能な複数の収納孔が配列形成されたディスクを、支持手段に固定支持されたベースの表面に先端部を突出させて配設された回転軸に対し、前記軸孔を係合させて回転自在に配設するとともに、前記ベースに前記塊状物を1つずつ裏面側へ繰り出させる繰出口を形成しておき、駆動源としてのモータの回転力を動力伝達手段を介して伝達することにより前記ディスクを回転させ、前記ディスクの回転方向における繰出口の形成位置より上流側に形成された塊状物収容域において前記収納孔へ収納した塊状物を、前記繰出口へ搬送し、前記繰出口から前記塊状物を繰り出すように構成されたフィーダであって、
前記動力伝達手段は、モータのモータ軸を軸孔に挿通させた状態で固定配設された固定プーリと、前記モータ軸を軸孔に挿通させた状態で該モータ軸に沿って前記固定プーリから離間する方向へスライド可能に配設された可動プーリとを互いの対向面における前記各軸を中心とする周方向に等間隔に配設された複数個の磁石の磁力によって吸着させることにより一体化して回転可能とされた駆動側プーリ、前記回転軸に配設される従動側プーリ、および、前記駆動側プーリの可動プーリと前記従動側プーリとの間で展張され、駆動側プーリの回転力を従動側プーリに伝達する弾性環状ベルトから構成されていることを特徴とするフィーダ。
【請求項2】
繰り出し対象となる塊状物に合わせた、異なる形状の収納孔が形成されたディスクに交換可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のフィーダ。
【請求項3】
前記ベースの表面には、前記回転軸を軸孔に挿通させて固定された回転盤が回転自在に配設されており、前記ディスクは、前記回転軸を軸孔に挿通させた状態で、前記回転盤と一体化して回転可能に固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフィーダ。
【請求項4】
前記ベースは、前記表面が水平に対して角度を有するように傾斜させて支持手段に固定配設されており、前記繰出口は、傾斜させたベースに配設されたディスクの前記収納孔の回転軌道における上位側に対応させて形成されており、さらに、前記ディスクの前記収納孔の回転軌道における下位側を、繰り出しに供される塊状物を集積させる塊状物収容域として機能させる着脱可能なホッパを備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のフィーダ。
【請求項5】
前記ディスクの表面には、傾斜させたベースに配設されたディスクの下位側へ案内されて貯留された繰り出しに供される塊状物を撹拌可能な撹拌部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のフィーダ。
【請求項6】
前記ベースには、塊状物を前記繰出口から前記ベースの裏面側へ繰り出させる経路を構成するシュータが取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のフィーダ。
【請求項7】
前記シュータは、底壁とその両側に立設する側壁とを備えた樋状に形成され、上端側を前記繰出口内に臨ませるとともに、前記底壁と前記繰出口に位置した前記ディスクの収納孔の回転中心方向端部とが同位するようにして配設され、かつ、側壁は前記上端側において、少なくともディスクの回転方向における上流側に位置する一方の側壁の内面が他方の側壁から離間する方向へ拡開するように形成されていることを特徴とする請求項6に記載のフィーダ。
【請求項8】
前記シュータ内を繰り出される塊状物を計数可能な計数機を備えたことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−84290(P2011−84290A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236892(P2009−236892)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(390029090)靜甲株式会社 (30)
【Fターム(参考)】