フェキソフェナジン・マイクロカプセル及びそれを含む組成物
本発明により、フェキソフェナジンと不水溶性重合体コーティングとを有する複数の味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルを含む医薬組成物が提供される。それらマイクロカプセル及びそれらマイクロカプセルを含む医薬組成物は、適切な薬剤含有量と、望ましい薬学的性質とを有し、その望ましい薬学的性質は、味覚遮蔽効果に加えてフェキソフェナジンの溶解速度が速いという性質を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、フェキソフェナジン・マイクロカプセル及びそれを含む組成物に関し、2009年12月2日出願の米国仮出願第61/265,823号及び2010年6月14日出願の米国仮出願第61/354,575号に基づく優先権を主張しており、これらの出願の各々は、その全体が、あらゆる目的のために、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
経口投与のために最も広く用いられている剤型(dosage form, 投与形態、投与剤型)として、タブレット(錠)及びカプセルがある。しかし、そのような剤型にはいくつかの不都合がある。例えば、人口の50%がタブレット嚥下の問題を抱えていると推定されている(シーガー、50J、薬理学及び薬学、第375〜382頁(1998年)(Seager, 50 J. Pharmacol. and Pharm. 375-382 (1998))参照)。特に、一部の高齢者は、タブレット又はカプセルを嚥下することが困難であり、あるいは、タブレットもしくはカプセルを嚥下することが不可能であるか又は嫌がる小児に投与することは困難である。このことは、治療方法が殆ど乃至は全く遵守されない状況を招き、よって、治療の効果に悪影響を及ぼす。
【0003】
多くの有効成分の苦い味もまた、薬剤を簡単に食物上に振りかけること、すなわち、薬剤を小児に投与するために一般的に用いられる方法の実施を妨げている。苦い味の薬剤であって咀嚼可能なタブレット(chewable tablet, チュアブル錠)に含有されるものは、たいていの場合はエチルセルロース等の不水溶性重合体(ポリマ)により、一般的には分厚くコーティング(被覆、被膜)され、その目的は、前記コーティングされた薬剤が、タブレットが圧縮される間及び/又はタブレットが咀嚼される(噛み砕かれる)間に破砕してしまうことと、それに付随して苦い有効成分が漏れ出してしまうことを阻止することにより、薬剤を味覚遮蔽(taste mask、味遮蔽)することにある。その結果、薬剤が、消化管内において、そのように咀嚼可能な種類のタブレットから実質的に完全に放出するために2時間以上を要する可能性がある。より最近では、口腔内崩壊錠(ODT)剤型(orally disintegrating tablet dosage forms)が導入されてきており、そのODTは、口腔内で急速に溶解し又は崩壊するため、水無しで服用可能である。他の便利な経口剤型には、薬包(sachets、サチェット、包)及び微粒子状の散剤(microparticle dispersions)がある。そのような種類の薬剤は、特に高齢者及び小児にとって都合がよい。
【0004】
塩酸フェキソフェナジンは、ヒスタミンH1受容体拮抗薬であり、季節性アレルギー鼻炎及び慢性特発性じんましんの治療のために認可されている。しかし、フェキソフェナジンを処方することは、低pH(すなわち、胃のpH)条件では溶出性が低いため、困難である。低い溶出性に対処する1つの典型的な方法は、前記薬剤をODT(口腔内崩壊錠)形態で調剤することである。しかし、その手法は、塩酸フェキソフェナジンが苦味を有するため、困難である。
【0005】
米国特許第6,723,348号は、フェキソフェナジンを含有する口腔内崩壊錠(orodispersable tablet)(ODT)の調製を説明しており、そのフェキソフェナジンは、別の添加剤(excipient、イクシピエント, 賦形剤)と共に(と組み合わせて)粒化された後に重合体コーティング(膜、壁)で、流動層(fluid
bed、フルイド・ベッド、流体ベッド、流動ベッド)を用いてコーティングされた形態を有する。しかし、その製造方法は、比較的複雑であり、粒化、コーティング及び混合(混和)という複数の工程を必要とする。
【0006】
本発明の目的は、マイクロカプセル化されたフェキソフェナジンを、単純な製造工程(process、プロセス、製法)により、味覚遮蔽・即放性を示す形態(taste-masked immediate release form)で提供することにある。
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、フェキソフェナジンと不水溶性重合体のコーティング(膜、壁)とを含む複数の味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルと、それらマイクロカプセルを含む医薬組成物とが提供される。共顆粒化(co-granulated)フェキソフェナジン・マイクロカプセルもまた、本発明において開示される。それらマイクロカプセル及びそれらマイクロカプセルを含む医薬組成物は、適切な薬剤含有量と、望ましい薬学的性質とを有し、その望ましい薬学的性質は、フェキソフェナジンの溶解速度が速いという性質を味覚遮蔽効果と共に有する。
【0008】
本発明によれば、更に、前記マイクロカプセル及び前記共顆粒化マイクロカプセルを調製し、更に、フェキソフェナジン及び不水溶性重合体コーティングを含む味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルを含む前記医薬組成物を調製する方法も提供される。このマイクロカプセル調製方法は、(a)不水溶性重合体を有機溶媒中に溶解させる工程と、(b)フェキソフェナジンを前記有機溶媒中に懸濁させる工程と、(c)相分離により、前記不水溶性重合体のコーティングを前記フェキソフェナジンに適用(塗布)する工程と、(d)前記マイクロカプセルを前記有機溶媒から分離する工程とを含む。
【0009】
本発明の医薬組成物は、季節性アレルギー鼻炎及び慢性特発性じんましん等の炎症関連疾患の治療に有用である。従って、本発明によれば、更に、個人(individual,個体)において炎症関連疾患を治療する方法も提供される。この方法は、投与を必要としている個人に味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルを含む医薬組成物を投与する工程を含み、前記マイクロカプセルは、フェキソフェナジンと、不水溶性重合体コーティングとを含む。
【0010】
発明の詳細な説明
【0011】
本明細書において引用される全ての文献は、あらゆる目的のために、参照により組み込まれる。
【0012】
本明細書においては、「コーティング質量」という用語は、当該マイクロカプセルのコーティング(膜、壁)の質量(dry weight、乾燥質量)をそのマイクロカプセル全体の質量で割り算して得られた値を100倍した値を意味する。例えば、20%というコーティング質量は、所与の1個のマイクロカプセルにつき、当該コーティングが前記マイクロカプセルの質量の20%を占めることを意味する。
【0013】
本明細書においては、「平均コーティング質量」という用語は、マイクロカプセルの集団についてのコーティング質量の平均値を意味する。例えば、所与の集団に属する複数個のマイクロカプセルのうちの半分が10%のコーティング質量を有し、かつ、残りの半分が20%のコーティング質量を有する場合には、その所与の集団のマイクロカプセルについての平均コーティング質量は、15%である。
【0014】
本明細書においては、「マイクロカプセル」という用語は、不水溶性重合体コーティング(膜、壁)でコーティング(被覆)された薬剤(フェキソフェナジン若しくはその薬学的に許容され得る塩、エステル及び/若しくは溶媒和物(solvate)又はそれらの多形体(polymorph))を意味する。
【0015】
本明細書においては、「マイクロカプセル化(microencapsulation)」という用語は、薬剤を不水溶性重合体で被覆する処理を意味する。
【0016】
本明細書においては、特段の定めがない限り、「フェキソフェナジン」についての言及は、「フェキソフェナジン」若しくはその薬学的に許容され得る塩、エステル及び/若しくは溶媒和物又はそれらの多形体
【0017】
本明細書においては、「API」という用語は、「原薬(医薬品有効成分、薬理学的活性成分、有効薬学的成分、薬効成分)(active
pharmaceutical ingredient)」、例えば、フェキソフェナジン若しくはその薬学的な塩、エステル及び/若しくは溶媒和物又はそれらの多形体を意味する。
【0018】
本発明によれば、フェキソフェナジンのマイクロカプセルと、フェキソフェナジン及び不水溶性重合体コーティングを有する味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルを含む医薬組成物とが提供される。フェキソフェナジンのマイクロカプセルは、共顆粒化マイクロカプセルの形態を有してもよく、また、不活性成分及び添加剤(excipient、イクシピエント, 賦形剤)を更に含んでもよい。本発明の一実施態様においては、前記フェキソフェナジンは、塩酸フェキソフェナジンである。
【0019】
本発明のフェキソフェナジンは、結晶質若しくは非晶質又はこれらの組み合わせであってもよい。フェキサフェナジン結晶形が、その種類の如何を問わず、包含され、そのフェキサフェナジン結晶形を、本発明のマイクロカプセル、マイクロカプセル粒(顆粒)及び共顆粒化マイクロカプセルの調製において調剤に用いることが可能である。
【0020】
本発明の不水溶性重合体は、その種類の如何を問わず、適切であり、かつ、薬学的に許容され得る不水溶性重合体であってもよく、そのような不水溶性重合体は、フェキソフェナジン粒子の周りのコーティング(膜、壁)を形成し、そして、それにより、味覚遮蔽性及び即放性を示すフェキソフェナジン・マイクロカプセルを生成するものである。本発明に用いてもよい不水溶性重合体の例は、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、アンモニオメタクリル酸塩共重合体、及びそれらの混合物を含む。一実施態様においては、本発明の不水溶性重合体は、エチルセルロースである。
【0021】
コーティング(膜、壁)における重合体の量及び種類は、フェキソフェナジンの放出(放出率、放出量)を調整することに寄与し、それにより、味覚遮蔽の程度及び/又はフェキソフェナジン放出の程度を調節することを可能にする。本発明においては、コーティング重合体は水に不溶である。本発明のマイクロカプセルの平均コーティング質量は、約2%〜約40%であり、約5%、約10%、約13%、約15%、約17%、約18%、約20%、約25%、約30%、約35%、又は、約40%を含む。典型的には、本発明のマイクロカプセルの平均コーティング質量は、約10%〜約20%である。より典型的には、その平均コーティング質量は、約13%〜約18%である。本発明の一実施態様においては、前記マイクロカプセルは、約15%の平均コーティング質量を有する。
【0022】
前記マイクロカプセルの前記不水溶性コーティング(膜、壁)の湿潤性(wettability)は、界面活性剤を用いた処理によって改善される可能性がある。前記界面活性剤を含む溶液中にマイクロカプセルを懸濁させることによるか、又は、流動層噴霧処理(fluid bed spraying process)により、界面活性剤層を前記マイクロカプセルに適用(塗布)してもよい。前記界面活性剤溶液は、少なくとも1つの界面活性剤と、滑剤(glidants)又は抗粘着剤(antisticking agents)等の、任意選択的な他の成分とを含む。前記界面活性剤は、例えば室温のような関連条件(重要条件)下で前記コーティング重合体が実用上は不溶である溶媒に対して可溶であるべきである。適切な界面活性剤は、ドクサートナトリウム(sodium docusate)(DOSS)、ラウリル硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、トゥイーン(Tween)、ルトロール(Lutrol)F68、オレイン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン等を含む。他の湿潤剤を、ヒドロキシプロピルセルロース並びにポリエチレングリコール600、1000、3350及び6000の中から選択してもよい。一実施態様においては、前記界面活性剤は、ある程度(one sense, 小さい値)のw/w%から約10w/w%までの範囲内にある。典型的には、前記溶液中の界面活性剤の濃度は、約0.25w/w%〜約2w/w%の間、約0.5w/w%〜約1.5w/w%の間、又は約0.45w/w%〜約0.75w/w%の間である。一実施態様においては、前記溶液中の界面活性剤の濃度は、約0.45w/w%であり、別の実施態様においては、約0.6w/w%であり、更に別の実施態様において、約0.75w/w%であり、更に別の実施態様においては、約1w/w%であり、更に別の実施態様においては、約1.5w/w%である。湿潤化方法も、米国特許第6509034号に記載されている。具体的な抗粘着剤は、二酸化ケイ素である。
【0023】
必要であれば、1つ以上の更なる保護コーティング層(例えば、オパドライクリア(Opadry Clear)等)を本発明のマイクロカプセルに適用してもよい。
【0024】
本発明の別の実施態様は、不水溶性重合体で被覆された複数個の味覚遮蔽性フェキソフェナジン・マイクロカプセルの粒(granulate、顆粒、細粒、微粒、顆粒剤)である。
【0025】
本発明においては、前記複数個のフェキソフェナジン味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルのうちの80%以上が、500ミクロン未満の粒度分布(particle size distribution)(PSD)を有しており、望ましくは、前記複数個のマイクロカプセルのうちの80%以上が、355ミクロン未満のPSDを有しており、更に望ましくは、前記複数個のマイクロカプセルのうちの80%以上が、250ミクロン未満のPSDを有している。別の実施態様においては、前記複数個のマイクロカプセルのうちの80%以上が、200ミクロン未満の粒度分布を有している。前記味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルはまた、前記味覚遮蔽・即放性共顆粒化マイクロカプセルの調製のためにも用いられる。
【0026】
別の実施態様は、不水溶性コーティングを有する複数個のマイクロカプセルと少なくとも1つの不活性成分との共顆粒(co-granulate、共顆粒剤)である。その共顆粒は、前記マイクロカプセルが少なくとも1つの不活性成分のうちの一部と共に(と組み合わせて)粒化されるときに取得される。
【0027】
不活性成分を、糖アルコール及びサッカリドから成る群より選択してもよく、それら糖アルコール及びサッカリドは、ショ糖、キサンタンガム、βシクロデキストリン、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、乳糖、アラビトール、イソマルト、グリセロール、アルギン酸塩、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース又はこれらの混合物等である。糖アルコール又はサッカリドと組み合わされる崩壊剤(disintegrants)もまた、前記フェキソフェナジン・マイクロカプセル又は前記共顆粒に添加されるのに適した不活性成分としてもよい。
【0028】
本明細書に開示されるマイクロカプセル共顆粒は、不水溶性コーティングと、少なくとも1つの不活性成分とを有するフェキソフェナジンのマイクロカプセルからなる。マイクロカプセル対単一又は複数の不活性成分の比の具体的な例は、1:3〜1:10の間、1:5〜1:8の間、及び、1:6又は1:7である。
【0029】
本発明のフェキソフェナジン・マイクロカプセル共顆粒は、湿潤マイクロカプセルに匹敵する溶出性(dissolution release、溶解放出性)を有する。一実施態様においては、前記共顆粒の粒度が、望ましくは、600μm未満であり、このとき、125μm未満の粒を少量伴う。この細粒分(fine fraction、微粒分)の量を減少させることが重要であり、なぜなら、この細粒分のうちのほぼ全部が複数個の未粒化マイクロカプセルからなるとともに、この細粒分のが高いレベルで存在することが前記共顆粒の均一性(homogeneity)が低いことに関連付けられ得るからである。
【0030】
一実施態様においては、前記共顆粒が、比1:7、均一性ばらつき<5.0%、125μm未満の細粒分の含有率(fine fraction)<5.0%、600μmを超える粒分(fraction)の含有率<10.0%、製造歩留まりが約97.0%であるといういくつかの特性を有している。本発明の別の具体的な実施態様は、前記共顆粒が、比1:7、均一性ばらつき<5.0%、125μm未満の細粒分の含有率<5.0%、600μmを超える粒分の含有率<5.0%、製造歩留まりが約97.0%であるといういくつかの特性を有している。
【0031】
本発明の別の実施態様は、フェキソフェナジン・マイクロカプセル共顆粒と少なくとも不活性成分粒との混合物である。前記不活性成分粒は、1つ以上の不活性成分からなり、例えば、糖アルコール及びサッカリドから成る群より選択してもよく、それら糖アルコール及びサッカリドは、ショ糖、キサンタンガム、βシクロデキストリン、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、乳糖、アラビトール、イソマルト、グリセロール、アルギン酸塩、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース又はこれらの混合物等である。糖アルコール又はサッカリドと組み合わされる崩壊剤もまた、前記共顆粒に添加されるのに適した不活性成分としてもよい。望ましくは、前記混合物(バルク・ミックス(バルク混合物)とも称される)は、前記マイクロカプセル共顆粒及び前記単一又は複数の粒化不活性成分を1:1の比で有する。その望ましい共顆粒は、フェキソフェナジン・マイクロカプセル、ショ糖及びキサンタンガムを含み、また、前記粒化不活性成分は、ショ糖を含む。
【0032】
本発明の別の実施態様は、不水溶性重合体でコーティングされた前記フェキソフェナジン味覚遮蔽性マイクロカプセルを含む医薬組成物である。この医薬組成物は、フェキソフェナジン・マイクロカプセルと、更に少なくとも1つの不活性成分及び/又は少なくとも1つの添加剤(excipient、イクシピエント, 賦形剤)とを含み、前記不活性成分は、粒化しても粒化しなくてもよい。
【0033】
本発明の一実施態様においては、本発明の医薬組成物が、フェキソフェナジン・マイクロカプセル共顆粒を、粒化しても粒化しなくてもよい少なくとも1つの不活性成分と混合(混和)された状態で含む。本発明の具体的な一実施態様は、前記医薬組成物が、マイクロカプセルの共顆粒及び少なくとも1つの粒状の不活性成分を1:1の比で有するものである。
【0034】
本発明の医薬組成物は、前記有効成分、例えば、塩酸フェキソフェナジンの即放性を実現する。一実施態様においては、本発明の医薬組成物が、pH6.8のJP第2液(日本薬局方)中で15分以内に前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約60%を放出する。別の実施態様においては、本発明の医薬組成物が、pH6.8のJP第2液中で15分以内に前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約65%を放出する。更に別の実施態様においては、本発明の医薬組成物が、pH6.8のJP第2液中で15分以内に前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約70%を放出する。更に別の実施態様においては、本発明の医薬組成物が、pH6.8のJP第2液中で15分以内に前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約75%を放出する。更に別の実施態様においては、本発明の医薬組成物が、pH6.8のJP第2液中で15分以内に前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約80%を放出する。更に別の実施態様においては、本発明の医薬組成物が、pH6.8のJP第2液中で15分以内に前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約85%を放出する。別の実施態様においては、本発明の医薬組成物が、pH6.8のJP第2液中で15分以内に前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約90%を放出する。別の実施態様においては、本発明の医薬組成物が、pH6.8のJP第2液中で15分以内に前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約95%を放出する。
【0035】
別の実施態様においては、上述した医薬組成物を、少なくとも1つの別の薬学的添加剤(excipient、イクシピエント)と組み合わせてもよい。本発明の医薬組成物又は剤型に使用される添加剤(excipient、イクシピエント)は、充填剤(filler, 賦形剤)、希釈剤(diluent,
賦形剤)、滑剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤等を含む。他の薬学的に許容され得る添加剤(excipient、イクシピエント)は、酸性化剤、アルカリ化剤、保存剤、抗酸化剤、緩衝剤、キレート剤、着色剤、錯化剤、乳化及び/又は可溶化剤、香味料及び香料、保湿剤、甘味剤、湿潤剤等を含む。
【0036】
適切な充填剤、希釈剤及び/又は結合剤の例は、それらに限定されるわけでないが、乳糖(例えば、噴霧乾燥乳糖、α乳糖、β乳糖、タブレトース(Tabletose)(登録商標)、種々の等級のファーマトース(Pharmatose)(登録商標)、マイクロトース(Microtose)(登録商標)又はファーストフロック(Fast-Floc)(登録商標))、微結晶性セルロース(例えば、アビセル(Avicel)PH101、アビセルPH102、セオラス(Ceolus)KG−802、セオラスKG−1000、プロソルブ(Prosolv)SMCC50又はSMCC90、種々の等級のエルシーマ(Elcema)(登録商標)、ビバセル(Vivacel)(登録商標)、ミンタイ(Ming Tai)(登録商標)又はソルカフロック(Solka-Floc)(登録商標))、ヒドロキシプロピルセルロース、L−ヒドロキシプロピルセルロース(低置換)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(例えば、メトセル(Methocel)E、F及びK、信越化学工業株式会社のメトロース(Metolose)SH(例えば、4,000cps等級のメトセルE及びメトロース60SH、4,000cps等級のメトセルF及びメトロース65SH、4,000、15,000及び100,000cps等級のメトセルK、並びに4,000、15,000、39,000及び100,000cps等級のメトロース90SH))、メチルセルロース重合体(例えば、メトセルA、メトセルA4C、メトセルA15C、メトセルA4M)、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース及び他のセルロース誘導体、ショ糖、キサンタンガム、シクロデキストリン(例えば、βシクロデキストリン)、アガロース、ソルビトール、マンニトール、デキストリン、マルトデキストリン、でんぷん又は改質でんぷん(ジャガイモでんぷん、トウモロコシでんぷん及び米でんぷんを含む)、リン酸カルシウム(例えば、塩基性リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二カルシウム水和物)、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、コラーゲン等、又はこれらの組み合わせを含む。
【0037】
希釈剤の具体的な例は、例えば、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストラン、デキストリン、ブドウ糖、果糖、カオリン、乳糖、マンニトール、ソルビトール、でんぷん、ゼラチン化でんぷん、ショ糖、キサンタンガム、βシクロデキストリン等、及びこれらの組み合わせを含む。
【0038】
滑剤及び潤滑剤の具体的な例は、例えば、二酸化ケイ素、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又は他のステアリン酸金属塩、タルク、ワックス及びグリセリド、軽油、PEG、ベヘン酸グリセリル、コロイド状シリカ、水素添加植物油、トウモロコシでんぷん、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、アルキル硫酸塩、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等を含む。
【0039】
他の添加剤(excipient、イクシピエント)は、例えば、香味剤、着色剤、味覚遮断剤、pH調節剤、緩衝剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、湿潤剤、湿度調節剤、界面活性剤、懸濁剤、吸収促進剤、放出改良剤等を含む。
【0040】
香味剤のいくつかの例であって他を排除しないものは、例えば、チェリー、オレンジ、バナナ、ストロベリー若しくは他の許容し得る果実香味料、又はチェリー、オレンジ及び他の許容し得る果実香味料の混合物を、タブレット質量に基づいて最大で例えば約3%含む。一方、本発明の医薬組成物は、また、1つ以上の甘味料(例えば、アスパルテーム、スクラロース若しくは他の薬学的に許容され得る甘味料又はそのようないくつかの種類の甘味料の混合物)を、タブレット質量に基づいて最大で約2質量%含み得る。更に、本発明の医薬組成物は、1つ以上のFD&C着色料を、タブレット質量に基づいて最大で例えば0.5質量%含み得る。
【0041】
抗酸化剤は、例えば、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、没食子酸プロピル、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロールヘミスクシナート、TPGS又は他のトコフェロール誘導体等を含む。
【0042】
本発明のフェキソフェナジン・マイクロカプセル又は共顆粒化マイクロカプセルは、タブレット(例えば、経口的に崩壊させるように噛み砕く(咀嚼する)ことができる性質と、分散性と、速溶性と、発泡性を有するもの)、硬ゼラチン製のカプセル又はスピンクル(spinkle)、懸濁液、永続的又は即時的な懸濁のための薬包(sachets,サチェット)、及び、直接的な経口投与のための薬包を含む種々の最終的な剤型に調製(formulate,調合、調剤、処方)してもよい。
【0043】
本発明のマイクロカプセル若しくは共顆粒化マイクロカプセル又はそれらの混合物は、また、適切な不活性成分及び場合によっては更なる添加剤(excipient、イクシピエント, 賦形剤)の存在の下で、ドライシロップに調製してもよい。ドライシロップという製剤は、嚥下を容易にするために調製される速溶性粉末である。そのドライシロップは、粉末形態で直接投与されてもよく、あるいは、最初に液体で、例えばテーブルスプーン内の3〜5mL(ミリリットル)の水又はグラス内の15〜50mLの水で水和してもよい。ドライシロップ調剤を実施する方法は、米国特許公開公報第2008/0064713号に記載されており、この公開公報は、あらゆる目的のために、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0044】
前記望ましいドライシロップは、前記粒化不活性成分に対する比率が1:1であるフェキソフェナジン味覚遮蔽性マイクロカプセル共顆粒からなり、その共顆粒は、マイクロカプセルの前記不活性成分に対する比率が1:7であるように存在するという性質と、前記共顆粒がショ糖及びキサンタンガムを含有し、前記粒化不活性成分がショ糖を含むという性質とを有している。本発明に従うフェキソフェナジン・ドライシロップは、物理化学的特性、例えば、粒度(particle size,粒子径、粒径)、溶解速度(溶出速度)、前記味覚遮蔽性等であって、前記充填工程によって殆ど影響を受けないものを有している。このドライシロップは、高い均一性を有している。本発明の一実施態様においては、前記共顆粒が、均一性ばらつき<5.0%、125μm未満の細粒分の含有率<5.0%、600μmを超える粒分の含有率<5.0%、約97.0%の製造歩留まりを有している。
【0045】
前記ドライシロップは、薬包又はスティックパック内に充填される。薬包は、当該生成物を適切に投与する能力と、達成可能な最小充填質量と、前記粒に対する機械的ストレス(応力)の影響と、異なるパッケージング(包装)構造の使用とに適合するように選択される。平坦な薬包及び種々の充填質量のために、任意の既知のパッケージングを用いてもよい。具体的な充填質量は、300mg及び600mgであり、これらの数字は、本明細書においては、非常に低い有効性成分含量(dosage strength)(15mg及び30mg)の薬剤の調製に適用される。最終的なパッケージングは、スティックパック又はフラットパック等の種々の構造を有してもよく、パッケージングの一例は、一列に並んだ5つのボックスがPEフィルムで互いに連結されたものであってもよい。
【0046】
本発明のフェキソフェナジン味覚遮蔽性マイクロカプセルは、コアセルベーション法(coacervation)によって調製してもよく、そのコアセルベーション法は、味覚遮蔽性マイクロカプセルを製造するための効果的な技術である。そのコアセルベーション法は、巨大分子を、固体又はゲル状の凝集体というよりはむしろ液状コロイド液滴内へ塩析する工程を伴う。コアセルベーション法は、米国特許第5,252,337、第5,639,475、第6,139,865及び第6,495,160号に記載されるようにして実施してよく、それら米国特許の内容の全ては、あらゆる目的のために、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
【0047】
本発明のマイクロカプセルは、適切な溶媒中に不水溶性重合体が存在する均一な溶液を提供することによって調製してもよく、そのような溶液中においては、前記有効成分、更には、任意に選択されたコーティング用添加剤(excipient、イクシピエント)が、懸濁状態で分散されている。その後に相分離を採用し、それにより、前記不水溶性重合体の不溶化を行ってもよく、その不水溶性重合体は、前記有効成分粒子の周囲でゲル化(コアセルベート化)して前記マイクロカプセルを形成する。相分離は、例えば、温度若しくはpHを変化させるか、又は、前記不水溶性重合体の不溶化を生じさせる相分離誘発剤(すなわち、相誘発剤)を前記有機溶媒に添加することにより、行ってもよい。最後に、その取得されたマイクロカプセルは、必要に応じて硬化させられ、そして回収される。
【0048】
より具体的には、本発明に従って味覚遮蔽・即放性粒子を調製する方法は、(a)不水溶性重合体を有機溶媒中に溶解させる工程と、(b)フェキソフェナジンを前記有機溶媒中に懸濁させる工程と、(c)相分離により、前記不水溶性重合体のコーティングを前記フェキソフェナジンに適用する工程と、(d)例えばフィルタリング、遠心分離により、前記マイクロカプセルを前記有機溶媒から分離する工程と、(e)前記マイクロカプセルを乾燥させることによって残留有機溶媒を除去する工程とを含む。
【0049】
既に論じたように、前記相分離工程は、温度若しくはpHを変化させるか、又は前記不水溶性重合体の不溶化を生じさせる相誘発剤を前記有機溶媒に添加することにより、実施してもよい。一実施態様においては、前記相分離工程が、相誘発剤を前記有機溶媒に添加することによって行われる。本発明において用いてもよい適切な相誘発剤は、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリブタジエン、イソプレンメタクリル重合体、ポリジメチルシロキサン等の有機ケイ素重合体、パラフィン等を含む。一実施態様においては、前記相誘発剤は、ポリエチレンである。
【0050】
前記有機溶媒は、単一の有機溶媒でもよく、複数の有機溶媒の混合物を含んでもよい。前記コアセルベーション法に従い、前記有機溶媒は、前記コーティング重合体は溶解させるが前記有効成分は溶解させないように選択される。適切な有機溶媒は、シクロヘキサン溶媒又は他の炭化水素溶媒を含む。一実施態様においては、前記有機溶媒は、シクロヘキサンである。
【0051】
適切な不水溶性重合体のいくつかの例であって他を排除しないものは、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、中性メタクリル酸−メチルメタクリル酸塩共重合体、及びこれらの混合物を含む。本発明に従って味覚遮蔽・即放性粒子を調製する方法の一実施態様においては、前記不水溶性重合体が、エチルセルロースであり、前記相誘発剤が、ポリエチレンであり、前記溶媒が、シクロヘキサンであり、前記フェキソフェナジンが、塩酸フェキソフェナジンである。
【0052】
前記味覚遮蔽性フェキソフェナジン・マイクロカプセル共顆粒は、不活性成分(例えば、糖アルコール及び/又はサッカリド)と共に(と組み合わせて)共顆粒化することによって調製され、その共顆粒は、流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)内の微粉末という形態を有し、かつ、結合剤溶液(binder solution)を噴霧することにより形成される。この方法は、1)フェキソフェナジンをマイクロカプセル化する工程と、2)前記マイクロカプセルを湿潤化する工程であって任意選択的に実行されるものと、3)湿潤又は非湿潤のフェキソフェナジン・マイクロカプセルを単一又は複数の不活性成分に添加する工程と、4)前記結合剤溶液を噴霧する工程と、5)前記複数の粒を乾燥させる工程と、6)前記複数の粒をふるい分ける工程とを含む。
【0053】
粒化は、従来の技術に従い、従来の造粒機において実施してもよい。前記結合剤溶液は、1つ以上の不活性成分からなり、望ましくは、2つの不活性成分からなり、このことは、前記ショ糖と共に(と組み合わせて)前記マイクロカプセルを効率的に粒化するために特に適している。前記結合剤溶液は、望ましくは、ショ糖及びキサンタンガムからなる。他の不活性成分は、糖類、糖類アルコール類、サッカリド類、糖/糖アルコールから成る群より選択し、それに、崩壊剤を組み合わせてもよい。
【0054】
この方法の実行中、複数のパラメータ、すなわち、結合剤溶液の量、湿潤マイクロカプセルと前記単一又は複数の不活性成分との比率、前記結合剤溶液の噴霧速度、それの噴霧圧、及びそれの空気流量が制御によって維持される。前記複数の粒の乾燥は、流入空気温度、流入空気流量、等のいくつかの条件がそれぞれ同一に維持されるように制御されつつ行われる。前記複数の粒は、840μmのステンレス鋼製の網によって(through,を通して)ふるい分けされる。
【0055】
前記共顆粒は、続いて、前記単一又は複数の不活性成分の粒と混合される。最終的な混合物は、上述の共顆粒と、前記単一又は複数の不活性成分の粒とを含む。具体的な一実施態様においては、この医薬組成物は、前記共顆粒と、前記粒化された単一又は複数の不活性成分とを1:1の比で有する。
【0056】
具体的な単一又は複数の不活性成分の粒は、ショ糖からなる。その粒は、複数の工程、すなわち、1)前記単一又は複数の不活性成分を添加する工程と、2)前記結合剤溶液を噴霧する工程と、3)前記複数の粒を乾燥させる工程と、4)ふるい分け及び校正(calibrating、ふるいの校正)を行う工程とを含む方法によって取得される。この方法の実行中、複数の実験的条件、すなわち、粒化された粉末の量、前記溶液の噴霧速度、それの噴霧圧、及びそれの流入空気の湿度が制御される。前記空気流量は一定に保たれる。全ての乾燥工程は、同一の条件(流入空気温度、流入空気量、等)で行われる。前記複数の粒は、600μm又は840μmのステンレス鋼製の網によって(を通して)ふるい分けされる。840μmより大きい粒は、強制的に、600μmスクリーン造粒機を通過させられる。
【0057】
前記共顆粒、前記単一又は複数の不活性成分の粒、及び別の成分(例えば、香味料、滑剤)の混合は、適切な混合時間の間、制御された回転速度の下で行われる。
【0058】
フェキソフェナジン・ドライシロップの調製方法は、複数の異なる工程、すなわち、1)フェキソフェナジンをマイクロカプセル化する工程と、2)マイクロカプセルを湿潤化する工程であって任意選択的に実行されるものと、3)湿潤又は非湿潤のマイクロカプセルを、少なくとも1つの不活性成分(例えば、ショ糖)と共に(と組み合わせて)共顆粒化する工程と、4)単一又は複数の不活性成分(例えば、ショ糖)を別個に粒化する工程と、5)工程3)で得られたフェキソフェナジンの共顆粒を、工程4)で得られた、粒化された不活性成分(例えば、ショ糖)、及び、任意選択的に追加される別の不活性成分(例えば、香味料及び二酸化ケイ素)と一緒に混合する工程と、6)工程5)のフェキソフェナジン・ドライシロップ・バルク混合物を薬包内に充填する工程とを含む。
【0059】
本発明によれば、更に、個人における炎症関連疾患を治療する方法が提供される。この方法は、投与を必要としている個人に味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルを含む医薬組成物を投与する工程を含み、前記マイクロカプセルは、フェキソフェナジンと、不水溶性重合体コーティングとを含む。本発明に従って治療することが可能である炎症関連疾患は、季節性アレルギー鼻炎及び慢性特発性じんましんを含む。
【0060】
個人に投与されるべき塩酸フェキソフェナジンの服用量は、治療を受けている個人の年齢の他、その個人の適応症(indication)に応じて変化する可能性がある。塩酸フェキソフェナジンの一般的な服用量は、15mgを毎日2回、30mgを毎日2回、60mgを毎日2回、そして、180mgを毎日1回である。従って、本発明の医薬組成物を用いて調製される最終的な剤型は、例えば、15mgの塩酸フェキソフェナジン、30mgの塩酸フェキソフェナジン、60mgの塩酸フェキソフェナジン又は180mgの塩酸フェキソフェナジンを含むことが可能である。
【0061】
以下のいくつかの例は、例示を目的として提供されており、よって、それら例を、本発明を限定するように解釈することを決して行うべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、シクロヘキサン試料1(平均エチルセルロース質量10%)におけるフェキソフェナジン・マイクロカプセルの顕微鏡写真である。
【図2】図2は、シクロヘキサン試料2(平均エチルセルロース質量13%)におけるフェキソフェナジン・マイクロカプセルの顕微鏡写真である。
【図3】図3は、シクロヘキサン試料3(平均エチルセルロース質量15%)におけるフェキソフェナジン・マイクロカプセルの顕微鏡写真である。
【図4】図4は、シクロヘキサン試料5(平均エチルセルロース質量17%)におけるフェキソフェナジン・マイクロカプセルの顕微鏡写真である。
【図5】図5は、シクロヘキサン試料6(平均エチルセルロース質量20%)におけるフェキソフェナジン・マイクロカプセルの顕微鏡写真である。
【図6】図6は、マイクロカプセル試料4−エチルセルロース15%の顕微鏡写真(倍率2.5×)である。
【図7】図7は、マイクロカプセル試料7−エチルセルロース20%の顕微鏡写真(倍率2.5×)である。
【図8】図8は、エチルセルロース15%を有するマイクロカプセルの粒度分布(PSD)を示す図である。
【図9】図9は、緩衝液pH6.8第2液JP中でのエチルセルロース15%のフェキソフェナジン・マイクロカプセルの溶出度プロファイル(n=6)を示す図である。
【図10】図10は、溶解媒体中に0.01MのDOSSの0.5mLが添加された場合又は添加されない場合におけるフェキソフェナジン・マイクロカプセルの溶出度プロファイルを示す図である。
【図11】図11は、緩衝液pH6.8第2液JP中での工業的湿潤マイクロカプセルからのフェキソフェナジンの溶出度プロファイル(n=6)を示す図である。
【図12】図12は、互いに異なる3つの平均エチルセルロース質量レベルを有するマイクロカプセルからのフェキソフェナジンの溶解速度を示す図である。
【図13】図13は、互いに異なる複数のエチルセルロースレベルでの湿潤可能マイクロカプセルの、pH6.8第2液JPでの溶出度プロファイルを示す図である。
【図14】図14は、異なる複数の溶解媒体中でのフェキソフェナジン・マイクロカプセルの溶出度プロファイルを示す図である。
【図15】図15は、SG粒(試料68)、250〜600μmで選択される粒分の粒度分析を示す図である。
【図16】図16は、SGX粒(試料69)、250〜600μmで選択される粒分の粒度分析を示す図である。
【図17】図17は、SβCD粒(試料70)、250〜600μmで選択される粒分の粒度分析を示す図である。
【図18】図18は、平均エチルセルロース質量13%を有するマイクロカプセルからのフェキソフェナジンの溶解速度を示す図である。
【図19】図19は、平均エチルセルロース質量17%を有するマイクロカプセルを含有する製剤からのフェキソフェナジンの溶解速度を示す図である。
【図20】図20は、平均エチルセルロース質量20%を有するように調製された単純な(plain)マイクロカプセルからのフェキソフェナジンの溶解速度を示す図である。
【図21】図21は、pH6.8(JP第2液)での、エチルセルロース13%のマイクロカプセル(試料8)及びそれに対応する試作品試料36、試料32の、それぞれの溶出度プロファイルを示す図である。
【図22】図22は、pH6.8(JP第2液)での、エチルセルロース17%のマイクロカプセル(試料9−D)及びそれに対応する試作品試料37、試料39、試料33の、それぞれの溶出度プロファイルを示す図である。
【図23】図23は、pH6.8(JP第2液)での、エチルセルロース20%のマイクロカプセル(試料6−D2)及びそれに対応する試作品試料38の、それぞれの溶出度プロファイルを示す図である。
【図24】図24は、平均コーティング質量13%のマイクロカプセル(試料8)の、種々の溶解媒体中での溶解速度を示す図である。
【図25】図25は、平均エチルセルロース質量13%のマイクロカプセル(試料32)を含有するように調製された生成物の、種々の溶解媒体中での溶解速度を示す図である。
【図26】図26は、平均コーティング質量17%のマイクロカプセル(試料9−D)の、種々の溶解媒体中での溶解速度を示す図である。
【図27】図27は、平均エチルセルロース質量17%のマイクロカプセル(試料33)を含有するように調製された生成物の、種々の溶解媒体中での溶解速度を示す図である。
【図28】図28は、小粒子の形成に対する製造工程パラメータ(プロセス・パラメータ、製法パラメータ)の影響を説明するレーダグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
実験に関して説明する部分
【0064】
1. フェキソフェナジン・マイクロカプセル
【0065】
1.1 フェキソフェナジン・マイクロカプセル調製のための方法及び設備
【0066】
シクロヘキサンがマイクロカプセル化反応器内に注がれる。続いて、連続的な攪拌の下でフェキソフェナジンHCl、エチルセルロース(EC)及びポリエチレンが添加される。その混合物は加熱され、続いて冷却される。複数のマイクロカプセルが回収され、続いて洗浄され(1回以上)、フィルタリングされ、そしてドラフト(fume hood)内又はフード内で一晩(約16時間)、40℃で乾燥させられる。その粉末は、300μmの空孔(opening)を有するふるいによって(through,を通して)ふるい分けられる。
【0067】
【表1】
【0068】
1)エポリーン(Epolene)は、洗浄工程中に除去され、2)シクロヘキサンは、乾燥工程中に除去される。
【0069】
マイクロカプセルについての種々のバッチが作製され、また、最終的なマイクロカプセル中のエチルセルロース・コーティングの量(%w/w、マイクロカプセル質量利得として計算される)が表2にまとめられている。
【0070】
【表2】
【0071】
前記マイクロカプセルは、外観、粒度分布、残留溶媒含有量及び溶解速度によって特徴付けられる。前記5つのバッチについての、前記マイクロカプセル化処理の最終段階で行われる顕微鏡的評価は、前記フェキソフェナジン粒子の周囲に重合体コーティング(膜、壁)が適切に被着し、かつ、その被着した重合体コーティングが、前記種々のバッチを調製するために用いられる前記重合体の量に整合していることを示している(図1〜図5参照)。
【0072】
図6及び図7に示すように、前記マイクロカプセルの粒度及び凝集度が、適用(塗布)される重合体コーティングの量に対して比例して増加することが認められる。前記フェキソフェナジンの非常に小さい複数の粒子が、粒化に似た処理を施され、そして50〜200ミクロン粒度の範囲内で、互いに離散する複数の粒子クラスタを形成し、ここに、クラスタ粒度は、重合体レベルと共に増加することが観察される。
【0073】
15%コーティングを有するマイクロカプセルの粒度分布(PSD)が測定される(試料3から生成される)。25g〜50gの範囲内の量のマイクロカプセルが、100mLのHDPEボトル内へ注入され、0.2%(w/w)のシロイド(Syloid)244(コロイド状二酸化ケイ素、ダブリュ・アール・グレース、コロンビア、メリーランド(WR Grace, Columbia, Maryland))が、150μmスクリーンでふるい分けされ、前記マイクロカプセルに添加され、そして手動で2分間混合される。マイクロカプセルとシロイド244の混合物は、デジタル・オクタゴン(Octagon)装置を用いて振幅7で10分間ふるい分けされる。その結果は、図8に報告されている。250ミクロンより大きいマイクロカプセルの細粒分の含有率は、80%以上である。
【0074】
【表3】
【0075】
表3に示すように、マイクロカプセルの検定値は理論値に近い(98〜99%)。
【0076】
実験室規模で調製される全てのマイクロカプセルにつき、残留溶媒(シクロヘキサン)の量は常に100ppm未満である。
【0077】
1.2 工業規模のマイクロカプセル化
【0078】
種々のレベル(15%、18%及び20%)のエチルセルロースでのフェキソフェナジン・マイクロカプセルが、80ガロンのステンレス製の反応器内でのコアセルベーション処理により、かつ、前記乾燥工程のための流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)装置を用いて調製される。フェキソフェナジンHCl(コード1)及びフェキソフェナジンHCl(コード2)が、マイクロカプセルの調製に用いられる。エチルセルロース15%を有するマイクロカプセルが調製される(試料71)。試料72及び試料73についての「管内の(in vitro)」溶出度(両者は、互いに異なる開始フェキソフェナジン(コード2)で調製される)。互いに異なる複数のAPIバッチで調製される前記複数のマイクロカプセルの間に有意な差は認められない(マン・ホイットニー(Mann-Whitney)ノンパラメトリック統計分析、p=0.05)。
【0079】
15%、18%及び20%のエチルセルロースレベルを有するマイクロカプセルが生成される。前記マイクロカプセル化の試行は、前記API及び前記単一又は複数の不活性成分を前記80ガロン反応器内に入れ、続いて、未使用のシクロヘキサンを添加することにより、実施される。当該サイクルの温度パラメータ及び攪拌条件は、前述したように設定される。前記熱サイクルの最後に、パドルの回転が停止され、前記生成物の安定化が可能となる。浮遊物が真空ポンプを用いて除去され、そして未使用の溶媒が添加される。前記混合物は、短時間だけ攪拌される。その後、前記マイクロカプセルは、再び沈殿することができ、また、前記シクロヘキサンの一部は、2回目に備えて除去される。続いて、前記マイクロカプセルは、流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)であって、それの底部に70μmのステンレス鋼製のふるいを装備するものにおいて、不活性窒素雰囲気、かつ、真空下で、フィルタリングされる。前記溶媒が除去された後、前記マイクロカプセルのスラリは、同じ流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)内で、3000ppm未満の残留シクロヘキサンレベルまで乾燥される。得られる生成物は、前記流動層のチャンバから手動で(手作業で)排出されるとともに、840μmのステンレス鋼製のふるいによって(を通して)ふるい分けされる。
【0080】
【表4】
【0081】
緩衝液pH6.8第2液JPにおけるフェキソフェナジン・マイクロカプセル(エチルセルロースレベル15%)の溶出度プロファイル(溶出度プロファイル)が図9に表示されている。
【0082】
1.3 マイクロカプセルの溶出性試験(溶解性試験)
【0083】
前記マイクロカプセルの試作品の湿潤性は、DOSS等の界面活性剤を少量、前記溶解媒体に添加した場合に、改善された。
【0084】
マイクロカプセルに対する溶出性試験は、少量の界面活性剤を前記溶解媒体に添加することによって行われる。
【0085】
図10は、前記溶解媒体中に、0.01MのDOSSの0.5mLを添加した場合又は添加しない場合における15%のECを有するマイクロカプセル(サンプル4)の溶出度プロファイルを示している。
【0086】
市販のアレグラ(Allegra)(登録商標)タブレット製剤の溶解速度との比較がUSPパドルを用いて実施され、それが表5に報告されている。
【0087】
【表5】
【0088】
この比較は、15%及び10%のエチルセルロースレベルでは、マイクロカプセル化されたフェキソフェナジンの溶出度が前記タブレット調剤の溶出度と同様であることを示している。味覚評価は、15%コーティングが許容可能な味覚特性を実現することを示している。
【0089】
互いに異なる複数のバッチのマイクロカプセルにつき、pH6.8緩衝液(溶出性試験のための第2液、JP15)を用いる公定分析的溶解法を用いた溶解値、及び検定値が表6〜表8にまとめられている。
【0090】
【表6】
【0091】
15%エチルセルロースを有するマイクロカプセルが調製され(試料71)、また湿潤され(実験室規模でのその場(in situ)処理による。試料71/A)、そして溶出度が表において比較されている。
【0092】
【表7】
【0093】
1.4 湿潤マイクロカプセル調製
【0094】
エチルセルロースの疎水性は、前記マイクロカプセルが水性環境において用いられる場合に、何らかの不都合を生じさせる。そのようなマイクロカプセルを含む、最終的な剤型がグラスの水内に置かれると、前記疎水性マイクロカプセルは、浮遊するとともに凝集体(例えば、クランプ(clumps)又はクラスタ)を形成する傾向があり、また、その一部は、前記グラスの壁に付着する傾向がある。
【0095】
前記マイクロカプセルの湿潤性の改善は、そのマイクロカプセルを必要最小量の界面活性剤で処理することによって達成される(湿潤処理)。種々の湿潤成分が研究されている(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースとポリエチレングリコール600、1000、3350及び6000、ルトロール(Lutrol)F68等)。
【0096】
前記マイクロカプセルの湿潤処理は、表面活性剤を用いて行われ、その湿潤処理は、前記マイクロカプセルを界面活性剤溶液中に懸濁させること、又は、例えば、後述の流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)コーティング若しくは他の適切な設備を用いて、界面活性剤溶液を前記マイクロカプセルに吹き付ける(噴霧する)ことによって実施される。
【0097】
懸濁による湿潤処理 この処理は、シクロヘキサンで希釈されたドクサートナトリウム(DOSS)溶液中で前記マイクロカプセル(例えば、試料3、平均コーティング質量15%)を懸濁することによって実施される。その懸濁液は、約15分間200rpmで混合され、続いて、シロイド244が、攪拌されつつ、前記混合物へ添加される。前記マイクロカプセルは、標準的な設備を用いてフィルタリングによって回収される。前記マイクロカプセルは、続いて、室温で約16時間乾燥され、そして300ミクロンのふるいを用いてふるい分けされる。前記マイクロカプセルに添加される前記DOSS溶液は、望ましくは、0.25%より多いDOSSを含有する。複数のロット、すなわち、試料8(平均コーティング質量13%)、試料19−D(平均コーティング質量15%)、試料9−D(平均コーティング質量17%)及び試料6−D(平均コーティング質量20%)が調製される。
【0098】
流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)による湿潤処理 この処理は、ウルスター・インサート(Wurster Insert)を備えた流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)コーティング器を用い、そして標準的な噴霧手順に従って界面活性剤溶液で前記マイクロカプセルをコーティングして行われる。その処理されたマイクロカプセルは、続いて、300ミクロンのふるいによって(を通して)ふるい分けされる。平均EC質量15%を有する試料20−Dが調製される。湿潤されたマイクロカプセルであって取得されたものは、顕著な凝集性及び撥水性を招来することなく、水性環境内で容易に懸濁可能である。前記湿潤処理の再現性は、溶出性試験によってチェックされる。マイクロカプセルの前記複数のバッチにつき、「管内(in vitro)」溶解値、検定値及び不純物度が、後の部分で報告されるようにチェックされる。
【0099】
実験室規模の湿潤処理 この湿潤処理は、ドクサートナトリウムの水溶液及び分散された二酸化ケイ素を適用することによって、上部噴霧流動層装置内で実施される。3つの異なるレベル0.45%、0.60%及び0.75%の界面活性剤が、400gのマイクロカプセル試料78(EC15%)に適用される。得られたいくつかの結果が表8に列挙されている。
【0100】
【表8】
【0101】
工業規模の湿潤処理 この湿潤処理は、18インチの流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)装置で直接的に工業規模で実施され、そして一連の湿潤マイクロカプセル・バッチ試料17及び試料18が生成される。その湿潤分散は、マープリーン(Marprene)(登録商標)チューブを装備したワトソン・マーロウ(Watson-Marlow)ポンプを用いて前記流動層内へ投入される。理論上の組成は表9に報告されており、またそれの溶出度プロファイルは表10及び図11にそれぞれ示されている。更に、試料18の含水率(カール・フィッシャー(Karl Fisher)分析)が測定される(0.38%)。
【0102】
【表9】
【0103】
【表10】
【0104】
1.5 湿潤マイクロカプセルの分析及び溶出性試験
【0105】
検定値及び不純物が種々の試料について分析される。
【0106】
【表11】
【0107】
表11に示すように、試験された全ての試料につき、前記湿潤マイクロカプセルの検定値は理論値に近く(98〜99%)、また、不純物の総量レベルは0.1%未満である。
【0108】
前記湿潤マイクロカプセルの溶解は、pH6.8のJP第2液を用いて実施される。これらの結果は表12にまとめられており、また、それらのうちのいくつかは図12においてグラフとしても表されている。
【0109】
【表12】
【0110】
13%、15%及び17%の平均コーティング質量を有する複数の試料は、前記フェキソフェナジンのうちの80%を15分以内に放出している。その溶解速度は前記ECレベルに整合しており、すなわち、より高いコーティングレベルを有する試料ほど、より遅い溶解速度を示す一方で、より低いコーティングレベルを有する試料ほど、より速い放出速度を示す。特に、前記流動層を用いて適用(塗布)された界面活性剤で処理されているバッチ(試料20−D)は、より速い放出速度(5分以内に80%放出)を有している(図13も参照)。
【0111】
湿潤マイクロカプセルの複数のバッチの検定値及びそれらの「管内」溶解値が表13〜表20にまとめられている。
【0112】
【表13】
【0113】
【表14】
【0114】
【表15】
【0115】
【表16】
【0116】
【表17】
【0117】
【表18】
【0118】
【表19】
【0119】
【表20】
【0120】
「管内」溶解値は、適用されているエチルセルロースの量に従っている。同じコーティングレベルを有する試料間でのバッチ間ばらつきは、前記マイクロカプセルの、優れた湿潤性及び分散性に起因して顕著に低減されている。それら湿潤マイクロカプセルの溶出度プロファイルを、それに対応する非湿潤マイクロカプセルと比較することにより、それら湿潤マイクロカプセルが、界面活性剤無添加の媒体中で、より高い溶出度プロファイルを示すことが示される(表21〜表24)。
【0121】
【表21】
【0122】
【表22】
【0123】
【表23】
【0124】
【表24】
【0125】
湿潤マイクロカプセルは、界面活性剤を前記溶解媒体緩衝液に添加することを必要とすることなく、試験される全ての媒体中で、許容可能な湿潤性及び分散性を示している。図14は、湿潤処理を伴う場合及び伴わない場合における種々の媒体中でのフェキソフェナジンのマイクロカプセルの溶出度プロファイルを比較している。
【0126】
上述のデータから、小さな味覚遮蔽性マイクロカプセル(約200μm)は水中で容易に分散可能であり、更に、適切な放出率プロファイルが達成されていることが明らかであり得る。
【0127】
1.6 残留溶媒マイクロカプセル・バッチ分析
【0128】
種々のコーティングレベルで調製される湿潤及び非湿潤のマイクロカプセルにおける残留シクロヘキサンは、前記マイクロカプセルの質量に基づき、100ppm未満のレベルで測定される。データは表25にまとめられている。
【0129】
【表25】
【0130】
以上のことから、残留シクロヘキサンは、Q3C(R3)指針において報告されているICH限界内であることが明らかである。
【0131】
2. 調合されたフェキソフェナジン・マイクロカプセルの作製
【0132】
フェキソフェナジン・マイクロカプセルが、一連の単一若しくは複数の外部不活性成分及び/又は単一若しくは複数の添加剤(excipient、イクシピエント, 賦形剤)と共に調合され、その目的は、試作粒(prototype granulates)を調製するとともに特徴付けることにあり、その試作粒は、1)前記マイクロカプセルに適合することと、2)フェキソフェナジンの苦味を更に低減することと、3)前記マイクロカプセルの嚥下を容易にすることと、4)前記マイクロカプセルの水中での分散を容易にすることと、5)水中での分散及び懸濁が容易であるマイクロカプセルを取得することとのうちの少なくとも一つを行う。
【0133】
2.1 単一又は複数の不活性成分の選択
【0134】
単一又は複数の不活性成分の選択が行われ、そしてフェキソフェナジンと、評価された不活性成分との二元混合物が、種々の薬剤対不活性成分比で調製されるとともに、密閉されたガラスびん内に、50℃、かつ、多湿条件及び乾燥条件で保管される。定期的に前記混合物の化学的安定性がHPLC試験によって評価される。概略的には、その結果は、前記選択された不活性成分を有するAPIが標準的な温度及び湿度の条件下で適度に安定していることを示している。
【0135】
種々の不活性成分はまた、マイクロカプセルの分散/懸濁能力(蒸留水20mL、マイクロカプセル36mg)を評価するために用いられ、それら不活性成分は表26に報告されている。
【0136】
【表26】
【0137】
2つの調剤手法が実施され、1つは、フェキソフェナジン・マイクロカプセルを粒化生成物(添加剤(excipient、イクシピエント))と直接混合する手法であり、もう1つは、フェキソフェナジンをショ糖の一部と共に(と組み合わせて)流動層造粒し、次に、別の粒化ショ糖と混合して最終的な希釈に至る手法である。
【0138】
2.2 粒の調製及び分析
【0139】
3種類の粒、すなわち、1)ショ糖粒(SG)、2)ショ糖−キサンタンガム粒(SXG)、及び3)ショ糖−βシクロデキストリン粒(SβCD)が上部噴霧フルイド・ベッドによって生成される。その流動層造粒法は、均一な粒度と、水に急速に溶解する能力とを有する軟粒を生成するように選択される。
【0140】
SGは、ショ糖の水溶液(5%w/w)でショ糖を粒化させることによって得られる。その最終生成物は、乾燥され、そして250〜600μmの粒分(granule fraction)が選択される。その生成された粒の粒度及びバルク密度(0.5g/mL)が特徴付けられる(図15)。
【0141】
SXGは、ショ糖を、まずはショ糖の水溶液(5%w/w)で、次にはキサンタンガムの水−アルコール懸濁液でそれぞれ粒化させることによって調製される。その最終生成物は、乾燥され、そして250〜600μmの粒分が選択される。その生成された粒の粒度、バルク密度(0.5g/mL)及び残留エタノール含有率(<100ppm)が特徴付けられる(図16)。
【0142】
SβCDは、ショ糖及びβシクロデキストリンの粉末混合物(2:1w/w)を、ショ糖の水溶液(5%w/w)で粒化させることによって生成される。その最終生成物は、乾燥され、そして250〜600μmの粒分が選択される。その最終生成物の粒度及びバルク密度(0.4g/mL)が評価される(図17)。
【0143】
これら3種の粒の組成は、表27に説明されている。
【0144】
【表27】
【0145】
2.3 フェキソフェナジン・マイクロカプセル/粒の混合物の調製
【0146】
2.3.1 第1セットを成すフェキソフェナジン・マイクロカプセルの複数の例であって、SGX粒、SG粒及びSβCD粒と混合されるもの
【0147】
それら複数の試料は、フェキソフェナジンHClマイクロカプセルを、互いに異なる3つの平均EC質量レベル(13%、17%及び20%)で用いて調製される。全ての試料は、キサンタンガム及びショ糖の共顆粒を含有する(400mg)。それら原料に加えて、各試料は、一定量のショ糖粒(150mg)を、単独で又は別の単一若しくは複数の不活性成分、例えば、βシクロデキストリン(βCDX)と一緒に含有する。これに対する唯一の例外は、試料39であり、この試料39は、別のショ糖粒を、種類の如何を問わず、含有していない。
【0148】
別の複数の添加剤(excipient、イクシピエント, 賦形剤)が、試料30、試料31、試料32、試料33及び試料34に添加される。香味料が、試料30及び試料31に添加される一方で、βシクロデキストリン(βCD)が、試料32、試料33及び試料34に添加される。
【0149】
プラシーボ試料もまた調製される(試料35)。そのプラシーボ試料は、フェキソフェナジンHClの代わりに、マイクロカプセル化されたタルクを含有する。下の表28は、前記複数のバッチの定性的及び定量的な組成をまとめている。
【0150】
【表28】
【0151】
結果として得られる粒の分散の均一性は、20mLの水中での擾乱/攪拌の前後でそれぞれ特徴付けられる。
【0152】
更に、基準、例えば、前記フェキソフェナジン・マイクロカプセル/粒の混合物につき、沈殿/沈降/浮遊、再懸濁能力、注入後の残留物、並びに、pH6.8 JP、1mMのHCl(pH3.0)及び蒸留水での溶出度のようなものも同様に評価される。
【0153】
前記湿潤性及び分散性の試験は、50mLのガラス製ビーカ内で、脱塩水20mLの存在下、室温(20〜25℃)で行われる。具体的には、フェキソフェナジンHCl及び前記選択された単一又は複数の不活性成分の30mgに対応する量のマイクロカプセルが秤量されるとともに前記ビーカ内に注入される。前記混合物は、10秒間緩やかに攪拌され、そして浮遊、沈降、沈下しながら塊を形成する傾向が30秒間観察される。最終的に、前記懸濁液は、再度2秒間攪拌されるとともに注ぎ出され、そして前記ビーカ内の残留物が、その種類の如何を問わず、評価される。最後に、前記フェキソフェナジン・マイクロカプセル/粒混合物の口腔内感覚(mouth feel)及び味覚遮蔽特性が、前記粉末を口腔内へ投与することによるか、又は前記粉末をテーブルスプーン上に、数ミリリットルの水と共に投与することによって評価される。フェキソフェナジン・マイクロカプセル(≒36mg)のそれら複数のバッチに添加される単一若しくは複数の外部不活性成分及び/又は添加剤(excipient、イクシピエント, 賦形剤)の最大量は、550mgである。
【0154】
2.3.1.1 フェキソフェナジン・マイクロカプセル/粒混合物の溶出度
【0155】
一連の試験は、フェキソフェナジン・マイクロカプセルを、表28において上述したように、13%〜20%の範囲内にある量のエチルセルロースでコーティングされるとともに前記3つの異なる種類の粒と混合された状態で用いて実施される。前記湿潤性/分散試験によれば、粒を前記フェキソフェナジン・マイクロカプセルと組み合わせることが、そのフェキソフェナジン・マイクロカプセルの、水中での湿潤性及び分散性に対して悪影響を有しないことが示される。更に、良好な分散性が、前記薬剤につき、限定された量(少量)の液体(テーブルスプーン)を用いて示される。
【0156】
試料35は、フェキソフェナジンHClの代わりにタルクのマイクロカプセルを用いて調製されるプラシーボである。試料34は、試料32と同じ組成を有しており、そして最低のコーティングレベルを有するマイクロカプセルの味覚遮蔽能力を確認するために調製される。前記複数の試作品はすべて、SXGの粒を用いて調製される。SβCD粒は、幾つかの試料(試料32、試料33、試料34)において、この単一又は複数の不活性成分が苦味の低減度に及ぼす影響を評価するために用いられる。試料39は、単一又は複数の不活性成分が口腔内感覚に及ぼす効果を評価するために、低減されたレベル(少量)の不活性成分を用いて調製される。香味付けされた試作品の試料30及び試料31もまた評価される。それら試料の溶出度プロファイルが、以下の表及び図において報告されている。
【0157】
味覚遮蔽試験により、全ての試料が即時的な甘味感覚を生じさせ、それに続いて僅かな苦味が生じる(20〜30秒後)ことが示された。しかし、この苦味は、不快な味とは認識されない。
【0158】
13%、17%、20%の重合体を有するフェキソフェナジン・マイクロカプセル/粒混合物の溶解がpH6.8のJP第2液を用いて行われ、その結果が、表29〜表31にまとめられるとともに図18,図19,図20にグラフとしても示されている。それらの結果は、未調合のマイクロカプセルを用いて得られる結果と比較される。
【0159】
【表29】
【0160】
その生成物の溶解特性は、前記マイクロカプセルのそれと同等であり、その生成物についての全体的な溶解速度は、小さな増加を示す。
【0161】
【表30】
【0162】
その調合された生成物の溶解特性は、前記マイクロカプセルのそれと同等であり、その生成物についての全体的な溶解速度は、小さな増加を示す。
【0163】
20%の平均EC質量を有するマイクロカプセルを含有するように調合された生成物の溶解は、pH6.8のJP第2液を用いて行われる。これらの結果は、非調合のマイクロカプセルと比較される。これらの結果は、以下の表31にまとめられるとともに図20にグラフとしても示されている。
【0164】
【表31】
【0165】
各コーティングレベルにつき、その調合されたマイクロカプセル試作品の溶解速度は、マイクロカプセル単独の溶解速度と同等である(図21〜図23参照)。前記選択された単一又は複数の不活性成分は、前記マイクロカプセルの溶出度プロファイルに影響を与えるようには見えない。
【0166】
調合された生成物バッチに対する溶解はまた、13%及び17%のコーティングを有するマイクロカプセルを用いても行われ、そして、その溶解速度が1mMのHCl及びDI水(脱イオン水)を用いて試験される。その結果が、以下のいくつかの表に報告されており、それら表は、さらに、上述のpH6.8のJP第2液中での溶出についての値を含み、また、前記結果は、図24〜図27にグラフとして表されている。
【0167】
【表32】
【0168】
【表33】
【0169】
【表34】
【0170】
マイクロカプセル試料9−D(17%平均エチルセルロース質量)を含む薬包(サチェット)型試作品試料33の溶解速度が以下に表35において報告されている。
【0171】
【表35】
【0172】
その調合された試作品の溶解速度は、その試作品に対応するマイクロカプセルの溶出度プロファイルと同等である。使用される単一又は複数の不活性成分は、前記マイクロカプセルの溶出度プロファイルに影響を与えるようには見えない。
【0173】
2.3.2 第2セットを成すフェキソフェナジン・マイクロカプセルの複数の例であって、SC粒及びSGX粒と混合されて調製されたもの
【0174】
第2の一連のフェキソフェナジン生成物が調製される(表36)。それら組成物は、次の基準、すなわち、1)試作品は、13%又は15%のコーティングを有するマイクロカプセルを用いて調製する、2)βシクロデキストリンは使用しない、3)固有量の香味料(バナナ又はストロベリー)を全ての試作品について使用する、4)前記香味料を、SG粒及び少量の二酸化ケイ素と混合される調剤に導入するという基準に基づいて調製される。
【0175】
【表36】
【0176】
フェキソフェナジンは、高速メカニズムで放出される(すなわち、15分で80%以上を放出)(表37)。
【0177】
【表37】
【0178】
2.3.3 第3セットを成すフェキソフェナジン・マイクロカプセルの複数の例であって、SGX粒と混合されて調製されたもの
【0179】
別の複数の試作品が以下のように調製される。フェキソフェナジン・マイクロカプセルがSGX粒と組み合わされ、そしてキサンタンガムの濃度が1.0%w/wに維持されるように、SGX粒においてキサンタンガムの量が1.5から1.1%w/wに減少させられる。
【0180】
【表38】
【0181】
2.4 フェキソフェナジン粒の複数の例の調製
【0182】
2.4.1 第1セットを成す複数の粒化フェキソフェナジン・マイクロカプセルであって、ショ糖及びキサンタンガムを有するもの
【0183】
フェキソフェナジン・マイクロカプセル(15質量%のエチルセルロース)の1部が、ショ糖粉末の6部と共に粒化されて、上部噴霧部を備えた流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)(グラット(Glatt)GPCG3)内に投入される。ショ糖(15%w/w)及びキサンタンガム(0.5%w/w)の水溶液からなる結合剤溶液が室温で噴霧される。前記粒化処理の最終段階において、前記複数の粒が乾燥させられ、続いて、それら乾燥した粒が前記流動層から取り出されてふるい分けされる。それら粒は、粒度分布(振動ふるい分け試験による)と、フェキソフェナジンの放出率プロファイル(溶出性試験は、USP装置II内で、900mLのpH6.8緩衝液、日本薬局方第2液を用いて、37℃で、パドルの速度が50rpmの状態で行われる)と、有効成分の含有量均一性及び外観(光学顕微鏡法試験による)について特徴付けられる。
【0184】
含有量均一性試験により、フェキソフェナジン・マイクロカプセルが粒内に均一に分散されており、測定された平均含有率(n=15)及び関連するRSD%がそれぞれ111mg/g(マイクロカプセルの検定値に従って修正された理論値:114mg/g)及び3.2%であることが示される。光学顕微鏡法により、前記粒化処理の結果、マイクロカプセルがショ糖粒内に埋め込まれるとともに、マイクロカプセルがショ糖粒上に密着することが示されたように見える。
【0185】
【表39】
【0186】
【表40】
【0187】
2.4.2 第2セットを成す粒化フェキソフェナジン・マイクロカプセルの複数の例であって、ショ糖及びキサンタンガムを有するもの
【0188】
フェキソフェナジン・マイクロカプセル(15質量%のエチルセルロース)の1部が、ショ糖粉末の14部と共に粒化されて、上部噴霧部を備えた流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)(グラットGPCG3)内に投入される。ショ糖(15%w/w)及びキサンタンガム(0.5%w/w)の水溶液からなる結合剤溶液が室温で噴霧される。前記粒化処理の最終段階においてm、前記複数の粒が乾燥させられ、続いて、それら乾燥した粒が前記流動層から取り出されてふるい分けされる。
【0189】
収集された複数の粒は、粒度分布(振動ふるい分け試験による)と、フェキソフェナジンの放出率プロファイル(溶出性試験は、USP装置II内で、900mLのpH6.8緩衝液、日本薬局方第2液を用いて、37℃で、パドルの速度が50rpmの状態で行われる)と、有効成分の含有量均一性及び外観(光学顕微鏡法試験による)について特徴付けられる。
【0190】
含有量均一性試験により、複数の粒が均一に分散されており、平均含有率及びRSD%がそれぞれ53.5mg/g(マイクロカプセルの検定値に従って修正された理論値:54.5mg/g)及び2.8%であることが示されるように見える。
【0191】
粒の外観(光学顕微鏡法による)は、マイクロカプセルの同じバッチを用いて前記第1セットにおいて調製される粒の外観に近い。
【0192】
粒化が成功していることは、粒度分布データ(振動ふるい分け試験による)によってもまた確認され、ショ糖及びマイクロカプセルの凝集が顕著な粒度増大をもたらしている(表41)。さらに、粒の粒度分布は、前記第1セット(マイクロカプセル/ショ糖の質量比1:6)で生成された粒の粒度分布に匹敵する。
【0193】
表41.第1セットで得られた粒の粒度分布及びその粒に対応するマイクロカプセルの粒度分布
【0194】
【表41】
【0195】
【表42】
【0196】
2.4.3 第3セットを成す粒化フェキソフェナジン・マイクロカプセルの複数の例であって、ショ糖及びキサンタンガムを有するもの
【0197】
均一な最終混合物が、フェキソフェナジン・マイクロカプセルを前記複数の添加剤(excipient、イクシピエント)のうちの一部と共に(組み合わせて)粒化し、続いて、そのフェキソフェナジン・マイクロカプセルを、残りの不活性成分であって粒化された形態にあるものと混合することによって取得される。同様の粒度を有する複数の混合物が、1:1質量比(w/w比)で混合される。この共顆粒化処理は、実験室規模の上部噴霧流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)(GPCG3、7インチ)内で実施される。マイクロカプセルは、1:6w/w比でショ糖と組み合わされ、さらに、キサンタンガム0.5%w/wを含有するショ糖水溶液(5%w/w)の結合剤溶液を用いて粒化される。
【0198】
複数の粒についての1つのバッチ、すなわち、試料45は、キサンタンガムなしのショ糖水溶液(5%w/w)の結合剤溶液を用いてマイクロカプセルを1:6w/w比でショ糖と組み合わせることによって作製される。前記結合剤溶液におけるキサンタンガムの添加及びそれに付随する、前記結合剤溶液におけるショ糖の量の増大により、マイクロカプセルをショ糖と共に(に組み合わせて)共顆粒化する処理が改善される。表43は、生成された粒の前記PSD(粒度分布)を列挙し、さらに、f(PSD)としての(前記PSDに応じて変化する)薬剤検定値を列挙する。
【0199】
【表43】
【0200】
理論的な検定値は、全ての製造された粒について常に約100mg/gである。顕微鏡観察により、マイクロカプセルにおいて細粒分(<125ミクロン)が、それより大きい粒分と比較して、豊富であることが示される。
【0201】
生成された粒の一部につき、「管内」溶解値が以下に与えられる。
【0202】
【表44】
【0203】
小さい粒子から成る粒分の含有率を制御するために、粒化処理パラメータ及び結合剤溶液の量を調節してもよい。
【0204】
図28に示すグラフは、3つの製造工程パラメータ(プロセス・パラメータ)、すなわち、前記粉末に噴霧される前記結合剤溶液の量、流入空気湿度及び噴霧空気圧を相互に関連付ける。低いパーセンテージの細粒分含有率(複数の値は、同図中、八角形の複数の角部上に示されている)を有する粒は、最低の噴霧圧、最大量の結合剤溶液、及び適切な流入空気湿度を用いて生成される。生成される共顆粒は、3%未満の細粒分含有率、及び3.0%未満のRSD(相対標準偏差)を有する薬剤含量を有する。
【0205】
2.4.4 第4セットを成す粒化フェキソフェナジン・マイクロカプセルの複数の例であって、ショ糖及びキサンタンガムを有するもの。工業規模
【0206】
前記湿潤マイクロカプセルは、実験室規模の研究中に用いられるのと同じ結合剤溶液を用いて、ショ糖微粉末と共に(と組み合わされて)共顆粒化される。具体的には、14.70kgの湿潤マイクロカプセルが、29.40kgの結合剤溶液を用いて、102.90kgのショ糖微粉末と共に(と組み合わされて)粒化される(比1:7)。その取得された粒は、840μmのステンレス製の鋼ふるいによって(を通して)ふるい分けられる。そのふるい分けられた生成物は、プラスチック製のドラム内の二重PE袋内に置かれる。
【0207】
【表45】
【0208】
得られた共顆粒は、PSD(粒度分布)、f(PSD)としての(前記PSDに応じて変化する)薬剤検定値、含水量(0.13%)、及びpH6.8第2液JP中での「管内」溶解値という観点で特徴付けられる。データは以下の表に報告されている。
【0209】
【表46】
【0210】
【表47】
【0211】
前記微粒子の量は少ない。前記RSDは、1.8%〜6.0%の間である。
【0212】
2.4.5 ショ糖粒及びキサンタン粒の調製
【0213】
ショ糖粒であって、前記共顆粒と共に得られるのと同様のPSDを有するものが作製される。この規模拡大処理は、前述の工業的な、上部噴霧流動層、グラットFB500、500L上で直接的に行われる。その処理は、単一工程として実施され、すなわち、キサンタンガムが、前記共顆粒化処理のために用いられるのと同じ結合剤溶液を噴霧することにより、ショ糖と共に(と組み合わされて)直接的に粒化されるが、前記エタノールは排除されている。
【0214】
具体的には、147.0kgのショ糖微粉末と3.0kgのキサンタンガムが、20.0kgの結合剤溶液と共に(と組み合わされて)粒化される。その粒化処理の最終段階において、その生成物は、840μmのステンレス鋼製のふるいによって(を通して)ふるい分けられ、そして149.1kgの粒が得られる(製造歩留まり97.4%)。
【0215】
【表48】
【0216】
生成される粒の前記PSD及び含水率(0.48%)が特徴付けられる。
【0217】
【表49】
【0218】
前記2種類の粒が、同じ製造工程パラメータ(プロセス・パラメータ)を適用することによって調製され、その結果、前記共顆粒と同様のPSDを有する組成物が生成される(これは、後続の混合工程の実施が成功し得ることを確認するために重要な必要条件である)。
【0219】
2.5 フェキソフェナジン粒及びショ糖粒の混合
【0220】
共顆粒及びショ糖粒についての前述の2つのバッチは、糖ベースのプラシーボ粒についての2つのバッチであって非常に近いPSDを有するものとの混合が、1:1w/w比で、かつ、約200kgのバッチサイズで行われる。試料51及びプラシーボ試料55の組み合わせは、混合後に試料56と称される。
【0221】
【表50】
【0222】
【表51】
【0223】
以下のいくつかの表は、前記複数のバッチの組成を記述している。
【0224】
【表52】
【0225】
【表53】
【0226】
混合物試料57の混合均一性(n=10)は、第1検定値が50.5mg/g(RSD:5.1%)、第2検定値が50.7mg/g(RSD:5.5%)である。その実行された試行により、それらの検定値平均が理論値(50mg/g)に近いことが示される。
【0227】
フェキソフェナジン・バルク混合物(試料57)の、緩衝液pH6.8第2液JP中での溶出性能値(それぞれの共顆粒(試料52)(n=6)と比較される)、及びpH3.0における溶出性能値が以下に報告される。
【0228】
【表54】
【0229】
前記混合処理により、最初の5分間で溶解速度の僅かな増加が示され、この効果は、混合工程中に関係する機械的なストレス(応力)に関連している可能性がある。
【0230】
【表55】
【0231】
試料57についての溶解データは、急速な放出を裏付ける。
【0232】
2.6 薬包への充填
【0233】
15mgの有効性成分含量(strength)が混合物の300mgに対応して生成される。充填機は、一列に並んだ2つの薬包を製造する(7.0mm×5.8mm)。それの最大生産量は、毎分170包である(速度85rpm)。それら薬包を作製するために用いられる材料は、3LAMINET/M_AL12960(PET12μm、アルミニウム9μm、帯電防止PE60μm)である。
【0234】
供給用スクリューが、バッグと供給用ホッパとの間に、かつ、そのホッパ内の混合物の量を一定に保つために粉末の量を検出するセンサと共に存在する(前記混合物の容積が減少すると、前記スクリューは前記ホッパへの供給を行う)。そのホッパは、左側部及び右側部充填システムを有する2つの部分からなり、各側部には、単一の投薬(dosing)スクリューが備えられている。それらの内側には、前記処理の実行中に前記混合物の穏やかな攪拌を続ける2つの攪拌システム(左右)がある。
【0235】
薬包充填の試行は、複数の微粒子レベルおよび複数のPSDレベルを有する共顆粒を用いて調製される混合物から開始することによって実施される。場合によっては、前記混合物の理論的な検定値は小さいため、各薬剤内容物(drug content)の目標有効性成分含量は可変であり得る。
【0236】
薬包試料58は、バルク混合物試料57(50.0mg/g、RSD5.6%)を用いることによって製造される。そのバルク混合物試料57のPSDが表51に与えられている。前記充填機のパラメータは、以下の表において与えられているように設定される。
【0237】
【表56】
【0238】
【表57】
【0239】
【表58】
【0240】
その結果により、6.3〜7.8の間での質量ばらつき及び6.5〜8.0の間での含量均一性を有する300mgの薬包が、本発明のフェキソフェナジン・マイクロカプセル共顆粒と共に得られていることが示される。
【0241】
2.6.2 混合物試料57(>125μm)の薬包への充填
【0242】
125ミクロン超のバルク混合物試料57が、試料57から、細粒分(<125ミクロン)を除去することによって調製され、これは、ふるい分けにより行われる。前記混合物のPSDデータは、表59に報告されている。
【0243】
【表59】
【0244】
薬包充填の試行は、15mg用量薬包上で、このバルク混合物を用いて実施される。薬包のバッチ番号、試料79が得られる。以下の表は、その結果をまとめている。
【0245】
【表60】
【0246】
充填質量に関して良好な結果が得られており、さらに、前記薬包の検定値が、実用的には理論値(13.8mg/g)に等しく、分離現象は生じていない。
【0247】
2.6.3 混合物試料56の薬包への充填
【0248】
複数回の試行が、15mg用量薬包上で、バルク混合物試料56を用いて実施される。そのバルク混合物のPSDは、表61に報告されている。
【0249】
【表61】
【0250】
この検定値は、前記充填質量と整合しており、常に理論値の300mgより大きく、分離現象は全くなく、その検定値は、全製造工程において、主としてそのばらつきにおいて、非常に一定に維持される。
【0251】
2.6.4 工業規模設備による薬包の充填
【0252】
更なる複数回の試行が、工業規模設備を用いて行われ、関与する複数のバッチサイズは、最終的なバルク混合物について数百キロの範囲内であり、また、数十万の服用数(dosage units、医薬品販売量)のオーダである。
【0253】
前記フェキソフェナジン共顆粒は、湿潤マイクロカプセルから開始して調製される。湿潤マイクロカプセルの粒度分布の複数の例が、表62に報告されている。
【0254】
【表62】
【0255】
前記共顆粒が調製され、そして粒化不活性成分と混合され、得られた3つのバッチは、表51の複数のバッチと同じ組成を有している。複数回の試行が、それら3つバッチについて実施される。
【0256】
以下の表は、前記複数の混合物についての、粒度分布に関するデータと、前記3つのバッチについて生成された複数の薬包についての検定値及びそれに対応する標準偏差を示している。
【0257】
【表63】
【0258】
混合物の各バッチは、複数の薬包についての2つのバッチを準備するために用いられ、予測される有効性成分含量15mg及び30mgの各々について1つのバッチが準備され、ここで、30mgの有効性成分含量は600mgの充填質量に対応し、15mgの有効性成分含量は300mgに対応している。
【0259】
詳細には、混合物の各バッチは、複数の薬包につき、次の複数のバッチを生成する。
【0260】
混合物試料59→薬包62(300mg)及び薬包63(600mg)
混合物試料60→薬包64(300mg)及び薬包65(600mg)
混合物試料61→薬包66(300mg)及び薬包67(600mg)
【0261】
以下の表は、複数の薬包について製造された複数のバッチの各々につき、検定値についての実験値を示している。
【0262】
【表64】
【0263】
更に、600mgのドライシロップを含有する薬包が「管内」溶解速度(溶出速度)に関しても分析され、その溶出性試験は、pH=3.0で、n=12の試料を用いて実施される。以下の表は、15分後の放出率%と、標準偏差(SD)と、相対標準偏差(RSD)を表すデータを報告している。
【0264】
【表65】
【0265】
以上より、別の充填質量(1包当り600mg及び300mg)及び別の有効性成分含量(1包当り15mg及び30mgのフェキソフェナジンHCl)の薬包であって前記ドライシロップを含有するものがうまく製造されることが明らかである。
【0266】
本発明の具体的ないくつかの実施態様が例示を目的として本明細書に記載されているが、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく種々の変更を施し得ることが理解されるであろう。
【技術分野】
【0001】
本出願は、フェキソフェナジン・マイクロカプセル及びそれを含む組成物に関し、2009年12月2日出願の米国仮出願第61/265,823号及び2010年6月14日出願の米国仮出願第61/354,575号に基づく優先権を主張しており、これらの出願の各々は、その全体が、あらゆる目的のために、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
経口投与のために最も広く用いられている剤型(dosage form, 投与形態、投与剤型)として、タブレット(錠)及びカプセルがある。しかし、そのような剤型にはいくつかの不都合がある。例えば、人口の50%がタブレット嚥下の問題を抱えていると推定されている(シーガー、50J、薬理学及び薬学、第375〜382頁(1998年)(Seager, 50 J. Pharmacol. and Pharm. 375-382 (1998))参照)。特に、一部の高齢者は、タブレット又はカプセルを嚥下することが困難であり、あるいは、タブレットもしくはカプセルを嚥下することが不可能であるか又は嫌がる小児に投与することは困難である。このことは、治療方法が殆ど乃至は全く遵守されない状況を招き、よって、治療の効果に悪影響を及ぼす。
【0003】
多くの有効成分の苦い味もまた、薬剤を簡単に食物上に振りかけること、すなわち、薬剤を小児に投与するために一般的に用いられる方法の実施を妨げている。苦い味の薬剤であって咀嚼可能なタブレット(chewable tablet, チュアブル錠)に含有されるものは、たいていの場合はエチルセルロース等の不水溶性重合体(ポリマ)により、一般的には分厚くコーティング(被覆、被膜)され、その目的は、前記コーティングされた薬剤が、タブレットが圧縮される間及び/又はタブレットが咀嚼される(噛み砕かれる)間に破砕してしまうことと、それに付随して苦い有効成分が漏れ出してしまうことを阻止することにより、薬剤を味覚遮蔽(taste mask、味遮蔽)することにある。その結果、薬剤が、消化管内において、そのように咀嚼可能な種類のタブレットから実質的に完全に放出するために2時間以上を要する可能性がある。より最近では、口腔内崩壊錠(ODT)剤型(orally disintegrating tablet dosage forms)が導入されてきており、そのODTは、口腔内で急速に溶解し又は崩壊するため、水無しで服用可能である。他の便利な経口剤型には、薬包(sachets、サチェット、包)及び微粒子状の散剤(microparticle dispersions)がある。そのような種類の薬剤は、特に高齢者及び小児にとって都合がよい。
【0004】
塩酸フェキソフェナジンは、ヒスタミンH1受容体拮抗薬であり、季節性アレルギー鼻炎及び慢性特発性じんましんの治療のために認可されている。しかし、フェキソフェナジンを処方することは、低pH(すなわち、胃のpH)条件では溶出性が低いため、困難である。低い溶出性に対処する1つの典型的な方法は、前記薬剤をODT(口腔内崩壊錠)形態で調剤することである。しかし、その手法は、塩酸フェキソフェナジンが苦味を有するため、困難である。
【0005】
米国特許第6,723,348号は、フェキソフェナジンを含有する口腔内崩壊錠(orodispersable tablet)(ODT)の調製を説明しており、そのフェキソフェナジンは、別の添加剤(excipient、イクシピエント, 賦形剤)と共に(と組み合わせて)粒化された後に重合体コーティング(膜、壁)で、流動層(fluid
bed、フルイド・ベッド、流体ベッド、流動ベッド)を用いてコーティングされた形態を有する。しかし、その製造方法は、比較的複雑であり、粒化、コーティング及び混合(混和)という複数の工程を必要とする。
【0006】
本発明の目的は、マイクロカプセル化されたフェキソフェナジンを、単純な製造工程(process、プロセス、製法)により、味覚遮蔽・即放性を示す形態(taste-masked immediate release form)で提供することにある。
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、フェキソフェナジンと不水溶性重合体のコーティング(膜、壁)とを含む複数の味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルと、それらマイクロカプセルを含む医薬組成物とが提供される。共顆粒化(co-granulated)フェキソフェナジン・マイクロカプセルもまた、本発明において開示される。それらマイクロカプセル及びそれらマイクロカプセルを含む医薬組成物は、適切な薬剤含有量と、望ましい薬学的性質とを有し、その望ましい薬学的性質は、フェキソフェナジンの溶解速度が速いという性質を味覚遮蔽効果と共に有する。
【0008】
本発明によれば、更に、前記マイクロカプセル及び前記共顆粒化マイクロカプセルを調製し、更に、フェキソフェナジン及び不水溶性重合体コーティングを含む味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルを含む前記医薬組成物を調製する方法も提供される。このマイクロカプセル調製方法は、(a)不水溶性重合体を有機溶媒中に溶解させる工程と、(b)フェキソフェナジンを前記有機溶媒中に懸濁させる工程と、(c)相分離により、前記不水溶性重合体のコーティングを前記フェキソフェナジンに適用(塗布)する工程と、(d)前記マイクロカプセルを前記有機溶媒から分離する工程とを含む。
【0009】
本発明の医薬組成物は、季節性アレルギー鼻炎及び慢性特発性じんましん等の炎症関連疾患の治療に有用である。従って、本発明によれば、更に、個人(individual,個体)において炎症関連疾患を治療する方法も提供される。この方法は、投与を必要としている個人に味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルを含む医薬組成物を投与する工程を含み、前記マイクロカプセルは、フェキソフェナジンと、不水溶性重合体コーティングとを含む。
【0010】
発明の詳細な説明
【0011】
本明細書において引用される全ての文献は、あらゆる目的のために、参照により組み込まれる。
【0012】
本明細書においては、「コーティング質量」という用語は、当該マイクロカプセルのコーティング(膜、壁)の質量(dry weight、乾燥質量)をそのマイクロカプセル全体の質量で割り算して得られた値を100倍した値を意味する。例えば、20%というコーティング質量は、所与の1個のマイクロカプセルにつき、当該コーティングが前記マイクロカプセルの質量の20%を占めることを意味する。
【0013】
本明細書においては、「平均コーティング質量」という用語は、マイクロカプセルの集団についてのコーティング質量の平均値を意味する。例えば、所与の集団に属する複数個のマイクロカプセルのうちの半分が10%のコーティング質量を有し、かつ、残りの半分が20%のコーティング質量を有する場合には、その所与の集団のマイクロカプセルについての平均コーティング質量は、15%である。
【0014】
本明細書においては、「マイクロカプセル」という用語は、不水溶性重合体コーティング(膜、壁)でコーティング(被覆)された薬剤(フェキソフェナジン若しくはその薬学的に許容され得る塩、エステル及び/若しくは溶媒和物(solvate)又はそれらの多形体(polymorph))を意味する。
【0015】
本明細書においては、「マイクロカプセル化(microencapsulation)」という用語は、薬剤を不水溶性重合体で被覆する処理を意味する。
【0016】
本明細書においては、特段の定めがない限り、「フェキソフェナジン」についての言及は、「フェキソフェナジン」若しくはその薬学的に許容され得る塩、エステル及び/若しくは溶媒和物又はそれらの多形体
【0017】
本明細書においては、「API」という用語は、「原薬(医薬品有効成分、薬理学的活性成分、有効薬学的成分、薬効成分)(active
pharmaceutical ingredient)」、例えば、フェキソフェナジン若しくはその薬学的な塩、エステル及び/若しくは溶媒和物又はそれらの多形体を意味する。
【0018】
本発明によれば、フェキソフェナジンのマイクロカプセルと、フェキソフェナジン及び不水溶性重合体コーティングを有する味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルを含む医薬組成物とが提供される。フェキソフェナジンのマイクロカプセルは、共顆粒化マイクロカプセルの形態を有してもよく、また、不活性成分及び添加剤(excipient、イクシピエント, 賦形剤)を更に含んでもよい。本発明の一実施態様においては、前記フェキソフェナジンは、塩酸フェキソフェナジンである。
【0019】
本発明のフェキソフェナジンは、結晶質若しくは非晶質又はこれらの組み合わせであってもよい。フェキサフェナジン結晶形が、その種類の如何を問わず、包含され、そのフェキサフェナジン結晶形を、本発明のマイクロカプセル、マイクロカプセル粒(顆粒)及び共顆粒化マイクロカプセルの調製において調剤に用いることが可能である。
【0020】
本発明の不水溶性重合体は、その種類の如何を問わず、適切であり、かつ、薬学的に許容され得る不水溶性重合体であってもよく、そのような不水溶性重合体は、フェキソフェナジン粒子の周りのコーティング(膜、壁)を形成し、そして、それにより、味覚遮蔽性及び即放性を示すフェキソフェナジン・マイクロカプセルを生成するものである。本発明に用いてもよい不水溶性重合体の例は、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、アンモニオメタクリル酸塩共重合体、及びそれらの混合物を含む。一実施態様においては、本発明の不水溶性重合体は、エチルセルロースである。
【0021】
コーティング(膜、壁)における重合体の量及び種類は、フェキソフェナジンの放出(放出率、放出量)を調整することに寄与し、それにより、味覚遮蔽の程度及び/又はフェキソフェナジン放出の程度を調節することを可能にする。本発明においては、コーティング重合体は水に不溶である。本発明のマイクロカプセルの平均コーティング質量は、約2%〜約40%であり、約5%、約10%、約13%、約15%、約17%、約18%、約20%、約25%、約30%、約35%、又は、約40%を含む。典型的には、本発明のマイクロカプセルの平均コーティング質量は、約10%〜約20%である。より典型的には、その平均コーティング質量は、約13%〜約18%である。本発明の一実施態様においては、前記マイクロカプセルは、約15%の平均コーティング質量を有する。
【0022】
前記マイクロカプセルの前記不水溶性コーティング(膜、壁)の湿潤性(wettability)は、界面活性剤を用いた処理によって改善される可能性がある。前記界面活性剤を含む溶液中にマイクロカプセルを懸濁させることによるか、又は、流動層噴霧処理(fluid bed spraying process)により、界面活性剤層を前記マイクロカプセルに適用(塗布)してもよい。前記界面活性剤溶液は、少なくとも1つの界面活性剤と、滑剤(glidants)又は抗粘着剤(antisticking agents)等の、任意選択的な他の成分とを含む。前記界面活性剤は、例えば室温のような関連条件(重要条件)下で前記コーティング重合体が実用上は不溶である溶媒に対して可溶であるべきである。適切な界面活性剤は、ドクサートナトリウム(sodium docusate)(DOSS)、ラウリル硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、トゥイーン(Tween)、ルトロール(Lutrol)F68、オレイン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン等を含む。他の湿潤剤を、ヒドロキシプロピルセルロース並びにポリエチレングリコール600、1000、3350及び6000の中から選択してもよい。一実施態様においては、前記界面活性剤は、ある程度(one sense, 小さい値)のw/w%から約10w/w%までの範囲内にある。典型的には、前記溶液中の界面活性剤の濃度は、約0.25w/w%〜約2w/w%の間、約0.5w/w%〜約1.5w/w%の間、又は約0.45w/w%〜約0.75w/w%の間である。一実施態様においては、前記溶液中の界面活性剤の濃度は、約0.45w/w%であり、別の実施態様においては、約0.6w/w%であり、更に別の実施態様において、約0.75w/w%であり、更に別の実施態様においては、約1w/w%であり、更に別の実施態様においては、約1.5w/w%である。湿潤化方法も、米国特許第6509034号に記載されている。具体的な抗粘着剤は、二酸化ケイ素である。
【0023】
必要であれば、1つ以上の更なる保護コーティング層(例えば、オパドライクリア(Opadry Clear)等)を本発明のマイクロカプセルに適用してもよい。
【0024】
本発明の別の実施態様は、不水溶性重合体で被覆された複数個の味覚遮蔽性フェキソフェナジン・マイクロカプセルの粒(granulate、顆粒、細粒、微粒、顆粒剤)である。
【0025】
本発明においては、前記複数個のフェキソフェナジン味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルのうちの80%以上が、500ミクロン未満の粒度分布(particle size distribution)(PSD)を有しており、望ましくは、前記複数個のマイクロカプセルのうちの80%以上が、355ミクロン未満のPSDを有しており、更に望ましくは、前記複数個のマイクロカプセルのうちの80%以上が、250ミクロン未満のPSDを有している。別の実施態様においては、前記複数個のマイクロカプセルのうちの80%以上が、200ミクロン未満の粒度分布を有している。前記味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルはまた、前記味覚遮蔽・即放性共顆粒化マイクロカプセルの調製のためにも用いられる。
【0026】
別の実施態様は、不水溶性コーティングを有する複数個のマイクロカプセルと少なくとも1つの不活性成分との共顆粒(co-granulate、共顆粒剤)である。その共顆粒は、前記マイクロカプセルが少なくとも1つの不活性成分のうちの一部と共に(と組み合わせて)粒化されるときに取得される。
【0027】
不活性成分を、糖アルコール及びサッカリドから成る群より選択してもよく、それら糖アルコール及びサッカリドは、ショ糖、キサンタンガム、βシクロデキストリン、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、乳糖、アラビトール、イソマルト、グリセロール、アルギン酸塩、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース又はこれらの混合物等である。糖アルコール又はサッカリドと組み合わされる崩壊剤(disintegrants)もまた、前記フェキソフェナジン・マイクロカプセル又は前記共顆粒に添加されるのに適した不活性成分としてもよい。
【0028】
本明細書に開示されるマイクロカプセル共顆粒は、不水溶性コーティングと、少なくとも1つの不活性成分とを有するフェキソフェナジンのマイクロカプセルからなる。マイクロカプセル対単一又は複数の不活性成分の比の具体的な例は、1:3〜1:10の間、1:5〜1:8の間、及び、1:6又は1:7である。
【0029】
本発明のフェキソフェナジン・マイクロカプセル共顆粒は、湿潤マイクロカプセルに匹敵する溶出性(dissolution release、溶解放出性)を有する。一実施態様においては、前記共顆粒の粒度が、望ましくは、600μm未満であり、このとき、125μm未満の粒を少量伴う。この細粒分(fine fraction、微粒分)の量を減少させることが重要であり、なぜなら、この細粒分のうちのほぼ全部が複数個の未粒化マイクロカプセルからなるとともに、この細粒分のが高いレベルで存在することが前記共顆粒の均一性(homogeneity)が低いことに関連付けられ得るからである。
【0030】
一実施態様においては、前記共顆粒が、比1:7、均一性ばらつき<5.0%、125μm未満の細粒分の含有率(fine fraction)<5.0%、600μmを超える粒分(fraction)の含有率<10.0%、製造歩留まりが約97.0%であるといういくつかの特性を有している。本発明の別の具体的な実施態様は、前記共顆粒が、比1:7、均一性ばらつき<5.0%、125μm未満の細粒分の含有率<5.0%、600μmを超える粒分の含有率<5.0%、製造歩留まりが約97.0%であるといういくつかの特性を有している。
【0031】
本発明の別の実施態様は、フェキソフェナジン・マイクロカプセル共顆粒と少なくとも不活性成分粒との混合物である。前記不活性成分粒は、1つ以上の不活性成分からなり、例えば、糖アルコール及びサッカリドから成る群より選択してもよく、それら糖アルコール及びサッカリドは、ショ糖、キサンタンガム、βシクロデキストリン、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、乳糖、アラビトール、イソマルト、グリセロール、アルギン酸塩、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース又はこれらの混合物等である。糖アルコール又はサッカリドと組み合わされる崩壊剤もまた、前記共顆粒に添加されるのに適した不活性成分としてもよい。望ましくは、前記混合物(バルク・ミックス(バルク混合物)とも称される)は、前記マイクロカプセル共顆粒及び前記単一又は複数の粒化不活性成分を1:1の比で有する。その望ましい共顆粒は、フェキソフェナジン・マイクロカプセル、ショ糖及びキサンタンガムを含み、また、前記粒化不活性成分は、ショ糖を含む。
【0032】
本発明の別の実施態様は、不水溶性重合体でコーティングされた前記フェキソフェナジン味覚遮蔽性マイクロカプセルを含む医薬組成物である。この医薬組成物は、フェキソフェナジン・マイクロカプセルと、更に少なくとも1つの不活性成分及び/又は少なくとも1つの添加剤(excipient、イクシピエント, 賦形剤)とを含み、前記不活性成分は、粒化しても粒化しなくてもよい。
【0033】
本発明の一実施態様においては、本発明の医薬組成物が、フェキソフェナジン・マイクロカプセル共顆粒を、粒化しても粒化しなくてもよい少なくとも1つの不活性成分と混合(混和)された状態で含む。本発明の具体的な一実施態様は、前記医薬組成物が、マイクロカプセルの共顆粒及び少なくとも1つの粒状の不活性成分を1:1の比で有するものである。
【0034】
本発明の医薬組成物は、前記有効成分、例えば、塩酸フェキソフェナジンの即放性を実現する。一実施態様においては、本発明の医薬組成物が、pH6.8のJP第2液(日本薬局方)中で15分以内に前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約60%を放出する。別の実施態様においては、本発明の医薬組成物が、pH6.8のJP第2液中で15分以内に前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約65%を放出する。更に別の実施態様においては、本発明の医薬組成物が、pH6.8のJP第2液中で15分以内に前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約70%を放出する。更に別の実施態様においては、本発明の医薬組成物が、pH6.8のJP第2液中で15分以内に前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約75%を放出する。更に別の実施態様においては、本発明の医薬組成物が、pH6.8のJP第2液中で15分以内に前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約80%を放出する。更に別の実施態様においては、本発明の医薬組成物が、pH6.8のJP第2液中で15分以内に前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約85%を放出する。別の実施態様においては、本発明の医薬組成物が、pH6.8のJP第2液中で15分以内に前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約90%を放出する。別の実施態様においては、本発明の医薬組成物が、pH6.8のJP第2液中で15分以内に前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約95%を放出する。
【0035】
別の実施態様においては、上述した医薬組成物を、少なくとも1つの別の薬学的添加剤(excipient、イクシピエント)と組み合わせてもよい。本発明の医薬組成物又は剤型に使用される添加剤(excipient、イクシピエント)は、充填剤(filler, 賦形剤)、希釈剤(diluent,
賦形剤)、滑剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤等を含む。他の薬学的に許容され得る添加剤(excipient、イクシピエント)は、酸性化剤、アルカリ化剤、保存剤、抗酸化剤、緩衝剤、キレート剤、着色剤、錯化剤、乳化及び/又は可溶化剤、香味料及び香料、保湿剤、甘味剤、湿潤剤等を含む。
【0036】
適切な充填剤、希釈剤及び/又は結合剤の例は、それらに限定されるわけでないが、乳糖(例えば、噴霧乾燥乳糖、α乳糖、β乳糖、タブレトース(Tabletose)(登録商標)、種々の等級のファーマトース(Pharmatose)(登録商標)、マイクロトース(Microtose)(登録商標)又はファーストフロック(Fast-Floc)(登録商標))、微結晶性セルロース(例えば、アビセル(Avicel)PH101、アビセルPH102、セオラス(Ceolus)KG−802、セオラスKG−1000、プロソルブ(Prosolv)SMCC50又はSMCC90、種々の等級のエルシーマ(Elcema)(登録商標)、ビバセル(Vivacel)(登録商標)、ミンタイ(Ming Tai)(登録商標)又はソルカフロック(Solka-Floc)(登録商標))、ヒドロキシプロピルセルロース、L−ヒドロキシプロピルセルロース(低置換)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(例えば、メトセル(Methocel)E、F及びK、信越化学工業株式会社のメトロース(Metolose)SH(例えば、4,000cps等級のメトセルE及びメトロース60SH、4,000cps等級のメトセルF及びメトロース65SH、4,000、15,000及び100,000cps等級のメトセルK、並びに4,000、15,000、39,000及び100,000cps等級のメトロース90SH))、メチルセルロース重合体(例えば、メトセルA、メトセルA4C、メトセルA15C、メトセルA4M)、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース及び他のセルロース誘導体、ショ糖、キサンタンガム、シクロデキストリン(例えば、βシクロデキストリン)、アガロース、ソルビトール、マンニトール、デキストリン、マルトデキストリン、でんぷん又は改質でんぷん(ジャガイモでんぷん、トウモロコシでんぷん及び米でんぷんを含む)、リン酸カルシウム(例えば、塩基性リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二カルシウム水和物)、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、コラーゲン等、又はこれらの組み合わせを含む。
【0037】
希釈剤の具体的な例は、例えば、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、粉末セルロース、デキストラン、デキストリン、ブドウ糖、果糖、カオリン、乳糖、マンニトール、ソルビトール、でんぷん、ゼラチン化でんぷん、ショ糖、キサンタンガム、βシクロデキストリン等、及びこれらの組み合わせを含む。
【0038】
滑剤及び潤滑剤の具体的な例は、例えば、二酸化ケイ素、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又は他のステアリン酸金属塩、タルク、ワックス及びグリセリド、軽油、PEG、ベヘン酸グリセリル、コロイド状シリカ、水素添加植物油、トウモロコシでんぷん、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、アルキル硫酸塩、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等を含む。
【0039】
他の添加剤(excipient、イクシピエント)は、例えば、香味剤、着色剤、味覚遮断剤、pH調節剤、緩衝剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、湿潤剤、湿度調節剤、界面活性剤、懸濁剤、吸収促進剤、放出改良剤等を含む。
【0040】
香味剤のいくつかの例であって他を排除しないものは、例えば、チェリー、オレンジ、バナナ、ストロベリー若しくは他の許容し得る果実香味料、又はチェリー、オレンジ及び他の許容し得る果実香味料の混合物を、タブレット質量に基づいて最大で例えば約3%含む。一方、本発明の医薬組成物は、また、1つ以上の甘味料(例えば、アスパルテーム、スクラロース若しくは他の薬学的に許容され得る甘味料又はそのようないくつかの種類の甘味料の混合物)を、タブレット質量に基づいて最大で約2質量%含み得る。更に、本発明の医薬組成物は、1つ以上のFD&C着色料を、タブレット質量に基づいて最大で例えば0.5質量%含み得る。
【0041】
抗酸化剤は、例えば、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、没食子酸プロピル、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロールヘミスクシナート、TPGS又は他のトコフェロール誘導体等を含む。
【0042】
本発明のフェキソフェナジン・マイクロカプセル又は共顆粒化マイクロカプセルは、タブレット(例えば、経口的に崩壊させるように噛み砕く(咀嚼する)ことができる性質と、分散性と、速溶性と、発泡性を有するもの)、硬ゼラチン製のカプセル又はスピンクル(spinkle)、懸濁液、永続的又は即時的な懸濁のための薬包(sachets,サチェット)、及び、直接的な経口投与のための薬包を含む種々の最終的な剤型に調製(formulate,調合、調剤、処方)してもよい。
【0043】
本発明のマイクロカプセル若しくは共顆粒化マイクロカプセル又はそれらの混合物は、また、適切な不活性成分及び場合によっては更なる添加剤(excipient、イクシピエント, 賦形剤)の存在の下で、ドライシロップに調製してもよい。ドライシロップという製剤は、嚥下を容易にするために調製される速溶性粉末である。そのドライシロップは、粉末形態で直接投与されてもよく、あるいは、最初に液体で、例えばテーブルスプーン内の3〜5mL(ミリリットル)の水又はグラス内の15〜50mLの水で水和してもよい。ドライシロップ調剤を実施する方法は、米国特許公開公報第2008/0064713号に記載されており、この公開公報は、あらゆる目的のために、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0044】
前記望ましいドライシロップは、前記粒化不活性成分に対する比率が1:1であるフェキソフェナジン味覚遮蔽性マイクロカプセル共顆粒からなり、その共顆粒は、マイクロカプセルの前記不活性成分に対する比率が1:7であるように存在するという性質と、前記共顆粒がショ糖及びキサンタンガムを含有し、前記粒化不活性成分がショ糖を含むという性質とを有している。本発明に従うフェキソフェナジン・ドライシロップは、物理化学的特性、例えば、粒度(particle size,粒子径、粒径)、溶解速度(溶出速度)、前記味覚遮蔽性等であって、前記充填工程によって殆ど影響を受けないものを有している。このドライシロップは、高い均一性を有している。本発明の一実施態様においては、前記共顆粒が、均一性ばらつき<5.0%、125μm未満の細粒分の含有率<5.0%、600μmを超える粒分の含有率<5.0%、約97.0%の製造歩留まりを有している。
【0045】
前記ドライシロップは、薬包又はスティックパック内に充填される。薬包は、当該生成物を適切に投与する能力と、達成可能な最小充填質量と、前記粒に対する機械的ストレス(応力)の影響と、異なるパッケージング(包装)構造の使用とに適合するように選択される。平坦な薬包及び種々の充填質量のために、任意の既知のパッケージングを用いてもよい。具体的な充填質量は、300mg及び600mgであり、これらの数字は、本明細書においては、非常に低い有効性成分含量(dosage strength)(15mg及び30mg)の薬剤の調製に適用される。最終的なパッケージングは、スティックパック又はフラットパック等の種々の構造を有してもよく、パッケージングの一例は、一列に並んだ5つのボックスがPEフィルムで互いに連結されたものであってもよい。
【0046】
本発明のフェキソフェナジン味覚遮蔽性マイクロカプセルは、コアセルベーション法(coacervation)によって調製してもよく、そのコアセルベーション法は、味覚遮蔽性マイクロカプセルを製造するための効果的な技術である。そのコアセルベーション法は、巨大分子を、固体又はゲル状の凝集体というよりはむしろ液状コロイド液滴内へ塩析する工程を伴う。コアセルベーション法は、米国特許第5,252,337、第5,639,475、第6,139,865及び第6,495,160号に記載されるようにして実施してよく、それら米国特許の内容の全ては、あらゆる目的のために、参照によって本明細書に明示的に組み込まれる。
【0047】
本発明のマイクロカプセルは、適切な溶媒中に不水溶性重合体が存在する均一な溶液を提供することによって調製してもよく、そのような溶液中においては、前記有効成分、更には、任意に選択されたコーティング用添加剤(excipient、イクシピエント)が、懸濁状態で分散されている。その後に相分離を採用し、それにより、前記不水溶性重合体の不溶化を行ってもよく、その不水溶性重合体は、前記有効成分粒子の周囲でゲル化(コアセルベート化)して前記マイクロカプセルを形成する。相分離は、例えば、温度若しくはpHを変化させるか、又は、前記不水溶性重合体の不溶化を生じさせる相分離誘発剤(すなわち、相誘発剤)を前記有機溶媒に添加することにより、行ってもよい。最後に、その取得されたマイクロカプセルは、必要に応じて硬化させられ、そして回収される。
【0048】
より具体的には、本発明に従って味覚遮蔽・即放性粒子を調製する方法は、(a)不水溶性重合体を有機溶媒中に溶解させる工程と、(b)フェキソフェナジンを前記有機溶媒中に懸濁させる工程と、(c)相分離により、前記不水溶性重合体のコーティングを前記フェキソフェナジンに適用する工程と、(d)例えばフィルタリング、遠心分離により、前記マイクロカプセルを前記有機溶媒から分離する工程と、(e)前記マイクロカプセルを乾燥させることによって残留有機溶媒を除去する工程とを含む。
【0049】
既に論じたように、前記相分離工程は、温度若しくはpHを変化させるか、又は前記不水溶性重合体の不溶化を生じさせる相誘発剤を前記有機溶媒に添加することにより、実施してもよい。一実施態様においては、前記相分離工程が、相誘発剤を前記有機溶媒に添加することによって行われる。本発明において用いてもよい適切な相誘発剤は、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリブタジエン、イソプレンメタクリル重合体、ポリジメチルシロキサン等の有機ケイ素重合体、パラフィン等を含む。一実施態様においては、前記相誘発剤は、ポリエチレンである。
【0050】
前記有機溶媒は、単一の有機溶媒でもよく、複数の有機溶媒の混合物を含んでもよい。前記コアセルベーション法に従い、前記有機溶媒は、前記コーティング重合体は溶解させるが前記有効成分は溶解させないように選択される。適切な有機溶媒は、シクロヘキサン溶媒又は他の炭化水素溶媒を含む。一実施態様においては、前記有機溶媒は、シクロヘキサンである。
【0051】
適切な不水溶性重合体のいくつかの例であって他を排除しないものは、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、中性メタクリル酸−メチルメタクリル酸塩共重合体、及びこれらの混合物を含む。本発明に従って味覚遮蔽・即放性粒子を調製する方法の一実施態様においては、前記不水溶性重合体が、エチルセルロースであり、前記相誘発剤が、ポリエチレンであり、前記溶媒が、シクロヘキサンであり、前記フェキソフェナジンが、塩酸フェキソフェナジンである。
【0052】
前記味覚遮蔽性フェキソフェナジン・マイクロカプセル共顆粒は、不活性成分(例えば、糖アルコール及び/又はサッカリド)と共に(と組み合わせて)共顆粒化することによって調製され、その共顆粒は、流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)内の微粉末という形態を有し、かつ、結合剤溶液(binder solution)を噴霧することにより形成される。この方法は、1)フェキソフェナジンをマイクロカプセル化する工程と、2)前記マイクロカプセルを湿潤化する工程であって任意選択的に実行されるものと、3)湿潤又は非湿潤のフェキソフェナジン・マイクロカプセルを単一又は複数の不活性成分に添加する工程と、4)前記結合剤溶液を噴霧する工程と、5)前記複数の粒を乾燥させる工程と、6)前記複数の粒をふるい分ける工程とを含む。
【0053】
粒化は、従来の技術に従い、従来の造粒機において実施してもよい。前記結合剤溶液は、1つ以上の不活性成分からなり、望ましくは、2つの不活性成分からなり、このことは、前記ショ糖と共に(と組み合わせて)前記マイクロカプセルを効率的に粒化するために特に適している。前記結合剤溶液は、望ましくは、ショ糖及びキサンタンガムからなる。他の不活性成分は、糖類、糖類アルコール類、サッカリド類、糖/糖アルコールから成る群より選択し、それに、崩壊剤を組み合わせてもよい。
【0054】
この方法の実行中、複数のパラメータ、すなわち、結合剤溶液の量、湿潤マイクロカプセルと前記単一又は複数の不活性成分との比率、前記結合剤溶液の噴霧速度、それの噴霧圧、及びそれの空気流量が制御によって維持される。前記複数の粒の乾燥は、流入空気温度、流入空気流量、等のいくつかの条件がそれぞれ同一に維持されるように制御されつつ行われる。前記複数の粒は、840μmのステンレス鋼製の網によって(through,を通して)ふるい分けされる。
【0055】
前記共顆粒は、続いて、前記単一又は複数の不活性成分の粒と混合される。最終的な混合物は、上述の共顆粒と、前記単一又は複数の不活性成分の粒とを含む。具体的な一実施態様においては、この医薬組成物は、前記共顆粒と、前記粒化された単一又は複数の不活性成分とを1:1の比で有する。
【0056】
具体的な単一又は複数の不活性成分の粒は、ショ糖からなる。その粒は、複数の工程、すなわち、1)前記単一又は複数の不活性成分を添加する工程と、2)前記結合剤溶液を噴霧する工程と、3)前記複数の粒を乾燥させる工程と、4)ふるい分け及び校正(calibrating、ふるいの校正)を行う工程とを含む方法によって取得される。この方法の実行中、複数の実験的条件、すなわち、粒化された粉末の量、前記溶液の噴霧速度、それの噴霧圧、及びそれの流入空気の湿度が制御される。前記空気流量は一定に保たれる。全ての乾燥工程は、同一の条件(流入空気温度、流入空気量、等)で行われる。前記複数の粒は、600μm又は840μmのステンレス鋼製の網によって(を通して)ふるい分けされる。840μmより大きい粒は、強制的に、600μmスクリーン造粒機を通過させられる。
【0057】
前記共顆粒、前記単一又は複数の不活性成分の粒、及び別の成分(例えば、香味料、滑剤)の混合は、適切な混合時間の間、制御された回転速度の下で行われる。
【0058】
フェキソフェナジン・ドライシロップの調製方法は、複数の異なる工程、すなわち、1)フェキソフェナジンをマイクロカプセル化する工程と、2)マイクロカプセルを湿潤化する工程であって任意選択的に実行されるものと、3)湿潤又は非湿潤のマイクロカプセルを、少なくとも1つの不活性成分(例えば、ショ糖)と共に(と組み合わせて)共顆粒化する工程と、4)単一又は複数の不活性成分(例えば、ショ糖)を別個に粒化する工程と、5)工程3)で得られたフェキソフェナジンの共顆粒を、工程4)で得られた、粒化された不活性成分(例えば、ショ糖)、及び、任意選択的に追加される別の不活性成分(例えば、香味料及び二酸化ケイ素)と一緒に混合する工程と、6)工程5)のフェキソフェナジン・ドライシロップ・バルク混合物を薬包内に充填する工程とを含む。
【0059】
本発明によれば、更に、個人における炎症関連疾患を治療する方法が提供される。この方法は、投与を必要としている個人に味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルを含む医薬組成物を投与する工程を含み、前記マイクロカプセルは、フェキソフェナジンと、不水溶性重合体コーティングとを含む。本発明に従って治療することが可能である炎症関連疾患は、季節性アレルギー鼻炎及び慢性特発性じんましんを含む。
【0060】
個人に投与されるべき塩酸フェキソフェナジンの服用量は、治療を受けている個人の年齢の他、その個人の適応症(indication)に応じて変化する可能性がある。塩酸フェキソフェナジンの一般的な服用量は、15mgを毎日2回、30mgを毎日2回、60mgを毎日2回、そして、180mgを毎日1回である。従って、本発明の医薬組成物を用いて調製される最終的な剤型は、例えば、15mgの塩酸フェキソフェナジン、30mgの塩酸フェキソフェナジン、60mgの塩酸フェキソフェナジン又は180mgの塩酸フェキソフェナジンを含むことが可能である。
【0061】
以下のいくつかの例は、例示を目的として提供されており、よって、それら例を、本発明を限定するように解釈することを決して行うべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、シクロヘキサン試料1(平均エチルセルロース質量10%)におけるフェキソフェナジン・マイクロカプセルの顕微鏡写真である。
【図2】図2は、シクロヘキサン試料2(平均エチルセルロース質量13%)におけるフェキソフェナジン・マイクロカプセルの顕微鏡写真である。
【図3】図3は、シクロヘキサン試料3(平均エチルセルロース質量15%)におけるフェキソフェナジン・マイクロカプセルの顕微鏡写真である。
【図4】図4は、シクロヘキサン試料5(平均エチルセルロース質量17%)におけるフェキソフェナジン・マイクロカプセルの顕微鏡写真である。
【図5】図5は、シクロヘキサン試料6(平均エチルセルロース質量20%)におけるフェキソフェナジン・マイクロカプセルの顕微鏡写真である。
【図6】図6は、マイクロカプセル試料4−エチルセルロース15%の顕微鏡写真(倍率2.5×)である。
【図7】図7は、マイクロカプセル試料7−エチルセルロース20%の顕微鏡写真(倍率2.5×)である。
【図8】図8は、エチルセルロース15%を有するマイクロカプセルの粒度分布(PSD)を示す図である。
【図9】図9は、緩衝液pH6.8第2液JP中でのエチルセルロース15%のフェキソフェナジン・マイクロカプセルの溶出度プロファイル(n=6)を示す図である。
【図10】図10は、溶解媒体中に0.01MのDOSSの0.5mLが添加された場合又は添加されない場合におけるフェキソフェナジン・マイクロカプセルの溶出度プロファイルを示す図である。
【図11】図11は、緩衝液pH6.8第2液JP中での工業的湿潤マイクロカプセルからのフェキソフェナジンの溶出度プロファイル(n=6)を示す図である。
【図12】図12は、互いに異なる3つの平均エチルセルロース質量レベルを有するマイクロカプセルからのフェキソフェナジンの溶解速度を示す図である。
【図13】図13は、互いに異なる複数のエチルセルロースレベルでの湿潤可能マイクロカプセルの、pH6.8第2液JPでの溶出度プロファイルを示す図である。
【図14】図14は、異なる複数の溶解媒体中でのフェキソフェナジン・マイクロカプセルの溶出度プロファイルを示す図である。
【図15】図15は、SG粒(試料68)、250〜600μmで選択される粒分の粒度分析を示す図である。
【図16】図16は、SGX粒(試料69)、250〜600μmで選択される粒分の粒度分析を示す図である。
【図17】図17は、SβCD粒(試料70)、250〜600μmで選択される粒分の粒度分析を示す図である。
【図18】図18は、平均エチルセルロース質量13%を有するマイクロカプセルからのフェキソフェナジンの溶解速度を示す図である。
【図19】図19は、平均エチルセルロース質量17%を有するマイクロカプセルを含有する製剤からのフェキソフェナジンの溶解速度を示す図である。
【図20】図20は、平均エチルセルロース質量20%を有するように調製された単純な(plain)マイクロカプセルからのフェキソフェナジンの溶解速度を示す図である。
【図21】図21は、pH6.8(JP第2液)での、エチルセルロース13%のマイクロカプセル(試料8)及びそれに対応する試作品試料36、試料32の、それぞれの溶出度プロファイルを示す図である。
【図22】図22は、pH6.8(JP第2液)での、エチルセルロース17%のマイクロカプセル(試料9−D)及びそれに対応する試作品試料37、試料39、試料33の、それぞれの溶出度プロファイルを示す図である。
【図23】図23は、pH6.8(JP第2液)での、エチルセルロース20%のマイクロカプセル(試料6−D2)及びそれに対応する試作品試料38の、それぞれの溶出度プロファイルを示す図である。
【図24】図24は、平均コーティング質量13%のマイクロカプセル(試料8)の、種々の溶解媒体中での溶解速度を示す図である。
【図25】図25は、平均エチルセルロース質量13%のマイクロカプセル(試料32)を含有するように調製された生成物の、種々の溶解媒体中での溶解速度を示す図である。
【図26】図26は、平均コーティング質量17%のマイクロカプセル(試料9−D)の、種々の溶解媒体中での溶解速度を示す図である。
【図27】図27は、平均エチルセルロース質量17%のマイクロカプセル(試料33)を含有するように調製された生成物の、種々の溶解媒体中での溶解速度を示す図である。
【図28】図28は、小粒子の形成に対する製造工程パラメータ(プロセス・パラメータ、製法パラメータ)の影響を説明するレーダグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0063】
実験に関して説明する部分
【0064】
1. フェキソフェナジン・マイクロカプセル
【0065】
1.1 フェキソフェナジン・マイクロカプセル調製のための方法及び設備
【0066】
シクロヘキサンがマイクロカプセル化反応器内に注がれる。続いて、連続的な攪拌の下でフェキソフェナジンHCl、エチルセルロース(EC)及びポリエチレンが添加される。その混合物は加熱され、続いて冷却される。複数のマイクロカプセルが回収され、続いて洗浄され(1回以上)、フィルタリングされ、そしてドラフト(fume hood)内又はフード内で一晩(約16時間)、40℃で乾燥させられる。その粉末は、300μmの空孔(opening)を有するふるいによって(through,を通して)ふるい分けられる。
【0067】
【表1】
【0068】
1)エポリーン(Epolene)は、洗浄工程中に除去され、2)シクロヘキサンは、乾燥工程中に除去される。
【0069】
マイクロカプセルについての種々のバッチが作製され、また、最終的なマイクロカプセル中のエチルセルロース・コーティングの量(%w/w、マイクロカプセル質量利得として計算される)が表2にまとめられている。
【0070】
【表2】
【0071】
前記マイクロカプセルは、外観、粒度分布、残留溶媒含有量及び溶解速度によって特徴付けられる。前記5つのバッチについての、前記マイクロカプセル化処理の最終段階で行われる顕微鏡的評価は、前記フェキソフェナジン粒子の周囲に重合体コーティング(膜、壁)が適切に被着し、かつ、その被着した重合体コーティングが、前記種々のバッチを調製するために用いられる前記重合体の量に整合していることを示している(図1〜図5参照)。
【0072】
図6及び図7に示すように、前記マイクロカプセルの粒度及び凝集度が、適用(塗布)される重合体コーティングの量に対して比例して増加することが認められる。前記フェキソフェナジンの非常に小さい複数の粒子が、粒化に似た処理を施され、そして50〜200ミクロン粒度の範囲内で、互いに離散する複数の粒子クラスタを形成し、ここに、クラスタ粒度は、重合体レベルと共に増加することが観察される。
【0073】
15%コーティングを有するマイクロカプセルの粒度分布(PSD)が測定される(試料3から生成される)。25g〜50gの範囲内の量のマイクロカプセルが、100mLのHDPEボトル内へ注入され、0.2%(w/w)のシロイド(Syloid)244(コロイド状二酸化ケイ素、ダブリュ・アール・グレース、コロンビア、メリーランド(WR Grace, Columbia, Maryland))が、150μmスクリーンでふるい分けされ、前記マイクロカプセルに添加され、そして手動で2分間混合される。マイクロカプセルとシロイド244の混合物は、デジタル・オクタゴン(Octagon)装置を用いて振幅7で10分間ふるい分けされる。その結果は、図8に報告されている。250ミクロンより大きいマイクロカプセルの細粒分の含有率は、80%以上である。
【0074】
【表3】
【0075】
表3に示すように、マイクロカプセルの検定値は理論値に近い(98〜99%)。
【0076】
実験室規模で調製される全てのマイクロカプセルにつき、残留溶媒(シクロヘキサン)の量は常に100ppm未満である。
【0077】
1.2 工業規模のマイクロカプセル化
【0078】
種々のレベル(15%、18%及び20%)のエチルセルロースでのフェキソフェナジン・マイクロカプセルが、80ガロンのステンレス製の反応器内でのコアセルベーション処理により、かつ、前記乾燥工程のための流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)装置を用いて調製される。フェキソフェナジンHCl(コード1)及びフェキソフェナジンHCl(コード2)が、マイクロカプセルの調製に用いられる。エチルセルロース15%を有するマイクロカプセルが調製される(試料71)。試料72及び試料73についての「管内の(in vitro)」溶出度(両者は、互いに異なる開始フェキソフェナジン(コード2)で調製される)。互いに異なる複数のAPIバッチで調製される前記複数のマイクロカプセルの間に有意な差は認められない(マン・ホイットニー(Mann-Whitney)ノンパラメトリック統計分析、p=0.05)。
【0079】
15%、18%及び20%のエチルセルロースレベルを有するマイクロカプセルが生成される。前記マイクロカプセル化の試行は、前記API及び前記単一又は複数の不活性成分を前記80ガロン反応器内に入れ、続いて、未使用のシクロヘキサンを添加することにより、実施される。当該サイクルの温度パラメータ及び攪拌条件は、前述したように設定される。前記熱サイクルの最後に、パドルの回転が停止され、前記生成物の安定化が可能となる。浮遊物が真空ポンプを用いて除去され、そして未使用の溶媒が添加される。前記混合物は、短時間だけ攪拌される。その後、前記マイクロカプセルは、再び沈殿することができ、また、前記シクロヘキサンの一部は、2回目に備えて除去される。続いて、前記マイクロカプセルは、流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)であって、それの底部に70μmのステンレス鋼製のふるいを装備するものにおいて、不活性窒素雰囲気、かつ、真空下で、フィルタリングされる。前記溶媒が除去された後、前記マイクロカプセルのスラリは、同じ流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)内で、3000ppm未満の残留シクロヘキサンレベルまで乾燥される。得られる生成物は、前記流動層のチャンバから手動で(手作業で)排出されるとともに、840μmのステンレス鋼製のふるいによって(を通して)ふるい分けされる。
【0080】
【表4】
【0081】
緩衝液pH6.8第2液JPにおけるフェキソフェナジン・マイクロカプセル(エチルセルロースレベル15%)の溶出度プロファイル(溶出度プロファイル)が図9に表示されている。
【0082】
1.3 マイクロカプセルの溶出性試験(溶解性試験)
【0083】
前記マイクロカプセルの試作品の湿潤性は、DOSS等の界面活性剤を少量、前記溶解媒体に添加した場合に、改善された。
【0084】
マイクロカプセルに対する溶出性試験は、少量の界面活性剤を前記溶解媒体に添加することによって行われる。
【0085】
図10は、前記溶解媒体中に、0.01MのDOSSの0.5mLを添加した場合又は添加しない場合における15%のECを有するマイクロカプセル(サンプル4)の溶出度プロファイルを示している。
【0086】
市販のアレグラ(Allegra)(登録商標)タブレット製剤の溶解速度との比較がUSPパドルを用いて実施され、それが表5に報告されている。
【0087】
【表5】
【0088】
この比較は、15%及び10%のエチルセルロースレベルでは、マイクロカプセル化されたフェキソフェナジンの溶出度が前記タブレット調剤の溶出度と同様であることを示している。味覚評価は、15%コーティングが許容可能な味覚特性を実現することを示している。
【0089】
互いに異なる複数のバッチのマイクロカプセルにつき、pH6.8緩衝液(溶出性試験のための第2液、JP15)を用いる公定分析的溶解法を用いた溶解値、及び検定値が表6〜表8にまとめられている。
【0090】
【表6】
【0091】
15%エチルセルロースを有するマイクロカプセルが調製され(試料71)、また湿潤され(実験室規模でのその場(in situ)処理による。試料71/A)、そして溶出度が表において比較されている。
【0092】
【表7】
【0093】
1.4 湿潤マイクロカプセル調製
【0094】
エチルセルロースの疎水性は、前記マイクロカプセルが水性環境において用いられる場合に、何らかの不都合を生じさせる。そのようなマイクロカプセルを含む、最終的な剤型がグラスの水内に置かれると、前記疎水性マイクロカプセルは、浮遊するとともに凝集体(例えば、クランプ(clumps)又はクラスタ)を形成する傾向があり、また、その一部は、前記グラスの壁に付着する傾向がある。
【0095】
前記マイクロカプセルの湿潤性の改善は、そのマイクロカプセルを必要最小量の界面活性剤で処理することによって達成される(湿潤処理)。種々の湿潤成分が研究されている(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、ヒドロキシプロピルセルロースとポリエチレングリコール600、1000、3350及び6000、ルトロール(Lutrol)F68等)。
【0096】
前記マイクロカプセルの湿潤処理は、表面活性剤を用いて行われ、その湿潤処理は、前記マイクロカプセルを界面活性剤溶液中に懸濁させること、又は、例えば、後述の流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)コーティング若しくは他の適切な設備を用いて、界面活性剤溶液を前記マイクロカプセルに吹き付ける(噴霧する)ことによって実施される。
【0097】
懸濁による湿潤処理 この処理は、シクロヘキサンで希釈されたドクサートナトリウム(DOSS)溶液中で前記マイクロカプセル(例えば、試料3、平均コーティング質量15%)を懸濁することによって実施される。その懸濁液は、約15分間200rpmで混合され、続いて、シロイド244が、攪拌されつつ、前記混合物へ添加される。前記マイクロカプセルは、標準的な設備を用いてフィルタリングによって回収される。前記マイクロカプセルは、続いて、室温で約16時間乾燥され、そして300ミクロンのふるいを用いてふるい分けされる。前記マイクロカプセルに添加される前記DOSS溶液は、望ましくは、0.25%より多いDOSSを含有する。複数のロット、すなわち、試料8(平均コーティング質量13%)、試料19−D(平均コーティング質量15%)、試料9−D(平均コーティング質量17%)及び試料6−D(平均コーティング質量20%)が調製される。
【0098】
流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)による湿潤処理 この処理は、ウルスター・インサート(Wurster Insert)を備えた流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)コーティング器を用い、そして標準的な噴霧手順に従って界面活性剤溶液で前記マイクロカプセルをコーティングして行われる。その処理されたマイクロカプセルは、続いて、300ミクロンのふるいによって(を通して)ふるい分けされる。平均EC質量15%を有する試料20−Dが調製される。湿潤されたマイクロカプセルであって取得されたものは、顕著な凝集性及び撥水性を招来することなく、水性環境内で容易に懸濁可能である。前記湿潤処理の再現性は、溶出性試験によってチェックされる。マイクロカプセルの前記複数のバッチにつき、「管内(in vitro)」溶解値、検定値及び不純物度が、後の部分で報告されるようにチェックされる。
【0099】
実験室規模の湿潤処理 この湿潤処理は、ドクサートナトリウムの水溶液及び分散された二酸化ケイ素を適用することによって、上部噴霧流動層装置内で実施される。3つの異なるレベル0.45%、0.60%及び0.75%の界面活性剤が、400gのマイクロカプセル試料78(EC15%)に適用される。得られたいくつかの結果が表8に列挙されている。
【0100】
【表8】
【0101】
工業規模の湿潤処理 この湿潤処理は、18インチの流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)装置で直接的に工業規模で実施され、そして一連の湿潤マイクロカプセル・バッチ試料17及び試料18が生成される。その湿潤分散は、マープリーン(Marprene)(登録商標)チューブを装備したワトソン・マーロウ(Watson-Marlow)ポンプを用いて前記流動層内へ投入される。理論上の組成は表9に報告されており、またそれの溶出度プロファイルは表10及び図11にそれぞれ示されている。更に、試料18の含水率(カール・フィッシャー(Karl Fisher)分析)が測定される(0.38%)。
【0102】
【表9】
【0103】
【表10】
【0104】
1.5 湿潤マイクロカプセルの分析及び溶出性試験
【0105】
検定値及び不純物が種々の試料について分析される。
【0106】
【表11】
【0107】
表11に示すように、試験された全ての試料につき、前記湿潤マイクロカプセルの検定値は理論値に近く(98〜99%)、また、不純物の総量レベルは0.1%未満である。
【0108】
前記湿潤マイクロカプセルの溶解は、pH6.8のJP第2液を用いて実施される。これらの結果は表12にまとめられており、また、それらのうちのいくつかは図12においてグラフとしても表されている。
【0109】
【表12】
【0110】
13%、15%及び17%の平均コーティング質量を有する複数の試料は、前記フェキソフェナジンのうちの80%を15分以内に放出している。その溶解速度は前記ECレベルに整合しており、すなわち、より高いコーティングレベルを有する試料ほど、より遅い溶解速度を示す一方で、より低いコーティングレベルを有する試料ほど、より速い放出速度を示す。特に、前記流動層を用いて適用(塗布)された界面活性剤で処理されているバッチ(試料20−D)は、より速い放出速度(5分以内に80%放出)を有している(図13も参照)。
【0111】
湿潤マイクロカプセルの複数のバッチの検定値及びそれらの「管内」溶解値が表13〜表20にまとめられている。
【0112】
【表13】
【0113】
【表14】
【0114】
【表15】
【0115】
【表16】
【0116】
【表17】
【0117】
【表18】
【0118】
【表19】
【0119】
【表20】
【0120】
「管内」溶解値は、適用されているエチルセルロースの量に従っている。同じコーティングレベルを有する試料間でのバッチ間ばらつきは、前記マイクロカプセルの、優れた湿潤性及び分散性に起因して顕著に低減されている。それら湿潤マイクロカプセルの溶出度プロファイルを、それに対応する非湿潤マイクロカプセルと比較することにより、それら湿潤マイクロカプセルが、界面活性剤無添加の媒体中で、より高い溶出度プロファイルを示すことが示される(表21〜表24)。
【0121】
【表21】
【0122】
【表22】
【0123】
【表23】
【0124】
【表24】
【0125】
湿潤マイクロカプセルは、界面活性剤を前記溶解媒体緩衝液に添加することを必要とすることなく、試験される全ての媒体中で、許容可能な湿潤性及び分散性を示している。図14は、湿潤処理を伴う場合及び伴わない場合における種々の媒体中でのフェキソフェナジンのマイクロカプセルの溶出度プロファイルを比較している。
【0126】
上述のデータから、小さな味覚遮蔽性マイクロカプセル(約200μm)は水中で容易に分散可能であり、更に、適切な放出率プロファイルが達成されていることが明らかであり得る。
【0127】
1.6 残留溶媒マイクロカプセル・バッチ分析
【0128】
種々のコーティングレベルで調製される湿潤及び非湿潤のマイクロカプセルにおける残留シクロヘキサンは、前記マイクロカプセルの質量に基づき、100ppm未満のレベルで測定される。データは表25にまとめられている。
【0129】
【表25】
【0130】
以上のことから、残留シクロヘキサンは、Q3C(R3)指針において報告されているICH限界内であることが明らかである。
【0131】
2. 調合されたフェキソフェナジン・マイクロカプセルの作製
【0132】
フェキソフェナジン・マイクロカプセルが、一連の単一若しくは複数の外部不活性成分及び/又は単一若しくは複数の添加剤(excipient、イクシピエント, 賦形剤)と共に調合され、その目的は、試作粒(prototype granulates)を調製するとともに特徴付けることにあり、その試作粒は、1)前記マイクロカプセルに適合することと、2)フェキソフェナジンの苦味を更に低減することと、3)前記マイクロカプセルの嚥下を容易にすることと、4)前記マイクロカプセルの水中での分散を容易にすることと、5)水中での分散及び懸濁が容易であるマイクロカプセルを取得することとのうちの少なくとも一つを行う。
【0133】
2.1 単一又は複数の不活性成分の選択
【0134】
単一又は複数の不活性成分の選択が行われ、そしてフェキソフェナジンと、評価された不活性成分との二元混合物が、種々の薬剤対不活性成分比で調製されるとともに、密閉されたガラスびん内に、50℃、かつ、多湿条件及び乾燥条件で保管される。定期的に前記混合物の化学的安定性がHPLC試験によって評価される。概略的には、その結果は、前記選択された不活性成分を有するAPIが標準的な温度及び湿度の条件下で適度に安定していることを示している。
【0135】
種々の不活性成分はまた、マイクロカプセルの分散/懸濁能力(蒸留水20mL、マイクロカプセル36mg)を評価するために用いられ、それら不活性成分は表26に報告されている。
【0136】
【表26】
【0137】
2つの調剤手法が実施され、1つは、フェキソフェナジン・マイクロカプセルを粒化生成物(添加剤(excipient、イクシピエント))と直接混合する手法であり、もう1つは、フェキソフェナジンをショ糖の一部と共に(と組み合わせて)流動層造粒し、次に、別の粒化ショ糖と混合して最終的な希釈に至る手法である。
【0138】
2.2 粒の調製及び分析
【0139】
3種類の粒、すなわち、1)ショ糖粒(SG)、2)ショ糖−キサンタンガム粒(SXG)、及び3)ショ糖−βシクロデキストリン粒(SβCD)が上部噴霧フルイド・ベッドによって生成される。その流動層造粒法は、均一な粒度と、水に急速に溶解する能力とを有する軟粒を生成するように選択される。
【0140】
SGは、ショ糖の水溶液(5%w/w)でショ糖を粒化させることによって得られる。その最終生成物は、乾燥され、そして250〜600μmの粒分(granule fraction)が選択される。その生成された粒の粒度及びバルク密度(0.5g/mL)が特徴付けられる(図15)。
【0141】
SXGは、ショ糖を、まずはショ糖の水溶液(5%w/w)で、次にはキサンタンガムの水−アルコール懸濁液でそれぞれ粒化させることによって調製される。その最終生成物は、乾燥され、そして250〜600μmの粒分が選択される。その生成された粒の粒度、バルク密度(0.5g/mL)及び残留エタノール含有率(<100ppm)が特徴付けられる(図16)。
【0142】
SβCDは、ショ糖及びβシクロデキストリンの粉末混合物(2:1w/w)を、ショ糖の水溶液(5%w/w)で粒化させることによって生成される。その最終生成物は、乾燥され、そして250〜600μmの粒分が選択される。その最終生成物の粒度及びバルク密度(0.4g/mL)が評価される(図17)。
【0143】
これら3種の粒の組成は、表27に説明されている。
【0144】
【表27】
【0145】
2.3 フェキソフェナジン・マイクロカプセル/粒の混合物の調製
【0146】
2.3.1 第1セットを成すフェキソフェナジン・マイクロカプセルの複数の例であって、SGX粒、SG粒及びSβCD粒と混合されるもの
【0147】
それら複数の試料は、フェキソフェナジンHClマイクロカプセルを、互いに異なる3つの平均EC質量レベル(13%、17%及び20%)で用いて調製される。全ての試料は、キサンタンガム及びショ糖の共顆粒を含有する(400mg)。それら原料に加えて、各試料は、一定量のショ糖粒(150mg)を、単独で又は別の単一若しくは複数の不活性成分、例えば、βシクロデキストリン(βCDX)と一緒に含有する。これに対する唯一の例外は、試料39であり、この試料39は、別のショ糖粒を、種類の如何を問わず、含有していない。
【0148】
別の複数の添加剤(excipient、イクシピエント, 賦形剤)が、試料30、試料31、試料32、試料33及び試料34に添加される。香味料が、試料30及び試料31に添加される一方で、βシクロデキストリン(βCD)が、試料32、試料33及び試料34に添加される。
【0149】
プラシーボ試料もまた調製される(試料35)。そのプラシーボ試料は、フェキソフェナジンHClの代わりに、マイクロカプセル化されたタルクを含有する。下の表28は、前記複数のバッチの定性的及び定量的な組成をまとめている。
【0150】
【表28】
【0151】
結果として得られる粒の分散の均一性は、20mLの水中での擾乱/攪拌の前後でそれぞれ特徴付けられる。
【0152】
更に、基準、例えば、前記フェキソフェナジン・マイクロカプセル/粒の混合物につき、沈殿/沈降/浮遊、再懸濁能力、注入後の残留物、並びに、pH6.8 JP、1mMのHCl(pH3.0)及び蒸留水での溶出度のようなものも同様に評価される。
【0153】
前記湿潤性及び分散性の試験は、50mLのガラス製ビーカ内で、脱塩水20mLの存在下、室温(20〜25℃)で行われる。具体的には、フェキソフェナジンHCl及び前記選択された単一又は複数の不活性成分の30mgに対応する量のマイクロカプセルが秤量されるとともに前記ビーカ内に注入される。前記混合物は、10秒間緩やかに攪拌され、そして浮遊、沈降、沈下しながら塊を形成する傾向が30秒間観察される。最終的に、前記懸濁液は、再度2秒間攪拌されるとともに注ぎ出され、そして前記ビーカ内の残留物が、その種類の如何を問わず、評価される。最後に、前記フェキソフェナジン・マイクロカプセル/粒混合物の口腔内感覚(mouth feel)及び味覚遮蔽特性が、前記粉末を口腔内へ投与することによるか、又は前記粉末をテーブルスプーン上に、数ミリリットルの水と共に投与することによって評価される。フェキソフェナジン・マイクロカプセル(≒36mg)のそれら複数のバッチに添加される単一若しくは複数の外部不活性成分及び/又は添加剤(excipient、イクシピエント, 賦形剤)の最大量は、550mgである。
【0154】
2.3.1.1 フェキソフェナジン・マイクロカプセル/粒混合物の溶出度
【0155】
一連の試験は、フェキソフェナジン・マイクロカプセルを、表28において上述したように、13%〜20%の範囲内にある量のエチルセルロースでコーティングされるとともに前記3つの異なる種類の粒と混合された状態で用いて実施される。前記湿潤性/分散試験によれば、粒を前記フェキソフェナジン・マイクロカプセルと組み合わせることが、そのフェキソフェナジン・マイクロカプセルの、水中での湿潤性及び分散性に対して悪影響を有しないことが示される。更に、良好な分散性が、前記薬剤につき、限定された量(少量)の液体(テーブルスプーン)を用いて示される。
【0156】
試料35は、フェキソフェナジンHClの代わりにタルクのマイクロカプセルを用いて調製されるプラシーボである。試料34は、試料32と同じ組成を有しており、そして最低のコーティングレベルを有するマイクロカプセルの味覚遮蔽能力を確認するために調製される。前記複数の試作品はすべて、SXGの粒を用いて調製される。SβCD粒は、幾つかの試料(試料32、試料33、試料34)において、この単一又は複数の不活性成分が苦味の低減度に及ぼす影響を評価するために用いられる。試料39は、単一又は複数の不活性成分が口腔内感覚に及ぼす効果を評価するために、低減されたレベル(少量)の不活性成分を用いて調製される。香味付けされた試作品の試料30及び試料31もまた評価される。それら試料の溶出度プロファイルが、以下の表及び図において報告されている。
【0157】
味覚遮蔽試験により、全ての試料が即時的な甘味感覚を生じさせ、それに続いて僅かな苦味が生じる(20〜30秒後)ことが示された。しかし、この苦味は、不快な味とは認識されない。
【0158】
13%、17%、20%の重合体を有するフェキソフェナジン・マイクロカプセル/粒混合物の溶解がpH6.8のJP第2液を用いて行われ、その結果が、表29〜表31にまとめられるとともに図18,図19,図20にグラフとしても示されている。それらの結果は、未調合のマイクロカプセルを用いて得られる結果と比較される。
【0159】
【表29】
【0160】
その生成物の溶解特性は、前記マイクロカプセルのそれと同等であり、その生成物についての全体的な溶解速度は、小さな増加を示す。
【0161】
【表30】
【0162】
その調合された生成物の溶解特性は、前記マイクロカプセルのそれと同等であり、その生成物についての全体的な溶解速度は、小さな増加を示す。
【0163】
20%の平均EC質量を有するマイクロカプセルを含有するように調合された生成物の溶解は、pH6.8のJP第2液を用いて行われる。これらの結果は、非調合のマイクロカプセルと比較される。これらの結果は、以下の表31にまとめられるとともに図20にグラフとしても示されている。
【0164】
【表31】
【0165】
各コーティングレベルにつき、その調合されたマイクロカプセル試作品の溶解速度は、マイクロカプセル単独の溶解速度と同等である(図21〜図23参照)。前記選択された単一又は複数の不活性成分は、前記マイクロカプセルの溶出度プロファイルに影響を与えるようには見えない。
【0166】
調合された生成物バッチに対する溶解はまた、13%及び17%のコーティングを有するマイクロカプセルを用いても行われ、そして、その溶解速度が1mMのHCl及びDI水(脱イオン水)を用いて試験される。その結果が、以下のいくつかの表に報告されており、それら表は、さらに、上述のpH6.8のJP第2液中での溶出についての値を含み、また、前記結果は、図24〜図27にグラフとして表されている。
【0167】
【表32】
【0168】
【表33】
【0169】
【表34】
【0170】
マイクロカプセル試料9−D(17%平均エチルセルロース質量)を含む薬包(サチェット)型試作品試料33の溶解速度が以下に表35において報告されている。
【0171】
【表35】
【0172】
その調合された試作品の溶解速度は、その試作品に対応するマイクロカプセルの溶出度プロファイルと同等である。使用される単一又は複数の不活性成分は、前記マイクロカプセルの溶出度プロファイルに影響を与えるようには見えない。
【0173】
2.3.2 第2セットを成すフェキソフェナジン・マイクロカプセルの複数の例であって、SC粒及びSGX粒と混合されて調製されたもの
【0174】
第2の一連のフェキソフェナジン生成物が調製される(表36)。それら組成物は、次の基準、すなわち、1)試作品は、13%又は15%のコーティングを有するマイクロカプセルを用いて調製する、2)βシクロデキストリンは使用しない、3)固有量の香味料(バナナ又はストロベリー)を全ての試作品について使用する、4)前記香味料を、SG粒及び少量の二酸化ケイ素と混合される調剤に導入するという基準に基づいて調製される。
【0175】
【表36】
【0176】
フェキソフェナジンは、高速メカニズムで放出される(すなわち、15分で80%以上を放出)(表37)。
【0177】
【表37】
【0178】
2.3.3 第3セットを成すフェキソフェナジン・マイクロカプセルの複数の例であって、SGX粒と混合されて調製されたもの
【0179】
別の複数の試作品が以下のように調製される。フェキソフェナジン・マイクロカプセルがSGX粒と組み合わされ、そしてキサンタンガムの濃度が1.0%w/wに維持されるように、SGX粒においてキサンタンガムの量が1.5から1.1%w/wに減少させられる。
【0180】
【表38】
【0181】
2.4 フェキソフェナジン粒の複数の例の調製
【0182】
2.4.1 第1セットを成す複数の粒化フェキソフェナジン・マイクロカプセルであって、ショ糖及びキサンタンガムを有するもの
【0183】
フェキソフェナジン・マイクロカプセル(15質量%のエチルセルロース)の1部が、ショ糖粉末の6部と共に粒化されて、上部噴霧部を備えた流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)(グラット(Glatt)GPCG3)内に投入される。ショ糖(15%w/w)及びキサンタンガム(0.5%w/w)の水溶液からなる結合剤溶液が室温で噴霧される。前記粒化処理の最終段階において、前記複数の粒が乾燥させられ、続いて、それら乾燥した粒が前記流動層から取り出されてふるい分けされる。それら粒は、粒度分布(振動ふるい分け試験による)と、フェキソフェナジンの放出率プロファイル(溶出性試験は、USP装置II内で、900mLのpH6.8緩衝液、日本薬局方第2液を用いて、37℃で、パドルの速度が50rpmの状態で行われる)と、有効成分の含有量均一性及び外観(光学顕微鏡法試験による)について特徴付けられる。
【0184】
含有量均一性試験により、フェキソフェナジン・マイクロカプセルが粒内に均一に分散されており、測定された平均含有率(n=15)及び関連するRSD%がそれぞれ111mg/g(マイクロカプセルの検定値に従って修正された理論値:114mg/g)及び3.2%であることが示される。光学顕微鏡法により、前記粒化処理の結果、マイクロカプセルがショ糖粒内に埋め込まれるとともに、マイクロカプセルがショ糖粒上に密着することが示されたように見える。
【0185】
【表39】
【0186】
【表40】
【0187】
2.4.2 第2セットを成す粒化フェキソフェナジン・マイクロカプセルの複数の例であって、ショ糖及びキサンタンガムを有するもの
【0188】
フェキソフェナジン・マイクロカプセル(15質量%のエチルセルロース)の1部が、ショ糖粉末の14部と共に粒化されて、上部噴霧部を備えた流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)(グラットGPCG3)内に投入される。ショ糖(15%w/w)及びキサンタンガム(0.5%w/w)の水溶液からなる結合剤溶液が室温で噴霧される。前記粒化処理の最終段階においてm、前記複数の粒が乾燥させられ、続いて、それら乾燥した粒が前記流動層から取り出されてふるい分けされる。
【0189】
収集された複数の粒は、粒度分布(振動ふるい分け試験による)と、フェキソフェナジンの放出率プロファイル(溶出性試験は、USP装置II内で、900mLのpH6.8緩衝液、日本薬局方第2液を用いて、37℃で、パドルの速度が50rpmの状態で行われる)と、有効成分の含有量均一性及び外観(光学顕微鏡法試験による)について特徴付けられる。
【0190】
含有量均一性試験により、複数の粒が均一に分散されており、平均含有率及びRSD%がそれぞれ53.5mg/g(マイクロカプセルの検定値に従って修正された理論値:54.5mg/g)及び2.8%であることが示されるように見える。
【0191】
粒の外観(光学顕微鏡法による)は、マイクロカプセルの同じバッチを用いて前記第1セットにおいて調製される粒の外観に近い。
【0192】
粒化が成功していることは、粒度分布データ(振動ふるい分け試験による)によってもまた確認され、ショ糖及びマイクロカプセルの凝集が顕著な粒度増大をもたらしている(表41)。さらに、粒の粒度分布は、前記第1セット(マイクロカプセル/ショ糖の質量比1:6)で生成された粒の粒度分布に匹敵する。
【0193】
表41.第1セットで得られた粒の粒度分布及びその粒に対応するマイクロカプセルの粒度分布
【0194】
【表41】
【0195】
【表42】
【0196】
2.4.3 第3セットを成す粒化フェキソフェナジン・マイクロカプセルの複数の例であって、ショ糖及びキサンタンガムを有するもの
【0197】
均一な最終混合物が、フェキソフェナジン・マイクロカプセルを前記複数の添加剤(excipient、イクシピエント)のうちの一部と共に(組み合わせて)粒化し、続いて、そのフェキソフェナジン・マイクロカプセルを、残りの不活性成分であって粒化された形態にあるものと混合することによって取得される。同様の粒度を有する複数の混合物が、1:1質量比(w/w比)で混合される。この共顆粒化処理は、実験室規模の上部噴霧流動層(fluid bed,フルイド・ベッド)(GPCG3、7インチ)内で実施される。マイクロカプセルは、1:6w/w比でショ糖と組み合わされ、さらに、キサンタンガム0.5%w/wを含有するショ糖水溶液(5%w/w)の結合剤溶液を用いて粒化される。
【0198】
複数の粒についての1つのバッチ、すなわち、試料45は、キサンタンガムなしのショ糖水溶液(5%w/w)の結合剤溶液を用いてマイクロカプセルを1:6w/w比でショ糖と組み合わせることによって作製される。前記結合剤溶液におけるキサンタンガムの添加及びそれに付随する、前記結合剤溶液におけるショ糖の量の増大により、マイクロカプセルをショ糖と共に(に組み合わせて)共顆粒化する処理が改善される。表43は、生成された粒の前記PSD(粒度分布)を列挙し、さらに、f(PSD)としての(前記PSDに応じて変化する)薬剤検定値を列挙する。
【0199】
【表43】
【0200】
理論的な検定値は、全ての製造された粒について常に約100mg/gである。顕微鏡観察により、マイクロカプセルにおいて細粒分(<125ミクロン)が、それより大きい粒分と比較して、豊富であることが示される。
【0201】
生成された粒の一部につき、「管内」溶解値が以下に与えられる。
【0202】
【表44】
【0203】
小さい粒子から成る粒分の含有率を制御するために、粒化処理パラメータ及び結合剤溶液の量を調節してもよい。
【0204】
図28に示すグラフは、3つの製造工程パラメータ(プロセス・パラメータ)、すなわち、前記粉末に噴霧される前記結合剤溶液の量、流入空気湿度及び噴霧空気圧を相互に関連付ける。低いパーセンテージの細粒分含有率(複数の値は、同図中、八角形の複数の角部上に示されている)を有する粒は、最低の噴霧圧、最大量の結合剤溶液、及び適切な流入空気湿度を用いて生成される。生成される共顆粒は、3%未満の細粒分含有率、及び3.0%未満のRSD(相対標準偏差)を有する薬剤含量を有する。
【0205】
2.4.4 第4セットを成す粒化フェキソフェナジン・マイクロカプセルの複数の例であって、ショ糖及びキサンタンガムを有するもの。工業規模
【0206】
前記湿潤マイクロカプセルは、実験室規模の研究中に用いられるのと同じ結合剤溶液を用いて、ショ糖微粉末と共に(と組み合わされて)共顆粒化される。具体的には、14.70kgの湿潤マイクロカプセルが、29.40kgの結合剤溶液を用いて、102.90kgのショ糖微粉末と共に(と組み合わされて)粒化される(比1:7)。その取得された粒は、840μmのステンレス製の鋼ふるいによって(を通して)ふるい分けられる。そのふるい分けられた生成物は、プラスチック製のドラム内の二重PE袋内に置かれる。
【0207】
【表45】
【0208】
得られた共顆粒は、PSD(粒度分布)、f(PSD)としての(前記PSDに応じて変化する)薬剤検定値、含水量(0.13%)、及びpH6.8第2液JP中での「管内」溶解値という観点で特徴付けられる。データは以下の表に報告されている。
【0209】
【表46】
【0210】
【表47】
【0211】
前記微粒子の量は少ない。前記RSDは、1.8%〜6.0%の間である。
【0212】
2.4.5 ショ糖粒及びキサンタン粒の調製
【0213】
ショ糖粒であって、前記共顆粒と共に得られるのと同様のPSDを有するものが作製される。この規模拡大処理は、前述の工業的な、上部噴霧流動層、グラットFB500、500L上で直接的に行われる。その処理は、単一工程として実施され、すなわち、キサンタンガムが、前記共顆粒化処理のために用いられるのと同じ結合剤溶液を噴霧することにより、ショ糖と共に(と組み合わされて)直接的に粒化されるが、前記エタノールは排除されている。
【0214】
具体的には、147.0kgのショ糖微粉末と3.0kgのキサンタンガムが、20.0kgの結合剤溶液と共に(と組み合わされて)粒化される。その粒化処理の最終段階において、その生成物は、840μmのステンレス鋼製のふるいによって(を通して)ふるい分けられ、そして149.1kgの粒が得られる(製造歩留まり97.4%)。
【0215】
【表48】
【0216】
生成される粒の前記PSD及び含水率(0.48%)が特徴付けられる。
【0217】
【表49】
【0218】
前記2種類の粒が、同じ製造工程パラメータ(プロセス・パラメータ)を適用することによって調製され、その結果、前記共顆粒と同様のPSDを有する組成物が生成される(これは、後続の混合工程の実施が成功し得ることを確認するために重要な必要条件である)。
【0219】
2.5 フェキソフェナジン粒及びショ糖粒の混合
【0220】
共顆粒及びショ糖粒についての前述の2つのバッチは、糖ベースのプラシーボ粒についての2つのバッチであって非常に近いPSDを有するものとの混合が、1:1w/w比で、かつ、約200kgのバッチサイズで行われる。試料51及びプラシーボ試料55の組み合わせは、混合後に試料56と称される。
【0221】
【表50】
【0222】
【表51】
【0223】
以下のいくつかの表は、前記複数のバッチの組成を記述している。
【0224】
【表52】
【0225】
【表53】
【0226】
混合物試料57の混合均一性(n=10)は、第1検定値が50.5mg/g(RSD:5.1%)、第2検定値が50.7mg/g(RSD:5.5%)である。その実行された試行により、それらの検定値平均が理論値(50mg/g)に近いことが示される。
【0227】
フェキソフェナジン・バルク混合物(試料57)の、緩衝液pH6.8第2液JP中での溶出性能値(それぞれの共顆粒(試料52)(n=6)と比較される)、及びpH3.0における溶出性能値が以下に報告される。
【0228】
【表54】
【0229】
前記混合処理により、最初の5分間で溶解速度の僅かな増加が示され、この効果は、混合工程中に関係する機械的なストレス(応力)に関連している可能性がある。
【0230】
【表55】
【0231】
試料57についての溶解データは、急速な放出を裏付ける。
【0232】
2.6 薬包への充填
【0233】
15mgの有効性成分含量(strength)が混合物の300mgに対応して生成される。充填機は、一列に並んだ2つの薬包を製造する(7.0mm×5.8mm)。それの最大生産量は、毎分170包である(速度85rpm)。それら薬包を作製するために用いられる材料は、3LAMINET/M_AL12960(PET12μm、アルミニウム9μm、帯電防止PE60μm)である。
【0234】
供給用スクリューが、バッグと供給用ホッパとの間に、かつ、そのホッパ内の混合物の量を一定に保つために粉末の量を検出するセンサと共に存在する(前記混合物の容積が減少すると、前記スクリューは前記ホッパへの供給を行う)。そのホッパは、左側部及び右側部充填システムを有する2つの部分からなり、各側部には、単一の投薬(dosing)スクリューが備えられている。それらの内側には、前記処理の実行中に前記混合物の穏やかな攪拌を続ける2つの攪拌システム(左右)がある。
【0235】
薬包充填の試行は、複数の微粒子レベルおよび複数のPSDレベルを有する共顆粒を用いて調製される混合物から開始することによって実施される。場合によっては、前記混合物の理論的な検定値は小さいため、各薬剤内容物(drug content)の目標有効性成分含量は可変であり得る。
【0236】
薬包試料58は、バルク混合物試料57(50.0mg/g、RSD5.6%)を用いることによって製造される。そのバルク混合物試料57のPSDが表51に与えられている。前記充填機のパラメータは、以下の表において与えられているように設定される。
【0237】
【表56】
【0238】
【表57】
【0239】
【表58】
【0240】
その結果により、6.3〜7.8の間での質量ばらつき及び6.5〜8.0の間での含量均一性を有する300mgの薬包が、本発明のフェキソフェナジン・マイクロカプセル共顆粒と共に得られていることが示される。
【0241】
2.6.2 混合物試料57(>125μm)の薬包への充填
【0242】
125ミクロン超のバルク混合物試料57が、試料57から、細粒分(<125ミクロン)を除去することによって調製され、これは、ふるい分けにより行われる。前記混合物のPSDデータは、表59に報告されている。
【0243】
【表59】
【0244】
薬包充填の試行は、15mg用量薬包上で、このバルク混合物を用いて実施される。薬包のバッチ番号、試料79が得られる。以下の表は、その結果をまとめている。
【0245】
【表60】
【0246】
充填質量に関して良好な結果が得られており、さらに、前記薬包の検定値が、実用的には理論値(13.8mg/g)に等しく、分離現象は生じていない。
【0247】
2.6.3 混合物試料56の薬包への充填
【0248】
複数回の試行が、15mg用量薬包上で、バルク混合物試料56を用いて実施される。そのバルク混合物のPSDは、表61に報告されている。
【0249】
【表61】
【0250】
この検定値は、前記充填質量と整合しており、常に理論値の300mgより大きく、分離現象は全くなく、その検定値は、全製造工程において、主としてそのばらつきにおいて、非常に一定に維持される。
【0251】
2.6.4 工業規模設備による薬包の充填
【0252】
更なる複数回の試行が、工業規模設備を用いて行われ、関与する複数のバッチサイズは、最終的なバルク混合物について数百キロの範囲内であり、また、数十万の服用数(dosage units、医薬品販売量)のオーダである。
【0253】
前記フェキソフェナジン共顆粒は、湿潤マイクロカプセルから開始して調製される。湿潤マイクロカプセルの粒度分布の複数の例が、表62に報告されている。
【0254】
【表62】
【0255】
前記共顆粒が調製され、そして粒化不活性成分と混合され、得られた3つのバッチは、表51の複数のバッチと同じ組成を有している。複数回の試行が、それら3つバッチについて実施される。
【0256】
以下の表は、前記複数の混合物についての、粒度分布に関するデータと、前記3つのバッチについて生成された複数の薬包についての検定値及びそれに対応する標準偏差を示している。
【0257】
【表63】
【0258】
混合物の各バッチは、複数の薬包についての2つのバッチを準備するために用いられ、予測される有効性成分含量15mg及び30mgの各々について1つのバッチが準備され、ここで、30mgの有効性成分含量は600mgの充填質量に対応し、15mgの有効性成分含量は300mgに対応している。
【0259】
詳細には、混合物の各バッチは、複数の薬包につき、次の複数のバッチを生成する。
【0260】
混合物試料59→薬包62(300mg)及び薬包63(600mg)
混合物試料60→薬包64(300mg)及び薬包65(600mg)
混合物試料61→薬包66(300mg)及び薬包67(600mg)
【0261】
以下の表は、複数の薬包について製造された複数のバッチの各々につき、検定値についての実験値を示している。
【0262】
【表64】
【0263】
更に、600mgのドライシロップを含有する薬包が「管内」溶解速度(溶出速度)に関しても分析され、その溶出性試験は、pH=3.0で、n=12の試料を用いて実施される。以下の表は、15分後の放出率%と、標準偏差(SD)と、相対標準偏差(RSD)を表すデータを報告している。
【0264】
【表65】
【0265】
以上より、別の充填質量(1包当り600mg及び300mg)及び別の有効性成分含量(1包当り15mg及び30mgのフェキソフェナジンHCl)の薬包であって前記ドライシロップを含有するものがうまく製造されることが明らかである。
【0266】
本発明の具体的ないくつかの実施態様が例示を目的として本明細書に記載されているが、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく種々の変更を施し得ることが理解されるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
味覚遮蔽・即放性マイクロカプセル又は味覚遮蔽・即放性共顆粒化マイクロカプセル及びそれらの混合物から選択されるマイクロカプセルを含む医薬組成物であって、
前記マイクロカプセルは、フェキソフェナジンと、不水溶性重合体のコーティングとを含む医薬組成物。
【請求項2】
前記マイクロカプセルは、味覚遮蔽・即放性共顆粒化マイクロカプセルである請求項1の医薬組成物。
【請求項3】
前記フェキソフェナジンは、結晶性フェキソフェナジンである請求項1及び2の医薬組成物。
【請求項4】
前記フェキソフェナジンは、塩酸フェキソフェナジンである請求項1〜3の医薬組成物。
【請求項5】
前記不水溶性重合体は、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、アンモニオメタクリル酸塩共重合体及びそれらの混合物から成る群より選択される請求項1〜4の医薬組成物。
【請求項6】
前記不水溶性重合体は、エチルセルロースである請求項5の医薬組成物。
【請求項7】
前記マイクロカプセルのうち、前記不水溶性重合体の質量は、約2%〜約40%である請求項1〜6の医薬組成物。
【請求項8】
前記マイクロカプセルのうち、前記不水溶性重合体の質量は、約10%〜約20%である請求項7の医薬組成物。
【請求項9】
前記マイクロカプセルのうち、前記不水溶性重合体の質量は、約13%〜約18%である請求項8の医薬組成物。
【請求項10】
当該医薬組成物は、前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約60%をpH6.8の日本薬局方第2液中で15分以内に放出する請求項4の医薬組成物。
【請求項11】
当該医薬組成物は、前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約80%をpH6.8の日本薬局方第2液中で15分以内に放出する請求項10の医薬組成物。
【請求項12】
当該医薬組成物は、前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約90%をpH6.8の日本薬局方第2液中で15分以内に放出する請求項11の医薬組成物。
【請求項13】
当該医薬組成物は、前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約95%をpH6.8の日本薬局方第2液中で15分以内に放出する請求項12の医薬組成物。
【請求項14】
前記マイクロカプセルは、界面活性剤を更に含む請求項1〜13の医薬組成物。
【請求項15】
前記マイクロカプセルは、滑剤又は抗粘着剤を更に含む請求項14の医薬組成物。
【請求項16】
前記界面活性剤は、ドクサートナトリウム、オレイン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン及びラウリル硫酸ナトリウムから成る群より選択される請求項14及び15の医薬組成物。
【請求項17】
前記界面活性剤は、ドクサートナトリウムである請求項16の医薬組成物。
【請求項18】
任意選択的に粒化される少なくとも1つの不活性成分及び/又は少なくとも1つのイクシピエントを更に含む請求項1〜17の医薬組成物。
【請求項19】
前記不活性成分は、糖アルコール、サッカリド、粒化糖アルコール及び粒化サッカリドから成る群より選択される請求項18の医薬組成物。
【請求項20】
前記不活性成分は、ショ糖、キサンタンガム、シクロデキストリン及びそれらの混合物である請求項18の医薬組成物。
【請求項21】
当該医薬組成物は、タブレット、カプセル又はサチェットの剤型を有する請求項1〜20の医薬組成物。
【請求項22】
前記共顆粒化マイクロカプセルは、味覚遮蔽・即放性マイクロカプセル、キサンタンガム及びショ糖からなり、(前記キサンタンガム+前記ショ糖)に対するマイクロカプセルの質量比は1:7である請求項1〜20の医薬組成物。
【請求項23】
前記粒化不活性成分に対する前記共顆粒化マイクロカプセルの比は、1:1である請求項17〜22の医薬組成物。
【請求項24】
当該医薬組成物は、サチェットの剤型を有する請求項22及び23の医薬組成物。
【請求項25】
請求項1の医薬組成物を調製する方法であって、
前記医薬組成物は、不水溶性重合体でコーティングされるフェキソフェナジンを有する味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルを含み、
当該方法は、
(a)不水溶性重合体を有機溶媒中に溶解させる工程と、
(b)フェキソフェナジンを前記有機溶媒中に懸濁させる工程と、
(c)相分離により、前記不水溶性重合体のコーティングを前記フェキソフェナジンに適用する工程と、
(d)前記マイクロカプセルを前記有機溶媒から分離する工程と
を含む方法。
【請求項26】
前記フェキソフェナジンは、結晶性フェキソフェナジンである請求項25の方法。
【請求項27】
前記フェキソフェナジンは、塩酸フェキソフェナジンである請求項25の方法。
【請求項28】
(e)前記分離されたマイクロカプセルを乾燥させる工程を更に含む請求項27の方法。
【請求項29】
工程(c)を促進するために相誘発剤を前記有機溶媒に添加する工程を更に含む請求項28の方法。
【請求項30】
前記相誘発剤は、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリブタジエン、有機ケイ素重合体及びパラフィンから成る群より選択される請求項29の方法。
【請求項31】
前記相誘発剤は、ポリエチレンである請求項30の方法。
【請求項32】
サチェットの剤型を有する味覚遮蔽・即放性の医薬組成物を調製する方法であって、
(a)不水溶性重合体を有機溶媒中に溶解させる工程と、
(b)フェキソフェナジンを前記有機溶媒中に懸濁させる工程と、
(c)相分離により、前記不水溶性重合体のコーティングを前記フェキソフェナジンに適用する工程と、
(d)前記マイクロカプセルを前記有機溶媒から分離する工程と、
(e)マイクロカプセルを湿潤化する任意選択的な工程と、
(f)前記マイクロカプセルを少なくとも1つの不活性成分と共に共顆粒化する工程と、
(g)少なくとも1つの不活性成分を別個に粒化する工程と、
(h)工程(f)において取得された共顆粒と、工程(g)において取得された粒化不活性成分とを混合させる工程と、
(i)工程(h)のバルク混合物をサチェット内に充填する工程と
を含む方法。
【請求項33】
個人における炎症関連疾患を治療する方法であって、
投与を必要としている個人に味覚遮蔽・即放性マイクロカプセル又は味覚遮蔽・即放性共顆粒化マイクロカプセルを含む医薬組成物を投与する工程を含み、
前記マイクロカプセルは、フェキソフェナジンと、不水溶性重合体のコーティングとを含む方法。
【請求項34】
前記フェキソフェナジンは、結晶性フェキソフェナジンである請求項33の方法。
【請求項35】
前記フェキソフェナジンは、塩酸フェキソフェナジンである請求項33及び34の方法。
【請求項36】
前記マイクロカプセルのうち、前記不水溶性重合体の質量は、約2%〜約40%である請求項33の方法。
【請求項37】
前記マイクロカプセルのうち、前記不水溶性重合体の質量は、約10%〜約20%である請求項35の方法。
【請求項38】
前記マイクロカプセルのうち、前記不水溶性重合体の質量は、約13%〜約18%である請求項37の方法。
【請求項39】
前記炎症関連疾患は、季節性アレルギー鼻炎又は慢性特発性じんましんである請求項33〜38の方法。
【請求項40】
前記炎症関連疾患は、季節性アレルギー鼻炎である請求項39の方法。
【請求項41】
前記炎症関連疾患は、慢性特発性じんましんである請求項39の方法。
【請求項42】
前記不水溶性重合体は、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、アンモニオメタクリル酸塩共重合体及びそれらの混合物から成る群より選択される請求項33〜41の方法。
【請求項43】
前記不水溶性重合体は、エチルセルロースである請求項42の方法。
【請求項44】
前記医薬組成物は、前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約80%をpH6.8の日本薬局方第2液中で15分以内に放出する請求項33〜43の方法。
【請求項45】
前記医薬組成物は、前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約90%をpH6.8の日本薬局方第2液中で15分以内に放出する請求項44の方法。
【請求項46】
前記マイクロカプセルは、界面活性剤を更に含む請求項33〜43の方法。
【請求項47】
前記マイクロカプセルは、滑剤又は抗粘着剤を更に含む請求項45の医薬組成物。
【請求項48】
前記界面活性剤は、ドクサートナトリウム、オレイン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン及びラウリル硫酸ナトリウムから成る群より選択される請求項47の方法。
【請求項49】
前記界面活性剤は、ドクサートナトリウムである請求項48の方法。
【請求項50】
任意選択的に粒化される少なくとも1つの不活性成分及び/又は少なくとも1つのイクシピエントを更に含む請求項33〜49の方法。
【請求項51】
前記不活性成分は、糖アルコール、サッカリド、粒化糖アルコール及び粒化サッカリドから成る群より選択される請求項50の方法。
【請求項52】
前記不活性成分は、ショ糖、キサンタンガム、シクロデキストリン及びそれらの混合物である請求項51の方法。
【請求項53】
前記医薬組成物は、タブレット、カプセル又はサチェットの剤型を有する請求項33〜52の方法。
【請求項54】
前記医薬組成物は、サチェットの剤型を有する請求項53の方法。
【請求項1】
味覚遮蔽・即放性マイクロカプセル又は味覚遮蔽・即放性共顆粒化マイクロカプセル及びそれらの混合物から選択されるマイクロカプセルを含む医薬組成物であって、
前記マイクロカプセルは、フェキソフェナジンと、不水溶性重合体のコーティングとを含む医薬組成物。
【請求項2】
前記マイクロカプセルは、味覚遮蔽・即放性共顆粒化マイクロカプセルである請求項1の医薬組成物。
【請求項3】
前記フェキソフェナジンは、結晶性フェキソフェナジンである請求項1及び2の医薬組成物。
【請求項4】
前記フェキソフェナジンは、塩酸フェキソフェナジンである請求項1〜3の医薬組成物。
【請求項5】
前記不水溶性重合体は、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、アンモニオメタクリル酸塩共重合体及びそれらの混合物から成る群より選択される請求項1〜4の医薬組成物。
【請求項6】
前記不水溶性重合体は、エチルセルロースである請求項5の医薬組成物。
【請求項7】
前記マイクロカプセルのうち、前記不水溶性重合体の質量は、約2%〜約40%である請求項1〜6の医薬組成物。
【請求項8】
前記マイクロカプセルのうち、前記不水溶性重合体の質量は、約10%〜約20%である請求項7の医薬組成物。
【請求項9】
前記マイクロカプセルのうち、前記不水溶性重合体の質量は、約13%〜約18%である請求項8の医薬組成物。
【請求項10】
当該医薬組成物は、前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約60%をpH6.8の日本薬局方第2液中で15分以内に放出する請求項4の医薬組成物。
【請求項11】
当該医薬組成物は、前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約80%をpH6.8の日本薬局方第2液中で15分以内に放出する請求項10の医薬組成物。
【請求項12】
当該医薬組成物は、前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約90%をpH6.8の日本薬局方第2液中で15分以内に放出する請求項11の医薬組成物。
【請求項13】
当該医薬組成物は、前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約95%をpH6.8の日本薬局方第2液中で15分以内に放出する請求項12の医薬組成物。
【請求項14】
前記マイクロカプセルは、界面活性剤を更に含む請求項1〜13の医薬組成物。
【請求項15】
前記マイクロカプセルは、滑剤又は抗粘着剤を更に含む請求項14の医薬組成物。
【請求項16】
前記界面活性剤は、ドクサートナトリウム、オレイン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン及びラウリル硫酸ナトリウムから成る群より選択される請求項14及び15の医薬組成物。
【請求項17】
前記界面活性剤は、ドクサートナトリウムである請求項16の医薬組成物。
【請求項18】
任意選択的に粒化される少なくとも1つの不活性成分及び/又は少なくとも1つのイクシピエントを更に含む請求項1〜17の医薬組成物。
【請求項19】
前記不活性成分は、糖アルコール、サッカリド、粒化糖アルコール及び粒化サッカリドから成る群より選択される請求項18の医薬組成物。
【請求項20】
前記不活性成分は、ショ糖、キサンタンガム、シクロデキストリン及びそれらの混合物である請求項18の医薬組成物。
【請求項21】
当該医薬組成物は、タブレット、カプセル又はサチェットの剤型を有する請求項1〜20の医薬組成物。
【請求項22】
前記共顆粒化マイクロカプセルは、味覚遮蔽・即放性マイクロカプセル、キサンタンガム及びショ糖からなり、(前記キサンタンガム+前記ショ糖)に対するマイクロカプセルの質量比は1:7である請求項1〜20の医薬組成物。
【請求項23】
前記粒化不活性成分に対する前記共顆粒化マイクロカプセルの比は、1:1である請求項17〜22の医薬組成物。
【請求項24】
当該医薬組成物は、サチェットの剤型を有する請求項22及び23の医薬組成物。
【請求項25】
請求項1の医薬組成物を調製する方法であって、
前記医薬組成物は、不水溶性重合体でコーティングされるフェキソフェナジンを有する味覚遮蔽・即放性マイクロカプセルを含み、
当該方法は、
(a)不水溶性重合体を有機溶媒中に溶解させる工程と、
(b)フェキソフェナジンを前記有機溶媒中に懸濁させる工程と、
(c)相分離により、前記不水溶性重合体のコーティングを前記フェキソフェナジンに適用する工程と、
(d)前記マイクロカプセルを前記有機溶媒から分離する工程と
を含む方法。
【請求項26】
前記フェキソフェナジンは、結晶性フェキソフェナジンである請求項25の方法。
【請求項27】
前記フェキソフェナジンは、塩酸フェキソフェナジンである請求項25の方法。
【請求項28】
(e)前記分離されたマイクロカプセルを乾燥させる工程を更に含む請求項27の方法。
【請求項29】
工程(c)を促進するために相誘発剤を前記有機溶媒に添加する工程を更に含む請求項28の方法。
【請求項30】
前記相誘発剤は、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ポリブタジエン、有機ケイ素重合体及びパラフィンから成る群より選択される請求項29の方法。
【請求項31】
前記相誘発剤は、ポリエチレンである請求項30の方法。
【請求項32】
サチェットの剤型を有する味覚遮蔽・即放性の医薬組成物を調製する方法であって、
(a)不水溶性重合体を有機溶媒中に溶解させる工程と、
(b)フェキソフェナジンを前記有機溶媒中に懸濁させる工程と、
(c)相分離により、前記不水溶性重合体のコーティングを前記フェキソフェナジンに適用する工程と、
(d)前記マイクロカプセルを前記有機溶媒から分離する工程と、
(e)マイクロカプセルを湿潤化する任意選択的な工程と、
(f)前記マイクロカプセルを少なくとも1つの不活性成分と共に共顆粒化する工程と、
(g)少なくとも1つの不活性成分を別個に粒化する工程と、
(h)工程(f)において取得された共顆粒と、工程(g)において取得された粒化不活性成分とを混合させる工程と、
(i)工程(h)のバルク混合物をサチェット内に充填する工程と
を含む方法。
【請求項33】
個人における炎症関連疾患を治療する方法であって、
投与を必要としている個人に味覚遮蔽・即放性マイクロカプセル又は味覚遮蔽・即放性共顆粒化マイクロカプセルを含む医薬組成物を投与する工程を含み、
前記マイクロカプセルは、フェキソフェナジンと、不水溶性重合体のコーティングとを含む方法。
【請求項34】
前記フェキソフェナジンは、結晶性フェキソフェナジンである請求項33の方法。
【請求項35】
前記フェキソフェナジンは、塩酸フェキソフェナジンである請求項33及び34の方法。
【請求項36】
前記マイクロカプセルのうち、前記不水溶性重合体の質量は、約2%〜約40%である請求項33の方法。
【請求項37】
前記マイクロカプセルのうち、前記不水溶性重合体の質量は、約10%〜約20%である請求項35の方法。
【請求項38】
前記マイクロカプセルのうち、前記不水溶性重合体の質量は、約13%〜約18%である請求項37の方法。
【請求項39】
前記炎症関連疾患は、季節性アレルギー鼻炎又は慢性特発性じんましんである請求項33〜38の方法。
【請求項40】
前記炎症関連疾患は、季節性アレルギー鼻炎である請求項39の方法。
【請求項41】
前記炎症関連疾患は、慢性特発性じんましんである請求項39の方法。
【請求項42】
前記不水溶性重合体は、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、アンモニオメタクリル酸塩共重合体及びそれらの混合物から成る群より選択される請求項33〜41の方法。
【請求項43】
前記不水溶性重合体は、エチルセルロースである請求項42の方法。
【請求項44】
前記医薬組成物は、前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約80%をpH6.8の日本薬局方第2液中で15分以内に放出する請求項33〜43の方法。
【請求項45】
前記医薬組成物は、前記塩酸フェキソフェナジンのうちの少なくとも約90%をpH6.8の日本薬局方第2液中で15分以内に放出する請求項44の方法。
【請求項46】
前記マイクロカプセルは、界面活性剤を更に含む請求項33〜43の方法。
【請求項47】
前記マイクロカプセルは、滑剤又は抗粘着剤を更に含む請求項45の医薬組成物。
【請求項48】
前記界面活性剤は、ドクサートナトリウム、オレイン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン及びラウリル硫酸ナトリウムから成る群より選択される請求項47の方法。
【請求項49】
前記界面活性剤は、ドクサートナトリウムである請求項48の方法。
【請求項50】
任意選択的に粒化される少なくとも1つの不活性成分及び/又は少なくとも1つのイクシピエントを更に含む請求項33〜49の方法。
【請求項51】
前記不活性成分は、糖アルコール、サッカリド、粒化糖アルコール及び粒化サッカリドから成る群より選択される請求項50の方法。
【請求項52】
前記不活性成分は、ショ糖、キサンタンガム、シクロデキストリン及びそれらの混合物である請求項51の方法。
【請求項53】
前記医薬組成物は、タブレット、カプセル又はサチェットの剤型を有する請求項33〜52の方法。
【請求項54】
前記医薬組成物は、サチェットの剤型を有する請求項53の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
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【図8】
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【図10】
【図11】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
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【図22】
【図23】
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【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2013−507433(P2013−507433A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533709(P2012−533709)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【国際出願番号】PCT/IB2010/003196
【国際公開番号】WO2011/067667
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(502288078)アプタリス ファーマ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【国際出願番号】PCT/IB2010/003196
【国際公開番号】WO2011/067667
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(502288078)アプタリス ファーマ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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