説明

フェンス

【課題】意匠が支柱13の間隔(ピッチ)に影響されにくく、しかも、構築作業や修理作業を少ない人数で行なえる構造を実現する。
【解決手段】各パネルユニット15の上端縁部を保持する為に上枠43に上側抱持溝部24を、下方に開口する状態で設ける。この上側抱持溝部24の深さH24を、上記各パネルユニット15の上端縁部と上記上側抱持溝部24との上下方向に関する掛り代HH と、これら各パネルユニット15の下端縁部と下枠14の上面に設けた下側抱持溝部20との上下方向に関する掛り代HL とを合計した深さ以上(H24≧HH +HL )とする。上記上枠43と上記下枠14との間への上記各パネルユニット15の着脱を、これら各パネルユニット15の1枚毎に行なえる為、上記課題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般住宅等の塀として、或いはマンションや一般住宅のテラス、屋上等の柵として利用するフェンスの改良に関し、支柱のピッチにより意匠が制限される事がない構造を実現するものである。
【背景技術】
【0002】
図6〜11は、一般住宅等の塀として、或いはテラス、屋上等の柵として利用するフェンスの2例を示している。これらのフェンス1、1aは、コンクリートブロック(例えば塀の場合)、或いは鉄筋コンクリート(例えば柵の場合)等により造った、比較的低い腰塀或いは土手部の如き基部2の上面に構築している。上記フェンス1、1aを構築する為に、この基部2の上面に複数本の支柱3、3aを、水平方向に互いに間隔をあけてそれぞれ上下方向に固定し、これら複数本の支柱3、3aの上端部に、手摺4を掛け渡している。
【0003】
図6〜8に示した第1例の構造の場合には、上記各支柱3、3の中間部下端寄り部分同士の間に掛け渡した下枠5、5の上面と上記手摺4の下面との間に、複数本の竪材6、6を掛け渡している。これに対して、図9〜11に示した第2例の構造の場合には、上枠7の下面と下枠5aの上面との間にそれぞれ複数本ずつの竪材6、6を掛け渡して成る複数枚のパネルユニット8、8の両端部を、それぞれブラケット9、9により、上記各支柱3a、3aに支持固定している。
【0004】
何れの構造の場合も、上記フェンス1、1aの意匠は、図6、9から明らかな通り、上記各支柱3、3aの存在に大きく影響される。一方、これら各支柱3、3aの間隔(ピッチ)は、上記フェンス1、1aに必要且つ十分な強度を確保できる範囲で、できる限り広くする事が一般的である。従って、上記従来構造の場合には、上記各支柱3、3aの存在に基づき、上記フェンス1、1aの意匠が制限される。
【0005】
これに対して、特許文献1には、図12〜13に示す様な構造のフェンス1bが記載されている。この従来構造の第3例のフェンス1bは、各支柱3、3の中間部で基部2の上面から少し上方位置部分に1本の下枠10を、これら各支柱3、3同士の間に掛け渡す様に固定している。又、上記各支柱3、3の上端部同士の間に、1本の上枠11を、これら各支柱3、3同士の間に掛け渡す様に、且つ、上記下枠10と平行に固定している。そして、この下枠10により複数枚のパネルユニット12、12の下端縁部を、上記上枠11によりこれら各パネルユニット12、12の上端縁部を、それぞれ抱持している。
【0006】
この様な特許文献1に記載された構造の場合には、図6、9と図12とを比較すれば明らかな通り、フェンス1bを外から(支柱3、3を設置した側と反対側から)見た場合に、支柱3、3が目立たない。従って、隣り合う支柱3、3同士の間隔(ピッチ)に拘らず、上記フェンス1bの意匠設計上の自由度が向上する。但し、構築作業、或いは修理作業の容易化を図る面からは、改良の余地がある。この理由は、上記フェンス1bを構成する上記複数枚のパネルユニット12、12の上端縁部と上記上枠11との係脱を、これら各パネルユニット12、12全体で同時に行なう必要がある為である。
【0007】
即ち、上記各パネルユニット12、12はそれぞれ、上記上枠11に抱持された状態で、上端縁部を支持されている。この上枠11を設置する以前の状態では、上記各パネルユニット12、12はそれぞれの下端縁部を上記下枠10の上面に抱持されただけで、鉛直方向に自立する事は難しい。従って、上記各パネルユニット12、12の上端縁部を上記上枠11により抱持する為には、これら各パネルユニット12、12を同一平面上に位置させた状態で、これら各パネルユニット12、12の上端縁部に上記上枠11を被せる必要がある。この様な作業を一人の作業員で行なう事は難しい。又、複数枚のパネルユニット12、12のうちの何れかのパネルユニット12が損傷した場合にこれを交換する際に、上記上枠11を取り外すと、この上枠11によりそれぞれの上端縁を支持された総てのパネルユニット12、12の上端縁の支持力が失われる。この結果、これら各パネルユニット12、12が鉛直方向に位置しない状態となる為、損傷したパネルユニットを交換する作業を一人の作業員で行なう事は、新規構築作業の際と同様、困難になる。
【0008】
【特許文献1】特開平11−125037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、意匠が支柱の間隔(ピッチ)に影響されにくく、しかも、構築作業や修理作業を少ない人数で行なえるフェンスの構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のフェンスは、何れも、前述した特許文献1に記載されたフェンスと同様に、複数本の支柱と、1本の下枠と、1本の上枠と、複数枚のパネルユニットとを備える。
このうちの各支柱は、水平方向に互いに間隔をあけてそれぞれ上下方向に固定したものである。
又、上記下枠は、これら各支柱の中間部同士の間に、これら各支柱よりも表側に突出した状態で掛け渡されたもので、上方が開口した断面形状を有する。
又、上記上枠は、上記各支柱の上部同士の間に、これら各支柱よりも表側に突出した状態で掛け渡されたもので、下方が開口した断面形状を有する。
更に、上記各パネルユニットは、それぞれの下端縁部を上記下枠に、それぞれの上端縁部を上記上枠に、それぞれ抱持されたものである。
【0011】
尚、上記各支柱よりも表側とは、フェンスとしての意匠を重要視する側で、一般的に言えば、塀の場合には道路側、柵の場合には屋外側を言う。又、上記下枠及び上記上枠が1本であるとは、上記複数枚のパネルユニットの下端縁部及び上端縁部を、それぞれ1本の下枠及び上枠により支持するとの意味である。これら下枠及び上枠の全長が、輸送を考慮して(トラックの荷台長さを考慮して)制限される事は当然である。従って、小規模工事の場合で3m或いは5mを越えるフェンスを構築する場合、更には、大規模工事でも10mを越える様なフェンスを構築する場合、当然に、上記下枠及び上記上枠は、長さ方向に直列に接続された複数本の枠材により構成する。この場合でも、各枠材毎に複数枚のパネルユニットの端縁部を支持すれば、上記下枠及び上記上枠が1本であるとの条件は満たす事になる。
【0012】
特に、本発明のうちの請求項1に記載したフェンスに於いては、上記各パネルユニットの上端縁部を保持する為に上記上枠に、下方に開口する状態で設けた上側抱持溝部の深さを、これら各パネルユニットの上端縁部との上下方向に関する掛り代と、これら各パネルユニットの下端縁部と上記下枠との上下方向に関する掛り代とを合計した深さ以上としている。そして、この様に上記上側抱持溝部の深さを確保する事により、予め設置した下枠と上枠との間に上記各パネルユニットを(所謂「ケンドン式に)建て込み、更にこれら両枠同士の間に保持可能としている。
【0013】
又、請求項2に記載したフェンスに於いては、上記上枠を、結合部と笠木部とにより構成している。このうちの結合部は、上記各支柱の上端部に結合固定されると共に、これら各パネルユニットの上端縁部をねじ止め固定するものである。又、上記笠木部は、上記結合部にこれら各パネルユニットの上端縁部を結合固定した状態で、この結合部に対し着脱可能で、この結合部に装着した状態で上記各パネルユニットの上端縁部を覆う。
【発明の効果】
【0014】
上述の様に構成する本発明のフェンスによれば、意匠が支柱の間隔(ピッチ)に影響されにくく、しかも、構築作業や修理作業を少ない人数で行なえる。
先ず、各支柱同士の間に、これら各支柱よりも表側に突出した状態で設けられた上枠と下枠との間に各パネルユニットを建て込むので、上記各支柱の大部分がこれら各パネルユニットの裏側に隠れ、意匠を重要視する表側に表れない(目立たない)。従って、フェンスの意匠を考える場合に、上記各パネルユニットの幅及びピッチと上記各支柱のピッチとを関連付ける必要がなくなる。この結果、意匠設計上の自由度が向上する。
又、何れの構造の場合でも、これら各パネルユニットの上端縁部を、これら各パネルユニット毎に独立して、予め上記各支柱の同士の間に掛け渡された下枠と上枠との間に建て込める。この為、構築作業や修理作業を少ない人数で行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[実施の形態の第1例]
図1〜4は、請求項1に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例のフェンスは、複数本の支柱13、13と、1本の下枠14と、1本の上枠43と、複数枚のパネルユニット15、15とを備える。
このうちの各支柱13、13は、比較的低い腰塀或いは土手部の如き、コンクリート製基部2の上面に、水平方向(図1、2、4の左右方向)に互いに間隔をあけて、それぞれ上下方向(鉛直方向)に固定している。本例の場合に上記各支柱13、13はそれぞれ、下端部を上記基部2に埋設固定した、鋼製或いはステンレス鋼製で円管状の内部支柱16と、この内部支柱16にがたつきなく外嵌してリベットによりこの内部支柱16に対し固定した、アルミニウム合金の押し出し型材製の外部支柱17とから構成している。
【0016】
又、上記下枠14は、上記各支柱13、13の中間部下端寄り部分同士の間に、これら各支柱13、13よりも表側(フェンスとしての意匠を重要視する側で、図1、4の手前側、図2の下側、図3の左側)に突出した状態で掛け渡されている。この為に本例の場合には、上記各支柱13、13の中間部下端寄り部分の表面側に、横T字形の取付ブラケット18をねじ止め固定し、この取付ブラケット18の上面に上記下枠14を支持固定している。この下枠14は、アルミニウム合金の押し出し型材製で、上方が開口した断面形状を有する。又、本例の場合には、上記下枠14の上下方向中間部に、この下枠14の両内側面の同じ高さ位置から互いに近付く方向に突出した1対の水平板部19、19を形成し、これら水平板部19、19よりも上側部分を、上記各パネルユニット15、15の下端縁部を抱持する為の下側抱持溝部20としている。
【0017】
又、前記上枠43は、上記各支柱13、13の上端部同士の間に、これら各支柱13、13よりも表側に突出した状態で掛け渡されている。この為に本例の場合には、これら各支柱13、13の上端部に平板状の支持板21の中央部を、複数本のタッピングねじ22、22により固定している。上記上枠43の長さ方向(図1、2、4の左右方向、図3の表裏方向)に関する、上記支持板21の長さ寸法は、同方向に関する上記各支柱13、13の幅寸法よりも大きい。従って、この支持板21の長さ方向両端部は、これら各支柱13、13の両側面から突出している。上記上枠43は、この様な支持板21の長さ方向両端部を下方から挿通した複数本の止めねじ23、23により、この支持板21を介して、上記各支柱13、13の上端部に支持固定されている。
【0018】
この様にして、これら各支柱13、13の上端部に支持固定された、上記上枠43の表側半部は、これら各支柱13、13よりも、表側に突出(オーバハング)している。そして、上記上枠43の下面で、これら各支柱13、13よりも表側に突出した部分に、下方が開口した上側抱持溝部24を設けている。本例の場合、この上側抱持溝部24の深さH24を、前記各パネルユニット15、15の上端縁部を保持する為に必要とされる深さよりも十分に大きくしている。具体的には、上記深さH24を、上記各パネルユニット15、15の上端縁部と上記上側抱持溝部24との上下方向に関する掛り代HH と、これら各パネルユニット15、15の下端縁部と前記下枠14との上下方向に関する掛り代HL とを合計した深さ以上(H24≧HH +HL )としている。そして、この様に上記上側抱持溝部24の深さH24を確保する事により、予め設置した上記下枠14と上記上枠43との間に上記各パネルユニット15、15を建て込み、更にこれら両枠14、43同士の間に保持可能としている。
【0019】
上記各パネルユニット15、15は、上述の様な上側抱持溝部24と前記下側抱持溝部20との間に、一般的な、引戸式の雨戸障子やガラス障子と同様の建て込み方式である、ケンドン式に建て込んでいる。本例の場合、上記各パネルユニット15、15は、矩形のガラスパネル25の四周を、上框26と下框27と左右の竪框28、28とにより囲んで成る。この様な上記各パネルユニット15、15は、それぞれの下端縁部に位置する上記下框27を上記下側抱持溝部20に保持すると共に、それぞれの上端縁部を構成する上記上框26を上記上側抱持溝部24に保持した状態で、上記下枠14と上記上枠43との間に建て込んでいる。
【0020】
建て込み作業の際には、先ず、上記パネルユニット15を1枚ずつ、上方に向かう程裏側に向かう方向に傾斜させた状態で、上記下枠14と上記上枠43との間に表側から近づける。そして、上記上框26を上記上側抱持溝部24に進入させ、この上框26をこの上側抱持溝部24の奥に迄押し込みつつ、上記パネルユニット15を鉛直方向に向ける。この結果、上記上框26が上側抱持溝部24の奥端に達した状態で、上記下框27が上記下側抱持溝部20の直上に位置するので、上記パネルユニット15を下降させ、この下框27をこの下側抱持溝部20に入り込ませる。この状態で、上記パネルユニット15の上端縁部が上記上枠43に、同じく下端縁部が上記下枠14に、それぞれ保持される。そこで、この状態のまま、これら下枠14及び上枠43を裏面側から挿通した固定ねじ29、29により、この下枠14と上記下框27とを、この上枠43と上記上框26とを、それぞれ結合固定する。この結果、上記パネルユニット15が、フェンスの表面側からは取り外せない様になる。フェンスを構築する場合には、これら一連の作業を、各パネルユニット15毎に行なう。又、修理等の為に何れかのパネルユニット15を上記上枠43と上記下枠14との間から取り外す際には、上記作業を逆の手順で行なう。本例の構造の場合、或るパネルユニット15の着脱作業を行なう際に、他のパネルユニット15が傾斜したり外れたりする事はない為、何れの作業も、少ない人数で行なえる(最低限、一人でも可能である)。
【0021】
上述の様に構成する本例の構造によれば、意匠が前記各支柱13、13の間隔(ピッチ)に影響されにくく、しかも、構築作業や修理作業を少ない人数で行なえる。
先ず、上記各支柱13、13同士の間に、これら各支柱13、13よりも表側に突出した状態で設けられた上記上枠43と上記下枠14との間に上記各パネルユニット15、15を建て込むので、上記各支柱13、13の大部分がこれら各パネルユニット15、15の裏側に隠れ、意匠を重要視する表側に表れない。従って、フェンスの意匠を考える場合に、上記各パネルユニット15、15の幅及びピッチと上記各支柱13、13のピッチとを関連付ける必要がなくなる。この結果、意匠設計上の自由度が向上する。例えば、図4は、隣り合うパネルユニット15、15同士の間に、前述の図6〜11に示した従来構造を構成する竪材6、6を設置した意匠を構成した場合に就いて示している。この様な意匠を構成する場合も、各支柱13、13のピッチをそのままにしても、意匠上違和感を与える事はない。
【0022】
[実施の形態の第2例]
図5は、請求項2に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、上枠30を、何れもアルミニウム合金の押し出し型材製である、結合部31と笠木部32とにより構成している。このうちの結合部31は、水平板部33と、この水平板部33の両端縁のうちでフェンスの表面側(図5の左側)から上方に折れ曲がった立上り板部34とから成る。そして、このうちの水平板部33を、タッピングねじ22、22により、各支柱13の上端部に結合固定している。これに対して上記笠木部32は、上記結合部31に対し係脱可能とし、係合(結合)して上記上枠30を構成した状態で、上記フェンスの表面側半部の断面形状が、下方が開口した形状となる様にしている。
【0023】
上記結合部31と上記笠木部32とを係脱可能にする為に、本例の場合には、上記立上り板部34の上端縁に、フェンスの表面側に折れ曲がった固定側係止片35を形成している。これに対して、上記笠木部32の下面中央部に着脱側係止片36を、上記フェンスの裏面側端部(図5の右端部)内面にねじ受け片37を、それぞれ形成している。上記結合部31と上記笠木部32とを結合する場合には、この笠木部32をこの結合部31に対し、上記フェンスの表面側から裏面側に変位させつつ、上記固定側係止片35と上記着脱側係止片36とを係合させ、更に、上記ねじ受け片37の下面を上記結合部31の裏面側端部上面に当接させる。そして、この結合部31の裏面側端部を下方から挿通したねじ38を上記ねじ受け片37に螺合させ更に緊締する。
【0024】
一方、下枠39は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様に、取付ブラケット18を介して、上記各支柱13の表面側下端寄り部分に支持固定している。上記下枠39の形状は、次述する各パネルユニット15aとの結合構造の相違に基づいて、上記実施の形態の第1例と多少異なっている。特に、上記下枠39の上端部で上記各支柱13側端部に、上記各パネルユニット15aとの結合用ねじを螺合させる為の、水平板部40を設けている。
【0025】
上記各パネルユニット15aは、それぞれの上下両端縁部を構成する上框26aと下框27aとを、それぞれ前記上枠30と上記下枠39とに、それぞれ固定ねじ29a、29aにより、結合固定している。この場合に上記上框26aの裏面側上端部に形成した着脱側鉤部41と、上記立上り板部34の表面側上下方向中間部に形成した固定側鉤部42とを係合させて、上側の固定ねじ29aの螺合緊締以前の状態でも、上記各パネルユニット15aが上記各支柱13から離れる方向に倒れる事を防止している。
【0026】
上述の様な本例の構造を構築する場合には、上記結合部31に上記笠木部32を結合固定する以前の状態で、この結合部31に上記各パネルユニット15aの上縁部を構成する上記上框26aを、上記下枠39にこれら各パネルユニット15aの下縁部を構成する上記下框27aを、それぞれ結合固定する。この作業は、先ず、これら各パネルユニット15aを1枚ずつ、下方に向かう程裏側に向かう方向に傾斜させた状態で、上記結合部31と上記下枠39との間に表側から近づける。そして、上記下框27aを、この下枠39の上面に開口した下側抱持溝部20aに進入させ、この下框27aをこの下側抱持溝部20aに押し込みつつ、上記パネルユニット15aを鉛直方向に向ける。そして、上記着脱側鉤部41が前記固定側係止片35と上記固定側鉤部42との間に進入した状態で、上記パネルユニット15aを下降させる。
【0027】
この結果、上記固定側鉤部42と上記着脱側鉤部41とが係合すると同時に、上記下框27aの裏面側端部の下面と前記水平板部40の上面とが当接する。この状態で、上記各パネルユニット15aは前記上枠30を構成する上記結合部31と上記下枠39との間に、倒れる事なく支持される。そこで、この状態のまま、上記上框26aの裏面側上部を表面側から挿通した固定ねじ29aを前記立上り板部34に螺合し更に緊締すると共に、上記下框27aの裏面側端部を上方から挿通した固定ねじ29aを上記水平板部40に螺合し更に緊締する。そして最後に、上記笠木部32を上記結合部31に、前記固定側、着脱側両係止片35、36同士の係合と、前記ねじ38の螺合、緊締とにより結合固定する。この状態で、上記各パネルユニット15aの上端縁部が、上記笠木部32により覆われる。又、これら各パネルユニット15aが、フェンスの表面側からは取り外せない様になる。フェンスを構築する場合には、上記笠木部32の装着作業を除く上記一連の作業を、各パネルユニット15a毎に行ない、最後にこの笠木部32を装着する。又、修理等の為に何れかのパネルユニット15aを上記上枠30と上記下枠39との間から取り外す際には、上記笠木部32を取り外してから、上記作業を逆の手順で行なう。本例の構造の場合も、或るパネルユニット15aの着脱作業を行なう際に、他のパネルユニット15aが傾斜したり外れたりする事はない為、何れの作業も、少ない人数で行なえる(最低限、一人でも可能である)。本例の構造でも、例えば、前述の図4に示した様な意匠を構成できる(意匠設計上の自由度が高い)。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す、フェンスを表側から見た図。
【図2】図1の拡大A−A断面図。
【図3】同拡大B−B断面図。
【図4】第1例の構造で意匠を異ならせた場合を示す、図1と同様の図。
【図5】本発明の実施の形態の第2例を示す、図3と同様の図。
【図6】従来構造の第1例を示す、図1と同様の図。
【図7】図6の拡大C−C断面図。
【図8】同拡大D−D断面図。
【図9】従来構造の第2例を示す、図1と同様の図。
【図10】図9の拡大E−E断面図。
【図11】同拡大F−F断面図。
【図12】従来構造の第3例を示す、図1と同様の図。
【図13】図12の拡大G−G断面図。
【符号の説明】
【0029】
1、1a、1b フェンス
2 基部
3、3a 支柱
4 手摺
5、5a 下枠
6 竪材
7 上枠
8 パネルユニット
9 ブラケット
10 下枠
11 上枠
12 パネル
13 支柱
14 下枠
15、15a パネルユニット
16 内部支柱
17 外部支柱
18 取付ブラケット
19 水平板部
20、20a 下側抱持溝部
21 支持板
22 タッピングねじ
23 止めねじ
24 上側抱持溝部
25 ガラスパネル
26、26a 上框
27、27a 下框
28 竪框
29、29a 固定ねじ
30 上枠
31 結合部
32 笠木部
33 水平板部
34 立上り板部
35 固定側係止片
36 着脱側係止片
37 ねじ受け片
38 ねじ
39 下枠
40 水平板部
41 着脱側鉤部
42 固定側鉤部
43 上枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に互いに間隔をあけてそれぞれ上下方向に固定した複数本の支柱と、これら各支柱の中間部同士の間に、これら各支柱よりも表側に突出した状態で掛け渡された、上方が開口した断面形状を有する1本の下枠と、上記各支柱の上部同士の間に、これら各支柱よりも表側に突出した状態で掛け渡された、下方が開口した断面形状を有する1本の上枠と、それぞれの下端縁部を上記下枠に、それぞれの上端縁部を上記上枠に、それぞれ抱持された複数枚のパネルユニットとを備えたフェンスに於いて、これら各パネルユニットの上端縁部を保持する為に上記上枠に、下方に開口する状態で設けた上側抱持溝部の深さを、これら各パネルユニットの上端縁部との上下方向に関する掛り代と、これら各パネルユニットの下端縁部と上記下枠との上下方向に関する掛り代とを合計した深さ以上とする事により、予め設置した下枠と上枠との間に上記各パネルユニットを建て込み、更にこれら両枠同士の間に保持可能とした事を特徴とするフェンス。
【請求項2】
水平方向に互いに間隔をあけてそれぞれ上下方向に固定した複数本の支柱と、これら各支柱の中間部同士の間に、これら各支柱よりも表側に突出した状態で掛け渡された、上方が開口した断面形状を有する1本の下枠と、上記各支柱の上部同士の間に、これら各支柱よりも表側に突出した状態で掛け渡された、下方が開口した断面形状を有する1本の上枠と、それぞれの下端縁部を上記下枠に、それぞれの上端縁部を上記上枠に、それぞれ抱持された複数枚のパネルユニットとを備えたフェンスに於いて、この上枠を、上記各支柱の上端部に結合固定されると共にこれら各パネルユニットの上端縁部をねじ止め固定する結合部と、この結合部にこれら各パネルユニットの上端縁部を結合固定した状態で、この結合部に対し着脱可能で、この結合部に装着した状態で上記各パネルユニットの上端縁部を覆う笠木部とにより構成した事を特徴とするフェンス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−169928(P2007−169928A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365890(P2005−365890)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【出願人】(000150615)株式会社長谷工コーポレーション (94)
【Fターム(参考)】