説明

フェーズドアレイレーダ装置

【課題】送受信モジュールを効率よく用いて、所要の監視範囲を高いスキャンレートで監視する。
【解決手段】空中線部101は駆動制御器102-1により2つの放射面に折り曲げ可能に構成され、放射面間角度制御部105は表示制御部110から入力された所要の監視範囲と重点方位を実現可能な空中線部101の2つの放射面間の角度を算出して駆動制御器102-1に出力するとともに、ビーム制御部106及び受信部107に出力する。ビーム制御部106は空中線部101の2つの放射面間の角度をもとに、監視範囲の各方位に対しビームを形成するのに最適な位相情報及び電力情報を算出する。送信部104は送信信号を送受信モジュール103-1~103-Nに出力し、受信部107は送受信モジュール103-1~103-Nで受信された電波と放射面間角度制御部105から入力される2つの放射面間の角度を情報に応じて受信信号を合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーダ装置に関し、特に電子的にビーム走査を行うフェーズドアレイレーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空間に電波を発射し、目標からの反射波を受信することにより目標を探知し、位置や速度情報を得るレーダ装置では、空中線より空間に電波を発射する際、通常ペンシルビーム等、用途に応じた形状のビームを形成し、監視を行う必要のある全領域(監視範囲と呼ぶ)に対して方位角、仰角等を変化させながら一通りビームを形成する動作(スキャンと呼ぶ)を繰り返し行う。監視範囲はレーダ装置の用途によって異なり、方位方向については360°であるものもあれば、120°など限られた範囲であることもある。
【0003】
また、同一のレーダ装置であっても、設置場所による制限や、特に監視したい範囲(重点方位と呼ぶ)のみを監視する場合など、運用によって監視範囲を変化させる場合もある。一方、単位時間当たりのスキャン回数をスキャンレートと定義すると、レーダ装置、特に高速目標を探知するレーダ装置については、スキャンレートが追尾性能や早期探知性能に大きくかかわるため、スキャンレートを高めたいという要求がある。しかし、一般的に監視範囲を広げることと、スキャンレートを高くすることは相反する要求である。そのため、所用の監視範囲を確保しつつ、高いスキャンレートを得るために様々な発明がなされている。
【0004】
図8−1(a)は、最も一般的なレーダ方式である空中線を方位方向に機械的に回転させるレーダ装置のビーム走査の例を示している。201-1はこのレーダが持つ空中線部であり、202-1は空中線部201-1が形成したビームである。空中線部201-1は、空中線回転機構203によって360°回転、または設定された角度範囲の往復運動(セクタスキャンと呼ぶ)を行い、設定された方位全てに対しビーム形成を行う。その結果、例えば360°回転の場合の監視範囲は図8−2(a)の斜線部で示す範囲となり、空中線回転機構203を中心とした円を描くことになる。この場合、レーダは全方位についての監視を行うことができるが、スキャンレートは空中線回転機構203の回転速度に依存してしまう。一般に、空中線回転機構203は空中線部の寸法・質量などによってその回転速度を大きく制限されるため、スキャンレートもその制約を受けてしまうという欠点がある。
【0005】
上記と同様に空中線回転機構203を用いながらスキャンレートを向上させる方法として、特許文献1に開示された手法がある。図8−1(b)は、この手法によるビーム走査方法を示しており、空中線回転機構203を中心とし、2枚の空中線部201-1、201-2を背中合わせに張り合わせ、各空中線から互いに反対方向にビーム202-1、202-2を形成し、前記同様空中線回転機構203によって360°回転をさせ、全方位についてビーム放射を行っている。この場合も監視範囲は図8−2(b)に示すように、空中線回転機構203を中心とした円を描くが、空中線からのビームが2本になった分、スキャンレートは2倍となる。しかし、この手法を用いても、スキャンレートは空中線回転機構203の回転速度によって制約を受けてしまう。
【0006】
図8−1(c)は、スキャンを機械的な回転に依らず電子的に行うフェーズドアレイレーダ装置におけるビーム走査の例を示している。この場合、空中線部204は固定されているが、空中線部204内部には放射素子を有する送受信モジュールが平面状に多数配列されており、各送受信モジュールに与える位相を制御することによって電子的にビーム205を走査することができる。このフェーズドアレイレーダ装置では、ビーム走査は空中線回転機構に依らないため、スキャンレートを向上させることが可能となる。しかし、ビーム走査範囲θと送受信モジュールの間隔d及び周波数fには、下記の式(1)に示す関係があり、例えば平面アンテナで素子アンテナ間隔dを5.5cm、周波数fを3GHzとした場合の監視範囲θは±55°となる。従ってこの場合の監視範囲は図8−2(c)に示すように制限される。
【0007】
d・f/c < 1/(1+|sinθm|) ・・・・・・・・(1)
(ただし、cは光速)
【0008】
前記フェーズドアレイレーダ装置の監視範囲を広げるために、放射素子を円筒状に配列する方法が例えば、特許文献2等において採用されている。図9は、放射素子を円筒状に配列したフェーズドアレイレーダ装置の例を示す系統図である。
【0009】
図9において、空中線部206は円筒状をしており、円筒状の空中線部206内部に電波発射を行う送受信モジュール301-1〜301-Mが円筒状に配置されている。これらの送受信モジュール301-1〜301-Mは移相器302-1〜302-Mに接続され、位相制御部303からの位相情報によってビームを形成するために必要な位相を与えられている。スイッチ回路304はビーム制御部306の制御を受け、電力分配合成部305からの電力を供給する送受信モジュールの切り替えを行う。また、電力分配合成部305は送受信部307からの送信信号を送受信モジュール毎に配分を行い、受信信号を合成し送受信部307に対し出力を行う。
【0010】
送受信部307は電力分配合成部305に送信信号を出力し、電力分配合成部305からの受信信号に対しI/F変換及び検波を行い、信号処理部108に出力する。信号処理部108は前記受信部307からの信号に対し目標検出などの信号処理を行い、目標情報をデータ処理部109に出力する。データ処理部109は信号処理部108からの目標情報に対し、追尾処理などのデータ処理を行い、表示制御部110に出力する。表示制御部110は、データ処理部109から入力された追尾データ等を表示するとともに、操作員の入力により送信入/切等のレーダ動作の制御を行う。
【0011】
図8−1(d)は、この場合のビーム走査を示しており、空中線部206が円筒状であるため、全方位に対し均等なビーム207を放射することができる。これにより、監視範囲は図8−2(d)に示すように空中線部206を中心とした円を描き、かつ電子的にビーム走査が行われるので、高いスキャンレートを実現しながら、監視範囲を全周に広げることができる。
【0012】
【特許文献1】特開昭58−70181号公報
【特許文献2】特開2001−124845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述したように、特に高速目標を探知するレーダ装置については、スキャンレートが追尾性能や早期探知性能に大きく関わってくるので、スキャンレートを高めることは重要な要件となってくるが、空中線を機械的に回転させるレーダ装置では機械回転の制約を受け、スキャンレートを高めることは困難である。
【0014】
一方、フェーズドアレイレーダ装置はスキャンレートを高める上で極めて有効な手段であるが、上記図8−1(c)で示すフェーズドアレイレーダ装置のように放射素子を平面状に配列した場合は、その監視領域が狭い範囲に制限されてしまうという問題がある。図8−1(d)および図9に示す円筒状に送受信モジュールを配列するフェーズドアレイレーダ装置として構成すれば、電子走査により全周の監視範囲で高いスキャンレートを得ることができるが、全周の送受信モジュールのうちの一部の送受信モジュールによってビームを形成するので、送受信モジュールの使用効率が悪いという欠点がある。
【0015】
特に、所要の監視範囲が360°全周ではなく、限られた所要の監視範囲の用途に使用する場合、一般的に送受信モジュールは高価であるにも関わらず、円筒状に送受信モジュールを配列するフェーズドアレイレーダ装置では、全周の送受信モジュールのうちの一部しか用いられず、ビームを形成しない方向の送受信モジュールは使用されないという問題がある。
【0016】
本発明の目的は、上記従来のフェーズドアレイレーダ装置の問題点に鑑み、比較的少ない送受信モジュール数で、所要の監視範囲に対して高いスキャンレートの監視を行うことのできるフェーズドアレイレーダ装置を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、監視範囲の変更に対して柔軟に対処可能とすることにより、少ない送受信モジュールを有効に活用できるフェーズドアレイレーダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の請求項1に記載のフェーズドアレイレーダ装置は、中央部で折れ曲がる機構を持たせることにより2つの放射面を構成することが可能な空中線部と、前記2つの放射面間の角度を設定する駆動制御部と、前記空中線部内部に配列され、与えられた位相情報と電力情報によって制御された電波発射を行う複数の送受信モジュールと、前記複数の送受信モジュールへ送信信号を出力する送信部と、前記駆動制御部に対し、前記2つの放射面の角度情報を出力する放射面間角度制御部と、前記放射面間角度制御部から与えられた2つの放射面間の角度情報を基に、所要の監視範囲内において所定のビームスキャンを形成するのに最適な各送受信モジュールの位相情報及び電力情報を算出して各送受信モジュールへ出力するビーム制御部と、前記放射面間角度制御部から入力される2つの放射面の角度情報を基に前記複数の送受信モジュールからの高周波の受信信号を合成し、I/F変換、検波及びA/D変換を行う受信部と、前記受信部から入力されるディジタル信号を信号処理し目標検出を行う信号処理部と、前記信号処理部から入力される目標情報に対し追尾処理などのデータ処理を行うデータ処理部と、前記データ処理部で処理された結果を表示し、また操作員が入力する監視範囲などの設定を、前記放射面間角度制御部に出力する表示制御部と、を備えた構成を有していることを特徴とする。
【0019】
請求項2に記載のフェーズドアレイレーダ装置は、放射面をK(K≧3)分割し、折り曲げることでK面の放射面を構成することが可能な空中線部と、前記各折り曲げ位置に配置され、前記K面の放射面間の各角度を設定するK−1個の駆動制御部と、前記空中線部内部に配列され、与えられた位相情報と電力情報によって制御された電波発射を行う複数の送受信モジュールと、前記複数の送受信モジュールへ送信信号を出力する送信部と、前記K−1個の駆動制御部に対し、前記K面の放射面間の角度情報を出力する放射面間角度制御部と、前記放射面間角度制御部から与えられた前記K面の放射面間の角度情報を基に、所要の監視範囲内において所定のビームスキャンを形成するのに最適な各送受信モジュールの位相情報及び電力情報を算出して各送受信モジュールへ出力するビーム制御部と、前記放射面間角度制御部から入力される前記K面の放射面の角度情報を基に前記複数の送受信モジュールからの高周波の受信信号を合成し、I/F変換、検波及びA/D変換を行う受信部と、前記受信部から入力されるディジタル信号を信号処理し目標検出を行う信号処理部と、前記信号処理部から入力される目標情報に対するデータ処理を行うデータ処理部と、前記データ処理部で処理された結果を表示するとともに、入力された監視範囲の設定を前記放射面間角度制御部に出力する表示制御部と、を備えた構成を有していることを特徴とする。
【0020】
請求項3に記載のフェーズドアレイレーダ装置は、中央部で折れ曲がる機構を持たせることにより2つの放射面を構成することが可能な空中線部と、前記2つの放射面間の角度を設定する駆動制御部と、前記空中線部内部に配列され、与えられた位相情報と電力情報によって制御された電波発射を行う複数の送受信モジュールと、前記複数の送受信モジュールへ送信信号を出力する送信部と、前記駆動制御部に対し、前記2つの放射面の角度情報を出力する放射面間角度制御部と、前記放射面間角度制御部から与えられた2つの放射面間の角度情報を基に、所要の監視範囲全体を覆う送信ビームを形成するのに最適な各送受信モジュールの位相情報及び電力情報を算出して各送受信モジュールへ出力するビーム制御部と、前記複数の送受信モジュールそれぞれからの受信信号をそれぞれA/D変換を行うA/D変換器と、前記放射面間角度制御部からの2つの放射面間の角度の情報を用い、前記A/D変換器から入力される受信信号から所定の複数のビームを同時に形成するビーム形成部と、前記ビーム形成部から入力される前記A/D変換された受信信号をI/F変換する受信部と、前記受信部から入力されるディジタル信号を信号処理し目標検出を行う信号処理部と、前記信号処理部から入力される目標情報に対するデータ処理を行うデータ処理部と、前記データ処理部で処理された結果を表示するとともに、入力される監視範囲の設定を前記放射面間角度制御部に出力する表示制御部と、を備えた構成を有していることを特徴とする。
【0021】
請求項4に記載のフェーズドアレイレーダ装置は、放射面をK(K≧3)分割し、折り曲げることでK面の放射面を構成することが可能な空中線部と、前記各折り曲げ位置に配置され、前記K面の放射面間の各角度を設定するK−1個の駆動制御部と、前記空中線部内部に配列され、与えられた位相情報と電力情報によって制御された電波発射を行う複数の送受信モジュールと、前記複数の送受信モジュールへ送信信号を出力する送信部と、前記K−1個の駆動制御部に対し、前記K面の放射面間の角度情報を出力する放射面間角度制御部と、前記放射面間角度制御部から与えられた前記K面の放射面間の角度情報を基に、所要の監視範囲全体を覆う送信ビームを形成するのに最適な各送受信モジュールの位相情報及び電力情報を算出して各送受信モジュールへ出力するビーム制御部と、前記複数の送受信モジュールそれぞれからの受信信号をそれぞれA/D変換を行うA/D変換器と、前記放射面間角度制御部からの2つの放射面間の角度の情報を用い、前記A/D変換器から入力される受信信号から所定の複数のビームを同時に形成するビーム形成部と、前記ビーム形成部から入力される前記A/D変換された受信信号をI/F変換する受信部と、前記受信部から入力されるディジタル信号を信号処理し目標検出を行う信号処理部と、前記信号処理部から入力される目標情報に対するデータ処理を行うデータ処理部と、前記データ処理部で処理された結果を表示するとともに、入力される監視範囲の設定を前記放射面間角度制御部に出力する表示制御部と、を備えた構成を有していることを特徴とする。
【0022】
前記各送受信モジュール内には、電波発射及び受波を行う素子アンテナと、素子アンテナへの送信信号と素子アンテナからの受信信号の切替を行う送受信切替器と、ビーム制御部からの電力情報に応じて発射する電波の電力制御を行う電力制御器と、ビーム制御部からの位相情報に応じて発射する電波の位相制御を行う移相器が設けられている。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、所要の監視範囲に応じて、例えば1つの空中線部を中央部で折れ曲がる機構を持たせ、それによって構成される2つの放射面間の角度を変化させることにより、監視範囲を変化させることができるので、送受信モジュールを効率よく用いて任意の監視範囲に対し、監視を行うことができるとともに、更に重点的に監視する方位を任意に設定することが可能となる。
【0024】
また、所要の監視範囲全てに対し電子走査のみのスキャンを行うため、高いスキャンレートのレーダ装置を効率よく実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本発明の第1の実施形態を示すフェーズドアレイレーダ装置のブロック図である。また、図2は、本実施形態における送受信モジュールの内部構成を示すブロック図である。
【0026】
本実施形態では、空中線部101は、その放射面が中央部で折れ曲がる機構を持たせることにより平面状の2つの放射面を形成することが可能な構成となっており、そのため、空中線部101の中央部には、2つの放射面間の角度を任意に設定することができる駆動制御部102-1が備えられている。空中線部101内部には、与えられた位相情報と電力情報を基にして電波発射を行うN個の送受信モジュール103-1〜103-Nが設けられている。これらN個の送受信モジュール103-1〜103-Nは、空中線部101内において、一方の放射面に送受信モジュール103-1〜103-N/2が配置され、他方の放射面に送受信モジュール103-N/2+1〜103-Nが配置されている。
【0027】
各送受信モジュール103-1〜103-Nは、図2に示すように、それぞれ電波発射を行う素子アンテナ401と、素子アンテナ401への送信信号と素子アンテナ401からの受信信号の切替を行う送受信切替器402と、ビーム制御部106からの電力情報に応じて電力制御を行う電力制御器403と、ビーム制御部106からの位相情報に応じて位相制御を行う移相器404を備えており、ビーム制御部106からの電力情報および位相情報に従って、素子アンテナ401から発射される送信信号の電力および位相を設定する。
【0028】
放射面間角度制御部105は、表示制御部110によって設定された監視範囲情報を入力して、駆動制御部102-1、ビーム制御部106および受信部107に対して2つの放射面間の角度情報を出力する。ビーム制御部106は、放射面間角度制御部105から与えられた2つの放射面間の角度を基に、送受信モジュール103-1〜103-Nに与える最適な位相情報及び電力情報を算出して各送受信モジュール103-1〜103-Nへ出力することにより、所望のビームスキャンが行われるように各送受信モジュール103-1〜103-Nを制御する。
【0029】
受信部107は、放射面間角度制御部105から入力される2つの放射面の角度情報を基に、送受信モジュール103-1〜103-Nからの受信信号を合成し、I/F変換、検波及びA/D変換を行う。信号処理部108は、受信部107から入力されるディジタル信号を信号処理し目標検出を行う。データ処理部109は、信号処理部108から入力される目標情報に対し追尾処理などのデータ処理を行う。表示制御部110は、データ処理部109で処理された結果を表示し、また操作員が入力する監視範囲などの設定を放射面間角度制御部105に出力する。
【0030】
図3は、本実施形態におけるビーム走査及び監視範囲を示す説明図である。以下、図1〜図3を参照して本実施形態の動作について説明する。
【0031】
本実施形態のレーダ装置を動作させる場合、最初に操作員が表示制御部110から監視範囲と、重点方位の入力を行う。放射面間角度制御部105は、表示制御部110から入力された、所要の監視範囲と、重点方位を実現可能な空中線部101の2つの放射面101-1、101-2間の角度を算出する。駆動制御器102-1は、放射面間角度制御部105によって算出された空中線部101の2つの放射面間の角度と、重点方位に応じて、2つの放射面間の角度および重点方位を制御する。
【0032】
動作開始は操作員が表示制御部110から動作開始を入力し、それに応じて送信部104は送信信号を送受信モジュール103-1〜103-Nに出力し、同時に放射面間角度制御部105は空中線部101の2つの放射面間の角度情報をビーム制御部106及び受信部107に出力し、ビーム制御部106は空中線部101の2つの放射面間の角度をもとに、監視範囲の各方位に対しビームを形成するために各送受信モジュール103-1〜103-Nに与える最適な位相情報及び電力情報の算出を行う。
【0033】
空中線部101内の各送受信モジュール103-1〜103-Nの内部では、ビーム制御部106からの位相情報を基に移相器404が位相の制御を行い、ビーム制御部106からの電力情報を基に電力制御器403が電力の制御を行い、送受信切替器402は送信信号と受信信号の切替を行い、素子アンテナ401は電波の発射及び受信を行う。
【0034】
本実施形態の場合、図3に示すように空中線部101は駆動制御器102-1により中央部で折り曲げられ、所望の角度に設定された平面状の2つの放射面として構成される。そして、レーダの正面から離れた左方向の方位を捜索する場合には、空中線部101の左側の放射面101-1に配置された放射素子のみを用いてビームを形成する(図3−1(a))ように制御され、その監視範囲は図3−2(a)の斜線で示された範囲内となる。
【0035】
レーダ装置の正面である重点方位を監視する場合には、2つの放射面101-1および101-2に配置された放射素子の全てを用いてビームを形成する(図3−1(b))ように制御される。この場合、送受信モジュールはほとんど無駄なく使用され、長い探知距離を得ることができるので、その監視範囲は図3−2(b)の斜線で示された範囲内となる。レーダの正面から離れた右方向の方位を捜索する場合には、空中線部101の右側の放射面101-2に配置された放射素子のみを用いてビームを形成する(図3−1(c))ように制御され、その監視範囲は図3−2(c)の斜線で示された範囲内となる。
【0036】
受信部107においては、送受信モジュール103-1〜103-Nで受信された電波と放射面間角度制御部105から入力される2つの放射面間の角度情報に応じて受信信号を合成し、IF変換、検波及びA/D変換を行い、信号処理部108に出力する。信号処理部108は、入力された受信信号に対し信号処理を行うことで目標検出を行う。データ処理部109は、信号処理部108にて検出された目標情報を元に追尾処理などのデータ処理を行い、その結果を表示制御部110に出力する。表示制御部110は、データ処理部109から入力された処理結果を画面に表示するとともに、操作員が入力する監視範囲などの設定を放射面間角度制御部107に出力する。
【0037】
本実施形態による全監視範囲は、中心方位付近及び、中心方位から離れた方位の監視範囲を重ね合わせた図3−2(d)に示す範囲となる。レーダの正面から離れた方位においては、重点方位であるレーダの正面方向に比べ探知距離が短くなっているが、一つの平面に放射素子を配列した従来のフェーズドアレイレーダ装置に比べ、モジュール数を増加させることなく監視範囲大きく拡大させることができるとともに、その監視範囲も容易に変更可能であるので、設置環境に柔軟に対応させることができる。また、重点方位に関しては、全ての送受信モジュールを使用しているため、放射素子を円筒状に配列した従来のフェーズドアレイレーダ装置に比べ、送受信モジュールの使用効率がよくなる。
【0038】
図4は本発明の第2の実施形態を示すフェーズドアレイレーダ装置のブロック図である。
【0039】
本実施形態では、放射面を3分割し、折り曲げることで3面の放射面を構成することが可能な空中線部と、3面の放射面間の角度を任意に設定することのできる2つの駆動制御部を備えている点を特徴としており、その他の構成は、基本的には第1の実施形態と同様である。
【0040】
本実施形態では、空中線部601は、その放射面が3分割されており、2ヶ所で折れ曲がる機構を持たせることにより平面状の3つの放射面を形成することが可能な構成となっている。そのため、空中線部601を3等分する2ヶ所の折り曲げ部には、3つの放射面間の角度を任意に設定することができる駆動制御部102-1と102-2が備えられている。空中線部601内部には、与えられた位相情報と電力情報を基に、電波発射を行うN個の送受信モジュール103-1〜103-Nが設けられており、3つの放射面にはそれぞれ送受信モジュール103-1〜103-N/3、103-N/3+1〜103-2N/3、103-2N/3+1〜103-Nが配置されている。各送受信モジュール103-1〜103-N内の構成は第1の実施形態(図2)と同様であるので説明を省略する。
【0041】
放射面間角度制御部105は、表示制御部110によって設定された監視範囲情報を入力して、駆動制御部102-1と102-2、ビーム制御部106および受信部107に対して、空中線部601の3つの放射面間の角度情報を出力する。ビーム制御部106は、放射面間角度制御部105から与えられた3つの放射面間の角度を基に、送受信モジュール103-1〜103-Nの各々に与える最適な位相情報及び電力情報を算出して各送受信モジュール103-1〜103-Nへ出力することにより、所望のスキャンビームが形成されるように各送受信モジュール103-1〜103-Nを制御する。
【0042】
受信部107は、放射面間角度制御部105から入力される3つの放射面の角度情報を基に、送受信モジュール103-1〜103-Nからの受信信号を合成し、I/F変換、検波及びA/D変換を行う。信号処理部108は、受信部107から入力されるディジタル信号を信号処理し目標検出を行う。データ処理部109は、信号処理部108から入力される目標情報に対し追尾処理などのデータ処理を行う。表示制御部110は、データ処理部109で処理された結果を表示し、また操作員が入力する監視範囲などの設定を放射面間角度制御部105に出力する。
【0043】
図5は、本実施形態におけるビーム走査及び監視範囲を示す説明図である。以下、図4〜図5および図2を参照して本実施形態の動作について説明する。
【0044】
本実施形態のレーダ装置を動作させる場合も、最初に操作員が表示制御部110から監視範囲と、重点方位の入力を行う。放射面間角度制御部105は、表示制御部110から入力された、所要の監視範囲と、重点方位を実現可能な空中線部601の3つの放射面間の角度を算出する。駆動制御器102-1と102-2は、放射面間角度制御部105によって算出された空中線部601の3つの放射面間の角度情報に応じて、3つの放射面間の角度を制御する。
【0045】
動作開始は操作員が表示制御部110から動作開始を入力し、それに応じて送信部104は送信信号を送受信モジュール103-1〜103-Nに出力し、同時に放射面間角度制御部105は空中線部601の3つの放射面間の角度情報をビーム制御部106及び受信部107に出力し、ビーム制御部106は空中線部601の3つの放射面間の角度をもとに、監視範囲の各方位に対しビームを形成するために各送受信モジュール103-1〜103-Nに与える最適な位相情報及び電力情報の算出を行う。
【0046】
空中線部601内の各送受信モジュール103-1〜103-Nの内部ではビーム制御部106からの位相情報を基に移相器404が位相の制御を行い、ビーム制御部106からの電力情報を基に電力制御器403が電力の制御を行い、送受信切替器402は送信信号と受信信号の切替を行い、素子アンテナ401は電波の発射及び受信を行う。
【0047】
本実施形態の場合、図5に示すように空中線部601は駆動制御器102-1と102-2により3つに折り曲げられ、所望の角度に設定された平面状の3つの放射面601-1、601-2、601-3として構成される。そして、レーダの正面から離れた左方向の方位を捜索する場合には、空中線部601の左側の放射面601-1に配置された放射素子のみを用いてスキャンビームを形成する(図5−1(a))ように制御され、その監視範囲は図5−2(a)の斜線で示された範囲内となる。
【0048】
レーダ装置の左方向と正面の中間の方位を探索する場合には、空中線部601の左側の放射面601-1と中央の放射面601-2に配置された放射素子を用いてスキャンビームを形成する(図5−1(b))ように制御され、その監視範囲は図5−2(b)の斜線で示された範囲内となる。この場合、放射面601-1と601-2の2面の送受信モジュールが使用されるので、放射面601-1のみを使用するレーダの正面から離れた左方向の方位を捜索する場合よりも長い探知距離を得ることができる。
【0049】
レーダ装置の正面である重点方位を監視する場合には、3つの放射面601-1、601-2および601-3に配置された放射素子の全てを用いてスキャンビームを形成する(図5−1(c))ように制御される。この場合、送受信モジュールはほとんど無駄なく使用され、最も長い探知距離を得ることができるので、その監視範囲は図5−2(c)の斜線で示された範囲内となる。レーダ装置の正面と右方向の中間の方位を探索する場合には、空中線部601の中央の放射面601-2と右側の放射面601-3に配置された放射素子を用いてスキャンビームを形成する(図5−1(d))ように制御され、その監視範囲は図5−2(d)の斜線で示された範囲内となる。
【0050】
レーダの正面から離れた右方向の方位を捜索する場合には、空中線部601の右側の放射面601-3に配置された放射素子のみを用いてスキャンビームを形成する(図5−1(e))ように制御され、その監視範囲は図5−2(e)の斜線で示された範囲内となる。正面から左方向、および右方向の監視範囲は、1/3の放射素子数でスキャンビーム形成が行われるのでその探知距離が短くなるが、第1の実施形態の場合よりも監視範囲はさらに広げることができる。
【0051】
受信部107においては、送受信モジュール103-1〜103-Nで受信された電波と放射面間角度制御部105から入力される3つの放射面601-1、601-2および601-3間の角度情報に応じて受信信号を合成し、IF変換、検波及びA/D変換を行い、信号処理部108に出力する。信号処理部108は、入力された受信信号に対し信号処理を行うことで目標検出を行う。データ処理部109は、信号処理部108にて検出された目標情報を元に追尾処理などのデータ処理を行い、その結果を表示制御部110に出力する。表示制御部110は、データ処理部109から入力された処理結果を画面に表示するとともに、操作員が入力する監視範囲などの設定を放射面間角度制御部107に出力する。
【0052】
本実施形態による全監視範囲は、中心方位付近、中心方位と中心方位から離れた方位の中間方位及び、中心方位から離れた方位の監視範囲を重ね合わせた図5−2(f)に示す範囲となる。本実施形態の場合も、レーダの正面から離れた方位においては、重点方位であるレーダの正面方向に比べ探知距離が短くなっているが、一つの平面に放射素子を配列した従来のフェーズドアレイレーダ装置に比べ、モジュール数を増加させることなく監視範囲大きく拡大させることができるとともに、その監視範囲も容易に変更可能であるので、設置環境に応じてより柔軟に対応させることができる。また、重点方位に関しては、全ての送受信モジュールを使用しているため、放射素子を円筒状に配列した従来のフェーズドアレイレーダ装置に比べ、送受信モジュールの使用効率がよくなる。
【0053】
また本実施形態の場合、空中線部601の左側の放射面601-1の端部と右側の放射面601-3の端部が互いに接するように折り曲げることにより、三角形の筒状放射面を形成することができる。そのように折り曲げ角を制御した場合には、3つの放射面601-1、601-2および601-3に配置された放射素子の全てを用いてビームを形成できるケースは生じないが、全方位にビーム放射して探索を行うことが可能となる。
【0054】
なお、本実施形態では、放射面を3分割して折り曲げることで3面の放射面601-1、601-2および601-3を有する構成としたが、放射面をK(K≧3)分割して折り曲げることにより、3面以上のK面の放射面を有するフェーズドアレイレーダ装置として実現することができ、設置環境に応じてより柔軟に対応させることが可能となる。
【0055】
図6は、本発明の第3の実施形態を示すフェーズドアレイレーダ装置のブロック図である。
【0056】
本実施形態は、放射面を分割し、折り曲げることで複数面の放射面を構成することが可能な空中線部を備えた構成としている点では第1の実施形態と同様であるが、本実施形態では、送信の際に所要の監視範囲を覆う単一の広いビームを形成するように制御し、受信の際にA/D変換された受信信号を基に、ビーム形成部において複数の細いビームを形成するディジタルビームフォーミング技術を用いたレーダ装置に適用したことを特徴としている。
【0057】
本実施形態においても第1の実施形態と同様に、空中線部101は、その放射面が中央部で折れ曲がる機構を持たせることにより平面状の2つの放射面を形成することが可能な構成となっている。そのため、空中線部101の中央部には、2つの放射面間の角度を任意に設定することができる駆動制御部102-1が備えられている。空中線部101内部には、与えられた位相情報と電力情報を基に、電波発射を行うN個の送受信モジュール103-1〜103-Nが設けられており、一方の放射面には送受信モジュール103-1〜103-N/2が配置され、他方の放射面には送受信モジュール103-N/2+1〜103-Nが配置されている。各送受信モジュール103-1〜103-N内の構成は第1の実施形態(図2)と同様であるので説明を省略する。
【0058】
放射面間角度制御部105は、表示制御部110によって設定された監視範囲情報を入力して、駆動制御部102-1、ビーム制御部106およびビーム形成部802に対して2つの放射面間の角度情報を出力する。ビーム制御部106は、放射面間角度制御部105から与えられた2つの放射面間の角度を基に、送受信モジュール103-1〜103-Nに与える最適な位相情報及び電力情報を算出して各送受信モジュール103-1〜103-Nへ出力することにより、所要の監視範囲を覆う所望のビームが形成されるように各送受信モジュール103-1〜103-Nを制御する。
【0059】
A/D変換器801-1〜801-Nは、送受信モジュール103-1〜103-Nそれぞれからの受信信号をそれぞれA/D変換を行う。ビーム形成部802は、放射面間角度制御部105からの2つの放射面間の角度の情報を用い、A/D変換器801-1〜801-Nから入力される受信信号から複数のビームを同時に形成する。受信部107は、ビーム形成部802から入力されるA/D変換された受信信号をI/F変換する。信号処理部108は、受信部107から入力されるディジタル信号を信号処理することにより目標検出を行う。データ処理部109は、信号処理部108から入力される目標情報に対し追尾処理などのデータ処理を行う。表示制御部110は、データ処理部109で処理された結果を表示するとともに、操作員が入力する監視範囲などの設定を放射面間角度制御部105に出力する。
【0060】
図7は、本実施形態におけるビーム走査及び監視範囲を示す説明図である。以下、図6〜図7および図2を参照して本実施形態の動作について説明する。
【0061】
本実施形態のレーダ装置を動作させる場合も、最初に操作員が表示制御部110から監視範囲と、重点方位の入力を行う。放射面間角度制御部105は、表示制御部110から入力された、所要の監視範囲と、重点方位を実現可能な空中線部101の2つの放射面間の角度を算出する。駆動制御器102-1は、放射面間角度制御部105によって算出された空中線部101の2つの放射面間の角度に応じて、2つの放射面間の角度を制御する。
【0062】
動作開始は操作員が表示制御部110から動作開始を入力し、それに応じて送信部104は送信信号を送受信モジュール103-1〜103-Nに出力し、同時に放射面間角度制御部105は空中線部101の2つの放射面間の角度情報をビーム制御部106及びビーム形成部802に出力し、ビーム制御部106は空中線部101の2つの放射面間の角度をもとに、監視範囲全体を覆うビームを形成するのに最適な各送受信モジュール103-1〜103-Nの位相情報及び電力情報の算出を行う。
【0063】
空中線部101内の各送受信モジュール103-1〜103-Nの内部ではビーム制御部106からの位相情報を基に移相器404が位相の制御を行い、ビーム制御部106からの電力情報を基に電力制御器403が電力の制御を行い、送受信切替器402は送信信号と受信信号の切替を行い、素子アンテナ401は電波の発射及び受信を行う。
【0064】
空中線部101は、第1の実施形態と同様に駆動制御器102-1により中央部で折り曲げられ、所望の角度に設定された平面状の2つの放射面として構成されているが、本実施形態では、送信ビームの形成については図7(a)に示すように、監視範囲全体を覆う広い方位に対して送信ビーム901を形成する。受信においては各送受信モジュール103-1〜103-Nからの受信信号をA/D変換器801-1〜801-NにおいてA/D変換し、ビーム形成部802において並列処理を行い、図7(b)に示すようにP本のビーム902-1〜902-Pを同時に形成する。
【0065】
受信部107では、ビーム形成部802から入力されるA/D変換された受信信号をI/F変換して信号処理部108に出力する。信号処理部108は、入力された受信信号に対し信号処理を行うことで目標検出を行う。データ処理部109は、信号処理部108にて検出された目標情報を基に追尾処理などのデータ処理を行い、その結果を表示制御部110に出力する。表示制御部110は、データ処理部109から入力された処理結果を画面に表示するとともに、操作員が入力する監視範囲などの設定を放射面間角度制御部107に出力する。
【0066】
本実施形態では、ディジタルビームフォーミング技術を適用して信号処理を行っているので、第1の実施の形態と比較し、スキャンレートをP倍に向上させつつ、本発明による監視範囲を広げる効果を得ることができる。また、放射面をK(K≧3)分割して折り曲げる第2の実施形態に対して、このディジタルビームフォーミング技術を適用して構成することもできる。
【0067】
なお上記各実施形態では各放射面を平面状に形成しているが、放射面は必ずしも平面である必要はなく、互いに折り曲げることにより放射面間の角度を任意に設定可能な任意の曲面形状の放射面を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すフェーズドアレイレーダ装置のブロック図である。
【図2】第1の実施形態における送受信モジュールの内部構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態におけるビーム走査及び監視範囲を示す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を示すフェーズドアレイレーダ装置のブロック図である。
【図5】第2の実施形態におけるビーム走査及び監視範囲を示す説明図である。
【図6】本発明の第3の実施形態を示すフェーズドアレイレーダ装置のブロック図である。
【図7】第3の実施形態におけるビーム走査及び監視範囲を示す説明図である。
【図8】従来技術のビーム走査及び監視範囲についての説明図である。
【図9】放射素子を円筒状に配列した従来のフェーズドアレイレーダ装置の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0069】
101 本発明の第1の実施の形態における空中線部
102 駆動制御部
103−1〜103−N 本発明の第1の実施形態における送受信モジュール
104 送信部
105 放射面間角度制御部
106 本発明の第1の実施形態におけるビーム制御部
107 受信部
108 信号処理部
109 データ処理部
110 表示制御部
201−1〜201−2 従来技術における空中線部
202−1〜202−2 従来技術におけるビーム
203 空中線回転機構
204 従来技術におけるフェーズドアレー空中線部
205 従来技術におけるビーム
206 従来技術における円筒状配列フェーズドアレイ空中線部
207 従来技術におけるビーム
301−1〜301−M 従来技術における円筒状配列送受信モジュール
302 移相器
303 位相制御部
304 スイッチ回路
305 電力分配合成部
306 従来技術におけるビーム制御部
307 送受信部
401 素子アンテナ
402 送受切替機
403 電力制御器
404 移相器
601 本発明の第2の実施形態における空中線部
801−1〜801−N A/D変換器
802 ビーム形成部
901 本発明の第3の実施形態における送信ビーム
902−1〜902−P 本発明の第3の実施形態における受信ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子的にビーム走査を行うフェーズドアレイ空中線を持つレーダ装置であって、
中央部で折れ曲がる機構を持たせることにより2つの放射面を構成することが可能な空中線部と、
前記2つの放射面間の角度を設定する駆動制御部と、
前記空中線部内部に配列され、与えられた位相情報と電力情報によって制御された電波発射を行う複数の送受信モジュールと、
前記複数の送受信モジュールへ送信信号を出力する送信部と、
前記駆動制御部に対し、前記2つの放射面の角度情報を出力する放射面間角度制御部と、
前記放射面間角度制御部から与えられた2つの放射面間の角度情報を基に、所要の監視範囲内において所定のビームスキャンを形成するのに最適な各送受信モジュールの位相情報及び電力情報を算出して前記複数の送受信モジュールの各々へ出力するビーム制御部と、
前記放射面間角度制御部から入力される2つの放射面の角度情報を基に前記複数の送受信モジュールからの高周波の受信信号を合成し、I/F変換、検波及びA/D変換を行う受信部と、
前記受信部から入力されるディジタル信号を信号処理し目標検出を行う信号処理部と、
前記信号処理部から入力される目標情報に対するデータ処理を行うデータ処理部と、
前記データ処理部で処理された結果を表示するとともに、入力された監視範囲の設定を前記放射面間角度制御部に出力する表示制御部と、
を備えることを特徴とするフェーズドアレイレーダ装置。
【請求項2】
電子的にビーム走査を行うフェーズドアレイ空中線を持つレーダ装置であって、
放射面をK(K≧3)分割し、折り曲げることでK面の放射面を構成することが可能な空中線部と、
前記各折り曲げ位置に配置され、前記K面の放射面間の各角度を設定するK−1個の駆動制御部と、
前記空中線部内部に配列され、与えられた位相情報と電力情報によって制御された電波発射を行う複数の送受信モジュールと、
前記複数の送受信モジュールへ送信信号を出力する送信部と、
前記K−1個の駆動制御部に対し、前記K面の放射面間の角度情報を出力する放射面間角度制御部と、
前記放射面間角度制御部から与えられた前記K面の放射面間の角度情報を基に、所要の監視範囲内において所定のビームスキャンを形成するのに最適な各送受信モジュールの位相情報及び電力情報を算出して前記複数の送受信モジュールの各々へ出力するビーム制御部と、
前記放射面間角度制御部から入力される前記K面の放射面の角度情報を基に前記複数の送受信モジュールからの高周波の受信信号を合成し、I/F変換、検波及びA/D変換を行う受信部と、
前記受信部から入力されるディジタル信号を信号処理し目標検出を行う信号処理部と、
前記信号処理部から入力される目標情報に対するデータ処理を行うデータ処理部と、
前記データ処理部で処理された結果を表示するとともに、入力された監視範囲の設定を前記放射面間角度制御部に出力する表示制御部と、
を備えることを特徴とするフェーズドアレイレーダ装置。
【請求項3】
電子的にビーム走査を行うフェーズドアレイ空中線を持つレーダ装置であって、
中央部で折れ曲がる機構を持たせることにより2つの放射面を構成することが可能な空中線部と、
前記2つの放射面間の角度を設定する駆動制御部と、
前記空中線部内部に配列され、与えられた位相情報と電力情報によって制御された電波発射を行う複数の送受信モジュールと、
前記複数の送受信モジュールへ送信信号を出力する送信部と、
前記駆動制御部に対し、前記2つの放射面の角度情報を出力する放射面間角度制御部と、
前記放射面間角度制御部から与えられた2つの放射面間の角度情報を基に、所要の監視範囲全体を覆う送信ビームを形成するのに最適な各送受信モジュールの位相情報及び電力情報を算出して前記複数の送受信モジュールの各々へ出力するビーム制御部と、
前記複数の送受信モジュールそれぞれからの受信信号をそれぞれA/D変換を行うA/D変換器と、
前記放射面間角度制御部からの2つの放射面間の角度の情報を用い、前記A/D変換器から入力される受信信号から所定の複数のビームを同時に形成するビーム形成部と、
前記ビーム形成部から入力される前記A/D変換された受信信号をI/F変換する受信部と、
前記受信部から入力されるディジタル信号を信号処理し目標検出を行う信号処理部と、
前記信号処理部から入力される目標情報に対するデータ処理を行うデータ処理部と、
前記データ処理部で処理された結果を表示するとともに、入力される監視範囲の設定を前記放射面間角度制御部に出力する表示制御部と、
備えることを特徴とするフェーズドアレイレーダ装置。
【請求項4】
電子的にビーム走査を行うフェーズドアレイ空中線を持つレーダ装置であって、
放射面をK(K≧3)分割し、折り曲げることでK面の放射面を構成することが可能な空中線部と、
前記各折り曲げ位置に配置され、前記K面の放射面間の各角度を設定するK−1個の駆動制御部と、
前記空中線部内部に配列され、与えられた位相情報と電力情報によって制御された電波発射を行う複数の送受信モジュールと、
前記複数の送受信モジュールへ送信信号を出力する送信部と、
前記K−1個の駆動制御部に対し、前記K面の放射面間の角度情報を出力する放射面間角度制御部と、
前記放射面間角度制御部から与えられた前記K面の放射面間の角度情報を基に、所要の監視範囲全体を覆う送信ビームを形成するのに最適な各送受信モジュールの位相情報及び電力情報を算出して前記複数の送受信モジュールの各々へ出力するビーム制御部と、
前記複数の送受信モジュールそれぞれからの受信信号をそれぞれA/D変換を行うA/D変換器と、
前記放射面間角度制御部からの2つの放射面間の角度の情報を用い、前記A/D変換器から入力される受信信号から複数のビームを同時に形成するビーム形成部と、
前記ビーム形成部から入力される前記A/D変換された受信信号をI/F変換する受信部と、
前記受信部から入力されるディジタル信号を信号処理し目標検出を行う信号処理部と、
前記信号処理部から入力される目標情報に対するデータ処理を行うデータ処理部と、
前記データ処理部で処理された結果を表示するとともに、入力される監視範囲の設定を前記放射面間角度制御部に出力する表示制御部と、
備えることを特徴とするフェーズドアレイレーダ装置。
【請求項5】
前記放射面間の角度は、前記表示制御部からの指示に従って変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフェーズドアレイレーダ装置。
【請求項6】
前記K(K≧3)分割された放射面の両端に位置する放射面の端部が互いに接するように折り曲げてK角形の筒状放射面を形成することにより、全方位にビーム放射可能に構成したことを特徴とする請求項2または4に記載のフェーズドアレイレーダ装置。
【請求項7】
前記各放射面は、平面状に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフェーズドアレイレーダ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−178332(P2007−178332A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−378654(P2005−378654)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】