説明

フォトニックデバイスのための透明基板

支持体(10)及び電極(11)を含むフォトニックデバイスのための透明基板(1)であって、前記電極(11)が単一の金属導電層(112)、及び前記電極を通る光透過を改良するための特性を有する少なくとも一つの被覆(110)を含む積層構造を含み、前記被覆(110)が、少なくとも3.0nmより大きくかつ最大でも200nmに等しいか又はそれより小さい幾何学的厚さを有し、前記被覆(110)が光透過を改良するための少なくとも一つの層(1101)を含み、かつ金属導電層(112)と支持体(10)の間に位置され、支持体(10)の上に前記電極(11)が蒸着されているものにおいて、光透過を改良するための特性を有する被覆(110)の光学的厚さTD1と金属導電層(112)の幾何学的厚さTMEが特定の方程式によって関係づけられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトニックデバイスの技術分野に関する。
【0002】
本発明は、フォトニックデバイスのための透明基板、その基板の製造方法、及びそれが組み込まれるフォトニックデバイスの製造方法に関する。フォトニックデバイスは、光を放出または収集することができるあらゆるタイプのデバイスを意味するものとして理解される。かかるデバイスは、例えば有機発光デバイス(OLED)のような光電気デバイス、又は太陽電池とも称される有機光電池のような集光器である。特に、本発明は、有機発光デバイス(OLED)のための透明基板に関する。
【背景技術】
【0003】
有機発光デバイスは良好な内部光効率で製造される。この光効率は内部量子効率(IQE)に関して表現される。内部量子効率は、電子の入射により得られる光子の数を表わす。それは、既知の有機発光デバイスにおいて85%のオーダであり、さらに100%に近いことさえある。しかしながら、これらのデバイスの効率は、界面反射現象と関連した損失により明らかに制限される。
【0004】
一般に、OLEDは、少なくとも一つの有機発光層、インジウムをドープされた酸化錫(ITO)から一般に作られた透明導電性電極、及び電極を支持するための透明支持体を含む。支持体は、例えばガラス、セラミックガラス又はポリマーフィルムから作られる。OLEDの様々な構成の屈折率は、発光デバイスの有機層に対して1.6〜1.8,ITO層に対して1.6〜2、支持基板に対して1.4〜1.6、外側の空気に対して1.0である。反射(R)の結果としての損失は界面で起こり、外部量子効率(EQE)の低下が生じる。外部量子効率は、内部量子効率マイナス反射による損失に等しい。
【0005】
インジウムをドープされた酸化錫(ITO)は、透明電極を形成するために最も広く使用される材料である。しかしながら、その使用は、不幸にも幾つかの問題を生じる。実際、インジウム資源は限られており、それは短期間でこれらのデバイスのための製造コストの避けられない増加に導くだろう。さらに、ITOの抵抗率のため、十分に導電性の電極を得るために厚い層を使用することが必須である。ITOはわずかに吸収性であるので、これは透明性を低下する問題を起こす。さらに、厚いITOは一般的に結晶性がより強く、これは表面の粗さを増加し、それは有機発光デバイス内での使用のために時々研磨されなければならない。さらに、有機発光デバイスに存在するインジウムは、これらのデバイスの有機部分中へ拡散する傾向を持ち、結果としてこれらのデバイスの耐用寿命の低下をもたらす。
【0006】
文献WO2008/029060A2は、透明基板、特に透明ガラス基板を開示し、それは、金属導電層を含む複雑な積層構造を持つ多層電極を有し、また、バリヤー層と反射防止層の特性を組み合わせたベース層を有する。このタイプの電極は、少なくともITOの電極に等しい透明性と低い抵抗率を持つ層を得ることができ、これらの電極は、光パネルのような大表面光源の分野で有利に使用されることができる。さらに、これらの電極は、それらの形成に使用されるインジウムの量を減少し、さらにはそれをなしで済ますことさえ可能にする。しかしながら、バリヤー層の形の反射防止層が使用されるが、文献WO2008/029060A2において提案される解決策は、界面反射現象と関連した損失を制限するOLEDによって放出される光の量を最適化するためにいかなる方法も求めようとしていない。
【発明の概要】
【0007】
本発明によって設定される第一目的は、基板を通って透過される光の量の増加、換言すれば単色光の場合にそれが組み込まれるフォトニックデバイスによって放出又は変換される光の量の増加を可能にする透明基板を提供することである。用語「単色(monochromic)」は、この光が単色(monochromatic)そのものでなくても単一色(例えば赤、緑、青、白・・・)が目によって知覚されることを意味するものとして理解される。換言すれば、単色光は波長範囲をカバーする放射線を指す。特に、それは、単色光の場合にそれが混入される有機発光デバイスによって放出される光の量の増加を達成することができる透明基板を与えることに関する。
【0008】
本発明によって設定される第二目的は、改良された光透過性を有する透明基板の製造方法を提供することである。
【0009】
本発明によって設定される第三目的は、透明基板を含むフォトニックデバイスを提供することである。特に、それは、透明基板を含む有機発光デバイス、特に準白色光を放出する有機発光デバイスを提供することである。
【0010】
本発明は、支持体及び電極を含むフォトニックデバイスのための透明基板に関し、前記電極は単一の金属導電層、及び前記電極を通る光透過を改良するための特性を有する少なくとも一つの被覆を含む積層構造を含み、前記被覆は、少なくとも3.0nmより大きくかつ最大でも200nmに等しいか又はそれより小さい、好ましくは170nmに等しいか又はそれより小さい、より好ましくは130nmに等しいか又はそれより小さい幾何学的厚さを有し、前記被覆は、光透過を改良するための少なくとも一つの層を含み、かつ金属導電層と支持体の間に位置され、支持体の上に前記電極が蒸着され、光透過を改良するための特性を有する被覆の光学的厚さTD1と金属導電層の幾何学的厚さTMEが以下の方程式によって関係づけられていることを特徴とする:
【0011】

式中、TME_o,B及びTD1_oは定数であり、TME_oは10.0〜25.0nmの範囲の値を有し、Bは10.0〜16.5nmの範囲の値を有し、TD1_oは23.9*nD1〜28.3*nD1nmの範囲の値を有し、nD1は550nmの波長における光透過を改良するための被覆の屈折率を表わし、nsupportは550nmの波長における支持体の屈折率を表わす。好ましくは、定数TME_o,B及びTD1_oは、TME_oが11.5〜22.5nmの範囲の値を有し、Bが12〜15nmの範囲の値を有し、TD1_oが24.8*nD1〜27.3*nD1nmの範囲の値を有するようなものである。より好ましくは、定数TME_o,B及びTD1_oは、TME_oが12.0〜22.5nmの範囲の値を有し、Bが12〜15nmの範囲の値を有し、TD1_oが24.8*nD1〜27.3*nD1nmの範囲の値を有するようなものである。
【0012】
本発明による基板によって提供される利点は、それがそれを組み込むフォトニックデバイスによって放出又は変換される光の量の増加を単色光の場合に得られることができ、特に有機発光デバイス(OLED)の場合に放出される光の量の増加を可能にすることである。さらに、白色光を放出する有機発光デバイスの場合において、本発明による基板は、白色光を放出するOLEDの有機部分を形成するいかなる既知のタイプの層状積層物でも使用されることができる。
【0013】
本発明の基板は、それが可視光範囲において最大50%、さらには最大30%、好ましくは最大20%、より好ましくは最大10%の光吸収を示すときに透明であると考えられるだろう。
【0014】
本発明の基板は電極を含み、前記電極は、それが挿入されるデバイスのタイプに依存して陽極として又は逆に陰極として作用することができる。
【0015】
表現「光透過を改良するための特性を有する被覆」は、電極を形成する積層構造中の存在が基板を通って透過される光の量の増加に導く被覆(例えば反射防止特性を有する被覆)を示すために理解される。換言すれば、本発明による基板を組み込むフォトニックデバイスは、同じタイプのフォトニックデバイスと比較して有意な量の光を放出又は変換するが、本発明による基板と同一の支持体上に蒸着された従来の電極(例えばITO)を持つ。特に、基板が有機発光デバイス中に挿入されるとき、放出される光の量の増加は、放出された光の色にかかわらず、高い輝度値によって特徴づけられる。
【0016】
光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さは、少なくとも3nmより大きい、好ましくは少なくとも5nmに等しい、より好ましくは少なくとも7nmに等しい、最も好ましくは少なくとも10nmに等しい厚さを持たなければならない。例えば、光透過を改良するための被覆が酸化亜鉛又は酸素が化学量論より少ない酸化亜鉛ZnOxであり、これらの酸化亜鉛が可能なら錫でドープされるか又は合金にされるとき、少なくとも3nmより大きい光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さは、良好な導電性を有する特に銀の金属導電層を得ることを可能にする。光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さは、有利には200nmに等しいか又はそれより小さい、好ましくは170nmに等しいか又はそれより小さい、より好ましくは130nmに等しいか又はそれより小さい厚さを持ち、かかる厚さの利点は、前記被覆の製造プロセスが速くなるということにある。
【0017】
特別な実施形態では、本発明による基板は、550nmの波長で少なくとも1.2に等しい、好ましくは少なくとも1.4に等しい、より好ましくは少なくとも1.5に等しい屈折率を有する透明基板を含む。高い屈折率を有する支持体を使用することによって提供される利点は、それが透過又は放出される光の量を同じ基板構造で増加できることである。
【0018】
用語「支持体」はまた、支持体そのものだけでなく、支持体の屈折率nsupportに近い屈折率nmaterial(換言すれば|nsupport−nmaterial|≦0.1)を持つ材料の少なくとも一つの層と支持体を含むあらゆる構造も意味するものとして理解される。|nsupport−nmaterial|は屈折率間の差の絶対値を表わす。ソーダライムシリカガラス上に蒸着された酸化ケイ素層は一例として挙げることができる。
【0019】
支持体の機能は電極を支持及び/又は保護することである。支持体はガラス、硬質プラスチック材料(例えば有機ガラス、ポリカーボネート)又は可撓性ポリマーフィルム(例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP))から作られることができる。支持体は硬質であることが好ましい。
【0020】
もし支持体がポリマーフィルムであるなら、これは高い屈折率を有することが好ましく、そこでは支持体の屈折率(nsupport)は少なくとも1.4に等しい、好ましくは少なくとも1.5に等しい、より好ましくは少なくとも1.6に等しい、最も好ましくは少なくとも1.7に等しい値を有する。nsupportは550nmの波長の支持体の屈折率を表わす。高い屈折率を有する支持体を使用することによって提供される利点は、それが透過又は放出される光の量を同じ電極構造で増加できることである。
【0021】
もし支持体が、ガラス、例えば一枚のガラスから作られるなら、これは少なくとも0.35mmの幾何学的厚さを有することが好ましい。用語「幾何学的厚さ」は、平均的幾何学的厚さを意味するものとして理解される。ガラスは無機又は有機である。無機ガラスが好ましい。これらのうち、透明であるか又はバルク状態又は表面着色されたソーダライムシリカガラスが好ましい。より好ましくは、これらは超透明ソーダライムシリカガラスである。用語「超透明」は、Feとして表示される全Feをガラスの最大0.020重量%、好ましくは0.015重量%より多く含むガラスを意味する。その低い多孔性のため、ガラスは、本発明による透明基板を含むフォトニックデバイスのいかなる形態の汚染に対しても最良の保護を確保する利点を持つ。コストの理由のため、ガラスの屈折率nsupportは好ましくは1.4〜1.6の範囲の値を持つ。より好ましくは、ガラスの屈折率は1.5に等しい値を持つ。nsupportは550nmの波長での支持体の屈折率を表わす。
【0022】
特別な実施形態では、本発明による透明基板は、支持体が550nmの波長で1.4〜1.6の範囲の屈折率を有するようなものであり、電極は、光透過を改良するための特性を持つ被覆の光学的厚さTD1と金属導電層の幾何学的厚さTMEが以下の方程式によって関係づけられているようなものである:
【0023】

式中、TME_o,B及びTD1_oは定数であり、TME_oは10.0〜25.0nm、好ましくは10.0〜23.0nmの範囲の値を有し、Bは10.0〜16.5nmの範囲の値を有し、TD1_oは23.9*nD1〜28.3*nD1nmの範囲の値を有し、nD1は550nmの波長における光透過を改良するための被覆の屈折率を表わし、nsupportは550nmの波長における支持体の屈折率を表わす。好ましくは、定数TME_o,B及びTD1_oは、TME_oが10.0〜23.0nm、好ましくは10.0〜22.5nm、より好ましくは11.5〜22.5nmの範囲を有し、Bが11.5〜15.0nmを有し、TD1_oが24.8*nD1〜27.3*nD1nmの範囲の値を有するようなものである。より好ましくは、定数TME_o,B及びTD1_oは、TME_oが10.0〜23.0nm、好ましくは10.0〜22.5nm、より好ましくは11.5〜22.5nmの範囲の値を有し、Bが12.0〜15.0nmの範囲を有し、TD1_oが24.8*nD1〜27.3*nD1nmの範囲の値を有するようなものである。
【0024】
特別な実施形態によれば、本発明による透明基板は、支持体が550nmの波長で1.5に等しい屈折率を有するようなものであり、電極は、光透過を改良するための特性を持つ被覆の光学的厚さTD1と金属導電層の幾何学的厚さTMEが以下の方程式によって関係づけられているようなものである:
【0025】

式中、TME_o,B及びTD1_oは定数であり、TME_oは10.0〜25.0nm、好ましくは10.0〜23.0nmの範囲の値を有し、Bは10.0〜16.5nmの範囲の値を有し、TD1_oは23.9*nD1〜27.3*nD1nmの範囲の値を有し、nD1は550nmの波長における光透過を改良するための被覆の屈折率を表わし、nsupportは550nmの波長における支持体の屈折率を表わす。好ましくは、定数TME_o,B及びTD1_oは、TME_oが10.0〜23.0nm、好ましくは10.0〜22.5nm、より好ましくは11.5〜22.5nmの範囲を有し、Bが11.5〜15.0nmを有し、TD1_oが24.8*nD1〜27.3*nD1nmの範囲の値を有するようなものである。より好ましくは、定数TME_o,B及びTD1_oは、TME_oが10.0〜23.0nm、好ましくは10.0〜22.5nm、より好ましくは11.5〜22.5nmの範囲の値を有し、Bが12.0〜15.0nmの範囲を有し、TD1_oが24.8*nD1〜27.3*nD1nmの範囲の値を有するようなものである。
【0026】
前の実施形態の特別な例によれば、本発明による透明基板は、金属導電層の幾何学的厚さが少なくとも6.0nmに等しく、好ましくは少なくとも8.0nmに等しく、より好ましくは少なくとも10.0nmに等しく、最大22.0nmに等しく、好ましくは最大20.0nmに等しく、より好ましくは最大18.0nmに等しく、光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さが少なくとも50.0nmに等しく、好ましくは少なくとも60.0nmに等しく、最大130.0nmに等しく、好ましくは最大110.0nmに等しく、より好ましくは最大90.0nmに等しいようなものである。
【0027】
特別な実施形態では、本発明による透明基板は、それが1.4〜1.6の範囲の屈折率値を有する支持体を含むようなものであり、金属導電層の幾何学的厚さが少なくとも16.0nmに等しく、好ましくは少なくとも18.0nmに等しく、より好ましくは少なくとも20.0nmに等しく、最大29.0nmに等しく、好ましくは最大27.0nmに等しく、より好ましくは最大25.0nmに等しく、光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さが少なくとも20.0nmに等しく、最大40.0nmに等しいようなものである。驚くべきことに、光透過を改良するための被覆の最適化された厚さと組み合わされた厚い金属導電層の使用は、高い輝度を持ち、かつ電極がΩ/□で表示される低い表面抵抗を持つ基板を組み込むフォトニックシステム、特にOLEDを得ることを可能にする。
【0028】
別の特別な実施形態では、本発明による透明基板は、電極が少なくとも一つの追加の結晶層を含む光透過を改良するための被覆を有するようなものであり、支持体に関して、前記結晶層は、前記被覆を形成する積層構造から最も遠くに離れた層である。
【0029】
好ましい実施形態では、本発明による基板は、光透過を改良するための被覆を形成する材料の屈折率(nD1)が支持体の屈折率(nsupport)より高く(nD1>nsupport)、好ましくはnD1>1.2nsupport、より好ましくはnD1>1.3nsupport、最も好ましくはnD1>1.5nsupportであるようなものである。被覆を形成する材料の屈折率(nD1)は550nmの波長で1.5〜2.4の範囲、好ましくは2.0〜2.4の範囲、より好ましくは2.1〜2.4の範囲の値を有する。光透過を改良するための被覆が複数の層から形成されるとき、nD1は以下の方程式によって与えられる:
【0030】

式中、mは被覆中の層数を表わし、nは支持体から出発してx番目の層を形成する材料の屈折率を表わし、1はx番目の層の幾何学的厚さを表わし、1D1は被覆の幾何学的厚さを表わす。高い屈折率を有する材料の使用は、放出又は透過された光の高い量が得られることができる。提供される利点は、光透過を改良するための被覆の屈折率と支持体の屈折率の間の差が実質的なものであるときに一層有意になる。
【0031】
光透過を改良するための被覆の少なくとも一つの層を形成する材料は少なくとも一つの誘電化合物及び/又は少なくとも一つの導電化合物を含む。用語「誘電化合物」は、以下のものから選択された少なくとも一つの化合物を意味するものとして理解される:
・Y,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Ni,Zn,Al,Ga,In,Si,Ge,Sn,Sb,Biから選択される少なくとも一つの元素並びにそれらの少なくとも二つの混合物の酸化物;
・ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウムから選択される少なくとも一つの元素並びにそれらの混合物の窒化物;
・酸窒化ケイ素、酸窒化アルミニウム;
・酸炭化ケイ素。
【0032】
もし存在するなら、誘電化合物は酸化イットリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素及び/又は酸炭化ケイ素を含むことが好ましい。
【0033】
用語「導電」は、以下のものから選択される化合物に関するものとして理解される:
・Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Zn,Al,Ga,In,Si,Ge,Sn,Sb,Biから選択される少なくとも一つの元素並びにそれらの少なくとも二つの混合物をドープされた酸化物及び酸素が化学量論より低い酸化物;
・ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウムから選択される少なくとも一つの元素並びにそれらの混合物をドープされた窒化物;
・ドープされた酸炭化Si;
・ドープ剤はAl,Ga,In,Sn,P,Sb,Fから選択される少なくとも一つの元素を含むことが好ましい。酸窒化ケイ素の場合において、ドープ剤はB,Al及び/又はGaを含む。
【0034】
導電化合物は、少なくともITO及び/又はドープされたSn酸化物(ドープ剤はF及びSbから選択された少なくとも一つの元素である)、及び/又はドープされたZn酸化物(ドープ剤はAl,Ga,Sn,Tiから選択された少なくとも一つの元素である)を含むことが好ましい。好ましい実施形態によれば、無機化合物は少なくともZnO(式中、x≦1)及び/又はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)を含む。ZnSnは、層中に存在する金属の全重量の最大95%を含むことが好ましい。
【0035】
本発明による透明基板の一部を形成する電極の金属導電層は主に前記電極の導電性を確保する。それは金属又は金属の混合物から構成される少なくとも一つの層を含む。一般的な用語「金属の混合物」は、少なくとも一つの金属の少なくとも一つの他の金属によるドーピング又は合金の形の少なくとも二つの金属の組み合わせを意味し、金属及び/又は金属の混合物は、Pd,Pt,Cu,Ag,Au,Alから選択される少なくとも一つの元素を含む。金属及び/又は金属の混合物は、Cu,Ag,Au,Alから選択される少なくとも一つの元素を含むことが好ましい。より好ましくは、金属導電層は純粋な形のAg又は他の金属に合金されたAgを少なくとも含む。他の金属は、Au,Pd,Al,Cu,Zn,Cd,In,Si,Zr,Mo,Ni,Cr,Mg,Mn,Co,Snから選択される少なくとも一つの元素を含むことが好ましい。より好ましくは、他の金属は少なくともPd及び/又はAuを含み、好ましくはPdを含む。
【0036】
特別な実施形態によれば、本発明による基板の一部を形成する電極の光透過を改良するための被覆は少なくとも一つの追加の結晶層を含み、そこでは支持体に関して、前記層は、前記被覆を形成する積層構造から最も遠くに離れた層である。この層は、金属導電層を形成する、例えば銀の金属層の好ましい生長を可能にし、従って金属導電層の好ましい電気的及び光学的特性を得ることを可能にする。それは少なくとも一つの無機化学化合物を含む。結晶層を形成する無機化学化合物は必ずしも高い屈折率を持たない。無機化学化合物は少なくともZnO(式中、x≦1)及び/又はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)を含む。ZnSnは最大95重量%の亜鉛を含むことが好ましく、亜鉛の重量百分率は、層中に存在する金属の全重量に関して表示される。結晶層はZnOから構成されることが好ましい。光透過を改良するための特性を持つ層は一般に、多層導電被覆(例えば低放射タイプの被覆)の分野で通常遭遇されるものより大きい厚さを有するので、結晶層の厚さは、良好な導電性及び極めて低い吸収性を持つ金属導電層を与えるために適応又は増大されなければならない。
【0037】
特別な実施形態によれば、結晶層の幾何学的厚さは、光透過を改良するための被覆の全幾何学的厚さの少なくとも7%、好ましくは11%、より好ましくは14%に等しい。例えば、光透過を改良するための層及び結晶層を含む光透過を改良するための被覆の場合において、光透過を改良するための層の幾何学的厚さは、もし結晶層の幾何学的厚さが金属導電層の幾何学的厚さと光透過を改良するための被覆の光学的厚さの間の関係に従うために増加されるなら減少されなければならない。
【0038】
特別な実施形態によれば、結晶層は光透過を改良するための被覆を形成する光透過を改良するための少なくとも一つの層と合併される。
【0039】
特別な実施形態によれば、光透過を改良するための被覆は少なくとも一つの追加のバリヤー層を含み、そこでは支持体に関して、前記バリヤー層は前記被覆を形成する積層構造に最も近い層である。この層は特に、例えばソーダライムシリカガラスから作られた支持体から来るアルカリ性物質の移行によるいかなる混入からも電極を保護することができ、電極の耐用寿命を延ばすことができる。バリヤー層は以下のものから選択される少なくとも一つの化合物を含む:
・酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化イットリウム並びにそれらの少なくとも二つの混合物。
・亜鉛−錫、亜鉛−アルミニウム、亜鉛−チタン、亜鉛−インジウム、錫−インジウムの混合酸化物;
・窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸炭窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウム並びにそれらの少なくとも二つの混合物;
・このバリヤー層はおそらく錫をドープされるか又は錫と合金される。
【0040】
特別な実施形態によれば、バリヤー層は、光透過を改良するための被覆を形成する光透過を改良するための少なくとも一つの層と合併される。
【0041】
バリヤー及び結晶層の好ましい実施形態によれば、これらの二つの追加の層の少なくとも一つは、光透過を改良するための被覆を形成する光透過を改良するための少なくとも一つの層と合併される。
【0042】
特別な実施形態では、本発明による透明基板は、それを部分的に形成する電極が支持体に関して前記電極を形成する多層積層物の上部に位置される表面電気特性を標準化するための薄層を含むようなものである。表面電気特性を標準化するための薄層の主な機能は、電荷の均一な移動が電極の全表面にわたって得られることができることである。この均一な移動は、表面のあらゆる点での放出又は変換された光の均衡された束によって示される。それはまた、フォトニックデバイスの耐用寿命を増加することができる。なぜならばこの移動は各点で同じであり、従っていかなる可能なホットスポットも除去できるからである。標準化層は少なくとも0.5nm、好ましくは少なくとも1.0nmの幾何学的厚さを有する。標準化層は最大6.0nm、好ましくは最大2.5nm、より好ましくは最大2.0nmの幾何学的厚さを有する。標準化層は1.5nmに等しいことがより好ましい。標準化層は、金属、窒化物、酸化物、炭化物、酸窒化物、酸炭化物、炭窒化物、酸炭窒化物から選択される少なくとも一つの無機材料から構成される少なくとも一つの層を含む。
【0043】
前の実施形態の第一の特別な実際例によれば、標準化層の無機材料は単一金属又は金属の混合物から構成される。一般的な用語「金属の混合物」は、少なくとも一つの金属の少なくとも一つの他の金属によるドーピング又は合金の形の少なくとも二つの金属の組み合わせを意味する。標準化層は、Li,Na,K,Be,Mg,Ca,Ba,Sc,Y,Ti,Zr,Hf,Ce,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Ru,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Au,Zn,B,Al,Ga,In,Tl,C,Si,Ge,Sn,Pbから選択される少なくとも一つの元素から構成される。金属及び/又は金属の混合物は、Li,Na,K,Mg,Ca,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Co,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Au,Zn,Cd,Al,Si,Cから選択される少なくとも一つの元素を含む。金属又は金属の混合物がC,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Ni,Cr,Al,Znから選択される少なくとも一つの元素を含むことがより好ましい。金属の混合物はNi−Cr及び/又はAlをドープされたZnを含むことが好ましい。この特別な例によって提供される利点は、一方で表面電気特性を標準化するための層の効果から生じる電気特性と、他方で改良被覆の結果として得られる光学特性との間で良好な可能な妥協を可能にすることである。最も小さい可能な厚さを有する標準化層の使用は基本的な条件である。実際、フォトニックデバイスによって放出又は変換された光の量に対するこの層の影響は、その厚さが小さいときにずっと少なくなる。それゆえ、もし金属性であるなら、この標準化層はその小さい厚さによって導電層とは区別される。なぜならばこの厚さは導電性を確保するために不十分であるからである。それゆえ、標準化層はもし金属性であるなら、単一金属又は金属の混合物から構成される最大5.0nmの幾何学的厚さを有することが好ましい。
【0044】
第二の特別な実施形態によれば、標準化層の無機材料は、炭化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭化物、酸炭窒化物並びにそれらの少なくとも二つの混合物から選択される少なくとも一つの化学化合物の形で存在する。標準化層の酸窒化物、酸炭化物、酸炭窒化物は化学量論的でなくてもよく、好ましくは酸素に対して化学量論より少なくてもよい。炭化物はBe,Mg,Ca,Ba,Sc,Y,Ti,Zr,Hf,Ce,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Pt,Cu,Au,Zn,Cd,B,Al,Si,Ge,Sn,Pbから選択される少なくとも一つの元素、好ましくはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Co,Ni,Pd,Pt,Cu,Au,Zn,Cd,Al,Siから選択される少なくとも一つの元素、より好ましくはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Ni,Cr,Zn,Alから選択される少なくとも一つの元素の炭化物である。炭窒化物は、Be,Sc,Y,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Cr,Mo,W,Fe,Co,Zn,B,Al,Siから選択される少なくとも一つの元素、好ましくはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Co,Zn,Al,Siから選択される少なくとも一つの元素、より好ましくはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Zn,Alから選択される少なくとも一つの元素の炭窒化物である。酸窒化物は、Be,Mg,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Rh,Ir,Ni,Cu,Au,Zn,B,Al,Ga,In,Si,Geから選択される少なくとも一つの元素、好ましくはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Co,Ni,Cu,Au,Zn,Al,Siから選択される少なくとも一つの元素、より好ましくはTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Zn,Alから選択される少なくとも一つの元素の酸窒化物である。酸炭化物は、Be,Mg,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Ni,Zn,Si,Geから選択される少なくとも一つの元素、好ましくはTi,Zr,Hf,V,Nb,Cr,Mo,W,Mn,Ni,Zn,Al,Siから選択される少なくとも一つの元素、より好ましくはTi,Zr,Hf,V,Nb,Cr,Zn,Alから選択される少なくとも一つの元素の酸炭化物である。酸炭窒化物は、Be,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Cr,Mo,W,Mn,Zn,B,Al,Si,Geから選択される少なくとも一つの元素、好ましくはTi,Zr,Hf,V,Nb,Cr,Mo,W,Mn,Zn,Al,Snから選択される少なくとも一つの元素、より好ましくはTi,Zr,Hf,V,Nb,Cr,Zn,Alから選択される少なくとも一つの元素の酸炭窒化物である。表面電気特性を標準化するための層の炭化物、炭窒化物、酸窒化物、酸炭化物、酸炭窒化物は、おそらく少なくとも一つのドーピング元素を含む。好ましい実施形態では、薄い標準化層は、Ti,Zr,Cr,Mo,W,Mn,Co,Ni,Cu,Au,Zn,Al,Siから選択される少なくとも一つの元素から構成される少なくとも一つの酸窒化物を含む。より好ましくは、表面電気特性を標準化するための薄層は、Ti酸窒化物、Zr酸窒化物、Ni酸窒化物、NiCr酸窒化物から選択される少なくとも一つの酸窒化物を含む。
【0045】
第三の特別な実施形態によれば、標準化層の無機材料は、Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Ru,Os,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Au,Zn,Cd,B,Al,Ga,In,Si,Ge,Snから選択される少なくとも一つの元素の少なくとも一つの金属窒化物の形で存在する。好ましくは、標準化層は、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Co,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Au,Zn,Cd,Al,Siから選択される元素の少なくとも一つの窒化物を含む。より好ましくは、窒化物は、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Ni,Cr,Al,Znから選択される少なくとも一つ元素を含む。より好ましくは、表面電気特性を標準化するための薄層は少なくともTi窒化物、Zr窒化物、Ni窒化物、NiCr窒化物を含む。
【0046】
第四の特別な実施形態によれば、標準化層の無機材料は、Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Ru,Os,Co,Rh,Ir,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Au,Zn,Cd,B,Al,Ga,In,Si,Ge,Sn,Pbから選択される少なくとも一つの元素の少なくとも一つの金属酸化物の形で存在する。好ましくは、標準化層は、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Co,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Au,Zn,Cd,Al,In,Si,Snから選択される元素の少なくとも一つの酸化物を含む。より好ましくは、酸化物は、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Ni,Cu,Cr,Al,In,Sn,Znから選択される少なくとも一つの元素を含む。標準化層の酸化物は、酸素が化学量論より少なくてもよい。酸化物は、おそらく少なくとも一つのドーピング元素を含む。好ましくは、ドーピング元素は、Al,Ga,In,Sn,Sb,F,Agから選択される元素の少なくとも一つから選択される。より好ましくは、表面電気特性を標準化するための薄層は少なくともTi酸化物及び/又はZr酸化物及び/又はNi酸化物及び/又はNiCr酸化物及び/又はITO及び/又はドープされたCu酸化物(ドーピング剤はAgである)及び/又はドープされたSn酸化物(ドーピング剤はAl,Ga,Sn,Tiから選択される少なくとも一つの元素である)を含む。
【0047】
特別な実施形態では、本発明による透明基板は、それを部分的に形成する電極が金属導電層と薄い標準化層の間に位置される少なくとも一つの追加の挿入層を含むようなものである。金属導電層と標準化層の間に挿入される層は、少なくとも一つの誘電化合物及び/又は少なくとも一つの導電化合物から構成される少なくとも一つの層を含む。好ましくは、挿入層は、少なくとも一つの導電化合物から構成される少なくとも一つの層を含む。この挿入層の機能は、金属導電層が透明になることができる光キャビティの一部を形成することである。用語「誘電化合物」は、以下のものから選択された少なくとも一つの化合物を意味するものとして理解される:
・Y,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Zn,Al,Ga,In,Si,Ge,Sn,Sb,Biから選択される少なくとも一つの元素並びにそれらの少なくとも二つの混合物の酸化物;
・ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウムから選択される少なくとも一つの元素並びにそれらの混合物の窒化物;
・酸窒化ケイ素、酸窒化アルミニウム;
・酸炭化ケイ素。
【0048】
もし存在するなら、誘電化合物は酸化イットリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素及び/又は酸炭化ケイ素を含むことが好ましい。
【0049】
用語「導電」は、以下のものから選択される化合物に関するものとして理解される:
・Y,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Zn,Al,Ga,In,Si,Ge,Sn,Sb,Biから選択される少なくとも一つの元素並びにそれらの少なくとも二つの混合物をドープされた酸化物及び酸素が化学量論より少ない酸化物;
・ホウ素、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウムから選択される少なくとも一つの元素並びにそれらの混合物でドープされた窒化物;
・ドープされた酸炭化Si;
・ドープ剤はAl,Ga,In,Sn,P,Sb,Fから選択される少なくとも一つの元素を含むことが好ましい。酸窒化ケイ素の場合において、ドープ剤はB,Al及び/又はGaを含む。
【0050】
導電化合物は少なくともITO及び/又はドープされたSn酸化物(ドープ剤はF及びSbから選択された少なくとも一つの元素である)、及び/又はドープされたZn酸化物(ドープ剤はAl,Ga,Sn,Tiから選択された少なくとも一つの元素である)を含むことが好ましい。好ましい実施形態によれば、無機化学化合物は少なくともZnO(式中、x≦1)及び/又はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)を含む。ZnSnは最大95重量%の亜鉛を含むことが好ましく、亜鉛の重量百分率は層中に存在する金属の全重量に関して表示される。
【0051】
前の実施形態の特別な実際例では、本発明による透明基板は、挿入層の幾何学的厚さ(Ein)がそのオーム厚さが最大1012オームに等しく、好ましくは最大10オームに等しいようなものであり、オーム厚さは、一方で挿入層で形成する材料の抵抗(ρ)と、他方でこの同じ層の幾何学的厚さ(l)との間の関係に等しく、挿入層の幾何学的厚さはさらに、方程式Eorg=Ein−A(式中、Aは5.0〜75.0nm、好ましくは20.0〜60.0nm、より好ましくは30.0〜45.0nmの範囲の値を有する定数である)によって有機発光デバイスの第一有機層の幾何学的厚さに関係づけられる。用語「第一有機層」は、挿入層と有機発光層の間に配置される全ての有機層を意味する。本発明者は、方程式Eorg=Ein−Aが、驚くべきことに使用される有機発光デバイスの第一有機層の幾何学的厚さが挿入層の光学パラメータ(幾何学的厚さ及び屈折率)を最適化し、それゆえ第一輝度最大に対して高い点火電圧を回避できる電気特性と適合しうる挿入層の厚さを保持しながら透過される光の量を最適化することができることを見出した。
【0052】
別の特別な実施形態では、本発明による透明基板は、挿入層の幾何学的厚さ(Ein)がそのオーム厚さが最大1012オームに等しく、好ましくは最大10オームに等しいようなものであり、オーム厚さは、一方で挿入層を形成する材料の抵抗(ρ)と、他方でこの同じ層の幾何学的厚さ(l)との間の関係に等しく、挿入層の幾何学的厚さはさらに、方程式Eorg=Ein−C(式中、Cは150.0〜250.0nm、好ましくは160.0〜225.0nm、より好ましくは75.0〜205.0nmの範囲の値を有する定数である)によって有機発光デバイスの第一有機層の幾何学的厚さ(Eorg)に関係づけられる。用語「第一有機層」は、挿入層と有機発光層の間に配置される全ての有機層を意味する。本発明者は、方程式Eorg=Ein−Cが、驚くべきことに使用される有機発光デバイスの第一有機層の幾何学的厚さが挿入層の光学パラメータ(幾何学的厚さ及び屈折率)を最適化し、それゆえ第二輝度最大に対して高い点火電圧を回避できる電気特性と適合しうる挿入層の厚さを保持しながら透過される光の量を最適化することができることを見出した。
【0053】
本発明による透明基板の別の特別な実施形態では、電極の金属導電層はその面の少なくとも一つの上に少なくとも一つの犠牲層を含む。犠牲層は、完全に又は部分的に酸化又は窒化されることができる層を意味するものとして理解される。この層は、特に酸化又は窒化の結果として金属導電層の劣化が避けられることができる。さらに、それは金属導電層と結晶層の間に位置されることができるが、この犠牲層の存在は結晶層の作用と適合しうる。もし存在するなら、犠牲層は、金属、窒化物、酸化物、酸素が化学量論より少ない金属酸化物から選択される少なくとも一つの化合物を含む。好ましくは、金属、窒化物、酸化物、酸素が化学量論より少ない金属酸化物は、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Alから選択される少なくとも一つの元素を含む。犠牲層は好ましくはTi,Zr,Ni,Zn,Alを含む。最も好ましくは、犠牲層は少なくともTi,TiO(式中、x≦2),NiCr,NiCrO,TiZrO(TiZrOは50重量%の酸化ジルコニウムを有する酸化チタン層を示す)、ZnAlO(ZnAlOは2〜5重量%の酸化アルミニウムを有する酸化亜鉛層を示す)を含む。上記の特徴を保持する特別な実施形態によれば、犠牲層の厚さは少なくとも0.5nmの幾何学的厚さを持つ。犠牲層の厚さは最大6.0nmの厚さを含む。もし厚さが2.5nmに等しいならより好ましい。好ましい実施形態によれば、犠牲層は、支持体に関して最も遠くに離れた金属導電層の面上に蒸着される。
【0054】
別の特別な実施形態では、本発明による透明基板は、前記電極が蒸着される支持体が少なくとも一つの機能的な被覆を含むようなものである。前記機能的被覆は、本発明による電極が蒸着される面とは反対の面上に位置されることが好ましい。この被覆は、反射防止層又は多層積層構造、拡散層、非くもり又は汚れ防止層、光学フィルター、特に酸化チタン層、選択的吸収層、Lin及びCollによって論文、例えばOptics Express,2008,vol.16,no.15,pp.11044−11051に又は文献US 2003/0020399 A1、第6頁に記載されるマイクロレンズ系から選択される少なくとも一つの被覆を含む。
【0055】
好ましい実施形態では、本発明による透明基板は、透明又は超透明なガラス支持体から出発して以下の構造を本質的に持つ:
【0056】
・光透過を改良するための被覆:
○ (バリヤー層と合併される)TiOから作られた光透過を改良するための層
○ ZnO又はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られた結晶層
【0057】
・Agから作られた金属導電層、但し光透過を改良するための特性を持つ被覆の幾何学的厚さと金属導電層の幾何学的厚さは以下の方程式に関係づけられている:

式中、TME_o,B及びTD1_oは定数であり、TME_oは10.0〜25.0nm、好ましくは10.0〜23.0nmの範囲の値を有し、Bは10.0〜16.5nmの範囲の値を有し、TD1_oは23.9*nD1〜28.3*nD1nmの範囲の値を有し、nD1は550nmの波長における光透過を改良するための被覆の屈折率を表わし、nsupportは550nmの波長における支持体の屈折率を表わす。好ましくは、定数TME_o,B及びTD1_oは、TME_oが10.0〜23.0nm、好ましくは10.0〜22.5nm、より好ましくは11.5〜22.5nmの範囲を有し、Bが11.5〜15.0nmを有し、TD1_oが24.8*nD1〜27.3*nD1nmの範囲の値を有するようなものである。より好ましくは、定数TME_o,B及びTD1_oは、TME_oが10.0〜23.0nm、好ましくは10.0〜22.5nm、より好ましくは11.5〜22.5nmの範囲の値を有し、Bが12.0〜15.0nmの範囲を有し、TD1_oが24.8*nD1〜27.3*nD1nmの範囲の値を有するようなものである。
【0058】
・犠牲層:Tiから作られた幾何学的厚さ1.0〜3.0nm
【0059】
・挿入層:ZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られた幾何学的厚さ3.0〜20.0nm
【0060】
・標準化層:X,X窒化物、X酸窒化物(X:Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Ni,Pd,Cr,Mo,Al,Zn,Ni−Cr又はAlをドープされたZn)から作られた幾何学的厚さ0.5〜3.0nm
【0061】
好ましい実施形態では、本発明による透明基板は、透明又は超透明なガラス支持体から出発して以下の構造を持つ:
【0062】
・光透過を改良するための被覆:
○ (バリヤー層と合併される)TiOから作られた光透過を改良するための層
○ ZnO又はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られた結晶層
○ 光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さは少なくとも50.0nmに等しく、好ましくは少なくとも60.0nmに等しく、より好ましくは少なくとも70.0nmに等しく、最大100nmに等しく、好ましくは最大90.0nmに等しく、より好ましくは最大80.0nmに等しい。
【0063】
・Agから作られた金属導電層、但し金属導電層の幾何学的厚さは少なくとも6.0nmに等しく、好ましくは少なくとも8.0nmに等しく、より好ましくは少なくとも10.0nmに等しく、最大22.0nmに等しく、好ましくは最大20.0nmに等しく、より好ましくは最大18.0nmに等しい。
【0064】
・犠牲層:Tiから作られた幾何学的厚さ1.0〜3.0nm
【0065】
・挿入層:ZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られた幾何学的厚さ3.0〜20.0nm
【0066】
・標準化層:X,X窒化物、X酸窒化物(X:Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Ni,Pd,Cr,Mo,Al,Zn,Ni−Cr又はAlをドープされたZn)から作られた幾何学的厚さ0.5〜3.0nm
【0067】
好ましい実施形態では、本発明による透明基板は、透明又は超透明なガラス支持体から出発して以下の構造を持つ:
【0068】
・光透過を改良するための被覆:
○ (バリヤー層と合併される)TiOから作られた光透過を改良するための層
○ ZnO又はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られた結晶層
○ 光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さは少なくとも20.0nmに等しく、最大40.0nmに等しい。
【0069】
・Agから作られた金属導電層、但し金属導電層の幾何学的厚さは少なくとも16.0nmに等しく、好ましくは少なくとも18.0nmに等しく、より好ましくは少なくとも20.0nmに等しく、最大29.0nmに等しく、好ましくは最大27.0nmに等しく、最も好ましくは最大25.0nmに等しい。
【0070】
・犠牲層:Tiから作られた幾何学的厚さ1.0〜3.0nm
【0071】
・挿入層:ZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られた幾何学的厚さ3.0〜20.0nm
【0072】
・標準化層:X,X窒化物、X酸窒化物(X:Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Ni,Pd,Cr,Mo,Al,Zn,Ni−Cr又はAlをドープされたZn)から作られた幾何学的厚さ0.5〜3.0nm
【0073】
特別な実施形態では、本発明による透明基板は、支持体(特にガラス支持体)側上の反射rsupportが少なくとも28%に等しくかつ最大49%に等しい値を持つようなものである。
【0074】
透明基板の実施形態は上で述べた実施形態に限定されず、それらの二つ以上を組み合わせることによって等しく形成されることができる。
【0075】
本発明の第二の主題は、本発明による透明基板の製造方法に関する。この透明基板は支持体及び電極を含む。本発明による透明基板の製造方法は、電極を含む層集成体及び/又は標準化層が支持体上に蒸着される方法である。かかる方法の例は、おそらく磁界を使用する陰極スパッタリング技術、プラズマを使用する蒸着技術、CVD(化学蒸着)及び/又はPVD(物理蒸着)技術である。蒸着法は真空下で行われることが好ましい。用語「真空下」は、1.2Paより低いか又はそれに等しい圧力を意味する。より好ましくは、真空下の方法は磁気スパッタリング技術である。透明基板の製造方法は連続法であり、そこでは電極を形成するあらゆる層が多層積層構造においてそれの下のある層の直後に蒸着される(例えば、動いているリボンである支持体上に本発明による電極を形成する積層構造の蒸着、又はパネルである支持体上への積層構造の蒸着)。製造方法はまた、(例えば貯蔵の形の)時間間隔が電極を形成する積層構造においてある層とそれの下にある層の蒸着を分離する不連続法を含む。
【0076】
好ましい実施形態によれば、本発明による透明基板の製造方法は、それが以下のように二段階で行われるようなものである:
【0077】
・光透過を改良するための特性を有する被覆の支持体の蒸着、
【0078】
・金属導電層の蒸着の直後のフォトニックシステムを形成する異なる機能的な要素の蒸着。
【0079】
別の好ましい実施形態によれば、本発明による透明基板の製造方法は、それが以下のように二段階で行われるようなものである:
【0080】
・電極、金属導電層、犠牲層、挿入層を通る光透過を改良するための特性を有する被覆の支持体の蒸着、
【0081】
・標準化層の蒸着の直後のフォトニックシステムを形成する異なる機能的要素の蒸着。
【0082】
標準化層又は金属導電層が後の段階で蒸着されるとき、フォトニックデバイスの有機部分は、標準化層又は金属導電層の蒸着直後に蒸着される(即ち、標準化層又は金属導電層はフォトニックデバイスの有機部分の蒸着前に露出されない)。これらの方法によって提供される利点は、導電層及び標準化層の酸化がこれらが金属から作られるときに回避できることである。特別な実施形態によれば、バリヤー層はガラスリボン上に(例えばCVDによって)蒸着される。標準化層あり又はなしの積層構造の続く層は、前記リボン上に又は前記リボンを切断することによって形成されたガラスパネル上に真空下で蒸着される。切断後に得られたバリヤー層によって覆われるパネルはもし必要なら保管される。
【0083】
特別な実際例によれば、酸化物及び/又は酸窒化物に基づく表面電気特性を標準化するための層は直接蒸着によって得られることができる。代替例によれば、酸化物及び/又は酸窒化物に基づく標準化層は金属及び/又は対応する窒化物の酸化によって得られることができる(例えば、Tiは酸化されてTi酸化物になり、Ti窒化物は酸化されてTi酸窒化物になる)。この酸化は標準化層の蒸着の直後又は長時間後に行われることができる。酸化は自然であることができ(例えば、製造工程時又はフォトニックデバイスの完全な製造前の電極の保管時に存在する酸化化合物との相互作用によるもの)、又は後処理操作から生じることができる(例えば、紫外光下のオゾンの処理)。
【0084】
代替的な実際例によれば、製造方法は、電極の表面を構築する追加工程を含む。電極の構築は支持体の構築とは異なる。この追加の工程は、電極の表面を造形すること及び/又は電極の表面を装飾することからなる。電極に表面を造形する方法は少なくともレーザ又はエッチングによる彫刻を含む。電極の表面を装飾する方法は少なくともマスキング操作を含む。マスキングは、電極の表面の少なくとも一部が後処理工程(例えば被覆されていない部分のエッチング)の一部として保護被覆で覆われる操作である。
【0085】
本発明の第三の主題では、本発明による透明基板は、光を放出又は収集するフォトニックデバイス中に組み込まれる。好ましい実施形態によれば、フォトニックデバイスは、上記の本発明による透明基板を少なくとも一つ含む有機発光デバイスである。
【0086】
前述の実施形態の変形例によれば、有機発光デバイスは、準白色光を放出する目的のために本発明による基板の上にOLED系を含む。幾つかの方法は、赤、緑及び青色光を放出する単一の有機層化合物内で混合することによって、赤、緑及び青色光の放出部分にそれぞれ対応する三つの有機層構造又は二つの有機層構造(黄及び青色光の放出)を積層することによって、光拡散系に接続された三つ(赤、緑、青色光の放出)又は二つ(黄及び青色光の放出)の有機層構造を並置することによって準白色光を生成することができる。
【0087】
用語「準白色」は、基板の表面に垂直な放射を用いると、0°の色座標が八つの色度四辺形の一つに含まれる(但し、四辺形の輪郭は含まれる)光を意味するものとして理解される。これらの四辺形は標準規格ANSI_NEMA_ANSLG C78.377−2008の第10〜12頁に規定される。これらの四辺形は、「Graphical representation of the chromaticity specification of SSL products in Table 1,on the CIE(x,y)chromaticity diagram」という名称のパート1の図A1に示されている。
【0088】
特別な実施形態によれば、有機発光デバイスは板ガラス、二重板ガラス又は積層板ガラス中に一体化される。また、複数の有機発光デバイス、好ましくは多数の有機発光デバイスを一体化することもできる。
【0089】
別の特別な実施形態によれば、有機発光デバイスは、ガラス及び/又はプラスチックから作られた少なくとも一つの封入材料中に封入される。有機発光デバイスの異なる実施形態を組み合わせることができる。
【0090】
最後に、様々な有機発光デバイスは広範な分野の用途を持つ。本発明は、特に一つ以上の発光表面の形成においてこれらの有機発光デバイスの可能な使用に関する。用語「発光表面」は、例えば照明タイル、発光パネル、発光パーティション、工作物の表面、ガラスハウス、懐中電灯、スクリーンベース、引き出しベース、発光屋根、タッチスクリーン、ランプ、カメラフラッシュシステム、ディスプレイのための発光ベース、保安灯、棚を含む。
【図面の簡単な説明】
【0091】
本発明による透明基板は以下の図面に基づいて説明されるだろう。図面は、本発明による基板に含まれる電極を形成する幾つかの基板構造、特に積層構造を限定されない態様で示す。これらの図は、純粋に説明目的のためであり、構造の表現を縮尺通り構成していない。さらに、本発明による透明基板を含む有機発光デバイスの性能もまた、図の形で示されるだろう。
【0092】
【図1】図1は、透明基板が最小数の層からなる積層構造から形成された電極を含む、本発明による透明基板の断面図を示す。
【0093】
【図2】図2は、第二実施形態の本発明による透明基板の断面図を示す。
【0094】
【図3】図3は、透明基板が最小数の層からなりかつ異なる効果を有する積層構造から形成された電極を含む、本発明による透明基板の断面図を示す。
【0095】
【図4】図4は、好ましい実施形態の本発明による透明基板の断面図を示す。
【0096】
【図5】図5は、550nmの波長で2.3の屈折率を有する光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さとAgの金属導電層の幾何学的厚さの関数として550nmに等しい波長で1.4の屈折率を有する支持体を含みかつ準白色光を放出する有機発光デバイスの輝度の進展を示す。
【0097】
【図6】図6は、550nmの波長で2.3の屈折率を有する光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さとAgの金属導電層の幾何学的厚さの関数として550nmに等しい波長で1.5の屈折率を有する支持体を含みかつ準白色光を放出する有機発光デバイスの輝度の進展を示す。
【0098】
【図7】図7は、550nmの波長で2.3の屈折率を有する光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さとAgの金属導電層の幾何学的厚さの関数として550nmに等しい波長で1.6の屈折率を有する支持体を含みかつ準白色光を放出する有機発光デバイスの輝度の進展を示す。
【0099】
【図8】図8は、550nmの波長で2.3の屈折率を有する光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さとAgの金属導電層の幾何学的厚さの関数として550nmに等しい波長で1.8の屈折率を有する支持体を含みかつ準白色光を放出する有機発光デバイスの輝度の進展を示す。
【0100】
【図9】図9は、550nmの波長で2.3の屈折率を有する光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さとAgの金属導電層の幾何学的厚さの関数として550nmに等しい波長で2.0の屈折率を有する支持体を含みかつ準白色光を放出する有機発光デバイスの輝度の進展を示す。
【0101】
【図10】図10は、主波長が赤色光の範囲にある単色光の波長スペクトルの関数としてフォトルミネセンスを示す。
【0102】
【図11】図11は、主波長が緑色光の範囲にある単色光の波長スペクトルの関数としてフォトルミネセンスを示す。
【0103】
【図12】図12は、主波長が青色光の範囲にある単色光の波長スペクトルの関数としてフォトルミネセンスを示す。
【0104】
【図13】図13は、Agの金属導電層が12.5nmに等しい幾何学的厚さを有し、支持体が1.5の屈折率を有する、赤色光のために本発明による電極の光透過を改良するための層の屈折率及び幾何学的厚さの関数としての有機発光デバイスの輝度の進展を示す。
【0105】
【図14】図14は、Agの金属導電層が12.5nmに等しい幾何学的厚さを有し、支持体が1.5の屈折率を有する、緑色光のために本発明による電極の光透過を改良するための層の屈折率及び幾何学的厚さの関数としての有機発光デバイスの輝度の進展を示す。
【0106】
【図15】図15は、Agの金属導電層が12.5nmに等しい幾何学的厚さを有し、支持体が1.5の屈折率を有する、青色光のために本発明による電極の光透過を改良するための層の屈折率及び幾何学的厚さの関数としての有機発光デバイスの輝度の進展を示す。
【0107】
【図16】図16は、Agの金属導電層が12.5nmに等しい幾何学的厚さを有し、支持体が2.0の屈折率を有する、赤色光のために本発明による電極の光透過を改良するための層の屈折率及び幾何学的厚さの関数としての有機発光デバイスの輝度の進展を示す。
【0108】
【図17】図17は、Agの金属導電層が12.5nmに等しい幾何学的厚さを有し、支持体が2.0の屈折率を有する、緑色光のために本発明による電極の光透過を改良するための層の屈折率及び幾何学的厚さの関数としての有機発光デバイスの輝度の進展を示す。
【0109】
【図18】図18は、Agの金属導電層が12.5nmに等しい幾何学的厚さを有し、支持体が2.0の屈折率を有する、青色光のための本発明による電極の光透過を改良するための層の屈折率及び幾何学的厚さの関数として有機発光デバイスの輝度の進展を示す。
【0110】
【図19】図19は、光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さとAgの金属導電層の幾何学的厚さの関数として550nmに等しい波長で1.5に等しい屈折率を有する支持体を含む透明基板のヨーロッパ標準規格EN410に従って2°でD65で表示されたシミュレートされた反射の進展を示し、そこでは導電層の上に基板はまた、3.0に等しい幾何学的厚さを有するTiOの犠牲層及び14.7nmに等しい幾何学的厚さを有するZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)の挿入層を含み、挿入層は550nmの波長で1.7に等しい屈折率を有する有機媒体で被覆されている。
【0111】
【図20】図20は、緑色光のための電極の第一有機層及び挿入層の幾何学的厚さ(Ein)の関数として12.5nmの幾何学的厚さを有する金属導電層及び550nmの波長で1.5の屈折率を有する支持体を含む透明基板を組み込む有機発光デバイスの輝度の進展を示す。
【発明を実施するための形態】
【0112】
図1は、本発明による透明基板を形成する積層構造の一例を示す。透明基板は支持体(10)から出発して以下の構造を有する:
・光透過を改良するための層(1101)を含む光透過を改良するための被覆(110)
・金属導電層(112)
【0113】
図2は、本発明による透明基板の代替例を示す。これは、図1に既に存在する層に加えて、挿入層(113)及び表面電気特性を標準化するための層(114)を含む。透明基板は支持体(10)から出発して以下の構造を有する:
・光透過を改良するための層(1101)を含む光透過を改良するための被覆(110)
・金属導電層(112)
・挿入被覆(113)
・標準化被覆(114)
【0114】
図3は、本発明による別の透明基板を示す。これは、図2に既に存在する層に加えて、光透過を改良するための被覆(110)に属する追加のバリヤー層(1100)及び追加の結晶層(1102)、二つの犠牲層(111a,111b)及び支持体(10)の第二面上の機能的被覆(8)を含む。透明基板は支持体(10)の第二面から出発して以下の構造を有する:
・機能的被覆(9)
・支持体(10)
・以下のものを含む光透過を改良するための被覆(110):
○ バリヤー層(1100)
○ 光透過を改良するための層(1101)
○ 結晶層(1102)
・犠牲層(111a)
・金属導電層(112)
・犠牲層(111b)
・挿入層(113)
・標準化層(114)
【0115】
図4は、本発明による透明基板の別の例を示す。透明基板は支持体(10)から出発して以下の構造を有する。
・光透過を改良するための層(1101)を含む光透過を改良するための被覆(110)
・金属導電層(112)
・犠牲層(111b)
・挿入被覆(113)
・標準化被覆(114)
【0116】
図5,6,7,8及び9は、550nmに等しい波長で1.4,1.5,1.6,1.8及び2.0に等しい屈折率をそれぞれ有する支持体を含み、かつAgの金属導電層の幾何学的厚さと550nmの波長で2.3の屈折率(nD1)を有する光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さ(D)の関数として準白色光を放出する有機発光デバイスの輝度の進展を示す。有機発光デバイスの構造は以下の積層構造を含む:
・100.0nmに等しい幾何学的厚さを有する支持体(10)
・電極(11):
■ 光透過を改良するための被覆(110)、
■ Agから作られた金属導電層(112)、
・有機発光デバイスの有機部分は、それが以下の構造を有するようなものである:
■ 25.0nmに等しい幾何学的厚さを有する正孔輸送層HTL、
■ 10.0nmに等しい幾何学的厚さを有する電子ブロッキング層EBL、
■ 光源Aに対応する白色光のガウススペクトルを放出しかつ16.0nmに等しい幾何学的厚さを有する放出層、
■ 10.0nmに等しい幾何学的厚さを有する正孔ブロッキング層HBL、
■ 43.0nmに等しい幾何学的厚さを有する電子輸送層ETL。
・100.0nmに等しい厚さを有するAlから作られた対電極。
【0117】
驚くべきことに、これらの計算は、光透過を改良するための特性を有する被覆(110)の光学的厚さTD1と金属導電層(112)の幾何学的厚さTMEが以下の方程式によって関係づけられるような透明基板に対して最大輝度が得られることを示す:
【0118】

式中、TME_o,B及びTD1_oは定数であり、TME_oは10.0〜25.0nmの範囲の値を有し、Bは10.0〜16.5nmの範囲の値を有し、TD1_oは23.9*nD1〜28.3*nD1nmの範囲の値を有し、nD1は550nmの波長における光透過を改良するための被覆の屈折率を表わし、nsupportは550nmの波長における支持体の屈折率を表わす。輝度はFluximからのプログラムSETFOS,version 3(Semiconductive Emissive Thin Film Optics Simulator)を使用して計算された。この輝度は任意単位として表示される。太い線の形で表われる正弦曲線は、方程式TME=TME_o+[Bsin(IID1/TD1_o)]/(nsupportによって選択される領域において極値を示す。本発明は、驚くべきことに、選択される領域が準白色光を放出する有機発光デバイスに対してだけでなく放出されたいかなるタイプの色(例えば赤、緑、青色)に対しても有効であることを見出した。
【0119】
本発明者は、同じ構造の透明基板では、高い屈折率を有する支持体(10)の使用がフォトニックシステムによって透過される光の量を増加できることを見出した。高い屈折率は、少なくとも1.4に等しい、好ましくは少なくとも1.5に等しい、より好ましくは少なくとも1.6に等しい、最も好ましくは少なくとも1.7に等しい屈折率であるものとして理解される。実際、図5及び9の比較が示すように、同じ構造の透明基板では、2.0に等しい屈折率を有する支持体が1.4に等しい屈折率を有する支持体の代わりに使用される(支持体の屈折率は550nmの波長での屈折率である)ときにOLEDの輝度の180%のオーダの増加が観察される。
【0120】
図10〜19、特に図13〜19は、12.5nmに等しい幾何学的厚さを有するAgの導電層に対応する本発明による透明基板の特別な例に関する。これらの図では、本発明による基板は、赤、緑又は青色を放出するOLEDに組み込まれる。有機発光デバイスの構造は以下の積層構造を含む:
・100.0nmに等しい幾何学的厚さを有する支持体(10)
・電極(11):
■ 光透過を改良するための被覆(110)、
■ Agから作られた金属導電層(112)、
・有機発光デバイスの有機部分は、それが以下の構造を有するようなものである:
■ 25.0nmに等しい幾何学的厚さを有する正孔輸送層HTL、
■ 10.0nmに等しい幾何学的厚さを有する電子ブロッキング層EBL、
■ 16.0nmに等しい幾何学的厚さを有する、赤、緑又は青色光のスペクトルの放出を起こす放出層、それらの色座標はCIE XYZ 1931測色図において(0.63,0.36),(0.24,0.68)又は(0.13,0.31)にそれぞれ等しく、それによればデバイスは赤、緑又は青色光の放出のために与えられる、
■ 10.0nmに等しい幾何学的厚さを有する正孔ブロッキング層HBL、
■ 43.0nmに等しい幾何学的厚さを有する電子輸送層ETL。
・100.0nmに等しい厚さを有するAlから作られた対電極。
【0121】
図10,11及び12はそれぞれ、主波長が赤、緑又は青色光範囲にある、単色光の波長スペクトルの関数としてフォトルミネセンスの進展を示す。主波長は、フォトルミネセンスがその最大にある波長を意味するものとして理解される。用語「単色」は、この光が単色そのものでなくても単一色が目によって知覚されることを意味するものとして理解される。フォトルミネセンスは、最大フォトルミネセンスの値によって分割される波長のフォトルミネセンスの値の間の関係の形で表示される。それゆえ、フォトルミネセンスは0と1の間の範囲の単位のない数字である。これらの数字は、OLEDによって放出される光が単一の波長に簡単に限定されることができないことを示す。図10は、616nmに等しい波長で、フォトルミネセンスが主波長が赤色範囲にある単色光の場合の最大にあることを示す。図11は、512nmに等しい波長で、フォトルミネセンスが主波長が緑色範囲にある単色光の場合の最大にあることを示す。図12は、453nmに等しい波長で、フォトルミネセンスが主波長が青色範囲にある単色光の場合の最大にあることを示す。
【0122】
図13,14及び15は、赤、緑及び青色光のそれぞれに対して、そして550nmの波長で1.5の屈折率を有する支持体に対して本発明による透明基板の光透過を改良するための被覆(110)の屈折率(nD1)及び幾何学的厚さ(D)の関数として有機発光デバイスの輝度の進展を示し、そこではAgの金属導電層の幾何学的厚さは12.5nmに等しい。この計算は、単一波長に限定された光放射を考慮することによってではなく、図10,11及び12に示されているように波長の実際のスペクトルを考慮することによって計算された。驚くべきことに、これらの計算は、光透過を改良するための特性を有する被覆(110)の光学的厚さTD1と金属導電層(112)の幾何学的厚さTMEが以下の方程式によって関係づけられているようなものである透明基板に対して最大輝度が得られることを示す:
【0123】

式中、TME_o,B及びTD1_oは定数であり、TME_oは10.0〜25.0nmの範囲の値を有し、Bは10.0〜16.5nmの範囲の値を有し、TD1_oは23.9*nD1〜28.3*nD1nmの範囲の値を有し、nD1は550nmの波長における光透過を改良するための被覆の屈折率を表わし、nsupportは550nmの波長における支持体の屈折率を表わす。輝度はFluximからのプログラムSETFOS,version 3(Semiconductive Emissive Thin Film Optics Simulator)を使用して計算された。上で述べた特別なケースに対して、透明基板が550nmの波長で1.5に等しい屈折率を有する支持体と12.5nmに等しい幾何学的厚さを有するAgの導電層を持つ場合、赤、緑及び青色光のそれぞれを放出するOLEDに対して得られた図13,14,15に基づくと、特に光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さが少なくとも50.0nmに等しく、好ましくは少なくとも60.0nmに等しく、より好ましくは少なくとも70.0nmに等しく、最大110.0nmに等しく、好ましくは最大100.0nmに等しく、より好ましくは90.0nmに等しく、最も好ましくは80.0nmに等しいときに高い輝度が得られることは明らかである。さらに、550nmの波長で2.3の屈折率を有する光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さ、及びAgから作られた金属導電層の幾何学的厚さの関数として550nmに等しい波長で1.5の屈折率を有する支持体を持ちかつ準白色光を放出する有機発光デバイスの輝度の進展を記載する図6に基づくと、12.5nmのAgの金属導電層の厚さを有する支持体に対して、光透過を改良するための被覆の最適な幾何学的厚さが50.0nm〜130.0nmの範囲になければならないことは明らかである。
【0124】
図16,17及び18は、赤、緑及び青色光のそれぞれに対して、そして550nmの波長で2.0の屈折率を有する支持体に対して本発明による透明基板の光透過を改良するための被覆(110)の屈折率(nD1)及び幾何学的厚さ(D)の関数として有機発光デバイスの輝度の進展を示し、そこではAgの金属導電層の幾何学的厚さは12.5nmに等しい。この計算は、単一波長に限定された光放射を考慮することによってではなく、図10,11及び12に示されているように波長の実際のスペクトルを考慮することによって計算された。驚くべきことに、これらの計算は、光透過を改良するための特性を有する被覆(110)の光学的厚さTD1と金属導電層(112)の幾何学的厚さTMEが以下の方程式によって関係づけられているようなものである透明基板に対して最大輝度が得られることを示す:
【0125】

式中、TME_o,B及びTD1_oは定数であり、TME_oは10.0〜25.0nmの範囲の値を有し、Bは10.0〜16.5nmの範囲の値を有し、TD1_oは23.9*nD1〜28.3*nD1nmの範囲の値を有し、nD1は550nmの波長における光透過を改良するための被覆の屈折率を表わし、nsupportは550nmの波長における支持体の屈折率を表わす。輝度はFluximからのプログラムSETFOS,version 3(Semiconductive Emissive Thin Film Optics Simulator)を使用して計算された。上で述べた特別なケースに対して、赤、緑及び青色光をそれぞれ放出するOLEDに対して得られた図16,17,18に基づくと、特に光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さが少なくとも40.0nmに等しく、好ましくは少なくとも50.0nmに等しく、より好ましくは少なくとも60.0nmに等しく、最大110.0nmに等しく、好ましくは最大100.0nmに等しく、より好ましくは最大90.0nmに等しいときに高い輝度が得られることは明らかである。さらに、550nmの波長で2.3の屈折率を有する光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さとAgから作られた金属導電層の幾何学的厚さの関数として550nmに等しい波長で2.0の屈折率を有する支持体を持ちかつ準白色光を放出する有機発光デバイスの輝度の進展を記載する図9に基づくと、12.5nmのAgの金属導電層の厚さを有する支持体に対して、光透過を改良するための被覆の最適な幾何学的厚さが少なくとも3.0nmより大きくかつ最大200.0nmに等しくなければならないことは明らかである。
【0126】
図13〜18は全て、支持体の固定された屈折率の場合の同じ基板構造では、光透過を改良するための被覆(110)の屈折率が支持体(10)の屈折率より高いとき、特にnD1>1.2nsupportであるとき、さらにnD1>1.3nsupportのとき、さらにnD1>1.5nsupportのときにより有意な輝度が得られることを示す。被覆を形成する材料の屈折率(nD1)は550nmの波長で1.5〜2.4の範囲、好ましくは2.0〜2.4の範囲、より好ましくは2.1〜2.4の範囲の値を有する。
【0127】
驚くべきことに、本発明者は、最大輝度、換言すれば高い放射レベルを得るための改良被覆の最適厚さが図13〜18に示すように単色光(青、緑又は赤色光)の波長スペクトルにほとんど依存しないことを見出した。特に驚くべきことに、この最適値は改良被覆(110)の幾何学的厚さの同じ範囲にある。例えば、2.0〜2.3の範囲の屈折率を有する材料の場合において、異なる波長で最適放出を可能にする改良被覆の幾何学的厚さは45.0〜95.0nmの範囲の値を有する。この範囲は70.0nmの幾何学的厚さ値を中心とする。さらに、赤色光に対しては図8と11の比較、緑色光に対しては図9と12の比較、及び青色光に対しては図10と13の比較は、支持体の屈折率が改良被覆の最適な厚さの範囲にほとんど影響しないことを示す。
【0128】
本発明者は、高放出レベルを与えることに加えて、光透過を改良するための特性を有する被覆(110)の光学的厚さTD1と金属導電層(112)の幾何学的厚さTMEが以下の方程式によって関係づけられるようなものである透明基板の使用が図5〜9に示すように赤、青及び緑色光の源が同時に使用されるときに準白色光を与えることができることを見出した:
【0129】

特に、図13〜15に示すように、透明基板が12.5nmに等しい幾何学的厚さを有するAgの導電層を有しかつ550nmの波長で1.5に等しい屈折率を有する支持体によって形成されるようなものであるとき、本発明者は、2.0〜2.3の値の範囲内の屈折率を有するあらゆる材料に対して、45〜95nmの範囲の値を有する改良被覆(110)の最適な幾何学的厚さが準白色光を得ることを可能にすることを決定できた。準白色光は60.0〜80.0nm、より好ましくは65.0〜75.0nmの範囲の幾何学的厚さで得られることが好ましい。従って、赤色光源に対する色座標(0.63,0.36)、緑色光源に対する色座標(0.26,0.68)及び青色光源に対する色座標(0.13,0.31)のスペクトルを放出する三つの光源の同時使用は、70.0nmの幾何学的厚さ及び2.3の屈折率を有する光透過を改良する被覆に対して準白色光を得ることを可能にする。
【0130】
図5〜7に基づくと、本発明者は、驚くべきことに、二つの特別な領域が有機発光デバイス中に組み込むために意図される透明基板の構造において選択されることができることを見出した。
【0131】
選択の第一領域は透明基板に関し、そこでは支持体は550nmの波長で1.5に等しい屈折率を有し、金属導電層の幾何学的厚さは少なくとも6.0nmに等しく、好ましくは少なくとも8.0nmに等しく、より好ましくは少なくとも10.0nmに等しく、最大22.0nmに等しく、好ましくは最大20.0nmに等しく、より好ましくは最大18.0nmに等しく、光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さは少なくとも50.0nmに等しく、好ましくは少なくとも60.0nmに等しく、最大130.0nmに等しく、好ましくは最大110.0nmに等しく、より好ましくは最大90.0nmに等しい。この構造は、低コストのソーダライムシリカガラス支持体を使用し、光透過を改良するための被覆のより大きい厚さと組み合わせた微細な金属導電層(例えばAgの層)を使用するという三重の利点を持ち、かかる厚さはソーダライムシリカガラス支持体から来るアルカリ性物質の移行による可能な汚染に対して金属導電層の良好な保護を可能にする。
【0132】
選択の第二領域は、1.4〜1.6の範囲の屈折率を有する支持体を持つ透明基板に関し、そこでは金属導電層の幾何学的厚さは少なくとも16nmに等しく、好ましくは少なくとも18nmに等しく、より好ましくは少なくとも20nmに等しく、最大29nmに等しく、好ましくは最大27nmに等しく、より好ましくは最大25nmに等しく、光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さは少なくとも20.0nmに等しく、最大40.0nmに等しい。この構造は、より厚い金属導電層(例えば銀の層)を使用する利点を持ち、厚い金属導電層の使用は良好な導電性を達成可能にする。
【0133】
図19は、光透過を改良するための被覆の幾何学的厚さ及びAgの金属導電層の幾何学的厚さの関数として550nmに等しい波長で1.5に等しい屈折率を有する支持体を含む透明基板のヨーロッパ標準規格EN410による2°でのD65で表示されるシミュレートされた反射の進展を示し、そこでは導電層の上に基板はまた、3.0nmに等しい幾何学的厚さを有するTiOの犠牲層及び14.7nmに等しい幾何学的厚さを有するZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)の挿入層を含み、挿入層は550nmの波長で1.7に等しい屈折率を有する有機媒体で被覆される。太い線の形で表われる正弦曲線は、方程式TME=TME_o+[Bsin(IID1/TD1_o)]/(nsupportによって選択される領域において極値を示す。本発明者は、驚くべきことに、選択された領域が最小反射を有する領域に対応しないが、少なくとも28%に等しくかつ最大49%に等しい反射に対応する(反射は標準規格EN410に従って計算される)ことを見出した。
【0134】
図20は、緑色光に対して電極の第一有機層(Eorg)及び挿入層(Ein)の幾何学的厚さの関数として550nmの波長で1.5の屈折率を有する支持体及び12.5nmの幾何学的厚さを有する金属導電層を含む透明基板を組み込む有機発光デバイスの輝度の進展を示す。この計算は、単一波長に限定された光放射を考慮することによってではなく、図11に示すように、波長の実際のスペクトルを考慮することによって行われた。輝度はまた、プログラムSETFOS,version3を使用して計算された。この輝度は任意単位として表示される。本発明者は、驚くべきことに、輝度最大値によって特徴づけられる二つの領域が観察されることを見出した:
・方程式Eorg=Ein−Aに対応する第一領域(式中、Aは5.0〜75.0nm、好ましくは20.0〜60.0nm、より好ましくは30.0〜45.0nmの範囲の値を有する定数である)
・方程式Eorg=Ein−Cに対応する第二領域(式中、Cは150.0〜250.0nm、好ましくは160.0〜225.0nm、より好ましくは75.0〜205.0nmの範囲の値を有する定数である)
【0135】
本発明者は、方程式Eorg=Ein−A又はEorg=Ein−Cにより、驚くべきことに、使用される有機発光デバイスの第一有機層の幾何学的厚さが挿入層の光学的パラメータ(幾何学的厚さ及び屈折率)を最適化し、従って第一及び第二輝度最大値のそれぞれに対して高い点火電圧を避けることができる電気特性と適合しうる挿入層の厚さを保持しながら透過される光の量を最適化することを可能にすることを見出した。
【0136】
本発明による透明基板、それの実行のモード並びにそれを含有する有機発光デバイスは、以下の表Ib及びIIbに記載されかつ並べられた実際例に基づいて特徴付けられるだろう。これらの例は決して本発明を限定するものではない。
【0137】
性能が表Ia〜VIで示される緑色単色光を放出する有機発光デバイスは、基板(1)から出発して以下の有機構造を有する:
・N,N′−ビス(1−ナフチル)―N,N′−ジフェニル−1,1′−ビフェニル−4,4′−ジアミン(アルファ−NPDに略される)の層、
・1,4,7−トリアザシクロノナン−N,N′,N′′−トリアセテート(TCTAに略される)+トリス[2−(2−ピリジニル)フェニル−C,N]イリジウム(Ir(ppy)に略される)の層、
・4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BPhenに略される)の層、
・LiFの層、
・少なくとも一つの金属から構成される上部反射電極。好ましい実施形態によれば、上部反射電極の金属は少なくともAgからなる。代替実施形態によれば、上部反射電極の金属は少なくともAlからなる。
【0138】
本発明による透明基板に加えて、性能が表VIIに示される準白色光を放出する有機発光デバイスは、基板から出発して以下の構造を有する:
・4mole%のNPD−2をドープされたN,N,N′,N′′−テトラキス(4−メトキシフェニル)−ベンジジン(MeO−TPDに略される)の層、
・N,N′−ジ(ナフタレン−1−イル)−N−N′−ジフェニル−ベンジジン(NPBに略される)の層、
・イリジウム−ビス−(4,6−ジフルオロフェニル−ピリジナート−N,C2)−ピコリネート(FirPicに略される)、トリス[2−(2−ピリジニル)フェニル−C,N]イリジウム(Ir(ppy)に略される)及びイリジウム(III)ビス(2−メチルジベンゾ[f.h]キノキサリン)(アセチルアセトネート)(Ir5MDQに略される)(acac)で部分的にドープされた2,2′,2′′(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール)(TBPiに略される)から及び4,4′,4′′−トリス(N−カルバゾイル)−トリフェニルアミン(TCTAに略される)から形成された発光層の積層体、
・2,2′,2′′(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス−(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール)(TBPiに略される)の層、
・Csをドープされた4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンの層、
・少なくとも一つの金属から構成される上部反射電極。好ましい実施形態によれば、上部反射電極の金属は少なくともAgからなる。代替実施形態によれば、上部反射電極の金属は少なくともAlからなる。
【0139】
使用される化合物を示すために使用される頭字語は当業者に良く知られている。使用される有機層の構造はReineke et Collによる論文の「Methods Summary」の部分の第237頁に、Nature,2009,vol.459、第234頁〜238頁に記載されている。
【0140】
本発明による透明基板(1)の例の電極を形成する層は、1.60mmの厚さを有する透明ガラス支持体(10)上に磁気スパッタリングによって蒸着される:
【0141】
層の各々に対する蒸着条件は以下の通りである:
・TiOベース層はAr/O雰囲気において0.5Paの圧力でチタンターゲットを使用して蒸着される、
・ZnSnベース層はAr/O雰囲気において0.5Paの圧力でZnSn合金ターゲットを使用して蒸着される、
・Agベース層はAr雰囲気において0.5Paの圧力でAgターゲットを使用して蒸着される、
・Tiベース層はAr雰囲気において0.5Paの圧力でTiターゲットを使用して蒸着され、続くAr/Oプラズマによって部分的に酸化されることができる、
・窒化Tiに基づく表面電気特性を標準化するための層は80/20Ar/N雰囲気において0.5Paの圧力でTiターゲットを使用して蒸着される。
【実施例】
【0142】
表Iaは、異なるタイプの電極(層の数、化学的性質及び層の厚さ)を有する透明基板の例、並びにこれらの基板が組み入れられる有機発光デバイスによって得られた電気的及び光学的性能の測定の結果を有する三つの欄を示す。有機発光デバイスの一般的な構造は上で記載された([0137])。例1R,2R及び3Rは本発明に従わない三つの例である。例1Rは、ITOの電極を含む透明基板である。例2Rは、Agの導電層を有する建築的低放射積層構造に基づいた電極を含む透明基板である。例2Rは、OLEDに対して最適化されていない透明基板である。なぜならば電極は標準化層(114)を持たず、改良被覆(110)の厚さが最適化されず、それゆえ以下の方程式に従う光学的厚さの範囲外にある:

【0143】
例3Rは、Agの導電層を有する建築的低放射積層構造に基づく電極を含む透明基板である。例3Rは、標準化層(114)を有するOLEDに対して最適化されていない電極を含む透明電極であり、そこでは改良被覆(110)の厚さは最適化されず、それゆえ以下の方程式に従う光学的厚さの範囲外にある:

【0144】
例2R及び3Rでは、改良被覆(114)はバリヤー層(1100)を有し、それは光透過を改良するための層(1101)と合併され、この層は結晶層(1102)によって被覆される。さらに、結晶層(1102)と挿入層(113)は同じ性質を有する。これらの層はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られ、ZnSnは好ましくは最大95重量%の亜鉛を含む(亜鉛の重量百分率は層に存在する金属の全重量に対して表示される)。
【0145】
表Ibは、異なるタイプの電極(層の数、化学的性質及び層の厚さ)を有する透明基板(1)の例、並びにこれらの基板が組み入れられる有機発光デバイスによって得られた電気的及び光学的性能の測定の結果を有する二つの欄を示す。有機発光デバイスの一般的な構造は上で記載された([0137])。例4及び5は本発明に従わない基板、並びにこれらが組み入れられる有機発光デバイスの電気的及び光学的性能を示す。これらの例では、改良被覆(110)はバリヤー層(1100)を含み、それは改良層(1101)と合併され、この層は結晶層(1102)によって被覆される。さらに、結晶層(1102)及び挿入層(113)は同じ性能を有する。これらの層はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られ、ZnSnは好ましくは最大95重量%の亜鉛を含む(亜鉛の重量百分率は層に存在する金属の全重量に対して表示される)。
【0146】
表Iaと表Ibの比較は、表Ibの例4及び5によって示された電気的及び光学的性能に関して本発明による透明基板によって与えられる利点を明らかに示す。実際、ITOの電極を有する基板、例1R、表Iaに関する電気的性能に対して、等価な流束が9%の最小値に低下された電圧を付与することによって得られることが測定されている。電極として従来の低放射被覆を有する透明基板、例2R、表Iaに対して、等価な流束は37%の最小値に低下された電圧を付与することによって得られる。ITOの電極を有する基板、例R、表Iaに関する光学的性能に対して、等価な流束がITO電極に付与された電圧より4%低い最小値にされた電圧を付与することによって得られることが測定されている。さらに、電極として従来の低放射被覆を有する透明基板、例2R、表Iaに対して、等価な流束は37%の最小値に低下された電圧を付与することによって得られる。改良被覆(110)の厚さが最適化されていない、標準化層(114)を有するOLEDに最適化されない電極を有する基板、表IAの例3Rに対して、等価な流束が17%の最小値に低下された電圧を付与することによって得られる。
【0147】

支持体(10)は、1.60mmに等しい幾何学的厚さを有する透明ガラスである。
【0148】
電気的性能は、10mA/cmの電流又は100mA/cmの電流のいずれかを得るために付与された電圧(V)によって測定される。光学的性能は、1000cd/m又は10000cd/mのいずれかの光強度を得るために付与された電圧(V)によって測定される。
【0149】

支持体(10)は、1.60mmに等しい幾何学的厚さを有する透明ガラスである。
【0150】
電気的性能は、10mA/cmの電流又は100mA/cmの電流のいずれかを得るために付与された電圧(V)によって測定される。光学的性能は、1000cd/m又は10000cd/mのいずれかの光強度を得るために付与された電圧(V)によって測定される。
【0151】
表IIaは、異なるタイプの電極(層の数、化学的性質及び層の厚さ)を含む透明基板の例、並びにこれらの基板を組み込む有機発光デバイスに対して図10,11及び12のそれぞれに従って赤、緑及び青色光の単色光のためにFluximからのプログラムSETFOS version3を使用して行われた任意単位(a.u.)として表示される最大輝度計算の結果を有する四つの欄を示す。有機発光デバイスの一般的な構造は上で記載された([0120])。例1R,2R,3R及び4Rは本発明に従わない四つの例である。例1Rは、ITOの電極を含む透明基板であり、例2Rは、誘電材料に基づくファブリーペローマイクロキャビティを有するITO電極を含む透明基板である。例3Rは、Agの導電層(112)を有するが表面電気特性を標準化するための層(114)を含まない建築的低放射積層構造に基づく電極を有する透明基板であり、そこでは改良被覆(10)の厚さは最適化されていない。例4Rは、Agの導電層(112)を有し、表面電気特性を標準化するための層(114)も含む建築的低放射積層構造に基づく電極を有する透明基板であり、そこでは改良被覆(110)の厚さは最適化されていない。例3R及び4Rでは、改良被覆(110)はバリヤー層(1100)を含み、それは改良層(1101)と合併され、この層は結晶層(1102)によって被覆される。さらに、結晶層(1102)及び挿入層(113)は同じ性質を有する。これらの層はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られ、ZnSnは好ましくは最大95重量%の亜鉛を含む(亜鉛の重量百分率は層に存在する金属の全重量に対して表示される)。
【0152】
表IIbは、本発明に従う透明基板の例(例5)、並びにこれらの基板を組み込む有機発光デバイスに対して図10,11及び12のそれぞれに従って赤、緑及び青色光の単色光のためにFluximからのプログラムSETFOS version3を使用して行われた任意単位(a.u.)として表示される最大輝度計算の結果を有する一つの欄を示す。有機発光デバイスの一般的な構造は上で記載された([0120])。この例では、改良被覆(110)は以下の方程式に従う光学的厚さを有し、これはバリヤー層(1100)を有し、それは改良層(1101)と合併され、この層は結晶層(1102)によって被覆される。

さらに、結晶層(1102)及び挿入層(114)は同じ性質を有する。これらの層はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られ、ZnSnは好ましくは最大95重量%の亜鉛を含む(亜鉛の重量百分率は層に存在する金属の全重量に対して表示される)。
【0153】
本発明による透明基板に対して例5、表IIbの場合に得られた輝度値間の比較は、例1R,2R,3R及び4R、表IIaの場合に得られた値より明らかに高い。この比較は本発明による基板によって提供される利点を明らかに示す。実際、最良の性能を示す比較例(例3R、表IIA)に対して、本発明による透明基板を使用する表IIbの例5は、緑色光に対して47%のオーダ、赤色光に対して44%のオーダ、そして青色光に対して33%のオーダの最大輝度値の増加を得ることを可能にする。
【0154】

支持体(10)は、100nmに等しい幾何学的厚さを有する透明ガラスである。
【0155】

支持体(10)は、100nmに等しい幾何学的厚さを有する透明ガラスである。
【0156】
表IIIは、異なるタイプの電極(層の数、化学的性質及び層の厚さ)を含む透明基板の例、並びにこれらの基板を含む有機発光デバイスに対して図10,11及び12のそれぞれに従って赤、緑及び青色光の単色光のためにFluximからのプログラムSETFOS version3を使用して行われた任意単位(a.u.)として表示される最大輝度計算の結果を有する一つの欄を示す。有機発光デバイスの一般的な構造は上で記載された([0120])。例1R及び2Rは、550nmの波長で1.5に等しい値を有する屈折率を有するガラス及び2.0に等しい値を有する屈折率を有するガラスのそれぞれについての本発明に従わない基板の二つの例である。例1R及び2Rは、表面電気特性を標準化するための層(114)を含むAgの導電層(112)を有する建築学的低放射積層構造に基づいた電極を有する透明基板であり、そこでは改良被覆(110)の厚さは最適化されていない。これらの例では、改良被覆(110)はバリヤー層(1100)を含み、それは改良層(1101)と合併され、この層は結晶層(1102)によって被覆される。さらに、結晶層(1102)及び挿入層(113)は同じ性質を持つ。これらの層はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られ、ZnSnは好ましくは最大95重量%の亜鉛を含む(亜鉛の重量百分率は層に存在する金属の全重量に対して表示される)。例3及び4は、550nmの波長で1.5に等しい値を有する屈折率を有するガラス及び2に等しい値を有する屈折率を有するガラスのそれぞれについての本発明に従った透明基板を示す。これらの例では、改良被覆(110)は以下の方程式に従う光学的厚さを有し、これはバリヤー層(1100)を有し、それは改良層(1101)と合併され、この層は結晶層(1102)によって被覆される。

さらに、結晶層(1102)及び挿入層(114)は同じ性質を有する。これらの層はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られ、ZnSnは好ましくは最大95重量%の亜鉛を含む(亜鉛の重量百分率は層に存在する金属の全重量に対して表示される)。
【0157】
表IIIの異なる欄の比較はまた、本発明による透明基板によって提供される利点を明らかに示す。実際、光源によって放射される色に依存して、高い屈折率を有するガラス(青色光の場合に例2R及び例4R、屈折率2.0を有するガラス)を使用するときに少なくとも11%の輝度の増加が得られうること、そして低い屈折率を有するガラス(青色光の場合に例1R及び例3、屈折率1.5を有するガラス)を使用するときに少なくとも36%の輝度の増加が得られうることが明らかである。換言すれば、輝度の増加は、使用される支持体の屈折率にかかわらず観察される。
【0158】

支持体(10)は、100nmに等しい幾何学的厚さを有する透明ガラスである。
【0159】
上記のように、本発明による透明基板は、少なくとも一つの追加の結晶層を含む光透過を改良するための被覆(110)を有する。この層は、金属導電層を形成する例えば銀の金属層の好ましい生長を可能にし、従って金属導電層の好ましい電気的及び光学的特性が得られることを可能にする。それは少なくとも一つの無機化学化合物を含む。結晶層を形成する無機化学化合物は必ずしも高い屈折率を持たない。無機化学化合物は少なくともZ(式中、x≦1)及び/又はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)を含む。ZnSnは好ましくは最大95重量%の亜鉛を含む(亜鉛の重量百分率は層に存在する金属の全重量に対して表示される)。驚くべきことに、本発明者は、結晶層の厚さが良好な導電性及び極めて低い吸収性を有する金属導電層を提供するために適応又は増加されなければならないことを見出した。実際、光透過を改良するための特性を有する層(1101)は、多層導電被覆(例えば、低放射タイプの被覆)の分野で通常遭遇されるより大きい厚さを有する。低放射被覆の場合において、支持体(10)と結晶層(1102)の間に設けられた層の幾何学的厚さは最大30.0nmであり、一般に20.0nmのオーダであり、結晶層の幾何学的厚さは5.0nmのオーダである。本発明者は、このタイプの幾何学的厚さが、良好な導電性を有し、かつ5Ω/□未満平方の抵抗を持つ本発明による透明基板を得ることを可能にする導電層を得るのに十分であることを測定した。しかしながら、本発明者は、結晶層の幾何学的厚さがΩ/□で表示される低い抵抗を得るために好ましくは少なくとも7nmに等しく、より好ましくは少なくとも10nmに等しくなければならないことを測定した。それゆえ、結晶層(1102)の幾何学的厚さは、バリヤー層(1100)と光透過を改良するための層(1102)の厚さの合計の少なくとも7%、好ましくは11%、より好ましくは14%に等しくなければならない。さらに、改良被覆(110)の光学的厚さは以下の方程式に従う光学的厚さの範囲内にある:

【0160】
光透過を改良するための特性を有する層(1101)及びバリヤー層(1100)の光学的厚さの合計は、もし結晶層(1102)の光学的厚さが増加されるなら減少されなければならない。
【0161】
表IVは、異なるタイプの電極(層の数、化学的性質及び層の厚さ)を有する透明基板の例及びΩ/□で表示される抵抗の測定結果を有する三つの欄を示す。有機発光デバイスの一般的な構造は上で記載された([0137])。例1Rは、表面電気特性を標準化するための層(114)を含むAgの導電層(112)を有する建築的低放射積層構造に基づいた電極を有する本発明に従わない透明基板であり、そこでは改良被覆(110)の厚さは最適化されていない。これらの例では、改良被覆(110)はバリヤー層(1100)を含み、それは改良層(1101)と合併され、この層は結晶層(1102)によって被覆される。さらに、結晶層(1102)及び挿入層(113)は同じ性質を有する。これらの層はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られ、ZnSnは好ましくは最大95重量%の亜鉛を含む(亜鉛の重量百分率は層に存在する金属の全重量に対して表示される)。例2及び3は、本発明に従う透明基板を示す。これらの例では、改良被覆(110)は以下の方程式に従う光学的厚さを有し、これはバリヤー層(1100)を有し、それは改良層と合併され、この層は結晶層(1102)によって被覆される。

さらに、結晶層(1102)及び挿入層(114)は同じ性質を有する。これらの層はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られ、ZnSnは好ましくは最大95重量%の亜鉛を含む(亜鉛の重量百分率は層に存在する金属の全重量に対して表示される)。例3は、結晶層(1102)の幾何学的厚さに対して最適化される電極を有する本発明に従う透明基板を示す。
【0162】

支持体(10)は、1.60mmに等しい幾何学的厚さを有する透明ガラスである。
【0163】
上記のように、本発明による透明基板は、少なくとも一つの追加の結晶層(113)を有する電極を持つ。挿入層(113)の機能は、金属導電層を透明にすることができる光キャビティの部分を形成することである。実際、低放射多層被覆を最適化する当業者には、例えば少なくとも15.0nmの幾何学的厚さを有する挿入層の使用が導電層を透明にするために必要であることが知られている。他方、建築的用途に適合しうる光学的透明性を得るために導電性条件は全く課されない。建築的用途のために開発された層は光電気用途のために直接使用されることができない。なぜならばそれらは一般に誘電化合物及び/又は導電性に劣る化合物を含むからである。
【0164】
本発明者は、驚くべきことに、第一に、挿入層(113)の幾何学的厚さ(Ein)がそのオーム厚さが最大1012オームに等しく、好ましくは最大10オームに等しいようなものであり、オーム厚さが、一方で挿入層で形成する材料の抵抗(ρ)と、他方でこの同じ層の幾何学的厚さ(l)との間の関係に等しく、第二に、挿入層(113)の幾何学的厚さがさらに、有機発光デバイス(Eorg)の第一有機層の幾何学的厚さに関係づけられることを測定した。用語「第一有機層」は、挿入層(113)と有機発光層の間に配置される全ての有機層を意味する。本発明者は、驚くべきことに、図20に示すように、輝度最大によって特徴づけられる二つの領域が観察されることを見出した:
・第一領域は方程式Eorg=Ein−Aに対応し、式中、Aは5.0〜75.0nm、好ましくは20.0〜60.0nm、より好ましくは30.0〜45.0nmの範囲の値を有する定数である。
・第二領域は方程式Eorg=Ein−Cに対応し、式中、Cは150.0〜250.0nm、好ましくは160.0〜225.0nm、より好ましくは75.0〜205.0nmの範囲を有する定数である。
【0165】
本発明者は、方程式Eorg=Ein−A又はEorg=Ein−Cが挿入層の光学的パラメータ(幾何学的厚さ及び屈折率)を最適化し、従って透過される光の量を最適化し、第一及び第二輝度最大のそれぞれに対して高い点火電圧を回避できる電気的特性と適合しうる挿入層の厚さを保持しながら透過される光の量を最適化するために有機発光デバイスの第一有機層の幾何学的厚さを使用することを可能にすることを見出した。
【0166】
さらに、導電層と有機発光デバイスの有機部分の間の接触に対する誘電性(即ち、劣った導電性)の層の使用は、有機発光デバイスを製造しなければならない当業者の習慣的に受けた知識に逆行する。本発明者は、驚くべきことに、誘電性(即ち、劣った導電性)の材料の使用が挿入層(113)の形成のために除外される必要がないことを見出した。実際、もし挿入層が高すぎるオーム厚さを持つなら、使用の電圧は表Vに示すようにかなり増加する。
【0167】
表Vは、異なるタイプの電極(層の数、化学的性質及び層の厚さ)を有する透明基板の例、並びにこれらの基板が組み入れられる有機発光デバイスによって得られた電気的及び光学的性能の測定の結果を有する二つの欄を示す。有機発光デバイスの一般的な構造は上で記載された([0137])。例1Rは、Agの導電層(112)を有する建築的低放射積層構造に基づいた電極を含む透明基板である。それゆえ、例1Rは、OLEDのために最適化されていない電極を有するので、本発明に従っていない透明基板である。基板1Rの電極は標準化層(114)及び光透過を改良するための被覆(110)を有し、その光学的厚さは最適化されず、それゆえ以下の方程式に従う厚さ範囲外にある:

【0168】
例1Rでは、改良被覆(110)はバリヤー層(1100)を含み、それは改良層(1101)と合併され、この層は結晶層(1102)によって被覆される。さらに、結晶層(1102)と挿入層(113)は同じ性質を有する。これらの層はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られ、ZnSnは好ましくは最大95重量%の亜鉛を含む(亜鉛の重量百分率は層に存在する金属の全重量に対して表示される)。さらに、例1Rはまた、最適化されていない幾何学的厚さを有する挿入層(113)を示す。例2は、本発明に従わない電極を示す。この例では、改良被覆(2)は以下の方程式に従う光学的厚さを有し、これはバリヤー層(1100)を有し、それは改良層(1101)と合併され、この層は結晶層(1102)によって被覆される。

さらに、結晶層(1102)と挿入層(114)は同じ性質を有する。これらの層はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られ、ZnSnは好ましくは最大95重量%の亜鉛を含む(亜鉛の重量百分率は層に存在する金属の全重量に対して表示される)。例2の電気的特性が、比較例である例1Rに示されるものよりかなり高いことは明らかである。
【0169】

支持体(10)は、1.60mmに等しい幾何学的厚さを有する透明ガラスである。
【0170】
最後に、表VIは、挿入層の一定の幾何学的厚さにより、この層の抵抗を減少して使用の電圧を低下することができることを示す。実際、表VIは、本発明に従っているが挿入層を形成する化学化合物の性質に関して互いに異なる透明基板の例、並びにこれらの電極が組み入れられる有機発光デバイスによって得られた電気的及び光学的性能の測定の結果を有する三つの欄を示す。有機発光デバイスの一般的な構造は上で記載された([0137])。例1は、アルミニウムをドープされた酸化亜鉛(ZnO:Alの抵抗:10−4Ω*cm)から作られた導電層を含む挿入層を有する電極を持つ本発明による透明基板を示す。例2は、ZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られた導電性に劣る層を含む挿入層を有する電極を持つ本発明による透明基板を示し、ZnSnは好ましくは最大95重量%の亜鉛を含み、亜鉛の重量百分率は層中に存在する金属の全重量に対して表示される(ZnSnの抵抗:10−2Ω*cm)。例3は、二酸化チタンの誘電層を含む挿入層を有する電極を持つ本発明による透明基板を示す(TiOの抵抗:70×10Ω*cm)。
【0171】
100mAの電流レベルに到達するためには、付与される電圧が誘電材料から作られた層の場合より導電材料から作られた層を有する導電性挿入層の場合の方が低いことは明らかである。
【0172】

支持体(10)は、1.60mmに等しい幾何学的厚さを有する透明ガラスである。
【0173】
表VIIは、準白色光を放出する有機発光デバイスを示す。有機発光デバイスの一般的な構造は上で記載された([0138])。例1Rは、Agの導電層を有する建築的低放射積層構造に基づいた電極を含む透明基板である。例1Rは、標準化層(114)を有するOLEDのために最適化されていない電極を含む透明基板であり、そこでは改良被覆(110)の厚さは最適化されず、従って以下の方程式に従う厚さの範囲外にある:

【0174】
例1Rでは、改良被覆(110)はバリヤー層(1100)を含み、それは改良層(1101)と合併され、この層は結晶層(1102)によって被覆される。さらに、結晶層(1102)と挿入層(113)は同じ性質を有する。これらの層はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られ、ZnSnは好ましくは最大95重量%の亜鉛を含む(亜鉛の重量百分率は層に存在する金属の全重量に対して表示される)。例2及び3は、本発明に従う例を示す。これらの例では、改良被覆(2)は以下の方程式に従う光学的厚さを有し、これはバリヤー層(1100)を有し、それは改良層(1101)と合併され、この層は結晶層(1102)によって被覆される。

さらに、結晶層(1102)と挿入層(114)は同じ性質を有する。これらの層はZnSn(式中、x+y≧3及びz≦6)から作られ、ZnSnは好ましくは最大95重量%の亜鉛を含む(亜鉛の重量百分率は層に存在する金属の全重量に対して表示される)。さらに、例2は、微細な金属層を有しかつ光透過特性を改良するための被覆の有意な厚さを有する透明基板を特に示す。改良被覆のかかる厚さの利点は以下の通りである:
・一方で、それは、基板から来る汚染物質の移行、本ケースではガラス基板から生じるアルカリ性物質の移行によって前記層のいかなる混入に対しても金属導電層の良好な保護を可能にする、
・他方で、それは、金属導電層の形成のために使用される貴金属の使用を少なくすることができる。
【0175】
例3は、低い抵抗を有する導電層を得ることができる厚い銀層を有する透明基板を示す。
【0176】
例1R,2及び3による透明基板を組み込む準白色光を放出するデバイスのために得られた特性の比較は、以下のことを示す:
・本発明による基板を含むデバイスの耐用寿命は例1Rと比較すると長いだけでなく、同一の支持体(10)からなりかつ90nmに等しい幾何学的厚さを有するその上に配置されたITOの電極を持つ透明基板と比較しても長く、その耐用寿命は162時間に達する(表VIIに結果は示されていない)。
・厚い導電層を有する例3の表面抵抗(Ω/□)は例2及び1Rの表面抵抗(Ω/□)の少なくとも半分程度であり、この特性は、例えば金属格子のようないかなる導電性補強も使用せずに大きい寸法のデバイスを形成する可能性を与える。
・本発明による透明基板の例(例2及び3)を有する有機発光デバイスで達成された光学的性能レベルは、比較例1Rで得られるものより高い。実際、同じ光強度を得るために付与される電圧は例1Rより例2及び3の方が低い。
【0177】

支持体(10)は、1.60mmに等しい幾何学的厚さを有する透明ガラスである。
【0178】
電気的性能レベルは、2mA/cmの電流を得るための付与電圧(V)によって測定される。光学的性能レベルは、1000cd/m又は10000cd/mのいずれかの光強度を得るための付与電圧(V)によって測定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体(10)及び電極(11)を含むフォトニックデバイスのための透明基板(1)であって、前記電極(11)が単一の金属導電層(112)、及び前記電極を通る光透過を改良するための特性を有する少なくとも一つの被覆(110)を含む積層構造を含み、前記被覆(110)が、少なくとも3.0nmより大きくかつ最大でも200nmに等しいか又はそれより小さい幾何学的厚さを有し、前記被覆(110)が、光透過を改良するための少なくとも一つの層(1101)を含み、かつ金属導電層(112)と支持体(10)の間に位置され、支持体(10)の上に前記電極(11)が蒸着されているものにおいて、光透過を改良するための特性を有する被覆(110)の光学的厚さTD1と金属導電層(112)の幾何学的厚さTMEが以下の方程式によって関係づけられていることを特徴とする透明基板:

式中、TME_o,B及びTD1_oは定数であり、TME_oは10.0〜25.0nmの範囲の値を有し、Bは10.0〜16.5nmの範囲の値を有し、TD1_oは23.9*nD1〜28.3*nD1nmの範囲の値を有し、nD1は550nmの波長における光透過を改良するための被覆の屈折率を表わし、nsupportは550nmの波長における支持体の屈折率を表わす。
【請求項2】
支持体(10)が、550nmの波長において少なくとも1.2に等しい値の屈折率nsupportを有することを特徴とする請求項1に記載の透明基板。
【請求項3】
光透過を改良するための被覆(110)の屈折率が支持体(10)の屈折率より高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の透明基板。
【請求項4】
支持体(10)が550nmの波長において1.4〜1.6の範囲の屈折率を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明基板。
【請求項5】
金属導電層(112)の幾何学的厚さが少なくとも16.0nmに等しくかつ最大29.0nmに等しく、光透過を改良するための被覆(110)の幾何学的厚さが少なくとも20.0nmに等しくかつ最大40.0nmに等しいことを特徴とする請求項4に記載の透明基板。
【請求項6】
支持体が550nmにおいて1.5に等しい屈折率を有すること、及び金属導電層(112)の幾何学的厚さが少なくとも6.0nmに等しくかつ最大22.0nmに等しく、光透過を改良するための被覆(110)の幾何学的厚さが少なくとも50.0nmに等しくかつ最大130.0nmに等しいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明基板。
【請求項7】
電極が、少なくとも一つの追加の結晶層(1102)を含む光透過を改良するための被覆(110)を有し、支持体(10)に関して、前記結晶層(1102)が、前記被覆(110)を形成する積層構造からさらに離れた層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の透明基板。
【請求項8】
結晶層(1102)の幾何学的厚さが、光透過を改良するための被覆(110)の全幾何学的厚さの少なくとも7%に等しいことを特徴とする請求項7に記載の透明基板。
【請求項9】
電極(11)が、表面電気特性を標準化するための薄い層(114)を有し、それが、支持体(10)に関して前記電極(11)を形成する多層積層構造の上にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の透明基板。
【請求項10】
電極(11)が、金属導電層(112)と薄い標準化層(114)の間に位置された少なくとも一つの追加の挿入層(113)を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の透明基板。
【請求項11】
挿入層(113)の幾何学的厚さ(Ein)が、そのオーム厚さが最大1012オームに等しいようなものであり、オーム厚さが、挿入層を形成する材料の抵抗(ρ)とこの同じ層の幾何学的厚さ(l)の間の関係に等しく、挿入層の幾何学的厚さがさらに、方程式Eorg=Ein−Aによって有機発光デバイスの第一有機層の幾何学的厚さ(Eorg)に関連づけられ、「第一有機層」という用語は、挿入層と有機発光層の間に配置された全ての有機層を意味し、式中、Aは、5.0〜75.0nm、好ましくは20.0〜60.0nm、より好ましくは30.0〜45.0nmの範囲の値を有する定数であることを特徴とする請求項10に記載の透明基板。
【請求項12】
挿入層(113)の幾何学的厚さ(Ein)が、そのオーム厚さが最大1012オームに等しいようなものであり、オーム厚さが、挿入層を形成する材料の抵抗(ρ)とこの同じ層の幾何学的厚さ(l)の間の関係に等しく、挿入層の幾何学的厚さがさらに、方程式Eorg=Ein−Cによって有機発光デバイスの第一有機層の幾何学的厚さ(Eorg)に関連づけられ、「第一有機層」という用語は、挿入層と有機発光層の間に配置された全ての有機層を意味し、式中、Cは、150.0〜250.0nm、好ましくは160.0〜225.0nm、より好ましくは75.0〜205.0nmの範囲の値を有する定数であることを特徴とする請求項10に記載の透明基板。
【請求項13】
金属導電層(112)がその面の少なくとも一つの上に少なくとも一つの犠牲層(111a及び/又は111b)を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の透明基板。
【請求項14】
前記電極(11)が上に蒸着される支持体(10)が、電極(11)が上に蒸着される面とは反対の面の上に少なくとも一つの機能被覆(9)を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の透明基板。
【請求項15】
支持体側(10)の反射rsupportが、少なくとも28%に等しくかつ最大49%に等しい値を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の透明基板。
【請求項16】
以下の二つの段階で実施されることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の透明基板の製造方法:
− 光透過を改良するための特性を有する被覆(110)の支持体(10)の蒸着、
− 金属導電層(112)の蒸着直後にフォトニックシステムを形成する異なる機能要素の蒸着。
【請求項17】
以下の二つの段階で実施されることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の透明基板の製造方法:
− 電極(11)を通る光透過を改良するための特性を有する被覆(110)、金属導電層(112)、犠牲層(111b)、挿入層(113)の支持体(10)の蒸着、
− 標準化層(114)の蒸着直後のフォトニックシステムを形成する異なる機能要素の蒸着。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれかに記載の少なくとも一つの透明基板を含む有機発光デバイス。
【請求項19】
準白色光を放出する請求項18に記載の有機発光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2012−518261(P2012−518261A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−550580(P2011−550580)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052147
【国際公開番号】WO2010/094775
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(510191919)エージーシー グラス ユーロップ (27)
【Fターム(参考)】