説明

フォトマスク

【課題】
被露光基板の搬送方向の手前側と奥側の端部に2つの観察窓を形成し、それぞれの観察窓にアライメントマークを設けることによって、被露光パターンをそれぞれ二方向に配向して露光することができるフォトマスクを提供する。
【解決手段】
被露光基板の搬送方向Aと垂直な方向に一定の配列ピッチで形成されたマスクパターン11と、搬送方向Aの手前側端部に形成された第1観察窓12と、奥側端部に形成された第2観察窓13と、第1観察窓12及び第2観察窓13にそれぞれマスクパターン11の配列ピッチの整数倍に等しい間隔を有して前記垂直な方向に設けられた第1アライメントマーク14及び第2アライメントマーク15と、を含んで構成され、第2アライメントマーク15は、第1アライメントマーク14に対して前記垂直方向にマスクパターン11の配列ピッチの整数倍の寸法だけずらして形成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定方向に搬送されている被露光基板の表面に形成された被露光パターンに光を選択的に照射させるフォトマスクに関し、詳しくは、前記被露光基板の搬送方向の手前側と奥側の端部に2つの観察窓を形成し、それぞれの観察窓にアライメントマークを設けることによって、被露光パターンをそれぞれ二方向に配向して露光することができるフォトマスクに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフォトマスクは、被露光基板の搬送方向(以下単に「搬送方向」という。)と交差する方向に一定の配列ピッチで形成され、光を通過させる複数のマスクパターンと、被露光基板上に設けられた複数の被露光パターンの前記搬送方向と交差方向の配列ピッチの整数倍に等しい間隔を有して搬送方向に平行に形成された一対の細線を備えた構造をなし、複数のマスクパターンに対して搬送方向と反対方向に一定距離はなれた位置に形成された一つのアライメントマークと、を備えたものとなっていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他のフォトマスクとして、液晶素子のカラーフィルタの露光および配向膜の光配向等に適用するのに好適な、ストライプ状のマスクパターンが形成されたフォトマスクがあった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−216593号公報
【特許文献2】特開2008−164729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のフォトマスクにおいては、アライメントマークの搬送方向に平行な一対の細線間隔が被露光基板上に設けられた複数の被露光パターンの搬送方向と交差方向の配列ピッチの整数倍に等しいため、同種の基板の搬送方向と交差方向にオフセットした位置に光を照射する場合には、アライメントマークの上記一対の細線が基板上のパターンの搬送方向に平行な縁部と干渉して検出することが困難になり、アライメントマークの基準位置を正確に検出することができない場合があった。そのためフォトマスクの基板に対する追従性能が低下して基板上の目標位置に光を精度よく照射させることができないおそれがあった。
【0006】
特に、特許文献2に記載のフォトマスクにおいては、基板に形成されたパターンを二方向に配向して露光する場合、ストライプ状のパターンを搬送方向と交差方向にオフセットした位置で光を照射しなければならず、アライメントマークの基準位置を正確に検出することができなくなり、フォトマスクの基板に対する追従性能が低下して基板上の目標位置に光を精度よく照射させることができないおそれがあった。
【0007】
そのため、同一のフォトマスクによって二方向に配向して露光するのは困難であり、基板に形成された被露光パターンを二方向に配向して露光する場合には、それぞれの配向方向に応じて異なったフォトマスクを用意する必要があり手間がかかった。
【0008】
そこで、このような問題点に対処し、本発明が解決しようとする課題は、被露光パターンをそれぞれ二方向に配向して露光することができるフォトマスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、第1の発明によるフォトマスクは、一定方向に搬送されている被露光基板の表面に形成された被露光パターンに光を選択的に照射させるフォトマスクであって、前記被露光基板の搬送方向と交差する方向に一定の配列ピッチで形成され、光を通過させる複数のマスクパターンと、前記搬送方向の手前側端部に形成された第1観察窓と、前記マスクパターンを挟んで前記搬送方向の奥側端部に形成された第2観察窓と、前記第1観察窓に、前記搬送方向と交差する方向に前記マスクパターンの配列ピッチの整数倍に等しい間隔を有して設けられた第1アライメントマークと、前記第2観察窓に、前記搬送方向と交差する方向に前記マスクパターンの配列ピッチの整数倍に等しい間隔を有して設けられた第2アライメントマークと、を含んで構成され、前記第2アライメントマークは、前記第1アライメントマークに対して前記搬送方向と交差する方向に前記マスクパターンの配列ピッチの整数倍の寸法だけずらして形成されたものである。
【0010】
このような構成により、まず、第1観察窓に設けられた第1アライメントマークを検出しながら被露光基板を露光することにより、被露光基板の表面に形成された被露光パターンの一部を一方向に配向する。その後、向きを反転させたフォトマスクの第2観察窓に設けられた第2アライメントマークを検出しながら被露光基板を露光することにより、被露光パターンの一部又は全部を反対方向に配向する。
【0011】
また、前記マスクパターンの配列ピッチと前記被露光パターンの配列ピッチは同じ寸法とされ、前記被露光基板の搬送方向と交差する方向の前記マスクパターンの幅は、前記マスクパターンの配列ピッチの2分の1倍としたものである。これにより、まず、第1観察窓に設けられた第1アライメントマークを検出しながら被露光基板を露光することにより、被露光基板の表面に形成された被露光パターンの一部を一方向に配向する。その後、向きを反転させたフォトマスクの第2観察窓に設けられた第2アライメントマークを検出しながら被露光基板を露光することにより、被露光パターンのまだ配向されていない部分を反対方向に配向する。
【0012】
さらに、前記第1アライメントマーク及び第2アライメントマークは、前記マスクパターンの前記搬送方向に対して平行な縁部を含む直線上に設けられ、前記被露光基板を露光する場合、前記被露光パターンの前記搬送方向に対して交差する方向の中央部にアライメントされるものである。これにより、まず、第1観察窓に設けられた第1アライメントマークを検出しながら被露光基板を露光することにより、被露光基板の表面に形成された被露光パターンの片側(搬送方向に対する右側又は左側)半分を一方向に配向する。その後、向きを反転させたフォトマスクの第2観察窓に設けられた第2アライメントマークを検出しながら被露光基板を露光することにより、被露光パターンのまだ配向されていない反対側(搬送方向に対する左側又は右側)半分を反対方向に配向する。
【0013】
第2の発明によるフォトマスクは、一定方向に搬送されている被露光基板の表面に形成された被露光パターンに光を選択的に照射させるフォトマスクであって、前記被露光基板の搬送方向と交差する方向に一定の配列ピッチで形成され、光を通過させる複数のマスクパターンと、前記搬送方向の手前側端部に形成された第1観察窓と、前記第1観察窓に対して前記搬送方向奥側に隣り合って形成された第2観察窓と、前記第1観察窓に、前記搬送方向と交差する方向に前記マスクパターンの配列ピッチの整数倍に等しい間隔を有して設けられた第1アライメントマークと、前記第2観察窓に、前記搬送方向と交差する方向に前記マスクパターンの配列ピッチの整数倍に等しい間隔を有して設けられた第2アライメントマークと、を含んで構成され、前記第2アライメントマークは、前記第1アライメントマークに対して前記搬送方向と交差する方向に前記マスクパターンの配列ピッチの2分の1倍の寸法だけずらして形成されたものである。
【0014】
このような構成により、まず、第1観察窓に設けられた第1アライメントマークを検出しながら被露光基板を露光することにより、被露光基板の表面に形成された被露光パターンの一部を一方向に配向する。その後、フォトマスクを被露光基板の搬送方向と交差する方向にマスクパターンの搬送方向と交差する方向の配列ピッチの2分の1倍の寸法だけずらし、第2観察窓に設けられた第2アライメントマークを検出しながら被露光基板を露光することにより、被露光パターンのまだ配向されていない部分の一部又は全部を反対方向に配向する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、同一のフォトマスクを、向きを反転させて使用することにより、被露光基板の表面に形成された被露光パターンを二方向に配向することができる。したがって、二方向に露光するためのフォトマスクを同一のフォトマスクに共通化することができる。また、フォトマスクを共通化することができるため、フォトマスクの製造コストを低下させることができる。
【0016】
また、請求項2に係る発明によれば、被露光パターン全体を、重複や隙間を生じさせずに配向することができる。したがって、二重に配向された部分や、配向されていない部分が生じず、配向ムラを抑制することができる。
【0017】
さらに、請求項3に係る発明によれば被露光パターンを搬送方向に対して交差する方向に、2分の1の寸法ずつ配向することができる。したがって、被露光基板全体で被露光パターンの二方向への配向が均一になされ、配向ムラを抑制することができる。
【0018】
またさらに、請求項4に係る発明によれば、同一のフォトマスクを搬送方向と交差する方向にずらして使用することにより、被露光パターンを二方向に配向することができる。したがって、二方向に露光するためのフォトマスクを同一のフォトマスクに共通化することができる。また、フォトマスクを共通化することができるため、フォトマスクの製造コストを低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の発明によるフォトマスクの実施形態を示す概略図である。
【図2】前記フォトマスクの一部を拡大して示す部分拡大図であって、(a)は第1アライメントマークの周辺部分を示し、(b)は第2アライメントマークの周辺部分を示す部分拡大図である。
【図3】第1の発明及び第2の発明によるフォトマスクによって被露光基板を二方向に配向する露光装置の概略図である。
【図4】前記フォトマスクに対して被露光基板がアライメントされた状態を示す部分拡大図である。
【図5】前記フォトマスクにより被露光基板を露光している状態を示す部分拡大図である。
【図6】前記露光により一方向へ配向された被露光基板を示す部分拡大図である。
【図7】図4に示すフォトマスクを反転したものに対して被露光基板がアライメントされた状態を示す部分拡大図である。
【図8】前記フォトマスクにより被露光基板を露光している状態を示す部分拡大図である。
【図9】二方向へ配向された被露光基板を示す部分拡大図である。
【図10】第2の発明によるフォトマスクの実施形態を示す概略図である。
【図11】前記フォトマスクの一部を拡大して示す部分拡大図である。
【図12】前記フォトマスクに対して被露光基板がアライメントされた状態を示す部分拡大図である。
【図13】前記フォトマスクにより被露光基板を露光している状態を示す部分拡大図である。
【図14】被露光基板の搬送方向と交差する方向にマスクパターンの配列ピッチの2分の1の寸法だけずらして配置された前記フォトマスクに対して被露光基板がアライメントされた状態を示す部分拡大図である。
【図15】前記フォトマスクにより被露光基板を露光している状態を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、第1の発明によるフォトマスク1の実施形態を示す概略図である。このフォトマスク1は、液晶画面に使用されるカラーフィルタ基板などの被露光基板2(図4参照)を一定方向に搬送しながら露光する際に、前記被露光基板2の表面に形成された例えば赤、緑、青の各色のピクセルなどの被露光パターン21に選択的に露光光を照射させるためのものであり、図1に示すように、マスクパターン11と、第1観察窓12と、第2観察窓13と、第1アライメントマーク14と、第2アライメントマーク15と、を含んで構成される。
【0021】
前記マスクパターン11は、露光光源から照射された露光光を通過させ、被露光基板2の表面に選択的に照射させるためのものであり、被露光基板2の搬送方向A(以下単に「搬送方向A」という)と交差する方向、すなわち搬送方向Aと垂直な方向(以下単に「幅方向」という)に一定の配列ピッチで複数形成されると共に、前記搬送方向Aに沿って一定の配列ピッチで1つ又は複数形成され、全体としてマトリックス状に形成されている。各マスクパターン11の形状は、前記搬送方向Aと平行な短辺及び幅方向に平行な長辺とからなる略長方形であり、図2に示すように、この幅方向に平行な長辺の寸法Wは、幅方向の前記配列ピッチの2分の1とされている。この幅方向の配列ピッチPは、図4に示すように、後述する被露光基板2の表面に形成された被露光パターン21の幅方向の配列ピッチPと同じ寸法とされているが、被露光パターン21の幅方向の配列ピッチPの2分の1倍や3分の1倍などの整数分の1倍としてもよく、用途に応じて任意に選択すればよい。また、マスクパターン11の搬送方向Aに沿った配列ピッチPは、図5に示すように、後述する被露光パターン21の搬送方向Aの配列ピッチPと同じ寸法とされているが、被露光パターン21の搬送方向Aの配列ピッチPの2倍や3倍などの整数倍としてもよく、用途に応じて任意に選択すればよい。例えば、マスクパターン11の搬送方向Aの配列ピッチPが被露光パターン21の搬送方向Aの配列ピッチPよりも長くなるように形成し、搬送方向Aに長い長方形のマスクパターン11を幅方向に一定の配列ピッチPで設けることとしてもよい。
また、このマスクパターン11は、搬送方向Aと交差する方向に等間隔に一定の配列ピッチで複数形成されると共に、搬送方向Aに沿って1つ形成されることにより、全体としてストライプ状に形成されてもよい。
【0022】
図1に示すように、前記フォトマスク1の搬送方向Aの手前側端部には、第1観察窓12が設けられている。この第1観察窓12は、後述する撮像手段によって、その下方を通過する被露光基板2を撮像するためのもので、被露光基板2が搬送されてくる側であるフォトマスク1の手前側の端部(図1における下側端部)に形成されており、幅方向に長い長方形に形成されている。この第1観察窓12は、撮像手段によってその下方を通過する被露光基板2を撮像可能となっており、その形状は長方形に限られず、正方形や楕円形としてもよい。
【0023】
前記第1観察窓12には、図2(a)に示すように、第1アライメントマーク14が設けられている。この第1アライメントマーク14は、撮像手段によって撮像してその下方を通過する被露光基板2をアライメントするためのもので、搬送方向Aと平行な細線からなり、前記マスクパターン11の搬送方向Aに対して平行な縁部(短辺)を含む直線上に、前記マスクパターン11の幅方向の配列ピッチと等しい間隔を有して幅方向に3本形成されている。この第1アライメントマーク14間の間隔は、前記マスクパターン11の幅方向の配列ピッチPの整数倍としてもよく、用途に応じて任意の間隔を選択すればよい。また、この第1アライメントマーク14は、図4に示すように、被露光基板2を露光する際、フォトマスク1の上方に設けられた撮像手段によって撮像され、フォトマスク1の下方を通過する被露光基板2の表面に形成された被露光パターン21の幅方向の中央部にアライメントされる。
なお、第1アライメントマーク14の形状は細線に限られず、撮像手段により撮像してアライメント可能な形状であればよく、例えば十字線やドットなどから選択すればよい。また設ける個数も用途に応じて任意であり、例えば1つ設けることとしてもよい。また、この3本で形成されるアライメントマーク14は、1箇所に限らず、等ピッチで複数個所に設置してもよい。
【0024】
さらに、図1に示すように、前記フォトマスク1の第1観察窓12と前記マスクパターン11を挟んで搬送方向Aの奥側端部には、第2観察窓13が設けられている。この第2観察窓13は、撮像手段によって、その下方を通過する被露光基板2を撮像するためのもので、被露光基板2が搬出されていく側であるフォトマスク1の奥側の端部(図1における上側端部)に形成されており、第1観察窓12と同一の形状に形成されている。この第2観察窓13は、撮像手段によってその下方を通過する被露光基板2を撮像可能となっており、その形状は第1観察窓12と異なる形状であってもよい。
この第2観察窓13を使用して被露光基板2を露光する際には、フォトマスク1の前後(搬送方向Aの手前側と奥側)を反転させて使用するため、図7に示すように、第2観察窓13が搬送方向A手前側にくることとなる。
【0025】
前記第2観察窓13には、図2(b)に示すように、第2アライメントマーク15が設けられている。この第2アライメントマーク15は、撮像手段によって撮像してその下方を通過する被露光基板2をアライメントするためのもので、搬送方向Aと平行な細線からなり、前記マスクパターン11の搬送方向Aに対して平行な縁部(短辺)を含む直線上に、前記マスクパターン11の幅方向の配列ピッチPと等しい間隔を有して幅方向に3本形成されている。この第2アライメントマーク15間の間隔は、前記マスクパターン11の幅方向の配列ピッチPの整数倍としてもよく、用途に応じて任意の間隔を選択すればよい。また、この第2アライメントマーク15は、図7に示すように、被露光基板2を露光する際、フォトマスク1の上方に設けられた撮像手段によって撮像され、フォトマスク1の下方を通過する被露光基板2の表面に形成された被露光パターン21の幅方向の中央部にアライメントされる。
なお、第2アライメントマーク15の形状は細線に限られず、撮像手段により撮像してアライメント可能な形状であればよく、例えば十字線やドットなどから選択すればよい。また設ける個数も用途に応じて任意であり、例えば1つ設けることとしてもよい。また、この3本で形成されるアライメントマーク15は、1箇所に限らず、等ピッチで複数個所に設置してもよい。
【0026】
ここで、本発明において、図1に示すように、第2アライメントマーク15は、第1アライメントマーク14が含まれる直線上に形成されている。この第2アライメントマーク15は、第1アライメントマーク14に対して、マスクパターン11の幅方向の配列ピッチPの1倍や2倍などの整数倍の寸法だけ、幅方向にずらして形成されてもよい。
【0027】
次に、このように構成されたフォトマスク1の使用状態について、図3〜図9を参照して説明する。
まず、図3に示すように、被露光基板2は、搬送方向Aに搬送されながら第1ステージ32a上で、第1露光装置3aによって搬送方向Aに配向される。この第1露光装置3aは、被露光パターン21及び第1アライメントマーク14を撮像する第1撮像手段31aと、露光光Lを照射する露光光源(図示省略)と、被露光基板2を搬送する搬送手段(図示省略)と、第1の発明によるフォトマスク1と、このフォトマスク1の位置をアライメントするアライメント手段(図示省略)と、を含んで構成される。第1露光装置3aにおいて、フォトマスク1は、第1観察窓12が搬送方向Aの手前側にくるように設置されており、フォトマスク1の上方に設けられた露光光源から照射された露光光Lをマスクパターン11の部分だけ通過させ、フォトマスク1の下方を通過する被露光基板2の被露光パターン21に選択的に照射させて配向する。
【0028】
図4に示すように、被露光基板2を搬送方向Aに配向する際、まず、搬送手段によって搬送された被露光基板2は、被露光基板2の表面に形成された被露光パターン21とフォトマスク1の第1観察窓12とが上下に重なる位置で、当該重なった部分を第1撮像手段31aにより上方から撮像される。第1撮像手段31aにより撮像された画像情報に基づいて、第1アライメントマーク14と被露光パターン21の幅方向の中央部との幅方向のずれが検出され、このずれをなくすように、アライメント手段がフォトマスク1を幅方向に移動し、フォトマスク1を被露光基板2に対してアライメントする。
【0029】
フォトマスク1がアライメントされた状態で被露光基板2がさらに搬送されると、図5に示すように、被露光パターン21は、マスクパターン11の下方を通過する際に、露光光源からの露光光Lを照射され、搬送方向Aに対して一方側半分(図5における左側)が露光される。フォトマスク1のアライメントは、被露光パターン21と第1観察窓12とが上下に重なる位置にくるたびに順次行われているため、フォトマスク1は常に被露光基板2に対してアライメントされた状態となる。したがって、被露光パターン21の正確な位置に露光することができる。上記操作を被露光基板2がフォトマスク1の下方を通過し終わるまで繰り返すと、図6に示すように、被露光基板2の被露光パターン21は、それぞれ搬送方向Aに対して一方側半分(図6における左側)が露光され、搬送方向Aに配向された状態となる。
【0030】
次に、図3に示すように、第1ステージ32a上での露光を終了した被露光基板2は、搬送方向Aに搬送されながら第2ステージ32b上で、第2露光装置3bによって搬送方向Aと反対方向に配向される。この第2露光装置3bは、前記第1露光装置3aと略同様の構成である。第2露光装置3bにおいて、フォトマスク1は、図7に示すように、第2観察窓13が搬送方向Aの手前側にくるように、すなわち第1露光装置3aにおけるフォトマスク1を水平方向に反転させた状態で設置されている。
【0031】
図7に示すように、被露光基板2を搬送方向Aと反対方向に配向する際、まず、搬送手段によって搬送された被露光基板2は、被露光基板2の表面に形成された被露光パターン21とフォトマスク1の第2観察窓13とが上下に重なる位置で、当該重なった部分を第2撮像手段31bにより上方から撮像される。第2撮像手段31bにより撮像された画像情報に基づいて、第2アライメントマーク15と被露光パターン21の幅方向の中央部との幅方向のずれが検出され、このずれをなくすように、アライメント手段がフォトマスク1を幅方向に移動し、フォトマスク1を被露光基板2に対してアライメントする。
【0032】
フォトマスク1がアライメントされた状態で被露光基板2がさらに搬送されると、図8に示すように、被露光パターン21は、マスクパターン11の下方を通過する際に、露光光源からの露光光を照射され、搬送方向Aに対して他方側半分(図8における右側)が露光される。フォトマスク1のアライメントは、被露光パターン21と第2観察窓13とが上下に重なる位置にくるたびに順次行われているため、フォトマスク1は常に露光基板に対してアライメントされた状態となる。したがって、被露光パターン21の正確な位置に露光することができる。上記操作を被露光基板2がフォトマスク1の下方を通過し終わるまで繰り返すと、図9に示すように、被露光基板2の被露光パターン21は、それぞれ搬送方向Aに対して他方側半分(図9における右側)が露光され、搬送方向Aと反対方向に配向された状態となる。
【0033】
以上のように、第1の発明によるフォトマスク1を、向きを反転させて使用することにより、被露光基板2の表面に形成された被露光パターン21を二方向に配向することができる。したがって、二方向に露光するためのフォトマスク1を同一のフォトマスク1に共通化することができる。また、フォトマスク1を共通化することができるため、フォトマスク1の製造コストを低下させることができる。さらに、マスクパターン11の幅方向の配列ピッチPと被露光パターン21の幅方向の配列ピッチPは同じ寸法とされ、幅方向のマスクパターン11の幅Wは、マスクパターン11の幅方向の配列ピッチPの2分の1倍であるため、被露光パターン21全体を、重複や隙間を生じさせずに配向することができる。したがって、二重に配向された部分や、配向されていない部分が生じず、配向ムラを抑制することができる。またさらに、第1アライメントマーク14及び第2アライメントマーク15は、マスクパターン11の搬送方向Aに対して平行な縁部(短辺)を含む直線上に設けられ、被露光基板2を露光する際、被露光パターン21の幅方向の中央部にアライメントされるため、被露光パターン21を幅方向に、半分(2分の1の寸法)ずつ配向することができる。したがって、被露光基板2全体で被露光パターン21の二方向への配向が均一になされ、配向ムラを抑制することができる。
なお、搬送方向Aへの配向及び搬送方向Aと反対方向への配向は、それぞれ複数ステージに渡って行われてもよい。
【0034】
図10は、第2の発明によるフォトマスク1の実施形態を示す概略図である。このフォトマスク1は、第1の発明によるフォトマスク1と同一の目的で使用するものであり、マスクパターン11と、第1観察窓12と、第2観察窓13と、第1アライメントマーク14と、第2アライメントマーク15と、を含んで構成され、第1の発明によるフォトマスク1と基本的に同様に構成されている。第2の発明によるフォトマスク1が第1の発明によるフォトマスク1と異なる点は、第2観察窓13が第1観察窓12に対して搬送方向A奥側に隣り合って形成された点と、第2アライメントマーク15が第1アライメントマーク14に対して幅方向に、マスクパターン11の幅方向の配列ピッチPの2分の1倍の寸法だけずらして形成された点である。
【0035】
図10に示すように、前記フォトマスク1の手前側の端部(図10における下側端部)には、撮像手段によって、その下方を通過する被露光基板2を撮像するための第1観察窓12が、図1に示すのと同様に設けられている。
【0036】
そして、図10に示すように、この第2観察窓13は、前記第1観察窓12に対して搬送方向Aの奥側に隣り合って形成されており、第1観察窓12と同一の形状に形成されている。この第2観察窓13に形成された第2アライメントマーク15の構成は、第1の発明によるフォトマスク1の第2アライメントマーク15の構成と、以下に記載の構成を除き同様である。
なお、この第2観察窓13を使用して被露光基板2を露光する際には、フォトマスク1の前後(搬送方向A手前側と奥側)を反転させない。
【0037】
ここで、本発明において、図11に示すように、第2アライメントマーク15は、第1アライメントマーク14に対してマスクパターン11の幅方向の配列ピッチPの2分の1倍の寸法だけ、すなわち、マスクパターン11の幅Wだけ、幅方向にずらして形成されている。この第2アライメントマーク15は、第1アライメントマーク14に対してマスクパターン11の幅方向の配列ピッチPの2分の1倍の寸法の奇数倍、例えば2分の3倍や2分の5倍の寸法だけ、幅方向にずらして形成されてもよい。
【0038】
次に、このように構成されたフォトマスク1の使用状態について、図6,9,12〜15を参照して説明する。
まず、図3に示すように、被露光基板2は、搬送方向Aに搬送されながら第1ステージ32a上で、第1露光装置3aによって搬送方向Aに配向される。この第1露光装置3aは、第1の発明において説明した露光装置と同様の構成である。
【0039】
図12に示すように、被露光基板2を搬送方向Aに配向する際、まず、搬送手段によって搬送された被露光基板2は、被露光基板2の表面に形成された被露光パターン21とフォトマスク1の第1観察窓12とが上下に重なる位置で、当該重なった部分を第1撮像手段31aにより上方から撮像される。第1撮像手段31aにより撮像された画像情報に基づいて、第1アライメントマーク14と被露光パターン21の幅方向の中央部との幅方向のずれが検出され、このずれをなくすように、アライメント手段がフォトマスク1を幅方向に移動し、フォトマスク1を被露光基板2に対してアライメントする。
【0040】
フォトマスク1がアライメントされた状態で被露光基板2がさらに搬送されると、図13に示すように、被露光パターン21は、マスクパターン11の下方を通過する際に、露光光源からの露光光Lを照射され、搬送方向Aに対して一方側半分(図13における左側)が露光される。フォトマスク1のアライメントは、被露光パターン21と第1観察窓12とが上下に重なる位置にくるたびに順次行われているため、フォトマスク1は常に被露光基板2に対してアライメントされた状態となる。したがって、被露光パターン21の正確な位置に露光することができる。上記操作を被露光基板2がフォトマスク1の下方を通過し終わるまで繰り返すと、図6に示すように、被露光基板2の被露光パターン21は、それぞれ搬送方向Aに対して一方側半分(図6における左側)が露光され、搬送方向Aに配向された状態となる。
【0041】
次に、図3に示すように、第1ステージ32a上での露光を終了した被露光基板2は、搬送方向Aに搬送されながら第2ステージ32b上で、第2露光装置3bによって搬送方向Aと反対方向に配向される。この第2露光装置3bは、前記第1露光装置3aと略同様の構成である。第2露光装置3bにおいて、フォトマスク1は、図14に示すように、第2観察窓13が搬送方向Aの手前側にくるように、すなわち第1露光装置3aにおけるフォトマスク1と同じ方向で、マスクパターン11の幅方向の配列ピッチPの2分の1倍の寸法だけ幅方向にずらして設置されている。
【0042】
図14に示すように、被露光基板2を搬送方向Aと反対方向に配向する際、まず、搬送手段によって搬送された被露光基板2は、被露光基板2の表面に形成された被露光パターン21とフォトマスク1の第2観察窓13とが上下に重なる位置で、当該重なった部分を第2撮像手段31bにより上方から撮像される。第2撮像手段31bにより撮像された画像情報に基づいて、第2アライメントマーク15と被露光パターン21の幅方向の中央部との幅方向のずれが検出され、このずれをなくすように、アライメント手段がフォトマスク1を幅方向に移動し、フォトマスク1を被露光基板2に対してアライメントする。
【0043】
フォトマスク1がアライメントされた状態で被露光基板2がさらに搬送されると、図15に示すように、被露光パターン21は、マスクパターン11の下方を通過する際に、露光光源からの露光光Lを照射され、搬送方向Aに対して他方側半分(図15における右側)が露光される。フォトマスク1のアライメントは、被露光パターン21と第2観察窓13とが上下に重なる位置にくるたびに順次行われているため、フォトマスク1は常に被露光基板2に対してアライメントされた状態となる。したがって、被露光パターン21の正確な位置に露光することができる。上記操作を被露光基板2がフォトマスク1の下方を通過し終わるまで繰り返すと、図9に示すように、被露光基板2の被露光パターン21は、それぞれ搬送方向Aに対して他方側半分(図9における右側)が露光され、搬送方向Aと反対方向に配向された状態となる。
【0044】
以上のように、第2の発明によるフォトマスク1を、幅方向にマスクパターン11の幅方向の配列ピッチPの2分の1の寸法だけ幅方向にずらして使用することにより、被露光基板2の表面に形成された被露光パターン21を二方向に配向することができる。したがって、二方向に露光するためのフォトマスク1を同一のフォトマスク1に共通化することができる。また、フォトマスク1を共通化することができるため、フォトマスク1の製造コストを低下させることができる。さらに、マスクパターン11の配列ピッチPと被露光パターン21の配列ピッチPは同じ寸法とされ、幅方向のマスクパターン11の幅Wは、マスクパターン11の幅方向の配列ピッチPの2分の1倍であるため、被露光パターン21全体を、重複や隙間を生じさせずに配向することができる。したがって、二重に配向された部分や、配向されていない部分が生じず、配向ムラを抑制することができる。またさらに、第1アライメントマーク14及び第2アライメントマーク15は、マスクパターン11の搬送方向Aに対して平行な縁部を含む直線上に設けられ、被露光基板2を露光する際、被露光パターン21の幅方向の中央部にアライメントされるため、被露光パターン21を幅方向に、半分(2分の1の寸法)ずつ配向することができる。したがって、被露光基板2全体で被露光パターン21の二方向への配向が均一になされ、配向ムラを抑制することができる。
なお、搬送方向Aへの配向及び搬送方向Aと反対方向への配向は、それぞれ複数ステージに渡って行われてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…フォトマスク
11…マスクパターン
12…第1観察窓
13…第2観察窓
14…第1アライメントマーク
15…第2アライメントマーク
2…被露光基板
21…被露光パターン
3a…第1露光装置
3b…第2露光装置
31a…第1撮像手段
31b…第2撮像手段
32a…第1ステージ
32b…第2ステージ
A…被露光基板の搬送方向
L…露光光
…マスクパターンの幅方向の配列ピッチ
…被露光基板の幅方向の配列ピッチ
…マスクパターンの搬送方向の配列ピッチ
…被露光基板の搬送方向の配列ピッチ
W…マスクパターンの幅方向の幅


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定方向に搬送されている被露光基板の表面に形成された被露光パターンに光を選択的に照射させるフォトマスクであって、
前記被露光基板の搬送方向と交差する方向に一定の配列ピッチで形成され、光を通過させる複数のマスクパターンと、
前記搬送方向の手前側端部に形成された第1観察窓と、
前記マスクパターンを挟んで前記搬送方向の奥側端部に形成された第2観察窓と、
前記第1観察窓に、前記搬送方向と交差する方向に前記マスクパターンの配列ピッチの整数倍に等しい間隔を有して設けられた第1アライメントマークと、
前記第2観察窓に、前記搬送方向と交差する方向に前記マスクパターンの配列ピッチの整数倍に等しい間隔を有して設けられた第2アライメントマークと、
を含んで構成され、
前記第2アライメントマークは、前記第1アライメントマークに対して前記搬送方向と交差する方向に前記マスクパターンの配列ピッチの整数倍の寸法だけずらして形成されたことを特徴とするフォトマスク。
【請求項2】
前記マスクパターンの配列ピッチと前記被露光パターンの配列ピッチは同じ寸法とされ、
前記搬送方向と交差する方向の前記マスクパターンの幅は、前記マスクパターンの配列ピッチの2分の1倍であることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスク。
【請求項3】
前記第1アライメントマーク及び第2アライメントマークは、前記マスクパターンの前記搬送方向に対して平行な縁部を含む直線上に設けられ、前記被露光基板を露光する際、前記被露光パターンの前記搬送方向に対して交差する方向の中央部にアライメントされることを特徴とする請求項2に記載のフォトマスク。
【請求項4】
一定方向に搬送されている被露光基板の表面に形成された被露光パターンに光を選択的に照射させるフォトマスクであって、
前記被露光基板の搬送方向と交差する方向に一定の配列ピッチで形成され、光を通過させる複数のマスクパターンと、
前記搬送方向の手前側端部に形成された第1観察窓と、
前記第1観察窓に対して前記搬送方向奥側に隣り合って形成された第2観察窓と、
前記第1観察窓に、前記搬送方向と交差する方向に前記マスクパターンの配列ピッチの整数倍に等しい間隔を有して設けられた第1アライメントマークと、
前記第2観察窓に、前記搬送方向と交差する方向に前記マスクパターンの配列ピッチの整数倍に等しい間隔を有して設けられた第2アライメントマークと、
を含んで構成され、
前記第2アライメントマークは、前記第1アライメントマークに対して前記搬送方向と交差する方向に前記マスクパターンの配列ピッチの2分の1倍の寸法だけずらして形成されたことを特徴とするフォトマスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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