説明

フォトレジスト及びこれを用いるプリント基板の製造方法

【課題】回路との化学的結合を増大させて密着力を高めるフォトレジスト、及びこのフォトレジストを用いて高密度の微細回路を形成するプリント基板の製造方法を提供する。
【解決手段】フォトレジスト100は、第1感光性樹脂層101及び第1感光性樹脂層101上に形成された第2感光性樹脂層102を含み、第1感光性樹脂層101が酸作用基を持つ感光性高分子化合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジスト及びこれを用いるプリント基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子の集積化によって、微細パターン形成技術に対する要求が増大しており、プリント基板の回路形成にフォトレジストが用いられている。
【0003】
以下、図1及び図2に基づいて、従来技術によるフォトレジスト10を概略的に説明する。
【0004】
図1は、ロール状に巻かれているフォトレジスト10を示す斜視図、図2は、フォトレジスト10の層構造を示すために図式化した断面図である。
【0005】
図1及び図2を参照すれば、フォトレジスト10は、感光性樹脂層12と、感光性樹脂層12の外層に備えられ、感光性樹脂層12を保護する機能をする保護層13と、感光性樹脂層12を支持し、現像前まで感光性樹脂層12を保護する支持層11とを含む。
【0006】
前記フォトレジストとしては、現在、支持フィルム層に感光性樹脂をコートし、乾燥させた後、保護フィルムを積層してなるドライフィルムが広く使われている。特に、微細パターンの形成のために解像力に優れたドライフィルムが使われるが、通常、ドライフィルムは、25〜30μm程度と厚く、ドライフィルムの上部領域と下部領域の硬化時間差及び現像時間差によって、微細回路の具現が難しい問題点がある。
【0007】
これにより、露光の際、ドライフィルムの上部と下部に加わる光の強度が異なり、上部はドライフィルムが多く現像され、下部は少なく現像されることにより、台形のスロープ(slope)状のパターンが形成されることになる。すなわち、上下の線幅差が1.5μm以上発生するため、微細回路の具現に限界を持つものになる。また、回路用金属層表面の粗さ状態によって、ドライフィルムの密着水準も限界に至っている。このような現象は、ドライフィルムの厚さが厚いほど酷くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、前述した従来技術の問題点を解決するためになされたもので、回路との化学的結合を増大させて密着力を高めることができるフォトレジストを提供することにその目的がある。
【0009】
本発明の他の目的は、前記フォトレジストを用いて高密度の微細回路を形成することができるプリント基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の好適な一実施形態によれば、第1感光性樹脂層;及び前記第1感光性樹脂層上に形成された第2感光性樹脂層;を含み、前記第1感光性樹脂層が酸作用基を持つ感光性高分子化合物を含むフォトレジストを提供する。
【0011】
前記酸作用基は、ヒドロキシル基またはカルボキシル基であってもよい。
【0012】
前記酸作用基を持つ感光性高分子化合物は、−C−O−C−結合基を持つことができる。
【0013】
前記第2感光性樹脂層が酸作用基を持つ感光性高分子化合物を含み、前記第1感光性樹脂層に比べて低濃度で前記化合物を含むことができる。
【0014】
前記第1感光性樹脂層の厚さは、前記第2感光性樹脂層の厚さの1〜25%であってもよい。
【0015】
前記フォトレジストは、前記第1感光性樹脂層の外層に保護層をさらに含み、前記第2感光性樹脂層の外層に支持層をさらに含むことができる。
【0016】
前記保護層は、ポリエチレン(PE)を含むことができる。
【0017】
前記支持層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことができる。
【0018】
また、前記目的を達成するために、本発明の好適な他の実施例によれば、回路金属層を持つベース基板を提供する段階;請求項1によるフォトレジストを準備する段階;前記フォトレジストの第1感光性樹脂層を内層として前記フォトレジストを前記金属層上に積層する段階;前記フォトレジストをパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階;前記フォトレジストパターンをレジストとして前記金属層をエッチングして回路パターンを形成する段階;及び前記フォトレジストパターンを除去する段階;を含むプリント基板の製造方法を提供する。
【0019】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に基づいた以降の詳細な説明から、より明らかになるであろう。
【0020】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は、通常的で辞書的な意味に解釈されてはいけなく、発明者がその自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって、本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されなければならない。
【発明の効果】
【0021】
本発明の好適な一実施形態によれば、フォトレジストの感光性樹脂層を第1感光性樹脂層と第2感光性樹脂層で構成し、前記第1感光性樹脂層に酸作用基を持つ感光性高分子化合物を含ませることで、回路用金属層との化学的結合を増加させることにより、物理的結合なしにも密着安全性を確保することができる。
【0022】
本発明の好適な他の実施形態によれば、フォトレジストの感光性樹脂層を第1感光性樹脂層と第2感光性樹脂層で構成し、第1感光性樹脂層に比べて第2感光性樹脂層に含有される酸作用基を持つ感光性高分子化合物の含有量を少なく調節することで、フォトレジストの上下の酸作用基含量の差によって、現像速度を調節することにより、相対的に厚いフォトレジストを適用する場合にも高解像度のパターンを具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来技術の一実施例によるフォトレジストを説明するために概略的に示す斜視図である。
【図2】従来技術の一実施例によるフォトレジストを説明するために概略的に示す断面図である。
【図3】本発明の好適な一実施例によるフォトレジストを説明するために概略的に示す断面図である。
【図4】本発明の好適な一実施例によるフォトレジストを用いてプリント基板を製造する方法を説明するために概略的に示す工程図(1)である。
【図5】本発明の好適な一実施例によるフォトレジストを用いてプリント基板を製造する方法を説明するために概略的に示す工程図(2)である。
【図6】本発明の好適な一実施例によるフォトレジストを用いてプリント基板を製造する方法を説明するために概略的に示す工程図(3)である。
【図7】本発明の好適な一実施例によるフォトレジストを用いてプリント基板を製造する方法を説明するために概略的に示す工程図(4)である。
【図8】本発明の好適な一実施例によるフォトレジストを用いてプリント基板を製造する方法を説明するために概略的に示す工程図(5)である。
【図9】実施例によるフォトレジストパターンの形状を示すイメージ写真である。
【図10】比較例によるフォトレジストパターンの形状を示すイメージ写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的、特定の利点及び新規の特徴は、添付図面を参照する以下の詳細な説明及び好適な実施例から一層明らかに理解可能であろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるにあたり、同じ構成要素がたとえ他の図面に図示されていても、できるだけ同じ符号を付けることにする。本発明の説明において、本発明の要旨を不要にあいまいにすることができると判断される場合、その詳細な説明は省略する。本明細書において、“第1”、“第2”などの用語は、ある構成要素を他の構成要素と区別するために使用したもので、構成要素が前記用語に制限されるものではない。
【0025】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0026】
(フォトレジスト)
図3は、本発明の好適な一実施形態によるフォトレジストを説明するために概略的に示す断面図である。
【0027】
図3を参照すれば、フォトレジスト100は、第1感光性樹脂層101及び第1感光性樹脂層101に形成された第2感光性樹脂層102を含み、第1感光性樹脂層101が酸作用基を持つ感光性高分子化合物を含む。
【0028】
本発明においては、後続のプリント基板の回路形成工程で回路用金属層に接して積層される第1感光性樹脂層101に親水性の高い感光性高分子化合物を含ませることで、回路用金属層、例えば、Cu表面との化学的結合性を増大させる。
【0029】
これにより、回路金属層の表面粗さを用いて物理的に密着力を確保するものではなく、金属表面とフォトレジスト表面間の化学的結合を用いる。よって、基板製作の際、回路形成工程において回路用金属層表面及びビルドアップ層を持つ外層工程で表面粗度の低い回路を具現する場合、物理的結合なしに化学的結合だけでフォトレジストの密着力確保が可能である。
【0030】
密着力を高める方法として、積層のための熱処理の際及び/または紫外線のような通常の光照射の際、第1感光性樹脂層101でのラジカル反応によって重合(Polymerization)反応が起こるもので、従来の単層で形成されているフォトレジストとは、明らかに違う。
【0031】
前記第1感光性樹脂層101は、回路用金属層の表面活性を高める触媒の機能をするもので、厚さが約1000Å〜数千Åで、厚さによって化学反応を引き起こす触媒反応を制御することができる。
【0032】
ここで、前記酸作用基を持つ感光性高分子化合物の酸作用基は、ヒドロキシル基またはカルボキシル基であることが好ましい。
【0033】
また、前記酸作用基を持つ感光性高分子化合物は、化合物内に−C−O−C−結合基を持つことで、ヒドロキシルキュア(hydroxyl cure)構造で構造内エーテル結合を増加させて耐薬品性及び可塑性を高めることができる。
【0034】
例えば、前記酸作用基を持つ感光性高分子化合物は、下記反応式1で示すように、エポキシ化合物(a)とヒドロキシル化合物(b)との反応によって合成されるヒドロキシルキュア構造の化合物(c)であることが好ましい。
【0035】
【化1】

【0036】
前記反応式1で、R及びRは、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基である。
【0037】
ただ、前記酸作用基を持つ感光性高分子化合物は、前記反応式1から得られる化合物に限定されるものではない。
【0038】
前記第1感光性高分子樹脂層101には、前述した酸作用基を持つ感光性高分子化合物の外に、バインダーポリマーのような通常の接着剤成分を含むことができる。
【0039】
前記第2感光性高分子樹脂層102は、解像度及び柔軟性を向上させるための層である。
【0040】
前記第2感光性高分子樹脂層102には、通常のフォトレジストにおいて感光性樹脂層に使われる二重結合を持つ光重合性単量体、光重合性開始剤、バインダーポリマー及び顔料のような添加剤などを特別な制限なしに含むことができる。前記光重合性単量体としては、アルキレートモノマーなどを含み、前記バインダーポリマーとしては、親水性バインダーポリマーを含むことができる。
【0041】
例えば、前記二重結合を持つ光重合性単量体は、エピクロルヒドリンとビスフェノールAを重合して得ることができ、実際の使用時には、開始剤を添加してUV硬化物に変化させて適用する。
【0042】
前記二重結合を持つ光重合性単量体は、例えば、下記化学式1で表示される化合物を含むことができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0043】
【化2】

【0044】
また、前記第2感光性樹脂層102には、前述した酸作用基を持つ感光性高分子化合物が含まれているが、前記第1感光性樹脂層101に比べて低濃度で含まれていることが好ましい。これにより、フォトレジスト100の上下感光性樹脂層の酸作用基含量の差によって、現像速度を調節して解像度に優れた微細回路パターンを具現することができる。
【0045】
一実施例によれば、前記第2感光性樹脂層102には、40〜70重量%のバインダーポリマーと30〜60重量%の光重合性単量体を含み、1〜10重量部の光重合性開始剤と0.5〜5重量部の顔料などの添加剤をさらに含むことができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0046】
一方、前記第1感光性樹脂層101の厚さは、前記第2感光性樹脂層102の1〜25%、より好ましくは、1〜10%であることができる。回路金属層界面との密着力に影響を及ぼす部分は、接着底面から全体フォトレジスト厚さの25%以内、より好ましくは、10%以内の領域であり、フォトレジストの厚さが小さいほど、その領域を比例して小さく構成することができる。
【0047】
前記第1感光性樹脂層101は、高分子の連鎖重合反応に実際に参加する層ではなく、回路用金属層表面の改質特性を変化させる成長ラジカル層で、つまり、硬化反応が起こるように開始する層であり、前記第2感光性樹脂層102の厚さが通常25μm程度であるとき、約2〜6μmと薄く構成することができ、これは、密着力を維持させる下部層の厚さを意味する。
【0048】
前記第1感光性樹脂層101の外層には、フォトレジストの実際積層面、すなわち、第1感光性樹脂層101を保護するための保護層103をさらに形成することができ、前記第2感光性樹脂層102の外層には、フォトレジストを支持すると同時に現像前まで外部に露出された感光性樹脂層、つまり、第2感光性樹脂層102を保護するための支持層104をさらに形成することができる。
【0049】
前記保護層103には、例えば、ポリエチレン(PE)を含むことができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0050】
前記支持層104には、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0051】
前述したフォトレジスト100は、特に限定されずに、当該分野に知られた通常の製法で製造できる。
【0052】
前述したように、本発明の好適な一実施形態によるフォトレジストは、感光性樹脂層を2重層で構成し、酸作用基を含む感光性ポリマー化合物を回路用金属層と接する積層面に含ませることで、回路用金属層との密着力を向上させることができる。
【0053】
本発明の好適なさらに他の実施形態によるフォトレジストは、感光性樹脂層を2重層で構成し、上下の各感光性樹脂層の組成差を用いて、回路線幅の上下スロープを発生させる露光及び現像速度の差を制御して優れた解像度の具現が可能である。
【0054】
(プリント基板の製造方法)
図4〜図8は、本発明の好適な一実施例によるフォトレジストを用いてプリント基板を製造する方法を説明するために概略的に示す工程図である。
【0055】
まず、図4を参照すれば、回路金属層202を持つベース基板200を準備する。
【0056】
前記ベース基板200としては、絶縁層201の片面または両面に回路用金属層202が積層された金属積層板を使うことができる。
【0057】
また、この図面には、説明の便宜上具体的な内層回路構成を省略して示したが、当業者であれば、前記ベース基板200として内層に1層以上の回路が形成された通常の多層回路基板が適用可能であることを充分に認識することができるであろう。
【0058】
前記絶縁層としては、プリント基板の絶縁層として使われる樹脂絶縁層を使うことができる。前記樹脂絶縁層としては、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂、ポリイミドのような熱可塑性樹脂、または、これらにガラス纎維または無機フィラーのような補強材が含浸された樹脂、例えば、プリプレグを使うことができ、また、熱硬化性樹脂及び/または光硬化性樹脂などを使うことができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0059】
前記回路用金属層は、回路基板分野で回路用伝導性金属として使われるものであれば、制限なしに適用可能であり、プリント基板においては、銅を使用することが典型的である。
【0060】
一方、前記ベース基板200の回路用金属層202には、後続の工程で、フォトレジスト100との密着力を向上させるための前処理工程がさらに実施できる。
【0061】
ついで、図5を参照すれば、前述した第1感光性樹脂層101と第2感光性樹脂層102を含むフォトレジスト100を、第1感光性樹脂層101を内層として、前記金属層202上に積層する。
【0062】
この工程では、通常、ホットロールラミネータを用いて、図3に示すようなフォトレジスト100、例えばドライフィルムの保護層、例えば保護フィルムをむき出しながら、フォトレジスト100の第1感光性樹脂層101を内層として金属層202の表面上に熱と圧力を加えて積層する。前記積層工程は、一般的に、積層速度0.5〜3.5m/mim、温度100〜130℃、ローラー圧力10〜90psiの条件で実施することができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0063】
この過程で、前述したように、第1感光性樹脂層101に含有された酸作用基を持つ感光性高分子化合物の酸作用基と金属層202との化学結合によって、密着安全性が確保できる。
【0064】
ついで、図6を参照すれば、前記フォトレジスト100をパターニングしてエッチングすべき部位の金属層202を露出させる開口部203、204を持つフォトレジストパターンを形成する。
【0065】
より具体的には、通常前記のような積層工程を経たベース基板200は、基板の安定化のために15分以上放置した後、所望のパターンを持つフォトマスク、例えばアートワークフィルムを用いてフォトレジスト100に高活性の光(紫外線)を照射して露光を進め、支持層、例えば支持フィルムをむき出す。
【0066】
この過程で、フォトマスクに紫外線を照射すれば、紫外線が照射されたフォトレジスト100は、照射された部位に含有された光開始剤によって重合が開始される。
【0067】
まず、初期には、フォトレジスト100内の酸素が消耗され、ついで活性化した単量体が重合されて架橋反応が起こり、その後、多量の単量体が消耗されながら重合反応が進む。一方、未露光部位は、架橋反応が進まなかった状態で存在することになる。
【0068】
ついで、フォトレジスト100の未露光部分を除去する現像工程を進める。例えば、アルカリ現像性フォトレジストの場合、現像液として0.8〜1.2wt%の炭酸カリウム(KCO)及び炭酸ナトリウム(NaCO)水溶液を使うことができる。この工程で、未露光部分のフォトレジストは、現像液内でバインダーポリマーのカルボン酸と現像液の鹸化反応によって洗い出されて開口部203、204が形成され、硬化したフォトレジスト100は、金属層202の表面上に残存することになる。
【0069】
ついで、図7を参照すれば、前記フォトレジスト100のパターンをレジストとして、前記開口部203、204を通じて露出された部位の金属層200をエッチングして回路パターン202aを形成する。
【0070】
前記エッチングは、通常の回路用金属のエッチング工程に使われる溶剤を、特別な制限なしに使うことができる。
【0071】
ついで、図8を参照すれば、前記フォトレジスト100のパターンを、例えば、通常のドライフィルム剥離液で除去することで、所定のパターン化した回路を得る。
【0072】
前述したように、本発明の好適な一実施形態によれば、酸作用基を持つ感光性高分子化合物を含む第1感光性樹脂層と通常の第2感光性樹脂層を含むフォトレジストを回路形成工程に適用することで、回路用金属層表面とフォトレジスト表面の化学的結合を増大させて密着力を向上させることができる。
【0073】
本発明の好適なさらに他の実施形態によれば、第1感光性樹脂層と第2感光性樹脂層に含有される酸作用基を持つ感光性高分子化合物の含量が調節されたフォトレジストを回路形成工程に適用することで、回路線幅の上下スロープを発生させる露光及び現像速度の差を制御して優れた解像度の具現が可能であり、これにより、高密度の微細回路を高信頼性で具現することができる。
【実施例】
【0074】
以下、下記の実施例及び比較例に基づいて、本発明をより具体的に説明するが、これに本発明の範疇が限定されるものではない。
【0075】
(実施例)
図3に示すように、第1感光性樹脂層101と第2感光性樹脂層102を含むフォトレジスト100を準備した。ここで、前記第1感光性樹脂層101に酸作用基を持つ感光性高分子化合物として、前記反応式1の反応生成物(c)(R、Rはそれぞれメチル基)を含ませた。
【0076】
前述したように準備されたフォトレジスト100を用いて、通常のフォトリソグラフィー工法で、銅の表面にフォトレジストパターンを形成し、これにより得られたパターン形状のイメージ写真を図9に示す。
【0077】
図9を参照すれば、銅表面の粗さの形成がほとんどない状態でも、密着力が優れた高解像度のフォトレジストパターンが具現された。
【0078】
(比較例)
図2に示すように、単層で構成された感光性樹脂層12を含むフォトレジスト10を準備した。ここで、前記感光性樹脂層12の組成は、実施例の第2感光性樹脂層と同様に構成した。
【0079】
前述したように準備されたフォトレジスト10を用いて、通常のフォトリソグラフィー工法で、銅表面にフォトレジストパターンを形成し、これにより得られたパターン形状のイメージ写真を図10に示す。
【0080】
図10を参照すれば、狭い下部線幅と上下線幅スロープの発生によって、密着不良が現れることが分かった。
【0081】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは、本発明を具体的に説明するためのもので、本発明によるフォトレジスト及びこれを用いるプリント基板の製造方法は、これに限定されなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を持つ者によって多様な変形及び改良が可能であろう。本発明の単純な変形ないし変更は、いずれも本発明の範疇内に属するもので、本発明の具体的な保護範囲は、特許請求の範囲によって明らかに決まるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、回路との化学的結合を増大させて密着力を高めるフォトレジスト、及びこのフォトレジストを用いて高密度の微細回路を形成するプリント基板の製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0083】
10 フォトレジスト(従来)
11 支持層
12 感光性樹脂層
13 保護層
100 フォトレジスト(本発明)
101 第1感光性樹脂層
102 第2感光性樹脂層
103 保護層
104 支持層
200 ベース基板
201 絶縁層
202 回路金属層
203、204 開口部
202a 回路パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1感光性樹脂層;及び
前記第1感光性樹脂層上に形成された第2感光性樹脂層;
を含み、
前記第1感光性樹脂層が酸作用基を持つ感光性高分子化合物を含むフォトレジスト。
【請求項2】
前記酸作用基は、ヒドロキシル基またはカルボキシル基である請求項1に記載のフォトレジスト。
【請求項3】
前記酸作用基を持つ感光性高分子化合物は、−C−O−C−結合基を持つ請求項1に記載のフォトレジスト。
【請求項4】
前記第2感光性樹脂層が酸作用基を持つ感光性高分子化合物を含み、前記第1感光性樹脂層に比べて低濃度で前記化合物を含む請求項1に記載のフォトレジスト。
【請求項5】
前記第1感光性樹脂層の厚さは、前記第2感光性樹脂層の厚さの1〜25%である請求項1に記載のフォトレジスト。
【請求項6】
前記第1感光性樹脂層の外層に保護層をさらに含み、
前記第2感光性樹脂層の外層に支持層をさらに含む請求項1に記載のフォトレジスト。
【請求項7】
前記保護層は、ポリエチレン(PE)を含む請求項6に記載のフォトレジスト。
【請求項8】
前記支持層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む請求項6に記載のフォトレジスト。
【請求項9】
回路金属層を持つベース基板を提供する段階;
請求項1によるフォトレジストを準備する段階;
前記フォトレジストの第1感光性樹脂層を内層として前記フォトレジストを前記金属層上に積層する段階;
前記フォトレジストをパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階;
前記フォトレジストパターンをレジストとして前記金属層をエッチングして回路パターンを形成する段階;及び
前記フォトレジストパターンを除去する段階;
を含むプリント基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−63737(P2012−63737A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21512(P2011−21512)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】