説明

フォーム状皮膚外用剤

【課題】刺激感の少ないクレンジング料として好適な化粧料を提供する。
【解決手段】1)シナノキ科ボダイジュ等の生薬のエキスと2)ジグリセリンモノラウリン酸エステルとをクレンジング化粧料に含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関し、更に詳細にはフォーム状の化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
フォーム状の形態の皮膚外用剤は、投与時に大きな表面積を稼げ、しかも、皮膚上ののびが軽い特性があることから、微細な部分にまで組成物を投与しなければならない場合や、物理的な刺激を低くコントロールして投与しなければならない場合には有効であり、この様な観点から、傷口に使用する抗生物質など応用されたりしている例がある。通常、この様なフォーム剤形は、石けん乃至は非イオン製界面活性剤で乳化した水中油型の乳化物をガスなどで噴出させてフォームを形成させる。この様な技術の内、非イオン製界面活性剤を利用したものとしては、特許文献1、特許文献2等の技術が知られている。しかしながら、水性成分が極めて少ない、油性成分を主体としたフォーム状組成物については全く知られていない。これは油性成分のみで泡を形成することが困難であった為である。
【0003】
一方、化粧料に於いて、その化粧動作から刺激を発現しやすいものとしては、クレンジング料乃至は水性洗浄料が知られている。前記フォーム状化粧料の使用時に於ける刺激の少なさに着目して、フォーム状クレンジング料乃至は洗浄料を開発する試みは既に為されており、この様な技術としては、特許文献3、特許文献4等の技術が知られているが、これらは何れも、水性成分のフォーム状組成物であり、その効果の域は水性洗浄料を越えるものではない。従って、油性の汚れやメーク落としを目指した、フォーム状のクレンジング料、取り分け、油性成分を主体とした構成のフォーム状のクレンジング料は未だ得られていないのが現状である。
【0004】
ドクダミ科ドクダミ、シナノキ科ボダイジュ、キク科アルニカ、ミカン科オウバク、キク科ゴボウ、ユリ科アロエ、ウコギ科ジンセン、セリ科ツボクサ、アカバナ科マツヨイグサ、イネ科ムギ、クルミ科コウキ、シソ科ローズマリー、マンサク科ハマメリス、フトモモ科ユーカリ、フウロソウ科ゲンノショウコ、クワ科ヤマグワ、マメ科クララ、セリ科トウキ等の生薬のエキス、γ−オリザノール、フィトステロール配糖体、エスクレチン、エスクレシド等の生薬中の有効成分は、抗炎症作用などの生理活性作用を有しているため、クレンジング等の洗浄時に炎症が起こるのを防ぎ、肌を防護するので、クレンジング料などの洗浄料に含有させることは好ましいと考えられているが(非特許文献1)、これらとジグリセリンモノラウリン酸エステルと組み合わせて化粧料に含有させた例もない。
【0005】
【特許文献1】特開2002−249413号公報
【特許文献2】特開2002−226324号公報
【特許文献3】特表平10−500432号公報
【特許文献4】特表平08−510466号公報
【非特許文献1】「フレグランスジャーナル臨時増刊No.6(1986)」フレグランスジャーナル社刊
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、刺激感の少ないクレンジング料として
好適な化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、刺激感の少ないクレンジング料として好適な化粧料を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、1)ドクダミ科ドクダミ、シナノキ科ボダイジュ、キク科アルニカ、ミカン科オウバク、キク科ゴボウ、ユリ科アロエ、ウコギ科ジンセン、セリ科ツボクサ、アカバナ科マツヨイグサ、イネ科ムギ、クルミ科コウキ、シソ科ローズマリー、マンサク科ハマメリス、フトモモ科ユーカリ、フウロソウ科ゲンノショウコ、クワ科ヤマグワ、マメ科クララ、セリ科トウキ等の生薬のエキス、γ−オリザノール、フィトステロール配糖体、エスクレチン、エスクレシド等の植物成分と2)ジグリセリンモノラウリン酸エステルとを含有する化粧料にその様な特性があることを見出し発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示す技術に関するものである。
(1)1)ジグリセリンモノラウリン酸エステルと2)次に示す生薬植物のエキス又は植物成分とを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
(生薬)ドクダミ科ドクダミ、シナノキ科ボダイジュ、キク科アルニカ、ミカン科オウバク、キク科ゴボウ、ユリ科アロエ、ウコギ科ジンセン、セリ科ツボクサ、アカバナ科マツヨイグサ、イネ科ムギ、クルミ科コウキ、シソ科ローズマリー、マンサク科ハマメリス、フトモモ科ユーカリ、フウロソウ科ゲンノショウコ、クワ科ヤマグワ、マメ科クララ、セリ科トウキ
(植物成分)γ−オリザノール、フィトステロール配糖体、エスクレチン、エスクレシド(2)フォーム状であることを特徴とする、(1)に記載の皮膚外用剤。
(3)ジグリセリンモノラウリン酸エステル以外の油性成分の含有量が、50〜95重量%であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の皮膚外用剤。
(4)更に、ジグリセリンテトラオレートを含有することを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(5)クレンジング用の化粧料であることを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の化粧料。
(6)敏感肌用の化粧料であることを特徴とする、(1)に記載の化粧料。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、刺激感の少ないクレンジング料として好適な化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1)本発明の皮膚外用剤の必須成分である生薬エキス、植物成分
本発明の皮膚外用剤は、次に示す生薬エキス又は植物成分を必須成分として含有する。(生薬)ドクダミ科ドクダミ、シナノキ科ボダイジュ、キク科アルニカ、ミカン科オウバク、キク科ゴボウ、ユリ科アロエ、ウコギ科ジンセン、セリ科ツボクサ、アカバナ科マツヨイグサ、イネ科ムギ、クルミ科コウキ、シソ科ローズマリー、マンサク科ハマメリス、フトモモ科ユーカリ、フウロソウ科ゲンノショウコ、クワ科ヤマグワ、マメ科クララ、セリ科トウキ
(植物成分)γ−オリザノール、フィトステロール配糖体、エスクレチン、エスクレシド
ここで、エキスとしては、植物体そのもの、植物体の加工物、植物体乃至は植物体の加工物に溶媒を加えて抽出した抽出物、抽出物より溶媒を除去した抽出物の溶媒除去物、抽出物乃至はその溶媒除去物を分画、精製した精製物等の何れもが使用可能である。かかるエキスの内、抽出物乃至はその溶媒除去物が好ましい。抽出物乃至はその溶媒除去物としては、極性の高い溶剤によって抽出された抽出物乃至はその溶剤除去物が特に好ましく例示できる。極性の高い溶剤としては、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸エチル、蟻酸メチルなどのエステル類、アセトンやメチルエチルケトン等のケト
ン類、アセトニトリルなどのニトリル類、1,3−ブタンジオール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、水などが好ましく例示できる。これらの内では、アルコール及び/又は水が特に好ましい。抽出は、植物体に対して1〜10重量倍の溶剤を加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬すればよい。抽出後は、必要に応じて、減圧濃縮などして溶剤を除去することが好ましい。又、エキスを作るのに使用する植物体の使用部位としては、ドクダミ科ドクダミは全草、シナノキ科ボダイジュは葉乃至は花蕾、キク科アルニカは地上部、ミカン科オウバクは根皮、キク科ゴボウは根、ユリ科アロエは地上部、ウコギ科ジンセンは根、セリ科ツボクサは地上部、アカバナ科マツヨイグサは地上部、イネ科ムギは麦芽根、クルミ科コウキは葉、シソ科ローズマリーは葉又は茎、マンサク科ハマメリスは実、フトモモ科ユーカリは葉、フウロソウ科ゲンノショウコは地上部、クワ科ヤマグワは葉、マメ科クララは根、セリ科トウキは根が好ましい。又、例えば、ユリ科アロエはキダチアロエ、アロエベラ等の通常アロエと言われている植物群の総称を意味し、アカバナ科マツヨイグサは、アカバナ科のオオマツヨイグサ、コマツヨイグサ、アレチマツヨイグサ、ツキミソウ等の近縁植物群の総称を意味する。他の植物についても、植物群の総称も含んで意味する場合に於いては、該植物群に属する植物全体に本発明の技術範囲は及ぶ。
【0010】
<製造例1>
ドクダミ科ドクダミの地上部1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス1を得た。
【0011】
<製造例2>
シナノキ科ボダイジュの葉、花及び蕾1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス2を得た。
【0012】
<製造例3>
キク科アルニカの地上部1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス3を得た。
【0013】
<製造例4>
ミカン科オオバクの根皮1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス4を得た。
【0014】
<製造例5>
キク科ゴボウの根1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス5を得た。
【0015】
<製造例6>
ユリ科アロエ(キダチアロエ)の地上部1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス6を得た。
【0016】
<製造例7>
ウコギ科ジンセンの根1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス7を得た。
【0017】
<製造例8>
セリ科ツボクサの地上部1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス8を得た。
【0018】
<製造例9>
アカバナ科ツキミソウの地上部1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス9を得た。
【0019】
<製造例10>
イネ科オオムギの麦芽根1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス10を得た。
【0020】
<製造例11>
クルミ科コウキの地上部1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス11を得た。
【0021】
<製造例12>
シソ科ローズマリーの地上部1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス12を得た。
【0022】
<製造例13>
マンサク科ハマメリスの実1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス13を得た。
【0023】
<製造例14>
フトモモ科ユーカリの葉1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス14を得た。
【0024】
<製造例15>
フウロソウ科ゲンノショウコの地上部1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス15を得た。
【0025】
<製造例16>
クワ科ヤマグワの葉1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス16を得た。
【0026】
<製造例17>
マメ科クララの根1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス17を得た。
【0027】
<製造例18>
セリ科トウキの根1kgに50%エタノール5lを加え、3時間加熱還流し、濾過して、濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥して、生薬エキス18を得た。
【0028】
又、γ−オリザノール、フィトステロール配糖体、エスクレチン又はエスクレシドといった植物成分は、何れも化粧料分野では公知、公用の成分であり、既に市販されているものがあり、それらを購入して利用することが出来る。ここで、フィトステロール配糖体は、シトステロール、カンペステロール、スティグマスタノール等の植物由来のステロールにグルコース、マルトース、ガラクトース等の糖残基が結合した化合物群の総称を意味する。
【0029】
本発明の皮膚外用剤においては、前記生薬エキス、植物成分は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。本発明の皮膚外用剤において、かかる成分は、皮膚外用剤を塗布する際の物理的刺激によって起こされる炎症などが、起こることを防ぐことが出来る。この様な作用と製剤的な特徴の組合せ効果により、本
発明の化粧料は、刺激を与えることなく、落ちにくい油性汚れを効果的に落とす作用を発揮する。この様な作用を発揮するためには、前記生薬エキス、植物成分は、皮膚外用剤全量に対して、総量で0.01〜10重量%含有させることが好ましく、更に好ましくは、0.05〜1重量%含有させることが好ましい。
【0030】
(2)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるジグリセリンモノラウリン酸エステル
本発明の皮膚外用剤は、ジグリセリンモノラウリン酸エステルを必須成分として含有する。かかるジグリセリンモノラウリン酸エステルは、10倍当量以上のジグリセリンをトリエチルアミンやピリジンと言ったアルカリ存在下、ラウリン酸と塩化チオニルより誘導したラウロイルクロライドを反応させ、しかる後シリカゲルクロマトグラフィーなどで精製(溶出溶媒;ノルマルヘキサン:イソプロピルエーテル:メタノール=90:10:0〜0:90:10)することにより製造できる。又、ラウロイルクロリドと、2−プロペニルアルコールから誘導したナトリウム−2−プロペニルアルコラートとをアルカリ存在下縮合させ、1−ラウロイルオキシ−2−プロペンを得、これに過酸化ベンゾイルを反応させてラウロイルグリシドールと為し、水素化ナトリウム存在下、グリセリンと縮合させることにより得ることも出来る。かくして得られた、ジグリセリンモノラウリン酸エステルは油性成分をガスによって発泡させる作用を有する。かかる発泡により、物理的刺激を低く抑えながら、効率よく油性汚れや油性化粧料を除去する作用を発揮し、(1)の成分とともに、更に、化粧行動による起炎症性を低くすることが出来る。泡を形成させるためには、かかるジグリセリンモノラウリン酸エステルを皮膚外用剤全量に対して、0.1〜10重量%含有させることが好ましく、1〜5重量%含有させることが更に好ましい。
【0031】
(3)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、前記ジグリセリンモノラウリン酸エステルと前記生薬エキス又は植物成分とを必須成分として、含有することを特徴とする。剤形としては、エアゾール形態、好ましくは泡沫形態(フォーム状)が好ましく、泡沫形態でも、非水系の泡沫が特に好ましく、水性担体は実質的に含有しない形態が好ましい。又、親水性の高い成分、例えば、ポリオキシエチレンやポリオキシプロピレンが付加したタイプの親水性非イオン界面活性剤やアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等は実質的に含有しないことが好ましい。ここで、親水性の非イオン界面活性剤としてはHLBが10以上のものが定義できる。本発明のクレンジング用の化粧料に於いては、必須成分であるジグリセリンモノラウリン酸エステルと生薬エキス又は植物成分以外に、通常化粧料で使用される任意成分を含有させることが出来る。かかる任意成分としては、例えば、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、スクワラン、ワセリンやマイクロクリスタリンワックス等のような炭化水素類、ジメチコン、フェメチコン、シクロメチコン、アモジメチコン、トリメチルシロキシ珪酸、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン類、ホホバ油やセチルイソオクタネート等のエステル類、グリセリルトリイソオクタネート、グリセリルトリイソステアレート、オリーブ油等のトリグリセライド類、オクタデシルアルコールやオレイルアルコール等の高級アルコール類、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等の脂肪酸、グリセリンや1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキシレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、非イオン界面活性剤、香料、防腐剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤類、粉体類等が例示できる。特に好ましいものは、発泡しやすい油性成分である、ジグリセリンテトラオレートが例示できる。かかる成分の好ましい含有量は、皮膚外用剤全量に対して、1〜95重量%であり、更に好ましくは5〜85重量%である。又、発泡を維持する作用を有する、中空の樹脂粉体を含む形態も好ましいものであり、中でもアクリル樹脂粉体が好ましく、アクリル樹脂粉体としては中空構造のものが特に好ましい。これはこの様な粉体を含有させることにより、泡沫の維持時間が向上するからである。かかる粉体の好ましい含有量は、ガスを含む化粧料全量に対して、総量で、0.1〜10重量%が好ましい。これは多すぎると目詰まりする場合があり、
少なすぎると効果を発揮しない場合があるからである。又、本発明の皮膚外用剤が含むガスとしては0.2〜0.6MPaの液化天然ガスが好ましく、ガスの含有量としては、化粧料全量に対して1〜30重量%が好ましく、5〜20重量%が更に好ましい。これは少なすぎても、多すぎても良質な泡の生成が妨げられる場合があるからである。本発明の皮膚外用剤は、皮膚外用医薬、化粧料等に適用できるが、化粧料に適用することが好ましく、更に好ましくはエアゾール化粧料に適用することがより好ましく、クレンジング用のエアゾール化粧料に適用することが特に好ましい。必須成分、好ましい成分及び任意成分とを常法に従って処理することにより、製造することが出来る。かくして得られた、本発明の皮膚外用剤は、油性汚れ、油性化粧料、化粧料の油性成分と良く相溶し、ウォッシュオフ形態の使用に於いて、水性洗浄料無しに、かかる汚れなどを除去する効果に優れる。これは泡沫化により、除去すべき油性成分との接触面積が大きくなっているからである。
【実施例】
【0032】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明が、かかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0033】
<実施例1>
以下に示す処方に従って本発明の皮膚外用剤である、クレンジング用のエアゾール化粧料を作成した。即ち、イの成分を80℃で加熱混合し、攪拌冷却した後、ロの成分とともにエアゾール容器に充填し、密閉して本発明のクレンジング用のエアゾール化粧料1を得た。このものの泡特性を表1に示す。泡特性の表記は、○:非常に密でなめらか泡、△:やや粗い泡、×:粗い泡乃至は泡にならない状態を表す。このものについて、下記に示すリップカラーの除去作用を調べた。即ち、下腕内側部に、リップカラーを用いて2cm×4cmの長方形を描き、この上にクレンジング化粧料の泡沫をピンポン玉程度置き、5分間指で良くなじませて、しかる後に流水下の擦過で30秒処理し、乾いたタオルを押し当てて、部位のリップカラーとクレンジング料の除去具合(残り具合)を観察した。観察基準は、スコア5:リップカラー、クレンジング料が完全に残存していない、スコア4:極僅かにリップカラー、クレンジング料が残存している、スコア3:リップカラー、クレンジング料が殆ど取れている、スコア2:除去されないリップカラー、クレンジング料が目立つ、スコア1:リップカラー、クレンジング料が半分以上残っているを用いた。又、刺激性を損傷皮膚モルモットモデルを使用して検討した。モルモット損傷皮膚モデルは、ハートレー系白色種モルモット(1群5匹)の背部を剃毛し、ガムテープで4回ストリッピングを行い作成した。刺激性試験は、背部に0.1gの検体を置き、軽く10回指で擦過し、含水脱脂綿で拭き取り、24時間後にドレーズの基準(++:浮腫を伴う反応、+:明らかな紅斑を伴う反応、±:微弱な紅斑を伴う反応、−:無反応)で皮膚反応を判定し、+以上の反応の出現率を算出し、陽性率とした。同時に、ジグリセリンモノラウリン酸エステルをソルビタンモノラウレートに変えて、比較例1を、生薬エキス1を水に置換して比較例2を、下記に示す処方の水中油乳化物のフォーム状エアゾールを比較例3として、下記に示す油中水乳化クリームタイプのクレンジング料を比較例4として作成し、同様に評価した。結果を表1に示す。本発明のクレンジング用のエアゾール化粧料は優れたクレンジング特性とウォッシュオフ特性を有することがわかる。又、これが泡特性の良さに起因することわかる。

ジグリセリンテトラオレート 82.9重量部
セタノール 2 重量部
ジグリセリンモノラウリン酸エステル 5 重量部
生薬エキス1 0.1重量部

液化天然ガス(0.44MPa) 10 重量部
(比較例3)
セタノール 2 重量部
ツィーン80 3 重量部
ソルビタンセスキステアレート 1 重量部
流動パラフィン 14 重量部
1,3−ブタンジオール 5 重量部
水 65 重量部
液化天然ガス(0.44MPa) 10 重量部
(比較例4)
流動パラフィン 60 重量部
ソルビタンセスキステアレート 2 重量部
POE(20)ベヘニルエーテル 2 重量部
1,3−ブタンジオール 5 重量部
水 31 重量部
(評価用のリップカラー)
マイクロクリスタリンワックス 10 重量部
固形パラフィン 5 重量部
スクワラン 30 重量部
カルナウバワックス 10 重量部
モクロウ 5 重量部
ポリエチレン 5 重量部
ヒマシ油 20 重量部
色素 15 重量部
【0034】
【表1】

【0035】
<実施例2〜22>
生薬エキス1を他の生薬エキス、植物成分に代えて、実施例1と同様の検討を行った。結果を表2に示す。これより、他の生薬エキス、植物成分に代えても同様の効果を奏することがわかる。

ジグリセリンテトラオレート 82.9重量部
セタノール 2 重量部
ジグリセリンモノラウリン酸エステル 5 重量部
生薬エキス、植物成分(表2に記載) 0.1重量部

液化天然ガス(0.44MPa) 10 重量部
【0036】
【表2】

【0037】
<実施例23〜26>
ジグリセリンテトラオレートを他の油剤に置換して同様に検討を行った。結果を表3に示す。これよりジグリセリンテトラオレートを含有することが好ましいことがわかる。

油剤(表3に記載) 82.9重量部
セタノール 2 重量部
ジグリセリンモノラウリン酸エステル 5 重量部
生薬エキス1 0.1重量部

液化天然ガス(0.44MPa) 10 重量部
【0038】
【表3】

【0039】
<実施例27>
下記に示す処方に従って、前記実施例同様に、本発明のクレンジング化粧料を作成した。これらは、優れたクレンジング特性、泡特性及び安全性を有していた。

ジグリセリンテトラオレート 80.8重量部
セタノール 2 重量部
ジグリセリンモノラウリン酸エステル 5 重量部
生薬エキス1 0.1重量部
生薬エキス2 0.1重量部
生薬エキス3 0.1重量部
生薬エキス4 0.1重量部
生薬エキス5 0.1重量部
生薬エキス6 0.1重量部
生薬エキス7 0.1重量部
生薬エキス8 0.1重量部
生薬エキス9 0.1重量部
生薬エキス10 0.1重量部
生薬エキス11 0.1重量部
生薬エキス12 0.1重量部
生薬エキス13 0.1重量部
生薬エキス14 0.1重量部
生薬エキス15 0.1重量部
生薬エキス16 0.1重量部
生薬エキス17 0.1重量部
生薬エキス18 0.1重量部
フィトステロール配糖体 0.1重量部
γ−オリザノール 0.1重量部
エスクレシド 0.1重量部
エスクレチン 0.1重量部

液化天然ガス(0.44MPa) 10 重量部
【0040】
<実施例28>
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である消毒フォームを作成した。

ジグリセリンテトラオレート 81.9重量部
セタノール 2 重量部
ジグリセリンモノラウリン酸エステル 5 重量部
生薬エキス1 0.1重量部
メタコリマイシンメチル硫酸塩 1 重量部

液化天然ガス(0.44MPa) 10 重量部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)ジグリセリンモノラウリン酸エステルと2)次に示す生薬植物のエキス又は植物成分とを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
(生薬)ドクダミ科ドクダミ、シナノキ科ボダイジュ、キク科アルニカ、ミカン科オウバク、キク科ゴボウ、ユリ科アロエ、ウコギ科ジンセン、セリ科ツボクサ、アカバナ科マツヨイグサ、イネ科ムギ、クルミ科コウキ、シソ科ローズマリー、マンサク科ハマメリス、フトモモ科ユーカリ、フウロソウ科ゲンノショウコ、クワ科ヤマグワ、マメ科クララ、セリ科トウキ
(植物成分)γ−オリザノール、フィトステロール配糖体、エスクレチン、エスクレシド
【請求項2】
フォーム状であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
ジグリセリンモノラウリン酸エステル以外の油性成分の含有量が、50〜95重量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
更に、ジグリセリンテトラオレートを含有することを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
クレンジング用の化粧料であることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の化粧料。
【請求項6】
敏感肌用の化粧料であることを特徴とする、請求項1に記載の化粧料。

【公開番号】特開2007−161727(P2007−161727A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−30812(P2007−30812)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【分割の表示】特願2002−337005(P2002−337005)の分割
【原出願日】平成14年11月20日(2002.11.20)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】