説明

フコキサンチンの簡易定量法

【課題】本発明の目的は、夾雑物が共存した被検体からでも簡易且つ精度良くフコキサンチンを定量することが出来る方法の提供である。
【解決手段】下記式(I):
Y = (10/MW)×(X/ε) (I)
(式中、Yは濃度(M)、MWは分子量、Xは吸収極大波長における吸光度からその吸収がない波長における吸光度を差し引いた値、且つεは分子吸光係数である);
を利用することによる溶液中のフコキサンチン濃度を定量する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フコキサンチン抽出液の吸光度を測定することによる、フコキサンチン濃度の簡易定量法に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満防止、美肌効果、がん予防などの機能性が強く注目されているフコキサンチンは、コンブ、ワカメ、アラメ、ホンダワラ、ヒジキなどの褐藻に特異的に含まれている。フコキサンチンは、これらの褐藻からの抽出液として利用されることが多いので、調製した抽出液に含まれるフコキサンチンの定量は必須である。また、フコキサンチンは光や熱に不安定で壊れ易いため、賞味期限の設定などのためにもフコキサンチンの定量が必須である。
【0003】
フコキサンチンの従来の定量法は、褐藻からフコキサンチンを精製するか、又はきわめて高価な標品フコキサンチンを購入するかして得たフコキサンチン抽出液を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供して検量線を作成し、被検体も同じHPLCに供して、検量線から被検体中のフコキサンチン濃度を算出するという方法である。この方法の欠点は、褐藻からフコキサンチン抽出液を調製する場合には、(1)生の褐藻が手に入りにくいこと、及び(2)仮に生の褐藻を入手できても、精製のために、抽出、シリカゲル又は活性炭などでの処理、HPLCでの精製、及び再結晶化などの時間と経費がかかる操作を必要とすることである。また、標品フコキサンチンを用いる場合には、(3)その市販価格は10μgが1〜4万円と非常に高価であり、さらに搬送中に一部が分解しているために、純度は80%以下で、標品として用いるためには再度の精製を必要とするということである。
【0004】
このように、従来法ではフコキサンチンの定量はきわめて困難であった。それゆえ、簡易且つ精度良くフコキサンチンを定量する方法が強く求められている。また、フコキサンチン定量の被検体は通常クロロフィルや他のキサントフィル類などの夾雑物を多様に含んでおり、夾雑物の吸光度がフコキサンチンの定量を阻害するのは当然である。そこで、特に、夾雑物が共存した被検体からでも精度良くフコキサンチンを定量する方法の開発は非常に重要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、夾雑物が共存した被検体からでも簡易且つ精度良くフコキサンチンを定量することが出来る方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために、分光光度計による測定で得られる吸光度を利用して被検体を定量する方法に着目し鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の通りである:
[1]下記式(I):
Y = (10/MW)×(X/ε) (I)
(式中、Yは濃度(M)、MWは分子量、Xは吸収極大波長における吸光度からその吸収がない波長における吸光度を差し引いた値、且つεは分子吸光係数である);
を利用することによる溶液中のフコキサンチン濃度を定量する方法。
[2]吸収がない波長が540nm以上600nm以下である、上記[1]記載の方法。
[3]吸収がない波長が560nmである、上記[1]又は[2]記載の方法。
[4]分子吸光係数εの値の範囲が1100以上1320以下である、上記[1]〜[3]のいずれか記載の方法。
[5]分子吸光係数εの値が1276である、上記[1]〜[4]のいずれか記載の方法。
[6]下記式(II):
Y = (10/MW)×(X/ε) (II)
(式中、Yは濃度(M)、MWは分子量、Xは吸収極大波長における吸光度、且つεは分子吸光係数である);
を利用することによる溶液中のフコキサンチン濃度を定量する方法であって、ここで分子吸光係数εの値の範囲が1140より大きく且つ1320以下である、方法。
[7]分子吸光係数εの値が1276である、上記[6]記載の方法。
[8]溶液が、
(a)褐藻を無水アルコールに浸すこと;
を含む抽出法によって褐藻からフコキサンチンを抽出した抽出液である、上記[1]〜[7]のいずれか記載の方法。
[9]抽出法が更に、
(b)工程(a)による抽出液をシリカゲルカラムに付して夾雑物を除くこと;
を含む、上記[8]記載の方法。
[10]下記式(III):
= (10/MW)×(X/ε) (III)
(式中、Yは濃度(M)、MWは分子量、Xは吸収極大波長における吸光度からその吸収がない波長における吸光度を差し引いた値、且つεは分子吸光係数である);
を利用することによる溶液中のフコキサンチン代謝物濃度を定量する方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の定量法は、吸光度を測定するだけで、夾雑物が共存した被検体からでも、フコキサンチン濃度を定量することが出来るため、従来の定量法と比較して格段に簡便である。また、本発明のフコキサンチンの分子吸光係数を用いることにより、本発明の定量法は、高い精度でフコキサンチン濃度を決定することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
定量法(I)
本発明は、分光光度計により測定される吸光度を利用する、溶液中のフコキサンチン濃度を定量する方法(以下、定量法(I)ともいう)を提供する。定量法(I)は、下記式(I):
Y = (10/MW)×(X/ε) (I)
(式中、Yは濃度(M)、MWは分子量、Xは吸収極大波長における吸光度からその吸収がない波長における吸光度を差し引いた値、且つεは分子吸光係数である);
を利用することを特徴とする。
【0009】
式(I)における分子量MW、即ちフコキサンチンの分子量は、フコキサンチンがC4258の化学式を持つため、MW=658.92であるとすれば良い。
【0010】
用語「分子吸光係数」とは、本明細書で使用される場合、1cmのセルに1g/100mlの濃度の溶液を入れて測定したときの吸光度を意味する。分子吸光係数は、物質固有の定数である。
式(I)における分子吸光係数ε、即ちフコキサンチンの分子吸光係数は、当該分野で周知の方法を用いて当業者は決定することができる。その方法を簡単に述べれば以下のようになる。即ち、高純度フコキサンチンを調製し、分光光度計を用いてその吸光度を測定して検量線を作成する。検量線の傾きの逆数が式(I)における比例係数、即ち(10/MW)×(1/ε)であるため、この関係を利用してεの値を決定すれば良い。
或いは、分子吸光係数εは、例えばMerck Indexに記載されたフコキサンチンの分子吸光係数1140を利用しても良い。
後述する試験例1で述べるように、本発明者らが高純度フコキサンチンを用いて決定した分子吸光係数によれば、分子吸光係数εは1100〜1320の範囲内であることが好ましく、1276が特に好ましい。
【0011】
従って、上記定量法(I)を、下記式(I’):
Y = α×X (I’)
(式中、Yは濃度(μM)、αは比例係数、且つXは吸収極大波長における吸光度からその吸収がない波長における吸光度を差し引いた値である);
という形で記述したとき、比例係数αは好ましくは11.5〜13.8の範囲内であり、特に好ましくは11.9である。それゆえ、定量法(I)の特に好ましい実施態様として、下記式(I”):
Y = 11.9X (I”)
(式中、Yは濃度(μM)、Xは吸収極大波長における吸光度からその吸収がない波長における吸光度を差し引いた値である);
が挙げられる。
【0012】
フコキサンチンの吸収極大波長は、448.5nmである。応用上は、450nmの波長における吸光度を吸収極大波長における吸光度として良い。
【0013】
分光光度計を用いた吸光度の測定は、当該分野では周知の技術であり、例えば、島津製作所社製UV−1800、日立ハイテクノロジーズ社製U−3210などの紫外可視分光光度計を使用し、その添付説明書に従って当業者は容易に行うことが可能である。
【0014】
上述の通り、前記式(I)、(I’)、及び(I”)におけるXは、吸収極大波長における吸光度からその吸収がない波長における吸光度を差し引いた値である。Xについてこのような差し引きをした値を用いる理由は、溶液中の夾雑物からの吸光度への寄与を除外するためである。このような差し引きによって得られるXの値は、理想的には、フコキサンチンの吸収極大波長における、フコキサンチンのみの寄与による吸光度となっているはずである。前記フコキサンチンの吸収がない波長として540nm未満の波長を用いた場合、フコキサンチン自体による吸光度が差し引かれてしまうなどの理由により正確な濃度からの誤差が大きくなり、また、600nmを超える波長を用いた場合、安価な分光光度計ではそのような近赤外に近い波長の吸光度の測定は不正確である。従って、フコキサンチンの吸収がない波長としては、540nm以上600nm以下を用いることが好ましく、560nmを用いることが特に好ましい。
【0015】
上記定量法(I)を用いたフコキサンチン濃度の定量は、例えば、以下のようにして行う。吸収極大波長での吸光度が0.7126、その吸収がない任意の波長(例えば、560nm)での吸光度が0.06050であるとき、分子量MW=658.92、及び分子吸光係数ε=1276として、式(I)にこれらの値を代入して計算すると、Y=(10/658.92)×(0.7126−0.06050)/1276=7.76μMとなる。
【0016】
上述の定量法(I)は、フコキサンチン代謝物の濃度決定に対しても、適切な分子量、吸光度、及び分子吸光係数を用いて、同様にして適用され得る。即ち、本発明はまた、下記式(III):
= (10/MW)×(X/ε) (III)
(式中、Yは濃度(M)、MWは分子量、Xは吸収極大波長における吸光度からその吸収がない波長における吸光度を差し引いた値、且つεは分子吸光係数である);
を利用することによる溶液中のフコキサンチン代謝物濃度を定量する方法も提供する。
【0017】
上記フコキサンチン代謝物の例としては、フコキサンチノール(分子量:616、吸収極大波長:448.8 nm、分子吸光係数:1700)、アマロシアキサンチンA(分子量:614、吸収極大波長:467.5 nm)などが挙げられる。
(以上、定量法(I))
【0018】
定量法(II)
本発明はまた、下記式(II):
Y = (10/MW)×(X/ε) (II)
(式中、Yは濃度(M)、MWは分子量、Xは吸収極大波長における吸光度、且つεは分子吸光係数である);
を利用することによる溶液中のフコキサンチン濃度を定量する方法であって、ここで分子吸光係数εの値の範囲が1140より大きく且つ1320以下である方法を提供する。分子吸光係数は、好ましくは1276である。分子量MW、フコキサンチンの吸収極大波長、及び吸光度の測定については、定量法(I)の説明において記載した内容が定量法(II)にも適用される。
【0019】
従って、上記定量法を、下記式(II’):
Y = α×X (II’)
(式中、Yは濃度(μM)、αは比例係数、且つXは吸収極大波長における吸光度);
という形で記述したとき、分子吸光係数αは好ましくは11.5〜13.8の範囲内であり、特に好ましくは11.9である。それゆえ、定量法(II)の特に好ましい実施態様として、下記式(II”):
Y = 11.9X (II”)
(式中、Yは濃度(μM)、且つXは吸収極大波長における吸光度である);
が挙げられる。
【0020】
上記定量法(II)を用いたフコキサンチン濃度の定量は、例えば、以下のようにして行う。吸収極大波長での吸光度が0.6521であるとき、分子量MW=658.92、及び分子吸光係数ε=1276として、式(II)にこれらの値を代入して計算すると、Y=(10/658.92)×(0.6521/1276)=7.76μMとなる。
【0021】
上述の定量法(II)は、フコキサンチン代謝物の濃度決定に対しても、適切な分子量、吸光度、及び分子吸光係数を用いて、同様にして適用され得る。フコキサンチン代謝物の例は、定量法(I)の説明で挙げたものが同様に挙げられる。
(以上、定量法(II))
【0022】
上記定量法(I)又は(II)を利用して溶液中のフコキサンチン濃度が定量され得るが、フコキサンチン濃度が定量される「溶液」には、分光光度計を使用した吸光度の測定に通常用いられるような、フコキサンチンを含有するあらゆる溶液が含まれる。
【0023】
上記定量法(I)又は(II)を利用してフコキサンチン濃度が定量される溶液は、例えば、(a)褐藻(例、コンブ、ワカメ、アラメ、ホンダワラ、ヒジキなど)を無水アルコールに浸すこと、を含む抽出法によって褐藻からフコキサンチンを抽出した抽出液であっても良い。該抽出液は更に、(b)工程(a)による抽出液をシリカゲルカラムに付して夾雑物を除くこと、を含む抽出法によって褐藻からフコキサンチンを抽出した抽出液であっても良い。或いは、該抽出液は更に、前記工程(b)により得た画分をHPLCに供してフコキサンチンを分収したものであっても良く、又はさらに高純度を求める場合は、分収液を再度クロマトグラフィーに通してさらに結晶化したものであっても良い。各工程における各手順(抽出、分離、精製)は、通常当該分野で実施される手法に準じて実施される。また、フコキサンチンを含有する溶液となる限り、上記以外の方法を用いることができることは当業者には明らかである。実際的には、下記実施例2に記載するように、(a)の抽出法、又は(a)及び(b)の抽出法によって抽出した抽出液に対して定量法(I)を適用することにより、高い精度でフコキサンチン濃度を決定することが出来る。また、夾雑物が少ない溶液を用いる場合には、定量法(II)によって充分な精度で濃度を定量することができる。
【0024】
フコキサンチン代謝物濃度が定量される溶液についても、上記フコキサンチン濃度が定量される溶液で説明した事項が適用され得る。
【0025】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記実施例等に何ら制限されるものではない。
【実施例】
【0026】
試験例1 分子吸光係数の決定
高純度標品フコキサンチン溶液を用いて、フコキサンチンの分子吸光係数を決定した。高純度標品フコキサンチン溶液は次のようにして調製した。即ち、裁断した生コンブを無水アルコールに浸して抽出し、その抽出液をシリカゲルカラムに通してクロロフィルなどの夾雑物を除いた。更に、得た画分をHPLCに供してフコキサンチンを分収し、分収液を再度クロマトグラフィーに通してさらに結晶化して鮮橙色の板状結晶を得た。吸光度の測定は、分光光度計U3210(日立ハイテクノロジーズ社製)を使用して行った。このようにして測定した吸光度を基に、検量線を作成した。図1がそのようにして作成した検量線である。
図1の直線の傾きの逆数が式(I’)におけるαの値である。従って、αは1/0.0725から1/0.0869まで、即ち11.5から13.8までの値であることが分かった。更に、分子量MW=658.9として分子吸光係数εを求めると、1100から1320までの値であることが分かった。再結晶を繰り返して得られた高純度標品の場合のαの値が11.9であったため、分子吸光係数εの最適値は1276と決定された。
【0027】
実施例1 定量法(I)によるフコキサンチンの定量
高純度標品フコキサンチン溶液に対して、上記定量法(I)を利用して定量を行った。高純度標品フコキサンチン溶液の調製、及び吸光度の測定は試験例1と同様にして行った。
定量法(I)を適用するにあたって、フコキサンチンの吸収極大波長450nmにおける吸光度の測定値から、470nmから10nmずつ増やした各波長における吸光度の測定値を差し引いた値を式(I)におけるXとして用いた。また、フコキサンチンの分子吸光度係数ε=1276とし、フコキサンチンの分子量はMW=658.92とした。上記波長ごとの吸光度の測定値を用いて算出したフコキサンチン量を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
差し引く吸光度の波長が560nmの場合は、定量値が13.5μmolで、実際に用いたフコキサンチン量の13.8μmolよりも約2.2%低かった。差し引く波長が600nmならば100%精度で定量できた。しかし、2.2%は分光光度計の通常の誤差の範囲内であり、安価な分光光度計では600nmという近赤外に近い波長の吸光度は不正確である。
以上の結果から、差し引く吸光度の波長は540nm以上、600nm以下であることが好ましく、特に好ましくは560nmである。
【0030】
実施例2 抽出液からの各精製段階におけるフコキサンチンの定量
生のコンブから通常の手法でフコキサンチンを抽出し、その過程でフコキサンチン含量を、本発明の簡易測定法(定量法(I))で定量し、従来法の定量値と比較した。通常の抽出法とは、(a)裁断した生コンブを無水アルコールに浸して抽出、(b)抽出液をシリカゲルカラムに通してクロロフィルなどの夾雑物を除く、及び(c)得た画分をHPLCに供してフコキサンチンを分収、さらに高純度を求める場合は、分収液を再度クロマトグラフィーに通してさらに結晶化する。そこで、それぞれの画分の純度をHPLCで測定した結果を図2に示した。
最上段は(a)の抽出液である。クロロフィルを多く含み、類似キサントフィルのゼアキサンチンも含んでいる。フコキサンチン量は、このHPLCで定量すると、189μmol/Lであった。この抽出液を25倍に希釈して卓上型の分光光度計で450nmの波長における吸光度と560nmの波長における吸光度を測定し、その差を計算式(I)のXに当てはめて濃度を算出した(分子量MW=658.9、分子吸光係数ε=1276とした)。一例をあげると、450nmでの吸光度が0.7126で560nmでの吸光度が0.06050であったので、その差0.6521を計算式に当てはめ25倍すると194μmol/Lであった。同様にして、同じ生コンブを別途抽出に供し、測定した。これを計4回行った平均値は:
従来法での測定値: 189±4.0 μmol/L (n=4)
定量法(I)での測定値: 194±11 μmol/L (n=4)
であった。
(b)のシリカゲルカラム後の画分も、(a)ほどではないが、クロロフィルやゼアキサンチンを混在させている。この画分に定量法(I)を適用した。
従来法での測定値: 137±2 μmol/L (n=4)
定量法(I)での測定値: 139±5 μmol/L (n=4)
であった。
つまり、様々な混在物が量的に多い抽出原液を定量法(I)で測定すると+2.6%多く定量される程度でフコキサンチンの含有量を判定できた。そして、ある程度精製した抽出画分に適用すると、+1.5%と、ほぼ正確に含有量を測定できた。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】フコキサンチンの分光光度計での検量線を示す。左は、表示した全濃度での吸光度のプロット、右は、50μMでの吸光度を除いたプロットである。
【図2】コンブからのフコキサンチン抽出液の各精製段階でのHPLCの結果を示す。(a)は生コンブからのアルコール抽出液、(b)は(a)をシリカゲルカラムに通した溶液、及び(c)は(b)を同様のHPLCに供してフコキサンチン画分を分収したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
Y = (10/MW)×(X/ε) (I)
(式中、Yは濃度(M)、MWは分子量、Xは吸収極大波長における吸光度からその吸収がない波長における吸光度を差し引いた値、且つεは分子吸光係数である);
を利用することによる溶液中のフコキサンチン濃度を定量する方法。
【請求項2】
吸収がない波長が540nm以上600nm以下である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
吸収がない波長が560nmである、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
分子吸光係数εの値の範囲が1100以上1320以下である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
分子吸光係数εの値が1276である、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
下記式(II):
Y = (10/MW)×(X/ε) (II)
(式中、Yは濃度(M)、MWは分子量、Xは吸収極大波長における吸光度、且つεは分子吸光係数である);
を利用することによる溶液中のフコキサンチン濃度を定量する方法であって、ここで分子吸光係数εの値の範囲が1140より大きく且つ1320以下である、方法。
【請求項7】
分子吸光係数εの値が1276である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
溶液が、
(a)褐藻を無水アルコールに浸すこと;
を含む抽出法によって褐藻からフコキサンチンを抽出した抽出液である、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
抽出法が更に、
(b)工程(a)による抽出液をシリカゲルカラムに付して夾雑物を除くこと;
を含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
下記式(III):
= (10/MW)×(X/ε) (III)
(式中、Yは濃度(M)、MWは分子量、Xは吸収極大波長における吸光度からその吸収がない波長における吸光度を差し引いた値、且つεは分子吸光係数である);
を利用することによる溶液中のフコキサンチン代謝物濃度を定量する方法。

【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2009−180565(P2009−180565A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18311(P2008−18311)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度生物系特定産業技術研究支援センター「生物系産業創出のための異分野融合研究支援事業」産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504150450)国立大学法人神戸大学 (421)
【出願人】(594045089)オリザ油化株式会社 (96)
【出願人】(594165332)株式会社小倉屋山本 (4)
【出願人】(000153328)株式会社日本食品開発研究所 (5)
【Fターム(参考)】