説明

フッ化ビニリデン系樹脂フィルム、太陽電池用バックシート及び太陽電池モジュール

【課題】顔料が多量に配合されていても、分散不良に起因するピンホール発生が抑制され、かつ成形加工時の熱安定性にも優れたフッ化ビニリデン系樹脂フィルム、太陽電池用バックシート及び太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】フッ化ビニリデン樹脂と、メタクリル酸エステル樹脂と、アルミナ、シリカ及びジルコニアによって表面処理された酸化チタンと、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル及び/又はその誘導体とを、所定量配合して、フッ化ビニリデン系樹脂フィルムとする。その際、表面処理された酸化チタンには、アルミナ、シリカ及びジルコニアの総付着量が5〜15質量%で、且つジルコニアの付着量が0.5質量%以上2.0質量%未満であるものを使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ化ビニリデン系樹脂フィルム、太陽電池用バックシート及び太陽電池モジュールに関する。より詳しくは、フッ化ビニリデン樹脂に、メタクリル酸エステル樹脂や無機顔料などを配合したフッ化ビニリデン系樹脂フィルム、並びにこのフィルムを使用した太陽電池用バックシート及び太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の内外装用部材に使用されるプラスチック板、金属板、及びその他の各種基材の表面には、基材の保護、耐候性の向上、装飾及び意匠性の付与などを目的として、塗装が施されたり、樹脂フィルムがラミネートされたりしている。このような用途に使用される樹脂フィルムとしては、主に、耐候性に優れたフッ素系樹脂フィルムが使用されており、特に、フッ化ビニリデン系樹脂フィルムが多く利用されている。
【0003】
このフッ化ビニリデン系樹脂フィルムは、前述した用途に限らず、例えば、壁紙や壁材、車両やエレベーターなどの内外装材、屋根瓦などの屋根材、雨樋、ガレージ、アーケード、サンルーム、農業用資材、テント地、看板、標識、ラベル、マーキングフィルム、家具、家電製品、トレー、太陽電池及び窓硝子など多岐にわたって使用されている。
【0004】
また、フッ化ビニリデン系樹脂に無機顔料を添加した樹脂組成物又は樹脂フィルムもある(例えば、特許文献1,2参照。)。特許文献1に記載の樹脂組成物では、フッ化ビニリデン樹脂とメタクリル酸エステル樹脂からなる樹脂成分に、着色剤目的で、複合酸化物系無機顔料を添加している。また、特許文献2には、フッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂と、酸化亜鉛、二酸化チタン及びアルミナなどの無機微粒子とからなる紫外線吸収層を備えた光学フィルムが開示されている。
【0005】
一方、フッ素系樹脂は、表面張力が最も小さい樹脂の1つであり、各種物質に対する濡れ性が著しく低いため、フィルムの製造過程において不良が発生しやすいという問題点がある。そこで、表面にアルミナ及びシリカが特定量付着している酸化チタンを、無機顔料に使用することで、樹脂中への分散性向上を図ったフッ化ビニリデン系樹脂フィルムが提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−235953号公報
【特許文献2】特開2006−18255号公報
【特許文献3】WO2010/0921942
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した従来の技術には、以下に示す問題点がある。即ち、特許文献1,2に記載のフィルムのように、フッ素系樹脂に無機顔料を配合したものは、顔料の分散不良が生じやすいという問題点がある。そして、無機顔料の分散性が良好でないと、フィルムなどに加工する際にピンホールが発生しやすく、また、コンパウンド工程やフィルム製膜工程などの成形加工時の熱安定性が低下する。
【0008】
なお、特許文献1に記載の樹脂組成物では、無機顔料の分散性を向上させるため、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル及び/又はその誘導体を添加しているが、このような分散剤を多量に添加すると、樹脂フィルムの耐候性や物理的強度が低下する。このため、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステルなどの分散剤の添加は、無機顔料配合量が少ない樹脂フィルムには有効であるが、無機顔料の配合量が多い樹脂フィルムでは、顔料に見合った量を添加することができないため、顔料の分散不良の抑制には十分な効果が得られないという問題点がある。
【0009】
これに対して、特許文献3に記載のフッ化ビニリデン系樹脂フィルムでは、無機顔料の分散性が良好となるため、従来のフッ素系樹脂フィルムに比べて、分散不良に起因するピンホール発生が少なく、成形加工時の熱安定性も向上するが、加工性の観点から、熱安定性の更なる向上が求められている。
【0010】
そこで、本発明は、顔料が多量に配合されていても、分散不良に起因するピンホール発生が抑制され、かつ成形加工時の熱安定性にも優れたフッ化ビニリデン系樹脂フィルム、太陽電池用バックシート及び太陽電池モジュールを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るフッ化ビニリデン系樹脂フィルムは、フッ化ビニリデン樹脂と、メタクリル酸エステル樹脂と、アルミナ、シリカ及びジルコニアによって表面処理された酸化チタンと、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル及び/又はその誘導体と、を含有するものであり、前記酸化チタンにおけるアルミナ、シリカ及びジルコニアの総付着量が5〜15質量%、且つジルコニアの付着量が0.5質量%以上2.0質量%未満となっている。
なお、本発明のフッ化ビニリデン系樹脂フィルムにおける酸化チタン表面のアルミナ、シリカ及びジルコニアの付着量は、蛍光X線(XRF:X-ray fluorescence)法により測定した値である。
本発明においては、表面にアルミナ、シリカ及びジルコニアが特定量付着している酸化チタンを、無機顔料として配合しているため、従来よりも無機顔料の配合量を多くしても、良好な分散性が得られる。
この樹脂フィルムでは、フッ化ビニリデン樹脂:70〜95質量%及びメタクリル酸エステル樹脂:5〜30質量%からなる樹脂成分100質量部に対して、前記酸化チタンを10〜25質量部、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル及び/又はその誘導体を合計で0.1〜5質量部含有してもよい。
その場合、前記酸化チタンの含有量は、12〜20質量部とすることができる。
また、前記酸化チタンにおけるアルミナ、シリカ及びジルコニアの総付着量は、6〜12質量%としてもよい。
更に、前記酸化チタンは、アルミナ及びシリカの付着量がそれぞれ2.5質量%以上であり、かつジルコニアの付着量が1.0質量%以上2.0質量%未満であるものを使用することができる。
更にまた、前記酸化チタンには、有機物による表面処理が施されていてもよい。
【0012】
本発明に係る太陽電池用バックシートは、前述したフッ化ビニリデン系樹脂フィルムを用いたものである。
また本発明に係る太陽電池モジュールは、この太陽電池バックシートを用いたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、無機顔料として、表面にアルミナ、シリカ及びジルコニアを特定量付着させた酸化チタンを配合しているため、フッ化ビニリデン系樹脂を主成分とする樹脂成分に対して無機顔料の分散性が良好になり、無機顔料の配合量が多い場合でも、ピンホール発生を抑制し、成形加工時の熱安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0015】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態に係るフッ化ビニリデン系樹脂フィルム(以下、単に樹脂フィルムともいう。)について説明する。本実施形態の樹脂フィルムは、少なくとも、フッ化ビニリデン樹脂及びメタクリル酸エステル樹脂からなる樹脂成分と、酸化チタンと、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル及び/又はその誘導体とを含有している。
【0016】
また、本実施形態の樹脂フィルムに配合されている酸化チタンは、アルミナ、シリカ及びジルコニアにより表面処理されており、これらの総付着量が酸化チタン全質量あたり5〜15質量%であり、且つジルコニアの付着量が0.5質量%以上2.0質量%である。なお、ここでいう「酸化チタン全質量」とは、表面に付着しているアルミナ、シリカ及びジルコニアを含めた質量である。以下、本実施形態の樹脂フィルムを構成する各成分について説明する。
【0017】
[フッ化ビニリデン樹脂]
フッ化ビニリデン樹脂は、耐候性及び耐熱性に優れており、本実施形態の樹脂フィルムの主成分である。本実施形態の樹脂フィルムに配合されるフッ化ビニリデン樹脂は、フッ化ビニリデン単量体単位を有するビニル化合物であれば、その構造などは特に限定されるものではなく、フッ化ビニリデンのホモポリマでもよく、フッ化ビニリデンと他のビニル化合物単量体の共重合体であってもよい。
【0018】
また、このフッ化ビニリデンと共重合体を形成するビニル化合物としては、例えばフッ化ビニル、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、六フッ化プロピレンなどのフッ素化されたビニル化合物や、スチレン、エチレン、ブタジエン及びプロピレンなどの公知のビニル単量体が挙げられる。
【0019】
[メタクリル酸エステル樹脂]
メタクリル酸エステル樹脂は、フッ化ビニリデン樹脂と共に樹脂成分を構成するものであり、基材などとの接着性を改善する効果がある。フッ化ビニリデン樹脂は他の素材との接着性に劣るが、このメタクリル酸エステル樹脂を配合することにより、高価な接着剤を使用しなくても、基材などに接着することが可能となる。
【0020】
本実施形態の樹脂フィルムに配合されるメタクリル酸エステル樹脂は、メタクリル酸エステル単量体に基づくビニル重合体であれば、その構造などは特に限定するものではない。このメタクリル酸エステル単量体としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル及びメタクリル酸ヘキシルなどが挙げられるが、特に、メタクリル酸メチルが好適である。また、メタクリル酸エステル単量体におけるプロピル基、ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基などのアルキル基は、直鎖であってもよく、枝分かれしてもよい。
【0021】
また、本実施形態の樹脂フィルムに配合されるメタクリル酸エステル樹脂は、メタクリル酸エステル単量体の単独重合体や、複数のメタクリル酸エステル単量体の共重合体であってもよい。また、このメタクリル酸エステル樹脂には、メタクリル酸エステル以外の公知のビニル化合物であるスチレン、エチレン、ブタジエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸及びプロピレンなどに由来する単量体単位を有してもよい。
【0022】
[樹脂成分配合率]
本実施形態の樹脂フィルムにおける樹脂成分は、前述したフッ化ビニリデン樹脂及びメタクリル酸エステル樹脂からなり、その配合比は、質量比で、フッ化ビニリデン樹脂:メタクリル酸エステル樹脂=70:30〜95:5であることが望ましい。なお、メタクリル酸エステル樹脂の配合量が少なく、樹脂成分全質量あたりのフッ化ビニリデン樹脂量が95質量%を超えると、成形加工時に樹脂が熱分解し、黄色や褐色などに樹脂が変色し、目的とする色調のフィルムが得られないことがある。
【0023】
ここで、「成形加工時」とは、複数の原料を混合し、押出機内で溶融加熱混練して、ペレット状にする「コンパウンド工程」と、フィルム押出機により、この樹脂ペレットを溶融加熱し、ダイスを使用してフィルム化した後、冷却して巻き取る「フィルム製膜工程」を示し、以下の説明においても同様である。
【0024】
一方、メタクリル酸エステル樹脂の配合量が多く、樹脂成分全質量あたりのフッ化ビニリデン樹脂量が70質量%未満になると、耐候性が低下し、屋外において20年以上にわたって長期に使用した場合、耐変色性が確保できないことがある。
【0025】
[酸化チタン]
本実施形態の樹脂フィルムには、紫外線を吸収又は反射する目的で、無機顔料が配合されており、これにより白色に着色されている。具体的には、無機顔料として、アルミナ、シリカ及びジルコニアにより表面処理された酸化チタンが配合されている。フッ化ビニリデン樹脂は耐候性に優れているため、樹脂フィルム自体の耐候性は十分に確保することできるが、例えば保護フィルムとして使用する場合は、下層に位置する保護対象物に、紫外線が照射されないようにする必要がある。そこで、本実施形態の樹脂フィルムでは、酸化チタンにより光を吸収又は反射することで、紫外線の透過を防止している。
【0026】
本実施形態の樹脂フィルムに配合される酸化チタンとしては、塩化物法又は硫酸塩法により得られるルチル型又はアナターゼ型結晶形態のものが好ましい。例えば、塩化物法により酸化チタンを製造する場合には、TiClを酸化してTiO粒子にする。また、硫酸塩法により酸化チタン(TiO)を製造する場合には、硫酸及びチタンを含有する鉱石を溶解し、得られた溶液を一連の工程を通してTiOを生成させる。実用的には、耐候性劣化による着色が少ないルチル型の結晶構造の酸化チタンを使用することが望ましい。
【0027】
また、酸化チタンの粒子径は、沈降法により算出した平均粒子径で、0.05〜2.0μmであることが好ましい。酸化チタンの粒子径が0.05μmよりも小さいと、可視光の透過による透明性を示すようになり、また、酸化チタンの粒子径が2μmを超えると、樹脂への分散性が劣化して凝集しやすくなるからである。
【0028】
一方、アルミナ、シリカ及びジルコニアによる「表面処理」とは、酸化チタン表面に、アルミナ、シリカ及びジルコニアを吸着させるか、又は、アルミナ、シリカ及びジルコニアと酸化チタンとの反応生成物のうち少なくとも1種の化合物を、吸着種として存在させるか若しくは化学的に結合させることをいう。このように表面処理された酸化チタン表面において、アルミナ、シリカ及びジルコニアは、連続又は非連続で、単一又は二重又は三重の被覆層として存在している。特に、酸化チタン表面が、第一層としてシリカで被覆され、その上の第二層としてアルミナで被覆され、その上の第三層としてジルコニアで被覆されているものが好ましい。なお、酸化チタンをアルミナ、シリカ及びジルコニアで表面処理する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を適用することができる。
【0029】
アルミナ・シリカ・ジルコニアの総付着量:5〜15質量%
アルミナ、シリカ及びジルコニアの総付着量が5質量%未満の場合、樹脂成分に対する酸化チタンの触媒活性抑制効果や分散性が低下し、耐候性及び成形加工時の熱安定性の両方を良好にすることができなくなる。具体的には、アルミナの付着量が少ない場合は、樹脂成分に対する酸化チタンの分散性が低下し、成形加工時の熱安定性が劣化する。また、シリカの付着量が少ない場合は、フィルムの耐候性が低下する。
【0030】
一方、アルミナ、シリカ及びジルコニアの総付着量が15質量%を超えると、それぞれが持つ水素結合水によって酸化チタン粒子同士が凝集しやすくなるため、良好なフィルム外観が得られない。よって、酸化チタン全質量あたりのアルミナ、シリカ及びジルコニアの総付着量は、5〜15質量%とする。また、熱安定性及び分散性の観点から、アルミナ・シリカ・ジルコニアの総付着量の好適な範囲は、6〜12質量%である。具体的には、これらの総付着量が6質量%未満の場合、十分な熱安定性が得られない虞があり、総付着量が12質量%を超えると、アルミナ・シリカ・ジルコニアが含有する水分によって分散性が低下する虞がある。
【0031】
ジルコニア付着量:0.5質量%以上2.0質量%未満
また、アルミナ、シリカ及びジルコニアの総付着量が5〜15質量%であっても、ジルコニアの付着量が0.5質量%未満の場合は、これらの効果を十分に発揮させることができず、2.0質量%以上であると、ジルコニアが有する水素結合水や物理吸着水の影響により分散性が低下することがある。よって、酸化チタンにおけるジルコニアの付着量は、0.5質量%以上2.0質量%未満とする。これにより、樹脂成分に対する酸化チタンの触媒活性作用を抑制でき、酸化チタンの分散性が向上し、フィルムの耐候性及び成形加工時の熱安定性の両方を良好にすることができる。
【0032】
アルミナ・シリカ:各2.5質量%以上、ジルコニア:1.0質量%以上2.0質量%未満
酸化チタン全質量中のアルミナ、シリカの付着量は、それぞれ2.5質量%以上であり、ジルコニアの付着量が1.0質量%以上2.0質量%未満であることがより好ましい。アルミナの付着量を2.5質量%以上にすることで、樹脂成分に対する酸化チタンの分散性をより高めることができる。また、シリカの付着量を2.5質量%以上にすると、樹脂フィルムの耐候性が向上する。
【0033】
更に、ジルコニアの付着量を1.0質量%以上2.0質量%未満にすることにより、樹脂成分に対する酸化チタンの分散性が更に向上し、フィルムの耐候性及び成形加工時の熱安定性を更に良好にすることができる。そして、前述したように、これらの総付着量を5.0質量%以上にすることにより、コンパウンド工程及びフィルム製膜工程などの成形加工時における熱安定性を良好に保つことができる。
【0034】
なお、酸化チタン全質量中のアルミナ、シリカ及びジルコニアの付着量は、蛍光X線(XRF)法により、酸化チタン表面に付着している元素を定量分析し、その測定結果に基づいて算出することができる。具体的には、蛍光X線(XRF)法にて、酸化チタン全質量中のチタン(Ti)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)及びジルコニア(Zr)の各元素の含有量を定量し、その値から、それぞれの酸化物(TiO、Al、SiO、ZrO2)の質量(換算値)を算出する。
【0035】
また、酸化チタン表面に、酸化物以外でこれらの元素を含むものが存在している場合には、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron diffraction)で表面存在元素の存在比率を確認することにより、酸化物とそれ以外の化合物とを、定量分析することができる。
【0036】
更に、酸化チタンには、シランカップリング剤、シリコーンオイル又は多価アルコールなどの有機物による表面処理が施されていてもよい。これにより、酸化チタンの凝集を抑制することができるため、分散性が更に向上し、より外観欠点の少ないフィルムを得ることができる。
【0037】
一方、本実施形態の樹脂フィルムにおける酸化チタン配合量は、前述した樹脂成分100質量部に対して、10〜25質量部とすることが好ましく、12〜20質量部とすることがより好ましい。樹脂成分100質量部に対して、酸化チタン量が10質量部未満の場合、厚さが例えば30μm以下の薄いフィルムでは、紫外線の吸収又は反射が不十分となり、耐候性が低下することがある。一方、酸化チタン量が25質量部を超えると、樹脂成分に酸化チタンを均一に分散することが困難になり、厚さが例えば30μm以下の薄いフィルムでは、表面外観が劣化することがある。
【0038】
また、本実施形態の樹脂フィルムには、上述した酸化チタン以外に、無機顔料として、酸化亜鉛、硫化亜鉛又は硫酸バリウムなどが配合されていてもよい。その場合、酸化チタンも含めた無機顔料の総含有量を、樹脂成分100質量部に対して、10〜30質量部とすることが望ましい。
【0039】
なお、従来、反射板用樹脂組成物などにおいて、シリカ、アルミナ及びジルコニアなどで表面処理された酸化チタンが使用されているが(例えば、特開2008−255338号公報、特開2009−179670号公報、特開2010−270177号公報)、これらの組成物で使用されている酸化チタンは、アルミナやシリカの付着量を増加させることにより、耐熱性向上が期待できるが、その場合アルミナやシリカが含有する水分も増加するため、フッ化ビニリデン系樹脂を主成分とする樹脂フィルムでは十分な分散性は得られない。
【0040】
これに対して、本実施形態の樹脂フィルムでは、アルミナとシリカに加えて、ジルコニアを付着させているため、フッ化ビニリデン系樹脂への分散性を低下させずに、酸化チタンの触媒活性を抑制して、加工時の熱分解リスクを低下させることができる。即ち、アルミナ、シリカ及びジルコニアにより表面処理された酸化チタンを使用することにより、良好な分散性を維持したまま、加工時の熱安定性を更に向上させることができる。
【0041】
[ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル及びその誘導体]
フッ素系樹脂は、表面張力が最も小さい樹脂の一つであり、各物質に対する濡れ性が著しく低い。このため、フィルムを着色するために多量の顔料を配合すると、分散不良が発生しやすく、フィルムなどを加工成形する際に、ピンホールなどの不良が発生する原因となる。そこで、本実施形態の樹脂フィルムでは、顔料(酸化チタン)の分散性を向上させる目的で、フッ素系樹脂との相溶性に優れるポリエチレングリコールの脂肪酸エステル及び/又はその誘導体を配合している。
【0042】
これらポリエチレングリコールの脂肪酸エステル及びその誘導体としては、例えば、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステルであるポリエチレングリコールモノラウレート及びポリエチレングリコールペヘネート、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルであるポリエチレングリコールジラウレート及びポリエチレングリコールジステアレート、並びに、高級脂肪酸アルコール又はアルキルフェノールのポリエチレングリコールモノエーテル脂肪酸エステルであるポリエチレングリコールモノエチルフェノールエーテルラウリレート及びポリエチレングリコールモノポリオキシエチレンビスフェノールAラウリン酸エステルなどが挙げられる。
【0043】
ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル及びその誘導体の添加量は、前述した無機顔料の配合量に応じて適宜選択することができるが、樹脂成分100質量部に対して0.1〜5質量部とすることが好ましい。ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル及びその誘導体の総含有量が、樹脂成分100質量部に対して0.1質量部未満の場合、無機顔料の分散性が低下することがある。一方、これらの総含有量が、樹脂成分100質量部に対して5質量部を超えると、フィルムの物理的強度が低下したり、無機顔料が凝集して分散不良が発生したりすることがある。
【0044】
なお、本実施形態の樹脂フィルムの厚さは、特に限定されるものではなく、用途などに応じて適宜選択することができる。例えば、保護フィルムとして使用する場合であれば、その厚さは10〜100μmとすることが好ましい。
【0045】
また、本実施形態の樹脂フィルムには、前述した各成分に加えて、酸化防止剤、分散剤、カップリング剤、熱安定剤、界面活性剤、帯電防止剤、防曇剤及び紫外線吸収剤などが添加されていてもよい。
【0046】
[製造方法]
次に、本実施形態のフッ化ビニリデン系樹脂フィルムの製造方法について説明する。本実施形態のフッ化ビニリデン系樹脂フィルムを製造する際は、先ず、フッ化ビニリデン樹脂及びメタクリル酸エステル樹脂からなる樹脂成分に、アルミナ、シリカ及びジルコニアによって表面処理された酸化チタンと、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル及び/又はその誘導体とを、所定量配合して混練する。
【0047】
その混練方法は、単軸押出機などを使用した溶融混練法を適用することができるが、無機顔料の分散性を高めるためには、高速で回転しかつ高剪断な混練機を使用することが好ましい。このような混練機としては、例えば神戸製鋼所製のFCM型混練機などが挙げられる。これにより、無機顔料の分散性が良好になり、表面状態の優れたフィルム原料(樹脂組成物)を得ることができる。
【0048】
また、混練に使用するフッ化ビニリデン樹脂及び/又はメタクリル酸エステル樹脂の一部若しくは全部を粉末状のものにしたり、高混練タイプの2軸押出機を使用して混練したり、予め高速回転型ミキサ−を用いて高温下でプレミキシングした後、単軸押出機により溶融混練したりすることもできる。これにより、無機顔料の分散性を更に向上することができる。
【0049】
次に、得られたフィルム原料(樹脂組成物)を、溶融押出成形してフィルムにする。本実施形態の樹脂フィルムは、単層でも多層でもよく、その溶融押出成形法としては、例えば多層構造のフィルムの場合は、共押出成形法を適用することができる。複数の押出成形機を使用して、樹脂を溶融状態で接着して多層化するT−ダイ使用の共押出成形法としては、複数の樹脂層をシ−ト状に成形した後、各層を接触させて接着するマルチマニホールドダイ法と、合流装置を用いて複数の樹脂を合流接着した後、シ−ト状に成形するフィードブロック法とがあるが、本実施形態の樹脂フィルムの製造方法においては、いずれの方法を適用してもよい。
【0050】
以上詳述したように、本実施形態のフッ化ビニリデン系樹脂フィルムにおいては、無機顔料として、表面にアルミナ、シリカ及びジルコニアが特定量付着した酸化チタンを使用しているため、フッ素系樹脂、特にフッ化ビニリデン樹脂への分散性を良好に保ちつつ、樹脂の熱分解リスクを低減することができる。これにより、加工時の熱安定性を更に向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態のフッ化ビニリデン系樹脂は、酸化チタンの分散性が良好であるため、分散不良が発生しにくく、無機顔料(酸化チタン)の配合量を多くしても、ピンホールが発生したり、成形加工時の熱安定性が低下したりすることがない。このため、従来に比べて、多量の酸化チタンを配合することが可能となり、紫外線などの遮蔽性を大幅に向上させることができる。
【0052】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る太陽電池用バックシート(以下、単にバックシートともいう。)について説明する。本実施形態のバックシートは、前述した第1の実施形態のフッ化ビニリデン系樹脂フィルムと、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)系フィルムなどの電気絶縁性樹脂フィルムとを積層し、貼り合わせることにより得られる。
【0053】
なお、これらのフィルムの貼り合わせには、各種接着剤による接着が可能である。また、PET系フィルムなどの他の樹脂フィルムは、バックシートに、電気絶縁性、遮蔽性、水蒸気バリア性(防湿性)を付与する目的で積層されている。
【0054】
本実施形態のバックシートは、表面にアルミナ、シリカ及びジルコニアが特定量付着した酸化チタンを無機顔料として配合したフッ化ビニリデン系樹脂フィルムを使用しているため、紫外線などの遮蔽性に優れている。更に、アルミナ及びシリカに加えて、ジルコニアを付着させた酸化チタンは、酸化チタンの触媒活性を抑制する効果が高いため、他の酸化チタンを使用した樹脂フィルムに比べて、耐湿熱特性や耐紫外線特性に優れており、長期耐久性が向上する。
【0055】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る太陽電池モジュールについて説明する。本実施形態の太陽電池モジュールは、ガラスなどからなる透明基板、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)などの熱可塑性樹脂シートなどからなる封止材、光起電力素子である太陽電池セル及びバックシートを、この順で積層し、加圧加熱等の方法でラミネートして一体化した構造となっている。
【0056】
そして、本実施形態の太陽電池モジュールでは、前述した第2の実施形態のバックシートを使用している。太陽電池モジュールを製造する場合は、EVAなどからなる封止材を介して、バックシートとガラスセルとを積層するが、本実施形態で使用している第2の実施形態のバックシートは、100〜150℃の加熱プレスにより貼り合わせることが可能である。
【0057】
本実施形態の太陽電池モジュールは、表面にアルミナ、シリカ及びジルコニアが特定量付着した酸化チタンを無機顔料として配合したフッ化ビニリデン系樹脂フィルムを使用しているため、長期耐久性に優れており、長期間に亘って使用しても性能低下が少ない。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について説明する。本実施例においては、先ず、本発明の実施例1〜4として、下記表1に示す組成の樹脂組成物から、樹脂フィルムを作製した。具体的には、下記表1に示す配合割合で、フッ化ビニリデン樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、酸化チタン及びポリエチレングリコール(PEG)の脂肪酸エステルを、タンブラーにてブレンドした。その後、直径φが45mmの2軸押出機によって混練し、コンパウンド(樹脂組成物)を得た。次に、直径φが40mmの単軸押出機に、スリット0.4mm、幅400mmのコートハンガーダイを取り付けたフィルム製膜機を使用して、下記表1に示す厚さの樹脂フィルムを作製した。
【0059】
【表1】

【0060】
なお、上記表1に示すフッ化ビニリデン樹脂は、アルケマ社製カイナーK720を使用した。また、メタクリル酸エステル樹脂には、三菱レイヨン社製 ハイペットHBS000を使用した。酸化チタンの無機被覆については表1の付着量になるよう予め調整したものを使用した。更にまた、ポリエチレングリコール(PEG)の脂肪酸エステルとしては、下記化学式1に示すポリオキシエチレンビスフェノールAラウリン酸エステル(花王社製 エキセパールBP−DL)を使用した。
【0061】
【化1】

【0062】
なお、上記表1に示す各酸化チタンにおけるアルミナ及びシリカの付着量は、以下の方法により求めた。先ず、理学電気工業社製 蛍光X線(XRF)分析装置 Zsx100eを使用して元素分析を行い、酸化チタン表面に付着している元素を特定した。次に、PHI社製 X線光電子分光装置 ESCA−5500MCにより、酸化チタン粒子表面の定量分析を行い、酸化チタン表面に存在するアルミナ量、シリカ量及びジルコニア量を、それぞれ求めた。そして、これらの測定結果と、各元素の酸化物(TiO、Al、SiO、ZrO)の質量比率により、各酸化チタンにおけるアルミナ、シリカ及びジルコニアの付着量を算出した。
【0063】
また、本発明の比較例1〜6として、前述した実施例1〜4と同様の方法で、下記表2に示す組成の樹脂組成物から、樹脂フィルムを作製した。なお、下記表2に示す各酸化チタンの無機被覆については、表2の付着量になるよう予め調整したものを使用した。
【0064】
【表2】

【0065】
次に、実施例及び比較例の各樹脂フィルムについて、顔料分散性及び熱安定性を評価した。
【0066】
<顔料分散性>
顔料分散性の評価は、各樹脂フィルムの裏面から光を当て、きょう雑物測定図表(JIS P8145)を使用し、フィルム面積1mに存在する0.05mm未満の面積の顔料凝集体の個数を、目視にて測定することにより行った。その結果、顔料凝集体の個数が200個未満のものを「優良」、顔料凝集体の個数が200個以上400個未満のものを「良」、顔料凝集体の個数が400個以上のものを「不良」として、各フィルムにおける顔料分散性の優劣を評価した。
【0067】
<熱安定性>
熱安定性の評価は、コンパウンドの状態のものを使用して行った。具体的には、下記に示す方法で、上記表1及び表2に示す組成のコンパウンドの(a)熱分解温度及び(b)熱分解時間を測定した。
【0068】
a)熱分解温度
熱分解温度は、ブルカーAXS社製 TG−DTA2000SAにより測定した。その際、試料容器には白金製パンを使用し、試料の量は約1.5mgとした。測定は、真空排気により雰囲気中の酸素を除去した後、窒素雰囲気中で行った。また、測定時の昇温条件は、昇温速度を10℃/分とし、室温から800℃まで昇温した。そして、フッ化ビニリデン樹脂の分解に由来する加熱減量が見られた温度を、試料の熱分解温度とした。
【0069】
測定の結果、熱分解温度が350℃未満の場合を「不可」、350℃以上360℃未満の場合を「可」、360℃以上370℃未満の場合を「良」、370℃以上の場合を「優良」とした。
【0070】
b)熱分解時間
熱分解時間も、ブルカーAXS社製 TG−DTA2000SAにより測定した。その際、試料容器には白金製パンを使用し、試料の量は約10mgとした。測定は、温度条件を250℃で24時間ホールドとし、キャリアガスには窒素を使用し、キャリアガスの流量は30ml/分として行った。なお、測定は、真空排気して雰囲気を窒素置換した後、開始した。そして、フッ化ビニリデン樹脂の分解に由来する加熱減量曲線の変曲点を試料の熱分解時間とした。
【0071】
測定の結果、熱分解時間が2.0時間未満の場合を「不可」、2.0時間以上3.0時間未満の場合を「可」、3.0時間以上5.0時間未満の場合を「良」、5.0時間以上の場合を「優良」とした。
【0072】
以上の結果を、下記表3にまとめて示す。
【0073】
【表3】

【0074】
上記表3に示すように、ジルコニア成分が付着していない酸化チタンを使用した比較例4は熱安定性に劣る結果となった。また、ジルコニアが付着していてもアルミナ及びシリカを加えた総付着量が5質量%未満である酸化チタンを使用した比較例1,2の樹脂組成物も、熱安定性が劣っていた。更に、アルミナ、シリカ及びジルコニアの総付着量が15質量%を超えている酸化チタンを使用した比較例3の樹脂組成物は、熱安定性には優れるものの分散性が劣っていた。
【0075】
一方、アルミナ、シリカ及びジルコニアの総付着量が5〜15質量%の範囲であっても、ジルコニアの付着量が0.5質量%未満の酸化チタンを使用した比較例5の樹脂組成物、及びジルコニアの付着量が2.0質量%以上である酸化チタンを使用した比較例6の樹脂組成物は、いずれも分散性が劣っていた。
【0076】
これに対して、本発明の範囲内で作製した実施例1〜4の樹脂フィルムは、前述した比較例1〜6の樹脂フィルムに比べて、顔料の分散性及び成形加工時の熱安定性に優れていた。これにより、本発明のフッ化ビニリデン系樹脂フィルムは、多量の無機顔料を配合してフィルムを着色しても、分散不良が発生しにくく、フィルム加工成形時のピンホール発生が抑制され、熱安定性にも優れることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のフッ化ビニリデン系樹脂フィルムは、耐薬品性、耐候性及び耐汚染性を備え、更に他の基材と高い接着性を示し、特に優れた艶消し調の低光沢表面を有し、かつ機械的強度及び熱加工性に優れている。このため、建築物の内外装及び自動車部材などの多岐にわたる用途、特に高い耐候性能の必要とされる用途の装飾や意匠性向上、例えば、壁紙、車輌の内外装及びエレベーターなどの内外装材用の他、屋根材、壁材、雨樋、ガレージ、アーケード、サンルーム、農業用資材、テント地、看板、標識、ラベル、マーキングフィルム、家具、家電製品、トレー、屋根瓦、太陽電池用及び窓ガラス用として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ化ビニリデン樹脂と、
メタクリル酸エステル樹脂と、
アルミナ、シリカ及びジルコニアによって表面処理された酸化チタンと、
ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル及び/又はその誘導体と、
を含有し、
前記酸化チタンは、アルミナ、シリカ及びジルコニアの総付着量が5〜15質量%であり、且つジルコニアの付着量が0.5質量%以上2.0質量%未満であるフッ化ビニリデン系樹脂フィルム。
【請求項2】
フッ化ビニリデン樹脂:70〜95質量%及びメタクリル酸エステル樹脂:5〜30質量%からなる樹脂成分100質量部に対して、
前記酸化チタンを10〜25質量部、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル及び/又はその誘導体を合計で0.1〜5質量部含有することを特徴とする請求項1に記載のフッ化ビニリデン系樹脂フィルム。
【請求項3】
前記酸化チタンの含有量が12〜20質量部であることを特徴とする請求項2に記載のフッ化ビニリデン系樹脂フィルム。
【請求項4】
前記酸化チタンにおけるアルミナ、シリカ及びジルコニアの総付着量が6〜12質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフッ化ビニリデン系樹脂フィルム。
【請求項5】
前記酸化チタンは、アルミナ及びシリカの付着量がそれぞれ2.5質量%以上であり、かつジルコニアの付着量が1.0質量%以上2.0質量%未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフッ化ビニリデン系樹脂フィルム。
【請求項6】
前記酸化チタンには、有機物による表面処理が施されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフッ化ビニリデン系樹脂フィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のフッ化ビニリデン系樹脂フィルムを用いた太陽電池用バックシート。
【請求項8】
請求項7に記載の太陽電池バックシートを用いた太陽電池モジュール。

【公開番号】特開2012−233080(P2012−233080A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102402(P2011−102402)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】