フッ素化エラストマー噴出防止装置パッカおよび方法
【課題】フッ素化エラストマー噴出防止装置パッカおよび方法を提供すること。
【解決手段】アニュラー噴出防止装置(101)で使用することができるパッカユニット(105、200)。パッカユニット(105、200)は、ポリマー鎖を有するカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの化合物を含むエラストマー本体(107)と、前記ポリマー鎖に結合されたある量のフッ素原子(202)とを含む。化合物は、50%から60%の間のXNBRと、25%から35%の間のカーボンブラックとを含み、残りは他の材料を含む。エラストマー本体がフッ素化されるとき、ある量のフッ素原子がポリマー鎖から少なくとも同量の水素原子を変位させる。
【解決手段】アニュラー噴出防止装置(101)で使用することができるパッカユニット(105、200)。パッカユニット(105、200)は、ポリマー鎖を有するカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの化合物を含むエラストマー本体(107)と、前記ポリマー鎖に結合されたある量のフッ素原子(202)とを含む。化合物は、50%から60%の間のXNBRと、25%から35%の間のカーボンブラックとを含み、残りは他の材料を含む。エラストマー本体がフッ素化されるとき、ある量のフッ素原子がポリマー鎖から少なくとも同量の水素原子を変位させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題の実施形態は、一般に、既存のパッカよりも良好に厳しい環境に耐えるフッ素化エラストマー噴出防止装置パッカを生産するための方法およびシステムに関し、より詳細には、機構および技法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数年の間、化石燃料の値上がりとともに、新しい坑井の開発への関心が劇的に増大した。例えば、石油およびガスの探査用途で坑井を掘削する場合、掘削作業に関連する予期しない事象に起因する従業員の負傷、ならびに環境および/または装置の損傷を防止するために、安全デバイスが適所に設置される。したがって、坑井制御は石油およびガス探査の重要な側面である。
【0003】
石油およびガス探査における坑井の掘削は、様々な地表下の地質構造または「層」を貫通することを必要とする。坑井孔は、坑井孔に維持されている圧力よりも実質的に高い地層圧を有する層を貫通することがある。これが起きたとき、坑井は「キックした」と言われる。キックに伴う圧力上昇は、一般に、坑井孔への地層流体(それらは液体、ガス、またはそれらの組合せである場合がある)の流入によって生じる。比較的高圧のキックは、坑井孔の上向き孔の入口地点から(高圧領域から低圧領域に)伝播する傾向がある。キックを地表に到達させた場合、掘削流体、坑井器具、および他の掘削構造体が坑井孔から暴噴するおそれがあり、坑井の完全性が破壊され、環境への深刻な影響をもたらす(例えば、制御されていない石油が海中にあふれ出る)おそれがある。この「暴噴」は、掘削装置(例えば、掘削リグを含む)を壊滅的に破壊し、リグ要員に相当な傷害を負わせ、または死に至らしめることもある。
【0004】
暴噴の危険性があるために、噴出防止装置(「BOP」)が、一般に大水深掘削装置の表面または海底に設置され、キックを制御するための積極的な対策を取ることができるまで坑井孔を効果的に封止する。キックが十分に制御され、システムの「外に循環される」ようにBOPを作動させることができる。BOPにはいくつかのタイプがあり、それらのうちの1つの一般的なタイプはアニュラー噴出防止装置である。
【0005】
アニュラーBOPは、一般に、坑井孔のまわりを完全に封止するために、ドリルパイプおよび坑井器具を封入するように作動させることができる環状エラストマー「パッキングユニット」を含む。ドリルパイプまたは坑井器具がパッキングユニットの孔の内部にない状況では、パッキングユニットは、孔が完全に閉じられるほどまで圧縮することができ、坑井孔のバルブとして働く。一般に、パッキングユニットは、ドリルパイプのまわりを封止する場合に使用され、その際、パイプのまわりを封止するようにパッキングユニットを手動または機械によって迅速に圧縮し、坑井が暴噴するのを防止することができる。
【0006】
パッキングユニットを有するアニュラーBOPの一例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第2,609,836号(「Knox」)に開示されている。パッキングユニットは、エラストマー本体に埋め込まれた複数の金属インサートを含む。坑井孔圧力に抗して封止するためにドリルパイプのまわりにまたはそれ自体にパッキングユニットを圧縮する際、エラストマー本体は半径方向内側に押し込められ、その結果、金属インサートも同様に半径方向内側に移動される。
【0007】
図1は、ハウジング102を含む背景技術のアニュラーBOP101の一例である。アニュラーBOP101は、貫通して延在する孔120を有し、長手軸103のまわりに配置される。パッキングユニット105は、アニュラーBOP101の内部で長手軸103のまわりに配置される。パッキングユニット105はエラストマー環状本体107を含む。パッキングユニット105は、BOP101の孔120と同心の孔111を含む。
【0008】
アニュラーBOP101は、ピストンチャンバ112の開口113に注入される流体によって作動する。流体はピストン117に圧力を印加し、それによりピストン117は上方に移動する。ピストン117が上方に移動すると、ピストン117はくさび面118を通して力をパッキングユニット105に伝達する。くさび面118からパッキングユニット105に伝達された力は、アニュラーBOP101の移動可能ヘッド119の方に上向きに、およびアニュラーBOP101の長手軸103の方に内側に誘導される。パッキングユニット105はアニュラーBOP101の移動可能ヘッド119に抗して保持されるので、パッキングユニット105は、ピストン117からパッキングユニット105に伝達された力により上向きに変位しない。しかし、パッキングユニット105は伝達された力により内側に変位し、それにより、パッキングユニット105はアニュラーBOP101の長手軸103の方に圧縮される。ドリルパイプ130が長手軸103に沿って位置する場合、十分な半径方向圧縮により、パッキングユニット105はドリルパイプのまわりを「閉位置」に封止することになる。開位置は図2に示され、一方、閉位置は図3に示される。ドリルパイプが存在しない場合、パッキングユニット105は、十分な半径方向圧縮により、孔111を完全に封止することになる。
【0009】
アニュラーBOP101で使用されるパッキングユニット105の一例が図4に示される。既に述べたように、パッキングユニット105はエラストマー環状本体107を含み、複数の金属インサート109を含むことができる。金属インサート109は、パッキングユニット105のエラストマー環状本体107中に互いに等しい径方向距離で配置することができる。パッキングユニット105は孔111を含む。
【0010】
従来のパッキングユニットは、良好な物理および石油耐性のためにBOP用途の主力(work horse)であるエラストマー環状本体ニトリルゴム(NBR)を使用している。しかし、NBRは、様々な目的のために坑井で使用される「泥水」の成分である臭化亜鉛(ZnBr2)流体にさらされると化学的劣化が加速する。NBRの代替物は、ZnBr2を含む化学物質に対してより良好な耐性を有するフルオロカーボンエラストマー(FKM)である。しかし、FKMはNBRほど機械的に強くなく、高価でもある。
【0011】
化学的劣化を改善する別の手法はNBR成型BOP部品を表面フッ素化することである。米国特許第5,214,102号および第5,274,049号(それらの内容はそれらの全体が参照により本明細書に含まれる)は、静的および動的摩擦係数を低減し、物品の摩耗寿命を改善するための成型エラストマー物品のフッ素化を説明している。具体的には、これらの2つの文献はクレイトン、ハイトレル、および他の熱可塑性ゴムのようなフッ素化エラストマー(エラストマーおよび熱可塑性特性の両方を有する材料)を考慮したものである。同じように、Journal of Applied Polymer Science、89巻、971〜979頁(2003)に発表された「Enhancement of the Chemical Resistance of Nitrile Rubber by Direct Fluorination」という名称の論文(その全内容はその全体が本明細書に組み込まれる)は、ニトリルゴムにフッ素化層を追加して、化学物質がゴムの内部に浸透しないようにすることを研究しており、機械的特性の低下が抑制されるのを観測している。
【0012】
しかし、表面フッ素化によるNBRは、本用途にとっては依然として十分に良好ではなく、特に、フッ素化が行われると、エラストマー材料に亀裂が現れることが観察された。したがって、前述の問題および欠点を回避するシステムおよび方法を提供することが望ましいことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5274049号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
一例示的実施形態によれば、アニュラー噴出防止装置で使用されるパッカユニットがある。パッカユニットは、ポリマー鎖を有するカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの化合物を含むエラストマー本体と、ポリマー鎖に結合されたある量のフッ素原子とを含む。その化合物は、50%から60%の間のXNBRと、25%から35%の間のカーボンブラックとを含み、残りは他の材料を含み、エラストマー本体がフッ素化されるとき、ある量のフッ素原子がポリマー鎖から少なくとも同量の水素原子を変位させる。
【0015】
別の例示的実施形態によれば、坑井に設置されるアニュラー噴出防止装置がある。アニュラー噴出防止装置には、長手軸のまわりで貫通して延在する孔を有するハウジングと、長手軸のまわりでハウジングの内部に配置されたパッキングユニットと、長手軸に沿って移動し、長手軸の方にパッキングユニットを押し込めるように構成されたピストンとが含まれる。パッキングユニットは、ポリマー鎖を有するカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの化合物を含むエラストマー本体と、ポリマー鎖に結合されたある量のフッ素原子とを含む。その化合物は、50%から60%の間のXNBRと、25%から35%の間のカーボンブラックとを含み、残りは他の材料を含み、エラストマー本体がフッ素化されるとき、ある量のフッ素原子がポリマー鎖から少なくとも同量の水素原子を変位させる。
【0016】
さらなる別の例示的実施形態によれば、ポリマー鎖を有するカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの化合物を含むエラストマー本体と、ポリマー鎖に結合されたある量のフッ素原子とを含むデバイスがある。その化合物は、50%から60%の間のXNBRと、25%から35%の間のカーボンブラックとを含み、残りは他の材料を含み、エラストマー本体がフッ素化されるとき、ある量のフッ素原子がポリマー鎖から少なくとも同量の水素原子を変位させる。
【0017】
明細書の一部に組み込まれ、それを構成する添付図面は1つまたは複数の実施形態を図示し、記述とともにこれらの実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来のアニュラー噴出防止装置の概略図である。
【図2】アニュラー噴出防止装置中の開位置のパッキングユニットの断面の概略図である。
【図3】アニュラー噴出防止装置中の閉位置のパッキングユニットの断面の概略図である。
【図4】パッキングユニットの概略図である。
【図5】例示的実施形態による、CP−Nの非フッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図6】例示的実施形態による、CP−Xの非フッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図7】例示的実施形態による、CP−Hの非フッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図8】例示的実施形態による、CP−Fの非フッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図9】例示的実施形態による、CP−NのレベルLのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図10】例示的実施形態による、CP−NのレベルMのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図11】例示的実施形態による、CP−NのレベルHのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図12】例示的実施形態による、CP−XのレベルLのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図13】例示的実施形態による、CP−XのレベルMのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図14】例示的実施形態による、CP−XのレベルHのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図15】例示的実施形態による、CP−HのレベルLのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図16】例示的実施形態による、CP−HのレベルMのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図17】例示的実施形態による、CP−HのレベルHのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図18】例示的実施形態によるフッ素化後のサンプルの表面を示す図である。
【図19】例示的実施形態によるフッ素化後のサンプルの表面を示す図である。
【図20】例示的実施形態によるフッ素化後のサンプルの表面を示す図である。
【図21】例示的実施形態によるパッカユニットのフッ素原子の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
例示的実施形態の以下の説明は添付図面を参照する。異なる図面中の同じ参照番号は同じまたは同様の要素を特定する。以下の詳細な説明は本発明を限定しない。代わりに、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。以下の実施形態では、簡単にするために、アニュラーBOPシステムの術語および構造体に関して説明する。しかし、次に説明する実施形態はこれらのシステムに限定されず、所定の化学的および機械的特性をもつある特定のエラストマーを必要とする他のシステムに適用することができる。
【0020】
本明細書を通して「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」への言及は、実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、または特性が開示する主題の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所に「一実施形態において」または「実施形態において」という句が出現するが必ずしも同じ実施形態を参照していない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせることができる。
【0021】
例示的実施形態によると、アニュラーBOPシステムのパッキングユニットのエラストマー本体を製作するための様々な可能な材料が、表面フッ素化され、次に、化学的および機械的特徴に関して試験された。扱った材料はベースライン材料と比較されている。従来のNBRポリマーマトリクスがベースライン材料として使用される。上述のFKM化合物も試験される。他の試験材料は、カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)および水素化ニトリルゴム(HNBR)に基づく化合物である。
【0022】
これらの材料の構造についての次に簡単に解説する。NBRは実際にはアクリロニトリルおよびブタジエンの不飽和コポリマーの複合体ファミリである。他の特性とのバランスにおいて適切なアクリロニトリル含有量のエラストマーを選択することによって、ゴム配合者は、石油、燃料、および化学的な耐性を必要とする多種多様な適用領域でNBRを使用することができる。
【0023】
大部分のNBR製造業者は少なくとも20個の従来のエラストマー変形形態を製作する。NBR生産者は、「高温」ポリマーおよび「低温」ポリマーを製作するために重合温度を変更する。アクリロニトリル(ACN)とブタジエン(BD)との比は、特定の石油および燃料耐性、ならびに低温要件向けに変更される。第3のモノマー(例えば、ジビニルベンゼン、メタクリル酸)を含む特製NBRポリマーも提供されている。あるNBRエラストマーは水素化されて、ポリマー主鎖の化学反応性が低減され、耐熱性が改善されている(例えばHNBR)。各修正ごとに、一意的に異なる特性が決定される。
【0024】
NBRポリマーの主鎖へのカルボン酸基の添加(XNBR)により、処理特性および硬化特性を変更することができる。その結果は、引張り、引裂、モジュラス、および摩耗の耐性の改善によって調整され、強度増加したポリマーマトリクスである。悪影響には、圧縮永久歪み、耐水性、弾力性、およびいくつかの低温特性の低下が含まれる。
【0025】
NBR、HNBR、およびXNBRのこの説明から、これらの一群が異なる特性を有する多数の製品を含むことに留意されたい。したがって、フッ素化後により望ましい特性を示す1つまたは複数の成分を見い出すのは自明ではなくまたは簡単ではない。
【0026】
臭化亜鉛ブラインが流体密度を増加させるために掘削泥水および仕上溶液のいくつかで使用されたとき、アニュラーBOPに見い出される従来のニトリルエラストマーは臭化亜鉛流体に悪影響を示すことを坑井のオペレータは観測した。
【0027】
3つのBOPニトリル化合物(表1を参照)は3つのレベル、すなわち、レベルL(低)、レベルM(中)、およびレベルH(高)でフッ素化された。フッ素化レベルは、フッ素/炭素比に関して、例えばフッ素化サンプル表面における得られたフッ素原子の濃度によって特性化される。この比は、SEM−EDS(走査型電子顕微鏡およびエネルギー分散システム)によって決定することができる。3つのレベルL、M、およびHでフッ素化された1組のサンプルについて、フッ素原子と炭素原子との以下の比、すなわち、Lレベルでは0.10から0.18、Mレベルでは0.18から0.26、およびHレベルでは0.26から0.34が決定された。フッ素化サンプルは、対応する非フッ素化対照およびFKM化合物と並行して試験された。流体適合性試験が、後述のように、何日か(例えば7日)の間185°Fの高温でZnBr2ブラインならびにディーゼル油にサンプルを浸漬することによって実施された。
【0028】
【表1】
NBR、XNBR、およびHNBR化合物の成分は市販の製品バッチから入手した。例えば、CP−X成分は、ベースポリマー(XNBR)、カーボンブラック、可塑剤、酸化防止剤、加工助剤、ZnOベース材料、硬化剤(例えば、硫黄および促進剤)などを含むことができる。1つの例示的実施形態では、CP−Xのサンプルは以下の量、すなわちそれぞれ100、52、5、3、4.2、10、および1.98の上記の成分を含む。このサンプルでは、XNBRの量は100であると見なされており、残りの成分は、XNBRの量(100)に対する(質量または重量)パーセントとして表される。別の例示的実施形態によれば、ポリマーの量は50%から60%の間であり、カーボンブラックの量は25%から35%の間であり、他の成分のすべてが一緒にサンプルの残りの割合を占める。1つの用途では、ポリマーの量は57%であり、カーボンブラックは30%であり、他の成分は13%を占める。CP−Xは上記の組成のうちのいずれかを表すことが以下で理解されよう。サンプルは、ASTM D3182によって標準ASTMシート(6×6×0.08in)に圧縮成型された。硬化時間および温度は例えば320°Fで15分であった。引張り、引裂、および膨潤のサンプルは、切断縁部が浸漬試験中確実にフッ素化されたままであるようにフッ素化前にASTMダイスによってシートから切断された。フッ素化は、時間、温度、およびフッ素濃度などの様々なフッ素化条件の下で行われた。レベルL、M、およびHはテキサス州、ヒューストンのFluoro−Seal Inc.によって施された。硬度、引張り、および引裂などの物理的試験は以下の状態のサンプルに行われ、パーセント変化が以下で説明するように決定された。
グループ1:非フッ素化サンプル(対照またはレベル0)。
グループ2:フッ素化サンプル(レベルL、レベルM、およびレベルH)。レベルL、M、およびHは、Fluoro−Sealのレベル2、5、および9に対応する。グループ1に対するグループ2のパーセント変化はエラストマー物質へのフッ素化の効果を決定するために計算された。
グループ3:「対照」およびレベルL、M、およびHの流体浸漬サンプル。グループ3のサンプルを、約185°F(85℃)の高温で約168時間(7日)の間臭化亜鉛溶液ならびにオフロード#2ディーゼル油に浸漬した。浸漬の終りに、浸漬標本を流体から取り出し、グループ1および2に適用されたものと同じ手順に従って、周囲環境で、これらの浸漬標本に対して物理的試験を実施した。
【0029】
パーセント変化は流体適合性を決定するために、非浸漬(グループ1および2)サンプルと比較して浸漬(グループ3)サンプルについて計算された。FKM化合物CP−Fはオリジナル状態および浸漬状態で試験された。物理的試験のために適用されたASTM規格を表2に列記する。
【0030】
【表2】
無水ZnBr2および脱イオン水は、Alfa Aesar Chemical Companyから入手した。ZnBr2ブラインは、1.0リットルの脱イオン水に2.2kgのZnBr2(1.0ガロンの水当たり18.65ポンドのZnBr2)を溶かすことによって製作された。フーリエ変換赤外線(FTIR)試験(後述する)がATR−FTIR分光計を使用して実施された。スペクトルのコピーが図に示される。高レベルのフッ素化サンプルの表面は、Caltex 3Dデジタルビデオ顕微鏡システムによって観測された。
【0031】
表3は、非フッ素化(対照)およびフッ素化(レベルL、M、およびH)のCP−N(NBR)、CP−X(XNBR)、およびCP−H(HNBR)化合物の物理的特性を示す。オリジナルのものと比較したフッ素化後の物理的特性のパーセント変化がこの表に示される。FKM化合物CP−Fの物理的特性も比較のために表3に列記する。CP−NおよびCP−Hのフッ素化後の硬度変化は±2ポイント以内にあり、それは小さいと考えることができる。CP−Xでは、レベルMおよびHのフッ素化により、サンプルはレベルL(−2ポイント)よりも軟質(−5ポイントの変化)になった。CP−NおよびCP−HのレベルLサンプルの引張りおよび伸びの低下は約30%であり、それはレベルMおよびHでは50%以上に増加する。言い換えれば、中レベルおよび高レベルのフッ素化により、CP−NおよびCP−Hは引張り強度および極限伸びの半分超を失った。
【0032】
【表3】
CP−Xでは、フッ素化により引張り強度は減少し、伸びは増加するが、これらの変化はどちらも30%未満である。CP−NおよびCP−Hでは、フッ素化により100モジュラス(これは、長さについて100%だけサンプルを変形させる既知の試験である)は増加する。しかし、CP−Xでは、100モジュラスはフッ素化によって減少し、その減少はレベルMおよびHに関してより顕著である。フッ素化により、CP−Xでは引裂強度が増加する。フッ素化後のCP−NおよびCP−Hでは、引裂強度は減少した。CP−NおよびCP−Hと比較すると、CP−Xのエラストマー物質へのフッ素化の効果は、特に、引張り、伸び、および引裂のような極限特性に関して、潜在的なBOP用途にとってより望ましくかつより肯定的である。
【0033】
表4は、100時間から200時間の間(例えば185°F(85℃)で168時間)臭化亜鉛溶液に浸漬した後の非フッ素化(対照)サンプルおよびフッ素化(レベルL、M、およびH)サンプルの物理的特性を列記する。パーセント変化は表3に列記した非浸漬データに基づいて計算されている。FKMデータは、比較のために各表の右端の列に列記される。
【0034】
【表4】
ZnBr2ブラインに浸漬した後、非フッ素化ニトリルの硬度は10ポイント以上増加した。レベルL、M、およびHのフッ素化により、CP−Xの硬度ショア−A変化は3または4ポイントに減少した。低レベルのフッ素化は、CP−NおよびCP−Hの硬度保持率をわずかに改善した。しかし、レベルMおよびHは、CP−NおよびCP−Hのショア−A変化を2から4ポイントに低減した。非フッ素化サンプル(L−0)では、ZnBr2ブラインは、CP−NおよびCP−Xの引張りに無視できるほどの変化をもたらしたが、CP−Hの引張りを増加させた。3つの非フッ素化ニトリルのすべてに対して、ZnBr2ブラインは伸長を減少させ、モジュラスを増加させた。
【0035】
引張りの保持、伸長の減少、およびモジュラスの増加により、サンプルはよりプラスチック様になった、言い換えれば、弾性が減少したが、それは望ましくない。これらの引張りの結果は硬度の結果と整合している、すなわち、ZnBr2ブラインエージングは非フッ素化ニトリルサンプル(NBR、XNBR、またはHNBR)を硬化または剛化する。弾性の低下は、ニトリルBOPパッキングユニットが臭化亜鉛環境中で特に高温において故障する主要な根本的原因である。
【0036】
ZnBr2ブラインに浸漬した後の伸長を、非フッ素化(L−0)サンプルとフッ素化(レベルL、M、およびH)サンプルとの間で比較すると、大幅な差はない。CP−NおよびCP−Hでは、ZnBr2浸漬後の伸長のパーセント変化はフッ素化とともに減少したが、それは、フッ素化がオリジナルの伸長を低減した、言い換えればベースラインを低下させたからである。
【0037】
非フッ素化CP−NおよびCP−Hの100%モジュラス変化は300%を超えるほどの高さである。低レベルのフッ素化により、これらの変化は減少したが、依然として200%を超えている。中レベルのフッ素化はパーセント変化を50%まで低下させたが、高レベルはパーセント変化を約20%までさらに低減した。非フッ素化CP−Xは、CP−NおよびCP−Hの対照物よりもモジュラスのパーセント変化が少ないが、依然として100%を超えるほどの高さである。フッ素化はこれらの変化を50%未満にしたが、レベルL、M、およびHの間で大幅な差はない。
【0038】
ZnBr2浸漬のモジュラスへの影響は硬度への影響と整合している。ショア−A硬度および引張りモジュラスの両方は剛性を示すので、表4の結果は、高温でのZnBr2浸漬により、NBR、XNBR、およびHNBR化合物を含むニトリルはより堅くなるかまたは脆くなったが、それが臭化亜鉛環境中のBOPエラストマー故障の主要な根本的原因のうちの1つであることを示している。表面フッ素化は、臭化亜鉛ブラインへのニトリルの耐性、特に柔軟性を保持する能力を改善する。
【0039】
サンプルの引裂強度はZnBr2浸漬後に減少した。ZnBr2の引裂はフッ素化によって改善されない。3つのニトリルすべてについてフッ素化レベルの増加とともに引裂強度が減少する傾向は引張り強度の場合と極めて類似している。表4はZnBr2浸漬後の膨潤体積変化を示している。フッ素化により、3つの試験した化合物のすべてについて体積膨潤が減少した。体積膨潤の減少は、特にCP−NおよびCP−Hではフッ素化レベルの増加とともに改善している。全体として、表4に示されているように、ZnBr2浸漬はFKM化合物CP−Fへの影響はほとんどない。ZnBr2浸漬後のFKMに試験したいかなる物理的特性の変化も無視できる。
【0040】
表5は、100時間から200時間の間(例えば185°F(85℃)で168時間)#2ディーゼル油に浸漬した後の非フッ素化(対照)サンプルおよびフッ素化(レベルL、M、およびH)サンプルの物理的特性を列記する。ディーゼル油への浸漬は、石油およびガス分野でエラストマーに行われる標準試験である。ニトリルのZnBr2硬化と異なり、ディーゼル油はニトリルを軟化させる。ZnBr2ブラインは化学的にニトリルを攻撃し、その結果、エラストマーは酸化のために硬化するが、ディーゼル油はより物理的に可塑剤のように働いている。したがって、引張り強度および引裂強度がディーゼル油浸漬後減少したこと、およびモジュラスが減少したかまたはほぼ変わらなかったことは理解し得る。伸長は減少したが、その低下はZnBr2におけるほど厳しくない。
【0041】
【表5】
表5は、ディーゼル油浸漬後の体積変化(%)を示している。CP−Xでは、フッ素化したサンプルとフッ素化してないサンプルとの間の体積変化の差は非常に小さい。CP−NおよびCP−Hでは、レベルMおよびHのフッ素化により、ディーゼル油中の体積膨潤が著しく減少したが、それは、硬度およびモジュラスのより良好な保持と整合している。しかし、これは、極限特性(引張り、伸長、および引裂)の保持につながらなかった。
【0042】
ディーゼル油中のCP−Fの体積変化は2.99%であり、それは、非フッ素化またはフッ素化され、試験されたニトリルよりも非常に低い。しかし、臭化亜鉛ブラインではFKMの膨潤の減少によりFKMの特性は改善されるが、ディーゼル油でのFKMの膨潤は非常に少ないので物理的特性の保持への利益はあまりもたらされない。一方、ニトリルのフッ素化により、臭化亜鉛ブラインへの耐性は増強されるが、ディーゼル油への耐性は増強されない。
【0043】
HDPE容器などのポリオレフィンのフッ素化は首尾よく商業化され、石油/燃料耐性は増強された。しかし、ニトリルのフッ素化は、対照のベースラインが本質的に石油/燃料耐性エラストマーである非フッ素化ニトリルであるので、ディーゼル油耐性を著しく改善することができない。
【0044】
研究したサンプルにフラウア原子(flour atom)が存在するのを確認するためにFTIR分析が行われた。図5〜7は、それぞれ非フッ素化CP−N、CP−X、およびCP−HのFTIRスペクトルを示す。これらのスペクトルのIRバンドは、NBR、XNBR、またはHNBR化合物のスペクトルに見られる典型的なものである。例えば、図5に示されたバンド501は2つのピーク500および502を含む。これらのピークはいくつかの化学元素に対応し、ピークのサイズは対応する化学成分の量に関連する。図5〜7の3つのスペクトルのすべてにおいて、3000〜2850cm-1の二重バンドはC−H結合に起因する。約2235cm-1はCNニトリル三重結合からの弱いバンドである。1670〜1640cm-1のバンドは、未架橋箇所の炭素−炭素二重結合残部からのC=C結合を示す。CP−XはXNBR(カルボキシル化ニトリルゴム)化合物であるので、CP−Xはカルボキシル基の特性である1730〜1697cm-1に特有のバンド504を有する。
【0045】
図8はCP−FサンプルのFTIRスペクトルを示す。1270cm-1から1100cm-1の間の最も強力で最も広いバンドはCF2結合に対応づけられる。1470cm-1から1320cm-1の間のバンドはFKM主鎖の(CH2CF2)部分からのCH2結合に起因する。図9〜17は、それぞれフッ素化したCP−N、CP−X、およびCP−H、ならびにレベルL、M、およびHのFTIRスペクトルを示す。C−F結合の存在は1200cm-1のまわりの強力なバンドで検出され、それは非フッ素化ニトリルの場合の図5から7では見られないが、FKMの場合の図8では見られる。さらに、非フッ素化ニトリルの場合の図5〜7で見られるCH結合(3000〜2850cm-1)およびC=C結合(1670〜1640cm-1)に対応するバンドは、図9〜17ではフッ素化ニトリルのすべてについて減少した。多分、フッ素化中に、CH結合がCF結合によって置換され、一方C=C二重結合が切断され、その結果、CFCF結合が形成されている。
【0046】
2235cm-1のIRバンド(CNニトリル三重結合)は大部分のフッ素化ニトリルのスペクトルに残っており、それは、CNニトリル基のうちの少なくともいくつかがフッ素化されなかったことを示している。非フッ素化CP−X(図6)で見られる1730〜1697cm-1(カルボキシル基)のIRバンドが、フッ素化CP−X(図12〜14)では減少しており、それは、カルボキシル基がフッ素化中にフッ素と反応することに帰着する。この反応の正確な得られた化学構造はこの研究に基づいてははっきりは分からないが、CP−NおよびCP−Hと比較してCP−Xのフッ素化の特異性は確実である。これは、前の節で説明したような機械的および流体適合性の差異と整合する。
【0047】
言い換えれば、FTIRの結果は、すべてのフッ素化ニトリルにフッ素元素が存在することを明確に示している。フッ素化NBR、XNBR、またはHNBR化合物のFTIRスペクトルは、非フッ素化対照物よりもFKM化合物のFTIRスペクトルに似ている。ここで示したスペクトルはATR−FTIR試験から得られており、それは、数ミクロンの深さまでのサンプル表面の特性を決定する。
【0048】
フッ素化はニトリルエラストマー(NBR、XNBR、およびHNBR)の表面をFKM材料に非常に類似した層に変化させたことがFTIRから確認される。このフッ素化層は臭化亜鉛攻撃を阻止する障壁として働き、したがって、膨潤体積変化を低減し、臭化亜鉛ブライン環境における硬度およびモジュラスの保持を強化する。
【0049】
図18〜20は、倍率300×による、それぞれ高レベルフッ素化CP−N、CP−X、およびCP−Hの表面の光学顕微鏡写真を示す。NBR化合物では、フッ素化によりフッ素化表面に小さい亀裂が生成されたことが報告されている。それぞれ図18および図20に示されるように、本試験において、高レベルフッ素化CP−N(NBR)およびCP−H(HNBR)の表面に亀裂180が観測された。しかし、図19に示されるように、高レベルフッ素化CP−X(XNBR)の表面にはいかなる亀裂も見えなかった。図18および図20で見られた微小亀裂は、フッ素化CP−NおよびCP−Hの共通の引張り挙動、ならびにフッ素化CP−Xの特有の機械的性能を理解する重要な手がかりとなり得る。表3を参照しながら説明したように、フッ素化は、極限引張り特性、すなわち引張りおよび伸長を、CP−NおよびCP−Hでは実質的に低減したが、CP−Xでは実質的に低減しなかった。フッ素化CP−NおよびCP−Hの強度の低下は、フッ素化で生成された表面の微小亀裂に起因する可能性がある。引張り応力下で、亀裂は伝播し、より低い引張りおよび伸長で破滅的破壊をもたらす。
【0050】
したがって、CP−Xは、その巨大分子鎖に特有のカルボキシル基があるXNBR化合物であることが発見された。カルボキシル基を導入すると、ニトリルエラストマーの物理的特性、特に表面の耐摩耗性が改善される。本試験の示すところによれば、CP−XのXNBRサンプルはフッ素化の化学エッチングに対して強力な表面耐性を有する。高レベルフッ素化CP−Xでの図19に示されたような微小亀裂のない円滑な表面は、靱性の良好な保持、例えば引張りおよび伸長の良好な保持と整合する。
【0051】
高温の臭化亜鉛ブライン中に浸漬すると、NBR(CP−N)、XNBR(CP−X)、およびHNBR(CP−H)を含むニトリルエラストマーは硬化および剛化されることが上記の試験に基づいて決定された。言い換えれば、ZnBr2流体にさらされると、ニトリルは柔軟性および弾性を失い、それは、ZnBr2環境中でのBOPエラストマー故障の主要な根本的原因となる。フッ素化はニトリルの表面にフッ素元素を化学的に結合し、フルオロカーボン層を形成する。したがって、形成されたフルオロカーボン障壁は、ニトリルマトリクスへのZnBr2ブラインの拡散を低減し、例えばニトリルのZnBr2膨潤を低減する。このフルオロカーボン保護層は、ZnBr2暴露中のニトリルの柔軟性および弾性の保持、例えば硬度およびモジュラスの保持を改善する。
【0052】
フッ素化は、フッ素化NBRおよびHNBRサンプルの表面に微小亀裂を生成し、それが引張りおよび伸長の低下をもたらす。フッ素化XNBR(CP−X)表面に微小亀裂は見られず、これは、本実験で見い出されたように、物理的摩耗だけでなく化学的フッ素エッチングに対しても摩耗耐性が優れていることに帰すことができ、引張りおよび伸長のより良好な保持をもたらす。本発見によれば、CP−XなどXNBR化合物の予想外の特性は、臭化亜鉛環境中のBOPエラストマー用途用にフッ素化するための第1の選択肢となり得ることがわかる。
【0053】
CP−NおよびCP−Hなどのフッ素化NBRおよびHNBR化合物では、フッ素化中に生成された微小亀裂は、ASTMダンベルクーポンの引張試験で不十分な極限特性をもたらす。亀裂が伝播し、より低い圧力またはより少ないサイクルで故障を発生させる場合、NBRおよびHNBRにフッ素化を適用するのは制限されることになる。NBRおよびHNBRの化合物では、フッ素化レベルの増加とともに、臭化亜鉛ブラインとの適合性は強化されるが、靱性は減少する。これらの特性のバランスのためオプションのフッ素化レベル、すなわちレベルMを使用することができる。
【0054】
図21に示した例示的実施形態によると、アニュラー噴出防止装置で使用することができるパッカユニット200は、ポリマー鎖を有するカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーのCP−X化合物を含むエラストマー本体105(全本体の一部分だけが図に示されている)を含む。ある量のフッ素原子がポリマー鎖に結合され、この量のフッ素原子が層202として示されている。フッ素原子はポリマー鎖に個々の原子(例えば、C)に接続されることが理解されるべきである。フッ素原子の層202はエラストマー本体105の被覆として生じることができ、例えば、エラストマー本体105と周囲との間の界面を形成する。例示的実施形態によると、エラストマー本体がフッ素化されるとき、ポリマー鎖に結合するある量のフッ素原子は、ポリマー鎖から少なくとも同量の水素原子(それはフッ素化前に鎖に結合されている)を変位させる。しかし、鎖の炭素原子間の二重結合はフッ素化中に切断されることがあり、フッ素原子は対応する水素原子を除去することなくこれらの炭素原子に結合できるので、フッ素原子の量はより高くなることができる。本出願はパッカユニットに関して説明したが、フッ素化CP−X化合物は、石油およびガス産業で使用される他のデバイス、例えば、トップシール、ダイアフラム、ラムBOPなどで使用することができることに留意されたい。
【0055】
開示した例示的実施形態は、従来のユニットよりも良好に化学的劣化に耐えるパッカユニットおよび噴出防止装置を提供する。本説明は本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。それどころか、例示的実施形態は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨および範囲に含まれる代替物、変更物、および均等物をカバーするものである。さらに、例示的実施形態の詳細な説明において、特許請求する本発明の包括的理解を提供するために多数の具体的詳細が記載されている。しかし、様々な実施形態がそのような具体的詳細なしに実施できることを当業者なら理解されよう。
【0056】
本例示的実施形態の特徴および要素は特定の組合せの実施形態で説明されているが、各特徴または要素は、実施形態の他の特徴および要素を用いることなしに単独で、または本明細書で開示した他の特徴および要素を用いたまたは用いない様々な組合せで使用することができる。
【0057】
本書は、開示された主題の例を使用して、任意のデバイスまたはシステムを製作および使用すること、ならびに任意の組み込んだ方法を実行することを含めて本発明を当業者が実施できるようにしている。主題の特許性のある範囲は特許請求の範囲によって規定され、当業者が思いつく他の例を含むことができる。そのような他の例は、特許請求の範囲の範囲内にあるものである。
【符号の説明】
【0058】
101 アニュラーBOP
102 ハウジング
103 長手軸
105 パッキングユニット
107 エラストマー環状本体
109 金属インサート
111 孔
112 ピストンチャンバ
113 開口
117 ピストン
118 くさび面
119 移動可能ヘッド
120 孔
130 ドリルパイプ
180 亀裂
200 パッカユニット
202 フッ素原子の層
500、502 ピーク
501 バンド
504 バンド
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題の実施形態は、一般に、既存のパッカよりも良好に厳しい環境に耐えるフッ素化エラストマー噴出防止装置パッカを生産するための方法およびシステムに関し、より詳細には、機構および技法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数年の間、化石燃料の値上がりとともに、新しい坑井の開発への関心が劇的に増大した。例えば、石油およびガスの探査用途で坑井を掘削する場合、掘削作業に関連する予期しない事象に起因する従業員の負傷、ならびに環境および/または装置の損傷を防止するために、安全デバイスが適所に設置される。したがって、坑井制御は石油およびガス探査の重要な側面である。
【0003】
石油およびガス探査における坑井の掘削は、様々な地表下の地質構造または「層」を貫通することを必要とする。坑井孔は、坑井孔に維持されている圧力よりも実質的に高い地層圧を有する層を貫通することがある。これが起きたとき、坑井は「キックした」と言われる。キックに伴う圧力上昇は、一般に、坑井孔への地層流体(それらは液体、ガス、またはそれらの組合せである場合がある)の流入によって生じる。比較的高圧のキックは、坑井孔の上向き孔の入口地点から(高圧領域から低圧領域に)伝播する傾向がある。キックを地表に到達させた場合、掘削流体、坑井器具、および他の掘削構造体が坑井孔から暴噴するおそれがあり、坑井の完全性が破壊され、環境への深刻な影響をもたらす(例えば、制御されていない石油が海中にあふれ出る)おそれがある。この「暴噴」は、掘削装置(例えば、掘削リグを含む)を壊滅的に破壊し、リグ要員に相当な傷害を負わせ、または死に至らしめることもある。
【0004】
暴噴の危険性があるために、噴出防止装置(「BOP」)が、一般に大水深掘削装置の表面または海底に設置され、キックを制御するための積極的な対策を取ることができるまで坑井孔を効果的に封止する。キックが十分に制御され、システムの「外に循環される」ようにBOPを作動させることができる。BOPにはいくつかのタイプがあり、それらのうちの1つの一般的なタイプはアニュラー噴出防止装置である。
【0005】
アニュラーBOPは、一般に、坑井孔のまわりを完全に封止するために、ドリルパイプおよび坑井器具を封入するように作動させることができる環状エラストマー「パッキングユニット」を含む。ドリルパイプまたは坑井器具がパッキングユニットの孔の内部にない状況では、パッキングユニットは、孔が完全に閉じられるほどまで圧縮することができ、坑井孔のバルブとして働く。一般に、パッキングユニットは、ドリルパイプのまわりを封止する場合に使用され、その際、パイプのまわりを封止するようにパッキングユニットを手動または機械によって迅速に圧縮し、坑井が暴噴するのを防止することができる。
【0006】
パッキングユニットを有するアニュラーBOPの一例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第2,609,836号(「Knox」)に開示されている。パッキングユニットは、エラストマー本体に埋め込まれた複数の金属インサートを含む。坑井孔圧力に抗して封止するためにドリルパイプのまわりにまたはそれ自体にパッキングユニットを圧縮する際、エラストマー本体は半径方向内側に押し込められ、その結果、金属インサートも同様に半径方向内側に移動される。
【0007】
図1は、ハウジング102を含む背景技術のアニュラーBOP101の一例である。アニュラーBOP101は、貫通して延在する孔120を有し、長手軸103のまわりに配置される。パッキングユニット105は、アニュラーBOP101の内部で長手軸103のまわりに配置される。パッキングユニット105はエラストマー環状本体107を含む。パッキングユニット105は、BOP101の孔120と同心の孔111を含む。
【0008】
アニュラーBOP101は、ピストンチャンバ112の開口113に注入される流体によって作動する。流体はピストン117に圧力を印加し、それによりピストン117は上方に移動する。ピストン117が上方に移動すると、ピストン117はくさび面118を通して力をパッキングユニット105に伝達する。くさび面118からパッキングユニット105に伝達された力は、アニュラーBOP101の移動可能ヘッド119の方に上向きに、およびアニュラーBOP101の長手軸103の方に内側に誘導される。パッキングユニット105はアニュラーBOP101の移動可能ヘッド119に抗して保持されるので、パッキングユニット105は、ピストン117からパッキングユニット105に伝達された力により上向きに変位しない。しかし、パッキングユニット105は伝達された力により内側に変位し、それにより、パッキングユニット105はアニュラーBOP101の長手軸103の方に圧縮される。ドリルパイプ130が長手軸103に沿って位置する場合、十分な半径方向圧縮により、パッキングユニット105はドリルパイプのまわりを「閉位置」に封止することになる。開位置は図2に示され、一方、閉位置は図3に示される。ドリルパイプが存在しない場合、パッキングユニット105は、十分な半径方向圧縮により、孔111を完全に封止することになる。
【0009】
アニュラーBOP101で使用されるパッキングユニット105の一例が図4に示される。既に述べたように、パッキングユニット105はエラストマー環状本体107を含み、複数の金属インサート109を含むことができる。金属インサート109は、パッキングユニット105のエラストマー環状本体107中に互いに等しい径方向距離で配置することができる。パッキングユニット105は孔111を含む。
【0010】
従来のパッキングユニットは、良好な物理および石油耐性のためにBOP用途の主力(work horse)であるエラストマー環状本体ニトリルゴム(NBR)を使用している。しかし、NBRは、様々な目的のために坑井で使用される「泥水」の成分である臭化亜鉛(ZnBr2)流体にさらされると化学的劣化が加速する。NBRの代替物は、ZnBr2を含む化学物質に対してより良好な耐性を有するフルオロカーボンエラストマー(FKM)である。しかし、FKMはNBRほど機械的に強くなく、高価でもある。
【0011】
化学的劣化を改善する別の手法はNBR成型BOP部品を表面フッ素化することである。米国特許第5,214,102号および第5,274,049号(それらの内容はそれらの全体が参照により本明細書に含まれる)は、静的および動的摩擦係数を低減し、物品の摩耗寿命を改善するための成型エラストマー物品のフッ素化を説明している。具体的には、これらの2つの文献はクレイトン、ハイトレル、および他の熱可塑性ゴムのようなフッ素化エラストマー(エラストマーおよび熱可塑性特性の両方を有する材料)を考慮したものである。同じように、Journal of Applied Polymer Science、89巻、971〜979頁(2003)に発表された「Enhancement of the Chemical Resistance of Nitrile Rubber by Direct Fluorination」という名称の論文(その全内容はその全体が本明細書に組み込まれる)は、ニトリルゴムにフッ素化層を追加して、化学物質がゴムの内部に浸透しないようにすることを研究しており、機械的特性の低下が抑制されるのを観測している。
【0012】
しかし、表面フッ素化によるNBRは、本用途にとっては依然として十分に良好ではなく、特に、フッ素化が行われると、エラストマー材料に亀裂が現れることが観察された。したがって、前述の問題および欠点を回避するシステムおよび方法を提供することが望ましいことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5274049号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
一例示的実施形態によれば、アニュラー噴出防止装置で使用されるパッカユニットがある。パッカユニットは、ポリマー鎖を有するカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの化合物を含むエラストマー本体と、ポリマー鎖に結合されたある量のフッ素原子とを含む。その化合物は、50%から60%の間のXNBRと、25%から35%の間のカーボンブラックとを含み、残りは他の材料を含み、エラストマー本体がフッ素化されるとき、ある量のフッ素原子がポリマー鎖から少なくとも同量の水素原子を変位させる。
【0015】
別の例示的実施形態によれば、坑井に設置されるアニュラー噴出防止装置がある。アニュラー噴出防止装置には、長手軸のまわりで貫通して延在する孔を有するハウジングと、長手軸のまわりでハウジングの内部に配置されたパッキングユニットと、長手軸に沿って移動し、長手軸の方にパッキングユニットを押し込めるように構成されたピストンとが含まれる。パッキングユニットは、ポリマー鎖を有するカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの化合物を含むエラストマー本体と、ポリマー鎖に結合されたある量のフッ素原子とを含む。その化合物は、50%から60%の間のXNBRと、25%から35%の間のカーボンブラックとを含み、残りは他の材料を含み、エラストマー本体がフッ素化されるとき、ある量のフッ素原子がポリマー鎖から少なくとも同量の水素原子を変位させる。
【0016】
さらなる別の例示的実施形態によれば、ポリマー鎖を有するカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの化合物を含むエラストマー本体と、ポリマー鎖に結合されたある量のフッ素原子とを含むデバイスがある。その化合物は、50%から60%の間のXNBRと、25%から35%の間のカーボンブラックとを含み、残りは他の材料を含み、エラストマー本体がフッ素化されるとき、ある量のフッ素原子がポリマー鎖から少なくとも同量の水素原子を変位させる。
【0017】
明細書の一部に組み込まれ、それを構成する添付図面は1つまたは複数の実施形態を図示し、記述とともにこれらの実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来のアニュラー噴出防止装置の概略図である。
【図2】アニュラー噴出防止装置中の開位置のパッキングユニットの断面の概略図である。
【図3】アニュラー噴出防止装置中の閉位置のパッキングユニットの断面の概略図である。
【図4】パッキングユニットの概略図である。
【図5】例示的実施形態による、CP−Nの非フッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図6】例示的実施形態による、CP−Xの非フッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図7】例示的実施形態による、CP−Hの非フッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図8】例示的実施形態による、CP−Fの非フッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図9】例示的実施形態による、CP−NのレベルLのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図10】例示的実施形態による、CP−NのレベルMのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図11】例示的実施形態による、CP−NのレベルHのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図12】例示的実施形態による、CP−XのレベルLのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図13】例示的実施形態による、CP−XのレベルMのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図14】例示的実施形態による、CP−XのレベルHのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図15】例示的実施形態による、CP−HのレベルLのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図16】例示的実施形態による、CP−HのレベルMのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図17】例示的実施形態による、CP−HのレベルHのフッ素化サンプルの赤外スペクトルを示す図である。
【図18】例示的実施形態によるフッ素化後のサンプルの表面を示す図である。
【図19】例示的実施形態によるフッ素化後のサンプルの表面を示す図である。
【図20】例示的実施形態によるフッ素化後のサンプルの表面を示す図である。
【図21】例示的実施形態によるパッカユニットのフッ素原子の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
例示的実施形態の以下の説明は添付図面を参照する。異なる図面中の同じ参照番号は同じまたは同様の要素を特定する。以下の詳細な説明は本発明を限定しない。代わりに、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。以下の実施形態では、簡単にするために、アニュラーBOPシステムの術語および構造体に関して説明する。しかし、次に説明する実施形態はこれらのシステムに限定されず、所定の化学的および機械的特性をもつある特定のエラストマーを必要とする他のシステムに適用することができる。
【0020】
本明細書を通して「一実施形態(one embodiment)」または「実施形態(an embodiment)」への言及は、実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、または特性が開示する主題の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所に「一実施形態において」または「実施形態において」という句が出現するが必ずしも同じ実施形態を参照していない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせることができる。
【0021】
例示的実施形態によると、アニュラーBOPシステムのパッキングユニットのエラストマー本体を製作するための様々な可能な材料が、表面フッ素化され、次に、化学的および機械的特徴に関して試験された。扱った材料はベースライン材料と比較されている。従来のNBRポリマーマトリクスがベースライン材料として使用される。上述のFKM化合物も試験される。他の試験材料は、カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)および水素化ニトリルゴム(HNBR)に基づく化合物である。
【0022】
これらの材料の構造についての次に簡単に解説する。NBRは実際にはアクリロニトリルおよびブタジエンの不飽和コポリマーの複合体ファミリである。他の特性とのバランスにおいて適切なアクリロニトリル含有量のエラストマーを選択することによって、ゴム配合者は、石油、燃料、および化学的な耐性を必要とする多種多様な適用領域でNBRを使用することができる。
【0023】
大部分のNBR製造業者は少なくとも20個の従来のエラストマー変形形態を製作する。NBR生産者は、「高温」ポリマーおよび「低温」ポリマーを製作するために重合温度を変更する。アクリロニトリル(ACN)とブタジエン(BD)との比は、特定の石油および燃料耐性、ならびに低温要件向けに変更される。第3のモノマー(例えば、ジビニルベンゼン、メタクリル酸)を含む特製NBRポリマーも提供されている。あるNBRエラストマーは水素化されて、ポリマー主鎖の化学反応性が低減され、耐熱性が改善されている(例えばHNBR)。各修正ごとに、一意的に異なる特性が決定される。
【0024】
NBRポリマーの主鎖へのカルボン酸基の添加(XNBR)により、処理特性および硬化特性を変更することができる。その結果は、引張り、引裂、モジュラス、および摩耗の耐性の改善によって調整され、強度増加したポリマーマトリクスである。悪影響には、圧縮永久歪み、耐水性、弾力性、およびいくつかの低温特性の低下が含まれる。
【0025】
NBR、HNBR、およびXNBRのこの説明から、これらの一群が異なる特性を有する多数の製品を含むことに留意されたい。したがって、フッ素化後により望ましい特性を示す1つまたは複数の成分を見い出すのは自明ではなくまたは簡単ではない。
【0026】
臭化亜鉛ブラインが流体密度を増加させるために掘削泥水および仕上溶液のいくつかで使用されたとき、アニュラーBOPに見い出される従来のニトリルエラストマーは臭化亜鉛流体に悪影響を示すことを坑井のオペレータは観測した。
【0027】
3つのBOPニトリル化合物(表1を参照)は3つのレベル、すなわち、レベルL(低)、レベルM(中)、およびレベルH(高)でフッ素化された。フッ素化レベルは、フッ素/炭素比に関して、例えばフッ素化サンプル表面における得られたフッ素原子の濃度によって特性化される。この比は、SEM−EDS(走査型電子顕微鏡およびエネルギー分散システム)によって決定することができる。3つのレベルL、M、およびHでフッ素化された1組のサンプルについて、フッ素原子と炭素原子との以下の比、すなわち、Lレベルでは0.10から0.18、Mレベルでは0.18から0.26、およびHレベルでは0.26から0.34が決定された。フッ素化サンプルは、対応する非フッ素化対照およびFKM化合物と並行して試験された。流体適合性試験が、後述のように、何日か(例えば7日)の間185°Fの高温でZnBr2ブラインならびにディーゼル油にサンプルを浸漬することによって実施された。
【0028】
【表1】
NBR、XNBR、およびHNBR化合物の成分は市販の製品バッチから入手した。例えば、CP−X成分は、ベースポリマー(XNBR)、カーボンブラック、可塑剤、酸化防止剤、加工助剤、ZnOベース材料、硬化剤(例えば、硫黄および促進剤)などを含むことができる。1つの例示的実施形態では、CP−Xのサンプルは以下の量、すなわちそれぞれ100、52、5、3、4.2、10、および1.98の上記の成分を含む。このサンプルでは、XNBRの量は100であると見なされており、残りの成分は、XNBRの量(100)に対する(質量または重量)パーセントとして表される。別の例示的実施形態によれば、ポリマーの量は50%から60%の間であり、カーボンブラックの量は25%から35%の間であり、他の成分のすべてが一緒にサンプルの残りの割合を占める。1つの用途では、ポリマーの量は57%であり、カーボンブラックは30%であり、他の成分は13%を占める。CP−Xは上記の組成のうちのいずれかを表すことが以下で理解されよう。サンプルは、ASTM D3182によって標準ASTMシート(6×6×0.08in)に圧縮成型された。硬化時間および温度は例えば320°Fで15分であった。引張り、引裂、および膨潤のサンプルは、切断縁部が浸漬試験中確実にフッ素化されたままであるようにフッ素化前にASTMダイスによってシートから切断された。フッ素化は、時間、温度、およびフッ素濃度などの様々なフッ素化条件の下で行われた。レベルL、M、およびHはテキサス州、ヒューストンのFluoro−Seal Inc.によって施された。硬度、引張り、および引裂などの物理的試験は以下の状態のサンプルに行われ、パーセント変化が以下で説明するように決定された。
グループ1:非フッ素化サンプル(対照またはレベル0)。
グループ2:フッ素化サンプル(レベルL、レベルM、およびレベルH)。レベルL、M、およびHは、Fluoro−Sealのレベル2、5、および9に対応する。グループ1に対するグループ2のパーセント変化はエラストマー物質へのフッ素化の効果を決定するために計算された。
グループ3:「対照」およびレベルL、M、およびHの流体浸漬サンプル。グループ3のサンプルを、約185°F(85℃)の高温で約168時間(7日)の間臭化亜鉛溶液ならびにオフロード#2ディーゼル油に浸漬した。浸漬の終りに、浸漬標本を流体から取り出し、グループ1および2に適用されたものと同じ手順に従って、周囲環境で、これらの浸漬標本に対して物理的試験を実施した。
【0029】
パーセント変化は流体適合性を決定するために、非浸漬(グループ1および2)サンプルと比較して浸漬(グループ3)サンプルについて計算された。FKM化合物CP−Fはオリジナル状態および浸漬状態で試験された。物理的試験のために適用されたASTM規格を表2に列記する。
【0030】
【表2】
無水ZnBr2および脱イオン水は、Alfa Aesar Chemical Companyから入手した。ZnBr2ブラインは、1.0リットルの脱イオン水に2.2kgのZnBr2(1.0ガロンの水当たり18.65ポンドのZnBr2)を溶かすことによって製作された。フーリエ変換赤外線(FTIR)試験(後述する)がATR−FTIR分光計を使用して実施された。スペクトルのコピーが図に示される。高レベルのフッ素化サンプルの表面は、Caltex 3Dデジタルビデオ顕微鏡システムによって観測された。
【0031】
表3は、非フッ素化(対照)およびフッ素化(レベルL、M、およびH)のCP−N(NBR)、CP−X(XNBR)、およびCP−H(HNBR)化合物の物理的特性を示す。オリジナルのものと比較したフッ素化後の物理的特性のパーセント変化がこの表に示される。FKM化合物CP−Fの物理的特性も比較のために表3に列記する。CP−NおよびCP−Hのフッ素化後の硬度変化は±2ポイント以内にあり、それは小さいと考えることができる。CP−Xでは、レベルMおよびHのフッ素化により、サンプルはレベルL(−2ポイント)よりも軟質(−5ポイントの変化)になった。CP−NおよびCP−HのレベルLサンプルの引張りおよび伸びの低下は約30%であり、それはレベルMおよびHでは50%以上に増加する。言い換えれば、中レベルおよび高レベルのフッ素化により、CP−NおよびCP−Hは引張り強度および極限伸びの半分超を失った。
【0032】
【表3】
CP−Xでは、フッ素化により引張り強度は減少し、伸びは増加するが、これらの変化はどちらも30%未満である。CP−NおよびCP−Hでは、フッ素化により100モジュラス(これは、長さについて100%だけサンプルを変形させる既知の試験である)は増加する。しかし、CP−Xでは、100モジュラスはフッ素化によって減少し、その減少はレベルMおよびHに関してより顕著である。フッ素化により、CP−Xでは引裂強度が増加する。フッ素化後のCP−NおよびCP−Hでは、引裂強度は減少した。CP−NおよびCP−Hと比較すると、CP−Xのエラストマー物質へのフッ素化の効果は、特に、引張り、伸び、および引裂のような極限特性に関して、潜在的なBOP用途にとってより望ましくかつより肯定的である。
【0033】
表4は、100時間から200時間の間(例えば185°F(85℃)で168時間)臭化亜鉛溶液に浸漬した後の非フッ素化(対照)サンプルおよびフッ素化(レベルL、M、およびH)サンプルの物理的特性を列記する。パーセント変化は表3に列記した非浸漬データに基づいて計算されている。FKMデータは、比較のために各表の右端の列に列記される。
【0034】
【表4】
ZnBr2ブラインに浸漬した後、非フッ素化ニトリルの硬度は10ポイント以上増加した。レベルL、M、およびHのフッ素化により、CP−Xの硬度ショア−A変化は3または4ポイントに減少した。低レベルのフッ素化は、CP−NおよびCP−Hの硬度保持率をわずかに改善した。しかし、レベルMおよびHは、CP−NおよびCP−Hのショア−A変化を2から4ポイントに低減した。非フッ素化サンプル(L−0)では、ZnBr2ブラインは、CP−NおよびCP−Xの引張りに無視できるほどの変化をもたらしたが、CP−Hの引張りを増加させた。3つの非フッ素化ニトリルのすべてに対して、ZnBr2ブラインは伸長を減少させ、モジュラスを増加させた。
【0035】
引張りの保持、伸長の減少、およびモジュラスの増加により、サンプルはよりプラスチック様になった、言い換えれば、弾性が減少したが、それは望ましくない。これらの引張りの結果は硬度の結果と整合している、すなわち、ZnBr2ブラインエージングは非フッ素化ニトリルサンプル(NBR、XNBR、またはHNBR)を硬化または剛化する。弾性の低下は、ニトリルBOPパッキングユニットが臭化亜鉛環境中で特に高温において故障する主要な根本的原因である。
【0036】
ZnBr2ブラインに浸漬した後の伸長を、非フッ素化(L−0)サンプルとフッ素化(レベルL、M、およびH)サンプルとの間で比較すると、大幅な差はない。CP−NおよびCP−Hでは、ZnBr2浸漬後の伸長のパーセント変化はフッ素化とともに減少したが、それは、フッ素化がオリジナルの伸長を低減した、言い換えればベースラインを低下させたからである。
【0037】
非フッ素化CP−NおよびCP−Hの100%モジュラス変化は300%を超えるほどの高さである。低レベルのフッ素化により、これらの変化は減少したが、依然として200%を超えている。中レベルのフッ素化はパーセント変化を50%まで低下させたが、高レベルはパーセント変化を約20%までさらに低減した。非フッ素化CP−Xは、CP−NおよびCP−Hの対照物よりもモジュラスのパーセント変化が少ないが、依然として100%を超えるほどの高さである。フッ素化はこれらの変化を50%未満にしたが、レベルL、M、およびHの間で大幅な差はない。
【0038】
ZnBr2浸漬のモジュラスへの影響は硬度への影響と整合している。ショア−A硬度および引張りモジュラスの両方は剛性を示すので、表4の結果は、高温でのZnBr2浸漬により、NBR、XNBR、およびHNBR化合物を含むニトリルはより堅くなるかまたは脆くなったが、それが臭化亜鉛環境中のBOPエラストマー故障の主要な根本的原因のうちの1つであることを示している。表面フッ素化は、臭化亜鉛ブラインへのニトリルの耐性、特に柔軟性を保持する能力を改善する。
【0039】
サンプルの引裂強度はZnBr2浸漬後に減少した。ZnBr2の引裂はフッ素化によって改善されない。3つのニトリルすべてについてフッ素化レベルの増加とともに引裂強度が減少する傾向は引張り強度の場合と極めて類似している。表4はZnBr2浸漬後の膨潤体積変化を示している。フッ素化により、3つの試験した化合物のすべてについて体積膨潤が減少した。体積膨潤の減少は、特にCP−NおよびCP−Hではフッ素化レベルの増加とともに改善している。全体として、表4に示されているように、ZnBr2浸漬はFKM化合物CP−Fへの影響はほとんどない。ZnBr2浸漬後のFKMに試験したいかなる物理的特性の変化も無視できる。
【0040】
表5は、100時間から200時間の間(例えば185°F(85℃)で168時間)#2ディーゼル油に浸漬した後の非フッ素化(対照)サンプルおよびフッ素化(レベルL、M、およびH)サンプルの物理的特性を列記する。ディーゼル油への浸漬は、石油およびガス分野でエラストマーに行われる標準試験である。ニトリルのZnBr2硬化と異なり、ディーゼル油はニトリルを軟化させる。ZnBr2ブラインは化学的にニトリルを攻撃し、その結果、エラストマーは酸化のために硬化するが、ディーゼル油はより物理的に可塑剤のように働いている。したがって、引張り強度および引裂強度がディーゼル油浸漬後減少したこと、およびモジュラスが減少したかまたはほぼ変わらなかったことは理解し得る。伸長は減少したが、その低下はZnBr2におけるほど厳しくない。
【0041】
【表5】
表5は、ディーゼル油浸漬後の体積変化(%)を示している。CP−Xでは、フッ素化したサンプルとフッ素化してないサンプルとの間の体積変化の差は非常に小さい。CP−NおよびCP−Hでは、レベルMおよびHのフッ素化により、ディーゼル油中の体積膨潤が著しく減少したが、それは、硬度およびモジュラスのより良好な保持と整合している。しかし、これは、極限特性(引張り、伸長、および引裂)の保持につながらなかった。
【0042】
ディーゼル油中のCP−Fの体積変化は2.99%であり、それは、非フッ素化またはフッ素化され、試験されたニトリルよりも非常に低い。しかし、臭化亜鉛ブラインではFKMの膨潤の減少によりFKMの特性は改善されるが、ディーゼル油でのFKMの膨潤は非常に少ないので物理的特性の保持への利益はあまりもたらされない。一方、ニトリルのフッ素化により、臭化亜鉛ブラインへの耐性は増強されるが、ディーゼル油への耐性は増強されない。
【0043】
HDPE容器などのポリオレフィンのフッ素化は首尾よく商業化され、石油/燃料耐性は増強された。しかし、ニトリルのフッ素化は、対照のベースラインが本質的に石油/燃料耐性エラストマーである非フッ素化ニトリルであるので、ディーゼル油耐性を著しく改善することができない。
【0044】
研究したサンプルにフラウア原子(flour atom)が存在するのを確認するためにFTIR分析が行われた。図5〜7は、それぞれ非フッ素化CP−N、CP−X、およびCP−HのFTIRスペクトルを示す。これらのスペクトルのIRバンドは、NBR、XNBR、またはHNBR化合物のスペクトルに見られる典型的なものである。例えば、図5に示されたバンド501は2つのピーク500および502を含む。これらのピークはいくつかの化学元素に対応し、ピークのサイズは対応する化学成分の量に関連する。図5〜7の3つのスペクトルのすべてにおいて、3000〜2850cm-1の二重バンドはC−H結合に起因する。約2235cm-1はCNニトリル三重結合からの弱いバンドである。1670〜1640cm-1のバンドは、未架橋箇所の炭素−炭素二重結合残部からのC=C結合を示す。CP−XはXNBR(カルボキシル化ニトリルゴム)化合物であるので、CP−Xはカルボキシル基の特性である1730〜1697cm-1に特有のバンド504を有する。
【0045】
図8はCP−FサンプルのFTIRスペクトルを示す。1270cm-1から1100cm-1の間の最も強力で最も広いバンドはCF2結合に対応づけられる。1470cm-1から1320cm-1の間のバンドはFKM主鎖の(CH2CF2)部分からのCH2結合に起因する。図9〜17は、それぞれフッ素化したCP−N、CP−X、およびCP−H、ならびにレベルL、M、およびHのFTIRスペクトルを示す。C−F結合の存在は1200cm-1のまわりの強力なバンドで検出され、それは非フッ素化ニトリルの場合の図5から7では見られないが、FKMの場合の図8では見られる。さらに、非フッ素化ニトリルの場合の図5〜7で見られるCH結合(3000〜2850cm-1)およびC=C結合(1670〜1640cm-1)に対応するバンドは、図9〜17ではフッ素化ニトリルのすべてについて減少した。多分、フッ素化中に、CH結合がCF結合によって置換され、一方C=C二重結合が切断され、その結果、CFCF結合が形成されている。
【0046】
2235cm-1のIRバンド(CNニトリル三重結合)は大部分のフッ素化ニトリルのスペクトルに残っており、それは、CNニトリル基のうちの少なくともいくつかがフッ素化されなかったことを示している。非フッ素化CP−X(図6)で見られる1730〜1697cm-1(カルボキシル基)のIRバンドが、フッ素化CP−X(図12〜14)では減少しており、それは、カルボキシル基がフッ素化中にフッ素と反応することに帰着する。この反応の正確な得られた化学構造はこの研究に基づいてははっきりは分からないが、CP−NおよびCP−Hと比較してCP−Xのフッ素化の特異性は確実である。これは、前の節で説明したような機械的および流体適合性の差異と整合する。
【0047】
言い換えれば、FTIRの結果は、すべてのフッ素化ニトリルにフッ素元素が存在することを明確に示している。フッ素化NBR、XNBR、またはHNBR化合物のFTIRスペクトルは、非フッ素化対照物よりもFKM化合物のFTIRスペクトルに似ている。ここで示したスペクトルはATR−FTIR試験から得られており、それは、数ミクロンの深さまでのサンプル表面の特性を決定する。
【0048】
フッ素化はニトリルエラストマー(NBR、XNBR、およびHNBR)の表面をFKM材料に非常に類似した層に変化させたことがFTIRから確認される。このフッ素化層は臭化亜鉛攻撃を阻止する障壁として働き、したがって、膨潤体積変化を低減し、臭化亜鉛ブライン環境における硬度およびモジュラスの保持を強化する。
【0049】
図18〜20は、倍率300×による、それぞれ高レベルフッ素化CP−N、CP−X、およびCP−Hの表面の光学顕微鏡写真を示す。NBR化合物では、フッ素化によりフッ素化表面に小さい亀裂が生成されたことが報告されている。それぞれ図18および図20に示されるように、本試験において、高レベルフッ素化CP−N(NBR)およびCP−H(HNBR)の表面に亀裂180が観測された。しかし、図19に示されるように、高レベルフッ素化CP−X(XNBR)の表面にはいかなる亀裂も見えなかった。図18および図20で見られた微小亀裂は、フッ素化CP−NおよびCP−Hの共通の引張り挙動、ならびにフッ素化CP−Xの特有の機械的性能を理解する重要な手がかりとなり得る。表3を参照しながら説明したように、フッ素化は、極限引張り特性、すなわち引張りおよび伸長を、CP−NおよびCP−Hでは実質的に低減したが、CP−Xでは実質的に低減しなかった。フッ素化CP−NおよびCP−Hの強度の低下は、フッ素化で生成された表面の微小亀裂に起因する可能性がある。引張り応力下で、亀裂は伝播し、より低い引張りおよび伸長で破滅的破壊をもたらす。
【0050】
したがって、CP−Xは、その巨大分子鎖に特有のカルボキシル基があるXNBR化合物であることが発見された。カルボキシル基を導入すると、ニトリルエラストマーの物理的特性、特に表面の耐摩耗性が改善される。本試験の示すところによれば、CP−XのXNBRサンプルはフッ素化の化学エッチングに対して強力な表面耐性を有する。高レベルフッ素化CP−Xでの図19に示されたような微小亀裂のない円滑な表面は、靱性の良好な保持、例えば引張りおよび伸長の良好な保持と整合する。
【0051】
高温の臭化亜鉛ブライン中に浸漬すると、NBR(CP−N)、XNBR(CP−X)、およびHNBR(CP−H)を含むニトリルエラストマーは硬化および剛化されることが上記の試験に基づいて決定された。言い換えれば、ZnBr2流体にさらされると、ニトリルは柔軟性および弾性を失い、それは、ZnBr2環境中でのBOPエラストマー故障の主要な根本的原因となる。フッ素化はニトリルの表面にフッ素元素を化学的に結合し、フルオロカーボン層を形成する。したがって、形成されたフルオロカーボン障壁は、ニトリルマトリクスへのZnBr2ブラインの拡散を低減し、例えばニトリルのZnBr2膨潤を低減する。このフルオロカーボン保護層は、ZnBr2暴露中のニトリルの柔軟性および弾性の保持、例えば硬度およびモジュラスの保持を改善する。
【0052】
フッ素化は、フッ素化NBRおよびHNBRサンプルの表面に微小亀裂を生成し、それが引張りおよび伸長の低下をもたらす。フッ素化XNBR(CP−X)表面に微小亀裂は見られず、これは、本実験で見い出されたように、物理的摩耗だけでなく化学的フッ素エッチングに対しても摩耗耐性が優れていることに帰すことができ、引張りおよび伸長のより良好な保持をもたらす。本発見によれば、CP−XなどXNBR化合物の予想外の特性は、臭化亜鉛環境中のBOPエラストマー用途用にフッ素化するための第1の選択肢となり得ることがわかる。
【0053】
CP−NおよびCP−Hなどのフッ素化NBRおよびHNBR化合物では、フッ素化中に生成された微小亀裂は、ASTMダンベルクーポンの引張試験で不十分な極限特性をもたらす。亀裂が伝播し、より低い圧力またはより少ないサイクルで故障を発生させる場合、NBRおよびHNBRにフッ素化を適用するのは制限されることになる。NBRおよびHNBRの化合物では、フッ素化レベルの増加とともに、臭化亜鉛ブラインとの適合性は強化されるが、靱性は減少する。これらの特性のバランスのためオプションのフッ素化レベル、すなわちレベルMを使用することができる。
【0054】
図21に示した例示的実施形態によると、アニュラー噴出防止装置で使用することができるパッカユニット200は、ポリマー鎖を有するカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーのCP−X化合物を含むエラストマー本体105(全本体の一部分だけが図に示されている)を含む。ある量のフッ素原子がポリマー鎖に結合され、この量のフッ素原子が層202として示されている。フッ素原子はポリマー鎖に個々の原子(例えば、C)に接続されることが理解されるべきである。フッ素原子の層202はエラストマー本体105の被覆として生じることができ、例えば、エラストマー本体105と周囲との間の界面を形成する。例示的実施形態によると、エラストマー本体がフッ素化されるとき、ポリマー鎖に結合するある量のフッ素原子は、ポリマー鎖から少なくとも同量の水素原子(それはフッ素化前に鎖に結合されている)を変位させる。しかし、鎖の炭素原子間の二重結合はフッ素化中に切断されることがあり、フッ素原子は対応する水素原子を除去することなくこれらの炭素原子に結合できるので、フッ素原子の量はより高くなることができる。本出願はパッカユニットに関して説明したが、フッ素化CP−X化合物は、石油およびガス産業で使用される他のデバイス、例えば、トップシール、ダイアフラム、ラムBOPなどで使用することができることに留意されたい。
【0055】
開示した例示的実施形態は、従来のユニットよりも良好に化学的劣化に耐えるパッカユニットおよび噴出防止装置を提供する。本説明は本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。それどころか、例示的実施形態は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨および範囲に含まれる代替物、変更物、および均等物をカバーするものである。さらに、例示的実施形態の詳細な説明において、特許請求する本発明の包括的理解を提供するために多数の具体的詳細が記載されている。しかし、様々な実施形態がそのような具体的詳細なしに実施できることを当業者なら理解されよう。
【0056】
本例示的実施形態の特徴および要素は特定の組合せの実施形態で説明されているが、各特徴または要素は、実施形態の他の特徴および要素を用いることなしに単独で、または本明細書で開示した他の特徴および要素を用いたまたは用いない様々な組合せで使用することができる。
【0057】
本書は、開示された主題の例を使用して、任意のデバイスまたはシステムを製作および使用すること、ならびに任意の組み込んだ方法を実行することを含めて本発明を当業者が実施できるようにしている。主題の特許性のある範囲は特許請求の範囲によって規定され、当業者が思いつく他の例を含むことができる。そのような他の例は、特許請求の範囲の範囲内にあるものである。
【符号の説明】
【0058】
101 アニュラーBOP
102 ハウジング
103 長手軸
105 パッキングユニット
107 エラストマー環状本体
109 金属インサート
111 孔
112 ピストンチャンバ
113 開口
117 ピストン
118 くさび面
119 移動可能ヘッド
120 孔
130 ドリルパイプ
180 亀裂
200 パッカユニット
202 フッ素原子の層
500、502 ピーク
501 バンド
504 バンド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニュラー噴出防止装置で使用することができるパッカユニット(105、200)であって、
ポリマー鎖を有するカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの化合物を含むエラストマー本体(107)と、
前記ポリマー鎖に結合されたある量のフッ素原子(202)と
を含み、
前記化合物が、50%から60%の間のXNBRと、25%から35%の間のカーボンブラックとを含み、残りが他の材料を含み、
前記エラストマー本体がフッ素化されるとき、前記量のフッ素原子が前記ポリマー鎖から少なくとも同量の水素原子を変位させる、パッカユニット(105、200)。
【請求項2】
前記化合物の前記フッ素原子の量と炭素原子の量の比が0.10から0.18の間にある、請求項1記載のパッカユニット。
【請求項3】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有する前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−2%、伸長に対して14%、100モジュラスに対して−8%、硬度に対して−2、および引裂に対して77%である、請求項2記載のパッカユニット。
【請求項4】
前記他の材料が、硫黄、酸化防止剤、可塑剤、加工助剤、促進剤、およびZnOベース化合物を含む、請求項2記載のパッカユニット。
【請求項5】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有し、85℃で約7日間ZnBr2に浸漬された前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−19%、伸長に対して−42%、100モジュラスに対して34%、硬度に対して3、引裂に対して−47%、および体積に対して2.5%である、請求項2記載のパッカユニット。
【請求項6】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有し、85℃で約7日間ディーゼル油に浸漬された前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−23%、伸長に対して−31%、100モジュラスに対して−15%、硬度に対して−8、引裂に対して−59%、および体積に対して19%である、請求項2記載のパッカユニット。
【請求項7】
前記化合物の前記フッ素原子の量と炭素原子の量の比が0.18から0.26の間にある、請求項1記載のパッカユニット。
【請求項8】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有する前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−16%、伸長に対して21%、100モジュラスに対して−31%、硬度に対して−5、および引裂に対して50%である、請求項7記載のパッカユニット。
【請求項9】
前記他の材料が、硫黄、酸化防止剤、可塑剤、加工助剤、促進剤、およびZnOベース化合物を含む、請求項7記載のパッカユニット。
【請求項10】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有し、85℃で約7日間ZnBr2に浸漬された前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−19%、伸長に対して−41%、100モジュラスに対して43%、硬度に対して4、引裂に対して−37%、および体積に対して2%である、請求項7記載のパッカユニット。
【請求項11】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有し、85℃で約7日間ディーゼル油に浸漬された前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−16%、伸長に対して−23%、100モジュラスに対して−14%、硬度に対して−11、引裂に対して−51%、および体積に対して20%である、請求項7記載のパッカユニット。
【請求項12】
前記化合物の前記フッ素原子の量と炭素原子の量の比が0.26から0.34の間にある、請求項1記載のパッカユニット。
【請求項13】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有する前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−13%、伸長に対して28%、100モジュラスに対して−30%、硬度に対して−5、および引裂に対して51%である、請求項12記載のパッカユニット。
【請求項14】
前記他の材料が、硫黄、酸化防止剤、可塑剤、加工助剤、促進剤、およびZnOベース化合物を含む、請求項12記載のパッカユニット。
【請求項15】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有し、85℃で約7日間ZnBr2に浸漬された前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−17%、伸長に対して−40%、100モジュラスに対して36%、硬度に対して3、引裂に対して−36%、および体積に対して2%である、請求項12記載のパッカユニット。
【請求項16】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有し、85℃で約7日間ディーゼル油に浸漬された前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−21%、伸長に対して−23%、100モジュラスに対して−24%、硬度に対して−11、引裂に対して−49%、および体積に対して20%である、請求項12記載のパッカユニット。
【請求項17】
坑井に設置することができるアニュラー噴出防止装置(101)であって、
長手軸のまわりで貫通して延在する孔を有するハウジングと、
前記長手軸のまわりで前記ハウジングの内部に配置されたパッキングユニット(105、200)と、
前記長手軸に沿って移動し、前記長手軸の方に前記パッキングユニット(105、200)を押し込めるように構成されたピストン(117)と
を含み、
前記パッキングユニット(105、200)が、
ポリマー鎖を有するカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの化合物を含むエラストマー本体(107)と、
前記ポリマー鎖に結合されたある量のフッ素原子(202)と
を含み、
前記化合物が、50%から60%の間のXNBRと、25%から35%の間のカーボンブラックとを含み、残りが他の材料を含み、
前記エラストマー本体がフッ素化されるとき、前記量のフッ素原子が前記ポリマー鎖から少なくとも同量の水素原子を変位させる、アニュラー噴出防止装置(101)。
【請求項18】
前記化合物の前記フッ素原子の量と炭素原子の量の比が0.18から0.26の間にある、請求項17記載のアニュラー噴出防止装置。
【請求項19】
前記化合物の前記フッ素原子の量と炭素原子の量の比が0.26から0.34の間にある、請求項17記載のアニュラー噴出防止装置。
【請求項20】
ポリマー鎖を有するカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの化合物を含むエラストマー本体(107)と、
前記ポリマー鎖に結合されたある量のフッ素原子(202)と
を含むデバイスであって、
前記化合物が、50%から60%の間のXNBRと、25%から35%の間のカーボンブラックとを含み、残りが他の材料を含み、
前記エラストマー本体がフッ素化されるとき、前記量のフッ素原子が前記ポリマー鎖から少なくとも同量の水素原子を変位させる、デバイス。
【請求項1】
アニュラー噴出防止装置で使用することができるパッカユニット(105、200)であって、
ポリマー鎖を有するカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの化合物を含むエラストマー本体(107)と、
前記ポリマー鎖に結合されたある量のフッ素原子(202)と
を含み、
前記化合物が、50%から60%の間のXNBRと、25%から35%の間のカーボンブラックとを含み、残りが他の材料を含み、
前記エラストマー本体がフッ素化されるとき、前記量のフッ素原子が前記ポリマー鎖から少なくとも同量の水素原子を変位させる、パッカユニット(105、200)。
【請求項2】
前記化合物の前記フッ素原子の量と炭素原子の量の比が0.10から0.18の間にある、請求項1記載のパッカユニット。
【請求項3】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有する前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−2%、伸長に対して14%、100モジュラスに対して−8%、硬度に対して−2、および引裂に対して77%である、請求項2記載のパッカユニット。
【請求項4】
前記他の材料が、硫黄、酸化防止剤、可塑剤、加工助剤、促進剤、およびZnOベース化合物を含む、請求項2記載のパッカユニット。
【請求項5】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有し、85℃で約7日間ZnBr2に浸漬された前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−19%、伸長に対して−42%、100モジュラスに対して34%、硬度に対して3、引裂に対して−47%、および体積に対して2.5%である、請求項2記載のパッカユニット。
【請求項6】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有し、85℃で約7日間ディーゼル油に浸漬された前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−23%、伸長に対して−31%、100モジュラスに対して−15%、硬度に対して−8、引裂に対して−59%、および体積に対して19%である、請求項2記載のパッカユニット。
【請求項7】
前記化合物の前記フッ素原子の量と炭素原子の量の比が0.18から0.26の間にある、請求項1記載のパッカユニット。
【請求項8】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有する前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−16%、伸長に対して21%、100モジュラスに対して−31%、硬度に対して−5、および引裂に対して50%である、請求項7記載のパッカユニット。
【請求項9】
前記他の材料が、硫黄、酸化防止剤、可塑剤、加工助剤、促進剤、およびZnOベース化合物を含む、請求項7記載のパッカユニット。
【請求項10】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有し、85℃で約7日間ZnBr2に浸漬された前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−19%、伸長に対して−41%、100モジュラスに対して43%、硬度に対して4、引裂に対して−37%、および体積に対して2%である、請求項7記載のパッカユニット。
【請求項11】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有し、85℃で約7日間ディーゼル油に浸漬された前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−16%、伸長に対して−23%、100モジュラスに対して−14%、硬度に対して−11、引裂に対して−51%、および体積に対して20%である、請求項7記載のパッカユニット。
【請求項12】
前記化合物の前記フッ素原子の量と炭素原子の量の比が0.26から0.34の間にある、請求項1記載のパッカユニット。
【請求項13】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有する前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−13%、伸長に対して28%、100モジュラスに対して−30%、硬度に対して−5、および引裂に対して51%である、請求項12記載のパッカユニット。
【請求項14】
前記他の材料が、硫黄、酸化防止剤、可塑剤、加工助剤、促進剤、およびZnOベース化合物を含む、請求項12記載のパッカユニット。
【請求項15】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有し、85℃で約7日間ZnBr2に浸漬された前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−17%、伸長に対して−40%、100モジュラスに対して36%、硬度に対して3、引裂に対して−36%、および体積に対して2%である、請求項12記載のパッカユニット。
【請求項16】
(i)ポリマー鎖を有し、フッ素原子を有さないカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの対照化合物と、(ii)前記ポリマー鎖と、前記ポリマー鎖に結合された前記量のフッ素原子とを有し、85℃で約7日間ディーゼル油に浸漬された前記カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの前記化合物との間の変化が、引張りに対して約−21%、伸長に対して−23%、100モジュラスに対して−24%、硬度に対して−11、引裂に対して−49%、および体積に対して20%である、請求項12記載のパッカユニット。
【請求項17】
坑井に設置することができるアニュラー噴出防止装置(101)であって、
長手軸のまわりで貫通して延在する孔を有するハウジングと、
前記長手軸のまわりで前記ハウジングの内部に配置されたパッキングユニット(105、200)と、
前記長手軸に沿って移動し、前記長手軸の方に前記パッキングユニット(105、200)を押し込めるように構成されたピストン(117)と
を含み、
前記パッキングユニット(105、200)が、
ポリマー鎖を有するカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの化合物を含むエラストマー本体(107)と、
前記ポリマー鎖に結合されたある量のフッ素原子(202)と
を含み、
前記化合物が、50%から60%の間のXNBRと、25%から35%の間のカーボンブラックとを含み、残りが他の材料を含み、
前記エラストマー本体がフッ素化されるとき、前記量のフッ素原子が前記ポリマー鎖から少なくとも同量の水素原子を変位させる、アニュラー噴出防止装置(101)。
【請求項18】
前記化合物の前記フッ素原子の量と炭素原子の量の比が0.18から0.26の間にある、請求項17記載のアニュラー噴出防止装置。
【請求項19】
前記化合物の前記フッ素原子の量と炭素原子の量の比が0.26から0.34の間にある、請求項17記載のアニュラー噴出防止装置。
【請求項20】
ポリマー鎖を有するカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)ベースポリマーの化合物を含むエラストマー本体(107)と、
前記ポリマー鎖に結合されたある量のフッ素原子(202)と
を含むデバイスであって、
前記化合物が、50%から60%の間のXNBRと、25%から35%の間のカーボンブラックとを含み、残りが他の材料を含み、
前記エラストマー本体がフッ素化されるとき、前記量のフッ素原子が前記ポリマー鎖から少なくとも同量の水素原子を変位させる、デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−12598(P2012−12598A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−139997(P2011−139997)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(509022646)ハイドリル・ユーエスエー・マニュファクチャリング・エルエルシー (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139997(P2011−139997)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(509022646)ハイドリル・ユーエスエー・マニュファクチャリング・エルエルシー (7)
【Fターム(参考)】
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