説明

フッ素化4−アザステロイド誘導体およびその中間体の製造方法

本発明は、アンドロゲン受容体を調節し、骨粗しょう症、歯周病、骨折/骨脆弱性、勃起不全、性欲減退、アンドロゲン依存性がん、および筋肉減少症などのアンドロゲン欠乏症またはアンドロゲン受容体感受性亢進により引き起こされる病気における治療に適用される、式Iのフッ素化4−アザステロイド誘導体の調製において有用な合成法に関する。本発明はまた、開示された合成方法において有用な中間体、およびその中間体の調製方法を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンドロゲン受容体を調節し、骨粗しょう症、歯周病、骨折、薄弱、勃起不全、性欲減退、アンドロゲン依存性がん、および筋肉減少症などのアンドロゲン欠乏症またはアンドロゲン受容体運動亢進により引き起こされる症状の治療において適用される、フッ素化4−アザステロイド誘導体の調製において有用な合成方法に関する。本発明はまた、開示される合成方法において有用な中間体、およびその中間体の調製方法を包含する。
【背景技術】
【0002】
アンドロゲン受容体(AR)は、ステロイド/甲状腺ホルモン核内受容体のスーパーファミリーに属し、このスーパーファミリーの他のメンバーは、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、グルココルチコイド受容体(GR)、およびミネラルコルチコイド受容体(MR)を含む。該ARは、多数の体組織において発現し、テストステロン(T)およびジヒドロテストステロン(DHT)などの外因性アンドロゲンリガンドの生理学的効果、ならびに病態生理学的効果の発現を介する受容体である。ARに結合し、外因性ARリガンドの作用を擬態する化合物は、ARアゴニストと称される一方、外因性ARリガンドの作用を阻害する化合物は、ARアンタゴニストと呼ばれる。
【0003】
ARを調節する化合物の治療上の有用性は、アンタゴニストまたはアゴニストのいずれかで、男性および女性の両方において様々な疾患を含んでいる臨床的研究により証明されてきた。男性において、ARを標的とした薬物は、生殖疾患、および原発性または続発性男性性腺機能低下症に関係する症状における適用が見出されてきた。天然のおよび合成の両方の多数のARアゴニストが、骨疾患、造血疾患、神経筋疾患、リウマチ疾患および消耗性疾患などの筋骨格障害の治療、ならびに女性アンドロゲン欠乏症の場合におけるホルモン補充療法(HRT)の一部のために、臨床的に研究されてきた。加えて、フルタミドおよびビカルタミドなどのARアンタゴニストは、前立腺がんの治療のために使用されてきた。
【0004】
閉経後骨粗しょう症における骨に対するアンドロゲンの有利な作用は、テストステロンとエストロゲンとの併用投与を用いる研究において実証されてきた[Hofbauer,et al.,“Androgen effects on bone metabolism:recent progress and controversies,” Eur.J.Endocrinol.140:271−286(1999)]。アンドロゲンが男性における骨代謝において、女性におけるエストロゲンの役割に匹敵する重要な役割を演じていることも十分に証明されている[Anderson,et al.,“Androgen supplementation in eugonadal men with osteoporosis−effects of six months of treatment on bone mineral density and cardiovascular risk factors,”Bone,18:171−177(1996)]。アンドロゲン欠乏の有害(delitirous)作用は、D期の前立腺がんを有する男性の研究において例証される。この研究において、アンドロゲン抑制療法(ADT)を、1年を超えて受けている男性において、ADTを受けていない患者に比べて、骨減少症(50%対38%)および骨粗しょう症(38%対25%)が、より一般的に見られた[Wei,et al.,“Androgen deprivation therapy for prostate cancer results in significant loss of bone density,”Urology,54:607−611(1999)]。
【0005】
ARアンタゴニストはまた、閉経後女性における多嚢胞卵巣症候群の治療において有用であることも見出されている[C.A.Eagleson,et al.,“Polycystic ovarian syndrome:evidence that flutamide restores sensitivity of the gonadotropin−releasing hormone pulse generator to inhibition by estradiol and progesterone,” J.Clin.Endocrinol.Metab.,85:4047−4052(2000)、および、E.Diamanti−Kandarakis,“The Effect of a Pure Antiandrogen Receptor Blocker,Flutamide,on the Lipid Profile in the Polycystic Ovary Syndrome,”Int.J.Endocrinol.Metab.,83:2699−2705(1998)を参照]。アンドロゲン受容体修飾薬の開発のための追加的使用および理論的根拠は、L.ZhiおよびE.Martinborough in Ann.Rep.Med.Chem.36:169−180(2001)に見出すことができる。非ステロイド系AR化合物の分子構造とアンタゴニスト活性またはアゴニスト活性との間の関係はまた、J.P.Edwards,“New Nonsteroidal Androgen Receptor Modulators Based on 4−(Trifluoromethyl)−2(1H)−Pyrrolidino[3,2−g]quinolinone,”Bioorg.Med.Chem.Lett.,8:745−750(1998)、およびin L.Zhi et al.,“Switching Androgen Receptor Antagonists to Agonists by Modifying C−ring Substituents on Piperidino[3,4−g]quinolinone,”Bioorg.Med.Chem.Lett.,9:1009−1012(1999)などの、多数の文献の主題ともなってきた。
【0006】
立証された臨床的有用性により、AR化合物は、非常に望ましい標的となっている。したがって、天然由来および合成のAR化合物を製造するために使用できる化学的方法が必要である。本発明は、この必要性に対処する。
【0007】
これらの化合物は、アンドロゲン受容体アゴニストとして効果的であり、選択性アンドロゲン受容体アゴニスト(SARMs)として特に効果的である。したがって、これらの化合物は、アンドロゲン欠乏症により引き起こされる症状、またはアンドロゲン投与により回復されうる症状の治療に有用である。
【0008】
国際出願WO03/077919(2003年9月25日公開)は、その全体を参照により本明細書中に組み込むが、低下した筋緊張の強化、および骨粗しょう症、骨減少症、グルココルチコイド誘導性骨粗しょう症、歯周病、骨折、骨の損傷とそれに続く骨再建外科、筋肉減少症、薄弱、老化した肌、男性性腺機能低下症、女性における閉経後症候群、粥状動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、肥満、再生不良性貧血およびその他造血疾患、炎症性関節炎および関節修復、HIV消耗性症、前立腺がん、良性前立腺肥大症(BPH)、腹部脂肪蓄積、代謝症候群、II型糖尿病、がん悪液質、アルツハイマー症、筋ジストロフィー、認知機能低下、性機能不全、睡眠時無呼吸症、うつ病、早発閉経、および自己免疫疾患を含む、アンドロゲン欠乏症により引き起こされる症状、またはアンドロゲン投与により回復されうる症状の治療において、単独でまたは他の有効薬剤と併用して有用である、フッ素化4−アザステロイド誘導体を記述している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
(発明の概要)
本発明は、アンドロゲン受容体修飾薬である化合物の合成において有用な化学的方法に関する。本発明はまた、アンドロゲン受容体修飾薬の製造において有用な中間体をもたらす化学的方法を包含する。本発明の化学的方法は、これまで周知の方法を上回る利点を提供し、アンドロゲン受容体修飾薬への、集中型でより効果的な経路を含む。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明の1つの実施形態は、式I:
【0011】
【化25】

のイミダゾピリジンメタンアミンまたはその塩酸塩を調製する方法に関し、この方法は、
(1)式IVの付加体を生成するために、式IIのN−保護グリシン誘導体と式IIIの2,3−ジアミノピリジンとを、酸塩化物活性化剤を用いてカップリングすること、および
【0012】
【化26】

(2)式Iのイミダゾピリジンメタンアミンを与えるために、酸処理および脱保護により付加体IVを環化すること(式中、
nは0、1、2、または3であり、
R1は、独立に、C−Cアルキル、ハロ、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cアルキル(CO)、またはC−Cアルキルオキシであり、
2aおよびR2bは、独立に、H、C−Cアルキル、C−Cペルフルオロアルキル、またはハロであり、ならびに
は、窒素保護基である。)
を含む。
【0013】
本発明のもう1つの実施形態は、式V:
【0014】
【化27】

の2−フルオロラクタムを調製する方法により説明され、この方法は、式VI:
【0015】
【化28】

の2−ヨードラクタムをフッ化銀(I)で処理すること[式中、Rは、
【0016】
【化29】

(式中、R、Rは、HおよびC−Cアルキルからそれぞれ独立に選択される。)であり、Rは、H、C−Cアルキル、またはC−Cアルキル(CO)である。]
を含む。
【0017】
本発明の1つの実施形態において、Rは、
【0018】
【化30】

であり、R1は、メチルであり、およびR5は、メチルまたは水素である。
【0019】
本発明の1つの更なる実施形態は、式Vの2−フルオロラクタムが、2β:2αが少なくとも90:10の立体選択性で調製される、上記の方法である。本方法のために好ましい溶媒は、メチレンクロリド、テトラヒドロフラン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、または例えばメチレンクロリド/アセトニトリルが6:1などであるそれら溶媒の混合物である。特許請求された方法の1つの実施形態において、テトラヒドロフラン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、またはメチレンクロリド/アセトニトリル6:1が溶媒であり、およびフッ化銀(I)の1.1当量から1.5当量が使用される。1つの更なる実施形態は、N,N−ジメチルホルムアミドが溶媒であり、およびフッ化銀(I)の1.1当量が使用される方法である。もう1つの実施形態は、方法が室温で行われ、2−フルオロラクタムが、2β:2αが少なくとも94:6の立体選択性で生成される方法である。
【0020】
別法として、本発明のもう1つの実施形態において、式V’:
【0021】
【化31】

の2−フルオロラクタムの調製は、Deoxo−Fluor(登録商標)の使用を介して実施され得、この調製は、
1)式VI:
【0022】
【化32】

[式中、Rは、
【0023】
【化33】

(式中、RおよびRは、HおよびC−Cアルキルからそれぞれ独立に選択される。)であり、Rは、H、C−CアルキルまたはC−Cアルキル(CO)である。]
の2−ヨードラクタムを、水/DMFに続きNaHCOで処理して、式XVIII:
【0024】
【化34】

のヒドロキシラクタムを生成すること、および
2)ヒドロキシラクタム(XVIII)を式Z:
【0025】
【化35】

の化合物で処理して、式V’ の2−フルオロラクタムを生成すること
を含む。
【0026】
この実施形態の1つの変法において、Rは、
【0027】
【化36】

であり、RおよびRは、HおよびC−Cアルキルからそれぞれ独立して選択され、Rは、H、C−CアルキルまたはC−Cアルキル(CO)である。
【0028】
本発明は更に、式VIIの化合物を調製する方法を包含し、
【0029】
【化37】

この方法は、(1)式V(またはV’ )の1つの化合物をリチウムヘキサメチルジサリジドで処理してエノラートをもたらす段階、(2)該エノラートをメチルベンゼンスルフィナートと反応させる段階、および(3)加温して、式VIIの化合物を生成する段階[式中、Rは、
【0030】
【化38】

(式中、RおよびRは、HおよびC−Cアルキルからそれぞれ独立して選択される。)であり、Rは、H、C−Cアルキル、またはC−Cアルキル(CO)である。]
を含む。
【0031】
また、本発明に包含されるのは、式VIIIのアザステロイドアミドを、式IXのアザステロイド酸から調製する方法であり、
【0032】
【化39】

この方法は、カップリング剤として1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩またはCDIを用いる、酸IXと式I:
【0033】
【化40】

のイミダゾピリジンメタンアミンとのカップリングを含む(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
は、独立にC−Cアルキル、ハロ、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cアルキル(CO)またはC−Cアルキルオキシであり、
2aおよびR2bは、独立に、H、C−Cアルキル、C−Cペルフルオロアルキルまたはハロであり、ならびに
は、H、C−CアルキルまたはC−Cアルキル(CO)である。)。
【0034】
また更にもう1つの実施形態は、式X:
【0035】
【化41】

のアザステロイドアミドを調製する方法であり、この方法は、
(1)2−ヨウ素化合物XIIをもたらす、化合物XIのヨウ素化、
【0036】
【化42】

(2)2−フルオロ化合物XIII:
【0037】
【化43】

をもたらす、化合物XII中のヨウ素のフッ素での置換、
(3)化合物XIV:
【0038】
【化44】

をもたらす、化合物XIIIのラクタム窒素のメチル化、
(4)化合物XV:
【0039】
【化45】

をもたらす、化合物XIVの酸化、
(5)酸XVIをもたらす、エステルXVの加水分解、および
【0040】
【化46】

(6)アザステロイドアミド:
【0041】
【化47】

をもたらす、酸XVIとアミンXVIIとのカップリングを含む。
【0042】
本発明は上記方法を包含する方法を更に含み、(1)におけるヨウ素化は、トリメチルシリルクロリドおよびIの反応を含み、(2)における置換は、ジメチルアセトアミド中、ジクロロメタン中、ジクロロメタン/アセトニトリル中、またはアセトニトリル中におけるフッ化銀(I)の反応を含み、(3)のメチル化は、t−BuOKおよびMeIの反応を含み、(4)の酸化は、リチウムヘキサメチルジシラジドおよびメチルベンゼンスルフィナートの反応を含み、(5)における加水分解は、NaOHまたはKOHの反応を含み、および(6)におけるカップリングは、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩または1,1’−カルボニルジイミダゾールの反応を含む。
上記した実施方法の1つの変法において、(1)におけるヨウ素化は、トリメチルシリルクロリドおよびIの反応を含み、(2)における置換は、(1)のヨウ素化合物を含水DMF(HO/DMF)と共に加熱し、続いてDeoxo−Fluor(登録商標)(式Zを参照)で処理することを含み、(3)のメチル化は、t−BuOKおよびMeIの反応を含み、(4)の酸化は、リチウムヘキサメチルジシラジドおよびメチルベンゼンスルフィナートの反応を含み、(5)における加水分解は、NaOHまたはKOHの反応を含み、および(6)におけるカップリングは、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩または1,1’−カルボニルジイミダゾールの反応を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
Deoxo−Fluor(登録商標)の化学構造は、
【0044】
【化48】

である。
【0045】
本発明により調製される化合物は、E.L.ElielおよびS.H.Wilen「Stereochemistry of Carbon Compounds」(John Wiley & Sons、New York、1994年、1119−1190ページ)に記載されているとおりに、不斉中心、キラル軸、またはキラル面に起因したキラルであってよく、単一光学異性体として、またはラセミ体、ラセミ体混合物、ジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、鏡像異性体および鏡像異性体混合物を含む可能な光学異性体のいずれかの数の混合物として生じてよい。一定の事例において、開示される化合物は、互変異性体として存在してよく、1つの互変異性構造のみが図示されているけれども、両互変異性形が、本発明の範囲に包含されるように、意図される。例えば、以下の化合物Aに関するいずれかの特許請求の範囲は、互変異性構造Bを含み(逆も同様であり)、並びにそれらの混合物を含むと理解される。ここでXは、本発明のフッ素化4−アザステロイド誘導体の残分を表す。
【0046】
【化49】

【0047】
用語「アルキル」は、炭素原子数が具体的に別途示されていない限り、1から10炭素原子の直鎖または分岐鎖炭化水素基を意味するものとする。「アルキル」の例としては、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。5つの炭素原子を有するアルキル基は、例えば「C−アルキル」として示され、直鎖または分岐鎖でよい。
【0048】
用語「アルコキシ」は、本明細書中では、特定の炭素数の(例えば、C1−5アルコキシ)、またはこの範囲内のいずれかの炭素数の(即ち、メトキシ、エトキシなど)直鎖または分岐鎖アルコキシドを指す。
【0049】
用語「ハロゲン」および「ハロ」は、ヨウ素、臭素、塩素、およびフッ素を含むものとする。
【0050】
いずれかの可変基(例えば、R、Rなど)が、いずれかの置換基または特定の式のいずれかの化合物において、1を超える回数で出現する場合、各出現時のその定義は、すべての他の出現時のその定義とは無関係である。また、置換基および変数の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。
【0051】
用語「ペルフルオラルキル」は、対応するアルキル中のすべての水素原子がフッ素原子で置換されていることを示す。
【0052】
本発明により提供される化合物は、アンドロゲン受容体修飾化合物の製造において有用な中間体であり、またはそれ自身が、骨粗しょう症、骨減少症、グルココルチコイド誘導性骨粗しょう症、歯周病、骨折、骨の損傷に続く骨再建外科、筋肉減少症、薄弱、老化した肌、男性性腺機能低下症、女性における閉経後症候群、粥状動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、肥満、再生不良性貧血およびその他造血疾患、例えば炎症性関節炎および関節修復などの関節炎状態、HIV消耗性症、前立腺がん、がん悪液質、筋ジストロフィー、早発閉経、および自己免疫症を含むがこれに限定されない、アンドロゲン欠乏症により引き起こされる症状、またはアンドロゲン投与により回復されうる症状の治療において、単独でまたは他の有効薬剤と併用して有用なアンドロゲン受容体修飾化合物である。治療は、開示される方法から得られる最終生成物を、その治療を必要とする哺乳動物に投与することにより実施される。加えて、これらの化合物は、単独でまたは他の有効薬剤と併用して、医薬品組成物における成分として有用である。
【0053】
本発明の化合物を、その鏡像異性的に純粋な形態において投与することが、一般に好ましい。ラセミ混合物は、多数の従来の方法のいずれかにより、それらの個々の鏡像異性体に分割することができる。これらの方法は、キラルクロマトグラフィー、不斉補助基を用いる誘導体化とそれに続くクロマトグラフィーまたは結晶化による分離、およびジアステレオマー塩の分別結晶化を含む。
【0054】
用語「薬学的に許容できる塩」は、無機または有機塩基および無機または有機酸を含む薬学的に許容できる無毒の塩基または酸から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、鉄(III)塩、鉄(II)塩、リチウム塩、マグネシウム塩、マンガン(III)塩、マンガン(II)塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などを含む。特に好ましいのは、アンモニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、およびナトリウム塩である。薬学的に許容できる無毒の有機塩基から誘導される塩は、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの、一級、二級、および三級アミン、天然由来の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン類、および塩基性イオン交換樹脂の塩を含む。
【0055】
本発明の化合物が塩基性の場合、塩は、無機酸および有機酸を含む薬学的に許容できる無毒の酸から調製され得る。このような酸は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、蟻酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、マロン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、プロピオン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などを含む。特に好ましいのは、クエン酸、フマル酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、および酒石酸である。
【0056】
以下のスキームおよび実施例は、本発明により包含される方法を例証するものである。当業者には容易に理解されるように、本明細書中に例示される基質上の置換基および置換様式は、容易に入手できる出発物質、試薬、および従来の手順または変形例を選択することによる必要以上の実験(experfimentation)をすることなしに修飾できる。以下でおよびこの開示を通して、「室温」または「RT」は、反応が冷却または加熱のためのいずれかの手段も用いずに周囲温度で実施されたことを示す。「室温」は、約25℃である。
【0057】
従って以下の例証スキームは、列挙された化合物によって、または例証の目的のために採用されるいずれかの特定の置換基によっても限定されない。スキームにおいて示されるとおりの置換基の番号付けは、特許請求の範囲において用いられる番号付けと必ずしも関連付けられておらず、しばしば明確にするために、先に定義された式Iの定義の下で認められた多数の置換基の代わりに、単一置換基が化合物に結合して示される。
【0058】
本発明の方法は、アンドロゲン受容体修飾薬として有用なイミダゾピリジル・アザステロイドの調製において有用である。イミダゾピリジニルメタンアミン側鎖の、特に有利な調製についても、開示されている。スキームAにおいて例証されるとおりに、イミダゾピリジン中間体(A−5)は、N−アシル化グリシンなどの市販品のN−保護グリシン誘導体(A−1)、またはCBZ−グリシンなどのグリシンのもう1つの適切に保護された形態、市販品でも、または当業者によりほとんど努力せずにできる合成によっても容易に入手できる、適切な2,3−ジアミノピリジン(A−2)から調製される。N−アシル化グリシンが、好ましい基質である。
【0059】
【化50】

【0060】
スキームAにおいて示されるとおりに、N−保護グリシン誘導体A−1をジアミノピリジンA−2とカップリングさせて、A−3を生成する。このカップリングは、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)または1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)を含むがこれに限定されないカルボキシ基活性化剤の使用によって達成される。例えば酸塩化物は、この点で活性化剤として特に有用である。保護グリシン基質と、ピバロイルクロリドなどの酸塩化物との反応は、反応性中間体として混合酸無水物を生成する。該反応における、N−メチルモルホリン(NMM)などの塩基の使用は、いずれかの酸性副生成物を吸収するために有用である。NMMを使用する有益な効果とは、該反応の固体塩副生成物をろ過により除去できることである。続くA−3の環化は、保護されたイミダゾピリジンA−4を生成し、このA−4は、例えば酸に不安定な保護基の場合には酸の添加により脱保護でき、所望のイミダゾピリジンA−5をもたらす。スキームAが開示するように、Rは化学的に適合するいずれかのN−保護基であってよい。他の適した保護基および対応する脱保護法のスキームの例は、Theodora W.Green著「Protective Groups in Organic Synthesis」(John Wiley & Sons、1981年)で例証されている。同様にRは、標的アンドロゲン受容体修飾薬において望ましいであろう適合するいずれかの置換基であってよい。
【0061】
ステロイド部分の合成は、スキームBに示すとおりに、フッ素化反応で開始する。アザステロイドB−4の合成の出発物質は、2,3−不飽和類似体から容易に入手できるアザステロイドB−1である(Journal of Medicinal Chemistry (1986),29(11),2298−315))。フッ素化戦略は、周知のヨウ素化方法論に基づくものであり(King,A.O.;Anderson,K.;Shuman,R.F.;Karady,S.;Abramson,N.L.;Douglas,A.W.J.Org.Chem.1993,58,3384−3386.)、その後ヨウ化物のフッ化物置換が行われる。
【0062】
【化51】

【0063】
2a−ヨードラクタムB−2は、単一立体異性体として得ることができる。ヨードラクタムB−2は、KF、LiF、CsF、KHF、BaF、CaF、MgF、NiKおよびEtN・3HF/EtNを含むがこれに限定されない有機および無機両方の様々なフッ化物源を用いた処理により、対応する2−フルオロラクタムに転化できる。これらの試薬は、試験され、低い転化率および望ましくない脱離生成物の生成の不利益を被ることが見出された。
【0064】
フッ化銀(I)は、臭化アルキルおよびヨウ化アルキルを置換して、対応するフッ素化合物を与えることが周知である(Pogany,S.A.;Zentner,G.M.;Ringeisen,C.D.Synthesis 1987,08,718−719)。しかし該文献の手順は、フッ化銀(I)の2.5当量から4.5当量を必要とする。加えて、ステロイド基質に対する該試薬の実用性は、未知であった。室温で、含水アセトニトリル中のAgFの4.5当量を使用することにより、該2−ヨードラクタムB−2(R=H、およびR=COMe)は、SN2形式において高い立体選択性(2β−フルオロ/2α−フルオロ=94/6)で、対応する2−フルオロラクタムに完全に転化された。必要なAgF量および反応速度は、反応溶媒に非常に敏感であった。しかしながら、ジメチルアセトアミド(DMAC)の使用により、反応は、室温で12時間以内に完結した。驚くべきことに、AgFのわずか1.1当量が、必要であった。2−ヨードラクタムB−2(式中、R=H、およびR=COMe)を用いる、様々な条件下でのフッ素化方法を以下にまとめる。
【0065】
【表1】

【0066】
ステロイド部分の1つの代替の合成は、スキームCに示したとおりにフッ素化反応で開始する。アザステロイドC−5の合成の出発物質はアザステロイドC−1であり、これは2,3−不飽和類似体から容易に入手できる(Journal of Medicinal Chemistry(1986),29(11),2298−315)。フルオロ化戦略は、ヨウ素化方法論に基づき、その後ヨウ化物のフッ化物置換が行われる(Lal,G.S.;Pez,G.P.;Pesaresi,R.J.;Prozonic,F.M.;Cheng,H.;J.Org.Chem.1999,64,7048−7054.)。
【0067】
【化52】

【実施例1】
【0068】
イミダゾピリジンメタンアミン(1−5)の調製
【0069】
【化53】

【0070】
a)1−3の合成
【0071】
【化54】

【0072】
300mLのTHFを、N−アセチルグリシン1−1を48.88g(0.417mole)を入れた500mL三頚フラスコに加えた。生じたスラリーを、氷浴を用いて0℃に冷却し、温度を5℃未満に保ちながら該スラリーに、N−メチルモルホリン(NMM)50mL(0.455mole)を加えた。次に、温度を5℃未満に保ちながら30分を超えてゆっくりと、塩化ピバロイル(50mL)をスラリーに加えた。スラリーを15℃に30分間加温し、次に1時間、0℃に冷却してNMM−HCl塩結晶の生成を確実にした。反応の進行を、NMMについて上澄みをGCで確認することによりモニターした。上澄み中の塩の許容濃度は、15mg/mLである。結晶生成が完結すると同時に、スラリーを窒素下でろ過し、固体をTHF(90mL)で洗浄した。黄色ろ液および洗液を、滴下ロートに入れ、次の工程で用いた。混合酸無水物 H NMR:(400MHz,DMSO)8.52(t)、3.98(d)、1.87(s)。
【0073】
窒素導入管、メカニカルスターラー、および熱電対温度計を備えた1L三頚フラスコに、2,3−ジアミノピリジン1−2(30.34g、0.278mole)およびDMAP(3.40g、0.028mole)を入れた。THF(300mL)を加え、続いてNMM(50mL、0.455)を加えた。上記で得られた黄色混合酸無水物溶液を、水浴で温度を25℃未満に保ちながら滴下して加えた。滴下は、45分間かかった。室温で3時間撹拌した後にスラリーをろ過し、THF(75mL)で洗浄して、窒素下および真空下で乾燥した。生成物1−3が、茶色粉末として得られた(51.23g)。
【0074】
粗生成物は、過剰のNMM−HClが存在する場合に、再結晶により更に精製され得る。例えば、粗生成物の19.81g(83.4wt%)をエタノール(80mL)中でスラリー化させ、95℃に加熱した。固体のほとんどが、溶解した。MTBE(80mL)を滴下で加えながら、溶液を放冷した。スラリーをろ過し、MTBE(40mL)で洗浄し、窒素下および真空下で乾燥した。この方法で、5.2wt%のNMM−HCl塩を含む生成物1−3が15.97g得られた。1−3=H NMR:(400MHz,DMSO):δ=9.15(s,1H,NH)、8.19(t,1H,NH)、7.78(d,1H,pyr)、7.49(d,1H,pyr)、6.54(dd,1H,pyr)、5.74(s,2H,NH)、3.86(d,2H,CH)、1.88(s,3H,CH)。
【0075】
b)1−3の環化
【0076】
【化55】

【0077】
熱電対温度計、冷却器、および窒素ラインを備えた500mL三頚フラスコに酢酸(200mL)を入れた。46.19g(0.194mole)の1−3を、溶媒中に、溶媒を撹拌しながらゆっくりと加えた。該黒色溶液を、120℃で10時間加熱した。生じた1−4の溶液をそのまま次の工程に使用した。酢酸を粉体アミドに加えると該粉体の固化を生じるので、手動で砕く必要がある。従って、逆に添加することが、推奨される。HPLCを用いて、出発物質が残存しなくなるまで反応をモニターした。(検定収率:95%)。
典型的な保持時間:
アミド:6.44分;アセチルイミダゾール:8.71分。
【0078】
c)アセチル化イミダゾピリジン1−4の脱保護
【0079】
【化56】

【0080】
濃HClを、上記環化反応で得られた反応溶液に約120℃のままで加えた。次に、反応混合物を100℃で5時間加熱した。反応を、HPLCでモニターした。約2A%の出発物質が反応の完結時に残存したが、この反応を、更にHClを追加して促進することができた。しかしながら、過剰の水を、反応の完結後に蒸留によって除去しなければならない。
【0081】
その後、溶液を蒸留して50mLの溶媒を除去し、放冷した。iPAc(200mL)の滴下添加は、温度が100℃のままで開始した。次いで、温度が8℃まで低下するようにしたが、iPAcの添加が完結するまで、先の温度を維持した。スラリーをゆっくりと放冷し、その後0℃に冷却し、ろ過してiPAc(120mL)で洗浄した。生成物1−5が、暗黒色粒状粉体(42.87g)として得られた。
【0082】
着色を除くために、活性炭処理を行った。1−5(94.7wt%、4.33mmole)1.01gをメタノール/水4:1(10mL)に溶解した。Darco KB(1.0g)を加え、混合物を50℃で1時間加熱した。その後、混合物を室温まで冷却し、セイラトでろ過し、メタノール(10mL)で洗浄した。生成物溶液を、10mLの溶媒を除去しながら濃縮した。THF(20mL)を滴下して加えた。スラリーをろ過し、THF(2.5mL)で洗浄し、窒素下および真空下で乾燥した。生成物を明灰色粉体として得た(830mg、87%回収)。1−5=H NMR(400MHz,DMSO):δ=9.09(bs,3H,NH)、8.58(m,2H,pyr)、7.64(dd,1H,pyr)、4.49(s,2H,CH2)。
【実施例2】
【0083】
AgFを利用したアザステロイド2−7の調製
【0084】
【化57】

【0085】
a)2−1Aのヨウ素化
【0086】
【化58】

【0087】
出発物質のラクタム2−1を、対応する不飽和ステロイド2−1Aのパラジウム触媒水素化により、文献の方法に従って調製した。Rasmusson,Gary H.;Reynolds,Glenn F.;Steinberg,Nathan G.;Walton,Edward;Patel,Gool F.;Liang,Tehming;Cascieri,Margaret A.;Cheung,Anne H.;Brooks,Jerry R.;Berman,Charles,J.Med.Chem.(1986),29(11),2298−315。
【0088】
窒素導入管、メカニカルスターラー、および熱電対温度計を備えた3Lフラスコに、75g(0.225mol)のラクタム2−1を入れた。1.12Lのジクロロメタンを加え、続いてテトラメチルエチレンジアミン102mL(0.677mol)を加えた。溶液を、ドライアイス/アセトン浴を用いて−14℃に冷却した。トリメチルシリルクロリド(58mL、0.456mole)を、滴下ロートで5分間かけて加えた。次いで、ヨウ素(84g、0.311mole)を加えた。ドライアイス/アセトン浴を外し、反応混合物を周囲温度で2時間撹拌した。出発物質ラクタムが検出され得なくなるまで、反応をHPLCでモニターした。
【0089】
反応を1130gの10%亜硫酸ナトリウム水溶液で急冷した。混合物を20分間撹拌すると、二相に分離した。有機層を真空下で濃縮し、アセトニトリル(500mL)で洗い流した。最終的なスラリー(<350mL)を室温で30分間撹拌し、ろ過した。固体をアセトニトリル(80mL)で洗浄し、真空乾燥機内で約2日間乾燥し、2−2の95.2g(87%収率)を得た。
【0090】
b)2−2のフッ素化
【0091】
【化59】

【0092】
窒素導入管、メカニカルスターラー、および熱電対温度計を備えた1Lフラスコに、ヨードラクタム2−2(61g、0.126mole)を入れた。ジクロロメタン(500mL)およびアセトニトリル(97mL)を加えた。溶液にフッ化銀(I)(23.7g、0.187mole)を加えた。黄色スラリーを、出発物質がHPLCにより検出されなくなるまで(24から36時間)周囲温度で撹拌した。スラリーをセライトでろ過し、セライトをジクロロメタン(100mL)で洗浄した。ろ液をHPLCで分析し、固体になるまで真空下で濃縮した。固体を真空乾燥機内で乾燥し、次の段階において使用した。
【0093】
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を、ジクロロメタンの代わりに溶媒として使用してよい。窒素導入管、マグネチックスターラーバー、および熱電対温度計を備えた50mLフラスコに、ヨードラクタム(1.73g、95w%、3.58mmole)を入れた。N,N−ジメチルアセトアミド(17mL)を加えた。溶液にフッ化銀(I)(502mg、3.95mmole、1.1当量)を加えた。黄色スラリーを周囲温度で一晩撹拌した。LC分析は、完全な転化を示唆した。スラリーを、ジクロロメタン(100mL)および食塩水(10%、30mL)を入れたフラスコに注ぎ入れた。混合物を周囲温度で30分間撹拌し、セライトでろ過した。セライトをジクロロメタン(20mL)で洗浄した。ろ液を相分離し、有機層をHPLCで分析した。有機層をオイルとなるまで濃縮した。水(15mL)を滴下して加えた。スラリーを周囲温度で撹拌し、ろ過した。固体1.25gを回収した(83.5wt%、83%のβ−フルオロラクタムおよび4.7%のα−フルオロラクタム)。
【0094】
c)2−3のメチル化
【0095】
【化60】

【0096】
窒素導入管、メカニカルスターラー、滴下ロート、および熱電対温度計を備えた1Lフラスコに、フルオロN−Hラクタム2−3(62.1g、0.157mole)、THF(336mL)、およびDMF(67mL)を入れた。スラリー(Kf=190ppm)を、ドライアイス/アセトン浴を用いて−30℃に冷却した。t−BuOK(1.0M THF溶液、189mL、0.189mole)を滴下ロートで15分間かけて加え、バッチを−15℃で20分間熟成した。
【0097】
バッチ温度は、滴下終点で−15℃にまで上昇した。反応混合物は、t−BuOKの添加および熟成後に透明な溶液に変化した。ヨードメタン(MeI)(13.7mL、0.220mole)を滴下して加えた。冷却浴を滴下後に外し、バッチを周囲温度で1時間撹拌した。バッチを脱イオン水(DI水)(370mL)に注ぎ入れ、生じた溶液を真空下で濃縮してTHFを除去した。濃縮終点で、バッチは、スラリーに変化した。このスラリーをDI水(370mL)で希釈し、氷浴で冷却した。スラリーを5℃で30分間撹拌し、ろ過した。固体をDI水(150mL)で洗浄し、真空乾燥機内で40℃で約2日間乾燥し、63.9g(100%収率)の2−4を得、これを更に精製することなく次の段階に使用した。
【0098】
d)脱離反応
【0099】
【化61】

【0100】
窒素導入管、メカニカルスターラー、滴下ロート、および熱電対温度計を備えた1Lフラスコに、フルオロN−Meラクタム2−4(36.0g、0.0936mole)、THF(360mL)、およびメチルベンゼンスルフィナート(15mL、0.115mole)を入れた。溶液(KF=110ppm)を、ドライアイス/アセトン浴を用いて40℃に冷却した。反応混合物を、適切に脱気して、2−ケトN−Meラクタムの望まない生成につながる可能性がある外因性酸素を除かなければならない。リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LiHMDS)(1.0MTHF溶液、120mL、0.12mole)を滴下ロートで10分間を超えて加えた。反応混合物を−30から10℃で1時間撹拌した。
【0101】
バッチ温度は、LiHMDSの添加後に−30℃まで上昇した。反応は、通常この時点で完結する。完結しなければ、追加の試薬(LiHMDSおよびメチルベンゼンスルフィナートを10%追加)を加えて、反応を完結させることができる。
【0102】
バッチを室温まで加温し、10%クエン酸水溶液(270mL)で急冷した。MTBE(t−ブチルメチルエーテル)(540mL)およびジクロロメタン(540mL)を加えた。混合物を激しく撹拌して静置した。水層を捨てた。有機層を加熱して2時間還流し、その後、大気圧下で約半分の体積になるまで蒸留した。
【0103】
バッチを真空下で濃縮した。残渣にMTBE(100mL)を加えた。スラリーを加熱して30分間還流した。ヘプタン(50mL)を滴下ロートで滴下して加えながら、スラリーをゆっくりと室温まで冷却した。スラリーを室温で1時間撹拌した。更にヘプタン(120mL)を滴下して加えた。スラリーを室温で1時間撹拌して、ろ過した。固体をMTBE/ヘプタン(1:1、60mL)で洗浄し、真空下で乾燥し、生成物2−5の30.5gが白色固体として得られた。
【0104】
2−ケトラクタムから生じる不純物は、再結晶により除去することができる。固体のメチルエステル(7.8g)をイソプロピルアルコール(IPA)15mL中でスラリー化した。スラリーを80℃に加熱した。ヘプタン(15mL)を加えた。スラリーを80℃で1時間撹拌して、室温まで冷却した。ヘプタン(45mL)を滴下して加えた。スラリーを氷浴で冷却し、1時間撹拌し、ろ過し、精製した2−5の7.2gを固体として得た。(5α,17β)−2−フルオロ−3−オキソ−4−メチル−4−アザアンドロスト−1−エン−17−カルボン酸メチルエステル(2−5)。H NMR:(400MHz,CDCl)δ:6.17(d,1H)、3.68(s,3H)、3.44(dd,1H)、2.98(s,1H)、2.38(t,1H)、2.18−2.11(m,1H)、2.10−2.06(m,1H)、2.04−1.97(m,1H)、1.89−1.80(m,2H)、1.76−1.55(m,4H)、1.45−1.24(m,4H)、1.18−1.00(m,3H)、0.96(s,3H)、0.68(s,3H);19F NMR:(376.5MHz,CDCl)δ:−130.3。
【0105】
e)エステル(2−5)の加水分解
【0106】
【化62】

【0107】
メチルエステルステロイド(15.15g、95.5wt%、0.0417mole)を、イソプロピルアルコール(75mL)入りのフラスコに入れた。水酸化ナトリウム溶液を撹拌しながら加えた。スラリーを80℃で3時間還流し、生じた溶液を、室温まで冷却した。
【0108】
該2相溶液のpHを、1N HCl(225mL)を撹拌しながら滴下して加えて、1に調節した。混合物の温度を、水浴を用いて25℃未満に保持した。スラリーをろ過し、水(40mL)で洗浄した。生成物を窒素下および真空下で一晩乾燥させて、2−6の13.79gが95%の単離収率で得られた。(5α,17β)−2−フルオロ−3−オキソ−4−メチル−4−アザアンドロスト−1−エン−17−カルボン酸(2−6)。H NMR:(400MHz,CDCl)δ:6.20(d,1H)、3.44(dd,1H)、2.99(s,1H)、2.43(t,1H)、2.16−2.09(m,2H)、2.05−1.99(m,1H)、1.93−1.82(m,2H)、1.78−1.55(m,4H)、1.46−1.25(m,4H)、1.22−1.05(m,4H)、1.00(s,3H)、0.72(s,3H);19F NMR:(376.5MHz,CDCl)δ:−130.3。
【0109】
f)(1−5)と(2−6)とのカップリング
【0110】
【化63】

【0111】
窒素導入管およびマグネチックスターラーバーを備えた100mLフラスコに、ステロイド酸2−6(12.1g、0.0156mole)を入れた。アセトニトリル(60mL)を加えた。スラリーに、3.8g(0.0172mole)のアミン1−5、NMM(6.9mL、0.0626mole)、DMAP(0.191g、0.0016mole)、およびEDC(3.59g、0.0187mole)を加えた。スラリーを周囲温度で一晩撹拌した。次いで、反応混合物を水(300mL)に注ぎ入れた。混合物のpHを6N HCl溶液で2に調節した。透明な黄色溶液が、この時点で得られた。溶液を真空下で濃縮してスラリーを得た。スラリーを室温で1時間撹拌し、ろ過した。固体を水洗し、固体6.9gを得た(82.5%収率)。該固体をIPA(10mL)およびアセトン(60mL)中でスラリー化した。混合物を加熱して、5時間還流し、室温まで冷却して、2時間撹拌し、ろ過した。該固体をアセトンで洗浄して、2−7を5.92g得た。(2−7、マススペクトル、測定値[M+H]:480.2763)
【0112】
別法として、CDIを、カップリング反応の活性化剤として使用できる。ステロイド酸2−6(500mg、1.43mmole)をアセトニトリル(5mL)中でスラリー化した。CDIを周囲温度で加えた。反応混合物を周囲温度で3時間撹拌した。1−5(350mg、1.58mmole)を加え、続いてN−メチルモルホリン(0.35mL、3.17mmole)を加えた。スラリーを加熱して、3時間還流し、その後周囲温度まで冷却して、一晩撹拌した。反応混合物をMeOH(28mL)に溶解し、618mgの生成物を分析した(90%収率)。
【実施例3】
【0113】
Deoxo−Fluor(登録商標)を利用したフッ素化アザステロイド(2−4)の調製
【0114】
【化64】

【0115】
a)2−1Aのヨウ素化
【0116】
【化65】

【0117】
ヨウ素化段階は、実施例2において記載されたヨウ素化と同様に実施される。
【0118】
b)3−を生成する2−2のフッ素化
【0119】
【化66】

【0120】
25mLフラスコに2−2(1.45g、93重量%、2.9mmole)を入れた。DMF(15mL)および水(1.5mL)を加えた。反応混合物を110℃に加熱し、4時間撹拌した。混合物に飽和NaHCO溶液(5mL)およびMeOH(8mL)を加えた。反応混合物を60℃で3時間撹拌し、室温まで冷却し、水(80mL)に注ぎ入れた。混合物を真空下で濃縮して、MeOHを除去した。スラリーを、室温で30分間撹拌し、ろ過した。固体(3−1)を水洗し、真空下で乾燥し、生成物860mgを白色固体として得た。mp:284.7−286.0℃;H NMR:(400MHz,CDCl)δ:6.47(br,1H)、4.17(dd,1H,J=4.7,10.1Hz)、3.76(s,1H)、3.66(s,3H)、3.05(ddd,1H,J=2.6,3.8,12.3Hz)、2.34(t,1H,J=9.3Hz)、2.18−1.94(m,3H)、1.86−1.64(m,5H)、1.58−1.20(m,6H)、1.11−0.93(m,2H)、0.87−0.81(m,1H)、0.85(s,3H)、0.64(s,3H);13C NMR:(100MHz,CDCl)δ:174.9、174.3、65.4、58.4、55.3、55.1、51.8、51.3、44.2、43.2、38.1、37.5、35.0、29.6、26.3、24.3、23.5、21.4、13.8、13.5。HR−MS m/z C2032NO([M+H])の計算値 350.2331、測定値 350.2328。
【0121】
10mLフラスコに3−1(220mg、0.63mmole)を入れた。ジクロロメタン(2mL)を加えた。Deoxo−Fluor(登録商標)(50重量%トルエン溶液、310mg、0.70mmole、1.1当量)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、飽和NaHCO溶液で急冷した。混合物をEtOAcで抽出した。有機層を真空下で濃縮し、残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(移動相として20%アセトンCHCl溶液)により精製し、生成物155mgを白色固体として得た(2−4)。mp:269.3−270.1℃;H NMR:(400MHz,CDCl)δ:7.15(br,1H)、4.87(ddd,1H,J=7.4,10.8,46.8Hz)、3.64(s,3H)、3.17(dd,1H,J=3.6,12.5Hz)、2.46(ddd,1H,J=1.5,7.5,12.5Hz)、2.33(t,1H,J=9.4Hz)、2.15−1.97(m,2H)、1.83−1.51(m,6H)、1.47−1.20(m,5H)、1.15−1.08(m,1H)、1.03−0.87(m,2H)、0.96(s,3H)、0.64(s,3H);13C NMR:(100MHz,CDCl)δ:174.2、168.9、168.7、86.7、84.9、61.1、55.1、55.0、51.2、50.9、44.1、40.7、40.5、38.0、37.9、37.9、34.3、29.3、26.3、24.2、23.5、21.0、13.5、12.3;19F NMR:(376.5MHz,CDCl)δ:−192.4。HR−MS m/z C2031NOF([M+H])の計算値 352.2288、測定値 352.2290。
【0122】
2−4から出発し、実施例2の段階d−fで概説したのと類似の化学反応を用いて、最終アザステロイド生成物2−7を合成する。
【0123】
以下の分析を用いて、本発明で調製できる組織選択的アンドロゲン受容体修飾薬の活性を特徴づける。
【0124】
SARM活性を有する化合物の同定のためのインビトロおよびインビボアッセイ
1.内因性に発現したAR物質に関する化合物親和性の、ヒドロキシアパタイト系放射性リガンド置換アッセイ:
結合バッファー:TEGM(10mM Tris−HCl、1mM EDTA、10%グリセロール、1mM ベータ−メルカプトエタノール、10mM モリブデン酸ナトリウム、pH7.2)
50% HAPスラリー:Calbiochem社製ヒドロキシアパタイト、高速流量、10mM Tris中、pH 8.0、および1mM EDTA。
洗浄バッファー:40mM Tris、pH 7.5、100mM KCl、1mM EDTA、および1mM EGTA。
95%EtOH
メチルトリエノロン、[17α−メチル−H]、(R1881);NEN NET590
メチルトリエノロン(R1881)、NEN NLP005(95%EtOH中に溶解)
ジヒドロテストステロン(DHT)[1,2,4,5,6,7−H(N)] NEN NET453
ヒドロキシアパタイト高速流量;Calbiochem Cat♯391947
モリブデン酸塩=モリブデン酸(Sigma社、M1651)
MDA−MB−453細胞培養培地:
RPMI 1640(Gibco 11835−055)w/23.8mM NaHCO、2mM L−グルタミン
完全培地500mL中 最終濃度
10mL(1M Hepes) 20mM
5mL(200mM L−glu) 4mM
0.5mL(10mg/mL ヒトインスリン) 10μg/mL
0.01N HCl中、Calbiochem♯407694−S)
50mL FBS(Sigma社 F2442) 10%
1mL(10mg/mL ゲンタマイシン 20μg/mL
Gibco♯15710−072)
細胞継代:
細胞(Hall R.E.,et al.,European Journal of Cancer,30A:484−490(1994))をPBS中で2回すすぎ、フェノールレッドを含まないトリプシン−EDTAを同じPBS中で1:10に希釈する。細胞層を1Xトリプシンですすぎ、過剰のトリプシンを注ぎ出し、細胞層を、37℃で約2分間温置する。フラスコを軽くたたき、細胞分離の兆候を確認する。細胞がフラスコから滑り落ちるようになった時点で、完全培地を加えてトリプシンを破壊する。この時点で細胞を計数し、次いで、適切な濃度まで希釈し、その後の培養のためにフラスコまたはシャーレに分割する(通常、1:3から1:6の希釈)。
【0125】
MDA−MB−453細胞可溶化液の調製
MDA細胞が70%から85%集密している場合、それら細胞を上述のように剥離させ、4℃で10分間、1000gでの遠心分離により集める。細胞ペレットを、TEGM(10mM Tris−HCl、1mM EDTA、10%グリセロール、1mM ベータ−メルカプトエタノール、10mM モリブデン酸ナトリウム、pH 7.2)で2回洗浄する。最後の洗浄後、細胞を10細胞数/mLの濃度でTEGM中に再懸濁する。細胞懸濁液を、液体窒素中またはエタノール/ドライアイス浴中で急速冷凍し、ドライアイス上の−80℃フリーザーに移す。結合アッセイの開始前に、冷凍試料を氷水上に放置して、そのまま解凍する(〜1時間)。次いで、試料を4℃で30分間、12500gから20000gで遠心分離する。上澄みを用いて、すぐにアッセイを開始する。上澄み50μLを使用する場合、試験化合物をTEGM緩衝液50μL中で調製できる。
【0126】
多項目化合物スクリーニング手順:
1xTEGM緩衝液を調製し、同位体含有アッセイ混合物を以下の順序で調製する。EtOH(2%反応最終濃度)、H−R1881またはH−DHT(0.5nM反応最終濃度)および1xTEGM。[例えば100試料に対して、EtOH200μL(100x2)+1:10 H−R1881原液4.25μL+1xTEGM2300μL(100x23)]。化合物を逐次希釈する。例えば、開始最終濃度が1μMおよび化合物が溶液25μL中にある場合、繰り返し試料について、4x1μM溶液75μLを作成し、100μMの3μLを緩衝液72μLに加え、1:5逐次希釈を行う。
【0127】
H−R1881トレース25μLおよび化合物溶液25μLを第1に一緒に混合し、続いて受容体溶液50μLを加える。反応系を穏やかに混合し、約200rpmで短時間撹拌し、4℃で一晩温置する。50%HAPスラリー100μLを調製して温置反応系に加え、次いで、渦巻攪拌し、氷上で5分から10分間温置する。反応混合物を更に2回渦巻攪拌して、反応系を温置しながらHAPを再懸濁させる。次いで、96ウェルフォーマット中の試料を、The FilterMate(登録商標)Universal Harvesterプレート洗浄器(Packard社)を用いて洗浄緩衝液中で洗浄する。洗浄工程は、リガンド結合発現された受容体を含むHAPペレットをUnifilter−96GF/Bフィルタープレート(Packard社)に移送する。TopCountマイクロシンチレーションカウンター(Packard社)で計数する前に、フィルタープレート上のHAPペレットを、MICROSCINTシンチレーター(Packard社)50μLを用いて30分間温置する。IC50を、R1881を基準として計算する。本発明の組織選択性アンドロゲン受容体修飾薬は、1マイクロモル濃度以下のIC50値を示した。
【0128】
2.MMP1プロモーター抑制、一過性形質移入アッセイ(TRAMPS)
HepG2細胞を、10%活性炭処理FCSを含有する、フェノールレッドを含まないMEM中、5%COを用いて37Cで培養する。形質移入用に、細胞を96ウェルの白色透明底プレート内に10000細胞数/ウェルで平板接種する。24時間後、製造者により推奨されたプロトコルに従って、細胞をFuGENE6形質移入試薬を用いて、MMP1プロモーター・ルシフェラーゼ・レポーター・コンストラクトおよびアカゲザル発現コンストラクト(50:1比)と共に同時導入する。MMP1プロモーター・ルシフェラーゼ・レポーター・コンストラクトを、ヒトMMP1プロモーター・フラグメント(−179/+63)をpGL2ルシフェラーゼ・レポーター・コンストラクト(Promega社)中に挿入することにより生成し、アカゲザルAR発現コンストラクトを、CMV−Tag2B発現ベクター(Stratagene社)内で生成する。細胞を更に24時間培養し、その後細胞を、試験化合物を用いて、MMP1プロモーターの基礎活性を増加させるために用いる100nMのホルボール−12−ミリステート−13−アセテート(PMA)の存在下で処理する。化合物をこの時点で、1000nMから0.03nMの範囲、10希釈で、10Xの濃度、1/10の体積で加える(例:10マイクロリットルのリガンドを10倍で、既にウェル内にある100マイクロリットルの培地に加える)。細胞を、追加の48時間さらに培養する。細胞を、その後PBSで2回洗浄し、溶解緩衝液(1x、Promega社)70μLをウェルに加えることで溶解する。ルシフェラーゼ活性を、1450 Microbeta Jet照度計(Perkin Elmer社)を用いて、96ウェルフォーマット内で測定する。試験化合物の活性は、PMA促進の対照レベルからのルシフェラーゼシグナルの抑制として現れる。EC50値およびEmax値が、記録される。本発明の組織選択性アンドロゲン受容体修飾薬は、一般にμM以下のEC50値および約50%を超えるEmax値で抑制作用を活性化する。
【0129】
参考文献:
a.Newberry EP,Willis D,Latifi T,Boudreaux JM,Towler DA,“Fibroblast growth factor receptor signaling activates the human interstitial collagenase promoter via the bipartite Ets−AP1 element,” Mol.Endocrinol. 11:1129−44(1997)。
b.Schneikert J,Peterziel H,Defossez PA,Klocker H,Launoit Y,Cato AC,“Androgen receptor−Ets protein interaction is a novel mechanism for steroid hormone−mediated down−modulation of matrix metalloproteinase expression,” J.Biol.Chem. 271:23907−23913(1996)。
【0130】
3.アンドロゲン受容体のN−末端領域とC−末端領域とのリガンド誘導相互作用に関する哺乳動物二重ハイブリッドアッセイ(アゴニストモード)
本アッセイは、活性化アンドロゲン受容体により介在されるインビボ男性化ポテンシャルを反映するrhARのN−末端領域(NTD)とC−末端領域(CTD)との相互作用を誘導するARアゴニストの活性を評価する。rhARのNTDとCTDとの相互作用は、CV−1サル腎臓細胞における哺乳動物二重ハイブリッドアッセイと同様に、Gal4DBD−rhARCTD融合タンパク質とVP16−rhARNTD融合タンパク質との間のリガンド誘導の会合として定量化される。
【0131】
形質移入の前日に、CV−1細胞をトリプシン処理して計数し、次いで、細胞を、96ウェルプレート内またはより大きなプレート内(従って、スケールアップとなる)のDMEM+10%FCS中に20000細胞数/ウェルで平板接種する。翌朝、CV−1細胞を、製造元が推奨する手順に従って、LIPOFECTAMINE PLUS試薬(GIBCO−BRL社)を用いて、pCBB1(SV40早期プロモーター下で発現するGal4DBD−rhARLBD融合コンストラクト)、pCBB2(SV40早期プロモーター下で発現するVP16−rhAR NTD融合コンストラクト)およびpFR(Gal4応答性ルシフェラーゼ・レポーター、Promega社)と共に同時導入する。短時間で、0.05μgのpCBB1、0.05μgのpCBB2および0.1μgのpFRのDNA混合物を、“PLUS Reagent”(1.6μL、GIBCO−BRL社)と混合した3.4μL OPTI−MEM(GIBCO−BRL社)中に混合し、室温(RT)で15分間温置して、前複合型DNAを形成する。
【0132】
各ウェルについて、0.4μL LIPOFECTAMINE試薬(GIBCO−BRL社)を二次チューブ内の4.6μL OPTI−MEM中に希釈し、混合して希釈LIPOFECTAMINE試薬を形成する。前複合型DNA(上記)および希釈LIPOFECTAMINE試薬(上記)を合わせて混合し、室温で15分間温置する。細胞上の培地を、40μL/ウェルのOPTI−MEMで置換し、10μL DNA−脂質複合物を各ウェルに加える。複合物を培地中に穏やかに混ぜ込み、37℃、5%COで5時間温置する。温置に続いて、200μL/ウェルのD−MEMおよび13%活性炭処理FCSを加え、続いて37℃、5%COで温置する。24時間後、試験化合物を、所望の濃度(1nM−10μM)で加える。48時間後、製造者のプロトコルに従って、ルシフェラーゼ活性をLUCスクリーンシステム(TROPIX社)を用いて測定する。本アッセイは、アッセイ溶液1と、それに続くアッセイ溶液2各50μLの連続添加により、ウェル内で直接実施される。室温で40分間のインキュベーション後、発光を2から5秒積算で直接測定する。
【0133】
試験化合物の活性は、3nMのR1881を用いて得られた活性に対するEmax値として計算される。本発明の典型的な組織選択性アンドロゲン受容体修飾薬は、弱いアゴニスト活性を示すかまたは全く示さず、本アッセイにおいて10マイクロモル濃度で50%未満のアゴニスト活性を示す。
【0134】
参考文献:
He B,Kemppainen JA,Voegel JJ,Gronemeyer H,Wilson EM,“Activation function in the human androgen receptor ligand binding domain mediates inter−domain communication with the NH(2)−terminal domain,”J.Biol.Chem.274:37219−37225(1999)。
【0135】
4.アンドロゲン受容体のN−末端領域とC−末端領域との相互作用阻害に関する哺乳動物二重ハイブリッドアッセイ(アンタゴニストモード)
本アッセイは、上述と同様にCV−1細胞における哺乳動物二重ハイブリッドアッセイにおけるrhARのNTDとCTDとの相互作用に対するR1881の促進作用と拮抗する試験化合物の活性を評価する。
【0136】
形質移入の48時間後、CV−1細胞を試験化合物で、典型的には10μM、3.3μM、1μM、0.33μM、100nM、33nM、10nM、3.3nMおよび1nMの最終濃度で処理する。37℃、5%COで10から30分間温置後、ARアゴニストのメチルトリエノロン(R1881)を0.3nM最終濃度に加え、37℃で温置する。48時間後、製造者により推奨されるプロトコルに従って、ルシフェラーゼ活性をLUCスクリーンシステム(TROPIX社)を用いて測定する。R1881の作用と拮抗する、試験化合物の活性を、0.3nMのR1881単独での値と比較した相対的発光として計算する。
【0137】
5.アンドロゲン受容体のトランス活性化調節(TAMAR)
本アッセイは、ヒトARを自然に発現するヒト乳がん株細胞であるMDA−MB−453細胞内で、MMTV−LUCレポーター遺伝子からの転写を制御するという試験化合物の活性を評価する。該アッセイは、LUCレポーター遺伝子に結合する、修飾MMTV LTR/プロモーターの誘導を測定する。
【0138】
20000から30000細胞数/ウェルを、96ウェルの白色透明底プレート内で、10%FBS、4mM L−グルタミン、20mM HEPES、10ug/mLヒトインスリンおよび20ug/mLゲンタマイシンを含有する、フェノールレッドを含まないRPMI 1640からなる「指数関数的増殖培地」中に平板接種する。インキュベーターの条件は、37℃および5%COである。形質移入を、バッチモードで行う。細胞をトリプシン処理し、新鮮な培地の適量中の正確な細胞数まで計数し、次いで、Fugene/DNAカクテル混合物と穏やかに混合し、96ウェルプレート上に平板接種する。ウェルはすべて、培地+脂質/DNA複合物の200Tlを入れてあり、次いで、37℃で一晩温置する。形質移入カクテルは、血清を含まないOptimem、Fugene6試薬およびDNAからなる。製造者(Roche Biochemical社)のカクテル準備プロトコルは次のようである。脂質(Tl)のDNA(Tg)に対する比率は、ほぼ3:2であり、温置時間は、室温で20分である。形質移入後16時間から24時間で、細胞を最終DMSO(媒体)濃度が3%未満になるように、試験化合物で処理する。該細胞を、試験化合物に48時間曝露する。48時間後、細胞をPromega細胞培養溶解緩衝液で30から60分間溶解し、その後抽出物中のルシフェラーゼ活性を、96ウェルフォーマット照度計内でアッセイする。
【0139】
試験化合物の活性は、100nMのR1881に関して得られる活性に対するEmax値として計算される。
【0140】
参考文献:
a.R.E.Hall,et al.,“MDA−MB−453,an androgen−responsive human breast carcinoma cell line with high androgen receptor expression,”Eur.J.Cancer,30A:484−490(1994)。
b.R.E.Hall,et al.,“Regulation of androgen receptor gene expression by steroids and retinoic acid in human breast−cancer cells,” Int.J.Cancer,52:778−784(1992)。
【0141】
6.インビボ前立腺アッセイ
性成熟の最初期齢である9から10週齢のオスSprague−Dawleyラットを、予防モードで使用する。目的は、アンドロゲン様化合物が、精巣の除去(精巣摘出術[ORX])後7日間内に起こる腹側前立腺および精嚢の急速劣化(〜−85%)を遅延させる度合いを測定することである。
【0142】
ラットは、精巣摘出(ORX)される。各ラットを計量し、次いで作用が持続されるイソフルランガスにより麻酔する。陰嚢において1.5cmの体軸方向の切開を行う。右睾丸を露出させる。精巣動脈および輸精管を、4.0絹糸を用いて睾丸から0.5cm近接して結紮する。睾丸を結紮部位に対して遠位側で、小型手術鋏の一回切断により除去する。組織断端を陰嚢内に戻す。同様の処置を左睾丸について繰り返す。両断端を陰嚢内に戻したならば、陰嚢および被覆している皮膚を4.0絹糸で縫合閉鎖する。偽ORXについては、結紮および鋏切除を除いたすべての手順を完了する。ラットは、意識および十分な運動性を10から15分以内に完全に回復する。
【0143】
試験化合物の用量は、外科的切開が縫合された直後に、ラットに対して皮下または経口で投与される。処置は、更に6連続日継続する。
【0144】
解剖および評価項目:
ラットを初めに計量し、次いでCOチャンバー内で瀕死となるまで麻酔する。約5mlの全血を心穿刺により採取する。次いで、このラットを、死亡およびORXの完全性の確実な兆候について検査する。次に、前立腺の腹側部分を特定し、高度に定型化した方式において末端をそろえて解剖切除する。腹側前立腺を3から5秒間拭き取って乾かし、次いで計量する(VPW)。最後に、精嚢を置き、解剖切除する。腹側精嚢を3から5秒間拭き取って乾かし、次いで計量する(SVWT)。
【0145】
本アッセイの一次データは、腹側前立腺および精嚢の重量である。二次データは、血清LH(黄体形成ホルモン)およびFSH(卵胞刺激ホルモン)、ならびに骨形成および男性化の可能性のある血清マーカーを含む。データを、ANOVA + Fisher PLSD post−hoc試験により分析して、集団間相違を特定する。試験化合物がORX誘導されたVPWおよびSVWTの減少をどの程度まで抑制するかを、評価する。
【0146】
7.インビボ骨形成アッセイ
7から10月齢のメスSprague−Dawleyラットを処置モードで用いて、成人ヒト女性をシミュレートする。ラットを、75から180日前に卵巣摘出(OVX)して骨量減少を起こし、エストロゲン欠乏症で、骨減少症の成人ヒト女性をシミュレートした。強力な再吸収抑制剤、アレンドロネートの低量投与による前処置(0.0028mpk SC、2X/wk)を、0日目に開始する。15日目に試験化合物による処置を開始する。試験化合物処置を15から31日目に実施し、32日目に解剖する。目的は、蛍光色素標識の増加により示される、アンドロゲン様化合物による骨膜表面での骨形成量の増加がどの程度であるかを測定することである。
【0147】
典型的なアッセイにおいて、各々7匹のラットの9群で試験をする。
【0148】
19日目および29日目(処置の5日目および15日目)に、カルセインの単独皮下注射(8mg/kg)をそれぞれのラットに行う。
【0149】
解剖および評価項目:
ラットを初めに計量し、次いでCOチャンバー内で瀕死となるまで麻酔する。約5mlの全血を心穿刺により採取する。次いでラットを、死亡およびOVXの完全性の確実な兆候について検査する。初めに、子宮を特定し、高度に定型化した方式において末端をそろえて解剖切除し、3から5秒間拭き取って乾かし、次いで、計量する(UW)。子宮を10%中性緩衝ホルマリン中に置く。次に、右脚を臀部で解体する。大腿骨および頸骨を、踵部で分離し、十分に筋肉除去し、次いで、70%エタノール中に置く。
【0150】
大腿骨の中央部近位−遠位中間点を含む中央右大腿骨の1cm切片をシンチレーションバイアル内に置き、等級付きアルコールおよびアセトン中で脱水ならびに脱脂し、次いで、メチルメタクリレートの濃度を増加させた溶液に導入する。該切片を90%メチルメタクリレートと10%ジブチルフタレートとの混合物中に埋め込み、48から72時間の時間にわたって重合させる。ビンを割り、プラスチック塊を、断面検査用に調製された骨の長軸を中心に、Leica 1600 ソー・ミクロトームの万力様試料ホルダーに都合よく適合する形状に削って整える。85μm厚の断面試料3片を調製し、ガラススライド上に載せる。各ラットから、骨の中間点に近接する一切片を選択し、遮光する。各切片の骨膜表面を、全骨膜表面、単一蛍光色素標識、二重蛍光色素標識、および標識間距離に関して評価する。
【0151】
本アッセイの一次データは、二重標識を持つ骨膜表面の百分率、および骨形成の半独立マーカーである石灰化速度(標識間距離(μm)/10d)である。二次データは、子宮重量および組織学的特徴を含む。三次的評価項目は、骨形成および男性化の血清マーカーを含んでよい。データを、ANOVA + Fisher PLSD post−hoc試験により分析して、群間相違を特定する。試験化合物がどの程度まで骨形成の評価項目を増加させるのかが、評価される。
【0152】
前述の明細書は、本発明の原理を、例証の目的で提供された実施例を用いて教示するものである一方、本発明の実施は、別書類の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に入るとおりの、通常の改変、適用、または変更のすべてを包含するものと理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

のイミダゾピリジンメタンアミンまたはその塩酸塩を調製する方法であり、
(1)式IIのN−保護グリシン誘導体と式IIIの2,3−ジアミノピリジンとを、酸塩化物活性化剤を用いてカップリングして式IVの付加体を生成すること、および
【化2】

(2)酸処理および脱保護により付加体IVを環化して式Iのイミダゾピリジンメタンアミンを得ること(式中、
nは、0、1、2、または3であり、
R1は、独立に、C−Cアルキル、ハロ、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cアルキル(CO)またはC−Cアルキルオキシであり、
2aおよびR2bは、独立に、H、C−Cアルキル、C−Cペルフルオロアルキルまたはハロであり、ならびに
は、窒素保護基である。)
を含む、前記方法。
【請求項2】
式V:
【化3】

の2−フルオロラクタムを調製する方法であり、式VI:
【化4】

の2−ヨードラクタムをフッ化銀(I)で処理すること[式中、Rは、
【化5】

(R、Rは、独立に、C−Cアルキル、C−Cペルフルオロアルキルである。)であり、Rは、H、C−CアルキルまたはC−Cアルキル(CO)である。]
を含む、前記方法。
【請求項3】
が、
【化6】

であり、R1が、メチルであり、およびR5が、メチルである、請求項2の方法。
【請求項4】
式Vの2−フルオロラクタムが、2β:2αが少なくとも90:10の立体選択性で調製される、請求項2の方法。
【請求項5】
溶媒として、メチレンクロリド、テトラヒドロフラン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、またはメチレンクロリド/アセトニトリル6:1の使用を更に含む、請求項2の方法。
【請求項6】
テトラヒドロフラン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、またはメチレンクロリド/アセトニトリル6:1が溶媒であり、1.1当量から1.5当量のフッ化銀(I)の使用を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
N,N−ジメチルホルムアミドが、溶媒であり、および1.1当量のフッ化銀(I)が使用される、請求項2の方法。
【請求項8】
方法が、室温で行われ、ならびに2−フルオロラクタムが、2β:2αが少なくとも94:6の立体選択性で、および95%を超える収率で生成される、請求項7の方法。
【請求項9】
式V’:
【化7】

の2−フルオロラクタムを調製する方法であり、
式VIの2−ヨードラクタムを水/N,N−ジメチルホルムアミド混合物で、続いてNaHCOで処理して式XVIIIのヒドロキシラクタムを生成すること
【化8】

[式中、Rは、
【化9】

(R、Rはそれぞれ独立に、HおよびC−Cアルキルから選択される。)であり、Rは、H、C−CアルキルまたはC−Cアルキル(CO)である。]
【化10】

および
ヒドロキシラクタム(XVIII)を式Z:
【化11】

の化合物で処理して式V’の2−フルオロラクタムを生成すること
【化12】

を含む、前記方法。
【請求項10】
が、
【化13】

であり、Rが、メチルであり、およびRが、水素である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式VII:
【化14】

の化合物を調製する方法であり、
(1)式Vまたは式V’:
【化15】

の1つの化合物をリチウムヘキサメチルジシラジドで処理してエノラートをもたらす段階、
(2)エノラートをメチルベンゼンスルフィナートと反応させる段階、および
(3)加温して、式VIIの化合物を生成する段階[式中、Rは、
【化16】

(RおよびRは、HおよびC−Cアルキルから、それぞれ独立に選択される。)であり、およびRは、H、C−CアルキルまたはC−Cアルキル(CO)である。]
を含む、前記方法。
【請求項12】
式VIIIのアザステロイドアミドを、式IXのアザステロイド酸から調製する方法であり、
【化17】

1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩またはCDIをカップリング剤として用いて、酸IXを式I:
【化18】

のイミダゾピリジンメタンアミンとカップリングさせること(式中、
nは0、1、2、または3であり、
R1は、独立に、H、C−Cアルキル、ハロ、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cアルキル(CO)またはC−Cアルキルオキシであり、
2aおよびR2bは、独立に、H、C−Cアルキル、C−Cペルフルオロアルキルまたはハロであり、ならびに
は、H、C−CアルキルまたはC−Cアルキル(CO)である。)
を含む、前記方法。
【請求項13】
式X:
【化19】

のアザステロイドアミドを調製する方法であり、
(1)化合物XIをヨウ素化して2−ヨウ素化合物XIIを得ること、
【化20】

(2)化合物XII中のヨウ素をフッ素で置換して2−フルオロ化合物XIII:
【化21】

を得ること、
(3)化合物XIIIのラクタム窒素をメチル化して化合物XIV:
【化22】

を得ること、
(4)化合物XIVを酸化して化合物XV:
【化23】

を得ること、
(5)エステルXVを加水分解して酸XVIを得ること、および
【化24】

(6)酸XVIとアミンXVIIとをカップリングしてアザステロイドアミドXを得ること
を含む、前記方法。
【請求項14】
(1)におけるヨウ素化が、トリメチルシリルクロリドおよびIの反応を含み、(2)における置換反応が、N,N−ジメチルアセトアミド中、ジクロロメタン中、ジクロロメタン/アセトニトリル中、またはアセトニトリル中におけるフッ化銀(I)の反応を含み、(3)のメチル化が、t−BuOKおよびMeIの反応を含み、(4)の酸化が、リチウムヘキサメチルジシラジドおよびベンゼンスルフィン酸メチルの反応を含み、(5)における加水分解が、NaOHまたはKOHの反応を含み、および(6)におけるカップリングが、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩または1,1’−カルボニルジイミダゾールの反応を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(1)におけるヨウ素化が、2−ヨードラクタム生成物を生成するトリメチルシリルクロリドおよびIの反応を含み、(2)における置換反応が、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)および水で処理し続いてDeoxo−Fluor(登録商標)で処理することによる、段階(1)において生成した2−ヨードラクタム生成物の転化を含み、(3)のメチル化が、t−BuOKおよびMeIの反応を含み、(4)の酸化が、リチウムヘキサメチルジシラジドおよびベンゼンスルフィン酸メチルの反応を含み、(5)における加水分解が、NaOHまたはKOHの反応を含み、ならびに(6)におけるカップリングが、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩または1,1’−カルボニルジイミダゾールの反応を含む、請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2008−540416(P2008−540416A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510086(P2008−510086)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/016479
【国際公開番号】WO2006/121655
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】