説明

フッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物およびそれを用いた2液型塗料組成物

【課題】低極性有機溶剤に可溶であるとともに、フッ素系ポリオール化合物との相溶性に優れ、硬度に優れた塗膜を与え得るフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物およびそれを用いた2液型塗料組成物を提供すること。
【解決手段】脂肪族または脂環族ジイソシアネートと炭素数11〜20のモノアルコールとを反応させて得られ、数平均分子量500〜1,000の成分の含有量が35〜80質量%であり、かつ、アロファネート基とイソシアヌレート基とを、アロファネート基/イソシアヌレート基=80/20〜40/60(モル比)で含有するポリイソシアネート、およびアニリン点が10〜70℃の低極性有機溶剤、または混合アニリン点が5〜50℃の低極性有機溶剤を含むフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物、およびこの硬化剤組成物とポリオール化合物とを含む2液型塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物およびそれを用いた2液型塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイソシアネートを一成分として用いる2液型のウレタン系塗料は、耐候性や耐摩耗性に優れた塗膜を与えることから、建築物、土木構築物等の屋外基材の塗装、自動車の補修、プラスチックの塗装などに使用されている。
従来、特に耐候性に優れた塗膜が得られる塗料として、主剤としてフッ素系ポリオールを用い、硬化剤としてポリイソシアネートを用いるものが提案されているが、この塗料には、フッ素系ポリオールとポリイソシアネートとの相溶性が低いという問題がある。
【0003】
この相溶性を改善するために、例えば、特許文献1(特開平5−287240号公報)では、2液型のフッ素系塗料組成物の硬化剤として、炭素数1〜10のモノアルコールと、脂肪族系有機ポリイソシアネートとの反応によって得られるアロファネート基含有ポリイソシアネートを用いる技術が開示されている。
ところで、2液型のウレタン系塗料では、ポリイソシアネートの極性の高さから、一般的に、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素溶剤や、酢酸ブチル等のエステル系溶剤などの強溶剤、すなわち、溶解力の強い溶剤が用いられており、上記特許文献1の塗料においても例外ではない。
【0004】
しかし、これらの強溶剤は臭気が強いため、作業環境の改善や地球環境負荷の低減という点から近年は敬遠される傾向にある。さらに、旧塗膜の上から新たに塗装して塗装の補修や塗り替えを行う際、補修用塗料中に高い溶解力を有する強溶剤が含まれていると、旧塗膜が膨潤ないしは溶解し、旧塗膜まで補修する必要が発生する虞がある。その結果、塗装作業の拡大化と煩雑化、塗装費用の増大、工期の延長などの問題が生じる場合がある。
【0005】
【特許文献1】特開平5−287240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低極性有機溶剤に可溶であるとともに、フッ素系ポリオール化合物との相溶性に優れ、硬度に優れた塗膜を与え得るフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物およびそれを用いた2液型塗料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、脂肪族または脂環族ジイソシアネートと所定の炭素数を有するモノアルコールとを反応させて得られ、数平均分子量500〜1,000の成分を所定割合含有するとともに、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比を所定範囲で含むポリイソシアネート組成物が、低極性有機溶剤に対する溶解性に優れていること、およびこのポリイソシアネート組成物とフッ素系ポリオールとを含む塗料から得られた塗膜の強度が向上することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
1. 脂肪族または脂環族ジイソシアネートと炭素数11〜20のモノアルコールとを反応させて得られ、数平均分子量500〜1,000の成分の含有量が35〜80質量%であり、かつ、アロファネート基とイソシアヌレート基とを、アロファネート基/イソシアヌレート基=80/20〜40/60(モル比)で含有するポリイソシアネート、およびアニリン点が10〜70℃の低極性有機溶剤、または混合アニリン点が5〜50℃の低極性有機溶剤を含むことを特徴とするフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物、
2. 前記ポリイソシアネートが、前記アロファネート基およびイソシアヌレート基の総モル量を100とした場合に、0.5mol%以下のウレタン基を含む1のフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物、
3. 前記ポリイソシアネートが、脂肪族または脂環族ジイソシアネートと、炭素数11〜20のモノアルコールとを、アロファネート化反応させて得られたものを含む1または2のフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物、
4. 前記ポリイソシアネートが、脂肪族または脂環族ジイソシアネートと、炭素数11〜20のモノアルコールとを、イソシアヌレート化反応させて得られたものを含む1または2のフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物、
5. 前記ポリイソシアネートが、脂肪族または脂環族ジイソシアネートと炭素数11〜20のモノアルコールとをアロファネート化反応させて得られたアロファネート変性ポリイソシアネート、および脂肪族または脂環族ジイソシアネートを用いて得られたイソシアヌレート変性ポリイソシアネートの混合物からなる1または2のフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物、
6. 前記ポリイソシアネートが、脂肪族または脂環族ジイソシアネートと炭素数11〜20のモノアルコールとを、アロファネート化反応させた後、イソシアヌレート化反応させて得られたものを含む1または2のフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物、
7. 前記イソシアヌレート化反応の触媒が、カルボン酸の錫塩である4または6のフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物、
8. 1〜7のいずれかのフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物と、フッ素系ポリオール化合物とを含む2液型塗料組成物
を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリイソシアネート硬化剤組成物は、低極性有機溶剤(弱溶剤)に対する溶解性に優れるとともに、2液型塗料に用いられるフッ素系ポリオールとの相溶性が良好である。
このポリイソシアネート硬化剤組成物を用いた2液型塗料組成物から得られた塗膜は、引張強度が大きく、強靱である。
また、本発明の2液型塗料組成物は、低極性有機溶剤(弱溶剤)に可溶であることから、重ね塗りする際に下地層を侵食することがないため、再コート性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係るフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物は、脂肪族または脂環族ジイソシアネートと炭素数11〜20のモノアルコールとを反応させて得られ、数平均分子量500〜1,000の成分の含有量が35〜80質量%であり、かつ、アロファネート基とイソシアヌレート基とを、アロファネート基/イソシアヌレート基=80/20〜40/60(モル比)で含有するポリイソシアネート、およびアニリン点が10〜70℃の低極性有機溶剤、または混合アニリン点が5〜50℃の低極性有機溶剤を含むものである。
【0011】
本発明において、ポリイソシアネート中のアロファネート基/イソシアヌレート基(モル比)が上記範囲を外れると、ポリイソシアネートの低極性有機溶剤に対する溶解性が低下するとともに、この硬化剤組成物を用いて得られた塗膜の物性が低下する。
好ましくはアロファネート基/イソシアヌレート基(モル比)=75/25〜40/60、より好ましくは65/35〜40/60、より一層好ましくは60/40〜40/60である。
また、ポリイソシアネート中のウレタン基の含有量は特に限定されるものではないが、本発明のポリイソシアネートにおいては、アロファネート基とイソシアヌレート基との総モル量を100とした場合に、0.7mol%未満が好ましく、0.5mol%以下がより好ましい。また、その下限は特に限定されるものではないが、0.1mol%以上が好適である。
なお、上記各官能基のモル比は、1H−NMR測定により算出することができる。
【0012】
また、ポリイソシアネート中の数平均分子量500未満の成分が多すぎると、ポリイソシアネート硬化剤組成物を用いて得られる塗膜強度が低下する。一方、数平均分子量1,000超の成分が多すぎると、硬化剤の粘度が高くなって、塗装作業時の作業性が低下する。
数平均分子量500〜1,000の成分の割合は、好ましくは35〜75質量%、より好ましくは40〜70質量%である。
なお、この成分割合は、ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)測定で得られた分子量分布において、全体の分子量分布のピーク面積を100%とした場合における分子量500〜1,000のピーク面積(%)を意味する。
【0013】
上記ポリイソシアネートとしては、脂肪族または脂環族ジイソシアネートと炭素数11〜20のモノアルコールとをアロファネート化させたもの、および/またはこれらをイソシアヌレート化させたものを用いることができる。
この場合、脂肪族または脂環族ジイソシアネートとしては、従来公知のものから適宜選択して用いることができ、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネート、水添化キシレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等を用いることができる。これらのジイソシアネートは、単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
これらの中でも、得られる塗膜の耐候性をより高めることを考慮すると、特に、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートが好ましい。
【0014】
一方、炭素数11〜20のモノアルコールの具体例としては、イソトリデカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、1−エイコサノール、1−ヘプタデカノール、1−ノナデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、3−エチル−4,5,6−トリメチルオクタノール、4,5,6,7−テトラメチルノナノール、4,5,8−トリメチルデカノール、4,7,8−トリメチルデカノール、2−ヘキシルドデカノール、2−オクチルドデカノール、2−ドデシルデカノール、2−ヘキサデシルオクタデカノール等が挙げられる。
これらの中でも、得られるポリイソシアネートの低極性有機溶剤に対する溶解性をより高めることを考慮すると、1−トリデカノール、イソトリデカノール、1−ドデカノール、1−エイコサノール、1−ヘプタデカノール、1−ノナデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコールが好ましく、1−トリデカノール、イソトリデカノールがより好ましい。
【0015】
アロファネート化反応は、上述のようなジイソシアネートとモノアルコールとを有機溶剤の存在下または非存在下、50〜150℃程度に加熱して行うことができる。
アロファネート化は、ウレタン化と同時に行っても、ウレタン化後に行ってもよい。ウレタン化とアロファネート化とを同時に行う場合、アロファネート化触媒の存在下で反応を行えばよく、ウレタン化後にアロファネート化を行う場合、アロファネート化触媒の非存在下で、所定時間ウレタン化反応を行った後、アロファネート化触媒を添加してアロファネート化反応を行えばよい。
【0016】
アロファネート化触媒としては、公知の触媒から適宜選択して用いることができ、例えば、カルボン酸のジルコニウム塩を用いることができる。上記カルボン酸としては、例えば、酢酸,プロピオン酸,酪酸,カプロン酸,オクチル酸,ラウリン酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,2−エチルヘキサン酸等の飽和脂肪族カルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸,シクロペンタンカルボン酸等の飽和単環カルボン酸、ビシクロ(4.4.0)デカン−2−カルボン酸等の飽和複環カルボン酸、ナフテン酸等の上述したカルボン酸の混合物、オレイン酸,リノール酸,リノレン酸,大豆油脂肪酸,トール油脂肪酸等の不飽和脂肪族カルボン酸、ジフェニル酢酸等の芳香脂肪族カルボン酸、安息香酸,トルイル酸等の芳香族カルボン酸等のモノカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、クルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、α−ハイドロムコン酸、β−ハイドロムコン酸、α−ブチル−α−エチルグルタル酸、α,β−ジエチルサクシン酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のポリカルボン酸類が挙げられる。これらのカルボン酸ジルコニウム塩は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、オクチル酸ジルコニウム、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム等の炭素数10以下のモノカルボン酸ジルコニウム塩を用いることがより好ましい。
なお、アロファネート化触媒の使用量は、ポリイソシアネートとアルコールとの合計質量に対して0.0005〜1質量%が好ましく、0.001〜0.1質量%がより好ましい。
【0017】
有機溶媒の存在下で反応を行う場合、反応に影響を与えない各種有機溶媒を用いることができ、その具体例としては、n−ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化メチル、ヨウ化メチレン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミド等の極性非プロトン溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0018】
反応終了後、リン酸やリン酸エステル等の反応停止剤を反応系内に加え、30〜100℃で1〜2時間停止反応を行い、アロファネート化反応を停止させる。
反応停止後は、薄膜蒸留等の公知の手法により未反応成分を除去して目的とするアロファネート変性ポリイソシアネートを得ることができる。
得られたアロファネート変性ポリイソシアネートは、(上述のアロファネート基/イソシアヌレート基の範囲を満たすものである場合)そのまま用いることができる。
【0019】
以上のようにして得られるアロファネート変性ポリイソシアネートは、アロファネート基を主として有するものであるが、イソシアネート基が過剰に存在する条件下で反応を行うなどによって副反応が生じ、イソシアヌレート基が生成する。
したがって、アロファネート化における[NCO]/[OH]の比などの各種条件を適宜調整することで、得られるポリイソシアネートにおけるアロファネート基とイソシアヌレート基とのモル比を、80/20〜40/60程度の範囲で適宜調整することができる。
【0020】
一方、イソシアヌレート化反応としては、イソシアヌレート化触媒の存在下、ポリイソシアネートを変性(三量体化)する方法が挙げられる。このような変性方法としては、例えば、特許第3371480号公報、特開2002−241458号公報に記載の方法を用いることができる。
【0021】
イソシアヌレート化触媒としては、例えば、脂肪族カルボン酸の金属塩、カリウムフェノラート等のフェノラート、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4−ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ジメチルアミノトリメチルシランフェノール、トリエチルアミン、N,N’,N’’−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、ジアザビシクロウンデセン等のアミン系化合物を用いることができる。中でも、脂肪族カルボン酸の錫塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、ビスマス塩が好ましく、特に、反応制御を行い易いという点から、錫塩が好適である。
具体的には、酢酸、プロピオン酸、ウンデシル酸、カプリン酸、オクチル酸、ミリスチル酸の錫塩を好適に用いることができる。
また、市販品として、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム・オクチル酸塩(DABCO TMR、三共エアープロダクツ(株)製)、オクチル酸カリウム(DABCO K−15、三共エアープロダクツ(株)製)を用いることもできる。
【0022】
以上のようにして得られるイソシアヌレート変性ポリイソシアネートは、イソシアヌレート基を有するものであるが、反応時に副生したアロファネート基も有している。
得られるイソシアヌレート変性ポリイソシアネートにおけるアロファネート基とイソシアヌレート基とのモル比は、イソシアヌレート化反応時間などを適宜調整することで、80/20〜40/60程度の範囲で調整することができる。
なお、先にアロファネート化したポリイソシアネートを、さらにイソシアヌレート化して、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比を調整してもよい。
【0023】
また、本発明で用いるポリイソシアネートは、アロファネート変性ポリイソシアネートと、イソシアヌレート変性ポリイソシネートとを配合したものでもよい。
この場合、アロファネート変性ポリイソシアネートとイソシアヌレート変性ポリイソシアネートとを、上述したアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比を満たす割合で混合すればよい。
なお、混合物全体として上述したアロファネート基とイソシアヌレート基とのモル比を満たす限り、上記アロファネート基とイソシアヌレート基とのモル比を満たさないポリイソシアネートを一部用いることもできる。
【0024】
本発明で用いるポリイソシアネートの粘度は、特に限定されるものではないが、25℃で2,000mPa・s以下であることが好ましく、1,500mPa・s以下であることがより好ましく、1,000mPa・s以下であることがさらに好ましい。ポリイソシアネートの粘度が、2,000mPa・sを超えると、塗料組成物の粘度が高くなり、取り扱い難くなる場合がある。一方、粘度の下限値は特に制限されないが、取り扱いの観点から、50mPa・s以上が好ましく、100mPa・sがより好ましく、200mPa・sがより一層好ましい。
【0025】
また、本発明のポリイソシアネート硬化剤組成物は、アニリン点が10〜70℃の低極性有機溶剤、または混合アニリン点が5〜50℃の低極性有機溶剤を含有する。
ここで、「アニリン点」とは、等容量のアニリンと試料(有機溶剤)とが均一な混合溶液として存在する最低温度のことである。また、「混合アニリン点」とは、アニリン2容量、試料1容量および1−ヘプタン1容量が均一な混合溶液として存在する最低温度のことである。アニリン点および混合アニリン点はJIS K 2256に記載のアニリン点および混合アニリン点試験方法に準じて測定することができる。
なお、アニリンは凝固点が−6℃であるため、それ以下の温度ではアニリン点は測定できない。そこで、アニリンにヘプタンを混合して有機溶剤の溶解力をより広域に測定するために、混合アニリン点が用いられる。
【0026】
上記アニリン点は10〜70℃が好ましく、10〜65℃がより好ましく、10〜50℃がより好ましい。また、混合アニリン点の場合は5〜50℃が好ましい。アニリン点が10℃未満または混合アニリン点が5℃未満では下地を侵し易くなり、アニリン点が70℃を超えるまたは混合アニリン点が50℃を超えるとポリイソシアネートを溶解し難くなる。
【0027】
このような有機溶剤としては、例えば、メチルシクロヘキサン(アニリン点:40℃)、エチルシクロヘキサン(アニリン点:44℃)、ミネラルスピリット(アニリン点:56℃)、テレビン油(アニリン点:44℃)が挙げられ、また、石油系炭化水素として市販されている商品名で、High Aromatic White Spirit(以下、「HAWS」と表記する)(シェルケミカルズジャパン製、アニリン点:17℃)、Low Aromatic White Spirit(以下、「LAWS」と表記する)(シェルケミカルズジャパン製、アニリン点:44℃)、エッソナフサNo.6(エクソンモービル社製、アニリン点:43℃)、ペガゾール3040(エクソンモービル社製、アニリン点:55℃)、Aソルベント(新日本石油社製、アニリン点:45℃)、クレンゾル(新日本石油社製、アニリン点:64℃)、ミネラルスピリットA(新日本石油社製、アニリン点:43℃)、ハイアロム2S(新日本石油社製、アニリン点:44℃)、ソルベッソ100(エクソンモービル社製、混合アニリン点:14℃)、ソルベッソ150(エクソンモービル社製、混合アニリン点:18.3℃)、スワゾール100(丸善石油化学社製、混合アニリン点:24.6℃)、スワゾール200(丸善石油化学社製、混合アニリン点:23.8℃)、スワゾール1000(丸善石油化学社製、混合アニリン点:12.7℃)、スワゾール1500(丸善石油化学社製、混合アニリン点:16.5℃)、スワゾール1800(丸善石油化学社製、混合アニリン点:15.7℃)、出光イプゾール100(出光興産社製、混合アニリン点:13.5℃)、出光イプゾール150(出光興産社製、混合アニリン点:15.2℃)、ペガゾールARO−80(エクソンモービル社製、混合アニリン点:25℃)、ペガゾールR−100(エクソンモービル社製、混合アニリン点:14℃)、昭石特ハイゾール(シェルケミカルズジャパン社製、混合アニリン点:12.6℃)、日石ハイゾール(新日本石油社製、混合アニリン点:17℃以下)などが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0028】
また、アニリン点が70℃以下または混合アニリン点が50℃以下である有機溶剤は臭気が少ないという特徴がある。そのため、このような低極性有機溶剤を含有する本発明の塗料組成物は、環境性の観点からも優れるものとなる。
さらに、このような低極性有機溶剤は、溶解力が低く下地を侵し難いため、塗料用組成物の重ね塗りが可能となり、補修用の塗料に適している。
【0029】
ポリイソシアネート硬化剤組成物におけるポリイソシアネートと、低極性有機溶剤との配合割合は、特に限定されるものではないが、本発明においては、質量比でポリイソシアネート:低極性有機溶剤=90:10〜10:90が好ましく、80:20〜20:80がより好ましい。
【0030】
本発明の塗料組成物は、上述したポリイソシアネート硬化剤組成物と、フッ素系ポリオールとを含むものである。
なお、フッ素系ポリオールとしては特に限定されるものではなく、従来公知のものから適宜選択して用いることができるが、低極性有機溶剤に対する溶解性が良好であるという本発明のポリイソシアネート硬化剤組成物の特性から、フッ素系ポリオールも低極性溶剤に可溶なものが好適である。
このような低極性有機溶剤に可溶なフッ素系ポリオールとしても、特に限定されるものではなく、公知の弱溶剤可溶型フッ素系ポリオールを用いることができる。その具体例としては、フルオロエチレン−ビニルエーテル(ビニルエステル)共重合体等が挙げられる。市販品としては、ルミフロンLF800(旭硝子(株)製)等が挙げられる。
【0031】
上記フッ素系ポリオールの水酸基価および酸価は特に限定されるものではないが、本発明の塗料では、水酸基価は、1〜300mgKOH/gが好ましく、1〜250mgKOH/gがより好ましい。水酸基価が1mgKOH/g未満では、塗膜の架橋が不十分となり、塗膜強度等の物性が低下する傾向があり、300mgKOH/gを超えると塗膜の架橋密度が高くなり過ぎて硬くなり、基材に対する追従性および柔軟性が低下する場合がある。
一方、酸価は、0.1〜5mgKOH/gが好ましく、0.5〜3mgKOH/gがより好ましい。
また、フッ素系ポリオールの数平均分子量は、得られる塗膜の強度や、塗料の取り扱い性などを考慮すると、5,000〜20,000が好ましく、7,000〜15,000がより好ましい。数平均分子量は、示差屈折率計検出によるGPCによる測定値(ポリスチレン換算値)である。
【0032】
本発明の塗料組成物中における、ポリイソシアネート硬化剤組成物とフッ素系ポリオールとの配合割合は、フッ素系ポリオール100質量部に対し、ポリイソシアネート硬化剤組成物1〜150質量部であることが好ましく、1〜130質量部であることがより好ましく、1〜100質量部であることがより一層好ましい。
【0033】
なお、上記塗料組成物は、上述した低極性有機溶剤や、一般的に塗料に用いられる各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、触媒、硬化促進剤、脱水剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、界面活性剤などが挙げられる。
【0034】
本発明の塗料組成物から塗膜を作製する場合、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、磁器タイル、金属、ガラス、木材、プラスチックなどの適宜な基材に、ハケ塗り、ローラー塗り、吹きつけ塗装などの方法により塗布し、適宜な手法で乾燥、硬化させればよい。
また、乾式建材に塗装を行う場合は、フローコーターまたはロールコーターにより工場等でプレコートしてもよい。
なお、塗料用組成物は基材に直接塗布してもよく、目止め、電着や下塗り(プライマー塗布)、中塗り(着色等)の上から塗布してもよい。また、基材が金属の場合、リン酸鉄処理またはリン酸亜鉛処理等の表面処理が施された上に塗布してもよい。
【実施例】
【0035】
以下、合成例、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、粘度はB型回転粘度計による測定値である。
【0036】
[1]変性ポリイソシアネートの製造
[合成例1]変性ポリイソシアネートS−1の合成
攪拌機、温度計、冷却管、および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、NCO含量:49.9質量%、以下HDIという)880g、およびトリデカノール120gを仕込み、これらを撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行った。
その後、この反応液中にイソシアヌレート化触媒であるオクチル酸錫(日本化学産業(株)製)0.1gを添加し、110℃にて反応させ、所定のNCO含量に達した時点で反応停止剤である酸性リン酸エステル(JP−508、城北化学工業(株)製)0.2gを添加し、50℃で1時間停止反応を行った。
この反応生成物から、薄膜蒸留(条件:140℃,0.04kPa)により過剰のHDIを除去し、NCO含量15.8質量%、粘度(25℃)320mPa・s、遊離のHDI含量0.1質量%の変性ポリイソシアネートS−1を得た。
【0037】
[合成例2〜5]変性ポリイソシアネートS−2〜S−5の合成
表1に示す仕込み量に変更した以外は、合成例1と同様にして変性ポリイソシアネートS−2〜S−5を得た。
【0038】
[比較合成例1]変性ポリイソシアネートS−7の合成
攪拌機、温度計、冷却管、および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、HDI880g、およびトリデカノール120gを仕込み、これらを撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行った。
その後、この反応液中にアロファネート化触媒であるオクチル酸ジルコニウム(第一稀元素化学工業(株)製)0.1gを添加し、110℃にて反応させ、所定のNCO含量に達した時点で反応停止剤である酸性リン酸エステル(JP−508、城北化学工業(株)製)0.2gを添加し、50℃で1時間停止反応を行った。
この反応生成物から、薄膜蒸留(条件:140℃,0.04kPa)により過剰のHDIを除去し、NCO含量14.8質量%、粘度(25℃)150mPa・s、遊離のHDI含量0.1質量%の変性ポリイソシアネートS−7を得た。
【0039】
[比較合成例2]変性ポリイソシアネートS−9の合成
攪拌機、温度計、冷却管、および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、合成例1で得られた変性ポリイソシアネートS−1を140g、および比較合成例1で得られたポリイソシアネートS−7を60g仕込んで1時間撹拌を行い、NCO含量15.5質量%、粘度(25℃)270mPa・sの変性ポリイソシアネートS−9を得た。
【0040】
[比較合成例3]変性ポリイソシアネートS−6の合成
表1に示す仕込み量に変更した以外は、合成例1と同様にして変性ポリイソシアネートS−6を得た。
【0041】
[合成例6]変性ポリイソシアヌレートS−10の合成
攪拌機、温度計、冷却管、および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、合成例4で得られた変性ポリイソシアネートS−4を100g、および比較合成例3で得られたポリイソシアネートS−6を100g仕込んで1時間撹拌を行い、NCO含量16.5質量%、粘度(25℃)1580mPa・sの変性ポリイソシアネートS−10を得た。
【0042】
[比較合成例4]変性ポリイソシアネートS−8の合成
攪拌機、温度計、冷却管、および窒素ガス導入管を備えた容量1リットルの四つ口フラスコに、HDI910g、および2−エチルヘキサノール90gを仕込み、直ちに80℃に加熱して2時間ウレタン化反応を行った。
その後、この反応液中に、イソシアヌレート化触媒であるオクチル酸錫(日本化学産業(株)製)0.5gを添加し、110℃にて反応させ、所定のNCO含量に達した時点で反応停止剤である酸性リン酸エステル(JP−508、城北化学工業(株)製)1.0gを添加し、50℃で1時間停止反応を行った。
この反応生成物から、薄膜蒸留(条件:140℃,0.04kPa)により過剰のHDIを除去し、NCO含量19.1質量%、粘度(25℃)700mPa・s、遊離のHDI含量0.2質量%の変性ポリイソシアネートS−8を得た。
【0043】
上記合成例および比較合成例で得られた変性ポリイソシアネートS−1〜S−10について、それぞれアロファネート基、イソシアヌレート基およびウレタン基の(生成)モル比、並びに数平均分子量500〜1,000の成分の含有割合を下記手法により測定した。結果を表1に示す。
[測定法]
[1]アロファネート基、イソシアヌレート基およびウレタン基の(生成)モル比
1H−NMR(300MHz、バリアン製)を用いて、8.5ppm付近のアロファネート基の窒素原子に結合した水素原子のシグナルと、3.7ppm付近のイソシアヌレート基の窒素原子に隣接したメチレン基の水素原子のシグナルと、7.0ppm付近のウレタン基の窒素原子に結合した水素原子のシグナルの面積比から求めた。具体的な測定条件は以下のとおりである。
測定温度:23℃
試料濃度:0.02g/1ml
積算回数:32回
緩和時間:5秒
溶媒:重水素ジメチルスルホキシド
化学シフト基準:重水素ジメチルスルホキシド中のメチル基の水素原子のシグナル(2.5ppm)
【0044】
[2]数平均分子量500〜1,000の成分の含有割合
下記測定で得られた分子量分布において、全体の分子量分布のピーク面積を100%とした場合における、下記条件で計算された分子量500〜1,000のピーク面積(%)を求め、数平均分子量500〜1,000の成分の含有割合とした。
[測定法]
GPC装置:HLC−8220(東ソー(株)製)
カラム:TSKgel G3000HXL、G2500HXL、G2000HXL、G1000HXL
温度:40℃
検出器:RI(屈折率)検出器
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1,000ml/min
検量線:標準ポリスチレン(東ソー(株)製)
F−80(TS−201) (7.06×105
F−20(TS−141) (1.90×105
F−10(TS−144) (9.64×104
F−2(TS−504) (1.80×104
F−1(TS−508) (1.02×104
A−5000(TS−503) (5.97×103
A−2800(TS−502) (2.63×103
A−500(TS−505) (5.0×102
HDIモノマー 分子量168
C−HXLV
3量体分子量 505
5量体分子量 841
7量体分子量 1177
サンプル濃度:0.5質量%(THF溶液)
【0045】
さらに、ポリイソシアネートS−1〜S−10について、ミネラルスピリットA(新日本石油(株)製)に対する20℃での溶解性を以下の手法により測定した。結果を併せて表1に示す。
[測定法]
ポリイソシアネート1gを量り取り、ここへミネラルスピリットAを加えていき、濁ったところを終点とし、その時点のミネラルスピリットAの添加量(g)を求めた。
この添加量を用い、下記式(1)からトレランスを算出した。
トレランス=有機溶剤の所要量(g)/サンプル量(1g) (1)
【0046】
【表1】

【0047】
[2]ポリイソシアネート硬化剤組成物および2液型塗料組成物の製造
[実施例1〜6,比較例1〜4]
上記合成例および比較合成例で得られた各ポリイソシアネートおよびミネラルスピリットA(新日本石油(株)製)を表2に示される割合で配合してポリイソシアネート硬化剤組成物を調製した。
さらに、得られたポリイソシアネート硬化剤組成物、フッ素ポリオール(ルミフロンLF800、旭硝子ウレタン(株)製)、酸化チタン(CR−90、石原産業(株)製)、およびミネラルスピリットA(新日本石油(株)製)を表3に示される割合で配合して2液型塗料組成物を調製した。
【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
上記実施例1〜6および比較例1,2で調製した2液型塗料組成物を、それぞれメチルエチルケトンで脱脂した鋼板(JIS G3141 商品名SPCC−SB、PF−1077処理、日本テストパネル工業(株)製)にアプリケーターを用い、ウェット膜厚100μmで塗布し、20℃、相対湿度65%の環境下で7日間養生を行い、乾燥膜厚40〜50μmの塗膜を形成させた。得られた塗膜について、下記の各特性について評価を行った。結果を表4に示す。
なお、比較例3,4については、変性ポリイソシアネートS−6,S−8のミネラルスピリットAに対する溶解性が悪かったため、塗膜試験は実施しなかった。
【0051】
(1)耐屈曲性
円筒形マンドレルにより折り曲げられた場合の塗膜の割れ、および鋼板からの剥がれの有無を、直径2mmの円筒形マンドレルを使用し、JIS K−5600−5−1:1999の耐屈曲性試験に準拠して評価した。塗膜の割れ、剥がれが生じないものを合格(○)とした。
(2)耐カッピング性
押し込みによって、部分変形を受けた場合の塗膜の割れ、および鋼板からの剥がれの有無を、押し込み器を使用し、JIS K−5600−5−2:1999の耐カッピング試験に準拠して評価した。押し込み器によって、塗膜の割れ、剥がれが生じる押し込み深さ(mm)を耐カッピング性とした。
(3)耐おもり落下性
おもり落下によって、変形を受けた場合の塗膜の割れ、および鋼板からの剥がれの有無を、直径10.3mm、質量0.5kgのおもりを使用し、JIS K−5600−5−3:1999の耐おもり落下試験(デュポン法)に準拠して評価した。塗膜の割れ、剥がれが生じる最低の落下高さ(cm)を耐おもり落下性とした。
(4)塗膜硬度
塗膜表面の硬度は、JIS K−5600−5−4:1999の引っかき硬度試験(鉛筆法)に準拠して測定した。塗膜表面にキズ跡が生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を塗膜硬度とした。
(5)密着性
塗膜の密着性をJIS K−5600−5−6:1999に準拠した碁盤目テープ剥離試験、直角の格子パターンが塗膜に切り込まれ、素地まで貫通するときの素地からの剥離に対して塗膜の耐性を評価した(クロスカット法)。
【0052】
【表4】

【0053】
表4に示されるように、実施例1〜6の塗料組成物から得られた塗膜は、密着性に優れている上に、硬度にも優れていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族または脂環族ジイソシアネートと炭素数11〜20のモノアルコールとを反応させて得られ、数平均分子量500〜1,000の成分の含有量が35〜80質量%であり、かつ、アロファネート基とイソシアヌレート基とを、アロファネート基/イソシアヌレート基=80/20〜40/60(モル比)で含有するポリイソシアネート、および
アニリン点が10〜70℃の低極性有機溶剤、または混合アニリン点が5〜50℃の低極性有機溶剤
を含むことを特徴とするフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物。
【請求項2】
前記ポリイソシアネートが、前記アロファネート基およびイソシアヌレート基の総モル量を100とした場合に、0.5mol%以下のウレタン基を含む請求項1記載のフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物。
【請求項3】
前記ポリイソシアネートが、脂肪族または脂環族ジイソシアネートと、炭素数11〜20のモノアルコールとを、アロファネート化反応させて得られたものを含む請求項1または2記載のフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネートが、脂肪族または脂環族ジイソシアネートと、炭素数11〜20のモノアルコールとを、イソシアヌレート化反応させて得られたものを含む請求項1または2記載のフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物。
【請求項5】
前記ポリイソシアネートが、脂肪族または脂環族ジイソシアネートと炭素数11〜20のモノアルコールとをアロファネート化反応させて得られたアロファネート変性ポリイソシアネート、および脂肪族または脂環族ジイソシアネートを用いて得られたイソシアヌレート変性ポリイソシアネートの混合物からなる請求項1または2記載のフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物。
【請求項6】
前記ポリイソシアネートが、脂肪族または脂環族ジイソシアネートと炭素数11〜20のモノアルコールとを、アロファネート化反応させた後、イソシアヌレート化反応させて得られたものを含む請求項1または2記載のフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物。
【請求項7】
前記イソシアヌレート化反応の触媒が、カルボン酸の錫塩である請求項4または6記載のフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載のフッ素系ポリオール用ポリイソシアネート硬化剤組成物と、フッ素系ポリオール化合物とを含む2液型塗料組成物。

【公開番号】特開2010−116509(P2010−116509A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291827(P2008−291827)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000230135)日本ポリウレタン工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】