説明

フライスの位置を決定する方法とこの方法を実施するために決定された加工ヘッド

【課題】
物質のマイクロ構成に対するフライスの位置決定を本質的に簡略化する可能性を創作すること。
【解決手段】
この発明は、加工ヘッド(1)に対して、物質(2)のマイクロ構成に用いられるフライス(3)の位置の調整に関する。このためにフライス(3)は基準面(7)に設置され、フライス(3)の収容部(4)は加工ヘッド(1)に対するフライス(3)の軸方向移動性が達成されるように調整される。引き続いて加工ヘッド(1)は、基準面(7)に対する加工ヘッド(1)の所定距離が達成されるまで、基準面に対して下方に移行される。これによって所定距離は異なったフライス(3)のために僅かな費用により調整され得るので、特に加工ヘッド(1)の運動軌道のための修正値の計数的確認が省略される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加工ヘッドにおいてフライスが基準面に設置されており、フライスを収容部により係留した加工ヘッドに対して物質のマイクロ構造にフライスの位置を決定する方法に関する。さらに、この発明は、物質のマイクロ構造にフライス用収容部を備えて、フライスを軸方向に固定する加工位置が調整できてこの方法を実施するために決定された加工ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなフライスは実際には導体板用の原型を製造するために使用される。この場合にCADプログラムのデータは直接にフライスの加工ヘッド用の制御データに変換され得るので、機能を果たす能力のある導体板が既に短時間に意のままになる。その際に、構造が直接にフライスによる伝導性物質表面の部分的除去によって発生されるので、電気メッキ処理は必要ではない。除去すべき軌道の幅を調整するために、このために円状フライスの侵入深さは距離の変動によって変更され得る。
【0003】
先行技術から公知な方法によって100μm導体軌道距離と幅並びに150μm孔直径の構造が実現できる。応用分野は幅広く区分される。例えば、種々の剛性且つ柔軟性材料並びに軟質物質がHFとマイクロ波技術によりほぼ連続原型に加工され得る。
【0004】
任意にしばしば再生可能な原型はより短い時間内で製造され、試験或いは小型連続仕上げが意のままになる。さらに、導体板の発疹のフライス切削或いは基礎材料から導体板の分離は複雑な輪郭でさえ同様に問題なしに導体板原型用の半田トップマスクの製造が可能となる。
【0005】
実際には使用目的に応じて種々のフライスが特に異なった全長により使用される。この理由から、特にフライスの侵入深さを再生可能な精度で調整できるために、物質の加工前にフライスヘッドに対するフライス尖端の距離を確認することが必要である。
【0006】
このために、例えば、フライスを固定するフライスヘッドによって接触センサー、例えばキースイッチを作動することは公知であり、そのスイッチによって接触の際に信号が制御ユニットに惹起される。フライスの制御ユニットから導かれた位置は特に次の加工のZ軸用の基準値として基礎になっている。
【0007】
さらに、フライスヘッドに固定されたフライスを電気伝導要素に設置することも既に公知である。センサーによって電流流れが伝導要素とフライスの間に検出されるとすぐに、対応する信号が惹起される。
【0008】
ドイツ特許出願公開第10345993号明細書(特許文献1)による工具ホルダー内に工具を測定して微調整する方法と装置において、検出されて実効位置と計数的に検出されて修正された工具長さとから工具ホルダー内の工具の微調整による修正が実現される。このために例えば圧電的に作用するマイクロアクターが用いられる。この際に工具はアクターによって工具をその際に固定する収容部と共に移動される。
【0009】
ドイツ特許出願公開第4030176号明細書(特許文献2)は、工具を測定する方法を記載する。このために工具は出発位置から接触するまで基準面へ移動する。接触の際に発生する音響信号が検出され、引き続いて電気信号に変換される。これは加工工具の正確な開始位置を検出するために工作物或いは工具工程用の修正量を参照して算出ユニットの検出された出発位置の考慮下で導かれる。
【0010】
さらに、ドイツ特許出願公開第19709136号明細書(特許文献3)は、一般にフライスにより物質をマイクロ構成する方法に関する。
【0011】
実際には、公知の方法が実際に著しい費用を必要とすることは欠点として示唆されている。そのために、実際には、伝導要素に対するフライスの機械的接触の際にフライスの損傷を生じ得ることを排除することはない。
【0012】
その上に、フライスの検出された位置からフライスヘッドの制御プログラムに流入する修正値を検出することが必要である。その際に追加的に特に加工すべき物質の連続した或いは湾曲された表面には、更なる費用と結びついている衝突シュミレーションを追加的に実施すべきである。
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第10345993号明細書
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第4030176号明細書
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第19709136号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この発明の課題は、物質のマイクロ構成に対するフライスの位置決定を本質的に簡略化する可能性を創作することである。さらに方法を実施するために決定される加工ヘッドが創作される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
最初に挙げられた課題は特許請求項1の特徴事項による方法によって解決される。従属請求項2乃至7は特に目的に適ってこの発明の実施態様に関する。
【発明の効果】
【0015】
この発明によると、この方法では、フライスの基準面に隣接する位置においてフライスの軸方向移動性はフライスのために開放した収容部にてフライスを加工ヘッドに対して調整され、引き続いて、基準面に対する加工ヘッドの所定距離が達成されるまで、加工ヘッドが基準面に対して移行する。これによって最初に、異なるフライスでは基準面に、それにより加工すべき物質に対する加工ヘッドの所定距離を可能とすることができるので、加工ヘッドの運動軌跡用の修正値の計数的検出が省略される。この発明によると、つまり、加工ヘッドは構成形態と無関係に、特に一定加工軌道に沿うフライスの長さに無関係に移動し、それによってこの方法が本質的に簡略化される。このために、フライスは基準面によって決定された固定式位置に保持され、その間に加工ヘッドは、所望の所定位置が達成されるまで、このために開放された収容部によりフライスと基準面に対して移行される。
【0016】
収容部はフライスをそのように所定位置に摩耗的に保持され得た。けれども、特に、フライスが基準面に対する加工ヘッドの所定位置をもつ所望位置において収容部に力伝達的に係留されるときに、好ましい。これによってフライスの所定位置は次の物質加工中に確実に保持されている。補充的にフライスの形状一体的固定が考慮できる。その際に基本的に多数のそれ自体公知のコレットがフライスの収容部として適しており、この場合に、場合によっては、コレットの閉鎖による所定位置からの移動を考慮すべきである。
【0017】
基本的には、フライスは基準面に一時的に、加工ヘッド尖端と反対を向いた運動方向によって加工ヘッド尖端と加工ヘッドの間の距離が、所定位置を調整できるために、拡大され得るように、係留できる。これと反対に、特に、加工ヘッドが基準面の方向に移行し、それによって基準面に対して固定式に係留されたフライスが収容部に挿入されるときに、好ましい。これによって、フライスの追加的案内が必要とされないから、基準面としてストッパが十分である。むしろフライスに移動自在に保持されたフライスが単に一自由度によって移動できる。この方法はそれによって本質的に簡略化される。
【0018】
この方法の特に好ましい構成は、フライスがその軸方向延長部により基準面に設置されるときに、達成される。これによって、伝導性層の確実な部分的除去を可能とするために、異なったフライス用のフライス過程中に物質へのフライスの一定侵入深さが達成される。この際に、この方法は、その前面によって基準面に設置される円錐的並びに円筒状フライスと同様に適している。
【0019】
同様に特別な実施に他の正当な態様は、フライスが円錐的断面により周辺面に基準面の窪みの縁領域に設置されるときに実現される。これによって、特に導体軌道には確実な絶縁体を適したフライス幅によって確保するために、基準面に対する加工ヘッドの所定距離用の一定フライス幅が達成される。
【0020】
基準面に対する加工ヘッドの所望距離を調整するために、加工ヘッドは、フライスが収容部に所望値だけ挿入されるまで、下降され得る。このために、単に加工ヘッドのそれぞれの位置の測定技術的検出が基準面の位置を含めて必要である。これと反対に、特に、加工ヘッドが基準面に対する所定距離を調整するように設置されるフライス深さ制限体を支持するときに簡単であるので、距離がフライス深さ制限体の寸法によって決定される。この調整は、これによって任意に再生できる。さらに、それによって距離は直接に加工方法に使用されたフライス深さ制限体に基づいて決定されるので、測定量としての距離の検出が不必要である。
【0021】
このために、特に、基準面がフライスの最高延長部に対するフライス深さ制限体の所定距離を確定する二つの平面を有するときに有効である。その際に例えば第一平面が窪み、例えばポケットの底によって形成され、その間に第二平面が窪みのそれを越えて前に突き出す縁領域によって形成されている。
【0022】
この発明の同様に特殊な目的かなった構成は、収容部が基準面の上部の位置において開放されるときに達成されるので、フライスが重力の影響の下で収容部にて基準面にまで軸方向に導かれる。これによって簡単な方法で、収容部からの定義された軸方向移動がストッパを形成する基準面によって制限されて達成され、その基準面はフライスの定義された挿入を収容部に引き続いている。所定位置はそれによってフライスにも、比較的短い軸方向延長部により確実に達成される。
【0023】
それに対して、この発明の同様に特に他の有効な態様では、例えばフライスの位置決めをヘッド超過位置に或いは基準面が水平位置とは相違する例えば垂直に整合されている位置に可能とするために、フライスはばね要素によって基準面に収容部に対して移動される。この場合には、ばね要素或いは例えば空気圧によって作動できる駆動手段が基準面の方向における軸方向移動に用いられる。
【0024】
この方法を実施するために決定した加工ヘッドを物質のマイクロ構成に対するフライス用の収容部を備えて創作する第二に挙げた課題は、この発明によると、少なくとも一つの軸方向スライドガイドを形成して解除した位置が加工ヘッドのこのガイドのために開放された収容部によって調整できる。これによって、フライスを解除した位置において特に垂直に基準面の上部に重力の影響の下で基準面へ導かれることが可能であり、この場合にスライドガイドによって唯一の自由度が確保されている。加工ヘッドとフライスの間の所望相対位置の調整後に加工位置においてフライスが収容部に固定されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
この発明は種々の実施態様に許容される。この発明の原理をさらに明瞭化するために、その原理により図面に図示され、次に説明される。
【0026】
図1は、フライス3を収容部4に固定されている図2と図3に示された物質2のマイクロ構成に対する加工ヘッド1を示す。このフライス3は軸5並びに円錐状切断ヘッド6を有する。フライス3のそれぞれの長さは構造種類条件で異なって測定でき、異なる構造形態で実現できる。
【0027】
異なったフライス3による物質2の簡単な加工を特にフライスプログラムの修正なしに達成するために、フライス3は図2に示されるように、まず最初に物質2の領域によって形成された基準面7に重力或いは示されていないばね要素の影響の下で設置されている。この際には力伝達的収容部4の固定力は、コレットとして形成された収容部4に対するフライス3の滑り移動性が達成されるように、調整される。この加工ヘッド1はそれによって物質2への矢印方向8に下降され得て、物質2に対する加工ヘッド1の図3に示された所定距離Dが得られるまで、フライス3が収容部4に挿入する。この距離Dは異なったフライス3のために一致して決定されるので、加工過程に達成されたフライス深さが異なったフライス3のために一致する。
【0028】
それに対して、図4と5は、例えば同様に物質の領域によって形成され得る基準面9の他の構造形態を示す。この場合には図1乃至3に示されたフライス3はその円錐状切断ヘッド6によって周辺面に基準面9の幅aをもつ窪み10の縁領域に隣接する。図5は図4に比べて反対に向いたフライス11を示し、そのフライスの円錐状切断ヘッド12は実質的により僅かな勾配を有する。幅aをもつ窪み10によって一定フライス幅は基準面9に対する加工ヘッド1の所定距離のために加工すべきである物質において達成される。
【0029】
図6は、加工ヘッド1のそれぞれの位置のさらに簡略化された調整を可能とするフライス深さ制限体13を備えている加工ヘッド1を示す。フライス3に対するフライス深さ制限体13の所定距離dを調整するために、このフライス深さ制限体13は基準面14に設置されている。このために、この基準面14は二つの平面15、16を有し、下平面15はフライス3を収容するポケット状窪みによって、そして上平面16は所定距離dの確定フライス深さ制限体13を設置する窪みを閉鎖する縁によって用いられる。それによってこの距離dはフライス深さ制限体13の寸法によって幾何学的に決定されるので、距離の測定技術的検出が不必要である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】加工ヘッドの収容部に固定するフライスを示す。
【図2】基準面に隣接するフライスをもつ図1に示された加工ヘッドを示す。
【図3】収容部に挿入されたフライスをもつ図2に比べて下降されたフライスヘッドを示す。
【図4】フライスがその周辺により窪みの縁領域に隣接している図3に示された加工ヘッドを示す。
【図5】図4に比べて相違して窪みの縁領域に周辺面に隣接するフライスを示す。
【図6】フライス深さ制限体を備えた加工ヘッドを示す。
【符号の説明】
【0031】
1.....加工ヘッド
2.....物質
3.....フライス
4.....収容部
5.....軸
6.....円錐状切断ヘッド
7.....基準面
8.....矢印方向
9.....基準面
10.....窪み
11.....フライス
12.....円錐状切断ヘッド
13.....フライス深さ制限体
14.....基準面
15.....平面
16.....平面
d.....距離
D.....距離
a.....幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工ヘッドにおいてフライスが基準面に設置されており、フライスを収容部により係留した加工ヘッドに対して物質のマイクロ構造にフライスの位置を決定する方法において、フライスの基準面に隣接する位置においてフライスの軸方向移動性がこのフライスのために開放された収容部にて加工ヘッドに対して調整され、引き続いて加工ヘッドは、基準面に対する加工ヘッドの所定距離が達成されるまで、基準面に対して移動されることを特徴とする方法。
【請求項2】
フライスが基準面に対して加工ヘッドの所定距離をもつ所望位置において収容部に力伝達的に係留されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
加工ヘッドは基準面の方向に移行し、それによって基準面に対して固定式に係留されたフライスが収容部で挿入されることを特徴とする請求項1或いは2に記載の方法。
【請求項4】
フライスはその軸方向延長部により基準面に対して設置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
フライスは円錐断面により基準面に対して設置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
収容部は基準面の上部の位置に開放されるので、フライスは重力の影響の下で基準面へまで収容部で軸方向に導かれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
フライスはばね要素によって基準面に収容部に対して移動されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
フライス(3、11)を軸方向に固定する加工位置が調整でき、物質(2)のマイクロ構造にフライス(3、11)用収容部(4)を備える加工ヘッド(1)において、軸方向スライドガイドを形成して解除した位置は加工ヘッドのガイドのために開放した収容部により調整できることを特徴とする加工ヘッド。
【請求項9】
加工ヘッド(1)は所定距離を調整するために基準面(14)に設置できるフライス深さ制限体(13)を支持することを特徴とする請求項8に記載の加工ヘッド(1)。
【請求項10】
基準面(14)は二つの平面(15、16)を有することを特徴とする請求項9に記載の加工ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−231508(P2006−231508A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37377(P2006−37377)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(399007154)エル・ピー・ケー・エフ・レーザー・ウント・エレクトロニクス・アクチエンゲゼルシヤフト (8)
【Fターム(参考)】